【実施例】
【0079】
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。下記表中の成分に関する数値は質量部を示す。
(配合材料)
実施例及び比較例に用いた配合材料は下記の通りである。
A)軟質材
A−1)EPDM(商品名:三井EPT 1045(三井化学(株)製)、エチレン含有量:58wt%、ジシクロペンタジエン含有量:5.0wt%、ムーニー粘度[ML
1+4(100℃)]:38)
A−2)EPDM(商品名:三井EPT 8030M(三井化学(株)製)、EPDM、エチレンから導かれる構造単位含有量:47質量%、5−エチリデン−2−ノルボルネン(ENB)から導かれる構造単位含有量:9.5質量%、ムーニー粘度[ML
1+4(100℃)]:32)
A−3)下記重合例1により得られたEPDM
[重合例1]
攪拌翼を備えた容積300Lの重合器を用いて連続的に、エチレン、プロピレン、5−エチリデン−2−ノルボルネン(ENB)および5−ビニル−2−ノルボルネン(VNB)からなる四元共重合反応を80℃にて行った。重合溶媒としてヘキサン(最終濃度:90.8重量%)を用いて、エチレン濃度を3.1重量%、プロピレン濃度を4.6重量%、ENB濃度を1.4重量%およびVNB濃度を0.11重量%として、これらを連続供給した。重合圧力を0.8MPaに保ちながら、主触媒としてメタロセン系触媒である[N−(1,1−ジメチルエチル)−1,1−ジメチル−1−[(1,2,3,3A,8A−η)−1,5,6,7−テトラヒドロ−2−メチル−S−インダセン−1−yl]シランアミネート(2−)−κN][(1,2,3,4−η)−1,3−ペンタジエン]−チタニウムを、その濃度が0.0013mmol/Lとなるよう連続的に供給した。また、共触媒として(C
6H
5)
3CB(C
6F
5)
4を、その濃度が0.0066mmol/Lとなるように、有機アルミニウム化合物としてトリイソブチルアルミニウム(TIBA)を、その濃度が0.0154mmol/Lとなるように、それぞれ連続的に供給した。なお、上記メタロセン系触媒は、国際公開第98/49212号パンフレットに記載されている方法に準じて合成して得た。
【0080】
このようにして、エチレン、プロピレン、ENBおよびVNBから合成された共重合体ゴムを10.8重量%含む重合反応液が得られた。重合器下部から抜き出した重合反応液中に少量のメタノールを添加して重合反応を停止させ、スチームストリッピング処理にて共重合体ゴムを溶媒から分離した後、80℃で一昼夜減圧乾燥し、エチレン・プロピレン・非共役ジエンランダム共重合体を得た。この共重合体におけるチレンから導かれる構造単位含有量は46質量%、5−エチリデン−2−ノルボルネン(ENB)および5−ビニル−2−ノルボルネン(VNB)から導かれる合計の構造単位含有量は11.6質量%であり、この共重合体のムーニー粘度[ML
1+4(160℃)]は74であった。
【0081】
A−4)ブチルゴム(IIR)(商品名:JSR Butyl 268(JSR社(株)製)、不飽和度(モル%):1.5%、ムーニー粘度[ML
1+8(125℃)]:51)
A−5)スチレンブタジエンゴム(SBR)(商品名:SBR 1502(日本ゼオン(株)製)、結合スチレン量:23.5%、ムーニー粘度[ML
1+4(100℃)]:52)
A−6)アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)(商品名:Nipol 1042(日本ゼオン(株)製)、結合アクリロニトリル量:33.5%、ムーニー粘度[ML
1+4(100℃)]:77.5)
B)樹脂
B−1)下記重合例2により得られた重合体
[重合例2]
充分窒素置換した容量1.5リットルの攪拌翼付SUS製オートクレーブに、23℃でノルマルヘキサン300ml(乾燥窒素雰囲気、活性アルミナ上で乾燥したもの)、4−メチル−1−ペンテン450mlを入れた。このオートクレーブに、トリイソブチルアルミニウム(TIBAL)の1.0mmol/mlトルエン溶液を0.75ml入れ、攪拌機を回した。
【0082】
次に、オートクレーブを内温60℃まで加熱し、全圧が0.40MPa(ゲージ圧)となるようにプロピレンで加圧した。続いて、予め調製しておいた、メチルアルミノキサンをAl換算で1mmol、ジフェニルメチレン(1−エチル−3−t−ブチル−シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−t−ブチル−フルオレニル)ジルコニウムジクロリドを0.01mmolを含むトルエン溶液0.34mlを窒素でオートクレーブに圧入し、重合を開始した。重合反応中、オートクレーブ内温が60℃になるように温度調整した。重合開始60分後、オートクレーブにメタノール5mlを窒素で圧入し重合を停止し、オートクレーブを大気圧まで脱圧した。反応溶液を攪拌しながら、反応溶液にアセトンを注ぎ、ポリマーを析出させた。
【0083】
反応溶液を濾過して得られた、溶媒を含むポリマー塊を100℃、減圧下で12時間乾燥した。得られた重合体は36.9gであり、重合体中の4−メチル−1−ペンテンから導かれる構造単位含量は72mol%、プロピレンから導かれる構造単位含量は28mol%であった。ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により測定した重量平均分子量(Mw)は337,000、tanδ―Tgは28℃、tanδ最大値は2.4であった。
【0084】
B−2)水素添加スチレン・イソプレン・スチレン共重合体(商品名:ハイブラー5127(クラレ(株)製)、tanδ―Tg:18℃、tanδ最大値:0.8)
B−3)水素添加スチレン系熱可塑エラストマー(商品名:S.O.E. L605(旭化成(株)製)、tanδ―Tg:16℃、tanδ最大値:1.5)
C)加硫助剤
C−1)酸化亜鉛2種(三井金属鉱業(株)製)
C−2)活性亜鉛華(商品名:META−Z102(井上石灰工業(株)製))
D)加工助剤
ステアリン酸(商品名:粉末ステアリン酸さくら(日油(株)製))
E)補強材
カーボンブラック(商品名:旭#55G(旭カーボン(株)製))
F)充填材
炭酸カルシウム(商品名:ホワイトンSB(白石カルシウム(株)製))
G)活性剤
ポリエチレングリコール(商品名:PEG#4000(ライオン(株)製))
H)軟化材
パラフィンオイル(商品名:ダイアナプロセスオイル PS−430(出光興産(株)製))
I)加硫剤
硫黄(商品名:アルファグランS-50EN(東知(株)製))
J)加硫促進剤
J−1)チウラム系加硫促進剤:テトラメチルチウラムジスルフィド(商品名:サンセラーTT(三新化学工業(株)製))
J−2)チアゾール系加硫促進剤:2−メルカプトベンゾチアゾール(商品名:サンセラーM(三新化学工業(株)製))
J−3)スルフェンアミド系加硫促進剤:N-(tert−ブチル)−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド(商品名:サンセラーNS-G(三新化学工業(株)製))
J−4)チアゾール系加硫促進剤:ジベンゾチアジルジスルフィド(商品名:サンセラーDM(三新化学工業(株)製))
J−5)ジチオカルバメート系加硫促進剤:ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛(商品名:サンセラーBZ(三新化学工業(株)製))
J−6)チオウレア系加硫促進剤:2-イミダゾリン-2-チオール(商品名:サンセラー22−C(三新化学工業(株)製))
J−7)ジチオカルバメート系加硫促進剤:ジエチルジチオカルバミン酸テルル(商品名:サンセラーTE−G(三新化学工業(株)製))
K)発泡剤
4,4'−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)(OBSH)(商品名:ネオセルボンN#1000M(永和化成工業(株)製))
L)吸湿剤
酸化カルシウム(商品名:VESTA−18(井上石灰工業(株)製))
(測定方法および評価方法)
以下の実施例および比較例において、各物性は以下の方法により測定または評価した。
a)動的粘弾性測定
粘弾性測定装置ARES(TA Instrumens JAPAN Inc.社製)を用いて、下記測定条件で各材料の粘度の温度依存性を測定した。当該測定で得られた、貯蔵弾性率(G')と損失弾性率(G")との比(G"/G':損失正接)をtanδとした。tanδを温度に対してプロットすると、上に凸の曲線すなわちピークが得られ、そのピークの頂点の温度をガラス転移温度、すなわちtanδ―Tgとし、その温度における極大値を測定した。tanδにつき2つのピークが観測された場合には、第1および第2のピークとして双方のtanδ―Tgおよび極大値を記録した。
【0085】
(測定条件)
Frequency :1.0Hz
Temperature :−70〜80℃
Ramp Rate :4.0℃/分
Strain :0.5%
b)遮音特性試験
プレスシートおよびチューブ状スポンジ成形品から試験片を打ち抜き、内径29mmφの4206−T型音響管(Bruel&Kjaer製)および測定用ソフト(PULSE Material Testing Type7758、Bruel&Kjaer製)を用いて垂直入射透過損失を測定し、1〜4kHzおよび4〜6kHzにおける平均透過損失を求めた。
c)比重、試験片重量
遮音特性試験に使用した試験片に対し、25℃雰囲気下で自動比重計(東洋精機製作所製:M−1型)を用いて質量測定および、空気中と純水中との質量の差から比重測定を行った。
[実施例1]
MIXTRON BB MIXER((株)神戸製鋼所社製、BB−4型、容積2.95L、ローター4WH)を用いて、軟質材A−1(EPDM)100質量部、樹脂B−1 40質量部、加硫助剤C−1(酸化亜鉛)5質量部、加工助剤(ステアリン酸)1質量部を混練した。混練は、ローター回転数50rpm、フローティングウェイト圧力3kg/cm
2、混練時間5分間で行い、混練排出温度は148℃であった。
【0086】
次いで、上記混練後の配合物が温度40℃以下となったことを確認した後、上記配合物に加硫促進剤J−1(テトラメチルチウラムジスルフィド)1質量部、加硫促進剤J−2(2−メルカプトベンゾチアゾール)0.5質量部、加硫剤(硫黄)1.5質量部を添加し、8インチ二本ロール混練機を用いて混練した。混練条件としては、ロール温度を前ロール/後ロール:50℃/50℃、前ロールの回転数を12.5rpm、後ロールの回転数を10.4rpmとした。混練物をシート状に分出した後、加熱プレスを用いて160℃で20分間加熱加硫することで、厚さ2mmの加硫シート(プレスシート)を得た。この加硫シートを用いて上記測定および評価を行った。結果を表1に示す。
[比較例1〜6]
比較例1〜6について、配合組成を表1に示すとおりの配合組成に変更した以外は実施例1と同条件で加硫シート(プレスシート)を作製し、上記測定および評価を行った。ただし、比較例2では、樹脂(B)の替りにエチレン−α−オレフィン共重合体(商品名:タフマーDF605(三井化学(株)製)、tanδ―Tg:−46℃、tanδ最大値:0.5)を用いた。結果を表1に示す。
【0087】
また実施例1、比較例1〜6の遮音特性につき、試験片質量と平均透過損失との関係結果を
図1に示した。
図1(A)は1〜4kHz、
図1(B)は4〜6kHzについての結果である。
【0088】
【表1】
【0089】
表1および
図1に示すように、人間の耳に感度よく音が聞こえる1〜4kHzおよび4〜6kHzという周波数領域において、比較例1〜6では、測定に用いた試験片の質量が増すごとに透過損失が向上している。実施例1では、試験片の質量が比較例1〜6と同等か、またはそれより軽い場合であっても、遮音特性が比較例1〜6より高いことが確認される。この結果から、本発明の遮音材は、従来の遮音材の遮音特性を維持しながら軽量化が可能であること、または、従来の遮音材の軽量性を維持したまま遮音特性の向上が可能であることがわかる。
[実施例2]
8インチ二本ロール混練機を用いて、前ロール温度/後ロール温度:70℃/70℃、前ロールの回転数12.5rpm、後ロールの回転数10.4rpmという混練条件にて、軟質材A−4(ブチルゴム)100質量部、樹脂B−1 40質量部、加硫助剤C−1(酸化亜鉛)3質量部、加工助剤(ステアリン酸)1質量部を均一になるまで混練した後、加硫促進剤J−1(テトラメチルチウラムジスルフィド)1質量部、加硫剤(硫黄)1.75質量部を添加して、さらに均一になるまで混練した。その後、混練物をシート状に分出し、加熱プレスを用いて160℃で30分間加熱加硫することで、厚さ2mmの加硫シート(プレスシート)を得た。この加硫シートを用いて上記測定および評価を行った。結果を表2に示す。
[比較例7、8]
比較例7、8について、配合組成を表2に示すとおりの配合組成に変更した以外は実施例2と同条件で加硫シート(プレスシート)を作製し、上記測定および評価を行った。ただし、比較例8では、樹脂(B)の替りにエチレン−α−オレフィン共重合体(商品名:タフマーDF605(三井化学(株)製)、tanδ―Tg:−46℃、tanδ最大値:0.5)を用いた。結果を表2に示す。
【0090】
【表2】
【0091】
遮音特性試験の結果から、表2に示す通り、1〜4kHzおよび4〜6kHzの領域ともに、実施例2は、試験片の質量が比較例7、8より軽いにもかかわらず、遮音特性が比較例7、8より優れていることがわかる。
[実施例3]
8インチ二本ロール混練機を用いて、前ロール温度/後ロール温度:70℃/70℃、前ロールの回転数12.5rpm、後ロールの回転数10.4rpmという混練条件にて、軟質材A−5(スチレンブタジエンゴム)100質量部、樹脂B−1 40質量部、加硫助剤C−1(酸化亜鉛)3質量部、加工助剤(ステアリン酸)1質量部を均一になるまで混練した後、加硫促進剤J−3(N-(tert−ブチル)−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド)1質量部、加硫剤(硫黄)1.75質量部を添加して、さらに均一になるまで混練した。その後、混練物をシート状に分出し、加熱プレスを用い160℃で30分間加熱加硫することで、厚さ2mmの加硫シート(プレスシート)を得た。この加硫シートを用いて上記測定および評価を行った。結果を表3に示す。
[比較例9、10]
比較例9、10について、配合組成を表3に示すとおりの配合組成に変更した以外は実施例3と同条件で加硫シート(プレスシート)を作製し、上記測定および評価を行った。ただし、比較例10では、樹脂(B)替りにエチレン−α−オレフィン共重合体(商品名:タフマーDF605(三井化学(株)製)、tanδ―Tg:−46℃、tanδ最大値:0.5)を用いた。結果を表3に示す。
【0092】
【表3】
【0093】
遮音特性試験の結果から、表3に示す通り、1〜4kHzおよび4〜6kHzの領域ともに、実施例3は、試験片の質量が比較例9、10より軽いにもかかわらず、遮音特性が比較例9、10より優れていることがわかる。
[実施例4]
8インチ二本ロール混練機を用いて、前ロール温度/後ロール温度:70℃/70℃、前ロールの回転数12.5rpm、後ロールの回転数10.4rpmという混練条件にて、軟質材A−6(アクリロニトリルブタジエンゴム)100質量部、樹脂B−1 40質量部、加硫助剤C−1(酸化亜鉛)3質量部、加工助剤(ステアリン酸)1質量部を均一になるまで混練した後、加硫促進剤J−3(N-(tert−ブチル)−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド)0.7質量部、加硫剤(硫黄)1.55質量部を添加して、さらに均一になるまで混練した。その後、混練物をシート状に分出し、加熱プレスを用い160℃で30分間加熱加硫することで、厚さ2mmの加硫シート(プレスシート)を得た。この加硫シートを用いて上記測定および評価を行った。結果を表4に示す。
[比較例11、12]
比較例11、12について、配合組成を表4に示すとおりの配合組成に変更した以外は実施例4と同条件で加硫シート(プレスシート)を作製し、上記測定および評価を行った。ただし、比較例12では、樹脂(B)の替りにエチレン−α−オレフィン共重合体(商品名:タフマーDF605(三井化学(株)製)、tanδ―Tg:−46℃、tanδ最大値:0.5)を用いた。結果を表4に示す。
【0094】
【表4】
【0095】
遮音特性試験の結果から、表4に示す通り、1〜4kHzおよび4〜6kHzの領域ともに、実施例4は、試験片の質量が比較例11、12より軽いにもかかわらず、遮音特性が比較例11、12より優れていることがわかる。
[実施例5]
MIXTRON BB MIXER((株)神戸製鋼所社製、BB−4型、容積2.95L、ローター4WH)を用いて、軟質材A−3(EPDM)100質量部、樹脂B−1 40質量部、加硫助剤C−2(活性亜鉛華)8質量部、加工助剤(ステアリン酸)2質量部、補強材(カーボンブラック)88質量部、充填材(炭酸カルシウム)50質量部、活性剤(ポリエチレングリコール)1質量部、軟化材(パラフィンオイル)71質量部を混練した。混練は、ローター回転数50rpm、フローティングウェイト圧力3kg/cm
2、混練時間5分間で行い、混練排出温度は152℃であった。
【0096】
上記混練後の配合物が温度40℃以下となったことを確認した後、上記配合物に加硫促進剤J−4(ジベンゾチアジルジスルフィド)1.5質量部、加硫促進剤J−5(ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛)2質量部、加硫促進剤J−6(2-イミダゾリン-2-チオール)1質量部、加硫促進剤J−7(ジエチルジチオカルバミン酸テルル)0.1質量部、加硫剤(硫黄)1.5質量部を添加し、14インチ二本ロール混練機を用いて混練した。混練条件としては、ロール温度を前ロール/後ロール:60℃/55℃、前ロールの回転数を13rpm、後ロールの回転数を11.5rpmとした。混練物をシート状に分出した後、加熱プレスを用いて180℃で10分間加熱加硫することで、厚さ2mmの加硫シート(プレスシート)を得た。この加硫シートを用いて上記測定および評価を行った。結果を表5に示す。
[実施例6〜10]
実施例6〜10について、配合組成を表5に示すとおりの配合組成に変更した以外は実施例5と同条件で加硫シート(プレスシート)を作製し、上記測定および評価を行った。結果を表5に示す。
[比較例13〜15]
比較例13〜15について、配合組成を表5に示すとおりの配合組成に変更した以外は実施例5と同条件で加硫シート(プレスシート)を作製し、上記測定および評価を行った。ただし、比較例14では、樹脂(B)の替りにエチレン−α−オレフィン共重合体(タフマーDF605(三井化学(株)製)、tanδ―Tg:−46℃、tanδ最大値:0.5)を用い、比較例15では、樹脂(B)の替りにポリオレフィン系共重合体(商品名:ノティオSN0285(三井化学(株)製)、tanδ―Tg:−10℃、tanδ最大値:1.2)を用いた。結果を表5に示す。
【0097】
【表5】
【0098】
遮音特性試験の結果から、表5に示す通り、1〜4kHzおよび4〜6kHzの領域ともに、実施例5〜10は、試験片の質量が比較例13〜15より軽い場合であっても、遮音特性が比較例13〜15より優れていることがわかる。
[実施例11]
MIXTRON BB MIXER((株)神戸製鋼所社製、BB−4型、容積2.95L、ローター4WH)を用いて、軟質材A−3(EPDM)100質量部、樹脂B−1 40質量部、加硫助剤C−2(活性亜鉛華)8質量部、加工助剤(ステアリン酸)2質量部、補強材(カーボンブラック)88質量部、充填材(炭酸カルシウム)50質量部、活性剤(ポリエチレングリコール)1質量部、軟化材(パラフィンオイル)71質量部、吸湿剤(酸化カルシウム)5質量部を混練した。混練は、ローター回転数50rpm、フローティングウェイト圧力3kg/cm
2、混練時間5分間で行い、混練排出温度は152℃であった。
【0099】
上記混練後の配合物が温度40℃以下となったことを確認した後、上記配合物に、発泡剤(4,4'−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド))2.6質量部、加硫促進剤J−4(ジベンゾチアジルジスルフィド)1.5質量部、加硫促進剤J−5(ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛)2質量部、加硫促進剤J−6(2-イミダゾリン-2-チオール)1質量部、加硫促進剤J−7(ジエチルジチオカルバミン酸テルル)0.1質量部、加硫剤(硫黄)1.5質量部を添加し、14インチ二本ロール混練機を用いて混練した。混練条件としては、ロール温度を前ロール/後ロール:60℃/55℃、前ロールの回転数を13rpm、後ロールの回転数を11.5rpmとし、混練物をリボン状に分出した。
【0100】
次に、得られたリボン状の組成物を、チューブ状ダイス(内径12mm、肉厚1.5mm)を装着した60mmφ押出機を用いて、ダイス温度80℃、シリンダー温度60℃の条件で押出し、チューブ状に成形した。この成形体を成形と同時に230℃、1kHzのマイクロ波加硫槽、続いて、250℃に設定した直線式熱風加硫装置(HAV)に導入し、5分間加熱することで架橋ならびに発泡を行い、チューブ状スポンジ成形体を得た。このスポンジ成形体を切り出し、試験片を打ち抜き、この試験片を用いて上記測定および評価を行った。結果を表6に示す。
[実施例12〜16]
実施例12〜16について、配合組成および加硫条件を、表6に示すとおりの配合組成および加硫条件に変更した以外は実施例11と同条件でチューブ状スポンジ成形体を作製し、試験片を得た。この試験片を用いて上記測定および評価を行った。結果を表6に示す。
[比較例16〜20]
比較例16〜20について、配合組成および加硫条件を、表6に示すとおりの配合組成および加硫条件に変更した以外は実施例11と同条件でチューブ状スポンジ成形体を作製し、試験片を得た。この試験片を用いて上記測定および評価を行った。結果を表6に示す。
【0101】
また実施例11〜16、比較例16〜20の遮音特性につき、試験片質量と平均透過損失との関係結果を
図12示した。
図2(A)は1〜4kHz、
図2(B)は4〜6kHzについての結果である。
【0102】
【表6】
【0103】
表6および
図2に示すように、人間の耳に感度よく音が聞こえる1〜4kHzおよび4〜6kHzという周波数領域において、比較例16〜20では、測定に用いた試験片の重量が増すごとに透過損失が向上している。実施例11〜16では、試験片の質量が同等な比較例と比較して遮音特性が高いことが確認される。この結果から、本発明の遮音材は、従来の遮音材の遮音特性を維持しながら軽量化が可能であること、または、従来の遮音材の軽量性を維持したまま遮音特性の向上が可能であることがわかる。