【実施例】
【0031】
図1は、本発明の実施形態に係るマイクロ停電補償モジュールを用いるコンピュータのマザーボードのブロック図の例を概略的に示す。本明細書では、コンピュータ又はサーバを、同一種類の装置を網羅するために入れ替え可能に用いる。補償モジュールを含むコンピュータは、システム動作を変更することなく電力の短い停電とマイクロ停電との両方に対応すること、揮発性メモリデータを喪失することなくより長い停電又はマイクロ停電に対応すること、データ損失なして大多数の荷重点及び電源モジュールの単純な故障(多重故障と対比して)に対応すること、電源モジュールの「ホットスワップ」並びに補償モジュールの容量蓄積素子のモジュールによってメンテナンス対応することができる。
【0032】
そのためには、コンピュータの回路機構、特に
図2に詳細を示す補償モジュールの回路機構は、マイクロ停電の発生を検出してローカルエネルギー源に切り替え、長い停電又はマイクロ停電を検出して不揮発性メモリに揮発性データを保存して、電源モジュール又は容量蓄積素子の「ホットスワップ」を許容して保存されたデータを用いてシステムを再起動することができる。
【0033】
図1では、マイクロ停電補償用モジュール1と、いくつかの電源モジュール2と、いくつかのメモリーカードと、オアリング変換器4と、交流を供給する商用AC供給商用電源に接続される外部電源5と、主電源レール9と、システム起動用の補助電源レール7と、変換器4の両側にそれぞれ配される部6及び8からなる二次電源レールが見受けられる。各レール6、7及び9はデカップリングコンデンサを介してグランドに接続される。
【0034】
コンポーネント1〜4はさまざまな電気信号に接続されるさまざまなピンを有する。P12VSBピンはシステムの起動を可能とする入力電力に対応し、その値は12Vである。P5VSUSピンはバックアップ動作中に制御回路をマザーボード上で管理する出力電力に対応し、その値は5Vである。この出力電力はホットプラグ可能な補償モジュール1においても用いられる。電圧P12Vはマザーボードの主電源に相当し、その値は12Vである。このレールは補償モジュール1のインターフェースでの入出力の両方で用いられる。電圧VMBKはスタンバイ電力に相当し、データバックアップフェーズ中に用いられる二次電力とも呼ばれる。UCKILL信号は補償モジュール1の「ホット」又は突然の引き抜き(surprise unplugging)を検出する入力信号である。I2Cバス上のPMBus信号は、コントローラがマザーボード上に載置されたメンテナンスマイクロプロセッサによって補償モジュール1を制御できるようにさせる。PROCHOT信号は、マイクロ停電中に、マザーボードプロセッサに対して低電力消費モードに切り替えるように求める出力信号である。
【0035】
メモリーカード3はそれぞれ揮発性メモリ32と不揮発性メモリ33からなるデュアルメモリ31それぞれ1つ以上含み、メモリ32及び33は両方ともコントローラ34によって管理される。デュアルメモリ31はNVDIMM(「Non−volatile Dual in Line Memory Module」を示す)型メモリである。NVDIMM型のデュアルメモリ31は、バックアップ及びデータの復元を管理するために、例えば、揮発性DRAM技術メモリ32と不揮発性フラッシュ技術におけるメモリ33の組み合わせに、オンボードコントローラ34を組み合わせてなる。多重の電源入力は各デュアルメモリ31に電力を与える。これらの入力の少なくとも1つは、ローカルエネルギー源からである。デュアルメモリの数はマザーボード上でかなり多く、例えばサーバ毎に48個となり得る。通常運転では、これらのデュアルメモリ31によって消費される電力はサーバから放散される全電力の著しい割合に到達し得る。例えば、数値で示すと、48個のデュアルメモリ31は1400Wのサーバで480W、つまり全放散電力の34%を放散することができる。これに比べて、システムがスタンバイ電力で実行されるときは、デュアルメモリ31による消費はもっと低く、例えば約240W、全放散電力の17%に相当する量である。これらのデュアルメモリ31の全ては8つのメモリライザーカードにグループ分けされ、それぞれが6つのデュアルメモリ31に対応し、4GBの容量を有して、通常実行では最大で10W、バックアップでは5Wを消費し、それぞれ数10ワットを放散する8つのドーターボードに連結される。
【0036】
2つの電源モジュール2は1+1冗長構成で構成される2つの12V電源に対応し、電圧P12VSBに相当する再起動のためのスタンバイ用の12Vの補助出力を有する。
【0037】
図1に示すコンピュータはまた、それぞれ150Wの放散電力を有するマイクロプロセッサ(
図1に図示せず)用のスロットを2つ、及び、直列に配置される5つの2000Fスーパーコンデンサに対応する補償モジュール1とを含む。動作中のコンピュータの全体的な電力消費量は結果的に約1400Wである。
【0038】
商用電源のいかなる単純な故障についても、これらのローカル電源が、不揮発性メモリにおけるシステム状態の保存を確実にする。したがって、
図1に示すコンピュータはその動作への影響を最小限に抑えながら単純な停電に耐えることができる。また、必要に応じて、故障したモジュールの入れ替えを可能として、システムが劣化モードにあるときに2つ目の故障が発生するのを回避することもできる。この理由で、短い停電は電源の単純な故障として考慮される。
【0039】
補償モジュール1は以下の2つの場合、つまり、第1に、商用電源における短い停電中でのコンピュータの動作を確実にし、第2にAC商用電源における長い停電の場合に揮発性メモリのコンテンツを保護するときに、緊急用電源として作用する。補償モジュール1はその後、2つの標準的な電源モジュール2のバックアップとして作用する第3の電源モジュールとして作用する。これは、2つの電源モジュール2のインターフェースに、変換器4への入力であり、メモリサブシステムにバックアップ用の電圧を供給する二次電源レール8を加える。この分離は、不揮発性メモリ33における揮発性メモリ32のコンテンツのバックアップ動作の間でのマイクロプロセッサ、ディスク、及び入出力回路の電力供給の全切断を可能とする。
【0040】
図2は、本発明の一実施形態に係るマイクロ停電補償モジュール盤のブロック図の例を概略的に示す。補償モジュール1は、コントローラ10、電源スイッチ11、容量蓄積素子12、昇降圧型DC/DC変換器13、第1昇圧段14と第2降圧段15とを有する主DC/DC変換器16、降圧型DC/DC変換器17、降圧型DC/DC変換器18、出力が5V値の安定化電圧P5VSUSを生成するデバイス19、二次DC/DC変換器20を形成する素子17、18、及び19、並びに放電抵抗21を含む。電源スイッチ11は容量蓄積素子12と主変換器16の両方の、外部電源5に接続される電源の第1端子22へのアクセスを制御する。変換器17は電源7に第2電源端子23を介して接続される。容量蓄積素子12から放電抵抗21を介してグランドに通る放出電流は、コントローラ10によって制御されるトランジスタ24によって制御される。容量蓄積素子12は有利にスーパーコンデンサである。例えばオアリング型のデバイス19は、補助電源スイッチの機能と電流制限器の機能との両方を組み込む。
【0041】
補償モジュールの、マザーボードの他の機能とのインターフェースは、対応するピンに存在する以下の信号によって行われる。電源P12Vは、商用AC供給源に接続されるAC/DC変換器を備える電源モジュール2に接続される外部電源5に接続される。これらの2つの電源モジュール2は、好ましくは1+1冗長構成にて動作してもよい。外部電源5のレベルは12Vである。各電源モジュール2は、商用AC供給が存在するときにシステム起動を可能とする低い電源P12VSBを与える。電源P12VSBもまた、12Vの値を有する。補償モジュール1によって与えられるバックアップ電源VMBKは、
図1に記載される変換器4に接続される。UCKILL信号は、他よりも短いピンでマザーボードのグランド(「グランド」を示してGND)に接続される。P5VSUS電源及びPROCHOT並びにPMBus信号は、簡単化のために
図2に示されていないマザーボード電力管理特徴に接続される。
【0042】
補償モジュール1では、二次低電力変換器17が補助電源P12VSBの上昇と共に自動的に起動し、コントローラ10に第1の補助電圧P5VSUSを与える。主変換器16の昇圧段14は21V値の値を有する電源P21Vを生成し、これは主変換器16の降圧段15及び電源スイッチ回路11のゲートの制御回路に用いられる。コントローラ10は主変換器16の降圧段15を、グランドとVCAP電力レールとの間に接続される蓄積素子12の充電を確実にするために開始させる。電源スイッチ11、変換器13、及び放電抵抗21もまた、このVCAP電力レールに接続される。コントローラ10は、P12V、VBAT、及びVMBKなどの全てのローカル電圧を扱うことができる。
【0043】
コントローラ10は、CPLD(「複合プログラム可能理論デバイス」)型回路、FPGA(「フィールドプログラマブルゲートアレイ」)、DSP(「デジタル信号プロセッサ」)型のマイクロコントローラ又はその組み合わせの形態を取ることができる。その役割はさまざまな動作のフェーズ、具体的には、システムの電源投入、商用AC供給源におけるマイクロ停電の検出、不揮発性メモリにデータを保存して又はしないでのAC電源故障の検出、補償モジュール1の「ホット」スワップ、において容量蓄積素子12の充放電動作を連続させることである。
【0044】
電源投入中に、変換器17はコントローラ10を起動させる。電源スイッチ11はコントローラ10からのUCX信号によってオフ状態に保たれる。コントローラ10は変換器主16の降圧段15を、UCC信号を介して起動させる。主変換器16の降圧段15は容量蓄積素子12を定常電流にて公称電圧まで充電して、フロートモードに切り替わる。VCAP電力レールが第1の所定閾値に到達すると、変換器18が起動されて、コントローラ10に供給する5Vの値の電圧P5VSUSを出力するオアリング型のデバイス19のトランジスタによって変換器17を支援する。VCAP電力レールが第2の所定閾値に到達すると、コントローラ10からのUCW信号によって変換器13が起動され、
図1に示すコンピュータのマザーボードにバックアップ電圧VMBKを与える。この電源投入中に、容量蓄積素子12は電源スイッチ11によって主電源レールP12Vから分離される。したがって、
図1に示す電源モジュール2の出力を短絡させない。これらが不在であると、補償モジュール1の「ホット」接続はこれらの2つの電源モジュールがトリップすることになる。
【0045】
マイクロ停電を検出すると、コントローラ10は主電源レールP12V供給における電圧レベルの低下を閾値コンパレータによって検出し、スイッチ電源11の閉鎖によって数マイクロ秒以内に反応する。容量蓄積素子12及び電源スイッチ11の内部抵抗は、主電源レールP12Vが第1の閾値VT1だけで安定化するように判定される。通常は数msである所定の期間T1の間、容量蓄積素子12はコンピュータのマザーボードにその定格出力を与える。期間T1を越えると、コントローラ10は信号PROCHOTを発生させて、マザーボードのマイクロプロセッサに低電力モードに切り替わるように要求する。マイクロプロセッサが現時点で存在するために、電力低下は定格電力に比べて80%に到達することができる。この充電低下に対する反応時間T2は1ms未満である。マイクロ停電が終了すると、電源モジュール2は再度起動され、普通にマザーボードに電力を与えることができるようになるため、P12V供給電圧は公称値に戻る。マイクロ停電後の数秒で、主変換器16の降圧部15は蓄積容量素子12をそれらの公称電圧に再充電する。充電時間はマイクロ停電の実際の期間と比例する。
【0046】
不揮発性メモリにデータのバックアップを有する状態でAC商用電源からの外部電源における中断を検出すると、コントローラ10は主電源レールP12Vにおける電圧レベルの低下を閾値コンパレータによって検出し、電源スイッチ11を閉鎖することで数マイクロ秒以内に反応する。容量蓄積素子12及び電源スイッチ11の内部抵抗は、主電源レールP12Vがちょうど第1の閾値VT1のレベルで安定化するように判定される。通常は数msである所定の期間T1について、容量素子12はマザーボード定格出力に収容力を与える。T1を越えると、コントローラ10は信号PROCHOTを発生させて、マザーボードのマイクロプロセッサに低電力モードに切り替わるように要求する。マイクロプロセッサが現時点で存在するために、電力低下は定格電力に比べて80%に到達することができる。この充電低下に対する反応時間T2は1ms未満である。T1+T2を過ぎた設定時間T3について、コントローラ10は電圧P12Vの低下がマイクロ停電によるものだと仮定し、待機する。待機している間、T1+T2+T3の終わりで信号P12Vの電圧が第1の閾値VT1よりも高く上昇していなければ、コントローラ10は不揮発性メモリにデータをバックアップするフェーズに移る。この時点で、コントローラは電源スイッチ11をあけるが、これは電圧P12Vが第1の閾値VT1よりも電圧を低下させる効果を有する。容量蓄積素子12は主電源レール供給P12Vから結果的に別離され、残されたエネルギーは不揮発性メモリにデータを保存する間にバックアップレールVMBKを供給するのに用いられる。T1+T2+T3を越えて、時間T4の間で、変換器13はVMBKバックアップレール上に12Vの調整電圧を生成する。変換器13の具体的なトポロジーは、電源レールVCAPの電圧がバックアップレールVMBKの電圧値よりも低いとき、及びそのVCAP電源レールの電圧値がVMBKバックアップレールの電圧値よりも高いときの両方の場合で、出力電圧の安定性を確実にする。よって、VCAP電源レールの電圧の値が期間T1+T2+T3の終わりで第1の閾値VT1未満に低下していない低荷重の場合でもシステムは作動する。
【0047】
補償モジュール1は、「ホット」スワップの動作中の電圧を妨害しないために、主電源レールP12Vにいわゆるバルク容量を有さない。その一方でマザーボード回路機構は、バックアップレールVMBKが変換器13の正しい動作に必要な出力容量を含むことができるように設計される。実際に、バックアップレール(
図1でのみ見られる)の2つの部VMBK及びVBATの間に載置されるオアリング型の変換器4のダイオードは、「ホット」プラグ中のマザーボードの主電源レールP12Vからの突入電流を全て妨げる。
【0048】
まとめると、
図1に示す補償モジュールは2つの機能、すなわちマイクロ停電中の電力補償及びAC電源故障に続くデータのバックアップ中のデュアルメモリへのバックアップ電力の供給を、比較的単純なまま、したがって比較的安価のままの構造及びシステムの複雑性に有する。
【0049】
補償モジュール1は電源故障フェーズ中の臨界回路、すなわち全ての不揮発性メモリについての電力損失の影響を制限する回路について、マザーボードに持続した電圧を提供することができる。これはシステムの信頼性を向上させる。容量蓄積素子12、特にスーパーコンデンサは、いくつかのその他の種類の無停電電源システムよりも良いエネルギー効率を有する。これはその結果として、全体のシステム電力消費量を減少させる。
【0050】
補償モジュール1は特に、ホットスワップ可能、すなわちシステムを止めなくてもよいという便利な特徴を有する。実際に、補償モジュール1の突然の「ホット」取り外し中に、コントローラ10は容量素子12における残留エネルギーによって自己動力供給される。この一時的な自己動力供給は、メンテナンスオペレータに放電が完全でないことを明確に示すことで、放電抵抗21を通して放電サイクルのより良い管理を可能とする。LEDなどの適切なインジケータは残るエネルギーの危険性を示して、メンテナンスオペレータに、補償モジュール内でメンテナンス作業を行うのにちょうど良いときまでその前に待機させることを可能とする。これによって、システムの電気安全性を向上させる。
【0051】
図3は、本発明の一実施形態に係るDC/DC変換器の例を概略的に示す。電気図は全て自己説明的でり、コンポーネント参照資料及び全ての数値を含むため、より詳細な記載はなされない。この回路は、12V電圧VMBKが存在する第2次電源レール8に供給する変換器13内に使用可能な内部回路機構の例を表す。
【0052】
次にいくつかの可能性のある筋書きについて議論する。これらの筋書きはコンピュータの好ましい例、及び好ましい数値で説明される補正モジュールを用いる。これらの筋書きは電力消費の点で定量的な結果を与え、電気エネルギー蓄積を留保する。これらの筋書きでは、容量蓄積素子はスーパーコンデンサであり、そのように呼ばれる。
【0053】
第1の通常動作の筋書きでは、完全なユニットは通常に動作しているときに860W放散し、約80%である変換器の効率性と約200Wの冷却装置の消費量を踏まえて、1300Wを消費するサーバに至る。エネルギー余力は、直列での5つの2000Fセルまたは400Fの等価セルからなる、12.5Vに充電されたスーパーコンデンサのセットからなる。切換スイッチとスーパーコンデンサ12の寄生抵抗を無視すれば、蓄積エネルギーの使用可能値は1/2*C*V2=31250Jに等しい。電源レールVCAP及び電源レール、つまりは主電源レール及び12Vレール並びに電圧VBATを運ぶバックアップレールの間に配されるDC/DC変換器は、70%の平均効率性を有するように考えられ、この値はスーパーコンデンサ12自体の内部抵抗によって制限される。結果的に、4msの期間中における1300Wの消費によって、1300*0.004/0.7〜7.5Jに等しい蓄積エネルギーが減少する。
【0054】
次に、2つの電源モジュール2である、AC1及びAC2のAC入力に同時に影響を与える、250msの期間に等しいマイクロ停電を検出する第2の筋書きに移る。片方のみが影響を受ける場合はささいである。なぜなら、2つの電源モジュール2は1+1冗長構成を採用し、その特定の場合、1つがもう片方の代わりになるからである。最大10ms期間の半波の後に、AC_FAIL信号が電源モジュール2から補償モジュール1のコントローラ10に送られる。コントローラ10はマイクロプロセッサにLPRQ(低電力要求)信号を発生させ、BricklandプラットフォームのIntel Xeonソケットの場合は双方向ピンPROCHOT#にて受けることができる。この信号がプラットフォームによって作動されると、マイクロプロセッサは1ms未満で消費量を第1の電力レベル「Pthrottle」に、そして4ms未満でBIOS設定によって設定可能な第2の電力レベル「PL2」に低下させる。このピンは「Fast PROCHOT#」モードで有利に設定することができ、それにより消費に関する第1の反応を100μs未満で提供することができる。
【0055】
この第2の筋書きでは、スーパーコンデンサ12のエネルギー消費量は、レベル「PL2」の設定によって、及びプラットフォームの残留消費量によって、その入出力及びそのメモリを介して判定される。分析されるシステムの消費量は、この状態では「PL2」であり、約250Wである。マイクロプロセッサのクロック周波数はその最低値に設定可能であり、結果としてメモリ入出力活動もまた最低限まで減少する。冷却ファンは任意にコントローラ10によって瞬間的に止められてもよく、ヒートシンクの熱慣性が電気回路のオーバーヒートの危険性なくこのような動作を可能とする。28800Jの余分からのエネルギー消費はこの場合でもまだとても低い。事実上、蓄積エネルギーの0.3%未満に相当する87.8+7.5=95.3Jの量に合計する。スーパーコンデンサ12の全部にわたる最終電圧はほとんど変わらない。
【0056】
次に、250から800msの間の期間のマイクロ停電を検出する第3の筋書きを検討する。このシステムは、250msを越えた後に、800msの期間が切れる前に商用電源が戻ってきた場合にすぐに動作を再始動させる能力を保ちながらも、デュアルメモリ31内で揮発性メモリ32のバックアップを不揮発性メモリ33に作動させるように判断する。オペレーティングシステム(OS)は止められ、全てのキャッシュは書き出される、つまりは画像化される、すなわちDRAM(ダイナミックランダムアクセスメモリ)メモリに素早く変換される。この動作は非常に簡単であり、典型的には1ms未満である。この時点以降、メモリは不揮発性メモリに画像をコピーするために240Wの値でエネルギーを消費するのみである。書き込み速度はデュアルメモリ31それぞれにおいて30s毎に4GBであり、800msでは画像のほんの一部のみがコピーされる。31250Jの余分からのエネルギー消費量は7.5+87.8+188.5=284J、すなわち蓄積エネルギーの1%未満に合計する。全てのスーパーコンデンサ12にわたる最終電圧は12.44Vと等しい。
【0057】
次に、800msより長い停電期間の検出に関与する第4の筋書きを検討する。800msの期間を越えると、管理しているコントローラはシステムの制御をなくし、デュアルメモリ31はデータのバックアップを独立モードで終了させる。商用電源がこのバックアップの終了前に復旧した場合、それでもなおバックアップが、メモリ画像一貫性の理由でコントローラによる制御が戻ることよりも優先され、制御をコントローラに戻すのは不揮発性メモリへの書込みが終了するまで待機する必要がある。この場合、冷却ファンは、エネルギー余分から不必要な電力を消費するのを回避するべくコントローラ10によって止められるべきである。デュアルメモリ31それぞれにおいて30s毎に4GBの書込み速度を維持して、48個のデュアルメモリ31が並列して動作するためにバックアップ動作の期間が30sとほとんど等しい状態であるとして、31250Jの余分から消費される電力は、従って、蓄積エネルギーの約25%に相当する7.5+87.8+188.5+7200J=7484Jとなる。スーパーコンデンサ12全てにわたる最終電圧は10.9Vと等しくなる。これはより高い容量のデュアルメモリ31に対応できるだけの余裕をまだ残す。
【0058】
次に、補償モジュール1のホットスワップに関与する第5の筋書きを検討する。引き抜き可能な補償モジュール1は、管理コントローラの介入なくメンテナンスオペレータによって外される。このモードは時々、サプライズアンプラグ(surprise unplugging)又はサプライズホットリムーブ(surprise hot remove)と呼ばれる。それでもなお、バックアップデータ損失を回避するべく、オペレータに可視の、例えばLED型の視覚インジケータが、実行されているいかなるバックアップ動作をも示す。オペレータはこの「突然」の取り外しを行う前に、ランプが消えるまで待たなければならない。視覚指示が消えた状態で、モジュールがそのコネクタから最大で1mm距離を置かれた直後に、カードケージから短いピンが切断されて、オンボードコントローラ10に補償モジュール1がシステムから切断されたことを示す。コントローラ10がスーパーコンデンサ12のセットから自己動力化されているため、コントローラ10は電源スイッチ11を強制的に開かせて主12V電源レール9からの電源端子を分離することによる望ましくない影響を避ける。さらに、コントローラ10は、メンテナンスオペレータにいかなる危険をも負わせることなく、補償モジュール1に修復動作が行われ得るようにエネルギー放出の動作を自動的に実行することができる。電源スイッチ11は、残留電圧が電源レールVCAP上で非常に低い値よりも高くあり続ける限りは、開いたままとなる。結果的に充電されていない新しいモジュールが差し込まれると、コントローラ10は12V電源入力からの電力をもっていき、スーパーコンデンサ12のセットに制御された電流条件下で充電されることを可能とする。例えば電源モジュール2の最大電流の3%であるこの電流制限によって、出力電流を扱うのに電源モジュール2を過度に大きくする必要なく、補償モジュール1の再充電が可能となる。
【0059】
明らかに、本発明は記載及び図示される例並びに実施形態に限定されず、当業者によってアクセス可能な数々の変更がなされてもよい。