特許第6560732号(P6560732)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6560732
(24)【登録日】2019年7月26日
(45)【発行日】2019年8月14日
(54)【発明の名称】構成要素を含む不織布を製造する方法
(51)【国際特許分類】
   D04H 3/16 20060101AFI20190805BHJP
   A43B 1/00 20060101ALI20190805BHJP
   D04H 3/07 20120101ALI20190805BHJP
【FI】
   D04H3/16
   A43B1/00
   D04H3/07
【請求項の数】37
【外国語出願】
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2017-226406(P2017-226406)
(22)【出願日】2017年11月27日
(65)【公開番号】特開2018-96021(P2018-96021A)
(43)【公開日】2018年6月21日
【審査請求日】2018年1月26日
(31)【優先権主張番号】10 2016 223 571.0
(32)【優先日】2016年11月28日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】510204998
【氏名又は名称】アディダス アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100114409
【弁理士】
【氏名又は名称】古橋 伸茂
(74)【代理人】
【識別番号】100187964
【弁理士】
【氏名又は名称】新井 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】ジェームス,タリアー
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン,ホイン
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィッド,ドルリー
(72)【発明者】
【氏名】トム,ヘンウッド
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル,コッキング
(72)【発明者】
【氏名】アンドレア,シーフリード
【審査官】 堀内 建吾
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−186949(JP,A)
【文献】 特開平04−065568(JP,A)
【文献】 特開2002−273121(JP,A)
【文献】 特表2015−522722(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0320584(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0285294(US,A1)
【文献】 特表2012−513547(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0250378(US,A1)
【文献】 特開平07−132206(JP,A)
【文献】 特表2010−534535(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0186874(US,A1)
【文献】 特開2012−031555(JP,A)
【文献】 特開2002−242069(JP,A)
【文献】 特開2016−052721(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0276095(US,A1)
【文献】 不織布の基礎と応用,日本,日本繊維機械学会,1993年 8月25日,119〜124頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D04H1/00−18/04
A43B1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
不織布を製造する方法であって、
a.基材を提供するステップであり、前記基材が、少なくともその表面の一部分において通気性である、ステップと、
b.繊維を前記基材上に送達するように適合された繊維送達デバイスを提供するステップと、
c.第1の複数の繊維を前記基材上に送達するステップと、
d.構成要素を、少なくとも部分的には前記基材に送達された前記第1の複数の繊維上に配置するステップと、
e.前記構成要素の少なくとも一部分および前記第1の複数の繊維の少なくとも一部分に第2の複数の繊維を送達するステップと、
f.前記基材の前記通気性部分に圧力差を印加するステップであり、前記圧力差の強さが前記基材の表面にわたって変わる、ステップとを含む、方法。
【請求項2】
前記構成要素が、少なくとも1つの開口を含み、前記開口の内側に吹き付けられた前記第2の複数の繊維の繊維が、前記第1の複数の繊維上に送達される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記通気性部分が複数の穴を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記基材が、3次元形状である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記構成要素が、3次元形状である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記繊維送達デバイスが、メルトブローンヘッドである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記構成要素の表面積が、前記不織布の表面積より小さく、前記構成要素が、前記不織布に埋め込まれるように配置される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記構成要素が、繊維に取り囲まれるように適合された少なくとも1つの付属物を含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記構成要素が、繊維によって適所に保持されるような形状を有する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記構成要素が、テクスチャ付き表面を含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記構成要素の少なくとも1つの表面が、溶融可能層を含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記溶融可能層の融点が、前記構成要素に当たるときの前記繊維の温度未満である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記不織布が、服装品、靴、またはスポーツ装具の一部分である、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記3次元形状が、靴の靴型、またはその一部分である、請求項4に記載の方法。
【請求項15】
前記3次元形状が、ボール形であり、前記不織布が、球を構成する層、またはその一部として使用するのに適している、請求項4に記載の方法。
【請求項16】
前記繊維送達デバイスに熱可塑性ポリウレタンTPUを供給するステップをさらに含む、請求項1〜15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記メルトブローンヘッドが、複数のノズルを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項18】
少なくとも第1のノズルに第1の材料を供給するステップと、
少なくとも第2のノズルに第2の材料を供給するステップとをさらに含み、前記第1の材料と前記第2の材料とが異なる、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
第1の材料を第1の持続時間にわたって送達するステップと、
第2の材料を第2の持続時間にわたって送達するステップとをさらに含み、前記第1の材料と前記第2の材料とが異なる、請求項1〜18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
第1の材料を前記基材の第1の部分に送達するステップと、
第2の材料を前記基材の第2の部分に送達するステップとをさらに含み、前記第1の材料と前記第2の材料とが異なる、請求項1〜19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
少なくとも1つのノズルに、第1の材料および第2の材料を横に並べた構成で供給するステップをさらに含む、請求項17〜20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記第1の複数の繊維または前記第2の複数の繊維の後で少なくとも第3の複数の繊維を前記基材上に送達するステップをさらに含み、前記第3の複数の繊維の材料が、前記第1の複数の繊維および/または前記第2の複数の繊維の材料と異なる、請求項1〜21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記繊維送達デバイスを前記基材に対して動かすステップをさらに含む、請求項1〜22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
所定の方向に、他の方向よりも高い割合で繊維を配置するステップをさらに含む、請求項1〜23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記繊維送達デバイスと前記基材の間の距離を制御し、かつ/または前記繊維送達デバイスと前記基材の間の相対移動速度を制御するステップをさらに含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記距離および/または前記速度が、前記繊維の前記基材上への送達中に変化する、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記3次元形状が、凹状であり、前記方法が、
前記繊維を前記3次元形状の内面上に送達するステップをさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項28】
前記基材を少なくとも部分的に基層で覆うステップと、
前記第1の複数の繊維および/または前記第2の複数の繊維のうちの少なくとも一部分を前記基層上に送達するステップとをさらに含む、請求項1〜27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記基層が、織布、不織布、または編物である、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記第1の複数の繊維および/または前記第2の複数の繊維を、前記基材の第1の領域上に送達するが、第2の領域には送達しないステップをさらに含む、請求項1〜29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記基材が、テクスチャ付きである、請求項1〜30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記不織布が前記基材上に位置している間に、前記不織布を覆うように取外し可能膜を配置するステップをさらに含む、請求項1〜31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記膜が、テクスチャ付きである、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記不織布が前記基材上に位置している間に、前記不織布に熱を印加するステップをさらに含む、請求項1〜33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
請求項1〜34のいずれか一項に記載の方法によって製造される不織布。
【請求項36】
靴甲部を製造する方法であって、
請求項13に記載の方法に従って第1の不織布を製造するステップを含み、前記第1の不織布が、前記靴甲部の一部である、方法。
【請求項37】
請求項13に記載の方法に従って第2の不織布を製造するステップであり、前記第2の不織布が、前記靴甲部の一部である、ステップと、
前記第1の不織布と前記第2の不織布とを接合するステップとをさらに含む、請求項36に記載の靴甲部を製造する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3次元不織布を製造する方法、およびこの方法によって得られる不織布に関する。
【背景技術】
【0002】
不織布は、化学的処理、機械的処理、熱的処理、または溶媒処理によって互いに結合した繊維で構成される。織布または編物とは異なり、不織布の繊維は、メッシュ構造またはループ構造によって機械的に固定されたヤーンとしては存在しない。不織布は、靴、服装品、スポーツ装具など、幅広い様々な製品および物品に使用される。
【0003】
例えば、米国特許出願公開第2006/0276095号明細書は、不織材料の履物品、およびその製造方法に関する。
【0004】
国際公開第2016/099687号パンフレットは、不織材料、その作製方法、およびその不織材料を組み込んだ物品を対象としている。
【0005】
国際公開第2014/167420号パンフレットは、非工業的環境で不織製品を生成する装置に関する。
【0006】
英国特許第1363675号明細書は、靴を製造する方法を対象としている。
【0007】
欧州特許第2412856号明細書は、3次元不織布構造を作製する装置に関する。
【0008】
これらの文献の不織布は、それほど固くなく、耐性もそれほど高くないことが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許出願公開第2006/0276095号明細書
【特許文献2】国際公開第2016/099687号パンフレット
【特許文献3】国際公開第2014/167420号パンフレット
【特許文献4】英国特許第1363675号明細書
【特許文献5】欧州特許第2412856号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、効率的に、かつ高い費用対効果で、安定した耐久性の高い不織布を製造する方法を提供することが、本発明の基礎にある技術的課題である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の態様によれば、この課題は、不織布を製造する方法であって、(a.)基材を提供するステップであり、基材が、少なくともその表面の一部分において通気性であるステップと、(b.)繊維を基材上に送達するように適合された繊維送達デバイスを提供するステップと、(c.)第1の複数の繊維を基材上に送達するステップと、(d.)基材の通気性部分に圧力差を印加するステップであり、圧力差の強さが基材の表面にわたって変わる(varied)、ステップとを含む、方法によって解決される。
【0012】
本発明によれば、基材は、その表面の少なくとも一部分では通気性であり、この方法は、その通気性部分に圧力差を印加するステップを含む。さらに詳細には、この圧力差は、基材上に送達された繊維がその圧力差によって引きつけられるように印加することができる。これにより、繊維を互いに圧縮して、より密な不織布を得ることができる。一方、例えば基材の表面のうち通気性ではない領域では、繊維は圧縮されない。したがって、パディングゾーン(圧縮されていない繊維)および構造強度が高められた領域(圧縮された繊維)を有する不織布を提供することができる。
【0013】
圧力差によって行われる吸引は、凹状の3次元基材で特に有利である。繊維は、普通ならこのような形状の凹状部分をまたぐ傾向があるからである。圧力差により、またいくつかの実施形態では基材の凹状部分に印加されるより大きな圧力差により、繊維が凹状部分に吸い付けられて、基材の形状に沿うようになる。
【0014】
本発明によれば、圧力差は、基材の表面にわたって変えることができる。このようにして、繊維を、不織布にわたって異なる程度まで圧縮することができる。このようにして、不織布の厚さを、局所的に変えることができる。さらに、圧力差を変えることにより、繊維の軌跡に影響を及ぼして、繊維を基材上の特定の位置に誘導することができる。特に、繊維が蓄積して例えばパディング部分を生じることができる凹状領域(または凹部)に、繊維を誘導することができる。
【0015】
基材の通気性を変えることによって、基材は、異なる局所的通気性平均を有する異なる通気性領域を含むことができる。例えば、いくつかの部分は非通気性にし、少なくとも1つの他の部分は通気性にすることもできる。
【0016】
通気性部分は、複数の穴を含むことができる。これにより、例えば基材の表面にわたって穴の密度および/または直径を変えることにより、かなり簡単に通気性を変えることが可能になる。
【0017】
基材は、3次元形状とすることができる。この3次元形状は、凸状表面部分と凹状表面部分の組合せを含む3次元形状とすることができる。この3次元形状は、例えば、靴の靴型、ブラジャーまたはトルソーの形状とすることができる。また、ボールのブラダの形状など、ボール形にすることもできる。この不織布は、服装品、靴、またはスポーツ装具の一部分とすることができる。したがって、この不織布は直接その有用な形状に作成することができるので、不織布の追加成形が不要である。
【0018】
不織布を直接3次元形状上で形成することは、構成要素も3次元形状上に配置することができるので、本発明の文脈では有利である。これにより、例えば不織布を平坦な基材上で形成してから折り曲げて3次元形状にする場合に生じる皺の形成が軽減または回避される。さらに、不織布を3次元形状上で形成する間に不織布に構成要素を組み込むことは、構成要素が剛性であり、したがって例えば射出成形などによってその最終的な3次元形状に直接作製することができるので、有利である。このような実施形態では、構成要素を2次元形状から3次元形状に変形させる追加ステップが不要である。
【0019】
この方法は、構成要素を、少なくとも部分的には基材に送達された第1の複数の繊維上に配置するステップと、構成要素の少なくとも一部分および第1の複数の繊維の少なくとも一部分に第2の複数の繊維を送達するステップとをさらに含むことがある。
【0020】
これにより、構成要素を不織布に直接組み込むことが可能になり、それにより最終的な製品の適合性および快適性が改善される。例えば、構成要素を、剛性または半剛性にして、例えばスチフネスおよび/または支持を不織布に提供することができる。例えば、靴甲部用の不織布には、ヒールカウンタおよび/またはトウカウンタを直接組み込むことができる。構成要素は、発泡体または不織パッドなど、軟らかい構成要素であってもよい。例えば靴では、この構成要素を、足の快適性および保護のための追加のパディングとして使用することもできる。構成要素を不織布に接合する追加の製造ステップは省略することができ、この場合、製造プロセスをスピードアップし、製造コストを節約できる。さらに、構成要素は不織布の内側に一体化されるので、構成要素は、不織布から分離しない可能性がある。その結果として、不織布を使用する最終的な製品または物品は、はるかに耐久性が高くなる。また、構成要素は、縫製または糊などの追加の要素を使用することなく、不織布に一体化し、取り付けることができる。したがって、不織布の繊維と同じ材料で構成された構成要素を備えた単一材料の製品を作成することが容易になる。このような製品は、したがって、リサイクルが容易である。
【0021】
圧力差を変えることにより、第2の層(第2の複数の繊維で構成される)を形成する前に第1の層(第1の複数の繊維で構成される)上で構成要素を維持するのを助けることができる。
【0022】
本発明によれば、圧力差を印加する方法ステップは、少なくとも部分的には第1の複数の繊維を吹き付ける間、および/または少なくとも部分的には第2の複数の繊維を吹き付ける間に、実行することができることに留意されたい。例えば、圧力差は、第1の複数の繊維を吹き付けるときには印加し、第2の複数の繊維を吹き付けるときには印加しないこともできる。別の例では、圧力差は、第2の複数の繊維を吹き付けるときには印加し、第1の複数の繊維を吹き付けるときには印加しないこともできる。さらに別の例では、圧力差は、第1の複数の繊維を吹き付けるとき、および第2の複数の繊維を吹き付けるときに印加することもできる。特に、いくつかの実施形態では、圧力差は、構成要素を第1の複数の繊維上に配置するとき、第2の複数の繊維を吹き付ける前に印加して、構成要素を基材上で適所に維持することもできる。
【0023】
構成要素は、3次元形状を有することができる。これは、3次元に延びる表面を含む。したがって、複雑な3次元不織布を得ることができる。例えば、構成要素は、ヒールカウンタまたはトウカウンタ、あるいはパディング要素の3次元形状を有することができる。
【0024】
繊維送達デバイスは、メルトブローンヘッドとすることができる。メルトブローンプロセスでは、溶融したフィラメントがスピナレットから出、1次気流によって引き出され、渦流によってステープルファイバに分解される。2次気流が、これらの繊維を基材上に送達する。メルトブローは、不織布を作製する非常に効率的なプロセスである。これにより、不織布はメルトブローン不織布となる。
【0025】
構成要素の表面積は、不織布の表面積より小さくすることができ、構成要素は、不織布に埋め込まれるように配置することができる。したがって、構成要素は、不織布の繊維によって完全に封入され、全ての方向に適所に保持される。さらに、構成要素は、不織布の繊維によって、外部からの機械的または化学的(湿気を含む)ストレスから保護される。これは、構成要素が電子構成要素である場合に特に有利であることがある。
【0026】
構成要素は、繊維に取り囲まれるように適合された少なくとも1つの付属物を含むことができる。この付属物により、構成要素が不織布に対して固定されることが保証され、さらに、構成要素が不織布の内部で意図せずに滑ることが回避される。
【0027】
構成要素は、少なくとも1つの開口を含み、開口の内側に吹き付けられた第2の複数の繊維の繊維が、第1の複数の繊維上に送達されるようにすることができる。例えば、構成要素は、ループ状構造を有することができる。このようにして、構成要素は、少なくとも開口の内側の繊維によって適所にしっかりと保持される。
【0028】
構成要素は、繊維によって適所に保持されるような形状を有することができる。特に、構成要素は、第1の複数の繊維および/または第2の複数の繊維の繊維によって適所に保持されるような形状を有することができる。これは、例えば、上述の付属物および/または開口によって実現することができる。
【0029】
構成要素は、テクスチャ付き表面を含むことができる。このようにして、構成要素の表面と接触する繊維は、より良好に構成要素に付着することになる。
【0030】
構成要素の少なくとも1つの表面は、溶融可能層を含むことができる。溶融可能層は、第1の複数の繊維または第2の複数の繊維に対向することがある。したがって、例えばメルトブローンプロセスを使用して繊維を基材上に送達する場合には、繊維は、残留熱をともない構成要素の表面に到達するときに、溶融可能層を溶融または軟化させることができる。これにより、構成要素と繊維の間に強い結合が形成される。別法として、またはこれに加えて、構成要素の少なくとも1つの表面が、接着剤層を含むこともできる。
【0031】
溶融可能層の融点は、構成要素に当たるときの繊維の温度未満とすることができる。このようにして、繊維の熱を使用して、溶融可能層を溶融または軟化させることができる。さらに、これにより、溶融可能層の追加の加熱を省略することができる。
【0032】
一般に、送達された繊維の温度は、送達された繊維が到着している繊維に当たったときに十分に軟らかく/溶融しており、到着している繊維に付着するようになっている。
【0033】
構成要素は、様々な厚さを有することができる。例えば、構成要素は、発泡体または不織布、例えば空気などの流体を封入した気泡またはポケットとすることができる。このようにして、クッション効果または減衰効果を得ることができる。
【0034】
3次元形状は、靴の靴型またはその一部分とすることができる。したがって、この方法は、靴甲部またはその一部分を製造するために使用することができるので有利である。不織布が靴型の3次元輪郭に従う3次元形状に形成されるので、2次元不織布を靴甲部の形状に形成するステップを省略することができる。このような技術は、継ぎ目のない靴甲部を提供し、靴甲部をより早く製造できるように、かつより快適にすることができる。
【0035】
3次元形状は、ボール形にすることができ、不織布は、ボールを構成する層、またはその一部として使用するのに適していることがある。このような層またはその一部は、例えば、ブラダ、カーカス、パディング、パネル、外面などである可能性がある。したがって、ボールのこのような層または一部は、1つのプロセスで、直接3次元形状に製造することができる。例えば複数のパネルの組立てなど、2次元のボール状構成要素を3次元のボール状構成要素に形成する際のよくある困難が回避される。
【0036】
3次元形状は、ボール形にすることができ、不織布は、ボールの外面として使用するのに適していることがある。この場合には、この方法は、不織布を加熱して圧縮するステップをさらに含むことがある。さらに、不織布は、テクスチャ付きにすることもできる。このようなテクスチャにより、最終的なボールの空気力学および把持性を改善することができる。噴霧PUを不織布に塗布して、より耐摩耗性の高い外側層、より吸水性の低い外側層、色つきの外側層などを形成することもできる。
【0037】
本明細書に記載する不織技術によってボールまたはその一部分を作製することの利点は、織物の全ての方向に同じ特徴を得ることができることである。また、ボールの製造では、後にバルブ開口になるものによって基材を保持することができる(基材の支持体が基材に接続する部分には不織布を形成することができないため)。特に、基材は、ボールのブラダとすることができる。別の選択肢は、球形の基材を繊維送達デバイスの下で多くの異なる方向に回転させて、全ての側に不織布が噴霧されるようにすることである。
【0038】
この方法は、繊維送達デバイスに熱可塑性ポリウレタン(TPU)材料を供給するステップをさらに含むことができる。これらの材料は、メルトブローンプロセスによく適している。TPUは、広い処理ウィンドウを有し、そのために扱い易い。TPUは、高い弾性など、優れた機械的性質も有している。TPUは、結晶温度が低いために良好な自己接着性を有し、そのために複数の層の形成がより容易である。TPUは、一般に、例えばサッカーシューズのプレート、ソール、ヒールカウンタなどの靴の製造で使用され、完成した靴のリサイクルをより簡単にしている。この材料は、また、単一材料の製品を作製できるように不織布に一体化される構成要素を作製することにも適している。これらの材料もリサイクル可能であるので、このような製品のリサイクル性が改善される。例えば、ポリプロピレン材料は、幅広い範囲のフィラメントサイズおよびウェブ構造に加工するのに適したミディアムメルト粘性ポリプロピレン(medium melt viscosity polypropylene)とすることができる。
【0039】
メルトブローンヘッドは、複数のノズルを含むことができる。このようにして、単位時間当たりの吹き付けられる繊維の速度、およびメルトブローン繊維を受ける表面を増大させることができ、全体的な工程所要時間を短縮することができる。
【0040】
この方法は、少なくとも第1のノズルに第1の材料を供給するステップと、少なくとも第2のノズルに第2の材料を供給するステップとをさらに含むことができ、ここで、第1の材料と第2の材料は異なる材料である。複数のノズルに異なる材料を供給することによって、場合によっては性質(例えば弾性、色、直径など)が異なることもある異なる材料の繊維の混合物を有する不織布を形成することができる。メルトブローンヘッドと基材の間の相対的な動きに応じて、2種類の材料を混合することも、あるいは2種類の材料がそれぞれ不織布の一部分を形成することもできる。
【0041】
この方法は、第1の材料を第1の持続時間にわたって送達するステップと、第2の材料を第2の持続時間にわたって送達するステップとをさらに含むことができ、ここで、第1の材料と第2の材料は異なる材料である。このようにして、第1の材料の第1の層を作成し、次いで第2の材料で第2の層を作成することができる。繊維の材料が異なることにより、これらの層は、異なる性質を有することができ、それでいて、糊付け、縫製、または溶接を行うことなく互いに接合することができる。
【0042】
この方法は、第1の材料を形状の第1の部分に送達するステップと、第2の材料を形状の第2の部分に送達するステップとをさらに含むことができ、ここで、第1の材料と第2の材料とは異なる材料である。したがって、最終的な不織布は、異なる部分に異なる材料を備えることができる。例えば、靴甲部は、トウおよびヒールには、より堅い材料を含み、靴甲部の残りの部分には、より弾性の高い材料を含むことができる。本発明のプロセスにより、この2つの部分は、糊付け、縫製、または溶接などの追加の取り付け手段を用いなくても互いに結合することができる。特に、一体型のワンピース不織布をこのようにして得ることができ、継ぎを回避することができる。
【0043】
第2の材料を第1の材料からわずかに遅れるだけで送達して、第2の材料が吹き付けられたときには第1の材料がまだ軟らかい状態であるようにして、この2つの材料の間の良好な結合を保証することができる。別法として、またはこれと組み合わせて、吹き付けられたときの第2の材料の温度を、2つの材料が互いに接触するときに第1の材料を軟化または溶融させるのに十分に高く設定することができる。例えば、第1の材料に当たるときの第2の材料の温度は、約60〜70℃とすることができる。
【0044】
この方法は、メルトブローンヘッドの少なくとも1つのノズルに、第1の材料および第2の材料を横に並べた構成で供給するステップをさらに含むことができる。このようにして、多材料繊維を生成することができる。
【0045】
第1の材料を、第1のTPU材料とし、第2の材料を、第2のTPU材料とすることができ、ここで、第1のTPU材料は、第2のTPU材料と異なるグレードを有する。このようにして、繊維同士の非常に良好な結合を実現することができる。同時に、硬度および機械的性質を変えることができる。
【0046】
一般に、繊維を形成するために使用される材料は、硬化(すなわち冷却)後も多少の伸縮性を有するように選択することができる。したがって、伸縮性は、不織布の所望の適用分野に基づいて選択することができる。さらに、本発明により、靴型、特に凸状形状を含む靴型など、複雑な形状を有するものでも、ワンピースの薄い可撓性層の作成が可能になる。実際に、靴型は剛性であり、不織布の内側にあるが、不織布が伸縮して、例えば靴甲部の足首の開口を通して靴型を取り出せるようにすることができるので、靴型が1つまたは複数の凸型形状を呈するときでも、3次元不織布から容易に取り出すことができる。
【0047】
この方法は、第1の複数の繊維または第2の複数の繊維の後で少なくとも第3の複数の繊維を基材上に送達するステップをさらに含むことができ、ここで、第3の複数の繊維の材料は、第1の複数の繊維および/または第2の複数の繊維の材料と異なる材料である。このようにして、これらの層を別個のステップで接合しなくても、多層不織布を得ることができる。第3の複数の繊維は、第1および/または第2の複数の繊維と同じ方向に送達してもよいし、あるいは異なる方向に送達してもよい。
【0048】
この方法は、繊維送達デバイスを基材に対して動かすステップをさらに含むことができる。このようにして、繊維を、異なる位置で、かつ/または異なる距離で、かつ/または異なる方向から、基材に吹き付けることができる。
【0049】
これにより、例えば変化する(異なる)厚さを有するなど、かなり複雑な不織布を製造することが可能になる。基材が3次元形状である場合には、繊維送達デバイスおよび基材をそれに応じて動かすことによって、繊維を基本的に一様に分布させることができる。例えば、繊維を基材のあらゆる部分で3次元形状に直角に当てることができ、これは、3次元形状および繊維送達デバイスの静止配列では不可能である。本発明の文脈における「動き」は、平行移動、回転、およびその両者の組合せを含むものとして理解される。例えば、この相対的な動きは、直線的な平行移動のみであることもあるし、直線的な平行移動と複数の小さな回転の組合せであることもある。特に、回転および平行移動を使用する場合には、回転の頻度が高いと有利である。
【0050】
本発明は、所定の方向に、他の方向よりも高い割合で繊維を配置するステップを含む、不織布を製造する方法も包含する。基材に対する相対的な繊維送達デバイスの動きを使用して、所定の方向に他の方向よりも高い割合で繊維を配置して、異方性の不織布を作製することができる。このステップは、本発明による方法の他のステップと組み合わせてもよいし、組み合わせなくてもよい。特に、これは、本発明が提案するように、構成要素を一体化しなくてもえることができる。一般に、基材と繊維送達デバイスの間の相対速度が高くなるほど、配向された繊維の割合が高くなる。
【0051】
基材は、ロボットアーム上に配置することができる。このようにして、繊維のより良好な分布を実現することができる。例えば、ロボットアームは、一様な繊維の分布を形成するように動かすことができる。別の例では、ロボットアームは、例えば異なる方向への複数回の平行移動と複数回の回転の組合せなど、複雑なパターンをたどることができる。繊維送達デバイスは少なくとも1回は繊維材料の供給を必要とするので、通常は繊維送達デバイスより基板の方が3次元に変位させるのが簡単であるので、繊維送達デバイスではなく基板を変位させると有利である。ロボットアームは、靴型などいくつかの複雑な3次元形状の場合も、その3次元形状を360度回転させることを可能にするので有利である。ロボットアームは、また、不織布の各領域に特定の特徴を与えるように、基材の表面と繊維送達デバイスの間の距離を制御することも可能にする。実際に、繊維送達デバイスとその表面との間の距離は、不織層の構造および/または厚さに影響を及ぼす可能性がある。距離が小さくなるほど、不織層は、密に、かつ/または厚くなる。ロボットアームは、例えば、靴型など複雑な形状でも基材の表面と繊維送達デバイスの間に一定の距離を維持して、その形状全体にわたって不織層の特徴が一貫するようにすることを可能にする。
【0052】
あるいは、またはこれに加えて、繊維送達デバイスを、ロボットアーム上に配置することができる。ただし、いくつかの有利な実施形態では、繊維送達デバイスは固定される。実際に、固定型の繊維送達デバイスの方が、可動の繊維送達デバイスより維持するのが容易であり、安価である。
【0053】
この方法は、気流を使用して繊維送達方向を制御するステップをさらに含むことができる。このようにして、基材に対して繊維送達デバイスを動かさなくても、繊維の吹き付けを制御することができる。例えば、メルトブローンヘッドでは、3次の気流を使用して、繊維の軌跡の方向を制御することができる。
【0054】
この方法は、繊維送達デバイスと基材の間の距離を制御し、かつ/または繊維送達デバイスと基材の間の相対的な動きの速度を制御するステップをさらに含むことができる。このようにして、3次元形状にわたる繊維の分布を制御することができる。基材と繊維送達デバイスの相対的な動きを遅くすれば、より厚く、実施形態によってはより密に繊維を堆積させることができ、またその逆を行うこともできる。
【0055】
繊維の送達中に、繊維の直径を変化させることもできる。したがって、不織布は、繊維の直径が異なる複数の領域を備えることができる。したがって、不織布の特徴(密度、通気性など)を、局所的に変化させることができる。
【0056】
繊維の直径を変化させることは、直径の異なる少なくとも2つの異なるスピナレット穴を使用することを含むことがある。このようにして、繊維の直径を、幅広い直径の範囲にわたって変化させることができる。あるいは、またはこれに加えて、繊維の直径を変化させることは、気流を変化させることを含むこともある。あるいは、またはこれに加えて、第1の部分の繊維は、第1のメルトブローンヘッドから送達し、第2の複数の繊維は、第2のメルトブローンヘッドから送達し、ここで、第1のメルトブローンヘッドの少なくとも1つのノズルは、第2のメルトブローンヘッドの少なくとも1つのノズルより小さい直径を有する。繊維の直径は、手の感触、および不織布の機械的性質に影響を及ぼす。例えば、不織布は、より太い繊維の堅い底部部分と、より良好な手の感触を与える、より細い繊維のより軟らかい頂部層とを有することができる。
【0057】
距離および/または速度は、繊維を基材上に吹き付ける間に変化させることができる。このようにして、不織布は、異なる領域で異なる厚さを備えることができる。例えば、不織布は、第1の領域を第2の領域より厚くすることができる。
【0058】
3次元形状の場合、この形状は、凹状にすることもでき、この方法は、繊維を3次元形状の内面上に送達するステップをさらに含むことができる。この3次元形状は、靴成型型(ネガ靴型など)などの靴の空洞、あるいは本発明による方法、またはその他の任意の利用可能な方法(編成、織込み、または成型など)で作製したアッパー層とすることができる。これにより、靴甲部の内側層を、特に良好な適合をもたらすことができる不織布で作製することができる。内側層は、例えば、中敷および/またはパディングを形成する。
【0059】
第1の層および不織層は、それぞれ異なる機能を保証することができる。例えば、第1の層は、耐水性、または特定の領域での足の支持を保証することができ、不織層は、快適性を保証する中敷にすることができる。このような特徴は、また、所与の材料の層または構成要素と、それと同じ材料の不織構成要素または層とを組み合わせることによって、単一材料(例えばTPU)の靴甲部を作成することも可能にする。これにより、靴のリサイクルが容易になる。
【0060】
一般に、本発明による方法は、繊維を靴型上に吹き付けるか、靴の空洞内に吹き付けるかにかかわらず、底部部分すなわち足の下の部分も含む不織3次元ソックスを作成することを可能にする。この技術は、また、3次元形状上のいくつかの領域に不織布を形成して、パディングを、いくつかの実施形態では靴の他の部分と同じ材料のパディングを作成することも可能にすることがある。また、不織布を複数層で形成することにより、等方性層または異方性層を得ることが可能になることがある。異方性層は、所定の方向に他の方向より高い割合で繊維を配置することによって得ることができる。これは、例えば、繊維送達デバイスを、所定の方向に基材に対して動かすことによって実現することができる。
【0061】
この方法は、基材を少なくとも部分的に基層で覆うステップと、第1の複数の繊維および/または第2の複数の繊維のうちの少なくとも一部分を基層上に送達するステップとをさらに含むことができる。したがって、不織布は、追加の接合ステップなしで、直接基層に結合することができる。例えば、靴甲部の不織布は、撥水膜上に直接形成することができる。基層は、例えば織物または編物などの布とすることができる。あるいは、基層は、例えば革または不織布であってもよい。
【0062】
この方法は、第1の複数の繊維および/または第2の複数の繊維を、基材の第1の領域上に送達するが、第2の領域上には送達しないステップをさらに含むことができる。これにより、切断しなくても、所望の寸法を有する不織布を形成することが可能になる。例えば、靴甲部の不織布は、繊維を靴型の上面のみに送達し、下面には送達しないことによって形成することができる。別の例では、不織布が靴甲部の後方部分用である場合には、繊維を靴型の後方部分に送達し、前方部分には送達しなければよい。本発明により、ヒールカウンタを靴甲部のヒール部分に直接組み込むことができる。
【0063】
あるいは、またはこれに加えて、この方法は、繊維を吹き付ける持続時間を変化させるステップを含むことができる。例えば、繊維を、最初は第1の領域のみに吹き付け、その後、第2の領域のみに吹き付けることもできる。別の例では、繊維を、最初は基材および/または構成要素のほぼ全域に吹き付け、その後、第2の領域のみに吹き付ける(またはその逆を行う)。
【0064】
メッシュのループ、または多孔性材料の孔によって、穴を形成することもできる。例えば、基材は、多孔性の靴型とすることもできる。穴を有する基材は、3D印刷など、付加製造によって得ることができる。
【0065】
圧力差の強さを基材の表面にわたって変えることで、不織布の厚さを局所的に変えることができる。このようにして、変化する(異なる)厚さを有するより複雑な不織布を得ることができる。例えば、靴甲部の不織布は、ヒールの領域を厚くして、この領域にある程度のパディングを形成することもできる。
【0066】
3次元形状は、テクスチャ付きにすることができる。このようにして、不織布に、テクスチャ付きの表面を容易に設けることができる。例えば、サッカーシューズの靴甲部の不織布にテクスチャを設けて、サッカーボールのグリップ性を高めることができる。
【0067】
不織布に適用されるテクスチャは、基材の表面の構造および/または多孔度を選択することによって制御することができる。上述のように圧力差を印可する場合には、圧力差の強さによってテクスチャを制御することもできる。
【0068】
この方法は、不織布が3次元形状上に位置している間に、不織布を覆うように取外し可能膜を配置するステップをさらに含むことができる。これは、基材に圧力差を印可することと組み合わせると、圧力差によって不織布をさらに圧縮することができるので、特に有利である。
【0069】
この方法は、取外し可能膜を配置した後で圧力差を印加するステップをさらに含むことができる。このようにして、不織布を固化することができる。さらに、テクスチャ付きの膜を使用する場合には、不織布に表面テクスチャを設けることができる。
【0070】
この膜は、テクスチャ付きにすることができる。このようにして、不織布に、テクスチャ付きの上面(すなわち基材とは反対側に向く表面)を設けることもできる。テクスチャ付きの基材と組み合わせると、両側にテクスチャを有する不織布を提供することができる。
【0071】
この方法は、不織布に圧力および/または熱を印加するステップをさらに含むことができる。特に、この方法は、不織布が3次元形状上に位置している間に、不織布に圧力および/または熱を印加するステップをさらに含むことができる。このステップは、例えば、膜が不織布を覆うように配置されている間に行うことができる。このようにして、不織布の表面を固化し、かつ/または仕上げることができる。特に、不織布をテクスチャ付きにし、かつ/または圧縮することができる。熱を印加することにより、耐摩耗性、ならびに引張り強さおよび引裂き強さなどのその他の機械的性質も改善される。圧力および/または熱は、局所的にのみ印加する、すなわち不織布の特定の領域のみに印加することもできる。
【0072】
いくつかの実施形態では、圧力および/または熱を不織布に局所的に印加して、不織布の性質を局所的に修正することができる。これにより、例えばいくつかの補強材を局所的に作成することが可能になることもある。
【0073】
2次元不織布上では少なくとも、熱および/または圧力は、カレンダ加工によって印加することができる。
【0074】
一般に、不織布の外面を(熱および/または圧力の印加によって)硬化させることにより、より固い、吸水性が低い、耐摩耗性が良好であるなどの層を作成することができることがある。また、熱および/または圧力の印加によって、不織布の外側にデザインを刻印することもできる。
【0075】
本発明のさらに別の態様は、上述の方法によって製造される不織布に関する。
【0076】
本発明のさらに別の態様は、靴甲部を製造する方法を対象としている。この方法は、上述の方法に従って第1の不織布を製造するステップを含み、ここで、第1の不織布は、靴甲部の一部である。
【0077】
この靴甲部を製造する方法は、上述の方法に従って第2の不織布を製造するステップであり、第2の不織布が、靴甲部の一部である、ステップと、第1の不織布と第2の不織布とを接合するステップとをさらに含むことができる。例えば、靴甲部の異なる部分を、3次元形状を有する靴甲部構成要素の形態で作成し、次いで、例えば熱の印加(例えば溶接)または糊の塗布などによってそれらを組み立てることができる。このような構成要素は、性質の異なる複数の層または構成要素、例えば異なる材料で構成された複数の構成要素、および/または異なる製造方法(例えば編成または織込み)で構成された複数の構成要素に組み付けることもできる。
【0078】
本発明のさらに別の態様は、上述の方法に従って製造される靴甲部に関する。
【0079】
本発明のさらに別の態様は、不織布を製造する方法であって、(a.)基材を提供するステップと、(b.)繊維を基材上に送達するように適合されたメルトブローンヘッドを提供するステップと、(c.)メルトブローンヘッドの少なくとも第1のノズルに第1の材料を供給するステップと、(d.)メルトブローンヘッドの少なくとも第2のノズルに第2の材料を供給するステップであり、第1の材料が第2の材料と異なる、ステップと、(e.)第1の材料および第2の材料を基材上に送達するステップとを含む方法に関する。複数のノズルに異なる材料を供給することにより、場合によっては性質(例えば弾性、色、直径など)が異なることもある異なる材料の繊維の混合物を有する不織布を形成することができる。メルトブローンヘッドと基材の間の相対的な動きに応じて、2種類の材料を混合することも、あるいは2種類の材料がそれぞれ不織層の一部分を形成することもできる。
【0080】
この方法は、第1の材料を第1の持続時間にわたって送達するステップと、第2の材料を第2の持続時間にわたって送達するステップとをさらに含むことができ、ここで、第1の材料と第2の材料は異なる材料である。このようにして、第1の材料の第1の層を作成し、次いで第2の材料で第2の層を作成することができる。繊維の材料が異なることにより、これらの層は、異なる性質を有することができ、それでいて、糊付け、縫製、または溶接を行うことなく互いに接合することができる。
【0081】
この方法は、第1の材料を形状の第1の部分に送達するステップと、第2の材料を形状の第2の部分に送達するステップとをさらに含むことができ、ここで、第1の材料と第2の材料とは異なる材料である。したがって、最終的な不織布は、異なる部分に異なる材料を備えることができる。例えば、靴甲部は、トウおよびヒール領域には、より堅い材料を含み、靴甲部の残りの部分には、より弾性の高い材料を含むことができる。本発明のプロセスにより、この2つの部分は、糊付け、縫製、または溶接などの追加の取り付け手段を用いなくても互いに結合することができる。特に、一体型のワンピース不織布をこのようにして得ることができ、継ぎを回避することができる。
【0082】
第2の材料を第1の材料からわずかに遅れるだけで送達して、第2の材料が吹き付けられたときには第1の材料がまだ軟らかい状態であるようにして、この2つの材料の間の良好な結合を保証することができる。別法として、またはこれと組み合わせて、吹き付けられたときの第2の材料の温度を、2つの材料が互いに接触するときに第1の材料を軟化または溶融させるのに十分に高く設定することができる。例えば、第1の材料に当たるときの第2の材料の温度は、約60〜70℃とすることができる。
【0083】
第1の材料を、第1のTPU材料とし、第2の材料を、第2のTPU材料とすることができ、ここで、第1のTPU材料は、第2のTPU材料と異なるグレードを有する。このようにして、繊維同士の非常に良好な結合を実現することができる。同時に、硬度および機械的性質を変化させることができる。
【0084】
本発明のさらに別の態様は、不織布を製造する方法であって、(a.)基材を提供するステップと、(b.)繊維を基材上に送達するように適合されたメルトブローンヘッドを提供するステップと、(c.)メルトブローンヘッドの少なくとも1つのノズルに第1の材料および第2の材料を横に並べた構成で供給するステップと、(d.)第1の材料および第2の材料を基材上に送達するステップとを含む方法に関する。このようにして、多材料繊維を生成することができる。
【0085】
第1の材料を、第1のTPU材料とし、第2の材料を、第2のTPU材料とすることができ、ここで、第1のTPU材料は、第2のTPU材料と異なるグレードを有する。このようにして、繊維同士の非常に良好な結合を実現することができる。同時に、硬度および機械的性質を変化させることができる。
【0086】
本発明のさらに別の態様は、不織布を製造する方法であって、(a.)基材を提供するステップと、(b.)繊維を基材上に送達するように適合された繊維送達デバイスを提供するステップと、(c.)繊維送達デバイスによって繊維を基材上に送達するステップと、(d.)繊維送達デバイスと基材の間の距離を制御し、かつ/または繊維送達デバイスと基材の間の相対的な動きの速度を制御するステップとを含む方法に関する。このようにして、3次元形状にわたる繊維の分布を制御することができる。基材と繊維送達デバイスの相対的な動きを遅くすれば、より厚く、実施形態によってはより密に繊維を堆積させることができ、またその逆を行うこともできる。
【0087】
繊維送達デバイスと基材の間の距離の制御、および/または繊維送達デバイスと基材の間の相対的な動きの速度の制御は、繊維送達デバイスおよび/または基材を、その経路が予め決定されており、かつ/または制御される、ロボットアームなどのロボットデバイス上に取り付けることによって得ることができる。繊維送達デバイスと基材の間の相対的な動きは、特に、コンピュータプログラムによって制御することができる。
【0088】
繊維の送達中に、繊維の直径を変化させることもできる。したがって、不織布は、繊維の直径が異なる複数の領域を備えることができる。したがって、不織布の特徴(密度、通気性など)を、局所的に変化させることができる。
【0089】
繊維の直径を変化させることは、直径の異なる少なくとも2つの異なるスピナレット穴を使用することを含むことがある。このようにして、繊維の直径を、幅広い直径の範囲にわたって変化させることができる。あるいは、またはこれに加えて、繊維の直径を変化させることは、気流を変化させることを含むこともある。あるいは、またはこれに加えて、第1の部分の繊維は、第1の繊維送達デバイスから送達し、第2の複数の繊維は、第2の繊維送達デバイスから送達し、ここで、第1の部分の繊維は、第2の部分の繊維より小さい平均直径を有する。繊維の直径は、手の感触、および不織布の機械的性質に影響を及ぼす。例えば、不織布は、より太い繊維の堅い底部部分と、より良好な手の感触を与える、より細い繊維のより軟らかい頂部層とを有することができる。
【0090】
3次元形状の場合、この形状は、凹状にすることもでき、この方法は、繊維を3次元形状の内面上に送達するステップをさらに含むことができる。この3次元形状は、靴成型型(ネガ靴型など)などの靴の空洞、あるいは本発明による方法、またはその他の任意の利用可能な方法(編成、織込み、または成型など)で作製したアッパー層とすることができる。これにより、靴甲部の内側層を、特に良好な適合をもたらすことができる不織布で作製することができる。第1の層および不織層は、それぞれ異なる機能を保証することができる。例えば、第1の層は、耐水性、または特定の領域での足の支持を保証することができ、不織層は、快適性を保証する中敷にすることができる。このような特徴は、また、所与の材料の層または構成要素と、それと同じ材料の不織構成要素または層とを組み合わせることによって、単一材料(例えばTPU)の靴甲部を作成することも可能にする。これにより、靴のリサイクルが容易になる。
【0091】
本明細書に記載する本発明の全ての態様によれば、不織布は、衣服の遮音構造の第1の層として使用することができる。遮音構造は、吸音材料を含む少なくとも第1の層と、音を反射する、または拡散する、あるいはその両方を行うように適合された少なくとも第2の層とを含むことができる。特に、不織布の繊維のサイズおよび密度は、対象とする周波数範囲で高い吸音性が得られるように選択することができる。
【0092】
第2の層は、例えば熱および/または圧力を印加するなど、不織布の第1の層の1つの面を後処理することによって得ることができる。第2の層も、不織布に熱および/または圧力を印加することによって得ることができ、次いで、これを第1の層と結合することができる。
【0093】
その上に不織布を形成する基材は、上述のように3次元形状とすることができる。これにより、不織布は、最終的な製品の3次元形状で直接形成することができる。したがって、この不織布は直接その有用な形状に作成することができるので、不織布の追加成形が不要である。この3次元形状は、例えば、頭部、フード、またはポケットなどの形状とすることができる。
【0094】
基材は、テクスチャを有することができる。不織布は、これにより、基材と接触する面にネガテクスチャを取り込む。このようなテクスチャにより、快適性および/または音の拡散を改善することができる。
【0095】
基材は、その表面の少なくとも一部分に複数の穴を含むことができ、この方法は、これらの複数の穴に圧力差を印可して、基材上に送達された繊維が圧力差によって引きつけられるようにするステップをさらに含むことができる。これにより、繊維を圧縮して、より密な不織布を得ることが可能になる。いくつかの実施形態では、また、これにより、音の拡散、吸音、および/または快適性を改善するように表面上にテクスチャを作成することが可能になることがある。特に、幅広アレイの形状を有する基材により、そのアレイの穴の中に繊維が引き込まれて、不織布の内面にパッドハンプ(padded humps)を形成することで、テクスチャを作成することもできる。
【0096】
以下、本発明の態様について、添付の図面を参照してさらに詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0097】
図1】本発明の文脈で使用することができる例示的なメルトブローンプロセスを示す概略図である。
図2A】本発明の方法により得られる不織布の一部分の例示的な実施形態を示す図である。
図2B】本発明の方法により得られる不織布の一部分の例示的な実施形態を示す図である。
図3A】本発明の方法により得られる不織布の例示的な実施形態を示す図である。
図3B】本発明の方法により得られる不織布の例示的な実施形態を示す図である。
図4A】基材上の穴の配列を変化させる例を示す図である。
図4B】基材上の穴の配列を変化させる例を示す図である。
図4C】基材上の穴の配列を変化させる例を示す図である。
図5A】本発明の概念の変形の実施形態を示す図である。
図5B】本発明の概念の変形の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0098】
以下、本発明の実施形態および変形形態について詳細に説明する。
【0099】
図1は、繊維11を基材12に送達して不織布13を形成することができる方法の例を示す図である。図1に概略的に示すプロセスは、メルトブローンプロセスである。ただし、一般に、本発明の文脈では、繊維を基材12に送達することができるいかなる技術でも使用することができる。このような代替技術の一例は、静電力、すなわち図1に参照番号14で示すような繊維送達デバイスと基材12の間に印加した電場を使用することである。
【0100】
図1に示すメルトブローンプロセスでは、樹脂15をスピナレット16に供給する。様々な不織構造を生成するのに適した加工しやすい樹脂の一例は、ポリプロピレンホモポリマーである。一般に、本発明の文脈では、メルブロプロセスでの使用に適した任意の材料を使用することができる。このような材料の一例は、熱可塑性ポリウレタン(TPU)である。
【0101】
樹脂15をスピナレット16内でその融点を超える温度に加熱する。スピナレット16は、15ミクロンから30ミクロンの間など小さな直径を有する開口を含み、これによりノズル17を形成している。溶融した樹脂15を、ノズル17から出る1次気流18によって引き出してフィラメントにする。渦流により、フィラメントを、ステープルファイバと呼ばれる特定の長さの繊維11に分解する。2次気流19により、繊維11を基材12上に送達する。したがって、この気流は、竜巻を逆さにしたような形で繊維を降下させ、繊維は、円の直径を目標に向かって次第に広げながら空気中で渦(回転)流と共に旋回する。このようにして、不織布13を、無作為な繊維アレイとして形成する。
【0102】
このように生成された繊維11は、1μmから100μmの直径、好ましくは5μmから50μmの間の直径、より好ましくは10μmから30μmの直径を有する。
【0103】
繊維送達デバイス14は、複数の上記のようなノズル17を含んで、ファイバ11の生成速度を高めることができることに留意されたい。また、複数のノズル17のうちの第1の部分には第1の材料を供給し、第2の部分のノズル17には、第1の材料と異なる第2の材料を供給することも可能である。この目的のために、異なる樹脂15を使用することができる。このようにして、異なる種類の繊維を基材12上に送達することができる。これらの繊維は、送達時に混合することもあるし、あるいは基材12上に材料の異なる複数の領域が形成されるように異なる位置で基材12に当たることもある。
【0104】
不織布13に材料の異なる複数の領域を形成するには、第1の材料の繊維11を最初に送達し、以下でさらに詳細に述べるように基材12を繊維送達デバイスに対して動かし、その後に第2の異なる材料の繊維11を基材上に吹き付けることも可能である。これは、樹脂15を交換することによって、または異なる樹脂15が供給される異なるノズル17を使用することによって実現することができる。
【0105】
ノズル17などのノズルに、2種類の異なる材料を、横に並べた構成で、または混合物として供給して、2成分繊維を得ることも可能である。この目的のために、繊維送達デバイス14は、2種類の異なる樹脂15のための2つのタンクを含むことができる。
【0106】
図1の例では、基材12は、3次元半球形状を有するものとして示してある。一般に、本発明の文脈では、基材は、任意の3次元形状を有することができ、凸状表面および/または凹状表面を含むことができる。基材12の3次元形状は、物品で使用されるときの最終的な不織布の形状に適合されると有利である。例えば、図1の半球形状は、半球状の不織布13を生じる。このような半球状不織布13は、例えば、ボールのブラダ、カーカス、またはパディング、あるいはその一部として使用されることがある。
【0107】
図1の基材12は凸状であるものとして示してあるが、基材12は、例えば中空の半球など、凹状形状を有することもできる。その場合には、繊維11は、その中空の半球の内面に送達すればよい。別の例では、基材12は、靴型であることもある。したがって、靴型上に形成された不織布13は、靴甲部、靴のソール、またはその一部の形状を有することがある。本発明の文脈では、基材12が2次元形状を有することもある、すなわち、基材12が平面状であることもあることに留意されたい。
【0108】
矢印110で示すように、基材12は、繊維送達デバイス14に対して動かすことができる。これは、基材12を動かして、繊維送達デバイス14を適所に保持することによって実現してもよいし、その逆を行うことによって実現してもよい。基材12および繊維送達デバイス14の両方を動かすことも可能である。矢印110で示すように、基材12を繊維送達デバイス14の下で直線軌道に沿って動かす。したがって、繊維は、最初に半球の右側の基材12の周囲領域に送達され、次いで、半球の中央に送達され、最後に半球の左側の周囲領域に送達される。基材12が動いている間、繊維移動の方向を一定に保つと、半球の頂部には半球の両側よりも多くの繊維が堆積することになる。したがって、得られる不織布13は、頂部が厚くなる。
【0109】
基材12は、矢印111で示すようにより複雑な動きを行うこともできる。例えば、基材は、垂直方向および/または水平方向に回転させることもできる。本発明の文脈では、「動き」は、1回または複数回の平行移動、1回または複数回の回転、あるいは1回または複数回の平行移動と1回または複数回の回転との組合せを含むものとして理解される。回転は、空間内の任意の方向に行うことができ、動きは、空間内の任意の軌道に沿って行うことができる。
【0110】
基材12をロボットアーム(図示しない)に取り付けることによって、複雑な動きを実現することができる。例えば、ロボットアームは、繊維11の一様分布をもたらすように動かすこともできる。別の例では、ロボットアームは、例えば異なる方向への複数回の平行移動と1つまたは複数の軸の周りの複数回の回転の組合せなど、複雑なパターンをたどることができる。ロボットアームは、靴型などいくつかの特定の3次元形状の場合には、その3次元形状を360度回転させることを可能にするので、非常に有利である。ロボットアームは、また、不織布13の各領域に特定の特徴を与えるように、基材12の表面と繊維送達デバイス14の間の距離112を制御することも可能にする。実際に、繊維送達デバイス14とその表面との間の距離112は、不織布13の構造および/または厚さなど、いくつかの特徴に影響を及ぼす可能性がある。ロボットアームは、例えば、基材12の表面と繊維送達デバイス14の間に一定の距離を維持して、基材の形状が複雑な場合でもその形状全体にわたって不織層13の特徴が一貫するようにすることを可能にする。あるいは、またはこれに加えて、繊維11を基材12上に送達する間、ロボットアームの動きの速度を制御し、変化させることもできる。
【0111】
あるいは、またはこれに加えて、メルトブローンヘッドをロボットアーム上に配置することもできる。この場合も、上記と同じ考慮事項が当てはまる。
【0112】
基材12上に繊維11を直接吹き付ける代わりに、基材12上に基層(図示せず)を配置し、その基層上に繊維を送達することもできる。繊維11は、基層に結合することができる。このような基層は、例えば、不織布、織布、または編物とすることができる。基層の材料は、繊維11が基層に結合しやすくなるように、繊維11の材料と同じであってもよい。
【0113】
繊維11は、基材12全体に吹き付けられないこともある。例えば、靴甲部用の不織布13は、繊維を靴型の上面に送達するだけで、下面には送達しなくても形成することができる。別の例で、不織布が靴甲部の後方部分用のものである場合には、繊維11は、靴型の後方部分に送達すればよく、前方部分には送達しなくてもよい。繊維11の基材12上への部分的吹き付けは、例えば、上述のように基材12または繊維送達デバイス14あるいはその両方をロボットアームに取り付けることによって実現することができる。
【0114】
図1に矢印113で示すように、基材12に圧力差を印加する。一般に、基材12は、少なくともその表面の一部分は通気性である。この目的のために、図1の例示的な実施形態の基材12は、複数の穴を含み、図1では、そのうちの3つを例示的に参照番号114で示してある。この圧力差により、3次元形状12に吹き付けられた繊維11が引きつけられる。したがって、繊維11が詰まり、より密な不織布13が得られる。真空源、ポンプ、またはそれに類した基材12に接続されたデバイスによって、この圧力差を生じて、矢印113で示すように穴114を通る気流が生じるようにすることができる。このようにして、吸引力が生成される。
【0115】
本発明によれば、圧力差の強さは、基材12の表面にわたって変わる(異なる)。基材12の表面にわたって圧力差の強さを変えることにより、不織布13の例えば厚さなどの性質を局所的に変えることが可能になる可能性がある。例えば、靴甲部用の不織布13では、ヒールの領域をより厚くして、この領域にある程度のパディングを形成することもできる。圧力差の変化は、基材12の表面にわたって穴114のサイズおよび/または形状および/または密度を変化させることによって実現することができる。基材は、穴のない領域をいくつかと、穴114を有するその他の領域とを含むこともできる。特に、一部の領域は、穴のアレイを含むこともできる。
【0116】
基材12上の穴の配列を変化させる一例を、図4A図4B、および図4Cに示す。これらの図面は、靴型の形状をした基材12を示している。靴型12は、穴を有する様々なゾーンを含み、穴のうちのいくつかを例示的に参照番号114で示してある。第1のゾーン41は、靴型12の外側インステップ部分に配置される。第2のゾーン42は、靴型12の内側インステップ部分に配置される。第3のゾーン43は、靴型12の中央インステップ部分に配置される。第4のゾーン44は、靴型12のヒール部分に配置される。第5のゾーン45は、靴型12のカラー部分に配置される。第6のゾーン46は、靴型12の内側ミッドフット下方部分に配置される。第7のゾーン47は、靴型12のフォアフット部分の下方内側に配置される。したがって、これらの様々なゾーン41から45の穴にわたって圧力差を印加することにより、繊維を靴型12の形状に沿わせる。特に、ゾーン46では、繊維は、靴型12の凹状領域をまたぐのではなく、靴型12の凹状形状に沿う。さらに、ゾーン41、42、43、44などの凹部に穴が配置される場合には、靴型12の穴のない領域と比較して不織布の厚さを大きくして、いくつかのパディングゾーンを形成することができる。
【0117】
他の実施形態では、穴114が複数のゾーンに配置され、異なる強度を有する異なる真空源またはポンプが、それらの様々なゾーンに接続される。もちろん、基材12が、図4Aから図4Cを参照して説明したように、特定の領域のみに穴114を含み、他の領域には穴を含まない、ということも可能である。例えば、図4Aから図4Cの実施形態では、上側フォアフット領域にはいかなる穴もなく、非通気性になっている。
【0118】
また、穴114は、基材12の凹状部分41、42、43、44(または凹部)に配置することもできる。基材の凹状部分に穴を配置することにより、繊維がこの凹状部分に引きつけられて、凹状部分をまたがないことを保証できる可能性がある。基材の凹状部分に穴を配置することにより、いくつかのパディングゾーンを作成することができる。図4Aから図4Cの例で分かるように、靴型12では、ヒール領域44および舌革部分43にこのような凹状部分を作成して、これらの領域にパディングを形成している。一方、不織層の形状が靴型12の形状と一致することを保証するために、下方ミッドフット46の凹状部分には穴が配置されている。また、繊維が小さな内角の線に沿って靴型12の形状に沿うことを保証するために、下方フォアフット領域47には穴が配置されている。
【0119】
基材は、例えば図4Aから図4Cの例ではカラーゾーン45など、完成製品の縁部に対応する線に沿って穴を含むことができる。実際に、これにより、これらの線に沿って不織材料のより密な構成を得ることができ、それにより不織布をその線に沿って切断した後で、より明白な縁部を最終的な製品に形成することができる。
【0120】
さらに、基材の穴のサイズおよび/または形状および/または密度は、不織布にテクスチャを与えるように選択することができる。このようなテクスチャを使用して、ユーザに快適性、または例えば触覚フィードバックなどを提供することができる。また、本発明による方法では、不織布は、基材に吹き付けた後で裏返して、繊維を基材に吹き付けたときに基材と接触していた内面が不織布の外面になるようにすることもできる。これを利用して、何らかの美的効果を生じる、または例えば把持性を改善することができる。特に、これにより、基材のテクスチャを、靴甲部など最終的な製品の外面のネガテクスチャとして転写することができる。
【0121】
基材は、付加製造によって作成することができる。これにより、基材の複雑な形状を得ることができる可能性がある。このような技術では、また、例えば1mm未満、特に0.5mm未満、例えば0.1mmから0.5mmの間などの非常に小さな直径の穴を作成することができる可能性もある。
【0122】
テクスチャ付き表面を有する不織布13を提供するために、表面テクスチャ(図1には図示せず)を有する基材12を使用することができる。基材12のテクスチャは、ネガとして不織布13に転写されることになる。この効果は、上記で説明したように圧力差を使用することによって増幅することができる。
【0123】
繊維を圧縮する圧力差の効果は、不織布13が3次元形状12上に位置しているときに不織布13を覆うように取外し可能な膜(図1には図示せず)を配置することによって増幅することができる。この膜が、空気または気体に対して不透過性、または少なくとも部分的に不透過性である場合には、この膜は、不織布13に吸い付けられ、繊維11を圧縮することになる。さらに、例えば赤外線照射器または別の適当な熱源によって膜に熱を印加することもできる。この熱は、膜によって不織布13に伝達され、繊維11を少なくとも部分的に溶融または軟化させることにより、繊維11を固化する。熱の印加は、個々の繊維11間の結合を強化することができ、不織布を圧縮状態に維持することを助けることができる。この膜に適当な材料の一例は、シリコーンである。
【0124】
本発明の方法によれば、第1の複数の繊維11を、上記で説明したように基材12に送達する。次いで、構成要素(図1には図示せず)を、基材12に送達した第1の複数の繊維11上に配置する。その後、第2の複数の繊維11を、この構成要素の少なくとも一部分、および第1の複数の繊維11の少なくとも一部分の上に送達する。繊維11の移動は、構成要素を第1の複数の繊維11上に配置する間は中断し、構成要素を配置した後で、繊維11の移動を引き続き行うことができる。あるいは、繊維11の移動を中断せず、繊維11を基材12、第1の複数の繊維、および/または構成要素上に送達しながら、構成要素を配置する。構成要素は、例えば、図2Aおよび図2Bを参照してより詳細に示すように不織布の伸縮性を局所的に低下させる機能を有する補強材とすることもできる。構成要素は、パディング、クッション、電子構成要素、膜(例えば耐水膜)などであってもよい。
【0125】
構成要素は、手作業で配置してもよいし、ロボットアーム(図1には図示せず)によって配置してもよい。いずれの場合も、構成要素は、複数の同様の構成要素を含むスタックからとることができる。
【0126】
第1の複数の繊維上に配置される構成要素の数は任意であり、少なくとも1つであればよい。したがって、2つ、3つ、またはそれ以上の構成要素を第1の複数の繊維状に配置し、その後にそれらの配置した構成要素のうちの1つまたは複数に繊維11を送達することもできる。構成要素は、部分的に、または全体的に重なり合っていてもよいし、互いに分離していてもよい。本発明によれば、1つまたは複数の第1の構成要素を第1の複数の繊維11上に配置し、第1の複数の繊維11およびその1つまたは複数の第1の構成要素の上に第2の複数の繊維11を送達し、その第2の複数の繊維11および/あるいはその1つまたは複数の第1の構成要素の上に1つまたは複数の第2の構成要素を配置し、第1の複数の繊維11および/あるいは第2の複数の繊維11および/あるいは第1の1つまたは複数の構成要素および/あるいは第2の1つまたは複数の構成要素の上に第3の複数の繊維11を送達することもできる。したがって、不織布13の厚さの様々な高さのところに構成要素を埋め込む、または「挟み込む」ことができる。
【0127】
不織布13に、特定の後処理または仕上げステップを施すこともできる。例えば、熱および/または圧力を印加して、不織布の特徴を修正することもできる。これを行うために、不織布をカレンダの2つのシリンダの間に通すなど、様々な技術を使用することができる。特に、圧力および熱の印加は、材料を局所的に緻密化し、それにより少なくとも厚さおよび/または伸縮性を修正する効果を有する。また、視覚的に魅力的なデザインを得るために、このプロセスによって透明性を得ることもできる。
【0128】
不織布13に噴霧を適用することもできる。例えば、不織布13の特徴を局所的に修正するポリウレタン(PU)噴霧を適用することもできる。別法として、またはこれと組み合わせて、噴霧を特定の色のものにして、不織布13の視覚的特徴を向上させることもできる。噴霧は、特に、不織布に浸透して、その特徴、特にその機械的特徴を修正することができる。
【0129】
図2Aおよび図2Bは、例示的な不織布13を示す図である。図2Aおよび図2Bの例の不織布13は、靴甲部の形状を有する。不織布13のこの部分は、図2Aでは平面状の2次元構成で示してあり、図2Bでは3次元構成で示してある。不織布13は、図1を参照して上述した平面状基材(図2Aおよび図2Bには図示せず)に送達された第1の複数の繊維21を含む。2つの構成要素22Aおよび22Bは、上述の第1の複数の繊維21上に配置されており、その第1の複数の繊維21および構成要素22Aおよび22B上に、第2の複数の繊維を送達してある。2つの構成要素22Aおよび22Bは、第2の複数の繊維を通して依然として視認可能である。
【0130】
図2Aおよび図2Bの例では、構成要素22Aおよび22Bは、それぞれ靴甲部の内側および外側に位置する靴甲部の補強材である。図2Aおよび図2Bの例の構成要素は、TPUで構成される。例えば、TPU繊維への良好な結合を保証し、より良好なリサイクル性を有する、小型のTPU材料を使用することができる。
【0131】
図2Aおよび図2Bの例では、構成要素22Aおよび22Bは、それぞれ開口23Aおよび23Bを含む。第2の複数の繊維11を不織布23に送達すると、繊維11は、開口23Aおよび23Bの内側に配置されることになる。第1の複数の繊維21および第2の複数の繊維の繊維同士は、開口23Aおよび23Bの内側で互いに結合するが、それぞれ構成要素22Aおよび22Bの外側でも互いに結合する。このようにして、構成要素22Aおよび22Bは、繊維によって適所にしっかりと保持される。本発明の文脈における構成要素は、任意数の開口を有することができ、開口をまったく含まないこともあることに留意されたい。
【0132】
これに加えて、または別法として、構成要素22Aおよび22Bは、繊維11に取り囲まれるようになされた少なくとも1つの付属物(図示せず)を含むことができる。このような付属物は、アンカの形状を有していてもよいし、単純に直線状の延長部であってもよい。この付属物により、構成要素が不織布の内側に固定されることが保証され、構成要素が意図せずに滑ることがさらに回避される。一般に、第1の複数の繊維21上に配置された構成要素は、繊維によって適所に保持されるような形状を有することができる。この目的のために、構成要素は、テクスチャ付き表面(図示せず)を有することができる。このように、構成要素の表面と接触する繊維は、さらに良好に構成要素に付着することになる。
【0133】
図2Aおよび図2Bの例では、構成要素22Aおよび22Bは、靴甲部の縁部まで延びる。したがって、側面から見ると、完成した不織布13の縁部は、第1の複数の繊維21と第2の複数の繊維の間に「挟み込まれた」構成要素22Aおよび22Bを示すことになる。ただし、構成要素22Aおよび22Bが靴甲部の形状より小さく、それにより不織布13の内側に完全に埋め込まれることもある。その場合には、構成要素22Aおよび22Bは、不織布の材料、色、および厚さによっては、不織布13の縁部も含めて全く視認できないこともある。
【0134】
また、構成要素の少なくとも1つの表面が、溶融可能層を含むこともある。この溶融可能層は、第1の複数の繊維21または第2の複数の繊維と対向することがある。したがって、例えば上述のメルトブローンプロセスを使用して繊維を基材12上に送達する場合には、高温の繊維が溶融可能層を溶融または軟化させ、溶融可能層と結合することができる。あるいは、構成要素は、熱を印加しなくても繊維11に付着する接着剤を含むこともある。接着剤または溶融可能層を構成要素の両側に塗布して、構成要素が第1の複数の繊維21および第2の複数の繊維の両方に付着するようにすることもできる。
【0135】
図2Aおよび図2Bに示す不織布13は、ヒール領域に熱/圧力処理を施して、不織層21をさらに半透明にしてある。
【0136】
図3Aおよび図3Bは、上述した本発明による方法によって得られたソックス状靴甲部31の形状をした例示的な不織布を示す図である。図3Bで分かるように、靴甲部31は、靴のソール(図3Aおよび図3Bには図示せず)に向く底部側32を含む。したがって、靴甲部31は、足開口33以外は閉じた幾何学的形状を有し、基本的にソックス状である。
【0137】
ソール構造は、例えば縫製、糊付け、または溶接によって、靴甲部31の底部側32に直接取り付けることができる。また、射出成形によって靴ソール構造を設けることもできる。ソール構造が例えばクッションまたはパディングとして繊維を含む場合には、靴甲部31がまだ靴型上にあるときに、上述のように繊維送達デバイス14から繊維を送達することもできる。このようにして、ソール構造の一部(またはソール構造全体)を、1つのプロセスで靴甲部31と一体形成することができる。
【0138】
さらに別の構成要素が靴甲部31に取り付けられることもあり得る。例えば、ロゴまたはコーティングを、靴甲部31に貼付することができる。また、靴甲部用の第1の不織布および第2の不織布を、本明細書に記載するように製造することもある。これらの不織布は、靴甲部の異なる部分である。例えば、第1の不織布を、ヒールカウンタを不織布に埋め込まれた構成要素として含む後方部分とし、第2の不織布を、トウカウンタをその不織布に埋め込まれた構成要素として含む、対応する前方部分とすることもできる。次いで、これらの部分を、糊付け、縫製、溶接などによって接合して、靴甲部を得ることができる。一般に、任意数のこのような構成要素を接合して、靴甲部を得ることができる。
【0139】
図2A図2B図3Aおよび図3Bは、本発明の方法によって靴甲部またはその一部として得られる不織布13を示しているが、本発明によれば、不織布は、一般に、例えば服装品の全体またはそれらの一部分、靴またはその一部分(ソール構造を含む)、スポーツ装具またはその一部分(ブラダおよびカーカスを含む)、バッグまたはその一部分、アクセサリまたはその一部分など、任意の物品および製品に使用することができることに留意されたい。ここに挙げたリストは、最終的なものでも限定的なものでもない。
【0140】
図5Aおよび図5Bは、本発明の概念の変形の実施形態、すなわち靴甲部52およびソール構造53を含む靴51を示す図である。
【0141】
この靴甲部は、2Dメルトブローンプロセスによって得られたものである。繊維を平坦な表面に吹き付けて、基層を形成する。次いで、この基層を例えば靴甲部の形状に切断し、ラスティングボードに縫製して3D形状を作成する。テープ54は、例えば特定の領域により多くの繊維を噴霧する/吹き付けるなど、より厚い繊維層を吹き付けることによって、作成することができる。テープは、テープを配置する必要がある領域に基層を熱プレスすることによって作成することができる。熱プレスは、より大きな厚さを有する基層の領域で行うことができる。また、テープを別個に作成して、例えば熱プレスなどによって基層に接合することができることもある。他の実施形態では、テープを基層上に配置し、その後にこの少なくともテープおよび基層を含む中間組立体を熱プレスして互いに接合することもできる。熱プレス時に、テープおよび/または基層にテクスチャを作成することもできる。異なるテープは、例えば不織基層の伸縮性の5%、10%、または15%など、異なる伸縮性を有することができる。テープは、基層と同じ材料にすることもできるので有利である。この2D吹付け繊維/不織布技術の1つの利点は、不織布が耐水性であることから、TPUカバー層が不要であることである。さらに、不織を使用することにより、等方性甲部(すなわちあらゆる箇所で等しい伸縮性を有する)を得ることができ、局所的な伸縮性は、1つまたは複数のテープを適用することによって修正することができる。テープは、靴甲部の周りに巻き付いていてもよいし、あるいはパッチの形態で分断されていてもよい。
【0142】
本発明は、以下の実施形態を含む。
〔1〕
不織布(13)を製造する方法であって、
a.基材(12)を提供するステップであり、前記基材(12)が、少なくともその表面の一部分において通気性である、ステップと、
b.繊維(11)を前記基材(12)上に送達するように適合された繊維送達デバイス(14)を提供するステップと、
c.第1の複数(21)の繊維(11)を前記基材(12)上に送達するステップと、
d.前記基材の前記通気性部分に圧力差を印加するステップであり、前記圧力差の強さが前記基材(12)の表面にわたって変わる、ステップとを含む、方法。
〔2〕
前記通気性部分が複数の穴(114)を含む、〔1〕に記載の方法。
〔3〕
前記基材(12)が、3次元形状である、〔1〕または〔2〕に記載の方法。
〔4〕
構成要素(22A、22B)を、少なくとも部分的には前記基材(12)に送達された前記第1の複数(21)の繊維(11)上に配置するステップと、
前記構成要素(22A、22B)の少なくとも一部分および前記第1の複数(21)の繊維(11)の少なくとも一部分に第2の複数の繊維(11)を送達するステップとをさらに含む、〔1〕〜〔3〕のいずれか一項に記載の方法。
〔5〕
前記構成要素が、3次元形状である、〔4〕に記載の方法。
〔6〕
前記繊維送達デバイス(14)が、メルトブローンヘッドである、〔1〕〜〔5〕のいずれか一項に記載の方法。
〔7〕
前記構成要素(22A、22B)の表面積が、前記不織布(13)の表面積より小さく、前記構成要素(22A、22B)が、前記不織布(13)に埋め込まれるように配置される、〔4〕〜〔6〕のいずれか一項に記載の方法。
〔8〕
前記構成要素(22A、22B)が、繊維(11)に取り囲まれるように適合された少なくとも1つの付属物を含む、〔4〕〜〔7〕のいずれか一項に記載の方法。
〔9〕
前記構成要素(22A、22B)が、少なくとも1つの開口(23A、23B)を含み、前記開口(23A、23B)の内側に吹き付けられた前記第2の複数の繊維の繊維(11)が、前記第1の複数(21)の繊維(11)上に送達される、〔4〕〜〔8〕のいずれか一項に記載の方法。
〔10〕
前記構成要素(22A、22B)が、繊維(11)によって適所に保持されるような形状を有する、〔4〕〜〔9〕のいずれか一項に記載の方法。
〔11〕
前記構成要素(22A、22B)が、テクスチャ付き表面を含む、〔4〕〜〔10〕のいずれか一項に記載の方法。
〔12〕
前記構成要素(22A、22B)の少なくとも1つの表面が、溶融可能層を含む、〔4〕〜〔11〕のいずれか一項に記載の方法。
〔13〕
前記溶融可能層の融点が、前記構成要素(22A、22B)に当たるときの前記繊維(11)の温度未満である、〔4〕〜〔12〕のいずれか一項に記載の方法。
〔14〕
前記不織布が、服装品、靴、またはスポーツ装具の一部分である、〔13〕に記載の方法。
〔15〕
前記3次元形状(12)が、靴の靴型、またはその一部分である、〔2〕〜〔11〕のいずれか一項に記載の方法。
〔16〕
前記3次元形状(12)が、ボール形であり、前記不織布(13)が、球を構成する層、またはその一部として使用するのに適している、〔3〕〜〔15〕のいずれか一項に記載の方法。
〔17〕
前記繊維送達デバイス(14)に熱可塑性ポリウレタンTPUを供給するステップをさらに含む、〔1〕〜〔16〕のいずれか一項に記載の方法。
〔18〕
前記メルトブローンヘッド(14)が、複数のノズル(17)を含む、〔6〕〜〔17〕のいずれか一項に記載の方法。
〔19〕
少なくとも第1のノズル(17)に第1の材料を供給するステップと、
少なくとも第2のノズル(17)に第2の材料を供給するステップとをさらに含み、前記第1の材料と前記第2の材料とが異なる、〔18〕に記載の方法。
〔20〕
第1の材料を第1の持続時間にわたって送達するステップと、
第2の材料を第2の持続時間にわたって送達するステップとをさらに含み、前記第1の材料と前記第2の材料とが異なる、〔1〕〜〔19〕のいずれか一項に記載の方法。
〔21〕
第1の材料を前記基材(12)の第1の部分に送達するステップと、
第2の材料を前記基材(12)の第2の部分に送達するステップとをさらに含み、前記第1の材料と前記第2の材料とが異なる、〔1〕〜〔20〕のいずれか一項に記載の方法。
〔22〕
少なくとも1つのノズル(17)に、第1の材料および第2の材料を横に並べた構成で供給するステップをさらに含む、〔18〕〜〔21〕のいずれか一項に記載の方法。
〔23〕
前記第1の複数(21)の繊維(11)または前記第2の複数の繊維(11)の後で少なくとも第3の複数の繊維(11)を前記基材(12)上に送達するステップをさらに含み、前記第3の複数の繊維の材料が、前記第1の複数の繊維および/または前記第2の複数の繊維の材料と異なる、〔1〕〜〔22〕のいずれか一項に記載の方法。
〔24〕
前記繊維送達デバイス(14)を前記基材(12)に対して動かすステップをさらに含む、〔1〕〜〔23〕のいずれか一項に記載の方法。
〔25〕
所定の方向に、他の方向よりも高い割合で繊維を配置するステップをさらに含む、〔1〕〜〔24〕のいずれか一項に記載の方法。
〔26〕
前記繊維送達デバイス(14)と前記基材(12)の間の距離(112)を制御し、かつ/または前記繊維送達デバイス(14)と前記基材(12)の間の相対移動速度を制御するステップをさらに含む、〔25〕に記載の方法。
〔27〕
前記距離(112)および/または前記速度が、前記繊維(11)の前記基材(12)上への送達中に変化する、〔26〕に記載の方法。
〔28〕
前記3次元形状(12)が、凹状であり、前記方法が、
前記繊維(11)を前記3次元形状(12)の内面上に送達するステップをさらに含む、〔3〕〜〔27〕のいずれか一項に記載の方法。
〔29〕
前記基材(12)を少なくとも部分的に基層で覆うステップと、
前記第1の複数(21)の繊維(11)および/または前記第2の複数の繊維(11)のうちの少なくとも一部分を前記基層上に送達するステップとをさらに含む、〔1〕〜〔28〕のいずれか一項に記載の方法。
〔30〕
前記基層が、織布、不織布、または編物である、〔29〕に記載の方法。
〔31〕
前記第1の複数(21)の繊維(11)および/または前記第2の複数の繊維(11)を、前記基材(12)の第1の領域上に送達するが、第2の領域には送達しないステップをさらに含む、〔1〕〜〔30〕のいずれか一項に記載の方法。
〔32〕
前記基材(12)が、テクスチャ付きである、〔1〕〜〔31〕のいずれか一項に記載の方法。
〔33〕
前記不織布(13)が前記基材(12)上に位置している間に、前記不織布(13)を覆うように取外し可能膜を配置するステップをさらに含む、〔1〕〜〔32〕のいずれか一項に記載の方法。
〔34〕
前記膜が、テクスチャ付きである、〔33〕に記載の方法。
〔35〕
前記不織布(13)が前記基材(12)上に位置している間に、前記不織布(13)に熱を印加するステップをさらに含む、〔1〕〜〔34〕のいずれか一項に記載の方法。
〔36〕
〔1〕〜〔35〕のいずれか一項に記載の方法によって製造される不織布(13)。
〔37〕
靴甲部(13、31)を製造する方法であって、
〔14〕に記載の方法に従って第1の不織布(13)を製造するステップを含み、前記第1の不織布が、前記靴甲部(13、31)の一部である、方法。
〔38〕
〔14〕に記載の方法に従って第2の不織布を製造するステップであり、前記第2の不織布が、前記靴甲部(13、31)の一部である、ステップと、
前記第1の不織布(13)と前記第2の不織布とを接合するステップとをさらに含む、〔37〕に記載の靴甲部(13、31)を製造する方法。
〔39〕
〔37〕または〔38〕に記載の方法に従って製造される靴甲部(13、31)。
【符号の説明】
【0143】
11 繊維
12 基材/靴型/3次元形状
13 不織布
14 繊維送達デバイス
15 樹脂
16 スピナレット
17 ノズル
18 1次気流
19 2次気流
114 穴
22A 構成要素
22B 構成要素
23A 開口
23B 開口
31 靴甲部
32 底部側
33 足開口
51 靴
52 靴甲部
53 ソール構造
54 テープ
図1
図2
図3
図4-1】
図4-2】
図5