(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記1/4波長位相差膜の遅相軸の方向が、前記ポリシクロオレフィンフィルムの遅相軸の方向に対して0°±3°の範囲内にある請求項3又は4に記載の光学ユニット。
前記1/4波長位相差膜の遅相軸の方向が、前記ポリシクロオレフィンフィルムの遅相軸の方向に対して90°±3°の範囲内にある請求項3又は4に記載の光学ユニット。
請求項8に記載の光学ユニットを製造する方法であって、前記偏光機能積層体と、請求項11〜13のいずれかに記載の製造方法により製造された透明導電性フィルムを貼り合わせ、前記光学ユニットを生成する光学ユニットの製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0026】
[積層体のロール]
本発明の積層体のロールは、積層体の長尺体がロール状に巻かれた積層体のロールである。
【0027】
本発明の積層体のロールに用いる積層体は、透明導電性フィルムを含む。
【0028】
本発明の積層体のロールに用いる透明導電性フィルムは、ポリシクロオレフィンフィルムと透明導電層とを含む。
【0029】
本発明の積層体のロールに用いるポリシクロオレフィンフィルムの遅相軸の方向は、積層体の長尺体の全幅に対する5%の幅の両側の各端部を除く全体にわたって、積層体の長尺体の長手方向に対して±2°、好ましくは±1.5°の範囲内にある。
【0030】
[光学ユニット]
本発明の光学ユニットは、ポリシクロオレフィンフィルムと透明導電層とを含む透明導電性フィルムと、位相差フィルムとを含む。位相差フィルムは、透明導電性フィルムの透明導電層側に配置される。
【0031】
本発明の光学ユニットに用いられるポリシクロオレフィンフィルムの遅相軸の角度ばらつきは4°の範囲内にある。23℃ において波長550nmの光で測定したポリシクロオレフィンフィルムの面内位相差は、3〜8nmの範囲内であり、そのばらつきが1.5nmの範囲内である。
【0032】
本明細書において、Re[550]とは、23℃における波長550nmの光で測定した面内の位相差値をいう。Re[550]は、波長550nmにおけるフィルムの遅相軸方向、進相軸方向の屈折率を、それぞれnx、nyとし、d(nm)をフィルムの厚みとしたとき、式:Re[550]=(nx−ny)×dによって求めることができる。なお、遅相軸とは面内の屈折率の最大となる方向をいう。
【0033】
本発明の光学ユニットに用いられる位相差フィルムの面内位相差は、ポリシクロオレフィンフィルムのばらつきがほとんどないほぼ一定の面内位相差を相殺して、位相差フィルムと透明導電性フィルムの全体の面内位相差が所望の値となるようにされている。
【0034】
本発明の光学ユニットに用いられる位相差フィルムは、1/4波長位相差膜を含み、上記所望の値を約1/4波長とすることができる。また、本発明の光学ユニットに用いられる位相差フィルムは、透明導電性フィルム側から順に視野角補償用位相差膜と1/4波長位相差膜を含み、上記所望の値を約1/4波長とすることができる。ここで、上記所望の値を約1/4波長とするとは、理想的には可視光領域の全ての波長において上記所望の値を約1/4波長とするという意味である。波長550nmにおける面内位相差は、130〜150nmであることが好ましく、140〜146nmであることがより好ましい。
【0035】
1/4波長位相差膜の遅相軸の方向は、ポリシクロオレフィンフィルムの遅相軸の方向とほぼ平行、すなわちポリシクロオレフィンフィルムの遅相軸の方向に対して±2°の範囲内とすることができる。このような構成により、ポリシクロオレフィンフィルムの面内位相差の位相差フィルムによる相殺を容易に行うことができる。
【0036】
光学ユニットは更に偏光機能積層体を含み、偏光機能積層体は、偏光膜と前記位相差フィルムを含み、位相差フィルムは、透明導電性フィルムの透明導電層側に配置され、偏光膜は位相差フィルムに対して透明導電性フィルムとは反対側に配置されることができる。
【0037】
偏光機能積層体は、円偏光を生成する機能を有することができる。
【0038】
[透明導電性フィルムの製造方法]
本発明の透明導電性フィルムの製造方法は、ポリシクロオレフィンフィルムを含む積層体の長尺体がロール状に巻かれたポリシクロオレフィンフィルムのロールから、前記ポリシクロオレフィンフィルムを繰り出すステップと、繰り出された前記ポリシクロオレフィンフィルムを、巻き取りロールで巻き取りながら 、加熱温度140〜160℃で加熱巻き上げ処理するステップと、加熱巻き上げ処理された前記ポリシクロオレフィンフィルム上に透明導電層を成膜し、透明導電性フィルムを生成するステップと、を含む。
【0039】
このように、ポリシクロオレフィンフィルムを含む積層体の長尺体を巻き取りロールで巻き取りながら、すなわち一定の張力をポリシクロオレフィンフィルムに与えながら、ポリシクロオレフィンフィルムのガラス転移温度(Tg)である165℃に近い温度で加熱巻き上げ処理を行うことによって、遅相軸の方向をMD方向に揃えることができる。
【0040】
上記加熱温度は、145〜155℃であることがより好ましく、148〜153℃であることが更により好ましい。
【0041】
[光学ユニットの製造方法]
本発明の光学ユニットの製造方法は、位相差フィルムと偏光膜とを含む偏光機能積層体と、上記製造方法により製造された透明導電性フィルムを貼り合わせ、光学ユニットを生成する。
【0042】
<偏光膜>
本発明の光学ユニットに用いる偏光膜は、空中延伸(乾式延伸)やホウ酸水中延伸工程等の延伸工程によって延伸された、ヨウ素を配向させたポリビニルアルコール系樹脂を用いることができる。
【0043】
偏光膜の製造方法としては、代表的には、特開2004−341515号公報に記載のあるような、PVA系樹脂の単層体を染色する工程と延伸する工程を含む製法(単層延伸法)がある。また、特開昭51−069644号公報、特開2000−338329号公報、特開2001−343521号公報、国際公開第2010/100917号、特開2012−073563号公報、特開2011−2816号公報に記載のあるような、PVA系樹脂層と延伸用樹脂基材を積層体の状態で延伸する工程と染色する工程を含む製法が挙げられる。この製法であれば、PVA系樹脂層が薄くても、延伸用樹脂基材に支持されていることにより延伸による破断などの不具合なく延伸することが可能となる。
【0044】
積層体の状態で延伸する工程と染色する工程を含む製法には、上述の特開昭51−069644号公報、特開2000−338329号公報、特開2001−343521号公報に記載のあるような空中延伸(乾式延伸)法がある。そして、高倍率に延伸できて偏光性能を向上させることのできる点で、国際公開第2010/100917号、特開2012−073563号公報に記載のあるような、ホウ酸水溶液中で延伸する工程を含む製法が好ましく、特に特開2012−073563号公報のようなホウ酸水溶液中で延伸する前に空中補助延伸を行う工程を含む製法(2段延伸法)が好ましい。また、特開2011−2816号公報に記載のあるような、PVA系樹脂層と延伸用樹脂基材を積層体の状態で延伸した後に、PVA系樹脂層を過剰に染色し、その後脱色する製法(過剰染色脱色法)も好ましい。本発明の光学積層体に用いる偏光膜は、上述のようなヨウ素を配向させたポリビニルアルコール系樹脂からなり、空中補助延伸とホウ酸水中延伸とからなる2段延伸工程で延伸された偏光膜とすることができる。また、本発明の光学積層体に用いる偏光膜は、上述のようなヨウ素を配向させたポリビニルアルコール系樹脂からなり、延伸されたPVA系樹脂層と延伸用樹脂基材の積層体を過剰に染色し、その後脱色することにより作製された偏光膜とすることができる。
【0045】
<位相差フィルム>
本発明の光学ユニットに用いる位相差フィルムは、単層又は多層の位相差膜を含む。
【0046】
<位相差膜>
本発明の光学ユニットに用いる位相差膜は、高分子フィルムを延伸させて得られるものや液晶材料を配向、固定化させたものを用いることができる。本明細書において、位相差膜は、面内及び/又は厚み方向に複屈折を有し、それによって所定の機能を実現するものをいう。
【0047】
位相差膜としては、反射防止用位相差膜(特開2012−133303号公報〔0221〕、〔0222〕〔0228〕参照)、視野角補償用相差膜(特開2012−133303号公報〔0225〕、〔0226〕参照)、視野角補償用の傾斜配向位相差膜(特開2012−133303号公報〔0227〕参照)等が挙げられる。
【0048】
位相差膜としては、実質的に上記の機能を有するものであれば、例えば、位相差値、配置角度、3次元複屈折率、単層か多層かなどは特に限定されず公知の位相差膜を使用することができる。
【0049】
本発明の位相差膜のnx−nyである面内複屈折Δnは、0.001〜0.2、好ましくは0.002〜0.15である。
【0050】
上記位相差膜は、好ましくは23℃において、波長550nmの光で測定した面内の位相差値(Re[550])が、波長450nmの光で測定した面内の位相差値(Re[450])よりも大きい。このような波長分散特性を有する位相差膜は、前記比率がこの範囲であれば、長波長ほど位相差が発現し、可視領域の各波長において理想的な位相差特性を得ることができる。例えば、有機ELディスプレイに用いた場合、1/4波長板としてこのような波長依存性を有する位相差膜を作製し、偏光板と貼り合わせることにより、円偏光板等を作製することができ、色相の波長依存性が少ない、ニュートラルな偏光板および表示装置の実現が可能である。一方、前記比率がこの範囲外の場合には、反射色相の波長依存性が大きくなり、偏光板や表示装置に着色の問題が生じる。
【0051】
上記位相差膜のRe[550]とRe[450]の比(Re[450]/Re[550])は、0.8 以上1.0未満、より好ましくは0.8〜0.98である。
【0052】
上記位相差膜は、好ましくは23℃において、波長550nmの光で測定した面内の位相差値(Re[550])が、波長650nmの光で測定した面内の位相差値(Re[650])よりも小さい。このような波長分散特性を有する位相差膜は、赤色の領域で位相差値が一定になり、例えば、液晶表示装置に用いた場合に、見る角度によって光漏れが生じる現象や、表示画像が赤味を帯びる現象(レッドイッシュ現象ともいう)を改善することができる。
【0053】
上記位相差膜のRe[650]とRe[550]の比(Re[550]/Re[650])は、0.8以上1.0未満、好ましくは0.8〜097である。Re[550]/Re[650]を上記の範囲とすることによって、例えば、上記位相差膜を有機ELディスプレイに用いた場合に、より一層優れた表示特性を得ることができる。
【0054】
Re[450]、Re[550]、Re[650]は、Axometrics社製 製品名「AxoScan」を用いて測定することができる。
【0055】
本明細書において、NZは、厚み方向複屈折であるnx−nzと面内複屈折であるnx−nyとの比をいう(Nz係数ともいう)。
【0056】
本発明の位相差膜のNZは、−10〜1.5、好ましくは−8〜1.4、より好ましくは−6〜1.3である。
【0057】
例えば、通常縦延伸を行う場合は、フィルムの長手方向の延伸に対し、幅方向が固定されていないため、幅収縮が起こる。そのため、より一軸方向に分子が配向した状態となり、屈折率の関係としては、例えば、nx>ny=nzとなる。この場合は、延伸方向であるフィルムの長手方向の耐折強さは強くなるが、幅方向の耐折強さは非常に弱くなる。これを解決するために、延伸方向に対して交差する角度方向に、幅を規制する力を発生した状態(例えば、横一軸延伸の場合、延伸方向であるフィルムの幅方向に対して直角方向であるフィルムの長手方向の長さを一定にする力が発生している)で、延伸を施すことで、延伸方向のみならず、延伸方向と交差する角度方向にも分子を配向させることができ、屈折率の関係としては、nx>ny>nzとすることができる。これより、延伸方向の耐折強さと幅方向の耐折強さを、高いレベルで両立することができる。
【0058】
上記位相差膜の23℃における光弾性係数の絶対値;C(m
2/N)は、0.5×10
-12〜100×10
-12(m
2/N)、好ましくは1×10
-12〜80×10
-12(m
2/N)である。偏光膜の収縮応力や、表示パネルの熱や、周囲の環境(耐湿・耐熱)によって、位相差膜に力がかかり、それにより発生する位相差値の変化を防ぐことができ、その結果、良好な表示均一性を有する表示パネル装置を得ることができる。好ましくは、上記位相差膜のCは3×10
-12〜45×10
-12であり、特に好ましくは5×10
-12〜40×10
-12以下である。Cを上記の範囲とすることによって、上記位相差膜に力がかかった時に発生する位相差値の変化やムラを低減することができる。また、光弾性係数とΔnはトレードオフの関係になりやすく、この光弾性係数範囲であれば、位相差発現性を低減させることなく、表示品位を保つことが可能となる。
【0059】
本発明の位相差膜としては、一枚のフィルムにより逆分散の波長依存性(逆分散波長特性)を示す位相差膜が好適に用いることができる。この逆分散性を示す位相膜としては、帝人社製、商品名「ピュアエースWR」や特許第4938151号記載のポリカーボネート樹脂や特願2013−214986記載のオリゴフルオレンを含有する樹脂が用いることができる。
【0060】
1つの実施形態において、本発明の位相差膜は、高分子フィルムを延伸することによって、配向させて作製される。
【0061】
上記高分子フィルムを延伸する方法としては、目的に応じて、任意の適切な延伸方法が採用され得る。本発明に適した上記延伸方法としては、例えば、横一軸延伸方法、縦横同時二軸延伸方法、縦横逐次二軸延伸方法等が挙げられる。延伸する手段としては、テンター延伸機、二軸延伸機等々の、任意の適切な延伸機が用いられ得る。好ましくは、上記延伸機は、温度制御手段を備える。加熱して延伸を行う場合は、延伸機の内部温度は連続的に変化させてもよいし、連続的に変化させてもよい。工程は1回でも2回以上に分割してもいい。延伸方向はフィルム幅方向(TD方向)や斜め方向に延伸するのがよい。
【0062】
斜め延伸は、未延伸樹脂フィルムを長手方向に送出しつつ、幅方向に対して前記特定の範囲の角度をなす方向に延伸する斜め延伸処理を連続的に行う。これにより、フィルムの幅方向と遅相軸とがなす角度(配向角θ)が前記特定の範囲となる長尺位相差膜を得ることができる。
【0063】
斜め延伸する方法としては、未延伸樹脂フィルムの幅方向に対して前記特定の範囲の角度をなす方向に連続的に延伸して、遅相軸をフィルムの幅方向に対して前記特定の範囲の角度をなす方向に形成できるものであれば特に制約されない。特開2005−319660、特開2007−30466、特開2014−194482、特開2014−199483、特開2014−199483等、従前公知のこのような延伸方法から任意の適切な方法を採用することができる。
【0064】
未延伸樹脂フィルムを延伸する温度(延伸温度)は、目的に応じて、適宜、適切な値が選択され得る。好ましくは、延伸は、高分子フィルムのガラス転移温度(Tg)に対し、Tg−20℃〜Tg+30℃の範囲で行なう。このような条件を選択することによって、位相差値が均一になり易く、かつ、フィルムが結晶化(白濁)しにくくなる。具体的には、上記延伸温度は90℃〜210℃であり、さらに好ましくは100℃〜200℃であり、特に好ましくは100℃〜180℃である。なお、ガラス転移温度は、JIS K 7121(1987)に準じたDSC法によって求めることができる。
【0065】
上記延伸温度を制御する手段としては、任意の適切な手段が採用され得る。上記温度制御手段としては、例えば、熱風または冷風が循環する空気循環式恒温オーブン、マイクロ波または遠赤外線を利用したヒーター、温度調節用に加熱されたロール、ヒートパイプロール、金属ベルト等が挙げられる。
【0066】
上記未延伸樹脂フィルムを延伸する倍率(延伸倍率)は、目的に応じて、適宜、選択され得る。上記延伸倍率は、好ましくは1を超え6倍以下であり、さらに好ましくは1.5倍を超え4倍以下である。
【0067】
また、延伸時の送り速度は、特に制限はないが、機械精度、安定性等から好ましくは0.5m/分〜30m/分であり、より好ましくは1m/分〜20m/分である。上記の延伸条件であれば、目的とする光学特性が得られ得るのみならず、光学均一性に優れた位相差膜を得ることができる。
【0068】
また。この別の実施形態として、ポリシクロオレフィンフィルムやポリカーボネートフィルムなどを用いて、偏光板の吸収軸と1/2波長板の遅相軸とのなす角が15°、偏光板の吸収軸と1/4波長板の遅相軸とのなす角が75°となるようにアクリル系粘着剤を用いて枚葉貼り合せされた位相差膜を用いてもよい。
【0069】
他の実施形態において、本発明の位相差膜は、液晶材料を配向、固定化させることによって作製される位相差層を積層させたものを用いることができる。それぞれの位相差層は、液晶化合物の配向固化層であり得る。液晶化合物を用いることにより、得られる位相差層のnxとnyとの差を非液晶材料に比べて格段に大きくすることができるので、所望の面内位相差を得るための位相差層の厚みを格段に小さくすることができる。その結果、円偏光板(最終的には、有機EL表示装置)のさらなる薄型化を実現することができる。本明細書において「配向固化層」とは、液晶化合物が層内で所定の方向に配向し、その配向状態が固定されている層をいう。本実施形態においては、代表的には、棒状の液晶化合物が位相差層の遅相軸方向に並んだ状態で配向している(ホモジニアス配向)や面内方向に対して法線方向に遅相軸が並んだ状態で配向している(ホメオトロピック配向)などがある。液晶化合物としては、例えば、液晶相がネマチック相である液晶化合物(ネマチック液晶)が挙げられる。このような液晶化合物として、例えば、液晶ポリマーや液晶モノマーが使用可能である。液晶化合物の液晶性の発現機構は、リオトロピックでもサーモトロピックでもどちらでもよい。液晶ポリマーおよび液晶モノマーは、それぞれ単独で用いてもよく、組み合わせてもよい。
【0070】
液晶化合物が液晶モノマーである場合、当該液晶モノマーは、重合性モノマーおよび架橋性モノマーであることが好ましい。液晶モノマーを重合または架橋させることにより、液晶モノマーの配向状態を固定できるからである。液晶モノマーを配向させた後に、例えば、液晶モノマー同士を重合または架橋させれば、それによって上記配向状態を固定することができる。ここで、重合によりポリマーが形成され、架橋により3次元網目構造が形成されることとなるが、これらは非液晶性である。したがって、形成された位相差層は、例えば、液晶性化合物に特有の温度変化による液晶相、ガラス相、結晶相への転移が起きることはない。その結果、位相差層は、温度変化に影響されない、極めて安定性に優れた位相差層となる。
【0071】
液晶モノマーが液晶性を示す温度範囲は、その種類に応じて異なる。具体的には、当該温度範囲は、好ましくは40℃〜120℃であり、さらに好ましくは50℃〜100℃であり、最も好ましくは60℃〜90℃である。
【0072】
上記液晶モノマーとしては、任意の適切な液晶モノマーが採用され得る。例えば、特表2002−533742(WO00/37585)、EP358208(US5211877)、EP66137(US4388453)、WO93/22397、EP0261712、DE19504224、DE4408171、およびGB2280445等に記載の重合性メソゲン化合物等が使用できる。このような重合性メソゲン化合物の具体例としては、例えば、BASF社の商品名LC242、Merck社の商品名E7、Wacker−Chem社の商品名LC−Sillicon−CC3767が挙げられる。液晶モノマーとしては、例えばネマチック性液晶モノマーが好ましい。
【0073】
液晶化合物の配向固化層は、所定の基材の表面に配向処理を施し、当該表面に液晶化合物を含む塗工液を塗工して当該液晶化合物を上記配向処理に対応する方向に配向させ、当該配向状態を固定することにより形成され得る。1つの実施形態においては、基材は任意の適切な樹脂フィルムであり、当該基材上に形成された配向固化層は、偏光膜の表面に転写され得る。この時偏光膜の吸収軸と液晶配向固化層の遅相軸とのなす角が15°となるように配置される。また、液晶配向固化層の位相差は550nmの波長に対してλ/2(約270nm)である。さらに、前述と同様に550nmの波長に対してλ/4(約140nm)である液晶配向固化層を転写可能な基材上に形成し、偏光膜と1/2波長板の積層体の1/2波長板側に、偏光膜の吸収軸と1/4波長板の遅相軸とのなす角が75°になるように積層される。
【0074】
上記配向処理としては、任意の適切な配向処理が採用され得る。具体的には、機械的な配向処理、物理的な配向処理、化学的な配向処理が挙げられる。機械的な配向処理の具体例としては、ラビング処理、延伸処理が挙げられる。物理的な配向処理の具体例としては、磁場配向処理、電場配向処理が挙げられる。化学的な配向処理の具体例としては、斜方蒸着法、光配向処理が挙げられる。各種配向処理の処理条件は、目的に応じて任意の適切な条件が採用され得る。
【0075】
液晶化合物の配向は、液晶化合物の種類に応じて液晶相を示す温度で処理することにより行われる。このような温度処理を行うことにより、液晶化合物が液晶状態をとり、基材表面の配向処理方向に応じて当該液晶化合物が配向する。
【0076】
配向状態の固定は、1つの実施形態においては、上記のように配向した液晶化合物を冷却することにより行われる。液晶化合物が重合性モノマーまたは架橋性モノマーである場合には、配向状態の固定は、上記のように配向した液晶化合物に重合処理または架橋処理を施すことにより行われる。
【0077】
液晶化合物の具体例および配向固化層の形成方法の詳細は、特開2006−163343号公報に記載されている。当該公報の記載は本明細書に参考として援用される。
【0078】
[保護膜]
本発明の光学ユニットに用いる透明樹脂材料の保護膜は、ノルボルネン系樹脂等のシクロオレフィン系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂などを用いることができる。
【0079】
本発明の光学積層体に用いる保護膜の厚さは、10〜50μm、好ましくは15〜45μmであり、適宜アンチグレア層又は反射防止層などの表面処理層を設けることができる。
【0080】
本発明の光学積層体に用いる保護膜の透過湿度は、200g/m
2以下、好ましくは170g/m
2以下、より好ましくは130g/m
2以下、特に好ましくは90g/m
2以下である。
【0081】
[透明導電性フィルム]
図2は本発明の一実施形態に係る透明導電性フィルムの模式的断面図である。
図2の透明導電性フィルムは、基材積層体1と透明導電層13とを含む。前記基材積層体1は、ポリシクロオレフィンフィルム10と、ポリシクロオレフィンフィルム10の第1主面S1に形成された第1硬化樹脂層11と、ポリシクロオレフィンフィルム10の第1主面S1とは反対側の第2主面S2側に形成された第2硬化樹脂層12とを含んでいる。また、前記第1硬化樹脂層11と前記透明導電層13との間に光学調整層16が設けられている。第2硬化樹脂層12は、
図3に示すように、複数の球状粒子14と、前記球状粒子をポリシクロオレフィンフィルム10の表面に固定するバインダー樹脂層15とを有している。第2硬化樹脂層12は表面に凸部12aを有しているため、透明導電性フィルムをロールtoロール製法にて巻き取った場合に、透明導電性フィルム同士がブロッキングすることを抑制することができる。また、基材積層体1は、ポリシクロオレフィンフィルム10のみ又はポリシクロオレフィンフィルム10と第1硬化樹脂層若しくは第2硬化樹脂層で構成することができるが、前記透明導電層13が形成される側の第1硬化樹脂層11と、ポリシクロオレフィンフィルム10と、第2硬化樹脂層12とをこの順で含むことが好ましい。
【0082】
[透明導電層]
透明導電層は、金属酸化物により形成された層であることが好ましい。金属酸化物としては、インジウム、スズ、亜鉛、ガリウム、アンチモン、チタン、珪素、ジルコニウム、マグネシウム、アルミニウム、金、銀、銅、パラジウム、タングステンからなる群より選択される少なくとも1種の金属の金属酸化物が好適に用いられる。当該金属酸化物には、必要に応じて、さらに上記群に示された金属原子を含んでいてもよい。中でも、インジウム・スズ複合酸化物(ITO)やインジウム亜鉛複合酸化物が好ましい。この他にも4価金属イオン又は2価金属イオンがドープされた酸化インジウム(In2O3)が用いられる。このようなインジウム系複合酸化物層は、可視光領域(380nm〜780nm)で透過率が80%以上と高く、且つ単位面積当りの表面抵抗値が低い(300Ω/□以下:ohms per square)という特徴を有している。
【0083】
上記インジウム系複合酸化物層の表面抵抗値は、好ましくは300Ω/□以下であり、さらに好ましくは270Ω/□以下である。このような表面抵抗値の小さい透明導電性フィルムは、例えば、スパッタリング法又は真空蒸着法により、インジウム系複合酸化物の非晶質層を硬化樹脂層上に形成した後、120℃〜200℃で30〜90分間程度加熱処理して、非晶質層を結晶質層に変化させることにより得られる。この転化させる手段は、特に限定されないが空気循環式オーブンやIRヒーターなどが用いられる。
【0084】
(結晶質の定義)
基材積層体上に透明導電層が形成された透明導電性フィルムを、20℃、濃度5重量%の塩酸に15分間浸漬した後、水洗・乾燥し、15mm間の端子間抵抗をテスタにて測定を行い、端子間抵抗が10kΩを超えない場合、ITO膜の結晶質への転化が完了したものとする。
【0085】
透明導電層の厚みは、15nm〜50nmとするのが好ましく、20〜40nmであることがより好ましく、更に好ましくは25〜35nmの範囲内である。透明導電層の厚みが15nm未満であると膜表面の電気抵抗が高くなり、かつ連続被膜になり難くなる。また、透明導電層の厚みが50nmを超えると透明性の低下などをきたす場合がある。透明導電層としては、異なる組成の透明導電層を複数層積層した構造であってもよい。
【0086】
前記透明導電層の表面の452μm×595μmの視野における算術平均表面粗さRaは、透明性を向上させる観点から、0nmより大きく10nm以下であることが好ましく、0nmより大きく9nm以下であることがより好ましく、0nmより大きく7nm以下であることが更に好ましい。第2硬化樹脂層の表面の452μm×595μmの視野における算術平均表面粗さRaと前記透明導電層の表面の452μm×595μmの視野における算術平均表面粗さRaとの差は、5nm以上であることが好ましく、10nm以上であることがより好ましく、15nm以上であることが更に好ましい。
【0087】
前記透明導電層は、金属ナノワイヤまたは金属メッシュを含むことができる。
【0088】
(金属ナノワイヤ)
金属ナノワイヤとは、材質が金属であり、形状が針状または糸状であり、径がナノメートルサイズの導電性物質をいう。金属ナノワイヤは直線状であってもよく、曲線状であってもよい。金属ナノワイヤで構成された透明導電層を用いれば、金属ナノワイヤが網の目状となることにより、少量の金属ナノワイヤであっても良好な電気伝導経路を形成することができ、電気抵抗の小さい透明導電性フィルムを得ることができる。さらに、金属ナノワイヤが網の目状となることにより、網の目の隙間に開口部を形成して、光透過率の高い透明導電性フィルムを得ることができる。
【0089】
前記金属ナノワイヤを構成する金属としては、導電性の高い金属である限り、任意の適切な金属が用いられ得る。前記金属ナノワイヤを構成する金属としては、例えば、銀、金、銅、ニッケル等が挙げられる。また、これらの金属にメッキ処理(例えば、金メッキ処理)を行った材料を用いてもよい。なかでも好ましくは、導電性の観点から、銀、銅または金であり、より好ましくは銀である。
【0090】
(金属メッシュ)
金属メッシュを含む透明導電層は、前記基材積層体上に、金属細線が格子状のパターンに形成されてなる。前記金属ナノワイヤを構成する金属と同様の金属を使用することが可能である。金属メッシュを含む透明導電層は、任意の適切な方法により形成させることができる。透明導電層は、例えば、銀塩を含む感光性組成物(透明導電層形成用組成物)を基材積層体上に塗布し、その後、露光処理および現像処理を行い、金属細線を所定のパターンに形成することにより得ることができる。
【0091】
[硬化樹脂層]
シクロオレフィン系樹脂自体は非常に傷つきやすい傾向にある。透明導電層の形成や透明導電層のパターン化または電子機器への搭載などの各工程でポリシクロオレフィンフィルム10に傷が入りやすいので、ポリシクロオレフィンフィルム10の両面に硬化樹脂層として、第1硬化樹脂層及び第2硬化樹脂層を形成することが好ましい。
【0092】
硬化樹脂層は、それぞれ硬化型樹脂を硬化させることにより得られた層である。硬化型樹脂には、硬化メカニズムとして熱硬化、活性エネルギー線硬化、またはその両方を併用する樹脂のいずれを採用してもよい。必要に応じて架橋剤、開始剤、増感剤などを硬化型樹脂とともに使用してもよい。第1硬化樹脂層および第2硬化樹脂層の厚みは、いずれも独立して好ましくは0.5μm〜5μmであり、より好ましくは0.7μm〜3μmであり、最も好ましくは0.8μm〜2μmである。第1硬化樹脂層および第2硬化樹脂層は、各硬化型樹脂と必要に応じて加える架橋剤、開始剤、増感剤などを含む樹脂組成物を透明樹脂フィルム上に塗布し、樹脂組成物が溶剤を含む場合には、溶剤の乾燥を行い、熱、活性エネルギー線またはその両方のいずれかの適用により硬化させることにより得られる。熱は空気循環式オーブンやIRヒーターなど公知の手段を用いることができるがこれらの方法に限定されない。活性エネルギー線の例としては紫外線、電子線、ガンマ線などがあるが特に限定されない。硬化型樹脂としては、アクリル系樹脂やエポキシ系樹脂が好ましく、より好ましくはアクリル系樹脂である。
【0093】
第1硬化樹脂層11又は第2硬化樹脂層12は、複数の球状粒子14と、前記球状粒子をポリシクロオレフィンフィルム10の表面に固定するバインダー樹脂層15とを含むことが好ましい。特に、第2硬化樹脂層12に、前記複数の球状粒子14と、前記バインダー樹脂層15とを含むことがより好ましい。
図3は、
図2における第2硬化樹脂層12の構成を示す部分拡大図である。第2硬化樹脂層12は、複数の球状粒子14と、前記球状粒子14をポリシクロオレフィンフィルム10の表面に固定するバインダー樹脂層15とを有している。球状粒子14の最頻粒子径はwと、バインダー樹脂層15の厚みはdと記載している。第2硬化樹脂層12の外側表面、すなわちポリシクロオレフィンフィルム10と接しない側の表面において、球状粒子14が存在する部分は、およそ差w−dの分だけ突出した凸形状を有しており、球状粒子14が存在しない部分は、略平面形状を有している。また各球状粒子14の上面にはバインダー樹脂層15の一部が薄く形成されている。ここで「最頻粒子径」とは、粒子分布の極大値を示す粒径をいう。「バインダー樹脂層の厚み」とは、球状粒子が存在しない平坦部分の厚みをいう。第2硬化樹脂層12においては、球状粒子14の最頻粒子径wと、バインダー樹脂層15の厚みdとの関係は、w−dが0より大きく1.2μm以下であることが好ましく、0.1μm〜1.0μmがより好ましく、0.3μm〜0.9μmがさらに好ましい。これにより、ヘイズへの影響を抑えつつ、ロールtoロール製法に耐えうるアンチブロッキング性をより確実に実現できるようになる。
【0094】
第1硬化樹脂層の表面の算術平均表面粗さRaは、透明性を向上させる観点から、0nmより大きく10nm以下であることが好ましく、0nmより大きく9nm以下であることがより好ましく、0nmより大きく7nm以下であることが更に好ましい。
【0095】
第2硬化樹脂層の表面の算術平均表面粗さRaは、5nmより大きく100nm以下であることが好ましく、7nmより大きく70nm以下であることがより好ましく、10nmより大きく60nm以下であることが更に好ましい。算術平均表面粗さRaが上記範囲内であることにより、ロールtoロール製法に耐えうるアンチブロッキング性を向上させることができる。
【0096】
第2硬化樹脂層側の算術平均表面粗さRaの方が、第1硬化樹脂層側の算術平均表面粗さRaよりも粗い方が好ましい。これにより、ロールtoロール製法に耐えうるアンチブロッキング性を有するとともに、透明導電層側の白モヤ感(ヘイズ)を低減させることができる。また、第2硬化樹脂層の表面の452μm×595μmの視野における算術平均表面粗さRaと第1硬化樹脂層の表面の452μm×595μmの視野における算術平均表面粗さRaとの差は、5nm以上であることが好ましく、10nm以上であることがより好ましく、15nm以上であることが更に好ましい。
【0097】
前記球状粒子としては、各種金属酸化物、ガラス、プラスチックなどの透明性を有するものを特に制限なく使用することができる。例えばシリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化カルシウム等の無機系粒子、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリウレタン、アクリル系樹脂、アクリル−スチレン共重合体、ベンゾグアナミン、メラミン、ポリカーボネート等の各種ポリマーからなる架橋又は未架橋の有機系粒子やシリコーン系粒子などがあげられる。前記粒子は、1種または2種以上を適宜に選択して用いることができるが、有機系粒子が好ましい。有機系粒子としては、真球性と耐熱性の観点から、アクリル系樹脂が好ましい。
【0098】
前記第1硬化樹脂層中の球状粒子の含有量は、樹脂組成物の固形分100重量部に対して0.0000〜0.0020重量部が好ましく、0.0000〜0.0015重量部であることがより好ましく、0.0000〜0.0010重量部であることがさらに好ましい。また、前記第2硬化樹脂層中の球状粒子の含有量は、樹脂組成物の固形分100重量部に対して0.0010〜0.0300重量部であることが好ましく、0.0015〜0.0200重量部であることがより好ましく、0.0020〜0.0150重量部であることがさらに好ましい。前記第1硬化樹脂層又は前記第2硬化樹脂層中の球状粒子の含有量が前記範囲であると、両面の算術平均表面粗さRaを別々に調整することができるため、アンチブロッキング性や易滑性を付与するのに十分なベース隆起部が形成されやすくなるとともに、球状粒子による光散乱に起因した透明導電性フィルムのヘイズが小さくなり、視認性が上がる傾向がある。
【0099】
前記バインダー樹脂層に用いられるバインダー樹脂の材料としては、球状粒子を固定できるものであれば、任意の材料を選択することができる。このバインダー樹脂は、例えば、硬化性樹脂組成物を紫外線や電子線によって硬化させたものである。硬化性樹脂組成物は、好ましくは、ペンタエリスリトールやジペンタエリスリトール等の多官能アクリレート重合体、グリシジルアクリレート系重合体にアクリル酸を付加反応させた重合体および重合開始剤を含む。
【0100】
[光学調整層]
図2に示すように、透明導電性フィルムは第1硬化樹脂層11と透明導電層13との間に、1層以上の光学調整層16をさらに含むことができる。透明導電性フィルムの透過率の上昇や、透明導電層13がパターン化される場合には、パターンが残るパターン部とパターンが残らない開口部の間で透過率差や反射率差の低減し、視認性に優れた透明導電性フィルムを得るために用いられる。
【0101】
光学調整層は、無機物、有機物、あるいは無機物と有機物との混合物により形成される。光学調整層を形成する材料としては、NaF、Na3AlF6、LiF、MgF2、CaF2、SiO2、LaF3、CeF3、Al2O3、TiO2、Ta2O5、ZrO2、ZnO、ZnS、SiOx(xは1.5以上2未満)などの無機物や、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、シロキサン系ポリマーなどの有機物が挙げられる。特に、有機物として、メラミン樹脂とアルキド樹脂と有機シラン縮合物の混合物からなる熱硬化型樹脂を使用することが好ましい。光学調整層は、上記の材料を用いて、グラビアコート法やバーコート法などの塗工法、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などにより形成できる。
【0102】
光学調整層の厚みは、10nm〜200nmであることが好ましく、20nm〜150nmであることがより好ましく、20nm〜130nmであることがさらに好ましい。光学調整層の厚みが過度に小さいと連続被膜となりにくい。また、光学調整層の厚みが過度に大きいと、透明導電性フィルムの透明性が低下したり、光学調整層にクラックが生じ易くなったりする傾向がある。
【0103】
光学調整層は、平均粒径が1nm〜500nmのナノ微粒子を有していてもよい。光学調整層中のナノ微粒子の含有量は0.1重量%〜90重量%であることが好ましい。光学調整層に用いられるナノ微粒子の平均粒径は、上述のように1nm〜500nmの範囲であることが好ましく、5nm〜300nmであることがより好ましい。また、光学調整層中のナノ微粒子の含有量は10重量%〜80重量%であることがより好ましく、20重量%〜70重量%であることがさらに好ましい。光学調整層中にナノ微粒子を含有することによって、光学調整層自体の屈折率の調整を容易に行うことができる。
【0104】
ナノ微粒子を形成する無機酸化物としては、例えば、酸化ケイ素(シリカ)、中空ナノシリカ、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化錫、酸化ジルコニウム、酸化ニオブ等の微粒子があげられる。これらの中でも、酸化ケイ素(シリカ)、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化錫、酸化ジルコニウム、酸化ニオブの微粒子が好ましい。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0105】
[ポリシクロオレフィンフィルム]
金属配線層を支持するフィルム基材であるポリシクロオレフィンフィルムは、単層であってもよいし、複層であってもよい。ポリシクロオレフィンフィルムの厚みは、透明性や取扱性の観点から、好ましくは20μm〜200μmである。
【0106】
ポリシクロオレフィンフィルムは、金属配線層が形成される両面に複数の突起を有している。ポリシクロオレフィンフィルムの表面に複数の突起を設けることによって、ポリシクロオレフィンフィルムに滑り性や耐磨耗性を付与し、金属配線層を連続的に成膜する際に、品質を高く維持しながら、その成膜速度を高めて生産性を向上させることができる。
【0107】
突起は、ポリシクロオレフィンフィルムの金属配線層が形成される側の表面の平面視において、その外径Dが0を超え3μm以下、好ましくは、0.1μm〜2μmである。突起の外径は、例えばポリシクロオレフィンフィルムの金属配線層が形成される側の表面を所定倍率で画像観察することにより測定することができる。外径Dが3μm以下である場合、ポリシクロオレフィンフィルムの表面と突起表面の境界部近傍で金属配線が断線するのを確実に防止することができる。
【0108】
突起の高さは、ポリシクロオレフィンフィルムの平坦な面を基準として、好ましくは0を超え3μm以下であり、さらに好ましくは0.1μm〜2μmである。
【0109】
突起の形状は、本実施形態では略ドーム型であり、ポリシクロオレフィンフィルムの面方向断面は略円形、厚み方向断面は略半円形である。ただし、本発明における突起は、ポリシクロオレフィンフィルムに滑り性や耐磨耗性を付与し、また、高品質な金属配線層を連続的且つ速い速度で成膜し得るものであれば、ドーム型以外の他の形状であってもよい。
【0110】
ポリシクロオレフィンフィルム上に突起を設ける手段としては、該ポリシクロオレフィンフィルムの内部に滑剤を分散させる方法、フィルム表面に、複数の粒子を分散させたバインダー(binder)を塗布する方法などが挙げられる。
【0111】
ポリシクロオレフィンフィルムは、例えば日本ゼオン株式会社等から入手できる。
【0112】
(金属配線層)
金属配線層は、透光性を付与するために、例えば網目状にパターン形成されたものである。上記金属配線層の網目状パターンは、特に制限はなく、例えば、正方形格子、ひし形格子、又は多角形格子である。
【0113】
上記金属配線層を形成する材料は、電気伝導性を有するものであれば制限はないが、好ましくは銀、銅又はそれらの合金であり、さらに好ましくは銅である。
【0114】
上記金属配線層の線幅は、5μmを超え8μm未満であり、好ましくは5.5μmを超え7μm以下である。このような線幅の範囲であれば、フィルム基材の突起に起因する断線を防ぐことができる。線幅が5μm以下である場合は、金属配線層の網目状パターンが視認され難くはなるものの、フィルム基材の突起によって、金属配線が断線する頻度が高くなり、大量生産すると品質及び信頼性が低くなる。一方、線幅が8μm以上である場合は、金属配線層の網目状パターンが顕著に視認される。
【0115】
金属配線層の厚みは、0.1μm以上0.5μm未満であり、好ましくは0.1μmを超え0.4μm以下、さらに好ましくは0.15μm〜0.35μmである。金属配線層は、その厚みを例えば2μmよりも薄くすることによって、より一層、網目状パターンが視認されることを防ぐ。このような構成は、タッチセンサに対して、斜め方向から外光が入射したとき、金属配線層の側面が光輝せず、視認され難い。
【0116】
金属配線層は、扁平形状を有している点に特徴があり、厚みに対する線幅の比率(線幅/厚み)は、好ましくは10以上80未満であり、さらに好ましくは15〜50である。このような関係を満足するタッチセンサは、生産性に優れ、金属配線の断線を生じず、且つ金属配線層の網目状パターンが視認され難い。
【0117】
金属配線層の断面積は、タッチパネルセンサに必要な電気伝導性を得るために、好ましくは0.5μm
2〜4μm
2であり、さらに好ましくは0.5μm
2〜3.2μm
2であり、特に好ましくは0.5μm
2〜2.5μm
2である。
【0118】
金属配線層のピッチ間隔は、十分な透光性を得るために、好ましくは200μm〜800μmであり、さらに好ましくは350μm〜650μmである。金属配線層の開口率は、好ましくは95%〜99%であり、さらに好ましくは96%〜99%である。
【0119】
上記金属配線層を形成する方法としては、例えば、フィルム基材の表面全体に金属層を成膜した後、金属層上に所定のレジストパターン(resist pattern)を積層し、エッチング(etching)により、網目状の金属配線層が形成されるように、不要領域の金属層を除去した後、レジストを剥離する方法が用いられる。上記金属層は、例えば、スパッタリング(spattering)法、メッキ(plating)法、又はそれらの組み合わせにより成膜することができる。
【0120】
[有機EL表示装置]
本発明の有機EL表示装置は、上記の光学ユニットと、有機EL表示パネルとを含み、光学ユニットが、有機EL表示パネルに対して視認側に配置され、光学ユニットが、透明導電性フィルムが偏光膜と有機EL表示パネルとの間に位置するように配置されている。
【0121】
任意ではあるが、有機EL表示装置用積層体に対して視認側にウインドウが配置されることができる。
【0122】
図4は、本発明による有機EL表示装置の1つの実施形態を示す断面図である。この有機EL表示装置100は、光学ユニット110と、有機EL表示パネル101とを含む。そして、有機EL表示パネル101に対して視認側に光学ユニット110が配置されている。
【0123】
任意ではあるが、光学ユニット110に対して視認側に透明なウインドウ102が配置されることができる。
【0124】
光学ユニット110は、透明導電性フィルム116と、偏光膜121と、位相差フィルム123とを含む。
【0125】
偏光膜121は位相差フィルム123に対して透明導電性フィルム116とは反対側に配置される。そして、この場合、偏光膜121と位相差フィルム123は、偏光機能積層体120を構成する。偏光機能積層体120は、例えば、偏光膜121の視認側から内部に入射した光が内部反射して視認側に射出されることを防止するために円偏光を生成したり、視野角を補償したりするためのものである。
【0126】
任意ではあるが、偏光膜121の片面又は両面に、保護フィルムが接着されることができる。
【0127】
光学ユニット110は、透明導電性フィルム116が偏光膜121と有機EL表示パネル101との間に位置するように配置されている。
【0128】
透明導電性フィルム116は、ポリシクロオレフィンフィルム115と透明導電層112とを含む。
【0129】
ポリシクロオレフィンフィルム115の遅相軸の角度ばらつきは4°の角度範囲内にあり、23℃において波長550nmの光で測定した前記ポリシクロオレフィンフィルム115の面内位相差は、3〜8nmの範囲内であり、そのばらつきが1.5nmの範囲内である。位相差フィルム123の面内位相差は、ポリシクロオレフィンフィルム115の面内位相差を相殺して、位相差フィルム123と透明導電性フィルム116の全体の面内位相差が所望の値となるようにされている。
【0130】
本実施形態においては、位相差フィルム123の面内位相差が、ポリシクロオレフィンフィルム115のばらつきがほとんどないほぼ一定の3〜8nmの範囲内の面内位相差を相殺して、位相差フィルム123と透明導電性フィルム116の全体の面内位相差が、約1/4波長となるようにされたので、反射色相が良好なものとなる。
【0131】
任意ではあるが、位相差フィルム123は、1/4波長位相差膜を含み、上記所望の値が約1/4波長である。
【0132】
任意ではあるが、位相差フィルム123は、透明導電性フィルム116側から順に視野角補償用位相差膜と1/4波長位相差膜を含み、上記所望の値が約1/4波長である。
【0133】
任意ではあるが、上記1/4波長位相差膜の遅相軸の方向が、ポリシクロオレフィンフィルム115の遅相軸の方向に対して±3°の範囲内にある。このような構成により、ポリシクロオレフィンフィルム115の面内位相差の位相差フィルム123による相殺を容易に行うことができると共に、光学ユニットの偏光膜側の表面から入射する光の反射率を低減することができる。
【0134】
任意ではあるが、上記1/4波長位相差膜の遅相軸の方向が、ポリシクロオレフィンフィルム115の遅相軸の方向に対して90°±3°の範囲内にある。したがって、ポリシクロオレフィンフィルム115の面内位相差の位相差フィルム123による相殺を容易に行うことができると共に、光学ユニットの偏光膜側の表面から入射する光の反射率を低減することができる。
【実施例】
【0135】
本発明のポリシクロオレフィンフィルムと透明導電層とを含む透明導電性フィルム及びその製造方法、そのような透明導電性フィルムを含む積層体のロール、そのような透明導電性フィルムを含む光学ユニット及びその製造方法、そのような光学ユニットを含む有機EL表示装置について、以下の実施例を用いて更に説明する。なお、本発明のポリシクロオレフィンフィルムと透明導電層とを含む透明導電性フィルム及びその製造方法、そのような透明導電性フィルムを含む積層体のロール、そのような透明導電性フィルムを含む光学ユニット及びその製造方法、そのような光学ユニットを含む有機EL表示装置は、これらの実施例のみに限定されるものではない。
【0136】
〔実施例A1〕
[透明導電性フィルム]
(硬化樹脂層の形成)
紫外線硬化性樹脂組成物(DIC社製 商品名「UNIDIC(登録商標)RS29−120」)を100重量部と、最頻粒子径が1.9μmであるアクリル系球状粒子(綜研化学社製 商品名「MX−180TA」)を0.002重量部とを含む、球状粒子入り硬化性樹脂組成物を準備した。準備した球状粒子入り硬化性樹脂組成物を厚みが50μm、幅1550mmの長尺状のポリシクロオレフィンフィルム(日本ゼオン製 商品名「ZEONOR(登録商標)」)の一方の面に塗布し、塗布層を形成した。
【0137】
次いで、塗布層が形成された側から塗布層に紫外線を照射して、厚みが1.0μmとなる様に第2硬化樹脂層を形成した。ポリシクロオレフィンフィルムの他方の面に、球状粒子を含まない以外は上記と同様の方法で、厚みが1.0μmとなる様に第1硬化樹脂層を形成した。
【0138】
さらに、第1硬化樹脂層上に、光学調整層として平均粒径が30nmの酸化ジルコニウム粒子とアクリル系樹脂のバインダーで構成された有機無機ハイブリッド樹脂(JSR社製、商品名:オプスターZ7412(登録商標)、固形分:20%、溶媒:80%)を形成して基材積層体とし、ロール状に巻かれた基材積層体のロールを作製した。
【0139】
(加熱巻き上げ処理)
次いで、ロールtoロール方式で、得られた基材積層体のロールから繰り出された基材積層体を空気循環式オーブンに投入し、巻き取りロールで巻き取りながら、150℃で3分の加熱巻き上げ処理を実施し、ロール状に巻かれた、加熱巻き上げ処理された基材積層体のロールを作製した。
【0140】
(透明導電層の形成)
次に、得られた加熱巻き上げ処理された基材積層体のロールから繰り出された基材積層体を、巻き取り式スパッタ装置に投入し、第1硬化樹脂層の表面に、厚みが27nmの非晶質のインジウム・スズ酸化物層を形成した。その後、該インジウム・スズ酸化物の非晶質層が形成されたポリシクロオレフィンフィルムを、ロールtoロール方式で空気循環式オーブンに投入し、130℃で90分間の加熱処理を行い、透明導電層を非晶質から結晶質に転化させ、透明導電層の表面抵抗値が100Ω/□の透明導電性フィルムを形成し、ロール状に巻かれた透明導電性フィルムのロールを作製した。
【0141】
[位相差膜]
撹拌翼および100℃に制御された還流冷却器を具備した縦型反応器2器からなるバッチ重合装置を用いて重合を行った。9,9−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン(BHEPF)、イソソルビド(ISB)、ジエチレングリコール(DEG)、ジフェニルカーボネート(DPC)、および酢酸マグネシウム4水和物を、モル比率でBHEPF/ISB/DEG/DPC/酢酸マグネシウム=0.438/0.537/0.025/1.005/1.00×10
-5になるように仕込んだ。反応器内を十分に窒素置換した後(酸素濃度0.0005〜0.001vol%)、熱媒で加温を行い、内温が100℃になった時点で撹拌を開始した。昇温開始40分後に内温を220℃に到達させ、この温度を保持するように制御すると同時に減圧を開始し、220℃に到達してから90分で13.3kPaにした。重合反応とともに副生するフェノール蒸気を100℃の還流冷却器に導き、フェノール蒸気中に若干量含まれるモノマー成分を反応器に戻し、凝縮しないフェノール蒸気は45℃の凝縮器に導いて回収した。
【0142】
第1反応器に窒素を導入して一旦大気圧まで復圧させた後、第1反応器内のオリゴマー化された反応液を第2反応器に移した。次いで、第2反応器内の昇温および減圧を開始して、50分で内温240℃、圧力0.2kPaにした。その後、所定の攪拌動力となるまで重合を進行させた。所定動力に到達した時点で反応器に窒素を導入して復圧し、反応液をストランドの形態で抜出し、回転式カッターでペレット化を行い、BHEPF/ISB/DEG=43.8/53.7/2.5[mol%]の共重合組成のポリカーボネート樹脂Aを得た。このポリカーボネート樹脂の還元粘度は0.430dL/g、ガラス転移温度は145℃であった。
【0143】
得られたポリカーボネート樹脂を80℃で5時間真空乾燥をした後、単軸押出機(いすず化工機社製、スクリュー径25mm、シリンダー設定温度:240℃)、Tダイ(幅900mm、設定温度:240℃)、チルロール(設定温度:120〜130℃)および巻取機を備えたフィルム製膜装置を用いて、厚み150μmのポリカーボネート樹脂フィルムを作製した。
【0144】
上記のようにして得られたポリカーボネート樹脂フィルムから幅250mm、長さ250mmの試料を切り出した。そして、この試料を、バッチ式二軸延伸装置(ブルックナー社製 商品名「KARO-IV」)にて、延伸温度145.6℃、延伸倍率2.4倍で固定端一軸横延伸し、厚み70μmの位相差膜を作製した。
【0145】
[偏光膜]
長尺状のポリビニルアルコールフィルムを下記[1]〜[5]の5浴に周速の異なる複数セットのロール間を通して順次フィルム長手方向に張力を付与しながら浸漬し、最終的な延伸倍率がフィルム元長に対し、6.0倍になるように延伸した。このフィルムを50℃オーブンで4分間乾燥させ、厚み12μmの偏光膜を得た。
[1]膨潤浴:30℃の純水
[2]染色浴:水100重量部に対し、ヨウ素濃度を0.02〜0.2重量%の範囲内とし、ヨウ化カリウム濃度を0.14〜1.4重量%の範囲内とした。ヨウ素とヨウ化カリウムの濃度の比は1対7である。これらを含む30℃の水溶液へ、最終的な偏光膜の単体透過率が41〜47%となるように任意の時間浸漬した。
[3]第1の架橋浴:3重量%のヨウ化カリウムと3重量%のホウ酸とを含む、40℃の水溶液。
[4]第2の架橋浴:5重量%のヨウ化カリウムと4重量%のホウ酸とを含む、60℃の水溶液。
[5]洗浄浴:3重量%のヨウ化カリウムを含む、25℃の水溶液
【0146】
[偏光機能積層体]
ハードコート処理されたトリアセチルセルロース製の保護フィルム(コニカミノルタ社製 商品名「KC2UA」、厚み25μm)にハードコート処理したフィルム、表面処理がされていないトリアセチルセルロース製の保護フィルム(コニカミノルタ社製 商品名「KC2UA」、厚み25μm)を準備した。上記のようにして得られた偏光膜、位相差フィルムを、それぞれ150mm×300mmに切り出した。位相差フィルムは、遅相軸が短辺又は長辺に対して45°の角度をなすように切り出した。そして偏光膜の両面に上記の2つの保護フィルムをそれぞれポリビニルアルコール系接着剤を介して貼り合わせた。更に、偏光膜両面に保護フィルムが貼り付けられた積層体の表面処理がされていない保護フィルムの側に、位相差フィルムの遅相軸と偏光膜の吸収軸が45°の角度をなすように、位相差フィルムを、アクリル系粘着剤層を介して貼り合わせた。次いで、作製した偏光機能積層体を70mm×120mmのサイズにトリミングし、円偏光板として機能する偏光機能積層体を作製した。
【0147】
[光学ユニット]
上記のようにして得られた長尺状の透明導電性フィルムから70mm×120mmのサイズの透明導電性フィルムを切り出した。その際に、透明導電性フィルムの中心点が、長尺状の透明導電性フィルムの幅方向の中央とほぼ一致するように、かつ長手方向がMD方向に平行となるように、透明導電性フィルムを切り出した。切り出した透明導電性フィルムの透明導電層側の面と、上記のようにして得られた偏光機能積層体の位相差膜側の面とを、位相差膜の遅相軸の方向と透明導電性フィルムのMD方向とが平行になるように、アクリル系粘着剤層を介して貼り合せ、光学ユニットを作製した。
【0148】
得られた加熱巻き上げ処理後の基材積層体、位相差膜、光学ユニットについて、以下のように各種評価を行った。得られた加熱巻き上げ処理後の基材積層体、位相差膜、光学ユニットの特性を表1に示す。
【0149】
〔実施例A2〕
透明導電性フィルムの中心点が長尺状の透明導電性フィルムの幅方向の端から約50mmの位置となるように透明導電性フィルムを切り出した点を除き、実施例A1と同様の条件で基材積層体、位相差膜、光学ユニットを製造及び作製し、以下のように各種評価を行った。得られた加熱巻き上げ処理後の基材積層体、位相差膜、光学ユニットの特性を表1に示す。
【0150】
〔実施例A3〕
加熱巻き上げ処理の温度を140℃とした点と、面内位相差が異なる位相差膜を得るために、位相差膜の延伸温度を145.4℃とした点を除き、実施例A1と同様の条件で基材積層体、位相差膜、光学ユニットを製造及び作製し、以下のように各種評価を行った。得られた加熱巻き上げ処理後の基材積層体、位相差膜、光学ユニットの特性を表1に示す。
【0151】
〔実施例A4〕
透明導電性フィルムの中心点が長尺状の透明導電性フィルムの幅方向の端から約50mmの位置となるように透明導電性フィルムを切り出した点を除き、実施例A3と同様の条件で基材積層体、位相差膜、光学ユニットを製造及び作製し、以下のように各種評価を行った。得られた加熱巻き上げ処理後の基材積層体、位相差膜、光学ユニットの特性を表1に示す。
【0152】
〔実施例A5〕
加熱巻き上げ処理の温度を145℃とした点と、面内位相差が異なる位相差膜を得るために、位相差膜の延伸温度を145.4℃とした点を除き、実施例A1と同様の条件で基材積層体、位相差膜、光学ユニットを製造及び作製し、以下のように各種評価を行った。得られた加熱巻き上げ処理後の基材積層体、位相差膜、光学ユニットの特性を表1に示す。
【0153】
〔実施例A6〕
透明導電性フィルムの中心点が長尺状の透明導電性フィルムの幅方向の端から約50mmの位置となるように透明導電性フィルムを切り出した点を除き、実施例A5と同様の条件で基材積層体、位相差膜、光学ユニットを製造及び作製し、以下のように各種評価を行った。得られた加熱巻き上げ処理後の基材積層体、位相差膜、光学ユニットの特性を表1に示す。
【0154】
〔実施例A7〕
加熱巻き上げ処理の温度を155℃とした点を除き、実施例A1と同様の条件で基材積層体、位相差膜、光学ユニットを製造及び作製し、以下のように各種評価を行った。得られた加熱巻き上げ処理後の基材積層体、位相差膜、光学ユニットの特性を表1に示す。
【0155】
〔実施例A8〕
透明導電性フィルムの中心点が長尺状の透明導電性フィルムの幅方向の端から約50mmの位置となるように透明導電性フィルムを切り出した点を除き、実施例A7と同様の条件で基材積層体、位相差膜、光学ユニットを製造及び作製し、以下のように各種評価を行った。得られた加熱巻き上げ処理後の基材積層体、位相差膜、光学ユニットの特性を表1に示す。
【0156】
〔実施例A9〕
透明導電性フィルムの中心点が長尺状の透明導電性フィルムの幅方向の端から約100mmの位置となるように透明導電性フィルムを切り出した点を除き、実施例A1と同様の条件で基材積層体、位相差膜、光学ユニットを製造及び作製し、以下のように各種評価を行った。得られた加熱巻き上げ処理後の基材積層体、位相差膜、光学ユニットの特性を表1に示す。
【0157】
〔実施例A10〕
光学ユニットの作製において、位相差膜の遅相軸の方向と透明導電性フィルムのMD方向が3°の角度をなすように、透明導電性フィルムと偏光機能積層体を貼り合わせた点を除き、実施例A1と同様の条件で基材積層体、位相差膜、光学ユニットを製造及び作製し、以下のように各種評価を行った。得られた加熱巻き上げ処理後の基材積層体、位相差膜、光学ユニットの特性を表1に示す。
【0158】
〔実施例A11〕
透明導電性フィルムの中心点が長尺状の透明導電性フィルムの幅方向の端から約50mmの位置となるように透明導電性フィルムを切り出した点を除き、実施例A10と同様の条件で基材積層体、位相差膜、光学ユニットを製造及び作製し、以下のように各種評価を行った。得られた加熱巻き上げ処理後の基材積層体、位相差膜、光学ユニットの特性を表1に示す。
【0159】
〔実施例A12〕
光学ユニットの作製において、位相差膜の遅相軸の方向と透明導電性フィルムのMD方向が90°の角度をなすように、透明導電性フィルムと偏光機能積層体を貼り合わせた点と、面内位相差が異なる位相差膜を得るために、位相差膜の延伸温度を146.1℃とした点を除き、実施例A1と同様の条件で基材積層体、位相差膜、光学ユニットを製造及び作製し、以下のように各種評価を行った。得られた加熱巻き上げ処理後の基材積層体、位相差膜、光学ユニットの特性を表1に示す。
【0160】
〔実施例A13〕
透明導電性フィルムの中心点が長尺状の透明導電性フィルムの幅方向の端から約50mmの位置となるように透明導電性フィルムを切り出した点を除き、実施例A12と同様の条件で基材積層体、位相差膜、光学ユニットを製造及び作製し、以下のように各種評価を行った。得られた加熱巻き上げ処理後の基材積層体、位相差膜、光学ユニットの特性を表1に示す。
【0161】
〔実施例B1〕
透明導電性フィルムの製造に用いた長尺状のポリシクロオレフィンフィルムとして実施例A1とはロットの異なるものを用いた点と、面内位相差が異なる位相差膜を得るために、位相差膜の延伸温度を146.1℃とした点を除き、実施例A1と同様の条件で基材積層体、位相差膜、光学ユニットを製造及び作製し、以下のように各種評価を行った。得られた加熱巻き上げ処理後の基材積層体、位相差膜、光学ユニットの特性を表1に示す。
【0162】
〔実施例B2〕
透明導電性フィルムの中心点が長尺状の透明導電性フィルムの幅方向の端から約50mmの位置となるように透明導電性フィルムを切り出した点を除き、実施例B1と同様の条件で基材積層体、位相差膜、光学ユニットを製造及び作製し、以下のように各種評価を行った。得られた加熱巻き上げ処理後の基材積層体、位相差膜、光学ユニットの特性を表1に示す。
【0163】
〔実施例B3〕
加熱巻き上げ処理の温度を140℃とした点を除き、実施例B1と同様の条件で基材積層体、位相差膜、光学ユニットを製造及び作製し、以下のように各種評価を行った。得られた加熱巻き上げ処理後の基材積層体、位相差膜、光学ユニットの特性を表1に示す。
【0164】
〔実施例B4〕
透明導電性フィルムの中心点が長尺状の透明導電性フィルムの幅方向の端から約50mmの位置となるように透明導電性フィルムを切り出した点を除き、実施例B3と同様の条件で基材積層体、位相差膜、光学ユニットを製造及び作製し、以下のように各種評価を行った。得られた加熱巻き上げ処理後の基材積層体、位相差膜、光学ユニットの特性を表1に示す。
【0165】
〔実施例C〕
基材積層体の製造に用いた長尺状のポリシクロオレフィンフィルムとして実施例A1及びB1とはロットの異なるものを用いた点を除き、実施例A1と同様の条件で基材積層体を製造及び加熱巻き上げ処理し、以下のように加熱巻き上げ処理前後の各種評価を行った。加熱巻き上げ処理前後の基材積層体の特性を
図5、6に示す。
【0166】
〔比較例A1〕
加熱巻き上げ処理を行わない点と、位相差膜の延伸温度が145.0℃である点とを除き、実施例A1と同様の条件で透明導電性フィルム、位相差膜、光学ユニットを製造及び作製し、以下のように各種評価を行った。得られた基材積層体、位相差膜、光学ユニットの特性を表1に示す。
【0167】
〔比較例A2〕
透明導電性フィルムの中心点が長尺状の透明導電性フィルムの幅方向の端から約50mmの位置となるように透明導電性フィルムを切り出した点を除き、比較例A1と同様の条件で基材積層体、位相差膜、光学ユニットを製造及び作製し、以下のように各種評価を行った。得られた基材積層体、位相差膜、光学ユニットの特性を表1に示す。
【0168】
〔比較例A3〕
加熱巻き上げ処理の温度を130℃とした点を除き、比較例A1と同様の条件で基材積層体、位相差膜、光学ユニットを製造及び作製し、以下のように各種評価を行った。得られた加熱巻き上げ処理後の基材積層体、位相差膜、光学ユニットの特性を表1に示す。
【0169】
〔比較例A4〕
透明導電性フィルムの中心点が長尺状の透明導電性フィルムの幅方向の端から約50mmの位置となるように透明導電性フィルムを切り出した点を除き、比較例A3と同様の条件で基材積層体、位相差膜、光学ユニットを製造及び作製し、以下のように各種評価を行った。得られた加熱巻き上げ処理後の基材積層体、位相差膜、光学ユニットの特性を表1に示す。
【0170】
〔比較例A5〕
光学ユニットの作製において、位相差膜の遅相軸の方向と透明導電性フィルムのMD方向が5°の角度をなすように、透明導電性フィルムと偏光機能積層体を貼り合わせた点を除き、実施例A1と同様の条件で基材積層体、位相差膜、光学ユニットを製造及び作製し、以下のように各種評価を行った。得られた加熱巻き上げ処理後の基材積層体、位相差膜、光学ユニットの特性を表1に示す。
【0171】
〔比較例A6〕
透明導電性フィルムの中心点が長尺状の透明導電性フィルムの幅方向の端から約50mmの位置となるように透明導電性フィルムを切り出した点を除き、比較例A5と同様の条件で基材積層体、位相差膜、光学ユニットを製造及び作製し、以下のように各種評価を行った。得られた加熱巻き上げ処理後の基材積層体、位相差膜、光学ユニットの特性を表1に示す。
【0172】
〔比較例B1〕
加熱巻き上げ処理を行わない点と、位相差膜の延伸温度が145.0℃である点とを除き、実施例B1と同様の条件で透明導電性フィルム、位相差膜、光学ユニットを製造及び作製し、以下のように各種評価を行った。得られた基材積層体、位相差膜、光学ユニットの特性を表1に示す。
【0173】
〔比較例B2〕
透明導電性フィルムの中心点が長尺状の透明導電性フィルムの幅方向の端から約50mmの位置となるように透明導電性フィルムを切り出した点を除き、比較例B1と同様の条件で機能積層体、位相差膜、光学ユニットを製造及び作製し、以下のように各種評価を行った。得られた基材積層体、位相差膜、光学ユニットの特性を表1に示す。
【0174】
〔比較例B3〕
加熱巻き上げ処理を実施例B1、B2と同様に150℃で行った点を除き、比較例B1と同様の条件で機能積層体、位相差膜、光学ユニットを製造及び作製し、以下のように各種評価を行った。得られた加熱巻き上げ処理後の基材積層体、位相差膜、光学ユニットの特性を表1に示す。
【0175】
〔比較例B4〕
加熱巻き上げ処理の温度を130℃とした点を除き、実施例B1〜B4と同様の条件で機能積層体、位相差膜、光学ユニットを製造及び作製し、以下のように各種評価を行った。得られた加熱巻き上げ処理後の基材積層体、位相差膜、光学ユニットの特性を表1に示す。
【0176】
〔比較例B5〕
透明導電性フィルムの中心点が長尺状の透明導電性フィルムの幅方向の端から約50mmの位置となるように透明導電性フィルムを切り出した点を除き、比較例B4と同様の条件で機能積層体、位相差膜、光学ユニットを製造及び作製し、以下のように各種評価を行った。得られた基材積層体、位相差膜、光学ユニットの特性を表1に示す。
【0177】
〔比較例B6〕
加熱巻き上げ処理の温度を165℃とした点と、面内位相差が異なる位相差膜を得るために、位相差膜の延伸温度を146.4℃とした点を除き、比較例B1と同様の条件で機能積層体、位相差膜、光学ユニットを製造及び作製し、以下のように各種評価を行った。得られた加熱巻き上げ処理後の基材積層体、位相差膜、光学ユニットの特性を表1に示す。
【0178】
〔比較例B7〕
透明導電性フィルムの中心点が長尺状の透明導電性フィルムの幅方向の端から約50mmの位置となるように透明導電性フィルムを切り出した点を除き、比較例B6と同様の条件で機能積層体、位相差膜、光学ユニットを製造及び作製し、以下のように各種評価を行った。得られた基材積層体、位相差膜、光学ユニットの特性を表1に示す。
【0179】
【表1】
【0180】
[評価]
(厚みの測定)
偏光膜、位相差膜、保護膜の厚みは、ダイヤルゲージ(ミツトヨ製)を用いて測定した。
【0181】
(面内位相差及び遅相軸の方向の測定)
基材積層体の面内位相差及び遅相軸の方向、並びに位相差膜の面内位相差は、[Axometrics社製 製品名「AxoScan」]を用いて23℃の室内で測定した。ここで、得られた基材積層体の面内位相差及び遅相軸の方向の測定において、基材積層体中の第1及び第2の硬化樹脂層及び光学調整層の影響は無視できるため、測定された基材積層体の面内位相差及び遅相軸の方向は、ポリシクロオレフィンフィルムの面内位相差及び遅相軸の方向とみなすことができる。実施例A1〜A4、B1〜B2、比較例A1〜A4、B1〜B3の基材積層体については、得られた長尺状の基材積層体から70mm×120mmのサイズに切り出し、その際に、切り出された基材積層体の中心点が、長尺状の基材積層体の幅方向の中央又は端から50mmの位置となるように、かつ長手方向がMD方向に平行となるように切り出してサンプルを作製した。そして、基材積層体の遅相軸の方向は、サンプルの長手方向すなわちMD方向に対する角度を測定した。また、実施例Cの基材積層体については、得られた加熱巻き上げ処理前の基材積層体のロールの基材積層体と得られた加熱巻き上げ処理された基材積層体のロールの基材積層体について、切り出さずにそのまま幅方向の端から50nm間隔で面内位相差及び遅相軸の方向を測定した。
【0182】
(光学ユニットの反射率及び色相の測定)
得られた光学ユニットの透明導電性フィルム側にアクリル系粘着剤(厚み23μm)を用いて、PETにアルミ蒸着した反射板(東レフィルム加工製 製品名「セラピールDMS−X42」)を貼り合せ測定サンプルとした。光学ユニットの偏光膜側の表面の中心点付近の反射率と反射色相(a*, b*)を、反射分光スペクトルを分光測色計[コニカミノルタセンシング(株)製 製品名「CM−2600d」]を用いて、23℃の室内で測定した。光源はD65の時の値を使用し、SCI(Specular Component Included)方式(正反射光含む)で測定した。
【0183】
測定結果を表1に示す。また、実施例Cのポリシクロオレフィンフィルムの幅方向にわたる加熱巻き上げ処理前後の遅相軸の方向の変化及び位相差の変化を
図5、6に示す。ここで、上述のように、得られた基材積層体の面内位相差及び遅相軸の方向の測定において、基材積層体中の第1及び第2の硬化樹脂層及び光学調整層の影響は無視できるため、測定された基材積層体の面内位相差及び遅相軸の方向は、ポリシクロオレフィンフィルムの面内位相差及び遅相軸の方向とみなすことができる。また、実施例A1〜A13及び比較例A1〜A6、実施例B1〜B4及び比較例B1〜B7の反射色相の測定結果を
図7(a)、(b)に示す。
図7(a)、(b)において、比較例で用いた位相差膜単体の反射色相(a*, b*)=(−0.59,−2.15)を目標値として示す。また、実施例A10及びA11、比較例A5及びA6の反射率の測定結果を
図8に示す。
【0184】
(評価)
図5から以下のことが分かった。加熱巻き上げ処理前のポリシクロオレフィンフィルムの幅方向において中央部から端部に向かうにつれて、面内位相差が大きくなった。面内位相差の最小値は1.30nm、最大値は2.86nmであった。これに対して、加熱巻き上げ処理後のポリシクロオレフィンフィルムでは、面内位相差の最小値が3.99nm、最大値が5.11nmと、幅方向にわたって、面内位相差の値が大きくなるものの、面内位相差のばらつきは、加熱巻き上げ処理前の1.55nmから1.12nmに抑制された。
【0185】
また、加熱巻き上げ処理前のポリシクロオレフィンフィルムの幅方向において中央部では遅相軸の方向はMD方向と平行であるが、幅方向において中央部から端部に向かうにつれて、MD方向に対する遅相軸の方向のずれが大きくなった。MD方向に対する遅相軸の方向は、−7.27〜+7.08°の角度範囲をとり、±2°の角度範囲を大幅に超えるものとなった。これに対して、加熱巻き上げ処理後のポリシクロオレフィンフィルムでは、MD方向に対する遅相軸の方向は、−1.26〜+0.67°の角度範囲と、MD方向に対して±1、5°の角度範囲内にあった。すなわち、加熱巻き上げ処理によって、ポリシクロオレフィンフィルムの遅相軸の方向をMD方向に揃え、遅相軸の方向のばらつきを抑制することができた。
【0186】
表1から以下のことが分かった。実施例A1〜A9及びB1〜B4では、ポリシクロオレフィンフィルムの遅相軸の方向が、透明導電性フィルムのMD方向に対して±2°の範囲内にあり、ほぼMD方向に揃っているが、端部を切り取った比較例A2、A4、B2、B5では、透明導電性フィルムのMD方向に対するポリシクロオレフィンフィルムの遅相軸の方向が、2.7°以上と±2°を超えた。すなわち、各実施例のポリシクロオレフィンフィルムにおいて、遅相軸の方向をMD方向に揃え、遅相軸の方向のばらつきを抑制できた。
【0187】
そして、実施例A2、A4、A6、A8及び比較例A4、実施例B2、B4及び比較例B5において、加熱巻き上げ処理の温度が、ポリシクロオレフィンフィルムのガラス転移温度(Tg)である165℃に近づくにつれて、より遅相軸の方向がMD方向に近づき、遅相軸の方向のばらつきが抑制されたことが分かった。
【0188】
また、比較例B6、B7では、ポリシクロオレフィンフィルムの面内位相差が9.5nm以上となった。すなわち、加熱巻き上げ処理の温度がポリシクロオレフィンフィルムのTgである165℃となると、ポリシクロオレフィンフィルムの面内位相差が8nmを超えた。
【0189】
したがって、加熱巻き上げ処理の温度が、実施例A1〜A9及びB1〜B4においては140〜155℃であり、比較例A4、B5においては130℃であり、比較例B6、B7においては165℃であることから、加熱巻き上げ処理の温度は、140〜160℃であることが好ましく、145〜155℃であることがより好ましく、148〜153℃であることが更により好ましいことが分かった。
【0190】
また、実施例A1〜A9、B1〜B4のポリシクロオレインフィルムの面内位相差は、加熱巻き上げ処理なしの長尺状のポリシクロオレフィンフィルムの比較例A1〜A4、B1〜B2の面内位相差に比べて大きくなっているが、実施例A1、A2及びA9、実施例A3及びA4、実施例A5及びA6、実施例A7及びA8、実施例B1及びB2、実施例B3及びB4の各々において、長尺状のポリシクロオレフィンフィルムの面内位相差のばらつきは1nmの範囲内と、ポリシクロオレフィンフィルム内の位置によらず、面内位相差がほぼ一定であった。
【0191】
また、
図7(a)、(b)から分かるように、実施例A1〜A9、A12〜A13、B1〜B4の反射色相は、目標値の反射色相に近く、実施例A2、A4及びA9、実施例B2の反射色相は、比較例A2及びA4、比較例B2、B5及びB7の反射色相に比べて目標値の反射色相に近くなった。また、実施例B1〜B4の反射色相は、比較例B3の反射色相に比べて目標値の反射色相に近くなった。
【0192】
すなわち、各実施例の光学ユニットにおいて、加熱巻き上げ処理によってポリシクロオレフィンフィルムの面内位相差は大きくなるが、ポリシクロオレフィンフィルムの遅相軸の方向はMD方向に揃い、また面内位相差がポリシクロオレフィンフィルム内の位置によらずほぼ一定となった。そして、位相差膜の面内位相差が、ポリシクロオレフィンフィルムのばらつきがほとんどないほぼ一定の面内位相差を相殺して、位相差膜と透明導電性フィルムの全体の面内位相差が、約1/4波長となるようにされたので、光学ユニットの反射色相が良好なものとなった。
【0193】
また、空気から偏光膜に光が入射すること自体で、偏光膜表面において反射率が約5%の反射が生じることを考慮すると、
図8から分かるように、透明導電性フィルムのMD方向に対する位相差膜の遅相軸の方向が3°(ポリシクロオレフィンフィルムの遅相軸に対する位相差膜の遅相軸の方向が3°、3.5°)の実施例A10、A11の光学ユニットの反射率は、透明導電性フィルムのMD方向に対する位相差膜の遅相軸の方向が5°(ポリシクロオレフィンフィルムの遅相軸に対する位相差膜の遅相軸の方向が5°、5.5°)の比較例A5、A6の反射率に比較して大幅に小さくなったことが分かる。透明導電性フィルムのMD方向に対する位相差膜の遅相軸の方向が0°又は90°である実施例A1〜A9、A12〜A13、B1〜B4の反射率は、実施例A10、A11よりも小さかったから、各実施例の光学ユニットにおいて、反射率を抑制できた。
【0194】
以上、本発明を特定の実施形態について図面を参照して説明したが、本発明は、図示し説明した構成以外にも、幾多の変更が可能である。したがって、本発明は、図示し説明した構成に限定されるものではなく、その範囲は、添付の特許請求の範囲及びその均等範囲によってのみ定められるべきである。