特許第6560100号(P6560100)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 美津濃株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6560100-手袋 図000002
  • 特許6560100-手袋 図000003
  • 特許6560100-手袋 図000004
  • 特許6560100-手袋 図000005
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6560100
(24)【登録日】2019年7月26日
(45)【発行日】2019年8月14日
(54)【発明の名称】手袋
(51)【国際特許分類】
   A63B 71/14 20060101AFI20190805BHJP
   A41D 19/00 20060101ALI20190805BHJP
【FI】
   A63B71/14 A
   A41D19/00 C
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-213874(P2015-213874)
(22)【出願日】2015年10月30日
(65)【公開番号】特開2017-80238(P2017-80238A)
(43)【公開日】2017年5月18日
【審査請求日】2018年9月18日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成27年6月10日〜平成27年6月12日 「’16 SPRING&SUMMER SPORTS&GOLF EXHIBITION<’16年春夏スポーツ&ゴルフ新製品発表展示会>」において公開 平成27年6月16日〜平成27年6月18日 「’16 SPRING&SUMMER SPORTS&GOLF EXHIBITION<’16年春夏スポーツ&ゴルフ新製品発表展示会>」において公開
(73)【特許権者】
【識別番号】000005935
【氏名又は名称】美津濃株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】玉越 将志
(72)【発明者】
【氏名】藤原 誠
【審査官】 谷垣 圭二
(56)【参考文献】
【文献】 登録実用新案第3122009(JP,U)
【文献】 実開昭57−90177(JP,U)
【文献】 特開2005−349073(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3114630(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3043369(JP,U)
【文献】 実開昭57−5266(JP,U)
【文献】 米国特許第4701963(US,A)
【文献】 米国特許第5740555(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 71/14
A41D 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装着した際に装着者の手の甲側を覆う手甲側被覆部を備える手袋であって、
前記手甲側被覆部は、手甲側被覆本体部と、前記手甲側被覆本体部に接続され第1方向に装着者の手を締め付け可能な第1固定部と、前記手甲側被覆本体部に接続され前記第1方向とは異なる第2方向に装着者の手を締め付け可能な第2固定部とを含み、
前記手甲側被覆部には、前記第2固定部を挿通可能な開口部を有し、かつ前記第1固定部に接続された開口部材が固定されている、手袋。
【請求項2】
前記手甲側被覆部は、装着者の手の甲側から人差指を覆う手甲側人差指部と、装着者の手の甲側から小指を覆う手甲側小指部と、装着者の手の甲側から中指を覆う手甲側中指部と、装着者の手の甲側から親指を覆う手甲側親指部とを含み、
前記第1方向は、前記手甲側人差指部の付け根から前記手甲側被覆部の前記手甲側小指部側の側面に向けた、前記手甲側中指部の延びる方向に対して斜めの方向であり、
前記第2方向は、前記手甲側親指部の付け根から前記手甲側小指部の付け根に向けた、前記手甲側中指部の延びる方向に対して斜めの方向である、請求項1に記載の手袋。
【請求項3】
前記手甲側被覆本体部は、装着者の手首側を覆う手首側領域の配置される側において、前記手甲側小指部側に配置される第1本体部と、前記第1本体部に隣接し前記手甲側親指部側に配置される第2本体部とにスリット部を介して分離され、
前記開口部材は、前記第1固定部において前記スリット部に対向する端部に固定されている、請求項2に記載の手袋。
【請求項4】
前記第2固定部は前記第2本体部に一方端が接続され前記第2方向に延びる長尺形状を有し、
前記第2固定部は、前記開口部材を挿通する箇所にて延在方向が折り返された状態で前記一方端と反対側の他方端が前記第2本体部に着脱可能になっている、請求項3に記載の手袋。
【請求項5】
前記第1固定部は前記第2本体部に接続され前記第1方向に延び、
前記第1固定部は前記第1方向に引っ張られるように装着者の手を締め付けた状態で前記第1本体部に着脱可能になっている、請求項3または4に記載の手袋。
【請求項6】
前記開口部材は環状形状を有している、請求項1〜5のいずれか1項に記載の手袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は手袋に関し、特にゴルフなどのスポーツ用の手袋に関するものである。
【背景技術】
【0002】
スポーツ、特にゴルフ用の手袋は、装着者に対して快適なフィット感を与えることが要求され、そのためにベルトなどの固定部が用いられることが好ましい。このような特徴を有する手袋が、たとえば特開平6−121859号公報(特許文献1)および特開2011−106040号公報(特許文献2)に開示されている。これらの手袋においては、装着者の手の甲側を覆う部分に環状部材とベルトとが配置されている。ベルトが環状部材に挿通されてその環状部材の部分にてベルトの延在方向が変更される。これにより当該ベルトが装着者の手を締め付け可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−121859号公報
【特許文献2】特開2011−106040号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特開平6−121859号公報および特開2011−106040号公報の手袋においては、固定部としてのベルトが1本のみ含まれている。このベルトが環状部材に挿通された状態において、たとえばベルトの一方端から他方端側へ引っ張り力を加えれば、ベルトの一方端から環状部材までの部分に加わる力と、環状部材から他方端までの部分に加わる力との大きさは等しくなり、これらの大きさを個別に制御することができない。このため装着時のフィット感を向上させることが困難となる可能性がある。
【0005】
本発明は以上の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、ゴルフなどのスポーツ用であり、装着者へのフィット感をより向上させることが可能な手袋を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る手袋は、装着した際に装着者の手の甲側を覆う手甲側被覆部を備える。手甲側被覆部は、手甲側被覆本体部と、手甲側被覆本体部に接続され第1方向に装着者の手を締め付け可能な第1固定部と、手甲側被覆本体部に接続され第1方向とは異なる第2方向に装着者の手を締め付け可能な第2固定部とを含む。手甲側被覆部には、第2固定部を挿通可能な開口部を有し、かつ第1固定部に接続された開口部材が固定されている。
【発明の効果】
【0007】
本発明の手袋は、開口部材が第1固定部に接続され、かつ第2固定部を挿通可能である。このため開口部材を介して、第1および第2の固定部が互いに接続された状態となる。さらに、第1固定部と第2固定部との締め付け力を個別に制御可能である。したがって当該手袋は装着者へのフィット感をより向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態に係る手袋の手甲側被覆部の構成を示す概略図である。
図2図1中の点線で囲まれた領域IIの概略拡大図である。
図3】第1固定部を開いた状態における、図1の手袋の手甲側被覆部の構成を示す概略図である。
図4】第2固定部を開いた状態における、図1の手袋の手甲側被覆部の構成を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について図に基づいて説明する。
<手袋の構成>
まず本実施の形態の手袋の構成について図1図4を用いて説明する。
【0010】
図1を参照して、本実施の形態の手袋100は通常ゴルフ競技に用いるものであり、手甲側被覆部2を備えている。手甲側被覆部2は、当該手袋100のうち、これを装着した装着者の手の甲側を覆う領域である。図1は主に手甲側被覆部2の構成を示している。手甲側被覆部2は、基本的にはたとえば人工皮革や合成皮革、天然皮革、合成繊維などにより形成されている。
【0011】
手袋100は、これを装着した装着者の各指を収納する5つの指袋を有している。具体的には、手袋100は、装着者の親指を収納する親指袋f1と、装着者の人差指を収納する人差指袋f2と、装着者の中指を収納する中指袋f3と、装着者の薬指を収納する薬指袋f4と、装着者の小指を収納する小指袋f5とを有している。
【0012】
親指袋f1は、収納した親指を装着者の手の甲側から覆う手甲側親指部21を含んでいる。以下同様に、人差指袋f2は、収納した人差指を装着者の手の甲側から覆う手甲側人差指部22を含んでいる。中指袋f3は、収納した中指を装着者の手の甲側から覆う手甲側中指部23を含んでいる。薬指袋f4は、収納した薬指を装着者の手の甲側から覆う手甲側薬指部24を含んでいる。小指袋f5は、収納した小指を装着者の手の甲側から覆う手甲側小指部25を含んでいる。これらの手甲側親指部21、手甲側人差指部22、手甲側中指部23、手甲側薬指部24および手甲側小指部25は、手甲側被覆部2に含まれている。
【0013】
それぞれの指袋f1〜f5の延びる方向に交差する方向の端部、すなわち手甲側被覆部2とその裏側の装着者の掌側を覆うたとえば人工皮革や合成皮革、天然皮革、合成繊維などにより形成された手掌側被覆部1との境界部には、手掌側被覆部1と手甲側被覆部2とを接続する指接続部fcが形成されている。手甲側親指部21、手甲側人差指部22、手甲側中指部23、手甲側薬指部24および手甲側小指部25は、概ね各指袋f1〜f5のうち手甲側被覆部2側において指接続部fcに囲まれる領域(指接続部fcを外縁とする領域)として形成されている。
【0014】
手甲側被覆部2は、上記の手甲側親指部21などの他に、手甲側被覆本体部20と、第1固定部26と、第2固定部27とを有している。
【0015】
手甲側被覆本体部20は手甲側被覆部2のうち指袋以外の部分、すなわち装着者の指を除く手の甲本体を覆う部分である。手甲側被覆本体部20は、第1本体部20Aと、第2本体部20Bとを有している。第1本体部20Aおよび第2本体部20Bは、指袋f1〜f5よりも、装着者の手首側に配置されている。ここで手首側とは、図1の下側すなわち各指袋f1〜f5よりも下側であり、図1での下方にて点線で囲む手首側領域28が配置される側の方向を意味する。
【0016】
第1本体部20Aは、指袋f1〜f5よりも当該装着者の手首側(すなわち手首側領域28の配置される側)において、装着者の小指側すなわち手甲側小指部25の配置される側(図1の左側)に配置されている。また第2本体部20Bは、指袋f1〜f5よりも当該装着者の手首側において、装着者の親指側すなわち手甲側親指部21の配置される側(図1の右側)に配置されている。言い換えれば第2本体部20Bは第1本体部20Aに隣接する位置に配置されている。第1本体部20Aと第2本体部20Bとは、両者の間に形成される第1本体部20Aと第2本体部20Bとのいずれも配置されない空隙部としてのスリット部30を介して分離されている。
【0017】
図3を参照して、たとえば後述するように第1固定部26が装着者の手を締め付けてはおらずこれが第1本体部20Aと重なってはいない状態を考える。この場合、互いに隣り合う第1本体部20Aと第2本体部20Bとの間隔に相当するスリット部30は、手首側領域28に向かうにつれて広くなっている。このため、第1固定部26が第1本体部20Aに固定されていない状態において装着者が容易に手袋100内に手を出し入れすることができる。
【0018】
再度図1および図2(拡大図)を参照して、第1固定部26は、手甲側被覆本体部20の表面上に接続されており、図中に矢印で示す第1方向F1に引っ張ることによりこの方向に装着者の手を締め付け可能な構成を有している。
【0019】
より具体的には、第1固定部26は、基本的に手甲側被覆本体部20などを形成する生地と同一の生地により形成されている。第1固定部26は、第2本体部20Bのうち図1の右側の領域(手甲側人差指部22に隣接する領域)において、第1固定部接続部26Cにより第2本体部20Bの表面に接続されている。手袋本体と連結する第1固定部接続部26Cは、ゴムなどの弾性体で形成されてもよい。第1固定部26は、第1固定部接続部26Cから第1方向F1に延びている。
【0020】
ここで第1方向F1とは、手甲側人差指部22の付け根から手甲側被覆本体部20において手甲側被覆部2の手甲側小指部25側(図1の左側)の側面に向けた、手甲側中指部23がまっすぐ伸びた状態におけるその延びる方向(図1の上下方向すなわち指袋f1〜f5から手首側領域28側に向かう方向)に対して斜めの方向である。より具体的には、第1方向F1は、手甲側人差指部22側(図1の右側)から手甲側小指部25側(図1の左側)に向かうにつれて、指袋f1〜f5側(図1の上側)から手首側領域28側(図1の下側)に向かう斜め方向である。
【0021】
再度図3を参照して、第1固定部26の裏側(装着者の手に対向する内側)の面の一部にはマジックテープ(登録商標)などの着脱部材26Aが配置され、第1本体部20Aの表側(装着者の手と反対側の外側)の面の一部にはマジックテープなどの着脱部材26Bが配置されている。装着者が手を手袋100内に収納した状態で、第1固定部26を第1方向F1に引っ張り、着脱部材26Aと着脱部材26Bとを互いに密着固定させる。これにより図1および図2に示すように第1固定部26は第1本体部20Aと部分的に重なりながら上記の第1方向F1に延び、装着者の手を締め付けるように固定する。また着脱部材26Aと着脱部材26Bとは自由に着脱可能になっているため、第1固定部26は第1本体部20Aに対して自由に着脱可能になっている。
【0022】
再度図1および図2(拡大図)を参照して、次に第2固定部27は、手甲側被覆本体部20の表面上に接続されており、図中に矢印で示す第2方向F2(第1方向F1とは異なる)に引っ張ることによりこの方向に装着者の手を締め付け可能な構成を有している。
【0023】
より具体的には、第2固定部27は、基本的に手甲側被覆本体部20などを形成する生地と同一の生地により形成されている。図4を参照して、第2固定部27は、まっすぐ伸びた状態において長尺形状(一の方向に長く延びる形状)を有している。第2固定部27は、その長尺形状の一方端が、第2本体部20Bのうち図1の比較的右側の領域において、第2固定部接続部27Cにより第2本体部20Bの表面に接続されている。第2固定部27は、第2固定部接続部27Cから第2方向F2に延びている。
【0024】
ここで第2方向F2とは、手甲側親指部21の付け根から手甲側被覆本体部20において手甲側被覆部2の手甲側小指部25の付け根に向けた、手甲側中指部23がまっすぐ伸びた状態におけるその延びる方向(図1の上下方向すなわち指袋f1〜f5から手首側領域28側に向かう方向)に対して斜めの方向である。第2方向F2は、手甲側親指部21側(図1の右側)から手甲側小指部25側(図1の左側)に向かうにつれて、手首側領域28側(図1の下側)から指袋f1〜f5側(図1の上側)に向かう斜め方向である。
【0025】
手甲側被覆部2の特に第2本体部20Bには、環状リング31が固定されている。環状リング31は真鍮、ステンレス鋼などの金属材料により形成された、中央部に開口部を有する開口部材である。なお環状リング31は上記の金属材料以外にも、たとえばポリカーボネートなどの硬質なプラスチック材料により形成されていてもよい。また本実施の形態では環状リング31に代わって、中央部に開口部を有する(たとえばC字形状の)部材が用いられてもよい。環状リング31の開口部は一方向に細長い環状形状を有している。これにより環状リング31は、当該一方向における開口部の幅を第2固定部27の幅方向(長手方向に交差する方向)の寸法より大きくすることができる。このため開口部内に第2固定部27が挿通可能となっている。
【0026】
環状リング31は、第2本体部20Bの表側(装着時における外側)の面上の一部に固定されており、特にその細長く延びる方向が第2方向F2に交差(ほぼ直交)する方向となるように固定されている。
【0027】
また環状リング31は第1固定部26に接続されるように固定されている。具体的には、図1および図2に示すように、第1固定部26は第1方向F1に沿って延びる部分と、当該部分から第2固定部27側に向けて延びる部分とを有している。この第2固定部27側に向けて延びる部分の端部に、環状リング31が固定されている。したがって環状リング31は、第2本体部20Bと第1固定部26との双方に固定されている。また言い換えれば、この第1固定部26が第2固定部27側に向けて延びる部分は、第2固定部27がスリット部30に対向する端部(第2固定部27のうちスリット部30に隣接する、最も手甲側小指部25側の領域)である。したがって環状リング31は、第1固定部26においてスリット部30に対向する端部に固定されている。
【0028】
図1図2および図4を参照して、第2固定部27は、第2固定部接続部27Cを支点としてその延在する方向すなわち第2方向F2に引っ張られる。この第2固定部27が環状リング31を挿通する箇所においてその延在方向が反転され、たとえば約180°折り返される。これにより、第2固定部27のうち第2固定部接続部27Cにおいて第2本体部20Bに接続される一方端と反対側の他方端側の領域が、第2本体部20Bの一部と重なることが可能な態様となる。したがって第2固定部27は、たとえば装着者が手を締め付けるために環状リング31から上記他方端までの領域を第2方向F2と反対方向に引っ張った際に、一方端(第2固定部接続部27C)から環状リング31までの領域は第2方向F2に引っ張られる。つまり第2固定部27を他方端側へ引っ張れば、第2固定部27のうち少なくとも一方端(第2固定部接続部27C)から環状リング31までの領域は、第2固定部27が折り返されているか否かにかかわらず、第2方向F2に引っ張られる。
【0029】
再度図4を参照して、第2固定部27の裏側(まっすぐ伸びた状態にて外側を向く側)の面の一部、すなわち特に上記他方端側の領域にはマジックテープなどの着脱部材27Aが配置されている。また第2本体部20Bの表側(装着者の手と反対側の外側)の面のうち第2固定部接続部27Cに隣接する領域(まっすぐ伸びた第2固定部27の一方端側の延長上の領域)には、マジックテープなどの着脱部材27Bが配置されている。装着者が手を手袋100内に収納した状態で、第2固定部27を第2方向F2に引っ張りながら、第2固定部27を環状リング31の箇所にて折り返させる。これにより、第2固定部27の裏側の他方端側の領域における着脱部材27Aと、第2本体部20Bの着脱部材27Bとを互いに密着固定させる。第2固定部27が一方端側において第2方向F2に装着者の手を締め付け、かつ環状リング31から他方端側において折り返され反対方向に引っ張られることにより、装着者の手を締め付け可能な構成を有している。なお着脱部材27Aと着脱部材27Bとは自由に着脱可能になっているため、第2固定部27はその他方端側が第2本体部20Bの一部に自由に着脱可能になっている。
【0030】
<作用効果>
次に、本実施の形態の作用効果について説明する。
【0031】
本実施の形態の手袋100は、手甲側被覆部2において、開口部材としての環状リング31が、第1固定部26に接続され、かつ第2固定部27を挿通可能な構成を有している。第1固定部26は第1方向F1に、第2固定部27は第2方向F2に、それぞれ装着者の手を締め付け可能である。このような構成を有するため、環状リング31を介して、第1固定部26と第2固定部27とが互いに接続された状態となっている。さらに第1固定部26と第2固定部27とのそれぞれが装着者の手を締め付ける力を個別に制御することができる。つまりたとえば第1固定部26を比較的強く、第2固定部27を比較的弱く締め付けるなどの個別の調整が可能となる。
【0032】
したがってたとえば単一の固定部のみを用いて締め付け力を調整する場合に比べて装着者はより高い自由度でその手を締め付ける力を制御することができる。このため装着者へのフィット感をより向上させることができる。
【0033】
環状リング31が環状形状を有しており、その開口部は閉じられた空間として形成されている。このため開口部内を挿通する第2固定部27を安定に環状リング31において折り返すことができる。
【0034】
また第2固定部27は第2方向F2に延びる長尺形状を有し、環状リング31を挿通する箇所にてその延在方向が折り返される。したがって第2固定部27は、環状リング31の開口部を介して折り返された他方端部を引っ張るようにして固定されることで、第1固定部26のスリット部30に対向する端部(左右方向における中央部)において、装着者に快適なフィット感を与える程度に強い締め付け力を与えることができる。
【0035】
第1固定部26は第1本体部20Aに着脱可能であり、第2固定部27は第2本体部20Bに着脱可能である。したがって第1固定部26および第2固定部27は、装着時に装着者の手に快適なフィット感および締め付け力を与えることができるとともに、手袋100を外すときには着脱部材(マジックテープ)を外すだけで容易に手を手袋100から抜くことができる。
【0036】
上記の第1方向F1と第2方向F2とは互いに全く異なる方向である。そのため第1方向F1と第2方向F2とで締め付け力を適宜調整することで、装着者に快適なフィット感を与える程度に強い締め付け力を与えることができる。
【0037】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、ゴルフなどのスポーツ用の手袋に特に有利に適用される。
【符号の説明】
【0039】
2 手甲側被覆部、20 手甲側被覆本体部、20A 第1本体部、20B 第2本体部、21 手甲側親指部、22 手甲側人差指部、23 手甲側中指部、24 手甲側薬指部、25 手甲側小指部、26 第1固定部、26A,26B,27A,27B 着脱部材、26C 第1固定部接続部、27 第2固定部、27C 第2固定部接続部、28 手首側領域、30 スリット部、31 環状リング、100 手袋、f1 親指袋、f2 人差指袋、f3 中指袋、f4 薬指袋、f5 小指袋、fc 指接続部。
図1
図2
図3
図4