特許第6560150号(P6560150)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6560150
(24)【登録日】2019年7月26日
(45)【発行日】2019年8月14日
(54)【発明の名称】ウエハ載置装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/683 20060101AFI20190805BHJP
   H01L 21/205 20060101ALI20190805BHJP
   H01L 21/3065 20060101ALI20190805BHJP
   H05B 3/02 20060101ALI20190805BHJP
   C23C 16/46 20060101ALN20190805BHJP
【FI】
   H01L21/68 N
   H01L21/205
   H01L21/302 101B
   H05B3/02 B
   !C23C16/46
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-63623(P2016-63623)
(22)【出願日】2016年3月28日
(65)【公開番号】特開2017-183329(P2017-183329A)
(43)【公開日】2017年10月5日
【審査請求日】2017年10月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004064
【氏名又は名称】日本碍子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000017
【氏名又は名称】特許業務法人アイテック国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】天野 真悟
【審査官】 内田 正和
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−212530(JP,A)
【文献】 特開平08−213152(JP,A)
【文献】 特開2012−216786(JP,A)
【文献】 特開2005−012144(JP,A)
【文献】 特開2014−139989(JP,A)
【文献】 特開2008−198975(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/047555(WO,A1)
【文献】 特開2012−049185(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/683
H01L 21/205
H01L 21/3065
H05B 3/02
C23C 16/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウエハ載置面を有するAlN製のセラミック基体と、
前記セラミック基体に埋設された静電電極、ヒータ電極及び高周波電極のうち少なくとも1つのMo製又はMo合金製の電極と、
前記セラミック基体のウエハ載置面とは反対側の面から前記電極に電気的に接続されたCu製の給電ロッドと、
前記電極に接合されるか又は前記電極に一方の面が接合された耐熱性の応力緩和層の他方の面に接合された非磁性体であるMo製又はMo合金製の接続端子と、
を備え、
前記給電ロッドは、前記接続端子に締結され
前記接続端子は、前記電極にAu−Niロウ接合層を介して接合されるか又は前記電極に一方の面が接合された耐熱性の応力緩和層の他方の面にAu−Niロウ接合層を介して接合されている、
ウエハ載置装置。
【請求項2】
前記給電ロッドは、一端を固定端、他端を自由端とし、前記固定端から前記自由端に向かって50mmの位置に加えた応力と該位置の歪みとの関係を求めたとき、前記歪み1mmに対応する応力が5〜10Nの範囲に入る、
請求項1に記載のウエハ載置装置。
【請求項3】
前記給電ロッドは、焼き鈍したものである、
請求項1又は2に記載のウエハ載置装置。
【請求項4】
前記給電ロッド及び前記接続端子は、一方が雄ネジ、他方が雌ネジを有しており、両方のネジを螺合することで締結されている、
請求項1〜のいずれか1項に記載のウエハ載置装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウエハ載置装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のウエハ載置装置としては、例えば、特許文献1に開示されたものが知られている。このウエハ載置装置は、図4に示すように、セラミック基体102と、そのセラミック基体102に埋設されたヒータ電極104と、セラミック基体102のウエハ載置面とは反対側の面からヒータ電極104の埋設端子106に電気的に接続されたNi製の給電ロッド108とを備えている。ヒータ電極104の埋設端子106と給電ロッド108との間には、応力緩和層110が設けられている。応力緩和層110は、ヒータ電極104の埋設端子106とロウ接合層112によって接合され、給電ロッド108とロウ接合層114によって接合されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許5029257号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述のウエハ載置装置では、給電ロッド108がNi製のため、ヒータ電極104に電流を供給したときに給電ロッド108の周囲に磁場が発生し、半導体製造プロセスに悪影響を与えるおそれがあった。
【0005】
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、給電ロッドの周囲に磁場が発生するのを抑制することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のウエハ載置装置は、
ウエハ載置面を有するセラミック基体と、
前記セラミック基体に埋設された静電電極、ヒータ電極及び高周波電極のうち少なくとも1つの電極と、
前記セラミック基体のウエハ載置面とは反対側の面から前記電極に電気的に接続されたCu製の給電ロッドと、
を備えたものである。
【0007】
このウエハ載置装置では、磁性材料ではないCu製の給電ロッドを介して電極へ電力を供給するため、給電ロッドの周囲に磁場が発生するのを抑制することができる。これにより、半導体製造プロセスにおいてウエハのうち給電ロッドの周囲だけ処理の結果が変わってしまうといった事態が起きるのを防ぐことができる。
【0008】
本発明のウエハ載置装置において、前記給電ロッドは、一端を固定端、他端を自由端とし、前記固定端から前記自由端に向かって50mmの位置に加えた応力と該位置の歪みとの関係を求めたとき、前記歪み1mmに対応する応力が5〜10Nの範囲に入ることが好ましい。給電ロッドは、一端が電極に接続され、他端が固定用器具に固定される。給電ロッドの他端を固定用器具に固定する際には給電ロッドに負荷がかかるが、給電ロッドは上述した応力と歪みとの関係を有しているため、その負荷を自ら吸収することができる。したがって、給電ロッドと電極との接続部位に大きな負荷がかかることはない。なお、上述した応力と歪みとの関係は、例えば、給電ロッドを焼き鈍すことにより得ることができる。
【0009】
本発明のウエハ載置装置は、前記電極にAu−Niロウ接合層を介して接合されるか又は前記電極に一方の面が接合された耐熱性の応力緩和層の他方の面にAu−Niロウ接合層を介して接合された接続端子を備え、前記セラミック基体は、AlN製であり、前記電極及び前記接続端子は、Mo製又はMo合金製であり、前記給電ロッドは、前記接続端子に締結されていてもよい。耐熱性の応力緩和層とは、耐熱温度が1000℃以上の応力緩和層をいう。こうすれば、いずれの構成要素も耐熱温度が高いため、半導体製造プロセスの温度が高い場合であっても本発明のウエハ載置装置を使用することができる。なお、Mo製又はMo合金製の接続端子の周囲に磁場が発生したとしても、接続端子は給電ロッドに比べて長さが短いためその影響は小さい。
【0010】
ところで、接続端子を省略して直接、電極と給電ロッドあるいは応力緩和層と給電ロッドをAu−Niロウ接合層で接合することも考えられる。しかし、Au−Niロウ接合層は、Au−Niロウ材を高温の接合温度(約1000℃)で処理して形成されるものである。その際、Cu製の給電ロッドとAu−Niロウ材との界面でCuとAuとが接することになるが、Au/Cu混合層は融点が低いため、Au−Niロウ材の接合温度で給電ロッドが溶ける懸念がある。そのため、そのような懸念のない材質で形成された接続端子を使用している。また、Auを含まないロウ材で接合すれば、Cu製の給電ロッドを電極又は応力緩和層に接合することは可能かもしれない。しかし、そうしたロウ材は接合温度が低いことが多いため、ウエハ載置装置を高温で使用する際にロウ材が溶け出す懸念がある。そのため、そのような懸念のないAu−Niロウ材を使用する。
【0011】
接続端子を備えた本発明のウエハ載置装置において、前記給電ロッド及び前記接続端子は、一方が雄ネジ、他方が雌ネジを有しており、両方のネジを螺合することで締結されていてもよい。こうすれば、給電ロッドと接続端子との着脱を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施形態のプラズマ処理装置10の構成図。
図2図1の部分拡大図。
図3】Cu製の給電ロッドに加えた応力と歪みとの関係を表すグラフ。
図4】従来のウエハ載置装置の構成図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の好適な実施形態を図面を参照しながら以下に説明する。図1はプラズマ処理装置10の構成図、図2図1の部分拡大図である。
【0014】
プラズマ処理装置10は、図1に示すように、処理容器12と、シャワーヘッド20と、ウエハ載置装置30とを備えている。
【0015】
処理容器12は、アルミニウム合金等によりボックス状に形成された容器である。この処理容器12は、底面の略中央に丸穴14を有している。また。処理容器12は、底面に排気管16を有している。排気管16は、図示しない圧力調整弁や真空ポンプ等を途中に備えており、処理容器12の内部を所望の圧力に調整できるようになっている。処理容器12の天井は、開口されている。
【0016】
シャワーヘッド20は、処理容器12の天井の開口を塞ぐように取り付けられている。処理容器12の天井の開口縁とシャワーヘッド20との間には、絶縁部材22が設けられている。シャワーヘッド20で開口が塞がれた処理容器12の内部は、気密が保たれるように構成されている。シャワーヘッド20は、ガス導入管24から導入されたガスを、多数のガス噴射孔26からウエハ載置台31に載置されたウエハWに向かって噴射するようになっている。本実施形態では、シャワーヘッド20には、図示しないプラズマ発生用の高周波電源が接続されている。そのため、シャワーヘッド20は、プラズマ発生用の電極として機能する。
【0017】
ウエハ載置装置30は、ウエハ載置台31と、中空シャフト38とを備えている。
【0018】
ウエハ載置台31は、円板状のセラミック基体32に静電電極33及びヒータ電極34が埋設されたものである。セラミック基体32は、本実施形態ではAlNセラミック製である。セラミック基体32の一方の面は、ウエハWを載置するためのウエハ載置面32aとなっている。
【0019】
静電電極33は、Mo製であり、ウエハ載置面32aとヒータ電極34との間に埋設されている。静電電極33は、セラミック基体32のうちウエハ載置面32aとは反対側の面(裏面)から差し込まれた給電ロッド35を介して静電チャック用の直流電源60に接続されている。静電電極33は、直流電源60から電力が供給されると、ウエハWを静電力によりウエハ載置面32aに吸着保持する。この静電電極33は、プラズマ発生用の電極(シャワーヘッド20と対をなす電極)として兼用されている。
【0020】
ヒータ電極34は、Mo製であり、円板状のセラミック基体32の全体にわたって行き渡るように一筆書きの要領で一端34aから他端34bまで配線されている。ヒータ電極34の一端34aと他端34bには、それぞれ給電ロッド36,37が接続されている。2つの給電ロッド36,37の間には、ヒータ電源62が接続されている。ヒータ電極34は、ヒータ電源62から電力が供給されると、ウエハ載置面32aに吸着保持されているウエハWを加熱する。
【0021】
中空シャフト38は、セラミック製であり、両端の開口の周囲にはフランジ38a,38bが設けられている。中空シャフト38は、一端のフランジ38aを介してセラミック基体32の裏面に固相接合により気密に接合されている。また、中空シャフト38は、他端のフランジ38bを介して処理容器12の底面に設けられた丸穴14の周囲に気密に取り付けられている。そのため、中空シャフト38の内部と処理容器12の内部とは、完全に遮断された状態となっている。中空シャフト38のフランジ38bの裏面には、ロッド固定器39が取り付けられている。ロッド固定器39は、貫通する給電ロッド35,36,37を図示しないクランプ機構によって固定するものである。
【0022】
次に、静電電極33に給電ロッド35を接続する構造やヒータ電極34に給電ロッド36,37を接続する構造について説明する。これらの接続構造は共通のため、以下には、ヒータ電極34の一端34aに給電ロッド36を接続する構造について図2を用いて説明する。
【0023】
セラミック基体32の裏面には、ヒータ電極34の一端34aに向かって凹んだ形状の凹部40が形成されている。凹部40の内周面には、ネジが設けられている。凹部40の底面には、ヒータ電極34の一端34aに接続された埋設端子41の端面が露出している。埋設端子41は、例えばヒータ電極34と同じ材質、ここではMoで形成されている。凹部40には、外周面にネジが設けられた金属製の円筒リング42が螺合されている。円筒リング42は、凹部40の内周面を補強するものであり、本実施形態ではNi製である。円筒リング42の内側には、凹部40の底面側から順に、応力緩和層43と接続端子44が配置されている。応力緩和層43は、埋設端子41と接続端子44の間に発生する応力、具体的には、埋設端子41と接続端子44との熱膨張差に起因する応力、を緩和するための層である。本実施形態では、応力緩和層43はコバール(FeNiCo系合金)製、接続端子44はMo製である。埋設端子41と応力緩和層43とはロウ接合層45により接合され、応力緩和層43と接続端子44とはロウ接合層46により接合されている。ロウ接合層45,46は、耐熱性を考慮してAu−Niロウ材を用いて形成されている。本実施形態のウエハ載置装置30の使用温度の上限は700℃である。Au−Ni接合温度は約1000℃であるため、ロウ接合層45,46は使用温度の上限まで耐え得る。接続端子44は、応力緩和層43に接合された端面とは反対側の端面に、雄ネジ44aを有している。この雄ネジ44aは、Cu製の給電ロッド36の先端に設けられた雌ネジ36aに螺合される。給電ロッド36は、螺合前の状態で、一端を固定端、他端(雌ネジ36a側)を自由端とし、固定端から自由端に向かって50mmの位置に加えた応力と該位置の歪み(変位量)との関係を求めたとき、歪み1mmに対応する応力が5〜10Nの範囲に入るものである。
【0024】
次に、ヒータ電極34の一端34aに給電ロッド36を接続する手順について説明する。まず、凹部40の底面に露出した埋設端子41の端面に、Au−Niロウ材、応力緩和層43、Au−Niロウ材、接続端子44をこの順に配置する。その状態でAu−Ni接合温度(約1000℃)まで加熱したあと降温することで、埋設端子41と応力緩和層43とがロウ接合層45がより接合され、応力緩和層43と接続端子44とがロウ接合層46により接合される。図2には円筒リング42の内周と応力緩和層43との間に隙間が空いているが、実際には、この隙間にも溶融したAu−Niロウ材が流れ込んだあと固化してロウ接合層が形成される。このように接合温度が約1000℃という高温のため、接続端子44はそれに耐えうる材質(本実施形態ではMo)で形成されている。
【0025】
続いて、接続端子44の雄ねじ44aに給電ロッド36の雌ねじ36aをねじ込むのであるが、それに先立ち、給電ロッド36にアニール処理を施す。図3は、直径4mmのCu製の給電ロッドにつき、一端を固定端、他端を自由端とし、固定端から自由端に向かって50mmの位置に加えた応力と該位置の歪みとの関係を表すグラフを、アニール処理ありとアニール処理なしで比較したものである。測定はそれぞれ2回ずつ行った。アニール処理は、真空雰囲気中、最高温度500℃で1時間保持するという条件で行った。なお、このアニール処理は焼き鈍しと同義である。図3から明らかなように、歪み1mmに対応する応力は、アニール処理なしの給電ロッドでは25〜30Nであったのに対し、アニール処理ありの給電ロッドでは、5〜10N(より詳しくは6〜8N)であり、アニール処理なしのものに比べて柔軟性を有していた。このようなアニール処理ありの給電ロッド36の雌ねじ36aを接続端子44の雄ねじ44aに螺合する。
【0026】
接続端子44と一体化された給電ロッド36は、図1に示すロッド固定器39に内蔵されたクランプ機構によって固定される。給電ロッド36がアニール処理なしの硬すぎる状態だと、ロッド固定器39に給電ロッド36を組み付ける際に給電ロッド36にかかる負荷が接合部位(ロウ接合層)に直接及ぶため接合が外れることがある。これに対して、給電ロッド36がアニール処理ありの柔軟な状態だと、ロッド固定器39に給電ロッド36を組み付ける際に給電ロッド36に負荷がかかったとしても、その負荷を自らの柔軟性で吸収する。そのため、接合部位(ロウ接合層)に大きな負荷がかかることはなく、接合が外れてしまうことはない。
【0027】
ところで、接続端子44を省略して直接、応力緩和層43とCu製の給電ロッド(雌ネジのないもの)とをロウ接合層で接合することも考えられる。ロウ接合層は、Au−Niロウ材を高温の接合温度(約1000℃)で処理して形成されるものである。その際、Cu製の給電ロッド36とAu−Niロウ材との界面でCuとAuとが接することになるが、Au/Cu混合層は融点が低いため、Au−Niロウ材の接合温度で給電ロッド36が溶ける懸念がある。そのため、そのような懸念のない材質で形成された接続端子44を応力緩和層43と給電ロッド36との間に介在させている。また、Au−Niロウ材ではなくAuを含まないロウ材で接合すれば、応力緩和層43とCu製の給電ロッド36とを接合することは可能かもしれない。しかし、そうしたロウ材は接合温度が低いため、ウエハ載置装置30を使用温度の上限付近で使用する際にロウ材が溶け出す懸念がある。そのため、そのような懸念のないAu−Niロウ材を使用している。
【0028】
以上説明した本実施形態のウエハ載置装置30によれば、磁性材料ではないCu製の給電ロッド35〜37を介して静電電極33やヒータ電極34へ電力を供給するため、Ni製の給電ロッドを使用する場合に比べて磁場が発生するのを抑制することができる。これにより、半導体製造プロセスにおいてウエハWのうち給電ロッド35〜37の周囲だけプラズマ処理の結果が変わってしまうといった事態が起きるのを防ぐことができる。
【0029】
また、Cu製の給電ロッド35〜37は、上述した応力と歪みとの関係を求めたとき、歪み1mmに対応する応力が5〜10Nの範囲に入るものであるため、給電ロッド35〜37の自由端側をロッド固定器39に組み付ける際に給電ロッド35〜37に負荷がかかったとしても、その負荷を自らの柔軟性で吸収する。そのため、接合部位(ロウ接合層)に大きな負荷がかかることはなく、接合が外れてしまうことはない。
【0030】
更に、ウエハ載置装置30において、セラミック基体32はAlN製、静電電極33やヒータ電極34はMo製、応力緩和層43はコバール製、接続端子44はMo製、給電ロッド36はCu製であり、いずれも耐熱温度は1000℃以上である。また、ロウ接合層45,46も耐熱温度はこれらと同等である。したがって、半導体製造プロセスの温度が高い場合であっても、本実施形態のウエハ載置装置30を使用することができる。
【0031】
更にまた、給電ロッド36と接続端子44はネジを螺合して締結されているため、給電ロッド36と接続端子44との着脱を容易に行うことができる。
【0032】
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0033】
例えば、上述した実施形態では、応力緩和層43を設けたが、埋設端子41と接続端子44は共にMo製であり両者間に熱膨張差に起因する応力が発生することはほとんどないため、応力緩和層43を省略してもよい。つまり、埋設端子41にロウ接合層45を介して接続端子44を接合してもよい。このようにしても、上述した実施形態と同様の効果が得られる。また、応力緩和層43が磁性体である場合には、応力緩和層43を省略することで磁場の発生を更に抑制することができる。
【0034】
上述した実施形態では、セラミック基体32はAlN製、静電電極33やヒータ電極34はMo製、応力緩和層43はコバール製、接続端子44はMo製、ロウ接合層45,46をAu−Niロウ材製としたが、ほかの材料を採用してもよい。
【0035】
上述した実施形態では、Mo製の接続端子44を採用したが、接続端子44の材質を非磁性体(例えば非磁性のステンレスなど)に変更してもよい。こうすれば、磁場の発生を更に抑制することができる。
【0036】
上述した実施形態では、ヒータ電極34として、円形のウエハ載置面全体を一繋がりの配線で引き回した1ゾーンのヒータ電極を例示したが、ウエハ載置面全体を複数のゾーンに区分けしてゾーンごとにヒータ電極を設けてもよい。その場合、ヒータ電極の数に応じて給電ロッドの数も増えることになるが、上述した実施形態と同様にして給電ロッドをヒータ電極に接続すればよい。
【0037】
上述した実施形態では、接続端子44と給電ロッド36とをネジで螺合して締結したが、両者を圧着して締結してもよいし、一方を他方に圧入したりかしめたりすることにより締結してもよい。
【符号の説明】
【0038】
10 プラズマ処理装置、12 処理容器、14 丸穴、16 排気管、20 シャワーヘッド、22 絶縁部材、24 ガス導入管、26 ガス噴射孔、30 ウエハ載置装置、31 ウエハ載置台、32 セラミック基体、32a ウエハ載置面、33 静電電極、34 ヒータ電極、34a 一端、34b 他端、35 給電ロッド、36 給電ロッド、36a 雌ネジ、37 給電ロッド、38 中空シャフト、38a,38b フランジ、39 ロッド固定器、40 凹部、41 埋設端子、42 円筒リング、43 応力緩和層、44 接続端子、44a 雄ネジ、45,46 ロウ接合層、60 直流電源、62 ヒータ電源、102 セラミック基体、104 ヒータ電極、106 埋設端子、108 給電ロッド、110 応力緩和層、112,114 ロウ接合層。
図1
図2
図3
図4