(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
《第1の実施形態》
本発明の第1の実施形態に係る発光装置について、図面を参照して説明する。
図1は、実施形態に係る発光装置1の概略構成を示す模式断面図である。また、
図2は、
図1に示す発光装置1の一部を拡大して示す断面図である。
【0012】
図1に示すように、発光装置1は、大略、透光性支持基体2と、透光性支持基体3と、発光ダイオード22と、透光性絶縁体13を備えている。
【0013】
透光性支持基体2は、透光性絶縁体4と、透光性絶縁体4の表面に設けられた導電回路層5とを備えている。導電回路層5は、透光性支持基体2を構成する透光性絶縁体4の表面のみに設けられている。
【0014】
透光性支持基体3は、透光性絶縁体6を備え、透光性絶縁体6の表面が導電回路層5と所定の間隙を持って対向するように配置されている。すなわち、透光性支持基体3自体は、導電回路層を有していない。
【0015】
発光ダイオード22は、絶縁基板や半導体基板上に半導体層を形成したものであり、発光ダイオード本体27と、発光ダイオード本体27の一方の表面に設けられ、導電回路層5と電気的に接続された電極28,29とを備え、透光性支持基体2と透光性支持基体3との間に配置されている。発光ダイオード本体27は、所定の間隔をもって複数配列されている。発光ダイオード本体27間の最小距離dは特に限定されないが、最小距離dが1500μm以下となるように高密度に実装する場合に特に有効である。また、配列する発光ダイオード本体27の数量は、発光装置1の仕様(例えば、外形寸法、発光面積など)に応じて、適宜、決定することができる。
【0016】
発光ダイオード22は、例えば
図2に示すように、透明なサファイア基板のような絶縁基板23上に順に形成されたN型の半導体層(例えばn−GaN層)24、活性層(例えばInGaN層)25、およびP型の半導体層(例えばp−GaN層)26を有する発光ダイオード本体27を備えている。尚、N型の半導体層とP型の半導体層の配置位置は、逆であってもよい。本実施形態では、発光ダイオード本体27の発光面側に電極28,29を設けた片面電極構造を適用している。また、半導体基板上に半導体層を形成した発光ダイオードにおいても、片面電極構造を適用することができる。
【0017】
発光ダイオード22の電極28,29は、それぞれ透光性支持基体2の導電回路層5と電気的に接続されている。電極28,29は、Au(金)を含んだ合金を材料とするパッド電極である。
【0018】
図2に示すように、電極28は、導電回路層5と導電性バンプ30を介して接触することで、導電回路層5と電気的に接続されている。電極29は、導電回路層5と導電性バンプ30を介して接触することで導電回路層5と電気的に接続されている。
【0019】
導電性バンプ30としては、金やAuSn合金や銀や銅やニッケルまたそれ以外の金属との合金、混合物、共晶、アモルファス材料でも良く、ハンダや共晶ハンダ、金属微粒子と樹脂の混合物、異方性導電膜などでもよい。また、ワイヤボンダを使ったワイヤバンプ、電解メッキ、無電解メッキ、金属微粒子を含むインクをインクジェット印刷して焼成したもの、金属微粒子を含むペーストの印刷や塗布ボールマウント、ペレットマウント、蒸着スパッタなどにより形成したバンプでも良い。
【0020】
導電性バンプ30の融点は、180℃以上が好ましく、より好ましくは200℃以上である。上限は、実用的な範囲として1100℃以下である。導電性バンプ30の融点が180℃未満であると、発光装置の製造工程における真空熱プレス工程で、導電性バンプ30が大きく変形して充分な厚さを維持出来なくなったり、電極からはみ出してしまい、LEDの光度を低下させる等の不具合が生じる。
【0021】
導電性バンプ30の融点は、例えば、島津製作所製DSC−60示差走査熱量計を用いて5℃/分の昇温速度で、約10mgの試料を用いて測定した融点の値であり、固相線温度と液相線温度が異なる場合は固相線温度の値である。
【0022】
導電性バンプ30のダイナミック硬さDHVは3以上150以下で、好ましくは5以上100以下であり、より好ましくは5以上50以下である。導電性バンプ30のダイナミック硬さDHVが3未満であると、発光装置の製造工程における真空熱プレス工程で、導電性バンプ30が大きく変形して充分な厚さを維持できなくなる。また、導電性バンプ30が電極からはみ出してしまい、LEDの光度を低下させる等の不具合が生じる。一方、導電性バンプ30のダイナミック硬さDHVが150を超えると、発光装置の製造工程における真空熱プレス工程で、導電性バンプ30が透光性支持基体2を変形させて外観不良や接続不良を生じさせるため好ましくない。
【0023】
導電性バンプ30のダイナミック硬さDHVは、例えば、20℃において島津製作所製の島津ダイナミック超微硬度計DUH−W201Sを用いた試験により求める。この試験では、対面角136°のダイヤモンド正四角錐圧子(ビッカース圧子)を負荷速度0.0948mN/秒で導電性バンプ30へ押し込む。そして、圧子の押し込み深さ(D/μm)が0.5μmに達した時の試験力(P/mN)を次式へ代入する。
【0024】
DHV=3.8584P/D
2=15.4336P
【0025】
導電性バンプ30の高さは、5μm以上50μm以下であることが好ましく、より好ましくは、10μm以上30μm以下である。導電性バンプ30の高さが5μm未満だと、導電回路層とP型の半導体層もしくは導電回路層とN型の半導体層との短絡を防ぐ効果が弱くなり好ましくない。一方、50μmを超えてしまうと、発光装置の製造工程における真空熱プレス工程で、導電性バンプ30が透光性支持基体2を変形させて外観不良や接続不良を生じさせるため好ましくない。
【0026】
また、発光ダイオード本体27の電極と導電性バンプ30の接触面積は100μm
2以上15,000μm
2以下が好ましく、より好ましくは400μm
2以上8,000μm
2以下が好ましい。これらの各寸法は室温と被測定物の温度が20℃±2℃となる安定した環境下で計測した値である。
【0027】
本実施形態に係る発光装置においては、発光ダイオード本体27の電極28,29と透光性支持基体2の導電回路層5とが、導電性バンプ30を用いて真空熱プレスにより接続されている。従って、真空熱プレス時に導電性バンプ30の少なくとも一部は融解していない状態で発光ダイオード22の電極に電気的に接続される。このため、発光ダイオード本体27の電極面と導電性バンプ30の接触角は、例えば、135度以下であることが好適である。
【0028】
発光ダイオード22は、電極28、29を介して印加される直流電圧により点灯する。例えば、発光装置1が7個の発光ダイオード本体27を2列に並べて構成される場合、発光装置1の導電回路層5は、7直列2並列回路を構成する。直列接続することにより、流れる電流は全ての発光ダイオード本体27で同じ大きさになる。
【0029】
透光性絶縁体13は、透光性支持基体2と透光性支持基体3との間に埋め込まれている。
【0030】
透光性絶縁体4および透光性絶縁体6には、透光性支持基体2および透光性支持基体3を湾曲可能とするために、例えば絶縁性と透光性と屈曲性とを有するシート状の樹脂材料が用いられる。樹脂材料としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンサクシネート(PES)、環状オレフィン樹脂(例えばJSR社製のアートン(商品名))、アクリル樹脂等が挙げられる。
【0031】
透光性絶縁体4、6の全光透過率は90%以上であることが好ましく、さらに95%以上であることがより好ましい。尚、全光透過率は、例えば、JIS K7105で規定されている。
【0032】
透光性絶縁体4および透光性絶縁体6の厚さは、例えば50〜300μmの範囲であることが好ましい。透光性絶縁体4および透光性絶縁体6の厚さが300μmよりも厚くなると、透光性支持基体2や透光性支持基体3に良好な屈曲性を付与することが困難となり、透光性も低下するおそれがあるからである。また、透光性絶縁体4および透光性絶縁体6の厚さが50μm未満であると、真空熱圧着時に、透光性絶縁体4および透光性絶縁体6が発光ダイオード22周辺で変形してしまい好ましくない。
【0033】
導電回路層5には、例えば、酸化インジウムスズ(ITO)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)、酸化亜鉛、酸化インジウム亜鉛(IZO)等の透明導電材料が用いられる。導電回路層5は、例えば、スパッタ法や電子ビーム蒸着法等を適用して薄膜を形成し、得られた薄膜をレーザ加工やエッチング処理等でパターニングすることにより形成することができる。
【0034】
また、導電回路層5は、例えば平均粒子径が10〜300nmの範囲の透明導電材料の微粒子と透明樹脂バインダとの混合物をスクリーン印刷等で回路形状に塗布したものや、上記混合物の塗布膜にレーザ加工やフォトリソグラフィによるパターニング処理を施して回路を形成したものであってもよい。
【0035】
導電回路層5は、透明導電材料からなるものに限らず、金や銀等の不透明導電材料の微粒子をメッシュ状に付着させたものであってもよい。例えば、ハロゲン化銀のような不透明導電材料の感光性化合物を塗布した後、露光・現像処理を施してメッシュ状の導電回路層5を形成する。また、不透明導電材料微粒子を含むスラリーをスクリーン印刷等でメッシュ状に塗布して導電回路層5を形成してもよい。
【0036】
導電回路層5は、透光性絶縁体4の表面に形成したときに透光性を示し、透光性支持基体2が得られるものであればよい。
【0037】
導電回路層5は、透光性支持基体2の全光透過率(JIS K7105)が10%以上、また発光装置1全体としての全光透過率が1%以上となるような透光性を有していることが好ましい。発光装置1全体としての全光透過率が1%未満であると、発光点が輝点として認識されなくなる。導電回路層5自体の透光性は、その構成によっても異なるが、全光透過率が10〜85%の範囲であることが好ましい。
【0038】
透光性支持基体2と透光性支持基体3との間の空間、すなわち複数の発光ダイオード22の配置部分を除く空間には、透光性絶縁体13が埋め込まれている。透光性絶縁体13は、エラストマーを主成分として含む材料からなることが好ましく、また必要に応じて他の樹脂成分等を含んでいてもよい。エラストマーとしては、アクリル系エラストマー、オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー、エステル系エラストマー、ウレタン系エラストマー等が知られている。これらのうち、上述した特性を満足するアクリル系エラストマーは、透光性、電気絶縁性、屈曲性等に加えて、軟化時の流動性、硬化後の接着性、耐候性等に優れることから、透光性絶縁体13の構成材料として好適である。
【0039】
透光性絶縁体13は、所定のビカット軟化温度、引張貯蔵弾性率、ガラス転移温度、融解温度等の特性を満足する透光性絶縁樹脂、特にエラストマーで構成されていることが好ましい。例えば、ビカット軟化温度が80〜160℃の範囲で、0℃から100℃の間の引張貯蔵弾性率が0.01〜10GPaの範囲であることが好ましい。さらに、透光性絶縁体13は、ビカット軟化温度で溶融しておらず、ビカット軟化温度における引張貯蔵弾性率が0.1MPa以上であることが好ましい。
【0040】
透光性絶縁体13は180℃以上の融解温度、もしくはビカット軟化温度より40℃以上高い融解温度を有することが好ましい。加えて、透光性絶縁体13は−20℃以下のガラス転移温度を有することが好ましい。尚、ビカット軟化温度は、試験荷重10N、昇温速度50℃/時間の条件で、JIS K7206(ISO 306:2004)に記載のA50条件で求めた値である。
【0041】
ガラス転移温度と融解温度は、JIS K7121(ISO 3146)に準拠した方法で、示差走査熱量計を用いて、5℃/分の昇温速度で、熱流束示差走査熱量測定により求めた値である。引張貯蔵弾性率は、JlS K7244−1(ISO 6721)に準拠して、動的粘弾性自動測定器を用いて、−100℃から200℃まで1℃/分で等速昇温し、周波数10Hzで求めた値である。
【0042】
透光性絶縁体13は、電極28、29の周囲にまで配置することができる。すなわち、電極28、29がそれぞれ発光ダイオード本体27の電極形成面(例えば発光面)より小さい面積と電極形成面から突出した形状とを有する場合、電極28、29を導電回路層5に接触させた状態で、電極形成面内における電極28、29が形成されていない面(電極28、29の非形成面)と導電回路層5との間に空間が生じる。このような電極28、29の非形成面と導電回路層5との間の微小空間にも、透光性絶縁体13を充填することが好ましい。
【0043】
透光性絶縁体13は、導電回路層5と電極28、29との接触性を高める上で、発光ダイオード22の高さT
1より薄い厚さを有している。透光性絶縁体13と密着している透光性支持基体2は、発光ダイオード22が配置されている部分から隣接する発光ダイオード22間の中間部分に向けて内側に湾曲した形状を有している。従って、透光性支持基体2は導電回路層5を電極28、29に押し付けている。これによって、導電回路層5と電極28、29との電気的な接続性やその信頼性を高めることができる。
【0044】
発光ダイオード本体27の発光面に設けられた電極29は、活性層25からの発光が外部へ放出されることを妨げないように、発光面より小さい面積を有している。
図3は、本実施形態における導電回路層5と発光ダイオード22との接続例を示している。発光ダイオード22が、導電回路層5に接続される。導電回路層5は例えば透明導電材料であるが、先述したようにこれに限られない。また、導電回路層5のパターンもこれに限らず種々変更が可能である。
【0045】
本実施形態によれば、発光ダイオードを埋設したフレキシブルな透光性発光装置において、例えば、パッド電極側が凹になるように屈曲されても、導電性バンプ30によって十分な高さが確保できるので、短絡を防止することができる。
【0046】
<製造方法>
図4A〜
図4Dは、本実施形態に係る発光装置の製造方法を説明する図である。本実施形態に係る発光装置の製造方法について、
図4A〜
図4Dを参照して説明する。
【0047】
まず、電極28と電極29(アノード電極とカソード電極もしくはカソード電極とアノード電極)を形成した発光ダイオード22を用意する。
【0048】
次に、発光ダイオード22の電極28,29の双方に導電性バンプ30を形成する。導電性バンプ30の形成方法は、ワイヤバンプ加工機を使ってAuワイヤもしくはAu合金ワイヤから金もしくは金合金バンプを作る方法を採用することができる。用いるワイヤ径は、15μm以上75μm以下が好ましい。
【0049】
本実施形態では、ワイヤボンディング装置を用い、ワイヤ先端を放電しその金属を溶融させてボールを形成した後、超音波を与えてパッド電極と接続する。そして、パッド電極にボールが接続された状態で、ボールからワイヤを切り離す。
【0050】
<丸め処理>
ボール頂部に残った微小な突起はそのまま残してもよいが、所望によりボール上面を押圧してボール上面の丸め処理を行ってもよい。後者の場合、タンピング処理は、樹脂シートを介してプレス機で行っても良いし、ワイヤボンディング装置の治具先端でボール上面をプレスするようにしても良い。押圧による丸め処理を行った場合は、ボール上面の曲率はボール下部よりやや大きくなる。
【0051】
図5は、丸め処理前のバンプ(ボール)形状の模式図である。
図5に示すように、導電性バンプ30には、バンプ形成時に切り取ったワイヤが残っている。この残りは、テールと称される。導電性バンプ30の形状は、LEDパッド電極に接している面の直径をA、バンプの高さをBとした場合、B/A=0.2〜0.7を満たしていることが望ましい。そこで、係る数値範囲からはずれるようなテールについては、丸め処理を施す。
【0052】
図6A〜
図6Cは、治具を使用した丸め処理を説明する図である。バンプを形成後、バンプボンディング装置ステージ(図示しない)に発光ダイオードを配置する(
図6A参照)。バンプボンディング装置に取り付けられ、バンプより硬い冶具を、その下面が電極と平行になった状態で、バンプ上部へ押し付ける(
図6B参照)。このとき、バンプの高さが所望の高さBになるまで、治具を押し付ける。結果、バンプ形成時において、ワイヤを切り離すときに上部に残ったワイヤが冶具に押しつぶされ(
図6C参照)、バンプに突起の無い連続面が形成される。
【0053】
図7A〜
図7Cは、樹脂シートを用いたプレス加工による丸め処理を説明する図である。
図8Aは、プレス前の発光ダイオードの配置を示す図である。
図8Bは、プレス後のLEDチップの配置を説明する図である。プレス装置のプレス下板に、形成されたバンプ高さBにLEDチップ厚を加えた高さより厚い樹脂シート200を配置し、前記樹脂シート200にバンプを形成したLEDチップを配置し、さらに、形成されたバンプ高さBにLEDチップ厚を加えた高さより厚い樹脂シート100をLEDチップ上部に配置する(
図7A参照)。ここで、樹脂シート100,200は、例えば、PET、フッ素樹脂、TPX、オレフィン等を使用することができる。
【0054】
図8Aに示すように、プレス装置プレス上板及びプレス下板で上記発光ダイオードを挟み込むように圧力をかけてプレスすると(
図7B参照)、
図8Bに示すように、発光ダイオードのバンプ形成面は樹脂シート100に埋め込まれる。また、LEDチップのバンプ形成面の反対面は樹脂シート200に埋め込まれる。
【0055】
図8Bに示すようにプレス後、樹脂シート100,200を引き剥がす。結果、LEDチップに形成されたバンプの、バンプ形成時にワイヤを切り離す時に上部に残ったワイヤが樹脂シート100に押しつぶされ、バンプ上部に連続な面が形成される(
図7C参照)。このとき樹脂硬度、プレス圧力を調整することにより、バンプ高さBを調整することができる。尚、プレス時に樹脂シート200を配置せずにプレス下板に直接LEDチップを配置しても良い。
【0056】
樹脂シートのプレス加工手法によった場合、冶具による丸め方法と比較すると、バンプ上部に形成された連続面は、曲面となる。かくして金属ボールによりパッド電極上に導電性バンプを形成するが、ワイヤバンプ以外に電解メッキや無電解メッキ、金属微粒子を含むインクを用いたインクジェット塗布、金属微粒子を含んだペーストの塗布や印刷、ボールマウントやペレットマウント異方性導電膜の熱圧着などにより金や銀や銅やニッケルなどの金属、金スズ合金などの合金や共晶やアモルファス、ハンダなどを用いることができる。
【0057】
次に、透光性絶縁体4とその表面に形成された導電回路層5とを有する透光性支持基体2と、透光性絶縁体6のみからなる透光性支持基体3とを用意する。導電回路層5の構成材料や形成方法等は上述した通りである。
【0058】
次に、80〜160℃の範囲のビカット軟化温度を有する透光性絶縁樹脂シート13’を用意する。透光性絶縁樹脂シート13’は、上述したビカット軟化温度に加えて、0℃から100℃の間の引張貯蔵弾性率が0.01〜10GPaの範囲で、ビカット軟化温度で溶融していないと共に、ビカット軟化温度における引張貯蔵弾性率が0.1MPa以上であり、融解温度が180℃以上もしくはビカット軟化温度より40℃以上高く、ガラス転移温度が−20℃以下である樹脂を主成分とすることが好ましい。透光性絶縁樹脂シート13’は、エラストマーシートが好ましく、さらにアクリル系エラストマーシートがより好ましい。
【0059】
次に、透光性支持基体2の導電回路層5上に、導電回路層5全体を覆うように透光性絶縁樹脂シート13’を配置する(
図4A参照)。例えば、透光性絶縁樹脂シート13’を接着剤にて仮付する。
【0060】
透光性絶縁樹脂シート13’は、導電回路層5上の発光ダイオード22の配置位置となる部分を含めて、導電回路層5全体、さらに透光性絶縁体4全体を覆うことが可能な形状を有している。透光性絶縁樹脂シート13’上に複数の発光ダイオード22を配置する(
図4B参照)。発光ダイオード22は電極28,29が透光性絶縁樹脂シート13’側に位置するように、言い換えると導電回路層5側に位置するように配置される。発光ダイオード22上に透光性支持基体3を配置する(
図4C参照)。
【0061】
図4A〜
図4Cに示す工程を実施することで、発光ダイオード22は電極28,29が導電回路層5側に位置した状態で、透光性支持基体2と透光性支持基体3との間に配置される。
【0062】
透光性絶縁樹脂シート13’は、以下に示す真空熱圧着工程で透光性支持基体2と透光性支持基体3との間の空間、すなわち発光ダイオード22を配置することにより生じる透光性支持基体2と透光性支持基体3との間隙に基づく空間を十分に埋めることが可能な厚さを有していればよい。
【0063】
具体的には、透光性絶縁樹脂シート13’の厚さは、発光ダイオード22の高さに基づく透光性支持基体2と透光性支持基体3との間隙を十分に埋めることが可能であればよい。透光性絶縁体13の厚さ(T)を発光ダイオード22の高さ(H)より薄くする場合には、これらの差(H−T)に対応させて透光性絶縁樹脂シート13’の厚さを設定すればよい。
【0064】
次に、
図4Dに示すように、透光性支持基体2と透光性絶縁樹脂シート13’と発光ダイオード22と透光性支持基体3とが順に積層された積層体を、真空雰囲気中で加熱しながら加圧する。
【0065】
真空雰囲気中における積層体の加熱・加圧工程(真空熱圧着工程)は、積層体を、透光性絶縁樹脂シート13’のビカット軟化温度Mp(℃)に対し、Mp−10(℃)≦T≦Mp+30(℃)の範囲の温度Tまで加熱するとともに、加圧することが好ましい。より好ましい加熱温度は、Mp−10(℃)≦T≦Mp+10(℃)の範囲である。
【0066】
このような加熱条件を適用することによって、透光性絶縁樹脂シート13’を適度に軟化させた状態で積層体を加圧することができる。透光性絶縁樹脂シート13’を介して導電回路層5上に配置された電極28、29を導電回路層5の所定の位置に接続しつつ、透光性支持基体2と透光性支持基体3との間に軟化させた透光性絶縁樹脂シート13’を埋め込んで透光性絶縁体13を形成することができる。
【0067】
積層体の真空熱圧着時の加熱温度Tが、透光性絶縁樹脂シート13’のビカット軟化温度Mpより10(℃)低い温度未満(T<Mp−10)であると、透光性絶縁樹脂シート13’の軟化が不十分となり、透光性絶縁樹脂シート13’(ひいては透光性絶縁体13)の発光ダイオード22に対する密着性が低下するおそれがある。加熱温度Tが透光性絶縁樹脂シート13’のビカット軟化温度Mpより30(℃)高い温度を超える(Mp+30<T)と、透光性絶縁樹脂シート13’が軟化しすぎて形状不良等が生じるおそれがある。
【0068】
<熱圧着工程>
積層体の真空雰囲気中での熱圧着工程は、以下のようにして実施することが好ましい。上述した積層体を予備加圧して各構成部材間を密着させる。次いで、予備加圧された積層体が配置された作業空間を真空引きした後、積層体を上記したような温度に加熱しながら加圧する。このように、予備加圧された積層体を真空雰囲気中で熱圧着することによって、透光性支持基体2と透光性支持基体3との間の空間に軟化させた透光性絶縁樹脂シート13’を隙間なく埋め込むことができる。
【0069】
熱圧着時の真空雰囲気は5kPa以下とすることが好ましい。予備加圧工程を省くことも可能であるが、この場合には積層体に位置ずれ等が生じやすくなるため、予備加圧工程を実施することが好ましい。
【0070】
積層体の熱圧着工程を大気雰囲気下や低真空下で実施すると、熱圧着後の発光装置1内、とりわけ発光ダイオード22の周囲に気泡が残存しやすい。発光装置1内に残留する気泡は加圧されているため、熱圧着後の発光装置1の膨れや発光ダイオード22の透光性支持基体2,3から剥離の発生原因となる。さらに、発光装置1の内部、とりわけ発光ダイオード22の近傍に気泡や膨れが存在していると、光が不均一に散乱されたりして、発光装置1の外観上の問題となるので好ましくない。
【0071】
以上のようにして、導電回路層5と発光ダイオード22の電極28,29との間に透光性絶縁樹脂シート13’を介在させた状態で、真空熱圧着工程を実施することによって、電極28,29と導電回路層5とを電気的に接続しつつ、発光ダイオード22の周囲に密着させた透光性絶縁体13を形成することができる。さらに、発光ダイオード本体27の発光面内における電極28,29の非形成面と導電回路層5との間の空間に、透光性絶縁体13の一部を良好に充填することができる。
【0072】
本実施形態に係る製造方法によれば、導電回路層5と発光ダイオード22の電極28,29との電気的な接続性やその信頼性を高めた発光装置1を再現性よく製造することができる。
【0073】
図13は、発光装置1を構成する発光ダイオード22と、その周辺に位置する透光性絶縁体13、導電回路層5、透光性絶縁基体4,6を示す図である。また、
図14は、発光ダイオード22の電極28,29に形成された導電性バンプ30を拡大して示す図である。
図13,
図14を参照するとわかるように、発光装置1では、導電回路層5は、発光ダイオード22の導電性バンプ30に接する接触領域が、導電性バンプ30に沿って窪んだ状態になっている。これにより、導電性バンプ30と導電回路層5とが接触する面積を増加させることができる。その結果、導電性バンプ30と導電回路層5との間の抵抗を小さくすることが可能となる。
【0074】
本実施形態では、透光性絶縁体13が単層のシートの場合を示したが、透光性絶縁体13を2枚の透光性絶縁樹脂シートとし、この2枚の透光性絶縁樹脂シートの間に発光ダイオードを挟んだ状態で透光性支持基体2と透光性支持基体3を加圧して
図2に示した構成を得るようにしても良い。
【0075】
また、その際、透光性支持基体3を仮の基体とし、全体を加圧して電極28,29と導電回路層5の電気的接続を得た後、2枚のうち電極28,29と反対側の透光性樹脂シートを剥し、あらためて剥したのと同じ厚みを持つ透光性樹脂シートと最終的な透光性支持基体3を被せて
図2に示した構成を得るようにしてもよい。
【0076】
《第2の実施形態》
次に、本発明の第2の実施形態に係る発光装置について、図面を参照して説明する。なお、第1の実施形態に係る発光装置と同等の構成については、説明を省略する。
【0077】
図9は、実施形態に係る発光装置1の概略構成を示す模式断面図である。また、
図10は、
図9に示す発光装置1の一部を拡大して示す断面図である。本実施形態に係る発光装置は、当該発光装置を構成する発光ダイオードが、両面に電極を有している点で、第1の実施形態に係る発光装置と相違している。
【0078】
図9に示すように、発光装置1は、大略、透光性支持基体2と、透光性支持基体3と、発光ダイオード8と、透光性絶縁体13を備えている。
【0079】
透光性支持基体2は、透光性絶縁体4とその表面に形成された導電回路層5とを備えている。透光性支持基体3は、透光性絶縁体6とその表面に形成された導電回路層7を備えている。
【0080】
透光性支持基体2と透光性支持基体3とは、導電回路層5と導電回路層7とが対向するように、それらの間に所定の間隙を設けて配置されている。透光性絶縁体4と透光性絶縁体6の間の発光ダイオード8と導電回路層5および導電回路層7以外の部分には、透光性絶縁体13が存在している。
【0081】
透光性支持基体2の導電回路層5を有する表面と透光性支持基体3の導電回路層7表面との間には、単独もしくは複数の発光ダイオード8が配置されている。発光ダイオード8は、発光面側に電極9を、反対面側に電極10を有している。電極9は導電回路層5に、電極10は導電回路層7にそれぞれ電気的に接続している。
【0082】
発光ダイオード8としては、PN接合を有する発光ダイオードチップ(LEDチップ)を用いることができる。なお、発光ダイオード8は、LEDチップに限られるものではなく、レーザダイオード(LD)チップ等であってもよい。発光ダイオード8としては、例えば、N型の半導体基板上にP型の半導体層を形成したもの、P型の半導体基板上にN型の半導体層を形成したもの、半導体基板上にN型の半導体層とP型の半導体層とを形成したもの、P型の半導体基板上にP型のへテロ半導体層とN型のへテロ半導体層を形成したもの、N型の半導体基板上にN型のへテロ半導体層とP型のへテロ半導体層を形成したもののいずれでもよい。また、LEDをCuW等の金属支持基板やSi、Ge、GaAs等の半導体支持基板にボンディングさせ、P−N接合を最初の半導体基板から支持基板に移動させたタイプのLEDでもよい。
【0083】
本実施形態で用いる発光ダイオード8は、
図10に示すように、P型の半導体層16もしくは17、N型の半導体層17もしくは16に挟まれた発光層(PN接合界面やダブルヘテロ接合構造の発光部位)11を有する発光ダイオード本体12と、発光ダイオード本体12の上面及び下面に設けられた電極9と電極10とを備えている。
【0084】
図10に示すように、電極9は、導電回路層5と導電性バンプ20を介して接触することで、導電回路層5と電気的に接続されている。電極10は、導電回路層7と接触することで、導電回路層7と電気的に接続されている。
【0085】
発光ダイオード8は、電極9,10を介して印加される直流電圧により点灯する。また、発光ダイオード本体12には、光反射層や電流拡散層や透明電極等が介在していてもかまわない。この場合、発光ダイオード本体12は、光反射層や電流拡散層や透明電極を含む。
【0086】
導電性バンプ20は、第1の実施形態に係る導電性バンプと同等の構成を有している。導電性バンプ20の高さは、5μm以上50μm以下であることが好ましく、より好ましくは、10μm以上30μm以下である。導電性バンプ20の高さが5μm未満だと、導電回路層5と半導体層16との短絡を防ぐ効果が弱くなり好ましくない。一方、導電性バンプ20の高さが50μmを超えてしまうと、発光装置の製造工程における真空熱プレス工程で、導電性バンプ20が第1の支持基体を変形させて外観不良や接続不良を生じさせるため好ましくない。
【0087】
また、後述する実施例と表1で詳述するように、LEDチップの表面からバンプの先端までの垂直距離aとバンプの平面方向での中心位置とLEDチップの端部までの最大距離bの比a/bが0.120以上かつ0.400以下であることが、本発明による発光装置の信頼性を確保する上で好ましく、比a/bはより好ましくは0.130以上0.380以下である。
【0088】
また、LEDチップの電極9と導電性バンプ20の接触面積は100μm2以上15,000μm2以下が好ましく、より好ましくは400μm2以上8,000μm2以下が好ましい。これらの各寸法は室温と被測定物の温度が20℃±2℃で安定した環境下で計測した値である。
【0089】
導電回路層5,導電回路層7は、それぞれ透光性絶縁基体4,6の表面に形成されている。導電回路層7は、第1の実施形態で説明した導電回路層5と同等の構成を有している。
【0090】
透光性支持基体2と透光性支持基体3との間における複数の発光ダイオード8の配置部分を除く部分には、透光性絶縁体13が埋め込まれている。透光性絶縁体13は、ビカット軟化温度で溶融しておらず、ビカット軟化温度における引張貯蔵弾性率が0.1MPa以上であることが好ましい。透光性絶縁体13は、180℃以上の融解温度、もしくはビカット軟化温度より40℃以上高い融解温度を有することが好ましい。加えて、透光性絶縁体13は、−20℃以下のガラス転移温度を有することが好ましい。
【0091】
透光性絶縁体13の構成材料としてのエラストマーは、それを用いて形成した透光性絶縁体13の導電回路層5,7に対する引き剥がし強度(JIS C5061 8.1.6の方法Aによる)が0.49N/mm以上であることがさらに好ましい。
【0092】
上述したビカット軟化温度と引張貯蔵弾性率と融解温度とを有するエラストマー等を用いることによって、複数の発光ダイオード8に密着させた状態で透光性絶縁体13を、透光性支持基体2と透光性支持基体3との間に埋め込むことができる。言い換えると、導電回路層5と電極9(バンプ付き第1の電極。以下同じ)との接触状態および導電回路層7と電極10との接触状態が、発光ダイオード8の周囲に密着した状態で配置された透光性絶縁体13により維持される。
【0093】
従って、特に発光装置1に屈曲試験や熱サイクル試験(TCT)等を施した際の、導電回路層5と電極9および導電回路層7と電極10との電気的な接続信頼性を高めることができる。
【0094】
透光性絶縁体13のビカット軟化温度が160℃を超えると、後述する透光性絶縁体13の形成工程で透光性絶縁樹脂シートを十分に変形させることができず、これにより導電回路層5と電極9および導電回路層7と電極10との電気的な接続性が低下する。透光性絶縁体13のビカット軟化温度が80℃未満であると発光ダイオード8の保持力が不足し、導電回路層5と電極9および導電回路層7と電極10との電気的な接続信頼性が低下する。透光性絶縁体13のビカット軟化温度は100℃以上であることが好ましい。導電回路層5と電極9および導電回路層7と電極10との電気的な接続信頼性をさらに高めることができる。透光性絶縁体13のビカット軟化温度は140℃以下であることが好ましい。導電回路層5と電極9および導電回路層7と電極10との電気的な接続性をより有効に高めることができる。
【0095】
透光性絶縁体13の0℃から100℃の間の引張貯蔵弾性率が0.01GPa未満である場合にも、導電回路層5と電極9および導電回路層7と電極10との電気的な接続性が低下する。
【0096】
発光ダイオード8やその電極9,第2の10は微細であるため、後述する真空熱圧着時に複数の発光ダイオード8の電極9,電極10を正確に導電回路層5,導電回路層7の所定の位置に接続するためには、室温から真空熱圧着工程の加熱温度付近に至るまで、透光性絶縁樹脂シート13’が比較的高い貯蔵弾性を維持する必要がある。
【0097】
真空熱圧着時に樹脂の弾性が低下すると、加工途中で発光ダイオード8の傾きや横方向への微細な移動が起きて、電極9,電極10と導電回路層5,導電回路層7とを電気的に接続することができなかったり、接続抵抗が増加する等の事象が発生しやすくなる。これは発光装置1の製造歩留りや信頼性を低下させる要因となる。これを防止するために、0℃から100℃の間の引張貯蔵弾性率が0.01GPa以上の透光性絶縁体13を適用する。
【0098】
ただし、貯蔵弾性が高すぎると発光装置1の耐屈曲性等が低下するため、0℃から100℃の間の引張貯蔵弾性率が10GPa以下の透光性絶縁体13を適用する。透光性絶縁体13の0℃から100℃の間の引張貯蔵弾性率は0.1GPa以上であることが好ましく、また7GPa以下であることが好ましい。
【0099】
透光性絶縁体13を構成するエラストマー等がビカット軟化温度で溶融しておらず、かつビカット軟化温度における引張貯蔵弾性率が0.1MPa以上であると、真空熱圧着時における電極9,10と導電回路層5,導電回路層7との縦位置精度をより一層高めることができる。
【0100】
このような点から、透光性絶縁体13を構成するエラストマーは180℃以上の融解温度、もしくはビカット軟化温度より40℃以上高い融解温度を有することが好ましい。エラストマーのビカット軟化温度における引張貯蔵弾性率は1MPa以上であることがより好ましい。また、エラストマーの融解温度は200℃以上、もしくはビカット軟化温度より60℃以上高いことがより好ましい。
【0101】
さらに、透光性絶縁体13は発光装置1の製造性のみならず、低温から高温に至る広い温度範囲で発光装置1の耐屈曲性や耐熱サイクル特性を向上させるために、上記したビカット軟化温度と引張貯蔵弾性率とガラス転移温度の特性バランスが重要である。上述した引張貯蔵弾性率を有するエラストマーを使用することで、発光装置1の耐屈曲性や耐熱サイクル特性を高めることができる。
【0102】
ただし、屋外用途や屋内でも冬期の生活環境によっては、低温での耐屈曲性や耐熱サイクル特性が求められる。エラストマーのガラス転移温度が高すぎると、低温環境下における発光装置1の耐屈曲性や耐熱サイクル特性が低下するおそれがある。このため、ガラス転移温度が−20℃以下のエラストマーを使用することが好ましい。このようなガラス転移温度と引張貯蔵弾性率とに基づいて、発光装置1の低温から高温に至る広い温度範囲での耐屈曲性や耐熱サイクル特性を向上させることができる。エラストマーのガラス転移温度は−40℃以下であることがより好ましい。
【0103】
透光性絶縁体13の厚さは、発光ダイオード8の高さに基づく透光性支持基体2と透光性支持基体3との間隙と同等であってもよいが、導電回路層5,導電回路層7と電極9,10との接触性を高める上で、発光ダイオード8の高さより薄いことが好ましい。さらに、透光性絶縁体13の厚さ(T)は、発光ダイオード8の高さ(H)との差(H−T)が5〜200μmの範囲になるように設定することがより好ましい。
【0104】
ただし、透光性絶縁体13の厚さ(T)を薄くしすぎると、透光性絶縁体13の形状を維持することが困難となったり、また発光ダイオード8に対する密着性等が低下するおそれがあるため、発光ダイオード8の高さ(H)と透光性絶縁体13の厚さ(T)との差(H−T)は、発光ダイオード8の高さ(H)の1/2以下とすることが好ましい。
【0105】
本実施形態によれば、発光ダイオードを埋設したフレキシブルな透光性発光装置において、屈曲されても、導電性バンプ20によって十分な高さが確保できるので、短絡を防止することができる。
【0106】
<製造方法>
図11A〜
図11Dは、本実施形態に係る発光装置の製造方法を説明する図である。本実施形態に係る発光装置1の製造方法について、
図11A〜
図11Dを参照して説明する。
【0107】
まず、一側に電極9と他側に電極10(アノード電極とカソード電極もしくはカソード電極とアノード電極)を形成した発光ダイオード8を用意する。次に、LEDチップの電極9(電極パッド)に、導電性バンプ20を形成する。導電性バンプ20の形成方法は、ワイヤバンプ加工機を使ってAuワイヤもしくはAu合金ワイヤから金もしくは金合金バンプを作る方法を採用することができる。用いるワイヤ径は、15μm以上75μm以下が好ましい。
【0108】
本実施形態では、ワイヤボンディング装置を用い、ワイヤ先端を放電しその金属を溶融させてボールを形成した後、超音波を与えてパッド電極と接続する。そして、パッド電極にボールが接続された状態で、ボールからワイヤを切り離す。バンプ20ついては、第1の実施形態に係るバンプ30と同様に丸め処理を行う。この丸め処理は、樹脂シートを用いて行ってもよい。その場合には、
【0109】
図12Aは、プレス前の発光ダイオードの配置を示す図である。
図12Bは、プレス後の発光ダイオードの配置を示す図である。
図12Aに示すように、プレス装置プレス上板、下板で上記発光ダイオードを挟み込むように圧力をかけてプレスすると、
図12Bに示すように、発光ダイオードのバンプ形成面は樹脂シート100に埋め込まれる。また、発光ダイオードのバンプ形成面の反対面は樹脂シート200に埋め込まれる。
【0110】
図12Bに示すようにプレス後、樹脂シート100,200を引き剥がす。結果、LEDチップに形成されたバンプの、バンプ形成時にワイヤを切り離す時に上部に残ったワイヤが樹脂シート100に押しつぶされ、バンプ上部に連続な面が形成される(
図7C参照)。このとき樹脂硬度、プレス圧力を調整することにより、バンプ高さBを調整することができる。尚、プレス時に樹脂シート200を配置せずにプレス下板に直接LEDチップを配置しても良い。
【0111】
次に、透光性絶縁体4とその表面に形成された導電回路層5とを有する透光性支持基体2と、透光性絶縁体6とその表面に形成された導電回路層7とを有する透光性支持基体3とを用意する。導電回路層5,導電回路層7の構成材料や形成方法等は上述した通りである。
【0112】
次に、80〜160℃の範囲のビカット軟化温度を有する透光性絶縁樹脂シート14を用意する。透光性絶縁樹脂シート14は、上述したビカット軟化温度に加えて、0℃から100℃の間の引張貯蔵弾性率が0.01〜10GPaの範囲で、ビカット軟化温度で溶融していないと共に、ビカット軟化温度における引張貯蔵弾性率が0.1MPa以上であり、融解温度が180℃以上もしくはビカット軟化温度より40℃以上高く、ガラス転移温度が−20℃以下である樹脂を主成分とすることが好ましい。透光性絶縁樹脂シート14は、エラストマーシートが好ましく、さらにアクリル系エラストマーシートがより好ましい。
【0113】
次に、透光性支持基体2の導電回路層5上に、導電回路層5全体を覆うように透光性絶縁樹脂シート14を配置する(
図11A参照)。透光性絶縁樹脂シート14は、導電回路層5上の発光ダイオード8の配置位置となる部分を含めて、導電回路層5全体、さらに透光性絶縁体4全体を覆うことが可能な形状を有している。
【0114】
次いで、透光性絶縁樹脂シート14上に複数の発光ダイオード8を配置する(
図11B参照)。発光ダイオード8は、導電性バンプ20が形成された電極9が透光性絶縁樹脂シート14側に位置するように、言い換えると導電回路層5側に位置するように配置される。
【0115】
さらに、発光ダイオード8上に、透光性絶縁体表面に導電回路層7が形成された透光性支持基体3を配置する(
図11C参照)。
【0116】
図11A〜
図11Cに示す工程を実施することによって、発光ダイオード8は電極9が透光性絶縁樹脂シート14側に位置し、かつ電極10が透光性支持基体3側に位置するように、透光性絶縁樹脂シート14と透光性支持基体3との間に配置される。
【0117】
透光性絶縁樹脂シート14は、以下に述べる真空熱圧着工程で透光性支持基体2と透光性支持基体3との間の空間、すなわち発光ダイオード8を配置することにより生じる透光性支持基体2と透光性支持基体3との間隙に基づく空間を十分に埋めることが可能な厚さを有していればよい。
【0118】
具体的には、透光性絶縁樹脂シート14の厚さは、前述した発光ダイオード8の高さに基づく透光性支持基体2と透光性支持基体3との間隙を十分に埋めることが可能であれはよい。また、透光性絶縁体13の厚さ(T)を発光ダイオード8の高さ(H)より薄くする場合には、これらの差(H−T)に対応させて透光性絶縁樹脂シート14の厚さを設定すればよい。
【0119】
次に、
図11Dに示すように、透光性支持基体2、透光性絶縁樹脂シート14、発光ダイオード8、透光性支持基体2とが順に積層された積層体を真空雰囲気中で加熱しながら加圧する。
【0120】
真空雰囲気中における積層体の加熱・加圧工程(真空熱圧着工程)は、透光性絶縁樹脂シート14のビカット軟化温度Mp(℃)に対し、Mp−10(℃)≦T≦Mp+30(℃)の範囲の温度Tまで加熱するとともに、加圧することが好ましい。より好ましい加熱温度は、Mp−10(℃)≦T≦Mp+10(℃)の範囲である。このような加熱条件を適用することによって、透光性絶縁樹脂シート14を適度に軟化させた状態で積層体を加圧することができる。
【0121】
従って、透光性絶縁樹脂シート14を介して導電回路層5上に配置されたバンプ付き電極9を導電回路層5の所定の位置に接続し、かつ電極10を導電回路層7の所定の位置に接続しつつ、透光性支持基体2と透光性支持基体3との間に軟化させた透光性絶縁樹脂シート14を埋め込んで透光性絶縁体13を形成することができる。
【0122】
積層体の真空熱圧着時の加熱温度Tが、透光性絶縁樹脂シート14のビカット軟化温度Mpより10(℃)低い温度未満(T<Mp−10)であると、透光性絶縁樹脂シート14の軟化が不十分となり、透光性絶縁樹脂シート14(ひいては透光性絶縁体13)の発光ダイオード8に対する密着性が低下するおそれがある。
【0123】
さらに、発光ダイオード本体12の発光面内における電極9の非形成面と導電回路層5との間の空間に、透光性絶縁樹脂シート14(ひいては透光性絶縁体13)の一部を良好に充填することができないおそれがある。加熱温度Tが透光性絶縁樹脂シート14のビカット軟化温度Mpより30(℃)高い温度を超える(Mp+30<T)と、透光性絶縁樹脂シート14が軟化しすぎて形状不良等が生じるおそれがある。
【0124】
電極10と導電回路層7との接続は、直接コンタクトでも良いし、導電性接着剤等を介してもよい。
【0125】
<熱圧着工程>
積層体の真空雰囲気中での熱圧着工程は、以下のようにして実施することが好ましい。上述した積層体を予備加圧して各構成部材間を密着させる。次いで、予備加圧された積層体が配置された作業空間を真空引きした後、積層体を上記したような温度に加熱しながら加圧する。このように、予備加圧された積層体を真空雰囲気中で熱圧着することによって、透光性支持基体2と透光性支持基体3との間の空間に軟化させた透光性絶縁樹脂シート14を隙間なく埋め込むことができる。
【0126】
熱圧着時の真空雰囲気は5kPa以下とすることが好ましい。予備加圧工程を省くことも可能であるが、この場合には積層体に位置ずれ等が生じやすくなるため、予備加圧工程を実施することが好ましい。
【0127】
積層体の熱圧着工程を大気雰囲気下や低真空下で実施すると、熱圧着後の発光装置1内、とりわけ発光ダイオード8の周囲に気泡が残存しやすい。発光装置1内に残留する気泡は加圧されているため、熱圧着後の発光装置1の膨れや発光ダイオード8の透光性支持基体2,3から剥離の発生原因となる。さらに、発光装置1の内部、とりわけ発光ダイオード8の近傍に気泡や膨れが存在していると、光が不均一に散乱されたりして、発光装置1の外観上の問題となるので好ましくない。
【0128】
本実施形態では、透光性絶縁体13の各種特性や真空熱圧着条件等に基づいて、発光装置1内の気泡の発生を抑制することができる。発光装置1内には、外径が500μm以上または発光ダイオード8の外形サイズ以上の大きさを有する気泡が存在していないことが好ましい。
【0129】
積層体の真空熱圧着時に加える加圧力は、加熱温度、透光性絶縁樹脂シート14の材質、厚さ、最終的な透光性絶縁体13の厚さ等によっても異なるが、通常0.5〜20MPaの範囲であり、さらに1〜l2MPaの範囲とすることが好ましい。このような加圧力を適用することによって、透光性支持基体2と透光性支持基体3との間隙に対する軟化させた透光性絶縁樹脂シート14の埋め込み性を高めることができる。さらに、発光ダイオード8の特性低下や破損等を抑制することができる。
【0130】
上述したように、導電回路層5と発光ダイオード8の電極9との間に透光性絶縁樹脂シート14を介在させ状態で、真空熱圧着工程を実施することによって、バンプ付き電極9と導電回路層5および電極10と導電回路層7とを電気的に接続しつつ、発光ダイオード8の周囲に密着させた透光性絶縁体13が得られる。さらに、発光ダイオード本体12の発光面内における電極9の非形成面と導電回路層5との間の空間に、透光性絶縁体13の一部を良好に充填することができ、気泡の残留が抑制される。これらによって、導電回路層5,7と電極9,10との電気的な接続信頼性を高める発光装置1を得ることが可能になる。
【0131】
本実施形態に係る製造方法によれば、導電回路層5,導電回路層7と発光ダイオード8の電極9,10との電気的な接続性やその信頼性を高めた発光装置を再現性よく製造することができる。
【0132】
また、
図13,
図14を参照するとわかるように、発光装置1では、導電回路層5は、発光ダイオード8の導電性バンプ20に接する接触領域が、導電性バンプ20に沿って窪んだ状態になっている。これにより、導電性バンプ20と導電回路層5とが接触する面積を増加させることができる。その結果、導電性バンプ20と導電回路層5との間の抵抗を小さくすることが可能となる。
【0133】
本実施形態では、透光性絶縁体が単層のシートの場合を示したが、透光性絶縁体を2枚の透光性絶縁樹脂シートとし、この2枚の透光性絶縁樹脂シートの間に発光ダイオードを挟んだ状態で第1の透光性支持基体と第2の透光性支持基体を加圧して
図10に示した構成を得るようにしても良い。
【実施例】
【0134】
次に、具体的な実施例とその評価結果について述べる。
【表1】
【0135】
表1の実施例1から実施例7および比較例1から比較例7に示すLEDチップを用意した。チップ厚さはいずれも150μmであった。LEDチップの第1の電極上に金ワイヤボンダによりバンプを形成し、丸め処理をすることで表1に示す高さのバンプを作製した。
【0136】
次に、バンプを形成しない第1および第2の透光性支持基体として、厚さが180μmのポリエチレンテレフタレートシートを用意した。この基体表面に銀メッシュ電極を形成することで、導電回路層を作製した。
【0137】
透光性絶縁樹脂シートとして、ビカット軟化温度が110℃、融解温度が220℃、ガラス転移温度が−40℃、0℃における引張貯蔵弾性率が1.1GPa、100℃における引張貯蔵弾性率が0.3GPa、ビカット軟化点である110℃における引張貯蔵弾性率が0.2GPaで、厚さが60μmのアクリル系エラストマーシートを第1および第2の透光性絶縁樹脂シートとして用意した。
【0138】
ビカット軟化温度は、安田精機製作所社製のNo.148−HD−PCヒートディストーションテスタを用いて、試験加重10N、昇温速度50℃/時間の条件で、JIS K7206(ISO 306)記載のA50条件で求めた。
【0139】
ガラス転移温度と融解温度は、JIS K7121(ISO 3146)に準拠した方法で、島津製作所社製の示差走査熱量計DSC−60を用いて、5℃/分の昇温速度で、熱流束示差走査熱量測定により求めた。
【0140】
引張貯蔵弾性率はJIS K7244−4(ISO 6721−4)に準拠して、エー・アンド・ディ社製のDDV−01GP動的粘弾性自動測定器を用いて、−100℃から200℃まで、1℃/分の等速昇温、周波数10Hzで求めた。
【0141】
第2の透光性支持基体の導電回路層上に、導電回路層および透光性絶縁体の全体を覆うように第2の透光性絶縁樹脂シートを載せ、第2の透光性絶縁樹脂シート上の所定の位置に6個のLEDチップを配置した。6個のLEDチップは、それぞれ第2の電極が第2の透光性絶縁樹脂シート側に位置するように配置した。6個のLEDチップ上に第1の透光性絶縁樹脂シートと第1の透光性支持基体とを積層した。第1の透光性絶縁樹脂シートは、第1の透光性支持基体の導電回路層が第1の透光性絶縁樹脂シート側に位置するように配置した。第1の透光性絶縁樹脂シートは第1の透光性支持基体の導電回路層および透光性絶縁体の全体を覆う形状を有している。
【0142】
次に、第2の透光性支持基体と第2の透光性絶縁樹脂シートとLEDチップと第1の透光性絶縁樹脂シートと第1の透光性支持基体とを順に積層した積層体を0.1MPaの圧力で予備プレスした後、作業空間を0.1kPaまで真空引きした。5kPaの真空雰囲気中にて積層体を120℃に加熱しながら9.8MPaの圧力でプレスした。この加熱・加圧状態を10分間維持することによって、LEDチップの電極と導電回路層とを電気的に接続しつつ、第1の透光性支持基体と第2の透光性支持基体との間に第1および第2の透光性絶縁樹脂シートを埋め込んで透光性絶縁体を形成した。
【0143】
この後、外部配線を導電回路層に接続して、6個のLEDチップが直列に接続され、外部回路から電流を供給することで発光する発光装置を各々12個作製した。また比較例8、比較例9としてバンプを形成していないLEDチップを用いて、それ以外の点では上記の実施例1から実施例7と同様の工程で発光装置を各々12個作製した。得られた発光装置を後述する特性評価に供した。
【0144】
実施例1〜7および比較例1〜9の各発光装置の特性を以下のようにして評価した。実施例1〜7および比較例1〜9でそれぞれ6個の試料を用意した。各例の6個の試料について、JIS C5016(IEC249−1およびIEC326−2)8.6に記載の耐屈曲試験を通電状態で行った。屈曲試験は全ての試料について、温度35±2℃、相対湿度60〜70%、気圧86〜106kPaの環境下で実施した。6個の試料はLEDチップ列が屈曲部の中心にくるように、LEDチップの配列方向と直交する方向に第2の導電回路層が内側になるようにして屈曲させて、LEDチップの配列方向と直交する方向に屈曲させた試料の最小屈曲半径(点灯が維持される屈曲半径の最小値)を調べた。
【0145】
まず、半径が100mmから5mmまでの均一の直径を持つ、断面が真円状の測定用円柱を複数種類用意した。次に、得られた発光装置を、LEDチップの発光面の裏面が測定用円柱の表面の曲面に当たるようにセットした。発光装置を点灯させ、この状態で測定用円柱の表面の曲面に沿って180°屈曲させた。この屈曲試験を半径の大きい測定用円柱から半径の小さい測定用円柱まで順番に実施し、どの屈曲半径の測定用円柱まで点灯状態が維持されるかを測定した。その結果を表1に示す。
【0146】
表1から明らかなように、実施例1〜7および比較例7による発光装置は、いずれも耐屈曲試験において屈曲半径を小さくした状態でも点灯が維持されることが確認された。すなわち、導電回路層とLEDチップの電極との電気的な接続性信頼性を向上させた発光装置を提供することが可能になる。しかしながら、比較例1、2、3、4、5、6、8、9による発光装置は大きく屈曲させると不点灯になりやすいことが確認された。
【0147】
また、屈曲させていない試料について、JIS C60068−14にしたがって−30℃と60℃との間で熱サイクル試験3000回を実施し、点灯状態の維持状況を調べた。熱サイクル試験は、さらし時間30分、昇温速度3K/mimの条件で行った。これらの測定・評価結果を表1に示す。実施例1から実施例8による発光装置は熱サイクル試験後も点灯状態を維持できたが、比較例7を含む比較例1から比較例9による発光装置は熱サイクル後に不点灯になりやすいことが確認された。
【0148】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態によって限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、導電性バンプが、ワイヤボンダを使ったワイヤバンプ、電解メッキ、無電解メッキ、金属微粒子を含むインクをインクジェット印刷して焼成したもの、金属微粒子を含むペーストの印刷や塗布ボールマウント、ペレットマウント、蒸着スパッタなどにより形成したバンプでも良い。また、これらに限らず、例えばリフトオフバンプなど、種々の形態の導電性バンプを用いることができる。
【0149】
また、例えば、導電性バンプを、金属微粒子と樹脂の混合物により形成することもできる。この場合、例えば、銀(Ag)や銅(Cu)などの金属やその合金を熱硬化樹脂に混ぜてペーストにし、インクジェット法やニードルディスペンス法でペーストの小滴を電極上に吹き付けて突起状にし、熱処理により固めて導電層バンプを形成すればよい。
【0150】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施しうるものであり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0151】
本出願は、2013年12月2日に出願された、日本国特許出願2013−249453号、及び日本国特許出願2013−249454号に基づく。本明細書中に日本国特許出願2013−249453号,及び日本国特許出願2013−249454号の明細書、特許請求の範囲、図面全体を参照して取り込むものとする。