特許第6560277号(P6560277)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6560277情報処理装置及びコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6560277
(24)【登録日】2019年7月26日
(45)【発行日】2019年8月14日
(54)【発明の名称】情報処理装置及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04L 12/70 20130101AFI20190805BHJP
   H04L 12/24 20060101ALI20190805BHJP
   H04M 11/00 20060101ALI20190805BHJP
【FI】
   H04L12/70 100A
   H04L12/24
   H04M11/00 302
【請求項の数】2
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-32626(P2017-32626)
(22)【出願日】2017年2月23日
(65)【公開番号】特開2018-137695(P2018-137695A)
(43)【公開日】2018年8月30日
【審査請求日】2017年9月6日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】399035766
【氏名又は名称】エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】特許業務法人 志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】梅澤 啓介
(72)【発明者】
【氏名】野澤 健
(72)【発明者】
【氏名】萩間 弘樹
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 功
【審査官】 中川 幸洋
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−216681(JP,A)
【文献】 河野 太一、ほか,「ホワイトボックススイッチを用いたデータセンタ内EVPN基盤設備ゼロタッチ構築」,電子情報通信学会技術研究報告 Vol.115 No.507,日本,一般社団法人電子情報通信学会,2016年 3月 3日,第115巻,第507号,pp.37-40
【文献】 松島 浩道,「エージェントレスでシンプルな構成管理ツール「Ansible」入門」,SAKURA Internet Inc.,2015年 4月14日,[検索日 2018.08.20],インターネット:<https://knowledge.sakura.ad.jp/3124/>
【文献】 長原 佑紀,「Ansibleで始めるインフラ構築自動化」,株式会社ビズリーチ,2017年 2月 6日,[検索日 2018.08.20],インターネット:<https://d-cube.connpass.com/event/50025/>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/00−955
H04M 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理対象となる通信装置に対して予め割り当てられている識別情報である個体識別情報と、前記処理対象となる通信装置が設置される環境の顧客に関する契約を示す契約識別情報と、を端末装置から受信して、対応付けて初期登録情報記憶部に記録する制御部と、
前記処理対象となる通信装置に割り当てられる宛先情報に基づいて、前記処理対象となる通信装置を検出する検出部と、
前記検出部によって検出された前記処理対象となる通信装置から個体識別情報を受信し、受信された前記個体識別情報に対応付けて前記初期登録情報記憶部に登録されている契約識別情報に基づき、前記処理対象となる通信装置に対して設定されるべき設定情報を取得する設定情報取得部と、
前記設定情報取得部によって取得された前記設定情報を、前記検出部によって検出された前記処理対象となる通信装置の所定の記憶領域に記録する設定制御部と、を備える情報処理装置。
【請求項2】
処理対象となる通信装置に対して予め割り当てられている識別情報である個体識別情報と、前記処理対象となる通信装置が設置される環境の顧客に関する契約を示す契約識別情報と、を端末装置から受信して、対応付けて初期登録情報記憶部に記録する制御部と、
前記処理対象となる通信装置に割り当てられる宛先情報に基づいて、前記処理対象となる通信装置を検出する検出部と、
前記検出部によって検出された前記処理対象となる通信装置から個体識別情報を受信し、受信された前記個体識別情報に対応付けて前記初期登録情報記憶部に登録されている契約識別情報に基づき、前記処理対象となる通信装置に対して設定されるべき設定情報を取得する設定情報取得部と、
前記設定情報取得部によって取得された前記設定情報を、前記検出部によって検出された前記処理対象となる通信装置の所定の記憶領域に記録する設定制御部と、を備える情報処理装置としてコンピュータを機能させるためのコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信機器をネットワークに接続するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、Customer Premises Equipment(CPE)と呼ばれる通信装置の設置をどのようにより簡易に行うかという課題がある。一つの例では、以下のような流れの作業でCPEの設置が行われる場合がある。まず、CPEの発注者(顧客)からサービスオーダー(サービス申込み情報)が取得される。次に、サービスオーダーやネットワークの設計パラメータに基づいてCPEの設定情報(いわゆるconfig情報)が作成される。次に、パーソナルコンピューター等の情報処理装置をCPEに接続して、作成された設定情報がCPEに書き込まれる(いわゆるキッティング)。キッティングが完了したCPEが顧客の元に配送され、顧客又は業者によってCPEの設置が行われる。このようなCPEの設置に関する一つの仕組みとして、Zero Touch Provisioning(ZTP)がある。また、このようなCPEの設置に関する技術分野で関連する技術に特許文献1に開示された技術がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016−054341号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、CPEの顧客から指定されるサービスオーダーに応じた設定情報を予め作成し、各CPEに対して予め設定しておく必要があった。そのため、各CPEに対する事前の設定作業にコストと手間とを要していた。このような問題は、CPEと呼ばれる装置のみならず、所定の設定がなされた通信装置を顧客の環境に設置する作業において共通する問題である。
上記事情に鑑み、本発明は、所定の設定がなされた通信装置が顧客の環境に設置された状態を、より容易に実現することを可能とする技術の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様は、処理対象となる通信装置に割り当てられる宛先情報に基づいて、前記処理対象となる通信装置を検出する検出部と、前記処理対象となる通信装置に対して設定されるべき設定情報を取得する設定情報取得部と、前記設定情報取得部によって取得された前記設定情報を、前記処理対象となる通信装置の所定の記憶領域に記録する設定制御部と、を備える情報処理装置である。
【0006】
本発明の一態様は、上記の情報処理装置であって、前記通信装置が所定の条件を満たしているか否か判定する条件判定部をさらに備え、前記設定制御部は、前記条件判定部によって前記所定の条件が満たされていると判定された場合に、前記設定情報を、前記処理対象となる通信装置の所定の記憶領域に記録する。
【0007】
本発明の一態様は、上記の情報処理装置であって、前記条件判定部は、前記通信装置に関連づけられている契約情報において、契約の開始日の当日であること、又は、契約の開始日が過ぎていること、のいずれかの条件が満たされている場合に、前記所定の条件を満たしていると判定する。
【0008】
本発明の一態様は、上記の情報処理装置であって、前記処理対象となる通信装置に対して前記設定情報が記録された後に、前記通信装置が正しく動作するか試験の処理を実行する試験制御部をさらに備える。
【0009】
本発明の一態様は、処理対象となる通信装置に割り当てられる宛先情報に基づいて、前記処理対象となる通信装置を検出する検出ステップと、前記処理対象となる通信装置に対して設定されるべき設定情報を取得する設定情報取得ステップと、前記設定情報取得ステップにおいて取得された前記設定情報を、前記処理対象となる通信装置の所定の記憶領域に記録する設定制御ステップと、を有する情報処理方法である。
【0010】
本発明の一態様は、処理対象となる通信装置に割り当てられる宛先情報に基づいて、前記処理対象となる通信装置を検出する検出部と、前記処理対象となる通信装置に対して設定されるべき設定情報を取得する設定情報取得部と、前記設定情報取得部によって取得された前記設定情報を、前記処理対象となる通信装置の所定の記憶領域に記録する設定制御部と、を備える情報処理装置としてコンピュータを機能させるためのコンピュータプログラムである。
【0011】
本発明の一態様は、予め登録された初期設定情報にしたがって、認証サーバに認証要求を送信し、認証要求の応答として所定のネットワークへ接続するための宛先情報を受け付ける通信装置と、処理対象となる前記通信装置に割り当てられる宛先情報に基づいて、前記処理対象となる通信装置を検出する検出部と、前記処理対象となる通信装置に対して設定されるべき設定情報を取得する設定情報取得部と、前記設定情報取得部によって取得された前記設定情報を、前記処理対象となる通信装置の所定の記憶領域に記録する設定制御部と、を備え、前記通信装置は、前記所定の記憶領域に前記設定情報が記録された後に起動することによって、前記所定のネットワークへの通信を行う、情報処理システムである。
【発明の効果】
【0012】
本発明により、所定の設定がなされた通信装置が顧客の環境に設置された状態を、より容易に実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の設定システム100のシステム構成を示す概略ブロック図である。
図2】通信装置20の機能構成の概略を示すブロック図である。
図3】サーバ30の機能構成の概略を示すブロック図である。
図4】設定情報記憶部303によって記憶される設定情報テーブルの具体例を示す図である。
図5】初期登録情報記憶部304によって記憶される初期登録情報テーブルの具体例を示す図である。
図6】宛先情報記憶部305によって記憶される宛先情報テーブルの具体例を示す図である。
図7】設定システム100の処理の流れの具体例を示すシーケンスチャートである。
図8】設定システム100の処理の流れの具体例を示すシーケンスチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の具体的な構成例について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の設定システム100のシステム構成を示す概略ブロック図である。設定システム100は、端末装置10、通信装置20、サーバ30及び認証サーバ40を備える。端末装置10とサーバ30とは、第1ネットワーク50を介して通信する。第1ネットワーク50は、不特定多数の者が接続可能なネットワークである。第1ネットワーク50は、例えばインターネットである。通信装置20は、第2ネットワークで通信するために必要な情報(以下「接続情報」という。)を、認証サーバ40から認証を受けることによって取得する。接続情報を取得した通信装置20は、第2ネットワーク60を介してサーバ30と通信する。第2ネットワーク60は、認証サーバ40による認証を受けた者しか接続できないネットワークである。
【0015】
端末装置10は、通信装置20を顧客の環境に設置する作業を行う者(以下「作業者」という。)によって使用される通信可能な情報処理装置である。端末装置10は、例えば携帯電話機、スマートフォン、タブレット、ノートパソコン等の携帯可能な情報処理装置である。端末装置10は、第1ネットワーク50に接続可能である。端末装置10は、例えばWi−Fi(登録商標)を経由して第1ネットワーク50に接続されてもよいし、携帯電話の基地局を経由して第1ネットワーク50に接続されてもよいし、他の通信経路を介して第1ネットワーク50に接続されてもよい。端末装置10は、作業者に操作されることによって、契約識別情報と、通信装置20の個体識別情報とを取得する。
【0016】
端末装置10によって取得される契約識別情報は、通信装置20が設置される環境の顧客に関する契約識別情報である。例えば、通信装置20が設置される環境の顧客と、この顧客に対して通信装置20を提供する事業者と、の間で締結された契約を示す識別情報である。端末装置10は、例えば第1ネットワーク50を介してサーバ30から契約識別情報を受信することによって契約識別情報を取得してもよい。端末装置10は、例えば予め作業者に配布された紙等に印刷された情報が作業者によって端末装置10に入力されることによって、契約識別情報を取得してもよい。端末装置10が契約識別情報を取得する手段は限定される必要はない。
【0017】
端末装置10によって取得される個体識別情報は、顧客の環境に設置される通信装置20を示す識別情報である。個体識別情報は、例えば通信装置20の筐体に表示されていてもよいし、通信装置20が梱包されている箱等の梱包材に表示されていてもよいし、通信装置20の内部の記憶装置又は記憶媒体に記憶されていてもよい。保証書や葉書など他の媒体に表示されていてもよい。端末装置10は、例えば通信装置20の筐体や梱包材に予め印刷されているバーコードを読み取ることによって、バーコードとして符号化されていた個体識別情報を取得してもよい。端末装置10は、例えば非接触の近接通信や無線通信や有線通信によって、通信装置20の内部の記憶装置又は記憶媒体から個体識別情報を読み出してもよい。端末装置10は、例えば通信装置20の筐体や梱包材に予め印刷されている個体識別情報の文字列が作業者によって端末装置10に入力されることによって、個体識別情報を取得してもよい。
【0018】
通信装置20は、顧客の環境に設置される通信可能な装置である。通信装置20は、例えばCPEである。通信装置20は、より具体的には、ルーター(ブロードバンドルーターを含む)、モデム、終端装置等の装置である。通信装置20には、顧客の環境に届く前に予め初期設定情報が登録されている。初期設定情報とは、通信装置20が第2ネットワーク60に接続するために必要となる情報である。以下、通信装置20の詳細について説明する。
【0019】
図2は、通信装置20の機能構成の概略を示すブロック図である。通信装置20は、バスで接続されたCPU(Central Processing Unit)やメモリや補助記憶装置などを備え、通信プログラムを実行する。通信装置20は、通信プログラムの実行によって通信部201、初期設定情報記憶部202、設定情報記憶部203及び制御部204を備える装置として機能する。なお、通信装置20の各機能の全て又は一部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やPLD(Programmable Logic Device)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアを用いて実現されてもよい。通信プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置である。通信プログラムは、電気通信回線を介して送信されてもよい。
【0020】
通信部201は、第2ネットワーク60に通信装置20が接続するための通信インタフェースである。例えば、通信装置20と第2ネットワーク60との間にOptical Network Unit(ONU)等の終端装置が設置される場合、通信部201は終端装置との間で通信するための通信インタフェースとして機能する。
【0021】
初期設定情報記憶部202は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置等の記憶装置である。初期設定情報記憶部202は、予め初期設定情報を記憶している。初期設定情報は、少なくとも通信装置20が上記作業の初期段階(例えば最初)に第2ネットワーク60に接続された際に制御部204が行う動作を定義した情報である。初期設定情報は、例えば、通信装置20のstartup configとして予め記録された情報であってもよい。初期設定情報には、例えば第2ネットワーク60の認証サーバ40によって認証を受けるための情報が含まれていてもよい。このような情報の具体例として、ID及びパスワードの組み合わせの情報と、認証サーバ40のアドレスに関する情報と、がある。
【0022】
設定情報記憶部203は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置等の記憶装置である。設定情報記憶部203は、顧客の環境に設置される時点では設定情報を記憶していない。設定情報は、少なくとも通信装置20が初期設定情報に基づいた動作を行った後に、サーバ30の処理に応じて記録される情報である。設定情報は、少なくとも通信装置20が第2ネットワーク60に接続された後に制御部204が行う動作を定義した情報である。設定情報は、例えば、通信装置20のstartup configにおいて、初期設定情報に代わって新たにサーバ30の動作によって記録される情報であってもよい。設定情報には、例えば第2ネットワーク60の認証サーバ40によって認証を受けるための情報が含まれていてもよい。このような情報の具体例として、ID及びパスワードの組み合わせの情報がある。設定情報に含まれるID及びパスワードの組み合わせと、初期設定情報に含まれるID及びパスワードとは異なっていてもよい。
【0023】
制御部204は、通信装置20の動作を制御する機能部である。制御部204は、少なくとも通信装置20が上記作業の初期段階(例えば最初)に第2ネットワーク60に接続された際に、初期設定情報記憶部202に記憶されている初期設定情報に基づいて動作する。例えば、制御部204は、startup configとして初期設定情報記憶部202に初期設定情報が設定されている場合に、初期設定情報に基づいて動作する。また、初期設定情報に基づいた動作の後に再起動がなされると、制御部204は、設定情報記憶部203に記憶されている設定情報に基づいて動作する。例えば、制御部204は、初期設定情報に基づいた動作の後に再起動がなされると、startup configとして設定情報記憶部203に記憶されている設定情報に基づいて動作する。なお、初期設定情報記憶部202及び設定情報記憶部203の両方にstartup configとして情報が記憶される可能性がある場合、最初に通信装置20が第2ネットワーク60に接続されたときには初期設定情報記憶部202のstartup configが読み出され、その後の再起動後には設定情報記憶部203のstartup configが読み出されるように構成されるのであれば、このような動作がなされるための具体的な設計手段は問われない。例えば、ハードウェア機構としてどの領域の情報を優先的に参照するかが決まっており、制御部204は、設定情報記憶部203にstartup configが存在する場合にはそちらを参照して起動するが、無ければ初期設定情報記憶部202に存在するstartup configを参照して起動するように構成されてもよい。
【0024】
図3は、サーバ30の機能構成の概略を示すブロック図である。サーバ30は、バスで接続されたCPUやメモリや補助記憶装置などを備え、設定プログラムを実行する。サーバ30は、設定プログラムの実行によって通信部301、制御部302、設定情報記憶部303、初期登録情報記憶部304、宛先情報記憶部305、開通試験情報記憶部306を備える装置として機能する。なお、サーバ30の各機能の全て又は一部は、ASICやPLDやFPGA等のハードウェアを用いて実現されてもよい。設定プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置である。設定プログラムは、電気通信回線を介して送信されてもよい。
【0025】
通信部301は、第1ネットワーク50及び第2ネットワーク60にサーバ30が接続するための通信インタフェースである。例えば、サーバ30と第1ネットワーク及び第2ネットワークとの間にゲートウェイ等の他の装置が設置される場合、通信部301はこれらの装置との間で通信するための通信インタフェースとして機能する。
【0026】
制御部302は、CPUを用いて構成される。制御部302は、CPUがプログラムを読み出して実行することによって、設定制御部321及び試験制御部322として機能する。
【0027】
設定制御部321は、通信装置20に対して設定情報を記録するための処理を実行する。設定制御部321が機能することによって、初期設定情報が予め書き込まれている通信装置20に対して、契約情報に応じた設定情報が記録される。
【0028】
試験制御部322は、設定情報が記録されて第2ネットワーク60に接続可能となった通信装置20に対して、所定の開通試験を実行する。開通試験の具体例として、例えばInternet Control Message Protocol等のプロトコルを用いたpingを実行することが挙げられる。開通試験は、上記のような例に限定される必要は無い。
【0029】
設定情報記憶部303は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置等の記憶装置を用いて構成される。設定情報記憶部303は、契約識別情報と設定情報とを対応付けて記憶する。
【0030】
図4は、設定情報記憶部303によって記憶される設定情報テーブルの具体例を示す図である。設定情報テーブルは、複数の設定情報レコードを有する。設定情報レコードは、契約識別情報及び設定情報の各値を有する。設定情報レコードに登録される設定情報は、同じ設定情報レコードの契約識別情報によって示される顧客から受けたサービスオーダーに応じて予め作成された設定情報である。
【0031】
初期登録情報記憶部304は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置等の記憶装置を用いて構成される。初期登録情報記憶部304は、契約識別情報と個別識別情報とを対応付けて記憶する。
【0032】
図5は、初期登録情報記憶部304によって記憶される初期登録情報テーブルの具体例を示す図である。初期登録情報テーブルは、複数の初期登録情報レコードを有する。初期登録情報レコードは、契約識別情報及び個体識別情報の各値を有する。初期登録情報レコードに登録される個体識別情報は、同じ初期登録情報レコードの契約識別情報によって示される顧客の環境に設置される予定の通信装置20を示す個体識別情報である。初期登録情報テーブルには、端末装置10によって第1ネットワーク50を介してサーバ30に送信された初期登録情報に含まれる契約識別情報及び個体識別情報の組み合わせが登録される。
【0033】
宛先情報記憶部305は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置等の記憶装置を用いて構成される。宛先情報記憶部305は、契約識別情報と宛先情報とを対応付けて記憶する。
【0034】
図6は、宛先情報記憶部305によって記憶される宛先情報テーブルの具体例を示す図である。宛先情報テーブルは、複数の宛先情報レコードを有する。宛先情報レコードは、契約識別情報及び宛先情報の各値を有する。宛先情報レコードに登録される宛先情報は、同じ宛先情報レコードの契約識別情報によって示される顧客の環境に設置されている通信装置20に対して割り当てられた宛先情報である。宛先情報は、例えばIPv4アドレスであってもよいしIPv6アドレスであってもよい。宛先情報は、ネットワーク上の装置の宛先を示す情報であればどのような情報であってもよい。宛先情報テーブルには、サーバ30が通信装置20に対してリモートアクセスすることによって取得される個体識別情報に応じた契約識別情報と、リモートアクセスに用いられた宛先情報と、が対応付けて登録される。なお、宛先情報テーブルは、認証サーバ40によって通信装置20に割り当てられる宛先情報の候補(以下「宛先情報候補」という。)の全てが登録されているように構成されてもよい。
【0035】
開通試験情報記憶部306は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置等の記憶装置を用いて構成される。開通試験情報記憶部306は、開通試験情報を記憶する。開通試験情報は、試験制御部322によって実行される開通試験の内容を示す情報である。開通試験情報は、例えば試験制御部322によって実行されるスクリプトを含む情報であってもよい。
【0036】
図7及び図8は、設定システム100の処理の流れの具体例を示すシーケンスチャートである。図7及び図8に示されるシーケンスチャートについて説明する前に、予め通信装置20に対して行われる事前作業について説明する。予め顧客からサービスオーダーを受けた設計者は、サービスオーダーに応じた設定情報を作成する。設計者は、顧客から受けたサービスオーダーに応じた契約識別情報と、作成された設定情報と、を対応付けて設定情報記憶部303に登録しておく。また、通信装置20の製造者は、通信装置20に対して予め初期設定情報を記録しておく。
【0037】
次に、図7及び図8のシーケンスチャートについて説明する。まず、端末装置10を所持した作業者が端末装置10を操作することによって、端末装置10は作業の対象となる顧客に関する契約識別情報を取得する(ステップS101)。この処理の具体例は以下のとおりである。作業者は、端末装置10を操作してサーバ30にアクセスし、次に行うべき作業を確認する。次に行うべき作業として、顧客の元へ訪れて通信装置20を設置する作業が作業者に割り当てられた場合、次に訪れるべき顧客に関する情報がサーバ30から端末装置10に送信される。端末装置10は、情報をサーバ30から受信することによって、作業の対象となる顧客に関する契約識別情報を取得する。
【0038】
次に、端末装置10を所持した作業者が端末装置10を操作することによって、端末装置10は作業の対象となる通信装置20の個体識別情報を取得する(ステップS102)。この処理の具体例は以下のとおりである。作業者は、通信装置20を所定台数所持し、顧客の元を訪れる。作業者は、顧客の環境において、実際に設置しようとする通信装置20の箱の表面に予め貼られているバーコードを、端末装置10が備えるバーコードリーダー機能で読み取る。読み取られたバーコードは、バーコードリーダー機能によって個体識別情報に復号化される。このような処理によって、端末装置10は、作業の対象となる通信装置20の個体識別情報を取得する。なお、契約識別情報及び個体識別情報の取得の方法は上述した方法に限定されない。また、契約識別情報及び個体識別情報の取得の順序も上述した順序に限定されない。
【0039】
端末装置10は、ステップS101において取得された契約識別情報と、ステップS102において取得された個体識別情報と、を含む初期登録情報を生成する。端末装置10は、初期登録情報を第1ネットワーク50を介してサーバ30に送信する(ステップS103)。サーバ30は、初期登録情報を受信する。サーバ30は、受信された初期登録情報に含まれる契約識別情報及び個体識別情報の組み合わせを初期登録情報記憶部304に登録する(ステップS104)。
【0040】
作業者は、顧客の環境において通信装置20を第2ネットワーク60に物理的に接続する(ステップS105)。例えば、作業者は、顧客の環境において第2ネットワーク60に接続されているONUに通信装置20を接続する。通信装置20は、自装置に予め記録されている初期設定情報に基づいて起動し、処理を行う。例えば、通信装置20は、startup configとして予め記録された情報に基づいて処理を行う。この時点では、startup configには、通信装置20の出荷当時と同じように初期設定情報が記録されている。そのため、通信装置20は、初期設定情報に基づいて処理を行う。この処理の一環として、通信装置20は、認証サーバ40に対し認証要求を送信する(ステップS106)。認証要求には、例えば初期設定情報に含まれているID及びパスワードが含まれる。
【0041】
認証サーバ40は、認証要求を受信すると、受信された認証要求に含まれているID及びパスワードが正規の組み合わせであるか否か判定する。認証サーバ40は、認証がなされると、第2ネットワーク60において通信を行うために必要となる接続情報を通信装置20に送信する。接続情報には、例えば第2ネットワーク60で使用可能なグローバルIPアドレスが含まれていてもよい。このように、認証サーバ40は、通信装置20に対して第2ネットワーク60で通信するために必要となる宛先情報を割り当てる機能部(宛先情報割当部)として機能してもよい。通信装置20は、接続情報を用いて第2ネットワーク60に論理的に接続する(ステップS109)。
【0042】
サーバ30は、所定のタイミングで第2ネットワーク60を介して通信装置20に対しポーリングを実行する(ステップS110)。この処理は、例えば以下のように実装されてもよい。上述したように、宛先情報テーブルには予め全ての宛先情報候補が登録されている。サーバ30は、所定のタイミング毎に、各宛先情報候補に対して、ポーリングを行う。
【0043】
認証サーバ40から受けた宛先情報候補の一つを宛先情報として使用している通信装置20がサーバ30によって検知されると、サーバ30は、検知された通信装置20に対しリモートアクセスを開始する(ステップS111)。サーバ30は、リモートアクセスによって、通信装置20から個体識別情報を取得する(ステップS112)。サーバ30は、取得された個体識別情報に対応付けられた契約識別情報を、初期登録情報記憶部304から取得する。そして、サーバ30は、取得された契約識別情報に対応付けられた設定情報を設定情報記憶部303から取得する(ステップS113)。サーバ30は、取得された設定情報を通信装置20へ送信し(ステップS114)、通信装置20の所定の記憶領域(例えばstartup configが記録される領域)に記録する(ステップS115)。このとき、startup configに初期設定情報が記録されている場合には、サーバ30の制御によって通信装置0は初期設定情報に対して設定情報を上書きしてもよい。そして、サーバ30は、通信装置20を再起動させる(ステップS116)。通信装置20は、自装置に記録された設定情報に基づいて起動し、処理を行う。例えば、通信装置20は、startup configとして記録された設定情報に基づいて処理を行う。その後、サーバ30は、通信装置20に対して開通試験を実施する(ステップS117)。
【0044】
このように構成された設定システム100では、所定の設定がなされた通信装置20が顧客の環境に設置された状態を、より容易に実現することが可能となる。以下、このような効果の詳細について説明する。
【0045】
設定システム100では、顧客の環境に到達する時点で通信装置20には顧客との契約に依存しない初期設定情報が記録されている。そして、通信装置20が第2ネットワーク60に接続された後に、顧客との契約に依存する設定情報が通信装置20に記録される。そのため、顧客の環境に到達するまでの間に通信装置20に対して設定情報を記録する作業(いわゆるキッティング)を省略できる。そのため、リードタイムの短縮や、コストの削減などを実現することが可能となる。また、顧客の環境に到達する時点では通信装置20には顧客との契約に依存しない初期設定情報が記録されているにすぎないため、誤って異なるサービスオーダーに基づいた設定情報が記録された通信装置20が顧客の環境に到達してしまうような人為的ミスを軽減することが可能となる。
【0046】
(変形例)
第1ネットワーク50及び第2ネットワーク60は、いずれか一方のみを用いて構成されてもよい。例えば、端末装置10及び通信装置20は、サーバ30に対して第1ネットワーク50を介して通信可能に接続されても良い。例えば、端末装置10及び通信装置20は、サーバ30に対して第2ネットワーク60を介して通信可能に接続されても良い。
【0047】
初期設定情報記憶部202には複数のID及びパスワードの組み合わせが登録されていてもよい。この場合、制御部204は、複数のID及びパスワードの組み合わせの中から一つのID及びパスワードを選択し、選択されたID及びパスワードを用いて認証サーバ40に認証要求を送信する。認証がなされた場合には、認証要求を送信する処理を終える。一方、認証がなされなかった場合には、制御部204は、複数のID及びパスワードの組み合わせの中から他のID及びパスワードの組み合わせを選択し、認証要求を送信する。制御部204は、認証がなされるまでこのような処理を繰り返し実行してもよい。
【0048】
第2ネットワーク60は、専用線(例えばイーサネット(登録商標)専用線)で構成されてもよい。この場合、認証サーバ40ではなく、Provider Edgeルータ等の中継装置によって接続情報が通信装置20に与えられてもよい。この場合、中継装置は、例えばDynamic Host Configuration Protocolを用いて接続情報を通信装置20に対して割り当ててもよい。
【0049】
上記の説明では、通信装置20は、あたかも異なる2つの記憶装置として初期設定情報記憶部202及び設定情報記憶部203を備えているように記載されているが、そのような構成に限定される必要は無い。初期設定情報記憶部202と設定情報記憶部203とは、1台の記憶装置を用いて構成されてもよいし、共通した論理空間を有する記憶装置として構成されてもよい。
【0050】
通信装置20には、顧客の環境に届いた後の所定のタイミング(例えば初めて電源が投入されて起動したタイミング)で初期設定情報を登録するようなプログラムが組み込まれていてもよい。この場合、顧客の環境に届いた後の所定のタイミングで、初期設定情報が通信装置20に登録される。
【0051】
また、第2ネットワーク60に論理的に接続された通信装置20とサーバ30とが通信を開始するためのきっかけとなる動作は、上述したようなサーバ30によるポーリング処理に限定される必要はない。例えば、通信装置20において予め初期設定情報として定義されているイベントが発生し、通信装置20に関する情報(例えば宛先情報や個体識別情報)をサーバ30に対して送信するように処理が行われてもよい。
【0052】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0053】
100…設定システム, 10…端末装置, 20…通信装置, 30…サーバ, 40…認証サーバ, 50…第1ネットワーク, 60…第2ネットワーク, 201…通信部, 202…初期設定情報記憶部, 203…設定情報記憶部, 204…制御部, 301…通信部, 302…制御部, 303…設定情報記憶部, 304…初期登録情報記憶部, 305…宛先情報記憶部, 306…開通試験情報記憶部, 321…設定制御部, 322…試験制御部
図1
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