(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
ダンプ車等の貨物自動車には、後方から追突する他の自動車等がフレームの下方に潜り込んでしまうことを防止するための突入防止装置や、歩行者や自転車等が後車輪に巻き込まれてしまうことを防止するための巻込防止装置が設けられている。これら突入防止装置や巻込防止装置は、有効に機能し、安全性能が損なわれないよう、適切な位置に取り付けられなければならない。このことは、道路運送車両の保安基準にも規定されている。
【0003】
ところが、上記の突入防止装置や巻込防止装置は、工事や荷役作業の際に、他の作業車両等に接触してしまい邪魔になることがあった。具体的には、例えば、荷箱を後方に傾斜させて後方から積載物を排出するダンプ車において、車両後方に設けられる突入防止装置としてのバンパが、アスファルト舗装工事の際に後方から接続されるアスファルトフィニッシャ等に接触してしまうという不具合がある。
【0004】
上記のようにバンパ等が他の作業車両等に接触等して邪魔になるという不具合を解消するため、従来、通常の走行状態における使用位置と、作業時等における格納位置と、に変更自在に構成される可動式バンパ装置が知られている。
【0005】
例えば、特許文献1には、エアシリンダによって駆動され、リアバンパが前方に回動して車体下方に格納される構成の可動式バンパ装置が開示されている。
また例えば、特許文献2には、手動操作によって後上方側に回動してサイドフレームの後方に収納される可動バンパが開示されている。
また例えば、特許文献3には、上下方向に伸縮自在に設けられる油圧シリンダによって駆動される昇降自在な昇降リアバンパが開示されている。
また例えば、特許文献4には、フレーム下方のボックス内に前後方向に摺動可能に設けられるアームによって支持され、手動操作によって前方に摺動して収納される構成のリアバンパが開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示された従来技術のように、バンパを前方に回動させて格納する方式では、格納位置において、バンパがフレームの下方に位置するので、車種によってはバンパとアスファルトフィニッシャの前部が接触してしまう恐れがあった。特に、比較的小型のダンプ車、例えば、積載量2トンから8トン程度の小型から中型のダンプ車では、10トン程度の大型のダンプ車と比べると、地面からフレームまでの高さが低い。そのため、フレームの下方にバンパを収納しても、地面からバンパまでの高さが不十分となり、アスファルトフィニッシャが接触してしまう。
【0008】
また、回動の半径を大きくしてバンパを前方に大きく移動させることも考えられるが、小型から中型のダンプ車では、大型のダンプ車と比べると、フレーム後端近傍の空間も狭く、回動軸や駆動装置等の配置も制限される。そのため、使用状態においては車両の後端近くにバンパを配置し、格納時にバンパを前方に大きく移動させるという構成を採用することが難しかった。
【0009】
また、特許文献2に開示された従来技術のように、バンパを後上方側に回動させてフレームの後方に収納する構成についても、小型から中型のダンプ車では、フレーム後端近傍の空間が狭く、回動軸やアーム等の配置が難しかった。また、バンパを後上方側に回動させると、後方に傾斜される荷箱の後端やナンバープレート、尾灯等にバンパが接触する恐れもあり、また、排出されるアスファルト等によってバンパが破損等する恐れもある。
【0010】
また、特許文献3に開示された従来技術のように、バンパを上方に移動させて格納する方式では、バンパがフレームの下方に収納されるので、前述の特許文献1に開示された従来技術と同様の問題点がある。また、小型から中型のダンプ車では、油圧シリンダ等を上下方向に伸縮するよう略鉛直に配置するための十分な空間を確保することも難しい。
【0011】
また、特許文献4に開示された従来技術のように、バンパをアームと共に前方に摺動させて収納する構成では、フレームの下方にアームを摺動可能に支持するボックスが設けられるので、該ボックスがアスファルトフィニッシャの前部に接触する恐れがあった。
【0012】
また、特許文献2または特許文献4に開示された従来技術のように、手動操作によってバンパを格納位置に移動させる方式では、例えば、高速道路における工事のように、ダンプ車の運転者が降車することができない現場においては、使用することができなかった。
【0013】
また、特許文献1や特許文献3に開示された従来技術のように、エアシリンダや油圧シリンダによってバンパを移動させる構成では、空気圧縮機や油圧ポンプ、タンク、切替制御弁等が必要である。よって、駆動装置の構成や制御が複雑になると共に駆動装置が重たくなるという問題点もある。
【0014】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、走行時には車両の後端及び地面に近く、格納時には前方に大きく移動して他の作業車両等との接触を防止することができるバンパを備えた可動式バンパ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の可動式バンパ装置は、車両に設けられるバンパと、前記車両の内外方向に伸縮自在に設けられて前記バンパを支持する伸縮支持部と、前記伸縮支持部を伸縮させる伸縮駆動手段と、前記伸縮支持部を前記車両のフレームに対して回動自在に支持する回動支持部と、前記回動支持部を駆動して前記伸縮支持部を回動させる回転駆動手段と、を備え、前記バンパは、前記伸縮駆動手段によって前記伸縮支持部が短縮されることによって走行時における所定の位置から前記車両の内側方向に移動し、前記回転駆動手段によって前記伸縮支持部が回動されることによって前記車両の更に内側上方に移動して格納され
、前記伸縮支持部は、前記回動支持部に支持される外筒と、前記外筒の内部に摺動自在に設けられて一端に前記バンパが取り付けられた内筒と、を有し、前記伸縮駆動手段は、前記外筒に取り付けられた伸縮用モータと、前記伸縮用モータによって駆動される送りねじ軸と、前記内筒に接続されて前記送りねじ軸に螺合している送りねじナットと、を有することを特徴とする。
また、本発明の可動式バンパ装置は、車両に設けられるバンパと、前記車両の内外方向に伸縮自在に設けられて前記バンパを支持する伸縮支持部と、前記伸縮支持部を伸縮させる伸縮駆動手段と、前記伸縮支持部を前記車両のフレームに対して回動自在に支持する回動支持部と、前記回動支持部を駆動して前記伸縮支持部を回動させる回転駆動手段と、を備え、前記バンパは、前記伸縮駆動手段によって前記伸縮支持部が短縮されることによって走行時における所定の位置から前記車両の内側方向に移動し、前記回転駆動手段によって前記伸縮支持部が回動されることによって前記車両の更に内側上方に移動して格納され、前記回動支持部は、前記フレームに対して回動自在に設けられる支持軸と、前記支持軸と前記伸縮支持部とを連結しているアーム部と、を有し、前記回転駆動手段は、前記支持軸を回動させる回動用モータと、前記回動用モータから前記支持軸に回転動力を伝達する動力伝達機構と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明の可動式バンパ装置によれば、前記バンパは、前記伸縮駆動手段によって前記伸縮支持部が短縮されることによって走行時における所定の位置から前記車両の内側方向に移動し、前記回転駆動手段によって前記伸縮支持部が回動されることによって前記車両の更に内側上方に移動して格納される。即ち、伸縮支持部の伸縮動作と、回動支持部の回動動作と、の組み合わせによって、格納時及び展開時にバンパを大きく移動させることができる。これにより、バンパは、走行時には車両の後端及び地面近くに配置され、格納時には前方に大きく移動して格納される。よって、バンパと他の作業車両等との接触を防止することができる。
【0017】
また、伸縮動作及び回動動作を好適に組み合わせてバンパを移動させるので、伸縮動作または回動動作のみを利用する従来技術の可動式バンパ装置と比べて、伸縮駆動手段や回転駆動手段等の装置を小型化することができる。よって、フレームの高さが比較的低くてフレーム後端近傍の空間が狭い車両においても、他の作業車両等との接触を回避可能に、可動式バンパ装置を好適に配置することができる。
【0018】
また、伸縮支持部を伸縮させる伸縮駆動手段と、回動支持部を駆動して伸縮支持部を回動させる回転駆動手段と、を備えているので、運転者は、降車することなくバンパを格納及び展開することができる。これにより、作業効率が高められると共に、運転者が降車できない工事現場等においても、バンパの格納及び展開を行うことができ、バンパと他の作業車両等との接触を回避することができる。
【0019】
また、本発明の可動式バンパ装置によれば、前記伸縮支持部は、前記回動支持部に支持される外筒と、前記外筒の内部に摺動自在に設けられて一端に前記バンパが取り付けられた内筒と、を有し、前記伸縮駆動手段は、前記外筒に取り付けられた伸縮用モータと、前記伸縮用モータによって駆動される送りねじ軸と、前記内筒に接続されて前記送りねじ軸に螺合している送りねじナットと、を有しても良い。このような構成により、軽量で制御性に優れる可動式バンパ装置となる。
【0020】
また、本発明の可動式バンパ装置によれば、前記回動支持部は、前記フレームに対して回動自在に設けられる支持軸と、前記支持軸と前記伸縮支持部とを連結しているアーム部と、を有し、前記回転駆動手段は、前記支持軸を回動させる回動用モータと、前記回動用モータから前記支持軸に回転動力を伝達する動力伝達機構と、を有しても良い。これにより、油圧シリンダ等を利用する従来技術の可動式バンパ装置と比べて、バンパを回動させるための制御が容易になり、また、装置の小型軽量化を図ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態に係る可動式バンパ装置を図面に基づき詳細に説明する。
図1(A)は、本発明の実施形態に係る可動式バンパ装置1を備えた車両50の後端近傍の側面図であり、
図1(B)は、車両50の背面図、即ち車両50を後方から見た図である。
【0023】
図1(A)に示すように、車両50は、可動式バンパ装置1を備える自動車の一例であり、後方に傾斜自在な荷箱54を備えるダンプ車等である。可動式バンパ装置1は、車両50の後端近傍に設けられ、車両50のフレーム51等に取り付けられる。
【0024】
可動式バンパ装置1は、車両50の後端近傍下方の所定位置に配置されるバンパ2と、車両50の前後方向に伸縮自在に設けられてバンパ2を支持する伸縮支持部10と、伸縮支持部10を車両50のフレーム51に対して回動自在に支持する回動支持部としての支持軸20と、を有する。
【0025】
バンパ2は、後方から追突する他の自動車等がフレーム51の下方に潜り込んでしまうことを防止するための突入防止装置であり、車両50の後車輪55の後方に設けられる。通常の走行時におけるバンパ2の位置は、バンパ2が突入防止装置として有効に機能するよう所定の位置に設定される。
【0026】
即ち、走行時におけるバンパ2の位置は、地面GLからバンパ2の下端までの高さH1が低く、車両50の後端からのバンパ2の後端までの距離L1が短い方が好ましい。具体的には、道路運送車両の保安基準によれば、高さH1は、550mm以下、距離L1は、400mm以下に設定されなければならない。
また、
図1(B)に示すように、バンパ2は、車両50の車幅方向に所定の長さで延在し、車両50のフレーム51の後方から後車輪55の後方に達している。
【0027】
バンパ2の形状については、所定の高さ寸法及び長さ寸法が確保されていれば、特に限定されるものではない。生産性の観点から、バンパ2は、例えば、一定の横断面形状で延在する長尺の部材が好ましい。バンパ2の横断面形状としては、略矩形状、略円形状、略コ字状、略L字状等、種々の形態を採用し得る。所定の剛性を確保しつつ軽量化を図るために、バンパ2は、筒状、即ち中空状等が好ましい。
【0028】
また、バンパ2の材料としては、各種鋼材やアルミニウム材等を用いることができるが、軽量化の観点から、アルミニウム材が好ましい。また、アルミニウム材等からなるバンパ2に、ステンレス鋼板等からなる装飾板等が取り付けられても良い。
【0029】
図2は、車両50のフレーム51の後端近傍を示す平面図である。
図2に示すように、車両50のフレーム51は、前後方向に延在する左右一対のサイドレール52と、車幅方向に延在して左右のサイドレール52を連結する強度部材であるクロスメンバ53と、を有する。
可動式バンパ装置1は、車両50の左右のサイドレール52の間に設けられ、サイドレール52及びクロスメンバ53の何れか一方若しくは双方に固定される。
【0030】
伸縮支持部10は、車両50のサイドレール52に略対応して、フレーム51の左右側に一対設けられる。即ち、バンパ2は、それぞれ前後方向に伸縮自在な一対の伸縮支持部10によって、2カ所で支持される。左右の伸縮支持部10には、伸縮支持部10を伸縮させるための伸縮用モータ15がそれぞれ設けられる。
【0031】
図3は、可動式バンパ装置1の概略を示す側面図である。
図3に示すように、バンパ2を伸縮自在に支持する伸縮支持部10は、回動支持部である支持軸20にアーム部21を介して回動自在に支持される外筒11と、外筒11の内部に摺動自在に設けられて一端にバンパ2が取り付けられる内筒12と、を有する。
【0032】
外筒11及び内筒12は、例えば、略円筒状若しくは略角筒状等の略筒状の形態を成す。外筒11の内部には、内筒12が所定の間隙を設けて摺動自在に嵌入されている。なお、外筒11の内部には、外筒11の内周面と内筒12の外周面との間に、内筒12を摺動自在に支持する、例えば、滑り軸受等のガイド部材13が設けられる。
【0033】
なお、外筒11及び内筒12は、互いに摺動自在に構成されていれば良く、それぞれ略筒状等の形状の他に、横断面が略円形状、略コ字状、略L字状等の各種棒状体等であっても良い。但し、略筒状の外筒11及び内筒12は、それらの内部に後述する伸縮駆動手段を構成するボールねじ軸16等を配置でき、且つ、ボールねじ軸16等にアスファルトや泥等の異物が付着してしまうことを防止できる点において優れている。
【0034】
外筒11の内筒12が挿入される側の端部近傍には、内筒12の外周面に摺接するブレード14が設けられても良い。ブレード14は、例えば、合成ゴム等からなるリップを有するシール部材であり、該リップが内筒12の外周面に対して摺動自在に接して外部から外筒11の内部にアスファルトや泥等の異物や水分等が侵入することを防止する。
【0035】
なお、内筒12の外周部に、内筒12の外周面を覆う、例えば、可撓性を有する合成樹脂等からなる蛇腹形状等の伸縮自在な図示しないカバー部材が設けられても良い。このようなカバー部材によって、摺動面となる内筒12の外周面にアスファルトや泥等が付着することを防止でき、また、外筒11の内部にアスファルト等が侵入することを防ぐことができる。よって、伸縮支持部10の良好な伸縮動作を維持することができる。
【0036】
伸縮支持部10には、伸縮支持部10を伸縮させるための伸縮駆動手段が設けられる。具体的には、伸縮駆動手段は、外筒11に取り付けられる伸縮用モータ15と、伸縮用モータ15によって駆動されるボールねじ軸16と、内筒12に接続されてボールねじ軸16に螺合するボールねじナット17と、を有する。
【0037】
伸縮用モータ15は、例えば、回転位置を検出可能なDCサーボモータ等であり、外筒11の内筒12が挿入される側の反対側の端部近傍に、例えば、取り付け金具としてのフランジ等を介して取り付けられる。
【0038】
伸縮用モータ15の出力軸には、軸継手19を介して、送りねじ軸としてのボールねじ軸16が接続されている。ボールねじ軸16は、前述の通り、外筒11の内部に設けられ、例えば、転がり軸受等の軸受18によって回転自在に支持されている。
【0039】
ボールねじ軸16には、送りねじナットとしてのボールねじナット17が転動体を介して螺合され、ボールねじナット17は、内筒12に固定される。このような構成により、伸縮用モータ15の回転力により、伸縮支持部10の内筒12を外筒11から突き出すようによう移動させ、また、外筒11の内部に引き戻すことができ、軽量で制御性に優れる伸縮支持部10となる。なお、送りねじ軸及び送りねじナットとして、ボールねじ軸16及びボールねじナット17に代えて、螺合するねじ軸とナットが摺動する滑りねじ軸及び滑りねじナット等が用いられても良い。
【0040】
伸縮支持部10の外筒11には、アーム部21が取り付けられ、アーム部21は、前述の通り、フレーム51に対して回動自在に設けられる支持軸20に接続される。即ち、伸縮支持部10は、フレーム51に対して回動自在に支持される。
【0041】
可動式バンパ装置1は、支持軸20を駆動して伸縮支持部10を回動させる回転駆動手段を備える。回転駆動手段は、支持軸20を回動させる駆動源となる回動用モータ30を有する。また、回転駆動手段は、回動用モータ30から支持軸20に回転動力を伝達する動力伝達機構として、ウォーム減速機32、チェーン34及びスプロケット23、33を有する。
【0042】
回動用モータ30は、例えば、回転位置を検出可能なDCサーボモータ等である。なお、回動用モータ30は、小型で好適な回転駆動力を発揮できるように、減速機等を備えた減速機付きモータ等であっても良い。回動用モータ30の出力軸は、軸継手35を介してウォーム減速機32の原動側の軸に接続され、回動用モータ30は、支持金具38を介してウォーム減速機32のハウジング等に固定される。
【0043】
ウォーム減速機32は、原動側の軸に対して略垂直に配置される従動側の軸である駆動軸31を有する。ウォーム減速機32を採用することにより、バンパ2及び伸縮支持部10を回動させるために必要な回転駆動力を確保しつつ、回動用モータ30の小型化を図ることができる。また、回動用モータ30を、その出力軸を車両50の前後方向に向けて配置することが可能となり、フレーム51の後端近傍の限られた空間を有効に利用して可動式バンパ装置1を配置することができる。なお、ウォーム減速機32は、ブラケット39を介してフレーム51のクロスメンバ53またはサイドレール52に固定される。
【0044】
ウォーム減速機32の従動側の軸である駆動軸31には、スプロケット33が取り付けられる。また、支持軸20には、スプロケット23が取り付けられる。スプロケット33及びスプロケット23には、動力伝達可能にチェーン34が巻き掛けられる。これにより、回動用モータ30による回転駆動力が、ウォーム減速機32及びチェーン34等を介して支持軸20に伝達される。なお、動力伝達機構は、チェーン34及びスプロケット23、33等に代えて、例えば、タイミングベルト及びプーリ等から構成されて良い。
【0045】
上記のように、回動用モータ30、ウォーム減速機32、チェーン34及びスプロケット23、33等から回転駆動手段が構成されることにより、油圧シリンダ等を利用する従来技術の可動式バンパ装置と比べて、バンパ2を回動させるための制御が容易になる。また、可動式バンパ装置1の小型軽量化を図ることができる。
【0046】
図4は、可動式バンパ装置1の概略を示す平面図である。
図4に示すように、支持軸20は、車両50の車幅方向に延在し、支持軸20の両端部近傍には、伸縮支持部10を支持するアーム部21が取り付けられる。支持軸20は、その両端部近傍のアーム部21が接続される箇所の内側において、一対の軸受22によって回動自在に支持される。軸受22は、図示しないブラケット等を介してフレーム51のクロスメンバ53またはサイドレール52に固定される。これにより、支持軸20は、フレーム51に対して回動自在に、且つ、走行時等のバンパ2及び伸縮支持部10の荷重及び衝突時等の衝撃荷重等に耐え得るよう高強度に支持される。
【0047】
駆動軸31の軸端は、ウォーム減速機32の左右両側に突出しており、左右両側の駆動軸31には、それぞれスプロケット33が取り付けられる。また、支持軸20に取り付けられるスプロケット23及びチェーン34も、スプロケット33に対応してウォーム減速機32の左右に配置されるよう、それぞれ一対設けられる。これにより、回動用モータ30の回転動力を支持軸20に効率的に伝達し、1つの回動用モータ30で左右両側の伸縮支持部10を効率良く回動させることができる。なお、ウォーム減速機32から突出する駆動軸31を左右の何れか一方とし、1組のチェーン34及びスプロケット23、33によって回動用モータ30の回転動力を支持軸20に伝達する構成を採用することも可能である。
【0048】
上記のように、伸縮支持部10を回動自在に支持する支持軸20と、回動用モータ30に接続されるウォーム減速機32の駆動軸31とは、別々に設けられて、チェーン34及びスプロケット23、33を介して連結される。このような構成により、バンパ2が他の作業車両等に衝突等した際に、駆動軸31やウォーム減速機32、回動用モータ30等の破損を防ぐことができる。つまり、衝突等によってバンパ2等に大きな荷重が作用しても、バンパ2等から駆動軸31や回動用モータ30等に伝達する衝撃荷重を小さく抑えることができる。
【0049】
また、バンパ2は、例えば、ボルト及びナット等の締結部材を用いて、伸縮支持部10の内筒12に対して着脱自在に取り付けられても良い。これにより、衝突等によってバンパ2が損傷した場合に、バンパ2を内筒12から容易に取り外して交換等することができる。
【0050】
次に、
図5ないし
図7を参照して、可動式バンパ装置1のバンパ2を格納する動作について詳細に説明する。
図5(A)は、可動式バンパ装置1の走行時の状態を示す側面図である。
図5(A)に示すように、走行時の状態において、バンパ2は、地面GLから所定の高さH1、車両50の後端から所定の距離L1の位置にある。この状態から、アスファルトフィニッシャ60(
図7参照)等の他の工事用車両等を接続するために、運転者は、バンパ2を格納するための操作として、例えば、運転席等に設けられる図示しない操作ボタン等を押す。
【0051】
そうすると、伸縮用モータ15が回転し、
図3に示すボールねじ軸16が回転する。これによって
図3に示すボールねじナット17が前方に向かって移動し、伸縮支持部10の内筒12が外筒11の内部に引き込まれる。
【0052】
図5(B)は、可動式バンパ装置1の伸縮支持部10が短縮された状態を示す側面図である。
図5(B)に示すように、伸縮用モータ15によって伸縮支持部10の内筒12が外筒11の内部に引き込まれて伸縮支持部10が短縮されることにより、内筒12の後端に設けられたバンパ2は、前方に向かって移動する。これにより、バンパ2は、車両50の後端から距離L2の位置まで移動する。車両50の後端からバンパ2までの距離L2は、走行時の距離L1(
図5(A)参照)よりも長い。距離L2と距離L1との差に相当する寸法が伸縮支持部10の伸縮ストロークである。
【0053】
図6(A)は、可動式バンパ装置1のバンパ2及び伸縮支持部10が回動される状態を示す側面図である。伸縮支持部10が短縮された後、
図6(A)に示すように、回動用モータ30が回転し、バンパ2及び伸縮支持部10は、支持軸20を中心として前上方向に回動する。
【0054】
詳しくは、
図3を参照して、回動用モータ30の回転駆動力によってウォーム減速機32の駆動軸31が回転し、その回転駆動力が駆動軸31からチェーン34等を介して支持軸20に伝達されて支持軸20が回動する。そして、
図6(A)に示す如く、支持軸20にアーム部21を介して取り付けられている伸縮支持部10が回動する。
【0055】
図6(B)は、可動式バンパ装置1のバンパ2が格納された状態を示す側面図である。
図6(B)に示すように、回動用モータ30に駆動されて、伸縮支持部10は、その伸縮方向が略鉛直になるまで回動する。これにより、バンパ2は、地面GLから高さH2、車両50の後端から距離L3の格納位置に格納される。
【0056】
格納状態におけるバンパ2の地面GLからの高さH2は、走行時の高さH1(
図5(A)参照)よりも高い。また、格納状態における車両50の後端からバンパ2まで距離L3は、走行時の距離L1(
図5(A)参照)よりも長く、且つ、伸縮支持部10が短縮された後の回動される前の状態における距離L2(
図5(B)参照)よりも長い。
【0057】
このように、バンパ2は、伸縮用モータ15で伸縮支持部10が短縮されることによって走行時における所定の位置から車両50の内側方向に移動し、回動用モータ30で伸縮支持部10が回動されることによって車両50の更に内側上方に移動して格納される。なお、バンパ2を格納位置から走行時の位置に戻す展開動作は、
図5及び
図6を参照して説明した格納動作と逆の動作になる。
【0058】
上記の如く、可動式バンパ装置1によれば、伸縮支持部10の伸縮動作と、支持軸20の回動動作と、の組み合わせによって、格納時及び展開時にバンパを大きく移動させることができる。これにより、バンパ2は、走行時には車両50の後端及び地面GLに近く配置され、格納時には前方に大きく移動して格納される。
【0059】
図7は、可動式バンパ装置1のバンパ2が格納されたアスファルト工事作業時の状態を示す側面図である。伸縮支持部10が短縮され、更に回動されて格納された状態において、車両50の後部に、他の作業車両であるアスファルトフィニッシャ60の前部が接続される。
【0060】
具体的には、アスファルトフィニッシャ60の前部が車両50の後方からフレーム51の下方に進入し、アスファルトフィニッシャ60の前方端に設けられるプッシュローラ61が車両50の後車輪55に当接する。また、アスファルトフィニッシャ60のホッパ62の前部も車両50のフレーム51の下方に挿入される。
【0061】
前述のとおり、バンパ2は、伸縮支持部10の伸縮動作及び支持軸20の回動動作によって大きく移動して格納位置にあるので、バンパ2及び伸縮支持部10等がアスファルトフィニッシャ60の前部に不要に接触する等の不具合が回避されている。
【0062】
なお、可動式バンパ装置1では、伸縮動作及び回動動作を好適に組み合わせてバンパ2を移動させるので、伸縮動作または回動動作のみを利用する従来技術の可動式バンパ装置と比べて、伸縮用モータ15等の伸縮駆動手段や回動用モータ30等の回転駆動手段等の装置を小型化することができる。よって、フレーム51の高さが比較的低くてフレーム51後端近傍の空間が狭い車両50においても、アスファルトフィニッシャ60等との接触を回避可能に、可動式バンパ装置1を好適に配置することができる。
【0063】
また、可動式バンパ装置1は、伸縮支持部10を伸縮させる伸縮用モータ15等の伸縮駆動手段と、支持軸20を駆動して伸縮支持部10を回動させる回動用モータ30等の回転駆動手段と、を備えているので、運転者は、降車することなくバンパ2を格納及び展開することができる。これにより、作業効率が高められると共に、運転者が降車できない工事現場等においても、バンパ2の格納及び展開を行うことができ、バンパ2とアスファルトフィニッシャ60等との接触を回避することができる。
【0064】
次に、
図8及び
図9を参照して、実施形態を変形した例として、可動式バンパ装置101について詳細に説明する。
図8(A)は、本発明の他の実施形態に係る可動式バンパ装置101の概略を示す側面図であり、
図8(B)は、可動式バンパ装置101のアーム部121の側面図である。
図9は、可動式バンパ装置101の概略を示す平面図である。なお、既に説明した実施形態と同一若しくは同様の作用、効果を奏する構成要素については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0065】
図8(A)に示すように、可動式バンパ装置101は、ウォーム減速機32の駆動軸31と伸縮支持部10の外筒11とを連結するアーム部121を有する。即ち、
図3等を参照して既に説明した可動式バンパ装置1と異なり、可動式バンパ装置101は、チェーン34及びスプロケット23、33や、支持軸20等を備えていない。
【0066】
換言すれば、可動式バンパ装置101では、駆動軸31と伸縮支持部10がアーム部121で直接的に連結されており、ウォーム減速機32の駆動軸31が、伸縮支持部10を車両50のフレーム51に対して回動自在に支持する回動支持部となる。そして、駆動軸31の回動動作がアーム部121を介して直接的に伸縮支持部10の回動動作として伝達される。このような構成により、動力伝達機構を構成する部品数を削減することができると共に、可動式バンパ装置101の小型化を図ることができる。
【0067】
アーム部121は、駆動軸31に接続される接続端部123と、伸縮支持部10の外筒11に接続される接続端部122と、を有し、
図8(B)に示すように、接続端部123と接続端部122とを連結する部分は、側面視で、後方向かって凸状に湾曲している。これにより、
図8(A)に示すように、ウォーム減速機32の近傍前方側にクロスメンバ53が配置される車両50であっても、アーム部121とクロスメンバ53が接触することなく、伸縮支持部10を車両50の前上方に向かって回動させることができる。
【0068】
また、可動式バンパ装置101は、伸縮支持部10の伸縮状態を検出する伸縮センサ41を備えている。伸縮センサ41は、例えば、近接スイッチ等であり、伸縮支持部10の外筒11に取り付けられ、外筒11の内部を摺動する内筒12の位置を検出する。そして、伸縮センサ41で検出される伸縮状態の情報に基づいて、伸縮支持部10を伸縮させる伸縮用モータ15が制御されても良い。これにより、伸縮用モータ15として、回転位置を検出可能なDCサーボモータ等に代えて、回転位置を検出しない一般的なDCモータ等を採用することができる。
【0069】
また、可動式バンパ装置101は、伸縮支持部10の回動状態を検出する回動センサ42を備えている。回動センサ42は、例えば、近接スイッチ等であり、ウォーム減速機32を支持するブラケット139等に取り付けられて、回動するアーム部121を検出する。そして、回動センサ42によって検出される回動状態の情報に基づいて、伸縮支持部10を回動させる回動用モータ30が制御されても良い。これにより、回動用モータ30として、回転位置を検出可能なDCサーボモータ等に代えて、回転位置を検出しない一般的なDCモータ等を採用することができる。
【0070】
図9に示すように、駆動軸31は、車両50の車幅方向に延在するよう、ウォーム減速機32の左右両側から突出している。左右の駆動軸31には、それぞれアーム部121の接続端部123が嵌合される。なお、駆動軸31と接続端部123との嵌合部には、滑りを抑制して動力の伝達を確実にするために、キーやセレーション等が設けられても良い。
【0071】
アーム部121の他方の接続端部122には、前述のとおり、伸縮支持部10の外筒11が接続される。接続端部122と外筒11は、例えば、ボルト及びナット等の締結部材によって締結されても良く、または溶接等によって接合されても良い。
【0072】
そして、それぞれアーム部121で支持される左右一対の伸縮支持部10によって、バンパ2が支持される。なお、バンパ2の内筒12が接続される箇所の近傍には、後方に向かって凹む凹部2aが形成されても良い。これにより、伸縮支持部10が最短状態に短縮された際に、バンパ2とアーム部121が接触してしまうことを回避することができる。
【0073】
ここで、バンパ2に他の車両等が衝突した際に、アーム部121が他の構成部材よりも先に変形して衝突エネルギーを吸収するよう、アーム部121の設計強度が設定されても良い。これにより、衝突等の際に、回動用モータ30やウォーム減速機32等に伝達する衝撃力を低減して、回動用モータ30等の破損を抑制することができる。
【0074】
なお、以上の説明では、可動式バンパ装置1及び可動式バンパ装置101のバンパ2が車両50の後部に設けられる突入防止装置である例を挙げたが、バンパ2は、歩行者等が後車輪55に巻き込まれてしまうことを防止するための巻込防止装置として車両50の側部に設けられても良い。その場合、バンパ2を支持する伸縮支持部10は、車両50の内外方向となる車幅方向に伸縮するように設けられる。
【0075】
また、上記の各実施形態では、伸縮用モータ15及び回動用モータ30として、回転位置を検出可能なDCサーボモータ等を利用する例や、伸縮センサ41及び回動センサ42によって伸縮支持部10の伸縮状態や回動状態を検出する例について説明したが、バンパ2の状態を検出する方法は、これらに限定されるものではない。例えば、バンパ2の位置等を検出するためのその他のセンサ等が設けられても良い。そして、各種のセンサ等によって検出されるバンパ2の位置情報等に基づいて、伸縮用モータ15及び回動用モータ30の駆動が制御されても良い。
【0076】
また、前記センサ等で検出される情報に基づいて、可動式バンパ装置1、101の状態を運転者等に報知する、例えば、表示手段や警報手段等が設けられても良い。これにより、例えば、バンパ2の位置が走行時の適正な位置に設定されていない状態で車両50が発車される場合等において、バンパ2が適切でないことを運転者に報知することができる。
【0077】
また例えば、バンパ2の位置等を検出するセンサ等として、カメラ等の撮像装置及び映像解析装置等が設けられても良い。その場合、前記カメラ等は、後進時等に車両50の後方を撮影して運転者の運転を支援するための機能を兼ね備えても良い。
【0078】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の変更実施が可能である。