特許第6560181号(P6560181)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6560181ポリエステル樹脂組成物及びそれからなるブロー成形品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6560181
(24)【登録日】2019年7月26日
(45)【発行日】2019年8月14日
(54)【発明の名称】ポリエステル樹脂組成物及びそれからなるブロー成形品
(51)【国際特許分類】
   C08G 63/183 20060101AFI20190805BHJP
   B29C 49/00 20060101ALI20190805BHJP
   B29K 67/00 20060101ALN20190805BHJP
【FI】
   C08G63/183
   B29C49/00
   B29K67:00
【請求項の数】2
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-220638(P2016-220638)
(22)【出願日】2016年11月11日
(65)【公開番号】特開2017-110186(P2017-110186A)
(43)【公開日】2017年6月22日
【審査請求日】2018年1月12日
(31)【優先権主張番号】特願2015-242230(P2015-242230)
(32)【優先日】2015年12月11日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004503
【氏名又は名称】ユニチカ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000228073
【氏名又は名称】日本エステル株式会社
(72)【発明者】
【氏名】種田 祐路
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 大
(72)【発明者】
【氏名】須藤 嘉祐
【審査官】 渡辺 陽子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−253938(JP,A)
【文献】 国際公開第2005/035620(WO,A1)
【文献】 特開平11−236493(JP,A)
【文献】 特開昭59−011319(JP,A)
【文献】 特開2001−220434(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G63
CAPlus/Registry(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とし、全ジオール成分の2〜40モル%が、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオールの少なくとも1種である共重合ポリエステル樹脂を主成分とする樹脂組成物であって、極限粘度が0.7〜1.4であり、重量平均分子量と数平均分子量の比(重量平均分子量/数平均分子量)が1.9〜2.5であるポリエステル樹脂組成物を用いて形成されてなることを特徴とするブロー成形品。
【請求項2】
全ジオール成分の2〜20モル%が、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオールの少なくとも1種である共重合ポリエステル樹脂を主成分とする樹脂組成物であって、カルボキシル末端基濃度が22当量/t以下である、請求項1記載のポリエステル樹脂組成物を用いて形成されてなることを特徴とするブロー成形品
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透明性と耐衝撃性に優れたブロー成形品を生産性よく得ることができるポリエステル樹脂組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ポリエチレンテレフタレート(PET)は、機械的特性、化学的安定性、透明性等に優れ、かつ、安価であり、各種のシート、フィルム、容器等として幅広く用いられており、特に昨今では、炭酸飲料、果汁飲料、液体調味料、食用油、酒、ワイン用等の中空容器(ボトル)用途の伸びが著しい。しかも、塩化ビニル樹脂製中空成形品におけるような残留モノマーや有害添加剤の心配が少なく、衛生性及び安全性が高い点から、従来の塩化ビニル樹脂などからなるボトルからの置き換えも進んでいる。
【0003】
一般に、プラスチック製のボトルなどを製造するにあたっては、成形の容易性、高生産性、成形機械や金型などの設備費が比較的安くてすむなどの点から、溶融可塑化した樹脂をダイオリフィスを通して押出して円筒状のパリソンを形成し、これを金型に挟んで内部に空気を吹き込むいわゆるダイレクトブロー成形法が採用されている。そして、このダイレクトブロー成形による場合は、成形を円滑に行うために、溶融状態で押出されたパリソンが吹き込み成形時にドローダウンするのを回避する必要があり、そのため、使用樹脂に高い溶融粘度が要求される。したがって、高い溶融粘度を有する樹脂として、塩化ビニル樹脂やポリオレフィン樹脂などがダイレクトブロー成形においては広く用いられている。
【0004】
ダイレクトブロー成形品においても塩化ビニル樹脂からポリエステル樹脂への置き換えが検討されているが、ポリエステル樹脂は、一般にダイレクトブロー成形に適する高い溶融粘度を有していない。このため、押出されたパリソンが吹き込み成形時にドローダウンし、吹き込み成形が行えないという問題があった。
【0005】
ダイレクトブロー成形用として、種々の成分をPETに共重合することが試みられている。代表的な共重合成分としては、ジオール成分に、1,4ーシクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物を含むジオール、酸成分に、イソフタル酸が挙げられる。しかし、これらの共重合ポリエステルでは、得られるブロー成形品は耐衝撃性の点で満足できるものではなかった。
【0006】
こうした問題点を改良するために、特許文献1には、特定の構造式を有するグリコールを共重合した、耐熱性、耐衝撃性に優れたポリエステル樹脂が開示されている。しかしながら、このグリコールは、共重合量が多くなると、重合性が著しく低下するため、十分な重合度を得るために重合時間を長くすると、色調や透明性が低下するという問題があった。
【0007】
さらに、特許文献2には、特許文献1の欠点を解消するために、特定組成の触媒を用いて共重合することを特徴とする共重合ポリエステルが提案されている。しかしながら、いずれも十分な耐衝撃性を有するブロー成形品を得ることはできないものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開昭58−174419号公報
【特許文献2】特開2004−2664号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記の問題点を解決し、ブロー成形時にドローダウンによる成形性の問題が生じることなく、透明性と耐衝撃性に優れたブロー成形品を生産性よく得ることができるポリエステル樹脂組成物を提供しようとするものであり、また、一旦ブロー成形において端材となったものを用いて、再度ブロー成形に用いても良好に成形が可能となる、リサイクル性にも優れたポリエステル樹脂組成物を提供しようとするものである。さらに、本発明のポリエステル樹脂組成物を用いて形成されてなるブロー成形品を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者等は、上記の課題を解決するために、鋭意検討した結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、次の(1)、(2)を要旨とするものである。
(1)エチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とし、全ジオール成分の2〜40モ
ル%が、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオールの少なくと
も1種である共重合ポリエステル樹脂を主成分とする樹脂組成物であって、極限粘度が0
.7〜1.4であり、重量平均分子量と数平均分子量の比(重量平均分子量/数平均分子
量)が1.9〜2.5であるポリエステル樹脂組成物を用いて形成されてなることを特徴とするブロー成形品。
(2)全ジオール成分の2〜20モル%が、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1
,3−プロパンジオールの少なくとも1種である共重合ポリエステル樹脂を主成分とする
樹脂組成物であって、カルボキシル末端基濃度が22当量/t以下である、(1)記載の
ポリエステル樹脂組成物を用いて形成されてなることを特徴とするブロー成形品
【発明の効果】
【0011】
本発明のポリエステル樹脂組成物は、特定の成分を共重合した共重合ポリエステル樹脂を主成分とするものであり、ブロー成形用に適した極限粘度、重量平均分子量と数平均分子量の比(重量平均分子量/数平均分子量)を有するものであるため、熱安定性に優れており、ブロー成形時にドローダウンや結晶化による白化の問題が生じることがなく、透明性に優れ、かつ、耐衝撃性に優れたブロー成形品を得ることができるものである。
中でも特定成分の共重合量を最適化し、カルボキシル末端基濃度が特定量以下である本発明のポリエステル樹脂組成物は、一旦ブロー成形において端材となったものを、再度ブロー成形に用いても透明性に優れたブロー成形品を生産性よく得ることができ、リサイクル性にも優れている。
そして、本発明のブロー成形品は、本発明のポリエステル樹脂組成物を用いて形成されたものであるため、透明性と耐衝撃性に優れており、種々の用途に用いることができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のポリエステル樹脂組成物はブロー成形用に好適なものであり、中でも、溶融可塑化した樹脂をダイオリフィスを通して押出して円筒状のパリソンを形成し、これを金型に挟んで内部に空気を吹き込むダイレクトブロー成形法、もしくは射出成形でパリソンを形成し、これを延伸ブロー成形する延伸ブロー成形法に好適なものである。
【0013】
本発明のポリエステル樹脂組成物は、エチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とし、全ジオール成分の2〜40モル%が、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオールの少なくとも1種である共重合ポリエステル樹脂を主成分とするものである。
【0014】
本発明における共重合ポリエステル樹脂は、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオールのどちらか一方、もしくは両方を併せて共重合量が2〜40モル%であり、中でも2〜20モル%であることが好ましい。
1,3−プロパンジオールや2−メチル−1,3−プロパンジオールを適量共重合することにより、ポリエステル樹脂の結晶化速度をブロー成形に適したものに調整することができ、ブロー成形時の結晶化による白化を防ぐことができ、さらには耐衝撃性を向上させることができる。
中でも共重合量が2〜20モル%が好ましい理由としては、この範囲の共重合量のポリエステル樹脂は結晶性を有するため、後述するように、固相重合を行うことが可能であり、その結果、カルボキシル末端基濃度が少なくなり、ブロー成形時に樹脂の熱分解が生じることがなく、安定した成形が可能となるためである。
【0015】
上記成分の共重合量が2モル%未満であると、樹脂の結晶化速度が速いものとなるため、ブロー成形した際に、成形品が結晶化して白化し、透明性に劣るものとなる。そして、耐衝撃性を向上させる効果に乏しいものとなる。一方、上記成分の共重合量が40モル%を超えると、成形時に樹脂組成物を冷却固化させるために時間を要したり、金型からの離形性が悪くなるなど、成形性が悪化する。
【0016】
また、共重合ポリエステル樹脂中の全ジオール成分のうち、エチレングリコールの割合は60モル%以上であることが好ましい。エチレングリコール以外のジオール成分としては、例えば、ネオペンチルグリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサメチレンジオール、ジエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ダイマージオール、ビスフェノールA又はビスフェノールSのエチレンオキシド付加体等を用いることができる。
一方、酸成分は80モル%以上がテレフタル酸であることが好ましい。
【0017】
テレフタル酸以外のジカルボン酸成分としては、イソフタル酸、フタル酸、無水フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、セバシン酸、ダイマー酸等が挙げられ、これらを2種類以上併用してもよく、これらの酸のエステル形成性誘導体を使用してもよい。
【0018】
本発明のポリエステル樹脂組成物は、上記した共重合ポリエステル樹脂を主成分とし、以下に詳述するような特性値を満足するものである。これらの特性値を達成するために、後述するように酸化防止剤等の添加剤を含有することが好ましいものである。ポリエステル樹脂組成物中の共重合ポリエステル樹脂の含有量は、90質量%以上であることが好ましく、中でも95質量%以上であることが好ましい。
【0019】
本発明のポリエステル樹脂組成物は、極限粘度(IV)が、0.7〜1.4であることが必要であり、中でもダイレクトブロー成形用途に用いる際には、0.9〜1.4であることが好ましい。なお、極限粘度(IV)は、フェノールと四塩化エタンとの等質量混合物を溶媒として、温度20℃で測定するものである。
【0020】
極限粘度が0.7未満の場合は、樹脂の粘度が低いため、ブロー成形時にパリソンのドローダウンが大きくなり、成形自体が困難なものとなる。中でもダイレクトブロー成形時にはパリソンのドローダウンが顕著となり、成形が困難となる。一方、極限粘度が1.4を超える場合は、成形温度を上げる必要があり、得られる成形品の色調や透明性が悪くなる。また、成形温度を高くすることによって、樹脂の熱分解が促進されるため、パリソンのドローダウンが大きくなり、成形が困難になったり、得られる成形品は厚みムラが生じたものとなる。さらに、端材を再生材として再びブロー成形に供すると、ブロー成形時に樹脂の熱分解が生じやすく、安定的な生産が困難となり、得られる成形品は厚みムラが生じたものとなる。
【0021】
そして、本発明のポリエステル樹脂組成物は、重量平均分子量と数平均分子量の比(重量平均分子量/数平均分子量)が1.9〜2.5であることと、カルボキシル末端基濃度が22当量/t以下であることの両者を満足することが特に重要である。重量平均分子量と数平均分子量の比が上記範囲内であると、ブロー成形に適した粘性を有するものとなる。ただし、ブロー成形時の熱処理により樹脂の熱分解が生じた場合、成形前には該特性を有していたとしても、成形時にドローダウンが生じ、成形が困難となったり、成形品が得られたとしても厚みムラの生じたものとなる。そこで、このような成形時の熱処理による樹脂の熱分解が生じないようにするために、カルボキシル末端基濃度を22当量/t以下とすることが必要となる。
【0022】
本発明のポリエステル樹脂組成物は、重量平均分子量と数平均分子量の比(重量平均分子量/数平均分子量)が1.9〜2.5であることが必要であり、中でも2.0〜2.4であることが好ましい。
重量平均分子量と数平均分子量の比(重量平均分子量/数平均分子量)が1.9未満の場合、樹脂中の分子鎖の絡み合いや、架橋密度が不足するため、ブロー成形に適した粘性を有するものとすることができない。このため、ブロー成形時にパリソンのドローダウンが大きくなり、成形が困難になったり、得られる成形品は厚みムラが生じたものとなる。
【0023】
一方、重量平均分子量と数平均分子量の比(重量平均分子量/数平均分子量)が2.5を超える場合は、粘性が高くなっているため、成形温度を上げる必要があり、得られる成形品の色調や透明性が悪くなる。また、成形温度を高くすることによって、樹脂の熱分解が促進されるため、パリソンのドローダウンが大きくなり、成形が困難になったり、得られる成形品は厚みムラが生じたものとなる。さらに、端材を再生材として再びブロー成形に供すると、ブロー成形時に樹脂の熱分解が生じやすく、安定的な生産が困難となり、得られる成形品は厚みムラが生じたものとなる。
【0024】
なお、重量平均分子量と数平均分子量の比を上記範囲のものとする手段は限定されるものではないが、後述するヒンダードフェノール系抗酸化剤を共重合ポリエステル樹脂の重合反応時に添加する方法や、後述するヒンダードフェノール系抗酸化剤を共重合ポリエステル樹脂に溶融混練により添加する方法等が挙げられる。
【0025】
さらに、本発明のポリエステル樹脂組成物は、カルボキシル末端基濃度が22当量/t以下であることが好ましく、中でも18当量/t以下であることが好ましい。ポリエステル樹脂組成物のカルボキシル末端基濃度を22当量/t以下とすることによって、ブロー成形時に樹脂の熱分解が生じることがなく、安定した成形が可能となる。また、リサイクル性にも優れたものとなる。
カルボキシル末端基濃度が22当量/tを超える場合は、たとえ、樹脂組成物の極限粘度や重量平均分子量と数平均分子量の比が上記したような範囲のものであったとしても、ブロー成形時の熱処理によって、樹脂の熱分解が生じ、ブロー成形時の樹脂組成物は、これらの値が上記した範囲を満たさないものとなる。このため、パリソンのドローダウンが大きくなり、成形が困難になったり、得られる成形品は厚みムラが生じたものとなる。
【0026】
また、得られる成形品もカルボキシル末端基濃度が増加したものとなっているため、成形時に発生する端材もカルボキシル末端基濃度が高いものとなっており、端材を再生材として再びブロー成形に供すると、ブロー成形時に樹脂の熱分解が生じ、安定的な生産が困難となり、得られる成形品は厚みムラが生じたものとなる。
【0027】
さらに、本発明のポリエステル樹脂組成物は、環状3量体の含有量が0.6質量%以下であることが好ましく、中でも0.5質量%以下であることが好ましい。環状3量体の含有量が0.6質量%以下であるポリエステル樹脂組成物を成形に供することで、金型等の汚染の改善が認められる。環状3量体の含有量が、0.6質量%を超えると成形時に金型やノズルなどの装置類に付着し、汚染する。これらの汚染は、成形品の表面荒れや白化などの原因となるため、金型やノズルを頻繁に清掃する必要がある。
なお、ポリエステル樹脂組成物のカルボキシル末端基濃度を22当量/t以下としたり、環状3量体の含有量を0.6質量%以下とするには、ポリエステル樹脂を得るための溶融重合反応後に、特定の条件で固相重合反応を行うことにより可能となる。
【0028】
そして、本発明のポリエステル樹脂組成物中には、酸化防止剤が添加されていることが好ましい。中でもヒンダードフェノール系抗酸化剤がポリエステル樹脂組成物中の0.01〜0.5質量%となるように添加されていることが好ましい。ヒンダードフェノール系抗酸化剤を適量添加することにより、フタル酸成分の熱分解を抑制する効果を有するものとなる。また、ヒンダードフェノール系抗酸化剤は分子中に2個以上のヒンダードフェノール基が含まれていることが好ましい。これらの酸化防止剤は重合反応工程中に添加することで、該化合物の一部がポリエステル樹脂中に共重合され、ポリエステルの分子鎖中に組み込まれることで、分子鎖の絡み合いや、架橋構造が生じ、ポリエステル樹脂組成物の粘性が高いものとなる。その結果、重量平均分子量と数平均分子量の比を上記範囲とすることが可能となる。
【0029】
ポリエステル樹脂組成物中のヒンダードフェノール系抗酸化剤が0.01質量%未満では上記のような効果を奏することが困難となる。一方、0.5質量%を超えると、粘性が高くなり、重量平均分子量と数平均分子量の比(重量平均分子量/数平均分子量)が2.5を超える場合が多く、得られる成形品の色調や透明性が悪くなりやすい。また、リサイクル性も低下する。
【0030】
また、ヒンダードフェノール系抗酸化剤の例としては、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、テトラキス〔メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、4,4’−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート〕、3,9−ビス{2−〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ〕−1,1’−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン等が用いられるが、効果とコストの点で、テトラキス〔メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタンが好ましい。
【0031】
また、本発明のポリエステル樹脂組成物中には、上記のような酸化防止剤の他、着色防止剤として、例えば、亜リン酸、リン酸、トリメチルフォスファイト、トリフェニルフォスファイト、トリデシルフォスファイト、トリメチルフォスフェート、トリデシルフォスフェート、トリフェニルフォスフォート等のリン化合物を用いることができ、これらのリン化合物は単独で使用しても2種以上使用しても良い。また、ポリエステル樹脂の熱分解による着色を抑制するために酢酸コバルト等のコバルト化合物、酢酸マンガン等のマンガン化合物、アントラキノン系染料化合物、銅フタロシアニン系化合物等の添加剤が含有されていてもよい。
【0032】
また、本発明のポリエステル樹脂組成物中には、下記に示すような発泡剤が含有されていてもよく、発泡ブロー成形により、本発明のブロー成形品を発泡ブロー成形品としてもよい。
発泡剤としては、熱分解型の、例えば、アゾ、N−ニトロソ、複素環式窒素含有及びスルホニルヒドラジド基のような分解しうる基を含有する有機化合物、炭酸アンモニウムや炭酸水素ナトリウムなどの無機化合物を挙げることができる。その具体例としては、アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル、アゾシクロヘキシルニトリル、ジアゾアミノベンゼン、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、N,N’−ジメチル−N,N’−ジニトロソテレフタルアミド、ベンゼンスルホニルヒドラジド、4,4’−オキシ−ビス(ベンゼンスルホニル)ヒドラジド、ジフェニルスルホン−3,3’−ジスルホニルヒドラジド、4−トルエンスルホニルヒドラジド、4,4’−オキシ−ビス(ベンゼンスルホニル)セミカルバジド、4−トルエンスルホニルセミカルバジド、バリウムアゾジカルボキシレート、5−フェニルテトラゾール、トリヒドラジノトリアジン、4−トルエンスルフォニルアザイド、4,4’−ジフェニルジスルフォニルアザイドなどが挙げられる。
【0033】
また、発泡剤としては、ガス状フルオロカーボン、窒素、二酸化炭素、空気、ヘリウム、アルゴンなど常温で気体のものや、液状フルオロカーボン、ペンタンなどの常温で液体のものも使用できる。
【0034】
本発明のポリエステル樹脂組成物は、他の熱可塑性樹脂や他の共重合成分を含有するポリエステル樹脂を混合(ブレンド)して用いることもできる。そして、このように他の樹脂を混合した樹脂組成物を用いて得られる成形体は、さらに耐衝撃性を向上させることができる場合がある。
【0035】
次に、本発明のポリエステル樹脂組成物の製造方法について説明する。本発明におけるポリエステル樹脂組成物は、エステル化反応、溶融重合反応及び固相重合反応工程を経て得られるものであることが好ましい。エステル化反応と溶融重合反応のみでは、目標の極限粘度のポリエステル樹脂組成物を得ることが困難となる。得られたとしても、溶融重合反応の反応時間が長くなり、得られるポリエステル樹脂組成物は色調が悪いものとなる。
【0036】
具体的には、例えば、次のような方法で製造することができる。
酸成分としてテレフタル酸あるいはそのエステル形成性誘導体、グリコール成分としてエチレングリコールを所定の割合でエステル化反応器に仕込み、加圧下、160〜280℃の温度でエステル化反応を行った後、反応生成物を重合反応器に移し、1,3−プロパンジオール及び/または2−メチル−1,3−プロパンジオール、重縮合触媒、必要に応じて酸化防止剤や着色防止剤等の添加剤を添加し、通常1hPa以下の減圧下で240〜290℃、好ましくは250〜280℃の温度で溶融重合反応を行う。ここで得られる共重合ポリエステル(プレポリマー)の極限粘度は、0.5〜0.8の範囲であることが好ましい。
【0037】
重縮合触媒としては、一般的にPETに用いられる公知の化合物、例えば、ゲルマニウム、アンチモン、チタンおよびコバルト化合物などの1種以上を用いることができるが、好ましくはゲルマニウムまたはアンチモンの化合物を使用する。さらに、得られるポリエステル樹脂の透明性を非常に重視する場合においては、ゲルマニウム化合物を使用することが好ましい。ゲルマニウムまたはアンチモンの化合物としては、それらの酸化物、無機酸塩、有機酸塩、ハロゲン化物、硫化物などが例示される。これらの重縮合触媒は、生成するポリエステル樹脂の酸成分1モルに対し5×10−5モル〜3.0×10−4モルの範囲内、中でも6×10−5モル〜2.0×10−4モルの範囲内となるような量で用いることが好ましい。
【0038】
また前記着色防止剤としては、亜リン酸、リン酸、トリメチルホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリデシルホスファイト、トリメチルホスフェート、トリデシルホスフェート、トリフェニルホスフェート等のリン化合物が例示される。また、酢酸コバルト等のコバルト化合物、酢酸マンガン等のマンガン化合物、アントラキノン系染料化合物、銅フタロシアニン系化合物を使用してもよい。
【0039】
続いて、上記した溶融重合反応により得られたプレポリマーをダイス状、円柱状などの任意の形状のチップとし、該ポリエステルチップを結晶化装置に連続的に供給し150〜180℃の温度で結晶化をさせた後、乾燥機に供給し180℃以下の温度で4〜10時間の範囲で乾燥後、予備加熱機に送り2〜5時間の範囲で下記固相重合温度まで加熱した後、固相重合機へ連続的に供給し固相重合反応を行うことにより、目標の極限粘度のポリエステル樹脂組成物を得る。固相重合は、窒素ガスなどの不活性ガス下で行うのが好ましい。固相重合は通常170〜230℃の範囲内の温度で行うのが好ましく、180〜220℃の範囲内の温度行うのがより好ましい。また、重合時間は20時間〜60時間の範囲で、固相重合機内にて反応させることにより行う。
【0040】
なお、本発明のポリエステル樹脂組成物は、上記したように、ブロー成形に適したものであるが、射出成形や延伸法を採用しても、色調、透明性、耐衝撃性に優れた成形品(射出成形体、シート、フィルム等)を得ることができる。
【0041】
次に、本発明のブロー成形品は、本発明のポリエステル樹脂組成物を用いて形成されたものである。本発明のブロー成形品は、汎用のダイレクトブロー成形機や延伸ブロー成形機を用いて製造することが可能であり、成形機のシリンダー各部及びノズルの温度は、230〜280℃の範囲とするのが好ましい。
【0042】
そして、本発明のブロー成形品は、本発明のポリエステル樹脂組成物のみを用いて形成された単層構造のブロー成形品であってもよいし、本発明のポリエステル樹脂組成物を少なくとも一部に用いた多層構造のブロー成形品であってもよい。
【実施例】
【0043】
次に、実施例を用いて本発明を具体的に説明する。なお、実施例中の各種の特性値等の測定、評価方法は次の通りである。
(a)極限粘度
前記と同様の方法で測定した。
(b)共重合ポリエステル樹脂の組成
得られたポリエステル樹脂組成物を、重水素化ヘキサフルオロイソプロパノールと重水素化クロロホルムとの容量比が1/20の混合溶媒に溶解させ、日本電子社製LA−400型NMR装置にて1H−NMRを測定し、得られたチャートの各成分のプロトンのピークの積分強度から、共重合成分の種類と含有量を求めた。
(c)重量平均分子量と数平均分子量の比
得られたポリエステル樹脂組成物を、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて以下の条件でポリスチレン換算の数平均分子量及び重量平均分子量を測定し、重量平均分子量/数平均分子量を算出した。
送液装置:ウォーターズ社製IsocraticHPLCPump1515
検出器:ウォーターズ社製RefractiveIndexDetector2414
カラム:Mixed−D
溶媒:ヘキサフルオロイソプロパノール/クロロホルム=5/95(質量比)
流速:1ml/分
測定温度:40℃
【0044】
(d)カルボキシル末端基濃度
得られたポリエステル樹脂組成物0.1gをベンジルアルコール10mlに溶解し、この溶液にクロロホルム10mlを加えた後、1/10規定の水酸化カリウムベンジルアルコール溶液で滴定して求めた。
(e)環状3量体含有量
得られたポリエステル樹脂組成物100mgをヘキサフルオロイソプロパノールとクロロホルムとの容量比が1/20の混合溶媒に溶解させ、アセトニトリルを加え、抽出したのち、液体クロマトグラフィーを用いて以下の条件にて測定し、環状3量体の量を算出した。
カラム:Watersマイクロボンダスフィア
充填剤:Si−C18 5ミクロン 100A
検出器: Waters 2996型 PDA検出器(光源波長 254nm)
測定時流速:1ml/分
移動相溶媒:アセトニトリル/水=7/3及びアセトニトリル
【0045】
(f)ダイレクトブロー成形性
得られたダイレクトブロー成形品(サンプル数100本)の胴部の厚さを測定し、最厚部と最薄部の厚さの差が0.30mmまでのものを合格とし、合格のサンプル数を示した。合格のサンプル数が90本以上であるものを○、90本未満であるものを×とした。
(g)ダイレクトブロー成形リサイクル性
得られたダイレクトブロー成形品を粉砕機で粉砕した粉砕品50質量部、各例にて得られたポリエステル樹脂組成物50質量部をブレンドし、除湿乾燥機に投入し乾燥した後、実施例1と同様にしてダイレクトブロー成形を行い、成形品を得た。得られた成形品(サンプル数100本)につき、(f)と同様にして成形性を評価した。
(h)ダイレクトブロー成形品の透明性
得られたダイレクトブロー成形品及び(g)で得られたダイレクトブロー成形品のそれぞれにおいて、サイズ:厚さ2mm×長さ5cm×幅5cmの試験片(100個)を切り出して試験片の濁度を日本電色工業社製の濁度計MODEL 1001DPで測定し(空気:ヘーズ0%)、n数100の平均値とした。この値が小さいほど透明性が良好であり、5%以下であれば透明性に優れていると判定した。
(i)ダイレクトブロー成形品の耐衝撃性
得られたダイレクトブロー成形品(サンプル数100本)及び(g)で得られたダイレクトブロー成形品(サンプル数100本)に、水道水500mlを充填し、室温下にて、Pタイル上に、100cmの高さから、成形品の底面を下向き、側面を下向きにして成形品を1回ずつ落下させた。このとき割れなかった成形品の本数で耐衝撃性を評価した。割れなかった成形品の本数が95本以上を合格と判定した。
【0046】
(j)延伸ブロー成形性
得られた延伸ブロー成形品(サンプル数100本)の胴部の厚さを測定し、最厚部と最薄部の厚さの差が30μmまでのものを合格とし、合格のサンプル数を示した。合格のサンプル数が90本以上であるものを○、90本未満であるものを×とした。
(k)延伸ブロー成形リサイクル性
得られた延伸ブロー成形品を粉砕機で粉砕した粉砕品50質量部、各例にて得られたポリエステル樹脂組成物50質量部をブレンドし、除湿乾燥機に投入し乾燥した後、実施例1と同様にして延伸ブロー成形を行い、成形品を得た。得られた成形品(サンプル数100本)につき、(j)と同様にして成形性を評価した。
(l)延伸ブロー成形品の透明性
得られた延伸ブロー成形品及び(k)で得られた延伸ブロー成形品のそれぞれにおいて、サイズ:厚さ300μm×長さ5cm×幅5cmの試験片(100個)を切り出して試験片の濁度を日本電色工業社製の濁度計MODEL 1001DPで測定し(空気:ヘーズ0%)、n数100の平均値とした。この値が小さいほど透明性が良好であり、3%以下であれば透明性に優れていると判定した。
(m)延伸ブロー成形品の耐衝撃性
得られた延伸ブロー成形品(サンプル数100本)及び(k)で得られた延伸ブロー成形品(サンプル数100本)に、水道水150mlを充填し、室温下にて、Pタイル上に、300cmの高さから、成形品の底面を下向き、側面を下向きにして成形品を1回ずつ落下させた。このとき割れなかった成形品の本数で耐衝撃性を評価した。割れなかった成形品の本数が95本以上を合格と判定した。
【0047】
実施例1
エステル化反応器に、テレフタル酸(TPA)とエチレングリコール(EG)のスラリー(TPA/EGモル比=1/1.6)を供給し、温度250℃、圧力50hPaの条件で反応させ、エステル化反応率95%の反応生成物(数平均重合度:5)を得た。
TPAとEGの反応生成物50.3質量部を重合反応器に仕込み、続いて、1,3−プロパンジオール1.7質量部、重合触媒として二酸化ゲルマニウム0.008質量部、酢酸コバルト0.004質量部、ヒンダードフェノール系抗酸化剤(ADEKA社製:アデカスタブAO-60)0.12質量部を、それぞれ加え、反応器を減圧にして60分後に最終圧力0.9hPa、温度280℃で4時間、溶融重合反応を行い、共重合ポリエステルのプレポリマーを得た。このプレポリマーの極限粘度は、0.67であった。
続いて、該プレポリマーを結晶化装置に連続的に供給し150℃で結晶化をさせた後、乾燥機に供給し160℃で8時間乾燥後、予備加熱機に送り190℃まで加熱した後、固相重合機へ供給し、窒素ガス下にて固相重合反応を190℃で50時間行った。得られたポリエステル樹脂組成物の極限粘土は、1.12、重量平均分子量と数平均分子量の比は、2.09、カルボキシル末端基量は、20.4であった。
得られたポリエステル樹脂組成物をチップ化し、乾燥させた後、ダイレクトブロー成形機(タハラ社製)を用い、押出温度260℃で樹脂を押出して円筒形パリソンを形成し、パリソンが軟化状態にあるうちに金型で挟み、底部形成を行い、これをブローしてボトルを成形した。このとき、パリソン径2cmで長さが25cmとなったところで底部形成を行い、ブロー成形して500ccの中空容器(ダイレクトブロー成形品)を得た。
また、このポリエステル樹脂組成物を用い、乾燥させた後、シリンダー各部およびノズル温度を260℃、スクリュー回転数100rpm、射出時間10秒、冷却時間10秒、金型温度15℃に設定した射出成型機(日精エーエスビー社製、ASB−50TH型)を用いてプリフォームを成形した。次いで、このプリフォームを100℃雰囲気下、ブロー圧力2MPaで延伸ブロー成形し、胴部の平均肉厚300μm、内径3.5cm、高さ15cmの円筒状のボトル(内容積150ccの中空容器;延伸ブロー成形品)を得た。
【0048】
実施例2、3、7、13、14、比較例1、3
1,3−プロパンジオールまたは、2−メチル−1,3−プロパンジオールの共重合量や、ヒンダードフェノール系抗酸化剤の含有量が表1の値となるように組成を変更した以外は、実施例1と同様にして、共重合ポリエステルのプレポリマーを得た。そして得られたプレポリマーを用い、実施例1と同様にして固相重合反応を行い、ポリエステル樹脂組成物を得た。
さらに、得られたポリエステル樹脂組成物を用い、実施例1と同様にしてダイレクトブロー成形品及び延伸ブロー成形品を得た。
【0049】
実施例4、5、8、9、11
1,3−プロパンジオールまたは、2−メチル−1,3−プロパンジオールの共重合量が表1の値となるように組成を変更した以外は、実施例1と同様にしてエステル化反応、溶融重合反応を行い、共重合ポリエステルのプレポリマーを得た。続いて、該プレポリマーを結晶化装置に連続的に供給し150℃で結晶化をさせた後、乾燥機に供給し160℃で8時間乾燥後、予備加熱機に送り、温度を180℃に変更し、また、固相重合機においても、温度を180℃にて行った。
さらに、得られたポリエステル樹脂組成物を用い、実施例1と同様にしてダイレクトブロー成形品及び延伸ブロー成形品を得た。
【0050】
実施例6、10
実施例1と同様にしてエステル化反応、溶融重合反応を行い、共重合ポリエステルのプレポリマーを得た。該プレポリマーを乾燥機に供給し70℃で20時間乾燥した。
得られたポリエステル樹脂組成物を用い、実施例1と同様にしてダイレクトブロー成形品及び延伸ブロー成形品を得た。
【0051】
実施例12
実施例1と同様にしてエステル化反応、溶融重合反応を行い、共重合ポリエステルのプレポリマーを得た。そして得られたプレポリマーを用い、固相重合反応時間を38時間とした以外は実施例1と同様にして固相重合反応を行い、ポリエステル樹脂組成物を得た。
さらに、得られたポリエステル樹脂組成物を用い、実施例1と同様にしてダイレクトブロー成形品及び延伸ブロー成形品を得た。
【0052】
実施例15
実施例1と同様にしてエステル化反応、溶融重合反応を行い、共重合ポリエステルのプレポリマーを得た。そして得られたプレポリマーを用い、固相重合反応時間を60時間とした以外は実施例1と同様にして固相重合反応を行い、ポリエステル樹脂組成物を得た。
さらに、得られたポリエステル樹脂組成物を用い、実施例1と同様にしてダイレクトブロー成形品及び延伸ブロー成形品を得た。
【0053】
比較例2、4
1,3−プロパンジオール、または、メチルプロパンジオールの共重合量が表1の値となるように組成を変更した以外は、実施例1と同様にして、共重合ポリエステルのプレポリマーを得た。得られたプレポリマーを実施例1と同様、結晶化装置に連続的に供給したが、固着したため結晶化を行うことができなかった。
そこで固相重合を行うことなく、エステル化反応、溶融重合反応を行って得た共重合ポリエステルのプレポリマーをポリエステル樹脂組成物とし、実施例1と同様にダイレクトブロー成形及び延伸ブロー成形に供した。
【0054】
比較例5
実施例1と同様にしてエステル化反応、溶融重合反応を行い、得られた共重合ポリエステルのプレポリマーを得た。そして得られたプレポリマーを用い、固相重合反応時間を80時間とした以外は実施例1と同様にして固相重合反応を行い、ポリエステル樹脂組成物を得た。
さらに、得られたポリエステル樹脂組成物を用い、ダイレクトブロー成形機における押出温度を290℃とした以外は、実施例1と同様にしてダイレクトブロー成形品及び延伸ブロー成形品を得た。
【0055】
比較例6,7
ヒンダードフェノール系抗酸化剤の含有量が表1の値となるように変更した以外は比較例7と同様にしてポリエステル樹脂組成物を得た。
そして、得られたポリエステル樹脂組成物を用い、実施例1と同様にしてダイレクトブロー成形品及び延伸ブロー成形品を得た。なお、比較例7においては、ダイレクトブロー成形機及び延伸ブロー成形機における押出温度を290℃として行った。
【0056】
実施例1〜15、比較例1〜7で得られたポリエステル樹脂組成物及び成形品の特性値と評価を表1に示す。
【0057】
【表1】
【0058】
表1から明らかなように、実施例1〜15で得られたポリエステル樹脂組成物は、1,3−プロパンジオール及び/または2−メチル−1,3−プロパンジオール、極限粘度、重量平均分子量/数平均分子量、カルボキシル末端基量、環状3量体量が本発明で規定する範囲内のものであり、熱安定性に優れていたため、結晶化による白化の問題や、ドローダウンが生じることなく、操業性よくダイレクトブロー成形及び延伸ブロー成形を行うことができた。そして、得られたブロー成形品(容器)は厚みムラがなく、透明性に優れたものであった。さらには、リサイクル性にも優れ、リサイクル品のポリエステル樹脂組成物と混合して用いても、操業性よくブロー成形を行うことができ、かつ得られたブロー成形品(容器)は厚みムラがなく、透明性に優れたものであった。
なお、実施例6、10で得られたポリエステル樹脂組成物は、極限粘度が低かったため、ダイレクトブロー成形の際のドローダウンが大きくなり、ダイレクトブロー成形品を得ることができなかった。しかしながら、延伸ブロー成形は他の実施例と同様、操業性よく行うことができ、得られた成形品については厚みムラがなく、透明性に優れたものであった。また、リサイクル性にも優れていた。
【0059】
一方、比較例1、比較例3で得られたポリエステル樹脂組成物は、1,3−プロパンジオールや2−メチル−1,3−プロパンジオールの共重合量が少なかったため、ブロー成形した際に、成形品が結晶化して白化し、透明性に劣るものとなった。また、ポリエステル樹脂の結晶化速度が速くなりすぎたため、成形性も悪化し、厚みムラの生じた成形品が多くなった。比較例2、比較例4では、1,3−プロパンジオールや2−メチル−1,3−プロパンジオールの共重合量が多かったため、非晶性であり、固相重合反応を行っておらず、ポリエステル樹脂組成物の極限粘度は低いものとなり、ダイレクトブロー成形を行うことができなかった。延伸ブロー成形については、共重合量が多いことによるポリマーの熱分解が生じ、成形性、特にリサイクル性に劣るものであった。
【0060】
比較例5で得られたポリエステル樹脂組成物は、極限粘度が高すぎたため、成形温度を上げて成形したことで、成形時にポリエステル樹脂の熱分解が生じ、その結果、成形性が悪化し、厚みムラの生じた成形品が多くなった。また、端材を再生材として再びダイレクトブロー成形に供した際にも、樹脂の熱分解が生じたため、得られた成形品は厚みムラが生じ、リサイクル性も低かった。延伸ブロー成形については、極限粘度が高すぎたため、延伸ブロー成形品を得ることができなかった。
【0061】
比較例6で得られたポリエステル樹脂組成物は、ヒンダードフェノール系抗酸化剤の含有量が少なく、重量平均分子量と数平均分子量の比が1.9未満となったため、ダイレクトブロー成形時のパリソンのドローダウンが大きくなり、成形品は厚みムラの生じたものとなった。また、ヒンダードフェノール系抗酸化剤の含有量が少ないため、ポリエステル樹脂組成物の熱安定性が悪く、ダイレクトブロー成形及び延伸ブロー成形ともにリサイクル性に劣るものとなった。比較例7で得られたポリエステル樹脂組成物は、ヒンダードフェノール系抗酸化剤の含有量が多く、重量平均分子量と数平均分子量の比が2.5を超えるものとなったため、成形温度を上げて成形したことで、成形時にポリエステル樹脂の熱分解が生じ、その結果、成形性が悪化し、厚みムラの生じた成形品が多くなった。また、端材を再生材として再びブロー成形に供した際にも、樹脂の熱分解が生じたため、得られた成形品は厚みムラが生じ、リサイクル性も低かった。