(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6560417
(24)【登録日】2019年7月26日
(45)【発行日】2019年8月14日
(54)【発明の名称】封止集成体とその作製方法、及び輸送機関用窓ガラス
(51)【国際特許分類】
B60R 13/06 20060101AFI20190805BHJP
B60J 10/15 20160101ALI20190805BHJP
F16J 15/10 20060101ALN20190805BHJP
【FI】
B60R13/06
B60J10/15
!F16J15/10 S
【請求項の数】16
【外国語出願】
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-143741(P2018-143741)
(22)【出願日】2018年7月31日
(62)【分割の表示】特願2016-537967(P2016-537967)の分割
【原出願日】2015年3月2日
(65)【公開番号】特開2018-203255(P2018-203255A)
(43)【公開日】2018年12月27日
【審査請求日】2018年8月30日
(31)【優先権主張番号】201410126136.7
(32)【優先日】2014年3月31日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】500374146
【氏名又は名称】サン−ゴバン グラス フランス
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100170874
【弁理士】
【氏名又は名称】塩川 和哉
(72)【発明者】
【氏名】ジョウ ジュイン
(72)【発明者】
【氏名】ウォーン ラン
【審査官】
宮地 将斗
(56)【参考文献】
【文献】
特開平01−249514(JP,A)
【文献】
特表2013−502343(JP,A)
【文献】
特表2002−503614(JP,A)
【文献】
米国特許第05688016(US,A)
【文献】
特開平8−324248(JP,A)
【文献】
特開昭64−56243(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 13/06
B60J 10/00−10/90
F16J 15/10
B60R 13/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
封止集成体を作製するための方法であって、
装飾部分と侵入構造部が形成された結合部分とを含むトリムを作製し、ここで、前記トリムの作製が、前記侵入構造部を形成するようにして、前記結合部分に歯型構造を形成することを含むこと、そして、
前記トリムの前記結合部分を覆う固定用部分を含むガスケットを作製し、このガスケットを作製する工程において、前記固定用部分の一部を、前記結合部分の前記侵入構造部内に埋め込み、かつ前記ガスケットを射出成形によって作製すること、
を含む、封止集成体の作製方法。
【請求項2】
前記トリムが金属製であり、そして前記トリムを作製することが、スタンピング法によって前記トリムに前記侵入構造部を形成することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記トリムをステンレス鋼又はアルミニウム合金で作製する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記トリムがプラスチック製であり、そして前記トリムを射出成形により作製する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記歯型構造が前記結合部分に形成した複数の歯を含み、隣接する各対の歯の間の距離が0.5mm以上である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記トリムの前記結合部分を前記トリムのエッジに形成し、そして前記ガスケットを作製することが、
前記トリムの第1面を覆う第1リップを形成すること、
前記第1リップに結合されて前記結合部分と前記トリムの第2面とを覆う第2リップを形成すること、そして、
前記侵入構造部内に埋め込まれる固定用部品を形成し、前記固定用部品に前記第1リップ及び第2リップを結合させ、前記第2リップと、前記固定用部品と、前記第1リップの前記第2リップと反対側の部分とが一緒になって前記固定用部分を構成すること、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記ガスケットを作製することが、前記第1リップと前記第2リップとの接合部分にガラス片を収容するための溝を形成することを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記ガスケットをポリ塩化ビニル又は熱可塑性エラストマーで作製する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
装飾部分と侵入構造部が形成された結合部分とを含むトリムであって、前記侵入構造部が歯型構造を含んでいる、トリム、及び、
前記トリムの前記結合部分を覆う固定用部分を含むガスケットであって、前記固定用部分の一部が、前記ガスケットを作製する工程において、前記結合部分の前記侵入構造部内に埋め込まれており、かつ前記ガスケットは、射出成形品である、ガスケット、
を含む封止集成体。
【請求項10】
前記トリムが金属又はプラスチック製である、請求項9に記載の封止集成体。
【請求項11】
前記トリムがステンレス鋼又はアルミニウム合金製である、請求項9に記載の封止集成体。
【請求項12】
前記歯型構造が複数の歯を含んでおり、隣接する各対の歯の間の距離が0.5mm以上である、請求項9に記載の封止集成体。
【請求項13】
前記トリムの前記結合部分が前記トリムのエッジに配置されており、そして前記ガスケットが、
前記トリムの第1面を覆う第1リップ、
前記第1リップと結合されて前記トリムの前記結合部分と第2面とを覆う第2リップ、及び、
前記侵入構造部内に埋め込まれた固定用部品であって、前記第1リップ及び第2リップと結合されており、前記第2リップと、前記固定用部品と、前記第1リップの前記第2リップと反対側の部分とが一緒になって前記固定用部分を構成している、固定用部品、
を含んでいる、請求項9に記載の封止集成体。
【請求項14】
前記ガスケットがさらに、前記第1リップと前記第2リップとの接合部分に位置するガラス片を収容するための溝を含んでいる、請求項13に記載の封止集成体。
【請求項15】
前記ガスケットがポリ塩化ビニル又は熱可塑性エラストマー製である、請求項9に記載の封止集成体。
【請求項16】
ガラスの個片と、
請求項9から15までのいずれか1項に記載の封止集成体であって、前記封止集成体のガスケットが前記ガラスのエッジに配置されている、封止集成体と、
を含む、輸送機関用窓ガラス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2014年3月31日提出の「封止集成体とその作製方法、及び輸送機関用窓ガラス」という発明の名称の中国特許出願第201410126136.7号の優先権を主張し、その開示全体を参照によりここに組み入れるものである。
【0002】
本開示は、一般的に言えば輸送機関の分野、より具体的には封止集成体とその作製方法、及び輸送機関用窓ガラスに関する。
【背景技術】
【0003】
一般に、輸送機関用窓ガラスは、良好なシール効果が得られるように、輸送機関本体の開口部とうまく適合することが必要とされる。従って通常の場合、輸送機関用窓ガラスと輸送機関本体との間には、それらのすき間を封止集成体によってシールすることができそして良好なシール効果を得ることができるように、封止集成体が配置されている。
【0004】
さらに、封止集成体の美観を向上させるために、封止集成体には常にトリムが施される。こうして既存の封止集成体は一般に、装飾を目的としたトリムと、シール用部品とを含んでいる。シール用部品は、窓ガラスと輸送機関本体とのすき間をシールするだけでなく、さらにトリムを支持する。
【0005】
既存の技術では、トリムとシール用部品とは通常、異なる材料で製作されるので、トリムとシール用部品とを安定して結合するために、封止集成体を作製するのにオーバーモールド法が必要となる。
【0006】
しかし、既存の封止集成体では、トリムの一部分がシール用部品にうまく固定されないことがある。例えば、シール用部品の一部分の厚さが他の部分よりも薄く、そのため重力下で変形しやすいことがある。これらの変形は美観に影響を及ぼしかねない。封止集成体の性能及び有効寿命にも影響が及ぶ。加えて、トリム及びシール用部品の熱膨張係数が異なるので、トリムがシール用部品から剥がれることがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
封止集成体のガスケットとトリムとをより安定して結合することができ、これにより封止集成体の有効寿命を増加させることができるような、封止集成体とその作製方法、及び輸送機関用窓ガラスが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
1つの側面において、封止集成体を作製するための方法が提供される。この方法は、装飾部分と侵入構造部が形成された結合部分とを含むトリムを作製すること、そしてトリムの結合部分を覆う固定用部分を含むガスケットを作製し、固定用部分の一部を結合部分の侵入構造部内に埋め込むこととを含む。
【0009】
基本的な考えは、ガスケットの固定用部分の一部を侵入構造部内に埋め込むことができることである。ガスケットの固定用部分がトリムの結合部分を覆うと、固定用部分とトリムとをより安定して結合することができ、それにより封止集成体の信頼性を保証し封止集成体の有効寿命を増加させることができるように、固定用部分を侵入構造部を介してトリムの結合部分に固定することができる。
【0010】
さらに、トリムの結合部分は侵入構造部と一緒に作製され、例えば穴構造又は歯型構造を備えて作製される。このような侵入構造部は容易に形成することができる。一部の実施形態では、トリムが金属製である場合、穴構造又は歯型構造をスタンピング法によって形成することができる。一部の実施形態では、トリムが射出成形法で形成される場合、穴構造又は歯型構造を射出成形法で直接形成することができる。
【0011】
さらに、穴構造における貫通穴の直径又は歯型構造における隣接する各対の歯の間の距離は、オーバーモールディング処理中にガスケットの固定用部分を貫通穴中に又は歯の間に容易に埋め込むことができるように、0.5mm以上でよい。
【0012】
別の側面において、封止集成体が提供される。この封止集成体は、装飾部分と侵入構造部が形成された結合部分とを含むトリム、及びトリムの結合部分を覆う固定用部分を含むガスケットを含み、固定用部分の一部が結合部分の侵入構造部内に埋め込まれている。
【0013】
基本的な考えは、ガスケットの固定用部分の一部を侵入構造部内に埋め込むことができることである。ガスケットの固定用部分がトリムの結合部分を覆うと、固定用部分とトリムとをより安定的に結合することができ、これにより封止集成体の信頼性を保証し封止集成体の有効寿命を増加させることができるように、固定用部分を侵入構造部を介してトリムの結合部分に固定することができる。
【0014】
別の側面においては、輸送機関用窓ガラスが提供される。この輸送機関用窓ガラスは、ガラスの個片と上述の封止集成体とを含む。
【0015】
基本的な考えは、ガスケットとトリムとをより安定して結合することができ、それにより封止集成体の信頼性を保証し輸送機関用窓ガラスの有効寿命を増加させることができることである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本開示の一実施形態による封止集成体を作製するための方法を説明する概略フローチャートである。
【
図2】
図1のS1におけるトリムの構造を説明する模式図である。
【
図3】
図1のS1におけるトリムの
図2と異なる構造を説明する模式図である。
【
図4】本開示の一実施形態による封止集成体の構造を説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本開示の上述の目的、特徴及び利点は、添付の図面とともに以下の説明を参照することによってよりよく理解することができる。
【0018】
本開示の実施形態において、封止集成体を作製するための方法が提供される。
図1は、本開示の一実施形態による封止集成体を作製するための方法を説明する概略フローチャートである。
図1を参照すると、この方法はS1及びS2を含んでいる。
【0019】
S1では、装飾部分と侵入構造部が形成された結合部分とを含むトリムを作製する。
【0020】
S2では、トリムの結合部分を覆う固定用部分を含むガスケットを作製し、固定用部分の一部を結合部分の侵入構造部内に埋め込む。
【0021】
上述の方法では、ガスケットの固定用部分の一部を結合部分の侵入構造部内に埋め込んで、ガスケットの固定用部分を侵入構造部を介してトリムの結合部分に固定することができ、そしてさらにガスケットの固定用部分とトリムの結合部分とをより安定して結合することができ、これにより封止集成体の信頼性を保証し、封止集成体の有効寿命を増やし、そしてトリムがガスケットから剥がれる可能性を低減するようにする。
【0022】
図2は、
図1のS1におけるトリムの構造を示す模式図である。
図1及び2を参照すると、装飾部分120と侵入構造部111が形成された結合部分110とを含むトリム100が作製されている。
【0023】
装飾を目的として使用されるので、装飾部分120はガスケットによって覆われることなしに露出されている。
【0024】
結合部分110は、主にガスケットに固定されるように形成されている。トリム100をガスケットにうまく固定するのを可能にするために、結合部分110は、ガスケットの固定用部分によって覆われるようにトリム100のエッジに配置されている。
【0025】
ガスケットとトリム100の結合部分110との結合をより安定にするために、侵入構造部111が結合部分110に形成されている。一部の実施形態では、後続のガスケット作製工程において、トリム100の結合部分110がガスケットにより安定して結合するように、ガスケットの一部を侵入構造部111内に埋め込むことができる。一部の実施形態では、侵入構造部111は、
図2に示した複数の正方形の貫通穴を含む穴構造でよい。
【0026】
一部の実施形態では、トリム100は金属で製作することができる。金属は一般に美しい金属光沢と良好な伸展性を有し、そのため種々の形状を有するように加工するのが容易である。
【0027】
一部の実施形態では、トリム100はアルミニウム合金を含むことができる。アルミニウム合金は比較的軽量であり、低コストであり、良好な伸展性、良好な耐食性、及び良好な耐酸化特性を有している。
【0028】
一部の実施形態では、トリム100の材料は他の金属、例えばステンレス鋼であってもよく、本開示の実施形態において限定されるものではないことに注目すべきである。
【0029】
一部の実施形態では、金属製のトリム100をスタンピング法によって作製することができる。スタンピング処理中に、貫通穴に対応する形状を有するスタンピング工具を使用して、トリム100の結合部分110に穴構造111を形成することができる。例えば、断面が正方形のスタンピング工具を使用して、トリム100の結合部分110に正方形の貫通穴を含む穴構造111を形成することができ、或いは断面が円形のスタンピング工具を使用して、トリム100の結合部分110に円形の貫通穴を含む穴構造111を形成することができる。本開示の実施形態では、トリム100は余分の製造工程なしに容易に形成される。
【0030】
一部の実施形態では、後続のガスケット作製工程においてガスケットの一部を侵入構造部111内に容易に埋め込むのを可能にするために、穴構造における貫通穴の直径は0.5mm以上でよい。
図2を参照すると、貫通穴は正方形の形状を有し、ひいては貫通穴の各辺が0.5mm以上である。貫通穴が長方形の場合には、貫通穴の短い辺が0.5mm以上であるべきである。貫通穴が三角形の場合には、貫通穴の短い辺が0.5mm以上であるべきである。
【0031】
侵入構造部111の寸法は、ガスケットを作製するための方法及びトリムの寸法を基に決定することができ、本開示の実施形態において限定されるものではないことに注目すべきである。
【0032】
一部の実施形態では、結合部分110に形成される侵入構造部111が多いほど、後続のガスケット形成工程において侵入構造部111内へ埋め込む材料が多くなり、そして固定用部分とトリム100の結合部分110との結合がより安定になる。実際の処理においては、侵入構造部111の数と位置は、トリムの寸法及び貫通穴の直径を基に決定することができ、本開示の実施形態において限定されるものではない。
【0033】
一部の実施形態では、トリム100は非金属材料、例えばプラスチックで製作することができる。従って、トリム100を射出成形法によって作製することができる。射出成形での処理中に、侵入構造部111の形状に対応する形状を有するスライダを結合部分110のところで使用してトリム100を形成することができ、このことは余分の製造工程又は問題を招かない。
【0034】
図2では侵入構造部111は正方形の貫通穴の形をとってはいるが、一部の実施形態では、侵入構造部111は他の穴構造又は穴以外の構造であってもよく、例えば円形の貫通穴又は三角形の貫通穴を含む穴構造などであってもよいことに注目すべきである。
【0035】
図3は、
図1のS1における別の構造のトリム300を示す模式図である。
図3を参照すると、
図2とは異なり、トリム300の侵入構造部311は、結合部分310のエッジに位置する歯型構造である。
【0036】
トリム300は金属で製作することができる。結合部分310の装飾部分320から離れた側のエッジに沿って歯型状スタンピング工具を移動可能にして、結合部分310のエッジの金属の一部を除去して歯型構造を形成することができる。
【0037】
一部の実施形態では、後続のガスケット形成工程においてガスケット200の一部を侵入構造部311内に容易に埋め込むのを可能にするために、隣接する各対の歯の間の距離は0.5mm以上である。
【0038】
一部の実施形態では、ガスケット200のより多くの部分を侵入構造部311内に埋め込むことができ、さらにガスケット200とトリム300との結合がより安定になるように、多数の侵入構造部311を形成することができる。侵入構造部311の数は実際の状況を基に決定することができ、ここでは限定されない。
【0039】
図4は、本開示の一実施形態による封止体200とトリム100とを含む使用時の封止集成体の構造を説明する模式図であり、
図5は、
図4において破線で囲んで示したA領域を説明する模式拡大図である。
図1、4及び5を参照すると、S2において、トリム100の結合部分110を覆う固定用部分210を含む封止体200が形成され、固定用部分210の一部が結合部分110の侵入構造部111内に埋め込まれる。
【0040】
一部の実施形態では、ガスケット200は、比較的硬くて良好な耐食性を有するポリ塩化ビニル(PVC)を含むことができる。一部の実施形態では、ガスケット200は他の材料、例えば熱可塑性エラストマー(TPE)で製作してもよく、材料は本開示の実施形態において限定されるものではない。
【0041】
一部の実施形態では、ガスケット200は射出成形法によって作製することができる。射出成形の処理中に、液体射出材料を侵入構造部111内に容易に充填することができる。
【0042】
一部の実施形態では、ガスケット200はリップを有していてもよい。
図4を参照すると、ガスケット200は第1リップ211と、第2リップ212と、破線で囲んだ部分A及びBで示した固定用部品213とを含む。
【0043】
第1リップ211は、トリム100の装飾目的で使用される第1の面の一部を覆い、そしてトリム100の結合部分110を覆う。第1リップ211は、比較的小さな厚さでよく、この厚さは本開示の実施形態において限定されるものではない。
【0044】
第2リップ212は、第1リップ211と結合されていて、トリム100の第1の面とは反対側の第2の面に配置されている。第2リップ212も結合部分110を覆っている。一部の実施形態では、第2リップ212は、封止集成体全体における支持用部品として働き、それゆえに比較的大きい厚さを有しているが、この厚さは本開示の実施形態において限定されるものではない。
【0045】
固定用部品213は、トリム100の結合部分110に応じてガスケット200をトリム100とともに固定するのを可能にするのに適合している。
【0046】
一部の実施形態では、ガスケット200を形成する際に、侵入構造部111がトリム100の結合部分110に形成されるので、侵入構造部111に射出材料が充填されて固定用部品213を形成するように、射出材料が侵入構造部111に入ることができる。
【0047】
第1リップ211と第2リップ212とを一緒に固定するために、固定用部品213を第1リップ211及び第2リップ212と結合させ、これにより、比較的厚さが小さい第1リップ211の変形可能性を低減し、そしてさらに第1リップ211がトリム100から剥がれる可能性が低減することができる。
【0048】
上述の実施形態において、ガスケット200は射出成形法によって作製され、それゆえ第1リップ211、第2リップ212、及び固定用部品213は同時に作製される。一部の実施形態では、ガラス片を収容するための溝301を、第1リップ211と第2リップ212との接合部に形成することができる。
【0049】
これと相応して、一実施形態において封止集成体が提供される。さらに
図2を参照すると、封止集成体は、装飾部分120と侵入構造部111が形成された結合部分110とを含んでおり、装飾を目的として使用される装飾部分120がガスケットによって覆われることなしに露出しているトリム100と、トリム100の結合部分110を覆っており、固定用部分の一部が結合部分110の侵入構造部111内に埋め込まれている固定用部分を含むガスケットとを含む。ガスケットは、固定用部分の侵入構造部111内に埋め込まれた部分を介してトリム100の結合部分110に固定され、これにより、トリム100がガスケットから剥がれる可能性を低減し、封止集成体の信頼性を確保し、そして封止集成体の有効寿命を増加させることができる。
【0050】
一部の実施形態では、結合部分110は主にガスケットに固定するために形成される。トリム100をガスケットにうまく固定するのを可能にするために、結合部分110は、ガスケットの固定用部分によって覆われるようにトリム100のエッジに位置する。
【0051】
一部の実施形態では、トリム100は金属、例えばステンレス鋼又はアルミニウム合金で製作することができる。一部の実施形態では、トリム100は他の材料、例えばプラスチックを含むことができ、材料は本開示の実施形態において限定されることはない。
【0052】
一部の実施形態では、侵入構造部111は、四辺形の貫通穴を含む穴構造でよく、それは本開示の実施形態において限定されることはない。一部の実施形態では、侵入構造部111は、他の形状又は他の構造を有する貫通穴を含む穴構造、例えば円形の貫通穴又は三角形の貫通穴を含む穴構造などであってもよい。
【0053】
図3のトリムは、
図2のものと異なる。
図3を参照すると、トリム300の侵入構造部311は、結合部分310の装飾部分320から離れた側のエッジに位置する歯型構造である。
【0054】
一部の実施形態では、ガスケット200を作製するための後続の工程においてガスケット200の一部を侵入構造部311内に容易に埋め込むことを可能にするために、隣接する各対の歯の間の距離は0.5mm以上である。
【0055】
一部の実施形態では、ガスケット200のより多くの部分を侵入構造部311内に埋め込むことができ、そしてさらにガスケット200とトリム300との結合がより安定になるように、多数の侵入構造部311を形成してもよい。侵入構造部311の数は、実際の状況を基に決定することができ、本開示の実施形態において限定されることはない。
【0056】
例えば、
図2の正方形の貫通穴を含む穴構造では、各辺が0.5mm以上であることができる。
【0057】
別の例として、
図3の歯型構造では、隣接する各対の歯の間の距離が0.5mm以上であることができる。
【0058】
さらに
図4及び5を参照すると、一部の実施形態では、ガスケット200は第1リップ211と、第2リップ212と、固定用部品213とを含む。
【0059】
第1リップ211は、トリム100の装飾目的で使用される第1面の一部を覆い、そしてトリム100の結合部分110を覆う。第1リップ211は比較的小さな厚さでよく、この厚さは本開示の実施形態において限定されるものではない。
【0060】
第2リップ212は、第1リップ211と結合されており、トリム100の第1面とは反対側の第2面に配置されている。第2リップ212も結合部分110を覆っている。一部の実施形態では、第2リップ212は、封止集成体全体における支持部品としての機能を果たし、それゆえ比較的大きい厚さを有しているが、この厚さは本開示の実施形態において限定されるものではない。
【0061】
固定用部品213は、トリム100の結合部分110に応じてガスケット200をトリム100に固定するのを可能にするのに適合している。
【0062】
一部の実施形態では、第2リップ212、固定用部品213、及び第1リップ211のうちのいずれか1つが、固定用部分の一部である。
【0063】
一部の実施形態では、ガラス片を収容するための溝301を、第2リップ212と第1リップ211との接合部分に形成することができる。
【0064】
一部の実施形態では、ガスケット200は、硬くて良好な耐食性を有するPVCを含むことができる。一部の実施形態では、ガスケット200はTPEなどの他の材料で製作することができ、材料は本開示の実施形態において限定されるものではない。
【0065】
封止集成体は、本開示の実施形態において提示した方法によって作製してもよく、あるいはまた実施形態において提示したもの以外の方法によって作製してもよいことに注目すべきである。
【0066】
加えて、輸送機関用窓ガラスが提供される。この輸送機関用窓ガラスは、ガラス片と、ガラスのエッジに配置された上述の封止集成体とを含み、その封止集成体はトリムと、トリムの周りのガスケットとを含む。
【0067】
輸送機関用窓ガラスの封止集成体は、輸送機関用窓ガラスがより良好な美観、より高い信頼性、及び増加した有効寿命を有することができるように、ガスケットとトリムとのより安定した結合を確保することができる。
【0068】
本開示はその好ましい実施形態を参照して開示されてはいるものの、本開示は一例としてのみ提示しているのであって、限定するものではないことを理解すべきである。当業者は、これらの実施形態を本開示の精神と範囲から逸脱することなく改変及び変更することができる。従って、本開示の保護範囲は特許請求の範囲に規定した範囲を対象とするものである。
本発明の代表的な態様としては、以下を挙げることができる:
《態様1》
封止集成体を作製するための方法であって、
装飾部分と侵入構造部が形成された結合部分とを含むトリムを作製すること、そして、
該トリムの該結合部分を覆う固定用部分を含むガスケットを作製し、該固定用部分の一部を該結合部分の該侵入構造部内に埋め込むこと、
を含む、封止集成体の作製方法。
《態様2》
前記トリムが金属製であり、そして該トリムを作製することが、スタンピング法によって該トリムに前記侵入構造部を形成することを含む、態様1に記載の方法。
《態様3》
前記トリムをステンレス鋼又はアルミニウム合金で作製する、態様2に記載の方法。
《態様4》
前記トリムがプラスチック製であり、そして該トリムを射出成形により作製する、態様1に記載の方法。
《態様5》
前記トリムを作製することが、前記侵入構造部を形成するように前記結合部分に穴構造又は歯型構造を形成することを含む、態様1に記載の方法。
《態様6》
前記穴構造が前記結合部分に形成した複数の貫通穴を含み、該複数の穴の直径が0.5mm以上である、態様5に記載の方法。
《態様7》
前記歯型構造が前記結合部分に形成した複数の歯を含み、隣接する各対の歯の間の距離が0.5mm以上である、態様5に記載の方法。
《態様8》
前記トリムの結合部分を該トリムのエッジに形成し、そして前記ガスケットを作製することが、
前記トリムの第1面を覆う第1リップを形成すること、
該第1リップに結合されて前記結合部分と前記トリムの第2面とを覆う第2リップを形成すること、そして、
前記侵入構造部内に埋め込まれる固定用部品を形成し、該固定用部品に該第1リップ及び第2リップを結合させ、該第2リップと、該固定用部品と、該第1リップの前記第2リップと反対側の部分とが一緒になって前記固定用部分を構成すること、
を含む、態様1に記載の方法。
《態様9》
前記ガスケットを作製することが、前記第1リップと前記第2リップとの接合部分にガラス片を収容するための溝を形成することを含む、態様8に記載の方法。
《態様10》
前記ガスケットを射出成形によって作製する、態様1に記載の方法。
《態様11》
前記ガスケットをポリ塩化ビニル又は熱可塑性エラストマーで作製する、態様1又は10に記載の方法。
《態様12》
装飾部分と侵入構造部が形成された結合部分とを含むトリム、及び、
該トリムの該結合部分を覆う固定用部分を含み、該固定用部分の一部が該結合部分の該侵入構造部内に埋め込まれたガスケット、
を含む封止集成体。
《態様13》
前記トリムが金属又はプラスチック製である、態様12に記載の封止集成体。
《態様14》
前記トリムがステンレス鋼又はアルミニウム合金製である、態様12に記載の封止集成体。
《態様15》
前記侵入構造部が穴構造又は歯型構造を含んでいる、態様12に記載の封止集成体。
《態様16》
前記穴構造が複数の貫通穴を含んでおり、該複数の貫通穴の直径が0.5mm以上である、態様15に記載の封止集成体。
《態様17》
前記歯型構造が複数の歯を含んでおり、隣接する各対の歯の間の距離が0.5mm以上である、態様15に記載の封止集成体。
《態様18》
前記トリムの結合部分が該トリムのエッジに配置されており、そして前記ガスケットが、
前記トリムの第1面を覆う第1リップ、
該第1リップと結合されて前記トリムの前記結合部分と第2面とを覆う第2リップ、及び、
前記侵入構造部内に埋め込まれた固定用部品であって、該第1リップ及び第2リップと結合されており、該第2リップと、該固定用部品と、該第1リップの前記第2リップと反対側の部分とが一緒になって前記固定用部分を構成している固定用部品、
を含んでいる、態様12に記載の封止集成体。
《態様19》
前記ガスケットがさらに、前記第1リップと前記第2リップとの接合部分に位置するガラス片を収容するための溝を含んでいる、態様18に記載の封止集成体。
《態様20》
前記ガスケットが射出成形品である、態様12に記載の封止集成体。
《態様21》
前記ガスケットがポリ塩化ビニル又は熱可塑性エラストマー製である、態様12に記載の封止集成体。
《態様22》
ガラスの個片と、
態様12から21までのいずれか1つに記載の封止集成体であって、該封止集成体のガスケットが該ガラスのエッジに配置されている封止集成体と、
を含む、輸送機関用窓ガラス。