特許第6560315号(P6560315)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6560315
(24)【登録日】2019年7月26日
(45)【発行日】2019年8月14日
(54)【発明の名称】冷却流路付きボールねじ軸
(51)【国際特許分類】
   F16H 25/24 20060101AFI20190805BHJP
   F16H 25/22 20060101ALI20190805BHJP
【FI】
   F16H25/24 K
   F16H25/24 A
   F16H25/22 C
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-192570(P2017-192570)
(22)【出願日】2017年10月2日
(65)【公開番号】特開2019-65976(P2019-65976A)
(43)【公開日】2019年4月25日
【審査請求日】2017年10月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】395011229
【氏名又は名称】上銀科技股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100082418
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 朔生
(74)【代理人】
【識別番号】100167601
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 信之
(74)【代理人】
【識別番号】100201329
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 真二郎
(72)【発明者】
【氏名】洪聖豪
(72)【発明者】
【氏名】枋有▲キン▼
(72)【発明者】
【氏名】莊裕緯
【審査官】 小川 克久
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第6817260(US,B2)
【文献】 米国特許第9046165(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 25/24
F16H 25/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸線と、前記軸線を囲むねじ軸環状面と、前記軸線を囲んで前記ねじ軸環状面に設けられている外ネジ溝と、を有するねじ軸と、
前記軸線方向に沿って前記ねじ軸に嵌め設けられており、前記軸線を囲んで螺旋するように設けられている内ネジ溝を備え、前記内ネジ溝と前記外ネジ溝とから、多数の玉を収容する負荷経路と、第1ラジアル端面と、前記第1ラジアル端面の反対側に位置する第2ラジアル端面と、少なくとも一つの軸方向平面と、前記第1ラジアル端面から前記第2ラジアル端面へ延びるように設けられている入れ冷却溝及び排出冷却溝と、前記軸方向平面に設けられている少なくとも一つの冷却ガイド溝と、最後に前記冷却ガイド溝と前記入れ冷却溝とを連通する第1ラジアル穿孔と、最後に前記冷却ガイド溝と前記排出冷却溝とを連通する第2ラジアル穿孔とが形成されるナットと、
前記ナットの軸方向平面に設けられており、前記冷却ガイド溝を封止する封止平面を有し、前記入れ冷却溝、前記第1ラジアル穿孔、前記少なくとも一つの冷却ガイド溝、前記第2ラジアル穿孔及び前記排出冷却溝から、冷却流路が形成される封止ユニットと、を備え
前記ナットの前記冷却ガイド溝は、更に、環状肩部を有し、
前記封止ユニットは、少なくとも一つの漏れ止め部材と、漏れ止め片と、カバープレートと、を備え、
前記漏れ止め部材は、前記冷却ガイド溝の溝口を封止する漏れ止め部と、前記環状肩部に当接する当接部と、を有し、
前記漏れ止め片は、前記ナットに設けられており、前記冷却ガイド溝と前記漏れ止め部材とを封止する前記封止平面を有し、
前記カバープレートは、ねじ止めにより前記ナットの前記軸方向平面に締め付けられており、前記漏れ止め片に押付けることを特徴とする、
冷却流路付きボールねじ軸。
【請求項2】
軸線と、前記軸線を囲むねじ軸環状面と、前記軸線を囲んでみ前記ねじ軸環状面に設けられている外ネジ溝と、を有するねじ軸と、
前記軸線方向に沿って前記ねじ軸に嵌め設けられており、前記軸線を囲んで螺旋するように設けられている内ネジ溝を備え、前記内ネジ溝と前記外ネジ溝とから、多数の玉を収容する負荷経路と、第1ラジアル端面と、前記第1ラジアル端面の反対側に位置する第2ラジアル端面と、第1軸方向平面と、第2軸方向平面と、前記第1ラジアル端面から前記第2ラジアル端面へ延びるように設けられている入れ冷却溝及び排出冷却溝と、前記第1軸方向平面に設けられている第1冷却ガイド溝と、前記第2軸方向平面に設けられている第2冷却ガイド溝と、最後に前記第1冷却ガイド溝と前記入れ冷却溝とを連通する第1ラジアル穿孔と、最後に前記第2冷却ガイド溝と前記排出冷却溝とを連通する第2ラジアル穿孔と、前記第1冷却ガイド溝と前記第2冷却ガイド溝とを連通する第3ラジアル穿孔とが形成されるナットと、
前記ナットの前記第1軸方向平面と前記第2軸方向平面とにそれぞれ設けられており、前記第1冷却ガイド溝と前記第2冷却ガイド溝とを封止する封止平面をそれぞれ有し、前記入れ冷却溝、前記第1ラジアル穿孔、前記第1冷却ガイド溝、前記第3ラジアル穿孔、前記第2冷却ガイド溝、前記第2ラジアル穿孔及び前記排出冷却溝から、冷却流路が形成される二つの封止ユニットと、を備え
前記ナットの前記第1冷却ガイド溝は、更に、第1環状肩部を有し、
前記第2冷却ガイド溝は、更に、第2環状肩部を有し、
各前記封止ユニットは、少なくとも一つの漏れ止め部材と、カバープレートと、漏れ止め片と、を備え、
各前記漏れ止め部材は、前記第1冷却ガイド溝と前記第2冷却ガイド溝との溝口を封止する漏れ止め部と、前記第1環状肩部と前記第2環状肩部とに当接する当接部と、有し、
前記漏れ止め片は、前記ナットに設けられており、前記第1冷却ガイド溝、前記第2冷却ガイド溝及び前記漏れ止め部材を封止する前記封止平面を有し、
各前記カバープレートは、ねじ止めによりそれぞれ前記ナットの前記第1軸方向平面と前記第2軸方向平面とに締め付けられており、前記漏れ止め片に押付けることを特徴とする、
冷却流路付きボールねじ軸。
【請求項3】
前記ナットの前記第1冷却ガイド溝と第2冷却ガイド溝とはそれぞれ三つあり、前記第1冷却ガイド溝と前記第2冷却ガイド溝とは、並列接続されていることを特徴とする、請求項に記載の冷却流路付きボールねじ軸。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボールねじ軸に関し、特に、冷却流路付きボールねじ軸に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図1Aに示すのは、特許文献1の中華民国発明第090106417号の「冷却通路付きボールねじ軸」を示す図である。このようなボールねじ軸は、ナット11の両側に、内部に溝121が複数設けられているエンドキャップ12がそれぞれ設けられており、両側にあるエンドキャップ12に設けられている複数の溝121により、ナット11の内部に設けられている複数の冷却貫通孔111が接続されて冷却媒体循環通路が構成される。冷却媒体が入り口を経由して冷却媒体循環通路に供給されることにより、ナット11が設定されたある温度値に冷却される。熱を吸収した冷却媒体は、出口から外部に排出される。
しかしながら、このようなボールねじ軸は、ナット11の両側にエンドキャップ12をそれぞれ設けることが必要であると共に、エンドキャップ12の各溝121をナット11の各冷却貫通孔111に対応することにより、冷却媒体循環通路が形成される。このように、ナット11の軸方向の長さが長すぎるため、ナット11の有効ストロークが減少する。
【0003】
図1Bに示すのは、特許文献2の中華民国発明第094114025号の「冷却装置のナット」を示す図である。このようなナットは、ナット14の外周面に循環溝141が直接に成形され、循環溝141が、連続に屈折するように、ナット14の軸方向に沿って成形され、カバープレート15により循環溝141をカバーすることにより、ナット14の外周面に冷却流路が形成される。
しかしながら、このようなナットは、蝋付けにより、各カバープレート15をナット14の外周面に結合して、ナット14の循環溝141が封止されて冷却流路を構成するため、加工及び修理が極めて不便である。そして蝋付けにより、カバープレート15をナット14に結合した後、外面に対して研磨作業を行うことが必要なため、工数がかなり掛かる。
【0004】
図1Cに示すのは、特許文献3の中華民国発明第105211596号の「冷却流路付きボールねじ軸」を示す図である。このようなボールねじ軸は、ナット17が二つの端面171とラジアル面172とを有する。一端面171から他端面171に延びる軸方向流路173が複数設けられている。軸方向流路173は、ナット17の穿孔174を囲むように配列されている。ラジアル面172の二つの端面171に近接する位置には、軸方向流路173と接続するラジアル流路175がそれぞれ設けられている。ラジアル流路175と軸方向流路173とから、連続のS字形を呈する冷却流路が形成される。
しかしながら、このようなボールねじ軸は、ナット17の一端面171から他端面171に延びる複数の独立な軸方向流路173を有し、各軸方向流路173は、それぞれ円錐形ネジ176によって封止することが必要であり、そしてテープシールを使用することも必要なため、組付け作業に工数がかなり掛かる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】中華民国発明第090106417号公報
【特許文献2】中華民国発明第094114025号公報
【特許文献3】中華民国発明第105211596号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の主な目的は、組付け作業によるコストを減少可能な冷却流路付きボールねじ軸を提供することにある。
【0007】
本発明の次の目的は、冷却流路の密封性を増加可能な冷却流路付きボールねじ軸を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の冷却流路付きボールねじ軸は、軸線と、軸線を囲むねじ軸環状面と、軸線を囲んでねじ軸環状面に設けられている外ネジ溝と、を有するねじ軸と、軸線方向に沿ってねじ軸に嵌め設けられており、軸線を囲んで螺旋するように設けられている内ネジ溝を備え、内ネジ溝と外ネジ溝とから、多数の玉を収容する負荷経路と、第1ラジアル端面と、第1ラジアル端面の反対側に位置する第2ラジアル端面と、少なくとも一つの軸方向平面と、第1ラジアル端面から第2ラジアル端面へ延びるように設けられている入れ冷却溝及び排出冷却溝と、軸方向平面に設けられている少なくとも一つの冷却ガイド溝と、最後に冷却ガイド溝と入れ冷却溝とを連通する第1ラジアル穿孔と、最後に冷却ガイド溝と排出冷却溝とを連通する第2ラジアル穿孔とが形成されるナットと、ナットの軸方向平面に設けられており、冷却ガイド溝を封止する封止平面を有し、入れ冷却溝、第1ラジアル穿孔、少なくとも一つの冷却ガイド溝、第2ラジアル穿孔及び排出冷却溝から、冷却流路が形成される封止ユニットと、を備えることを特徴とする。
【0009】
本発明の冷却流路付きボールねじ軸は、ナットの冷却ガイド溝は、更に、環状肩部を有し、封止ユニットは、少なくとも一つの漏れ止め部材と、漏れ止め片と、カバープレートと、を備え、漏れ止め部材は、冷却ガイド溝の溝口を封止する漏れ止め部と、環状肩部に当接する当接部と、を有し、漏れ止め片は、ナットに設けられており、冷却ガイド溝と漏れ止め部材とを封止する封止平面を有し、カバープレートは、ねじ止めによりナットの軸方向平面に締め付けられており、漏れ止め片に押付けることを特徴とする。
【0010】
本発明の冷却流路付きボールねじ軸は、軸線と、軸線を囲むねじ軸環状面と、軸線を囲んでねじ軸環状面に設けられている外ネジ溝と、を有するねじ軸と、軸線方向に沿ってねじ軸に嵌め設けられており、軸線を囲んで螺旋するように設けられている内ネジ溝を備え、内ネジ溝と外ネジ溝とから、多数の玉を収容する負荷経路と、第1ラジアル端面と、第1ラジアル端面の反対側に位置する第2ラジアル端面と、第1軸方向平面と、第2軸方向平面と、第1ラジアル端面から第2ラジアル端面へ延びるように設けられている入れ冷却溝及び排出冷却溝と、第1軸方向平面に設けられている第1冷却ガイド溝と、第2軸方向平面に設けられている第2冷却ガイド溝と、最後に第1冷却ガイド溝と入れ冷却溝とを連通する第1ラジアル穿孔と、最後に第2冷却ガイド溝と排出冷却溝とを連通する第2ラジアル穿孔と、第1冷却ガイド溝と第2冷却ガイド溝とを連通する第3ラジアル穿孔とが形成されるナットと、ナットの第1軸方向平面と第2軸方向平面とにそれぞれ設けられており、第1冷却ガイド溝と第2冷却ガイド溝とを封止する封止平面をそれぞれ有し、入れ冷却溝、第1ラジアル穿孔、第1冷却ガイド溝、第3ラジアル穿孔、第2冷却ガイド溝、第2ラジアル穿孔及び排出冷却溝から、冷却流路が形成される二つの封止ユニットと、を備えることを特徴とする。
【0011】
本発明の冷却流路付きボールねじ軸は、ナットの第1冷却ガイド溝と第2冷却ガイド溝とはそれぞれ三つあり、第1冷却ガイド溝と第2冷却ガイド溝とは、並列接続されていることを特徴とする。
【0012】
本発明の冷却流路付きボールねじ軸は、ナットの第1冷却ガイド溝は、更に、第1環状肩部を有し、第2冷却ガイド溝は、更に、第2環状肩部を有し、各封止ユニットは、少なくとも一つの漏れ止め部材と、カバープレートと、漏れ止め片と、を備え、各漏れ止め部材は、第1冷却ガイド溝と第2冷却ガイド溝との溝口を封止する漏れ止め部と、第1環状肩部と第2環状肩部とに当接する当接部と、有し、漏れ止め片は、ナットに設けられており、第1冷却ガイド溝、第2冷却ガイド溝及び漏れ止め部材を封止する封止平面を有し、各カバープレートは、ねじ止めによりそれぞれナットの第1軸方向平面と第2軸方向平面とに締め付けられており、漏れ止め片に押付けることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の冷却流路付きボールねじ軸には次のような効果がある。
(1)組付け作業によるコストを減少する。
ナット30には、軸線21に平行する、入れ冷却溝36と、排出冷却溝37とが設けられており、且つナット30の第1軸方向平面34には、並列接続する三つの第1冷却ガイド溝38が設けられており、第2軸方向平面35には、並列接続する三つの第2冷却ガイド溝39が設けられている。各第1冷却ガイド溝38は、第1ラジアル穿孔310により入れ冷却溝36と連通する。各第2冷却ガイド溝39は、第2ラジアル穿孔311により排出冷却溝37と連通する。第3ラジアル穿孔312により、第1冷却ガイド溝38と第2冷却ガイド溝39が連通する。最後に、封止ユニット40により第1冷却ガイド溝38と第2冷却ガイド溝39とを封止する。これにより、入れ冷却溝36及び排出冷却溝37と第1ラジアル穿孔310、第1冷却ガイド溝38、第3ラジアル穿孔312、第2冷却ガイド溝39及び第2ラジアル穿孔311から、冷却流路が形成される。
本発明では、冷却流路がラジアル直交という設計を採用し、軸方向には、流路を貫通する設計を採用しないため、円錐形を呈するボルトにより締め付けて密封することが必要なく、ネジの使用を大幅に減少可能であり、且つ入れ冷却溝36、排出冷却溝37、第1ラジアル穿孔310、第1冷却ガイド溝38、第3ラジアル穿孔312、第2冷却ガイド溝39及び第2ラジアル穿孔311の加工を完成した後、ナット30に封止ユニット40を締め付けて、第1冷却ガイド溝38と第2冷却ガイド溝39と封止すると、冷却流路付きボールねじ軸が完成される。これにより、組付け作業のステップ及び時間を有効に減少可能であり、組付け作業によるコストを減少可能である。
【0014】
(2)冷却流路の密封性を増加可能である。
本発明に係る冷却流路は、入れ冷却溝36及び排出冷却溝37と第1ラジアル穿孔310、第1冷却ガイド溝38、第3ラジアル穿孔312、第2冷却ガイド溝39及び第2ラジアル穿孔311から構成されるため、密封することが必要な部位は、第1冷却ガイド溝38及び第2冷却ガイド溝39である。本実施形態では、封止ユニット40が、漏れ止め部材41、漏れ止め片42及びカバープレート43から構成され、まず、漏れ止め部材41により第1冷却ガイド溝38と第2冷却ガイド溝39とを封止することにより、第1冷却ガイド溝38と第2冷却ガイド溝39との1層目の密封メカニズムが形成され、次に漏れ止め片42により、第1冷却ガイド溝38、第2冷却ガイド溝39及び漏れ止め部材41を封止することにより、第1冷却ガイド溝38と第2冷却ガイド溝39との2層目の密封メカニズムが形成される。最後に、皿頭ネジ44により、カバープレート43をナット30に締め付けると同時に、各漏れ止め片42を押付ける。これにより、第1冷却ガイド溝38と第2冷却ガイド溝39との3層目の密封メカニズムが形成される。
これにより、本実施形態に係る冷却流路の密封作業を行うことが必要な第1冷却ガイド溝38と第2冷却ガイド溝39とは、封止ユニット40の三つの密封メカニズムにより密封される。このため、冷却流路の密封性を有効に増加可能となる。
【0015】
(3)ナットの有効ストロークを保持可能である。
冷却流路の設計は、ナット30に、軸線21に平行する、入れ冷却溝36と、排出冷却溝37とが設けられており、且つナット30の第1軸方向平面34に、並列接続する三つの第1冷却ガイド溝38が設けられており、第2軸方向平面35に、並列接続する三つの第2冷却ガイド溝39が設けられており、そして第1ラジアル穿孔310、第2ラジアル穿孔311及び第3ラジアル穿孔312により、第1冷却ガイド溝38と第2冷却ガイド溝39とが互いに連通し、入れ冷却溝36及び出力冷却流路37と連通し、最後に、封止ユニット40をナット30に締め付けて、第1冷却ガイド溝38と第2冷却ガイド溝39とを封止すると、冷却流路付きボールねじ軸が完成される。
これにより、本発明に係る冷却流路は、ラジアル直交という設計を採用し、軸方向には、流路を貫通する設計を採用しないため、軸方向に沿って入れる止めブロックを必要しない。このため、ナット30の軸方向長さを増加せず、ナット30の有効ストロークを確実に保持可能である。
【0016】
(4)適用可能な範囲が広い。
本発明に係る冷却流路の設計は、ナット30には、軸方向に沿って加工する必要があるのは、入れ冷却溝36と排出冷却溝37だけであるため、フランジの注油穴とスクレーパーのネジとを考慮する必要がなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1A】中華民国発明第090106417号の「冷却通路付きボールねじ軸」を示す図である。
図1B】中華民国発明第094114025号の「冷却装置のナット」を示す図である。
図1C】中華民国発明第105211596号の「冷却流路付きボールねじ軸」を示す図である。
図2】本発明の第1の実施形態を示す分解斜視図であって、封止ユニットとナットが分離された状態を示す。
図3】本発明の第1の実施形態の組合済み状態を示す斜視図である。
図4図3の4−4線の断面図である。
図5図3の5−5線の断面図である。
図6】本発明の第1の実施形態を示す斜視図であって、ナットの立体的な状態を示す。
図7】本発明の第2の実施形態を示す断面図であって、図4に類似する断面状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0019】
(第1の実施形態)
図2から図6を参照する。本発明の第1の実施形態に係る冷却流路付きボールねじ軸は、ねじ軸20と、ねじ軸20に嵌め設けられているナット30と、ねじ軸20とナット30との間に配されている複数の玉50と、ナット30に設けられている二つの封止ユニット40と、から構成される。
【0020】
ねじ軸20は、軸線21と、軸線21を囲むねじ軸環状面22と、軸線21を囲んでねじ軸環状面22に設けられている外ネジ溝23と、を有する。
【0021】
図6を参照する。ナット30は、軸線21の方向に沿ってねじ軸20に嵌め設けられており、内ネジ溝31を備える。内ネジ溝31は、軸線21を囲み、ナット30の内部に設けられている。内ネジ溝31と外ネジ溝23とから、多数の玉5を収容する負荷経路、第1ラジアル端面32、第1ラジアル端面32の反対側に位置する第2ラジアル端面33、軸線21に沿って延び第1ラジアル端面32と第2ラジアル端面33との間に設けられている第1軸方向平面34、軸線21に沿って延び第1ラジアル端面32と第2ラジアル端面33との間に設けられている第2軸方向平面35、第1ラジアル端面32から第2ラジアル端面33へ延びるように設けられている入れ冷却溝36及び排出冷却溝37、第1軸方向平面34に設けられており並列接続する三つの第1冷却ガイド溝38、第2軸方向平面35に設けられており並列接続する三つの第2冷却ガイド溝39、第1冷却ガイド溝38と入れ冷却溝36とを連通する第1ラジアル穿孔310、第2冷却ガイド溝39と排出冷却溝37とを連通する第2ラジアル穿孔311、及び第1冷却ガイド溝38と第2冷却ガイド溝39とを連通する第3ラジアル穿孔312が形成される。
本実施形態では、各第1冷却ガイド溝38は、更に、第1環状肩部381を有し、各第2冷却ガイド溝39は、更に、第2環状肩部391を有する。
【0022】
二つの封止ユニット40は、第1冷却ガイド溝38と第2冷却ガイド溝39との数量に対応しストリップ状を呈する三つの漏れ止め部材41と、矩形を呈する漏れ止め片42と、弓字形を呈するカバープレート43と、をそれぞれ備える。漏れ止め部材41は、第1冷却ガイド溝38と第2冷却ガイド溝39との溝口を封止する漏れ止め部411と、第1環状肩部381と第2環状肩部391とに当接する当接部412と、を有する。漏れ止め片42は、ナット30に設けられており、第1冷却ガイド溝38と第2冷却ガイド溝39と漏れ止め部材41とを封止する封止平面421を有する。カバープレート43は、皿頭ネジ44により、ナット30の第1軸方向平面34と第2軸方向平面35とに締め付けられており、漏れ止め片42に押付ける。これにより、入れ冷却溝36及び排出冷却溝37と各第1ラジアル穿孔310、第1冷却ガイド溝38、第3ラジアル穿孔312、第2冷却ガイド溝39及び第2ラジアル穿孔311から、冷却流路が形成される。
本実施形態では、図5に示すように、漏れ止め片42にカバープレート43を安定的に押付けることにより、漏れ止め片42が各第1冷却ガイド溝38、各第2冷却ガイド溝39及び各漏れ止め部材41を有効に封止するために、ナット30の第1軸方向平面34にねじ穴341が設けられており、ナット30の第2軸方向平面35にねじ穴351が設けられており、漏れ止め片42には、ねじ穴341,351に対応する穿孔422が設けられており、カバープレート43には、ねじ穴341,351に対応する皿頭穴431が設けられており、皿頭ネジ44は皿頭穴431に締め付ける。
【0023】
上記のような構成によれば、冷却液は、入れ冷却溝36から進入して、第1ラジアル穿孔310、第1冷却ガイド溝38、第3ラジアル穿孔312、第2冷却ガイド溝39及び第2ラジアル穿孔311を経由して、最後に排出冷却溝37から排出される。これにより、冷却経路が形成される。
【0024】
(第2の実施形態)
図7を参照する。本発明の第2の実施形態に係る冷却流路付きボールねじ軸は、同じように、ねじ軸20と、ねじ軸20に嵌め設けられているナット30と、ねじ軸20とナット30との間に配されている複数の玉50と、ナット30に設けられている封止ユニット40と、から構成される。
第2の実施形態は、その構成及び効果が第1の実施形態と同じ点の説明を省略した。第2の実施形態の第1の実施形態と相違する点は下記にある。
【0025】
ナット30には、軸線21の方向に沿って軸方向平面313が設けられており、軸方向平面313に冷却ガイド溝314が三つ設けられており、最後に冷却ガイド溝314と入れ冷却溝36とを連通する第1ラジアル穿孔310と、最後に冷却ガイド溝314と排出冷却溝37とを連通する第2ラジアル穿孔311と、を有する。同じように、ナット30の軸方向平面313に封止ユニット40を設けることにより、各冷却ガイド溝314が封止されて、入れ冷却溝36、第1ラジアル穿孔310、冷却ガイド溝314、第2ラジアル穿孔311及び排出冷却溝37が冷却流路を形成する。
【符号の説明】
【0026】
11 ナット
12 エンドキャップ
14 ナット
15 カバープレート
17 ナット
20 ねじ軸
21 軸線
22 ねじ軸環状面
23 外ネジ溝
30 ナット
31 内ネジ溝
32 第1ラジアル端面
33 第2ラジアル端面
34 第1軸方向平面
35 第2軸方向平面
36 入れ冷却溝
37 排出冷却溝
38 第1冷却ガイド溝
39 第2冷却ガイド溝
40 封止ユニット
41 漏れ止め部材
42 漏れ止め片
43 カバープレート
44 皿頭ネジ
50 玉
111 冷却貫通孔
121 溝
141 循環溝
171 端面
172 ラジアル面
173 軸方向流路
174 穿孔
175 ラジアル流路
176 円錐形ネジ
310 第1ラジアル穿孔
311 第2ラジアル穿孔
312 第3ラジアル穿孔
313 軸方向平面
314 冷却ガイド溝
341 ねじ穴
351 ねじ穴
381 第1環状肩部
391 第2環状肩部
411 漏れ止め部
412 当接部
421 封止平面
422 穿孔
431 皿頭穴
図1A
図1B
図1C
図2
図3
図4
図5
図6
図7