(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記仮連結工程では、前記先行管体の後端部に、前記後行管体の前端部を内挿することで、前記先行管体の後端部と、前記後行管体の前端部とを、互いに重なり合わせて、前記後行管体の内側から、板厚方向に貫通させて前記ピン部材を設けることで、仮連結すること
を特徴とする請求項1又は2に記載のパイプルーフ工法。
前記仮連結工程では、前記先行管体の後端部と、前記後行管体の前端部とを、互いに重なり合わせて、前記先行管体又は前記後行管体の内側から、前記先行管体又は前記後行管体の内面に沿って当接面を湾曲させたワッシャを挟んで、板厚方向に貫通させて前記ピン部材を設けることで、仮連結すること
を特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のパイプルーフ工法。
前記本連結工程では、前記先行管体の後端部の接合面と、前記後行管体の前端部の接合面とを、前記先行管体又は前記後行管体の内側から、完全溶込み溶接で接合して本連結すること
を特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載のパイプルーフ工法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されたパイプルーフ工法は、特に、連結鋼管の前方にフード刃口をセットしてから、フード刃口で掘削した土砂をベルトコンベアで排出して、その空隙分に対して連結鋼管を推進ジャッキで推進させるものであり、連結鋼管の推進方向で適宜長を確保するために、溶接又はボルト接合等で連結鋼管を継ぎ足すものとされている。
【0006】
しかし、特許文献1に開示されたパイプルーフ工法は、連結鋼管の推進方向で適宜長を確保するために、溶接で連結鋼管を継ぎ足すものとすると、鋼管を継ぎ足すための1箇所あたりの溶接作業において、通常、5時間〜6時間以上の作業時間が必要となる。このとき、特許文献1に開示されたパイプルーフ工法は、連結鋼管を継ぎ足すときの溶接作業毎に5時間〜6時間以上、推進ジャッキによる連結鋼管の推進を停止させる必要があり、パイプルーフ工法の工期短縮が困難なものとなるという問題点があった。
【0007】
また、特許文献1に開示されたパイプルーフ工法は、ボルト接合で連結鋼管を継ぎ足すものとすると、連結鋼管を継ぎ足すときの溶接作業を必要としないため、推進ジャッキによる連結鋼管の推進を停止させる必要がなくなり、パイプルーフ工法の工期短縮を図ることができる。しかし、このとき、特許文献1に開示されたパイプルーフ工法は、ボルトによる機械式継手のため鋼管同士の連結にわずかなクリアランスを必要とするとともに、ボルトが挿通される孔部にボルトを挿通するための隙間を確保することが必要となるため、鋼管同士の連結箇所及びボルト接合箇所で連結鋼管が上載加重により撓み易くなる。そのため、連結鋼管の設置後に連結鋼管の下方を掘削して、連結鋼管に土荷重や地上物の上載荷重が加わると、連結鋼管の変形量が大きくなるという問題点があった。
【0008】
そこで、本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、パイプルーフ工法の工期短縮を実現するとともに、埋設された管体の変形量の増大を抑制することのできるパイプルーフ工法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1発明に係るパイプルーフ工法は、複数の管体を横方向に推進させて埋設するためのパイプルーフ工法であって、推進方向の前方側に埋設される先行管体と、推進方向の後方側に埋設される後行管体とを、仮連結して地中に推進させる仮連結工程と、仮連結された前記先行管体と前記後行管体とを地中に埋設された状態で本連結する本連結工程とを備え、前記仮連結工程では、前記先行管体の一部を地中に推進させた後に、
前記先行管体及び前記後行管体の管周方向で、前記先行管体及び前記後行管体の上端及び下端から離間させた位置にのみ、板厚方向に貫通させるピン部材を設けることで、前記先行管体の後端部と、前記後行管体の前端部とを、
前記ピン部材で接合して仮連結するとともに、前記本連結工程では、前記先行管体と前記後行管体とを、仮連結したまま地中に推進させた後に、前記先行管体の後端部と、前記後行管体の前端部とを、溶接で接合して本連結することを特徴とする。
【0010】
第2発明に係るパイプルーフ工法は、第1発明において、前記仮連結工程では、前記先行管体の後端部と、前記後行管体の前端部とを、互いに重なり合わせて、板厚方向に貫通させて前記ピン部材を設けることで、仮連結することを特徴とする。
【0011】
第3発明に係るパイプルーフ工法は、第1発明又は第2発明において、前記仮連結工程では、前記先行管体の後端部に、前記後行管体の前端部を内挿することで、前記先行管体の後端部と、前記後行管体の前端部とを、互いに重なり合わせて、前記後行管体の内側から、板厚方向に貫通させて前記ピン部材を設けることで、仮連結することを特徴とする。
【0012】
第4発明に係るパイプルーフ工法は、第1発明〜第3発明の何れかにおいて、前記仮連結工程では、前記先行管体の後端部と、前記後行管体の前端部とを、互いに重なり合わせて、前記先行管体又は前記後行管体の内側から、前記先行管体又は前記後行管体の内面に沿って当接面を湾曲させたワッシャを挟んで、板厚方向に貫通させて前記ピン部材を設けることで、仮連結することを特徴とする。
【0014】
第
5発明に係るパイプルーフ工法は、第1発明〜第
4発明の何れかにおいて、前記本連結工程では、前記先行管体の後端部の接合面と、前記後行管体の前端部の接合面とを、前記先行管体又は前記後行管体の内側から、完全溶込み溶接で接合して本連結することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
第1発明〜第6発明によれば、先行管体と後行管体とを、仮連結したまま地中に推進させた後に、仮連結した連結管体に隣接させた箇所で掘削機による掘削を開始してから、地中に埋設した状態で仮連結した連結管体が本連結されるため、仮連結した連結管体に隣接させた箇所での掘削作業と並行させて、先行管体と後行管体とを仮連結した箇所での溶接作業を実施することができ、先行管体及び後行管体の推進作業を、溶接作業のために中断させないものとして、パイプルーフ工法の工期を著しく短縮させることが可能となる。
【0016】
第1発明〜第6発明によれば、先行管体と後行管体とを、ピン部材で接合して仮連結するものとしても、推進段階においては、推進方向の引張力又は圧縮力に十分に抵抗することができるものとなり、また、推進完了後に、先行管体と後行管体とを溶接で接合して本連結して埋設完了とすることで、曲げ力に十分に抵抗することができるものとなり、先行管体と後行管体とを本連結した箇所での撓みによる高さ方向の変形量が、管体自体の変形量と同等のものとなるため、上方の地中埋設物への影響をほとんど与えることなく、また、地盤面の道路が陥没等することを防止することが可能となる。
【0017】
特に、第3発明によれば、先行管体の後端部に設けられた雌継手に、後行管体の前端部に設けられた雄継手が内挿されるため、先行管体の後端部に後行管体の前端部を接合する前の段階で、先行管体の後端部に土砂が落下したとしても、雌継手の外側に砂粒等が落下するのみで、雌側突出部と雄側突出部との間に砂粒等が入り込むことを防止することができるため、雌継手と雄継手との接合作業を円滑に実施することが可能となる。
【0018】
特に、第4発明によれば、先行管体又は後行管体の内面とワッシャの当接面とが面接触するとともに、ピン部材の拡径部とワッシャの係止面とが面接触するものとなり、先行管体又は後行管体の内側からピン部材が設けられるものの、引張力又は圧縮力が作用する推進方向で、ピン部材の推進方向のガタツキを防止して、ピン部材での仮連結の安定性を向上させることが可能となる。
【0019】
特に、第5発明によれば、先行管体及び後行管体の管周方向で、先行管体及び後行管体の上端及び下端から離間させた位置にピン部材を設けることで、雌側挿通孔及び雄側挿通孔による断面欠損が生じるものの、曲げ力による引張応力及び圧縮応力が、高さ方向の上端及び下端に集中するため、引張応力及び圧縮応力が集中する箇所に断面欠損が生じないものとなり、先行管体及び後行管体の変形量の増大を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明を適用したパイプルーフ工法が用いられる横坑を示す斜視図である。
【
図2】本発明を適用したパイプルーフ工法が用いられる横坑を示す側面図である。
【
図3】本発明を適用したパイプルーフ工法が用いられる横坑を示す正面図である。
【
図4】本発明を適用したパイプルーフ工法で用いられる管体連結構造を示す側面図である。
【
図5】本発明を適用したパイプルーフ工法で用いられる管体連結構造を示す正面図である。
【
図6】本発明を適用したパイプルーフ工法で用いられる管体連結構造を示す拡大側面図である。
【
図7】本発明を適用したパイプルーフ工法で用いられる管体連結構造を示す拡大正面図である。
【
図8】本発明を適用したパイプルーフ工法で立坑に設置された推進機及び掘削機を示す側面図である。
【
図9】本発明を適用したパイプルーフ工法で地中から露出させた第1管体の後端部を示す側面図である。
【
図10】本発明を適用したパイプルーフ工法の仮連結工程で先行管体の後端部に内挿される後行管体の前端部を示す拡大側面図である。
【
図11】本発明を適用したパイプルーフ工法の仮連結工程でピン部材により接合されて仮連結の途中である先行管体の後端部及び後行管体の前端部を示す拡大側面図である。
【
図12】本発明を適用したパイプルーフ工法で地中に推進させる第1管体及び第2管体を示す側面図である。
【
図13】本発明を適用したパイプルーフ工法で地中から露出させた第2管体の後端部を示す側面図である。
【
図14】本発明を適用したパイプルーフ工法で地中に埋設された第1管体、第2管体及び第3管体を示す側面図である。
【
図15】本発明を適用したパイプルーフ工法で仮連結した連結管体に隣接させた箇所に移動させた推進機及び掘削機を示す正面図である。
【
図16】本発明を適用したパイプルーフ工法で仮連結した連結管体の内部に入って溶接作業を開始する作業員を示す側面図である。
【
図17】本発明を適用したパイプルーフ工法の本連結工程で完全溶込み溶接により接合されて本連結された先行管体の後端部及び後行管体の前端部を示す拡大側面図である。
【
図18】(a)は、本発明を適用したパイプルーフ工法の仮連結工程で作用する土圧を示す正面図であり、(b)は、本連結工程で作用する土圧を示す正面図である。
【
図19】(a)は、本発明を適用したパイプルーフ工法の仮連結工程で作用する引張力又は圧縮力を示す側面図であり、(b)は、本連結工程の後、連結管体の下方の土の掘削をした際に作用する曲げ力を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を適用したパイプルーフ工法を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0022】
本発明を適用したパイプルーフ工法は、
図1に示すように、トンネル等の横坑8を構築するために用いられる。本発明を適用したパイプルーフ工法は、複数の鋼管等の管体7を、横方向となる推進方向Xに推進させて、地中80に埋設するために用いられる。
【0023】
横坑8は、複数の管体7が地中80に埋設されて、複数の管体7を土留めとして地盤の崩落を防止しながら、複数の管体7より高さ方向Yの下方で地中80を掘削することで、横坑8の出入口となる開口部8aが形成されて、地中80に構築されるものとなる。
【0024】
横坑8は、例えば、複数の管体7より高さ方向Yの上方で、複数の管体7に近接させて地中80の浅層に水道管81等が埋設されるとともに、地中80の浅層に埋設された水道管81等の上方で、水道管81等に近接させて地盤面に道路82等が敷設される。
【0025】
本発明を適用したパイプルーフ工法は、
図2に示すように、横坑8が構築される延長方向を横方向として、複数の管体7を順次側方から横方向に推進させて地中80に埋設する。本発明を適用したパイプルーフ工法は、各々の管体7を推進させる方向が推進方向Xとなり、複数の管体7を推進方向Xで互いに連結させた連結管体70が、地中80に埋設されるものとなる。
【0026】
本発明を適用したパイプルーフ工法は、
図3に示すように、横坑8に形成予定の開口部8aの上方に、横坑8の開口部8aに沿って、複数の連結管体70を幅方向Zに並べて地中80に埋設する。本発明を適用したパイプルーフ工法は、複数の連結管体70をジャンクション75で互いに連結させることで、複数の連結管体70が幅方向Zに隣接させて設けられる。
【0027】
本発明を適用したパイプルーフ工法は、横坑8の開口部8aが略矩形状に形成される場合に、複数の連結管体70が幅方向Zで略一直線状に並べられる。本発明を適用したパイプルーフ工法は、これに限らず、横坑8の開口部8aが略半円形状等に形成される場合に、複数の連結管体70が幅方向Zで略アーチ状に並べられてもよい。
【0028】
本発明を適用したパイプルーフ工法で用いられる管体連結構造1は、
図4に示すように、複数の鋼管等の管体7を横方向に推進させて埋設するためのものであり、推進方向Xの前方側に埋設される先行管体2と、先行管体2に連結されて推進方向Xの後方側に埋設される後行管体3とを備える。
【0029】
先行管体2は、例えば、断面略円形状に形成されて、内径を800mm〜1500mm程度、推進方向Xの延長を3m〜6m程度、板厚を8mm〜20mm程度とした鋼管が用いられる。先行管体2は、推進方向Xの後端部2aに、断面略円形状に形成された鋼製等の雌継手4が設けられる。
【0030】
後行管体3は、例えば、断面略円形状に形成されて、内径を800mm〜1500mm程度、推進方向Xの延長を3m〜6m程度、板厚を8mm〜20mm程度とした鋼管が用いられる。後行管体3は、推進方向Xの前端部3aに、断面略円形状に形成された鋼製等の雄継手5が設けられる。
【0031】
先行管体2及び後行管体3は、先行管体2の後端部2aの雌継手4と、後行管体3の前端部3aの雄継手5とを接合させることで、推進方向Xで互いに連結される。先行管体2及び後行管体3は、これに限らず、先行管体2の後端部2aに、雄継手5が設けられるとともに、後行管体3の前端部3aに、雌継手4が設けられて、推進方向Xで互いに連結されてもよい。
【0032】
雌継手4及び雄継手5は、雄継手5の外径を雌継手4の内径より小さくすることで、雄継手5が雌継手4に内挿される。雌継手4及び雄継手5は、雌継手4を板厚方向に貫通させて形成された雌側挿通孔40と、雄継手5を板厚方向に貫通させて形成された雄側挿通孔50とが、雌継手4に雄継手5を内挿させたときに、互いに略同一の位置に重なって配置される。
【0033】
雌継手4及び雄継手5は、雌継手4に雄継手5を内挿することで、先行管体2の後端部2aに、後行管体3の前端部3aが内挿されるものとなる。雌継手4及び雄継手5は、先行管体2の後端部2aに、後行管体3の前端部3aが内挿されることで、先行管体2の後端部2aと、後行管体3の前端部3aとを、板厚方向で互いに重なり合わせるものとなる。
【0034】
雌継手4及び雄継手5は、先行管体2の後端部2aに、後行管体3の前端部3aを内挿することで、雌側挿通孔40と雄側挿通孔50とが互いに略同一の位置に配置されて、雌側挿通孔40及び雄側挿通孔50にピン部材6が挿通される。雌継手4及び雄継手5は、略円柱形状等に形成されたピン部材6が、雌側挿通孔40と雄側挿通孔50とに連続させて挿通される。
【0035】
ピン部材6は、
図5に示すように、先行管体2の後端部2aと、後行管体3の前端部3aとを、互いに重なり合わせて、板厚方向に貫通させて設けられる。ピン部材6は、例えば、先行管体2及び後行管体3の管周方向Wで、12箇所程度に分散させて設けられる。
【0036】
ピン部材6は、先行管体2及び後行管体3の管周方向Wで、特に、先行管体2及び後行管体3の高さ方向Yの中立軸Cに寄せて配置されることで、先行管体2及び後行管体3の上端Y1及び下端Y2から、高さ方向Yに離間させて中立軸Cに寄せた位置に設けられる。
【0037】
雌継手4は、
図6に示すように、先行管体2の管内部に向けて内側Aに突出した雌側取付部41と、推進方向Xの後方側に向けて突出した雌側突出部42とを有する。雌継手4は、雌側取付部41が先行管体2の後端部2aに溶接等で接合されることで、先行管体2の後端部2aに設けられるものとなる。
【0038】
雌継手4は、雌側取付部41から連続して雌側突出部42が設けられるとともに、板厚方向に貫通する雌側挿通孔40が雌側突出部42に形成される。雌継手4は、先行管体2の後端部2aの接合面20として、板厚方向に傾斜した雌側開先面4aが、雌側取付部41の推進方向Xの後方側に形成される。
【0039】
雌継手4は、雌側突出部42の推進方向Xの後方側に、板厚方向に傾斜した面取り42aが形成される。雌継手4は、雌側突出部42の外側Bに、ピン部材6を固定するための係止部材60が取り付けられる。雌継手4は、雌側突出部42の外側Bから、係止部材60が部分的に埋め込まれて、雌側突出部42に係止部材60が溶接等で接合される。
【0040】
係止部材60は、例えば、略円形状等に形成されるものであり、ネジ切りされた螺合孔60aが、略中央に貫通させて形成される。係止部材60は、雌側突出部42と係止部材60とが溶接等で接合されることで、係止部材60の外周を取り囲んで溶接金属Kが設けられて、雌側突出部42と係止部材60の外周との隙間からの浸水が、溶接金属Kで遮断される。
【0041】
雄継手5は、後行管体3の管内部に向けて内側Aに突出した雄側取付部51と、推進方向Xの前方側に向けて突出した雄側突出部52とを有する。雄継手5は、雄側突出部52の外径を雌側突出部42の内径より小さくして形成されて、雄側取付部51が後行管体3の前端部3aに溶接等で接合されることで、後行管体3の前端部3aに設けられるものとなる。
【0042】
雄継手5は、雄側取付部51から連続して雄側突出部52が設けられるとともに、板厚方向に貫通する雄側挿通孔50が雄側突出部52に形成される。雄継手5は、後行管体3の前端部3aの接合面30として、板厚方向に傾斜した雄側開先面5aが、雄側突出部52の推進方向Xの前方側に形成される。
【0043】
ピン部材6は、
図7に示すように、先行管体2と後行管体3とを仮連結させるときに、先行管体2又は後行管体3の内側Aから、雌側挿通孔40及び雄側挿通孔50に挿通される。ピン部材6は、これに限らず、雄側突出部52の内側Aに係止部材60を取り付けて、先行管体2又は後行管体3の外側Bから、雌側挿通孔40及び雄側挿通孔50に挿通されてもよい。
【0044】
ピン部材6は、雌側挿通孔40及び雄側挿通孔50に挿通される軸芯部6aと、雄側突出部52に係止される拡径部6bとを有する。ピン部材6は、雌側挿通孔40及び雄側挿通孔50より小さい外径で軸芯部6aが形成されるとともに、雌側挿通孔40及び雄側挿通孔50より大きい外径で拡径部6bが形成される。
【0045】
ピン部材6は、ネジ切りさせることなく貫通させた貫通孔6cが略中央に形成される。ピン部材6は、ボルト等の締結部材61が貫通孔6cに挿通されて、係止部材60の螺合孔60aに締結部材61の先端が螺合されることで、雌側挿通孔40と雄側挿通孔50とに連続させて挿通された軸芯部6aが、係止部材60と拡径部6bとに挟み込まれて固定される。
【0046】
ピン部材6は、先行管体2又は後行管体3の内側Aで、略矩形状等のワッシャ62を拡径部6bで挟んで設けられる。ワッシャ62は、ピン部材6の軸芯部6aを挿通するための挿通孔が形成されて、後行管体3の雄継手5の内面に当接される当接面62aと、ピン部材6の拡径部6bが係止される係止面62bとを有する。
【0047】
ワッシャ62は、後行管体3の雄継手5の内面に沿って、後行管体3の内面と略同一の曲率で、後行管体3の内面と面接触するものとなるように、当接面62aが湾曲させて形成される。ワッシャ62は、ピン部材6の拡径部6bと面接触するものとなるように、係止面62bが略平坦状に形成される。
【0048】
なお、先行管体2の後端部2aに後行管体3の前端部3aが内挿されるときには、後行管体3の内側Aから、後行管体3の内面に沿って当接面62aを湾曲させたワッシャ62が、ピン部材6で挟まれるが、後行管体3の前端部3aに先行管体2の後端部2aが内挿されるときには、先行管体2の内側Aから、先行管体2の内面に沿って当接面62aを湾曲させたワッシャ62が、ピン部材6で挟まれるものとなる。
【0049】
管体連結構造1は、
図6に示すように、先行管体2の後端部2aと、後行管体3の前端部3aとが、ピン部材6による接合で仮連結される。管体連結構造1は、先行管体2と後行管体3とを本連結させるときに、先行管体2の後端部2aの接合面20と、後行管体3の前端部3aの接合面30とが、溶接による接合で本連結される。
【0050】
本発明を適用したパイプルーフ工法は、
図8〜
図17に示すように、推進方向Xの前方側に埋設される先行管体2と、推進方向Xの後方側に埋設される後行管体3とを、仮連結して地中80に推進させる仮連結工程と、仮連結された先行管体2と後行管体3とを地中80に埋設された状態で本連結する本連結工程とを備える。
【0051】
本発明を適用したパイプルーフ工法は、先行管体2と後行管体3とを、仮連結して地中80に推進させた後に、地中80に埋設された状態で本連結することで、1箇の連結管体70が地中80に埋設されるものとなり、仮連結工程と本連結工程とを繰り返して実施することで、複数の連結管体70が、幅方向Zで互いに隣接させて地中80に埋設されるものとなる。
【0052】
本発明を適用したパイプルーフ工法は、例えば、第1管体71、第2管体72及び第3管体73を連結して1箇の連結管体70とするときに、第1管体71を先行管体2、第2管体72を後行管体3として連結する箇所と、第2管体72を先行管体2、第3管体73を後行管体3として連結する箇所とを備える。
【0053】
本発明を適用したパイプルーフ工法は、最初に、
図8に示すように、横坑8の入口側と出口側の各々に、立坑83を形成して、油圧ジャッキ等の推進機84と、推進方向Xの先端に掘削ビット等が設けられた掘削機85を内装した第1管体71を、入口側の立坑83に設置する。
【0054】
本発明を適用したパイプルーフ工法は、次に、掘削機85が内装された第1管体71を推進機84に接続して、入口側の立坑83から、掘削機85で地中80を掘削しながら、掘削機85を横方向に向けて推進機84で押し込んで、掘削機85が内装された第1管体71を推進方向Xで所定の距離まで地中80に推進させる。
【0055】
本発明を適用したパイプルーフ工法は、次に、
図9に示すように、第1管体71を所定の距離まで推進させた後に、第1管体71を先行管体2として、例えば、先行管体2の過半以上の延長を地中80に埋め込んで、先行管体2の後端部2aを地中80から露出させる。
【0056】
仮連結工程では、最初に、先行管体2の過半以上の延長を地中80に埋め込み、先行管体2の一部を地中80に推進させた後に、先行管体2の後端部2aを地中80から露出させたまま、推進機84と第1管体71との接続を解除する。
【0057】
仮連結工程では、次に、第2管体72を後行管体3として、推進機84と第1管体71との間に第2管体72を設置して、先行管体2となる第1管体71の後端部2aと、後行管体3となる第2管体72の前端部3aとを、推進方向Xで互いに対向させて配置する。
【0058】
仮連結工程では、次に、
図10に示すように、先行管体2の後端部2aに設けられた雌継手4に、後行管体3の前端部3aに設けられた雄継手5を内挿することで、先行管体2の後端部2aと、後行管体3の前端部3aとを、板厚方向で互いに重なり合わせたものとする。
【0059】
仮連結工程では、最後に、
図11に示すように、ワッシャ62を挟み込みながら、後行管体3の内側Aから、板厚方向に貫通させてピン部材6を設けることで、先行管体2の後端部2aと、後行管体3の前端部3aとを、ピン部材6で接合して仮連結するものとなる。
【0060】
このとき、仮連結工程では、雌側突出部42の面取り42aと雄側突出部52との間にゴム製等のパッキン63が設けられるため、雌側突出部42と雄側突出部52との隙間からの浸水がパッキン63で遮断される。
【0061】
また、仮連結工程では、シールテープ等を巻き付けた締結部材61の先端が係止部材60の螺合孔60aに螺合されるため、係止部材60の螺合孔60aと締結部材61との隙間からの浸水がシールテープ等で遮断される。
【0062】
本発明を適用したパイプルーフ工法は、次に、
図12に示すように、推進機84と第1管体71との間に設置された第2管体72を推進機84に接続して、第2管体72を推進機84で押し込んで、第2管体72を所定の距離まで地中80に推進させる。
【0063】
本発明を適用したパイプルーフ工法は、さらに、
図13に示すように、第2管体72を先行管体2として、先行管体2の一部を地中80に推進させた後に、推進機84と第2管体72との間に第3管体73を設置することで、第3管体73を後行管体3として、
図11に示すように、先行管体2となる第2管体72の後端部2aと、後行管体3となる第2管体72の前端部3aとを、ピン部材6で接合して仮連結するものとなる。
【0064】
本発明を適用したパイプルーフ工法は、
図14に示すように、第1管体71、第2管体72及び第3管体73を仮連結させて地中80に推進させることで、第1管体71、第2管体72及び第3管体73が、仮連結した1箇の連結管体70として地中80に設置される。
【0065】
本発明を適用したパイプルーフ工法は、次に、仮連結した連結管体70の内部から、掘削機85を引き抜いて、
図15に示すように、推進機84及び掘削機85を幅方向Zに移動させることで、仮連結した1箇の連結管体70に幅方向Zで隣接させた箇所で、次の連結管体70を地中80に設置するために、
図8〜
図14に示す工程が繰り返される。
【0066】
本発明を適用したパイプルーフ工法は、先行管体2と後行管体3とを、仮連結したまま地中80に推進させた後に、任意のタイミングで、本連結して地中80に埋設した状態が完了する。本発明を適用したパイプルーフ工法は、例えば、仮連結した連結管体70に隣接させた箇所で、掘削機85による掘削を開始してから、仮連結した連結管体70を本連結して地中80に埋設した状態が完了する。
【0067】
本連結工程では、
図16に示すように、最初に、先行管体2と後行管体3とを、仮連結したまま地中80に推進させた後に、仮連結した連結管体70の内部に作業員が入って、第1管体71と第2管体72とを仮連結した箇所、及び、第2管体72と第3管体73とを仮連結した箇所で、作業員が溶接作業を開始する。
【0068】
本連結工程では、
図17に示すように、次に、雌継手4の雌側開先面4aと雄継手5の雄側開先面5aとを対向させて溶接金属Kを設けることで、先行管体2の後端部2aの接合面20と、後行管体3の前端部3aの接合面30とを、後行管体3の内側Aから、完全溶込み溶接で接合して本連結する。
【0069】
本発明を適用したパイプルーフ工法は、次に、
図1に示すように、仮連結工程を経て仮連結されて地中80に設置された複数の連結管体70の全てを、本連結工程を経て本連結して地中80に埋設した状態が完了して、必要に応じて、複数の連結管体70の内部にコンクリートを充填して硬化させる。
【0070】
本発明を適用したパイプルーフ工法は、最後に、本連結して地中80への埋設が完了した複数の連結管体70で、浅層埋設された水道管81等、地盤面に敷設された道路82等、及び、土圧等の上載荷重が負荷されることによる地盤の崩落を防止しながら、複数の連結管体70より下方に支保工を設置して地中80を掘削することで、横坑8が構築されるものとなる。
【0071】
このとき、管体連結構造1は、先行管体2の一部を地中80に推進させた後に、
図9、
図11に示すように、先行管体2の後端部2aと、後行管体3の前端部3aとが、ピン部材6による接合で仮連結されるとともに、
図16、
図17に示すように、先行管体2と後行管体3とを、仮連結させたまま地中80に推進させた後に、先行管体2の後端部2aと、後行管体3の前端部3aとが、溶接による接合で本連結されるものとなる。
【0072】
本発明を適用したパイプルーフ工法は、
図18に示すように、先行管体2と後行管体3とを地中80に推進させる推進段階と、先行管体2と後行管体3とを本連結した後、地中80を掘削して横坑8を設けた埋設完了後とで、先行管体2及び後行管体3に作用する土圧Eの状態が異なるものとなる。
【0073】
推進段階では、
図18(a)に示すように、先行管体2及び後行管体3の周囲に地中80の土砂が存在することで、先行管体2及び後行管体3に対して、管周方向Wで略均等に土圧Eが作用するものとなり、先行管体2及び後行管体3に対する高さ方向Yの外力が均衡する。
【0074】
このため、推進段階では、
図19(a)に示すように、先行管体2の後端部2aと後行管体3の前端部3aとの接合箇所で、主に、推進方向Xの引張力T又は圧縮力Pに対する抵抗のみが要求されるため、先行管体2と後行管体3とをピン部材6で接合して仮連結するものとしても、推進方向Xの引張力T又は圧縮力Pに十分に抵抗することができる。
【0075】
これに対して、埋設完了後では、
図18(b)に示すように、地中80に埋設された先行管体2及び後行管体3の下方が掘削されることで、先行管体2及び後行管体3の下方に土砂が存在しないものとなり、先行管体2及び後行管体3に対して、高さ方向Yの上方のみから集中的に土圧Eが作用する。
【0076】
このため、埋設完了後では、
図19(b)に示すように、先行管体2の後端部2aと後行管体3の前端部3aとの接合箇所で、主に、高さ方向Yの上方から下方に向けて、所定の曲げ力Mが作用するものとなるが、先行管体2と後行管体3とが溶接による接合で本連結されることで、高さ方向Yの曲げ力Mに十分に抵抗することができる。
【0077】
本発明を適用したパイプルーフ工法は、
図14に示すように、先行管体2と後行管体3とを、仮連結したまま地中80に推進させた後に、
図15に示すように、推進機84及び掘削機85を幅方向Zに移動させて、仮連結した連結管体70に隣接させた箇所で、掘削機85による掘削を開始してから、仮連結した連結管体70が地中80に埋設された状態で本連結される。
【0078】
これにより、本発明を適用したパイプルーフ工法は、仮連結した連結管体70に隣接させた箇所での掘削作業と並行させて、先行管体2と後行管体3とを仮連結した箇所での溶接作業を実施することができるため、先行管体2及び後行管体3の推進作業を、溶接作業のために中断させないものとして、パイプルーフ工法の工期を著しく短縮させることが可能となる。
【0079】
これに対して、従来のパイプルーフ工法は、先行させて埋め込まれる先行鋼管を所定の距離まで推進させてから、推進ジャッキによる先行鋼管の推進を停止させて、5時間〜6時間以上もの時間をかけて、先行鋼管と後行鋼管とを溶接させる必要があるものとなり、先行鋼管及び後行鋼管の推進作業が、溶接作業毎に5時間〜6時間以上中断されるため、パイプルーフ工法の工期の短縮が困難なものとなる。
【0080】
また、従来のパイプルーフ工法は、パイプルーフ工法の工期短縮を図るために、先行鋼管と後行鋼管とをボルト接合で連結させるものとすると、ボルトによる機械式継手のため鋼管同士の連結にわずかなクリアランスを必要とするとともに、ボルトが挿通される孔部にボルトを挿通するための隙間を確保することが必要となるため、先行鋼管及び後行鋼管が連結箇所及びボルト接合箇所で上載荷重により撓み易くなる。そのため、連結鋼管の設置後に連結鋼管の下方を掘削して、連結鋼管に土荷重や地上物の上載荷重が加わると管体が撓むものとなり、高さ方向Yの上方で水道管81等の変形量が許容値を超えて水道管81が破損したり、また、地盤面の道路82等が陥没する原因となる。
【0081】
これに対して、本発明を適用したパイプルーフ工法は、
図19に示すように、先行管体2と後行管体3とを、ピン部材6で接合して仮連結するものとしても、推進段階においては、推進方向Xの引張力T又は圧縮力Pに十分に抵抗することができるものとなり、また、埋設完了後においては、先行管体2と後行管体3とを溶接で接合して本連結されているので、高さ方向Yの曲げ力Mに十分に抵抗することができるものとなる。
【0082】
これにより、本発明を適用したパイプルーフ工法は、
図1、
図19に示すように、先行管体2と後行管体3とを本連結した箇所での撓みによる高さ方向Yの変形量が、管体7自体の変形量と同等のものとなり、高さ方向Yの上方で水道管81等の地中埋設物の変形量の増大を抑制するとともに、地盤面の道路82等が陥没することを防止することが可能となる。
【0083】
本発明を適用したパイプルーフ工法は、
図9、
図10に示すように、先行管体2の後端部2aに設けられた雌継手4に、後行管体3の前端部3aに設けられた雄継手5が内挿される。これにより、本発明を適用したパイプルーフ工法は、先行管体2の後端部2aに後行管体3の前端部3aを接合する前の段階において、先行管体2の後端部2aが地中80から露出した状態で、先行管体2の後端部2aに土砂が落下したとしても、雌継手4の外側Bに砂粒等が落下するのみで、雌側突出部42と雄側突出部52との間に砂粒等が入り込むことを防止することができるため、雌継手4と雄継手5との接合作業を円滑に実施することが可能となる。
【0084】
本発明を適用したパイプルーフ工法は、
図17に示すように、雌継手4の雌側突出部42と係止部材60との隙間からの浸水が溶接金属Kで遮断されるとともに、雌継手4の雌側突出部42と雄継手5の雄側突出部52との隙間からの浸水がパッキン63で遮断されて、係止部材60の螺合孔60aと締結部材61との隙間からの浸水がシールテープ等で遮断されるため、先行管体2又は後行管体3の内部への浸水が遮断されたものとなり、先行管体2又は後行管体3の内側Aからの本連結工程での溶接作業を、安全、確実に実施することが可能となる。
【0085】
本発明を適用したパイプルーフ工法は、ピン部材6を固定する係止部材60が、雌継手4の雌側突出部42に部分的に埋め込まれる。これにより、本発明を適用したパイプルーフ工法は、雌継手4の雌側突出部42の外面から、係止部材60の外側Bに向けた突出長をできるだけ小さくして、係止部材60が外側Bに突出することによる水みちの発生が抑制されることで、先行管体2及び後行管体3の上方からの地下水流出に伴った土砂流出を防止して、
図1に示すように、地盤面の道路82の陥没等を防止することが可能となる。
【0086】
本発明を適用したパイプルーフ工法は、
図7に示すように、ワッシャ62を挟んでピン部材6が設けられることで、先行管体2又は後行管体3の内面とワッシャ62の当接面62aとが面接触するとともに、ピン部材6の拡径部6bとワッシャ62の係止面62bとが面接触するものとなる。これにより、本発明を適用したパイプルーフ工法は、先行管体2又は後行管体3の内側Aからピン部材6が設けられるものの、引張力T又は圧縮力Pが作用する推進方向Xで、ワッシャ62の係止面62bにピン部材6の拡径部6bが当接されることで、ピン部材6の推進方向Xのガタツキを防止して、ピン部材6での仮連結の安定性を向上させることが可能となる。
【0087】
本発明を適用したパイプルーフ工法は、特に、
図5に示すように、先行管体2及び後行管体3の管周方向Wで、先行管体2及び後行管体3の上端Y1及び下端Y2から離間させた位置にピン部材6を設ける。これにより、本発明を適用したパイプルーフ工法は、
図19に示すように、雌側挿通孔40及び雄側挿通孔50による断面欠損が生じるものの、曲げ力Mによる引張応力σt及び圧縮応力σpが、高さ方向Yの上端Y1及び下端Y2に集中するため、引張応力σt及び圧縮応力σpが集中する箇所に断面欠損が生じないものとなり、先行管体2及び後行管体3の変形量の増大を抑制することが可能となる。
【0088】
以上、本発明の実施形態の例について詳細に説明したが、上述した実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。
【0089】
本発明を適用したパイプルーフ工法は、
図6に示すように、雌継手4及び雄継手5が、先行管体2の後端部2a及び後行管体3の前端部3aに、別途部材として設けられるものであるが、これに限らず、雌継手4及び雄継手5が設けられることなく、先行管体2の後端部2a及び後行管体3の前端部3a自体に、雌側挿通孔40及び雄側挿通孔50が形成されて、当該雌側挿通孔40及び雄側挿通孔50にピン部材6が挿通されてもよい。