特許第6560419号(P6560419)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6560419
(24)【登録日】2019年7月26日
(45)【発行日】2019年8月14日
(54)【発明の名称】液体封入式マウント装置
(51)【国際特許分類】
   F16F 13/26 20060101AFI20190805BHJP
   F16F 13/10 20060101ALI20190805BHJP
   F16F 9/53 20060101ALI20190805BHJP
   B60K 5/12 20060101ALI20190805BHJP
【FI】
   F16F13/26 E
   F16F13/10 D
   F16F13/10 J
   F16F13/10 K
   F16F9/53
   B60K5/12 H
【請求項の数】15
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2018-168603(P2018-168603)
(22)【出願日】2018年9月10日
(65)【公開番号】特開2019-49354(P2019-49354A)
(43)【公開日】2019年3月28日
【審査請求日】2018年9月10日
(31)【優先権主張番号】62/556,948
(32)【優先日】2017年9月11日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】16/045,653
(32)【優先日】2018年7月25日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510288840
【氏名又は名称】ベイジンウェスト・インダストリーズ・カンパニー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】BEIJINGWEST INDUSTRIES CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100111187
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 秀忠
(74)【代理人】
【識別番号】100175617
【弁理士】
【氏名又は名称】三崎 正輝
(72)【発明者】
【氏名】インコ アイ. グラジェダ
(72)【発明者】
【氏名】マイケル ダブリュ. ハート
【審査官】 杉山 豊博
(56)【参考文献】
【文献】 仏国特許出願公開第2711408(FR,A1)
【文献】 実開昭61−173840(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0171186(US,A1)
【文献】 特開2005−207506(JP,A)
【文献】 特表2015−505014(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16F 13/26
B60K 5/12
F16F 9/53
F16F 13/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心軸上に配置されている上部および下部を有し、収容室を形成するハウジングと、
前記収容室内に配置され、前記収容室をポンピング室および受容室へと分割する仕切り部材であって、前記ポンピング室は前記上部と前記仕切り部材との間にあり、前記受容室は前記下部と前記仕切り部材との間にある、仕切り部材と、
前記ポンピング室および前記受容室を分離する前記仕切り部材に取り付けられた磁気アクチュエータを含むデカップラと、
前記デカップラに取り付けられた前記ポンピング室内に配置されるエラストマー材料製の可動部材と、
を備えた液体封入式マウント装置であって、
前記可動部材は、前記可動部材を第一の位置から第二の位置へ磁場に応じて移動させるために、前記可動部材に配置され、互いに離間した少なくとも二つの磁気インサートを含み、前記第一の位置では前記可動部材は前記デカップラから離間し、前記第二の位置では前記可動部材は前記デカップラに接する、
液体封入式マウント装置。
【請求項2】
前記デカップラは、コアおよびスリーブを含み、前記少なくとも二つの磁気インサートは、第一の磁気インサートと第二の磁気インサートとを含み、前記第一の磁気インサートは前記スリーブの近傍に配置され、前記第二の磁気インサートは、前記コアの近傍に前記第一の磁気インサートから半径方向に離間して配置される、
請求項1に記載の液体封入式マウント装置。
【請求項3】
前記第一の磁気インサートは、前記中心軸周りに環状に延びる円形状を有し、前記第二の磁気インサートは、前記第一の磁気インサートから半径方向に離間し、前記中心軸周りに環状に延びる円形状を有する、
請求項2に記載の液体封入式マウント装置。
【請求項4】
前記可動部材に隣接する前記ポンピング室内に配置されるキャップをさらに含み、前記可動部材は前記キャップと前記デカップラとの間に固定される、
請求項2又は3に記載の液体封入式マウント装置。
【請求項5】
前記キャップには、磁気流動性流体が前記キャップを通過して流れることを可能にするための、前記キャップを通って延びる少なくとも一つのオリフィスが形成され、
前記少なくとも一つのオリフィスは、半径方向および周方向に互いに離間した複数のオリフィスを含む、
請求項4に記載の液体封入式マウント装置。
【請求項6】
前記デカップラは、前記仕切り部材に取り付けられ、支持部材上端と支持部材下端との間で前記中心軸周りにかつ前記中心軸に沿って環状に延びる支持部材を含み、前記支持部材上端は前記ポンピング室内に配置され、前記支持部材下端は前記受容室内に配置され、前記支持部材上端と前記支持部材下端との間に前記中心軸に沿って延びる凹部が形成される、
請求項2から5のいずれか1項に記載の液体封入式マウント装置。
【請求項7】
前記可動部材と前記支持部材上端との間に配置され、前記中心軸周りに環状に延びて前記可動部材を受けるリテイナをさらに含む、
請求項6に記載の液体封入式マウント装置。
【請求項8】
前記スリーブは、前記凹部内に配置され、上側スリーブ端部と下側スリーブ端部との間を延び、前記上側スリーブ端部は、前記支持部材上端と隣接して配置され、前記下側スリーブ端部は、前記支持部材下端と隣接して配置され、前記上側スリーブ端部および前記下側スリーブ端部との間に延びる穴が形成され、前記コアは、前記上側スリーブ端部と前記下側スリーブ端部との間に延びる前記スリーブの前記穴の中に配置され、前記受容室と流体連通するように配置される通路が形成される、
請求項6又は7に記載の液体封入式マウント装置。
【請求項9】
前記下側スリーブ端部から半径方向内向きに延びる下側スリーブフランジをさらに含み、前記下側スリーブフランジは、前記コアと係合し、前記下側スリーブフランジと前記スリーブと前記コアとの間に区画を形成する、
請求項8に記載の液体封入式マウント装置。
【請求項10】
前記磁気アクチュエータは、前記区画内に配置され、前記区画内に配置される第一のボビンと、磁場を選択的に発生させるため電源に電気的に接続されている、前記第一のボビンに巻き付けられた第一のコイルと、を含む、
請求項9に記載の液体封入式マウント装置。
【請求項11】
前記仕切り部材は、前記収容室内に配置され、前記中心軸周りを延びる電磁支持リングを含み、前記電磁支持リングには、前記デカップラを受けるため、前記中心軸に沿って延びる凹面と、前記凹面および前記デカップラから半径方向に離間して、前記ポンピング室と前記受容室との間の流体連通を可能にする少なくとも一つのチャンネルと、が形成され、前記電磁支持リングには、さらに、前記中心軸周りに環状に延びる電磁溝が形成される、
請求項10に記載の液体封入式マウント装置。
【請求項12】
前記電磁溝内に配置された電磁場発生装置をさらに含み、前記電磁場発生装置は、前記電磁溝内に配置された第二のボビンと、前記第二のボビンに巻き付けられ、追加の磁場を発生させるため電源に電気的に接続されている第二のコイルと、を含む、
請求項11に記載の液体封入式マウント装置。
【請求項13】
該液体封入式マウント装置は、前記ポンピング室内に、前記可動部材に隣接して配置される絞り板であって、前記可動部材を前記絞り板と前記デカップラとの間で固定する絞り板をさらに含み、
前記絞り板は、間隙を形成する前記可動部材から離間しているソリッド部と、前記ソリッド部から前記可動部材へ外向きに延びて前記可動部材を前記絞り板と前記デカップラとの間で固定する突起と、を含む、
請求項1に記載の液体封入式マウント装置。
【請求項14】
前記絞り板の前記ソリッド部には、磁気流動性流体が前記絞り板を通過して流れることを可能にするための、前記絞り板を貫通して延びる少なくとも一つのオリフィスが形成される、
請求項13に記載の液体封入式マウント装置。
【請求項15】
前記少なくとも二つの磁気インサートは、第一の磁気インサートおよび第二の磁気インサートを含み、前記第一の磁気インサートは前記中心軸周りに配置され、前記第二の磁気インサートは前記第一の磁気インサートから半径方向に離間して前記中心軸周りに配置され、前記第一の磁気インサートは、前記中心軸周りに環状に延びる円形状を有し、前記第二の磁気インサートは、前記第一の磁気インサートから半径方向に離間し、前記中心軸周りに環状に延びる円形状を有する、
請求項13又は14に記載の液体封入式マウント装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して液体封入式マウント装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のマウントは、支持及び振動源の振動絶縁を提供するために存在する。これらのマウントのよく知られた用途のうちの一つは、自走車両の構成部分を支持するためである。これらのマウントは、一般的にエンジンおよび接続されたパワートレインの構成部分の、車両フレームもしくは車体構造に対する運動を制御しつつ、エンジンの振動絶縁を提供するよう動作する。エンジンおよびパワートレインマウントの多くの用途において、マウントの緩衝特性を変化させて、特定の周波数における振動の選択絶縁を提供することが望ましい。
【0003】
そのような液体封入式マウント装置の一つが、米国特許第9、022、368号に開示されている。米国特許第9、022、368号では、中心軸上に配置される上部および下部を有し、収容室を形成するハウジングを有する液体封入式マウント装置が開示されている。仕切り部材は、収容室内に配置され、中心軸周りに延び、収容室をポンピング室および受容室に分割する。ポンピング室は、上部と仕切り部材との間に延びる。受容室は、下部と仕切り部材と間に延びる。デカップラは、ポンピング室と受容室とを分離する仕切り部材に取り付けられた磁気アクチュエータを含む。エラストマー材料製の可動部材は、ポンピング室内に配置され、デカップラに取り付けられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、液体封入式マウント装置の形状への影響を最小限にした簡略設計および包装を有する液体封入式マウント装置を供給する。また、本発明は、半能動/能動制御および改良したパフォーマンス調整に拡張可能な、作動応答時間および動作一貫性を改良した液体封入式マウント装置を供給する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
液体封入式マウント装置は、中心軸上に配置されている上部および下部を有し、収容室を形成するハウジングを含む。仕切り部材が、収容室内に配置されて、収容室をポンピング室および受容室に分割する。ポンピング室は、上部と仕切り部材と間に延びる。受容室は、下部と仕切り部材との間に延びる。磁気アクチュエータを含むデカップラが、ポンピング室と受容室とを分離する仕切り部材に取り付けらている。エラストマー材料製の可動部材が、ポンピング室内に配置され、デカップラから離間してデカップラに取り付けられる。可動部材が、可動部材を第一の位置から第二の位置へ磁場に応じて移動させるために、可動部材に配置され、互いに離間した少なくとも二つの磁気インサートを含む。第一の位置は、可動部材がデカップラから離間していると定義される。第二の位置は、可動部材がデカップラに接していると定義される。
【0006】
さらなる観点では、液体封入式マウント装置を提供する。液体封入式マウント装置は、中心軸上に配置される上部および下部を有し、収容室を形成するハウジングを含む。仕切り部材が、収容室内に配置され、収容室をポンピング室および受容室に分割する。ポンピング室は、前記上部および仕切り部材との間に延びる。受容室は、下部と仕切り部材との間に延びる。磁気アクチュエータを含むデカップラが、ポンピング室および受容室を分離する仕切り部材に取り付けらている。エラストマー材料製の可動部材が、デカップラに接するポンピング室内に配置される。可動部材が、可動部材を第一の位置から第二の位置へ磁場に応じて移動させるために、可動部材に配置され、互いに離間した少なくとも二つの磁気インサートを含む。第一の位置は、可動部材がデカップラから離間していると定義される。第二の位置は、可動部材がデカップラに接していると定義される。絞り板が、可動部材に隣接してポンピング室内に配置され、前記可動部材を前記絞り板と前記デカップラとの間で固定する。絞り板は、可動部材から離間し間隙を形成するソリッド部と、ソリッド部から可動部材に向かって外方に延び、絞り板とデカップラとの間に可動部材を固定する突起と、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本発明の他の利点は、添付の図面に関連して考慮される時、以下の詳細な説明を参照することで、よりよく理解され、容易に理解されるであろう。
図1】液体封入式マウント装置の断面図である。
図2図1の液体封入式マウント装置のデカップラの拡大部分断面図である。
図3図2の液体封入式マウント装置のデカップラの拡大部分断面図である。
図4】液体封入式マウント装置のデカップラの磁場を示すグラフである。
図5】液体封入式マウント装置に関する、磁気インサートの力と、磁気インサートの位置との関係を示すグラフである。
図6】液体封入式マウント装置に関する、磁気インサートの力および流体力と、磁気インサートの位置との関係を示すグラフである。
図7】液体封入式マウント装置の別の態様の断面図である;
図8図7の液体封入式マウント装置のデカップラの拡大部分断面図である。
図9図8の液体封入式マウント装置のデカップラの拡大部分断面図である。
図10】絞り板を含む液体封入式マウント装置のデカップラの別の態様の磁場を示すグラフである。
図11】液体封入式マウント装置の別の態様に関する、磁気インサートの力と、磁気インサートの位置との関係を示すグラフである。
図12】液体封入式マウント装置の別の態様に関する、磁気インサートの力および流体力と、磁気インサートの位置との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図面を参照すると、一実施形態に従って構成された液体封入式マウント装置20が図1に全体的に示されている。図面では、複数の図面を通して、同様の参照番号は対応する部分を示している。一般的に、液体封入式マウント装置20は、車両のフレーム上に配置された車両の構成部分、例えば、エンジンを支持するために使用される。なお、液体封入式マウントは、様々なその他の振動源を支持するために使用できる。
【0009】
図1に示すように、液体封入式マウント装置20は、下部24と上部26とを有するハウジング22を含む。ハウジング22の下部24および上部26は、中心軸A上に配置され、互いに軸方向に間隔を置いて配置される。概ね管状の壁28が、中心軸A上に配置され、下部24と上部26との間に延在して下部24と上部26とを接続し、下部24、上部26、及び壁28との間に収容室30、32、34を形成する。
【0010】
下部24は、概ねボウル形状を有し、下側閉鎖端部36と下側開放端部38との間で中心軸A周りを環状に延びている。下部リップ40は、壁28に係合するように、中心軸Aに垂直に下側開放端部38から半径方向外向きに延びている。下部24は、中心軸A上に配置された概ね円筒形状のカラー42を含む。カラー42は、下側閉鎖端部36から外向きに延び、中心軸A周りに遠位端44まで環状に延びている。カラー42は、ハウジング22を車両に取り付けるための、下部24とカラー42の遠位端44との間を中心軸Aに沿って延びる、概ね円柱形状の下部穴46を形成する。
【0011】
上部26は、概ね管状形状を有し、中心軸A上に配置され、下部24から軸方向に離間している。上部26には、第一の開放端部48と第二の開放端部50との間を中心軸A周りに環状に延び、第一の開放端部48と第二の開放端部50との間を中心軸Aに沿って延びる、概ね円柱形状の上部穴52が形成される。上部26は、第二の開放端部50に配置され、中心軸Aに垂直に第一の開放端部48から半径方向外向きに延びて壁28と係合する上部リップ54を含む。なお、上部26および下部24は、他の形状(例えば、四角形や六角形の断面)を有してもよい。
【0012】
可撓体56は、エラストマー材料製である。可撓体56は、上部穴52内に配置され、中心軸A周りを環状に延び、中心軸Aに沿って軸方向に可撓体下端58から可撓体上端60に向かって環状に延びる。可撓体下端58は、上部26の第一の開放端部48に隣接して配置され、上部26に取り付けられる。可撓体下端58は、上部26の第二の開放端部50に隣接して配置され、上部26に取り付けられ、車両の励振運動に応答して下部24に対して弾性的に変形する。換言すると、可撓体56は、上部26に取り付けられ、車両の励起運動、例えば振動運動に応答して変形する。可撓体56は、可撓体上端60に隣接して配置され、中心軸Aに沿って可撓体上端60から可撓体56内へ延びる可撓性チャンバ62を形成する。可撓体56には、可撓体下端58と可撓体上端60との間に延在する、可撓性チャンバ62の近傍に可撓性チャンバ62と間隔をあけて配置された、一対のインサート溝64が形成される。
【0013】
車両に可撓体56を固定するための締結具と係合するために、可撓性チャンバ62には、概ね円筒形の形状を有するブッシング66が配置されている。インサート溝64には、金属材料製の一対の外部インサート68が配置され、可撓体56に剛性を与える。可撓体56は、可撓体56を上部26に固定するために上部リップ54に係合するように、可撓体下端58から上部リップ54に平行に半径方向外向きに延びる可撓体フランジ70を含む。
【0014】
仕切り部材72は、上部26と下部24との間の収容室30、32、34内に配置され、中心軸A周りに環状に延び、収容室30、32、34をポンピング室30および受容室32、34に分割する。ポンピング室30は、可撓体56と仕切り部材72との間に延在している。受容室32、34は、下部24と仕切り部材72との間に延びている。ポンピング室30および受容室32、34には、磁気流動性流体が収容されている。磁気流動性流体は、当該技術では周知のとおり、せん断特性を変化させる反応性がある。具体的には、磁気流動性流体に加えられる磁場に応答して、磁気流動性流体は、そのせん断特性を、制御可能な降伏強度で流動性の高いもしくは粘性の液体から半固体へ変化させる能力を有する。
【0015】
デカップラ74は、仕切り部材72に取り付けられて、ポンピング室30および受容室32、34を分離し、ポンピング室30内で追加の減衰力を与える。デカップラ74は、仕切り部材72に取り付けられた、概ね管状形状の金属材料製の支持部材76を含む。支持部材76は、中心軸A周りを支持部材上端78と支持部材下端80との間で環状に延びる。支持部材上端78は、ポンピング室30内に配置される。支持部材下端80は、受容室32、34内に配置される。支持部材76には、支持部材上端78と支持部材下端80との間を中心軸Aに沿って延在する、概ね円柱形状を有する凹部82が形成される。支持部材上部フランジ84は、支持部材上端78から半径方向外向きに、中心軸Aの周りに環状に延びて、仕切り部材72に係合する。支持部材76は、支持部材下端80から半径方向内向きにかつ中心軸A周りに環状に延びる、支持部材下部フランジ86を含み、カラー42の遠位端44と係合する。
【0016】
デカップラ74は、凹部82内に配置され、上側スリーブ端部90と下側スリーブ端部92との間を中心軸A周りに環状に延びる、概ね管状形状のスリーブ88を含む。上側スリーブ端部90は、支持部材上端78に隣接して配置される。下側スリーブ端部92は、支持部材76の下端に隣接して配置される。スリーブ88は、上側スリーブ端部90と下側スリーブ端部92との間を延びる、概ね円柱形状を有する穴94を形成する。
【0017】
デカップラ74は、概ね円柱形状を有するコア96を含み、上側スリーブ端部90と下側スリーブ端部92との間を延びるスリーブ88の穴94内に配置される。コア96には、下部穴46および受容室32、34と流体連通状態に配置された、概ね円柱形状を有する通路98が形成される。下側スリーブフランジ100は、下側スリーブ端部92から中心軸Aに垂直に半径方向内向きに延びてコア96に係合し、下側スリーブフランジ100とスリーブ88とコア96との間で中心軸Aの周りに環状に延びる区画102を形成する。磁気アクチュエータ104は、区画102内に配置される。磁気アクチュエータ104は、概ねスプール形状を有し、区画102内に配置され、中心軸Aの周りに環状に延びる第一のボビン106を含む。第一のコイル108は、第一のボビン106に巻き付けられ、磁場を発生させるため電源110に電気的に接続されている。なお、一つ以上のコイルを第一のボビン106の周りに巻き付けることができる。なお、例えばコンピュータもしくは中央処理装置であるコントローラ112を、電源110に電気的に接続して、第一のコイル108への出力を制御することができ、これにより磁気アクチュエータ104によって生成される磁場の力を制御できることが理解されよう。
【0018】
デカップラ74は、概ね円形状を有する、エラストマー材料製の可動部材114を含む。可動部材114は、中心軸A上でポンピング室30内に配置され、中心軸Aから支持部材上端78に向かって半径方向外向きに延びる。可動部材114は、ポンピング室30を受容室32、34から分離するために、支持部材上端78に取り付けられる。リテイナ116は、概ね環状形状を有し、可動部材114と支持部材上端78との間に配置され、中心軸A周りに環状に延びる。リテイナ116は、可動部材114を受けるため、中心軸A周りに環状に延びるスロットを含んでもよい。
【0019】
ダイアフラム118は、エラストマー材料製である。ダイアフラム118は、受容室32、34内に配置され、下側開放端部38とカラー42の遠位端44との間を、中心軸A周りに環状に延びる。ダイアフラム118は、下部24と仕切り部材72と支持部材下部フランジ86とカラー42の遠位端44との間に挟まれている。ダイアフラム118は、受容室32、34を流体室32と補償室34とに分割する。流体室32は、ダイアフラム118と仕切り部材72との間を延びる。補償室34は、下部24とダイアフラム118との間を延びる。
【0020】
仕切り部材72は、金属製の概ね円形状を有する上部スペーサ120を含む。上部スペーサ120は、ポンピング室30内に配置され、上部26に軸方向に隣接してかつ軸方向に上部26の下方にあり、可撓体フランジ70と係合して、上部26と上部スペーサ120との間で可撓体フランジ70を挟み込む。上部スペーサ120は、上部スペーサ120から外向きに延びて可撓体フランジ70と係合し、可撓体フランジ70を上部26と上部スペーサ120との間に固定する少なくとも一つの突出部122を含む。上部スペーサ120には、少なくとも一つの突出部122の反対側に配置され、少なくとも一つの突出部122から軸方向に離間している、少なくとも一つの上部スペーサ溝124が形成される。上部スペーサ溝124は、上部スペーサ120に沿って中心軸Aの周りに環状に延びる。エラストマー材料製のシール126が、上部スペーサ120の溝内に配置され、中心軸Aの周りに環状に延在する。
【0021】
仕切り部材72は、上部スペーサ120と下部24との間で収容室30、32、34内に配置される概ね円形状の電磁支持リング128を含む。電磁支持リング128は、中心軸A周りを環状に延び、電磁支持リング128と下部24との間にダイアフラム118を、電磁支持リング128と上部スペーサ120との間にシール126を、挟み込む。電磁支持リング128には、凹面130と、少なくとも一つのチャンネル132と、電磁溝134と、が形成される。凹面130は、概ね円柱形状を有し、中心軸Aに沿って延び、デカップラ74を受け入れる。少なくとも一つのチャンネル132は、凹面130およびデカップラ74から半径方向に離間し、中心軸Aと平行な関係で延び、ポンピング室30と受容室32、34との間の流体連通を可能にする。電磁溝134は、少なくとも一つのチャンネル132から半径方向に間隔を置いて配置され、中心軸A周りに環状に延びる。第二の電磁場発生装置136が、電磁溝134内に配置される。第二の電磁場発生装置136は、概ねスプール形状を有し、電磁溝134内に配置され、中心軸Aの周りに環状に延びる第二のボビン138を含む。第二のコイル140は、第二のボビン138に巻き付けられ、追加の磁場を選択的に発生させるために電源110に電気的に接続される。なお、一つ以上のコイルを第二のボビン138の周りに巻くこともできる。
【0022】
図2および図3に最もよく示されるように、可動部材114は、可動部材114を第一の位置から第二の位置に移動させるために、互いに離間して可動部材114に配置される、少なくとも二つの磁気インサート142、144を含む。第一の位置にある間、可動部材114は、デカップラ74のコア96およびスリーブ88から離間している。第一の位置にある間、可動部材114は、車両の励起運動に応じてポンピング室30内で自在に屈曲することができる。第二の位置では、可動部材114は、デカップラ74のコア96およびスリーブ88に接している。第二の位置にある間、磁気インサート142、144を含む可動部材114の一部分がデカップラに接し、これによって可動部材114の可撓性が制限されるため、可動部材114の移動が制限される。第一の位置と第二の位置とを切り替えることにより、可動部材114の減衰力が変化し、液体封入式マウント装置20の性能調整が可能となる。少なくとも二つの磁気インサート142、144は、第一の磁気インサート142と、第二の磁気インサート144と、を含む。概ね円形状の第一の磁気インサート142は、スリーブ88の上側スリーブ端部90の近傍に配置され、中心軸Aの周りを延びる。概ね円形状の第二の磁気インサート144は、コア96の近傍に、第一の磁気インサート142から半径方向に離間して配置され、第一の磁気インサート142および中心軸Aの周りを環状に延びる。キャップ146は、概ね円形状を有し、支持部材上部フランジ84に隣接してポンピング室30内に配置され、キャップ146と支持部材76との間に可動部材114を固定するために可動部材114から離間している。キャップ146には、磁気流動性流体がキャップ146を通って流れることを可能にするために、キャップを貫通し、穴94と並ぶ、少なくとも一つのオリフィス148が形成される。なお、少なくとも一つのオリフィス148は、磁気流動性流体がキャップ146を通って流れることを可能にするために、互いに半径方向に離間した複数のオリフィス148を含んでもよい。
【0023】
運転中、液体封入式マウント装置20が励振運動、例えば、振動運動を受けると、可撓体56が変形し、それによってポンピング室30、受容室32、および補償室34の容積が変化する。その結果、容積変化に応じて可動部材114がポンピング室30内で屈曲する。可動部材114がポンピング室30内で屈曲すると、可動部材114は、励振運動に応じてポンピング室30内で追加の減衰力を供給する。可動部材114によって供給される減衰率を変更するために、電源110によって磁気アクチュエータ104に電力が供給される。磁気アクチュエータ104が電源110から電力を受け取ると、磁気アクチュエータ104の第一のコイル108に通電されて磁場が発生する。図4に示すように、磁場に応じて、磁気インサート142、144は、磁気流動性流体とともに、磁気回路の一部となる。さらに、磁場に応答して、磁気インサート142、144は、磁気インサート142、144を含む可動部材114を第一の位置から第二の位置に引っ張る。換言すると、磁場に応じて、可動部材114は、デカップラ74のコア96およびスリーブ88から離間した状態から、デカップラ74のコア96およびスリーブ88に接する状態に移る。その結果、可動部材114の可撓性が制限され、それによってデカップラ74の減衰率が変化し、性能調整が可能になる。磁気インサート142、144の位置に対する磁場に応答した磁気インサート142、144の力(N)をモニターし、図5に示す。さらに、磁気インサート142、144の位置に対する磁場に応答した磁気インサート142、144の力および流体力(N)をモニターし、図6に示す。
【0024】
図7は、本発明の別の態様に従って構成された液体封入式マウント装置220の代替の実施形態を示しており、上で使用された参照番号を200ずらして、油圧ダンパ装置220の同様の部品を示すのに使用する。液体封入式マウント装置220は、下部224と上部226とを有するハウジング222を含む。ハウジング222の下部224および上部226は、中心軸A上に配置され、互いに軸方向に間隔を置いて配置される。概ね管状の壁228が、下部224と上部226とを接続する中心軸A上に配置され、下部224と上部226と壁228との間に収容室230、232、234を形成する。
【0025】
下部224は、概ねボウル形状を有し、下側閉鎖端部236と下側開放端部238との間で中心軸A周りを環状に延びている。下部リップ240は、壁228に係合するように中心軸Aに垂直に、下側開放端部238から半径方向外向きに延びている。下部224は、中心軸A上に配置された概ね円筒形状のカラー242を含む。カラー242は、下側閉鎖端部236から外向きに、かつ中心軸A周りに環状に遠位端244に向かって延びる。カラー242は、車両にハウジング222を取り付けるための、下部224とカラー242の遠位端244との間を中心軸Aに沿って延びる、概して円柱形状の下部穴246を形成する。
【0026】
上部226は、概ね管状形状を有し、中心軸A上に配置され、下部224から軸方向に離間している。上部226には、第一の開放端部248と第二の開放端部250との間を中心軸A周りに環状に延び、第一の開放端部248と第二の開放端部250との間を中心軸Aに沿って延びる、概ね円柱形状の上部穴252が形成される。上部226は、第二の開放端部250に配置され、中心軸Aに垂直に第一の開放端部248から外向きに半径方向に延びて壁228を係合する上部リップ254を含む。なお、上部226および下部224は、その他の形状(例えば、四角形や六角形の断面)を有してもよい。
【0027】
可撓体256は、エラストマー材料製である。可撓体256は、上部穴252内に配置され、中心軸A周りに環状に延び、可撓体下端258から可撓体上端260に向かって中心軸Aに沿って軸方向に延びる。可撓体下端258は、上部226の第一の開放端部248に隣接して配置され、上部226に取り付けられる。可撓体下端258は、上部226の第二の開放端部250に隣接して配置され、上部226に取り付けられ、車両の励振運動に応じて下部224に対して弾性的にを変形する。換言すると、可撓体256は、上部226に取り付けられ、車両の励振運動、例えば振動運動に応じて変形する。可撓体256は、中心軸Aに沿って可撓体上端260から可撓体256内へ延びる可撓体上端260に隣接して配置される可動式チャンバ262を形成する。可撓体256には、可撓体下端258と可撓体上端260との間に延在する、可動式チャンバ262の近傍に可動式チャンバ262と間隔を空けて配置された、互いに離間している一対のインサート溝264が形成される。
【0028】
ブッシング266は、概ね円柱形状を有し、車両に可撓体256を固定するための締結具と係合するために可動式チャンバ262内に配置されている。一対の金属材料製の外部インサート268は、インサート溝264内に配置され、可撓体256に剛性を与える。可撓体256は、可撓体256を上部226に固定するために上部リップ254と係合するように、可撓体下端258から上部リップ254と平行に半径方向外向きに延びる可撓体フランジ270を含む。
【0029】
仕切り部材272は、上部226と下部224との間の収容室230、232、234内に配置され、中心軸A周りに環状に延び、収容室230、232、234をポンピング室230および受容室232、234に分割する。ポンピング室230は、可撓体256と仕切り部材272との間に延在している。受容室232、234は、下部224と仕切り部材272との間に延びている。ポンピング室230および受容室232、234には、磁気流動性流体が収容されている。磁気流動性流体は、当該技術では周知のとおり、せん断特性を変化させる反応性がある。具体的には、磁気流動性流体に加えられる磁場に応答して、磁気流動性流体は、そのせん断特性を、制御可能な降伏強度で流動性の高いもしくは粘性の液体から半固体へ変化させる能力を有する。
【0030】
デカップラ274は、仕切り部材272に取り付けられて、ポンピング室230および受容室232、234を分離し、ポンピング室230内で追加の減衰力を与える。デカップラ274は、仕切り部材272に取り付けられた、概ね管状形状の金属材料製の支持部材276を含む。支持部材276は、中心軸A周りを支持部材上端278と支持部材下端280との間で環状に延びる。支持部材上端278は、ポンピング室230内に配置される。支持部材下端280は、受容室232、234内に配置される。支持部材276には、支持部材上端278と支持部材下端280との間を中心軸Aに沿って延在する、概ね円柱形状を有する凹部282が形成される。支持部材上部フランジ284は、支持部材上端278から半径方向外向きに延び、中心軸A周りに環状に延びて、仕切り部材272に係合する。支持部材276は、支持部材下端280から半径方向内向きにかつ中心軸A周りに環状に延びる、支持部材下部フランジ286を含み、カラー242の遠位端244と係合する。
【0031】
デカップラ274は、凹部282内に配置され、上側スリーブ端部290と下側スリーブ端部292との間を中心軸A周りに環状に延びる、概ね管状形状のスリーブ288を含む。上側スリーブ端部290は、支持部材上端278に隣接して配置される。下側スリーブ端部292は、支持部材276の下端に隣接して配置される。スリーブ288は、上側スリーブ端部290と下側スリーブ端部292との間を延びる、概ね円柱形状を有する穴294を形成する。
【0032】
デカップラ274は、概ね円柱形状を有するコア296を含み、上側スリーブ端部290と下側スリーブ端部292との間を延びるスリーブ288の穴294内に配置される。コア296には、下部穴246および受容室232、234と流体連通状態に配置された、概ね円柱形状を有する通路298が形成される。下側スリーブフランジ300は、下側スリーブ端部292から中心軸Aに垂直に半径方向内向きに延びてコア296に係合し、下側スリーブフランジ300とスリーブ288とコア296との間で中心軸A周りに環状に延びる区画302を形成する。磁気アクチュエータ304は、区画302内に配置される。磁気アクチュエータ304は、概ねスプール形状を有し、区画302内に配置され、中心軸Aの周りに環状に延びる第一のボビン306を含む。第一のコイル308は、第一のボビン306周りに環状に延び、磁場を発生させるため電源310に電気的に接続されている。なお、一つ以上のコイルを第一のボビン306周りに配置することができる。また、例えばコンピュータもしくは中央処理装置であるコントローラ312を、電源310に電気的に接続して、第一のコイル308への出力を制御することができ、これにより磁気アクチュエータ304によって生成される磁場の力を制御できることが理解されよう。
【0033】
デカップラ274は、概ね円形状を有する、エラストマー材料製の可動部材314を含む。可動部材314は、中心軸A上でポンピング室230内に配置され、中心軸Aから支持部材上端278に向かって半径方向外向きに延びる。可動部材314は、ポンピング室230を受容室232、234から分離するために、支持部材上端278に取り付けられる。リテイナ316は、概ね環状形状を有し、可動部材314と支持部材上端78との間に配置され、中心軸A周りに環状に延びる。リテイナ316は、可動部材314を受けるため、中心軸A周りに環状に延びるスロットを含んでもよい。
【0034】
ダイアフラム318は、エラストマー材料製である。ダイアフラム318は、受容室232、234内に配置され、下側開放端部238とカラー242の遠位端244との間を、中心軸A周りに環状に延びる。ダイアフラム318は、下部224と仕切り部材272と支持部材下部フランジ286とカラー242の遠位端244との間に挟み込まれている。ダイアフラム318は、受容室232、234を流体室232と補償室234とに分割する。流体室232は、ダイアフラム318と仕切り部材272との間を延びる。補償室234は、下部224とダイアフラム318との間を延びる。
【0035】
仕切り部材272は、金属製の概ね円形状を有する上部スペーサ320を含む。上部スペーサ320は、ポンピング室230内に配置され、上部226に軸方向に隣接してかつ軸方向に上部226の下方にあり、可撓体フランジ270と係合して、上部226と上部スペーサ320との間で可撓体フランジ270を挟み込む。上部スペーサ320は、上部スペーサ320から外向きに延びて可撓体フランジ270と係合し、可撓体フランジ270を上部226と上部スペーサ320との間に固定する少なくとも一つの突出部322を含む。上部スペーサ320には、少なくとも一つの突出部322の反対側に配置され、少なくとも一つの突出部322から軸方向に離間している、少なくとも一つの上部スペーサ溝324が形成される。上部スペーサ溝324は、上部スペーサ320に沿って中心軸Aの周りに環状に延びる。エラストマー材料製のシール326は、上部スペーサ320の溝内に配置され、中心軸Aの周りに環状に延在する。
【0036】
仕切り部材272は、上部スペーサ320と下部224との間で収容室230、232、234内に配置される概ね円形状の電磁支持リング328を含む。電磁支持リング328は、中心軸A周りを環状に延び、電磁支持リング328と下部224との間にダイアフラム318を、電磁支持リング328と上部スペーサ320との間にシール326を、挟み込む。電磁支持リング328には、概ね円柱形状を有し、中心軸Aに沿って延び、デカップラ274を受け入れる凹面330が形成される。電磁支持リング328には、さらに、少なくとも一つのチャンネル332が形成される。少なくとも一つのチャンネル332は、凹面330およびデカップラ274から半径方向に離間し、中心軸Aと平行な関係で延び、ポンピング室230と受容室232、234との間の流体連通を可能にする。電磁支持リング328には、さらに、中心軸A周りを環状に延びる電磁溝334を形成する。第二の電磁場発生装置336が、電磁溝334内に配置される。第二の電磁場発生装置336は、概ねスプール形状を有し、電磁溝334内に配置され、中心軸A周りに環状に延びる第二のボビン338を含む。第二のコイル340は、第二のボビン338に環状に巻き付けられ、磁束を選択的に発生させるために電源310に電気的に接続される。なお、一つ以上のコイルを第二のボビン338の周りに巻くこともできる。
【0037】
図8および図9に最もよく示されるように、可動部材314は、可動部材314を第一の位置から第二の位置へ移動させるために、互いに離間して可動部材314に配置される、少なくとも二つの磁気インサート342、344を含む。第一の位置において、可動部材314は、デカップラ274のコア296およびスリーブ288から離間している。第一の位置にある間、可動部材314は、車両の励振運動に応じてポンピング室230内で自在に屈曲することができる。第二の位置では、可動部材314は、デカップラ274のコア296およびスリーブ288に接している。第二の位置にある間、磁気インサート342、344を含む可動部材314の一部がデカップラ274に接し、これによって可動部材314の可撓性が制限されるため、可動部材314の移動が制限される。第一の位置と第二の位置とを切り替えることにより、可動部材314の減衰力が変化し、液体封入式マウント装置220の性能調整が可能となる。少なくとも二つの磁気インサート342、344は、第一の磁気インサート342および第二の磁気インサート344を含む。概ね円形状の第一の磁気インサート342は、スリーブ288の上側スリーブ端部290の近傍に配置され、中心軸Aの周りに環状に延びる。概ね円形状の第二の磁気インサート344は、コア296の近傍に、第一の磁気インサート342から半径方向に離間して配置され、第一の磁気インサート342および中心軸Aの周りに環状に延びる。絞り板350は、概ね円形状を有し、支持部材上部フランジ284に隣接してポンピング室230内に配置され、絞り板350と支持部材276との間に可動部材314を固定するために、可動部材314から離間している。絞り板350は、概ね円形状のソリッド部352を有し、ソリッド部352と可動部材314との間の間隙354を形成する可動部材314から離間している。絞り板350は、絞り板350と支持部材276との間に可動部材314を固定するために、環状に中心軸A周りに、ソリッド部352から可動部材314まで外向きに延びる突起356を含む。ソリッド部352には、磁気流動性流体が絞り板350を通って流れることを可能にするために、絞り板350を貫通して延び、穴294と並ぶ少なくとも一つのオリフィス358が形成される。
【0038】
運転中、液体封入式マウント装置220が励振運動、例えば、振動運動を受け取ると、可撓体256が変形し、それによってポンピング室230、受容室232、および補償室234の容積が変化する。その結果として、可動部材314は、励振運動に応じてポンピング室230内で屈曲する。可動部材314によって供給される減衰率を変化させるには、電源310によって磁気アクチュエータ304に電力が供給される。磁気アクチュエータ304が電源310から電力を受け取ると、磁気アクチュエータ304の第一のコイル308に通電されて磁場が発生する。図10に示すように、磁場に応じて、磁気インサート342、344および絞り板350のソリッド部352は、磁気流動性流体とともに、磁気回路の一部となる。さらに、磁場に応じて、磁気インサート342、344は、磁気インサート342、344を含む可動部材314を第一の位置から第二の位置に引っ張る。これによってデカップラ274の減衰率が変化し、パフォーマンス調整が可能となる。換言すると、磁場に応じて、可動部材314はデカップラ274のコア296およびスリーブ288から離間した状態から、デカップラ274のコア296およびスリーブ288に接する状態に動かされる。同時に、可動部材314と絞り板350との間の間隙内の磁束密度が高くなり、これが可動部材314と絞り板350との間の磁気流動性流体に影響する。絞り板350とデカップラ74との間で可動部材314が屈曲すると、ソリッド部352と可動部材314との間の間隙354内の磁気流動性流体は、オリフィス358を通して絞り板から絞り出される、つまり、絞り流れモードである。磁場に応じた磁気インサート342、344の力(N)と磁気インサート342、344の位置とをモニターし、図11に示す。さらに、間隙354における平均磁場と磁気インサート342、344の位置とモニターし、図12に示す。
【0039】
明らかに、本発明の多くの改変および変形が上記の教示に照らして可能であり、添付の特許請求の範囲内にある限り、具体的に記載した以外の方法で実施されてもよい。これらの先行する列挙は、本発明の新規性がその有用性を発揮する任意の組み合わせを網羅するものと解釈されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12