(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6560746
(24)【登録日】2019年7月26日
(45)【発行日】2019年8月14日
(54)【発明の名称】圧縮機装置及びこの圧縮機装置に適用可能な冷却器
(51)【国際特許分類】
F04B 39/06 20060101AFI20190805BHJP
F04B 41/06 20060101ALI20190805BHJP
F28D 7/16 20060101ALI20190805BHJP
F04C 23/00 20060101ALI20190805BHJP
F04C 29/04 20060101ALI20190805BHJP
F04D 29/58 20060101ALI20190805BHJP
F04D 29/66 20060101ALI20190805BHJP
【FI】
F04B39/06 L
F04B41/06
F28D7/16 F
F04C23/00 D
F04C29/04 N
F04D29/58 N
F04D29/66 H
【請求項の数】22
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2017-512074(P2017-512074)
(86)(22)【出願日】2015年5月4日
(65)【公表番号】特表2017-517677(P2017-517677A)
(43)【公表日】2017年6月29日
(86)【国際出願番号】BE2015000017
(87)【国際公開番号】WO2015172206
(87)【国際公開日】20151119
【審査請求日】2017年9月7日
(31)【優先権主張番号】2014/0370
(32)【優先日】2014年5月16日
(33)【優先権主張国】BE
(73)【特許権者】
【識別番号】593074329
【氏名又は名称】アトラス コプコ エアーパワー,ナームローゼ フェンノートシャップ
【氏名又は名称原語表記】ATLAS COPCO AIRPOWER,naamloze vennootschap
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(72)【発明者】
【氏名】ド ケルペル シュテファン ポール エム
【審査官】
井古田 裕昭
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2012/0291434(US,A1)
【文献】
実開昭56−033479(JP,U)
【文献】
米国特許第04279574(US,A)
【文献】
国際公開第2011/140616(WO,A2)
【文献】
実開昭51−118154(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 39/06
F04D 29/58
F28D 7/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2又は3以上の段でガスを圧縮する圧縮機装置(19)であって、直列に接続された少なくとも2つの圧縮機要素(2)と、圧縮ガスを冷却するための少なくとも2つの冷却器(12)、すなわち2つの連続する圧縮機要素(2)間の中間冷却器(12a、12b)と、構成によって必要であれば最後の圧縮機要素(2)の下流の最終冷却器(12c)とを備え、各冷却器(12)は、冷却対象の圧縮ガスを誘導する一次区分(13)と、該一次区分(13)と熱交換接触して冷却剤を誘導する二次区分(16)とを有し、前記冷却器(12)のうちの少なくとも2つは、前記二次区分(16)が少なくとも2つの別個の段(16’、16”)に分割されて連続段の前記一次区分(13)を通じて誘導される前記ガスを冷却する「分割冷却器」であり、前記2つの別個の段(16’、16”)は、それぞれ少なくとも、前記冷却器(12)の前記一次区分(13)に流入した高温ガスの第1の冷却を行う高温段(16’)と、前記ガスをさらに冷却する低温段(16”)とであり、前記冷却器(12)の前記二次区分(16)の前記段(16’、16”)は、1又は2以上の別個の冷却回路(20)において共に接続されることにより、前記冷却回路(20)を通る冷却剤の流量を最低限に抑えた状態で前記圧縮機要素(2)間の前記圧縮ガスが十分に冷却されて、各冷却器(12)の出口(15)における前記冷却ガスの温度が最大許容値未満に保たれ、これによって前記冷却回路(20)のうちの少なくとも1つにおける前記冷却剤の所望の温度上昇が実現されるようになり、前記冷却器(12)の前記二次区分(16)の前記低温段(16”)のうちの少なくとも2つは、冷却剤を誘導する前記冷却回路(20)において共に直列に接続され、前記冷却器(12)の前記二次区分(16)の全ての段(16’、16”)は、単一の冷却剤を有する単一の冷却回路(20)において共に接続され、少なくとも2つの高温段(16’)は、共に並列に接続され、前記冷却回路(20)の前記冷却剤は、最初に前記低温段(16”)を通じて誘導された後に他の段(16’、16”)を通じて誘導される、ことを特徴とする圧縮機装置。
【請求項2】
前記所望の温度上昇は、少なくとも30℃である、請求項1に記載の圧縮機装置。
【請求項3】
前記冷却剤は、最大許容出口温度に最も近い出口温度を設計的に有する前記圧縮機要素(2)の直前の前記冷却器(12)の前記低温段(16”)を通じて最初に誘導される、請求項1又は請求項2に記載の圧縮機装置。
【請求項4】
前記冷却剤は、前記冷却器(12)の前記出口(15)における前記圧縮ガスの温度がその直後の前記圧縮機要素(2)の入口の最大許容温度に設計的に最も近い前記冷却器(12)の前記低温段(16”)を通じて最初に誘導される、請求項1乃至3の何れか1項に記載の圧縮機装置。
【請求項5】
前記冷却器(12)の前記二次区分(16)の前記高温段(16’)のうちの少なくとも2つは、冷却剤を誘導する前記冷却回路(20)において共に直列に接続される、請求項1乃至4の何れか1項に記載の圧縮機装置。
【請求項6】
前記冷却剤は、設計的に最も高い出口温度を有する前記圧縮機要素(2)の直後の前記冷却器(12)の前記高温段(16’)を通じて最後に誘導される、請求項5に記載の圧縮機装置。
【請求項7】
前記冷却器(12)の前記二次区分(16)の前記低温段(16”)のうちの少なくとも2つ、並びに前記冷却器(12)の前記二次区分(16)の前記高温段(16’)のうちの少なくとも2つは、冷却剤を誘導する前記冷却回路(20)において共に直列に接続され、前記冷却回路(20)における前記冷却剤は、最初に前記低温段(16”)を通じて誘導された後に前記高温段(16’)を通じて誘導される、請求項1乃至6の何れか1項に記載の圧縮機装置。
【請求項8】
前記冷却器(12)の前記二次区分(16)の全ての段(16’、16”)は、単一の冷却剤を有する単一の冷却回路(20)において共に直列に接続され、前記冷却回路(20)における前記冷却剤は、最初に前記低温段(16”)を通じて誘導された後に前記高温段(16’)を通じて誘導される、請求項7に記載の圧縮機装置。
【請求項9】
前記冷却器(12)の前記二次区分(16)の全ての段(16’、16”)は、単一の冷却剤を有する単一の冷却回路(20)において共に接続され、少なくとも2つの低温段(16”)は、共に並列に接続される、請求項1乃至8の何れか1項に記載の圧縮機装置。
【請求項10】
共に直列に接続された少なくとも2つの低温段(16”)が、第1の冷却回路(20”)に組み込まれ、直列に共に接続、完全に並列に共に接続又は部分的に並列に共に接続された他の段(16’、16”)が、前記第1の冷却回路(20”)から分離した第2の冷却回路(20’)に組み込まれる、請求項1乃至9の何れか1項に記載の圧縮機装置。
【請求項11】
前記冷却器(12)の前記二次区分(16)の前記低温段(16”)のうちの少なくとも2つは、第1の冷却回路(20”)において共に並列に接続され、前記冷却器(12)の前記二次区分(16)の他の段(16’、16”)は、前記第1の冷却回路(20”)から分離した第2の冷却回路(20’)において直列に共に接続、完全に並列に共に接続又は部分的に並列に共に接続される、請求項1乃至10の何れか1項に記載の圧縮機装置。
【請求項12】
前記低温段(16”)のうちの少なくとも2つは、共に並列に接続され、少なくとも1つの低温段(16”)は、第1の冷却回路(20”)において前の低温段(16”)に直列に接続され、前記冷却器(12)の前記二次区分(16)の他の段(16’、16”)は、前記第1の冷却回路(20”)から分離した第2の冷却回路(20’)において直列に共に接続、完全に並列に共に接続又は部分的に並列に共に接続される、請求項1乃至11の何れか1項に記載の圧縮機装置。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか1項に記載の圧縮機装置において使用する冷却器であって、分割冷却器(12)としても、或いは非分割の単一冷却器(6)としても構成可能なモジュラー構成を有し、前記冷却器は、冷却剤を誘導する管(26)を有する管束(25)を備えた管冷却器であり、前記管束(25)は、前記管(26)が突出するエンドプレート(28)によって前記管束(25)の端部において閉じられたシェル(27)を含むハウジング内に取り付けられ、前記ハウジングは、冷却対象のガスを前記管(26)上及びその周囲に誘導するチャネルを形成し、前記管束(25)は、隔壁(31)を有するカバー(29、30)によってその端部を覆われ、前記隔壁は、前記管(26)の1又は2以上の端部を覆って前記管(26)に冷却剤を通す区画(32)に前記カバー(29、30)を分割し、前記隔壁(31)は、該隔壁(31)と前記エンドプレート(28)との間にシール(34)を有して前記チャネルの流れを互いの区画に分離し、少なくとも2つの隔壁(31’)は、取り外し可能なこのようなシールを有することができ、該シールは、その存在時には前記管束(25)を冷却剤のための2つのチャネルに分割して分割冷却器(12)を形成し、その非存在時には前記2つのチャネル間に相互接続部を形成して1つの連続チャネルを形成して単一の非分割冷却器(6)を形成する、ことを特徴とする冷却器。
【請求項14】
前記管束(25)の前記管(26)は、互いに距離(L)だけ離れて位置する少なくとも2つの部分束(25’、25”)にグループ化され、該2つの部分束(25’、25”)には、前記シール(34)の存在時に前記2つの部分束(25’、25”)を互いに分離する少なくとも2つの分離隔壁(31’)が存在する、請求項13に記載の冷却器。
【請求項15】
前記隔壁(31及び31’)が前記エンドプレート(28)に十分にぴったりと適合することによって物理的シール(34)が不要になり、隔壁(31’)を省略し、又は機械加工によって取り去ることによって単一の非分割冷却器が形成される、請求項14に記載の冷却器。
【請求項16】
前記分離隔壁(31’)は、直線的な隔壁である、請求項13乃至15の何れか1項に記載の冷却器。
【請求項17】
前記隔壁(31)は、直線的な平行の隔壁である、請求項13乃至15の何れか1項に記載の冷却器。
【請求項18】
各カバー(29、30)は、冷却剤のための1又は2以上の入力部(17’、17”)及び1又は2以上の出力部(18’、18”)を有し、いずれの場合にも1つの入力部又は出力部、或いは1つの入力部及び1つの出力部が各部分束(25’、25”)に対向する、請求項14乃至17の何れか1項に記載の冷却器。
【請求項19】
各カバー(29又は30)は、2又は3以上の入力部、或いは2又は3以上の出力を有し、いずれの場合にも1つの入力部又は1つの出力部が各部分束(25’、25”)に対向する、請求項14乃至17の何れか1項に記載の冷却器。
【請求項20】
前記2つのカバー(29、30)の一方に冷却剤のための全ての接続部が設けられる、請求項14乃至17の何れか1項に記載の冷却器。
【請求項21】
前記入力部(17’)及び前記出力部(18’)は、一方の部分束(25’)に対向し、前記入力部(17”)及び前記出力部(18”)は、他方の部分束(25”)に対向する、請求項18に記載の冷却器。
【請求項22】
分割冷却器(12)の場合には、前記部分束(25’、25”)に2つの冷却剤をそれぞれ別個に通すように両方の入力部(17’、17”)及び出力部(18’、18”)が使用され、単一の非分割冷却器(6)の場合には、前記入力部(17’、17”)の一方と前記出力部(18’、18”)の一方とが閉鎖され、前記分離隔壁(31’)の前記シール(34)が省略される、請求項14に記載の冷却器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮機装置に関する。
【0002】
より具体的には、本発明は、2又は3以上の段でガスを圧縮する圧縮機装置であって、直列に接続された少なくとも2つの圧縮機要素と、圧縮ガスを冷却するための少なくとも2つの冷却器、すなわち各2つの連続する圧縮機要素間の中間冷却器と、構成によって必要であれば最後の圧縮機要素の下流の最終冷却器とを備え、各冷却器が、冷却対象の圧縮ガスを誘導する一次区分と、一次区分と接触して熱交換を行って冷却剤を誘導する二次区分とを有する圧縮機装置に関する。
【背景技術】
【0003】
圧縮機要素において圧縮されたガスは、実質的に温度が上昇することが知られている。
【0004】
ここで参照するような複数段を有する圧縮機装置では、1つの圧縮機要素から後続の圧縮機要素に圧縮ガスが供給される。
【0005】
多段圧縮機の圧縮効率は、多段圧縮機の各圧縮機要素の入口温度に大きく依存し、圧縮機要素の入口温度が低ければ低いほど圧縮機の圧縮効率は良好になることが知られている。
【0006】
そのため、最大冷却を確実にしてできるだけ高い圧縮効率を得るために、2つの連続する圧縮機要素間に中間冷却器を使用することが知られている。
【0007】
温度が高すぎると、消費者ネットワーク内の消費者に害が及ぶので、消費者ネットワークにガスを供給する前に最後の圧縮機要素の後で圧縮ガスを冷却することも知られている。
【0008】
複数段を有する既知の圧縮機装置では、一般に最大圧縮効率を目的として冷却が、具体的には冷却器が最大冷却に同調され、従って各冷却器が最大冷却のために同じ低温の冷却剤を受け取るように、一般的には水である利用可能な冷却剤が冷熱源から冷却器を通じて並列に駆動される。
【0009】
このような冷却器の並列供給は、最適な圧縮効率にとっては非常に適しているが、各冷却器に冷却剤を十分に供給するには比較的高い流量の冷却剤が必要であり、このような並列供給は、必要なポンプ能力、並びに必要な冷却回路及び冷却器のサイズに関しては最適でないという不利点がある。
【0010】
別の不利点は、最大冷却をもたらすために冷却器を流れる冷却剤の流量を比較的高く保たなければならず、これによって圧縮機装置から離れる際の冷却剤の温度が比較的低くなり、この結果、例えば温水などを提供する形で冷却剤から熱を回収するには十分に適さないようになってしまう。
【0011】
さらに、冷却剤の流量が高いと、冷却設備の投資コスト、動作コスト及び維持コストも高くなってしまう。実際に、加熱された冷却剤は、例えば空気−水熱交換器において再び冷却しなければならず、このような熱交換器の寸法は冷却剤の流量に大きく依存し、また冷却水には、石灰かすを防ぎ、腐食を妨げ、細菌増殖を抑制するために添加剤も加えられる。
【0012】
より良好な熱回収のためには、冷却器内を並列に駆動される流量を減少させることによって出力における冷却剤の温度を高めることを選択することもできるが、これでは冷却、従って圧縮効率が犠牲になってしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、圧縮効率をそれほど重視せず、むしろ高圧縮効率、良好な熱回収の可能性、及び冷却設備のコストの最小化の最適な組み合わせを見つけ出すという観点、又はこれらの3つの目的のうちの2つの目的の用途に応じた最適な組み合わせという観点から冷却を考慮することによって上述の及びその他の不利点に対する解決策を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この目的のために、2又は3以上の段でガスを圧縮する圧縮機装置であって、直列に接続された少なくとも2つの圧縮機要素と、圧縮ガスを冷却するための少なくとも2つの冷却器、すなわち2つの連続する圧縮機要素間の中間冷却器と、構成によって必要であれば最後の圧縮機要素の下流の最終冷却器とを備え、各冷却器は、冷却対象の圧縮ガスを誘導する一次区分と、一次区分と熱交換接触して冷却剤を誘導する二次区分とを有し、冷却器のうちの少なくとも2つは、二次区分が少なくとも2つの別個の段に分割されて連続段の一次区分を通じて誘導されるガスを冷却する「分割冷却器」であり、2つの別個の段は、それぞれ少なくとも、冷却器の一次区分に流入した高温ガスの第1の冷却を行う高温段と、このガスをさらに冷却する低温段とであり、冷却器の二次区分の段は、1又は2以上の別個の冷却回路において共に接続されることにより、冷却回路を通る冷却剤の流量を最低限に抑えた状態で圧縮機要素間の圧縮ガスが十分に冷却されて、各冷却器の出口における冷却ガスの温度が最大許容値未満に保たれ、これによって冷却回路のうちの少なくとも1つにおける冷却剤の所望の温度上昇が実現されるようになることを特徴とする圧縮機装置に関する。
【0015】
本発明による圧縮機装置では、冷却器における冷却がいわゆる2段に分割されることにより、段を通じた1又は複数種の冷却剤の駆動順を好適に選択することを通じて、必ずしも最良の圧縮効率を目指すことなく各冷却機が十分な冷却を行って後続の圧縮機要素においていずれの問題も生じないことを確実にする最低限の冷却能力しか必要とせず、これにより、より良好なエネルギー回収を可能にする冷却剤の高温を実現することもできる。これにより、高温段は、特に冷却剤の温度の大幅な上昇を確実にし、低温段は、主に冷却対象のガスのできるだけ低い出口温度を保証する。
【0016】
このようにして、少なくとも約30℃の、又はさらなる熱回収が必要な場合には少なくとも約40℃の、又は例えば約50℃などのそれよりも高い所望の温度上昇を目指すことができる。
【0017】
例えば、特定の構成の圧縮機要素及び冷却器を有する圧縮機装置の第1の設計例では、冷却器の二次区分の低温段のうちの少なくとも2つ又は3つ以上が、冷却剤を誘導する冷却回路において共に直列に接続される。
【0018】
低温段のうちの少なくとも2つを直列に接続することにより、冷却剤の流量が比較的限られている連続冷却器においても十分な冷却を実現することができる。
【0019】
必要な冷却剤流量は、例えばスクリュー圧縮機の「サージ」現象の発生又は最大出口温度に起因してターボ圧縮機の動作が不安定になる温度などの、例えば圧縮機要素の良好な動作のための最大許容温度を考慮して、例えば圧縮機要素の入口のできるだけ高い圧縮ガス温度に同調させてスクリューの被覆への損傷を防ぐことができる。
【0020】
これにより、冷却剤は、冷却器の出口における圧縮ガスの温度が直後の圧縮機段の入口における最大許容温度に設計的に最も近い冷却器の低温段を通じて最初に誘導されることが好ましい。
【0021】
第1の設計段階では、冷却器の二次区分の高温段のうちの少なくとも2つ、好ましくは少なくとも3つが、冷却剤を誘導する冷却回路において共に直列に接続され、特に冷却剤は、設計的に最も高い出口温度を有する圧縮機段の直後の冷却器の高温段を通じて最後に誘導されることが好ましい。
【0022】
本発明による圧縮機装置の最も好ましい実施形態では、冷却器の二次区分の少なくとも2つの、好ましくは全ての低温段と、冷却器の二次区分の少なくとも2つの、好ましくは全ての高温段とが、冷却剤を誘導する冷却回路において共に直列に接続され、この冷却回路において冷却剤が最初に低温段を通じて、その後に高温段を通じて誘導される。
【0023】
圧縮機装置の目的とする構成に応じて、2又は3以上の別個の冷却回路の冷却器の段を共に接続することを選択することにより、1つの冷却回路を用いて、最大熱回収を目的としてできるだけ高い冷却剤の出口温度を取得する一方で、他の冷却回路を用いて、主に中間冷却器における冷却対象のガスの十分に低い出口温度を確実にすることができる。
【0024】
本発明は、圧縮機装置において使用する冷却器であって、分割冷却器としても、或いは非分割冷却器としても構成可能なモジュラー構成を有する冷却器にも関する。
【0025】
好ましくは、それは、管冷却器の形態の冷却器を管束と接続してそれを通して冷却剤を案内し、それによって、この管束は、管が突出するエンドプレートによって管の端部において管束を遮断するシェルでハウジングに固定され、それによって、このハウジングは、チャネルを形成して管の上及び周囲に冷却すべきガスを案内し、それによって、管束は、その端部において隔壁を有するカバーで覆われ、この隔壁は、これらの管を通して冷却剤を送るための管のうちの1又は2以上の端部の上を覆う区画にカバーを分け、それによって、これらの隔壁には、隔壁と上述のエンドプレートの間にシールが備えられて流れを相互区画に分離し、それによって、少なくとも2つの分離隔壁は、取り外し可能であり、その存在下では管束を冷却剤のための2つの別個のチャネルに分けて分割冷却器を形成し、その非存在下ではこれらの2つのチャネルの間に相互接続を形成して1つの連続チャネルを形成し、単一の非分割冷却器を形成するこのようなシールを備えることができる。
【0026】
このように、本発明によるこのような冷却器は、シールの単純な取り付け又は取り外しによって従来の単一冷却器から本発明による分割二重冷却器に変換することができる。
【0027】
実用的な実施形態によれば、分離隔壁は、実現の容易さという利点をもたらす直線的な隔壁である。
【0028】
2つの同一のカバーを使用し、各カバーには、上述した分離隔壁の同じ側に位置する入力部及び出力部が設けられ、或いは冷却剤のための2つの入力部又は2つの出力部が上述した分離隔壁の両側に位置することが好ましい。
【0029】
従って、2種類の冷却剤のための分割冷却器としての構成にも、1種類のみの冷却剤のための非分割冷却器の構成にも使用できる1種類のカバーしか必要とされず、後者の場合には1つの入力部及び1つの出力部が塞がれる。
【0030】
以下、本発明の特徴をより良く示すために、本発明による圧縮機装置及びこの圧縮機装置に適用可能な冷却器のほんのいくつかの好ましい実施形態を、添付図面を参照しながら限定ではなく一例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】先端技術による圧縮機装置を概略的に示す図である。
【
図3】本発明による別の分割冷却器を示す図である。
【
図4】
図2に示すような冷却器を備えた本発明による圧縮機装置の、
図1と同様の図である。
【
図6】
図4において使用する圧縮機要素の典型的な特性曲線を示す図である。
【
図7】本発明による圧縮機装置の変形例を示す図である。
【
図8】本発明による圧縮機装置の変形例を示す図である。
【
図9】本発明による圧縮機装置の変形例を示す図である。
【
図10】
図2に示すような本発明による冷却器の実用的な実施形態の断面図である。
【
図15】
図10及び
図14に示す冷却器を3つ接続した冷却器ブロックの実用的な実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1に、パイプ3によって入口4と出口5との間に直列に接続された3つの圧縮機要素2、すなわち2a、2b及び2cを有する、先端技術による従来の圧縮機装置1を示す。
【0033】
各圧縮機要素2の下流には、圧縮ガスを冷却するための冷却器6、すなわち圧縮機要素2a及び2b間の「中間冷却器」6a、圧縮機要素2b及び2c間の中間冷却器6b、並びに最後の圧縮機要素2cの後の「最終冷却器」6cが存在する。
【0034】
中間冷却器6a及び6bは、圧縮機の圧縮効率が最適であることを確実にするために、前の圧縮機要素2からの圧縮ガスが後続の圧縮機要素2によって引き込まれる前にその温度を最大限に冷却するように意図される。
【0035】
最終冷却器6cは、接続先の消費者に害が及ぶのを防ぐために、本発明による圧縮機装置1から出口5を介して圧縮ガスが離れる前にガスを確実に冷却する。
【0036】
各冷却器6は、冷却対象の圧縮ガスを矢印Aで示すように誘導する一次区分7と、一次区分7と熱交換接触して冷却剤を矢印Bで示すように逆方向に誘導する二次区分8とを有する。
【0037】
圧縮機装置1は、入力部10及び出力部11を有する単一の冷却回路9を備える。
【0038】
図1の従来の圧縮機装置では、冷却剤が冷却器6の二次区分8を通じて冷却回路9を並列に誘導され、従って冷却剤の供給が3つの冷却器6にわたって分配され、従って各冷却器6は同じ入力温度の冷却剤を受け取る。
【0039】
冷却回路9は、各中間冷却器6a及び6bにおける冷却が最大になる最大圧縮効率を実現するように計算される。従来の圧縮機装置では、通常、冷却回路に、油冷却器又はモータの冷却回路への接続部などの1又は2以上の熱交換要素が接続される。一般に、冷却回路の総熱交換能力に占めるこれらの熱交換要素の割合は比較的小さい。
【0040】
このような装置の不利点は、最大冷却時に利用可能な冷却剤の流量が高い必要があり、従って関連する冷却回路9の投資コスト、動作コスト及び維持コストが高くなる点である。
【0041】
別の特徴は、出力部11における冷却剤の温度が比較的低く、従って他の用途に、又は冷却剤からエネルギーを回収するために使用するのが困難な点である。
【0042】
図2及び
図3に示すように、本発明による冷却回路は、上述した並列接続とは異なり、「分割冷却器」12を利用する。
【0043】
図2の分割冷却器12は、従来の冷却器6と同様に圧縮ガスの入力部14及び出力部15を有する一次区分13と、この例では従来の冷却器6とは対照的に、各々が別個の入力部17及び出力部18を有し、圧縮ガスとは逆の方向である矢印C’及びC”の方向に冷却剤を駆動する2つの別個の段16’及び16”に分割された二次区分16とを備える。
【0044】
このように、冷却剤による圧縮ガスの冷却は、2つの連続段16’及び16”に、すなわち入力部14を介して一次区分13に流入した高温ガスの第1の冷却を行う「高温段」16’と、冷却ガスが出力部15を介して一次区分13から離れる前にこのガスをさらに冷却する「低温段」16”とに分割される。
【0045】
図3に、分割冷却器12の代替例を示しており、この例では冷却器12が2つのサブ冷却器12’及び12”に分割され、この例では一次区分13も直列に接続された2つの段13’及び13”に分割されて、いわゆる1つの連続一次区分を形成する。
【0046】
図4に示す本発明による圧縮機装置19は、単一冷却器6が
図2に示すような分割冷却器12に置き換えられ、冷却剤のための入力部21及び出力部22を有する単一の冷却回路20に二次区分16’及び16”が組み込まれることによって
図1の従来の装置1と異なっている。
【0047】
冷却回路20は、冷却剤が冷却器12の二次区分16の全ての段16’及び16”を通じて、圧縮機装置19の構成と使用目的との関数である一定の順序で連続して直列に誘導されるように設計される。
【0048】
図4の例では、最初に冷却剤が冷却器12の低温段16”を通じてガスの流れに対して同じ順序で誘導され、換言すれば、冷却剤は、最初に中間冷却器12aを通じて駆動された後に、第2の中間冷却器12b及び最終冷却器12cを通じて順に駆動される。
【0049】
その後、冷却剤は、高温段16’内を、今度はガスが冷却器12を流れる順序とは逆の順序で、従って最初に最終冷却器12cを通り、次に第2の中間冷却器12bを通り、その後に第1の中間冷却器12aを通って連続的に誘導される。
【0050】
このように、必ずしも圧縮機装置19の効率を最適化することには関係なく、全ての冷却器12が十分に冷却されて、各冷却器12の出力部15における冷却ガスの温度が、例えば圧縮機装置19の下流の最小制御幅、及び超過した場合に考えられる有害な結果の発生を考慮した強制最大値未満に確実に保たれるようになる。
【0051】
換言すれば、圧縮機要素2b及び2cによって引き込まれるガスの温度は、これらの圧縮機要素2b及び2cの最適な効率のために必要な温度より高温であってもよい。
【0052】
これにより、提供する冷却剤の流量を
図1に示すような従来の圧縮機装置1よりも低くすることができ、冷却回路20のコスト及び複雑性に恩恵がもたらされるようになる。
【0053】
さらに、このようにすると、冷却回路20の入力部21と出力部22との間における冷却剤の温度上昇をさらに高めることもできる。この結果、従来の圧縮機装置1よりも効率的に熱を回収することができる。
【0054】
冷却回路は、例えば高温の冷却水を利用できるようにしたいというユーザの要望に応じて、設計的に約30℃の、より好ましくは少なくとも約40℃の、さらに好ましくは50℃以上の所望の冷却剤の温度上昇が得られるような寸法にすることができる。
【0055】
冷却剤は、設計的に最も低い入口温度を必要とする圧縮機要素2の直前の冷却器12の低温段16”を通じて最初に誘導されることが好ましい。
図4の例では、第2の圧縮機要素2bと、その直前の中間冷却器12aである。
【0056】
この冷却器12を通じて冷却剤が駆動される順序を決定する基準は、2つの段の全ての組み合わせにも当てはまる。すなわち、
図4の例では、冷却剤が、所望の入口温度が2番目に低い圧縮機要素2cの直前の冷却器12bの段16”を通じて次に誘導される。
【0057】
冷却剤は、低温段16”を通過した後、設計的に出口温度の最も高い圧縮機要素2の直後の冷却器12の高温段16’を通じて最後に誘導されることが好ましい。
図4の例では、冷却器12aと、圧縮機要素2aである。
【0058】
この選択の結果、冷却回路20の出力部22における温度が最も高くなる。
【0059】
図5に、本発明による圧縮機装置19の別の構成を示しており、この例では、設計的に圧縮機要素2cが最も低い入口温度を必要とし、設計的に第2の圧縮機要素2bが第1の圧縮機要素2aよりも高い出口温度を有し、従って
図4の状況とは逆である。
【0060】
図4と同じ基準を利用して、段16’及び16”を通じて冷却剤を直列に誘導する順序を決定すると、
図5の例では、冷却器12aと12bの選択順が逆になる。
【0061】
従って、設計段階における別個の圧縮機要素2の異なる出口温度及び所望の入口温度に応じて他の直列接続も可能である。言うまでもなく、所望の入口温度及び/又は出口温度が同等である場合には、冷却水が2つの冷却器12を流れる順序は自由に選択される。
【0062】
段16’及び16”を直列に接続する順序の決定に使用できる別の基準は、ターボ圧縮機において入口におけるガスの特定の温度閾値よりも上で発生することによってガス流が振動さらには逆流し、圧縮機要素2における激しい振動及び損傷リスク、並びに温度上昇の増加を伴う現象として顕在化し得る、特定の圧縮機要素2がポンピングを起こすリスクに基づくものである。
【0063】
図6に一例を示すターボ圧縮機の特性曲線に、圧縮機要素2にわたる所与の入口圧力及び圧力比についての圧縮機要素内の流量の関数としての最大許容入口温度tmaxを決定する「サージライン」23としてこの現象を表している。
【0064】
特定の流量QAに対応する特定のガス流量では、直ぐ上流に位置する冷却器12の出口の温度tAにおける特定の作用点Aが設計的に得られる。
【0065】
作用点Aとサージライン23との間の距離が小さければ小さいほど、有害なポンピング効果が生じるリスクは大きくなる。
【0066】
この場合、この基準を用いて、冷却器12の出口15における圧縮ガスの温度がその直後の圧縮機段2の入口における最大許容サージ温度に設計的に最も近い冷却器12の低温段16”を通じて、或いは換言すれば、サージリスクが最も高い圧縮機要素2の前の冷却器12の低温段16”を通じて冷却剤を最初に誘導することができる。
【0067】
上述したような直列接続が、2つの圧縮機要素2間の十分な冷却にとって不適切であると分かった場合、又は最終冷却の場合、或いは冷却水側に沿った圧力低下が過度に大きな場合、必要であれば、冷却剤が最初に単一の冷却回路20における少なくとも2つの低温段16”を通じて並列に駆動された後に残りの低温段16”を順に通過する
図7に示す例のように、2又は3以上の低温段16”と2又は3以上の高温段16’とを互いに並列に接続することを選択することもできる。同様に、圧力低下を理由として、少なくとも2つの高温段16’では冷却水を並列に駆動し、残りの高温段16’では直列に駆動することを選択することもできる。
【0068】
冷却回路のコストを最小化する重要性が下がった時には、冷却回路20”における少なくとも2つの低温段16”が直列に、或いは完全に又は部分的に並列に接続され、冷却回路20’における少なくとも2つの高温段16’が直列に、或いは完全に又は部分的に並列に接続された、同じ又は別の冷却剤を含む
図8に示すような2つの別個の冷却回路20’及び20”を選択することを設計的に選択し、直列接続の順序は、
図4の場合と同じ基準を利用することによって決定することができる。ここでも、低温段16”のうちの少なくとも2つでは冷却水を並列に駆動し、残りの低温段16”では冷却水を直列に駆動することを選択することができる。高温段16’についても同様である。
【0069】
このように、冷却回路20”は、圧縮機の最良の圧縮効率及び最大の動作範囲を得るという目的で十分な冷却に関して最適化することができ、冷却回路20’は、例えば最大熱回収の目的で冷却剤のできるだけ高い温度上昇が得られるように調整することができる。
【0070】
或いは、
図9を参照すると、一般に最終冷却器12cが圧縮機装置19の効率に寄与していない時には、圧縮段2の上流の中間冷却器の直列の、或いは完全に又は部分的に並列の低温段16”が第1の冷却剤を有し、最終冷却器の残りの段16’及び16”、並びに中間冷却器の高温段16’が共に直列に、或いは完全に又は部分的に並列に接続された別個の冷却回路20”を選択して、冷却回路20”の冷却水が、最大出力温度の圧縮段の下流に位置する冷却器の高温段を通じて最後に流れるようにすることもできる。
【0071】
図9の例では、
図4、
図5及び
図7の最終冷却器12cの場合と同様に、やはり最終冷却器12cを従来の単一冷却器6に置換できることが明らかである。
【0072】
図10に、分割冷却器12としても、或いは非分割の単一冷却器6としても構成可能なモジュラー構成を有する冷却器24の実用的な実施形態を示す。
【0073】
この例では、冷却器24が、冷却剤を誘導して冷却器24の二次区分を形成する一連の管26を有する管束25を備えた管冷却器として構成され、この管束25は、管26の端部が突出するエンドプレート28によって管26の端部において閉じられたシェル27を含むハウジング内に取り付けられる。
【0074】
シェル27は、冷却対象のガスのための入力部14及び出力部15を有し、ハウジングは、管26上及びその周囲にガスを誘導して冷却剤24の一次区分13を形成するチャネルを形成する。
【0075】
図11の断面で分かるように、管26は、互いに距離Lだけ離れて位置する2つの一連の部分束25’及び25”にグループ化される。
【0076】
管束25は、その端部をそれぞれカバー29又は30によって覆われ、この例ではこれらのカバーが同一であり、管26の1又は2以上の端部を覆ってこれらの管26に冷却剤を通す区画32にカバー29及び30を分割する隔壁31を有する。
【0077】
図10に示す例では、これらの隔壁31が、この隔壁31と上述したエンドプレート28との間にシール34を取り付けて互いの区画32に流れを分離できるシート33を有する直線的な平行の隔壁である。
【0078】
全ての隔壁31内にシール34が設けられている
図10の構成では、隔壁31のうちの2つがカバー29及び30の各々に分離隔壁31’を形成し、この各カバー29及び30における分離隔壁31’が部分束25’及び25”間の分離距離を形成し、この例では、このような分離隔壁31’と部分束25’及び25”間のエンドプレート28の中央部35との間にシール34が取り付けられる。
【0079】
図10に示す例では、カバー29及び30が、冷却剤の入力部17’又は17”及び出力部18’又は18”を有し、この各カバーの入力部及び出力部は、いずれも上述した分離隔壁31’の同じ側に位置する。
【0080】
図10の構成では、カバー29及び30が、矢印C’によって示すように一方のカバー29の入力部17’及び出力部18’が一方の部分束25’に対向して設けられてこれらの部分束25’の1つに冷却剤を通し、矢印C”によって示すように他方のカバー30の入力部17”及び18”が他方の部分束25”に対向して設けられてこの他方の部分束25”に同じ又は異なる冷却剤を通すように取り付けられる。
【0081】
両チャネルは、分離隔壁31’によって互いに分離されることにより、
図10の構成では、冷却器24が、一次区分内のガスを2段で冷却できるようにするために、冷却対象のガスの入力部14及び出力部15を有する1つの一次区分と、冷却剤の入力部17’又は17”及び出力部18’又は18”を有する2つの別個のチャネルを有する二次区分とを備えた分割冷却器12を実際に形成するようになる。
【0082】
上部部分束25’は、圧縮機要素2から供給された高温ガスに接触する高温段16’を形成し、下部部分束25”は、高温段16’において既に部分的に冷却済みの低温ガスと接触する低温段16”を形成することが好ましい。
【0083】
図14に、
図11のものと同じ冷却器ではあるが、単一の非分割冷却器の構成を示す。
【0084】
この目的のために、分離隔壁31’のシール34を省略し、入力部17’及び出力部18”をプラグ36又は同様のもので遮断して、矢印Cによって示すように1つの入力部17”及び1つの出力部18’のみが依然として両方の部分束25’及び25”に単一の冷却剤を通すようにする。
【0085】
これにより、分離隔壁31’の位置では、これらの隔壁31’にシール34が存在しないことに起因して、入力部17”と出力部18”の間に外部相互接続部を伴わずにいわゆる1つの連続チャネルが形成されるように、下部部分束25”における冷却剤のチャネルと上部部分束25’における冷却剤のチャネルとの間に内部接続部が存在することが明らかである。
【0086】
或いは、
図10の冷却器24を非分割冷却器に変換するために、
図10の分割構成から開始して分離隔壁31’の適所にシール34を残し、出力部18”を入力部17’に外部的に接続することも当然可能である。
【0087】
ちなみに、2つの同一カバー29及び30を使用する必要は全くなく、例えば一方のカバー29に全ての必要な入力部及び出力部を設け、他方のカバー30を完全に閉じることもできる。
【0088】
別の可能性は、カバー29及び30の一方に2つの入力部を設け、他方のカバーに2つの出力部を設けて、例えば6列の管を有する冷却器とすることである。
【0089】
シール34を設けずに、隔壁31、31’をエンドプレート28にぴったりと適合させることも可能である。機械加工によって分離隔壁31’を完全に又は部分的に取り去ることによっても、やはり単一の非分割冷却器の構成が得られる。
【0090】
図15に、中間冷却器12a及び12bが分割冷却器として構成され、最終冷却器6cが非分割冷却器として構成され、冷却剤が、例えば上述の基準に従って決定できる順序で最初に低温部品16”に直列に誘導された後に高温部品16’に直列に駆動される1つのタイプの冷却器を用いて、例えば2つの中間冷却器12a及び12bと1つの最終冷却器6cとを含む冷却器ブロックをいかに単純に実現できるかを示す。
【0091】
2段よりも多くの段を有する冷却器の提供が排除されないことは明らかである。
【0092】
管26を通じた冷却剤の通過回数を増加又は減少させるために、さらに多くの又はさらに少ない隔壁31を提供できることも明らかである。
【0093】
また、隔壁は、必ずしも真っすぐである必要はない。
【0094】
本発明は、決して図面に示し一例として説明した実施形態に限定されるものではなく、本発明による圧縮機装置及びこの圧縮機装置に適用可能な冷却器は、本発明の範囲から逸脱することなく異なる変形形態で実現することができる。
【符号の説明】
【0095】
12’ サブ冷却器
12” サブ冷却器
13 一次区分
13’ 一次区分の段
13” 一次区分の段
14 ガスの入力部
15 ガスの出力部
16’ 二次区分の高温段
16” 二次区分の低温段
17’ 冷却剤の入力部
17” 冷却剤の入力部
18’ 冷却剤の出力部
18” 冷却剤の出力部