(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記酸化物半導体は、インジウムスズガリウム亜鉛酸化物(InSnGaZnO)、インジウムガリウム亜鉛酸化物(InGaZnO)、インジウムスズ亜鉛酸化物(InSnZnO)、インジウムアルミニウム亜鉛酸化物(InAlZnO)、インジウムハフニウム亜鉛酸化物(InHfZnO)、スズガリウム亜鉛酸化物(SnGaZnO)、アルミニウムガリウム亜鉛酸化物(AlGaZnO)、スズアルミニウム亜鉛酸化物(SnAlZnO)、インジウム亜鉛酸化物(InZnO)、スズ亜鉛酸化物(SnZnO)、アルミニウム亜鉛酸化物(AlZnO)、亜鉛マグネシウム酸化物(ZnMgO)、スズマグネシウム酸化物(SnMgO)、インジウムマグネシウム酸化物(InMgO)、インジウムガリウム酸化物(InGaO)、インジウム酸化物(InO)、スズ酸化物(SnO)及び亜鉛酸化物(ZnO)のうち少なくとも一つである、請求項1に記載の薄膜トランジスタ。
前記酸化防止膜の酸素比率は、前記ソース領域及び前記ドレイン領域の前記酸化防止膜の下に位置する下部領域に対して20%〜80%である、請求項1に記載の薄膜トランジスタ。
前記層間絶縁膜は、前記ソース領域の酸化防止膜を露出する第1コンタクトホール、及び前記ドレイン領域の酸化防止膜を露出する第2コンタクトホールを有する、請求項1に記載の薄膜トランジスタ。
前記第1コンタクトホールを介して前記ソース領域の酸化防止膜と接触するソース電極、及び前記第2コンタクトホールを介して前記ドレイン領域の酸化防止膜と接触するドレイン電極を形成するステップをさらに有する、請求項10に記載の薄膜トランジスタの製造方法。
【背景技術】
【0002】
様々な情報を画面で具現する映像表示装置は、情報通信時代の核心技術であって、より軽量薄型であり、携帯が可能でありながらも、高性能を有する方向に発展してきている。この点で、陰極線管(CRT)の短所とされる重さ及び体積を減らし得る平板表示装置が脚光を浴びている。
【0003】
平板表示装置は、画像を表示する表示パネル上に配置された各画素ごとに薄膜トランジスタを具備している。このような薄膜トランジスタに設けられるゲート電極、ソース電極、アクティブ層の位置によって様々な分類が可能である。
【0004】
図1は、従来のコープレーナ構造の薄膜トランジスタの断面図である。
【0005】
図1を参照すると、コープレーナ(coplanar)構造の薄膜トランジスタは、アクティブ層20上に位置するゲート絶縁膜14、ゲート電極15、ドレイン電極17及びソース18を有する。
【0006】
アクティブ層20上に位置するゲート絶縁膜14とゲート電極15をパターニングする工程は、乾式エッチング(dry etch)工程を含む。乾式エッチング工程中に、アクティブ層20のチャネル領域21はゲート電極15によってエッチガス(Etch Gas)から保護されるが、アクティブ層20のソース領域22及びドレイン領域23の上部面はエッチガスに露出される。
【0007】
この時、アクティブ層20のソース領域22及びドレイン領域23の上部面から約100Åの厚さまでの領域は、エッチガスによってダメージを受けて酸素を失い、酸素欠乏の状態となる。酸素欠乏となったソース領域22及びドレイン領域23は、接触抵抗の低い導体化領域となる。
【0008】
一方、導体化したソース/ドレイン領域22,23の上部には層間絶縁膜16が設けられる。SiO
2で構成された層間絶縁膜16が導体化領域を覆うと、SiO
2に含まれた酸素が前記導体化ソース/ドレイン領域22,23に拡散され、導体化したソース/ドレイン領域22,23の導電率が低下する。このため、ソース領域22とソース電極18との接触抵抗、及びドレイン領域23とドレイン電極17との接触抵抗が増加し、薄膜トランジスタの特性が低下するという問題があった。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付の図面を参照して本発明に係る実施例を詳しく説明する。
【0016】
図2は、本発明の実施例に係る薄膜トランジスタの断面図である
【0017】
図2に示す本発明に係る薄膜トランジスタは、基板120と、基板上にチャネル領域131、ソース領域132及びドレイン領域133を具備するアクティブ層130と、チャネル領域131上に順次に積層されたゲート絶縁膜140及びゲート電極150と、ソース領域132及びドレイン領域133の表面にそれぞれ設けられた第1酸化防止膜231及び第232と、基板及び酸化防止膜の上部に設けられ、ソース領域132及びドレイン領域133にそれぞれ第1コンタクトホール161及び第2コンタクトホール162を具備する層間絶縁膜160と、それぞれの酸化防止膜231,232に接触するソース電極171及びドレイン電極172と、層間絶縁膜160の上部に設けられ、ドレイン電極172の上部に第3コンタクトホール163を具備するパッシベーション膜180と、第3コンタクトホール163を貫通してドレイン電極172と接続する画素電極190と、を含む。
【0018】
基板120は、薄膜トランジスタが形成されるベースとなる。基板120は、シリコン、ガラス、プラスチックなどで構成することができるが、これに制限されない。
【0019】
一方、基板120は上部にバッファ層を含むことができる。バッファ層は、基板120で発生する水分又は不純物の拡散を防止する。バッファ層は、SiO
2からなる1層構造を有する。また、バッファ層は、窒化シリコン(SiNx)及び酸化シリコン(SiOx)が順次に積層された2層構造を有してもよい。
【0020】
アクティブ層130は基板120の上部に形成される。アクティブ層130は、中央に設けられたチャネル領域131と、チャネル領域131を介在して、一側に設けられたソース領域132及び他側に設けられたドレイン領域133とを含む。
【0021】
チャネル領域131は、ゲート絶縁膜140を介在してゲート電極150と重なって、ソース電極171とドレイン電極172との間のチャネルを形成する。ソース領域132は、アクティブ層130をなす金属酸化物半導体物質が導体化し、第1コンタクトホール161を通して、酸化防止膜231を介在してソース電極171と電気的に接続される。ドレイン領域133は、アクティブ層130をなす金属酸化物半導体物質が導体化し、第2コンタクトホール162を通して、酸化防止膜232を介在してドレイン電極172と電気的に接続される。
【0022】
アクティブ層130には、四元系金属酸化物であるインジウムスズガリウム亜鉛酸化物(InSnGaZnO)系材料、三元系金属酸化物である、インジウムガリウム亜鉛酸化物(InGaZnO)系材料、インジウムスズ亜鉛酸化物(InSnZnO)系材料、インジウムアルミニウム亜鉛酸化物(InAlZnO)系材料、インジウムハフニウム亜鉛酸化物(InHfZnO)、スズガリウム亜鉛酸化物(SnGaZnO)系材料、アルミニウムガリウム亜鉛酸化物(AlGaZnO)系材料、スズアルミニウム亜鉛酸化物(SnAlZnO)系材料、二元系金属酸化物である、インジウム亜鉛酸化物(InZnO)系材料、スズ亜鉛酸化物(SnZnO)系材料、アルミニウム亜鉛酸化物(AlZnO)系材料、亜鉛マグネシウム酸化物(ZnMgO)系材料、スズマグネシウム酸化物(SnMgO)系材料、インジウムマグネシウム酸化物(InMgO)系材料、インジウムガリウム酸化物(InGaO)系材料や、インジウム酸化物(InO)系材料、スズ酸化物(SnO)系材料、亜鉛酸化物(ZnO)系材料などを用いることができる。酸化物半導体を形成するために用いるそれぞれの材料に含まれる各元素の組成比率は特別に限定されず、様々に調整してもよい。
【0023】
酸化物半導体からなるアクティブ層130は、酸素の比率が高くなるほど電気伝導率が低くなり、酸素の比率が低くなるほど電気伝導率が高くなるという特性を有する。
【0024】
酸化防止膜231,232は、ソース領域132の表面に形成される第1酸化防止膜231、及びドレイン領域133の表面に形成される第2酸化防止膜232を含む。
【0025】
第1及び第2酸化防止膜231,232は、酸素が欠乏して導体化したソース領域132及びドレイン領域133の表面に形成される。アクティブ層130は、上述の酸化物半導体材料で構成し、第1及び第2酸化防止膜231,232は、アクティブ層と同じ酸化物半導体材料にSiを加えて構成する。第1及び第2酸化防止膜231,232は、ソース領域132及びドレイン領域133の他の部分又はチャネル領域131に比べて酸素の量が少なくてもよい。第1及び第2酸化防止膜231,232内の酸素欠乏領域をSiのような他の物質に置き換えることができる。すなわち、酸化防止膜231,232に他の物質が拡散されてもよい。
【0026】
本発明の実施例は、酸化防止膜231,232にSiが拡散されるとして説明する。しかし、本発明の他の実施例は、酸化防止膜231,232に拡散される物質として、カーボン(C)、シリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)、スズ(Sn)などの酸化物半導体材料を含んでもよい。
【0027】
本発明の実施例は、Siを含む第1及び第2酸化防止膜231,232が層間絶縁膜160と接触するとして説明する。しかし、本発明の他の実施例は、第1及び第2酸化防止膜231,232と層間絶縁膜160との間に他の層が追加されてもよい。また、本発明の実施例は、ソース領域132及びドレイン領域133がそれぞれ、Siを含む酸化防止膜231,232、及び酸化防止膜231,232の下に位置するが、Siを含まない下部領域を有することができる。さらに、本発明の他の実施例は、ソース領域132及びドレイン領域133が相対的に薄いと、Siがソース領域132及びドレイン領域133の全体に拡散されてもよい。
【0028】
第1及び第2酸化防止膜231,232内で酸素量は、Siを含まないチャネル領域131の酸素量の20%〜80%であり、ゲート絶縁膜140のパターニング時にエッチガスによって導体化したソース領域132及びドレイン領域133の導体化領域を維持させることができる。
【0029】
酸化防止膜231,232は、ゲート絶縁膜140のパターニング時にエッチガスによって導体化したソース領域132及びドレイン領域133が層間絶縁膜160によって酸化することを防止する。
【0030】
さらに、ゲート絶縁膜140及びゲート電極150のパターニング時にエッチング工程で使われるエッチガスと直接接するソース領域132及びドレイン領域133の上部面に損傷が生じる。このため、ソース領域132及びドレイン領域133の下部には影響がないが、ソース領域132及びドレイン領域133の表面、すなわち上部面から厚さ50Å〜100Åまでの領域は、酸素が抜けて酸素欠乏状態となり、導体化する。ここで、酸素欠乏領域を形成するにエッチガスとしてはCF
4又はFH
6を用いることができるが、これに限定されない。
【0031】
このように導体化したソース領域132及びドレイン領域133の上部面にSi膜を蒸着したのち熱処理してSiをソース領域132及びドレイン領域133に拡散させ、酸素の抜けたところを埋める。この時、Siが拡散される厚さは、50Å〜100Åである。したがって、その後に形成されるSiO
2で構成された層間絶縁膜160から酸素が拡散してソース領域132及びドレイン領域133に流入することを防止することができる。
【0032】
一方、酸化物半導体にSiを拡散させて酸化防止膜を形成するのではなく、導電性物質である金属で形成する場合、ソース領域132及びドレイン領域133上の導電性物質を残し、チャネル領域131上の導電性物質を除去するために別の乾式エッチング(Dry Etch)工程を行わなければならないが、この時、チャネル領域131がエッチガスに露出されて導体化し、チャネル領域としての機能を失うことがある。
【0033】
仮に、酸化防止膜231,232がないと、その後の層間絶縁膜160の形成時に、層間絶縁膜160を構成するSiO
2から酸素がソース領域132及びドレイン領域133へ拡散され、ソース領域132及びドレイン領域133の電気伝導率が低くなる。このため、ソース/ドレイン電極171,172とソース/ドレイン領域132,133との間の接触抵抗が増加し、電子移動度も減少する。
【0034】
層間絶縁膜160は、ソース電極171が、ソース領域132に形成された第1酸化防止膜231に電気的に接続し得るように第1コンタクトホールを具備する。また、ドレイン電極172をドレイン領域133の上部に形成された第2酸化防止膜232に接触させるための第2コンタクトホールを具備する。
【0035】
層間絶縁膜160はSiO
2で構成される。酸化防止膜231,232は、Si膜をアクティブ層130に蒸着して加熱処理してなるが、この時、Si膜からSiがソース領域132及びドレイン領域133へ拡散されると同時に、一部は酸化してSiO
2膜を形成する。このようなSiO
2膜は、後の工程でSiO
2からなる層間絶縁膜160の一部となる。したがって、酸化防止膜231,232の形成工程で形成されたSiO
2を除去する必要がない。
【0036】
ソース電極171は、第1コンタクトホールを通してソース領域132の上部に形成された第1酸化防止膜231に接し、ドレイン電極172は、第2コンタクトホールを通してドレイン領域133の上部に形成された第2酸化防止膜232に接する。
【0037】
ソース/ドレイン金属層としては、Mo、Ti、Cu、AlNd、Al、Cr又はそれらの合金のように、金属物質の単一層が用いられたり、又はそれらを用いた多層構造が用いられる。
【0038】
パッシベーション膜180は、層間絶縁膜160、ソース電極171、及びドレイン電極172上に形成される。パッシベーション膜180は、画素電極190がパッシベーション膜180の下部のドレイン電極172に接続し得るように第3コンタクトホール163を具備している。
【0039】
画素電極190は、第3コンタクトホール163を通してドレイン電極172と接触する。
【0040】
以下、薄膜トランジスタの製造方法を、
図3と
図4A乃至
図4Eとを結び付けて具体的に説明する。
【0041】
図3及び
図4Aに示すように、基板120上にアクティブ層130を形成する。そして、アクティブ層130の上部にゲート絶縁膜140及びゲート電極150をパターニングする。このとき、基板120は上部面にバッファ層を含むことができる。
【0042】
具体的に、基板上にスパッタリング工程を用いて上述の酸化物半導体物質を全面蒸着した後、フォトリソグラフィ(Photolithography)工程及びエッチング工程(Etch)でパターニングしてアクティブ層130を形成する。アクティブ層は、中央のチャネル領域131と、一側及び他側にそれぞれソース領域132及びドレイン領域133とを含む。
【0043】
アクティブ層130上にCVDの蒸着方法でゲート絶縁物質が形成され、その上にスパッタリングなどの蒸着方法でゲート金属層が形成される。ゲート絶縁物質としてはSiO
2が用いられ、ゲート金属層としては、Mo、Ti、Cu、AlNd、Al、Cr又はそれらの合金のような金属物質が用いられる。その後、フォトリソグラフィ工程及び乾式エッチング工程によってゲート絶縁物質及びゲート金属層が同時にパターニングされることにより、同一パターンのゲート絶縁膜140及びゲート電極150が同時に形成される。
【0044】
ゲート電極150及びゲート絶縁膜140をパターニングするための乾式エッチング工程においてエッチガスがチャネル領域131上のゲート電極150、アクティブ層のソース領域132及びドレイン領域133に接触する。この時、チャネル領域131はゲート電極150によってエッチガスに露出されないが、ソース領域132及びドレイン領域133はエッチガスに露出されるため、酸化物半導体で構成されたソース領域132及びドレイン領域133中の酸素の略85%が抜け、導体化する。したがって、エッチガスによって、ソース領域132及びドレイン領域133の上部で酸素の量は、チャネル領域131で酸素の量より低くてもよい。
【0045】
図3、
図4B及び
図4Cに示すように、アクティブ層130上にSi膜を蒸着したのち熱処理してSiがソース領域132及びドレイン領域133に拡散されることによって、第1及び第2酸化防止膜231,232を形成する。導体化したソース領域132及びドレイン領域133に酸化防止膜231,232を形成することによって、後に形成されるSiO
2からなる層間絶縁膜160から酸素が拡散されることを遮断する。本発明では、Siが拡散されて酸化防止膜231,232を形成するとして説明するが、ソース領域132及びドレイン領域133にSiを追加できる他の方法を用いてもよい。第1及び第2酸化防止膜231,232に含まれた酸素量は、チャネル領域131に含まれた酸素量の20%〜80%となる。
【0046】
具体的に、
図4Bに示すように、アクティブ層130及びゲート電極150上にSi膜240を30Å〜50Åの厚さで蒸着する。
【0047】
その後、
図4Cに示すように熱処理をする。熱処理をすると、Si膜240からソース領域132及びドレイン領域133へSiが拡散されて第1及び第2酸化防止膜231,232を形成する。この時、ソース/ドレイン領域132,133上に拡散されたSi量は、1×10
22/cm
3〜4×10
22/cm
3である。ソース領域132及びドレイン領域133はそれぞれ、Siを含む酸化防止膜231,232、及び酸化防止膜231,232の下に位置するが、Siを含まない下部領域を有することができる。
【0048】
また、ゲート電極150の上部に形成されたSi膜240が酸化してSiO
2膜241に変換され、層間絶縁膜160の一部となる。一方、ソース領域132及びドレイン領域133上にも、拡散されないで酸化したSiO
2膜が形成されうるが、チャネル領域131と同様に、SiO
2は、後の工程で形成される層間絶縁膜160の一部となる。このため、別のエッチング工程で除去する必要がない。
【0049】
ソース領域132及びドレイン領域133の必要な第1及び第2酸化防止膜231,232の厚さは約100Åであるが、Si膜240が30Å以下であれば、熱処理でSiを拡散させても、酸化防止膜を50Å〜100Åの厚さにすることができない。そして、Si膜240の厚さが50Å以上であれば、熱処理時にSiO
2へと全て変換されず、Si膜240が残るという問題がある。したがって、アクティブ層130に蒸着されたSi膜240の厚さは、30Å〜50Åが好ましい。
【0050】
仮に酸化防止膜231,232がないと、アクティブ層130の上部に酸化シリコン(SiO
2)で構成された層間絶縁膜160が、酸素欠乏しているアクティブ層のソース領域132及びドレイン領域133に酸素を供給し、アクティブ層130のソース領域132及びドレイン領域133の電気移動度を低下させる。酸素の供給されたソース領域132及びドレイン領域133にソース電極及びドレイン電極がそれぞれ形成される場合、ソース領域132とソース電極171間の接触抵抗、及びドレイン領域133とドレイン電極172間の接触抵抗が増加し、その結果、電子移動度及び薄膜トランジスタの特性が低下する。
【0051】
図3、
図4D及び
図4Eに示すように、ゲート電極150が形成された基板上に、第1及び第2コンタクトホール161,162を有する層間絶縁膜160を形成する。具体的には、
図4Dに示すように、ゲート電極150が形成された基板上に、PECVDなどの方法で層間絶縁膜160が形成される。その後、
図4Eに示すように、フォトリソグラフィ工程及びエッチング工程によって層間絶縁膜160をパターニングして第1及び第2コンタクトホール161,162を形成する。ここで、第1コンタクトホール161は、層間絶縁膜160を貫通してソース領域132の上部の第1酸化防止膜231を露出させ、第2コンタクトホール162は、層間絶縁膜160を貫通してドレイン領域133の上部の第2酸化防止膜232を露出させる。
【0052】
上述したように、Siが拡散された第1及び第2酸化防止膜231,232は、酸素の抜けたところをSiが占めているため、層間絶縁膜160の形成時に酸素が拡散して流入することを防止することができる。これによって、第1及び第2酸化防止膜231,232内での酸素量は、チャネル領域の20%〜80%と低い状態を保ち、よって、導体化を維持することができる。
【0053】
仮に第1及び第2酸化防止膜231,232がないと、層間絶縁膜160の形成時に酸素が拡散して、チャネル領域131の15%程度の酸素を含んでいた導体化したソース領域132及びドレイン領域133内の酸素量がチャネル領域131の90%以上にまで戻り、導体化領域を維持できなくなる。
【0054】
図3及び
図4Fに示すように、層間絶縁膜160上にソース電極171及びドレイン電極172が形成される。具体的に、第1及び第2コンタクトホール161,162を有する層間絶縁膜160上に、スパッタリングなどの蒸着方法によってソース/ドレイン金属層が形成される。ソース/ドレイン金属層には、Mo、Ti、Cu、AlNd、Al、Cr又はそれらの合金のように、金属物質が単一層として用いられたり、又はそれらを用いた多層構造が用いられる。その後、フォトリソグラフィ工程及びエッチング工程によってソース/ドレイン金属層をパターニングすることで、層間絶縁膜160上にソース電極171及びドレイン電極172が形成される。
【0055】
図3及び
図4Gに示すように、ソース電極171及びドレイン電極172が形成された層間絶縁膜160上にパッシベーション膜180が形成され、画素電極190がドレイン電極172と接し得るように第3コンタクトホール163が形成される。そして、第3コンタクトホール163を貫通してドレイン電極172と接する画素電極190が形成される。
【0056】
次の表1乃至表3で、酸化物半導体はインジウムガリウム亜鉛酸化物(IGZO)で構成され、バッファ層及び層間絶縁膜はSiO
2で構成された試料を用いて測定をした。たたじ、酸化物半導体がインジウムガリウム亜鉛酸化物(IGZO)に制限されるわけではない。
【0057】
表1は、定量的組成評価(RBS)による酸化防止膜の有無による酸素濃度の差を比較した表である。
【0059】
ゲート絶縁膜160形成前のソース/ドレイン領域に含まれた酸素量は、4.8×10
22/cm
3である。そして、ゲート絶縁膜形成時に乾式エッチング工程後のソース/ドレイン領域132,133に含まれた酸素量は、7×10
21/cm
3である。乾式エッチング工程時にソース/ドレイン領域に含まれた酸素量の85%は抜け、15%だけが残って、酸素欠乏によって導体化する。
【0060】
酸化防止膜無しで層間絶縁膜160が形成された場合、ソース/ドレイン領域の表面に含まれた酸素量は、4.3×10
22/cm
3以上であり、ゲート絶縁膜形成前酸素量の90%以上が復元される。
【0061】
酸化防止膜231,232がある場合、酸化防止膜231,232に含まれた酸素量は1×10
22/cm
3〜4.3×10
22/cm
3であり、ゲート絶縁膜形成前酸素量の略15%〜80%が復元される。
【0062】
すなわち、酸化防止膜を適用しない場合、層間絶縁膜160の形成時に、ソース/ドレイン領域の表面層の酸素含有量がゲート絶縁膜形成前酸素含有量の90%以上に戻り、素子の移動度が低下する。しかし、酸化防止膜を具備する場合、ソース/ドレイン領域の表面に位置する酸化防止膜に含まれた酸素含有量の10%〜80%以下へと下げることができる。
【0063】
図5Aは酸化防止膜がない場合、
図5Bは酸化防止膜を具備した場合における薄膜トランジスタの特性グラフである。表2は、酸化防止膜の有無による電子移動度及び導体化抵抗を比較した表である。
【0065】
表2及び
図5Aを参照すると、酸化防止膜がない場合、電子移動度が4.3cm
2/Vsであり、導体化抵抗が68.5kΩ/cm
2であるのに対し、表2及び
図5Bを参照すると、酸化防止膜がある場合、電子移動度が10.4cm
2/Vsであり、導体化抵抗が2.32kΩ/cm
2である。すなわち、酸化防止膜を具備することによって、電子移動度を向上させることができ、導体化抵抗を下げることができる。このような酸化防止膜は、メタルと接触時にオーミックコンタクト(ohmic contact)形成に用いられてもよい。
【0066】
表3は、Siの代わりに水素(H)を導体化領域に拡散させて酸化防止膜を形成したとき、熱処理前と熱処理後の電子移動度及び導体化抵抗を比較した表である。
【0068】
Siの代わりにHを拡散させて酸化防止膜を形成した場合、熱処理前には、電子移動度及び導体化抵抗が、Siを拡散させて酸化防止膜を形成した場合と差異がない。
【0069】
しかし、熱処理後には熱処理前に比べて、電子移動度が11cm
2/Vsから9cm
2/Vsと減少し、導体化抵抗も2.17kΩ/cm
2から7.4kΩ/cm
2と増加する。すなわち、Hを拡散させて酸化防止膜を形成する場合、酸化防止膜が熱に弱いため、熱処理時に電子移動度が低下し、導体化抵抗が増加する。
【0070】
本発明の実施例によってSiを拡散させて酸化防止膜を形成する場合、電子移動度は10.4cm
2/Vsであり、導体化抵抗は2.32kΩ/cm
2であって、Hを拡散させて酸化防止膜を形成する場合に比べて、電子移動度が高く、導体化抵抗が低い。すなわち、Siを拡散させる場合、Hを拡散させる場合に比べて、熱に安定した導体化領域を確保することができる。
【0071】
すなわち、このような製造方法によってアクティブ層のソース132及びドレイン領域133上に、アクティブ層にSiが拡散された酸化防止膜231,232を具備することによって、酸化防止膜231,232の酸素濃度をチャネル領域の略20〜80%と低く保つことができ、熱に安定した導体化領域を確保することができる。
【0072】
このような本発明に係る薄膜トランジスタは、液晶表示装置及び有機電界発光素子などの表示装置に適用されたり、基板上に形成されるゲート駆動部などの駆動回路のスイッチング素子として適用される。
【0073】
表4には、ソース及びドレイン領域に拡散されたSi量による面抵抗を示す。
【0075】
表4を参照すると、ソース及びドレイン領域に拡散されたSi量が4×10
22atoms/cm
3を超えると、面抵抗は10kΩ/cm
2以上に増加する。また、ソース及びドレイン領域に拡散されたSi量が1×10
22atoms/cm
3未満であれば、面抵抗は1つの地点(面抵抗が3.4kΩ/cm
2である。)を除く大部分の地点で5kΩ/cm
2以上に増加し得る。しかし、ソース及びドレイン領域に拡散されたSi量が1×10
22atoms
3/cm〜4×10
22atoms/cm
3であれば、面抵抗を5kΩ/cm
2未満の低いレベルに維持することができる。
【0076】
液晶表示装置に適用される本発明に係る薄膜トランジスタは、
図6Aに示すように、液晶セルClcを駆動する。薄膜トランジスタTFTは、スキャンラインSLからのゲートオン電圧によってオン状態にされて、データラインDLのデータ信号が液晶セルClcの画素電極に供給され、液晶セルClcは、画素電極と対向する共通電極に供給された共通電圧Vcomとデータ信号との差だけの電圧が印加され、ゲートオフ電圧によってオフ状態にされて、液晶セルClcに印加された電圧が保たれるようにする。液晶セルClcは、印加された電圧によって液晶を駆動して光透過率を調節することによって画像を具現する。
【0077】
有機電界発光装置に適用される本発明に係る薄膜トランジスタは、
図6Bに示すように、発光ダイオードOLEDを駆動する駆動トランジスタTr_D及びスイッチングトランジスタTr_Swに適用される。
【0078】
スイッチングトランジスタTr_Swは、スキャンラインSLを通して供給されたゲート電圧に応答して、データラインDLを通して供給されるデータ信号がストレージキャパシタCstにデータ電圧として保存されるようにスイッチング動作する。
【0079】
駆動トランジスタTr_Dは、ストレージキャパシタCstに保存されたデータ電圧によって高電位ライン(VDD)と低電位ライン(VSS)との間に駆動電流が流れるように動作する。
【0080】
有機発光ダイオードOLEDは、駆動トランジスタTr_Dと接続された陽極、発光層を介在して陽極と対向する陰極を具備し、このような有機発光ダイオードOLEDは、駆動トランジスタTr_Dによって形成された駆動電流によって光を発光するように動作する。
【0081】
以上の説明は、本発明を例示的に説明したものに過ぎず、本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者にとって、本発明の技術的思想から逸脱しない範囲で様々な変形が可能であろう。したがって、本発明の明細書に開示された実施例は、本発明を限定するものではない。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって解釈されなければならず、それと均等な範囲内における技術はいずれも本発明の範囲に含まれるものとして解釈されるべきであろう。