【実施例】
【0092】
実施例1
置換フェニルフェナントリジン類の合成
実施例1.1
置換2−アミノビフェニル類の合成のための一般法:
Youn, S.W., Tetrahedron Lett. 50 (2009) 4598-4601により記載された鈴木−宮浦カップリング反応を用いて、市販の2−ブロモアニリン誘導体と対応するアリールボロン酸の間で、フェナントリジン類へのさらなる反応に必要な適切な2−アミノビフェニル類を合成することができる。
【0093】
【化10】
【0094】
実施例1.2
置換フェナントリジン類の合成のための一般法:
2−アリールアニリン1(0.01mol)のクロロホルム(20ml)中における氷冷溶液に、アリール酸クロリド2(0.01mol)を添加し、不活性条件下に室温で30分間撹拌した。得られた混合物を、次いで2時間、撹拌しながら還流した。反応混合物を、ピリジン(0.02mol,10mlのクロロホルム中)の滴加により60分間かけて処理した。混合物を室温に放冷し、一夜撹拌した。混合物を0.5M HClで十分に洗浄し、MgSO
4で乾燥させ、真空中で濃縮した。粗生成物をシリカゲル上でのフラッシュクロマトグラフィーにより3:2 ヘキサン/酢酸エチルで精製して、純粋な生成物3を66%の収率で得た;
ベンズアミド−2−ビフェニル3(0.01mol)およびPOCl
3(5ml)を20mlのトルエン中で窒素下に18時間、還流および撹拌した;Lion, C., Bull. Soc. Chim. Belg. 98 (1989) 557-566に記載された方法に従う。冷却した反応混合物をCH
2Cl
2(30ml)で希釈し、氷に注入し、25% NH
4OHおよび蒸留水で洗浄した。有機層をMgSO
4で乾燥させ、真空中で濃縮し、続いてフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル,1:1 ヘキサン/酢酸エチル)により生成物4である6−フェニルフェナントリジンを得た。
【0095】
【化11】
【0096】
収率: 52%. 白色固体.
1H NMR (CDCl
3, 400 MHz) δ 7.54-7.85 (m, 9H), 8.10 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 8.28 (d, J = 7.9 Hz, 1H), 8.62 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 8.67 (d, J = 8.4 Hz, 1H)。
【0097】
2−ナフタレン−2−イル−フェニルアミンを2−アリール−アニリンの代わりに用いると下記のものが得られる:
【0098】
【化12】
【0099】
1H-NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 8.64 (d, J = 9.1 Hz, 2H), 8.29 (d, J = 8.1 Hz, 1H), 8.16 (d, J = 8.92 Hz, 1H), 7.92 (d, J = 7.48 Hz, 1H), 7.79-7.75 (m, 2H), 7.69 (t, J = 14.0, 8.2 Hz, 1H), 7.63-7.61 (m, 2H), 7.53-7.46 (m, 4H), 7.19 (t, J = 14.3, 7.2 Hz, 1H).
MS: [M+H]
+ 306.3。
【0100】
ナフタレン−カルボニルクロリドをフェニル酸クロリドの代わりに用いると下記のものが得られる:
【0101】
【化13】
【0102】
1H-NMR (400 MHz, CDCl
3) δ8.74 (d, J = 8.3 Hz, 1H), 8.65 (d, J = 8.1 Hz, 1H), 8.27 (d, J = 8.1 Hz, 1H), 8.23 (s, 1H), 8.15 (d, J = 8.3 Hz, 1H), 8.03 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.97-7.94 (m, 2H), 7.90-7.85 (m, 2H), 7.80-7.69 (m, 2H), 7.62 (t, J= 14.2, 7.1 Hz, 1H), 7.59-7.55 (m, 2H).
MS: [M+H]
+306.3。
【0103】
実施例1.3
6−(2−スルホフェニル)フェナントリジンの合成方法
6−(2−スルホフェニル)フェナントリジンは、アリールアニリン(0.01mol)を2−スルホ安息香酸 環状無水物(0.01mol)と共にCH
3CN中で6時間、穏やかに加熱することにより合成できる;Nicolai, E., Chem. Pharm. Bull. 42 (1994) 1617-1630に記載された方法を使用;
精製後、実施例1.2に記載された方法に基づいて生成物を適切なフェナントリジンに変換できる。
【0104】
【化14】
【0105】
実施例1.4
6−フェニル−アルキルスルホニルフェナントリジンの合成方法
6−フェニル−アルキルスルホニルフェナントリジンは、アルキルスルホニル−アリールアニリン(0.01mol)を安息香酸クロリド(0.01mol)と共にクロロホルム中で穏やかに加熱することにより合成できる;Lion, C., Bull. Soc. Chim. Belg. 98 (1989) 557-566に記載された方法を使用;実施例1.2を参照;
精製後、実施例1.2に記載された方法に基づいて生成物を適切なフェナントリジンに変換できる。
【0106】
【化15】
【0107】
1H-NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 8.92 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 8.75 (d, J = 1.9 Hz, 1H), 8.68 (d, J = 7.0 Hz, 1H), 8.35 (dd, J = 8.7, 2.0 Hz, 1H), 8.30 (d, J = 7.2 Hz, 1H), 7.89 (t, J = 15.3, 7.1 Hz, 1H), 7.81-7.73 (m, 3H), 7.64-7.56 (m, 3H) 3.12 (s, 3H).
MS: [M+H]+ 334,3
6−(4−メチルスルホフェニル)フェナントリジンも、Cymerman, J., J. Chem. Soc. (1949) 703-707に記載された方法に従って合成できる。
【0108】
実施例1.5
6−[4−(2−{2−[2−(2−メトキシ−エトキシ)−エトキシ]−エトキシ}−エトキシ)−フェニル]−フェナントリジンの合成
【0109】
【化16】
【0110】
2,5,8,11−テトラオキサトリデカン−13−オール トシレートの合成:
方法: (JACS, 2007, 129, 13364) 2,5,8,11−テトラオキサトリデカン−13−オール(7g,33.6mmol)およびトリエチルアミン(4.9ml,35.3mmol)の、乾燥CH
2Cl
2(100ml)中における溶液に、4−トルエンスルホニルクロリド(6.7g,35.3mmol)およびDMAP(120mg)を添加した。混合物を室温で20時間撹拌した。反応混合物を80mLのHCl(1M)、次いで水で洗浄した。抽出液を無水MgSO
4で乾燥させ、濾過し、濾液を蒸発させた。残留物をそれ以上精製せずに次の工程に用いた。
収量: 11.0 g (90%)
NMR:
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 7.75 - 7.64 (m, 2H), 7.31 - 7.26 (m, 2H), 4.16 - 4.06 (m, 2H), 3.62 (m 2H), 3.59 - 3.40 (m, 10H), 3.30 (s, 3H), 2.38 (s, 3H).
13C{
1H} NMR (101 MHz, CDCl
3) δ 144.75 (s), 132.90 (s), 129.77 (s), 127.8 (s), 71.82 (s), 70.60 (s), 70.48 (s), 70.47 (s), 70.41 (s), 70.39 (s), 69.23 (s), 68.55 (s), 58.90 (s), 21.53 (s)。
【0111】
4−PEG4−安息香酸エチルエステルの合成:
方法:(JACS 129 (2007) 13364) 化合物2,5,8,11−テトラオキサトリデカン−13−イル 4−メチルベンゼンスルホン酸エチル(8.1g,22.3mmol)、4−ヒドロキシ安息香酸エチルエステル(3.7g,22.3mmol)、K
2CO
3(15.4g,111.5mmol)および18−クラウン−6(0.59g,2.2mmol)の混合物を、アセトン(120ml)中で22時間還流した。反応混合物を濃縮し、酢酸エチルで抽出した。抽出液をH
2Oで洗浄し、無水MgSO
4で乾燥させ、濾過した。濾液を蒸発乾固し、残留物をシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール=100:1)により精製して、上記化合物(1.93g,88%)を得た。
収量: 7 g (88%)
NMR:
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 8.01 - 7.84 (m, 2H), 6.96 - 6.85 (m, 2H), 4.29 (q, J = 7.1 Hz, 2H), 4.12 (dd, J = 5.4, 4.3 Hz, 2H), 3.82 (dd, J = 5.4, 4.2 Hz, 2H), 3.71 - 3.56 (m, 10H), 3.51 - 3.45 (m, 2H), 3.32 (s, 3H), 1.32 (t, J = 7.1 Hz, 3H).
13C{
1H} NMR (101 MHz, CDCl3) δ 166.29 (s), 162.47 (s), 131.45 (s), 123.01 (s), 114.11 (s), 71.90 (s), 70.84 (s), 70.60 (s), 70.59 (s), 70.58 (s), 70.48 (s), 69.51 (s), 67.54 (s), 60.57 (s), 58.98 (s), 14.35 (s)
MS(+):
[M+Na
+]
+= 計算値 379.1727, 実測値 379.1743。
【0112】
4−PEG4−安息香酸の合成:
方法:(JACS, 2007, 129, 13364) 化合物4−(2,5,8,11−テトラオキサトリデカン−13−イルオキシ)安息香酸エチル(7g,19.6mmol)およびKOH(2.3g,41.24mmol)の、200mLのEtOH/H
2O(1:1 v/v)中における混合物を、一夜還流した。冷却した後、混合物をHCl(2N)で中和した。得られた混合物をEtOAcで抽出し、蒸発乾固した。得られた白色固体をEtOAc/ヘキサン中で再結晶した。
収量: 5.3 g (85%)
NMR:
1H NMR (300 MHz, CDCl
3) δ 11.17 (s, 1H), 8.14 - 7.89 (m, 2H), 7.03 - 6.75 (m, 2H), 4.29 - 4.02 (m, 2H), 3.92 - 3.81 (m, 2H), 3.78 - 3.57 (m, 10H), 3.57 - 3.46 (m, 2H), 3.35 (s, 3H).
13C{
1H} NMR (75 MHz, CDCl
3) δ 171.46 (s), 163.24 (s), 132.30 (s), 121.98 (s), 114.33 (s), 71.96 (s), 70.91 (s), 70.67 (s), 70.66 (s), 70.64 (s), 70.54 (s), 69.55 (s), 67.66 (s), 59.08 (s).
MS(-):
[M-H]
-= 計算値 327.1438, 実測値 327.1456。
【0113】
N−ビフェニル−2−イル−4−(2−{2−[2−(2−メトキシ−エトキシ)−エトキシ]−エトキシ}−エトキシ)−ベンズアミドの合成:
方法:4−(2,5,8,11−テトラオキサトリデカン−13−イルオキシ)安息香酸(3g,9.14mmol)、DMF 0.2mLの、乾燥DCM 30mL中における溶液に、0℃で、塩化オキサリル(1.05mL,12.34mmol)を添加した。反応混合物を0℃で1時間撹拌した。溶液を濃縮乾固した。油状残留物をそれ以上精製せずに次の工程に用いた;
2−フェニルアニリン(1.6g)、ピリジン(2.4mL)の、クロロホルム(80mL)中における溶液を、不活性雰囲気下で0℃にまで冷却した。20mL中の(フェニル−4−(2,5,8,11−テトラオキサトリデカン−13−イルオキシ)ベンゾイルクロリド(3.1g,9.14mmol)をこの溶液に徐々に添加し、最終混合物を室温に達するまで放置した。この溶液を2時間還流し、室温で一夜撹拌した。反応混合物をHCl(1M,2×100mL)、NaHCO
3(100mL)および水(50mL)で抽出した。有機相をMgSO
4で乾燥させ、シリカゲルにおけるクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン)により精製した。
収量: 4.1 (90%)
NMR:
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 8.49 (dd, J = 8.3, 0.9 Hz, 1H), 7.94 (s, 1H), 7.61 - 7.35 (m, 9H), 7.33 - 7.25 (m, 1H), 7.19 (m, 1H), 6.91 - 6.84 (m, 2H), 4.16 - 4.10 (m, 2H), 3.85 (m, 2H), 3.77 - 3.58 (m, 10H), 3.56 - 3.49 (m, 2H), 3.36 (s, 3H).
13C{
1H} NMR (101 MHz, CDCl3) δ 164.56 (s), 161.65 (s), 138.18 (s), 135.12 (s), 132.32 (s), 129.97 (s), 129.39 (s), 129.22 (s), 128.66 (s), 128.57 (s), 128.16 (s), 127.13 (s), 124.18 (s), 121.23 (s), 114.57 (s), 71.95 (s), 70.89 (s), 70.64 (s), 70.63 (s), 70.54 (s), 69.54 (s), 67.63 (s), 59.04 (s), 53.51 (s).
MS(+)
[M+H]
+= 計算値 480.2386 実測値 480.2383; [M+Na]
+= 計算値 502.2200, 実測値 502.2204。
【0114】
6−[4−(2−{2−[2−(2−メトキシ−エトキシ)−エトキシ]−エトキシ}−エトキシ)−フェニル]−フェナントリジンの合成:
方法:N−ビフェニル−2−イル−4−(2−{2−[2−(2−メトキシ−エトキシ)−エトキシ]−エトキシ}−エトキシ)−ベンズアミド(4g,8.34mmol)、POCl
3(10ml)を、10mlのトルエン中で20時間還流した。混合物を室温にまで冷却し、100mlのジクロロメタンを添加した。この溶液を氷に注入し、混合物をNH
4OH(20%)で中和した。有機相を抽出し、順に蒸留水およびブラインで洗浄し、MgSO
4で乾燥させた。得られた溶液をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル,酢酸エチル/ヘキサン 1:1中,R
f=0.14)により精製した。
収量: 1 g (25%)
NMR:
1H NMR (300 MHz, CDCl
3) δ 8.68 (d, J = 8.3 Hz, 1H), 8.59 (dd, J = 8.1, 1.4 Hz, 1H), 8.23 (dd, J = 8.1, 1.1 Hz, 1H), 8.15 (dd, J = 8.3, 0.7 Hz, 1H), 7.84 (ddd, J = 8.3, 7.1, 1.3 Hz, 1H), 7.79 - 7.57 (m, 5H), 7.15 - 7.03 (m, 2H), 4.29 - 4.19 (m, 2H), 3.93-3.90 (m, 2H), 3.80 - 3.60 (m, 12H), 3.59 - 3.49 (m, 2H), 3.37 (s, 3H).
13C{
1H} NMR (75 MHz, CDCl
3) δ 160.92 (s), 159.45 (s), 143.84 (s), 133.59 (s), 131.26 (s), 130.61 (s), 130.26 (s), 129.05 (s), 128.90 (s), 127.19 (s), 126.85 (s), 125.39 (s), 123.70 (s), 122.29 (s), 122.01 (s), 114.68 (s), 72.02 (s), 70.97 (s), 70.74 (s), 70.72 (s), 70.69, 70.62 (s), 69.80 (s), 67.68 (s), 59.15 (s).
MS (+) JM358-F5, [M+H]
+ 計算値 = 462,2280, 実測値 462.2275。
【0115】
実施例2
クロロ架橋した二量体錯体の合成のための一般法:
一般法はNonoyama, M., J. Organomet. Chem. 86 (1975) 263-267により公開された;
イリジウム二量体を下記に従って合成した:IrCl
3・3H
2Oおよび2.5当量の6−フェニルフェナントリジンを窒素下に120℃で18時間、2−エトキシエタノール/水混合物(3:1,v/v)中で加熱した。室温に冷却した後、沈殿を濾別し、順にメタノールおよびEt
2Oで洗浄し、乾燥させて、目的とする二量体を得た。
【0116】
実施例2.1
6−[4−(2−{2−[2−(2−メトキシ−エトキシ)−エトキシ]−エトキシ}−エトキシ)−フェニル]−フェナントリジンを含むビス−イリジウム錯体
【0117】
【化17】
【0118】
6−[4−(2−{2−[2−(2−メトキシ−エトキシ)−エトキシ]−エトキシ}−エトキシ)−フェニル]−フェナントリジン(1g,2.16mmol)、IrCl
3・3H
2O(346mg,0.98mmol)の、16mlの2−EtOEtOH:H
2O(12:4)中における混合物を、窒素雰囲気下で一夜還流した。反応混合物を室温にまで冷却し、60mlの水を添加すると、油状沈殿が得られた。上清を廃棄し、50mlの水を残留物に添加した。混合物を1時間撹拌すると赤褐色の沈殿が得られた。この固体を濾過し、水(50ml)およびEt
2O(30ml)で洗浄した。褐色の固体を比較的少量のジクロロメタンに溶解し、Et
2Oを添加すると沈殿した。それをそれ以上精製せずに次の工程に用いた。
収量: 550 mg (50%)
NMR:
1H NMR (300 MHz, CDCl
3) δ8.74 (d, J = 8.1 Hz, 4H), 8.36 (dd, J = 8.0, 5.2 Hz, 8H), 7.90 (dd, J = 14.7, 7.7 Hz, 8H), 7.81 (d, J = 9.0 Hz, 4H), 7.79 - 7.67 (m, 4H), 6.78 - 6.65 (m, 4H), 6.32 (dd, J = 8.8, 2.5 Hz, 4H), 5.89-5.83 (m, 4H), 5.28 (d, J = 2.5 Hz, 4H), 3.67-3.10 (m, 100H, PEG鎖,若干の不純物を含有)
MS(ESI-MS(+)):
[M+2Na
+]
2+ 計算値 1171.3463, 実測値 1171.3473; [(C^N)
2Ir]
+ = 計算値 1113.3877, 実測値 1113.3892。
【0119】
実施例3:
スルホネート置換フェニルフェナントリジン類の合成およびビス−フェニルフェナントリジン錯体の構築におけるそれらの使用
実施例3.1
3−(4−フェナントリジン−6−イル−フェノキシ)−プロパン−1−スルホン酸セシウム塩の合成
【0120】
【化18】
【0121】
6−(4−メトキシフェニル)フェナントリジンを、前記の方法に従ってN−(ビフェニル−2−イル)−4−メトキシベンズアミド(2g,6.59mmol)の環化により製造した。この化合物をジクロロメタン/ヘキサン(勾配 1:5−1:1)中でのクロマトグラフィーにより精製した。収率:87%。
NMR :
1H NMR (300 MHz, DMSO) δ 8.94 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 8.84 (dd, J = 8.2, 1.2 Hz, 1H), 8.18 - 8.05 (m, 2H), 7.97 (ddd, J = 8.3, 7.1, 1.3 Hz, 1H), 7.86 - 7.62 (m, 5H), 7.23 - 7.07 (m, 2H), 3.88 (s, 3H).
1H NMR (300 MHz, CDCl
3) δ 8.70 (d, J = 8.3 Hz, 1H), 8.61 (dd, J = 8.1, 1.3 Hz, 1H), 8.28 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 8.18 (dd, J = 8.3, 0.7 Hz, 1H), 7.86 (ddd, J = 8.3, 7.1, 1.3 Hz, 1H), 7.81 - 7.56 (m, 5H), 7.18 - 7.02 (m, 2H), 3.92 (s, 3H).
13C NMR (75 MHz, CDCl
3) δ 160.95 (s), 160.33 (s), 143.72 (s), 133.67 (s), 132.12 (s), 131.36 (s), 130.71 (s), 130.20 (s), 129.13 (s), 128.97 (s), 127.23 (s), 126.92 (s), 125.40 (s), 123.73 (s), 122.33 (s), 122.03 (s), 114.03 (s), 55.57 (s).
MS [ESI-MS (+)]: [M+H
+]
-実測値 286.1231, calc. 286.1226。
【0122】
4−フェナントリジン−6−イル−フェノール:6−(4−メトキシフェニル)フェナントリジンの脱保護を、HBrを用いて達成した。6−(4−メトキシフェニル)フェナントリジン(1g,3.5mmol)の懸濁液15mL(HBr,47%)を、100℃で12時間還流した。混合物を室温にまで冷却し、氷水に注入し、Na
2CO
3で中和した。生じた沈殿を濾別し、水およびEt
2Oで洗浄した。この固体をクロマトグラフィーカラムによりジクロロメタン/MeOHを用いて精製した。収率:90%。
NMR:
1H NMR (300 MHz, DMSO) δ 9.84 (s, 1H), 8.92 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 8.82 (dd, J = 8.2, 1.2 Hz, 1H), 8.20 - 8.11 (m, 1H), 8.08 (dd, J = 8.1, 1.2 Hz, 1H), 8.02 - 7.88 (m, 1H), 7.84 - 7.64 (m, 3H), 7.64 - 7.49 (m, 2H), 7.06 - 6.89 (m, 2H).
MS [ESI-MS (-)]: [M-H
+]
-実測値 270.0922, calc. 270.0924。
【0123】
4−(フェナントリジン−6−イル)フェノール(320mg,1.18mmol)の、DMF(4ml)中における溶液に、Cs
2CO
3(482.2mg,1.48mmol)および1,3−プロピルスルトン(159mg,1.30mmol)を添加した。反応混合物を室温で一夜撹拌した。反応混合物を濃縮乾固し、残留物をクロマトグラフィーカラム(シリカ)によりジクロロメタン/MeOH(勾配 10:1−5:1)を用いて精製した。収率:72%。
NMR:
1H NMR (300 MHz, DMSO-d
6) δ 8.98 - 8.87 (m, 1H), 8.83 (dd, J = 7.9, 1.6 Hz, 1H), 8.12 (m, 2H), 7.97 (ddd, J = 8.3, 7.0, 1.3 Hz, 1H), 7.85 - 7.69 (m, 3H), 7.67 (d, J = 8.6 Hz, 2H), 7.14 (d, J = 8.7 Hz, 2H), 4.19 (t, J = 6.5 Hz, 2H), 2.64 - 2.57 (m, 2H), 2.15 - 1.97 (m, 2H).
MS [EI-MS (-)]: [M-Cs
+]
-計算値 392.0956. 実測値 392.0962。
【0124】
実施例3.2
3−(4−フェナントリジン−6−イル−フェノキシ)−プロパン−1−スルホン酸セシウム塩を含むビス−イリジウム錯体の合成
【0125】
【化19】
【0126】
配位子3−(4−(フェナントリジン−6−イル)フェノキシ)プロパン−1−スルホン酸セシウム(500mg,0.92mmol)およびIrCl
3(159.5mg,0.45mmol)の、2−エトキシエタノール:水 混合物(3:1,16ml)中における混合物を、窒素雰囲気下で36時間還流した。反応混合物を濾過し、濾液を濃縮乾固した。残留物をそれ以上精製せずにイリジウム単量体錯体の合成に用いた。
MS [ESI-MS(-)]: [Ir(C^N)
2-2Cs
+]
- 計算値 975.13858, 実測値 975.13882。
【0127】
実施例3.3
(4−フェナントリジン−6−イル−フェノキシ)−メタンスルホン酸の合成
【0128】
【化20】
【0129】
6−(4−クロロメチル−フェニル)−フェナントリジン:
4−クロロメチル−ベンゾイルクロリド(2.5g,13.2mmol)および2−アミノ−ビフェニル(1.95g,11.5mmol)をDCM(50mL)に溶解し、45℃で4時間撹拌し、続いてさらに16時間、室温でアルゴン下に撹拌した。この混合物にピリジン(2.4mL)を添加し、有機層を水(2×50mL)で洗浄した。有機層を次いでNa
2SO
4で乾燥させ、濾過し、蒸発させて、3.78gのN−ビフェニル−2−イル−4−クロロメチル−ベンズアミドを得た。
MS [ESI-MS(+)]: C
20H
17ClNOにつき 計算値: 322.1[M+H]
+; 実測値 322.3。
【0130】
N−ビフェニル−2−イル−4−クロロメチル−ベンズアミド、POCl
3(20mL)およびトルエン(40mL)を混和して120℃で16時間撹拌した。反応混合物を蒸発により乾燥させ、残留物を酢酸エチル(100mL)に装入し、有機層を次いでNaHCO
3(飽和)(2×50mL)で洗浄した。有機層をNa
2SO
4で乾燥させ、濾過し、蒸発させて、1.96gの6−(4−クロロメチル−フェニル)−フェナントリジンを得た。
MS [ESI-MS(+)]: C
20H
15ClNにつき 計算値: 304.1[M+H]
+; 実測値 304.4。
【0131】
(4−フェナントリジン−6−イル−フェニル)−メタンスルホン酸ナトリウム塩:6−(4−クロロメチル−フェニル)−フェナントリジン(1.3g)および亜硫酸ナトリウム(5g)を、H
2O/MeOH混合物(35/16mL)に溶解し、100℃で11時間、アルゴン雰囲気下に撹拌した。反応混合物を濾過し、減圧下で体積を10mLに減少させた。続いて30mLのMeOHの添加により生成物を沈殿させた。生成物を次いで濾別し、MeOH/H
2O混合物(3/1,v/v)で洗浄した。RMを次いで減圧下で乾燥させて、1.0gの(4−フェナントリジン−6−イル−フェニル)−メタンスルホン酸ナトリウム塩を得た。
MS [ESI-MS(+)]: C
20H
16NO
3につき 計算値: 350.1[M+H]
+; 実測値 350.4。
【0132】
実施例3.4
(4−フェナントリジン−6−イル−フェニル)−メタンスルホン酸を含むビス−イリジウム錯体の合成
【0133】
【化21】
【0134】
(4−フェナントリジン−6−イル−フェニル)−メタンスルホン酸(50mg)およびIrCl
3(30mg)を、2−エトキシエタノールと水の混合物(3:1,v/v)に溶解し、これにDIPEA(25μL)を添加した。反応混合物を110℃で一夜、アルゴン下に撹拌した。続いて、混合物を室温にまで冷却し、ニトロセルロース(0.45μm)フィルターで濾過すると明るい赤色の溶液が得られた。揮発性成分を蒸発させ、生成物をHPLCにより精製した。
MS [ESI-MS(+)]: (M-2H
+)
-: C
40H
26IrN
2O
6S
2につき 計算値887.1. 実測値: 887.1 (=観察された2つの配位子を含む1つのイリジウムイオンのフラグメント)。
【0135】
実施例3.5
(6−フェニル−フェナントリジン−9−イル)−メタンスルホン酸ナトリウム塩の合成
【0136】
【化22】
【0137】
工程1:m−トリルボロン酸(10g,73.55mmol)、2−ブロモアニリン(15.1g,88.26mmol)、KF(10g,172mmol)、トリシクロヘキシルホスフィン(1g,3.56mmol)およびPd(OAc)
2(260mg,1.15mmol)を、乾燥THF(100mL)にアルゴン雰囲気下で懸濁/溶解し、80℃で一夜撹拌した;
続いて、RMをEtOAcに装入し、水(2回,100mL)で洗浄した。有機層をNa
2SO
4で乾燥させ、濾過し、揮発性成分を蒸発させると暗黄色の油が得られた。この生成物を次いでシリカカラムで、石油エーテル中5−15% EtOAcの系を用いて精製した。
収量 : 8 g (60%)
MS [ESI-MS(+)]: (M+H
+): C
13H
14Nにつき 計算値 184.1. 実測値: 184.2。
【0138】
工程2:工程1の生成物(8g,43.48mmol)および過酸化ベンゾイル(5mL(43.48mmol)を、乾燥DCM中において室温でアルゴン雰囲気下に2時間反応させた。揮発性成分を蒸発させ、残留物をEtOAcに装入し、飽和NaHCO
3(2回,50mL)およびブライン1回で洗浄した。有機層をNa
2SO
4で乾燥させ、濾過し、揮発性成分を蒸発させると暗黄色の油が得られた。この生成物を次いでシリカカラムで、石油エーテル中5−15% EtOAcの系を用いて精製した。これにより、シリカクロマトグラフィーでは分離できない2種類の生成物が得られた。
おおよその収量: 12 g (約90%)
MS [ESI-MS(+)]:(M+H
+): C
20H
18NOにつき 計算値 288.1 実測値: 288.2。
【0139】
工程3:工程2の生成物(12g,45mmol)をトルエン(100mL)に溶解し、それにPOCl
3(80mL)を添加した。混合物を次いで120℃で一夜、アルゴン雰囲気下に撹拌した。続いて、揮発性成分を蒸発させ、残留物をEtOAcに装入し、飽和NaHCO
3(2回,100mL)およびブライン1回で洗浄した。有機層をNa
2SO
4で乾燥させ、濾過し、揮発性成分を蒸発させると暗黄色の油が得られた。この生成物を次いでシリカカラムで、石油エーテル中5−15% EtOAcの系を用いて精製した。これにより、再び2種類の生成物が得られたが、それらはDCM中2% MeOHを用いて良好に分離された。
おおよその収量: 8 g (66 %)
MS [ESI-MS(+)]:(M+H
+): C
20H
16Nにつき 計算値: 270.1 実測値: 270.2。
【0140】
工程4:工程3の生成物(500mg,1.8mmol)をTHF(5mL)に溶解し、アルゴン雰囲気下で−78℃に冷却した。次いでLDA(2.5mL)を添加し、混合物を−78℃で15分間撹拌した。続いて、クロロトリメチルシラン(0.5mL)を添加し、混合物をさらに15分間、再び撹拌した後、EtOH(0.6mL)で反応を停止した。混合物をEtOAc(50mL)に装入し、飽和NaHCO
3(2回,20mL)およびブライン(20mL)1回で洗浄した。有機層をNa
2SO
4で乾燥させ、濾過し、揮発性成分を蒸発させて、暗黄色の油を得た。
おおよその収量: 200 mg (40 %)
MS [ESI-MS(+)]:(M+H
+): C
23H
23NSiにつき 計算値: 342.2 実測値: 342.2。
【0141】
工程5:工程5の生成物(250mg,0.73mmol)、CsF(540mg,3.5mmol)、C
2Cl
6(840mg,3.5mmol)をCH
3CN(5mL)に溶解/懸濁し、70℃で2時間、アルゴン雰囲気下に撹拌した。混合物をEtOAc(50mL)に装入し、水(20mL)およびブライン(20mL)1回で洗浄した。有機層をNa
2SO
4で乾燥させ、濾過し、揮発性成分を蒸発させて、淡黄色固体を得た。
MS [ESI-MS(+)]:(M+H
+): C
20H
15ClNにつき 計算値: 304.1 実測値: 304.1。
【0142】
工程6:工程5の粗生成物(250mg,0.8mmol)およびNa
2SO
3(200mg,1.5mmol)をMeOH/水 混合物(10mL,1:1,v/v)に溶解し、環流しながら10時間撹拌した。続いて、揮発性成分を蒸発させ、残留物をEtOAcおよび水に装入した。生成物を含有する水層を乾燥させ、さらにdiaionカラムで精製した(水中2−20 %アセトン,生成物は約15%アセトンで溶出)。生成物を次いでさらに分取用Vydac C−18カラムでのHPLCを用いて水中2−50% CH
3CNの系で精製した。
MS [ESI-MS(+)]: (M+H
+): C
20H
15ClNにつき 計算値: 350.1 実測値: 350.1。
【0143】
実施例3.6
(6−フェニル−2−スルホメチル−フェナントリジン−9−イル)−メタンスルホン酸二ナトリウム塩の合成
【0144】
【化23】
【0145】
(6−フェニル−2−スルホメチル−フェナントリジン−9−イル)−メタンスルホン酸二ナトリウム塩の合成を、実施例3.4に記載された方法に従って、適切な出発物質および化学量論的量を用いて実施した。