特許第6560249号(P6560249)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ シデル パルティシパションの特許一覧

特許6560249搬送ホイールの殺菌装置を有する容器製造設備
<>
  • 特許6560249-搬送ホイールの殺菌装置を有する容器製造設備 図000002
  • 特許6560249-搬送ホイールの殺菌装置を有する容器製造設備 図000003
  • 特許6560249-搬送ホイールの殺菌装置を有する容器製造設備 図000004
  • 特許6560249-搬送ホイールの殺菌装置を有する容器製造設備 図000005
  • 特許6560249-搬送ホイールの殺菌装置を有する容器製造設備 図000006
  • 特許6560249-搬送ホイールの殺菌装置を有する容器製造設備 図000007
  • 特許6560249-搬送ホイールの殺菌装置を有する容器製造設備 図000008
  • 特許6560249-搬送ホイールの殺菌装置を有する容器製造設備 図000009
  • 特許6560249-搬送ホイールの殺菌装置を有する容器製造設備 図000010
  • 特許6560249-搬送ホイールの殺菌装置を有する容器製造設備 図000011
  • 特許6560249-搬送ホイールの殺菌装置を有する容器製造設備 図000012
  • 特許6560249-搬送ホイールの殺菌装置を有する容器製造設備 図000013
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6560249
(24)【登録日】2019年7月26日
(45)【発行日】2019年8月14日
(54)【発明の名称】搬送ホイールの殺菌装置を有する容器製造設備
(51)【国際特許分類】
   B29C 49/42 20060101AFI20190805BHJP
   A61L 2/18 20060101ALI20190805BHJP
   A61L 2/24 20060101ALI20190805BHJP
   B65B 59/00 20060101ALI20190805BHJP
   B67C 7/00 20060101ALN20190805BHJP
   A61L 101/02 20060101ALN20190805BHJP
   A61L 101/22 20060101ALN20190805BHJP
   A61L 101/34 20060101ALN20190805BHJP
【FI】
   B29C49/42
   A61L2/18
   A61L2/24
   A61L2/18 102
   B65B59/00
   !B67C7/00
   A61L101:02
   A61L101:22
   A61L101:34
【請求項の数】11
【全頁数】30
(21)【出願番号】特願2016-562822(P2016-562822)
(86)(22)【出願日】2015年4月2日
(65)【公表番号】特表2017-520424(P2017-520424A)
(43)【公表日】2017年7月27日
(86)【国際出願番号】EP2015057410
(87)【国際公開番号】WO2015158563
(87)【国際公開日】20151022
【審査請求日】2018年1月4日
(31)【優先権主張番号】1453491
(32)【優先日】2014年4月17日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】504102770
【氏名又は名称】シデル パルティシパション
【氏名又は名称原語表記】SIDEL PARTICIPATIONS
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】モンドロ,クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】デマール,ジェローム
(72)【発明者】
【氏名】ルトゥリエ,サンディ
【審査官】 ▲高▼橋 理絵
(56)【参考文献】
【文献】 特表2012−515122(JP,A)
【文献】 特開2011−046189(JP,A)
【文献】 特開2006−111295(JP,A)
【文献】 特表2012−500135(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0061343(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 49/00−49/80
A61L 2/00− 2/28
A61L 11/00−12/14
B65B 59/00−65/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器(12)、とりわけボトルの製造設備(10)であって、
−容器の少なくとも1つのブロー成形ユニット(16)が内部に配置される第1のエリア(Z1)を画定する第1の保護エンクロージャ(14)と、
−隣接する第1のエンクロージャ(14)に共通部(22)を介して少なくとも部分的に連結され、製造された容器(12)の少なくとも1つの充填ユニット(20)が内部に配置される第2の滅菌エリア(Z2)を画定する第2の密封エンクロージャ(18)と、
−前記第1および第2のエンクロージャ(14、18)の前記共通部(22)に形成され、ブロー成形ユニット(16)から充填ユニット(20)に容器(12)を搬送可能にするための少なくとも1つの開口部(24)と、
−シャッタ手段(26)が開口部(24)を介した容器(12)の前記搬送を可能にする開放位置と、充填ユニット(20)の汚染除去を行うためにシャッタ手段(26)が第2のエンクロージャ(18)を隔離することによってあらゆる搬送を不可能にする閉鎖位置との間で選択的に移動可能な、前記開口部(24)のシャッタ手段(26)と、
−ブロー成形手段ニット(16)と充填ユニット(20)との間で容器(12)を搬送するために前記開口部(24)に隣接する少なくとも1つの搬送ホイール(30)を有する搬送装置(28)であって、
前記搬送ホイール(30)は、設備(10)が製造モードにあるとき占有される少なくとも第1の搬送位置と、設備(10)が汚染除去モードにあるとき占有される第2の格納位置との間で可動式に取り付けられた、容器(12)の少なくとも1つの搬送上部(30A)を有し、前記搬送位置と格納位置との間に可動式に取り付けられた搬送ホイール(30)の前記上部(30A)の移動が、設備(10)の外部から制御される、搬送装置と、
−製造モードで搬送ホイール(30)の容器(12)の搬送上部(30A)が前記搬送位置を占有するとき、少なくとも前記上部(30A)を回転駆動するための搬送ホイール(30)の駆動システム(50)と、を少なくとも有している設備において、
設備(10)が、汚染除去モードで、搬送ホイール(30)の容器(12)の前記搬送上部(30A)が格納位置を占有するとき、搬送ホイール(30)の容器(12)の少なくとも搬送上部(30A)を少なくとも1つの殺菌剤の吹き付けにより殺菌するために設備(10)の外部から制御される搬送ホイール(30)の殺菌装置(100)を有し、
殺菌装置(100)が、搬送ホイール(30)の容器(12)の少なくとも前記搬送上部(30A)を殺菌するために、設備(10)の外部から制御されて前記少なくとも1つの殺菌剤の吹き付け手段(112)を含む、少なくとも1つの自動殺菌モジュール(110)から構成され、
前記自動殺菌モジュール(110)が、少なくとも
−前記吹き付け手段(112)が搬送ホイール(30)の容器(12)の少なくとも搬送上部(30A)を殺菌可能な、汚染除去モードで占有される殺菌位置と、
−前記殺菌モジュール(110)が格納される、製造モードで占有される休止位置と、
の間に可動式に取り付けられる、
ことを特徴とする設備。
【請求項2】
前記自動殺菌モジュール(110)が、殺菌剤の前記吹き付け手段(112)の少なくとも1つのアーム(114)を有すること、また前記アーム(114)が、少なくとも1つのアクチュエータ(118)により殺菌位置に向かって展開されるよう、または休止位置に向かって格納されるように選択的に移動することを特徴とする、請求項1に記載の設備。
【請求項3】
殺菌剤の前記吹き付け手段(112)が、搬送ホイール(30)の容器(12)の少なくとも前記搬送上部(30A)を前記殺菌位置で走査するために、それぞれ少なくとも1つの第1の角度位置と第2の角度位置との間で軸(B)を中心として回転式に取り付けられることを特徴とする請求項1または2に記載の設備。
【請求項4】
搬送ホイール(30)の容器(12)の前記搬送上部(30A)が、製造モードで容器(12)の搬送にそれぞれ関与するガイド手段(38)が組み合わされる保持手段(36)を少なくとも有すること、また自動殺菌モジュール(110)が、前記保持手段(36)を殺菌するための第1の吹き付け手段と、前記ガイド手段(38)を殺菌するための第2の吹き付け手段とを少なくとも含んでいることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の設備。
【請求項5】
前記少なくとも1つの殺菌剤が、搬送ホイール(30)の容器(12)の少なくとも前記搬送上部(30A)を殺菌するために、殺菌装置(100)により液状で吹き付けられるアルコール系の化合物から全部または一部が形成されることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の設備。
【請求項6】
殺菌装置(100)の少なくとも一部、または、前記格納位置を占有する搬送ホイール(30)の容器(12)の搬送上部(30A)が、前記少なくとも1つの殺菌剤の塗布を完璧にするために互いに相対運動を実施可能であることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の設備。
【請求項7】
搬送ホイール(30)の前記駆動システム(50)が、容器(12)の前記搬送上部(30A)が汚染除去モードで前記格納位置を占有するとき、搬送ホイール(30)の容器(12)の少なくとも前記搬送上部(30A)を回転駆動可能であることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の設備。
【請求項8】
容器(12)の搬送ホイール(30)の前記駆動システム(50)が、それぞれ、容器(12)の少なくとも前記搬送上部(30A)が接続される第1の上部(52A)と、駆動用の第2の下部(52B)との少なくとも2つの部分から構成された、少なくとも1つの第1のシャフト(52)を含み、前記第1の上部および第2の下部(52A、52B)が、第2のシャフト(54)に回転結合されることを特徴とする、請求項7に記載の設備。
【請求項9】
第1のシャフト(52)の第1の上部および第2の下部(52A、52B)が、形状結合により第2のシャフト(54)にそれぞれ回転結合され、前記回転結合が好ましくは係合により実施されることを特徴とする、請求項8に記載の設備。
【請求項10】
動力手段(80)による選択的な駆動制御のために、第2のクラッチ機構(70)が第2のシャフト(54)に組み合わされることを特徴とする、請求項8または9のいずれか一項に記載の設備。
【請求項11】
前記第2のクラッチ機構(70)が、
−容器(12)の前記搬送上部(30A)を回転駆動するために、搬送ホイール(30)の容器(12)の前記少なくとも搬送上部(30A)が、前記第1のシャフト(52)の前記上部(52A)を第2のシャフト(54)を介して前記動力手段(80)に回転連結するための格納位置にあるときのクラッチ連動状態と、
−前記動力手段(80)から前記第2のシャフト(54)を切り離すために、搬送ホイール(30)の容器(12)の前記少なくとも搬送上部(30A)が搬送位置にあるときのクラッチ遮断状態と
を少なくとも占有することを特徴とする、請求項10に記載の設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送ホイールの殺菌装置を有する容器製造設備に関する。
【0002】
本発明は特に、容器、とりわけボトルの製造設備に関し、この設備は、
−容器の少なくとも1つのブロー成形ユニットが内部に配置される第1のエリアを画定する第1の保護エンクロージャと、
−隣接する第1のエンクロージャに共通部を介して少なくとも部分的に連結され、製造された容器の少なくとも1つの充填ユニットが内部に配置される第2の滅菌エリアを画定する第2の密封エンクロージャと、
−前記第1および第2のエンクロージャの前記共通部に形成され、ブロー成形ユニットから充填ユニットに容器を搬送可能にするための少なくとも1つの開口部と、
−シャッタ手段が開口部を介した容器の前記搬送を可能にする開放位置と、シャッタ手段が充填ユニットの汚染除去を行うために第2のエンクロージャを隔離することによってあらゆる搬送を不可能にする閉鎖位置との間で選択的に移動可能な前記開口部のシャッタ手段と、
−ブロー成形ユニットと充填ユニットとの間で容器を搬送するために前記開口部に隣接する少なくとも1つの搬送ホイールを有する搬送装置であって、前記搬送ホイールは、設備が製造モードにあるとき占有される少なくとも第1の搬送位置と、設備が汚染除去モードにあるとき占有される第2の格納位置との間で可動式に取り付けられた、容器の少なくとも1つの搬送上部を有し、前記搬送位置と格納位置との間に可動式に取り付けられたホイールの前記搬送上部の移動が設備の外部から制御される、搬送装置と、
−製造モードでホイールの容器の搬送上部が前記搬送位置を占有するとき、少なくとも前記上部を回転駆動するための搬送ホイールの駆動システムと、
を少なくとも有している。
【背景技術】
【0003】
国際公開第2010/081759号では、容器、特にボトル製造用のこのような設備の一例を記載かつ図示している。
【0004】
製造設備は、プラスチック材料、特にポリエチレンテレフタレート(PET)からなる容器の製造に用いられる。
【0005】
容器は、一般に、プラスチック材料からなるプリフォームを炉内で熱処理し、次いで、ブロー成形ユニット内でプリフォームをボトル状に加工し、この成形が、たとえば金型内でブロー成形または延伸ブロー成形により実施され、最後に、得られた容器を充填および打栓ユニットに搬送することによって製造される。
【0006】
そのため、設備は、充填ユニットの上流側に、好ましくは熱処理炉とブロー成形ユニットとを有する製造ユニットを含んでいる。
【0007】
一般に、充填ユニットと製造ユニット(少なくともブロー成形ユニット)とは、小型化された製造設備を得るために並置され、最終製品を得るまでの容器の全製造プロセスを実施する。
【0008】
国際公開第2010/081759号で説明されているように、このような製造設備では、あらゆる手段によって容器の汚染リスクを低減することが求められており、さらに、容器は、こうしたリスクの影響を多少とも受けやすい製品で充填される可能性がある。
【0009】
その結果、とりわけ容器内に収容される製品に悪影響を及ぼして特に飲用に適さないものにする可能性がある病原微生物、胞子、バクテリア等の病原体の除去といった製造環境の微生物学的な品質のチェックおよび制御を唯一の目的として、様々な措置を講じることが知られている。
【0010】
このために、これらの措置は、容器のみではなく、それをもとに容器が製造されるプリフォームならびに設備全体の汚染除去をめざしている。
【0011】
従来技術文献すなわち国際公開第2006/136498号、国際公開第2008/049876号、仏国特許第2915127号明細書は、このような措置を示す非限定的な例を構成しており、国際公開第2010/081759号の序文にも引用されるこれら各文献を参照すれば、有利にはさらに詳しい情報を得られるであろう。
【0012】
もちろん、これらの様々な措置の例は、汚染リスクを著しく低減するために同一の設備内で同時に実施することが可能である。
【0013】
製造プロセスでは、容器の充填操作は、通常、汚染リスクの影響を最も受けやすいものとみなされている。
【0014】
しかし、充填ユニット内に導入される容器は、主な汚染媒介因子の1つにすぎない。
【0015】
なぜなら、病原体は、空気から設備の各ユニットの部材まで、容器を直接とりまく環境内に存在するため、特に容器の内部スペースを汚染する可能性があるからである。
【0016】
このような理由から、容器内部に注入される製品と容器自体に対する直接的な滅菌処理または無菌化処理に加えて、化学的手段、特に、水酸化ナトリウム(NaOH)または過酸化水素(H)のような滅菌溶液の吹き付けによる充填ユニットの汚染除去も実施される。
【0017】
充填ユニットの汚染除去は、容器が製造される設備の動作モード、いわゆる製造モードの実施前及び/または後の設備の動作モード、いわゆる汚染除去モードに対応する。
【0018】
充填ユニットの汚染除去モードを実施可能にするには、設備の他の部分、特に隣接するブロー成形ユニットから充填ユニットを隔離することが必要である。
【0019】
なぜなら、充填ユニットの部材が、汚染除去に使用される上記滅菌溶液の化学的浸食に耐えられるようにステンレス316L等の適切な材料で構成されるとしても、一方で、ブロー成形ユニットや、これら両ユニット間に配置される隣接する搬送装置の全体はそうではないからである。
【0020】
そのため、汚染除去に使用される滅菌溶液は、特に、金型等のブロー成形ユニットの部材、さらには搬送装置の部材にも、望ましくない化学的浸食、特に腐食を発生させる可能性がある。
【0021】
国際公開第2010/081759号は、充填ユニットの汚染除去の実施を記載し、また、特に、搬送ホイールの少なくとも一部の分解および/または再組立操作を実施するために第1のエンクロージャ内に入る操作者の介入による汚染リスクを記載している。
【0022】
このような容器搬送ホイールの少なくとも一部の分解および/または再組立操作は、製造モードで容器搬送を行うために前記ホイール部分が貫通して延びる連通開口部を、シャッタ手段により閉鎖可能にするのに必要とされる。
【0023】
国際公開第2010/081759号に記載された設備では、前記連通開口部が、ブロー成形ユニットを含む第1のエンクロージャと充填ユニットを含む第2のエンクロージャとの間の共通部に設けられ、前記シャッタ手段は、汚染除去時に充填ユニットを選択的に隔離することができる。
【0024】
この文献で説明されているように、操作者は、設備内部に病原体を持ち込む重大な潜在的媒介者であり、多種多様な汚染リスクをもたらす。
【0025】
これを解消するために、国際公開第2010/081759号は、新しい設計の設備と搬送ホイールとを提案しており、これによると製造モードで開口部を介して延びるホイールの容器の搬送上部の格納が、操作者により設備の外部から実施できるようにされている。
【0026】
この新しい設計により、操作者自身は第1のエンクロージャに一度も物理的に入ることなく、設備の外にいながらにして、搬送位置と格納位置との間でホイールの容器の少なくとも搬送上部を手動または自動で移動させる。
【0027】
有利には、遠隔介入する操作者は、どのようなときも、エンクロージャにより画定される設備のスペース内部に病原体を持ち込む媒介者とはなりえないので、その結果、上記の汚染リスクはなくなる。
【0028】
さらに、このような設計によって、従来実施されていた分解、再組立操作に代わり、充填ユニットの汚染除去を行うためにホイールの容器の少なくとも搬送上部の格納とシャッタ手段による開口部の閉鎖を可能にする、より簡潔かつスピーディーな操作にすることもできる。
【0029】
国際公開第2010/081759号に記載されていた新設計の搬送ホイールによる充填ユニットの化学的な汚染除去の実施は、食の安全性をさらに改善し、それによって、特に、病原微生物、胞子、バクテリア等の病原体の除去といった容器製造環境の微生物学的な品質のチェックおよび制御に関し、今も高まり続ける要求に応える措置の一例である。
【0030】
上記の仏国特許第2915127号明細書によれば、製造された容器と同様に、炉の出口エリア内でプリフォームの汚染リスクを制限可能な過圧を設定するために、設備のエンクロージャ内部に濾過空気の送風システムを設けることが知られている。
【0031】
しかし、このような濾過空気の送風システムは、設備内への病原体の侵入を防止することはできても、第1のエンクロージャにより画定されてブロー成形ユニットと搬送装置とが内部に配置される第1のエリアに存在しうる病原体に対する効果は持たない。
【0032】
第1のエリアにおける汚染除去を実施するために水酸化ナトリウム(NaOH)または過酸化水素(H)のような滅菌溶液を使用することには、特に、ステンレス以外の材料で構成された部材、とりわけブロー成形ユニットの金型に対する腐食リスクが伴う。
【0033】
その結果、ブロー成形ユニットと共に第1のエンクロージャの内部に配置される搬送装置に対しても、容器の少なくとも1つの搬送ホイール上に存在しうる病原体の消滅のための特別な措置が施されているわけではない。
【0034】
ところが、製造モードでは、容器は保持手段と、このような搬送ホイールに組み合わされるガイド手段とに接触するので、その結果として、容器の汚染が生じることがある。
【0035】
搬送中の容器の汚染リスクは特に高い。なぜなら、その場合、充填ユニットに向けて搬送された汚染容器が、病原体を持ち込む媒介因子になるからである。
【0036】
さらに、容器とは別に、搬送ホイールに存在するこのような病原体も、充填ユニットが配置された第2のエリアまで空気によって運ばれることがある。
【0037】
搬送ホイールに関連するこのような汚染リスクは、たとえば充填ユニットの汚染除去など、病原体を除去するために実施される様々な措置全体に悪影響を及ぼす可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0038】
【特許文献1】国際公開第2010/081759号
【特許文献2】国際公開第2006/136498号
【特許文献3】国際公開第2008/049876号
【特許文献4】仏国特許第2915127号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0039】
本発明の目的は、特に、容器の汚染リスク、中でも搬送装置上の病原体の存在に関連する汚染リスクが一段と低減され、さらには除去される容器製造設備を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0040】
このため、本発明は、上記のタイプの設備を提案し、この設備は、汚染除去モードでホイールの容器の前記搬送上部が格納位置を占有するとき、ホイールの容器の少なくとも搬送上部を少なくとも1つの殺菌剤の吹き付けにより殺菌するために、設備の外部から制御される搬送ホイールの殺菌装置を有することを特徴とする。
【0041】
本発明による殺菌装置によって、前記少なくとも1つの搬送ホイールは殺菌され、そこに存在する可能性のある病原体が除去される。
【0042】
有利には、このような搬送ホイールの殺菌操作は、設備が汚染除去モードで動作している間に実施される。
【0043】
好ましくは、殺菌操作は、これに続く充填ユニットの汚染リスク、特に製造中の容器と搬送ホイールとの接触による容器の汚染リスクを低減し、さらにはなくすために、容器の製造開始前には常に実施される。
【0044】
本発明の他の特徴によれば、
‐殺菌装置は、ホイールの容器の少なくとも前記搬送上部に前記少なくとも1つの殺菌剤を吹き付けるために、設備の内部に配置されて操作者が設備の外部から遠隔操作手段を介して操作可能な少なくとも1つのスプレーガンから構成される。
‐殺菌装置は、ホイールの容器の少なくとも前記搬送上部を殺菌するために、設備の外部から制御されて前記少なくとも1つの殺菌剤の吹き付け手段を含む、少なくとも1つの自動殺菌モジュールから構成される。
‐前記自動殺菌モジュールは、少なくとも、
・前記吹き付け手段がホイールの容器の少なくとも搬送上部を殺菌可能な、汚染除去モードで占有される殺菌位置と、
・前記殺菌モジュールが格納される、製造モードで占有される休止位置と、
の間に可動式に取り付けられる。
‐自動殺菌モジュールは、殺菌剤の前記吹き付け手段の少なくとも1つのアームを有し、前記アームが、少なくとも1つのアクチュエータにより殺菌位置に向かって展開されるよう、または休止位置に向かって格納されるように選択的に移動する。
‐殺菌剤の前記吹き付け手段は、ホイールの容器の少なくとも前記搬送上部を前記殺菌位置で走査するために、それぞれ少なくとも1つの第1の角度位置と第2の角度位置との間で軸を中心として回転式に取り付けられる。
‐ホイールの容器の前記搬送上部は、製造モードで容器の搬送にそれぞれ関与するガイド手段が組み合わされる保持手段を少なくとも有し、自動殺菌モジュールは、前記保持手段を殺菌するための第1の吹き付け手段と、前記ガイド手段を殺菌するための第2の吹き付け手段とを少なくとも含んでいる。
‐前記少なくとも1つの殺菌剤は、ホイールの容器の少なくとも前記搬送上部を殺菌するために、殺菌装置により液状で吹き付けられるアルコール系の化合物から全部または一部が形成される。
‐殺菌装置の少なくとも一部、または、前記格納位置を占有するホイールの容器の搬送上部は、前記少なくとも1つの殺菌剤の塗布を完璧にするために互いに相対運動を実施可能である。
‐搬送ホイールの前記駆動システムは、容器の前記搬送上部が汚染除去モードで前記格納位置を占有するとき、ホイールの少なくとも容器の前記搬送上部を回転駆動可能であり、それによって、少なくともホイールの容器の前記搬送上部が、殺菌装置に対して相対運動するように促される。
‐容器の搬送ホイールの前記駆動システムは、それぞれ、容器の少なくとも前記搬送上部が接続される第1の上部と、駆動用の第2の下部との少なくとも2つの部分から構成された少なくとも1つの第1のシャフトを含み、前記第1の上部および第2の下部が、第2のシャフトに回転結合される。
‐第1のシャフトの第1の上部および第2の下部は、形状結合により第2のシャフトにそれぞれ回転結合され、前記回転結合は、好ましくは、係合により実施される。
‐第2のクラッチ機構は、動力手段による選択的な駆動制御のために第2のシャフトに組み合わされる。
‐前記第2のクラッチ機構は、
・容器の前記搬送上部を回転駆動するために、ホイールの容器の前記少なくとも搬送上部が、前記第1のシャフトの前記上部を第2のシャフトを介して前記動力手段に回転連結するための格納位置にあるときのクラッチ連動状態と、
・前記動力手段から前記第2のシャフトを切り離すために、ホイールの容器の前記少なくとも搬送上部が搬送位置にあるときのクラッチ遮断状態と、
を少なくとも占有する。
【図面の簡単な説明】
【0045】
本発明の他の特徴および長所は、その理解のために添付図面を参照しながら以下の説明を読めば明らかになるであろう。
図1】ブロー成形ユニットのエンクロージャと、充填ユニットのエンクロージャとの間に、容器搬送用の開口部が設けられた共通接合部を特に示す、容器製造設備の1つの実施例の一部の上面図である。
図2】搬送装置の搬送ホイールが開口部に隣接して搬送位置にあるところを示す、図1の設備の後方4分の3の図である。
図3】搬送ホイールの容器の少なくとも搬送上部を回転駆動可能な搬送位置にある、搬送ホイール駆動システムを示す概略図である。
図4】搬送ホイールの容器の少なくとも搬送上部を回転駆動可能な殺菌位置にある、搬送ホイール駆動システムを示す概略図である。
図5図3に示した駆動システムを有する搬送ホイールの上部を、搬送位置で詳しく示す斜視図である。
図6図4に示した駆動システムを有する搬送ホイールの上部を、格納位置で詳しく示す斜視図である。
図7図4に示した駆動システムを有する搬送ホイールの上部を、格納位置で詳しく示す斜視図である。
図8】搬送モードにある設備、特に、開口部を備えた第1および第2のエンクロージャの共通部に隣接する図5から図7の搬送ホイールを部分的に示すとともに、搬送ホイールの上部が搬送位置を占有し、その一方で殺菌装置が休止位置を占有しているところを示す、4分の3の斜視図である。
図9】汚染除去モードにある設備、特に、開口部を備えた第1および第2のエンクロージャの共通部に隣接する図5から図7の搬送ホイールを部分的に示すとともに、搬送ホイールの上部が格納位置を占有し、その一方で殺菌装置が殺菌位置を占有しているところを示す、4分の3の斜視図である。
図10】設備の完全に自動化された第2の実施形態による殺菌装置を示す斜視図である。
図11図10の殺菌装置を示すとともに、第1の角度位置でのノズルによる殺菌剤の吹き付けを示す斜視図である。
図12図10の殺菌装置を示すとともに、第2の角度位置でのノズルによる殺菌剤の吹き付けを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
以下の説明では、同等または同一要素には同じ参照符号を付す。
【0047】
この説明では、「上流」と「下流」、「上方」と「下方」、「内側」と「外側」、「前方」と「後方」等の表現と、説明において付与された定義と図中に示す三面角(L、V、T)に対応する長手方向、垂直方向、横方向の向きとを、非限定的に使用する。
【0048】
図1では、容器12、特に(ただしこれに限定されないが)ボトルの製造のための設備10の実施例を示した。
【0049】
以下、国際公開第2010/081759号に記載されたものと同様の容器12の製造設備10の第1の実施形態について説明する。この文献の図3図5は本発明の図1図2に対応する。
【0050】
したがって、設備10の全体のさらに詳しい説明については上記文献を参照されることが望ましい。
【0051】
図1に部分的に示したように、設備10は、容器12の少なくとも1つのブロー成形ユニット16が内部に配置される第1のエリアZ1を画定する、少なくとも1つの第1の保護エンクロージャ14を有している。
【0052】
好ましくは、ブロー成形ユニット16は、特に赤外線ランプを用いた加熱により、炉(図示せず)内で予め熱処理されたプリフォーム(図示せず)からブロー成形または延伸ブロー成形により容器12を製造可能である。
【0053】
知られているように、このようなブロー成形ユニット16は、上流に、プリフォームの熱処理用の加熱炉と、出口に配置され、加熱された前記プリフォームの各々を金型(図示せず)の1つに導くことが可能な搬送手段(図示せず)とを有している。
【0054】
ブロー成形ユニット16は、半径方向の周辺部に上記の金型が周方向に配置されたカルーセル(図示せず)を有し、加熱されたプリフォームは、この金型内で、用途に応じてブロー成形あるいはまた延伸ブロー成形により容器12に加工される。
【0055】
設備10は、ブロー成形ユニット16により製造された容器12の少なくとも1つの充填ユニット20が内部に配置される、滅菌された第2のエリアZ2を画定する第2の密封エンクロージャ18を有している。
【0056】
第2の密封エンクロージャ18は、隣接する第1のエンクロージャ14に共通部22を介して少なくとも部分的に連結されている。
【0057】
各エンクロージャ14、18は、全体として平行六面体を形成するために特に互いに組立られ、たとえばそれぞれ天井を形成する壁と床によって上と下がそれぞれ閉じられた、垂直壁のアセンブリから構成される。
【0058】
好ましくは、エンクロージャ14、18の少なくとも1つの垂直壁は、特に操作者がそこを通過して設備10の内部に入ることができるようにするためにドアを備えている。
【0059】
第1のエンクロージャ14は、たとえば、その前方垂直壁の一部を形成する少なくとも2個のアクセスドア15を備えている。
【0060】
設備10は、第1および第2のエンクロージャ14、18の前記共通部22に設けられた少なくとも1つの開口部24を有している。図2に示された開口部24は、ブロー成形ユニット16から充填ユニット20に容器12を搬送可能にするように構成されている。
【0061】
有利には、設備10は、少なくとも1つの開放位置と閉鎖位置との間で選択的に移動可能な、前記開口部24のシャッタ手段26を含んでいる。
【0062】
開放位置は、シャッタ手段26が開口部24を介して容器12の搬送を可能にする位置に相当し、設備10が1つの動作モード、いわゆる製造モードにあるときに占有される。
【0063】
閉鎖位置は、シャッタ手段26が第2のエンクロージャ18を隔離しながらあらゆる搬送を不可能にする位置に相当する。
【0064】
閉鎖位置は、特に、設備10が別の動作モード、いわゆる汚染除去モードにあるとき、少なくとも第2のエンクロージャ18内で充填ユニット20の汚染除去操作を実施可能にするように構成されている。
【0065】
好ましくは、設備10は、製造モードに対応する開放位置と汚染除去モードに対応する閉鎖位置との間で、前記シャッタ手段26をスライドさせるようにするために、開口部24のシャッタ手段26の移動を選択的に制御するための作動手段を備えている。
【0066】
有利には、シャッタ手段26は、前記閉鎖位置で、容器12のブロー成形ユニット16を含む第1のエンクロージャ14から充填ユニット20を含む第2のエンクロージャ18を隔離することができる開口部24の密閉を保証する。
【0067】
開口部24のシャッタ手段26は、それぞれ上部レールと下部レールとの2つのレール27を介して、前記開放位置と閉鎖位置との間でスライド式に取り付けられるパネルから構成される。
【0068】
パネル26のレール27は、共通部22に結合されており、特に図2から分かるように、ここではほぼ長方形の開口部24の上と下にそれぞれ配置される。
【0069】
充填ユニット20の汚染除去操作は、第2のエンクロージャ18の内部で水酸化ナトリウム(NaOH)または過酸化水素(H)等の滅菌溶液を吹き付ける化学的な手段により実施される。
【0070】
第2のエンクロージャ18を汚染除去するためのこのような滅菌溶液の吹き付けは、特に、充填ユニット20等の部分を形成するのに適したステンレスまたは他の材料を使用することにより可能となる。
【0071】
設備10は、ブロー成形ユニット16と充填ユニット20との間で容器12の搬送を行うために搬送装置28を含んでいる。
【0072】
搬送装置28は、共通部22に設けられた開口部24に隣接する少なくとも1つの搬送ホイール30を有し、搬送ホイールは、製造モードで前記開口部24を介して容器12を搬送するように構成されている。
【0073】
好ましくは、搬送装置28は、搬送ホイール30に加えて、この搬送ホイール30の上流と下流にそれぞれ配置された他の2つの搬送ホイール32と34を含んでいる。
【0074】
搬送装置28の各ホイール30、32、34は、容器12の搬送が互いに行われるエリアを決定するために、隣接するホイール部分に接する円弧状の部分をそれぞれが有するように、互いに配置される。
【0075】
第1の搬送ホイール32は、搬送ホイール30の入口と、関係するブロー成形手段または延伸ブロー成形手段によって製造される容器12を取り出すことができるように金型が開口を命じられるブロー成形ユニット16のカルーセルの出口エリアとの間に配置される。
【0076】
第1の搬送ホイール32は、製造された容器12を金型の外に取り出し、たとえばクランプ等の把持手段を自由端に備えた搬送アームを介して、容器12を下流に搬送するように構成される。
【0077】
第2の搬送ホイール34は、下流側で搬送ホイール30の出口と充填ユニット20が備える別のカルーセルとの間に配置され、前記カルーセルを中心として容器12の充填ポストが周方向に等間隔で配分される。
【0078】
有利には、設備10は、国際公開第2010/081759号により提供された教示内容によれば、特に開口部24の開放または閉鎖を可能にするための搬送ホイール30への操作者の介入に関連する汚染など、様々な汚染リスクを低減またはなくすように設計されている。
【0079】
搬送ホイール30は、少なくとも1つの第1の搬送位置と第2の格納位置との間に可動式にそれぞれ取り付けられた少なくとも1つの部分を含んでいる。
【0080】
第1の搬送位置は、設備10が製造モードにあるときに占有され、第2の格納位置は設備10が汚染除去モードにあるときに占有される。
【0081】
好ましくは、搬送ホイール30は、容器搬送用の上部30Aとホイール30の駆動用の下部30Bとを備えている。
【0082】
上部30Aは、開口部24を介して部分的に延びて、製造モードで容器搬送のために容器12と協働する保持手段36を少なくとも有している。
【0083】
保持手段36は、たとえば周方向にそれぞれが切り欠きを備えた3枚の重なったプレートから構成され、各切り欠きが、容器の一部と協働するように構成されている。
【0084】
上部プレートは容器の首部と協働し、一般には容器に設けられた半径方向のつば部を介して首部を支持し、一方で、中間プレートと下部プレートは容器本体と協働し、搬送時に容器を垂直保持するように容器本体を側面からブロックする。
【0085】
有利には、搬送ホイール30は、保持手段36に組み合わされて容器12を搬送するためのガイド手段38を有している。
【0086】
国際公開第2010/081759号に記載されているように、搬送ホイール30の前記少なくとも1つの可動部は、好ましくは、容器搬送用の上部30Aから構成され、一方で、ホイール30の駆動用の下部30Bは固定部である。
【0087】
搬送ホイール30の上部30Aは、少なくとも
‐ホイール30の前記上部30Aが、設備10の製造モードでの動作時に容器12を搬送するために開口部24を介して延びる第1の搬送位置と、
‐ホイール30の少なくとも前記上部30Aが、汚染除去モードでの設備10の動作のために、関係するシャッタ手段26により開口部24を閉鎖可能にするように移動される第2の格納位置と、
の間に可動式に取り付けられる。
【0088】
好ましくは、設備10の搬送ホイール30は、この第1の実施形態では、国際公開第2010/081759号に記載されているものと同様の構成である。
【0089】
搬送ホイール30は、上部30Aと下部30Bとにそれぞれ結合される上方要素42と下方要素44とを含むフランジ40を少なくとも有している。
【0090】
ピボット等の連結手段46は、下部30Bに対して上部30Aを移動可能にするためにフランジ40の上方要素42と下方要素44との間に配置される。
【0091】
好ましくは、搬送ホイール30は、前記搬送位置または格納位置の少なくとも一方にホイール30の可動上部30Aを固定可能なロック手段48を有している。
【0092】
設備10は、製造モードで前記上部30Aが搬送位置を占有するとき、ホイール30の容器12の少なくとも搬送上部30Aを回転駆動するための搬送ホイール30の駆動システム50を有している。
【0093】
国際公開第2010/081759号では、搬送ホイール30の前記駆動システム50が、フランジの上方要素42に結合される第1のシャフト区間と、フランジの下方要素44に結合される第2のシャフト区間との接合部に配置された前記フランジ40を含む、駆動シャフトを有している。
【0094】
保持手段36は、特に、ホイール30の容器の前記搬送上部30Aを形成するために第1のシャフト区間に取り付けられる。
【0095】
第2のシャフト区間は、製造モードにおいて上流のブロー成形ユニット16から下流の充填ユニット20に向けて容器12の搬送方向に沿った同期駆動を保証するために、有利には充填ユニット20および/または第2の搬送ホイール34の回転駆動手段から構成された、動力手段に接続される。
【0096】
充填ユニット20の回転駆動手段は、動力手段と、前記動力手段と搬送ホイール30のシャフトとの間でトルクを伝達するベルト等の伝達手段とを少なくとも有している。
【0097】
駆動システム50は、駆動シャフトと選択的に回転連結し、上部30Aがその搬送位置を占有するとき、製造モードにおいてのみこのシャフトを回転駆動するために、前記駆動シャフトに組み合わされたクラッチ機構を有している。
【0098】
上部30Aが汚染除去モードでその格納位置を占有するとき、クラッチ機構は、上部30Aの回転駆動を遮断するために開放される。
【0099】
国際公開第2010/081759号の教示内容によれば、前記搬送位置と格納位置との間の搬送ホイール30の上部30Aの移動は、設備10の外部、すなわち内部に前記搬送ホイール30が配置されている第1のエンクロージャ14の外部から手動または自動で行われる。
【0100】
変形実施形態では、搬送ホイール30の全体が、たとえば前記搬送位置と格納位置との間で同様に設備の外部から移動させることの可能なキャリッジに可動式に取り付けられる。
【0101】
このような変形実施形態では、搬送ホイール30が、有利には充填ユニット20の回転駆動手段とは独立した独自の回転駆動手段を有する。
【0102】
したがって、有利には、設備10の内部、特に、第1のエンクロージャ14の第1のエリアZ1における操作者の物理的な存在がもはや不要となり、それによって、関連する汚染リスクが全面的になくなる。
【0103】
前提部で説明したように、本発明の目的は、容器の食品安全性をより一段と改善するために、病原体による容器の様々な汚染リスクに対処することによって容器製造設備10の内部における微生物学的なリスクを低減することにある。
【0104】
このため、本発明は、製造設備10の搬送ホイール30の少なくとも一部の殺菌操作を実施することを提案する。
【0105】
有利には、汚染除去操作は、設備10が汚染除去モードにあるとき、たとえば充填ユニット20の汚染除去操作の実施と並行して実施される。
【0106】
有利には、搬送ホイール30の殺菌操作は、充填ユニット20の前記汚染除去操作および搬送ホイール30の少なくとも一部の前記殺菌操作の実施に続く、あるいはこの実施に先行する容器製造に影響を及ぼすことなくバックグラウンドで並行処理される。
【0107】
「殺菌」という用語は、特に、搬送ホイール30を処理するために実施される新しい操作と、充填ユニット20を処理するために実施される「汚染除去」操作との間の区別を容易にするためのものである。
【0108】
しかし、殺菌も汚染除去も同一の目的、すなわち処理される面、特に(ただし限定的ではないが)容器と接触するように構成された表面に存在しうる病原体(病原微生物、胞子、バクテリアなど)の消滅をめざすものであると理解される。
【0109】
消滅される病原体の量とタイプは、特に、前記汚染除去操作および殺菌操作時に使用される薬剤に応じて異なる。
【0110】
病原体の量は、特に洗浄操作、濾過操作、および培養操作後の計数により数えられることをここで再確認しておく。
【0111】
このようにして、たとえば1000単位(10)に同等な約3Log(あるいは3D)の病原体数の対数減少値が特定される。
【0112】
例として、水酸化ナトリウム(NaOH)または過酸化水素(H)のような滅菌溶液による充填ユニット20の化学的な汚染除去操作によって、6Logまで及びうる結果を得られる。
【0113】
このような滅菌溶液は、特に処理面がステンレス等の適切な材料から構成される場合、搬送ホイールの少なくとも一部の殺菌操作にも同様に使用可能である。
【0114】
しかし、水酸化ナトリウム(NaOH)または過酸化水素(H)のような滅菌溶液の使用に関係する腐食リスクとは別に、殺菌操作の終了後に前記滅菌溶液を除去することも考慮しなければならない。
【0115】
実際、農産物加工分野の規制は、一般に、容器内または容器上における微量の滅菌溶液の存在等、一部薬剤の残留物に関して様々な要件を課している。
【0116】
有利には、本発明による殺菌操作は、全部または一部がアルコール系化合物等から形成された少なくとも1つの殺菌剤で実施される。
【0117】
好ましくは、前記少なくとも1つの殺菌剤は、エタノールたとえば70%に希釈したエタノールを含んでいる。
【0118】
好ましくは、前記少なくとも1つの殺菌剤は、液状で特に吹き付けにより塗布される。
【0119】
有利には、上記の少なくとも1つの殺菌剤は、その後、蒸発により自然に除去される。
【0120】
変形実施形態では、蒸発を促して殺菌剤の除去に必要な時間を短縮するために、高温空気等の手段が使用される。
【0121】
変形実施形態では、前記少なくとも1つの殺菌剤を気体状態で塗布することが可能であると考えられる。
【0122】
本発明による前記殺菌操作を実施するために、設備10は、この設備10の第1のエリアZ1を画定する第1の保護エンクロージャ14の内部に配置された、少なくとも1つの殺菌装置100を有している。
【0123】
有利には、前記少なくとも1つの殺菌装置100が、設備10の外部から制御される。
【0124】
殺菌装置100は、搬送ホイール30の少なくとも一部、特に、製造モードでブロー成形ユニット16から充填ユニット20に向けて操作される搬送時に容器に接する表面を殺菌するように構成される。
【0125】
搬送ホイール30の殺菌装置100は、ホイール30の容器12の少なくとも搬送上部30Aを少なくとも1つの殺菌剤の吹き付けにより殺菌するために、設備10の外部から手動または自動で制御される。
【0126】
前記少なくとも1つの殺菌剤の吹き付けは、設備10の汚染除去モードで、ホイール30の容器12の前記搬送上部30Aが格納位置を占有するときに実施される。
【0127】
この第1の実施形態では、殺菌装置100が、ホイール30の容器12の少なくとも前記搬送上部30Aに前記少なくとも1つの殺菌剤を吹き付け可能な少なくとも1つのスプレーガン105から構成された吹き付け手段を有している。
【0128】
好ましくは、スプレーガン105が、タンクから殺菌剤を供給される。液状の殺菌剤は、たとえば圧縮空気等の気体を用いて吹き付けられる。
【0129】
好ましくは、スプレーガン105は、第1のエンクロージャ14の内部の第1のエリアZ1の搬送部分において殺菌すべき搬送ホイール30の表面付近に配置される。
【0130】
有利には、スプレーガン105は、設備10の外部から前記殺菌操作を実施可能にする遠隔操作手段を介して操作者が操作することができる。
【0131】
搬送ホイール30の容器の搬送上部30Aの格納と同様に、殺菌操作は、操作者が設備10の内部に入らず、搬送ホイール30と殺菌装置100を形成する前記スプレーガン105とがある特に第1のエリアZ1部分に入るためにドア15を越えることなく、実施される。
【0132】
図2に示したように、前記遠隔操作手段は、第1の保護エンクロージャ14内に設けられた開口部57に密封式に接続される、カフが延長された少なくとも1つのグローブ55により形成される。
【0133】
有利には、操作者の介入は、グローブ55を介して第1のエンクロージャ14越しに実施され、その一方で操作者は第1のエリアZ1に存在する空気に物理的に接触することが決してないことから、第1のエリアZ1の内部における操作者の存在に関連する汚染リスクが全面的になくなる。
【0134】
したがって、操作者は、製造モードでの動作時に容器12に後で悪影響を及ぼす病原体を持ち込む媒介者にならない。
【0135】
操作者はグローブ55を介してスプレーガン105を操作し、殺菌すべき様々な表面に殺菌剤を吹き付けることができる。
【0136】
操作者は、操作グローブ55によって、搬送ホイール30の上部30Aの格納(格納が自動式でないとき)も、前記スプレーガン105による殺菌操作も手動で実施可能である。
【0137】
変形実施形態では、殺菌操作が、たとえば、設備10の外部から制御されるロボットアーム等の取り扱い制御手段により、1つまたは複数の軸に沿って空間内で自動的に移動する少なくとも1つのスプレーガン105を用いて手動ではなく自動で行われる。
【0138】
殺菌操作は、特に、搬送ホイール30の上部30Aの保持手段36と、組み合わされるガイド手段38とに対し少なくとも実施される。
【0139】
有利には、スプレーガン105等の殺菌装置100が、国際公開第2010/081759号に記載かつ図示されたような既存設備10の中に、大掛かりな変更を必要とすることなく容易に導入可能である。
【0140】
ここまで述べてきた第1の実施形態による殺菌操作の実施は完全に満足のいくものであるが、その一方で、ここにさらなる改良を加えることができる。
【0141】
まず、殺菌操作時に搬送ホイール30は不動のままで、殺菌装置100を形成するスプレーガン105と搬送ホイール30との間の唯一の相対運動は、手動で実施する場合、グローブ55を付けた操作者の上肢により提供される可動性に対応している。
【0142】
実際、搬送ホイール30が、それぞれ搬送上部30Aと駆動下部30Bとの2つの部分から構成される場合、前者の搬送上部30Aだけが搬送位置から格納位置に移動され、汚染除去モードでは特に格納を可能にするために駆動が遮断される。
【0143】
操作者にとって、ガイド手段38の表面等離れた面では、真正面にあるすぐ近くの表面よりも、アクセス性や可視性等がよくないことが理解されるであろう。
【0144】
その結果、殺菌結果の質は、ここまで述べてきた第1の実施形態にしたがって操作者が手動で殺菌を実施するとき、殺菌剤の均質かつ全体的な塗布の程度による影響を受ける可能性がある。
【0145】
スプレーガン105を取り扱う操作者が手動で殺菌操作を実施することは、人的要因に関連する信頼性の問題も提起する。
【0146】
操作者各自が完璧な塗布を実施できるとしても、同一の操作者が、また、2人の連続する操作者の間で完璧に同じ動作を反復することは不可能であることが理解されるであろう。
【0147】
そのため信頼性の問題が存在し、操作者の介入に関連する人的要因を取り除くために様々な解決策を探ることが必要になる。
【0148】
操作中の操作者の手動介入をなくすにあたり追及される主な目的は、このような設備10の運用コストを大幅に下げることではなく、完全な反復性の保証、すなわち殺菌操作結果における信頼性の保証を得ることにある。
【0149】
ここからは、容器製造設備10のための殺菌装置100の第2の実施形態について説明する。
【0150】
第2の実施形態の第1の特徴によれば、搬送ホイール30の少なくとも上部30Aは、汚染除去モードで少なくとも前記上部30Aが格納位置を占有するとき、回転駆動可能である。
【0151】
比較として、国際公開第2010/081759号に基づく設備では、ホイール30の容器の搬送上部が格納位置では回転駆動されなかったことをここで再確認しておく。
【0152】
この第2の実施形態の第2の特徴によれば、殺菌操作は、完全に自動で実施される。
【0153】
第1の実施形態と比較すると、操作者の手動による介入が結果的に全てなくされており、そのため、人的要因に関連する殺菌操作結果の信頼性、反復性等に関する上記リスクもなくなる。
【0154】
もちろん、第1および第2の特徴は、有利には組み合わされるが互いに独立したものである。
【0155】
格納位置における搬送ホイール30の上部の回転駆動は、他の殺菌装置、特に第1の実施形態によるスプレーガン105に対しても実施可能である。
【0156】
ここからは、上部30Aが格納位置を占有するとき回転駆動可能な容器12の前記搬送上部30Aを特に備えた、搬送ホイール30の新しい設計について説明する。
【0157】
有利には、少なくとも前記格納位置を占有するホイール30の容器12の少なくとも前記搬送上部30Aが、殺菌操作時に前記少なくとも1つの殺菌剤の塗布を完全にするために殺菌装置100に対して相対運動を実施可能である。
【0158】
好ましくは、殺菌装置100の少なくとも一部とホイール30の容器12の前記搬送上部30Aとが、それぞれ、互いに相対運動を実施可能である。
【0159】
この第2の実施形態において、搬送ホイール30の駆動システム50は、汚染除去モードで、容器12の前記搬送上部30Aが前記格納位置を占有するとき、保持手段36を含む容器12の少なくとも前記搬送上部30Aを回転運動させることができる。
【0160】
スプレーガン105から形成された殺菌装置100が搬送ホイール30に対して相対運動するように駆動可能である第1の実施形態と比較して、この第2の実施形態では、殺菌装置100に対して相対運動するように駆動されるのは、ホイール30の容器12の少なくとも前記搬送上部30Aである。
【0161】
図3図4は、それぞれ容器12の製造モードで設備10が動作するとき占有される搬送位置と、汚染除去モードで設備10が動作するとき占有される格納位置にある搬送ホイール30を概略的に示している。
【0162】
図3に示したように、搬送ホイール30は、エンクロージャ14と18の共通部22に設けられた開口部24を介して容器12を搬送するための保持手段36を少なくとも有している。
【0163】
容器12の保持手段36は、第1の実施形態で先に述べたように3つの重なったプレートを有している。好ましくは、容器の首部と協働する少なくとも上部プレートが、ステンレス316L等のステンレスから製造される。
【0164】
好ましくは、搬送ホイール30は、図3図4には示していないが、容器12の搬送時に前記保持手段36に相補的に介在するガイド手段38を有している。
【0165】
容器12の搬送ホイール30の駆動システム50は、それぞれ上方の第1の部分52Aと下方の第2の駆動部分52Bとの少なくとも2つの部分から形成された少なくとも1つの第1のシャフト52を有し、前記第1および第2の部分52A、52Bは、第2のシャフト54に回転結合されている。
【0166】
第1のシャフト52の上方の第1の部分52Aは保持手段36を支持し、この保持手段と共に、前記上方の第1の部分52Aがホイール30の容器12の前記搬送上部30Aを構成する。
【0167】
下方の第2の駆動部分52Bは、ホイール30の容器12の前記搬送上部30Aを第2のシャフト54を介して駆動するために製造モードで介在する駆動システム50の手段に接続される。
【0168】
第1のシャフト52の第1および第2の部分52A、52Bは、形状結合により第2のシャフト54にそれぞれ回転結合される。
【0169】
好ましくは、第1のシャフト52と第2のシャフト54との回転結合が、係合手段を介して実施される。
【0170】
係合手段は、第1のシャフト52の上方の前記第1の部分52Aと第2のシャフト54とを回転結合するために介在する第1の係合手段56と、下方の前記第2の部分52Bと第2のシャフト54とを回転結合するために介在する第2の係合手段58とを少なくとも有している。
【0171】
有利には、第1の係合手段56は、前記搬送位置と格納位置との間で容器12の少なくとも前記搬送上部30Aを移動させるために、第2のシャフト54に対して第1のシャフト52の第1の上部52Aの旋回運動を可能にする。
【0172】
図3図4の比較から明らかなように、容器の搬送上部30Aは、前記搬送位置と格納位置との間で第2のシャフト54を中心として円形移動を実施する。
【0173】
格納に対応するこの旋回運動は、第1のシャフト52を2つの部分に分割することと、第1の係合手段56とによって可能にされる。
【0174】
搬送ホイール30の駆動システム50は、少なくとも1つの第1のクラッチ機構60を有している。
【0175】
好ましくは、第1のクラッチ機構60が空気圧式の機構である。
【0176】
有利には、第1のシャフト52の第2の下方の前記駆動部分52Bに組み合わされる第1のクラッチ機構60が、トルクリミッタを有している。
【0177】
好ましくは、第1の係合手段56は、第1のシャフト52の上方の第1の部分52Aに回転結合される少なくとも1つの歯付きホイール62と、第2のシャフト54の上方区間に回転結合される歯付きホイール64とを有している。
【0178】
第1の係合手段56を形成するホイール62とホイール64は、それぞれが1つの外側歯列を有し、前記歯列は、第1のシャフト52と第2のシャフト54との間でトルク伝達するために一緒に協働する。
【0179】
有利には、第1の係合手段56は、特に格納位置で搬送ホイール30の上部30Aを回転駆動可能に維持したままで、この格納に対応する旋回運動を実施可能である。
【0180】
好ましくは、第2の係合手段58は、第1のシャフト52の下方の第2の部分52Bに回転結合される少なくとも1つの歯付きホイール66と、第2のシャフト54の下方区間に回転結合される歯付きホイール68とを有している。
【0181】
第1の係合手段56と同様に、第2の係合手段58を形成する歯付きホイール66と歯付きホイール68は、第1のシャフト52と第2のシャフト54との間でトルクを伝達するために一緒に協働する第2の外側歯列をそれぞれが有している。
【0182】
第1のクラッチ機構60は、特に動力手段72により選択的に駆動制御するために第1のシャフト52の下方の前記第2の駆動部分52Bに組み合わされる。
【0183】
第1の実施形態で先に説明したように、動力手段72は、有利には、設備10の充填ユニット20および/または搬送装置28の第2の搬送ホイール34の回転駆動手段から構成される。
【0184】
好ましくは、動力手段72は、2個の駆動プーリ76、78と協働するベルト等の運動伝達手段74により第1のシャフト52に結合され、一方のプーリ76は、駆動要素を形成する動力手段72に、他方のプーリ78は、従動要素を形成する第1のシャフト52にそれぞれ回転結合される。
【0185】
第1のクラッチ機構60は、設備10が製造モードで動作し、ホイール30の搬送上部30Aが搬送位置にあるとき、選択的にトルクを伝達するために少なくともクラッチ連動状態とクラッチ遮断状態とを占有可能である。
【0186】
第1のクラッチ機構60は、ホイール30の容器12の前記少なくとも1つの搬送上部30Aが搬送位置にあるとき、前記動力手段72に前記第1のシャフト52の前記下方部分52Bを回転連結するためにクラッチ連動状態を占有する。
【0187】
第1のクラッチ機構60は、ホイール30の容器12の前記少なくとも1つの搬送上部30Aが格納位置にあるとき、前記動力手段72と前記第1のシャフトの前記下方部分52Bとの連結を解除するためにクラッチ遮断状態を占有可能である。
【0188】
第1のクラッチ機構60は、それぞれ図3においてはクラッチ連動状態、また図4においてはクラッチ遮断状態にある。
【0189】
搬送ホイール30は、モータ等の第2の動力手段80による駆動を選択的に制御するために、第2のシャフト54に組み合わされた第2のクラッチ機構70を有している。
【0190】
第2の動力手段80は、たとえば第2の伝達手段82を介して第2のシャフト54に回転結合される。
【0191】
第2のクラッチ機構70は、設備10が汚染除去モードで動作し、ホイール30の搬送上部30Aが格納位置にあるとき、選択的にトルクを伝達するために少なくともクラッチ連動状態とクラッチ遮断状態とを占有可能である。
【0192】
第2のクラッチ機構70は、ホイール30の容器12の前記少なくとも1つの搬送上部30Aが格納位置にあるとき、第2のシャフト54を介して前記第2の動力手段80に前記第1のシャフト52の前記上部52Aを回転連結して容器12の前記搬送上部30Aを回転駆動するために、図4に示した前記クラッチ連動状態を占有する。
【0193】
第2のクラッチ機構70は、ホイール30の容器12の前記少なくとも1つの搬送上部30Aが搬送位置にあるとき、前記第2の動力手段80と前記第2のシャフト54との連結を解除するために、図3に示した前記クラッチ遮断状態を占有する。
【0194】
図3図4に示したように、第1のクラッチ機構60は、第2のシャフト54との第2の係合手段58と動力手段72との間で、第1のシャフト52の下方の第2の駆動部分52Bに取り付けられる。
【0195】
一方第2のクラッチ機構70は、第1のシャフト52との第2の係合手段58と前記第2の動力手段80との間で、第2のシャフト54に取り付けられる。
【0196】
有利には、特に2個のシャフト52、54と、組み合わされる係合手段56、58とから構成される駆動システム50は、クラッチ機構60と70を制御することにより、前記搬送位置と格納位置との各々で搬送上部30Aを選択的に回転駆動可能である。
【0197】
ここからは、本発明の第2の実施形態による完全に自動化された殺菌操作を実施するために搬送ホイール30の位置で実施される主要ステップについて特に説明する。
【0198】
図5から図7は、図3図4に概略的に記載かつ図示された格納位置における上部30Aの駆動に関する第1の特徴と、格納の自動化に関する第2の特徴とを有利に組み合わせた、第2の実施形態による搬送ホイール30を示している。
【0199】
前記搬送位置と格納位置との各々で容器12の搬送上部30Aを選択的に駆動するために、ホイール30の第1のクラッチ機構60と第2のクラッチ機構70は、後述するように制御される。
【0200】
図5に示されたホイール30の上部30Aの搬送位置で、動力手段72から送られるトルクは、第1のシャフト52の下方部分52Bを経て、クラッチ連動状態を占有する第1のクラッチ機構60に入り、第2の係合手段58を介して第2のシャフト54に伝達される。
【0201】
次いで、第2のシャフト54は、第1の係合手段56を介して、搬送ホイール30の前記上部30Aを保持手段36と共に形成する第1のシャフト52の上部52Aに上記トルクを伝達する。
【0202】
製造モードでは、第2のクラッチ機構70が開放され、クラッチ解除位置を占有し、その結果、動力手段80は、第2のシャフト54を回転駆動させることができない。
【0203】
製造モードから汚染除去モードに移行する場合、空気圧式の第1のクラッチ機構60は、クラッチ連動状態から解除状態に状態変更するためにこれを開放するよう命令され、搬送位置を占有するホイール30上部30Aの動力手段72による回転駆動を遮断する。
【0204】
保持手段36は、図5から図7では上部52A上に示されていないことが分かる。
【0205】
ここで第1のクラッチ機構60と第2のクラッチ機構70は、それぞれクラッチ解除状態を占有し、ホイール30の上部30Aは、設備10の外部から格納自在にされている。
【0206】
実際、第1のシャフト52と第2のシャフト54は、回転自在であり、第1の係合手段56と第2の係合手段58は、第2のシャフト54に対応する軸を中心とするホイール30の上部30Aの旋回運動を妨げない。
【0207】
第1の実施形態と比べて、ホイール30の容器12の搬送上部30Aの格納が、有利には自動化されており、操作者により手動で実施されない。
【0208】
有利には、搬送ホイール30は、前記搬送位置と格納位置との間で容器12の前記搬送上部30Aを、こちらも設備10の外側から自動的に移動させるための作動手段84を有している。
【0209】
好ましくは、図5から図7に示したように、作動手段84は、ロッド85を有する少なくとも1つのジャッキから構成される。ジャッキ84のロッド85は、その自由端で、容器12の搬送上部30Aに属する第1のシャフト52の上部52Aを操作するプレート86に接続される。
【0210】
プレート86には、第1のシャフト52の上部52Aと第2のシャフト54が垂直に貫通し、プレート86は、第2のシャフト54に対して旋回可能であり、このとき前記上部52Aを駆動する。
【0211】
搬送ホイール30の上部30Aは、プレート86に固定された支持体87と、搬送位置と格納位置との間で前記上部30Aが回転するときに移動する上部52Aと歯付きホイール62とを有している。
【0212】
好ましくは、上部30Aの保持手段36に組み合わされるガイド手段38は可動式に取り付けられており、汚染除去モードで搬送ホイール30の上部30Aの格納とシャッタパネル26による開口部24の閉鎖とを特に可能にするために自動的に格納される。
【0213】
ガイド手段38は、特に図8図9にそれぞれ示したように、ガイド位置と格納位置との間で可動式に取り付けられる。
【0214】
有利には、前記ガイド手段38は、ジャッキ等の少なくとも1つのアクチュエータを介して前記ガイド位置と格納位置との間で自動的に移動される。
【0215】
この第2の実施形態では、ガイド手段38は、製造モードで容器12の搬送時にそれぞれ介在する第1のガイド手段38Aと第2のガイド手段38Bとを有している。
【0216】
好ましくは、第1のガイド手段38Aは、組み合わされるジャッキ88Aにより自動的に格納され、第2のガイド手段38Bは、組み合わされるジャッキ88Bにより格納される。
【0217】
有利には、第1のエンクロージャ14により画定される第1のエリアZ1の内部に操作者が一切入り込まないよう、前記アクチュエータ84、88A、88Bの全体が外部から制御され、格納操作に必要な時間を短縮することもできる。
【0218】
有利には、搬送ホイール30が、それぞれ搬送位置と格納位置とで容器12の前記搬送上部30Aを固定するために外部から制御される自動ロック手段90を有している。
【0219】
搬送ホイール30のロック手段90は、少なくとも1つのロック部材92と、前記ロック部材92を下記の位置すなわち
‐ホイール30の容器12の少なくとも搬送上部30Aが前記搬送位置と格納位置との間で移動自在である後退位置と、
‐前記ロック部材92がホイール30の容器12の前記搬送上部30Aを位置または格納位置で固定する係合位置と
の間で選択的に移動させるためにロック部材に組み合わされたアクチュエータ94とを有している。
【0220】
ロック手段90は、ジャッキ84により作動される可動プレート86により支持され、したがって、上部30Aと同時に移動する。
【0221】
図5図6に示したように、ロック部材92は、搬送位置では前記上部30Aをロックするために第1のハウジング96に入り、あるいは格納位置では前記上部30Aをロックするために第2のハウジング98に入る。
【0222】
ハウジング96と98は、プレート86に固定される支持体87により支持され、このプレートは、ジャッキ84により移動してロック手段90を支持する。
【0223】
好ましくは、図7に示したように、搬送位置および/または格納位置で搬送ホイール30の上部30Aを適切に位置決めするために衝止手段95が設けられる。
【0224】
有利には、衝止手段95は、ハウジング96と98に対してロック部材92を適切に垂直に位置決めすることができる。
【0225】
遅くとも上記の様々な自動格納操作が実施された後で、第2のクラッチ機構70の閉鎖を命じ、このクラッチ機構は、クラッチ解除状態から連動状態に移行する。
【0226】
第2のクラッチ機構70は、クラッチ連動状態では、第2のシャフト54から受け取った動力手段80のトルクを、格納位置を占有するホイール30の上部30Aに伝達し、それによって、前記上部30A、特に保持手段36が、殺菌装置100によるそれらの殺菌時に回転駆動される。
【0227】
有利には、クラッチ機構60および70は、殺菌操作が終了すると自動的に再始動し、特に操作者の介入を必要とせずに設備10の製造モードに戻ることができる。
【0228】
第2のクラッチ機構70は、クラッチ連動状態、すなわち上部30Aが格納位置にあるときに保持手段36の回転駆動を保証するために前記第2のクラッチ機構70が殺菌操作中に占有する状態に保持される。
【0229】
それに対して、第1のクラッチ機構60の閉鎖を命じ、これがクラッチ解除状態からクラッチ連動状態、すなわち、前記第1のクラッチ機構60がまだ未連結の連動状態に移行する。
【0230】
前述のように、第1のクラッチ機構60は有利にはトルクリミッタを有している。
【0231】
この段階で、動力手段80による第2のシャフト54の駆動は、第2のクラッチ機構70が依然として連動状態にあるとき、第2の係合手段58を介して第2のシャフト54のトルクを第1のシャフト52の下部52Bに向けて伝達する。
【0232】
このとき、第1のクラッチ機構60が駆動され、トルクリミッタに組み合わされるセンサ等の検知手段によりトルクが検知されると、検知手段から信号が送信され、この信号を利用して動力手段80を停止し、第2のクラッチ機構70を開放する。
【0233】
図8図9では、ここまで図5から図7を参照しながら詳しく説明した第2の実施形態による搬送ホイール30を示した。前記搬送ホイール30は、それぞれ搬送位置と格納位置で示されている。
【0234】
特に図1図2を参照しながら説明し、ここでは図8に示すように、ホイール30の容器12の搬送上部30Aは、搬送位置で、第1および第2のエンクロージャ14、18の共通部22に設けられた開口部24を介して延びている。
【0235】
図8から分かるように、開口部24のシャッタ手段26は、実際に開放位置にある。
【0236】
図9は、搬送モードにある設備10を示す図8との比較により、汚染除去モードにある設備10を示している。
【0237】
図9に示したように、搬送ホイール30の上部30Aは、作動手段84により自動的に格納されており、このとき保持手段36はもはや開口部24を介して延びていない。
【0238】
ガイド手段38A、38Bも、有利には、組み合わされるアクチュエータ88A、88Bにより自動的に格納される。
【0239】
このとき開口部24は、閉鎖位置に移動されるシャッタ手段26により密閉自在である。
【0240】
このとき設備10は、充填ユニット20の汚染除去操作を実施するために、また同様に、図8図9に示し、特に図10から詳しく分かるような殺菌装置100を用いた殺菌操作のために、準備ができた状態にある。
【0241】
ここからは、第2の実施形態による殺菌装置100について説明する。
【0242】
殺菌装置100は、設備の外部から制御されて、少なくとも1つの殺菌剤の吹き付け手段112を有する少なくとも1つの自動殺菌モジュール110から構成される。
【0243】
好ましくは、前記少なくとも1つの殺菌剤の全部または一部が、70%に希釈したエタノール等のアルコール系化合物から形成され、ホイール30の容器12の少なくとも前記搬送上部30Aを殺菌するために、モジュール110の吹き付け手段112によって液状で吹き付けられる。
【0244】
好ましくは、前記少なくとも1つの殺菌剤が、その後、蒸発により自然に除去される。
【0245】
有利には、自動殺菌モジュール110が、搬送ホイール30の容器12の少なくとも前記搬送上部30Aを殺菌可能である。
【0246】
好ましくは、自動殺菌モジュール110は、少なくとも保持手段36、特に、容器の首部に接する上部プレートと、ガイド手段38とを殺菌するように構成される。
【0247】
有利には、自動殺菌モジュール110は、少なくとも殺菌位置と休止位置との間で可動式に取り付けられる。
【0248】
自動殺菌モジュール110は、その設計と設備10における配置に応じて、前記殺菌位置と休止位置との間で移動されるように並進式および/または回転式に取り付けられる。
【0249】
自動殺菌モジュール110は、汚染除去モードで、前記吹き付け手段112がホイール30の容器12の少なくとも搬送上部30Aを殺菌可能な位置に対応する殺菌位置を占有する。
【0250】
自動殺菌モジュール110は、製造モードで、殺菌装置100が格納される位置に対応する休止位置を占有する。
【0251】
有利には、自動殺菌装置110の格納は、特に、設備10が、汚染リスクを制限するためにエンクロージャ14、18の内部に過圧を設定するように濾過空気の送風システムを有するとき、製造中の空気流の妨害を回避することができる。
【0252】
格納位置では、自動殺菌装置110は、設備10の製造モードで容器12がたどる経路の外に保持され、これによって、たとえば漏出の場合などの容器12に対する特定のリスクを防止することができる。
【0253】
好ましくは、図8図9に示したように、自動殺菌モジュール110は、前記第1および第2のエンクロージャ14、18の前記共通部22に接続される。
【0254】
有利には、自動殺菌モジュール110は、搬送ホイール30に対して垂直に高いところ、すなわち搬送ホイールの垂直方向上側(ただし必ずしもホイール30の真上というわけではない)に配置される。
【0255】
搬送ホイール30に対する殺菌モジュール110のこのような配置によって、前記少なくとも1つの殺菌剤は、殺菌位置で、垂直方向下側に位置するホイール30の容器12の少なくとも搬送上部30Aに向かって、前記吹き付け手段112により吹き付けられる。
【0256】
自動殺菌モジュール110は、前記少なくとも1つの殺菌剤の前記吹き付け手段112の少なくとも1つのアーム114を有している。
【0257】
アーム114は、殺菌位置に向かって展開あるいは休止位置に向かって折り曲げられるようにモジュールのフレーム116に対して可動式に取り付けられ、固定フレーム116は、共通部22に接続されている。
【0258】
アーム114は、設備10の動作モードすなわち製造または汚染除去モードに応じて選択的に制御される少なくとも1つのアクチュエータ118により移動されることができる。
【0259】
好ましくは、アーム114は、回転軸Aを決定してモジュール110の固定フレーム116に結合されるピボット120を中心として、回転式に取り付けられる。
【0260】
アーム114は、モジュール110の殺菌位置に対応する少なくとも1つの第1の位置と、モジュール110の休止位置に対応する第2の位置との間で前記ピボット120を中心として旋回する。
【0261】
アーム114は、ここでは、図8図9にそれぞれ示した前記第1の位置と第2の位置との間でフレーム116に対して90°旋回する。
【0262】
好ましくは、アクチュエータ118に組み合わされる衝止手段122が、アーム114の前記第1および第2の位置を決定する。
【0263】
吹き付け手段112は、殺菌位置と休止位置との間でアクチュエータ118により移動されるアーム114に対して有利には可動式に取り付けられた支持体124に固定される。
【0264】
好ましくは、支持体124は、アーム114の自由端に90°直交して延びている。
【0265】
支持体124は、フレーム116に対して軸Aを中心としてそれ自体が回転式に取り付けられたアーム114に直交する回転軸Bを中心として、アーム114に対して回転式に取り付けられる。
【0266】
吹き付け手段112を有する支持体124は、モータ等の駆動手段126により前記軸Bを中心として回転駆動されることができる。
【0267】
有利には、殺菌剤の前記吹き付け手段112は、それぞれ少なくとも第1の角度位置P1と第2の角度位置P2との間で軸Bを中心として支持体124により移動される。
【0268】
好ましくは、第1の角度位置P1は、たとえば、横方向の垂直面に対応する0°の基準面に対して20°の角度に対応し、第2の角度位置P2は、前記基準面に対して10°の角度に対応し、前記位置P1とP2は、前記基準面に対して反対方向の回転により到達される。
【0269】
有利には、支持体124の回転は、前記殺菌位置でホイール30の容器12の少なくとも前記搬送上部30Aの殺菌操作時に、走査を実施可能である。
【0270】
好ましくは、衝止手段128がモータ126に組み合わされ、前記第1の角度位置P1と第2の角度位置P2を決定する。
【0271】
殺菌装置100を形成するモジュール110の吹き付け手段112は、前記少なくとも1つの殺菌剤を吹き付け可能な少なくとも1つのノズルを有している。
【0272】
図10から図12に示したように、自動殺菌モジュール110は、それぞれ112A、112B、112Cの参照符号で表わされる少なくとも3個のノズルを有している。
【0273】
各ノズルの位置も、三面角(L、V、T)により決定される空間の少なくとも1つの方向に調整可能で、特に支持体124に対して調整可能である。
【0274】
ノズル112A、112B、112Cは、殺菌すべき表面に応じて位置決めされ、ノズルのうち少なくとも1つは、たとえば前記保持手段36を殺菌するための第1の吹き付け手段を形成し、少なくとも1つの他のノズルは、前記ガイド手段38A、38Bを殺菌するための第2の吹き付け手段を形成する。
【0275】
図11図12は、モジュール110の吹き付け手段112を形成する前記ノズル112A、112B、112Cにより吹き付けられるジェットを特に示している。
【0276】
図11図12は、自動殺菌モジュール110を殺菌位置で示し、展開されているアーム114は、フレーム116と横方向に並べられ、このとき吹き付け手段112の支持体124は、長手方向に直交して延びている。
【0277】
図11では、支持体124が第1の角度位置P1にあり、すなわち前記基準垂直面に対して前方に角度10°だけ傾斜されている。
【0278】
図12では、支持体124が第2の角度位置P2にあり、すなわち前記基準垂直面に対して後方に角度20°だけ傾斜されている。
【0279】
第1の角度位置P1では、吹き付け手段112は、搬送ホイール30の保持手段36を主に殺菌し、第2の角度位置P2では、吹き付け手段112は、ここでは第1のガイド手段38Aと第2のガイド手段38Bとから形成されたガイド手段38を主に殺菌する。
【0280】
ノズル112A、112B、112Cにより吹き付けられた殺菌剤のジェットは、好ましくは、図11図12が示すように全体として平坦なジェットである。
【0281】
殺菌モジュール110により自動的に実施される殺菌操作時に、ホイール上部30A、すなわち重なった3枚のプレートにより形成される保持手段36は、殺菌装置100に対して相対的に移動する。
【0282】
前述のように、有利には、保持手段36は、第2のシャフト54と、連動状態にある第2のクラッチ機構70と、第1のシャフト52の上部52Aと第2のシャフト54との間に介在する係合手段56とを介して動力手段80により回転駆動される。
【0283】
ホイール30の上部30Aの回転駆動により、保持手段36は、殺菌装置100に対して移動し、保持手段36の全体にわたって前記少なくとも1つの殺菌剤の完全な塗布を得ることができる。
【0284】
図示されていない変形実施形態では、自動殺菌モジュール110は、搬送ホイール30に対して、特に休止位置と殺菌位置との間で並進式に取り付けられる。
【0285】
殺菌モジュール110は、搬送ホイール30に対して前進または後退されるよう、前記第1および第2のエンクロージャ14、18の前記共通部22に平行にスライドするために、たとえば駆動手段により動かされるキャリッジを有している。
【0286】
有利には、吹き付け手段112は、殺菌モジュール110の移動とは独立して、こちらも可動式に取り付け可能である。
【0287】
この変形実施形態によれば、自動殺菌モジュール110のキャリッジの駆動手段は、有利には前記殺菌モジュール110の移動がシャッタ手段26による開口部24の開放および閉鎖と同時に実施されるように、開口部24のシャッタ手段26を移動させるか、あるいはその逆に移動させることが可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12