(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記非繊維状非発泡粉末ガラスの量を基準として、0.01重量%〜1.5重量%の量のB’)少なくとも1種類のアミノアルキルトリアルコキシシランで、成分B)のサイジング処理が追加で行われていることを特徴とする、請求項1に記載の回路遮断器。
E)全組成物を基準として0.01重量%〜5重量%の少なくとも1種類の潤滑剤および/または離型剤を前記組成物中にさらに含み、この場合、他の成分の量は、すべての重量パーセント値の合計が常に100になるまで減らされることを特徴とする、請求項1又は2に記載の回路遮断器。
F)全組成物を基準として0.01重量%〜10重量%の少なくとも1種類のレーザー吸収剤を前記組成物中にさらに含み、この場合、他の成分の量は、すべての重量パーセント値の合計が常に100になるまで減らされることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の回路遮断器。
前記レーザー吸収剤が、三酸化アンチモン、酸化スズ、オルトリン酸スズ、チタン酸バリウム、酸化アルミニウム、ヒドロキシリン酸銅、オルトリン酸銅、二リン酸カリウム銅、水酸化銅、酸化アンチモンスズ、三酸化ビスマスおよびアントラキノンの群から選択される、請求項4に記載の回路遮断器。
G)全組成物を基準として0.01重量%〜60重量%の、メラミンシアヌレート以外の少なくとも1種類のさらなる難燃剤を前記組成物中に含み、この場合、他の成分の量は、すべての重量パーセント値の合計が常に100になるまで減らされることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の回路遮断器。
成分H)全組成物を基準として0.01重量%〜50重量%の、成分B)およびC)以外の少なくとも1種類のフィラーを前記組成物中にさらに含み、この場合、他の成分の量は、すべての重量パーセント値の合計が常に100になるまで減らされることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の回路遮断器。
K)全組成物を基準として0.01重量%〜20重量%の、成分D)〜H)以外の少なくとも1種類のさらなる添加剤を前記組成物中に含み、この場合、他の成分の量は、すべての重量パーセント値の合計が常に100になるまで減らされることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の回路遮断器。
成分B)として使用するための前記非繊維状非発泡粉末ガラスが、粒子状で非円筒形であり、5未満の厚さに対する直径の比を有することを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の回路遮断器。
成分B)として使用するための前記非繊維状非発泡粉末ガラスが、直径に対する長さの比(L/D比)が5を超える円筒形または楕円形の断面を有する繊維状ガラスに典型的なガラス形状を示さないことを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載の回路遮断器。
【発明を実施するための形態】
【0025】
好ましい一実施形態において、非繊維状非発泡粉末ガラスは、
B’)非繊維状非発泡粉末ガラスの量を基準として、好ましくは0.01重量%〜1.5重量%の量の少なくとも1種類のアミノアルキルトリアルコキシシラン
でサイジング処理が行われている。
【0026】
一実施形態において、本発明の組成物は、成分A)、B)、C)、およびD)、あるいはA)、B)、B’)、C)、およびD)に加えて、E)それぞれの場合で全組成物を基準として0.01重量%〜5重量%、さらにより好ましくは0.05重量%〜3重量%、特に好ましくは0.1重量%〜2重量%の少なくとも1種類の潤滑剤および/または離型剤をも含み、その場合、他の成分の量は、すべての重量パーセント値の合計が常に100となるまで減少する。
【0027】
一実施形態において、本発明の組成物は、成分A)〜E)に加えて、またはE)の代わりに、F)それぞれの場合で全組成物を基準として0.01重量%〜10重量%、好ましくは0.1重量%〜5重量%、より好ましくは0.5重量%〜3.5重量%の、三酸化アンチモン、酸化スズ、オルトリン酸スズ、チタン酸バリウム、酸化アルミニウム、ヒドロキシリン酸銅、オルトリン酸銅、二リン酸カリウム銅、水酸化銅、酸化アンチモンスズ、三酸化ビスマス、およびアントラキノンの群から好ましくは選択される少なくとも1種類のレーザー吸収剤をも含み、その場合、他の成分の量は、すべての重量パーセント値の合計が常に100となるまで減少する。
【0028】
一実施形態において、本発明の組成物は、成分A)〜F)に加えて、あるいはE)および/またはF)の代わりに、G)それぞれの場合で全組成物を基準として0.01重量%〜60重量%、好ましくは1重量%〜30重量%、より好ましくは5重量%〜25重量%、最も好ましくは0.01重量%〜60重量%の、メラミンシアヌレート(=成分D))以外の少なくとも1種類のさらなる難燃剤をも含み、その場合、他の成分の量は、すべての重量パーセント値の合計が常に100となるまで減少する。本発明によると、ハロゲンを含有しないおよび/またはリンを含有しない難燃剤を使用することが好ましい。
【0029】
一実施形態において、本発明の組成物は、成分A)〜G)に加えて、あるいはE)および/またはF)および/またはG)の代わりに、成分H)それぞれの場合で全組成物を基準として0.01重量%〜50重量%、好ましくは1重量%〜30重量%、さらにより好ましくは2重量%〜15重量%、非常に特に好ましくは2重量%〜6重量%の、成分B)およびC)以外の少なくとも1種類のフィラーをも含み、その場合、他の成分の量は、すべての重量パーセント値の合計が常に100となるまで減少する。
【0030】
一実施形態において、本発明の組成物は、成分A)〜H)に加えて、あるいはE)および/またはF)および/またはG)および/またはH)の代わりに、K)それぞれの場合で全組成物を基準として0.01重量%〜20重量%、好ましくは0.05重量%〜10重量%、最も好ましくは0.1重量%〜5重量%の、成分D)およびH)以外の少なくとも1種類のさらなる添加剤をも含み、その場合、他の成分の量は、すべての重量パーセント値の合計が常に100となるまで減少する。
【0031】
成分A)
成分A)として、本発明の組成物はPA6またはPA66を含む。PA6および/またはPA66を主成分とするコポリアミドは本発明の主題に含まれる。
【0032】
本出願の状況で使用されるポリアミドの命名法は、国際規格に対応しており、最初の数字は、出発ジアミン中の炭素原子数を示し、最後の数字はジカルボン酸中の炭素原子数を示す。PA6の場合のように1つだけの数字が記載される場合は、これは出発物質がα,ω−アミノカルボン酸、またはそれから誘導されるラクタム、すなわちPA6の場合のε−カプロラクタムであったことを意味し、さらなる情報のためには、H.Domininghaus,Die Kunststoffe und ihre Eigenschaften[ポリマーおよびそれらの性質],272ページ以降,VDI−Verlag,1976が参照される。
【0033】
好ましくは、成分A)として使用されるナイロン−6またはナイロン−6,6は、96重量%硫酸中の0.5重量%溶液中、25℃においてISO 307に準拠して測定される粘度数が80〜180ml/gの範囲内である。
【0034】
より好ましくは、成分A)として使用されるナイロン−6は、指定の規格および前述の指定の方法による粘度数が85〜160ml/gの範囲内、最も好ましくは粘度数が90〜140ml/gの範囲内である。
【0035】
成分A)として使用されるナイロン−6,6は、前述の指定の方法によると、より好ましくは粘度数が110〜170ml/gの範囲内であり、最も好ましくは粘度数が130〜160ml/gの範囲内である。
【0036】
Hans Domininghaus,“Die Kunststoffe und ihre Eigenschaften”,5th edition(1998),p.14によると、熱可塑性ポリアミドは、分子鎖が側枝を全く有さないか、あるいはより長いまたはより短く数が異なる側枝を有し、加熱すると軟化し実質的に制限のない程度で成形可能であるポリアミドを意味するものと理解される。
【0037】
本発明による好ましいポリアミドは、種々の方法によって調製することができ、非常に異なる単位から合成することができ、特定の用途の場合では、単独で、あるいは加工助剤、安定剤、またはポリマーアロイ用成分、好ましくはエラストマーを用いて変性して、特定の性質の組み合わせを有する材料を得ることができる。異なるポリマー、好ましくはポリエチレン、ポリプロピレン、ABSの比率を有するブレンドも好適であり、その場合、1種類以上の相溶化剤を場合により使用することができる。ポリアミドの性質は、エラストマーを加えることによって、たとえば耐衝撃性に関して改善することができる。可能性のある多数の組み合わせによって、多種多様な異なる性質を有する非常に多数の製品が可能となる。
【0038】
所望の最終製品に応じて、種々のモノマー単位、所望の分子量を得る種々の連鎖移動剤、あるいは後の段階で意図される後処理のための反応性基を有するモノマーを有するポリアミドの多数の調製手順が、周知となって使用されている。
【0039】
ポリアミドの調製の工業的に妥当な方法は、通常、溶融物中の重縮合によって進行される。本発明の場合では、ラクタムの加水分解重合も重縮合と見なされる。
【0040】
成分A)として使用されるPA6およびPA66は半結晶質ポリアミドである。半結晶質ポリアミドは、独国特許出願公開第10 2011 084 519 A1号明細書によると、ISO 11357に準拠してDSC法により第2の加熱操作および溶融ピークの積分において測定される融解エンタルピーが4〜25J/gの範囲である。対照的に、非晶質ポリアミドは、ISO 11357に準拠してDSC法により第2の加熱操作および溶融ピークの積分において測定される融解エンタルピーが4J/g未満である。
【0041】
本発明による成分A)としての使用が好ましいポリアミドまたはコポリアミドは、ジアミンおよびジカルボン酸、および/または少なくとも5員環のラクタムまたは対応するアミノ酸から調製されるものである。有用な反応物としては、好ましくは脂肪族ジカルボン酸、より好ましくはアジピン酸、脂肪族ジアミン、より好ましくはヘキサメチレンジアミン、アミノカルボン酸、特にアミノカプロン酸、または対応するラクタムが挙げられる。記載の複数のモノマーのコポリアミドも含まれる。
【0042】
成分A)としての使用が好ましいナイロン−6はε−カプロラクタムから得ることができる。成分A)としての使用が好ましいナイロン−6,6は、ヘキサメチレンジアミンおよびアジピン酸から得ることができる。
【0043】
ポリマー鎖中の各ポリアミド基に3〜11個のメチレン基、非常に特に好ましくは4〜6個のメチレン基が存在する、PA6、PA66、またはそれらのコポリアミドを主成分とする大部分の化合物がさらに好ましい。
【0044】
成分B)
成分B)として、本発明の組成物は、d90が5〜250μmの範囲内、好ましくは10〜150μmの範囲内、より好ましくは15〜80μmの範囲内、最も好ましくは16〜25μmの範囲内、0.01〜0.5mmの範囲内の長さとなる粒度分布を有する非繊維状非発泡粉末ガラスを含む。さらにd10が0.3〜10μmの範囲内、好ましくは0.5〜6μmの範囲内、より好ましくは0.7〜3μmの範囲内である非繊維状非発泡粉末ガラスを使用することが本発明において好ましい。このような非繊維状非発泡粉末ガラスのd50が3〜50μmの範囲内、好ましくは4〜40μmの範囲内、より好ましくは5〜30μmの範囲内でもあることが非常に特に好ましい。
【0045】
最初に引用した参考文献と同様に、d10、d50、およびd90の値、それらの測定、およびそれらの意味に関して、Chemie Ingenieur Technik(72)p.273−276、3/2000,Wiley−VCH Verlags GmbH,Weinheim,2000も参照され、これによると、d10は、その粒度未満に粒子の10%の量が存在する粒度であり、d50は、その粒度未満に粒子の50%の量が存在する粒度であり(メジアン値)、d90その粒度未満に粒子の90%の量が存在する粒度である。
【0046】
粒度分布および粒度の数値は、本明細書においてはいわゆる表面基準の粒度に基づいており、いずれの場合も熱可塑性成形用組成物中に混入する前の値である。この場合、それぞれのガラス粒子の表面の直径は、仮想的な球状粒子(球体)の表面に関して表される。これは好ましくは、Ankersmid(EyeTech(登録商標)ソフトウェアおよびACM−104測定セルを含むEyeTech(登録商標)、Ankersmid Lab,Oosterhout,the Netherlands)のレーザー減光の原理によって動作する粒度分析装置によって行うことができる。あるいは、粒度分布は最初に引用したレーザー回折法に関する参考文献により行うこともできる。このためには、本発明により使用されるガラスを0.1%ポリリン酸ナトリウム水溶液中に懸濁させ、次にBeckman Coulter GmbH,Krefeld,GermanyのLS 13320粒度分析装置を用いてレーザー回折法によって分析する。
【0047】
好ましくは、非繊維状非発泡粉末ガラスは、粒状で非円筒形であり、5未満、好ましくは3未満、より好ましくは2未満の厚さに対する長さの比を有する。当然ながら0の値は不可能である。
【0048】
本発明の範囲を画定するため、膨張ガラスと呼ばれることも多い発泡ガラスは、例えば空気または二酸化炭素の気泡が閉じ込められているガラスを意味するものと理解される。しかし、この気体の混入は、本発明により使用される非発泡ガラスとは対照的に、密度低下の原因となる。したがって、本発明により使用される非発泡非繊維状粉末ガラスは、気体の混入による密度低下がまったくない。
【0049】
本発明の範囲を画定するため、繊維状ガラスは、アスペクト比(長さ/直径比)が5を超える円筒形または楕円の断面を有するガラス形状を意味するものと理解される。したがって、成分B)として使用される非発泡非繊維状粉末ガラスは、5を超えるアスペクト比(長さ/直径比)を有する円筒形または楕円形断面を有する繊維状ガラスに典型的なガラス形状を有さないことをさらなる特徴とする。
【0050】
本発明により使用される非発泡非繊維状粉末ガラスは、好ましくは、ミル、好ましくはボールミルを使用してガラスを粉砕し、より好ましくは続いてふるい分けまたはスクリーニングを行うことによって得られる。有用な出発物質としては、固化したガラスのあらゆる形状のものが挙げられる。
【0051】
本発明により使用される非繊維状非発泡粉末ガラスを得るための粉砕に好ましい出発物質としては、望ましくない副生成物としておよび/または規格外の主要製品としてガラス製品の製造において特に得られるガラス廃棄物も挙げられる。このようなものとしては、特に窓または瓶のガラスの製造、ならびにガラス含有フィラーおよび強化材の製造において、特に溶融ケーキと呼ばれる形態で得ることができるような廃棄ガラス、再生ガラス、および割れたガラスが特に挙げられる。ガラスは着色されていてもよいが、出発物質としては着色されていないガラスが好ましい。
【0052】
粉砕のための有用な出発ガラスとしては、原則的には、たとえばDIN 1259−1に記載されるようなあらゆる種類のガラスが挙げられる。ソーダ石灰ガラス、フロートガラス、石英ガラス、鉛クリスタルガラス、ホウケイ酸ガラス、AガラスおよびEガラスが好ましく、ソーダ石灰ガラス、ホウケイ酸ガラス、Aガラス、およびEガラスが特に好ましく、AガラスおよびEガラスが非常に特に好ましく、Eガラスが特に好ましい。Eガラスの物理的データおよび組成に関して、「http://wiki.r−g.de/index.php?title=Glasfasern」を参照することができる。本発明による使用に特に好ましい非繊維状非発泡E粉末ガラスは、表1に明記される以下の特徴の少なくとも1つを有する。
【0054】
本発明により使用される非発泡非繊維状ガラスを製造する場合、ガラスの全成分を基準としてK
2O含有量が2重量%以下である種類のガラスも同様に特に好ましい。本発明により使用される非発泡非繊維状粉末ガラスは、たとえば、Vitro Minerals Inc.,Covington,GA,USAより購入することができる。これは仕様CS−325、CS−500、およびCS−600のCS粉末ガラス末、またはLA400として供給されている(「www.glassfillers.com」、またはChris DeArmitt,Additives Feature,Mineral Fillers,COMPOUNDING WORLD,February 2011,pages 28−38、または「www.compoundingworld.com」も参照されたい)。これらのガラスの場合、Vitro Minerals Inc.は、ガラス酸化物の名称でCAS No.65997−17−3を付与している。
【0055】
成分B)は、好ましくはASTM C 693に準拠した密度(かさ密度ではない)が2400〜2700kg/m
3の範囲内、より好ましくは2400〜2600kg/m
3の範囲内であり、したがって発泡ガラス(密度=100〜165kg/m
3)、発泡ガラスペレット(密度=130〜170kg/m
3)、および膨張ガラス(密度=110〜360kg/m
3)とは明確に区別され;AGY Produktbroschuere Pub.No.LIT−2006−111 R2(02/06)も参照されたい。
【0056】
好ましくは本発明によると、使用される非発泡非繊維状粉末ガラスは、アミノアルキルトリアルコキシシランを主成分とする表面改質またはサイジング(成分B’)が行われる。別のまたは好ましい実施形態においては、非発泡非繊維状粉末ガラスは、シランまたはシロキサンを主成分とするさらなる表面改質またはサイジングを行うことができ、好ましくはグリシジル−、カルボキシル−、アルケニル−、アクリロイルオキシアルキル−、および/またはメタクリロイルオキシアルキル−で官能化されたトリアルコキシシラン、またはそれらの水性加水分解物、ならびにそれらの組み合わせを設けることができる。
【0057】
B’)として非常に特に好ましいものは、アミノアルキルトリアルコキシシラン、特にアミノプロピルトリメトキシシラン、アミノブチルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、アミノブチルトリエトキシシラン、またはそれらの水性加水分解物による表面改質であり、アミノプロピルトリエトキシシランが非常に特に好ましい。
【0058】
成分B’)のアミノアルキルトリアルコキシシランは、非発泡非繊維状粉末ガラスB)を基準として、好ましくは0.01重量%〜1.5重量%の量、より好ましくは0.05重量%〜1.0重量%の量、最も好ましくは0.1重量%〜0.5重量%の量で表面コーティングに使用される。
【0059】
粉砕用の出発ガラスは、表面改質またはサイジング処理をすでに行っていてもよい。同様に、本発明により使用される非発泡非繊維状粉末ガラスは、粉砕後に表面改質またはサイジング処理を行うこともできる。
【0060】
特に、それぞれの場合で粒子表面積を基準としてd90が54μmであり、d50が14μmであり、d10が2.4μmであり、メジアン粒度が21μmであり、約0.1重量%のトリエトキシ(3−アミノプロピル)シランのサイズを含有する約0.1重量%を含有するEガラスを主成分とする非繊維状非発泡粉末ガラスであるLanxess Deutschland GmbH,CologneのMF7900を使用することができる。
【0061】
本発明により使用される非発泡非繊維状粉末ガラスは、本発明の組成物を得るためまたは本発明の組成物から成形体を得るための処理の結果として、あるいは成形体中で、最初に使用される粉砕粒子よりも小さいd90またはd50またはd10、あるいは小さいメジアン粒度を有する場合がある。
【0062】
成分C)
「http://de.wikipedia.org/wiki/Faser−Kunststoff−Verbund」によると、0.1〜1mmの範囲内の長さを有する短繊維とも呼ばれる切断繊維は、1〜50mmの範囲内の長さを有する長繊維および長さL>50mmである連続繊維とは区別される。短繊維は、射出成形技術において使用され、押出機で直接処理することができる。長繊維も同様に依然として押出機で処理することができる。これらは繊維射出成形において大規模で使用される。長繊維は、フィラーとして熱硬化性樹脂に加えられることが多い。連続繊維は、粗糸または布の形態で繊維強化プラスチック中に使用される。連続繊維を含む製品は、最高の剛性および強度値が達成される。粉砕後に通常70〜200μmの範囲内の長さを有する粉砕ガラス繊維がさらに供給されている。
【0063】
本発明によると、出発長さが1〜50mmの範囲内、より好ましくは1〜10mmの範囲内、最も好ましくは2〜7mmの範囲内であるチョップドガラス長繊維が成分C)に使用される。成分C)のガラス繊維は、成形用組成物を得るためまたは製品を得るための処理の結果として、最初に使用されるガラス繊維よりも小さいd97またはd50値を成形用組成物中または製品中で有する場合がある。したがって、処理後のガラス繊維長の算術平均は多くの場合わずか150μm〜300μmの範囲内である。
【0064】
成分C)としての使用が好ましいガラス繊維は、繊維直径が7〜18μmの範囲内、より好ましくは9〜15μmの範囲内である。成分C)のガラス繊維は、好ましい一実施形態において、好適なサイズ系または接着促進剤または接着促進剤系で改質される。シラン系サイズ系または接着促進剤を使用することが好ましい。
【0065】
前処理に特に好ましいシラン系接着促進剤は一般式(I)
(X−(CH
2)
q)
k−Si−(O−CrH
2r+1)
4−k (I)
(式中、
Xは、NH
2−、カルボキシル−、HO−、または
【化1】
であり、
qは2〜10、好ましくは3〜4の整数であり、
rは1〜5、好ましくは1〜2の整数であり、
kは1〜3の整数、好ましくは1である)
のシラン化合物である。
【0066】
特に好ましい接着促進剤は、アミノプロピルトリメトキシシラン、アミノブチルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、アミノブチルトリエトキシシラン、ならびにX置換基としてグリシジル基またはカルボキシル基、非常に特に好ましくはカルボキシル基を含有する対応するシランの群からのシラン化合物である。
【0067】
成分C)として使用されるガラス繊維の改質のためには、接着促進剤、好ましくは式(I)のシラン化合物が、それぞれの場合で100重量%の成分C)を基準として、好ましくは0.05重量%〜2重量%の量、より好ましくは0.25重量%〜1.5重量%の量、最も好ましくは0.5重量%〜1重量%の量で使用される。
【0068】
「http://www.r−g.de/wiki/Glasfasern」によると、ガラス繊維は、溶融紡糸法(ダイ延伸法、ロッド延伸法、およびダイブロー法)で製造される。ダイ延伸法では、高温のガラス塊が、重力下で白金スピナレット板中の数百のダイボアに通されて流れ出る。得られたフィラメントは制限のない長さで3〜4km/分の速度で延伸することができる。
【0069】
当業者であれば、異なる種類のガラス繊維を区別するが、例としてその一部を本明細書に列挙する:
・Eガラス、最適の費用便益比を有する最も一般に使用される材料(R&GのEガラス)
・Hガラス、軽量化のための中空ガラス繊維(R&Gの中空ガラス繊維布160g/m
2および216g/m
2)
・R、Sガラス、高い機械的要求用(R&GのS2ガラス)
・Dガラス、高い電気的要求用のホウケイ酸ガラス
・Cガラス、高い耐薬品性を有する
・石英ガラス、高い熱安定性を有する
【0070】
さらなる例は「http://de.wikipedia.org/wiki/Glasfaser」に見ることができる。Eガラス繊維は、プラスチックの強化用で最大の有効性が得られている。特に電気産業で本来使用されていたので、Eは電気ガラスを表している。Eガラスを製造するためには、純石英に石灰石、カオリン、およびホウ酸を加えることによって、ガラス溶融物が製造される。二酸化ケイ素と同様に、これらは種々の金属酸化物を異なる量で含有する。組成によって製品の性質が決定される。本発明により、Eガラス、Hガラス、R、Sガラス、Dガラス、Cガラス、および石英ガラスの群からの少なくとも1種類のガラス繊維を使用することが好ましく、Eガラスでできた繊維を使用することが特に好ましい。
【0071】
Eガラスでできたガラス繊維は最も一般に使用されている強化材料である。その強度特性は金属(たとえばアルミニウム合金)に相当し、積層体の比重量は金属よりも小さくなる。Eガラス繊維は、不燃性であり、約400℃まで耐熱性であり、ほとんどの化学物質および風化作用に対して抵抗性である。
【0072】
成分D)
成分D)として、本発明の組成物はメラミンシアヌレート[CAS No.37640−57−6]を含む。メラミンシアヌレートは、好ましくは当モル量のメラミンとシアヌル酸またはイソシアヌル酸との反応生成物を意味すると理解される。これらは、あらゆる規格および市販製品の品質を含んでいる。これらの例としては、Melapur(登録商標)MC 25およびMelapur(登録商標)MC50(BASF,Ludwigshafen,Germany製)。本発明により使用されるメラミンシアヌレートは、好ましくはメジアン粒径が0.1μm〜100μm、より好ましくは0.1μm〜30μm、最も好ましくは0.1μm〜7μmである粒子からなり、表面処理、あるいは周知の組成物によるコーティングまたはサイジング処理を行うことができる。これらは、好ましくはモノマー、オリゴマー、および/またはポリマーの形態でメラミンシアヌレートに塗布可能な有機化合物を含む。特に好ましくは、ケイ素含有化合物、特に有機官能化シラン類またはオルガノシロキサン類を主成分とするコーティング系を使用することができる。無機成分によるコーティングも可能である。
【0073】
成分E)
本発明の組成物の好ましい一実施形態において成分F)として使用される潤滑剤および/または離型剤は、好ましくは長鎖脂肪酸、特にステアリン酸またはベヘン酸、それらの塩、特にステアリン酸カルシウムまたはステアリン酸亜鉛、ならびにそれらのエステル誘導体またはアミド誘導体、特にエチレンビスステアリルアミド、モンタンワックス、ならびに低分子量ポリエチレンまたはポリプロピレンワックスである。
【0074】
本発明の状況におけるモンタンワックスは、28〜32個の炭素原子の鎖長を有する直鎖飽和カルボン酸の混合物である。本発明によると、8〜40個の炭素原子を有する飽和または不飽和脂肪族カルボン酸と、2〜40個の炭素原子を有する脂肪族飽和アルコールまたはアミンとのエステルまたはアミド、ならびに8〜40個の炭素原子を有する飽和または不飽和脂肪族カルボン酸の金属塩の群からの潤滑剤および/または離型剤を使用することが特に好ましい。エチレンビスステアリルアミド、ステアリン酸カルシウム、およびエチレングリコールジモンタネートの群からの少なくとも1種類の潤滑剤および/または離型剤を使用することが非常に特に好ましい。
【0075】
ステアリン酸カルシウム[CAS No.1592−23−0]またはエチレンビスステアリルアミド[CAS No.110−30−5]を使用することが特に好ましい。
【0076】
エチレンビスステアリルアミド(Emery OleochemicalsのLoxiol(登録商標)EBS)を使用することが非常に特に好ましい。
【0077】
成分F)
成分F)として、少なくとも1種類のレーザー吸収剤が使用される。Kunststoffe 8,2008,119−121によると、これらはレーザー光吸収剤であり、好ましくはプラスチック製品の刻印用である。成分F)として使用されるレーザー吸収剤は、好ましくは、三酸化アンチモン、酸化スズ、オルトリン酸スズ、チタン酸バリウム、酸化アルミニウム、ヒドロキシリン酸銅、オルトリン酸銅、二リン酸カリウム銅、水酸化銅、酸化アンチモンスズ、三酸化ビスマス、およびアントラキノンの群から選択される。三酸化アンチモンおよび酸化アンチモンスズが特に好ましい。三酸化アンチモンが特に非常に好ましい。
【0078】
レーザー吸収剤、特に三酸化アンチモンは、粉末として直接使用することができ、またはマスターバッチの形態で使用することができる。好ましいマスターバッチは、ポリアミドを主成分とするもの、あるいはポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン−ポリプロピレンコポリマー、無水マレイン酸グラフトポリエチレン、および/または無水マレイン酸グラフトポリプロピレンを主成分とするものであり、三酸化アンチモンマスターバッチのポリマーは個別にまたは混合物中で使用することができる。ナイロン−6系マスターバッチの形態で三酸化アンチモンを使用することが非常に特に好ましい。
【0079】
レーザー吸収剤は、個別に、または複数のレーザー吸収剤の混合物として使用することができる。
【0080】
レーザー吸収剤は、特定の波長のレーザー光を吸収することができる。実際には、この波長は157nm〜10.6μmの範囲内である。この波長のレーザーの例は国際公開第2009/003976 A1号パンフレットに記載されている。1064、532、355、および266nmの波長を実現可能なNd:YAGレーザー、およびCO
2レーザーの使用が好ましい。
【0081】
成分G)
一実施形態において、本発明の組成物は、成分G)として、メラミンシアヌレート(成分D))とともに、成分D)以外の少なくとも1種類の難燃剤、好ましくはハロゲンを含有しないおよび/またはリンを含有しない難燃剤を含むことができる。
【0082】
好ましいハロゲンを含有しないおよび/またはリンを含有しない難燃剤は、窒素含有難燃剤であり、これらは個別にまたは混合物中で使用される。
【0083】
好ましい窒素含有難燃剤は、CAS No.1078142−02−5によるトリクロロトリアジン、ピペラジン、およびモルホリンの反応生成物であり、特にMCA Technologies GmbH,Biel−Benken,SwitzerlandのMCA PPM Triazine HF、ならびにメラミンの縮合生成物、たとえばメレム、メラム、メロン、またはこの種のより高次の縮合化合物である。
【0084】
好ましい無機窒素含有化合物としてアンモニウム塩を使い得る。
【0085】
さらに、脂肪族および芳香族のスルホン酸の塩、ならびに無機難燃添加剤、たとえば水酸化アルミニウムおよび/または水酸化マグネシウム、Ca−Mg炭酸塩水和物(たとえば独国特許出願公開第A 4 236 122号明細書)を使用することもできる。
【0086】
酸素、窒素、または硫黄を含有する金属化合物、好ましくは酸化亜鉛、ホウ酸亜鉛、スズ酸亜鉛、ヒドロキシスズ酸亜鉛、硫化亜鉛、酸化モリブデン、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、窒化チタン、窒化ホウ素、窒化マグネシウム、窒化亜鉛、リン酸亜鉛、リン酸カルシウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸マグネシウム、またはそれらの混合物の群からの難燃相乗剤の有用である。
【0087】
別の一実施形態においては、成分G)として、必要である場合は、ハロゲン含有難燃剤および/またはリン含有難燃剤を使用することもできる。
【0088】
好ましいハロゲン含有難燃剤は標準的な有機ハロゲン化合物であり、より好ましくはエチレン−1,2−ビステトラブロモフタルイミド、デカブロモジフェニルエタン、テトラブロモビスフェノールAエポキシオリゴマー、テトラブロモビスフェノールAオリゴカーボネート、テトラクロロビスフェノールAオリゴカーボネート、ポリペンタブロモベンジルアクリレート、臭素化ポリスチレン、または臭素化ポリフェニレンエーテルであり、これらは単独、または相乗剤、特に三酸化アンチモンまたは五酸化アンチモンとの組み合わせで使用することができる。
【0089】
好ましいリン含有難燃剤は、赤リン、金属ホスフィン酸塩、特にホスフィン酸アルミニウムまたはホスフィン酸亜鉛、金属ホスホン酸塩、特にホスホン酸アルミニウム、ホスホン酸カルシウム、またはホスホン酸亜鉛、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン10−オキシドの誘導体(DOPO誘導体)、オリゴマーを含むレソルシノールビス(ジフェニルホスフェート)(RDP)、およびオリゴマーを含むビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)(BDP)、ならびに亜鉛ビス(ジエチルホスフィネート)、アルミニウムトリス(ジエチルホスフィネート)、リン酸メラミン、ピロリン酸メラミン、ポリリン酸メラミン、メラミンポリ(リン酸アルミニウム)、メラミンポリ(リン酸亜鉛)、またはフェノキシホスファゼンオリゴマー、およびそれらの混合物である。
【0090】
成分G)として使用されるさらなる難燃剤は、チャー形成体、より好ましくはフェノール−ホルムアルデヒド樹脂、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、またはポリエーテルケトン、ならびに滴下防止剤、特にテトラフルオロエチレンポリマーである。
【0091】
難燃剤は、純粋な形態で加えることができるし、あるいはマスターバッチまたは圧縮成形物から加えることもできる。
【0092】
成分H)
成分H)として、本発明の組成物は、成分B)およびC)以外の少なくとも1種類のさらなるフィラーまたは強化材を含む。
【0093】
この場合、2種類以上の異なるフィラーおよび/または強化材の混合物を使用することができ、好ましくはタルク、マイカ、シリケート、石英、ウォラストナイト、カオリン、非晶質シリカ、ナノスケール鉱物、より好ましくはモンモリロナイトまたはナノベーマイト、炭酸マグネシウム、チョーク、長石、硫酸バリウムを主成分とするもの、および/または炭素繊維を主成分とする繊維状フィラーおよび/または強化材を使用することもできる。タルク、マイカ、シリケート、石英、ウォラストナイト、カオリン、非晶質シリカ、炭酸マグネシウム、チョーク、長石、および/または硫酸を主成分とする無機粒子状フィラーの使用が好ましい。タルク、ウォラストナイト、および/またはカオリンを主成分とする無機粒子状フィラーの使用が特に好ましい。
【0094】
さらに、針状無機フィラーの使用も特に好ましい。針状無機フィラーは、本明細書によると、非常に明確な針状の性質を有する無機フィラーを意味するものと理解される。針状ウォラストナイトが好ましい。針状無機フィラーは、好ましくはアスペクト比が2:1〜35:1の範囲内、より好ましくは3:1〜19:1の範囲内、特に好ましくは4:1〜12:1の範囲内である。CILAS GRANULOMETERを用いて測定される針状無機フィラーのメジアン粒度は好ましくは20μm未満、より好ましくは15μm未満、特に好ましくは10μm未満である。
【0095】
成分H)として使用されるフィラーおよび/または強化材は、好ましい一実施形態において、好ましくは接着促進剤または接着促進剤系を用いて、より好ましくはシランを主成分として表面改質されている。しかし、前処理は絶対に必要というわけではない。同様に有用な接着促進剤としては、すでに前述した一般式(I)のシラン化合物が挙げられる。
【0096】
成分H)の改質のためには、シラン化合物は、表面コーティングのための無機フィラーを基準として、一般に0.05重量%〜2重量%、好ましくは0.25重量%〜1.5重量%、特に0.5重量%〜1重量%の量で使用される。
【0097】
成分H)のフィラーも、組成物を得るためまたは組成物から製品を得るための処理の結果として、あるいは製品中で、最初に使用されるフィラーよりも小さいd97またはd50を有する場合がある。
【0098】
成分K)
成分K)としての使用が好ましい添加剤は、酸化防止剤、UV安定剤、ガンマ線安定剤、加水分解安定剤、熱安定剤、帯電防止剤、乳化剤、核剤、可塑剤、加工助剤、衝撃改質剤、染料、顔料、およびエラストマー改質剤である。添加剤は単独、または混合物中、またはマスターバッチの形態で使用することができる。
【0099】
酸化防止剤としては、3,3’−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−N,N’−ヘキサメチレンジプロピオンアミド[CAS No.23128−74−7]であるLowinox(登録商標)HD 98の使用が好ましい。
【0100】
使用されるUV安定剤は、好ましくは置換レゾルシノール類、サリチレート類、ベンゾトリアゾール類、およびベンゾフェノン類である。
【0101】
使用される着色剤は、好ましくは無機顔料、特に群青、酸化鉄、硫化亜鉛またはカーボンブラック、ならびに有機顔料、好ましくはフタロシアニン類、キナクリドン類、ペリレン類、ならびに染料、好ましくはニグロシンおよびアントラキノン類である。
【0102】
使用される熱安定剤は、好ましくは、立体障害フェノール類および/またはホスフィット類、ヒドロキノン類、芳香族第2級アミン、たとえばジフェニルアミン類、置換レゾルシノール類、サリチレート類、ベンゾトリアゾール類、およびベンゾフェノン類、ならびにこれらの群の代表の種々の置換体またはそれらの混合物である。立体障害フェノール類の単独、またはホスフィット類との組み合わせでの使用が特に好ましく、N,N’−ビス[3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ヘキサメチレンジアミン(たとえばBASF SE,Ludwigshafen,GermanyのIrganox(登録商標)1098)[CAS No. 21328−74−7]の使用が非常に特に好ましい。
【0103】
使用される核剤は、好ましくはフェニルホスフィン酸ナトリウムまたはフェニルホスフィン酸カルシウム、酸化アルミニウムまたは二酸化ケイ素であり、最も好ましくはタルク[CAS No.14807−96−6]であり、この列挙は非排他的なものである。
【0104】
使用される流動助剤は、好ましくは、少なくとも1種類のα−オレフィンと、脂肪族アルコールの少なくとも1種類のメタクリル酸エステルまたはアクリル酸エステルとのコポリマーである。α−オレフィンがエテンおよび/またはプロペンから形成され、メタクリル酸エステルまたはアクリル酸エステルがアルコール成分として、6〜20個の炭素原子を有する直鎖または分岐アルキル基を含有するコポリマーが特に好ましい。アクリル酸2−エチルヘキシルが非常に特に好ましい。本発明により流動助剤として好適なコポリマーの特徴は、組成だけではなく、低分子量でもある。したがって、本発明により熱劣化から保護される組成物に好適なコポリマーは、特に、190℃および荷重2.16kgで測定されるMFI値が少なくとも100g/10分、好ましくは少なくとも150g/10分、より好ましくは少なくとも300g/10分であるコポリマーである。メルトフローインデックスMFIは、熱可塑性樹脂の溶融物の流れを特徴付ける役割を果たし、規格ISO 1133またはASTM D 1238に従う。本発明の状況におけるMFI、およびMFIに関する全ての数値は、ISO 1133に関連するものであり、これに準拠して190℃において2.16kgの試験荷重で規格の方法で測定または決定されたものである。
【0105】
成分K)としての使用が好ましい可塑剤は、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジベンジル、フタル酸ブチルベンジル、炭化水素油、またはN−(n−ブチル)ベンゼンスルホンアミドである。
【0106】
成分K)として使用されるエラストマー改質剤は、好ましくは、
K.1 5重量%〜95重量%、好ましくは30重量%〜90重量%の少なくとも1種類のビニルモノマーと、
K.2 95重量%〜5重量%、好ましくは70重量%〜10重量%の、ガラス転移温度が<10℃、好ましくは<0℃、より好ましくは<−20℃である1種類以上のグラフトベースと
の1種類以上のグラフトポリマーを含む。
【0107】
グラフトベースK.2は、一般にメジアン粒度(d50)が0.05〜10μm、好ましくは0.1〜5μm、より好ましくは0.2〜1μmである。
【0108】
K.1のモノマーは、好ましくは、
K.1.1 50重量%〜99重量%の、ビニル芳香族および/または環置換ビニル芳香族、特にスチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−クロロスチレン、および/またはメタクリル酸(C
1〜C
8)−アルキル、特にメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチルと、
K.1.2 1重量%〜50重量%の、シアン化ビニル類、特に不飽和ニトリル類、たとえばアクリロニトリルおよびメタクリロニトリル、および/または(メタ)アクリル酸(C
1〜C
8)−アルキル、特にメタクリル酸メチル、メタクリル酸グリシジル、アクリル酸n−ブチル、t−アクリル酸ブチル、および/または不飽和カルボン酸の誘導体、特に無水物およびイミド、特に無水マレイン酸およびN−フェニルマレイミドと、
の混合物である。
【0109】
好ましいモノマーK.1.1は、スチレン、α−メチルスチレン、およびメタクリル酸メチルの少なくとも1種類のモノマーから選択され;好ましいモノマーK.1.2は、アクリロニトリル、無水マレイン酸、メタクリル酸グリシジル、およびメタクリル酸メチルの少なくともの少なくとも1種類のモノマーから選択される。
【0110】
特に好ましいモノマーは、K.1.1はスチレンであり、K.1.2はアクリロニトリルである。
【0111】
エラストマー改質剤中に使用されるグラフトモノマーに好適なグラフトベースK.2は、たとえば、ジエンゴム、EPDMゴム、すなわちエチレン/プロピレン、ならびに場合によりジエン、およびアクリレートをも主成分とするゴム、ポリウレタン、シリコーン、クロロプレン、およびエチレン/酢酸ビニルゴムである。EPDMはエチレン−プロピレン−ジエンゴムを意味する。
【0112】
好ましいグラフトベースK.2は、ジエンゴム、特にブタジエン、イソプレンなどを主成分とするジエンゴム、あるいはジエンゴムの混合物、またはジエンゴムのコポリマー、またはそれらと、特にK.1.1およびK.1.2などのさらなる共重合性モノマーとの混合物であり、但し、成分K.2のガラス転移温度は<10℃、好ましくは<0℃、より好ましくは<−10℃である。
【0113】
特に好ましいグラフトベースK.2は、ABSポリマー(乳化、バルク、および懸濁ABS)であり、ここでABSはアクリロニトリル−ブタジエン−スチレンを意味し、たとえば、独国特許出願公開第A 2 035 390号明細書(=米国特許第3,644,574号明細書)、または独国特許出願公開第A 2 248 242号明細書(=英国特許第A 1 409 275号明細書)、またはUllmann,Enzyklopaedie der Technischen Chemie[工業化学百科事典],vol.19(1980),p.280以降に記載されている。グラフトベースK.2のゲル含有量は好ましくは少なくとも30重量%、より好ましくは少なくとも40重量%である(トルエン中で測定される)。
【0114】
エラストマー改質剤またはグラフトポリマーは、フリーラジカル重合によって、好ましくは乳化重合、懸濁重合、溶液重合、またはバルク重合によって、特に乳化重合またはバルク重合によって調製される。
【0115】
特に好適なグラフトゴムとしてはABSポリマーも挙げられ、これは、米国特許第4,937,285号明細書による有機ヒドロペルオキシドおよびアスコルビン酸から構成される開始剤系によるレドックス開始反応によって調製される。
【0116】
周知のように、グラフトモノマーは、グラフト反応においてグラフトベース上に必ずしも完全にグラフトするとは限らないので、本発明によると、グラフトポリマーは、グラフトベースの存在下でのグラフトモノマーの(共)重合によって得られ、ワークアップも行われる生成物を意味するとも理解される。
【0117】
同様に好適なアクリレートゴムは、グラフトベースK.2を主成分とし、これは好ましくはアクリル酸アルキルと、場合によりK.2を基準として最大40重量%の別の重合性エチレン性不飽和モノマーとのポリマーである。好ましい重合性アクリル酸エステルとしては、C
1〜C
8−アルキルエステル、好ましくはメチル、エチル、ブチル、n−オクチル、および2−エチルヘキシルエステル;ハロアルキルエステル、好ましくはハロ−C
1〜C
8−アルキルエステル、たとえばアクリル酸クロロエチル、グリシジルエステル、およびこれらのモノマーの混合物が挙げられる。アクリル酸ブチルをコアとして有しおよびメタクリル酸メチルをシェルとして有するグラフトポリマー、特にDow Corning Corporation,Midland Michigan,USAのParaloid(登録商標)EXL2300が本発明において特に好ましい。
【0118】
架橋のためには、2つ以上の重合性二重結合を有するモノマーを共重合させることができる。架橋性モノマーの好ましい例は、3〜8個の炭素原子を有する不飽和モノカルボン酸と、3〜12個の炭素原子を有する不飽和一価アルコールとのエステル、2〜4個のOH基および2〜20個の炭素原子を有する飽和ポリオールのエステル、好ましくはエチレングリコールジメタクリレート、メタクリル酸アリル;ポリ不飽和複素環式化合物、好ましくはシアヌル酸トリビニルおよびシアヌル酸トリアリル;ポリ不飽和ビニル化合物、好ましくはジ−およびトリビニルベンゼンであるが、リン酸トリアリルおよびフタル酸ジアリルも挙げられる。
【0119】
好ましい架橋性モノマーは、メタクリル酸アリル、エチレングリコールジメタクリレート、フタル酸ジアリル、および少なくとも3個のエチレン性不飽和基を有する複素環式化合物である。
【0120】
特に好ましい架橋性モノマーは、環状モノマーのシアヌル酸トリアリル、イソシアヌル酸トリアリル、トリアクリロイルヘキサヒドロ−s−トリアジン、トリアリルベンゼン類である。架橋モノマーの量は、グラフトベースK.2を基準にして好ましくは0.02重量%〜5重量%、特に0.05重量%〜2重量%である。
【0121】
少なくとも3個のエチレン性不飽和基を有する環状架橋性モノマーの場合、グラフトベースK.2の1重量%未満の量に制限すると好都合となる。
【0122】
アクリル酸エステルとともに、任意選択でグラフトベースK.2を調製する役割を果たすことができる好ましい「別の」重合性エチレン性不飽和モノマーは、アクリロニトリル、スチレン、α−メチルスチレン、アクリルアミド、ビニルC
1〜C
6−アルキルエーテル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸グリシジル、ブタジエンである。グラフトベースK.2として好ましいアクリレートゴムは、少なくとも60重量%のゲル含有量を有するエマルジョンポリマーである。
【0123】
K.2によるさらに優先的で好適なグラフトベースは、独国特許出願公開第A 3 704 657号明細書(=米国特許第4,859,740号明細書)、独国特許出願公開第A 3 704 655号明細書(=米国特許第4,861,831号明細書)、独国特許出願公開第A 3 631 540号明細書(=米国特許第4,806,593号明細書)、および独国特許出願公開第A 3 631 539号明細書(=米国特許第4,812,515号明細書)に記載されるようなグラフト活性部位を有するシリコーンゴムである。
【0124】
グラフトポリマーを主成分とするエラストマー改質剤に加えて、グラフトポリマーを主成分とせずガラス転移温度が<10℃、好ましくは<0℃、より好ましくは<−20℃であるエラストマー改質剤を使用することもできる。このようなものとして、好ましくは、ブロックコポリマー構造を有するエラストマー、およびさらに熱可塑性的に溶融可能なエラストマー、特にEPM、EPDM、および/またはSEBSゴム(EPM=エチレン−プロピレンコポリマー、EPDM=エチレン−プロピレン−ジエンゴム、およびSEBS=スチレン−エテン−ブテン−スチレンコポリマー)が挙げられる。
【0125】
本発明は、好ましくは、
A)ナイロン−6を5重量%〜92.89重量%、好ましくは20重量%〜90重量%、より好ましくは30重量%〜80重量%と、
B)レーザー回折法によって測定されるd90が5〜250μmの範囲内、好ましくは10〜150μmの範囲内、より好ましくは15〜80μmの範囲内、最も好ましくは16〜25μmの範囲内であり、長さが0.01〜0.5mmの範囲内である非繊維状非発泡粉末ガラスを5重量%〜80重量%、好ましくは10重量%〜60重量%、より好ましくは15重量%〜50重量%と、
C)出発長さが1〜50mmの範囲内、より好ましくは1〜10mmの範囲内、最も好ましくは2〜7mmの範囲内であるチョップドガラス長繊維を2重量%〜8重量%、好ましくは3重量%〜7重量%、より好ましくは4重量%〜6重量%と、
D)メラミンシアヌレートを0.1重量%〜40重量%、好ましくは1重量%〜20重量%と、
G)エチレンビスステアリルアミドを0.01重量%〜60重量%、好ましくは1重量%〜30重量%、より好ましくは5重量%〜25重量%、最も好ましくは0.01重量%〜60重量%とを含み、
但し、すべての重量パーセント値の合計が常に100となる、組成物を提供する。
【0126】
本発明は、好ましくは、
A)ナイロン−6,6を5重量%〜92.89重量%、好ましくは20重量%〜90重量%、より好ましくは30重量%〜80重量%と、
B)レーザー回折法によって測定されるd90が5〜250μmの範囲内、好ましくは10〜150μmの範囲内、より好ましくは15〜80μmの範囲内、最も好ましくは16〜25μmの範囲内であり、長さが0.01〜0.5mmの範囲内である非繊維状非発泡粉末ガラスを5重量%〜80重量%、好ましくは10重量%〜60重量%、より好ましくは15重量%〜50重量%と、
C)出発長さが1〜50mmの範囲内、より好ましくは1〜10mmの範囲内、最も好ましくは2〜7mmの範囲内であるチョップドガラス長繊維を2重量%〜8重量%、好ましくは3重量%〜7重量%、より好ましくは4重量%〜6重量%と、
D)メラミンシアヌレートを0.1重量%〜40重量%、好ましくは1重量%〜20重量%と、
G)エチレンビスステアリルアミドを0.01重量%〜60重量%、好ましくは1重量%〜30重量%、より好ましくは5重量%〜25重量%、最も好ましくは0.01重量%〜60重量%とを含み、
但し、すべての重量パーセント値の合計が常に100となる、組成物を提供する。
【0127】
本発明は、好ましくは、
A)ナイロン−6を5重量%〜92.88重量%、好ましくは20重量%〜90重量%、より好ましくは30重量%〜80重量%と、
B)レーザー回折法によって測定されるd90が5〜250μmの範囲内、好ましくは10〜150μmの範囲内、より好ましくは15〜80μmの範囲内、最も好ましくは16〜25μmの範囲内であり、長さが0.01〜0.5mmの範囲内である非繊維状非発泡粉末ガラスを5重量%〜80重量%、好ましくは10重量%〜60重量%、より好ましくは15重量%〜50重量%と、
C)出発長さが1〜50mmの範囲内、より好ましくは1〜10mmの範囲内、最も好ましくは2〜7mmの範囲内であるチョップドガラス長繊維を2重量%〜8重量%、好ましくは3重量%〜7重量%、より好ましくは4重量%〜6重量%と、
D)メラミンシアヌレートを0.1重量%〜40重量%、好ましくは1重量%〜20重量%と、
G)エチレンビスステアリルアミドを0.01重量%〜60重量%、好ましくは1重量%〜30重量%、より好ましくは5重量%〜25重量%、最も好ましくは0.01重量%〜60重量%と、
K)3,3’−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−N,N’−ヘキサメチレンジプロピオンアミドを0.01重量%〜20重量%、好ましくは0.05重量%〜10重量%、最も好ましくは0.1重量%〜5重量%とを含み、但し、すべての重量パーセント値の合計が常に100となる、組成物を提供する。
【0128】
本発明は、好ましくは
A)ナイロン−6,6を5重量%〜92.88重量%、好ましくは20重量%〜90重量%、より好ましくは30重量%〜80重量%と、
B)レーザー回折法によって測定されるd90が5〜250μmの範囲内、好ましくは10〜150μmの範囲内、より好ましくは15〜80μmの範囲内、最も好ましくは16〜25μmの範囲内であり、長さが0.01〜0.5mmの範囲内である非繊維状非発泡粉末ガラスを5重量%〜80重量%、好ましくは10重量%〜60重量%、より好ましくは15重量%〜50重量%と、
C)出発長さが1〜50mmの範囲内、より好ましくは1〜10mmの範囲内、最も好ましくは2〜7mmの範囲内であるチョップドガラス長繊維を2重量%〜8重量%、好ましくは3重量%〜7重量%、より好ましくは4重量%〜6重量%と、
D)メラミンシアヌレートを0.1重量%〜40重量%、好ましくは1重量%〜20重量%と、
G)エチレンビスステアリルアミドを0.01重量%〜60重量%、好ましくは1重量%〜30重量%、より好ましくは5重量%〜25重量%、最も好ましくは0.01重量%〜60重量%と
K)3,3’−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−N,N’−ヘキサメチレンジプロピオンアミドを0.01重量%〜20重量%、好ましくは0.05重量%〜10重量%、最も好ましくは0.1重量%〜5重量%とを含み、但し、すべての重量パーセント値の合計が常に100となる、組成物を提供する。
【0129】
方法
本発明は、さらに、GIT(ガス射出技術)、WIT(水射出技術)、およびPIT(プロジェクタイル射出技術)の特殊な方法などの射出成形法、異形押出などの押出成形法、またはブロー成形法において、本発明の組成物を使用することによる、製品、好ましくは電気部品、より好ましくは残留電流回路遮断器およびその他の回路遮断器、最も好ましくは定格電流が>16Aである回路遮断器、特に好ましくは定格電流が>32Aである回路遮断器の製造方法に関する。
【0130】
これらの製品を製造するために、本発明の組成物の個別の成分を、最初に少なくとも1つの混合装置中で混合し、次に成形用組成物の形態であるこの混合物を、少なくとも1種類の混合装置出口から直接さらなる処理のために供給するか、または後の処理作業で使用できるように、ストランドとして排出し、ペレタイザー、好ましくは回転ブレードローラーによって所望の長さのペレットに切断する。
【0131】
ほとんどの処理装置は、ペレットの形態のプラスチックを必要とするので、ペレット化は、より重要な役割を果たす。熱間切断および冷間切断との間で基本的に区別される。このため、処理により異なる粒子形態が得られる。熱間切断の場合、本発明の組成物を含むペレットはビーズまたはレンズ形で得られ、冷間切断の場合、本発明の組成物を含むペレットは、円筒形または立方体で得られる。ペレット形態の本発明の組成物は、好ましくは冷間切断によって得られる。
【0132】
当業者は、本発明により使用される組成物の成分の混合に関して最適な混合結果を得るのに適した種々の混合装置を使用してよい。本発明の場合、押出機が好ましい混合装置の1つである。好ましい押出機は、一軸スクリュー押出機または二軸スクリュー押出機、およびそれぞれの下位の群のものであり、最も好ましくは従来の一軸スクリュー押出機、移送型一軸スクリュー押出機、二重反転二軸スクリュー押出機、または共回転二軸スクリュー押出機である。これらは、Technische Thermoplaste 4.Polyamide[工業用熱可塑性樹脂、4.ポリアミド],eds.:G.W.Becker and D.Braun,Carl Hanser Verlag,1998,p.311−314、およびK.Brast,Thesis “Verarbeitung von Langfaser−verstaerkten Thermoplasten im direkten Plastifizier−/Pressverfahren”[直接ストランド堆積法を用いた長繊維強化熱可塑性樹脂の加工],Rheinisch−Westfaelische Technische Hochschule Aachen,2001,p.30−33によって当業者によく知られている。
【0133】
本発明により成形用組成物またはペレットの形態で存在する組成物は、最終的に、成形方法による、本発明の製品、好ましくは電気製品または電子製品の製造に使用される。好ましい成形方法は、射出成形または押出成形である。
【0134】
押出成形または射出成形により製品を製造する本発明の方法は、好ましくは230〜330℃の範囲内の溶融温度、より好ましくは250〜300℃の範囲内の溶融温度、好ましくはさらに2500bar以下の圧力、より好ましくは2000bar以下の圧力、最も好ましくは1500bar以下の圧力、特に好ましくは750bar以下の圧力で行われる。
【0135】
射出成形のプロセスは、加熱された円筒形の空洞内での本発明、好ましくはペレット形態である本発明により使用される組成物の溶融(可塑化)、および射出成形材料としてのその組成物を加圧下で、温度制御された空洞中に射出することを特徴とする。材料の冷却(固化)の後、射出成形体は型から取り出される。このプロセスは:
1.可塑化/溶融
2.射出段階(充填作業)
3.圧力維持段階(結晶化の過程での熱収縮のため)
4.型からの取り出し、
のステップに分割される。
【0136】
射出成形機は、クロージャーユニット、射出ユニット、駆動系、および制御系からなる。クロージャーユニットは、金型のための固定または可動プラテン、エンドプラテン、ならびに可動金型プラテン用のタイバーおよび駆動装置(トグルジョイントまたは液圧クロージャーユニット)を含む。
【0137】
射出ユニットは、電熱可能なバレル、スクリューの駆動装置(モーター、ギヤボックス)、ならびにスクリューおよび射出ユニットを移動させる液圧装置を含む。射出ユニットの役割は、本発明により使用される、特にペレットの形態である組成物を溶融させ、それを計量供給し、それを射出し、保持圧力を維持することである(収縮のため)。スクリュー内での溶融物の逆流(漏れ流れ)の問題は、逆止め弁によって解決される。
【0138】
射出金型中、流入する溶融物は次に分離し冷却され、したがって製造される部品が製造される。このため常に金型の2つの半体が必要である。射出成形においては、以下の機能システムを特徴とする:
− ランナーシステム
− 成形用インサート
− ベント
− 機械のケーシングおよび力吸収装置
− 離型システムおよび移動伝達
− 温度制御。
【0139】
GIT(ガス射出技術)、WIT(水射出技術)、およびPIT(プロジェクタイル射出技術)の特殊な射出成形方法は、中空工作物の製造に特化された射出成形方法である。標準的な射出成形との違いは、金型充填段階の最後に向かう、または注入金型の画定された部分的充填の後の特殊な作業ステップである。この方法に特異的な作業ステップでは、インジェクターからプロセス媒体をプリフォームの溶融コア中に射出して、空洞を形成する。この媒体は、GITの場合は気体、一般には窒素)であり、WITの場合は水である。PITの場合は、プロジェクタイルを溶融コア中まで進ませ、このようにして空洞を形成する。
【0140】
射出成形とは対照的に、押出成形では、本発明の組成物を含む連続成形されたポリマーストランドが押出機中で使用され、押出機は、成形された熱可塑性樹脂を製造するための機械である。以下の段階を特徴とする:
− 一軸スクリュー押出機および二軸スクリュー押出機およびそれぞれの下位の群、
− 従来の一軸スクリュー押出機、移送型一軸スクリュー押出機、
− 二重反転二軸スクリュー押出機および共回転二軸スクリュー押出機。
【0141】
本発明の状況では、異形材は、長さ全体にわたって同一の断面を有する構成要素または部品である。これらは異形押出方法で製造することができる。異形押出方法の基本的な方法ステップは:
1.熱可塑性溶融物を可塑化して押出機中に供給するステップ、
2.熱可塑性溶融物のストランドを、押出成形される異形材の断面を有するキャリブレーションスリーブから押し出すステップ、
3.キャリブレーションテーブル上で押し出された異形材を冷却するステップ、
4.取り出しシステムを使用して異形材をキャリブレーションテーブルの先まで移送するステップ、
5.前ステップで得た連続的な異形材を切断システムにおいてある長さに切断するステップ、
6.ある長さに切断された異形材を収集テーブル上に収集するステップ、
を含む。
【0142】
ナイロン−6およびナイロン−6,6の異形押出の説明は、Kunststoff−Handbuch[プラスチックハンドブック]3/4,Polyamide[ポリアミド],Carl Hanser Verlag,Munich 1998,pages 374−384に示されている。
【0143】
本発明の状況におけるブロー成形方法は、好ましくは標準的な押出ブロー成形、3D押出ブロー成形、吸引ブロー成形方法、および連続同時押出である。
【0144】
標準的な押出ブロー成形における基本的な方法ステップは、Thielen,Hartwig,Gust,“Blasformen von Kunststoffhohlkoerpern”[中空プラスチック体のブロー成形],Carl Hanser Verlag,Munich,2006,pages 15 to 17によると:
1.熱可塑性溶融物を可塑化して押出機中に供給するステップ、
2.下方向に垂直に流れる動きの溶融物の向きを変えることで、管状溶融物の「パリソン」」を形成するステップ、
3.一般に2つの半体シェルからなる金型であるブロー金型によってぶら下がったパリソンを閉じ込めるステップ、
4.ブローマンドレルまたは1つ以上のブローピンを挿入するステップ、
5.プラスチックのパリソンをブロー金型の冷却された壁に向けてブローし、そこでプラスチックは冷却され、固化し、金型の最終形状となるステップ、
6.金型を開き、ブロー成形された部品を金型から取り出すステップ、
7.ブロー成形のいずれかの端部におけるはさみ取られた「バリ」の廃棄部分を除去するステップ
である。
【0145】
さらなる後処理ステップを行うことができる。
【0146】
標準的な押出ブロー成形によって、複雑な形状および多軸曲率を有する製品の製造も可能である。しかしその場合、過剰のはさみ取られた材料を大きな比率で有し、大きな領域で溶接線を有する製品が得られる。
【0147】
したがって、3Dブロー成形とも呼ばれる3D押出ブロー成形においては、特殊な装置を使用して、物品の断面に一致する直径を有するパリソンを偏向させ操作し、次にそれを直接ブロー金型キャビティ中に送り込むことによって、溶接線が回避され、材料の使用量が減少する。したがって、残りのピンチシームは物品端部において最小限まで減少する(Thielen,Hartwig,Gust,“Blasformen von Kunststoffhohlkoerpern”,Carl Hanser Verlag,Munich 2006,pages 117−122)。
【0148】
吸引ブローとも呼ばれる吸引ブロー成形方法においては、パリソンは管状ダイヘッドから閉じたブロー金型中に直接送られ、気流によってブロー金型を介して「吸引」される。パリソンの下端がブロー金型から現れてから、閉鎖要素によって上部および底部をはさみ取り、この後にブローおよび冷却の手順を行う(Thielen,Hartwig,Gust,“Blasformen von Kunststoffhohlkoerpern”,Carl Hanser Verlag,Munich 2006,page 123)。
【0149】
使用
本出願は、GIT(ガス射出技術)、WIT(水射出技術)、およびPIT(プロジェクタイル射出技術)の特殊な方法などの射出成形法、押出成形方法、好ましくは異形押出、ブロー成形方法、より好ましくは標準的な押出ブロー成形、3D押出ブロー成形方法、または吸引ブロー成形方法における、それらより本発明の製品を製造するための、本発明の組成物の成形用組成物としての使用をも提供する。
【0150】
本発明は、製品、好ましくは電気部品、より好ましくは残留電流回路遮断器およびその他の回路遮断器、最も好ましくは定格電流が>16Aである回路遮断器、特に好ましくは定格電流が>32Aである回路遮断器を製造するための本発明の組成物の使用にも関する。
【0151】
本発明は、好ましくは、
A)ナイロン−6またはナイロン−6,6と、
B)レーザー回折法によって測定されるd90が5〜250μmの範囲内、好ましくは10〜150μmの範囲内、より好ましくは15〜80μmの範囲内、最も好ましくは16〜25μmの範囲内であり、長さが0.01〜0.5mmの範囲内である非繊維状非発泡粉末ガラスと、
C)出発長さが1〜50mmの範囲内、より好ましくは1〜10mmの範囲内、最も好ましくは2〜7mmの範囲内であるチョップドガラス長繊維と、
D)メラミンシアヌレートと
を含む組成物の使用であって、
電気または電子産業の製品、好ましくは残留電流回路遮断器およびその他の回路遮断器、より好ましくは定格電流が>16Aである回路遮断器、特に好ましくは定格電流が>32Aである回路遮断器を製造するための使用を提供する。
【0152】
本発明は、より好ましくは、
A)ナイロン−6またはナイロン−6,6を5重量%〜92.9重量%、好ましくは20重量%〜90重量%、より好ましくは30重量%〜80重量%と、
B)レーザー回折法によって測定されるd90が5〜250μmの範囲内、好ましくは10〜150μmの範囲内、より好ましくは15〜80μmの範囲内、最も好ましくは16〜25μmの範囲内であり、長さが0.01〜0.5mmの範囲内である非繊維状非発泡粉末ガラスを5重量%〜80重量%、好ましくは10重量%〜60重量%、より好ましくは15重量%〜50重量%と、
C)出発長さが1〜50mmの範囲内、より好ましくは1〜10mmの範囲内、最も好ましくは2〜7mmの範囲内であるチョップドガラス長繊維を2重量%〜8重量%、好ましくは3重量%〜7重量%、より好ましくは4重量%〜6重量%と、
D)メラミンシアヌレートを0.1重量%〜40重量%、好ましくは1重量%〜20重量%とを含み、
但し、すべての重量パーセント値の合計が常に100となる、組成物の使用であって、電気または電子産業の製品、好ましくは残留電流回路遮断器およびその他の回路遮断器、より好ましくは定格電流が>16Aである回路遮断器、特に好ましくは定格電流が>32Aである回路遮断器を製造するための使用を提供する。
【実施例】
【0153】
本発明により記載される性質の改善を示すために、対応するポリマー組成物を最初に配合することによって作製した。このため、表2による個別の成分を二軸スクリュー押出機(Coperion Werner & Pfleiderer(Stuttgart,Germany)のZSK 25 Compounder)中、240〜280℃の間の温度で混合し、ストランドとして排出し、ペレット化可能となるまで冷却し、ペレット化した。乾燥後(一般に、真空乾燥キャビネット中70℃で2日間)、ペレットを240〜280℃の範囲内の温度で加工して、それぞれの試験の標準試験体を得た。
【0154】
IEC 60695−2−12に準拠したGWFI(グローワイヤ燃焼性指数)グローワイヤ試験を使用し、直径80mmおよび厚さ0.75mmの円形ブランクを使用して、グローワイヤ安定性を測定した。
【0155】
ISO 179−1eUに準拠して、寸法80mm・10mm・4mmの新しく射出成形した試験体のシャルピー耐衝撃性を測定した。
【0156】
ISO 527−1/−2に準拠して、タイプ1Aダンベル試験体(寸法170mm・10mm・4mm)の引張強度、破断時伸び、および引張弾性率を測定した。
【0157】
ISO 75−1,−2に準拠し、1.8MPa(HDT−A)の負荷曲げ応力で、寸法80mm・10mm・4mmの試験耐を使用して、加熱ひずみ抵抗性を測定した。
【0158】
それぞれの場合でISO 294−4に準拠し、寸法60mm・60mm・2mmの試験体を260℃の溶融温度および80℃の金型温度で、保持圧力600barにおいて、射出方向に対して平行または横断方向で加工中の収縮を測定した。
【0159】
続いて、等方性の尺度の1つとして、射出方向に対して平行での加工中の収縮と、射出方向を横断する方向での加工中の収縮との商としてそりを計算した。このように計算される等方性が0.8を超える値は、低そり材料を示している。
【0160】
たとえば、30重量%のガラス繊維を有する市販のナイロン−6は、加工中に0.3%/0.7%[平行/横断]の収縮を示し、次にこれは前述の式によるとわずか0.4の等方性値となり、したがって激しいそりを意味している。
【0161】
粉末ガラス粒子(成分B))の粒度は、Ankersmid Ltd,Oosterhout,The Netherlandsのレーザー光学法(「Eye Tech」)により「ACM−104 Liquid Flow(4×4mm)」タイプのセル中で測定した。測定時間は約900秒であった。この評価はガラス粒子の表面積と関連する。
【0162】
実験では以下のものを使用した:
成分A):ナイロン−6(Durethan(登録商標)B26、Lanxess Deutschland GmbH,Cologne,Germany製)[CAS No. 25038−54−4]
成分B):Lanxess Deutschland GmbH,Cologne,GermanyのMF7900[Eガラスを主成分とし、約0.1重量%のトリエトキシ(3−アミノプロピル)シランサイズB’)を含有する非繊維状非発泡粉末ガラス、それぞれの場合で粒子表面積を基準としてd90は54μm、d50は14μm、d10は2.4μm、メジアン粒度は21μmである]。
成分C):Lanxess Deutschland GmbH,Cologne,GermanyのCS 7997チョップドガラス繊維[メジアン繊維直径10μm、メジアン繊維長さ4.5mm、Eガラス]
成分D):メラミンシアヌレート[CAS No.37640−57−6](Melapur(登録商標)MC25、BASF,Ludwigshafen,Germany製)
成分G):Emery OleochemicalsのLoxiol(登録商標)EBSの形態のエチレンビスステアリルアミド[CAS No.110−30−5]
成分K):Lowinox(登録商標)HD 98−50 D− TDS、3,3’−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−N,N’−ヘキサメチレンジプロピオンアミド[CAS No.23128−74−7]
【0163】
【表2】
【0164】
表2の例は、本発明の実施例1および2が、厚さがわずか0.75mmの試験体の場合でさえグローワイヤ試験において960℃の最高温度が実現され、同時に0.8を超える等方性でそりの傾向が非常に低いのにもかかわらず、HDT Aによる耐熱性が130℃を超えたことを示している。