特許第6559986号(P6559986)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6559986
(24)【登録日】2019年7月26日
(45)【発行日】2019年8月14日
(54)【発明の名称】搬送装置および搬送方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/68 20060101AFI20190805BHJP
   H01L 21/677 20060101ALI20190805BHJP
【FI】
   H01L21/68 G
   H01L21/68 C
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-58305(P2015-58305)
(22)【出願日】2015年3月20日
(65)【公開番号】特開2016-178241(P2016-178241A)
(43)【公開日】2016年10月6日
【審査請求日】2018年2月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000102980
【氏名又は名称】リンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】特許業務法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉下 芳昭
【審査官】 山口 大志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−218183(JP,A)
【文献】 特開昭62−045143(JP,A)
【文献】 特表2003−515947(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/68
H01L 21/677
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定領域における不特定の位置にある被搬送物を保持して搬送する搬送装置において、
前記被搬送物を保持面で保持する保持手段と、
前記保持手段を移動させる移動手段と、
前記被搬送物の外縁が当接することで、前記保持手段に対する当該被搬送物の直交2軸方向の位置決めを行う位置決め手段とを備え、
前記保持手段は、前記被搬送物を位置決めするときは当該被搬送物を前記保持面に非接触で吸着保持し、前記被搬送物を搬送するときは当該被搬送物を前記保持面に当接させて吸着保持し、
前記移動手段は、前記保持手段を傾斜させることで、当該保持手段で保持した前記被搬送物の外縁を前記位置決め手段に当接させて位置決めすることを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
所定領域における不特定の位置にある被搬送物を保持して搬送する搬送装置において、
前記被搬送物を保持面で保持する保持手段と、
前記保持手段を移動させる移動手段と、
前記被搬送物の外縁が当接することで、前記保持手段に対する当該被搬送物の直交2軸方向の位置決めを行う位置決め手段とを備え、
前記保持手段および位置決め手段の少なくとも一方が、前記被搬送物に対して直接的または間接的に振動を付与する振動付与手段を備え、
前記移動手段は、前記保持手段を傾斜させることで、当該保持手段で保持した前記被搬送物の外縁を前記位置決め手段に当接させて位置決めすることを特徴とする搬送装置。
【請求項3】
所定領域における不特定の位置にある被搬送物を保持して搬送する搬送方法において、
前記被搬送物を保持手段の保持面で保持する工程と、
前記保持手段を傾斜させることで、当該保持手段で保持した前記被搬送物の外縁を位置決め手段に当接させ、当該保持手段に対する前記被搬送物の直交2軸方向の位置決めを行う工程と、
前記被搬送物を搬送する工程とを有し、
前記被搬送物を位置決めするときは当該被搬送物を前記保持面に非接触で吸着保持し、前記被搬送物を搬送するときは当該被搬送物を前記保持面に当接させて吸着保持することを特徴とする搬送方法。
【請求項4】
所定領域における不特定の位置にある被搬送物を保持して搬送する搬送方法において、
前記被搬送物を保持手段の保持面で保持する工程と、
前記保持手段を傾斜させることで、当該保持手段で保持した前記被搬送物の外縁を位置決め手段に当接させ、当該保持手段に対する前記被搬送物の直交2軸方向の位置決めを行う工程と、
前記保持手段および位置決め手段の少なくとも一方が備えている振動付与手段によって、前記被搬送物に対して直接的または間接的に振動を付与する工程と、
前記被搬送物を搬送する工程とを有することを特徴とする搬送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送装置および搬送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体製造工程において、半導体ウエハ(以下、単に「ウエハ」という場合がある)をカセットから取り出し、取り出したウエハをロボットを用いて搬送することが行われている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載された搬送方法は、ウエハ把持装置でウエハの外周からその面方向中心に向けて把持力を付与し、当該ウエハを位置決めして搬送するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−218183号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されたような従来の方法では、ウエハを把持する把持力が大きいと、ウエハを破損させてしまうし、把持力が小さいと、ウエハを搬送中に落下させてしまうという不都合がある。
【0005】
本発明の目的は、被搬送物に与える負荷を極力小さくして当該被搬送物の位置決めをして搬送することができる搬送装置および搬送方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明の搬送装置は、定領域における不特定の位置にある被搬送物を保持して搬送する搬送装置において、前記被搬送物を保持面で保持する保持手段と、前記保持手段を移動させる移動手段と、前記被搬送物の外縁が当接することで、前記保持手段に対する当該被搬送物の直交2軸方向の位置決めを行う位置決め手段とを備え、前記保持手段は、前記被搬送物を位置決めするときは当該被搬送物を前記保持面に非接触で吸着保持し、前記被搬送物を搬送するときは当該被搬送物を前記保持面に当接させて吸着保持し、前記移動手段は、前記保持手段を傾斜させることで、当該保持手段で保持した前記被搬送物の外縁を前記位置決め手段に当接させて位置決めするという構成を採用している。
また、本発明の搬送装置は、所定領域における不特定の位置にある被搬送物を保持して搬送する搬送装置において、前記被搬送物を保持面で保持する保持手段と、前記保持手段を移動させる移動手段と、前記被搬送物の外縁が当接することで、前記保持手段に対する当該被搬送物の直交2軸方向の位置決めを行う位置決め手段とを備え、前記保持手段および位置決め手段の少なくとも一方が、前記被搬送物に対して直接的または間接的に振動を付与する振動付与手段を備え、前記移動手段は、前記保持手段を傾斜させることで、当該保持手段で保持した前記被搬送物の外縁を前記位置決め手段に当接させて位置決めするという構成を採用している。
【0007】
本発明の搬送装置において、前記位置決め手段は、前記被搬送物を回転可能な回転手段と、当該被搬送物の回転方向の位置を検出可能な検出手段とを備え、当該検出結果を基に前記被搬送物の回転方向の位置決めを行うことが好ましい。
本発明の搬送装置において、前記保持手段は、前記被搬送物側に気体を吹き付けることで当該被搬送物を吸引して保持可能に設けられていることが好ましい。
【0008】
一方、本発明の搬送方法は、所定領域における不特定の位置にある被搬送物を保持して搬送する搬送方法において、前記被搬送物を保持手段の保持面で保持する工程と、前記保持手段を傾斜させることで、当該保持手段で保持した前記被搬送物の外縁を位置決め手段に当接させ、当該保持手段に対する前記被搬送物の直交2軸方向の位置決めを行う工程と、前記被搬送物を搬送する工程とを有し、前記被搬送物を位置決めするときは当該被搬送物を前記保持面に非接触で吸着保持し、前記被搬送物を搬送するときは当該被搬送物を前記保持面に当接させて吸着保持するという構成を採用している。
また、本発明の搬送方法は、所定領域における不特定の位置にある被搬送物を保持して搬送する搬送方法において、前記被搬送物を保持手段の保持面で保持する工程と、前記保持手段を傾斜させることで、当該保持手段で保持した前記被搬送物の外縁を位置決め手段に当接させ、当該保持手段に対する前記被搬送物の直交2軸方向の位置決めを行う工程と、前記保持手段および位置決め手段の少なくとも一方が備えている振動付与手段によって、前記被搬送物に対して直接的または間接的に振動を付与する工程と、前記被搬送物を搬送する工程とを有するという構成を採用している。
【発明の効果】
【0009】
以上のような本発明によれば、被搬送物を把持する必要がないので、被搬送物に与える負荷を極力小さくして当該被搬送物の位置決めをして搬送することができる。
また、位置決め手段が回転手段と検出手段とを備えれば、被搬送物の回転方向の位置決めも行うことができる。
さらに、被搬送物側に気体を吹き付けることで当該被搬送物を吸引して保持する構成を採用すれば、被搬送物を位置決めするときに、当該被搬送物の被保持面が負傷することを防止することができる上、円滑に位置決めを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第1実施形態に係る搬送装置を示す側面図
図2図1の搬送装置の動作説明図。
図3図1の搬送装置の別の動作説明図。
図4】本発明の変形例を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の第1実施形態および第2実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、各実施形態において、X軸、Y軸、Z軸は、それぞれが直交する関係にあり、X軸およびY軸は、所定平面内の軸とし、Z軸は、前記所定平面に直交する軸とする。さらに、本実施形態では、Y軸と平行な矢印D1方向から観た場合を基準とし、方向を示した場合、「上」がZ軸の矢印方向で「下」がその逆方向、「左」が紙面手前方向であるX軸の矢印方向で「右」がその逆方向、「前」がY軸の矢印方向、「後」がその逆方向とする。
【0012】
図1ないし図3において、搬送装置10は、所定領域としてのカセットCT内における不特定の位置にある被搬送物としてのウエハWFを保持して搬送する装置であって、ウエハWFを保持する保持手段20と、保持手段20を移動させる移動手段30と、ウエハWFの外縁が当接することで、保持手段20に対する当該ウエハWFの直交2軸方向の位置決めを行う位置決め手段40とを備え、カセットCTから取り出したウエハWFを位置決めし、当該搬送装置10に対して所定の位置にある図示しない作業テーブル上に載置するようになっている。なお、カセットCTは、開口部CT1と、ウエハWFの左右両側を支持して当該ウエハWFを上下方向に多段積み可能な複数のリブCT2とを備え、当該搬送装置10に対して所定の位置にある載置台50上の所定の位置に位置決めして載置されるようになっている。
【0013】
保持手段20は、ウエハWFを保持する保持面21Aを有する保持アーム21と、保持面21Aに開口した吸排気孔21Bに、減圧ポンプや真空エジェクタ等の図示しない減圧手段または、コンプレッサやタービン等の図示しない加圧手段を連通可能な電磁弁や切換バルブ等の切換手段22とを備えている。保持アーム21には、保持面21A上の所定の位置である基準位置HCから放射状に延びる2本の放射直線RL方向に沿った長孔21Cが形成されている。なお、吸排気孔21Bに加圧手段を連通させると、気体が保持面21A上を外側に向けて吹き出され、その内側に減圧領域を形成する所謂ベルヌーイ吸着が行われるようになっている。また、切換手段22は、吸排気孔21Bを減圧手段および加圧手段から遮断することも可能になっている。
【0014】
移動手段30は、作業アーム31Aで保持手段20を支持し、その作業範囲内において支持した保持手段20を何れの位置、何れの角度にでも変位可能な駆動機器としての所謂6軸ロボットである多関節ロボット31を備えている。
【0015】
位置決め手段40は、ウエハWFの外縁が当接する当接部材としての一対の位置決めローラ41と、各位置決めローラ41をそれぞれ保持面21Aと平行な方向に移動可能な位置決めローラ移動手段42と、ウエハWFを回転可能な回転手段43と、ウエハWFの回転方向の位置を検出可能な光学センサや撮像手段等の検出手段44とを備えている。
各位置決めローラ41は、円柱状に設けられた当接部41Aと、当接したウエハWFが保持面21Aから離れる方向へ移動することを規制する鍔部41Bを備えている。
各位置決めローラ移動手段42は、保持アーム21における保持面21Aの反対側の面に支持され、放射直線RL方向に延設された駆動機器としてのリニアモータ42Aと、各リニアモータ42Aのスライダ42Bにそれぞれ支持された支持板42Cとを備えている。各リニアモータ42Aは、保持アーム21の基準位置HCを通って当該保持アーム21の延出方向に延びる基準線HLに対して線対称に配置されている。
各回転手段43は、支持板42Cに支持され、長孔21Cを貫通する出力軸43Bで位置決めローラ41を支持する駆動機器としての一対の回動モータ43Aを備えている。
【0016】
以上の搬送装置10を用いて、ウエハWFの搬送手順を説明する。
先ず、人手または多関節ロボットやベルトコンベア等の図示しない搬送機器がリブCT2上の不特定の位置にウエハWFが収納されたカセットCTを載置台50上に載置する。次いで、オペレータが操作パネルやパーソナルコンピュータ等の図示しない入力手段を介してウエハWFの円周部の直径寸法等を入力した後、自動運転開始の信号を入力する。すると、位置決め手段40がリニアモータ42Aを駆動し、保持アーム21の基準位置HCと位置決めローラ41の当接部41Aとの最短距離がウエハWFの円周部の半径寸法と同じになるように位置決めローラ41を移動させる。
【0017】
次いで、移動手段30が多関節ロボット31を駆動し、保持アーム21をウエハWFの下方に差し入れて当該ウエハWFをリブCT2から離間させた後、保持手段20が切換手段22を駆動し、吸排気孔21Bに図示しない減圧手段を連通させ、図2(A)に示すように、保持面21AにウエハWFを当接させて吸着保持する。その後、移動手段30が多関節ロボット31を駆動し、ウエハWFをカセットCTから取り出した後、保持手段20が切換手段22を駆動し、吸排気孔21Bに図示しない加圧手段を連通させ、図2(B)に示すように、保持面21Aに対して非接触な状態でウエハWFを吸着保持(ベルヌーイ吸着)する。
【0018】
次に、移動手段30が多関節ロボット31を駆動し、保持アーム21の基準位置HC側が位置決めローラ41側よりも上方に位置するように保持アーム21を傾斜させる。すると、図2(B)中二点鎖線で示すように、保持アーム21で保持したウエハWFが自重によって保持面21A上を移動し、当該ウエハWFにおける外縁の2点がそれぞれ位置決めローラ41の当接部41Aに当接する。これにより、ウエハWFの中心WCが保持アーム21の基準位置HCの上方に位置し、保持手段20に対するウエハWFの直交2軸方向の位置決めが行われる。このとき、保持手段20は、保持面21Aに対して非接触な状態でウエハWFを吸着保持しているので、保持面21A上をウエハWFが接触して移動することがなく、当該ウエハWFの被保持面が負傷することを防止することができる上、保持面21A上を円滑に移動させてウエハWFの位置決めを行うことができる。
【0019】
その後、位置決め手段40が回動モータ43Aを駆動し、図3に示すように、検出手段44の検出結果を基に、ウエハWFの外縁に設けられたVノッチVNの谷部VVが当該検出手段44の上方であって、基準線HL上に位置するようにウエハWFを回転させる。これにより、ウエハWFの回転方向の位置決めが行われる。このときも、保持手段20は、保持面21Aに対して非接触な状態でウエハWFを吸着保持しているので、保持面21A上をウエハWFが接触して回転することがなく、当該ウエハWFの被保持面が負傷することを防止することができる上、保持面21A上を円滑に回転させてウエハWFの位置決めを行うことができる。また、ウエハWFの外縁が位置決めローラ41の当接部41Aに当接している間、当該ウエハWFは、鍔部41Bによって保持面21Aから離れる方向へ移動することが規制されているので、保持アーム21から脱落することはない。
次に、保持手段20が切換手段22を駆動し、吸排気孔21Bに図示しない減圧手段を連通させて直交2軸方向の位置決めと、回転方向の位置決めとが完了したウエハWFを保持面21Aに当接させて吸着保持する。つまり、中心WCを基準位置HC上に配置し、VノッチVNの谷部VVを基準線HL上に配置した状態で、ウエハWFを保持アーム21で保持する。
【0020】
そして、移動手段30が多関節ロボット31を駆動し、保持アーム21の基準位置HC、すなわち、ウエハWFの中心WCを図示しない作業テーブルの所定の位置に合わせて載置した後、以降上記同様の動作が繰り返される。
【0021】
以上のような実施形態によれば、ウエハWFを把持する必要がないので、ウエハWFに与える負荷を極力小さくして当該ウエハWFの位置決めをして搬送することができる。
【0022】
以上のように、本発明を実施するための最良の構成、方法等は、前記記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。また、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれる。
【0023】
保持アーム21の形状は、図4(A)に示すような一部が離間した円環型でもよいし、I型、Y型、丸型等でもよく何ら限定されることはない。また、吸排気孔21Bの数や位置は、適宜決定することができる。
吸排気孔21Bの代わりにまたは、吸排気孔21Bと併用して、減圧手段に連通された吸気孔と、加圧手段に連通された排気孔とをそれぞれ独立して設けてもよい。
保持手段20は、ウエハWFを保持面21Aに当接させる吸着およびベルヌーイ吸着のいずれか一方で保持してもよい。
保持手段20は、吸排気孔21Bおよび減圧手段の代わりに、磁着、接着、粘着、静電チャック等でウエハWFを保持してもよい。
保持手段20は、加圧手段の代わりに、磁着、静電チャック等を採用し、吸排気孔21Bから吹き出した気体で保持面21Aから離間させてウエハWFを引き付けて保持してもよい。
保持手段20は、ウエハWFの位置決めを行うときに、保持アーム21で保持したウエハWFが自重で移動して位置決め手段40に当接する場合や、当該ウエハWFが回転手段43の回転によって回転できるのであれば、切換手段22を駆動し、吸排気孔21Bを減圧手段および加圧手段から遮断してもよいし、減圧手段でウエハWFを吸着保持しながら、位置決めを行ってもよい。
保持手段20は、加圧手段で吹き出す気体として、大気、空気、単体ガス、混合ガス等でもよく何ら限定されることはない。
保持手段20は、保持アーム21で保持したウエハWFにおける外縁の2点がそれぞれ位置決めローラ41の当接部41Aに当接したときに、ウエハWFの中心WCが保持アーム21の基準位置HCの上方に位置していなくてもよく、例えば、基準位置HCと中心WCとが、基準線HL方向および当該基準線HLに直交する方向の少なくとも一方の方向に所定距離ずれた状態で、保持面21AでウエハWFを保持してもよい。このような場合でも、ずれて保持したウエハWFの中心WCが基準位置HCに対してどの方向にどれだけずれているかが解るように、ウエハWFを基準位置HCに関連付けて保持できていれば、搬送先でウエハWFを所定の位置に載置することができる。
保持手段20の基準位置HCは、どのような位置でもよく、支持面21Aの内部でもよいし、支持面21Aの外部でもよい。
保持手段20は、ウエハWFの中心WC以外の位置(例えば1つの角部等)を基準位置HCに関連付けて保持してもよい。
【0024】
移動手段30は、カセットCTから取り出したウエハWFを作業テーブルに移動させながら当該ウエハWFの位置決めを行ってもよい。
移動手段30は、保持手段20で保持したウエハWFに対する位置決め手段40の位置に応じて、保持手段20の傾斜方向を決定することができる。すなわち、保持手段20で保持したウエハWFに対して位置決め手段40が重力方向下側に位置するように当該保持手段20を傾斜させればよい。
移動手段30が保持手段20を傾斜させる傾斜角度は、保持したウエハWFが重力で下方移動する角度であれば、どんな角度でもよい。
移動手段30は、例えば、三角形や四角形以上の多角形の被搬送物における1つの角部や、被搬送物に形成された目印等を基準位置HCに関連付けて保持手段20で保持するようにしてもよい。
【0025】
回転手段43は、図4(B)に示すように、回動モータ43Aによって回転する駆動プーリ45と、基準線HLを挟んだ左右対称位置に配置された一対の従動プーリ46と、駆動、従動プーリ45、46に巻回された無端ベルト47とで構成してもよい。
位置決め手段40は、各位置決めローラ41を電気的に絶縁させておき、それらの導通を検出する導通チェッカや抵抗器等の導通検出手段を採用し、各ローラ41にウエハWFが当接したか否かをローラ41間の抵抗の変化によって判定し、当接したことの判定をもってウエハWFの直交2軸方向の位置決めを完了させてもよい。
位置決め手段40は、移動手段30に支持されていてもよいし、保持手段20および移動手段30のいずれにも支持されることなく他の部材に支持されていてもよい。
回転手段43は、被搬送物が例えば球状のものの場合、当該搬送物を上下、左右、それらと交差する斜め方向に回転させてもよい。
位置決め手段40は、検出手段44の検出結果を基に、谷部VVが当該検出手段44の上方でない基準線HL上に位置するようにウエハWFを回転させたり、基準線HLに対して90度や45度といった所定角度回転した位置にウエハWFを回転させたりしてもよい。
位置決め手段40は、ウエハWFの外縁に設けられたオリエンテーションフラットを検出手段44で検出させ、当該オリエンテーションフラットの位置を所定の位置に配置させたりしてもよいし、被搬送物がウエハWF以外のものの場合は、そのものの特徴部を検出させて所定の位置に配置させてもよい。
位置決め手段40は、位置決めローラ移動手段42を備えていなくてもよい。このような場合、被搬送物の形状に合わせて位置決めローラ41を支持させる位置を決定してもよいし、位置決めローラ41に被搬送物が当接したときに、当該被搬送物における所定の位置(例えば中心位置)がどの位置に配置されるかを予め調べておいたり、計算で求めたりしてもよいし、位置決め手段40が保持手段20および移動手段30のいずれにも支持されることなく他の部材に支持されている場合は、移動手段30が位置決め手段40との相対距離を調整し、当該位置決め手段40に当接した被搬送物の所定の位置が保持アーム21の基準位置HC上に配置されるようにしてもよい。
【0026】
カセットCTは、ウエハを1体だけまたは、複数体収納できるものでもよい。
所定領域は、カセットCT以外の部材の中や載置台50の上面等でもよい。
保持手段20および位置決め手段の少なくとも一方に振動付与手段を設けてもよい。振動付与手段は、ウエハWFの大きさや重量等に応じて振動の振幅を調整可能な振幅調整手段を備えてもよい。このようにすることで、ウエハWFを所定の位置に配置させ易くなる。
振動子は、所定の振幅および周波数でウエハWFに振動を付与可能に設けられ、例えば、圧電素子を利用した圧電型や、回転型の電動モータの回転軸に偏心錘を取り付けたアンバランスマス型、駆動コイルに電流を流すことで発生する力を利用した動電型、さらには公知の超音波振動発生装置、電動モータやエアを利用した公知のバイブレータなど、任意の原理で振動するものを採用することができ、ウエハWFに対して直接的または間接的に振動を付与できるものであればよい。
移動手段30が保持手段20および位置決め手段40の少なくとも一方を介してウエハWFに振動を付与するようにしてもよく、この場合、移動手段30が振動付与手段となる。
【0027】
被搬送物は、材質、種別、形状等何ら限定されることはなく、例えば、食品、樹脂容器、シリコン半導体ウエハや化合物半導体ウエハ等の半導体ウエハ、回路基板、光ディスク等の情報記録基板、ガラス板、鋼板、陶器、木板または樹脂板等、任意の形態の部材や物品なども対象とすることができる。
【0028】
本発明における手段および工程は、それら手段および工程について説明した動作、機能または工程を果たすことができる限りなんら限定されることはなく、まして、前記実施形態で示した単なる一実施形態の構成物や工程に全く限定されることはない。例えば、保持手段は、被搬送物を保持可能なものであれば、出願当初の技術常識に照らし合わせ、その技術範囲内のものであればなんら限定されることはない(他の手段および工程についての説明は省略する)。
【0029】
また、前記実施形態における駆動機器は、回動モータ、直動モータ、リニアモータ、単軸ロボット、多関節ロボット等の電動機器、エアシリンダ、油圧シリンダ、ロッドレスシリンダおよびロータリシリンダ等のアクチュエータ等を採用することができる上、それらを直接的または間接的に組み合せたものを採用することもできる(実施形態で例示したものと重複するものもある)。
【符号の説明】
【0030】
10 搬送装置
20 保持手段
30 移動手段
40 位置決め手段
43 回転手段
44 検出手段
CT カセット(所定領域)
WF ウエハ(被搬送物)
図1
図2
図3
図4