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特許6560481無人航空機制御システム、無人航空機制御方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6560481
(24)【登録日】2019年7月26日
(45)【発行日】2019年8月14日
(54)【発明の名称】無人航空機制御システム、無人航空機制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   B64C 13/20 20060101AFI20190805BHJP
   B64C 39/02 20060101ALI20190805BHJP
   B64C 13/18 20060101ALI20190805BHJP
【FI】
   B64C13/20 Z
   B64C39/02
   B64C13/18 Z
【請求項の数】16
【全頁数】38
(21)【出願番号】特願2019-526023(P2019-526023)
(86)(22)【出願日】2018年2月13日
(86)【国際出願番号】JP2018004896
【審査請求日】2019年5月15日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】399037405
【氏名又は名称】楽天株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】特許業務法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鳥居 順次
(72)【発明者】
【氏名】滝澤 順
【審査官】 諸星 圭祐
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−359071(JP,A)
【文献】 特開2017−214051(JP,A)
【文献】 特開平10−108984(JP,A)
【文献】 特開2017−74826(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0300493(US,A1)
【文献】 特開2018−30409(JP,A)
【文献】 特表2017−501475(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64C 13/18−13/20
B64C 39/02
H04Q 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
飛行中の無人航空機を動作させるための情報と、前記無人航空機の動作の検出結果に関する情報と、の少なくとも一方である第1情報を取得する第1取得手段と、
前記無人航空機の制御の切り替え後に前記無人航空機を動作させるための第2情報を取得する第2取得手段と、
前記第1情報と前記第2情報とが一致又は類似しているか否かを判定し、前記第1情報と前記第2情報とが一致又は類似している場合に、自律飛行モードを挟まずに前記第2情報に基づく前記無人航空機の制御への切り替えを行い、前記第1情報と前記第2情報とが一致又は類似していない場合に、当該切り替えを制限する飛行制御手段と、
を含むことを特徴とする無人航空機制御システム。
【請求項2】
前記無人航空機は、第1無線操縦手段からの第1指示情報に基づいて動作しており、
前記第2取得手段は、第2無線操縦手段からの第2指示情報を前記第2情報として取得し、
前記飛行制御手段は、前記第1指示情報に基づく前記無人航空機の制御から、前記第2指示情報に基づく前記無人航空機の制御への切り替えを制限する、
ことを特徴とする請求項1に記載の無人航空機制御システム。
【請求項3】
前記第1取得手段は、前記第1指示情報を前記第1情報として取得し、
前記飛行制御手段は、前記第1指示情報と前記第2指示情報とに基づいて切り替えを制限する、
ことを特徴とする請求項2に記載の無人航空機制御システム。
【請求項4】
前記飛行制御手段は、前記第1指示情報と前記第2指示情報とが一致しているか否かに基づいて切り替えを制限する、
ことを特徴とする請求項3に記載の無人航空機制御システム。
【請求項5】
前記無人航空機は、無線操縦手段からの指示情報に基づいて動作しており、
前記第2情報は、前記無人航空機を自律飛行させるための情報であり、
前記飛行制御手段は、前記指示情報に基づく前記無人航空機の制御から、自律飛行制御への切り替えを制限する、
ことを特徴とする請求項1に記載の無人航空機制御システム。
【請求項6】
前記第1情報は、前記指示情報に基づいて飛行中の前記無人航空機の移動方向及び移動速度の少なくとも一方に関する情報であり、
前記第2情報は、前記無人航空機を自律飛行させる場合の移動方向及び移動速度の少なくとも一方に関する情報である、
ことを特徴とする請求項に記載の無人航空機制御システム。
【請求項7】
前記第2情報は、前記無人航空機を自律飛行させる場合の飛行経路と前記無人航空機の状態との少なくとも一方に関する情報である、
ことを特徴とする請求項又はに記載の無人航空機制御システム。
【請求項8】
前記飛行制御手段は、前記第2情報に基づく前記無人航空機の制御に切り替え可能になり、かつ、無線操縦手段から所定の切替要求が取得された場合に当該制御に切り替え、
前記無人航空機制御システムは、前記第2情報に基づく前記無人航空機の制御に切り替え可能になった場合に、前記無線操縦手段において所定の通知をする通知手段、
を更に含むことを特徴とする請求項1〜の何れかに記載の無人航空機制御システム。
【請求項9】
前記無人航空機制御システムは、前記第2情報に基づく前記無人航空機の制御に切り替わった場合に、無線操縦手段において所定の通知をする通知手段、
を更に含むことを特徴とする請求項1〜の何れかに記載の無人航空機制御システム。
【請求項10】
前記無人航空機制御システムは、前記飛行制御手段により切り替えが制限される場合、当該制限を解除するための情報を無線操縦手段において通知する通知手段、
を更に含むことを特徴とする請求項1〜の何れかに記載の無人航空機制御システム。
【請求項11】
前記飛行制御手段は、前記第2情報に基づく前記無人航空機の制御に切り替えるための所定の切替要求が取得された場合に切り替えを制限する、
ことを特徴とする請求項1〜1の何れかに記載の無人航空機制御システム。
【請求項12】
前記無人航空機制御システムは、前記第1指示情報に基づく前記無人航空機の制御から、前記第2指示情報に基づく前記無人航空機の制御に切り替わる場合に、前記第1無線操縦手段と前記第2無線操縦手段とを通話させる通話手段を含む、
ことを特徴とする請求項2〜4の何れかに記載の無人航空機制御システム。
【請求項13】
前記飛行制御手段は、前記第2情報に基づく前記無人航空機の制御に徐々に切り替える、
ことを特徴とする請求項1〜1の何れかに記載の無人航空機制御システム。
【請求項14】
前記無人航空機は、前記第1取得手段、前記第2取得手段、及び前記飛行制御手段を含む、
ことを特徴とする請求項1〜13の何れかに記載の無人航空機制御システム。
【請求項15】
飛行中の無人航空機を動作させるための情報と、前記無人航空機の動作の検出結果に関する情報と、の少なくとも一方である第1情報を取得する第1取得ステップと、
前記無人航空機の制御の切り替え後に前記無人航空機を動作させるための第2情報を取得する第2取得ステップと、
前記第1情報と前記第2情報とが一致又は類似しているか否かを判定し、前記第1情報と前記第2情報とが一致又は類似している場合に、自律飛行モードを挟まずに前記第2情報に基づく前記無人航空機の制御への切り替えを行い、前記第1情報と前記第2情報とが一致又は類似していない場合に、当該切り替えを制限する飛行制御ステップと、
を含むことを特徴とする無人航空機制御方法。
【請求項16】
飛行中の無人航空機を動作させるための情報と、前記無人航空機の動作の検出結果に関する情報と、の少なくとも一方である第1情報を取得する第1取得手段、
前記無人航空機の制御の切り替え後に前記無人航空機を動作させるための第2情報を取得する第2取得手段、
前記第1情報と前記第2情報とが一致又は類似しているか否かを判定し、前記第1情報と前記第2情報とが一致又は類似している場合に、自律飛行モードを挟まずに前記第2情報に基づく前記無人航空機の制御への切り替えを行い、前記第1情報と前記第2情報とが一致又は類似していない場合に、当該切り替えを制限する飛行制御手段、
としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無人航空機制御システム、無人航空機制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、無線操縦機を利用して無人航空機を操縦する技術が知られている。例えば、特許文献1には、無人航空機の飛行中において、第1無線操縦機からの第1指示情報が有効な第1状態から、第2無線操縦機からの第2指示情報が有効な第2状態に切り替えるシステムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平2−092800号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の技術において、第1指示情報の内容と第2指示情報の内容とが大きく異なる場合に第1状態から第2状態に切り替えてしまうと、無人航空機に急激な状態変化が起こるため、安定した飛行が困難になる。このような課題は、特許文献1のように第1無線操縦機から第2無線操縦機に切り替える場合だけでなく、無人航空機が自律飛行する状態から操縦者が操縦する状態に切り替える場合、操縦者が操縦する状態から無人航空機が自律飛行する状態に切り替える場合、及び、無人航空機の自律飛行方法が切り替わる場合にも発生しうるものであり、これらの場合にも、切り替え時に無人航空機に急激な状態変化が起こると安定した飛行が困難となる。
【0005】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、無人航空機が飛行する場合の安定性を確保することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係る無人航空機制御システムは、飛行中の無人航空機を動作させるための情報と、前記無人航空機の動作の検出結果に関する情報と、の少なくとも一方である第1情報を取得する第1取得手段と、前記無人航空機の制御の切り替え後に前記無人航空機を動作させるための第2情報を取得する第2取得手段と、前記第1情報と前記第2情報とに基づいて、前記第2情報に基づく前記無人航空機の制御への切り替えを制限する飛行制御手段と、を含むことを特徴とする。
【0007】
本発明に係る無人航空機制御方法は、飛行中の無人航空機を動作させるための情報と、前記無人航空機の動作の検出結果に関する情報と、の少なくとも一方である第1情報を取得する第1取得ステップと、前記無人航空機の制御の切り替え後に前記無人航空機を動作させるための第2情報を取得する第2取得ステップと、前記第1情報と前記第2情報とに基づいて、前記第2情報に基づく前記無人航空機の制御への切り替えを制限する飛行制御ステップと、を含むことを特徴とする。
【0008】
本発明に係るプログラムは、飛行中の無人航空機を動作させるための情報と、前記無人航空機の動作の検出結果に関する情報と、の少なくとも一方である第1情報を取得する第1取得手段、前記無人航空機の制御の切り替え後に前記無人航空機を動作させるための第2情報を取得する第2取得手段、前記第1情報と前記第2情報とに基づいて、前記第2情報に基づく前記無人航空機の制御への切り替えを制限する飛行制御手段、としてコンピュータを機能させる。
【0009】
また、本発明の一態様では、前記無人航空機は、第1無線操縦手段からの第1指示情報に基づいて動作しており、前記第2取得手段は、第2無線操縦手段からの第2指示情報を前記第2情報として取得し、前記飛行制御手段は、前記第1指示情報に基づく前記無人航空機の制御から、前記第2指示情報に基づく前記無人航空機の制御への切り替えを制限する、ことを特徴とする。
【0010】
また、本発明の一態様では、前記第1取得手段は、前記第1指示情報を前記第1情報として取得し、前記飛行制御手段は、前記第1指示情報と前記第2指示情報とに基づいて切り替えを制限する、ことを特徴とする。
【0011】
また、本発明の一態様では、前記飛行制御手段は、前記第1指示情報と前記第2指示情報とが一致しているか否かに基づいて切り替えを制限する、ことを特徴とする。
【0012】
また、本発明の一態様では、前記無人航空機は、自律飛行しており、前記第2取得手段は、無線操縦手段からの指示情報を前記第2情報として取得し、前記飛行制御手段は、自律飛行制御から、前記指示情報に基づく前記無人航空機の制御への切り替えを制限する、ことを特徴とする。
【0013】
また、本発明の一態様では、前記第1情報は、自律飛行中の前記無人航空機の移動方向及び移動速度の少なくとも一方に関する情報であり、前記指示情報は、前記無人航空機に対する指示方向及び指示速度の少なくとも一方に関する情報である、ことを特徴とする。
【0014】
また、本発明の一態様では、前記第1情報は、前記無人航空機を自律飛行させる場合の飛行経路と前記無人航空機の状態との少なくとも一方に関する情報である、ことを特徴とする。
【0015】
また、本発明の一態様では、前記無人航空機は、自律飛行する前は、第1無線操縦手段からの第1指示情報に基づいて動作しており、前記無人航空機は、前記第1指示情報に基づく前記無人航空機の制御から、自律飛行制御に切り替わり、前記第2取得手段は、第2無線操縦手段からの第2指示情報を前記第2情報として取得し、前記飛行制御手段は、自律飛行制御から、前記第2指示情報に基づく前記無人航空機の制御への切り替えを制限する、ことを特徴とする。
【0016】
また、本発明の一態様では、前記無人航空機は、無線操縦手段からの指示情報に基づいて動作しており、前記第2情報は、前記無人航空機を自律飛行させるための情報であり、前記飛行制御手段は、前記指示情報に基づく前記無人航空機の制御から、自律飛行制御への切り替えを制限する、ことを特徴とする。
【0017】
また、本発明の一態様では、前記第1情報は、前記指示情報に基づいて飛行中の前記無人航空機の移動方向及び移動速度の少なくとも一方に関する情報であり、前記第2情報は、前記無人航空機を自律飛行させる場合の移動方向及び移動速度の少なくとも一方に関する情報である、ことを特徴とする。
【0018】
また、本発明の一態様では、前記第2情報は、前記無人航空機を自律飛行させる場合の飛行経路と前記無人航空機の状態との少なくとも一方に関する情報である、ことを特徴とする。
【0019】
また、本発明の一態様では、前記無人航空機は、第1の自律飛行制御に基づいて自律飛行しており、前記第2情報は、前記無人航空機を第2の自律飛行制御に基づいて自律飛行させるための情報であり、前記飛行制御手段は、前記第1の自律飛行制御から前記第2の自律飛行制御への切り替えを制限する、ことを特徴とする。
【0020】
また、本発明の一態様では、前記第1情報は、前記第1の自律飛行制御で自律飛行中の前記無人航空機の移動方向及び移動速度の少なくとも一方に関する情報であり、前記第2情報は、前記第2の自律飛行制御で前記無人航空機を自律飛行させる場合の移動方向及び移動速度の少なくとも一方に関する情報である、ことを特徴とする。
【0021】
また、本発明の一態様では、前記第1情報は、前記第1の自律飛行制御で自律飛行中の前記無人航空機の飛行経路と前記無人航空機の状態との少なくとも一方に関する情報であり、前記第2情報は、前記第2の自律飛行制御で前記無人航空機を自律飛行させる場合の飛行経路と前記無人航空機の状態との少なくとも一方に関する情報である、ことを特徴とする。
【0022】
また、本発明の一態様では、前記飛行制御手段は、前記第2情報に基づく前記無人航空機の制御に切り替え可能になり、かつ、無線操縦手段から所定の切替要求が取得された場合に当該制御に切り替え、前記無人航空機制御システムは、前記第2情報に基づく前記無人航空機の制御に切り替え可能になった場合に、前記無線操縦手段において所定の通知をする通知手段、を更に含むことを特徴とする。
【0023】
また、本発明の一態様では、前記無人航空機制御システムは、前記第2情報に基づく前記無人航空機の制御に切り替わった場合に、無線操縦手段において所定の通知をする通知手段、を更に含むことを特徴とする。
【0024】
また、本発明の一態様では、前記無人航空機制御システムは、前記飛行制御手段により切り替えが制限される場合、当該制限を解除するための情報を無線操縦手段において通知する通知手段、を更に含むことを特徴とする。
【0025】
また、本発明の一態様では、前記飛行制御手段は、前記第2情報に基づく前記無人航空機の制御に切り替えるための所定の切替要求が取得された場合に切り替えを制限する、ことを特徴とする。
【0026】
また、本発明の一態様では、前記無人航空機制御システムは、前記第1指示情報に基づく前記無人航空機の制御から、前記第2指示情報に基づく前記無人航空機の制御に切り替わる場合に、前記第1無線操縦手段と前記第2無線操縦手段とを通話させる通話手段を含む、ことを特徴とする。
【0027】
また、本発明の一態様では、前記飛行制御手段は、前記第2情報に基づく前記無人航空機の制御に徐々に切り替える、ことを特徴とする。
【0028】
また、本発明の一態様では、前記無人航空機は、前記第1取得手段、前記第2取得手段、及び前記飛行制御手段を含む、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、無人航空機が飛行する場合の安定性を確保することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】無人航空機制御システムの全体構成を示す図である。
図2】操作部を説明するための無線操縦機の外観図である。
図3】指示情報のデータ格納例を示す図である。
図4】無人航空機が飛行する様子を示す図である。
図5】無人航空機制御システムで実現される機能の一例を示す機能ブロック図である。
図6】操縦権データのデータ格納例を示す図である。
図7】無人航空機制御システムにおいて実行される処理の一例を示すフロー図である。
図8】実施形態2の概要を示す説明図である。
図9】実施形態3の概要を示す説明図である。
図10】実施形態4の概要を示す説明図である。
図11】変形例の機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
[1.実施形態1]
以下、本発明に関わる無人航空機制御システムの実施形態の例を説明する。
【0032】
[1−1.無人航空機制御システムの全体構成]
図1は、無人航空機制御システムの全体構成を示す図である。図1に示すように、無人航空機制御システム1は、無人航空機10と、無線操縦機20A〜20Cと、を含む。以降では、無線操縦機20A〜20Cを特に区別する必要のないときは、単に無線操縦機20と記載する。
【0033】
なお、本実施形態では、1台の無人航空機10が無人航空機制御システム1に含まれる場合を説明するが、無人航空機制御システム1には、複数台の無人航空機10が含まれていてもよい。また、本実施形態では、3台の無線操縦機20が無人航空機制御システム1に含まれる場合を説明するが、無人航空機制御システム1に含まれる無線操縦機20は、1台だけであってもよいし、2台又は4台以上であってもよい。
【0034】
無人航空機10は、人が搭乗しない航空機であり、例えば、バッテリーで駆動する無人航空機(いわゆるドローン)やエンジンで駆動する無人航空機である。例えば、無人航空機は、商品や郵便物などの荷物を搭載可能であってよく、配送先に飛行して荷物を配送したり、集荷先に飛行して荷物を集荷したりする。なお、無人航空機10は、種々の目的で飛行してよく、荷物の運搬以外にも、例えば飛行先の様子を取得するために飛行してもよいし、農場における農薬散布等の目的で飛行してもよい。
【0035】
無人航空機10は、制御部11、記憶部12、通信部13、撮影部14、及びセンサ部15を含む。なお、無人航空機10は、プロペラ・モーター(アクチュエータの一例)・バッテリー・アンテナなども含むが、ここでは説明を省略する。
【0036】
制御部11は、例えば、少なくとも1つのマイクロプロセッサを含む。制御部11は、記憶部12に記憶されたプログラムやデータに従って処理を実行する。記憶部12は、主記憶部及び補助記憶部を含む。例えば、主記憶部はRAMなどの揮発性メモリであり、補助記憶部は、ハードディスクやフラッシュメモリなどの不揮発性メモリである。
【0037】
通信部13は、有線通信又は無線通信用の通信インタフェースを含む。通信部13は、所定の通信プロトコルのもとで通信を行う。なお、通信部13は、送信機と受信機の両方を含んでもよいし、特に送信機は含まずに受信機だけを含んでもよい。
【0038】
通信部13が有する通信インタフェースは1系統(1チャンネル)だけであってもよいが、本実施形態では、通信部13は、複数系統(複数チャンネル)の通信インタフェースを有する場合を説明する。例えば、通信部13は、無線通信部130A〜130Cを含み、3系統の通信インタフェースを有する。なお、通信部13は、2系統又は4系統以上の通信インタフェースを有してもよい。
【0039】
無線通信部130A〜130Cは、互いに混線しないように、使用する周波数帯域(例えば、2.4GHz帯又は5.0GHz帯の中での周波数)が互いに異なる。例えば、無線通信部130Aは第1の周波数帯域(第1のチャンネル)を使用し、無線通信部130Bは第2の周波数帯域(第2のチャンネル)を使用し、無線通信部130Cは第3の周波数帯域(第3のチャンネル)を使用する。
【0040】
なお、第1の周波数帯域、第2の周波数帯域、及び第3の周波数帯域の各々は、少なくとも中心周波数が異なるものとするが、重複部分が存在してはならないわけではなく、帯域の一部が重複していてもよい。以降では、無線通信部130A〜130Cを特に区別する必要のないときは、単に無線通信部130と記載する。
【0041】
また、本実施形態では、FASST、FHSS、DMSS、又はAFHSSといった特定機器(例えば、いわゆるラジコン)用の無線通信方式を説明するが、無線通信方式自体は、公知の種々の方式を適用可能であり、例えば、無線LAN、Bluetooth(登録商標)、iBeacon(登録商標)、又はWi−Fi Direct(登録商標)といった汎用機器用の方式であってもよい。更に、無線通信としては、近距離無線通信、中距離無線通信、又は遠距離無線通信の何れであってもよい。
【0042】
撮影部14は、少なくとも1台のカメラである。例えば、撮影部14は、CCDイメージセンサやCMOSイメージセンサなどの撮像素子を含み、当該撮像素子が撮影した画像をデジタルデータとして記録する。画像は、静止画であってもよいし、所定のフレームレートで連続的に撮影された動画であってもよい。なお、撮影部14は、無人航空機10に含まれていなくてもよい。
【0043】
センサ部15は、例えば、GPSセンサ150を含む。GPSセンサ150は、衛星からの信号を受信する受信機を含み、例えば、受信機が受信した信号に基づいて位置情報を検出する。位置情報は、例えば、緯度経度情報であり、地球上の座標情報である。なお、無人航空機10には、任意のセンサが搭載されてよく、センサ部15は、赤外線センサ、超音波センサ、音声センサ(マイク)、加速度センサ、ジャイロセンサ、風センサ、地磁気センサ、高度センサ、変位センサ、感圧センサ、温度センサ、又はモータエンコーダ(回転位置センサ)等の任意のセンサを含むようにしてもよい。
【0044】
無線操縦機20は、無人航空機10を操縦するための機器であり、例えば、プロポ(プロポーショナル式の略)又はコントローラと呼ばれるものである。無線操縦機20は、無人航空機10と直接的又は間接的に通信可能なものであればよく、例えば、スマートフォン(携帯電話)、タブレット型端末、又はパーソナルコンピュータ等であってもよい。なお、直接的な通信とは、サーバコンピュータなどの他のコンピュータを介さずに通信することであり、間接的な通信とは、他のコンピュータ(又はインターネットなどのネットワーク)を介して通信することである。
【0045】
本実施形態では、無線操縦機20A〜20Cが互いに同じ構成である場合を説明するが、構成が異なっていてもよい。以降では、制御部21A〜21Cを特に区別する必要のないときは、単に制御部21と記載する。同様に、記憶部22A〜22C、通信部23A〜23C、操作部24A〜24C、及び表示部25A〜25Cを単に記憶部22、通信部23、操作部24、及び表示部25と記載することがある。
【0046】
図1に示すように、無線操縦機20は、制御部21、記憶部22、通信部23、操作部24、及び表示部25を含む。制御部21、記憶部22、及び通信部23のハードウェア構成は、それぞれ制御部11、記憶部12、及び通信部13と同様なので説明を省略する。なお、無線操縦機20は、アンテナ・バッテリーなども含むが、ここでは説明を省略する。
【0047】
例えば、通信部23は、送信機と受信機の両方を含み、無人航空機10と無線操縦機20との間で双方向の通信を可能としてもよいし、特に受信機は含まずに送信機だけを含み、無線操縦機20から無人航空機10への一方向の通信だけを可能としてもよい。通信部23が利用する周波数帯域は予め調整されているものとする。即ち、通信部23がどのチャンネルを用いるかは、予め調整されているものとする。
【0048】
また例えば、無線操縦機20Aの通信部23Aは、第1周波数帯域を使用し、無人航空機10の無線通信部130Aと通信する。また例えば、無線操縦機20Bの通信部23は、第2周波数帯域を使用し、無人航空機10の無線通信部130Bと通信する。また例えば、無線操縦機20Bの通信部23は、第3周波数帯域を使用し、無人航空機10の無線通信部130Cと通信する。
【0049】
操作部24は、無人航空機10を操縦するための少なくとも1つの操作部材を含む。操作部材としては、操縦者の入力を受け付け可能な部材であればよく、例えば、ボタン、スティック、スイッチ、レバー、タッチパネル、キーボード、又はマウス等である。なお、以降説明する操作部24は、あくまで一例であり、無線操縦機20には、任意の操作部材の組み合わせを適用可能である。
【0050】
図2は、操作部24を説明するための無線操縦機20の外観図である。図2に示すように、本実施形態の操作部24は、スティックST1,ST2、ボタンB1〜B6、スイッチSW1,SW2、及びタッチパネルTPといった複数の操作部材を含む。以降、スティックST1,ST2を区別する必要のないときは、単にスティックSTと記載する。同様に、ボタンB1〜B6を単にボタンBと記載し、スイッチSW1,SW2を単にスイッチSWと記載することがある。
【0051】
スティックSTは、上下方向(垂直方向・縦方向)及び左右方向(水平方向・横方向)の少なくとも一方に倒すことができ、例えば、無人航空機10の移動方向又は旋回方向を指示するために用いられる。なお、スティックSTは、斜め方向に倒すことができてもよい。例えば、スティックSTを倒した方向と、無人航空機10の動作(移動方向又は旋回方向)と、の対応関係は、予め記憶部22に記憶されているものとする。この対応関係は、編集できないようにしてもよいし、編集可能であってもよい。無人航空機10は、操縦者がスティックSTを倒した方向に対応する動作をする。
【0052】
例えば、操縦者がスティックST1を上方向に倒すと、無人航空機10は前方(ロール軸の正方向)に進み、操縦者がスティックST1を下方向に倒すと、無人航空機10は後方(ロール軸の負方向)に進む。また例えば、操縦者がスティックST1を左方向に倒すと、無人航空機10は左回り(反時計回り)に旋回し、操縦者がスティックST1を右方向に倒すと、無人航空機10は右回り(時計回り)に旋回する。
【0053】
また例えば、操縦者がスティックST2を上方向に倒すと、無人航空機10が上昇(ヨー軸の負方向に移動)し、操縦者がスティックST2を下方向に倒すと、無人航空機10が下降(ヨー軸の正方向に移動)する。また例えば、操縦者がスティックST2を左方向に倒すと、無人航空機10が左方向(ピッチ軸の負方向)に移動し、操縦者がスティックST2を右方向に倒すと、無人航空機10は右方向(ピッチ軸の正方向)に移動する。なお、スティックST1,ST2が傾いていないニュートラルの場合には、無人航空機10はホバリングする。
【0054】
ボタンBは、無人航空機10に関する機能が予め対応付けられている。ボタンBと機能との対応関係は、予め記憶部22に記憶されているものとする。この対応関係は、編集できないようにしてもよいし、編集可能であってもよい。無線操縦機20は、操縦者が押下したボタンに対応する機能に関する処理を実行する。
【0055】
例えば、ボタンB1は、電源のオン/オフの機能が対応付けられており、操縦者がボタンB1を押下すると、無線操縦機20は、電源をオンにしたりオフにしたりする。例えば、無線操縦機20は、電源がオンになると、通信部23を介して周囲に指示情報を送信する。
【0056】
図3は、指示情報のデータ格納例を示す図である。図3に示すように、指示情報は、操縦者の指示を示す情報である。別の言い方をすれば、指示情報は、操作部24に含まれる各操作部材の操作状態を示す情報であり、無人航空機10に対する無線制御信号である。例えば、指示情報は、スティックSTが倒された方向及び角度、ボタンBのオン/オフ、及びスイッチSWのオン/オフといった情報を含む。また例えば、指示情報は、操縦者がタッチパネルTPから入力した指示内容が含まれていてもよい。
【0057】
例えば、無人航空機10が無線操縦機20の通信範囲に侵入した場合、無線操縦機20から無人航空機10に対し、指示情報が送信される。なお、無人航空機10は、所定の通信プロトコルのもとで、無線操縦機20との通信を確立したうえで指示情報を受信してもよいし、特に通信確立の処理が行われることなく、指示情報を受信してもよい。
【0058】
なお、無線操縦機20は、定期的に指示情報を送信してもよいし、操縦者が何らかの操作をした場合にのみ(即ち、不定期的に)指示情報を送信してもよい。また、指示情報は、全ての操作部材の操作状態を含む必要はなく、一部の操作部材の操作状態だけ(例えば、押下されたボタンBを識別する情報だけ)を含んでもよい。
【0059】
また、指示情報は、予め定められたデータフォーマットであればよく、図3の例に限られない。例えば、無線操縦機20の姿勢を無人航空機10の操縦に利用する場合には、無線操縦機20の姿勢が指示情報に含まれていてもよい。他にも例えば、操縦者の音声を無人航空機10の操縦に利用する場合には、音声の検出結果が指示情報に含まれていてもよい。
【0060】
また例えば、ボタンB2は、無人航空機10の操縦権を要求する機能が対応付けられており、操縦者がボタンB2を押下すると、無人航空機10に対し、操縦権を要求することができる。
【0061】
操縦権は、無人航空機10を操縦する権利であり、無人航空機10を制御する権利である。本実施形態では、操縦権が与えられる無線操縦機20が1台だけである場合を説明するが、複数の無線操縦機20に同時に操縦権が与えられてもよい。操縦権が与えられた無線操縦機20は、無人航空機10を自身の制御下に置くことができる。例えば、操縦権が与えられると指示情報が有効になり、操縦権が与えられていないと指示情報は無効となる。別の言い方をすれば、操縦権が与えられた無線操縦機20は、無人航空機10の飛行制御に影響を与えることができ、操縦権が与えられていない無線操縦機20は、無人航空機10の飛行制御に影響を与えない。
【0062】
また例えば、ボタンB3は、無人航空機10を所定の地点に帰還させる機能が対応付けられており、操縦者がボタンB3を押下すると、無人航空機10を所定の地点に帰還させることができる。所定の地点は、予め定められた地点であればよく、例えば、無人航空機10の出発地点であってもよいし、無線操縦機20の現在位置であってもよい。
【0063】
また例えば、ボタンB4〜B6は、無人航空機10の飛行モードを指定する機能が対応付けられており、無人航空機10は、ボタンB4〜B6の何れかに対応する飛行モードで飛行する。飛行モードは、無人航空機10の飛行制御方法である。本実施形態では、3つの飛行モードが用意されており、例えば、自律飛行モード、GPS手動飛行モード、完全手動飛行モードが存在する。なお、以降では、GPS手動飛行モード及び完全手動飛行モードをまとめて手動飛行モードと記載することもある。
【0064】
自律飛行モードは、無人航空機10を自律飛行させるための飛行モードである。自律飛行とは、操縦者による指示がなくても無人航空機10が自身で飛行制御を行うことである。例えば、自律飛行モードは、無人航空機10が予め定められた経路上を自律的に飛行する飛行モードであってもよいし、撮影部14により撮影された画像をもとに、特定の被写体と所定の位置関係を保つように(例えば、被写体を監視するように)飛行する飛行モードであってもよい。例えば、自律飛行モードでは、操縦者がスティックSTを傾けても、無人航空機10は、その方向に応じた動作をしない。即ち、自律飛行モードでは、スティックSTから行われた指示は、飛行制御に影響されない。
【0065】
GPS手動飛行モードは、GPSセンサ150で検出した位置情報を補助的に利用する飛行モードである。例えば、GPS手動飛行モードでは、操縦者がスティックSTを傾けると、無人航空機10が、GPSセンサ150で検出した位置情報を利用して、格子状に区切られた3次元又は2次元の座標間を移動する。即ち、GPS手動飛行モードでは、操縦者は、座標間での移動方向を指示することができる。
【0066】
完全手動飛行モードは、操縦者がスティックSTを傾けることで、無人航空機10が、スティックSTで指示された動作をする飛行モードである。例えば、完全手動飛行モードでは、無人航空機10は、操縦者がスティックSTを傾けた方向に移動したり旋回したりする。なお、完全手動飛行モードは、姿勢制御等を含めた全ての動作が手動となってもよいし、移動方向の指示のみが手動化され、姿勢制御等の処理は自動化されていてもよい。
【0067】
例えば、ボタンB4は、自律飛行モードが対応付けられており、操縦者がボタンB4を押下すると、無人航空機10は自律飛行モードで飛行する。また例えば、ボタンB5は、GPS手動飛行モードが対応付けられており、操縦者がボタンB5を押下すると、無人航空機10はGPS手動飛行モードで飛行する。また例えば、ボタンB6は、完全手動飛行モードが対応付けられており、操縦者がボタンB6を押下すると、無人航空機10は完全手動飛行モードで飛行する。
【0068】
なお、飛行モードは、3つに限られず、1つだけであってもよいし、2つ又は4つ以上の飛行モードが存在してもよい。また、各飛行モードは、自由に切り替えられるようにしてもよいし、自律飛行モードからGPS手動飛行モードには切り替えることができるがその逆は切り替えることができないといったように、一方向のみの切り替えが可能であってもよい。
【0069】
例えば、スイッチSW1は、荷物の保持機構を開閉させる機能が対応付けられており、操縦者がスイッチSW1を切り替えると、無人航空機10に荷物の保持機構を開閉させることができる。また例えば、スイッチSW2は、パラシュートなどの保安機構を開閉させる機能が対応付けられており、操縦者がスイッチSW2を切り替えると、無人航空機10に保安機構を開閉させることができる。また例えば、タッチパネルTPは、操縦者が各種指示をするためのタッチパネルであり、操縦者は、タッチパネルTPに触れることで無線操縦機20の設定変更等をすることができる。
【0070】
タッチパネルTPの下には、例えば、液晶表示部又は有機EL表示部等である表示部25が配置されている。表示部25は、制御部21の指示に従って画面を表示する。
【0071】
なお、無人航空機10及び無線操縦機20のハードウェア構成は、図1の例に限られず、種々のハードウェアを適用可能である。例えば、無人航空機10は、タッチパネルやボタンなどの操作部を含んでいてもよいし、液晶表示部又は有機EL表示部などの表示部を含んでいてもよい。
【0072】
また例えば、無線操縦機20は、GPSセンサ、加速度センサ、ジャイロセンサ、気圧センサ、又は温度センサ等のセンサ類を含んでもよい。この場合、無線操縦機20の位置や姿勢を無人航空機10に対する指示に利用してもよい。また例えば、無線操縦機20は、スピーカやイヤホンジャックなどの音声出力部、マイクなどの音声入力部、LEDライトなどの発光部、又はバイブレータ等を含んでもよい。
【0073】
また例えば、無人航空機10及び無線操縦機20の各々は、コンピュータ読み取り可能な情報記憶媒体を読み取る読取部(例えば、メモリカードスロットや光ディスクドライブ)を含んでもよいし、外部機器と通信するための入出力部(例えば、USBポート)を含んでいてもよい。また例えば、記憶部12,22に記憶されるものとして説明するプログラム及びデータは、読取部又は入出力部を介して供給されるようにしてもよいし、ネットワークを介して供給されるようにしてもよい。
【0074】
[1−2.実施形態1の概要]
図4は、無人航空機10が飛行する様子を示す図である。図4に示すように、例えば、無人航空機10は、出発地点Pから目標地点Qまで荷物を運搬し、目標地点Qで荷物を下ろして出発地点Pに戻る。本実施形態では、無人航空機10は、原則として自律飛行モードで飛行するが、操縦者がGPS手動飛行モード又は完全手動飛行モードに切り替えて操縦できるように、少なくとも1人の操縦者が目視可能な範囲を、少なくとも1つの無線操縦機20と通信可能な状態で飛行するものとする。
【0075】
図4の例では、出発地点Pと目標地点Qとの間に、操縦者A〜Cの3人が配置されている。例えば、操縦者Aは、無線操縦機20Aを操作し、出発地点P付近の飛行を担当する。また例えば、操縦者Bは、無線操縦機20Bを操作し、中間地点付近の飛行を担当する。また例えば、操縦者Cは、無線操縦機20Cを操作し、目標地点Q付近の飛行を担当する。なお、操縦者は、3人に限られず、1人、2人、又は4人以上であってもよい。無線操縦機20も、操縦者の数に応じた台数を用意すればよい。
【0076】
例えば、出発地点Pにおいて、荷物を積んだ無人航空機10が無線通信部130Aを介して無線操縦機20Aと通信可能な状態になると、無人航空機10は、離陸して目標地点Qに向けての飛行を開始する。出発直後においては、無人航空機10は、無線操縦機20Aの制御下にあり、操縦者Aが操縦可能な状態になる。なお、操縦者Aは、特に移動せずにその場で無人航空機10を目視してもよいし、無人航空機10を追いかけるように移動してもよい。この点は、他の操縦者B,Cも同じである。
【0077】
無人航空機10は、目標地点Qに向けてある程度飛行すると、無線操縦機20Bの通信範囲に侵入し、無線通信部130Bを介して無線操縦機20Bと通信可能な状態になる。この場合、無人航空機10は、無線操縦機20A及び無線操縦機20Bの2台と同時に通信可能な状態となり、無線操縦機20Aからの指示情報と、無線操縦機20Bからの指示情報と、を受信する。ただし、この時点では、無人航空機10は、無線操縦機20Aの制御下にあるので、無線操縦機20Aからの指示情報に基づいて飛行し、無線操縦機20Bからの指示情報は無視する。
【0078】
例えば、操縦権が無線操縦機20Aにある状態で、操縦者Bが無線操縦機20BのボタンB2を押下すると、操縦権を無線操縦機20Bに移すことができる。即ち、操縦者Bが無線操縦機20BのボタンB2を押下すると、無人航空機10を、無線操縦機20Aの制御下にある状態から、無線操縦機20Bの制御下にある状態に切り替えることができる。
【0079】
ただし、無線操縦機20Aからの指示情報(操縦者Aの指示)と、無線操縦機20Bからの指示情報(操縦者Bの指示)と、が大きく異なっていた場合に、無線操縦機20Aから無線操縦機20Bに操縦権を移してしまうと、無人航空機10に急激な状態変化が発生し、飛行の安定性を確保できないことがある。
【0080】
例えば、無線操縦機20AのボタンB4が押下されており、無人航空機10が自律飛行モードで飛行しているにもかかわらず、無線操縦機20BのボタンB5又はB6が押下されていたとすると、操縦権の移行時に飛行モードが急に変わってしまい、飛行の安定性を確保できないことがある。他にも例えば、無人航空機10がGPS手動飛行モード又は完全飛行モードで飛行している場合に、無線操縦機20AのスティックST1が左方向に倒れているにもかかわらず、無線操縦機20AのスティックST1が右方向に倒れていたとすると、無人航空機10の旋回方向が急に変わってしまい、飛行の安定性を確保できないことがある。
【0081】
このため、本実施形態では、無人航空機10が無線操縦機20A及び無線操縦機20Bの2台と同時に通信可能となり、通信上は、操縦権を移行可能になったとしても、無線操縦機20Aからの指示情報と、無線操縦機20Bからの指示情報と、が一致していなければ、あえて操縦権を移行させないようにしている。
【0082】
例えば、操縦者Bが無線操縦機20BのボタンB2を押下した場合に、無人航空機10は、無線操縦機20Aからの指示情報と、無線操縦機20Bからの指示情報と、が一致しているか否かを判定する。無人航空機10は、これらが一致していないと判定した場合は操縦権の移行を禁止し、これらが一致していないと判定した場合は操縦権の移行を許可する。操縦権が移行すると、操縦者Bが無人航空機10を操縦可能な状態となり、無人航空機10は、無線操縦機20Bの制御下に置かれる。
【0083】
無人航空機10が目標地点Qに向けて更に飛行すると、無線操縦機20Cの通信範囲に侵入し、無線通信部130Cを介して無線操縦機20Cと通信可能な状態になる。この場合も同様に、無線操縦機20Bからの指示情報と、無線操縦機20Cからの指示情報と、が一致していることを条件として、操縦権を無線操縦機20Cに移行することができる。操縦権が移行すると、操縦者Cが無人航空機10を操縦可能な状態となり、無人航空機10は、無線操縦機20Cの制御下に置かれる。
【0084】
その後、無人航空機10は、目標地点Qに到着すると所定の場所に着陸して荷物を配置する。着陸及び荷物の配置は、操縦者Cの操縦によって行われてもよいし、無人航空機10が自動的に行ってもよい。無人航空機10は、荷物を配置すると、再び離陸して出発地点Pへの帰還を開始する。復路の飛行方法は、往路と同様であり、操縦権を譲り渡す側の無線操縦機20の指示情報と、操縦権を受け取る側の無線操縦機20の指示情報と、が一致している場合に、操縦権が移されることになる。
【0085】
以上のように、本実施形態の無人航空機制御システム1は、無線操縦機20の指示情報が一致していることを条件として操縦権を移すことにより、無人航空機10の急激な状態変化を防止し、無人航空機10の飛行の安定性を確保するようにしている。以降、当該技術の詳細について説明する。
【0086】
[1−3.無人航空機制御システムにおいて実現される機能]
図5は、無人航空機制御システム1で実現される機能の一例を示す機能ブロック図である。図5に示すように、無人航空機制御システム1では、データ記憶部100、第1取得部101、第2取得部102、切替要求取得部103、及び飛行制御部104が実現される。本実施形態では、これら各機能が、無人航空機10において実現される場合を説明する。
【0087】
[1−3−1.データ記憶部]
データ記憶部100は、記憶部12を主として実現される。データ記憶部100は、無人航空機10を制御するためのデータを記憶する。例えば、データ記憶部100は、操縦権を識別するための操縦権データを記憶する。別の言い方をすれば、操縦権データは、例えば、操縦権がある無線操縦機20を識別するためのデータ、又は、操縦権がある無線操縦機20と通信する無線通信部130を識別するためのデータである。
【0088】
図6は、操縦権データのデータ格納例を示す図である。図6に示すように、例えば、操縦権データは、無線通信部130の識別情報と、操縦権フラグと、が関連付けられている。無線通信部130の識別情報は、無線通信部130を識別可能な情報であればよく、例えば、無線通信部130の名称、個体識別番号、又はMACアドレス等である。
【0089】
操縦権フラグは、操縦権の有無を識別するための情報であり、例えば、オン(値が1)であれば操縦権があることを意味し、オフであれば(値が0)であれば操縦権がないことを意味する。本実施形態では、同時に複数の無線操縦機20に操縦権が与えられることはないので、何れか1つの無線通信部130の操縦権フラグがオンとなる。
【0090】
例えば、図6のデータ格納例であれば、無線通信部130Aの操縦権フラグがオンであり、無線通信部130B,130Cの操縦権フラグがオフなので、無線通信部130Aと通信する無線操縦機20Aに操縦権がある。この状態で、例えば、無線操縦機20Bに操縦権が移されると、無線通信部130Aの操縦権フラグがオンになり、無線通信部130Bの操縦権フラグがオフになる。
【0091】
なお、データ記憶部100が記憶するデータは、上記の例に限られない。データ記憶部100は、無人航空機10を制御するためのデータを記憶すればよい。例えば、データ記憶部100は、自律飛行モードで飛行する場合の飛行経路を示すデータを記憶してもよいし、出発地点P及び目標地点Qの位置情報を記憶してもよい。
【0092】
[1−3−2.第1取得部]
第1取得部101は、制御部11を主として実現される。第1取得部101は、飛行中の無人航空機を動作させるための情報と、無人航空機の動作の検出結果に関する情報と、の少なくとも一方である第1情報を取得する。例えば、第1取得部101は、通信部13を介して第1情報を取得してもよいし、撮影部14又はセンサ部15の検出信号に基づいて第1情報を取得してもよい。後述する実施形態2又は4のように、自律飛行中の無人航空機10の制御を切り替える場合には、第1取得部101は、自律飛行の制御アルゴリズムから第1情報を取得してもよい。
【0093】
例えば、飛行中の無人航空機10を動作させるための情報は、無線操縦機20から受信した指示情報、又は、当該指示情報に基づいて決定されたモータ等に対する出力内容(モータの回転数やモータに印加する電圧など)若しくは内部命令を示す情報である。
【0094】
また例えば、無人航空機10の動作の検出結果に関する情報は、撮影部14又はセンサ部15により検出された、無人航空機10の状態(例えば、現在位置、移動方向、移動速度、高度、姿勢、又はモータの回転数など)等を示す情報である。
【0095】
なお、第1情報は、飛行中の無人航空機を動作させるための情報だけであってもよいし、無人航空機の動作の検出結果に関する情報だけであってもよいし、これらの両方を含んでいてもよい。
【0096】
本実施形態では、ある無線操縦機20から他の無線操縦機20に操縦権を切り替える場合を一例として説明するので、無人航空機10が、第1無線操縦機からの第1指示情報に基づいて動作している場合に、第1取得部101は、第1指示情報を第1情報として取得する場合を説明する。このため、本実施形態で第1指示情報と記載した箇所については、第1情報と読み替えることができる。
【0097】
第1無線操縦機は、現時点で操縦権がある無線操縦機20であり、操縦権を譲り渡す側の無線操縦機20である。別の言い方をすれば、第1無線操縦機は、操縦権フラグがオンの無線通信部130と通信する無線操縦機20、無人航空機10を制御している無線操縦機20、又は、指示情報が有効な無線操縦機20ということができる。
【0098】
第1指示情報は、第1無線操縦機から無人航空機10に対する指示情報である。別の言い方をすれば、第1指示情報は、操縦権フラグがオンの無線通信部130を介して受信した指示情報、無人航空機10を制御している無線操縦機20からの指示情報、又は、現時点で有効な指示情報ということができる。
【0099】
本実施形態では、第1指示情報が、操縦権フラグがオンの無線通信部130を介して受信した指示情報である場合を説明する。このため、本実施形態で操縦権フラグがオンの無線通信部130を介して受信した指示情報を説明している箇所については、第1指示情報と読み替えることができる。
【0100】
[1−3−3.第2取得部]
第2取得部102は、制御部11を主として実現される。第2取得部102は、無人航空機10の制御の切り替え後に無人航空機10を動作させるための第2情報を取得する。例えば、第2取得部102は、通信部13を介して第2情報を取得する。後述する実施形態3−4のように、制御を切り替えた後の無人航空機10が自律飛行する場合には、第2取得部102は、自律飛行制御のアルゴリズムから第2情報を取得してもよい。
【0101】
無人航空機10の制御の切り替え後とは、第2情報に基づいて無人航空機10を制御する状態になることである。本実施形態では、ある無線操縦機20から他の無線操縦機20に操縦権を切り替える場合を一例として説明するので、無人航空機10の制御の切り替え後は、操縦権が切り替わった後のことを意味する。
【0102】
無人航空機10を動作させるための情報の意味は、第1情報で説明した通りであるが、第2情報は、現時点で無人航空機10を動作させるための情報ではなく、制御の切り替え後に無人航空機10をどのように動作させるかを示す情報(将来的な動作内容を示す情報)である点で第1情報とは異なる。本実施形態では、ある無線操縦機20から他の無線操縦機20に操縦権を切り替える場合を一例として説明するので、第2取得部102は、第2無線操縦機からの第2指示情報を上記第2情報として取得する。
【0103】
第2無線操縦機は、現時点では操縦権がない無線操縦機20であり、操縦権を受け取る側の無線操縦機20である。別の言い方をすれば、第2無線操縦機は、操縦権フラグがオフの無線通信部130と通信する無線操縦機20、無人航空機10と通信可能ではあるが制御はしていない無線操縦機20、又は、指示情報を送信可能ではあるが現時点では当該指示情報が無効な無線操縦機20ということができる。
【0104】
第2指示情報は、第2無線操縦機から無人航空機10に対する指示情報である。別の言い方をすれば、第2指示情報は、操縦権フラグがオフの無線通信部130を介して受信した指示情報、無人航空機10と通信可能ではあるが制御はしていない無線操縦機20からの指示情報、又は、現時点では無効な指示情報ということができる。
【0105】
本実施形態では、第2指示情報が、操縦権フラグがオフの無線通信部130を介して受信した指示情報である場合を説明する。このため、本実施形態で操縦権フラグがオフの無線通信部130を介して受信した指示情報を説明している箇所については、第2指示情報と読み替えることができる。
【0106】
[1−3−4.切替要求取得部]
切替要求取得部103は、制御部11を主として実現される。切替要求取得部103は、通信部13を介して、無線操縦機20から切替要求を受信する。切替要求は、第2取得部102により取得された第2情報(本実施形態では、第2指示情報)に基づく無人航空機10の制御に切り替えるための要求である。本実施形態では、ある無線操縦機20から他の無線操縦機20に操縦権を切り替える場合を一例として説明するので、切替要求は、操縦権を切り替えるための要求であり、所定形式のデータが送信されることによって行われる。
【0107】
切替要求は、無線操縦機20において所定の操作が行われた場合に送信される。本実施形態では、無線操縦機20のボタンB2に操縦権を要求する機能が対応付けられているので、切替要求は、ボタンB2が押下された場合に無線操縦機20から無人航空機10に対して送信される。このため、切替要求は、ボタンB2が押下されたことを示すデータであり、ボタンB2の操作状態がオンである第2情報となる。
【0108】
[1−3−5.飛行制御部]
飛行制御部104は、制御部11を主として実現される。飛行制御部104は、第1情報と第2情報とに基づいて、第2情報に基づく無人航空機10の制御への切り替えを制限する。
【0109】
第2情報に基づく無人航空機10の制御とは、例えば、第2情報が無人航空機10の制御結果に影響することである。別の言い方をすれば、第2情報に基づく無人航空機10の制御とは、第2情報が無人航空機10の制御アルゴリズムの引数(入力)となること、無人航空機10がモータ等への出力を決定する際に第2情報を参照すること、又は、第2情報がモータ等への出力結果に影響することである。
【0110】
なお、制御アルゴリズムは、モータ等への出力を決定するためのアルゴリズムであり、制御器とも呼ばれるものである。例えば、制御アルゴリズムは、第2情報と、撮影部14又はセンサ部15により検出された無人航空機10の状態(例えば、現在位置、移動方向、移動速度、高度、姿勢、又はモータの回転数など)と、の少なくとも一方を引数とし、モータの回転数や印加電圧を出力して得るためのアルゴリズムである。
【0111】
制限とは、第2情報に基づく無人航空機10の制御を禁止すること、又は、第2情報に基づく無人航空機10の制御を抑制することを意味する。
【0112】
禁止とは、第2情報を無人航空機10の制御結果に影響させないことである。別の言い方をすれば、禁止とは、第2情報が無人航空機10の制御アルゴリズムの引数としない(制御器への入力としない)こと、無人航空機10がモータ等への出力を決定する際に第2情報を参照しないこと、第2情報がモータ等への出力結果に影響させないこと、第2情報を受信しても無効にすること、又は、第2情報を受信しても無視することである。
【0113】
抑制とは、第2情報が無人航空機10の制御結果に影響する度合(程度)を減らすことである。別の言い方をすれば、抑制とは、第2情報が無人航空機10の制御アルゴリズムの引数とするがその係数を小さくすること、又は、無人航空機10がモータ等への出力を決定する際に第2情報を参照するが(第2情報を有効とするが)その影響を小さくすること、第2情報がモータ等への出力結果に影響させないことである。
【0114】
本実施形態では、制限の一態様として禁止を説明し、抑制については後述の変形例(5)で説明する。本実施形態で禁止と記載した箇所については、制限又は抑制と読み替えることができる。
【0115】
切り替えとは、無人航空機10の制御方法を変えることである。別の言い方をすれば、切り替えとは、無人航空機10を制御するために参照する情報(情報の参照元)を変えることである。例えば、現在の制御(飛行中の制御方法)から、第2情報に基づく無人航空機10の制御に代えることである。現在の制御とは、例えば、実施形態1で説明する第1指示情報に基づく制御(手動飛行モード)、又は、実施形態2で説明する自律飛行制御(自律飛行モード)である。
【0116】
本実施形態では、切り替えの一例として、ある無線操縦機20から他の無線操縦機20に操縦権が移る場合を説明するので、飛行制御部104は、第1指示情報に基づく無人航空機10の制御から、第2指示情報に基づく無人航空機10の制御への切り替えを制限する。
【0117】
第1指示情報に基づく無人航空機10の制御は、第1無線操縦機に操作権がある状態、第1無線操縦機と通信する無線通信部130の操作権フラグがオンの状態、又は、第1指示情報が有効な状態である。第2指示情報に基づく無人航空機10の制御は、第2無線操縦機に操作権がある状態、第2無線操縦機と通信する無線通信部130の操作権フラグがオンの状態、又は、第2指示情報が有効な状態である。
【0118】
また、本実施形態では、第1情報の一例として第1指示情報を説明し、第2情報の一例として第2指示情報を説明するので、飛行制御部104は、第1指示情報と第2指示情報とに基づいて切り替えを制限する。
【0119】
例えば、飛行制御部104は、第1指示情報と第2指示情報とが所定の関係にあるか否かを判定し、当該判定結果に基づいて、第2指示情報に基づく無人航空機10の制御を禁止する。飛行制御部104は、第1指示情報と第2指示情報とが所定の関係にあると判定された場合に、第2指示情報に基づく無人航空機10の制御を禁止せず、第1指示情報と第2指示情報とが所定の関係にあると判定されない場合に、第2指示情報に基づく無人航空機10の制御を禁止する。
【0120】
所定の関係とは、第1指示情報と第2指示情報が一致すること、又は、第1指示情報と第2指示情報が類似することである。類似とは、操縦者の指示内容が似ていることであり、例えば、少なくとも1つの項目が一致すること、一致する項目の数又は割合が閾値以上であること(即ち、部分一致すること)、数値の差が閾値未満(例えば、移動方向の違いが所定角度未満、又は、移動速度の違いが所定速度未満)であることを意味する。
【0121】
本実施形態では、飛行制御部104は、第1指示情報と第2指示情報とが一致しているか否かに基づいて切り替えを制限する。例えば、飛行制御部104は、第1指示情報と第2指示情報とが一致している場合に、第2指示情報に基づく無人航空機10の制御を禁止せず、第1指示情報と第2指示情報とが一致していない場合に、第2指示情報に基づく無人航空機10の制御を禁止する。
【0122】
なお、図3に示すように、指示情報には複数の項目が含まれているが、飛行制御部104は、これら複数の項目の全ての一致を判定してもよいし、一部の項目の一致を判定してもよい。一部の項目の一致を判定する場合には、予め定められた項目を判定対象とすればよい。例えば、図3の項目のうち、電源のオン/オフをするためのボタンB1と、操縦権を要求するためのボタンB2と、は判定対象から外してもよい。
【0123】
本実施形態では、指示情報のうち、ボタンB2以外の操作部材の操作状態が判定項目となる場合を説明する。このため、飛行制御部104は、第1指示情報のうちボタンB2以外の操作部材の操作状態と、第2指示情報のうちボタンB2以外の操作部材の操作状態と、が一致しているか否かを判定することになる。
【0124】
本実施形態では、ボタンB2を押下して切替要求をすることによって操作権が移行する場合を一例として説明するので、切替要求をする側の無人航空機10は、第2指示情報に基づいて制御されておらず、飛行制御部104は、第2指示情報に基づく無人航空機10の制御に切り替えるための所定の切替要求が取得された場合に切り替えを制限することになる。
【0125】
なお、第1指示情報と第2指示情報とが一致していた場合に強制的に操縦権が切り替わってもよい。ただし、本実施形態では、上記説明したように、第1指示情報と第2指示情報とが一致していたとしても、強制的に操縦権が切り替わるのではなく、切替要求が取得されることを条件として、操縦権を切り替えることになる。
【0126】
[1−4.無人航空機制御システムにおいて実行される処理]
図7は、無人航空機制御システム1において実行される処理の一例を示すフロー図である。本実施形態では、無人航空機10が図7に示す処理を実行する場合を説明する。例えば、図7に示す処理は、制御部11が記憶部12に記憶されたプログラムに従って動作することによって実行される。
【0127】
なお、本実施形態では、下記に説明する処理は、図5に示す機能ブロックにより実現される処理の一例である。以降説明する処理は、無人航空機10の電源が投入された後に実行される。また、操縦権データの初期値として、操縦権フラグは全てオフになっているものとする。
【0128】
図7に示すように、まず、制御部11は、何れかの無線通信部130を介して、無線操縦機20から指示情報を受信したか否かを判定する(S1)。指示情報は、図3に示すフォーマットで送信されるので、S1においては、制御部11は、当該フォーマットの情報を受信したか否かを判定することになる。何れかの無線通信部130を介して指示情報を受信したと判定されない場合(S1;N)、後述するS8の処理に移行する。この場合、無人航空機10は、どの無線操縦機20とも通信可能となっていないので、目標地点Qに向けての飛行を開始しない。
【0129】
一方、何れかの無線通信部130を介して指示情報を受信したと判定された場合(S1;Y)、制御部11は、当該無線通信部130の操縦権フラグをオンにする(S2)。S2においては、制御部11は、操縦権データのうち、指示情報を受信した無線通信部130の識別情報が格納されているレコードの操縦権フラグをオンにする。これにより、当該無線通信部130を介して受信する指示情報が有効となり、当該指示情報を送信する無線操縦機20に操縦権が与えられる。
【0130】
制御部11は、操縦権フラグがオンの無線通信部130を介して受信した指示情報に基づいて、無人航空機10を制御する(S3)。S3においては、制御部11は、指示情報に含まれる各項目の値に基づいて、無人航空機10を制御する。例えば、ボタンB3がオンであることを指示情報が示していれば、無人航空機10は、自律飛行モードで飛行する。この場合、制御部11は、GPSセンサ15により検出された位置情報が所定の経路上をたどるように、各モータへの出力を決定する。なお、自律飛行モードにおける経路を示す情報は、予め記憶部12に記憶されていてもよいし、通信部13を介して他のコンピュータから取得されてもよい。
【0131】
制御部11は、操縦権フラグがオフの無線通信部130を介して指示情報を受信したか否かを判定する(S4)。S4においては、S1と同様に、制御部11は、所定のフォーマットの情報を受信したか否かを判定することになる。操縦権フラグがオフの無線通信部130を介して指示情報を受信したと判定されない場合(S4;N)、後述するS8の処理に移行する。この場合、S7の処理が実行されないので、操縦権は移らない。
【0132】
一方、操縦権フラグがオフの無線通信部130を介して指示情報を受信したと判定された場合(S4;Y)、制御部11は、受信した指示情報を参照し、操縦権を切り替えるためのボタンB2が押下されたか否かを判定する(S5)。S5においては、制御部11は、指示情報のボタンB2の操作状態を参照することで、切替要求を受信したか否かを判定することになる。ボタンB2が押下されたと判定されない場合(S5;N)、後述するS8の処理に移行する。この場合、S7の処理が実行されないので、操縦権は移らない。
【0133】
一方、ボタンB2が押下されたと判定された場合(S5;Y)、制御部11は、操縦権フラグがオンの無線通信部130を介して受信した指示情報(第1指示情報)と、S4で受信した指示情報(即ち、操縦権フラグがオフの無線通信部130を介して受信した第2指示情報)と、が一致するか否かを判定する(S6)。なお、先述したように、S6においては、指示情報のうちボタンB2以外の項目の操作状態の一致が判定される。指示情報が一致すると判定されない場合(S6;N)、後述するS8の処理に移行する。この場合、S7の処理が実行されないので、操縦権は移らない。
【0134】
一方、指示情報が一致すると判定された場合(S6;Y)、制御部11は、ボタンB2が押下された無線操縦機20と通信する無線通信部130(S4で指示情報を受信した無線通信部130)の操縦権フラグをオンにする(S7)。S7においては、制御部11は、操縦権データのうち、指示情報を受信した無線通信部130の識別情報が格納されているレコードの操縦権フラグをオンに変更し、それまでオンだった操縦権フラグをオフに変更する。これにより、当該無線通信部130を介して受信する指示情報が有効となり、それまで有効だった指示情報が無効となる。
【0135】
制御部11は、所定の終了条件が満たされたか否かを判定する(S8)。終了条件は、本処理を終了するために定められた条件であればよく、例えば、無人航空機10が目標地点又は出発地点に到着することであってもよいし、無人航空機10が着陸することであってもよい。終了条件が満たされたと判定されない場合(S8;N)、S3の処理に戻る。終了条件が満たされたと判定された場合(S8;Y)、本処理は終了する。
【0136】
以上説明した無人航空機制御システム1によれば、第2情報が問答無用で無人航空機10の動作に反映されるのではなく、第2情報を反映させると無人航空機10の安定性を確保できない可能性がある場合には、第2情報に基づく無人航空機10の制御への切り替えを制限することにより、無人航空機10が飛行する場合の安定性を確保することができる。
【0137】
また、第1無線操縦機の第1指示情報に基づく制御から、第2無線操縦機の第2指示情報に基づく制御への切り替えを制限することにより、操縦権が切り替わる場合の飛行の安定性を効果的に高めることができる。また例えば、無人航空機10をホバリングさせなくても、飛行の安定性を確保しつつ操縦権を移すことができるので、無人航空機10が無駄なホバリングをする必要がなくなる。その結果、無人航空機10が無駄なエネルギーを消費することを防止したり、無人航空機10を目的地点Qに早く到達させたりすることができる。
【0138】
また、第1無線操縦機の第1指示情報と、第2無線操縦機の第2指示情報と、に基づいて、第2指示情報に基づく無人航空機10の制御への切り替えを制限することにより、複数の無線操縦機20が存在する場合の無人航空機10の飛行安定性を確保することができる。
【0139】
また、第1無線操縦機の第1指示情報と、第2無線操縦機の第2指示情報と、が一致しているか否かに基づいて、第2指示情報に基づく無人航空機10の制御への切り替えを制限することにより、無人航空機10が飛行する場合の安定性を効果的に高めることができる。
【0140】
また、所定の切替要求が行われた場合に操縦権を切り替えることにより、操縦者の意図しないタイミングで飛行制御が切り替わってしまい、操縦者が戸惑ってしまうといったことを防止することができる。その結果、無人航空機10が飛行する場合の安定性を効果的に高めることができる。
【0141】
また、無人航空機10において、第1取得部101、第2取得部102、及び飛行制御部104が実現されることにより、無人航空機10をハブとして利用することができ、無線操縦機20同士が通信できない環境であったとしても、第2情報の一致等を無人航空機10が判定することができる。
【0142】
[2.実施形態2]
次に、無人航空機制御システム1の別実施形態を説明する。図8は、実施形態2の概要を示す説明図である。実施形態1では、ある無線操縦機20から別の無線操縦機20に操縦権が移る場合を説明したが、図8に示すように、自律飛行モードから手動飛行モードに切り替える場合にも、本発明に係る処理を適用し、無人航空機10に急激な変化が起こらないようにしてもよい。
【0143】
なお、実施形態2では、無人航空機制御システム1に含まれる無線操縦機20は、1台として説明するが、実施形態1と同様に複数台であってもよい。以降では、実施形態1と同様の構成については説明を省略する。これらの点については、後述する実施形態3及び4も同様である。
【0144】
実施形態2の機能ブロック図は、実施形態1と同様であるが、処理の詳細は実施形態1とは異なる。実施形態2では、無人航空機10は自律飛行しているので、例えば、飛行制御部104は、自律飛行用の制御アルゴリズムに基づいて、無人航空機10を自律飛行させる。例えば、飛行制御部104は、データ記憶部100に記憶された飛行経路データに基づいて、無人航空機10を自律飛行させる。例えば、飛行制御部104は、GPSセンサ150により検出された位置情報に基づいて、飛行経路データが示す飛行経路上を飛行するように、無人航空機10を飛行させる。飛行制御部104は、無人航空機10の位置情報と、飛行経路データが示す飛行経路と、の位置関係に基づいて、移動方向を決定し、各モータへの出力内容を決定する。
【0145】
飛行制御部104は、自律飛行制御から、指示情報に基づく無人航空機10の制御への切り替えを制限する。自律飛行制御は、自律飛行モードでの制御であり、飛行制御部104が飛行経路データに基づいて飛行制御をする状態である。別の言い方をすれば、自律飛行制御は、無線操縦機20からの指示情報を参照せずに行われる飛行制御である。なお、切り替え及び制限の意味は、実施形態1で説明した通りである。ここでは、実施形態1と同様、制限の一例として禁止を説明する。
【0146】
例えば、第1情報は、無人航空機10を自律飛行させる場合の飛行経路と無人航空機10の状態との少なくとも一方に関する情報である。飛行経路に関する情報は、自律飛行で無人航空機10が進むべき経路であり、例えば、飛行経路データに示されている。飛行経路は、例えば、経路上の座標情報によって示される。無人航空機10の状態は、無人航空機10の動作に関する状態であればよく、移動方向や移動速度といった飛行状態以外にも、荷物の保持機構の開閉状態や保安機構の開閉状態などであってもよい。第1情報は、無人航空機10を自律飛行させる場合の飛行経路だけを示してもよいし、無人航空機10の状態だけを示してもよいし、これらの両方を示してもよい。
【0147】
本実施形態では、第1情報が、自律飛行中の無人航空機10の移動方向及び移動速度の少なくとも一方に関する情報である場合を一例として説明する。第1情報は、移動方向だけに関する情報であってもよいし、移動速度だけに関する情報であってもよいし、これら両方に関する情報であってもよい。例えば、無人航空機10の移動方向は、ベクトル又は方位で示される。また例えば、無人航空機10の移動速度は、速度を示す数値で示されてもよいし、モータへの出力に関する値で示されてもよい。
【0148】
なお、第1情報が、自律飛行制御のアルゴリズムから取得されてもよいし、撮影部14又はセンサ部15の検出信号に基づいて取得されてもよい点は、実施形態1で説明した通りである。無人航空機10の移動方向を特定したり移動速度を特定したりする方法自体は、公知の種々の手法を適用可能である。
【0149】
例えば、第1取得部101は、撮影部14により撮影される画像の被写体の変化に基づいて、移動方向及び移動速度の少なくとも一方を特定してもよい。この場合、第1取得部101は、被写体の特徴点の変化方向から移動方向を特定したり、被写体の特徴点の変化量から移動速度を特定したりする。なお、移動方向は、センサ部15の方位センサが検出した方位を補助的に利用してもよい。
【0150】
また例えば、第1取得部101は、GPSセンサ150により検出された位置情報の変化に基づいて移動方向及び移動速度の少なくとも一方を特定してもよい。この場合、第1取得部101は、位置情報が示す位置の変化方向から移動方向を特定したり、位置情報が示す位置の変化量から移動速度を特定したりする。また例えば、第1取得部101は、センサ部15の加速度センサ及びジャイロセンサの検出信号をもとに位置変化を検出し、移動方向及び移動速度の少なくとも一方を特定してもよい。
【0151】
第2取得部102が無線操縦機20からの指示情報を第2情報として取得する点については、実施形態1と同様である。このため、実施形態2で指示情報と記載した箇所は、第2情報と読み替えることができる。また、本実施形態では、指示情報が、無人航空機10に対する指示方向及び指示速度の少なくとも一方に関する情報である場合を一例として説明する。指示情報は、指示方向だけに関する情報であってもよいし、指示速度だけに関する情報であってもよいし、これら両方に関する情報であってもよい。例えば、無人航空機10の指示方向は、ベクトル又は方位で示されるようにしてもよいし、スティックSTの傾斜方向によって示されるようにしてもよい。また例えば、無人航空機10の指示速度は、速度を示す数値で示されるようにしてもよいし、スティックSTの傾斜角度によって示されるようにしてもよい。
【0152】
なお、指示情報が通信部13を介して取得される点は、実施形態1で説明した通りである。例えば、無線操縦機20は、操作部24の操作部材の操作状態に基づいて、指示方向及び指示速度の少なくとも一方を特定する。操作状態と指示方向及び指示速度との関係は、予め記憶部22に記憶されているものとする。例えば、スティックSTの傾斜方向と、指示方向と、の関係が記憶部22に記憶されている。また例えば、スティックSTの傾斜角度と、指示速度と、の関係が記憶部22に記憶されている。
【0153】
無線操縦機20は、操作部24の操作部材の操作状態に関連付けられた指示方向及び指示速度の少なくとも一方を特定し、特定結果に基づいて指示情報を生成して無人航空機10に送信する。例えば、無線操縦機20は、スティックSTの傾斜方向に関連付けられた指示方向を特定し、当該指示方向を示す指示情報を生成して無人航空機10に送信する。また例えば、無線操縦機20は、スティックSTの傾斜角度に関連付けられた指示速度を特定し、当該指示速度を示す指示情報を生成して無人航空機10に送信する。
【0154】
例えば、飛行制御部104は、第1情報と指示情報とが所定の関係にあるか否かを判定し、当該判定結果に基づいて切り替えを禁止する。飛行制御部104は、第1情報と指示情報とが所定の関係にあると判定された場合に切り替えを禁止せず、第1情報と指示情報とが所定の関係にあると判定されない場合に切り替えを禁止する。
【0155】
所定の関係とは、第1情報と指示情報が一致すること、又は、第1情報と指示情報が類似することである。類似とは、第1情報の値と指示情報の値とが似ていることであり、例えば、少なくとも1つの項目が一致すること、一致する項目の数又は割合が閾値以上であること(即ち、部分一致すること)、数値の差が閾値未満(例えば、移動方向の違いが所定角度未満、又は、移動速度の違いが所定速度未満)であることを意味する。
【0156】
例えば、飛行制御部104は、第1情報が示す移動方向と、指示情報が示す指示方向と、が一致しているか否かに基づいて切り替えを制限する。飛行制御部104は、これらが一致している場合に切り替えを禁止せず、これらが一致していない場合に切り替えを禁止する。また例えば、飛行制御部104は、第1情報が示す移動方向と、指示情報が示す指示方向と、のずれ(角度)が閾値未満であるか否かに基づいて切り替えを制限する。飛行制御部104は、これらのずれが閾値未満である場合に切り替えを禁止せず、これらのずれが閾値以上である場合に切り替えを禁止する。
【0157】
また例えば、飛行制御部104は、第1情報が示す移動速度と、指示情報が示す指示速度と、が一致しているか否かに基づいて切り替えを制限する。飛行制御部104は、これらが一致している場合に切り替えを禁止せず、これらが一致していない場合に切り替えを禁止する。また例えば、飛行制御部104は、第1情報が示す移動速度と、指示情報が示す指示速度と、の差が閾値未満であるか否かに基づいて切り替えを制限する。飛行制御部104は、これらの差が閾値未満である場合に切り替えを禁止せず、これらの差が閾値以上である場合に切り替えを禁止する。
【0158】
なお、飛行制御部104の処理は、上記の例に限られない。例えば、第1情報は、無人航空機10の荷物の保持機構の開閉に関する情報であり、指示情報が、無線操縦機20に入力された保持機構の開閉に関する情報であってもよく、飛行制御部104は、保持機構の開閉が一致しているか否かに基づいて切り替えを制限してもよい。保持機構の開閉は、センサ部15に公知の開閉センサを含めておき、当該開閉センサによって検出されるようにすればよい。
【0159】
例えば、飛行制御部104は、第1情報が保持機構の「閉」を示す場合に、指示情報が保持機構の「閉」を示しているか否かを判定し、指示情報が保持機構の「開」を示す場合に切り替えを禁止し、指示情報が保持機構の「閉」を示す場合に切り替えを許可してもよい。このようにすることで、操縦者の操作ミスによって荷物が落下することを防止できる。なお、第1情報が保持機構の「開」を示す場合には、荷物が無いので保持機構の開閉の判定が行われなくてもよい。
【0160】
なお、ここでは、保持機構の開閉を例に挙げたが、飛行制御部104は、保安機構の開閉が一致しているか否かに基づいて切り替えを制限してもよい。このようにすることで、操縦者の操作ミスによってパラシュートが開いてしまうことを防止できる。保安機構の開閉も、開閉センサによって検出されるようにすればよい。
【0161】
また例えば、第1情報が無人航空機10の位置情報を示し、指示情報が操縦者による指示方向を示す場合に、飛行制御部104は、無人航空機10の位置情報に対応する禁止方向に進むような指示情報であれば、切り替えを禁止してもよい。この場合、位置と、禁止方向と、の関係がデータ記憶部100に記憶されているものとする。禁止方向は、飛行を禁止する方向であればよく、例えば、ある位置から見て障害物がある方向であってもよいし、突風が吹きやすい場所の方向であってもよい。なお、禁止方向ではなく、飛行を許可する方向が定められていてもよい。
【0162】
飛行制御部104は、無人航空機10の位置情報が示す位置に関連付けられた禁止方向を特定し、禁止方向と指示方向とが一致するか否かを判定する。飛行制御部104は、これらが一致していない場合に切り替えを禁止せず、これらが一致している場合に切り替えを禁止する。また例えば、飛行制御部104は、禁止方向と指示方向とのずれ(角度)が閾値未満であるか否かに基づいて切り替えを制限する。飛行制御部104は、これらのずれが閾値以上である場合に切り替えを禁止せず、これらのずれが閾値未満である場合に切り替えを禁止する。
【0163】
実施形態2の無人航空機制御システム1によれば、自律飛行制御から、無線操縦機20の指示情報に基づく制御への切り替えを制限することにより、これらの間で制御が切り替わる場合の飛行の安定性を効果的に高めることができる。また例えば、無人航空機10をホバリングさせなくても、飛行の安定性を確保しつつ、自律飛行モードから手動飛行モードに切り替えることができるので、無人航空機10が無駄なホバリングをする必要がなくなる。その結果、無人航空機10が無駄なエネルギーを消費することを防止したり、無人航空機10を目的地点Qに早く到達させたりすることができる。
【0164】
また、無人航空機10の移動方向及び移動速度の少なくとも一方と、無人航空機10に対する指示方向及び指示速度の少なくとも一方と、に基づいて切り替えを制限することにより、例えば、無人航空機10の現在の移動方向と違いすぎる方向が指示された場合の切り替えを制限したり、無人航空機10の現在の移動速度と違いすぎる速度が指示された場合の切り替えを制限したりすることができ、飛行の安定性を効果的に高めることができる。即ち、無人航空機10が、急旋回してバランスを崩したり、急発進又は急ブレーキによってバランスを崩したりすることを防止できる。
【0165】
また、第1情報として、自律飛行の飛行経路に関する情報を利用したり、自律飛行中の無人航空機10の状態の検出結果に関する情報を利用したりすることにより、自律飛行モードから手動飛行モードに切り替える場合の無人航空機10の飛行安定性を確保することができる。
【0166】
なお、実施形態2において、無人航空機10は、自律飛行モードの前に、手動飛行モードで飛行してもよい。即ち、第1の手動飛行モードから、いったん自律飛行モードに切り替わった後に、第2の手動飛行モードに切り替わるようにしてもよい。別の言い方をすれば、第1の手動飛行モードと、第2の手動飛行モードと、の間に自律飛行モードを挟んでもよい。以降、実施形態2の変形例を説明する。
【0167】
例えば、無人航空機10は、無線操縦機20Aの指示情報に基づく第1の手動飛行モードから自律飛行モードに切り替わり、その後に、無線操縦機20Bの指示情報に基づく第2の手動飛行モードに切り替わる。この場合に、実施形態2に係る処理を適用し、自律飛行モードから第2の手動飛行モードへの切り替えが制限されてもよい。
【0168】
例えば、無人航空機10は、自律飛行する前は、第1無線操縦機(例えば、無線操縦機20A)からの第1指示情報に基づいて動作している。この時の飛行制御は、実施形態1で説明した通りである。自律飛行する前とは、自律飛行モードに切り替わる前のことである。
【0169】
また例えば、無人航空機10は、第1指示情報に基づく無人航空機の制御から、自律飛行制御に切り替わる。後述する実施形態3のように、第1の手動飛行モードから自律飛行モードへの切り替えの制限が行われてもよいし、第1の手動飛行モードから自律飛行モードへの切り替え時には、特に実施形態3のような制限は行われなくてもよい。第1の手動飛行モードから自律飛行モードは、第1無線操縦機が切替要求を送信した場合に切り替わってもよいし、無人航空機10内で所定の条件が満たされた場合に切り替わってもよい。例えば、無人航空機10が所定の位置に移動した場合に切り替わってもよいし、センサ部15が検出した風の強さ等に応じて切り替わってもよい。
【0170】
例えば、第1の手動飛行モードから自律飛行モードに切り替わった場合、飛行制御部104は、現在(即ち、第1の手動飛行モードから自律飛行モードに切り替わった時点)の移動速度と移動方向を維持してもよいし、現在の移動速度と移動方向から、自律飛行アルゴリズムに基づいて決定される移動速度と移動方向に、徐々に変化させてもよい。また例えば、飛行制御部104は、第1の手動飛行モードの移動速度と移動方向は特に考慮せずに、自律飛行アルゴリズムに基づいて、移動速度と移動方向を決定してもよい。
【0171】
本変形例の第2取得部102は、第2無線操縦機(例えば、無線操縦機20B)からの第2指示情報を第2情報として取得し、飛行制御部104は、自律飛行制御から、第2指示情報に基づく無人航空機の制御への切り替えを制限する。これらの処理は、実施形態2で説明した通りである。
【0172】
上記説明した変形例によれば、第1の手動飛行モードと第2の手動飛行モードとの間に自律飛行モードを挟むことにより、無人航空機10をホバリングさせなくても、飛行の安定性を確保しつつ、手動飛行モード間での切り替えをすることができるので、無人航空機10が無駄なホバリングをする必要がなくなる。その結果、無人航空機10が無駄なエネルギーを消費することを防止したり、無人航空機10を目的地点Qに早く到達させたりすることができる。
【0173】
[3.実施形態3]
次に、無人航空機制御システム1の別実施形態を説明する。図9は、実施形態3の概要を示す説明図である。図9に示すように、手動飛行モードから自律飛行モードに切り替える場合にも、本発明に係る処理を適用し、無人航空機10に急激な変化が起こらないようにしてもよい。
【0174】
実施形態3の機能ブロック図は、実施形態1及び2と同様であるが、処理の詳細は実施形態1及び2とは異なる。実施形態3では、無人航空機10は無線操縦機20からの指示情報に基づいて動作しているので、制御を切り替える前の飛行制御方法は、実施形態1で説明した内容と同様である。
【0175】
実施形態3の第1情報は、実施形態1の第1情報と同様である。例えば、第1情報は、指示情報に基づいて飛行中の無人航空機10の移動方向及び移動速度の少なくとも一方に関する情報であってもよい。第1情報は、移動方向だけに関する情報であってもよいし、移動速度だけに関する情報であってもよいし、これら両方に関する情報であってもよい。
【0176】
本実施形態では、第2情報は、無人航空機10を自律飛行させるための情報である。このため、実施形態3の第2情報は、実施形態2の第1情報と同様であり、例えば、第2情報は、無人航空機を自律飛行させる場合の移動方向及び移動速度の少なくとも一方に関する情報である。第2情報は、移動方向だけに関する情報であってもよいし、移動速度だけに関する情報であってもよいし、これら両方に関する情報であってもよい。
【0177】
また例えば、第2情報は、無人航空機を自律飛行させる場合の飛行経路と無人航空機10の状態との少なくとも一方に関する情報である。第2情報は、飛行経路だけに関する情報であってもよいし、無人航空機10の状態だけに関する情報であってもよいし、これら両方に関する情報であってもよい。
【0178】
飛行制御部104は、指示情報に基づく無人航空機10の制御から、自律飛行制御への切り替えを制限する。例えば、飛行制御部104は、第1情報と第2情報とが所定の関係にあるか否かを判定し、当該判定結果に基づいて切り替えを禁止する。飛行制御部104は、第1情報と第2情報とが所定の関係にあると判定された場合に切り替えを禁止せず、第1情報と第2情報とが所定の関係にあると判定されない場合に切り替えを禁止する。なお、所定の関係の意味は、実施形態2で説明した通りであり、実施形態2の説明における指示情報を第2情報と読み替えればよい。
【0179】
例えば、飛行制御部104は、第1情報が示す移動方向と、第2情報が示す移動方向と、が一致しているか否かに基づいて切り替えを制限する。飛行制御部104は、これらが一致している場合に切り替えを禁止せず、これらが一致していない場合に切り替えを禁止する。また例えば、飛行制御部104は、第1情報が示す移動方向と、第2情報が示す移動方向と、のずれ(角度)が閾値未満であるか否かに基づいて切り替えを制限する。飛行制御部104は、これらのずれが閾値未満である場合に切り替えを禁止せず、これらのずれが閾値以上である場合に切り替えを禁止する。
【0180】
また例えば、飛行制御部104は、第1情報が示す移動速度と、第2情報が示す移動速度と、が一致しているか否かに基づいて切り替えを制限する。飛行制御部104は、これらが一致している場合に切り替えを禁止せず、これらが一致していない場合に切り替えを禁止する。また例えば、飛行制御部104は、第1情報が示す移動速度と、第2情報が示す移動速度と、の差が閾値未満であるか否かに基づいて切り替えを制限する。飛行制御部104は、これらの差が閾値未満である場合に切り替えを禁止せず、これらの差が閾値以上である場合に切り替えを禁止する。
【0181】
なお、飛行制御部104の処理は、上記の例に限られない。例えば、第1情報及び第2情報の各々は、無人航空機10の荷物の保持機構の開閉に関する情報であってもよく、飛行制御部104は、保持機構の開閉が一致しているか否かに基づいて切り替えを制限してもよい点は、実施形態2と同様である。更に、保安機構の開閉の一致に基づいて切り替えを制限してもよい点、及び、位置情報に対応する禁止方向に基づいて切り替えを制限してもよい点についても、実施形態2と同様である。
【0182】
実施形態3の無人航空機制御システム1によれば、無線操縦機20の指示情報に基づく制御から、自律飛行制御への切り替えを制限することにより、これらの間で制御が切り替わる場合の飛行の安定性を効果的に高めることができる。また例えば、無人航空機10をホバリングさせなくても、飛行の安定性を確保しつつ、手動飛行モードから自律飛行モードに切り替えることができるので、無人航空機10が無駄なホバリングをする必要がなくなる。その結果、無人航空機10が無駄なエネルギーを消費することを防止したり、無人航空機10を目的地点Qに早く到達させたりすることができる。
【0183】
また、無人航空機10の移動方向及び移動速度の少なくとも一方に基づいて切り替えを制限することにより、例えば、無人航空機10の現在の移動方向と違いすぎる方向が自律飛行制御により指示される場合の切り替えを制限したり、無人航空機10の現在の移動速度と違いすぎる速度が自律飛行制御により指示される場合の切り替えを制限したりすることができ、飛行の安定性を効果的に高めることができる。即ち、無人航空機10が、急旋回してバランスを崩したり、急発進又は急ブレーキによってバランスを崩したりすることを防止できる。
【0184】
また、第2情報として、自律飛行の飛行経路に関する情報を利用したり、自律飛行中の無人航空機10の状態の検出結果に関する情報を利用したりすることにより、手動飛行モードから自律飛行モードに切り替える場合の無人航空機10の飛行安定性を確保することができる。
【0185】
[4.実施形態4]
次に、無人航空機制御システム1の別実施形態を説明する。図10は、実施形態4の概要を示す説明図である。図10に示すように、複数の自律飛行モードが存在し、第1の自律飛行モードから第2の自律飛行モードに切り替える場合にも、本発明に係る処理を適用し、無人航空機10に急激な変化が起こらないようにしてもよい。
【0186】
第1の自律飛行モードと第2の自律飛行モードとは、互いに異なる自律飛行モードであり、例えば、制御アルゴリズム自体が異なってもよいし、制御アルゴリズムは同じであるが設定情報(例えば、制御アルゴリズムで用いられる係数、引数、又は数式など)が異なってもよい。例えば、第1の自律飛行モードは、第1の制御アルゴリズムに基づいて飛行制御が実行され、第2の自律飛行モードは、第2の制御アルゴリズムに基づいて飛行制御が実行されてもよい。また例えば、第1の自律飛行モードは、第1の設定情報に基づいて飛行制御が実行され、第2の自律飛行モードは、第2の設定情報に基づいて飛行制御が実行されてもよい。
【0187】
例えば、第1の自律飛行モードは、通常飛行モードであり、第2の自律飛行モードは、姿勢維持モードであってもよい。これとは逆に、第1の自律飛行モードは、姿勢維持モードであり、第2の自律飛行モードは、通常飛行モードであってもよい。
【0188】
例えば、通常飛行モードは、所定の経路上を目標地点に向けて飛行することを優先する飛行モードであり、姿勢飛行モードよりも移動速度が速い。通常飛行モードは、無風又は微風時などに用いられてもよいし、晴天時などに用いられてもよい。
【0189】
また例えば、姿勢維持モードは、風に備えて姿勢を維持することを優先する飛行モードであり、通常飛行モードよりも、風(外力)に対する応答が早い。姿勢維持モードは、強風時などに用いられてもよいし、雨天時などに用いられてもよい。なお、ここでの応答とは、姿勢が変化した場合に元の姿勢に戻すための制御のことである。例えば、飛行アルゴリズムにおける姿勢制御にPID(Proportional-Integral-Differential)制御が用いられる場合には、姿勢維持モードのI値(積分制御の係数であり、目標値との差をなくす操作をするための係数である。)は、通常飛行モードのI値よりも小さく設定し、姿勢が変化した場合にすぐに立て直す制御が行われるようにしてもよい。また例えば、姿勢維持モードのP値(比例制御の係数であり、目標値との差の大きさに比例した操作をするための係数である。)は、通常飛行モードのP値よりも大きく設定してもよい。また例えば、姿勢維持モードのD値(微分制御の係数であり、変化を抑えるような操作をするための係数である。)は、通常飛行モードのD値よりも大きく設定してもよい。
【0190】
なお、実施形態4では、複数の自律飛行モードが用意されていればよく、自律飛行モードは、通常飛行モードと姿勢維持モードに限られない。例えば、無人航空機10が外部コンピュータからの指示に基づいて自律飛行する場合には、第1の自律飛行モードが、第1のコンピュータからの指示に基づく自律飛行であり、第2の自律飛行モードが、第2のコンピュータからの指示に基づく自律飛行であってもよい。
【0191】
実施形態4の機能ブロック図は、実施形態1−3と同様であるが、処理の詳細は実施形態1−3とは異なる。実施形態4では、無人航空機10は、第1の自律飛行制御に基づいて自律飛行しているので、制御を切り替える前の飛行制御方法は、実施形態2で説明した内容と同様である。
【0192】
実施形態4の第1情報は、実施形態2の第1情報と同様である。例えば、第1情報は、第1の自律飛行制御で自律飛行中の無人航空機10の移動方向及び移動速度の少なくとも一方に関する情報であってもよい。また例えば、第1情報は、第1の自律飛行制御で自律飛行中の無人航空機10の飛行経路と無人航空機10の状態との少なくとも一方に関する情報であってもよい。これらの情報の詳細は、実施形態2で説明した通りである。
【0193】
実施形態4の第2情報は、実施形態3の第2情報と同様である。第2情報は、無人航空機10を第2の自律飛行制御に基づいて自律飛行させるための情報である。例えば、第2情報は、第2の自律飛行制御で無人航空機10を自律飛行させる場合の移動方向及び移動速度の少なくとも一方に関する情報であってもよい。また例えば、第2情報は、第2の自律飛行制御で無人航空機10を自律飛行させる場合の飛行経路と無人航空機10の状態との少なくとも一方に関する情報であってもよい。これらの情報の詳細は、実施形態3で説明した通りである。
【0194】
飛行制御部104は、第1の自律飛行制御から第2の自律飛行制御への切り替えを制限する。例えば、飛行制御部104は、第1情報と第2情報とが所定の関係にあるか否かを判定し、当該判定結果に基づいて切り替えを禁止する。飛行制御部104は、第1情報と第2情報とが所定の関係にあると判定された場合に切り替えを禁止せず、第1情報と第2情報とが所定の関係にあると判定されない場合に切り替えを禁止する。なお、所定の関係の意味は、実施形態2で説明した通りであり、実施形態2の説明における指示情報を第2情報と読み替えればよい。
【0195】
例えば、飛行制御部104は、第1の自律飛行制御における移動方向と、第2の自律飛行制御における移動方向と、が一致しているか否かに基づいて切り替えを制限する。飛行制御部104は、これらが一致している場合に切り替えを禁止せず、これらが一致していない場合に切り替えを禁止する。また例えば、飛行制御部104は、第1の自律飛行制御における移動方向と、第2の自律飛行制御における移動方向と、のずれ(角度)が閾値未満であるか否かに基づいて切り替えを制限する。飛行制御部104は、これらのずれが閾値未満である場合に切り替えを禁止せず、これらのずれが閾値以上である場合に切り替えを禁止する。
【0196】
また例えば、飛行制御部104は、第1の自律飛行制御における移動速度と、第2の自律飛行制御における移動速度と、が一致しているか否かに基づいて切り替えを制限する。飛行制御部104は、これらが一致している場合に切り替えを禁止せず、これらが一致していない場合に切り替えを禁止する。また例えば、飛行制御部104は、第1の自律飛行制御における移動速度と、第2の自律飛行制御における移動速度と、の差が閾値未満であるか否かに基づいて切り替えを制限する。飛行制御部104は、これらの差が閾値未満である場合に切り替えを禁止せず、これらの差が閾値以上である場合に切り替えを禁止する。
【0197】
なお、飛行制御部104の処理は、上記の例に限られない。例えば、第1情報及び第2情報の各々は、無人航空機10の荷物の保持機構の開閉に関する情報であってもよく、飛行制御部104は、保持機構の開閉が一致しているか否かに基づいて切り替えを制限してもよい点は、実施形態2−3と同様である。更に、保安機構の開閉の一致に基づいて切り替えを制限してもよい点、及び、位置情報に対応する禁止方向に基づいて切り替えを制限してもよい点についても、実施形態2−3と同様である。
【0198】
実施形態4の無人航空機制御システム1によれば、第1の自律飛行制御から、第2の自律飛行制御への切り替えを制限することにより、これらの間で制御が切り替わる場合の飛行の安定性を効果的に高めることができる。また例えば、無人航空機10をホバリングさせなくても、飛行の安定性を確保しつつ、複数の自律飛行モードの間で切り替えることができるので、無人航空機10が無駄なホバリングをする必要がなくなる。その結果、無人航空機10が無駄なエネルギーを消費することを防止したり、無人航空機10を目的地点Qに早く到達させたりすることができる。
【0199】
また、第1の自律飛行制御における移動方向及び移動速度の少なくとも一方と、第2の自律飛行制御における移動方向及び移動速度の少なくとも一方と、に基づいて切り替えを制限することにより、例えば、無人航空機10の現在の移動方向と違いすぎる方向が第2の自律飛行制御により指示される場合の切り替えを制限したり、無人航空機10の現在の移動速度と違いすぎる速度が第2の自律飛行制御により指示される場合の切り替えを制限したりすることができ、飛行の安定性を効果的に高めることができる。即ち、無人航空機10が、急旋回してバランスを崩したり、急発進又は急ブレーキによってバランスを崩したりすることを防止できる。
【0200】
また、第1情報及び第2情報として、自律飛行の飛行経路に関する情報を利用したり、自律飛行中の無人航空機10の状態の検出結果に関する情報を利用したりすることにより、複数の自律飛行モードの間で切り替える場合の無人航空機10の飛行安定性を確保することができる。
【0201】
[5.変形例]
なお、本発明は、以上に説明した実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜変更可能である。
【0202】
図11は、変形例の機能ブロック図である。図11に示すように、以降説明する変形例では、実施形態で説明した機能に加え、第1通知部105、第2通知部106、第3通知部107、及び通話制御部108が実現される。これら各機能は、制御部11を主として実現される。
【0203】
(1)例えば、実施形態1において、操縦権を受け取る側の無線操縦機20において、操縦権を受け取ることができる状態になったか否かを識別可能としてもよい。また例えば、実施形態2において、自律飛行モードから手動飛行モードに切り替える場合に、無線操縦機20において、手動飛行モードに切り替え可能になったか否かを識別可能としてもよい。また例えば、実施形態3において、手動飛行モードから自律飛行モードに切り替える場合に、無線操縦機20において、自律飛行モードに切り替え可能になったか否かを識別可能としてもよい。また例えば、実施形態4において、第1の自律飛行モードから第2の自律飛行モードに切り替える場合に、無線操縦機20において、これらの間で自律飛行モードを切り替え可能になったか否かを識別可能としてもよい。
【0204】
なお、変形例(1)では、実施形態と同様に、飛行制御部104は、第2情報に基づく無人航空機10の制御に切り替え可能になり、かつ、無線操縦機20から所定の切替要求が取得された場合に当該制御に切り替える。また、本変形例の無線操縦機20は、LEDライトなどの発光部、スピーカ又はイヤホンジャックなどの音声出力部、バイブレータ等の振動部を含んでいてもよい。
【0205】
無人航空機制御システム1は、第1通知部105を含む。第1通知部105は、第2情報に基づく無人航空機10の制御に切り替え可能になった場合に、無線操縦機20において所定の通知をする。切り替え可能となる条件は、実施形態1−4で説明した通りであり、例えば、実施形態1のように第1指示情報と第2指示情報とが一致又は類似することであってもよいし、実施形態2のように第1情報と指示情報とが一致又は類似することであってもよい。また例えば、実施形態3−4のように、第1情報と第2情報とが一致又は類似することであってもよい。なお、第1通知部105は、当該条件が満たされるか否かを自身で判定してもよいし、飛行制御部104等から判定結果を取得してもよい。
【0206】
所定の通知とは、予め定められた通知であればよく、例えば、視覚、聴覚、又は触覚を利用した通知であればよい。例えば、所定の通知は、所定の画像を表示させること、所定の発光部を発光させること、所定の音声を出力すること、又は、所定パターンの振動を発生させることである。
【0207】
例えば、第1通知部105は、制御を切り替え可能になったことに応じて、無線操縦機20に対し、所定の通知を行う旨の命令を送信する。当該命令は、所定形式のデータが送信されることによって行われるようにすればよい。無線操縦機20は、当該命令を受信すると、所定の通知を行う。
【0208】
例えば、無線操縦機20は、切り替え可能になったことを示す画像を表示部25に表示させる。また例えば、無線操縦機20は、切り替え可能になったことを示す光を発光部から発光させる。また例えば、無線操縦機20は、切り替え可能になったことを示す音声を音声出力部から出力する。また例えば、無線操縦機20は、切り替え可能になったことを示す所定パターンの振動を発生させる。
【0209】
変形例(1)によれば、第2情報に基づく制御に切り替え可能になった場合に、当該無線操縦機20において所定の通知がなされるので、操縦可能になることを操縦者に予告することができる。このため、不意に操縦権が自分に移ったり、飛行モードが切り替わったりして操縦者が慌ててしまうことを防止できる。更に、切り替えできない場合に操縦者が無駄な切替要求を送信することを防止できる。その結果、無人航空機制御システム1の処理負荷軽減や通信量削減を図ることもできる。
【0210】
(2)また例えば、実施形態1において、操縦権を受け取る側の無線操縦機20において、操縦権が移行したことを識別可能としてもよい。また例えば、実施形態2において、自律飛行モードから手動飛行モードに切り替わった場合に、無線操縦機20において、飛行モードが切り替わったことを識別可能としてもよい。また例えば、実施形態3において、手動飛行モードから自律飛行モードに切り替わった場合に、無線操縦機20において、飛行モードが切り替わったことを識別可能としてもよい。また例えば、実施形態4において、第1の自律飛行モードから第2の自律飛行モードに切り替わった場合に、無線操縦機20において、これらの間で自律飛行モードを切り替わったことを識別可能としてもよい。
【0211】
無人航空機制御システム1は、第2通知部106を含む。第2通知部106は、第2情報に基づく無人航空機10の制御に切り替わった場合に、無線操縦機20において所定の通知をする。通知の意味は、変形例(1)で説明した通りである。
【0212】
例えば、第2通知部106は、制御が切り替わったことに応じて、無線操縦機20に対し、所定の通知を行う旨の命令を送信する。当該命令は、所定形式のデータが送信されることによって行われるようにすればよい。無線操縦機20は、当該命令を受信すると、所定の通知を行う。
【0213】
例えば、無線操縦機20は、制御が切り替わったことを示す画像を表示部25に表示させる。また例えば、無線操縦機20は、制御が切り替わったことを示す光を発光部から発光させる。また例えば、無線操縦機20は、制御が切り替わったことを示す音声を音声出力部から出力する。また例えば、無線操縦機20は、制御が切り替わったことを示す所定パターンの振動を発生させる。
【0214】
変形例(2)によれば、第2情報に基づく制御に切り替わった場合に、無線操縦機20において所定の通知がなされるので、例えば、操縦権が移ったり飛行モードが切り替わったりしたことを操縦者に確実に理解させることができ、操縦者が慌ててしまうことを防止できる。
【0215】
(3)また例えば、実施形態1において、無線操縦機20において、切り替えに必要な項目(例えば、第2情報が一致していない項目)を識別可能としてもよい。また例えば、実施形態2において、自律飛行モードから手動飛行モードに切り替えるために必要な項目(例えば、指示方向又は指示速度)を識別可能としてもよい。また例えば、実施形態3において、手動飛行モードから自律飛行モードに切り替えるために必要な項目(例えば、指示方向又は指示速度)を識別可能としてもよい。また例えば、実施形態4において、第1の自律飛行モードから第2の自律飛行モードに切り替えるために必要な項目を識別可能としてもよい。
【0216】
無人航空機制御システム1は、第3通知部107を含む。第3通知部107は、飛行制御部104により切り替えが制限される場合、当該制限を解除するための情報を無線操縦機20において通知する。例えば、第3通知部107は、第1指示情報と第2指示情報とが一致していない項目を無線操縦機20において通知したり、第1情報と指示情報とが一致していない項目を無線操縦機20において通知したりする。また例えば、第3通知部107は、手動飛行モードから自律飛行モードに切り替えるために必要な項目(例えば、指示方向又は指示速度)を通知してもよいし、実施形態4において、第1の自律飛行モードから第2の自律飛行モードに切り替えるために必要な項目を通知してもよい。通知の意味は、変形例(1)で説明した通りである。実施形態1の処理に適用する場合には、通知対象となる無線操縦機20は、第1無線操縦機であってもよいし、第2無線操縦機であってもよい。
【0217】
なお、第1指示情報と第2指示情報とが一致しているか否かを判定する方法は、実施形態1で説明した通りであり、第1情報と指示情報とが一致しているか否かを判定する方法は、実施形態2で説明した通りである。また、第1情報と第2情報とが一致しているか否かを判定する方法は、実施形態3−4で説明した通りである。第3通知部107は、自身でこれらを判定してもよいし、飛行制御部104等から判定結果を取得してもよい。
【0218】
例えば、第3通知部107は、無線操縦機29に対し、第1指示情報と第2指示情報とが一致していない項目を識別する情報を送信する。第2無線操縦機は、当該情報を受信すると、一致していない項目に対応する操作部材を識別するための通知を行う。また例えば、第3通知部107は、無線操縦機20に対し、第1情報と指示情報とが一致していない項目を識別する情報を送信する。無線操縦機20は、当該情報を受信すると、一致していない項目に対応する操作部材を識別するための通知を行う。また例えば、第3通知部107は、手動飛行モードから自律飛行モードに切り替えるために必要な項目(例えば、指示方向又は指示速度)を識別する情報を送信してもよいし、第1の自律飛行モードから第2の自律飛行モードに切り替えるために必要な項目を識別する情報を送信してもよい。
【0219】
例えば、無線操縦機20は、一致していない項目に対応する操作部材を示す画像を表示部25に表示させる。また例えば、無線操縦機20は、一致していない項目に対応する操作部材に対応する発光部を発光させる。また例えば、無線操縦機20は、一致していない項目に対応する操作部材を示す音声を無線操縦機20の音声出力部から出力する。また例えば、無線操縦機20は、一致していない項目に対応する操作部材付近を振動させる。
【0220】
変形例(3)によれば、切り替えの制限を解除するために必要な項目が通知されるので、操縦者は、どの操作部材の操作状態を変えれば操縦できるようになるかを容易に把握したり、飛行モードを切り替えることができるようになるかを容易に把握したりすることができる。
【0221】
(4)また例えば、実施形態1において、操縦権を移す際に、操縦権を譲り渡す側の無線操縦機20と、操縦権を受け取る側の無線操縦機20と、を通話させるようにしてもよい。
【0222】
本変形例では、無線操縦機20は、マイクなどの音声入力部と、スピーカ又はイヤホンジャックなどの音声出力部と、を有する通話部を含む。無線操縦機20の通話部は、音声入力部が検出した音声を通信部23を介して外部に送信し、通信部23を介して外部から受信した音声を音声出力部を出力する。
【0223】
無人航空機制御システム1は、通話制御部108を含む。通話制御部108は、第1指示情報に基づく無人航空機の制御から、第2指示情報に基づく前記無人航空機の制御に切り替わる場合に、第1無線操縦機と第2無線操縦機とを通話させる。通話制御部108は、これらの間で制御を切り替えること又は切り替え可能となったことを条件として、第1無線操縦機と第2無線操縦機とが通話することを許可する。例えば、無人航空機10の通話制御部108は、第1無線送信機の音声入力部が検出した音声を取得し、第2無線送信機に送信する。また例えば、無人航空機10の通話制御部108は、第2無線送信機の音声入力部が検出した音声を取得し、第1無線送信機に送信する。
【0224】
変形例(4)によれば、第1無線操縦機の第1指示情報に基づく制御から、第2無線操縦機の第2指示情報に基づく制御に切り替わる場合に、第1無線操縦機の操縦者と、第2無線操縦機の操縦者と、を通話させることで、無人航空機10の飛行の安定性を効果的に高めることができる。更に、無人航空機10を経由して通話させる場合には、無線操縦機20同士が直接通信できない場合であっても通話させることができる。
【0225】
(5)また例えば、実施形態1では、第1無線操縦機から第2無線操縦機に操縦権が一気に切り替わる場合を説明したが、第1無線操縦機から第2無線操縦機に徐々に操縦権が移行させ、第2指示情報の影響を抑止することによって、第2指示情報に基づく飛行制御を制限してもよい。即ち、実施形態1では、第1指示情報が100%有効な状態から第2指示情報が100%有効な状態にする場合を説明したが、第1指示情報が有効な割合を徐々に下げて、第2指示情報が有効な割合を徐々に上げてもよい。
【0226】
同様に、実施形態2では、自律飛行モードから手動飛行モードに一気に切り替わる場合を説明したが、自律飛行モードから手動飛行モードに徐々に切り替わってもよい。即ち、実施形態2では、自律飛行モードが100%有効な状態から手動飛行モードが100%有効な状態にする場合を説明したが、自律飛行モードが有効な割合を徐々に下げて、手動飛行モードが有効な割合を徐々に上げてもよい。
【0227】
同様に、実施形態3では、手動飛行モードから自律飛行モードに一気に切り替わる場合を説明したが、手動飛行モードから自律飛行モードに徐々に切り替わってもよい。即ち、実施形態3では、手動飛行モードが100%有効な状態から自律飛行モードが100%有効な状態にする場合を説明したが、手動飛行モードが有効な割合を徐々に下げて、自律飛行モードが有効な割合を徐々に上げてもよい。
【0228】
同様に、実施形態4では、第1の自律飛行モードから第2の自律飛行モードに一気に切り替わる場合を説明したが、第1の自律飛行モードから第2の自律飛行モードに徐々に切り替わってもよい。即ち、実施形態4では、第1の自律飛行モードが100%有効な状態から第2の自律飛行モードが100%有効な状態にする場合を説明したが、第1の自律飛行モードが有効な割合を徐々に下げて、第2の自律飛行モードが有効な割合を徐々に上げてもよい。
【0229】
変形例(5)の飛行制御部104は、第2情報に基づく無人航空機の制御に徐々に切り替える。例えば、飛行制御部104は、第1指示情報に基づく無人航空機10の制御から、第2指示情報に基づく無人航空機10の制御に徐々に切り替える。例えば、飛行制御部104は、第1指示情報が有効な割合を徐々に低くし、第2指示情報が有効な割合を徐々に高くする。なお、徐々にとは、少しずつと同じ意味であり、時間経過に応じて段階的に変えることである。
【0230】
第1指示情報と第2指示情報の各々の割合の変化を示すデータは、予めデータ記憶部100に記憶されているものとする。当該データは、例えば、数式形式又はテーブル形式であってもよいし、プログラムコードの一部であってもよい。当該データには、例えば、切替要求が行われてからの経過時間と、第1指示情報と第2指示情報の各々の割合と、が定義されている。飛行制御部104は、切替要求が受け付けられた場合に計時を開始し、経過時間に基づいて、第1指示情報の割合と第2指示情報の割合とを取得する。飛行制御部104は、取得した第1指示情報の割合と第2指示情報の割合とに基づいて、制御内容を決定する。
【0231】
例えば、飛行制御部104は、第1指示情報と第2指示情報の加重平均値に基づいて、無人航空機10を制御してもよい。この場合、飛行制御部104は、第1指示情報の値に第1の係数を乗じた値と、第2指示情報の値に第2の係数を乗じた値と、の合計値に基づいて、無人航空機10を制御する。なお、ここでは、第1の係数と第2の係数の合計値を1とする。
【0232】
例えば、スティックSTに対する入力を例に挙げると、飛行制御部104は、第1指示情報が示すスティックSTの傾きに第1の係数を乗じた値と、第2指示情報が示すスティックSTの傾きに第2の係数を乗じた値と、の合計値に基づいて、無人航空機10を制御する。そして、飛行制御部104は、第1の係数を徐々に低くし、第2の係数を徐々に高くする。例えば、飛行制御部104は、切替要求が受け付けられてから所定時間(例えば、数秒〜数十秒程度)経過後に、第2指示情報の割合が100%となるように、第1の係数と第2の係数を変化させる。
【0233】
なお、上記では、第1指示情報と第2指示情報の加重平均値を取る場合を一例として説明したが、飛行制御部104は、第1指示情報に基づいて定まる内部命令(例えば、無人航空機10の現在位置、移動方向、移動速度、高度、姿勢、又はモータの回転数など)と、第2指示情報に基づいて定まる内部命令と、の加重平均値を取ってもよい。この場合も上記と同様にして、飛行制御部104は、第1指示情報に基づいて定まるモータ等への出力に第1の係数を乗じた値と、第2指示情報に基づいて定まるモータ等への出力に第2の係数を乗じた値と、の合計値を、実際のモータ等への出力とする。第1の係数を徐々に低くし、第2の係数を徐々に高くする点は同様である。
【0234】
また、第2指示情報の割合が100%になるまでの時間は、固定値であってもよいし、可変値であってもよい。可変値である場合には、第1指示情報と第2指示情報の差に基づいて定まってもよい。例えば、飛行制御部104は、第1指示情報と第2指示情報の違いが大きいほど、第2指示情報の割合が100%になるまでの時間を長くし、第1指示情報と第2指示情報の違いが小さいほど、第2指示情報の割合が100%になるまでの時間を短くしてもよい。
【0235】
なお、上記では、変形例(5)を実施形態1に適用する場合の処理を説明したが、変形例(5)を実施形態2−4に適用する場合も同様である。例えば、変形例(5)を実施形態2に適用した場合には、飛行制御部104は、自律飛行制御から、指示情報に基づく無人航空機10の制御に徐々に切り替ればよい。例えば、飛行制御部104は、自律飛行制御が有効な割合を徐々に低くし、指示情報が有効な割合を徐々に高くする。例えば、飛行制御部104は、自律飛行時の移動方向から、操縦者が指示した指示方向に徐々に切り替えたり、自律飛行時の移動速度から、操縦者が指示した指示速度に徐々に切り替えたりする。
【0236】
また例えば、変形例(5)を実施形態3に適用した場合には、飛行制御部104は、指示情報に基づく無人航空機10の飛行制御から、自律飛行制御に徐々に切り替ればよい。例えば、飛行制御部104は、指示情報が有効な割合を徐々に低くし、自律飛行制御が有効な割合を徐々に高くする。例えば、飛行制御部104は、操縦者が指示した指示方向から、自律飛行による移動方向に徐々に切り替えたり、操縦者が指示した移動速度から、自律飛行による移動速度に徐々に切り替えたりする。
【0237】
また例えば、変形例(5)を実施形態4に適用した場合には、飛行制御部104は、第1の自律飛行制御から第2の自律飛行制御に徐々に切り替ればよい。例えば、飛行制御部104は、第1の自律飛行制御が有効な割合を徐々に低くし、第2の自律飛行制御が有効な割合を徐々に高くする。例えば、飛行制御部104は、第1の自律飛行制御による移動方向から、第2の自律飛行制御による移動方向に徐々に切り替えたり、第1の自律飛行制御による移動速度から、第2の自律飛行制御による移動速度に徐々に切り替えたりする。
【0238】
変形例(5)によれば、無線操縦機20の第2情報に基づく制御に徐々に切り替えることで、無人航空機10の内部の状態変化をより効果的に抑えることができるので、無人航空機10の飛行の安定性を高めることができる。
【0239】
(6)また例えば、上記変形例(1)〜(5)の何れか2つ以上を組み合わせるようにしてもよい。
【0240】
また例えば、1つの無線通信部130が1台の無線操縦機20と通信する場合を説明したが、無線通信部130は、複数台の無線操縦機20と通信してもよい。この場合、無線操縦機20は、自身の識別情報(例えば、無線操縦機20の名称やIDなど)を送信することによって、無人航空機10は、どの無線操縦機20から指示情報を取得したかを特定してもよい。また例えば、無線操縦機20から切替要求が行われた場合に制御が切り替わる場合を説明したが、特に切替要求が行われなくてもよい。例えば、無人航空機10が所定の位置に移動した場合に制御が切り替わってもよいし、センサ部15が検出した風の強さ等に応じて制御が切り替わってもよい。
【0241】
また例えば、無人航空機10は、飛行中において、どの無線操縦機20とも通信できない状態になった場合に、所定の場所に帰還してもよい。また例えば、無人航空機10は、どの無線操縦機20とも通信しない場合に、自律飛行モードで飛行してもよい。また例えば、操縦者が目視しながら無人航空機10を操縦する場合を説明したが、特に目視が必要なくてもよい。また例えば、無線操縦機20側で移動方向や移動速度が特定される場合を説明したが、指示情報が単に操作部24の操作状態だけを示し、無人航空機10側で移動方向や移動速度が特定されるようにしてもよい。
【0242】
また例えば、無人航空機制御システム1は、無人航空機10以外のコンピュータ(例えば、サーバコンピュータ又はパーソナルコンピュータ)を含んでいてもよく、当該コンピュータによって各無人航空機10の飛行制御が実行されてもよい。この場合、無人航空機10及び無線操縦機20は、インターネットなどのネットワークを介して当該コンピュータと通信可能であってもよい。例えば、データ記憶部100は、無人航空機制御システム1内のデータベースサーバにより実現されてもよいし、無人航空機制御システム1外のデータベースサーバにより実現されてもよい。
【0243】
また例えば、上記説明した各機能は、無人航空機制御システム1の何れかのコンピュータで実現されるようにすればよく、無人航空機10、無線操縦機20、又はサーバなどの他のコンピュータで各機能が分担されていてもよい。例えば、飛行制御部104が無線操縦機20又はサーバで実現され、無人航空機10は、無線操縦機20又はサーバの飛行制御部104から制御内容を取得し、モータの回転を制御してもよい。この場合、第1取得部101、第2取得部102、及び切替要求取得部103も、無線操縦機20又はサーバにおいて実現されてもよい。
【符号の説明】
【0244】
1 無人航空機制御システム、10 無人航空機、11 制御部、12 記憶部、13 通信部、130,130A,130B,130C 無線通信部、14 撮影部、15 センサ部、20,20A,20B,20C 無線操縦機、21 制御部、22 記憶部、23 通信部、24 操作部、25 表示部、B,B1,B2,B3,B4,B5,B6 ボタン、ST スティック、SW スイッチ、TP タッチパネル、100 データ記憶部、101 第1情報取得部、102 第2情報取得部、103 切替要求取得部、104 飛行制御部、108 通話制御部、ST1 スティック、ST2 スティック、SW1 スイッチ、SW2 スイッチ。
【要約】
無人航空機が飛行する場合の安定性を確保する。無人航空機制御システム(1)の第1取得手段(101)は、飛行中の無人航空機(10)を動作させるための情報と、無人航空機(10)の動作の検出結果に関する情報と、の少なくとも一方である第1情報を取得する。第2取得手段(102)は、無人航空機(10)の制御の切り替え後に無人航空機(10)を動作させるための第2情報を取得する。飛行制御手段(104)は、第1情報と第2情報とに基づいて、第2情報に基づく無人航空機(10)の制御への切り替えを制限する。
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