特許第6560718号(P6560718)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6560718
(24)【登録日】2019年7月26日
(45)【発行日】2019年8月14日
(54)【発明の名称】端板および台座を備えたリアクトル
(51)【国際特許分類】
   H01F 37/00 20060101AFI20190805BHJP
   H01F 27/26 20060101ALI20190805BHJP
   H01F 27/06 20060101ALI20190805BHJP
【FI】
   H01F37/00 T
   H01F37/00 M
   H01F37/00 S
   H01F27/26 130B
   H01F27/06
【請求項の数】12
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-143575(P2017-143575)
(22)【出願日】2017年7月25日
(65)【公開番号】特開2019-29369(P2019-29369A)
(43)【公開日】2019年2月21日
【審査請求日】2018年9月18日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100112357
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 繁樹
(72)【発明者】
【氏名】吉田 友和
(72)【発明者】
【氏名】白水 雅朋
(72)【発明者】
【氏名】塚田 健一
【審査官】 須藤 竜也
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2014/073252(WO,A1)
【文献】 実開昭59−002121(JP,U)
【文献】 米国特許第07768373(US,B1)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0106210(US,A1)
【文献】 特開昭49−043123(JP,A)
【文献】 特開2015−142095(JP,A)
【文献】 特開2004−319679(JP,A)
【文献】 特開2010−027692(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 37/00
H01F 27/06、24−25、26
H01F 17/04
H01F 30/10−12
H02M 3/00−44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の磁性板を積層して構成される少なくとも三つの鉄心を含むコア本体を具備し、
前記コア本体は、複数の外周部鉄心部分から構成された外周部鉄心を含んでおり、
前記少なくとも三つの鉄心は前記複数の外周部鉄心部分に結合されており、
前記少なくとも三つの鉄心にコイルが巻回されており、
前記少なくとも三つの鉄心のうちの一つの鉄心と該一つの鉄心に隣接する他の鉄心との間には磁気的に連結可能なギャップが形成されており、
さらに、
前記コア本体を挟むように該コア本体に締結する端板および台座と、
前記端板とコア本体の少なくとも三つの鉄心との間および前記コア本体の少なくとも三つの鉄心と前記台座との間のうちの少なくとも一方に配置されていて、前記コア本体の軸方向における前記少なくとも三つの鉄心の高さのバラツキを吸収するバラツキ吸収部材とを具備する、リアクトル。
【請求項2】
前記バラツキ吸収部材は、可撓性材料から形成される請求項1に記載のリアクトル。
【請求項3】
さらに、前記コア本体の外縁部近傍に配置されていて前記端板および前記台座に支持される複数の軸部を具備する請求項1または2に記載のリアクトル。
【請求項4】
前記少なくとも三つの鉄心の数は3の倍数である、請求項1から3のいずれか一項に記載のリアクトル。
【請求項5】
前記少なくとも三つの鉄心の数は4以上の偶数である、請求項1から3のいずれか一項に記載のリアクトル。
【請求項6】
複数の磁性板を積層して構成される少なくとも三つの鉄心を含むコア本体を具備し、
前記コア本体は、複数の外周部鉄心部分から構成された外周部鉄心を含んでおり、
前記少なくとも三つの鉄心は前記複数の外周部鉄心部分に結合されており、
前記少なくとも三つの鉄心にコイルが巻回されており、
前記少なくとも三つの鉄心のうちの一つの鉄心と該一つの鉄心に隣接する他の鉄心との間には磁気的に連結可能なギャップが形成されており、
さらに、
前記コア本体を挟むように該コア本体に締結する端板および台座と、
前記端板とコア本体との間および前記コア本体と前記台座との間のうちの少なくとも一方に配置されていて、前記コア本体の軸方向における前記少なくとも三つの鉄心の高さのバラツキを吸収するバラツキ吸収部材とを具備し、
前記少なくとも三つの鉄心の数は3の倍数である、リアクトル。
【請求項7】
前記バラツキ吸収部材は、可撓性材料から形成される請求項6に記載のリアクトル。
【請求項8】
さらに、前記コア本体の外縁部近傍に配置されていて前記端板および前記台座に支持される複数の軸部を具備する請求項6または7に記載のリアクトル。
【請求項9】
複数の磁性板を積層して構成される少なくとも三つの鉄心を含むコア本体を具備し、
前記少なくとも三つの鉄心のうちの一つの鉄心と該一つの鉄心に隣接する他の鉄心との間には磁気的に連結可能なギャップが形成されており、
さらに、
前記コア本体を挟むように該コア本体に締結する端板および台座と、
前記端板とコア本体との間および前記コア本体と前記台座との間のうちの少なくとも一方に配置されていて、前記コア本体の軸方向における前記少なくとも三つの鉄心の高さのバラツキを吸収するバラツキ吸収部材とを具備し、
前記少なくとも三つの鉄心の数は4以上の偶数である、リアクトル。
【請求項10】
前記コア本体は、複数の外周部鉄心部分から構成された外周部鉄心を含んでおり、
前記少なくとも三つの鉄心は前記複数の外周部鉄心部分に結合されており、
前記少なくとも三つの鉄心にコイルが巻回されている、請求項9に記載のリアクトル。
【請求項11】
前記バラツキ吸収部材は、可撓性材料から形成される請求項9または10に記載のリアクトル。
【請求項12】
さらに、前記コア本体の外縁部近傍に配置されていて前記端板および前記台座に支持される複数の軸部を具備する請求項9から11のいずれか一項に記載のリアクトル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端板および台座を備えたリアクトルに関する。
【背景技術】
【0002】
リアクトルは複数の鉄心コイルを含んでおり、各鉄心コイルは鉄心と該鉄心に巻回されたコイルとを含んでいる。そして、複数の鉄心の間には所定のギャップが形成されている。例えば特許文献1および特許文献2を参照されたい。また、環状の外周部鉄心の内側に複数の鉄心コイルが配置されているリアクトルも存在している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−77242号公報
【特許文献2】特開2008−210998号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
鉄心のそれぞれは複数の磁性板、例えば鉄板、炭素鋼板、電磁鋼板を積層することにより形成されている。そして、複数の鉄心を並べてコア本体を形成している。しかしながら、磁性板の厚みが均一ではない場合もあり、そのような場合には鉄心の高さにバラツキが生じる。そのような状態でコア本体を台座と端板との間に配置してリアクトルを形成すると、コア本体と台座との間および/またはコア本体と端板との間に隙間が生じる。そして、リアクトルの通電時には、そのような隙間が存在するために磁性板が磁歪して騒音および振動を引き起こすという問題がある。
【0005】
それゆえ、鉄心の高さのバラツキを吸収して騒音および振動を抑えるリアクトルが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の1番目の態様によれば、複数の磁性板を積層して構成される少なくとも三つの鉄心を含むコア本体を具備し、前記少なくとも三つの鉄心のうちの一つの鉄心と該一つの鉄心に隣接する他の鉄心との間には磁気的に連結可能なギャップが形成されており、さらに、前記コア本体を挟むように該コア本体に締結する端板および台座と、前記端板とコア本体との間および前記コア本体と前記台座との間のうちの少なくとも一方に配置されていて、前記コア本体の軸方向における前記少なくとも三つの鉄心の高さのバラツキを吸収するバラツキ吸収部材とを具備する、リアクトルが提供される。
【発明の効果】
【0007】
1番目の態様においては、バラツキ吸収部材が配置されるので、鉄心の高さのバラツキが吸収される。このため、端板とコア本体との間およびコア本体と台座との間の隙間がなくなり、通電時に磁歪による生じる騒音および振動を抑えられる。
【0008】
添付図面に示される本発明の典型的な実施形態の詳細な説明から、本発明のこれら目的、特徴および利点ならびに他の目的、特徴および利点がさらに明解になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1A】第一の実施形態に基づくリアクトルの分解斜視図である。
図1B図1Aに示されるリアクトルの斜視図である。
図2】第一の実施形態に基づくリアクトルに含まれるコア本体の断面図である。
図3】一般的な鉄心の斜視図である。
図4】リアクトルの軸方向断面図である。
図5図1Bに示されるリアクトルの軸方向断面図である。
図6】第二の実施形態に基づくリアクトルに含まれるコア本体の断面図である。
図7】他のリアクトルの軸方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下の図面において同様の部材には同様の参照符号が付けられている。理解を容易にするために、これら図面は縮尺を適宜変更している。
【0011】
以下の記載では、三相リアクトルを例として主に説明するが、本開示の適用は、三相リアクトルに限定されず、各相で一定のインダクタンスが求められる多相リアクトルに対して幅広く適用可能である。また、本開示に係るリアクトルは、産業用ロボットや工作機械におけるインバータの一次側および二次側に設けるものに限定されず、様々な機器に対して適用することができる。
【0012】
図1Aは第一の実施形態に基づくリアクトルの分解斜視図であり、図1B図1Aに示されるリアクトルの斜視図である。図1Aおよび図1Bに示されるリアクトル6は、コア本体5と、コア本体5を軸方向に挟んで締結する環状の端板81および台座60を主に含んでいる。端板81および台座60はコア本体5の後述する外周部鉄心20の縁部全体にわたって外周部鉄心20に接触している。
【0013】
端板81および台座60は非磁性材料、例えばアルミニウム、SUS、樹脂などから形成されるのが好ましい。台座60には、コア本体5の端面に対応した外形を有する環状の突出部61が設けられている。突出部61には、台座60を貫通する貫通孔60a〜60cが周方向に等間隔に形成されている。端板81も、同様な外形を有しており、端板81には、貫通孔81a〜81cが周方向に等間隔に形成されている。台座60の突出部61および端板81の高さは、コア本体5の端部から突出するコイル51〜53の突出高さよりもわずかながら長いものとする。
【0014】
図2は第一の実施形態に基づくリアクトルに含まれるコア本体の断面図である。図2に示されるように、コア本体5は、外周部鉄心20と、外周部鉄心20に磁気的に互いに連結する三つの鉄心コイル31〜33とを含んでいる。図2においては、略六角形の外周部鉄心20の内側に鉄心コイル31〜33が配置されている。これら鉄心コイル31〜33はコア本体5の周方向に等間隔で配置されている。
【0015】
なお、外周部鉄心20が他の回転対称形状、例えば円形であってもよい。そのような場合には、端板81および台座60は外周部鉄心20に対応した形状であるものとする。また、鉄心コイルの数は3の倍数であるのが好ましく、それにより、リアクトル6を三相リアクトルとして使用できる。
【0016】
図面から分かるように、それぞれの鉄心コイル31〜33は、外周部鉄心20の半径方向に延びる鉄心41〜43と、該鉄心に巻回されたコイル51〜53とを含んでいる。鉄心41〜43のそれぞれの半径方向外側端部は、外周部鉄心20に接するか、もしくは外周部鉄心20と一体的に形成されている。
【0017】
なお、図2においては、外周部鉄心20は周方向に等間隔に分割された複数、例えば三つの外周部鉄心部分24〜26より構成されている。外周部鉄心部分24〜26は、それぞれ鉄心41〜43に一体的に構成されている。このように外周部鉄心20が複数の外周部鉄心部分24〜26から構成される場合には、外周部鉄心20が大型である場合であっても、そのような外周部鉄心20を容易に製造できる。また、外周部鉄心部分24〜26には、貫通孔29a〜29cが形成されている。
【0018】
さらに、鉄心41〜43のそれぞれの半径方向内側端部は外周部鉄心20の中心近傍に位置している。図面においては鉄心41〜43のそれぞれの半径方向内側端部は外周部鉄心20の中心に向かって収斂しており、その先端角度は約120度である。そして、鉄心41〜43の半径方向内側端部は、磁気的に連結可能なギャップ101〜103を介して互いに離間している。
【0019】
言い換えれば、鉄心41の半径方向内側端部は、隣接する二つの鉄心42、43のそれぞれの半径方向内側端部とギャップ101、102を介して互いに離間している。他の鉄心42、43についても同様である。なお、ギャップ101〜103の寸法は互いに等しいものとする。
【0020】
このように、本発明では、コア本体5の中心部に位置する中心部鉄心が不要であるので、コア本体5を軽量かつ簡易に構成することができる。さらに、三つの鉄心コイル31〜33が外周部鉄心20により囲まれているので、コイル51〜53から発生した磁場が外周部鉄心20の外部に漏洩することもない。また、ギャップ101〜103を任意の厚さで低コストで設けることができるので、従来構造のリアクトルと比べて設計上有利である。
【0021】
さらに、本発明のコア本体5においては、従来構造のリアクトルに比較して、相間の磁路長の差が少なくなる。このため、本発明においては、磁路長の差に起因するインダクタンスのアンバランスを軽減することもできる。
【0022】
再び図1Aを参照すると、コイル51〜53のそれぞれからリード51a〜53a、51b〜53bが延びている。リード51a〜53aは入力側、リード51b〜53bは出力側である。そして、リード51a〜53a、51b〜53bは個別に湾曲され、それにより、リード51a〜53aおよびリード51b〜53bの先端はそれぞれ一列に整列されている。
【0023】
また、図1Aに示されるように、バラツキ吸収部材90は端板81とコア本体5との間に配置されている。バラツキ吸収部材90はコア本体5の軸方向における鉄心41〜43の高さのバラツキを吸収する。言い換えれば、端板81は、バラツキ吸収部材90を介してコア本体5の一端に取付けられている。バラツキ吸収部材90は、軸方向厚さを除いて端板81と概ね同様の寸法を有している。また、バラツキ吸収部材90には、貫通孔91a〜91cが周方向に等間隔に形成されている。バラツキ吸収部材90の厚みは、端板81の厚みよりも小さいのが好ましい。
【0024】
バラツキ吸収部材90は、可撓性部材、例えばアルミニウム、SUS、銅、ゴム、樹脂などから形成されるものとする。さらに、バラツキ吸収部材90は可撓性材料で且つ非磁性材料から形成されるのが好ましい。また、バラツキ吸収部材90は端板81よりも変形しやすい材料から形成されているものとする。このため、磁場がバラツキ吸収部材90を通過するのを避けられる。
【0025】
端板81およびバラツキ吸収部材90は開口部を備えた環状である。図1Aに示されるように、コイル51〜53の一部分はコア本体5の端面から軸方向に突出している。端板81およびバラツキ吸収部材90をコア本体5に取付けると、図1Bに示されるように、コイル51〜53の突出部分はバラツキ吸収部材90および端板81の開口部内に位置するようになる。そして、コイル51〜53の突出部分の上端は端板81の上面よりも下方に位置し、リード51a〜53a、51b〜53bは端板81の上面よりも上方に突出するようになる。
【0026】
図3は一般的な鉄心の斜視図であり、図4は従来技術におけるリアクトルの軸方向断面図である。外周部鉄心部分24〜26に一体的な鉄心41〜44のそれぞれは、共通の寸法を有する所定数の磁性板40、例えば鉄板、炭素鋼板、電磁鋼板を積層することにより形成されている。しかしながら、厳密には複数の磁性板40の厚みが均一でない場合もある。磁性板40の所定数は比較的大きく、数十以上であるので、所定数の磁性板40を積層すると、鉄心41〜43の軸方向高さにバラツキが生じる場合がある。この点は本開示においても同様である。
【0027】
図4においては、鉄心41の高さは、隣接する鉄心42の高さよりも小さい。その結果、鉄心41の領域においては端板81と最上方の磁性板40との間に隙間Cが形成されているものの、鉄心42の領域においてはそのような隙間Cは形成されていない。そのような隙間Cが存在するためにリアクトル6の通電時には、磁性板40が磁歪して騒音および振動を引き起こすという問題がある。
【0028】
さらに、図5図1Bに示されるリアクトルの軸方向断面図である。図5に示されるように、第一の実施形態においては、可撓性のバラツキ吸収部材90が端板81と最上方の磁性板40との間に配置されている。バラツキ吸収部材90が端板81と最上方の磁性板40とによって挟まれると、バラツキ吸収部材90が変形して隙間Cを充填するようになる。これにより、鉄心41〜43の高さのバラツキが吸収される。このため、リアクトル6の通電時であっても、磁性板40が磁歪して騒音および振動を引き起こすことも避けられる。
【0029】
さらに、図1Aから分かるように、複数の軸部、例えばネジ99a〜99cを台座60の貫通孔60a〜60c、コア本体5の貫通孔29a〜29c、バラツキ吸収部材90の貫通孔91a〜91c、端板81の貫通孔81a〜81cに通す。そして、台座60、コア本体5、バラツキ吸収部材90および端板81を互いに螺合するのが好ましい。これにより、複数の軸部により端板81および台座60が互いに引きつけられるので、バラツキ吸収部材90がさらに変形するようになる。その結果、鉄心41〜43の高さのバラツキをより吸収できるのが分かるであろう。
【0030】
図6は第二の実施形態に基づくリアクトルに含まれるコア本体の断面図である。図6に示されるコア本体5は、略八角形状の外周部鉄心20と、外周部鉄心20の内方に配置された、前述したのと同様な四つの鉄心コイル31〜34とを含んでいる。これら鉄心コイル31〜34はコア本体5の周方向に等間隔で配置されている。また、鉄心の数は4以上の偶数であるのが好ましく、それにより、コア本体5を備えたリアクトルを単相リアクトルとして使用できる。
【0031】
図面から分かるように、外周部鉄心20は周方向に分割された四つの外周部鉄心部分24〜27より構成されている。それぞれの鉄心コイル31〜34は、半径方向に延びる鉄心41〜44と該鉄心に巻回されたコイル51〜54とを含んでいる。そして、鉄心41〜44のそれぞれの半径方向外側端部は、外周部鉄心部分24〜27のそれぞれと一体的に形成されている。なお、鉄心41〜44の数と、外周部鉄心部分24〜27の数とが必ずしも一致していなくてもよい。図2に示されるコア本体5も同様である。
【0032】
さらに、鉄心41〜44のそれぞれの半径方向内側端部は外周部鉄心20の中心近傍に位置している。図6においては鉄心41〜44のそれぞれの半径方向内側端部は外周部鉄心20の中心に向かって収斂しており、その先端角度は約90度である。そして、鉄心41〜44の半径方向内側端部は、磁気的に連結可能なギャップ101〜104を介して互いに離間している。
【0033】
第二の実施形態においても、外周部鉄心部分24〜27のそれぞれに一体的な鉄心41〜44のそれぞれは共通の所定数の磁性板40、例えば鉄板、炭素鋼板、電磁鋼板を積層することにより形成されている。このため、鉄心41〜44の間で高さのバラツキがある場合がある。そのような場合には、バラツキ吸収部材90を同様に端板81とコア本体5との間に配置することにより、前述したのと同様な効果が得られる。
【0034】
さらに、第一および第二の実施形態において、同様に形成された追加のバラツキ吸収部材90をコア本体5と台座60との間に同様に配置してもよい。あるいは、図7に示されるように、コア本体5と台座60との間、および端板81とコア本体5との間の両方にバラツキ吸収部材90を配置してもよい。さらに、外周部鉄心20が複数の外周部鉄心部分24〜26(27)から構成されていないと共に、鉄心41〜43(44)が外周部鉄心20の内面に接する構成であってもよい。そのような場合であっても、本開示の範囲に含まれる。
【0035】
本開示の態様
1番目の態様によれば、複数の磁性板(40)を積層して構成される少なくとも三つの鉄心(41〜44)を含むコア本体(5)を具備し、前記少なくとも三つの鉄心のうちの一つの鉄心と該一つの鉄心に隣接する他の鉄心との間には磁気的に連結可能なギャップ(101〜104)が形成されており、さらに、前記コア本体を挟むように該コア本体に締結する端板(81)および台座(60)と、前記端板とコア本体との間および前記コア本体と前記台座との間のうちの少なくとも一方に配置されていて、前記コア本体の軸方向における前記少なくとも三つの鉄心の高さのバラツキを吸収するバラツキ吸収部材(90)とを具備する、リアクトル(6)が提供される。
2番目の態様によれば、1番目の態様において、前記コア本体は、複数の外周部鉄心部分(24〜27)から構成された外周部鉄心(20)を含んでおり、前記少なくとも三つの鉄心は前記複数の外周部鉄心部分に結合されており、前記少なくとも三つの鉄心にコイル(51〜54)が巻回されている。
3番目の態様によれば、1番目または2番目の態様において、前記バラツキ吸収部材は、可撓性材料から形成される。
4番目の態様によれば、1番目から3番目のいずれかの態様において、前記コア本体の外縁部近傍に配置されていて前記端板および前記台座に支持される複数の軸部(99a〜99c)を具備する。
5番目の態様によれば、1番目から4番目のいずれかの態様において、前記少なくとも三つの鉄心の数は3の倍数である。
6番目の態様によれば、1番目から4番目のいずれかの態様において、前記少なくとも三つの鉄心の数は4以上の偶数である。
【0036】
態様の効果
1番目の態様においては、バラツキ吸収部材が配置されるので、鉄心の高さのバラツキが吸収される。このため、端板とコア本体との間およびコア本体と台座との間の隙間がなくなり、通電時に磁歪による生じる騒音および振動を抑えられる。
2番目の態様においては、コイルが外周部鉄心により取囲まれているので、磁束漏れが生じるのを避けられる。
3番目の態様においては、鉄心の高さのバラツキを適切に吸収できる。可撓性材料は、アルミニウム、銅、ゴムまたは樹脂材料である。
4番目の態様においては、複数の軸部により端板および台座が互いに引きつけられるので、鉄心の高さのバラツキをより吸収できる。
5番目の態様においては、リアクトルを三相リアクトルとして使用できる。
6番目の態様においては、リアクトルを単相リアクトルとして使用できる。
【0037】
典型的な実施形態を用いて本発明を説明したが、当業者であれば、本発明の範囲から逸脱することなしに、前述した変更および種々の他の変更、省略、追加を行うことができるのを理解できるであろう。
【符号の説明】
【0038】
5 コア本体
6 リアクトル
20 外周部鉄心
24〜27 外周部鉄心部分
29a〜29c 貫通孔
29a〜29c 貫通孔
31〜33 鉄心コイル
40 磁性板
41〜44 鉄心
51〜54 コイル
51a〜53a、51b〜53b リード
60 台座
60a〜60c 貫通孔
81 端板
81a〜81c 貫通孔
90 バラツキ吸収部材
91a〜91c 貫通孔
99a〜99c ネジ(軸部)
101〜104 ギャップ
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7