特許第6560058号(P6560058)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6560058健康管理支援システムおよび健康管理支援プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6560058
(24)【登録日】2019年7月26日
(45)【発行日】2019年8月14日
(54)【発明の名称】健康管理支援システムおよび健康管理支援プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/22 20180101AFI20190805BHJP
   G16H 20/00 20180101ALI20190805BHJP
【FI】
   G06Q50/22
   G16H20/00
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-161507(P2015-161507)
(22)【出願日】2015年8月19日
(65)【公開番号】特開2017-41036(P2017-41036A)
(43)【公開日】2017年2月23日
【審査請求日】2018年3月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000155469
【氏名又は名称】株式会社野村総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】特許業務法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】廣戸 健一郎
(72)【発明者】
【氏名】木下 貴史
(72)【発明者】
【氏名】光谷 好貴
【審査官】 田川 泰宏
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−143672(JP,A)
【文献】 特開2002−263071(JP,A)
【文献】 特開2012−223401(JP,A)
【文献】 特開2002−342632(JP,A)
【文献】 特開2011−180857(JP,A)
【文献】 特開2002−329008(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0165443(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00−99/00
G16H 20/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザから入力もしくは報告された健康管理情報を取得して記録し、その内容に基づいて前記ユーザに対して健康管理に係るメッセージを出力する健康管理支援システムであって、
前記ユーザが予め拠出したデポジットの情報を保持し、
前記ユーザから所定の期間前記健康管理情報の入力もしくは報告がない場合、前記ユーザに対して催促する旨のメッセージを送信し、
前記ユーザに対して送信した前記催促する旨のメッセージに対して所定の期間前記健康管理情報の入力もしくは報告がない場合、前記ユーザの前記デポジットから所定量を減算し、前記健康管理情報の入力もしくは報告があった場合、前記ユーザの前記デポジットに対して所定量を加算し、
前記デポジットから減算した結果、前記デポジットの残高が無い場合、警告メッセージを送信する、
健康管理支援システム。
【請求項2】
ユーザから入力もしくは報告された健康管理情報を取得して記録し、その内容に基づいて前記ユーザに対して健康管理に係るメッセージを出力する健康管理支援システムとして機能するよう、コンピュータに処理を実行させる健康管理支援プログラムであって、
前記コンピュータは、前記ユーザが予め拠出したデポジットの情報を保持し、
前記ユーザから所定の期間前記健康管理情報の入力もしくは報告がない場合、前記ユーザに対して催促する旨のメッセージを送信する処理と、
前記ユーザに対して送信した前記催促する旨のメッセージに対して所定の期間前記健康管理情報の入力もしくは報告がない場合、前記ユーザの前記デポジットから所定量を減算し、前記健康管理情報の入力もしくは報告があった場合、前記ユーザの前記デポジットに対して所定量を加算する処理と、
前記デポジットから減算した結果、前記デポジットの残高が無い場合、警告メッセージを送信する処理と、を前記コンピュータに実行させる、健康管理支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、健康の管理・増進を支援する技術に関し、特に、日々の食事や健康状態をモニタリングし、状況に応じてアドバイス等の健康行動への動機付けを行う健康管理支援システムおよび健康管理支援プログラムに適用して有効な技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、健康志向の高まりとIT技術の進展に伴い、健康や生活習慣に関わる日々変動する各種の情報を、例えばウェアラブルデバイスや通信機能を有する体重計等の健康機器等により自動で収集し、もしくはPC(Personal Computer)やスマートフォン等の情報処理端末を介して手動で入力させて管理するとともに、その内容に基づいてアドバイスや指導、警告等を行う仕組みを情報処理システム上で構築することが検討されている。
【0003】
これに関連する技術として、例えば、特許第5531711号公報(特許文献1)には、ユーザについて測定された2種以上の身体的情報を測定時間データとともに受理し、所定期間において測定された各身体的情報を所定ルールに従って分析し、目標達成度を知らせるためのアドバイスを生成することで健康行動への動機付けを提案する健康管理支援システムが記載されている。
【0004】
また、食事内容の入力に関する技術として、例えば、特開2010−286960号公報(特許文献2)には、ユーザが、食事を摂取する店舗内の食事画像を携帯端末により撮影し、位置情報およびテキスト本文とともにメールを送信すると、受信したメール情報と、予め蓄積された店舗の情報に基づいて検索対象店舗を絞り込み、また、撮影された食事画像の食事想定領域の画像を抽出し、色変換して特徴量を求め、予め蓄積された対象店舗の食事画像の特徴量と比較し、類似度の最も高い画像を類似食事画像と判定し、その画像に関連するカロリー値などの付加情報をメール情報に付加してブログにアップすることで、ユーザに食事内容を自覚させる仕組みが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第5531711号公報
【特許文献2】特開2010−286960号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載されたような技術を用いることで、例えば、ユーザの健康管理情報を健康機器等により収集し、これらを分析して得られるアドバイス等をリアルタイムで自動的に生成してユーザに通知するというような仕組みを実現することができる。
【0007】
一方で、健康管理情報として重要な食事のデータについては、機器等によりその内容を自動的に取得・収集するということは難しい。また、ユーザに食事内容を逐一入力・報告させる仕組みではユーザの負担が大きく、意欲を維持させることが困難となり得る。食事内容などのように、ユーザの入力・報告がなければ内容を把握することが困難な健康管理情報については、入力・報告に対するユーザの意識付けをいかに喚起・持続させるかが課題である。
【0008】
そこで本発明の目的は、ユーザによる入力や報告が必要な食事の情報を含む健康管理情報を継続的に確実に収集して、これらに基づいてユーザに対して効率的かつ効果的にアドバイス等の健康行動への動機付けを行うことを可能とする健康管理支援システムおよび健康管理支援プログラムを提供することにある。
【0009】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、以下のとおりである。
【0011】
本発明の代表的な実施の形態による健康管理支援システムは、ユーザから入力もしくは報告された健康管理情報を取得して記録し、その内容に基づいて前記ユーザに対して健康管理に係るメッセージを出力する健康管理支援システムであって、前記ユーザから所定の期間前記健康管理情報の入力もしくは報告がない場合、前記ユーザに対して催促する旨のメッセージを送信するものである。
【0012】
また、本発明は、上記のような健康管理支援システムとして機能するよう、コンピュータに処理を実行させる健康管理支援プログラムにも適用することができる。
【発明の効果】
【0013】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。
【0014】
すなわち、本発明の代表的な実施の形態によれば、ユーザによる入力や報告が必要な食事の情報を含む健康管理情報を継続的に確実に収集して、これらに基づいてユーザに対して効率的かつ効果的にアドバイス等の健康行動への動機付けを行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施の形態である健康管理支援システムの構成例について概要を示した図である。
図2】本発明の一実施の形態における処理の内容の例について概要を示した図である。
図3】本発明の一実施の形態における処理の流れの例を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一部には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。一方で、ある図において符号を付して説明した部位について、他の図の説明の際に再度の図示はしないが同一の符号を付して言及する場合がある。
【0017】
図1は、本発明の一実施の形態である健康管理支援システムの構成例について概要を示した図である。健康管理支援システム1は、例えば、1台以上のサーバ機器やクラウドコンピューティングサービス上に構築された仮想サーバにより構成される情報処理システムであり、図示しないOS(Operating System)やDBMS(DataBase Management System)、Webサーバプログラムなどのミドルウェア上で稼働するソフトウェアとして実装されたメッセンジャー管理部11、外部サービスインタフェース12、オペレータインタフェース13、対話エンジン14、およびデポジット管理部17などの各部を有する。また、データベース等として実装されたメッセージデータベース(DB)15、健康管理情報DB16、およびユーザDB18などの各データストアを有する。上記の各部は、図示するように1つのサーバシステム上に実装されていてもよいし、サブシステムとして個別のサーバシステム上に実装されていてもよい。
【0018】
健康管理支援システム1は、図示しないインターネット等のネットワークを介して、例えば、外部のメッセージングシステム3や、ヘルスケアシステム5、7などと接続・連携することができる。メッセージングシステム3は、例えば、画像データを含むメッセージの授受により相手方とコミュニケーションすることができるシステムである。また、ヘルスケアシステム5、7は、例えば、特許文献1に記載されたような健康管理支援システムや、Fitbit(登録商標、以下同様)社、Withings(登録商標、以下同様)社などが提供している健康管理情報のトラッキングやモニタリングのサービスを実装するシステムである。
【0019】
健康管理支援システム1のメッセンジャー管理部11は、メッセージングシステム3と連携して、ユーザとの間でメッセージの授受を行う機能を有する。より具体的には、例えば、メッセージングシステム3のサービスを利用するためのアプリケーションが導入されているスマートフォン4等の携帯端末を利用して、ユーザが、自身が摂る食事の内容を内蔵のカメラにより撮影し、画像データに本文を付してメッセージとして仮想のユーザ宛に送信する。メッセンジャー管理部11は、仮想ユーザ宛に送信されたメッセージを受信して、その内容を食事の画像データと本文部分とに区分して健康管理情報DB16にユーザ毎に記録する。また、後述する対話エンジン14によって最終的に生成された当該ユーザ向けの健康管理に係るアドバイス等の内容を、メッセージとしてメッセージングシステム3を介して当該ユーザ宛に送信する。
【0020】
外部サービスインタフェース12は、ヘルスケアシステム5、7において管理・保持されている健康管理情報を定期的もしくは随時に取得して、ユーザ毎に健康管理情報DB16に記録する機能を有する。例えば、ヘルスケアシステム5、7が公開しているAPI(Application Programming Interface)を呼び出すことで健康管理情報を取得することができる。APIを呼び出す際には各ヘルスケアシステム5、7における対象ユーザのID等のアカウント情報が必要となるが、これらは、メッセージングシステム3におけるものも含めて、例えば図示しないユーザ管理DBなどにユーザ毎に関連付けて記録・管理しておく。
【0021】
ヘルスケアシステム5、7を介して取得することができる健康管理情報は特に限定されず、一般に利用可能なサービスから種々の情報を取得することができる。図1の例では、ヘルスケアシステム5については、例えばFitbitなどのように、ユーザが保持する活動量計6が計測した歩数や消費カロリー等の各種の活動量情報をBluetooth(登録商標)等の近距離無線通信によりユーザのスマートフォン4が取得し、スマートフォン4に導入されている対応アプリケーションがヘルスケアシステム5に活動量情報をアップロードする。これにより、ヘルスケアシステム5からは外部サービスインタフェース12により活動量情報を取得することができる。
【0022】
また、ヘルスケアシステム7については、例えばFitbitやWithingsなどのように、ユーザが所有する体重計9が計測した体重や体脂肪率等の各種の身体情報をWiFi(登録商標)等の無線通信によりアクセスポイント8を介してヘルスケアシステム7にアップロードする。これにより、ヘルスケアシステム7からは外部サービスインタフェース12により体重や体脂肪率等の身体情報を取得することができる。
【0023】
オペレータインタフェース13は、オペレータがPC等のオペレータ端末2を利用して健康管理支援システム1にアクセスする際のユーザインタフェースを提供する。具体的には、オペレータインタフェース13は、健康管理情報DB16に記録されているユーザから送信された食事を撮影した画像データをオペレータ端末2に表示し、オペレータが当該画像データに基づいて判断した食事内容やメニュー、分量等についての情報の入力を受け付けて、健康管理情報DB16に追加登録する。
【0024】
対話エンジン14は、健康管理情報DB16に記録されたユーザからのメッセージや、オペレータにより判断された食事内容の情報、および各種の活動量情報や身体情報に基づいて、所定のアルゴリズムにより当該ユーザに対するアドバイスや通知・警告等のメッセージを生成し、メッセンジャー管理部11に出力する機能を有する。メッセージの生成手法については特に限定されないが、本実施の形態では、例えば、予め複数のパターン(例えば数百パターン程度)のテンプレートを用意してメッセージDB15に登録しておき、少なくとも食事内容に係る情報を含むパラメータに基づいて所定の条件に該当するテンプレートをメッセージDB15から抽出し、これに基づいてメッセージを生成する。
【0025】
デポジット管理部17は、本実施の形態の健康管理支援システム1が提供するサービスを利用する各ユーザが拠出してシステム上に保有しているデポジットの状況およびその出入りを管理する機能を有する。各ユーザのデポジットの状況は、例えば、ユーザ毎のアカウント情報を管理するユーザDB18に記録して管理する。
【0026】
本実施の形態では、健康管理支援システム1が提供するサービス、すなわち健康管理情報DB16に記録された情報に基づくアドバイス等を受けることができるサービスを利用する際に、ユーザに対して所定量のデポジットの拠出・支払いを要求するものとする。デポジットの対象は、財産的価値を有し、価値を数量として評価することができるものであれば特に金銭に限定されず、例えば各種のポイントやマイレージ、利用権等のようなものを対象とすることも可能である。
【0027】
所定の条件に該当する場合に対象のユーザに対して所定量のデポジットを報酬として付与・贈呈したり、逆に所定量のデポジットをペナルティとして剥奪・没収したりすることで、ユーザに対して、食事内容に係る情報を含む能動的な情報の入力や報告が必要となる健康管理情報を適時に入力・報告することについての動機付けを行う。
【0028】
例えば、食事内容の入力・報告について、所定の期間を経過しても報告がなく、催促に対しても応答・報告がない場合は、対象のユーザのデポジットから所定量を没収する。逆に、一定期間以上継続的に食事内容の報告を行った場合や、催促に対して適時に報告を行った場合などに所定量をデポジットに付与するようにしてもよい。健康管理情報の入力や報告をトリガーとする場合に限らず、例えば、自動もしくは手動により予め設定されたユーザの健康状態の目標値に対する達成状況に応じてデポジットに対する付与や没収を行なってもよい。
【0029】
ユーザは、デポジットを増やしたいという積極的理由、もしくは減らされたくないという消極的理由により、継続的な食事内容の情報の報告を含む適切な行動をとるよう動機付けされる。なお、各ユーザのデポジットから剥奪・没収した数量は、今後自身や他のユーザのデポジットに対して付与・贈呈する際の原資としてもよいし、自身や他のユーザの将来的な健康状態の悪化に伴って必要となる医療費などに充当するための健康保険のような社会的費用の原資とすることも可能である。
【0030】
<処理内容>
図2は、本実施の形態の健康管理支援システム1における処理の内容の例について概要を示した図である。ユーザは、まず、スマートフォン4の内蔵カメラ等により食事自体を撮影する。そして、得られた食事画像データ21に対してメッセージ20を作成し、メッセージングサービスを利用して健康管理に関するアドバイザーとしての仮想ユーザ宛に送信することで食事内容を報告する。
【0031】
仮想ユーザ宛のメッセージを受信したメッセンジャー管理部11では、受信したメッセージの内容を健康管理情報DB16に記録するとともに、メッセージ20中の食事画像データ21のみをオペレータ端末2から参照可能とする。オペレータは、当該画像データを参照して食事内容やメニュー、分量等について判断し、判断結果を食事内容24としてオペレータ端末2を介して入力する。入力された食事内容24は、対象のユーザと関連付けて健康管理情報DB16に追加登録される。
【0032】
本実施の形態では、上述したように食事内容24の判断をオペレータが人手で行うようにすることで、ユーザに負担をかけずに柔軟かつ的確な判断を可能にする。また、特許文献2に記載された技術のように、判断の際のリファレンスとなる食事の画像データや店舗の位置情報などを予め大量に登録しておく必要がなく、低コストで効率的に食事内容24の判断を行うことが可能となる。
【0033】
また、オペレータには原則として食事の画像データのみが参照可能とされるため、ユーザのプライバシーを保護できるとともに、オペレータの作業を食事内容24の判断のみに限定して単純化することができる。なお、例えばユーザの許可等がある場合には、食事内容24の判断の精度向上のためにユーザが送信したメッセージ20の本文部分を参照できるようにしてもよい。これにより、例えばユーザがメッセージ20の本文として「今日は○○を食べました。」のように食事内容を記載したような場合にその情報を利用することができる。
【0034】
また、食事の画像データは、オペレータが食事の内容を判断することができるよう、原則としてユーザが食事を摂る前の状態で撮影されたものであることが必要となるが、例えば、最終的に全て食べきれなかった場合や、画像データがやむを得ず食事を摂った後の状態で撮影されたものであるなどの場合には、メッセージ20の本文の内容を参照して判断できるようにしてもよい。
【0035】
一方、健康管理情報DB16には、外部のヘルスケアシステム5、7等から取得した各ユーザについての体重22等の身体情報や、活動量23等の情報も適宜記録される。
【0036】
本実施の形態では、食事内容24については、対話エンジン14により所定のアルゴリズムに基づいてユーザ毎にスコアリングを行い数値化する。例えば、オペレータにより判断されたメニューや分量などに基づいて公知の手法によりカロリーや栄養素等の計算を行い、これらに基づいて所定の条件によりスコアを算出する。このスコアに加えて、健康管理情報DB16に記録された体重22や活動量23等の情報に基づいて、所定の条件に基づいて該当するメッセージのテンプレートをメッセージDB15から抽出する。その際、例えば、ユーザの属性や、食事内容、体重や活動量の変化の傾向、過去に送信したメッセージの内容等に基づいて、抽出の元となるテンプレート群を限定したりテンプレートのカテゴリを切り替えたりしてもよい。
【0037】
なお、メッセージDB15に登録されるメッセージのテンプレートには、例えば、固定のコメント部分に加えて可変のパラメータ部分が設けられており、パラメータ部分を食事内容やスコア、活動量情報、身体情報などの値により置換することでアドバイス等のメッセージ25を生成することができる。オペレータが判断した食事内容を含めることで、ユーザに対して食事内容を確認させる機能を持たせることができる。さらに、メッセージ25の文言をユーザの属性等に応じて修正・変更したり、修飾したりしてもよい。
【0038】
生成されたメッセージ25は、メッセンジャー管理部11により対象のユーザ宛に送信される。このように、ユーザが送信した食事内容の報告に対して、対話エンジン14が自動的に応答のメッセージ25を生成することで、ユーザは、擬似的な双方向コミュニケーションにより健康管理情報についてのモニタリングとアフターフォローを受けることができる。また、食事内容24の判断もオペレータの単純な作業に限定することで全体のコストを大きく低減しつつ、柔軟かつ的確な判断をすることが可能となる。
【0039】
図3は、本実施の形態の健康管理支援システム1における処理の流れの例を示したフローチャートである。健康管理支援システム1は、まず、ユーザからの新規の食事の報告の有無を判定し(S01)、報告がない場合には、所定の期限を経過しているか否かを判定する(S02)。所定の期限は適宜設定することができ、例えば、前回の報告から一定期間経過後としてもよいし、朝、昼、夜の食事時間から一定時間経過後としてもよい。所定の期限を経過していない場合には、ステップS01に戻って処理を繰り返す。
【0040】
ステップS02で所定の期限を経過している場合には、既に催促メッセージを対象のユーザに対して送信しているか否かを判定する(S03)。まだ催促メッセージを送信していない場合は、ユーザに送信するメッセージとして食事の報告を促す旨の催促メッセージをメッセージDB15から抽出し(S04)、後述するステップS16に進む。
【0041】
ステップS03で既に催促メッセージを送信済みの場合は、対象のユーザのデポジットから所定の数量を没収する(S05)。例えば、ユーザDB18に記録されている対象のユーザのデポジットの数量を減算する。上述したように、没収したデポジットを他の用途の原資として用いる場合には、そのためにシステムとしてプールしているデポジットの数量をその分加算する。そして、デポジットを没収した旨のメッセージをメッセージDB15から抽出する(S06)。さらに、対象のユーザのデポジットの残高の有無を判定し(S07)、残高が不足している場合にはその旨の警告メッセージをメッセージDB15から抽出し(S08)、後述するステップS16に進む。
【0042】
ステップS01でユーザからの新規の食事の報告がある場合には、当該報告が所定の報酬付与の条件に合致するか否かを判定する(S09)。例えば、一定期間以上継続的に食事内容の報告を行った場合や、催促に対して適時に報告を行った場合などを報酬付与の条件とすることができる。条件に合致する場合は、対象のユーザのデポジットに対して所定の数量を付与する(S10)。例えば、ユーザDB18に記録されている対象のユーザのデポジットの数量に加算する。このとき、必要に応じて報酬の原資となるシステムとしてプールしているデポジットの数量をその分減算する。そして、報酬としてデポジットを付与した旨のメッセージをメッセージDB15から抽出する(S11)。
【0043】
その後は、報酬付与の条件に合致したか否かに関わらず、ユーザからの新規の食事の報告に含まれる食事画像データ21に基づいてオペレータが食事のメニューや分量等を判断し、食事内容24を入力する(S12)。食事内容24の情報が入力されると、対話エンジン14等により、その内容に基づいてカロリーや栄養素等の計算を行うなどにより、食事についてのスコアリングを行う(S13)。また、これと同期して、もしくは非同期で、対象のユーザについての体重22や活動量23などの健康管理情報を外部のサービスから取得する(S14)。この処理はユーザ毎に定期的に行っておいてもよい。
【0044】
その後、食事内容24や食事のスコア、その他の健康管理情報などに基づいて、対話エンジン14により所定のアルゴリズムに基づいてメッセージDB15に予め登録されているメッセージのテンプレートから該当のテンプレートを抽出し、さらにテンプレートのパラメータ部分をスコアや健康管理情報の値等により置換してメッセージ25を生成する(S15)。そして、生成したメッセージ25(および/またはステップS04、S06、S08、S11で抽出された各メッセージ)を対象のユーザに対して送信・応答して(S16)、処理を終了する。再度ステップS01に戻って一連の処理を繰り返してもよい。
【0045】
以上に説明したように、本発明の一実施の形態である健康管理支援システム1によれば、健康管理情報DB16に記録された情報に基づくアドバイス等を受けることができるサービスを利用する際に、ユーザに対してデポジットの拠出・支払いを要求するものとし、所定の条件に該当する場合に対象のユーザのデポジットに対して所定量を報酬として付与・贈呈し、もしくは所定量をペナルティとして剥奪・没収する。これにより、ユーザに対して、食事内容に係る情報を含む能動的な情報の入力や報告が必要となる健康管理情報を適時に入力・報告することについての動機付けを行うことが可能となる。
【0046】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。例えば、上記の実施の形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、上記の実施の形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0047】
例えば、上述した実施の形態では、健康管理情報の報告として、ユーザがメッセージングサービスを利用して食事の画像データを含むメッセージを送信して報告するようにしているが、これに限らず、ユーザ自身が食事内容やメニューの情報を入力・報告するようにしてもよい。また、メッセージングサービスを利用して報告する構成に限らず、例えば、Webブラウザを使用して報告用のWebサイトにアクセスして入力・報告する構成や、入力・報告用のクライアントアプリケーションを利用する構成などを適宜採用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、日々の食事や健康状態をモニタリングし、状況に応じてアドバイス等の健康行動への動機付けを行う健康管理支援システムおよび健康管理支援プログラムに利用可能である。
【符号の説明】
【0049】
1…健康管理支援システム、2…オペレータ端末、3…メッセージングシステム、4…スマートフォン、5…ヘルスケアシステム、6…活動量計、7…ヘルスケアシステム、8…アクセスポイント、9…体重計、
11…メッセンジャー管理部、12…外部サービスインタフェース、13…オペレータインタフェース、14…対話エンジン、15…メッセージDB、16…健康管理情報DB、17…デポジット管理部、18…ユーザDB、
20…メッセージ、21…食事画像データ、22…体重、23…活動量、24…食事内容、25…メッセージ
図1
図2
図3