(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記出力手段は、前記識別情報検出手段が監視帯域として設定されている波長帯域に対応する前記識別情報を検出できなかったときに、前記識別情報を検出できなかったことを示す情報を出力することを特徴とする請求項1または2に記載の光伝送装置。
前記識別情報は、主信号に変調を施す際の周波数よりも低い周波の変調を前記光信号に施すことで伝送されていることを特徴とする請求項1から3いずれかに記載の光伝送装置。
伝送路上の波長多重信号から分岐された光信号を受信する複数の光伝送装置から、前記光伝送装置がそれぞれ検出した前記光信号の送信元を示す識別情報を取得する識別情報取得手段と、
ネットワークの構成から想定される前記光信号のルートと、前記光信号が前記ルートに沿って伝送された際にそれぞれの前記光伝送装置において受信する前記識別信号の情報とを波長帯域ごとに関連づけた情報を接続性情報として記憶する接続性情報記憶手段と、
複数の前記光伝送装置がそれぞれ検出した前記識別情報と、前記接続性情報記憶手段に記憶している前記接続性情報とを比較し、前記光信号のルートを判断する経路判断手段と
を備えることを特徴とする光伝送ルート識別装置。
伝送路を伝送する光信号を生成する光信号生成手段と、波長帯域ごとにあらかじめ設定された自装置の識別情報に対応する識別信号を生成する識別信号生成手段と、前記光信号と、前記識別信号とを光分岐挿入装置を介して前記伝送路に送信する送信手段とを備える第1の光伝送装置と、
請求項1から5いずれかに記載の光伝送装置からなる複数の第2の光伝送装置と、
請求項6に記載の光伝送ルート識別装置と
を備え、
前記光伝送ルート識別装置は、複数の前記第2の光伝送装置がそれぞれ受信した前記識別情報を取得し、取得した前記識別情報と前記接続性情報とを比較して前記光信号のルートを判断することを特徴とする光伝送ネットワークシステム。
ネットワークの構成から想定される前記光信号のルートと、前記光信号が前記ルートに沿って伝送された際にそれぞれの前記光伝送装置において受信する前記識別信号の情報とを波長帯域ごとに関連づけた情報を接続性情報として記憶し、
伝送路上の波長多重信号から分岐された光信号を受信する複数の光伝送装置から、前記光伝送装置がそれぞれ検出した前記光信号の送信元を示す識別情報を取得し、
複数の前記光伝送装置がそれぞれ検出した前記識別情報と、記憶している情報とを比較し、前記光信号のルートを判断することを特徴とする請求項8または9に記載の光伝送ルート識別方法。
【背景技術】
【0002】
通信トラフィックの増加に伴い、光伝送ネットワークシステムには、回線の広帯域化やネットワークの高機能化が求められている。その方策の一つとして、OADM(Optical Add-Drop Multiplexer)や、ROADM(Reconfigurable Optical Add-Drop Multiplexer)などの技術が光伝送ネットワークシステムに適用されている。
【0003】
海底ケーブルシステムにおけるROADMシステムでは、クライアント信号を光伝送装置で波長多重光信号として海底ケーブルに入力し、1つの光ファイバに複数のパスを収容することによってネットワークの柔軟性を向上させている。また、そのような海底ケーブルシステムは、深海に設置されることも多く、一度、敷設されると故障等への対応が困難である。そのため、海底ケーブルシステムを構成する各装置には、高い信頼性が要求される。高い信頼性を維持するためには、海底ケーブルシステムの各光伝送装置や管理用のネットワークの構成はできるだけ簡素な構成であることが望ましい。
【0004】
ROADMシステムのパス設定は、各ROADM装置に対して通信管理システム等から命令を発行することにより、波長に割り当てたパスをリモートから任意に変更することで行うことができる。そのような構成のROADMシステムにおいて安定した通信を行うためには、パスの設定状態を正確に認識してパスの設定を適切に制御する必要がある。そのため、海底ケーブルシステム等のROADMシステムにおいて、外部からパスの設定状態を把握する技術の開発が行われている。そのような、ROADMシステムにおいて、外部からパスの設定状態を把握する技術としては、例えば、特許文献1のような技術が開示されている。
【0005】
特許文献1は、波長多重信号の送受信を行う光伝送装置と、ROADM装置および光クロスコネクト装置を備えるネットワークにおいて波長帯域の使用状況を認識する技術に関するものである。特許文献1の各光伝送装置は、光信号の送受信を行う光ファイバの識別情報、送受信する光信号の波長および自装置の識別情報を関連づけた情報を生成する。特許文献1の各光伝送装置は、OSC(Optical Supervisory Channel)を介して隣接装置間での情報の伝達を順に行うことでネットワーク全体での波長の使用状況の情報を生成している。
【0006】
また、特許文献2には、光クロスコネクト装置間の接続可能性を記述した接続性管理表と、中継経路管理表によってネットワークにおける光信号のパスの情報を取得する技術が開示されている。特許文献2では、領域内の接続関係を示す接続性管理表と、領域間とエッジとなる光伝送装置との接続関係を示す中継経路管理表が設定されている。特許文献2は、接続性管理表と中継経路管理表を基に設定可能なパスの情報を取得することができるとしている。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態について図を参照して詳細に説明する。
図1は、本実施形態の光伝送装置の構成の概要を示したものである。本実施形態の光伝送装置は、受信手段1と、識別情報検出手段2と、出力手段3を備えている。受信手段1は、光分岐挿入装置を介して、伝送路上の波長多重信号から分岐された光信号を受信する。識別情報検出手段2は、送信局および波長帯域ごとにあらかじめ設定されている識別情報を光信号から検出する。出力手段3は、複数の光伝送装置がそれぞれ受信する光信号からそれぞれ検出した識別情報を基、複数のルートの候補のうち光信号のルートがいずれかであるかを判断する装置に、自装置が検出した識別情報を出力する。
【0015】
本実施形態の光伝送装置は、識別情報検出手段2において、受信手段1が受信した光信号から送信局および波長帯域ごとにあらかじめ設定されている識別情報を検出している。また、出力手段3は、複数の光伝送装置が受信した光信号からそれぞれ検出した識別情報を基に、複数のルートの候補のうち光信号のルートがいずれかであるかを判断する装置に、自装置が検出した識別情報を出力している。このように、複数の光伝送装置がそれぞれ取得した送信局および波長帯域ごとにあらかじめ設定されている識別情報を1つの装置が取得することで、波長帯域ごとの光信号が通過する光伝送装置を判断することができる。そのため、複数の光伝送装置から識別情報を取得した装置は、光信号の伝送ルートを識別することができる。その結果、本実施形態の光伝送装置を用いることで、光伝送ネットワークシステムにおける光信号の伝送ルートの設定状態の正確な情報を取得することが可能になる。
【0016】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態について図を参照して詳細に説明する。
図2は、本実施形態の光伝送ネットワークシステムの構成の概要を示したものである。本実施形態の光伝送ネットワークシステムは、通信管理システム等から光信号のパス設定の変更を制御することが可能なROADM(Reconfigurable Optical Add-Drop Multiplexer)システムとして構成されている。また、本実施形態の光伝送ネットワークシステムは、海底ケーブルシステムとして構成されている。
【0017】
本実施形態の光伝送ネットワークシステムは、光送信装置11と、光受信装置12と、第1の光送受信装置13と、第2の光送受信装置14を備えている。本実施形態の光伝送ネットワークシステムは、また、第1のOADM(Optical Add Drop Multiplexer)装置15と、第2のOADM装置16と、光伝送ルート識別装置17をさらに備えている。
【0018】
光送信装置11と、第1のOADM装置15と、第2のOADM装置16と、光受信装置12は、伝送路101を介して接続されている。本実施形態の光伝送ネットワークシステムは、光送信装置11から光受信装置12の方向に波長多重信号が伝送される。また、第1のOADM装置15と、第1の光送受信装置13は、伝送路102を介して接続されている。また、第2のOADM装置16と、第2の光送受信装置14は、伝送路103を介して接続されている。伝送路102および伝送路103は、双方向への波長多重信号の伝送が可能になるように、それぞれの方向に対応する光ファイバケーブルによって構成されている。また、光送信装置11、光受信装置12、第1の光送受信装置13および第2の光送受信装置14は、それぞれ光伝送ルート識別装置17と伝送ネットワーク201を介して接続されている。伝送ネットワーク201は、伝送路101、伝送路102および伝送路103とは別の通信ネットワークを用いて構成されている。
【0019】
光送信装置11、光受信装置12、第1の光送受信装置13および第2の光送受信装置14は、海底ケーブルシステムにおけるケーブル陸揚げ局に設置されている。本実施形態では、光送信装置11がケーブル陸揚げ局A、光受信装置12がケーブル陸揚げ局B、第1の光送受信装置13がケーブル陸揚げ局C、第2の光送受信装置14がケーブル陸揚げ局Dに設置されていとする。また、第1のOADM装置15および第2のOADM装置16は、それぞれ海底装置として設置されている。
【0020】
本実施形態の光伝送ネットワークシステムの各装置の構成について説明する。
【0021】
光送信装置11は、クライアント信号を基に生成した光信号を送信する光伝送装置である。光送信装置11は、光信号送信部21と、パターン生成部22を備えている。
【0022】
光信号送信部21は、入力されたクライアント信号を基に割り当てられた波長帯域の光信号を生成して出力する。光信号の波長帯域の設定情報は、例えば、伝送ネットワーク201を介して通信管理システム等から取得される。光信号送信部21は、複数のクライアント信号それぞれを基に生成した光信号の波長多重化した波長多重信号を伝送路101に出力する。
【0023】
パターン生成部22は、OADM装置においてAdd−Dropされる波長帯域ごとに、波長帯域の送信局を一意に識別可能とする識別情報を付加する。パターン生成部22は、例えば、光信号の光パワーを補償するために生成するダミー光を利用して、あらかじめ設定された波長におけるダミー光の有無によるパターンを識別情報とする。また、パターン生成部22は、0と1が配列された電気信号を、ダミー光の波長領域において光信号に変換したダミーパターンを出力してもよい。また、パターン生成部22は、光信号に低周波の変調を施すことで識別情報を主信号の光信号に重畳してもよい。低周波の変調とは、データの伝送用の光信号の検波や復号等の処理に影響を与えない周波数領域で、主信号の変調の周期に比べ低周波の変調のことをいう。
【0024】
光受信装置12は、波長多重信号を、伝送路101を介して受信し、各波長帯域の信号の復号処理等を行って出力する光伝送装置である。光受信装置12は、光信号受信部31と、パターン検出部32を備えている。
【0025】
光信号受信部31は、波長多重信号を分波する分波素子、各波長帯域の光を電気信号に変換する光電変換素子および各波長帯域の受信信号の補償や復号等を行う信号処理回路等を備えている。光信号受信部31は、各波長帯域の受信信号から復号したそれぞれの信号をクライアント信号として出力する。
【0026】
パターン検出部32は、送信側のパターン生成部が識別情報として付加した識別信号のパターンを検出する。パターン検出部32は、検出したパターンの情報を光伝送ルート識別装置17に伝送ネットワーク201を介して送る。また、パターン検出部32は、送信側のパターン生成部が識別情報を光信号に付加する方式に対応するように構成されている。例えば、ダミー光の波長領域で識別情報が伝送される場合には、パターン検出部32は、ダミー光の波長領域の光を検出し、検出した光のパターンを識別する構成を有する。また、パターン検出部32は、監視対象の波長帯域において識別情報に基づく信号を検出できなかったとき、光伝送ルート識別装置17に識別情報を検出できなかったことを示す情報を送信してもよい。識別情報を検出できなかったことを示す情報を送信することで、光伝送ルート識別装置17は、光信号の伝送ルートの判断をより正確に行うことができる。
【0027】
第1の光送受信装置13および第2の光送受信装置14は、OADM装置において伝送路101上の波長多重信号にAddする光信号の出力およびOADM装置において伝送路101上の波長多重信号からDropされた光信号の受信を行う光伝送装置である。第1の光送受信装置13および第2の光送受信装置14は、光信号送受信部41と、パターン生成部42と、パターン検出部43をそれぞれ備えている。
【0028】
光信号送受信部41は、入力されたクライアント信号を光信号に変換し、伝送路102または伝送路103に出力する。また、光信号送受信部41は、伝送路102または伝送路103を介して受信する光信号の復号等を行い、クライアント信号として出力する。光信号受信部31および光信号送受信部41のうち光信号を受信する機能は、第1の実施形態の受信手段1に相当する。
【0029】
パターン生成部42の構成と機能は、光送信装置11のパターン生成部22と同様である。パターン生成部42は、OADM装置において波長多重信号にAddする光信号の送信元として波長帯域ごとに設定された識別情報に基づく信号光を生成し、Addする光信号とともに伝送路102または伝送路103に出力する。
【0030】
また、パターン検出部43の構成と機能は、光受信装置12のパターン検出部32と同様である。パターン検出部43は、OADM装置において波長多重信号からDropされた光信号の送信元の識別情報を示すパターンを検出し、検出した波長帯域ごとの識別情報を光伝送ルート識別装置17に伝送ネットワーク201を介して送信する。また、本実施形態のパターン検出部32およびパターン検出部43の機能のうち識別情報を検出する機能は、第1の実施形態の識別情報検出手段2に相当する。また、本実施形態のパターン検出部32およびパターン検出部43の機能のうち検出した識別情報を光伝送ルート識別装置17に伝送ネットワーク201を介して出力する機能は、第1の実施形態の出力手段3に相当する。
【0031】
第1のOADM装置15および第2のOADM装置16は、伝送路101を介して伝送される波長多重信号への光信号のAddおよび伝送路101を介して伝送される波長多重信号からの光信号のDropを行う機能を有する。第1のOADM装置15および第2のOADM装置16は、ROADMシステムに対応した光分岐挿入装置である。光信号の送信元を示す識別情報に基づく信号光が、ダミー信号用の波長帯域に設定されているとき、第1のOADM装置15および第2のOADM装置16は、ダミー信号用の波長帯域の光についてもデータ伝送用の光信号と同様にAddまたはDropする。
【0032】
光伝送ルート識別装置17の構成について説明する。
図3は、本実施形態の光伝送ルート識別装置17の構成を示したものである。光伝送ルート識別装置17は、通信部51と、ルート識別部52と、接続性情報記憶部53を備えている。光伝送ルート識別装置17は、各波長帯域の光信号のパス、すなわち、各波長帯域の光信号の伝送ルートを判断する機能を有する。
【0033】
通信部51は、光送信装置11、光受信装置12、第1の光送受信装置13および第2の光送受信装置14と伝送ネットワーク201を介して通信を行う。通信部51は、光受信装置12、第1の光送受信装置13および第2の光送受信装置14から受信信号の送信元の識別情報を受け取ると、受け取った識別情報をルート識別部52に送る。
【0034】
ルート識別部52は、光信号の送信元の識別情報と、接続性管理票を比較し、波長帯域ごとの光信号のパス、すなわち、光信号の伝送ルートを識別する。ルート識別部52は、接続性情報記憶部54に保存されている接続性管理表を参照して光信号のパスを特定する。
【0035】
接続性管理表は、各ケーブル陸揚げ局の光伝送装置間の接続可能性の情報を接続性情報として示した情報である。接続可能性は、ネットワークの構成から想定されるパス、すなわち、光信号の伝送ルートの候補を示したものである。
図4は、接続性管理表の例を示したものである。接続性管理表は、光信号の伝送ルートごとに通過するケーブル陸揚げ局の情報と、各ケーブル陸揚げ局で受信される光信号の送信元を示すパターン信号の情報によって構成されている。接続性管理表は、光伝送ネットワークシステムで伝送される光信号の波長帯域ごとに設定されている。接続性管理表は、光伝送ルートごとに各局で受信される光信号の送信元を示すパターン信号をマトリクス表としてまとめた情報によって構成されている。
【0036】
ルート識別部52は、各ケーブル陸揚げ局で実際に受信した識別情報の信号パターンと、接続性管理表を比較し、波長帯域ごとの伝送ルートを判断する。このような方法で波長帯域ごとの伝送ルートを判断することで、光伝送ルート識別装置17は、各OADM装置におけるAdd−Dropされている光信号の波長帯域の情報を取得することができる。
【0037】
各ケーブル陸揚げ局における受信(Drop)される光信号のパターン信号の検出は、例えば、光伝送ルートの識別が必要なタイミングで光伝送ルート識別装置17からの指示によって実施される。また、各ケーブル陸揚げ局における受信(Drop)される光信号のパターン信号の検出を常時、実施することで、光伝送ルート識別装置17が波長帯域ごとの伝送ルートを継続的に監視していてもよい。
【0038】
接続性情報記憶部53は、接続性管理表のデータを保存している。接続性情報記憶部53は、不揮発性の半導体記憶装置やハードディスクドライブ等の記憶装置によって形成されている。
【0039】
伝送路101、伝送路102および伝送路103は、光ファイバおよび給電線によって形成された海底ケーブルや増幅器等の中継器によって構成されている。また、伝送ネットワーク201には、伝送路101、伝送路102および伝送路103によって構成される海底ケーブルシステムとは独立した通信ネットワークが用いられている。
【0040】
本実施形態の光伝送ネットワークシステムにおいて、光伝送ルート識別装置17が波長帯域ごとの伝送ルートを特定し、パスの設定状態を識別する際の動作について説明する。
【0041】
波長帯Xの光信号が、本実施形態の光伝送ネットワークシステムで伝送される際の光信号の伝送ルートを特定し、パスの設定状態の情報を取得する場合を例に説明する。
図5に示すように、本実施形態の光伝送ネットワークシステムでは、波長帯Xのパスとして、ルート1からルート6までの6ルートが想定される。以下の説明では、ケーブル陸揚げA局の光送信装置11は、波長帯Xの主信号にパターン1の識別信号を付加して送信しているとする。また、ケーブル陸揚げC局の第1の光送受信装置13は、波長帯Xの主信号にパターン2の識別信号を付加して送信しているとする。また、ケーブル陸揚げD局の第2の光送受信装置14は、波長帯Xの主信号にパターン3の識別信号を付加して送信しているとする。
図6は、波長帯Xにこのような識別信号が付加されているときの、波長帯Xの接続性管理表の例を示したものである。
【0042】
各ケーブル陸揚げ局の光伝送装置のパターン検出部は、波長帯Xの主信号に識別情報として付加されている識別信号のパターンを検出する。各ケーブル陸揚げ局は、パターン検出部において識別信号のパターンを検出すると検出したパターンの情報を、伝送ネットワーク201を介して光伝送ルート識別装置17にそれぞれ送る。
【0043】
光伝送ルート識別装置17のルート識別部52は、各ケーブル陸揚げ局から主信号の送信元を示す識別情報を受け取ると、波長帯Xの送信元を示す識別信号の各ケーブル陸揚げ局における受信状況と、接続性情報記憶部53の接続性管理表を比較する。
【0044】
例えば、ケーブル陸揚げB局でパターン1を受信し、ケーブル陸揚げC局およびケーブル陸揚げD局において、波長帯Xの送信元を示す識別信号を受信していないとき、受け取った識別情報の組み合わせは、
図6のルート1に当てはまる。このように、受け取った識別情報が
図6のルート1の組み合わせに当てはまるとき、ルート識別部52は、波長帯Xの光信号の伝送ルートがルート1であると判断する。
【0045】
また、例えば、ケーブル陸揚げB局でパターン2を受信し、ケーブル陸揚げC局およびケーブル陸揚げD局において、波長帯Xの送信元を示す識別信号を受信していないとき、受け取った識別情報の組み合わせは、
図6のルート4に当てはまる。このように、受け取った識別情報が
図6のルート4の組み合わせに当てはまるとき、ルート識別部52は、波長帯Xの光信号の伝送ルートがルート4であると判断する。
【0046】
また、さらに波長帯Zの光信号が、本実施形態の光伝送ネットワークシステムで伝送されている場合を例に説明する。波長帯Zについて、ケーブル陸揚げA局の光送信装置11は、主信号にパターンaの識別信号を付加して送信しているとする。また、ケーブル陸揚げC局の第1の光送受信装置13は、波長帯Zの主信号にパターンcの識別信号を付加して送信しているとする。また、ケーブル陸揚げD局の第2の光送受信装置14は、波長帯Zの主信号にパターンdの識別信号を付加して送信しているとする。
図7は、波長帯Zにこのような識別信号が付加されているときの、波長帯Zの接続性管理表の例を示したものである。
【0047】
例えば、ケーブル陸揚げB局およびケーブル陸揚げB局で、波長帯Zの識別信号を受信できずに、ケーブル陸揚げD局でパターンaの識別信号を受信した場合、受け取った識別情報の組み合わせは、
図7のルート3に当てはまる。受け取った識別情報の組み合わせが
図7のルート3に当てはまるとき、ルート識別部52は、波長帯Zのパスがルート3であると判断する。
【0048】
光伝送ルート識別装置17は、各波長帯の光信号のパスの設定状態を識別すると各波長帯のパスの設定状態の情報を通信管理装置やディスプレイ装置に出力する。このようにOADM機能によりパスを構成している波長帯域および送信元ごとに異なるパターンの識別信号を識別情報として設定し、受信した識別情報の組み合わせと接続性管理表を比較することで、波長帯域ごとのパスの設定情報を取得することができる。
【0049】
ROADMシステムにおける光分岐挿入装置として用いられるROADM装置は、波長多重化された光信号から任意の波長の光信号を取り出し、また、逆に任意の波長の光を混ぜることができる。そのため、ROADM装置は、高速の伝送速度を保ったまま柔軟なパス管理が可能となる。このようにROADM装置では、パケット単位で信号を出し入れするのではなく、伝送装置間で光信号を使ってデータを転送するパスを設定する。このパスの設定は、各ROADM装置に対して命令を発行することにより、波長に割り当てたパスをリモートから任意に変更することができる。
【0050】
一方、リモートからのコマンド送信によりパスの変更を実施していることから、何らかの理由でコマンドが正常にROADM装置に届かなかった場合や、ROADM装置が正常に動作しなかった場合等、パスが正しく切り替わらないことが発生する。この場合、光信号が本来の送信先装置ではない装置に転送されうる。その結果、光信号に含まれる情報の秘匿性が確保できなくなり、セキュリティ上の問題が発生する恐れがある。
【0051】
特に、複数のROADM装置を経由したパスが正しく接続されなかった場合、光信号が本来の送信先装置ではない装置に転送されることに加え、現在のパスの設定状況が不明となり、実際にどのようなパスが構成されているのが判断できない状況に成りうる。海底ケーブルシステムに使用される海底ROADMシステムにおいては、光信号のパスを制御するROADM装置自体も海底に設置される。海底ケーブルは8000メートルの深海底に設置されることもある。そのようなメンテナンスの難しい海底に設置されるROADMシステムの各機器は、故障の可能性を低減させるためにも、よりシンプルな回路構成の機器とすることが有利である。
【0052】
本実施形態の光伝送ネットワークシステムでは、各ケーブル陸揚げ局の光伝送装置は、受信信号から受信した識別情報を、伝送ネットワーク201を介して送信すればよいため、パスの情報を取得するための装置構成の複雑化を抑えることができる。そのため、光伝送ネットワークシステムは、高い信頼性を維持することができる。また、識別情報は、陸上に設置されるケーブル陸揚げ局から通信回線を介して取得すればよいので、パスの情報を取得する対象となる海底ケーブルシステム以外の通信ネットワークシステムを介して取得することができる。そのため、光伝送ネットワークシステムでは、パス監視のために複雑な回路を付加することなく、外部よりパスの設定状態の情報を確実に把握することができる。
【0053】
本実施形態の光伝送ネットワークシステムは、光伝送ルート識別装置17において、各陸揚げ局で受信した光信号の送信元を示す識別情報と、接続性管理表を基に、光信号の伝送ルートを特定している。よって、本実施形態の光伝送ネットワークシステムは、光伝送装置間で複数のOADM装置を通過したような場合にも、光信号の伝送ルートを特定することができる。その結果、本実施形態の光伝送ネットワークシステムは、パスの設定状態の正確な情報を取得することができる。
【0054】
第2の実施形態では、光伝送ネットワークシステムを海底ケーブルシステムに用いた場合の例を示したが、第2の実施形態の光伝送ネットワークシステムは、海底ケーブルシステム以外の通信ネットワークシステムに用いてもよい。また、第2の実施形態の光伝送ネットワークシステムは、光送信装置11から光受信装置12の1方向にのみ波長多重信号を送信しているが、双方向の通信を行える構成であってもよい。そのような構成とする場合には、第1の光送受信装置13と同等の構成の光伝送装置が光送信装置11および光受信装置12に代えて用いられる。また、第2の実施形態の光伝送ネットワークシステムは、2台のOADM装置を備えているが、OADM装置は、3台以上であってもよい。