(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記データ処理部は、前記配管接続推定画像において、配管がない位置に前記表示子が位置しているときに、当該表示子を強調して表示する構成にしてある請求項1又は2に記載の管理装置。
前記データ処理部は、前記配管接続推定画像における前記表示子の分布に基づいて接続状態となっている配管列を推定し、接続状態にあると推定された配管の列を、前記配管接続推定画像において、配管が接続状態にあることを示す状態で表示する構成にしてある請求項1〜3のいずれか一項に記載の管理装置。
前記データ処理部は、前記配管接続推定画像において、流体の流通を断っている未使用配管に対応する位置に前記表示子が位置するときに、当該表示子を強調して表示する構成にしてある請求項1〜4のいずれか一項に記載の管理装置。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本開示は、プラントに対する流体漏洩診断により収集される各流体漏洩箇所のデータを管理する管理装置及びこの管理装置と流体漏洩診断に用いる漏洩検出装置とから構成される管理システムに関する。
図1は本開示の概略を示し、本開示では、プラントに対する流体漏洩診断を可搬式の漏洩検出装置Rを用いて行い、収集したデータを管理装置であるホストコンピュータ24に入力する。
【0029】
漏洩検出装置Rを用いて流体漏洩診断としてプラントの配管系や容器系に対しその各部からの流体漏洩の診断を行い、漏洩検出装置Rにより流体漏洩が検出された場合には(
図1中の符号L)、漏洩検出装置Rに対する各種情報(漏洩流体種、検出日時、流体漏洩箇所を起こしている装置など)の入力、その箇所における流体漏洩量の演算指示、流体漏洩箇所の撮影、診断エリアのエリア図画像Pa及び撮影画像Pbへの流体漏洩箇所のマーキングを行い、これら入力情報や演算された流体漏洩量、撮影画像Pb、エリア図画像Pa及び撮影画像Pbへの指示位置が、その漏洩箇所に付与した管理番号に関連付けられた収集データDを作成する。つまり、収集データDは、流体漏洩の状態(流体漏洩量、漏洩流体種、漏洩を起こしている装置など)とその具体的な位置(撮影画像Pbやエリア図画像Pa及び撮影画像Pbへのマーキング位置など)とが一まとめになったデータとなっている。そして、順次各箇所についての診断を行い、流体漏洩が検出される毎に流体漏洩箇所ごとに収集データDを作成し、この収集データDを蓄積して保管していく。
【0030】
そして、所定の診断行程を終えた後、蓄積された収集データDをホストコンピュータ24に入力する。このホストコンピュータ24は、詳しくは後述するが、入力された収集データDに基づき、収集データDを単に流体漏洩箇所の特定に用いるだけでなく、流体漏洩箇所を捕集することにより得られる経済効果、発見された流体漏洩箇所に対する補修作業の計画や今後のメンテナンス計画の立案、プラントの設備改善に関する情報を提供する。つまり、本開示によれば、プラントに対する流体漏洩診断により収集される収集データの有効な活用法を提供できる。
【0031】
以下、本開示について具体的に説明する。まず、流体漏洩診断に用いる漏洩検出装置の構成を説明し、続けて漏洩検出装置を用いたプラントに対する流体漏洩診断と各流体漏洩箇所のデータ収集との方法について説明し、その後、管理装置(以下の説明においてはホストコンピュータ24)を用いた収集データの管理について説明する。
【0032】
〔漏洩検出装置の構成〕
図2,
図3に示すように、漏洩検出装置Rは、主体装置としてのガン形状の携帯検出器1及びその携帯検出器1に取り付けた携帯コンピュータ2を備えている。
【0033】
図3,
図4に示す如く、携帯検出器1の先端部には、流体漏洩箇所での発生超音波を検出する指向性マイクロホン3及び光ビーム出射光源4を配置し、携帯検出器1の後端部には、超音波検出値(具体的には検出音圧)をバーグラフ表示とデジタル表示とをもって表示する表示部5及び各種キー6を配置してあり、また、この携帯検出器1には、検出超音波を可聴化した探知音を出力するイヤホン7を接続してある。
【0034】
そして、携帯検出器1には、
図11に示す如く、増幅部8、フィルタ部9、検波部10、整流部11を通じマイクロホン3の出力信号を入力して、この入力信号に基づき超音波検出値を表示部5に表示させるとともに可聴化した探知音をイヤホン7に出力させる演算部12、及び、各種データ類を格納する記憶部13を装備してある。
【0035】
マイクロホン3は、
図5に示す如く、その複数個をそれらの指向範囲Sに共通の重なり部分SSが生じる状態に同じ向きで正多角形K(本例では正六角形)の頂点位置に分散配置し、これに対し、光ビーム出射光源4は、マイクロホン指向範囲Sの共通重なり部分SSに対して光ビームを出射する状態にマイクロホン指向方向視で上記正多角形Kの重心位置に配置してあり、これにより、
図2に示す如く携帯検出器1の先端向きを変化させてマイクロホン3の指向方向を変化させながら超音波検出値及び探知音に基づき漏洩箇所を探知するにあたり、光ビーム照射ポイントの目視によりその時点の探知対象箇所を逐次明確に目視確認しながら漏洩箇所の探知を行なえるようにしてある。
【0036】
超音波検出感度(すなわち、増幅部8での信号増幅度)はキー6の操作により設定変更でき、また、その設定感度は超音波検出値とともに表示部5に表示するようにしてあり、漏洩箇所を探知したときキー6の操作を行なうことで演算部12は、その漏洩箇所におけるマイクロホン出力データとしてその漏洩箇所での超音波検出値を、その漏洩箇所に対する付与管理番号によりその時の設定感度と関連付けしてその設定感度とともに記憶部13に保管する。
【0037】
14は先端に小開口15を形成した円錐状のキャップであり、漏洩箇所と思われる箇所を探知したときには、必要に応じ、このキャップ14を携帯検出器1の先端部に装着して複数マイクロホン3の全体としての指向性を強くした状態で漏洩箇所に接近して、そのときの超音波検出値及び探知音により漏洩箇所を確認する。
【0038】
16は引き金と同様の操作形態で操作する電源スイッチであり、この電源スイッチ16をON操作すると超音波検出状態に入る。なお、光ビーム出射のON/OFFはキー6の操作により行なう。
【0039】
携帯コンピュータ2は、
図1,
図11に示す如く演算部17及び記憶部18とともにディスプレイ19及び各種キー20を備え、また、小型デジタルカメラ21の装着が可能なものである。この携帯コンピュータ2は、取付具22により携帯検出器1の上部に着脱及び姿勢調整自在に取り付け、また、有線ないし無線の通信部23により携帯検出器1との間での通信を可能にしてある。
【0040】
〔流体漏洩診断〕
流体漏洩診断にあたっては、先ず、この携帯コンピュータ2の記憶部18に診断対象のプラントの診断エリアのエリア図画像Pa(
図10に示す如き画像)を格納する。その後、診断エリア中を移動しながら、
図2に示す如く携帯検出器1を用いて超音波検出値及び探知音に基づき漏洩箇所の診断を行ない、漏洩箇所が発見されると、その漏洩箇所での超音波検出値を前述の如くキー6操作により携帯検出器1の記憶部13に保管する。
【0041】
この保管操作を行なうと、携帯検出器1の演算部12は携帯コンピュータ2の演算部17を呼び出し、それに応答して、携帯コンピュータ2の演算部17は、管理番号により関連付けられて携帯検出器1の記憶部13に保管された超音波検出値及び設定感度を読み込むとともに、
図6に示す如きデータ入力画面Gaをディスプレイ19に表示し、そのデータ入力画面Ga中にその漏洩箇所についての管理番号、超音波検出値、設定感度検出日時、診断担当者名(又はID)、及び、修理済みのチェック欄を表示する。
【0042】
また、データ入力画面Ga中でのキー操作により漏洩量の演算を指示すると、演算部17は
図8に示す如き演算条件入力画面Gbをディスプレイ19に表示し、この演算条件入力画面Gbにおいて距離、タイプ、方向、流体の各項目につき、その漏洩箇所についての演算条件を入力すると、演算部17は、その漏洩箇所の超音波検出値と入力された演算条件とに基づき、その漏洩箇所での流体漏洩量を算出し、その算出漏洩量を演算条件入力画面Gb中に表示する。
【0043】
なお、上記項目において、距離は漏洩点と検出器1との離間距離、タイプは漏洩があった配管部材等の種別、方向は漏洩点に対する超音波検出方向、流体は漏洩流体の種別を意味する。
【0044】
演算条件入力画面Gbでの条件入力の際、タイプ、方向、流体の各項目については画面Gb中でのキー操作により一覧表示を指示すると、演算部17は各項目について個別に演算条件データの一覧(プルダウンメニュー)を画面Gb中に表示し、この一覧中から対応の漏洩箇所に該当する演算条件データを選択すると、演算部17は、その選択データを入力演算条件として上記の演算を実行する。
【0045】
一覧中の演算条件データは、一連の探知作業に先立ちホストコンピュータ24で専用プログラムを用い作成したものを、
図1に示す如く有線ないし無線の通信部25によりホストコンピュータ24から携帯コンピュータ2に送って携帯コンピュータ2の記憶部18に保管したものであり、同様の操作により対象とする診断エリアや探知対象とする漏洩箇所の種別などに応じ随時書き換えができる。
【0046】
漏洩量の演算機能は、携帯コンピュータ2を携帯検出器1から取り外して携帯検出器1の単独使用で漏洩箇所の探知を行なう場合にも漏洩量の演算を行なえるように携帯検出器1にも備えさせてあり、超音波検出値を携帯検出器1の記憶部13に保管する際、表示部5で入力データを確認しながらキー6操作により各項目について演算条件を入力すると、携帯検出器1の演算部12は、超音波検出値と入力された演算条件とに基づき流体漏洩量を算出し、その算出漏洩量を表示部5に表示するとともに、その算出漏洩量と超音波検出値と設定感度とを対応の漏洩箇所に対する付与管理番号により関連付けして記憶部13に保管する。
【0047】
なお、携帯コンピュータ2を携帯検出器1に装備した状態において、上記の如く携帯検出器1の側で漏洩量の演算を行なった場合、携帯コンピュータ2の演算部17は、携帯検出器1の記憶部13に保管された超音波検出値及び設定感度を読み込む際、算出漏洩量も合わせて携帯検出器1の記憶部13から読み込む。そして、携帯コンピュータ2の側ないし携帯検出器1の側で演算された漏洩量は、その漏洩箇所についての管理番号、超音波検出値、設定感度、検出日時、診断担当者名、及び、修理済みのチェック欄とともに前記データ入力画面Ga中に表示される。
【0048】
データ入力画面Gaにおいて、その画面Ga中でのキー操作により位置情報入力画面の表示を指示すると、演算部17は
図7に示す如き位置情報入力画面Gcをディスプレイ19に表示し、この位置情報入力画面Gcではエリア、階、対象部材、対象部位、使用流体種の各項目につき、その漏洩箇所についての位置情報を入力する(なお、対象部位、使用流体種については
図7では隠れており、スクロールバーの操作により対象部位、使用流体種の項目を表示させて入力する)。また、この位置情報入力画面Gcでの情報入力の際、エリア、階、対象部材、対象部位、使用流体種の各項目について画面Gc中でのキー操作により一覧表示を指示すると、演算部17は各項目について個別に位置データの一覧(プルダウンメニュー)を画面Gc中に表示し、この一覧中から対応の漏洩箇所に該当する位置データを選択すると、演算部17は、その選択データを漏洩箇所についての入力位置情報とする。
【0049】
なお、上記項目において、エリアは診断を行うエリア名、階は診断エリアのプラントにおける階数、対象部材は流体漏洩を起こしている装置(配管、バルブなど)の種別、対象部位は対象部材における漏洩のあった部位(本体部分、継手部分、フランジ部分など)、使用流体種は対象部材において使用されている流体の種別を意味する。
【0050】
一覧中の位置データ及びエリア,階,対象部材、対象部位の項目の項目名は、前記した演算条件データと同様、一連の探知作業に先立ちホストコンピュータ24で専用プログラムを用い作成したものを携帯コンピュータ2の記憶部18に保管したものであり、対象とする診断エリアや探知対象とする漏洩箇所の種別などに応じ随時書き換えができる。
【0051】
また、位置情報入力画面Gcの下部には備考欄を設けてあり、エリア内における具体的場所を示す場所詳細情報(「北側・メインライン・バルブ」など)を入力可能にしてある。
【0052】
さらに、データ入力画面Gaにおいて、その画面Ga中でのキー操作によりエリア図の表示を指示すると、演算部17は
図10に示す如きエリア図画面Gdをディスプレイ19に表示して、記憶部18に保管のエリア図画像Paをそのエリア図画面Gdに表示する。そして、この表示されたエリア図画像Pa上で漏洩箇所の位置(すなわち、漏洩箇所の診断エリア中における位置)を指示するマーキング操作(人為的な位置指示操作に相当)を所定の操作手順で行なうと、演算部17は
図10に示す如く、表示のエリア図画像Pa中に漏洩箇所の位置を示すマークMa(本例では指示位置を中心とする丸印)を表示する。
【0053】
また同様に、携帯コンピュータ2に装着のカメラ21により漏洩箇所を撮影した上で、データ入力画面Gaにおいて、その画面Ga中でのキー操作により撮影画像の表示を指示すると、演算部17は
図9に示す如き撮影画像画面Geをディスプレイ19に表示して、漏洩箇所の撮影画像Pbをその撮影画像画面Geに表示する。そして、この表示された撮影画像Pb上で漏洩の詳細位置を指示するマーキング操作を所定の操作手順で行なうと、演算部17は
図9に示す如く、表示の撮影画像Pb中に漏洩詳細位置を示すマークMb(本例では指示位置を中心とする丸印)を表示する。なお、図示は省略するが、撮影画像Pbとして、漏洩位置をズームアップして撮影した
図9に示すような画像の他、必要に応じて、漏洩位置の周辺の設備も含むようにズームダウンした画像も撮影しておき、これについても同様のマーキング操作を行う。
【0054】
また、漏洩箇所の探知と同時に、該漏洩箇所の補修も同時に行う場合があり、同時に補修を行った場合にはデータ入力画面Ga中でのキー操作により修理済みの欄にチェックを入れる。
【0055】
そして、演算部17は、上記の各画面Ga〜Geでの入力が確定すると、その漏洩箇所についての超音波検出値、設定感度、漏洩量、検出日時、診断担当者名、入力位置情報(エリア、階、対象部材、対象部位、使用流体種、備考欄に記入した場所詳細情報)、入力演算条件(距離、タイプ、方向、流体)、表示したエリア図画像Pa中におけるマークMaの指示位置、撮影画像Pb、及び、表示した漏洩箇所の撮影画像Pb中におけるマークMbの指示位置、修理済みのチェックの有無を、その漏洩箇所に付与した管理番号により関連付けして、収集データDとして記憶部18に保管する。表示したエリア図画像Pa中におけるマークMaの指示位置はエリア図画像Paにおける座標値に変換されて記憶部18に保管される。撮影画像Pb中におけるマークMbの指示位置についても同様に撮影画像Pbにおける座標値として記憶部18に保管される。
【0056】
すなわち、診断エリア中を移動して漏洩箇所を順次探知して行くことにおいて、漏洩箇所の各々に対し上記の処理操作を行なうことで、各漏洩箇所についての収集データD(各漏洩箇所の管理番号により関連付けられた同一漏洩箇所についての超音波検出値、設定感度、漏洩量、検出日時、診断担当者名、入力位置情報、入力演算条件、マークMaの指示位置、撮影画像Pb、マークMbの指示位置、修理済みのチェックの有無)が携帯コンピュータ2の記憶部18に蓄積される。
【0057】
一連の診断作業を完了すると、演算条件データや位置データの書き込みの場合と同様、
図1に示す如く、携帯コンピュータ2の記憶部18に保管の収集データDを有線ないし無線の通信部25によりホストコンピュータ24に入力する。
【0058】
なお、携帯検出器1についてもその単独使用の場合のためにホストコンピュータ24との間での有線ないし無線での通信を可能にしてあり、携帯検出器1の記憶部13に保管の収集データDをホストコンピュータ24に入力したり、携帯検出器1の記憶部13に対し種々のデータをホストコンピュータ24から直接に書き込むこともできる。
【0059】
また、配管を含めてプラントにおける装置に管理用IDを付した場合には、予め管理用IDとプラントにおけるエリア・階・対象部材・使用流体種・場所詳細情報を対応付けて、その対応表を記憶部18に記憶しておき、位置情報入力画面Gcで入力する位置情報として管理用IDを入力するだけで、演算部17が管理用IDを対応するエリア・階・対象部材・使用流体種・場所詳細情報に変換し、これら位置情報が漏洩箇所に付与した管理番号と関連付けた状態で記憶部18に保管されるようにしてもよい。さらに、予め管理用IDをエリア図画像Paにおける座標値と対応付け、その対応表を記憶部18に記憶しておき、管理用IDの入力により、演算部17が管理用IDを対応するエリア図画像Paにおける座標値に変換して、エリア図画像Pa上でのマーキング操作を行うことなく、マークMaの座標値が漏洩箇所に付与した管理番号と関連付けた状態で記憶部18に保管されるようにしてもよい。なお、管理用IDの位置情報やマークMaの座標値への変換は後述するデータベース管理部32で行ってもよい。
【0060】
エリア図画像Paに代えてプラントの構成図画像を記憶部18に格納してもよく、この場合、構成図画像上で漏洩箇所の位置を指示するマーキング操作を行い、構成図画像に漏洩箇所の位置を示すマークMaを表示し、また、構成図画像におけるマークMaの座標値を漏洩箇所に付与した管理番号と関連付けた状態で記憶部18に保管する。
【0061】
〔収集データの管理〕
ホストコンピュータ(管理装置に相当)24は、
図1に示すように、キーボードやマウスからなる操作部26(漏洩流体種選択部、拡大縮小指示部、比率指示部、表示子選択部に相当)と、携帯コンピュータ2又は携帯検出器1用の専用端子、赤外線通信機器などの無線通信手段、CDドライブ等からなる入力部27と、ハードディスクからなる記憶部28と、内臓CPUからなる演算部(データ処理部に相当)29と、ディスプレイからなる表示部30と、を備える。記憶部28には管理用プログラム、及びデータベースDbを格納してある。ホストコンピュータ24は演算部29による管理用プログラムの実行により入力データの処理などの動作を行う。
【0062】
プラントに対する流体漏洩診断により収集された各流体漏洩箇所の収集データD(携帯コンピュータ2の記憶部18又は携帯検出器1の記憶部13に保管の収集データD)のホストコンピュータ24への入力は、入力部27により行う。入力した収集データDは後述するようにデータベースDbに蓄積的に記録される。
【0063】
ホストコンピュータ24は、表示部30を通じての操作部26の簡単な操作で指令入力を受け取るため、
図12に示すように、グラフィックユーザインターフェースを実現するGUI部31を備え、このGUI部31は、データベース管理部32、分析処理部33、診断レポート作成部42、の各種機能部と連携している。また、分析処理部33は、漏洩箇所マップ作成部34、漏洩傾向推定部35、プラント対比情報生成部36、診断計画評価部37、配管接続推定部38、補修スケジュール作成部39、金額換算部40、及び、コンプレッサー判定部41の機能部から構成される。これにより、ホストコンピュータ24は、操作部26からの指示により、各種機能部に対応する動作を行う。以下、各機能部について説明する。
【0064】
〔データベース管理部32〕
データベース管理部32は、データベースDbの管理及びデータベースDbに記録されたデータの表示を行う。データベース管理部32は、データベース記録機能として、収集データDを入力部27から読み込んでデータベースDbに蓄積的に記録し、また、流体漏洩診断の対象とするプラントの全体構成図画像(又は部分構成図画像、以下同じ)を入力部27から読み込んで、データベースDbに記録する。また、配管を含めてプラントにおける装置に管理用IDを付した場合には、予め管理用IDとプラントにおけるエリア・階・対象部材・使用流体種・場所詳細情報を対応付けて、その対応表を記憶部28に記憶しておき、管理用IDを対応するエリア・階・対象部材・使用流体種・場所詳細情報に変換し、これら位置情報をデータベースDbに記録してもよい。さらに、予め管理用IDをエリア図画像Paにおける座標値と対応付け、その対応表を記憶部28に記憶しておき、管理用IDを対応するエリア図画像Paにおける座標値に変換して、データベースDbに記録してもよい。
【0065】
さらに、データベース表示機能として、
図13に示すように、データベースDbに記録された収集データDなどのデータを表形式で表示したリスト画像Pcを表示部30に表示する。また、データベース編集機能として、このリスト画像Pc上で、操作部26の操作によりリスト中の各データに対し書き換えや書き込みなどデータ編集が可能となっており、データ編集があった場合はこれに従ってデータベースDbが更新される。リスト画像Pcでは、操作部26によりリストをスクロールすることにより所望の流体漏洩箇所におけるデータを表示できる。また、フィルタ機能を有しており(図中上部のエリア、階、診断員の欄参照)、例えば、指定したエリア中の流体漏洩箇所のデータのみ表示したり、特定の診断員により診断された流体漏洩箇所のデータのみ表示するなど、特定の条件の流体漏洩箇所のみを表示することができる。
【0066】
このデータベース管理部32により、全流体漏洩箇所のデータを一望でき、また、必要なデータのみを表示させることができ、データ管理が容易となる。また、収集データDに誤りがあった場合にはデータ編集で容易に修正ができる。
【0067】
データベース管理部32では、金額換算部40での演算で必要となる年間のプラントの稼働時間、使用流体の単価、稼働時間及び単価をロックするかのチェックの入力・編集を行える。例えば、データベース編集機能として、年間のプラントの稼働時間の一括入力欄(図示しない)と使用流体の単価の一括入力欄(図示しない)とを、使用流体種とプラントにおけるエリアとの組み合わせごとに設けて、これら一括入力欄に対し年間のプラントの稼働時間と使用流体の単価をそれぞれ入力することで、対象の流体漏洩箇所の稼働時間の欄と使用流体の単価の欄とに対し入力した稼働時間と使用流体の単価とをそれぞれ一括して入力できる。また、リスト画像Pcに表示される各流体漏洩箇所の稼働時間の欄や使用流体の単価の欄に対してもそれぞれの値を直接入力することができ、流体漏洩個所ごとに個別に編集できる。なお、入力された内容に従ってデータベースDbが更新される。稼働時間及び単価をロックするかのチェック欄にチェックを入れることで、年間のプラントの稼働時間の一括入力欄(図示しない)又は使用流体の単価の一括入力欄に対し新たに稼働時間又は単価を入力しても、該チェック欄にチェックを入れた漏洩箇所の欄については、該一括入力欄に入力した値が入力されることなく、元々入力していた値で固定される。
【0068】
このように、年間のプラントの稼働時間や使用流体の単価を一括入力可能にすることで、後述の金額換算部39における演算条件を容易に変更できる。また、稼働時間及び単価をロックするかのチェック欄を設け、稼働時間や単価の一括入力に対し値を固定するから、例えば、プラントの稼働において特定の時間にのみ稼働する場所に流体漏洩箇所が位置する場合や、特殊な環境に位置することにより使用流体の単価が他の箇所における同一種の使用流体の単価に比べ高くなるような場合など、稼働時間や使用流体の単価が他の箇所と異なる値で設定される流体漏洩箇所が含まれている場合にも対応できる。
【0069】
なお、年間のプラントの稼働時間の一括入力欄は、使用流体種ごとのみ、又は、プラントにおけるエリアごとのみについても設けてあり、また、使用流体の単価の一括入力欄は使用流体種ごとのみについても設けてある。また、入力した稼働時間及び単価、稼働時間及び単価をロックするかのチェック欄に対するチェックはデータベースDbに記録される。
【0070】
データベース管理部32は、詳細データ表示機能を有しており、リスト画像Pc中の項目を操作部26により選択した場合に、データベースDbにアクセスしてデータを抽出し、選択した項目に対応する流体漏洩箇所に関する詳細データ画像Pdをリスト画像Pcに重ねて表示する。詳しくは、ホストコンピュータ24は、
図14に示すように、詳細データ画像Pdとして、選択した流体漏洩箇所の流体漏洩情報、位置情報、撮影画像Pbなどを表示する画像Pd1と、選択した流体漏洩箇所のプラントの全体構成図上の位置を表示する配置図画像Pd2と、補足情報を表示する補足情報画像Pd3とを操作部26の操作により切り換えて表示する。
【0071】
具体的には、画像Pd1では、
図14Aに示すように、流体漏洩情報として超音波検出値(測定音圧)、設定感度、検出日時、漏洩量(リーク量)、入力演算条件(距離、タイプ、方向、流体)を上段に表示し、位置情報として入力位置情報(エリア、階、対象部材、対象部位、使用流体種)を中段に表示し、マークMbが付された撮影画像Pbを下段に表示する。下段に表示する撮影画像Pbは、漏洩位置をズームアップして撮影した
図9に示すような画像(図中、アップに対応)と、漏洩位置の周辺の設備も含むようにズームダウンした画像(図中、引きに対応)であり、ズームダウンした画像を撮影していなければ、その部分は空欄とする。また、その他の情報として、診断担当者名(測定者名)、年間のプラントの稼働時間や使用流体の単価、稼働時間及び単価をロックするかのチェック欄、修理済みかどうかのチェック欄、を中段に表示する。ここでも、操作部26の操作により各情報の書き換えや書き込みや撮影画像Pbの差し替え、撮影画像Pb上のマークMbの位置が変更など種々のデータ編集が可能となっており、データ編集がなされた場合は、これに従ってデータベースDbが更新される。
【0072】
配置図画像Pd2では、
図14Bに示すように、データベースDbに記録されたプラントの全体構成図画像上に、選択した流体漏洩箇所に対応するマークMaの指示位置に従ってマークMaを付した画像を表示する。操作部26の操作によりマークMaの位置が編集可能となっており、データ編集がなされた場合は、これに従って記憶部28に記憶された収集データDの内容が更新される。また、操作部26の操作に応じて、表示される全体構成図画像を拡大又は縮小して表示したり、全体構成図画像のスクロールにより全体構成図画像の表示箇所を変更する構成にしてある。
【0073】
補足情報画像Pd3では、
図14Cに示すように、場所詳細情報を表示する備考欄(図中のnoteに対応)や、診断員からの伝達事項が記入される診断員備考欄、画像Pd1、Pd2に対して行ったデータ編集の内容を記入する編集欄(図中のカスタム項目に対応)を表示する。ここでも、操作部26の操作により各欄に対し書き換えや書き込みなどのデータ編集が可能となっており、データ編集があった場合はこれに従ってデータベースDbが更新される。
【0074】
この詳細データ表示機能により、各流体漏洩箇所のデータを流体漏洩箇所ごとに一括して把握・管理でき、データベース表示機能と組み合わせることで、データベースDbを有効に管理できる。
【0075】
〔漏洩箇所マップ作成部34〕
漏洩箇所マップ作成部34は、データベース管理部32を介してデータベースDbにアクセスし、
図15Aに示すように、対象のプラントの全体構成図画像(又は部分構成図画像)に対して、各流体漏洩箇所のプラントにおける位置である位置データについて、全体構成図画像上の各位置データに対応する配置に、流体漏洩箇所であることを示す表示子を重ねて表示したマップ画像(漏洩箇所表示画像に相当)Peを作成し、表示部30に表示する。具体的には、マークMaの指示位置としてのエリア図画像Paにおける座標値を、全体構成図画像における座標値に変換したものを位置データとして、変換した座標値の示す配置を表示子の配置とする。マップ画像Peにおいて、表示子は、対応する前記各流体漏洩箇所における流体漏洩量及び漏洩流体種とそれぞれ関連付けた状態で表示する構成にしてある。具体的には、
図15Aでは、流体漏洩量を4段階に区分けし流体漏洩量が多い段階に属する表示子ほど表示子を大きく表示し、また、漏洩流体種ごとに設定した色で表示子を色分けして表示してある。なお、ここでは、表示子を各流体漏洩箇所における流体漏洩量及び漏洩流体種と関連付けたものを示したが、例えば、各流体漏洩箇所の属するエリア、階や、流体漏洩を起こしている装置やその部位(即ち、収集データDのうちの対象部材や対象部位)、検出日時、診断担当者名など、他のデータと関連付けて表示してもよい。
【0076】
漏洩箇所マップ作成部34は、操作部26による指示に応じて、特定の表示子のみをマップ画像Pe上に表示したり、マップ画像Peを拡大又は縮小して表示したり、表示子の表示形態を変更して表示するようにしてある。
【0077】
具体的には、操作部26により選択した1又は2以上の漏洩流体種と関連付けた表示子のみをマップ画像Pe上に表示することができる。例えば、
図15Bでは、流体漏洩種が流体種4である表示子のみ表示するようにしてある。なお、漏洩流体種に限らず、操作部26により選択した流体漏洩量の段階に属する表示子のみマップ画像Pe上に表示できる。また、表示子を他の収集データDと関連付けてある場合は、表示子と関連付けてある各データの中での分類種(例えば、流体漏洩を起こしている装置と表示子を関連付けた場合は、その装置の種別)のうち、操作部26により選択した分類種に属する表示子のみマップ画像Pe上に表示することができる。また、修理済みの流体漏洩箇所に対応する表示子を非表示とすることもできる。
【0078】
また、マップ画像Peの拡大又は縮小に加え、表示画面のスクロールによりマップ画像Peの表示箇所を変更することができる。
図15Cは、マップ画像Peの拡大及びスクロールにより、
図15Aにおいて破線で囲ってある箇所を拡大表示したものを示す。
【0079】
また、操作部26による指示に応じた比率で全表示子のサイズを一律に変更(拡大又は縮小)してマップ画像Pe上に表示することができる。表示する表示子の形状(○や△や□など)や色、大きさも自由に変更することができ、また、各データとの関連付けの形態(つまり各データの分類種ごとにどのような表示子の表示形態を変更するか)も自由に変更できる。
【0080】
さらに、
図15Cに示すように、操作部26により表示子を選択することにより、データベースDbにアクセスして、選択された表示子に対応する流体漏洩箇所の詳細データとして、流体漏洩を起こしている装置とその部位(即ち、収集データDのうちの対象部材や対象部位)、流体漏洩箇所における流体漏洩量、流体漏洩箇所における漏洩流体種、及び、流体漏洩箇所の撮影画像Pbをマップ画像Peに並べて表示する。
【0081】
なお、複数のプラントについての収集データDがデータベースDbに蓄積的に記憶されている場合は、複数のプラントのうち操作部26により選択したプラントについてのマップ画像Peを表示し、操作部26による指示により目的のプラントのマップ画像Peに適宜切り換えて変更する。
【0082】
この漏洩箇所マップ作成部34により、対象のプラントにおいて流体漏洩箇所数が多いエリアについては設備の劣化が進んでいることが推定されたり、流体漏洩箇所数や流体漏洩量が異常に多い場合には設備に何らかの不良が生じていることが推定されるなど、マップ画像Peに表示される表示子の分布の傾向から設備の劣化度合いや設備不良を推定することができる。また、表示子の分布から対象のプラントにおける流体漏洩のデータ分布の傾向を把握することができ、どのエリアや使用流体種について重点的に診断を行うべきか又は頻繁に診断を行うべきかなど、今後の流体漏洩診断の効率的な計画を立案できる。このように、漏洩箇所マップ作成部34を利用して種々の分析を行うことができる。
【0083】
〔漏洩傾向推定部35〕
データベースDbに過去に同一プラントについて行った流体漏洩診断の結果が蓄積されて保存されている場合、漏洩傾向推定部35では、過去から現在に至るまで行われた複数回の流体漏洩診断におけるプラントの流体漏洩箇所に関する情報をまとめた、対象のプラントにおける経時的な流体漏洩の傾向を示す流体漏洩傾向情報を生成し、表示部30に表示する。流体漏洩診断が行われた場合には、その診断結果に基づき流体漏洩箇所の補修が行われているため、基本的には、過去から現在にわたる複数回の流体漏洩診断のデータは、その前に行われた流体漏洩診断からそのときの流体漏洩診断までの間に新たに発生した流体漏洩箇所のデータとなっている。このため、流体漏洩傾向情報は、過去から現在にわたる複数回の流体漏洩診断における各期間(前に行われた流体漏洩診断からそのときの流体漏洩診断までの期間)において新たに発生した流体漏洩箇所に関する情報を示すものとなる。
【0084】
例えば、流体漏洩傾向情報として、漏洩箇所マップ作成部34により作成される各回の流体漏洩診断におけるマップ画像Pe(つまり、対象のプラントの全体構成図画像に対して、全体構成図画像上の各流体漏洩箇所の位置データに対応する配置に、流体漏洩箇所であることを示す表示子を重ねて表示する画像)を並べた画像を生成する。または、対象のプラントの全体構成図画像に対して、全体構成図上の各流体漏洩箇所の位置データに対応する配置に、流体漏洩箇所であることを示す表示子を重ねて表示するとともに、各回の流体漏洩診断ごとにその診断での流体漏洩箇所を示す表示子の表示形態(色又は形状(○や△や□など))を変えて表示したマップ画像Peを生成してもよい。また、流体漏洩傾向情報として、対象のプラント全体について、又は、対象のプラントにおけるエリアごとについて、各回の流体漏洩診断における漏洩流体種ごとの合計流体漏洩箇所数や合計流体漏洩量などを並べたデータを生成させてもよい。流体漏洩傾向情報として表示する流体漏洩診断のデータは、過去から現在にわたる全流体漏洩診断についてのデータでもよく、全流体漏洩診断のうち選択した回のデータのみについてでもよい。
【0085】
この流体漏洩傾向情報によれば、過去から現在にわたる対象のプラントでの流体漏洩箇所や漏洩流体種、流体漏洩量の推移が把握でき、経時的な傾向も含めて、対象のプラントにおける流体漏洩の傾向が把握できる。これにより、例えば、対象のプラントにおいて流体漏洩を起こす頻度が高いエリアについては設備の劣化が進んでいることが推定され、過去の傾向に比べ流体漏洩箇所数や流体漏洩量が異常に増加する方向に流体漏洩が推移した場合には設備に何らかの不良が生じていることが推定されるなど、流体漏洩箇所のデータ分布の傾向に加えて流体漏洩の経時的な傾向も加味した推定を行うことができ、これにより、設備の劣化度合いや設備不良を一層的確に推定することができる。また、流体漏洩箇所のデータ分布の傾向に加えて流体漏洩の経時的な傾向も考慮することで、対象のプラントにおける適切な流体漏洩診断の間隔や、どのエリアや使用流体種について重点的に診断を行うべきか又は頻繁に診断を行うべきかなど、今後の流体漏洩診断の計画として一層効率的なものを立案できる。また、過去から現在にわたる対象のプラントの流体漏洩の推移から、流体漏洩診断とこの診断結果に基づく補修を継続して行うことによる効果を確認できる。
【0086】
なお、漏洩傾向推定部35は、流体漏洩傾向情報など各回の流体漏洩診断における流体漏洩箇所のデータから示される対象のプラントにおける流体漏洩の推移に基づいて、対象のプラントにおける経時的な流体漏洩の傾向を分析して、流体漏洩の推移及び経時的な流体漏洩の傾向から対象のプラントにおける設備の劣化度合い及び設備不良を評価するアルゴリズムや、流体漏洩の推移・傾向に応じた今後の流体漏洩診断の計画を作成するアルゴリズムを備えていてもよく、これにより、漏洩傾向推定部35は、流体漏洩傾向情報を生成して表示するだけでなく、設備の劣化度合いや設備不良についての評価情報や今後の流体漏洩診断の計画を生成し、表示部30に表示するようにしてもよい。
【0087】
〔プラント対比情報生成部36〕
データベースDbに複数のプラントについて行った流体漏洩診断の結果が蓄積されて保存されている場合、プラント対比情報生成部36では、対比対象とする2以上のプラントにおける流体漏洩の傾向を対比するプラント対比情報を生成して、表示部30に表示する。例えば、プラント対比情報として、漏洩箇所マップ作成部34により作成される各プラントにおけるマップ画像Peをプラントごとに並べたものを生成する。また、プラント対比情報として、対比するプラント全体について、又は、対比するプラントにおけるエリアごとについて、流体漏洩診断における各漏洩流体種の合計流体漏洩箇所数及び合計流体漏洩量を並べたデータを生成する。対比するプラントについて、データベースDbに過去から現在にわたるまでの複数回の流体漏洩診断のデータが蓄積されている場合には、データベースDbに記録された複数回の流体漏洩診断のうち操作部26により選択した回の流体漏洩診断におけるデータについてプラント対比情報を生成することができ、また、プラント対比情報として、漏洩傾向推定部35により生成する流体漏洩傾向情報を対比するプラントごとに並べたデータを生成することができる。また、プラント対比情報において対比するプラントの数は特に限定されず、2以上のどのような数であってもよい。
【0088】
このプラント対比情報によれば、対比するプラントにおける流体漏洩の違い(流体漏洩箇所の分布、漏洩流体種、流体漏洩量などの各種データの傾向の違いや、過去から現在にわたるまでの流体漏洩の経時的な傾向の違い)が把握できる。そして、これらの流体漏洩の違いと、対比するプラントの運転条件の違い(プラントの設備構成、稼働時間、各種の流体の使用量など)との関連性を分析することで、対比するプラントにおける流体漏洩の違いがプラントのどのような運転条件の違いに起因しているのか、即ち、流体漏洩の違いの原因が推定でき、これにより、対象のプラントにおける流体漏洩への対策を講じることができる。
【0089】
なお、プラント対比情報生成部36は、対比するプラントの運転条件を外部から読み込み、対比するプラントにおける流体漏洩の違いと運転条件の違いとの関連性を分析するアルゴリズムや、分析した関連性に基づいて対比するプラントにおける流体漏洩の違いの原因を推定し、対象のプラントにおける流体漏洩への対策を提案するアルゴリズムを備えていてもよく、これにより、プラント対比情報生成部36は、プラント対比情報を生成して表示するだけでなく、対比するプラントにおける流体漏洩の違いと運転条件の違いとの関連性の分析結果、流体漏洩の違いの原因、流体漏洩への対策を生成し、表示部30に表示するようにしてもよい。
【0090】
〔診断計画評価部37〕
プラントに対する流体漏洩診断は、予め計画した診断行程に沿って複数日にわたって行われる。そして、流体漏洩診断は必ずしもプラントの全箇所について行われるものではなく、プラントの規模やその設備の複雑さと診断に要する費用との兼ね合いから、限られた日程の中で、予めプラントにおいて診断するエリアや装置などを限定して流体漏洩診断を行う場合もある。この場合、何らかの基準に基づいて診断計画として診断するエリアや装置、診断経路などを定めることになるが、この診断計画は診断を行うプラントについて必ずしも適切なものであるとは限らない。このため、流体漏洩診断の途中において、想定される数の流体漏洩箇所の発見がないような場合もありえ、そうすると残りの診断において診断計画の変更を検討する必要が生じる。
【0091】
このような場合に対し、診断計画評価部37では、流体漏洩診断の途中のプラントについて、プラントの全体構成図画像(又は部分構成図画像)を流体漏洩診断において診断済みの領域と未診断の領域とに区別して表示するとともに、プラントの全体構成図上に、診断された領域で探知された各流体漏洩箇所の位置データ(マークMaの指示位置)に対応する各配置に表示子をそれぞれ重ねて表示した診断範囲表示画像を生成して表示部30に表示する。診断済みの領域と未診断の領域とに区別して表示する形態としては、診断された領域を線で囲ったり、診断された領域と未診断の領域とを色分けして表示するなどにより行う。漏洩箇所マップ作成部34と同様に、表示子は、対応する前記各流体漏洩箇所における流体漏洩量及び漏洩流体種とそれぞれ関連付けた状態で表示する。
【0092】
この診断範囲表示画像によれば、流体漏洩診断を行った領域と、その領域における流体漏洩箇所、漏洩流体種、流体漏洩量の分布の傾向が把握できる。これにより、診断済みの領域に対して行った診断計画が妥当なものかを評価できる。さらに、診断された領域における流体漏洩の傾向から未診断の領域における流体漏洩の傾向を推測することができる。診断計画の評価や、未診断の領域における流体漏洩の傾向の推測は、例えば、診断された領域における流体漏洩の傾向に基づいて、過去のそのプラントにおける流体漏洩の傾向や他のプラントにおける流体漏洩の傾向などを参照することにより行う。そして、例えば、本来診断予定のなかった領域で流体漏洩が群発している可能性が推定された場合には診断計画を変更してその領域について診断を行うようにするなど、推測された未診断の領域における流体漏洩の傾向に基づいて未診断の領域に対する流体漏洩診断の計画を、流体漏洩の傾向にあわせた効果的な計画に変更できる。このように、診断計画評価部37により、流体漏洩診断を行いながら、随時、流体漏洩診断の計画の妥当性を評価すると共に、その計画をより効果的な計画に変更できる。
【0093】
なお、診断行程表示部は、診断された領域における流体漏洩の傾向から現在の診断計画の妥当性を評価すると共に未診断の領域における流体漏洩の傾向を推測するアルゴリズムや、推測された未診断の領域における流体漏洩の傾向に基づいて未診断の領域に対する流体漏洩診断の計画を提案するアルゴリズムを備えていてもよく、これにより、診断行程表示部は、診断範囲表示画像を生成して表示するだけでなく、外部から対象のプラントにおける診断計画を読み取って、現在の診断計画の妥当性についての評価情報、未診断の領域における流体漏洩の傾向の情報や未診断の領域に対する流体漏洩診断の計画を生成し、表示部30に表示するようにしてもよい。この場合、流体漏洩診断を行う過去のプラントについての流体漏洩診断で収集したデータや他のプラントにおける流体漏洩診断で収集したデータをデータベースDbに蓄積して記憶しておき、この蓄積したデータに基づいて現在の診断計画の妥当性の評価や未診断の領域における流体漏洩の傾向を推測するようにしてもよい。
【0094】
〔配管接続推定部38〕
一般に種々のガス、エア、蒸気など種々の流体が使用されているプラントでは、そのプラント施工後に、配管や装置の修理や交換などに伴い配管に枝管が足されている。そうすると配管の接続状態が複雑となり、どの配管とどの配管とが接続されているのかなど、その把握が困難となる。さらに、プラント施工時の配管図から更新していない場合には、配管図に載らない配管がプラント中に存在することになる。しかし、配管の接続状態を正確に把握できないのはプラントの管理上問題である。
【0095】
このような場合に対し、配管接続推定部38では、対象のプラントにおける配管図を外部から読み込み、読み込んだ配管図上に、各流体漏洩箇所の
プラントにおける位置である位置データ(マークMaの指示位置
としてのエリア図画像Paにおける座標値を配管図における位置
としての配管図における座標値に変換したもの)に対応する各配置に表示子をそれぞれ重ねて表示した配管接続推定画像を生成し、表示部30に表示する。または、配管接続推定部38は、読み込んだ配管図と、プラントの全体構成図(又は部分構成図)上に流体漏洩箇所であることを示す表示子を重ねて表示した上記マップ画像Peのうち該配管図の示す範囲と対応する範囲の画像とを並べて表示した配管接続推定画像を生成してもよい。
【0096】
これら配管接続推定画像に基づけば、例えば、読み込んだ配管図上で配管がない位置に流体漏洩箇所が位置している場合には、その位置にプラント施工時から新たに配管が設けられていることがわかる。また、流体漏洩箇所の分布の傾向(例えば、流体漏洩箇所が特定の配管列に対して連続している、特定の配管列には流体漏洩箇所の発生が見られないなど)に基づいて、配管図上において接続状態となっている配管の列を推定することができる。このように、配管接続推定画像から配管の接続状態を推定することができ、これに基づき配管図を更新することができる。さらに、流体の流通を断っている未使用配管上に流体漏洩箇所が位置している場合には、その未使用配管に対する流体の流通が完全に断たれていないことがわかる。
【0097】
なお、読み込んだ配管図上で配管がない位置に流体漏洩箇所が位置している場合には、その流体漏洩箇所に対応する表示子が強調して表示されるようにしてもよい。これにより、その位置にプラント施工時から新たに配管が設けられていることが容易に発見できる。また、読み込んだ配管図上において、流体の流通を断っている未使用配管については色を変えて表示するなど使用中の配管と区別して表示するようにしてもよく、さらに、未使用配管上に流体漏洩箇所が位置する場合には、その流体漏洩箇所に対応する表示子が強調して表示されるようにしてもよい。これにより、未使用配管に流体漏洩が発生していることが容易に把握でき、未使用配管への流体の流通が完全に断たれていないことが容易に発見できる。表示子を強調する方法としては、表示子を大きく表示する、表示子の色を変えて表示する、表示子の線を太くして表示するなど、他の表示子に比べ強調して表示される方法であればどのようなものであってもよい。
【0098】
また、配管接続推定部38は、流体漏洩箇所の分布の傾向から配管図上において接続状態となっている配管の列を推定するアルゴリズムを備えていてもよく、これにより、配管接続推定部38が配管の接続状態の推定情報を生成し、この推定情報に従って、接続状態にあると推定された配管の列を、強調して表示したり、同一の色で表示したり、線でなぞって表示するなど、配管が接続状態であることを示す状態で、配管接続推定画像を表示するようにしてもよい。
【0099】
〔補修スケジュール作成部39〕
補修スケジュール作成部39では、各流体漏洩箇所の位置データなどに基づいて、プラントの流体漏洩箇所に対する補修スケジュールSを作成し、表示部30に表示する。例えば、補修対象の流体漏洩箇所の位置データに基づき、補修作業における総移動距離又は総移動時間が短くなる補修作業順を演算により求める。そして、各流体漏洩箇所について、流体漏洩箇所における流体漏洩量、流体漏洩箇所における漏洩流体種、対象部材(流体漏洩を起こしている装置)、対象部位(流体漏洩を起こしている装置における部位)、場所詳細情報、及び、流体漏洩箇所の撮影画像Pb、配置図画像Pd2をまとめた補修伝票を生成し、補修スケジュールSとして、
図16に示すような、演算した補修作業順に補修伝票を並べたデータを作成する。この場合、プラントのエリアごとに、各エリアにおける流体漏洩箇所の補修作業順を求めてもよい。
【0100】
また、流体漏洩量が少ない流体漏洩箇所については補修作業を行わず放置していくこともあり得る。このため、補修スケジュールSの作成において、各流体漏洩箇所における流体漏洩量から補修作業を行う流体漏洩箇所を絞り込み、絞り込んだ流体漏洩箇所について補修スケジュールを作成するようにしてもよい。
【0101】
なお、対象部材及び対象部位に応じて、その流体漏洩箇所の補修に必要な交換部材や道具など補修作業の種類が異なることとなり、補修に必要な交換部材や道具上の要請から、効率的な補修作業を行うためには補修作業における総移動距離を重視するよりも、補修作業の種類が同じ流体漏洩箇所を優先して補修を行う方がよい場合もありえる。このため、補修作業の演算において、流体漏洩箇所の位置データだけでなく、対象部材及び対象部位を考慮して、補修作業順を求めてもよい。
【0102】
〔金額換算部40〕
金額換算部40は、各流体漏洩箇所における流体漏洩量からその金額換算値を演算し、金額換算表を生成する。例えば、データベースDbに記録された各流体漏洩箇所における流体漏洩量が単位時間当たりの流体漏洩量である場合は、修理済みの流体漏洩箇所を除く全流体漏洩箇所について、漏洩流体種ごとに単位時間当たりの合計流体漏洩量を演算し、この漏洩流体種ごとの単位時間当たりの合計流体漏洩量と年間のプラントの稼働時間と各使用流体における単位流体量当たりの単価とに基づいて、合計流体漏洩量×稼働時間×単価から、漏洩流体種ごとの金額換算値を演算するとともに、全漏洩流体種における金額換算値を合算して、対象のプラントにおける年間の流体漏洩による損失額を演算する。そして、
図17に示すような、漏洩流体種ごとの金額換算値(つまり、各漏洩流体種についての年間の流体漏洩による損失額)と対象のプラントにおける年間の流体漏洩による損失額とからなる金額換算表Mを生成して、表示部30に表示する。
【0103】
この金額換算部40により、現在、流体漏洩によりどれだけの損失がプラントに生じているかが把握でき、これにより、流体漏洩箇所を補修することによりどれだけの経済効果があるのかを明確に把握できる。
【0104】
〔コンプレッサー判定部41〕
コンプレッサー判定部41では、対象のプラントにおける流体漏洩箇所についての合計流体漏洩量に基づいて、対象のプラントにおける流体漏洩箇所を補修したと仮定したときの補修後のプラントに対し、対象のプラントにおけるコンプレッサーの台数及び型式が適正であるかを判定するためのコンプレッサー判定情報を生成する。
【0105】
具体的には、まず、対象のプラントにおいて使用しているコンプレッサーの台数と各型式とその型式に応じた送出可能流体量Ld、及び、対象のプラントにおける各使用流体種の単位時間当たりの流体使用量Laを外部から読み込んで取得する。そして、データベースDbに記憶された各流体漏洩箇所における流体漏洩量から各流体種の単位時間当たりの合計流体漏洩量Lbを演算し、さらに、各使用流体種の流体使用量Laから各流体種の合計流体漏洩量Lbを減算することで、補修後のプラントの稼働に必要な補修後流体使用量Lcを演算する。
【0106】
なお、各流体種の単位時間当たりの合計流体漏洩量Lbは、対象のプラントにおける各使用流体種の単位時間当たりの流体使用量Laのうち、流体漏洩箇所の補修により削減可能な流体漏洩量であり、また、プラントの稼働とは関連せずプラントにおいてコンプレッサーから無駄に発生されている流体の量に相当する。つまり、各使用流体種の流体使用量Laから各流体種の合計流体漏洩量Lbを減算して得られる必要流体使用量Lcはプラントの稼働において真に必要十分な流体使用量を意味する。
【0107】
また、各使用流体種について、その流体の送出に用いるコンプレッサーごとに、その型式の機種が送出可能な流体量である送出可能流体量Ldを合算した合計送出可能流体量Leを演算する。
【0108】
そして、プラントで使用しているコンプレッサーの台数と各型式についての判定のため、コンプレッサー判定部41は、コンプレッサー判定情報として、使用流体種ごとに、対象のプラントにおける単位時間当たりの流体使用量Laと、単位時間当たりの合計流体漏洩量Lbと、単位時間当たりの補修後流体使用量Lcと、使用流体の送出に用いるコンプレッサーごとの型式に応じた送出可能流体量Ldと合計送出可能流体量Leとを並べたデータを生成し、表示部30に表示する。このコンプレッサー判定情報によって、補修後流体使用量Lcと送出可能流体量Ld及び合計送出可能流体量Leとを比較することにより、補修後流体使用量Lcに相当する量の流体を送出するのに、必要以上の台数のコンプレッサーを用いることになることや、必要以上に送出可能流体量Ldが多いコンプレッサーを用いることになることがわかるなど、流体漏洩によって現在使用しているコンプレッサーにどれだけ無駄があるのかが評価できる。さらに、補修後流体使用量Lcに基づき、最適なコンプレッサーの台数や型式の組み合わせを考案できる。
【0109】
これにより、金額換算部40により把握できる流体漏洩そのものによるプラントにおける損失だけでなく、流体漏洩に伴うコンプレッサーの使用状況の無駄による損失も把握することができて、流体漏洩箇所を補修することによりどれだけの経済効果があるのかを一層明確に把握できる。
【0110】
なお、各種の単位時間当たりの流体量La〜Leをコンプレッサー判定情報として表示部30に表示しコンプレッサーの台数と各型式についての判定を行う例を示したが、流体量La〜Leに対応する電力量Wa〜Weを入力又は演算し、これら電力量Wa〜Weをコンプレッサー判定情報として表示部30に表示しコンプレッサーの台数と各型式についての判定を行ってもよい。この場合、表示するコンプレッサー判定情報は、対象のプラントにおける単位時間当たりのコンプレッサーの電力消費量Waと、単位時間当たりの合計流体漏洩量Lbを電力に換算した換算電力量Wbと、単位時間当たりの補修後電力使用量Wcと、使用流体の送出に用いるコンプレッサーごとの型式に応じた最大電力消費量Wdとその合計電力消費量Weとからなる。
【0111】
また、コンプレッサー判定部41は、コンプレッサー判定情報に基づいて、流体漏洩箇所を補修したと仮定したときの補修後のプラントに対し、現在使用しているコンプレッサーの台数と各型式とが適正かどうかを判定するアルゴリズムや、コンプレッサー判定情報に基づいて補修後流体使用量Lcに対する最適なコンプレッサーの台数や型式の組み合わせを導出するアルゴリズムを備えていてもよく、これにより、コンプレッサー判定部41が、プラントで使用しているコンプレッサーの台数と各型式とについての判定や流体漏洩箇所の補修後における最適なコンプレッサーの組み合わせの導出を行い、現在使用しているコンプレッサーの判定情報と補修後の最適なコンプレッサーの組み合わせ情報とを生成して、表示部30に表示してもよい。
【0112】
〔診断レポート作成部42〕
診断レポート作成部42は、上記各種機能部により作成したデータ及び画像の全部又はそのうちの選択したものをまとめた診断レポートXを作成する。例えば、
図18に示すように、診断レポートとして、金額換算部40による金額換算表M、データベース管理部32におけるデータを抽出した漏洩箇所一覧表、漏洩箇所マップ作成部34によるマップ画像Pe、補修スケジュール作成機能による補修スケジュールSをまとめたものを作成する。
【0113】
〔本件発明の実施〕
本件発明を用いたプラントのメンテナンスは、例えば次の(a)〜(e)の手順で行う。
【0114】
(a)プラントのメンテナンスの依頼者との協議により、プラントに対する流体漏洩診断の範囲を決定する。具体的には、流体漏洩診断を行うのをプラントの全範囲とするか又は一部領域とするか、流体漏洩診断を全設備について行うか又は特定の装置のみについて行うかなどを依頼者との打ち合わせにより決定する。この場合、少なくとも、発見した流体漏洩箇所に対する補修を行った後にその効果が把握できる診断範囲を設定する。
【0115】
(b)依頼者からプラントの全体構成図(又は部分構成図)や診断対象とするエリアのエリア図を取得し、ホストコンピュータ24や漏洩検出装置Rに全体構成図画像やエリア図画像を入力する。また、これら全体構成図やエリア図をもとに流体漏洩診断の計画を立案する。
【0116】
(c)依頼者との協議により決定した範囲について、立案した診断計画に基づき流体漏洩診断を行い、収集したデータDをホストコンピュータ24に入力して収集データDを蓄積的にデータベースDbに格納する。この際、必要に応じて診断計画評価部37による診断範囲表示画像に基づき、進行中の流体漏洩診断の計画を評価するとともに残りの箇所に対する計画の変更を検討する。
【0117】
(d)全診断行程を終え全流体漏洩箇所についての収集データDをホストコンピュータ24に入力したら、ホストコンピュータ24における分析処理部33により各種の分析を行う。そして、診断レポート作成部42により分析処理部32が生成する画像や情報をまとめた診断レポートXを作成する。なお、流体漏洩箇所を捕集することにより得られる経済効果、発見された流体漏洩箇所に対する補修作業の計画や今後のメンテナンス計画の立案、プラントの設備改善に関する情報を含んだものとなっている。
【0118】
(e)診断レポートXの作成後、この診断レポートXにおける補修スケジュールSに基づき補修作業を行う。また、依頼者に診断レポートXを提示し、例えば、金額換算表Mやコンプレッサー判定情報から流体漏洩箇所の補修を行うことの経済効果を提示したり、他のプラントにおける流体漏洩診断の結果を利用してプラント対比情報生成部36によりプラント対比情報を生成した場合は、プラント対比情報に基づく対象のプラントにおける流体漏洩への対策を提示したりするなど、プラントのメンテナンスによる効果を依頼者に提示する。
【0119】
そして、診断レポートXの提示とともに、依頼者に対し今後のプラントのメンテナンスの提案を行う。具体的には、アウトソーシングにより定期的な流体漏洩診断を行うか、又は、漏洩検出装置Rなどの装置を購入し依頼者自身により流体漏洩診断を行うかのいずれによりプラントのメンテナンスを行うかを提案する。
【0120】
依頼者がアウトソーシングによる流体漏洩診断を選択した場合は、対象のプラントについて流体漏洩診断を行っていない範囲があれば、残りの範囲についての流体漏洩診断の計画を立案し、流体漏洩診断と診断により発見した流体漏洩箇所の補修を行う。そして、診断レポートXを参照しながら、今後のプラントのメンテナンスの計画(周期など)を打合せにより決定する。
【0121】
依頼者が漏洩検出装置Rなどの装置を購入し依頼者自身により流体漏洩診断を行うことを選択した場合は、診断レポートXを参照しながら、どのような基準でプラントのメンテナンスを運用していくべきかを依頼者に対し提案する。また、診断担当者を決定し、診断担当者に対し漏洩検出装置Rを用いた流体漏洩診断のトレーニングを行う。
【0122】
〔別実施形態〕
(1)上記した漏洩傾向推定部35により実現される機能は、ホストコンピュータ24に限らず、
プラントに対する流体漏洩診断の結果として流体漏洩診断により検出された各流体漏洩箇所のデータが入力される入力部と、前記入力部に入力された前記データを蓄積的に保存する記憶部とを備える流体漏洩データの管理装置であって、
前記記憶部に蓄積的に保存された同一のプラントについての複数回の流体漏洩診断の結果から、対象のプラントにおける経時的な流体漏洩の傾向を示す流体漏洩傾向情報を生成する漏洩傾向推定部を備える管理装置、
によっても実現できる。
【0123】
別実施形態(1)の管理装置において、前記漏洩傾向推定部は、前記流体漏洩傾向情報として、前記対象のプラントの構成図画像に対し、前記入力部に入力された前記各流体漏洩箇所の前記対象のプラントにおける位置である各位置データについて、前記構成図画像上の前記各位置データに対応する配置に、流体漏洩箇所であることを示す表示子を重ねて表示した漏洩箇所表示画像を各回の流体漏洩診断ごとに生成して、前記漏洩箇所表示画像を並べた画像を生成する構成にしてもよい。
【0124】
別実施形態(1)の管理装置において、前記漏洩傾向推定部は、前記流体漏洩傾向情報として、前記対象のプラントの構成図画像に対して、全回の流体漏洩診断についての前記各流体漏洩箇所の前記対象のプラントにおける位置である各位置データについて、前記構成図画像上の前記各位置データに対応する配置に、流体漏洩箇所であることを示す表示子を重ねて表示するとともに、各回の流体漏洩診断ごとにその診断で検出された流体漏洩箇所を示す前記表示子の表示形態を変えて表示した画像を生成する構成にしてもよい。
【0125】
別実施形態(1)の管理装置において、前記漏洩傾向推定部は、前記流体漏洩傾向情報として、前記対象のプラント全体について、又は、前記対象のプラントにおけるエリアごとについて、各回の流体漏洩診断における漏洩流体種ごとの合計流体漏洩箇所数及び合計流体漏洩量を並べたものを生成する構成にしてもよい。
【0126】
別実施形態(1)の管理装置において、前記漏洩傾向推定部は、各回の流体漏洩診断における流体漏洩箇所のデータから示される対象のプラントにおける流体漏洩の推移に基づいて、前記対象のプラントにおける経時的な流体漏洩の傾向を分析して、流体漏洩の推移及び経時的な流体漏洩の傾向から前記対象のプラントにおける設備の劣化度合い及び設備不良を評価した評価情報を生成する構成にしてもよく、さらに、流体漏洩の推移及び経時的な流体漏洩の傾向から将来の流体漏洩診断の計画を生成する構成にしてもよい。
【0127】
なお、別実施形態(1)の管理装置は上記した構成を単独で採用するだけでなく、組み合わせて採用することが可能である。また、別実施形態(1)の管理装置は、ホストコンピュータ24が有するその他の機能を有するものであってもよい。
【0128】
(2)上記したプラント対比情報生成部36により実現される機能は、ホストコンピュータ24に限らず、
プラントに対する流体漏洩診断の結果として流体漏洩診断により検出された各流体漏洩箇所のデータが入力される入力部と、前記入力部に入力された前記データを蓄積的に保存する記憶部とを備える流体漏洩データの管理装置であって、
前記記憶部に蓄積的に保存された複数のプラントについての流体漏洩診断の結果から、対比対象とする2以上のプラントにおける流体漏洩の傾向を対比するプラント対比情報を生成するプラント対比情報生成部を備える管理装置、
によっても実現できる。
【0129】
別実施形態(2)の管理装置において、プラント対比情報生成部は、前記プラント対比情報として、前記対比対象のプラントの各構成図画像に対し、前記入力部に入力された前記各流体漏洩箇所の前記対象のプラントにおける位置である各位置データについて、前記各全体構成図画像上の前記各位置データに対応する配置に、流体漏洩箇所であることを示す表示子を重ねて表示した漏洩箇所表示画像を前記対比対象のプラントごとに生成して、前記漏洩箇所表示画像を並べた画像を生成する構成にしてもよく、また、前記プラント対比情報として、前記対比対象のプラント全体について、又は、前記対比対象のプラントそれぞれにおけるエリアごとについて、漏洩流体種ごとの合計流体漏洩箇所数及び合計流体漏洩量を並べたものを生成する構成にしてもよい。
【0130】
別実施形態(2)の管理装置は、前記記憶部に蓄積的に保存された同一のプラントについての複数回の流体漏洩診断の結果から、対象のプラントにおける経時的な流体漏洩の傾向を示す流体漏洩傾向情報を生成する漏洩傾向推定部を備え、前記プラント対比情報生成部は、前記プラント対比情報として、前記対比対象のプラントにおける前記流体漏洩傾向情報を並べたものを生成する構成にしてもよい。
【0131】
別実施形態(2)の管理装置において、前記入力部には前記対比対象のプラントにおける運転条件が入力され、前記プラント対比情報生成部は、前記対比対象のプラントに対する流体漏洩診断における流体漏洩箇所のデータから示される前記対比対象のプラントにおける流体漏洩の違いと、前記対比対象のプラントにおける前記運転条件の違いとの関連性を分析した分析結果情報を生成する構成にしてもよく、さらに、前記プラント対比情報生成部は、分析した前記関連性に基づいて対比対象のプラントにおける流体漏洩の違いの原因を推定した評価情報及び前記原因に対する対比対象のプラントへの対策案を生成する構成にしてもよい。
【0132】
なお、別実施形態(2)の管理装置は上記した構成を単独で採用するだけでなく、組み合わせて採用することが可能である。また、プラント対比情報において対比する流体漏洩傾向情報は、漏洩傾向推定部35で生成するものを採用できる。さらに、別実施形態(2)の管理装置は、ホストコンピュータ24が有するその他の機能を有するものであってもよい。ここで、流体漏洩の違いとは、流体漏洩箇所の分布、漏洩流体種、流体漏洩量などの各種データの傾向の違いや、過去から現在にわたるまでの流体漏洩の経時的な傾向の違いなどであり、プラントの運転条件の違いとは、プラントの設備構成、稼働時間、各種の流体の使用量などをいう。
【0133】
(3)上記した診断計画評価部37により実現される機能は、ホストコンピュータ24に限らず、
プラントに対する流体漏洩診断により収集される各流体漏洩箇所のデータが入力される入力部を備える流体漏洩データの管理装置であって、
所定の診断計画に従って行われるプラントに対する流体漏洩診断の途中において前記入力部に入力された前記データに基づいて、前記プラントに対する流体漏洩診断における前記診断計画についての評価情報を生成する診断計画評価部を備える管理装置、
によっても実現できる。
【0134】
別実施形態(3)の管理装置は、前記入力部に入力された前記データを表示する表示部を備え、前記診断計画評価部は、前記評価情報として、前記プラントの全体構成図画像を流体漏洩診断における診断済みの領域と未診断の領域とに区別して表示する診断範囲表示画像であって、前記診断範囲表示画像に対して、前記入力部に入力された前記各流体漏洩箇所の前記プラントにおける位置である各位置データについて、前記診断範囲表示画像上の前記各位置データに対応する各配置に、流体漏洩箇所であることを示す表示子を重ねて表示した前記診断範囲表示画像を生成して前記表示部に表示する構成にしてもよい。
【0135】
別実施形態(3)の管理装置において、前記診断計画評価部は、前記評価情報として、前記プラントに対する流体漏洩診断における流体漏洩箇所のデータの傾向を分析し、分析した傾向に基づいて前記診断計画の妥当性を評価する情報を生成する構成にしてもよく、さらに、分析した傾向に基づいて未診断の領域における流体漏洩の傾向を推測した傾向推測情報を生成する構成にしてもよい。
【0136】
別実施形態(3)の管理装置は、前記入力部に入力された前記データを蓄積的に保存する記憶部を備え、前記診断計画評価部は、前記記憶部に蓄積的に保存された同一の又は他のプラントに対する過去の流体漏洩診断における流体漏洩箇所のデータの傾向と前記分析した傾向とに基づいて、前記傾向推測情報を生成する構成にしてもよい。
【0137】
別実施形態(3)の管理装置において、前記診断計画評価部は、前記傾向推測情報に基づいて未診断の領域に対する流体漏洩診断の計画を生成する構成にしてもよい。
【0138】
なお、別実施形態(3)の管理装置は上記した構成を単独で採用するだけでなく、組み合わせて採用することが可能である。さらに、別実施形態(3)の管理装置は、ホストコンピュータ24が有するその他の機能を有するものであってもよい。
【0139】
(4)上記した補修スケジュール作成部39により実現される機能は、ホストコンピュータ24に限らず、
プラントに対する流体漏洩診断により収集される各流体漏洩箇所のデータが入力される入力部と、前記入力部に入力された前記データに基づき、各流体漏洩箇所についてのデータをまとめた補修作業用データを流体漏洩箇所ごとに生成するデータ処理部とを備える流体漏洩データの管理装置であって、
前記補修作業用データは、流体漏洩を起こしている装置とその詳細部位、流体漏洩箇所の撮影画像であってその撮影画像中の流体漏洩箇所に対応する位置にマークを付した画像、及び、前記プラントの構成図画像であってその構成図画像中の流体漏洩箇所に対応する位置にマークを付した画像からなり、
前記データ処理部は、補修対象とする流体漏洩箇所についての前記補修作業用データを所定の順番で並べた補修スケジュールを生成する構成にしてある管理装置、
によっても実現できる。
【0140】
別実施形態(4)の管理装置において、データ処理部は、補修対象とする流体漏洩箇所の前記プラントにおける位置である各位置データにより演算する補修作業における総移動距離又は総移動時間に基づいて、前記補修スケジュールにおける順番を決定する構成にしてもよく、また、さらに、流体漏洩を起こしている装置とその詳細部位により定まる補修作業種も考慮して前記補修スケジュールにおける順番を決定する構成にしてもよく、補修対象とする流体漏洩箇所を、流体漏洩箇所における流体漏洩量に基づいて選定する構成にしてもよい。
【0141】
なお、別実施形態(4)の管理装置は上記した構成を単独で採用するだけでなく、組み合わせて採用することが可能である。さらに、別実施形態(4)の管理装置は、ホストコンピュータ24が有するその他の機能を有するものであってもよい。
【0142】
(5)上記したコンプレッサー判定部41により実現される機能は、ホストコンピュータ24のような管理装置に限らず、
プラントに対する流体漏洩診断により収集される各流体漏洩箇所のデータが入力される入力部を備える流体漏洩データの管理装置であって、
対象のプラントにおける総流体漏洩量に基づいて、前記対象のプラントにおける流体漏洩箇所を補修したと仮定したときの補修後プラントに対し、前記対象のプラントで使用するコンプレッサーの台数及び型式が適正であるかを判定するための判定情報を生成するコンプレッサー判定部を備える管理装置、
によっても実現できる。
【0143】
別実施形態(5)の管理装置において、コンプレッサー判定部は、
前記対象のプラントにおける総流体使用量から前記総流体漏洩量を減算することで前記補修後プラントにおける補修後流体使用量を演算し、前記判定情報として、前記補修後流体使用量と、前記コンプレッサーごとのその型式の機種が送出可能な流体量である送出可能流体量とをまとめた流体量比較情報を生成する構成にしてもよく、
前記総流体漏洩量を電力に換算した換算電力量を演算するとともに、前記プラントにおける前記コンプレッサーの総電力消費量から前記換算電力量を減算することで前記補修後プラントにおける前記コンプレッサーの補修後電力消費量を演算し、前記判定情報として、前記補修後電力消費量と、前記コンプレッサーごとのその型式の機種における最大電力消費量とをまとめた電力量比較情報を生成する構成にしてもよい。
【0144】
別実施形態(5)の管理装置において、コンプレッサー判定部は、漏洩流体種ごとに前記流体量比較情報又は前記電力量比較情報を生成する構成にしてもよい。
【0145】
別実施形態(5)の管理装置において、コンプレッサー判定部は、前記流体量比較情報又は前記電力量比較情報に基づいて、前記補修後プラントに対し前記コンプレッサーの台数及び型式が適正であるかを判定する構成にしてもよく、さらに、前記補修後プラントに対する最適な前記コンプレッサーの台数及び型式の組み合わせを提案する構成にしてもよい。
【0146】
なお、別実施形態(5)の管理装置は上記した構成を単独で採用するだけでなく、組み合わせて採用することが可能である。さらに、別実施形態(5)の管理装置は、ホストコンピュータ24が有するその他の機能を有するものであってもよい。
【0147】
(6)その他の別実施形態
携帯コンピュータ2の記憶部18に格納するエリア図画像Paは、例えば、有線又は無線の通信手段によりホストコンピュータ24から携帯コンピュータ2に入力するなど、適当な手段により携帯コンピュータ2に入力すればよく、また、診断作業中の移動により記憶部18に格納してあるエリア図画像Paと異なるエリアに移動したときなど、必要に応じて、無線通信手段によりホストコンピュータから随時新しいエリア図画像Paを漏洩検出装置Rの側に送るようにしてもよい。
【0148】
携帯コンピュータ2の記憶部18に蓄積して保管した収集データDを一括してホストコンピュータ24の側に入力するようにしたが、無線通信により診断作業中に流体漏洩箇所の収集データDを随時にホストコンピュータ24の側に送る構成にしてもよい。