(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6560254
(24)【登録日】2019年7月26日
(45)【発行日】2019年8月14日
(54)【発明の名称】直下型面光源用白色反射フィルムおよびそれを用いた直下型面光源
(51)【国際特許分類】
G02B 5/02 20060101AFI20190805BHJP
G02B 5/08 20060101ALI20190805BHJP
F21V 3/00 20150101ALI20190805BHJP
F21V 7/00 20060101ALI20190805BHJP
F21V 3/04 20180101ALI20190805BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20190805BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20190805BHJP
【FI】
G02B5/02 B
G02B5/08 A
F21V3/00 530
F21V3/00 510
F21V7/00 510
F21V7/00 530
F21V3/04
F21S2/00 484
F21S2/00 482
F21Y115:10
【請求項の数】7
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2016-568356(P2016-568356)
(86)(22)【出願日】2015年12月22日
(86)【国際出願番号】JP2015086587
(87)【国際公開番号】WO2016111234
(87)【国際公開日】20160714
【審査請求日】2017年6月14日
(31)【優先権主張番号】特願2015-302(P2015-302)
(32)【優先日】2015年1月5日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】301020226
【氏名又は名称】帝人フィルムソリューション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100169085
【弁理士】
【氏名又は名称】為山 太郎
(72)【発明者】
【氏名】倉垣 雅弘
(72)【発明者】
【氏名】浅井 真人
(72)【発明者】
【氏名】岡田 真一郎
【審査官】
小西 隆
(56)【参考文献】
【文献】
特表2007−501423(JP,A)
【文献】
国際公開第2010/073611(WO,A1)
【文献】
特開2005−332828(JP,A)
【文献】
特開2012−137618(JP,A)
【文献】
特開2008−226928(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/00 − 5/136
G02B 5/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
反射層Aと、樹脂を主たる構成成分とし粒子を含有する表面層Bとを有する反射フィルムであって、表面層Bの表面において、入射角85度の光沢度が9以上、16未満であり、さらに、入射角60度の光沢度が17以上、25未満である、レンズキャップを備える光源を有する直下型面光源用白色反射フィルム。
【請求項2】
上記レンズキャップが反射型レンズキャップである、請求項1に記載の直下型面光源用白色反射フィルム。
【請求項3】
反射層Aがボイドを含有し、そのボイド体積率が15体積%以上、70体積%以下である、請求項1または2に記載の直下型面光源用白色反射フィルム。
【請求項4】
直下型面光源が、光源がLED光源であり、該LED光源を反射フィルムの上に配置してなる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の直下型面光源用白色反射フィルム。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の白色反射フィルムを用いた、レンズキャップを備える光源を有する直下型面光源。
【請求項6】
上記レンズキャップが反射型レンズキャップである、請求項5に記載の直下型面光源。
【請求項7】
上記光源がLED光源である、請求項5または6に記載の直下型面光源。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直下型面光源の反射板として好適に用いられる白色反射フィルムおよびそれを用いた直下型面光源に関する。特に、液晶表示装置の直下型面光源の反射板として好適に用いられる白色反射フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置(LCD)のバックライトユニットには、液晶表示パネルの背面に光源および反射フィルムを備える直下型と、液晶表示パネルの背面に、背面に反射板を備えた導光板を配し、かかる導光板の側面に光源を備えるエッジライト型とがある。従来、大型のLCDに用いられるバックライトユニットとしては、画面の明るさおよび画面内の明るさの均一性に優れるといった観点から、光源としてCCFLを用いた直下型CCFLバックライトユニットが主に用いられ、エッジライト型は、ノート型PC等比較的小型のLCDによく用いられていたが、近年、光源や導光板の発展により、エッジライト型のバックライトユニットでも明るさおよび画面内の明るさの均一性が向上し、比較的小型のもののみならず、大型のLCDにおいてもエッジライト型のバックライトユニットが用いられるようになってきた。これにより、LCDを薄くできるというメリットがある。かかるエッジライト型のバックライトユニットとしては、光源として発光ダイオード(LED)を用いたエッジライト型LEDバックライトユニットがよく用いられている。
そして更に近年は、消費電力の削減や導光板の省略によるコストダウン等の理由から、光源としてLEDを用いた直下型バックライトユニット(直下型LEDバックライトユニット)が用いられるようになってきた(特許文献1、2)。このような直下型LEDバックライトユニットは、一般的に、反射板とほぼ同一平面上にLED光源が配される態様となる。
直下型LEDバックライトユニットにおいては、消費電力、製造コストを抑制するために、できるだけLED間の距離を広くとり、使用するLEDの個数を少なくする配置が望ましい。しかしながら、LED間の距離を広くすると、表示装置においてLED上に対応する箇所が明るくなり、LED間に対応する箇所が暗くなるなどの輝度斑が生じやすくなるという問題がある。また、LEDの個数を少なくすると、LEDの光がバックライトユニットの周辺部分まで届きにくくなるため、画面の周辺部が暗くなり易く、輝度斑になるという問題がある。
そこで、これらの輝度斑を抑制するために、レンズシートや拡散シートを複数枚積層して使用したり(例えば特許文献3、4)、LED光源から拡散ボードまでの距離を広く取るような構造にする方法が提案されているが、前者では光のロスが大きくなる傾向にあり輝度が低下するという問題があり、また、後者ではバックライトユニットが厚くなるため、表示装置としての意匠性に劣るという問題がある。
なお、CCFL光源を用いた直下型バックライトユニットにおける輝度斑抑制の技術としては、凹凸状の表面を備える反射フィルムが提案されている(特許文献5、6)。
【特許文献1】特開2012−204336号公報
【特許文献2】特開2010−210891号公報
【特許文献3】特開2012−242764号公報
【特許文献4】特開2012−94266号公報
【特許文献5】特開2010−266801号公報
【特許文献6】特開2006−318724号公報
【発明の開示】
【0003】
一方、直下型LEDバックライトユニットにおいては、上述したようにLED光源は反射フィルムとほぼ同一平面上の反射フィルムの上にあるため、従来の直下型CCFLバックライトユニットとは光源と反射フィルムの相対的位置が異なる。具体的には、直下型LEDバックライトユニットにおいては光源と反射フィルムとの距離が近くなる。そのため、直下型LEDバックライトユニットにおける輝度斑抑制については、従来直下型CCFLバックライトユニットで提案されてきた輝度斑抑制の技術では不十分な場合があることを本発明者らは見出し、それに着目した。
さらに、このような輝度斑に係る課題に対しては、光源(LED光源)と組み合わせて使用されるレンズキャップの改良によっても検討がなされている。
例えば、反射型(広角拡散型ともいう)レンズキャップは、光源(LED光源)からLCD前面方向に向けて照射された光が、副たる少量の一部の光はそのままLCD前面方向に取り出されると同時に、主たる光を、レンズキャップを通過する際に背面側に反射させ、光源よりも背面側に備えられた反射フィルムに導き、そこで再度前面方向に反射させて前面方向に光を取り出すことによって、光源の有るところと無いところとの輝度差を低減して、輝度斑を抑制するものである。
また、上方拡散型レンズキャップは、光源からLCD前面方向に向けて照射された光が、一部はそのままLCD前面方向に取り出されると同時に、残りの一部の光を、レンズキャップに当たった際に反射させてレンズキャップ内に戻し、レンズキャップ内の底面に備えられたプリズム形状等を有する拡散反射板等にて光を拡散しながら再度前面方向に反射する機能を備えたものであり、それにより反射光の拡散成分を増加させて、輝度斑を抑制するものである。
しかしながら、例えば反射型レンズキャップを用いた場合においては、レンズキャップ通過時に背面側に反射された光は、反射フィルムには浅い角度(大きい入射角)で入射することとなり、上述したように反射フィルムへの入射光の状況は光源としてCCFLを用いた場合とは大きく異なるものであるため、従来のCCFL光源における輝度斑抑制技術では不十分な場合があり、輝度斑抑制効果が劣る場合があることを本発明者らは見出し、これに着目した。
本発明は、上記背景技術に鑑み、光源としてレンズキャップ(特に反射型レンズキャップ)を備えた光源を有する直下型面光源用として用いるに際して、好適に輝度斑を抑制することができる白色反射フィルムを提供することを目的とする。
本発明者らは、光源としてレンズキャップ(特に反射型レンズキャップ)を備えた光源を用いた、光源と反射フィルムとの距離が近い直下型面光源においては、反射フィルムに対して浅い角度で光が入射することとなり、従来の反射フィルムでは入射角が浅い場合の反射光の拡散性が小さく、このために輝度斑が発生していることを見出し、着目した。すなわち、近年の直下型LEDバックライトユニット(上述したようなレンズキャップを用いたものも含む。)は、反射フィルムに対する光の入射角は、約60°の成分が主となるが、従来の反射フィルムではこのような浅い角度で入射する光の反射光の拡散性は低く鏡面反射的となるために、そのような反射光が選択的に一部分を照射することとなり、具体的には光源(LED光源)周辺部が明るくなる輝度斑が生じやすいというメカニズムを考えた。
一方、バックライトユニットの周辺部は、光源からの距離が長く光が届きにくいために、周辺部が暗くなる輝度斑が生じやすいというメカニズムも考えられる。この周辺部の輝度斑を抑制するには、反射フィルムに対してより浅い角度(大きい入射角)で入射する光については、できるだけ拡散させずに遠方まで反射させることが有効であると考えた。
そして、本発明者らは、反射層の表面に粒子を含有する表面層を備え、かかる表面層の光沢度の態様を特定の態様とすることで、上記のようなレンズキャップを用いた場合の、光源と光源の間における輝度斑(光源間輝度斑)およびバックライトユニット周辺部における輝度斑が同時に抑制できることを見出し、本発明に到達した。
すなわち本発明は、上記課題を達成するために、以下の構成を採用するものである。
1.反射層Aと、樹脂を主たる構成成分とし粒子を含有する表面層Bとを有する反射フィルムであって、表面層Bの表面において、入射角85度の光沢度が
9以上、16未満であり、さらに、入射角60度の光沢度が17以上、
25未満である、レンズキャップを備える光源を有する直下型面光源用白色反射フィルム。
2.上記レンズキャップが反射型レンズキャップである、上記1に記載の直下型面光源用白色反射フィルム。
3.反射層Aがボイドを含有し、そのボイド体積率が15体積%以上、70体積%以下である、上記1または2に記載の直下型面光源用白色反射フィルム。
4.直下型面光源が、光源がLED光源であり、該LED光源を反射フィルムの上に配置してなる、上記1〜3のいずれか1に記載の直下型面光源用白色反射フィルム。
また、本発明は、以下も包含する。
5.上記1〜4のいずれか1に記載の白色反射フィルムを用いた、レンズキャップを備える光源を有する直下型面光源。
6.上記レンズキャップが反射型レンズキャップである、上記5に記載の直下型面光源。
7.上記光源がLED光源である、上記5または6に記載の直下型面光源。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図1は、光源と反射板との配置の一例を表す模式図である。
図2は、光源と反射板との配置の一例を表す模式図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
本発明の白色反射フィルムは、反射層Aと表面層Bとを有する。
以下、本発明を構成する各構成成分について詳細に説明する。
[反射層A]
本発明における反射層Aは、適した反射特性を奏すれば限定されないが、特には熱可塑性樹脂とボイド形成剤とからなり、ボイド形成剤を含有させることによって層中にボイドを含有し、白色を呈するようにした層である。かかるボイド形成剤としては、詳細は後述するが、例えば無機粒子、該反射層Aを構成する熱可塑性樹脂とは非相溶の樹脂(以下、非相溶樹脂と呼称する場合がある。)を用いることができる。また、反射層Aの波長550nmにおける反射率は、好ましくは95%以上、さらに好ましくは96%以上、特に好ましくは97%以上である。これにより白色反射フィルムの反射率を好ましい範囲としやすくなる。
反射層Aは、上述のとおり、好ましくは層中にボイドを有するものであるが、かかるボイドの体積が反射層Aの体積に対して占める割合(ボイド体積率)は15体積%以上、70体積%以下であることが好ましい。このような範囲とすることで反射率の向上効果を高くすることができ、上記のような反射率が得やすくなる。また、製膜延伸性の向上効果を高くすることができる。ボイド体積率が低すぎる場合は、好ましい反射率が得難くなる傾向にある。このような観点から、反射層Aにおけるボイド体積率は、さらに好ましくは30体積%以上、特に好ましくは40体積%以上である。他方、高すぎる場合は、製膜延伸性の向上効果が低くなる傾向にある。このような観点から、反射層Aにおけるボイド体積率は、さらに好ましくは65体積%以下、特に好ましくは60体積%以下である。
ボイド体積率は、反射層Aにおけるボイド形成剤の種類や大きさ、量を調整することにより達成することができる。
(熱可塑性樹脂)
反射層Aを構成する熱可塑性樹脂としては、例えばポリエステル、ポリオレフィン、ポリスチレン、アクリルからなる熱可塑性樹脂を挙げることができる。中でも、機械的特性および熱安定性に優れた白色反射フィルムを得る観点から、ポリエステルが好ましい。
かかるポリエステルとしては、ジカルボン酸成分とジオール成分とからなるポリエステルを用いることが好ましい。このジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸等に由来する成分を挙げることができる。ジオール成分としては、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,6−ヘキサンジオール等に由来する成分を挙げることができる。これらのポリエステルのなかでも芳香族ポリエステルが好ましく、特にポリエチレンテレフタレートが好ましい。ポリエチレンテレフタレートはホモポリマーであってもよいが、フィルムを1軸あるいは2軸に延伸する際に結晶化が抑制されて製膜延伸性の向上効果が高くなる点から、共重合ポリマーが好ましい。共重合成分としては、上記のジカルボン酸成分やジオール成分が挙げられるが、耐熱性が高く、製膜延伸性の向上効果が高いという観点から、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸に由来する成分が好ましい。共重合成分の割合は、ポリエステルの全ジカルボン酸成分100モル%を基準として、例えば1〜20モル%、好ましくは2〜18モル%、さらに好ましくは3〜15モル%、特に好ましくは7〜11モル%である。共重合成分の割合をこの範囲とすることによって、製膜延伸性の向上効果に優れる。また、熱寸法安定性に優れる。
(ボイド形成剤)
反射層Aにおいて、ボイド形成剤として無機粒子を用いる場合、無機粒子としては、白色無機粒子が好ましい。この白色無機粒子としては、硫酸バリウム、二酸化チタン、二酸化珪素、炭酸カルシウムの粒子を例示することができる。これら無機粒子は、白色反射フィルムが適切な反射率を有するように平均粒子径や含有量を選択すればよく、これらは特に限定はされない。好ましくは、反射層Aや白色反射フィルムの反射率が本発明における好ましい範囲となるようにすればよい。また、反射層Aにおけるボイド体積率が本発明における好ましい範囲となるようにすればよい。これらのことを勘案して、無機粒子の平均粒子径は、例えば0.2〜3.0μm、好ましくは0.3〜2.5μm、さら好ましくは0.4〜2.0μmである。またその含有量は、反射層Aの質量を基準として20〜60質量%が好ましく、25〜55質量%がさらに好ましく、最も好ましくは31〜53質量%である。また、上述のような粒子の態様を採用することにより、ポリエステル中で適度に分散させることが可能であり、粒子の凝集が起こり難く、粗大突起のないフィルムを得ることができ、また同時に、粗大粒子が起点となる延伸時の破断も抑制される。無機粒子は、どのような粒子形状でもあってもよく、例えば、板状、球状であってもよい。無機粒子は、分散性を向上させるための表面処理を行ってあってもよい。
ボイド形成剤として非相溶樹脂を用いる場合、非相溶樹脂としては、層を構成する熱可塑性樹脂と非相溶であれば特に限定されない。例えば、かかる熱可塑性樹脂がポリエステルである場合は、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン、シクロオレフィン、ポリスチレン、ポリメチルペンテンなどが好ましい。これらは粒子の態様でもよい。また、その含有量は、無機粒子の場合と同様に、白色反射フィルムが適切な反射率を有するように、平均粒子径や含有量を選択すればよく、これらは特に限定はされない。好ましくは、反射層Aや白色反射フィルムの反射率が本発明における好ましい範囲となるようにすればよい。また、反射層Aにおけるボイド体積率が本発明における好ましい範囲となるようにすればよい。これらのことを勘案して、含有量は、反射層Aの質量を基準として10〜50質量%が好ましく、12〜40質量%が更に好ましく、最も好ましくは13〜35質量%である。
(その他の成分)
反射層Aは、本発明の目的を阻害しない限りにおいて、その他の成分、例えば紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、有機または無機の蛍光体、蛍光増白剤、ワックス、ボイド形成剤とは異なる粒子や樹脂等を含有することができる。
[表面層B]
以下、本発明における表面層Bについて詳述する。
本発明における表面層Bは、樹脂を主たる構成成分とし粒子を含有する層である。そして、該表面層Bの表面(反射層Aとは反対側の表面)には、該粒子により突起が形成され、かかる突起によって特定角度における光沢度(これは、特定角度における反射光の拡散性を示す。)が特定の範囲になっている。なお、ここで「主たる構成成分」とは、表面層Bにおいて樹脂以外の必須成分および任意成分を含有しその余の量であることを表す。例えば、表面層Bの質量に対して、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上である。
(光沢度)
本発明においては、表面層Bの表面において、光沢度測定装置を用いて反射光解析を実施し、入射角60°のときの光沢度が17以上、50未満である。このような態様とすることで、入射した光の反射光に適切な拡散性を付与することができ、それにより光源近傍部の輝度斑(光源近傍が明部となり、光源と光源の間が暗部となる輝度斑)を抑制することができる。入射角60°のときの光沢度が大きい場合には、浅い角度で入射する光について、その反射光の拡散性が不足し、光源(LED光源)からの光が正反射に近い状態で反射してしまい、それにより光源近傍部が明るくなり輝度斑が生じてしまう。上記観点から、入射角60°のときの光沢度は、好ましくは40未満、より好ましくは35未満、さらに好ましくは30未満、特に好ましくは25未満、最も好ましくは22以下である。また、かかる光源近傍部の輝度斑を抑制するためには、入射角60°のときの光沢度は小さいことが好ましいが、小さすぎると、バックライトユニット周辺部まで光が届きにくくなり暗くなるため、バックライトユニット周辺部の輝度斑(該周辺部が暗部となる輝度斑)が大きくなる。そのため、入射角60°のときの光沢度の下限は、好ましくは18である。
一方、本発明においては、上記バックライトユニット周辺部の輝度斑を抑制するため、入射角85°のときの光沢度を3以上、16未満とする。このような態様とすることで、より浅い角度で入射した光の反射光の拡散性を適度に抑制することができ、それにより上記したバックライトユニット周辺部の輝度斑を抑制することができる。入射角85°のときの光沢度が小さい場合には、より浅い角度で入射する光について、その反射光の拡散性が大き過ぎ、光源(LED光源)からの光がほとんど拡散し、バックライトユニットの周辺部まで届きにくくなってしまい、それによってバックライトユニット周辺部が暗部となる輝度斑が生じてしまう。上記観点から、入射角85°のときの光沢度は、好ましくは5以上であり、より好ましくは7以上であり、さらに好ましくは8以上であり、特に好ましくは9以上である。また、かかるバックライトユニット周辺部の輝度斑を抑制するためには、入射角85°の光沢度は大きい方が良いものの、大きすぎると多量の光が周辺まで届き、逆に明るくなりすぎるという問題が発生する。さらに、光源近傍部での輝度斑(光源近傍が明部となる輝度斑)が大きくなる傾向となるため、入射角85°の光沢度の上限は、好ましくは15であり、より好ましくは14であり、さらに好ましくは13である。
表面層Bにおける表面光沢度の態様を上記態様にするには、後述のような粒子の態様や製法を採用したりすることが挙げられる。また、表面層Bの形成は、共押出法やラミネート法で積層したり、コーティングにより積層したりする方法が挙げられる。さらに、表面に、適したプラズマ処理などの表面処理を行うことで上記態様を満たす表面を形成することもできる。
(樹脂)
本発明における表面層Bを構成する樹脂としては、熱可塑性樹脂が好ましい。
表面層Bを構成する熱可塑性樹脂としては、上述した反射層Aを構成する熱可塑性樹脂と同様の熱可塑性樹脂を用いることができる。中でも、機械的特性および熱安定性に優れた白色反射フィルムを得る観点から、ポリエステルが好ましい。また、表面層Bを塗布法によって形成する場合は、かかる熱可塑性樹脂としてアクリル樹脂も好ましく用いることができる。
かかるポリエステルとしては、上述の反射層Aにおけるポリエステルと同様のポリエステルを用いることができる。これらのポリエステルのなかでも、機械的特性および熱安定性に優れる白色反射フィルムを得る観点から、芳香族ポリエステルが好ましく、特にポリエチレンテレフタレートが好ましい。ポリエチレンテレフタレートはホモポリマーであってもよいが、フィルムを1軸あるいは2軸に延伸する際に結晶化が抑制されて製膜延伸性の向上効果が高くなる点から共重合ポリマーが好ましい。かかる共重合成分としては、反射層Aの項で上記したジカルボン酸成分やジオール成分が挙げられるが、耐熱性が高く、製膜延伸性の向上効果が高いという観点から、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸に由来する成分が好ましい。共重合成分の割合は、ポリエステルの全ジカルボン酸成分100モル%を基準として、例えば1〜20モル%、好ましくは2〜18モル%、さらに好ましくは3〜17モル%、特に好ましくは12〜16モル%である。共重合成分の割合をこの範囲とすることによって、製膜延伸性の向上効果に優れる。また、熱寸法安定性に優れる。
また、本発明における表面層Bは、上記の熱可塑性樹脂と共に架橋剤を用いて、架橋構造を有していてもよい。その場合は、架橋剤の反応性基と反応し得る官能基を有する熱可塑性樹脂を用いて、架橋剤と熱可塑性樹脂とによる架橋構造を形成してもよいし、架橋剤の反応性基と反応し得る官能基を有しない熱可塑性樹脂を用いて、熱可塑性樹脂のマトリックスと、架橋剤が架橋した架橋構造のマトリックスとを有する態様でもよい。架橋構造を有すると、表面層Bの強度が向上する傾向にある。一方、架橋構造を多く有しすぎると、フィルムの回収性に劣る傾向となるため、かかる観点においては架橋構造を多くし過ぎないことが好ましい。
表面層Bは、フィルムの製造中あるいは製造後に塗液の塗布によって形成することもできるし、例えば共押出法等を採用し、反射層Aと同時に形成してもよい。上述のように表面層Bが架橋構造を有するには、塗液の塗布によって形成するのが好ましい。架橋剤の含有量としては、上記のような観点から、塗液を構成する固形分を基準として、好ましくは35質量%以下、より好ましくは30質量%以下、さらに好ましくは25質量%以下、特に好ましくは20質量%以下である。また、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上、さらに好ましくは3質量%以上、特に好ましくは5質量%以上である。
フィルムの製造後に塗液の塗布によって表面層Bを形成する場合の態様の一例として、粒子、樹脂(好ましくは熱可塑性樹脂)、任意成分としての架橋剤やその他の成分を溶媒に分散または溶解させて得られた、表面層Bを形成するための塗液を、コーティング装置を用いてフィルムに所定量塗工し、温度70〜120℃、好ましくは段階的に昇温設定したオーブンにより乾燥させて表面層Bを形成する態様を挙げることができる。かかるコーティング装置としては、例えばダイコーティング装置やグラビアロールコーティング装置を用いることができる。また、溶媒としては、メチルエチルケトン(MEK)、酢酸エチル、トルエン等を用いることができる。塗液の固形分濃度としては、20〜50質量%が好ましく、これにより粒子の凝集を抑制しやすくなり、粒子脱落の抑制効果を高くすることができる。
(粒子)
本発明においては、表面層Bの表面において上述した光沢度の態様(反射光の拡散性)を満足することが肝要である。このような態様を満足すれば、粒子の平均粒子径や含有量については特に限定されないが、以下のような態様を好ましい態様として挙げることができる。
表面層Bに用いる粒子としては、平均粒子径が0.5μm以上、20.0μm未満であることが好ましい。このような態様とすることで、上述した表面光沢度の態様を満足し易くなる。平均粒子径が小さすぎると高さの高い突起が形成し難くなる傾向にあり、より浅い角度から入射する光の反射光の拡散性が小さくなる(入射角85°の光沢度が大きくなる)傾向にあり、これに起因する上述の輝度斑が生じ易くなる傾向にある。かかる観点から、粒子の平均粒子径は、より好ましくは1.0μm以上、さらに好ましくは1.5μm以上、さらに好ましくは2.0μm以上、特に好ましくは3.0μm以上である。他方、使用する粒子が大きすぎるとより上方から入射する光に対する拡散性が小さくなる(入射角60°の光沢度が大きくなる)傾向にあり、これに起因する上述の輝度斑が生じ易くなる傾向にある。さらに、表面層Bから粒子が脱落し易くなる傾向にあり、脱落してしまうと全体的に反射光の拡散性が小さくなる傾向にある。かかる観点から、より好ましくは18μm以下、さらに好ましくは17μm以下、さらに好ましくは15μm以下、特に好ましくは13μm以下である。
また、表面層B表面における上記表面光沢度の態様をより満足し易くするために、表面層Bにおける粒子の含有量は、表面層Bの体積を基準として3〜50体積%であることが好ましい。含有量が少なすぎると表面拡散性が全体的に小さくなってしまう(入射角60°の光沢度も入射角85°の光沢度も高くなる)傾向にあり、これに起因する上述の輝度斑が生じ易くなる傾向にある。かかる観点から、含有量は、より好ましくは10体積%以上、さらに好ましくは15体積%以上、特に好ましくは20体積%以上、最も好ましくは25体積%以上であり、また、より好ましくは45体積%以下、さらに好ましくは40体積%以下、さらに好ましくは35体積%以下、特に好ましくは30体積%以下である。
本発明において表面層Bに用いられる粒子は、その種類を問わず有機粒子であっても、無機粒子であっても、有機無機複合粒子であってもよい。より具体的に、特に好ましい態様について説明すると、好ましい有機粒子としては、例えばポリテトラフルオロエチレンのようなフッ素含有樹脂粒子、高耐熱ナイロン粒子、高耐熱アクリル粒子等が挙げられる。また、好ましい無機粒子としては、酸化チタン粒子、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、酸化亜鉛粒子、酸化ジルコニウム粒子、酸化アルミニウム粒子、シリカ粒子等が挙げられる。中でも、凝集粒子が好ましく、さらに凝集無機粒子が好ましく、特に凝集シリカ粒子が好ましい。このような好ましい粒子の採用によって、本発明が規定する表面光沢度の態様をより達成し易くなる。
本発明においては、粒子として凝集粒子を採用することで、凝集粒子中においても光の拡散が望めることから、入射角の浅い光の反射光の拡散性を適切に向上し易くなり、すなわち入射角60°の光沢度および入射角85°の光沢度をより適切に低くし易くなるため好ましい。また、凝集粒子の採用によって、製膜延伸時の破断不良をより抑制したり、自己回収原料を利用してフィルムを生産する際の破断不良や光学特性への影響を抑制したりする効果もある。
また、上記の無機粒子および高耐熱ナイロン粒子、高耐熱アクリル粒子は、加熱加工しても溶融やガス発生しにくいという効果も有する。さらに、表面層Bの形成の際に粒度分布や形状に変化が生じ難いという点からも好ましい。
(その他の成分)
表面層Bは、上記構成成分以外の成分を、本発明の目的を阻害しない範囲において含有していてもよい。かかる成分としては、例えば紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、有機または無機の蛍光体、蛍光増白剤、ワックス、上記粒子とは異なる粒子や上記樹脂とは異なる樹脂等を挙げることができる。
また、表面層Bは、本発明の目的を阻害しない範囲において、反射層Aにおいて挙げたボイド形成剤を含有していてもよく、そのような態様とすることで反射率の向上効果を高くすることができる。その反面、表面層Bにおけるボイド形成剤の含有量を少なくするか、ボイド形成剤を含有しないと、製膜延伸性の向上効果を高くすることができる。これらの観点から、表面層Bにおけるボイド体積率(表面層Bの体積に対する表面層Bにおけるボイドの体積の割合)は、0体積%以上、15体積%未満であることが好ましく、さらに好ましくは5体積%以下、特に好ましくは3体積%以下である。特に本発明においては、反射特性と製膜延伸性の向上効果を同時に高めることができることから、上述した反射層Aにおける好ましいボイド体積率と、かかる表面層Bにおける好ましいボイド体積率とを同時に採用することが特に好ましい。
[層構成]
本発明における反射層Aの厚みは、80〜300μmであることが好ましい。これにより反射率の向上効果を高くすることができる。薄すぎると反射率の向上効果が低く、他方厚すぎることは非効率である。このような観点から、さらに好ましくは150〜250μmである。
また、表面層Bの厚み(複数有する場合は、光源側であり反射面となる最外層を形成する1層の厚み)は、5〜70μmであることが好ましい。これにより、上述した好ましい態様の粒子と合わせて、表面層Bの表面光沢度の態様をより好ましくし易くなり、それにより輝度斑抑制の向上効果がさらに高まる傾向にある。また、実際の使用に際して熱たわみや収縮などによる不具合が出にくくなる。表面層Bが薄すぎると、表面層Bの表面に形成した突起中の粒子の脱落が発生しやすくなる傾向にあり、脱落してしまうと反射光の拡散性が小さくなる傾向にある。また、製膜延伸性が低下する傾向にある。他方、厚すぎると突起が形成され難くなる傾向にあり、浅い角度の反射光の拡散性が低下する傾向にあり、上述した入射角60°の光沢度および入射角85°の光沢度が達成し難くなる傾向にある。また、反射率が低くなる傾向にある。かかる観点から、より好ましくは10μm以上、さらに好ましくは15μm以上、特に好ましくは18μm以上であり、また、より好ましくは60μm以下、さらに好ましくは50μm以下、さらに好ましくは40μm以下、特に好ましくは30μm以下である。
本発明においては、表面層Bの形成方法として、好ましくは共押出法およびラミネート法と、塗布法(後述の各種コーティング法)とを挙げることができる。上述したより好ましい突起の態様が得られ、本発明の光沢度の態様を達成しやすい観点に加えて、それぞれの方法の工程適正を考慮すると、共押出法においては、表面層Bのより好ましい厚み範囲は上述と同様である。また、塗布法においては、より好ましくは6μm以上、さらに好ましくは6.5μm以上であり、また、より好ましくは10μm以下、さらに好ましくは8μm以下である。
白色反射フィルムの積層構成は、反射層AをA、表面層BをBと表わした際に、B/Aの2層構成、B/A/Bの3層構成、B/A/B’/Aの4層構成(ここでB’は表面層Bと同様の構成の内層B’を表わす。)、またBを少なくともいずれか片方の最外層に配した5層以上の多層構成を挙げることができる。特に好ましくはB/Aの2層構成、B/A/Bの3層構成である。最も好ましくはB/A/Bの3層構成であり、製膜延伸性により優れる。また、カール等の問題が生じ難い。
反射層Aおよび表面層Bは、特に表面層Bを共押出法やラミネート法で形成するに際しては、白色反射フィルム全体の厚みを100%とした際に、反射層Aの厚み比率が、好ましくは50〜95%、より好ましくは60〜90%、さらに好ましくは70〜90%であって、また、表面層Bの厚み比率が、好ましくは5〜50%、より好ましくは10〜40%、さらに好ましくは10〜30%である。これにより、工程適正を良好にしながら反射特性や製膜延伸性等の各特性のバランスをより良くすることができる。また、塗布法で形成するに際しては、反射層Aの厚み比率が、好ましくは90〜99%、より好ましくは92〜98%、さらに好ましくは93〜97%であり、また、表面層Bの厚み比率が、好ましくは1〜10%、より好ましくは2〜8%、さらに好ましくは3〜7%である。これにより、工程適正を良好にしながら反射特性の向上効果を高くすることができる。ここで各層の厚み比率は、各層を複数有する場合は、それらの積算厚みどうしの比率をいう。
本発明においては、反射層Aと表面層B以外に、本発明の目的を損なわない限りにおいて他の層を有していてもよい。例えば、帯電防止性や導電性、紫外線耐久性等の機能を付与するための層を有していてもよい。また、フィルムの製膜延伸性を向上させるための、ボイド体積率の比較的低い(好ましくは0体積%以上、15体積%未満、さらに好ましくは5体積%以下、特に好ましくは3体積%以下である)支持層Cを設けることもできる。
[フィルムの製造方法]
以下、本発明の白色反射フィルムを製造する方法の一例を説明する。
本発明の白色反射フィルムを製造するに際しては、溶融押出法等によって得られた反射層Aに、溶融樹脂コーティング法(溶融押出樹脂コーティング法を含む)、塗液コーティング法(インラインコーティング法及びオフラインコーティング法を含む)、共押出法およびラミネート法等により表面層Bを形成し、積層構成を形成することが、製膜延伸性の観点から好ましい。なかでも、本発明の白色反射フィルムは、反射層Aと表面層Bとを共押出法により積層して製造されたものであることが特に好ましい。また、反射層Aと表面層Bとは、共押出法により直接積層されていることが好ましい。このように共押出法で積層することによって、反射層Aと表面層Bとの界面密着性を高くすることができる上、フィルムを貼り合わせたり、フィルムの製膜後に改めて表面層Bを形成したりするための工程を経る必要が無いため、安価に、容易に量産できる。
以下に、反射層Aを構成する熱可塑性樹脂および表面層Bを構成する熱可塑性樹脂としてポリエステルを採用し、積層方法として共押出法を採用した場合の製法について説明するが、本発明はかかる製法に限定はされず、また下記を参考に他の態様についても同様に製造することができる。その際、押出工程を含まない場合は、以下の「溶融押出温度」は、例えば「溶融温度」と読み替えればよい。なお、ここで、用いるポリエステルの融点をTm(単位:℃)、ガラス転移温度をTg(単位:℃)とする。
まず、反射層Aを形成するためのポリエステル組成物として、ポリエステルと、ボイド形成剤と、他の任意成分を混合したものを用意する。また、表面層Bを形成するためのポリエステル組成物として、ポリエステルと、粒子と、他の任意成分を混合したものを用意する。これらポリエステル組成物は、乾燥して十分に水分を除去して用いる。
次に、乾燥したポリエステル組成物を、それぞれ別の押出機に投入し、溶融押出する。溶融押出温度は、Tm以上が必要であり、Tm+40℃程度とすればよい。
またこのとき、フィルムの製造に用いるポリエステル組成物、特に反射層Aに用いるポリエステル組成物は、線径15μm以下のステンレス鋼細線よりなる平均目開き10〜100μmの不織布型フィルターを用いて濾過を行うことが好ましい。この濾過を行うことで、通常は凝集して粗大凝集粒子となりやすい粒子の凝集を抑え、粗大異物の少ないフィルムを得ることができる。なお、不織布の平均目開きは、好ましくは20〜50μm、さらに好ましくは15〜40μmである。濾過したポリエステル組成物は、溶融した状態でフィードブロックを用いた同時多層押出法(共押出法)により、ダイから多層状態で押し出し、未延伸積層シートを製造する。ダイより押し出された未延伸積層シートを、キャスティングドラムで冷却固化し、未延伸積層フィルムとする。
次いで、この未延伸積層フィルムをロール加熱、赤外線加熱等で加熱し、製膜機械軸方向(以下、縦方向または長手方向またはMDと呼称する場合がある。)に延伸して縦延伸フィルムを得る。この延伸は2個以上のロールの周速差を利用して行うのが好ましい。縦延伸後のフィルムは、続いてテンターに導かれ、縦方向と厚み方向とに垂直な方向(以下、横方向または幅方向またはTDと呼称する場合がある。)に延伸して、二軸延伸フィルムとする。
延伸温度としては、ポリエステル(好ましくは反射層Aを構成するポリエステル)のTg以上、Tg+30℃以下の温度で行うことが好ましく、製膜延伸性により優れ、またボイドが好ましく形成されやすい。また、延伸倍率としては、縦方向、横方向ともに、好ましくは2.5〜4.3倍、さらに好ましくは2.7〜4.2倍である。延伸倍率が低すぎるとフィルムの厚み斑が悪くなる傾向にあり、またボイドが形成されにくい傾向にあり、他方高すぎると製膜中に破断が発生し易くなる傾向にある。なお、縦延伸を実施しその後横延伸を行うような逐次2軸延伸の際には、2段目(この場合は、横延伸)は1段目の延伸温度よりも10〜50℃程度高くする事が好ましい。これは1段目の延伸で配向した事により1軸フィルムとしてのTgがアップしている事に起因する。
また、各延伸の前にはフィルムを予熱することが好ましい。例えば、横延伸の予熱処理はポリエステル(好ましくは反射層Aを構成するポリエステル)のTg+5℃より高い温度から始めて、徐々に昇温するとよい。横延伸過程での昇温は連続的でも段階的(逐次的)でもよいが通常逐次的に昇温する。例えば、テンターの横延伸ゾーンをフィルム走行方向に沿って複数に分け、ゾーン毎に所定温度の加熱媒体を流すことで昇温する。
二軸延伸後のフィルムは、続いて、熱固定、熱弛緩の処理を順次施して二軸配向フィルムとするが、溶融押出から延伸に引き続いて、これらの処理もフィルムを走行させながら行うことができる。
二軸延伸後のフィルムは、クリップで両端を把持したままポリエステル(好ましくは反射層Aを構成するポリエステル)の融点をTmとして(Tm−20℃)〜(Tm−100℃)で、定幅または10%以下の幅減少下で熱処理して、熱固定し、熱収縮率を低下させるのがよい。かかる熱処理温度が高すぎるとフィルムの平面性が悪くなる傾向にあり、厚み斑が大きくなる傾向にある。他方低すぎると熱収縮率が大きくなる傾向にある。
かかる熱固定工程においては、以下のような条件を採用することが、本発明が規定する入射角60°の光沢度および入射角85°の光沢度を満足するために好ましい。すなわち本発明においては、熱固定工程において(Tm−100℃)〜(Tm−50℃)で第1熱処理を行い、(Tm−50℃)〜(Tm−20℃)で熱固定を行い、(Tm−100℃)〜(Tm−50℃)で第2熱処理を行い、これらを連続的に行うと共に、熱固定温度が第1熱処理温度および第2熱処理温度よりも30℃以上高い条件を採用することが好ましい。なお、ここでTmはポリエステル(好ましくは表面層Bを構成するポリエステル)の融点である。上述した好ましい粒子の態様と併せて、このように第1熱処理から熱固定にかけて急速に温度を上昇させ、かつ、熱固定から第2熱処理にかけて急速に温度を低下させることで、望ましい表面形態が得易くなり、上述した光沢度を達成し易くなる。熱固定温度と第1熱処理温度との温度差は、好ましくは40℃以上高い、より好ましくは50℃以上高い条件であり、そのとき第1熱処理温度は好ましくは(Tm−100℃)〜(Tm−60℃)、より好ましくは(Tm−100℃)〜(Tm−70℃)の範囲である。また、熱固定温度と第2熱処理温度との温度差は、好ましくは40°以上高い、より好ましくは50℃以上高い条件であり、そのとき第2熱処理温度は好ましくは(Tm−100℃)〜(Tm−60℃)、より好ましくは(Tm−100℃)〜(Tm−70℃)の範囲である。第1熱処理時間、熱固定時間、第2熱処理時間は、それぞれ独立して、1〜60秒間が好ましく、2〜45秒間がより好ましく、3〜30秒間がさらに好ましく、上述した光沢度をより達成し易くなる。
また、熱収縮量を調整するために、把持しているフィルムの両端を切り落し、フィルム縦方向の引き取り速度を調整し、縦方向に弛緩させることができる。弛緩させる手段としてはテンター出側のロール群の速度を調整する。弛緩させる割合として、テンターのフィルムライン速度に対してロール群の速度ダウンを行い、好ましくは0.1〜2.5%、さらに好ましくは0.2〜2.3%、特に好ましくは0.3〜2.0%の速度ダウンを実施してフィルムを弛緩(この値を「弛緩率」という)して、弛緩率をコントロールすることによって縦方向の熱収縮率を調整する。また、フィルム横方向は両端を切り落すまでの過程で幅減少させて、所望の熱収縮率を得ることができる。
なお、二軸延伸に際しては、上記のような縦−横の逐次二軸延伸法以外にも、横−縦の逐次二軸延伸法でもよい。また、同時二軸延伸法を用いて製膜することができる。同時二軸延伸法の場合、延伸倍率は、縦方向、横方向ともに例えば2.7〜4.3倍、好ましくは2.8〜4.2倍である。
かくして本発明の白色反射フィルムを得ることができる。
[白色反射フィルムの特性]
(反射率、正面輝度)
本発明の白色反射フィルムの、表面層B側から測定した反射率は、好ましくは96%以上、より好ましくは97%以上、さらに好ましくは97.5%以上、特に好ましくは98.0%以上である。反射率が96%以上であることによって、液晶表示装置や照明等に用いた場合には、高い輝度を得ることができる。かかる反射率は、反射層Aのボイド体積率を高くする等好ましい態様としたり、反射層Aの厚みを厚くしたり、表面層Bの厚みを薄くしたり等各層の態様を好ましい態様としたりすることにより達成できる。
また、表面層B側から測定した正面輝度は、後述する測定方法により求められるが、5100cd/m
2以上が好ましく、5200cd/m
2以上がより好ましく、5300cd/m
2以上がさらに好ましく、5400cd/m
2以上が特に好ましく、5500cd/m
2以上が最も好ましい。
[直下型面光源]
本発明の白色反射フィルムは、直下型面光源用の反射板として好適に用いられるものである。ここで直下型面光源とは、発光面を上にしたときに、該発光面に対して下方に光源を有し、さらに下方に反射板を有する面光源のことをいう。これに対して、発光面を上にしたときに、該発光面の下方に導光板を備え、該導光板の下方に反射板を備え、該導光板の側面に光源を有する面光源を、エッジライト型(またはサイドライト型)面光源として区別することとする。
また、本発明における直下型面光源は、特に光源と反射板との距離(
図1,2における符号6)が近い配置のものである。かかる距離とは、より厳密には、光源の発光面(光源がLED光源である場合はLED素子(
図1,2における符号2)の発光面)の、反射板表面と同一の平面(
図1,2における符号5)からの高さである(
図1、
図2参照)。このような直下型面光源の反射板(
図1,2における符号4)として本発明の白色反射フィルムを採用することで、本発明の効果が奏される。この、光源と反射板との距離としては、例えば好ましくは10mm以下、より好ましくは9mm以下、さらに好ましくは8mm以下である。光源としてCCFLを採用した従来の直下型CCFLバックライトユニットは、光源と反射板との距離が比較的遠い配置であり、10mmを超えるため、本発明の白色反射フィルムを採用する効果が得られ難い。
本発明の白色反射フィルムは、反射板の上にLED光源を配置してなる直下型面光源用の反射板として特に好適に用いられる。このような面光源として直下型LEDバックライトユニットを挙げることができる。かかる面光源は、通常上述の好ましい光源と反射板との距離の態様となっているものである。よって、本発明の効果が特に奏され易い用途である。なお、上記の「反射板の上にLED光源を配置してなる」なる記載は、反射板とLED光源とが接している態様に限定されるものではない。例えば、反射板の上にモジュール(基板のこと。
図1,2における符号3)を配してLED光源を配置してもよいし(
図1)、モジュールは反射板の背面に配置し、反射板のLED光源部分に穴をあける等して、LED光源は反射板表面よりも突出している態様としてもよい(
図2)。
本発明の白色反射フィルムは、レンズキャップ(
図1,2における符号1)を備えた光源、さらには反射型レンズキャップを備えた光源、特に反射型レンズキャップを備えたLED光源と共に用いることでより優れた輝度斑抑制の効果が奏されるため、そのような光源を用いた直下型面光源用として特に好適に用いられる。
【実施例】
【0006】
以下、実施例により本発明を詳述する。なお、各特性値は以下の方法で測定した。
(1)光線反射率
分光光度計(島津製作所製UV−3101PC)に積分球を取り付け、BaSO
4白板を100%とした時の反射率を波長550nmで測定し、この値を反射率とした。なお、測定は、表面層B側の表面において行った。表裏に異なる表面層Bを有する場合は、反射面として使用する側(光源側)となる表面層Bの表面において測定した。
(2)粒子の平均粒子径
サンプルフィルムから表面層Bを剥離する等して単離し、熱可塑性樹脂を含む樹脂成分を溶剤を用いて溶解させ、そこから得られた粒子をレーザー散乱型粒度分布測定機(島津製作所製SALD−7000)にて、粒子の粒度分布(粒径の標準偏差)を求め、d50での粒子径(体積分布基準で小さい側から50%の分布となる粒子径)を平均粒子径とした。
(3)粒子の含有量
サンプルフィルムから一定体積の表面層Bを剥離する等して単離し、熱可塑性樹脂を含む樹脂成分を溶剤を用いて溶解させ、そこから得られた粒子の質量及び嵩密度を計量し、含有量(質量%、体積%)を求めた。なお、表面層Bの体積は、共押出の場合は表面層Bの密度(粘度勾配管法による)と質量とから求めた。塗布の場合は断面観察による厚さと切り出し面積とから求めた。
(4)フィルム厚みおよび層構成
白色反射フィルムをミクロトームにてスライスして断面出しを行い、かかる断面について日立製作所製S−4700形電界放出形走査電子顕微鏡を用いて、倍率500倍にて観測し、フィルム全体、反射層A、表面層Bの厚みをそれぞれ求めた。なお、フィルム全体および表面層Bの厚みは、粒子が表面層Bの表面より突出している部分を除いた部分の厚みとした。各層の厚み(μm)を求めた上で各層の厚み比を算出した。
(5)ボイド体積率の算出
ボイド体積率を求める層のポリマー、添加粒子、その他各成分の密度と配合割合から計算密度を求めた。同時に、当該層を剥離する等して単離し、質量および体積を計測し、これらから実密度を算出し、計算密度と実密度とから下記式により求めた。
ボイド体積率=100×(1−(実密度/計算密度))
なお、イソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレート(2軸延伸後)の密度を1.39g/cm
3、硫酸バリウムの密度を4.5g/cm
3とした。
また、ボイド体積率を測定する層のみを単離し、単位体積あたりの質量を求めて実密度を求めた。体積は、サンプルを面積3cm
2に切り出し、そのサイズでの厚みをエレクトリックマイクロメーター(アンリツ製 K−402B)にて10点測定した平均値を厚みとし、面積×厚みとして算出した。質量は、電子天秤にて秤量した。
なお、粒子(凝集粒子含む)の比重としては、以下のメスシリンダー法にて求めた嵩比重の値を用いた。容積1000mlのメスシリンダーに絶乾状態の粒子を充填して、全体の重量を測定し、該全体の重量からメスシリンダーの重量を差引いて該粒子の重量を求め、該メスシリンダーの容積を測定し、該粒子の重量(g)を該容積(cm
3)で割ることによって求められる。
(6)融点、ガラス転移温度
示差走査熱量測定装置(TA Instruments 2100 DSC)を用い、昇温速度20℃/分で測定を行った。
(7)正面輝度
LG社製の直下型LED液晶テレビ(LG50LN5400)から反射フィルムを取り出し、それに代えて実施例で得られた各種反射フィルムを、表面層B側が画面側となるように設置し、もともと備わっていた拡散フィルムおよびプリズムシートを配して、バックライトユニットの状態にて輝度計(大塚電子製Model MC−940)を用いて、バックライトの中心を真正面より測定距離500mmで輝度を測定した。なお、上記LED液晶テレビは、直下型面光源を備え、光源として反射型レンズキャップを備えたLED光源を備えるものであり、該LED光源と反射板との距離は8mmである。
(8)輝度斑評価(光源間輝度斑)
上記(7)と同様の方法にて実施例で得られた各種反射フィルムを備えたバックライトユニットを作成し、輝度斑を測定した。
輝度斑の数値化は、バックライトユニットの水平方向に複数個配置されているLED光源の集合であるLED光源の行であって、バックライトユニットの中央部を通るLED光源の行において、かかる行内の各LED光源の直上を通る二次元データを用い、LED光源直上の最も明るい部分と、LED光源間の最も暗くなる部分との輝度差(光源間輝度差、単位:cd)を算出して評価した。この輝度差について、好ましくは450cd以下、より好ましくは440cd以下、特に好ましくは430cd以下である。
(9)輝度斑評価(バックライトユニット周辺部輝度斑)
上記(8)と同様の方法にて実施例で得られた各種反射フィルムを備えたバックライトユニットを作成し、輝度斑を測定した。
輝度斑の数値化は、バックライトユニットの四辺部について、画面発光部の最外部より20mm内側までの領域の輝度平均値と、画面全体の輝度平均値との差を算出して評価した。この輝度差について、1150cd以下であれば問題なく、好ましくは1130cd以下、より好ましくは1100cd以下であり、他方1150cdを越えると斑が出ており使用出来ない。
(10)光沢度(入射角60°、入射角85°)
日本電色工業(株)製の光沢度計PG−IIを用いて、各入射角度における光沢度を測定した。
(11)製膜延伸性
実施例に記載のフィルムを、テンターを用いた連続製膜法にて製膜したときの製膜安定性を観察し、下記基準で評価した。
◎:8時間以上安定に製膜できる。
○:3時間以上8時間未満安定に製膜できる。
△:3時間未満で1度切断が生じた。
×:3時間未満で複数回切断が発生し、安定な製膜ができない。
<製造例1:イソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレート1の合成>
テレフタル酸ジメチル136.5質量部、イソフタル酸ジメチル13.5質量部(得られるポリエステルの全酸成分100モル%に対して9モル%となる)、エチレングリコール98質量部、ジエチレングリコール1.0質量部、酢酸マンガン0.05質量部、酢酸リチウム0.012質量部を精留塔、留出コンデンサを備えたフラスコに仕込み、撹拌しながら150〜240℃に加熱しメタノールを留出させエステル交換反応を行った。メタノールが留出した後、リン酸トリメチル0.03質量部、二酸化ゲルマニウム0.04質量部を添加し、反応物を反応器に移した。ついで撹拌しながら反応器内を徐々に0.3mmHgまで減圧するとともに292℃まで昇温し、重縮合反応を行い、イソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレート1を得た。このポリマーの融点は235℃であった。
<製造例2:イソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレート2の合成>
テレフタル酸ジメチル129.0質量部、イソフタル酸ジメチル21.0質量部(得られるポリエステルの全酸成分100モル%に対して14モル%となる)に変更した他は、上記製造例1と同様にして、イソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレート2を得た。このポリマーの融点は215℃であった。
<製造例3:粒子マスターチップ1の作成>
上記で得られたイソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレート1の一部、およびボイド形成剤として平均粒子径1.0μmの硫酸バリウム粒子(表中、BaSO
4と表記する。)を用いて、神戸製鋼社製NEX−T60タンデム式押出機にて、得られるマスターチップの質量に対して硫酸バリウム粒子の含有量が60質量%となるように混合し、樹脂温度260℃にて押し出し、硫酸バリウム粒子含有の粒子マスターチップ1を作成した。
<製造例4:粒子マスターチップ2の作成>
上記で得られたイソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレート2に、粒子Aとして、東ソー・シリカ株式会社製AY−601(凝集シリカ)を風力分級し平均粒子径6.5μmとした粒子を、得られる粒子マスターチップにおける濃度が8質量%となるよう二軸押出機にて混合し、溶融温度250℃にて押し出し、粒子マスターチップ2を作成した。
[実施例1]
(白色反射フィルムの製造)
上記で得たイソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレート1と粒子マスターチップ1を反射層(A層)の原料として、イソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレート2と粒子マスターチップ2を表面層(B層)の原料としてそれぞれ用い、それぞれの層が表1に記載した構成となるように混合し、押出機に投入し、A層は溶融押出し温度255℃にて、B層は溶融押出し温度230℃にて溶融し、表1に示すごとくB層/A層/B層の層構成となるように3層フィードブロック装置を使用して合流させ、その積層状態を保持したままダイスよりシート状に成形した。このときB層/A層/B層の厚み比が2軸延伸後に10/80/10となるように各押出機の吐出量で調整した。さらにこのシートを表面温度25℃の冷却ドラムで冷却固化した未延伸フィルムとした。この未延伸フィルムを73℃の予熱ゾーン、つづけて75℃の予熱ゾーンを通して、92℃に保たれた縦延伸ゾーンに導き、縦方向に3.0倍に延伸し、25℃のロール群で冷却した。続いて、フィルムの両端をクリップで保持しながら115℃の予熱ゾーンを通して130℃に保たれた横延伸ゾーンに導き、横方向に3.7倍に延伸した。その後テンター内で155℃で10秒間の熱処理、200℃で10秒間の熱固定、155℃で10秒間の熱処理を連続的に行い、次いで幅入れ率1.8%、幅入れ温度130℃で横方向の幅入れを行い、次いでフィルム両端を切り落し、縦弛緩率2.0%で熱弛緩し、室温まで冷やして、表1に示すごとく厚み175μmのフィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表2に示す。
[実施例2〜4、比較例1〜4]
フィルムの構成を表1に示すとおりとする以外は、実施例1と同様にして白色反射フィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表2に示す。
なお、それぞれ使用した粒子の種類は下記の通りである。
粒子B:東ソー・シリカ株式会社製AY−601(凝集シリカ)を風力分級して平均粒子径3.5μmとした。
粒子C:東ソー・シリカ株式会社製AY−601(凝集シリカ)を風力分級して平均粒子径10.5μmとした。
粒子D:三共精粉株式会社製炭酸カルシウム(平均粒子径1.0μm)を使用した。
[実施例5]
上記で得たイソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレート1と粒子マスターチップ1を反射層(A層)の原料として、イソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレート2と粒子マスターチップ2を支持層(C層)の原料としてそれぞれ用い、それぞれの層が表1に記載した構成となるように混合し、押出機に投入し、A層は溶融押出し温度255℃にて、C層は溶融押出し温度230℃にて、表1に示すごとくC層/A層/C層の層構成となるように3層フィードブロック装置を使用して合流させ、その積層状態を保持したままダイスよりシート状に成形した。このときC層/A層/C層の厚み比が2軸延伸後に10/80/10となるように各押出機の吐出量で調整した。さらにこのシートを表面温度25℃の冷却ドラムで冷却固化した未延伸フィルムとした。この未延伸フィルムを73℃の予熱ゾーン、つづけて75℃の予熱ゾーンを通して、92℃に保たれた縦延伸ゾーンに導き、縦方向に3.0倍に延伸し、25℃のロール群で冷却した。続いて、フィルムの両端をクリップで保持しながら115℃の予熱ゾーンを通して130℃に保たれた横延伸ゾーンに導き、横方向に3.6倍に延伸した。その後テンター内で155℃で10秒間の熱処理、200℃で10秒間の熱固定、155℃で10秒間の熱処理を連続的に行い、次いで幅入れ率2%、幅入れ温度130℃で横方向の幅入れを行い、次いでフィルム両端を切り落し、縦弛緩率2.5%で熱弛緩し、室温まで冷やして、表1に示すごとく厚み175μmのフィルムを得た。
得られた二軸延伸フィルムの支持層(C層)の上に、ダイレクトグラビアコーティング装置にて、表面層(B層)を形成するための、下記塗液1に示す組成からなる塗液を、厚みが表1の通りになるように(wet厚み15g/m
2の塗布量で)塗布した後、オーブン内にて80℃で乾燥してフィルムを得た。
<塗液1、固形分濃度33質量%>
・粒子:東レ株式会社製ナイロン66樹脂CM3006粉体(平均粒子径5μm、Ny粒子E)・・・8.3質量%
・アクリル樹脂(熱可塑性樹脂):DIC社製アクリディックA−817BA(固形分濃度50質量%)・・・30質量%
・架橋剤:日本ポリウレタン工業社製コロネートHL(イソシアネート系架橋剤、固形分濃度75質量%)・・・10質量%
・希釈溶媒:酢酸ブチル・・・51.7質量%
得られたフィルムの評価結果は表2の通りであった。なお、塗液1における各成分の固形分比率は以下の通りとなる。
・粒子:20質量%
・アクリル樹脂(熱可塑性樹脂):60質量%
・架橋剤:20質量%
[実施例6]
塗液1において、用いる粒子の種類を積水化成品工業社製 MBX−5(真球状アクリル粒子、平均粒子径5μm、Ac粒子F)に変更し、下記の固形分比率とし、厚みを表1の通りにする以外は、実施例5と同様にして白色反射フィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表2に示す。
・粒子:25質量%
・アクリル樹脂(熱可塑性樹脂):55質量%
・架橋剤:20質量%
[実施例7]
反射層Aのボイド形成剤の態様を、表1に示すごとくポリエステルに非相溶な樹脂(シクロオレフィン、ポリプラスチックス社製「TOPAS 6017S−04」)に変更した以外は、実施例1と同様にして白色反射フィルムを作成し、評価を実施した。評価結果を表2に示す。
[比較例5]
塗液1において、用いる粒子の種類を積水化成品工業社製 MBX−5(真球状アクリル粒子、平均粒子径5μm、Ac粒子F)に変更し、下記の固形分比率とし、厚みを表1の通りにする以外は、実施例5と同様にして白色反射フィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表2に示す。
・粒子:42質量%
・アクリル樹脂(熱可塑性樹脂):38質量%
・架橋剤:20質量%
【表1】
【表2】
発明の効果
本発明によれば、光源としてレンズキャップ(特に反射型レンズキャップ)を備えた光源を有する直下型面光源用として用いるに際して、反射フィルムと光源との距離が近い場合であっても、好適に輝度斑を抑制することができる白色反射フィルムを提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0007】
本発明の白色反射フィルムは、反射光の拡散性に優れるため、レンズキャップを備える光源を有する直下型面光源用の反射板として好適に用いられ、特に、光源と反射板との距離が近い直下型面光源用の反射板として好適に用いることができ、輝度斑抑制効果に優れ、産業上の利用可能性は高い。