(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る燃焼バーナ及びボイラの好適な実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではなく、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせて構成するものも含むものである。
【0034】
[第1実施形態]
図6は、第1実施形態の石炭焚きボイラを表す概略構成図、
図7は、燃焼バーナの配置構成を表す平面図である。
【0035】
第1実施形態のボイラは、石炭を粉砕した微粉炭を微粉燃料(固体燃料)として用い、この微粉炭を燃焼バーナにより燃焼させ、この燃焼により発生した熱を回収することが可能な微粉炭焚きボイラである。
【0036】
第1実施形態において、
図6に示すように、石炭焚きボイラ10は、コンベンショナルボイラであって、火炉11と燃焼装置12と煙道13を有している。火炉11は、四角筒の中空形状をなして鉛直方向に沿って設置され、この火炉11を構成する火炉壁が伝熱管により構成されている。
【0037】
燃焼装置12は、この火炉11を構成する火炉壁(伝熱管)の下部に設けられている。この燃焼装置12は、火炉壁に装着された複数の燃焼バーナ21,22,23,24,25を有している。本実施形態にて、この燃焼バーナ21,22,23,24,25は、周方向に沿って4個均等間隔で配設されたものが1セットとして、鉛直方向に沿って5セット、つまり、5段配置されている。但し、火炉の形状や一つの段における燃焼バーナの数、段数はこの実施形態に限定されるものではない。
【0038】
この各燃焼バーナ21,22,23,24,25は、微粉炭供給管26,27,28,29,30を介して粉砕機(微粉炭機/ミル)31,32,33,34,35に連結されている。この粉砕機31,32,33,34,35は、図示しないが、ハウジング内に鉛直方向に沿った回転軸心をもって粉砕テーブルが駆動回転可能に支持され、この粉砕テーブルの上方に複数の粉砕ローラが粉砕テーブルの回転に連動して回転可能に支持されて構成されている。従って、石炭が複数の粉砕ローラと粉砕テーブルとの間に投入されると、ここで所定の大きさまで粉砕され、搬送用空気(1次空気)により分級された微粉炭を微粉炭供給管26,27,28,29,30から第1燃焼バーナ21,22に供給することができる。
【0039】
また、火炉11は、各燃焼バーナ21,22,23,24,25の装着位置に風箱36が設けられており、この風箱36に空気ダクト37の一端部が連結されており、この空気ダクト37は、他端部に送風機38が装着されている。更に、火炉11は、各燃焼バーナ21,22,23,24,25の装着位置より上方にアディショナル空気ノズル39が設けられており、このアディショナル空気ノズル39に空気ダクト37から分岐した分岐空気ダクト40の端部が連結されている。従って、送風機38により送られた燃焼用空気(燃料ガス燃焼用空気/2次空気)を空気ダクト37から風箱36に供給し、この風箱36から各燃焼バーナ21,22,23,24,25に供給することができると共に、送風機38により送られた燃焼用空気(追加空気)を分岐空気ダクト40からアディショナル空気ノズル39に供給することができる。
【0040】
煙道13は、火炉11は、上部に連結されている。この煙道13は、排ガスの熱を回収するための過熱器(スーパーヒータ)51,52,53、再熱器(リヒータ)54,55、節炭器(エコノマイザ)56,57が設けられており、火炉11での燃焼で発生した排ガスと水との間で熱交換が行われる。
【0041】
煙道13は、その下流側に熱交換を行った排ガスが排出されるガスダクト58が連結されている。このガスダクト58は、空気ダクト37との間にエアヒータ59が設けられ、空気ダクト37を流れる空気と、ガスダクト58を流れる排ガスとの間で熱交換を行い、燃焼バーナ21,22,23,24,25に供給する燃焼用空気を昇温することができる。
【0042】
なお、ガスダクト58は、図示しないが、脱硝装置、電気集塵機、誘引送風機、脱硫装置が設けられ、下流端部に煙突が設けられている。
【0043】
ここで、燃焼装置12について詳細に説明するが、この燃焼装置12を構成する燃焼バーナ21,22,23,24,25は、それぞれほぼ同様の構成をなしていることから、燃焼バーナ21を代表して説明する。
【0044】
燃焼バーナ21は、
図7に示すように、火炉11における4つの壁部にそれぞれ設けられる燃焼バーナ21a,21b,21c,21dから構成されている。各燃焼バーナ21a,21b,21c,21dは、微粉炭供給管26から分岐した各分岐管26a,26b,26c,26dが連結されると共に、空気ダクト37から分岐した各分岐管37a,37b,37c,37dが連結されている。
【0045】
そのため、各燃焼バーナ21a,21b,21c,21dは、火炉11に対して、微粉炭と搬送用空気が混合した微粉炭混合気(燃料ガス)を吹き込むと共に、その微粉炭混合気の外側に燃焼用空気(Caol2次空気/2次空気)を吹き込む。そして、この微粉炭混合気に着火することで、4つの火炎F1,F2,F3,F4を形成することができ、この火炎F1,F2,F3,F4は、火炉11の上方から見て(
図2にて)反時計周り方向に旋回する第1火炎旋回流Cとなる。
【0046】
このように構成された石炭焚きボイラ10にて、
図6及び
図7に示すように、微粉炭機31,32,33,34,35が駆動すると、固体燃料が粉砕され、微粉炭が搬送用空気と共に微粉炭供給管26,27,28,29,30を通して各燃焼バーナ21,22,23,24,25に供給される。一方、加熱された燃焼用空気は、空気ダクト37から風箱36を介して各燃焼バーナ21,22,23,24,25に供給されると共に、分岐空気ダクト40からアディショナル空気ノズル39に供給される。すると、燃焼バーナ21,22,23,24,25は、微粉炭と搬送用空気とが混合した微粉炭混合気を火炉11に吹き込むと共に燃焼用空気を火炉11に吹き込み、このときに着火することで火炎を形成することができる。また、アディショナル空気ノズル39は、追加空気を火炉11に吹き込み、燃焼制御を行うことができる。この火炉11では、微粉炭混合気と燃焼用空気とが燃焼して火炎が生じ、この火炉11内の下部で火炎が生じると、燃焼ガス(排ガス)がこの火炉11内を上昇し、煙道13に排出される。
【0047】
即ち、燃焼バーナ21,22,23,24,25は、微粉炭混合気と燃焼用空気(Caol2次空気/2次空気)を火炉11における燃焼領域Aに吹き込み、このときに着火することで燃焼領域Aに火炎旋回流Cが形成される。そして、この火炎旋回流Cは、旋回しながら上昇して還元領域Bに至る。アディショナル空気ノズル39は、追加空気を火炉11における還元領域Bの上方に吹き込む。この火炉11では、空気の供給量が微粉炭の供給量に対して理論空気量未満となるように設定されることで、内部が還元雰囲気に保持される。そして、微粉炭の燃焼により発生したNOxが火炉11で還元され、その後、追加空気(アディショナルエア)が供給されることで微粉炭の酸化燃焼が完結され、微粉炭の燃焼によるNOxの発生量が低減される。
【0048】
そして、図示しない給水ポンプから供給された水は、節炭器56,57によって予熱された後、図示しない蒸気ドラムに供給され火炉壁の各水管(図示せず)に供給される間に加熱されて飽和蒸気となり、図示しない蒸気ドラムに送り込まれる。更に、図示しない蒸気ドラムの飽和蒸気は過熱器51,52,53に導入され、燃焼ガスによって過熱される。過熱器51,52,53で生成された過熱蒸気は、図示しない発電プラント(例えば、タービン等)に供給される。また、タービンでの膨張過程の中途で取り出した蒸気は、再熱器54,55に導入され、再度過熱されてタービンに戻される。なお、火炉11をドラム型(蒸気ドラム)として説明したが、この構造に限定されるものではない。
【0049】
その後、煙道13の節炭器56,57を通過した排ガスは、ガスダクト58にて、図示しない脱硝装置にて、触媒によりNOxなどの有害物質が除去され、電気集塵機で粒子状物質が除去され、脱硫装置により硫黄分が除去された後、煙突から大気中に排出される。
【0050】
ここで、このように構成された燃焼バーナ21(21a,21b,21c,21d)について詳細に説明する。
図1は、第1実施形態の燃焼バーナの正面図、
図2は、燃焼バーナの縦断面(
図1のII−II断面)図である。
【0051】
燃焼バーナ21は、
図1及び
図2に示すように、中心側から燃料ノズル61と、燃焼用空気ノズル62と、2次空気ノズル63が設けられると共に、燃料ノズル61内に保炎器64が設けられている。
【0052】
燃料ノズル61は、微粉炭(固体燃料)と搬送用空気(1次空気)とを混合した微粉燃料混合気(以下、燃料ガス)301を噴出可能なものである。燃焼用空気ノズル62は、燃料ノズル61の外側に配置され、燃料ノズル61から噴出された燃料ガス301の外周側に燃焼用空気の一部(燃料ガス燃焼用空気)302を噴出可能なものである。2次空気ノズル63は、燃焼用空気ノズル62の外側に配置され、燃焼用空気ノズル62から噴出された燃料ガス燃焼用空気302の外周側に燃焼用空気の一部(以下、2次空気)303を噴出可能なものである。
【0053】
保炎器64は、燃料ノズル61内であって、燃料ノズル61の先端部、つまり、燃料ガス301の流動方向の下流側に配置されることで、燃料ガス301の着火用及び保炎用の部材として機能するものである。この保炎器64は、第1保炎器本体71と、第2保炎器本体72とから構成されている。第1保炎器本体71は、燃料ノズル61の先端部にこの燃料ノズル61の内壁面61aから所定間隔(隙間)を空けて配置されており、燃料ガス301の噴出方向に沿う軸線(燃料ノズル61の中心線)Oを中心とするリング形状をなしている。第2保炎器本体72は、第1保炎器本体71の内側に所定間隔(隙間)を空けて配置されており、燃料ガス301の噴出方向に沿う軸線(燃料ノズル61の中心線)Oを中心とする棒形状をなしている。
【0054】
燃料ノズル61及び燃焼用空気ノズル62は、長尺な管状構造をなす。燃料ノズル61は、4個の平坦な内壁面61aにより、長手方向に延びて同一の流路断面形状となる燃料ガス流路P1を形成しており、先端部(下流側端部)に矩形状の開口部61bが設けられている。燃焼用空気ノズル62は、燃料ノズル61の4個の平坦な外壁面61cと、4個の平坦な内壁面62aにより、長手方向に延びて同一の流路断面形状となる燃焼用空気流路P2を形成しており、先端部(下流側端部)に矩形リング形状の開口部62bが設けられている。そのため、燃料ノズル61と燃焼用空気ノズル62は、二重管構造となっている。
【0055】
2次空気ノズル63は、燃料ノズル61及び燃焼用空気ノズル62の外側に配置される長尺な管状構造をなす。2次空気ノズル63は、単独二重管構造をなし、燃焼用空気ノズル62の外側に所定隙間を空けて配置されている。2次空気ノズル63は、4個の平坦な内壁面63aと4個の平坦な外壁面63cにより、長手方向に延びて同一の流路断面形状となる2次空気流路P3を形成しており、先端部(下流側端部)に矩形リング形状の開口部63bが設けられている。
【0056】
そのため、燃料ノズル61(燃料ガス流路P1)の開口部61bの外側に燃焼用空気ノズル62(燃焼用空気流路P2)の開口部62bが配設され、この燃焼用空気ノズル62(燃焼用空気流路P2)の開口部62bの外側に所定間隔を空けて2次空気ノズル63(2次空気流路P3)の開口部63bが配設されることとなる。燃料ノズル61と燃焼用空気ノズル62と2次空気ノズル63と、保炎器64は、各開口部61b,62b,63bが燃料ガス301や空気の流れ方向における同位置に同一面上に揃えられて配置されている。
【0057】
なお、2次空気ノズル63は、単独の二重管構造として配置せずに、燃焼用空気ノズル62の外側に隙間を設けずに形成してもよい。また、2次空気ノズル63は、矩形リング形状とせずに、燃焼用空気ノズル62の上方及び下方と左方及び右方に4分割して配置してもよい。
【0058】
第1保炎器本体71は、正面視(
図1の図示方向)が矩形(四角形)のリング形状をなしており、燃料ガス301の流れ方向に沿った四角筒形状をなしている。第1保炎器本体71は、幅方向に沿って破断した断面形状(
図2)にて、幅が一定な平坦部73と、この平坦部73の前端部(燃料ガス301の流れ方向の下流端部)に一体に設けられた拡幅部74とから構成されている。平坦部73は、燃料ガス301の流れ方向に沿って幅が一定である。拡幅部74は、燃料ガス301の流れ方向に向かって幅が大きくなる。この拡幅部74は、断面が略二等辺三角形状をなし、基端部が平坦部73に連結され、先端部が燃料ガス301の流れ方向の下流側に向って幅が広くなり、前端がこの燃料ガス301の流れ方向に直交する平面となっている。即ち、拡幅部74は、四角リング形状をなす内側に燃料ガス301の流れ方向に対して中心線O側に傾斜する第1ガイド面74aと、四角リング形状をなす外側に燃料ガス301の流れ方向に対して中心線Oから離間する側に傾斜する第2ガイド面74bと、四角リング形状をなす前端側の端面74cとを有している。この場合、拡幅部74は、その長手方向に沿って幅が一定となっているが、4辺における縦辺と横辺で幅を異ならせてもよく、また、燃料ノズル61の形状に応じて適宜設定すればよい。また、第1ガイド面74aと第2ガイド面74bと端面74cは、平面であることが望ましいが、凹状または凸状に屈曲または湾曲した面であってもよい。
【0059】
一方、第2保炎器本体72は、正面視(
図1の図示方向)が矩形(四角形)の四角柱状をなしており、燃料ガス301の流れ方向に沿った四角棒形状をなしている。第2保炎器本体72は、幅方向に沿って破断した断面形状(
図2)にて、幅が一定な平坦部75と、この平坦部75の前端部(燃料ガス301の流れ方向の下流端部)に一体に設けられた拡幅部76とから構成されている。平坦部75は、燃料ガス301の流れ方向に沿って幅と高さが一定である。拡幅部76は、燃料ガス301の流れ方向に向かって幅と高さが大きくなる。この拡幅部76は、平面視及び側面(または、断面)視が略二等辺三角形状をなし、基端部が平坦部75に連結され、先端部が燃料ガス301の流れ方向の下流側に向って幅が広くなり、前端がこの燃料ガス301の流れ方向に直交する平面となっている。即ち、拡幅部76は、四角棒形状をなす外側に燃料ガス301の流れ方向に対して中心線Oから離間する側に傾斜するガイド面76aと、四角形状をなす前端側の端面76cとを有している。この場合、ガイド面76aと端面74cは、平面であることが望ましいが、凹状または凸状に屈曲または湾曲した面であってもよい。
【0060】
この場合、第1保炎器本体71は、前述したように、燃料ノズル61の内壁面61aから所定間隔の隙間を空けて配置されているが、この所定間隔とは、少なくとも第1保炎器本体71における拡幅部74の幅以上の隙間、または、少なくとも第1保炎器本体71における拡幅部74が熱延びにより燃料ノズル61の内壁面61aに干渉(接触)しない程度の隙間である。また、第2保炎器本体72は、第1保炎器本体71の内側に所定間隔の隙間を空けて配置されているが、この所定間隔とは、少なくとも第2保炎器本体72における拡幅部76の幅以上の隙間、または、少なくとも第2保炎器本体72における拡幅部76が熱延びにより第1保炎器本体71に干渉(接触)しない程度の隙間である。
【0061】
燃料ノズル61は、内部にこの保炎器64として第1、第2保炎器本体71,72が配置されていることから、燃料ガス流路P1が2個の領域に分割されることとなる。即ち、燃料ガス流路P1は、第1保炎器本体71と燃料ノズル61の内壁面61aとの間の第1燃料ガス流路P11と、第1保炎器本体71と第2保炎器本体72の間の第2燃料ガス流路P12とに分割される。そして、第1、第2保炎器71,72は、先端部に拡幅部74,76がそれぞれ設けられており、この拡幅部74,76は、各端面74c,76cが燃料ノズル61の開口部61bと燃料ガス301の流れ方向における同位置に同一面上に揃えられて配置されている。
【0062】
第1保炎器本体71は、外周部が複数(本実施形態では、8個)の支持部材77を介して燃料ノズル61の内壁面61aに支持されている。各支持部材77は、第1保炎器本体71の4個の角部の近傍を支持している。各支持部材77は、燃料ノズル61の内壁面61aと第1保炎器本体71の平坦部73の一部とを連結しており、拡幅部74の領域には設けられていない。また、第2保炎器本体72は、外周部が複数(本実施形態では、4個)の支持部材78を介して第1保炎器本体71に支持されている。各支持部材78は、第2保炎器本体72の4個の角部の近傍を支持している。各支持部材78は、第1保炎器本体71の内壁面と第2保炎器本体72の平坦部75の一部とを連結しており、拡幅部76の領域には設けられていない。
【0063】
なお、各支持部材77,78は、各保炎器本体71,72を支持するものであることから、燃料ガス301の流れや保炎に対して影響を与えるものではなく、各保炎器本体71,72(平坦部73,75、拡幅部74,76)の幅(厚さ)よりも極力小さい幅(薄い厚さ)に設定されている。また、この実施形態では、支持部材77,78により保炎器本体71,72の平坦部73,75を支持するようにしたが、拡幅部76を支持してもよいし、平坦部73,75と拡幅部76の両方を支持してもよい。また、支持部材77,78により各保炎器本体71,72を支持する周方向の支持位置は、実施形態に限るものではない。
【0064】
このように構成された燃料バーナ21にて、燃料ガス(微粉炭と1次空気)301は、燃料ノズル61の燃料ガス流路P1を流れ、開口部61bから火炉11(
図2参照)内に噴出される。燃料ガス燃焼用空気302は、燃焼用空気ノズル62の燃焼用空気流路P2を流れ、開口部61bから燃料ガス301の外側に噴出される。2次空気303は、2次空気ノズル63の2次空気流路P3を流れ、開口部63bから燃料ガス燃焼用空気302の外側に噴出される。このとき、燃料ガス(微粉炭と1次空気)301、燃料ガス燃焼用空気302、2次空気303は、旋回させずにバーナ軸線方向(中心線O)に沿った直進流として噴出させている。
【0065】
このとき、燃料ガス301は、燃料ノズル61の開口部61bにて、第1保炎器本体71及び第2保炎器本体72により分岐して流れ、ここで着火されて燃焼し、燃焼ガスとなる。また、この燃料ガス301の外周に燃料ガス301燃焼用空気が噴出されることで、燃料ガス301の燃焼が促進される。更に、燃焼火炎の外周に2次空気303が噴出されることで、燃料ガス燃焼用空気と2次空気303の割合を調整し、最適な燃焼を得ることができる。
【0066】
そして、保炎器64は、第1保炎器本体71及び第2保炎器本体72の拡幅部74,76がスプリット形状をなしているため、燃料ガス301が拡幅部74,76の各ガイド面74a,74b,76aに沿って流れ、端面74c,76c側に回り込むことで、この端面74c,76cの前方に再循環領域が形成される。そのため、燃料ガス301は、この再循環領域で着火と保炎が行われることとなり、燃焼火炎の内部保炎(燃料ノズル61における中心線O側の中央領域における保炎)が実現される。すると、燃焼火炎の外周部が低温となり、2次空気303により高酸素雰囲気下にある燃焼火炎の外周部の温度を低くすることができ、燃焼火炎の外周部におけるNOx発生量が低減される。
【0067】
また、第1保炎器本体71がリング形状をなし、第2保炎器本体72が棒状をなし、燃料ノズル61と第1保炎器本体71と第2保炎器本体72とが連結されずに燃料ガス流路P11,P12を介して前述した所定間隔を空けて離間している。そのため、燃料ガス301は、第1保炎器本体71の各ガイド面74a,74bと第2保炎器本体72のガイド面76aにより多重のリング形状をなす再循環領域を形成することができ、再循環領域を形成することができない領域を減少することで、保炎性能を向上することができる。また、第1保炎器本体71による保炎と、第2保炎器本体72による保炎との干渉を抑制することができる。
【0068】
なお、燃焼バーナ21にて、保炎器64の構成は、上述した実施形態に限定されるものではない。
図3は、第1実施形態の燃焼バーナの第1変形例を表す正面図、
図4は、第1実施形態の燃焼バーナの第2変形例を表す正面図、
図5は、第1実施形態の燃焼バーナの第3変形例を表す正面図である。
【0069】
図3に示すように、燃料ノズル61は、先端部、つまり、燃料ガスの流動方向の下流側に保炎器80が配置されている。この保炎器80は、燃料ノズル61の燃料ガスの着火用及び保炎用の部材として機能するものである。この保炎器80は、第1保炎器本体81と、第2保炎器本体82とから構成されている。第1保炎器本体81は、第1実施形態の第1保炎器本体71と同様に、燃料ノズル61の先端部にこの燃料ノズル61の内壁面61aから所定間隔(隙間)を空けて配置されており、燃料ガスの噴出方向に沿う軸線(燃料ノズル61の中心線)Oを中心とする矩形のリング形状をなしている。第2保炎器本体82は、第1保炎器本体81の内側に所定間隔(隙間)を空けて配置されており、燃料ガスの噴出方向に沿う軸線(燃料ノズル61の中心線)Oを中心とする矩形のリング形状をなしている。
【0070】
燃料ノズル61は、内部にこの保炎器80として第1、第2保炎器本体81,82が配置されていることから、燃料ガス流路P1が3個の領域に分割されることとなる。即ち、燃料ガス流路P1は、第1保炎器本体81と燃料ノズル61の内壁面61aとの間の第1燃料ガス流路P11と、第1保炎器本体81と第2保炎器本体82の間の第2燃料ガス流路P12と、第2保炎器本体82の内側の第3燃料ガス流路P13とに分割される。なお、図示しないが、第1、第2保炎器81,82は、先端部に拡幅部がそれぞれ設けられている。
【0071】
第1保炎器本体81は、外周部が複数(本実施形態では、8個)の支持部材83を介して燃料ノズル61の内壁面61aに支持されている。また、第2保炎器本体82は、外周部が複数(本実施形態では、8個)の支持部材84を介して第1保炎器本体81に支持されている。
【0072】
図4に示すように、燃料ノズル61は、先端部、つまり、燃料ガスの流動方向の下流側に保炎器90が配置されている。この保炎器90は、燃料ノズル61の燃料ガスの着火用及び保炎用の部材として機能するものである。この保炎器90は、第1保炎器本体91と、第2保炎器本体92とから構成されている。第1保炎器本体91は、燃料ノズル61の先端部にこの燃料ノズル61の内壁面61aから所定間隔(隙間)を空けて配置されており、燃料ガスの噴出方向に沿う軸線(燃料ノズル61の中心線)Oを中心とする円形のリング形状をなしている。第2保炎器本体92は、第1保炎器本体91の内側に所定間隔(隙間)を空けて配置されており、燃料ガスの噴出方向に沿う軸線(燃料ノズル61の中心線)Oを中心とする円柱形状をなしている。
【0073】
燃料ノズル61は、内部にこの保炎器90として第1、第2保炎器本体91,92が配置されていることから、燃料ガス流路P1が2個の領域に分割されることとなる。即ち、燃料ガス流路P1は、第1保炎器本体91と燃料ノズル61の内壁面61aとの間の第1燃料ガス流路P11と、第1保炎器本体91と第2保炎器本体92の間の第2燃料ガス流路P12とに分割される。なお、図示しないが、第1、第2保炎器91,92は、先端部に拡幅部がそれぞれ設けられている。
【0074】
第1保炎器本体91は、外周部が複数(本実施形態では、4個)の支持部材93を介して燃料ノズル61の内壁面61aに支持されている。また、第2保炎器本体92は、外周部が複数(本実施形態では、4個)の支持部材94を介して第1保炎器本体91に支持されている。
【0075】
図5に示すように、燃料ノズル61は、先端部、つまり、燃料ガスの流動方向の下流側に保炎器100が配置されている。この保炎器100は、燃料ノズル61の燃料ガスの着火用及び保炎用の部材として機能するものである。この保炎器100は、第1保炎器本体101と、第2保炎器本体102とから構成されている。第1保炎器本体101は、第1保炎器本体91と同様に、燃料ノズル61の先端部にこの燃料ノズル61の内壁面61aから所定間隔(隙間)を空けて配置されており、燃料ガスの噴出方向に沿う軸線(燃料ノズル61の中心線)Oを中心とする円形のリング形状をなしている。第2保炎器本体102は、第1保炎器本体101の内側に所定間隔(隙間)を空けて配置されており、燃料ガスの噴出方向に沿う軸線(燃料ノズル61の中心線)Oを中心とする円形のリング形状をなしている。
【0076】
燃料ノズル61は、内部にこの保炎器100として第1、第2保炎器本体101,102が配置されていることから、燃料ガス流路P1が3個の領域に分割されることとなる。即ち、燃料ガス流路P1は、第1保炎器本体101と燃料ノズル61の内壁面61aとの間の第1燃料ガス流路P11と、第1保炎器本体101と第2保炎器本体102の間の第2燃料ガス流路P12と、第2保炎器本体102の内側の第3燃料ガス流路P13とに分割される。なお、図示しないが、第1、第2保炎器101,102は、先端部に拡幅部がそれぞれ設けられている。
【0077】
第1保炎器本体101は、外周部が複数(本実施形態では、4個)の支持部材103を介して燃料ノズル61の内壁面61aに支持されている。また、第2保炎器本体102は、外周部が複数(本実施形態では、4個)の支持部材104を介して第1保炎器本体101に支持されている。
【0078】
なお、保炎器本体の形状は、四角リング形状や円形リング形状に限定されるものではなく、多角形リング形状や楕円リング形状などであってもよい。また、第1保炎器本体と第2保炎器本体との組み合わせは、同形状の組み合わせに限定されるものではなく、四角リング形状と円形リング形状との異形の組み合わせであってもよい。更に、保炎器本体2個の組み合わせに限らず、1個または3個以上組み合わせてもよいものである。
【0079】
このように第1実施形態の燃焼バーナにあっては、微粉炭と空気とを混合した燃料ガスを噴出する燃料ノズル61と、燃料ノズル61の外側から空気を噴出する燃焼用空気ノズル62と、燃料ノズル61の先端部に燃料ノズル61の内壁面61aから所定間隔を空けて配置されて燃料ガスの噴出方向に沿う軸線を中心Oとするリング形状をなす第1保炎器本体71(81,91,101)を有する保炎器64(80,90,100)とを設けている。
【0080】
従って、燃料ノズル61内を流れる燃料ガスは、第1保炎器本体71の下流側に再循環領域が形成されることで燃料ガス(微粉炭)の燃焼を維持することができる。このとき、第1保炎器本体71がリング形状をなすことから、第1保炎器本体71の本数増加やサイズ拡大をしても、互いの保炎器が交差することがないために着火の干渉を起こすことなく、再循環領域を形成するためのガイド面を十分に確保することができる。また、着火面が1本の線で結ばれるため、一部で着火が起これば、第1保炎器本体71の再循環領域を通じて広く着火させることが可能となる。また、燃料ノズル61の先端部における燃料ガスの流速や燃料濃度の変動を抑制することができる。その結果、互いの保炎器での着火の干渉を抑制して保炎性能の向上を図ることができる。
【0081】
一方、従来の井桁状に組んだ保炎器では、保炎性を向上するためには、この保炎器の本数を増加したり、サイズを大きくする必要があり、互いの保炎器が交差することで着火の干渉を起こしてしまう。また、保炎器のサイズを大きくすると、燃料ノズルの先端部における燃料ガスの流速や微粉炭濃度が変動するため、保炎器全体で均等に火炎が保持されないおそれがある。即ち、井桁状に組んだ保炎器では、交差部に燃料ガスが接触することがないため、保炎に寄与しない無駄な領域が生じることとなり、燃料ノズルの先端部での閉塞率が高くなる。
【0082】
第1実施形態の燃焼バーナでは、保炎器64として、第1保炎器本体71の内側に所定間隔を空けて配置される第2保炎器本体72(82,92,102)を設けている。従って、第2保炎器本体72により燃料ノズル61の中心部に再循環領域を形成することができ、内部保炎性能を向上することができる。
【0083】
第1実施形態の燃焼バーナでは、第1保炎器本体71(81,91,101)を矩形のリング形状または円形のリング形状としている。従って、燃料ノズル61の形状に応じて第1保炎器本体71の形状を最適化することができる。
【0084】
第1実施形態の燃焼バーナでは、第1保炎器本体71(81,91,101)は、外周部が複数の支持部材77(83,93,103を介して燃料ノズル61の内壁面61aに支持されている。従って、第1保炎器本体71を支持部材77により燃料ノズル61における最適位置に適正に支持することができる。
【0085】
第1実施形態の燃焼バーナでは、第2保炎器本体72(102)を軸線Oを中心とするリング形状としている。従って、第1保炎器本体71の内側に所定間隔を空けてリング形状をなす第2保炎器本体72を配置することで、燃料ノズル61の中心部における広い領域に再循環領域を形成することができ、内部保炎性能を向上することができる。
【0086】
第1実施形態のボイラにあっては、中空形状をなして鉛直方向に沿って設置される火炉11と、火炉11に配置される燃焼装置12と、火炉11の上部に配置される煙道13とを設けている。従って、燃焼装置12が上述した燃焼バーナ21を有することで、互いの保炎器での着火の干渉を抑制して保炎性能の向上を図ることができ、ボイラ効率を向上することができる。
【0087】
[第2実施形態]
図8は、第2実施形態の燃焼バーナの正面図である。なお、上述した実施形態と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0088】
第2実施形態において、
図8に示すように、燃焼バーナ21Aは、中心側から燃料ノズル61と、燃焼用空気ノズル62と、2次空気ノズル63が設けられると共に、燃料ノズル61内に保炎器110が設けられている。
【0089】
燃料ノズル61は、微粉炭と搬送用空気とを混合した燃料ガスを噴出可能なものである。燃焼用空気ノズル62は、燃料ノズル61から噴出された燃料ガスの外周側に燃料ガス燃焼用空気を噴出可能なものである。2次空気ノズル63は、燃焼用空気ノズル62から噴出された燃料ガス燃焼用空気の外周側に2次空気303を噴出可能なものである。
【0090】
保炎器110は、燃料ノズル61内であって、燃料ノズル61の先端部、つまり、燃料ガスの流動方向の下流側に配置されることで、燃料ガスの着火用及び保炎用の部材として機能するものである。この保炎器110は、複数(本実施形態では、4個)の保炎器本体111から構成されており、複数の保炎器本体111は、互いに所定間隔(隙間)を空けて配置されると共に、燃料ノズル61の内壁面61aから所定間隔を空けて配置されている。また、各保炎器本体111は、燃料ガスの噴出方向に沿う軸線(燃料ノズル61の中心線)Oに平行な棒形状をなしている。
【0091】
各保炎器本体111は、同形状をなし、正面視(
図8の図示方向)が矩形(四角形)をなしており、燃料ガスの流れ方向に沿った四角柱形状をなしている。保炎器本体111は、図示しないが、幅及び高さが一定な平坦部と、この平坦部の前端部(燃料ガスの流れ方向の下流端部)に一体に設けられた拡幅部とから構成されている。拡幅部は、燃料ガスの流れ方向に向かって幅と高さが大きくなる。この拡幅部は、断面が略二等辺三角形状をなし、基端部が平坦部に連結され、先端部が燃料ガスの流れ方向の下流側に向って幅が広くなり、前端がこの燃料ガスの流れ方向に直交する平面となっている。そのため、拡幅部は、四方に広がるように傾斜するガイド面111aと、前端側の端面111bとを有している。この場合、ガイド面と端面は、平面であることが望ましいが、凹状または凸状に屈曲または湾曲した面であってもよい。
【0092】
この場合、保炎器本体111は、前述したように、互いに所定間隔の隙間を空けて配置されているが、この所定間隔とは、少なくとも保炎器本体111における拡幅部の幅以上の隙間、または、少なくとも保炎器本体111における拡幅部が熱延びにより保炎器本体111や燃料ノズル61の内壁面61aに干渉(接触)しない程度の隙間である。
【0093】
燃料ノズル61は、内部にこの保炎器110として複数の保炎器本体111が格子状に配置されている。この場合、複数の保炎器本体111同士の間隔と、保炎器本体111と燃料ノズル61との間隔は、同寸法に設定されている。そのため、複数の保炎器本体111は、互いに対向する部分のガイド面111aが平面部となっている。なお、
図8に二点鎖線で示すように、燃料ガスの噴出方向に沿う軸線Oの位置にも保炎器本体111を配置してもよい。そして、保炎器本体111は、先端部に拡幅部が設けられており、この拡幅部は、各端面が燃料ノズル61の開口部と燃料ガスの流れ方向における同位置に同一面上に揃えられて配置されている。
【0094】
複数の保炎器本体111は、複数(本実施形態では、8個)の支持部材112を介して燃料ノズル61の内壁面61aに支持されている。各支持部材112は、燃料ノズル61の内壁面61aと保炎器本体111の平坦部とを連結しており、拡幅部の領域には設けられていない。また、複数の保炎器本体111同士は、複数(本実施形態では、4個)の支持部材113を介して連結されている。各支持部材113は、保炎器本体111の平坦部同士を連結しており、拡幅部の領域には設けられていない。
【0095】
そのため、燃料バーナ21Aにて、燃料ガスは、燃料ノズル61の流路を流れ、開口部から火炉11(
図2参照)内に噴出される。燃料ガス燃焼用空気は、燃焼用空気ノズル62の流路を流れ、開口部から燃料ガスの外側に噴出される。2次空気303は、2次空気ノズル63の流路を流れ、開口部から燃料ガス燃焼用空気の外側に噴出される。このとき、燃料ガス(微粉炭と1次空気)、燃料ガス燃焼用空気、2次空気303は、旋回させずにバーナ軸線方向(中心線O)に沿った直進流として噴出させている。そして、燃料ガスは、燃料ノズル61の開口部にて、複数の保炎器本体111に沿って流れ、ここで着火されて燃焼し、燃焼ガスとなる。また、この燃料ガスの外周に燃料ガス燃焼用空気が噴出されることで、燃料ガスの燃焼が促進される。更に、燃焼火炎の外周に2次空気が噴出されることで、燃料ガス燃焼用空気と2次空気の割合を調整し、最適な燃焼を得ることができる。
【0096】
そして、保炎器110は、複数の保炎器本体111の拡幅部がスプリット形状をなしているため、燃料ガスが拡幅部の各ガイド面111aに沿って流れ、端面111b側に回り込むことで、この端面111bの前方に再循環領域が形成される。そのため、燃料ガスは、この再循環領域で着火と保炎が行われることとなり、燃焼火炎の内部保炎が実現される。すると、燃焼火炎の外周部が低温となり、2次空気により高酸素雰囲気下にある燃焼火炎の外周部の温度を低くすることができ、燃焼火炎の外周部におけるNOx発生量が低減される。
【0097】
また、複数の保炎器本体111が所定間隔を空けて格子状に点在している。そのため、燃料ガスは、各保炎器本体111の各ガイド面111aにより燃料ノズル61内で複数の再循環領域を形成することができ、再循環領域を形成することができない領域を減少することで、保炎性能を向上することができる。
【0098】
なお、燃焼バーナ21Aにて、保炎器110の構成は、上述した実施形態に限定されるものではない。
図9は、第2実施形態の燃焼バーナの第1変形例を表す正面図、
図10は、第2実施形態の燃焼バーナの第2変形例を表す正面図、
図11は、第2実施形態の燃焼バーナの第3変形例を表す正面図である。
【0099】
図9に示すように、燃料ノズル61は、先端部、つまり、燃料ガスの流動方向の下流側に保炎器120が配置されている。この保炎器120は、燃料ノズル61の燃料ガスの着火用及び保炎用の部材として機能するものである。この保炎器120は、複数(本実施形態では、4個)の保炎器本体121から構成されており、複数の保炎器本体121は、互いに所定間隔を空けて配置されると共に、燃料ノズル61の内壁面61aから所定間隔を空けて配置されている。また、各保炎器本体111は、燃料ガスの噴出方向に沿う軸線(燃料ノズル61の中心線)Oに平行な円柱形状をなしている。
【0100】
燃料ノズル61は、内部にこの保炎器120として複数の保炎器本体121が格子状に配置されている。なお、
図9に二点鎖線で示すように、燃料ガスの噴出方向に沿う軸線Oの位置にも保炎器本体121を配置してもよい。そして、保炎器本体121は、先端部に拡幅部が設けられており、この拡幅部は、各端面が燃料ノズル61の開口部と燃料ガスの流れ方向における同位置に同一面上に揃えられて配置されている。
【0101】
複数の保炎器本体121は、複数(本実施形態では、8個)の支持部材122を介して燃料ノズル61の内壁面61aに支持されている。各支持部材122は、燃料ノズル61の内壁面61aと保炎器本体121の平坦部とを連結している。また、複数の保炎器本体121同士は、複数(本実施形態では、4個)の支持部材123を介して連結されている。
【0102】
図10に示すように、燃料ノズル61は、先端部、つまり、燃料ガスの流動方向の下流側に保炎器130が配置されている。この保炎器130は、燃料ノズル61の燃料ガスの着火用及び保炎用の部材として機能するものである。この保炎器130は、複数(本実施形態では、8個)の保炎器本体131から構成されており、複数の保炎器本体131は、互いに所定間隔を空けて配置されると共に、燃料ノズル61の内壁面61aから所定間隔を空けて配置されている。また、各保炎器本体131は、燃料ガスの噴出方向に沿う軸線(燃料ノズル61の中心線)Oに平行な四角柱形状をなしている。
【0103】
燃料ノズル61は、内部にこの保炎器130として複数の保炎器本体131が十字をなすように配置されている。なお、
図10に二点鎖線で示すように、格子状に保炎器本体131を配置してもよい。そして、保炎器本体131は、先端部に拡幅部が設けられており、この拡幅部は、各端面が燃料ノズル61の開口部と燃料ガスの流れ方向における同位置に同一面上に揃えられて配置されている。
【0104】
図11に示すように、燃料ノズル61は、先端部、つまり、燃料ガスの流動方向の下流側に保炎器140が配置されている。この保炎器140は、燃料ノズル61の燃料ガスの着火用及び保炎用の部材として機能するものである。この保炎器140は、複数(本実施形態では、8個)の保炎器本体141から構成されており、複数の保炎器本体141は、互いに所定間隔を空けて配置されると共に、燃料ノズル61の内壁面61aから所定間隔を空けて配置されている。また、各保炎器本体141は、燃料ガスの噴出方向に沿う軸線(燃料ノズル61の中心線)Oに平行な四角柱形状をなしている。
【0105】
燃料ノズル61は、内部にこの保炎器140として複数の保炎器本体141が千鳥状に配置されている。なお、
図11に二点鎖線で示すように、格子状に保炎器本体141を配置してもよい。そして、保炎器本体141は、先端部に拡幅部が設けられており、この拡幅部は、各端面が燃料ノズル61の開口部と燃料ガスの流れ方向における同位置に同一面上に揃えられて配置されている。
【0106】
このように第2実施形態の燃焼バーナにあっては、微粉炭と空気とを混合した燃料ガスを噴出する燃料ノズル61と、燃料ノズル61の外側から空気を噴出する燃焼用空気ノズル62と、燃料ノズル61の先端部に燃料ノズル61の内壁面61aから所定間隔を空けて配置されて燃料ガスの噴出方向に沿う軸線を中心Oとするリング形状をなす複数の保炎器本体111(121,131,141)を有する保炎器110(120,130,140)とを設けている。
【0107】
従って、燃料ノズル61内を流れる燃料ガスは、保炎器本体111の下流側に再循環領域が形成されることで燃料ガス(微粉炭)の燃焼を維持することができる。このとき、複数の保炎器本体111が互いに所定間隔を空けると共に燃料ノズル61の内壁面61aから所定間隔を空けて配置されることから、保炎器本体111の本数増加やサイズ拡大をしても、互いの保炎器が交差することがないために着火の干渉を起こすことなく、再循環領域を形成するためのガイド面を十分に確保することができる。また、燃料ノズル61の先端部における燃料ガスの流速や燃料濃度の変動を抑制することができる。その結果、互いの保炎器での着火の干渉を抑制して保炎性能の向上を図ることができる。
【0108】
第2実施形態の燃焼バーナでは、複数の保炎器本体111(121,131,141)を格子状または千鳥状に配置している。従って、着火の干渉を起こすことがないと共に、個々の保炎器本体111の周囲を全て着火面とすることができ、燃料ノズル61内に複数の保炎器本体111を効率良く配置することができる。
【0109】
第2実施形態の燃焼バーナでは、複数の保炎器本体111(131,141)を互いに対向する部分に平面部としてのガイド面111aを設けている。従って、燃料ガス(微粉体)は、互いに対向するガイド面111aにより所定の領域に集められることとなり、保炎性能の向上を図ることができる。
【0110】
[第3実施形態]
図12は、第3実施形態の燃焼バーナの縦断面図である。なお、上述した実施形態と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0111】
第3実施形態において、
図12に示すように、燃焼バーナ21Bは、中心側から燃料ノズル61と、燃焼用空気ノズル62と、2次空気ノズル63が設けられると共に、燃料ノズル61内に保炎器200が設けられている。
【0112】
燃料ノズル61は、微粉炭と1次空気とを混合した燃料ガスを噴出可能なものである。燃焼用空気ノズル62は、燃料ノズル61から噴出された燃料ガスの外周側に燃料ガス燃焼用空気を噴出可能なものである。2次空気ノズル63は、燃焼用空気ノズル62から噴出された燃料ガス燃焼用空気の外周側に2次空気を噴出可能なものである。保炎器200は、燃料ノズル61内であって、燃料ノズル61の先端部、つまり、燃料ガスの流動方向の下流側に配置されることで、燃料ガスの着火用及び保炎用の部材として機能するものである。この保炎器200は、第1保炎器本体201と、第2保炎器本体202とから構成されている。第1保炎器本体201は、燃料ガスの噴出方向に沿う軸線Oを中心とする矩形のリング形状をなしている。第2保炎器本体202は、燃料ガスの噴出方向に沿う軸線Oを中心とする四角柱形状をなしている。なお、第1保炎器本体201及び第2保炎器本体202は、正面視が第1実施形態の第1保炎器本体71及び第2保炎器本体72(
図1参照)とほぼ同形状をなしている。
【0113】
第1保炎器本体201は、平坦部203と拡幅部204とから構成されている。拡幅部204は、断面が略二等辺三角形状をなし、基端部が平坦部203に連結され、先端部が燃料ガスの流れ方向の下流側に向って幅が広くなり、前端がこの燃料ガスの流れ方向に直交する平面となっている。即ち、拡幅部204は、四角リング形状をなす内側に燃料ガスの流れ方向に対して中心線O側に傾斜する第1ガイド面204aと、四角リング形状をなす外側に燃料ガスの流れ方向に対して中心線Oから離間する側に傾斜する第2ガイド面204bと、四角リング形状をなす前端側の端面204cとを有している。
【0114】
一方、第2保炎器本体202は、平坦部205と拡幅部206とから構成されている。拡幅部206は、平面視及び側面(または、断面)視が略二等辺三角形状をなし、基端部が平坦部205に連結され、先端部が燃料ガスの流れ方向の下流側に向って幅が広くなり、前端がこの燃料ガスの流れ方向に直交する平面となっている。即ち、拡幅部206は、四角棒形状をなす外側に燃料ガスの流れ方向に対して中心線Oから離間する側に傾斜するガイド面206aと、四角形状をなす前端側の端面206cとを有している。
【0115】
また、第2保炎器本体202の拡幅部206は、4個のガイド面206aが第1保炎器本体201の拡幅部206における一部のガイド面204aと対向している。そして、第2保炎器本体202の拡幅部206における各ガイド面206aの広がり角度が、第1保炎器本体201の拡幅部204における各ガイド面204aの広がり角度より大きく設定されている。そのため、燃料ノズル61から噴出される燃料ガスは、第1保炎器本体201の各ガイド面204a,204bにより形成される再循環領域A1より、第2保炎器本体202の各ガイド面206aにより形成される再循環領域A2が大きくなり、再循環領域A1,A2の一部が重複(オーバーラップ)する。
【0116】
このように構成された燃料バーナ21Bにて、燃料ガスは、燃料ノズル61の流路を流れ、開口部61bから火炉11(
図2参照)内に噴出される。燃料ガス燃焼用空気は、燃焼用空気ノズル62の流路を流れ、開口部61bから燃料ガスの外側に噴出される。2次空気は、2次空気ノズル63の流路を流れ、開口部63bから燃料ガス燃焼用空気の外側に噴出される。このとき、燃料ガス(微粉炭と1次空気)、燃料ガス燃焼用空気、2次空気は、旋回させずにバーナ軸線方向(中心線O)に沿った直進流として噴出させている。そして、燃料ガスは、燃料ノズル61の開口部61bにて、第1保炎器本体201及び第2保炎器本体202により分岐して流れ、ここで着火されて燃焼し、燃焼ガスとなる。また、この燃料ガスの外周に燃料ガス燃焼用空気が噴出されることで、燃料ガスの燃焼が促進される。更に、燃焼火炎の外周に2次空気が噴出されることで、燃料ガス燃焼用空気と2次空気の割合を調整し、最適な燃焼を得ることができる。
【0117】
そして、保炎器200は、第1保炎器本体201及び第2保炎器本体202の拡幅部204,206がスプリット形状をなしているため、燃料ガスが拡幅部204,206の各ガイド面204a,204b,206aに沿って流れ、端面204c,206c側に回り込むことで、この端面204c,206cの前方に再循環領域A1,A2が形成される。この場合、拡幅部206のガイド面206aの広がり角度が拡幅部204の第1ガイド面204aの広がり角度より大きいため、ガイド面206aに沿って流れる燃料ガス(微粉炭)が隣接する第1ガイド面204a側に流れる。すると、内側の再循環領域A2が外側の再循環領域A1より大きくなり、各再循環領域A1,A2の一部が重複する。そのため、燃料ガスは、この再循環領域A1,A2で着火と保炎が行われると共に、互いに火炎が伝播しやすくなり、燃焼火炎の内部保炎が実現される。すると、燃焼火炎の外周部が低温となり、2次空気により高酸素雰囲気下にある燃焼火炎の外周部の温度を低くすることができ、燃焼火炎の外周部におけるNOx発生量が低減される。
【0118】
また、第1保炎器本体201がリング形状をなし、第2保炎器本体202が棒状をなし、燃料ノズル61と第1保炎器本体201と第2保炎器本体202とが連結されていない。そのため、燃料ガスは、第1保炎器本体201の各ガイド面204a,204bと第2保炎器本体202のガイド面206aにより多重のリング形状をなす再循環領域を形成することができ、再循環領域A1,A2を形成することができない領域を減少することで、保炎性能を向上することができる。
【0119】
なお、燃焼バーナ21Bにて、保炎器200の構成は、上述した実施形態に限定されるものではない。
図13は、第3実施形態の燃焼バーナの変形例を表す縦断面図である。
【0120】
図13に示すように、燃焼バーナ21Cは、中心側から燃料ノズル61と、燃焼用空気ノズル62と、2次空気ノズル63が設けられると共に、燃料ノズル61内に保炎器210が設けられている。
【0121】
保炎器210は、燃料ノズル61内であって、燃料ノズル61の先端部、つまり、燃料ガスの流動方向の下流側に配置されることで、燃料ガスの着火用及び保炎用の部材として機能するものである。この保炎器210は、第1保炎器本体211と、第2保炎器本体212とから構成されている。第1保炎器本体211は、燃料ガスの噴出方向に沿う軸線Oを中心とする矩形のリング形状をなしている。第2保炎器本体212は、燃料ガスの噴出方向に沿う軸線Oを中心とする四角柱筒形状をなしている。
【0122】
第1保炎器本体211は、平坦部213と拡幅部214とから構成されている。拡幅部214は、四角リング形状をなす内側に燃料ガスの流れ方向に対して中心線O側に傾斜する第1ガイド面214aと、四角リング形状をなす外側に燃料ガスの流れ方向に対して中心線Oから離間する側に傾斜する第2ガイド面214bと、四角リング形状をなす前端側の端面214cとを有している。一方、第2保炎器本体212は、平坦部215と拡幅部216とから構成されている。拡幅部216は、四角棒形状をなす外側に燃料ガスの流れ方向に対して中心線Oから離間する側に傾斜するガイド面216aと、四角形状をなす前端側の端面216cとを有している。
【0123】
また、第2保炎器本体212の拡幅部216は、4個のガイド面216aが第1保炎器本体211の拡幅部216における一部のガイド面214aと対向している。そして、第1保炎器本体211の拡幅部214における各ガイド面214aの広がり角度が、第2保炎器本体212の拡幅部216における各ガイド面216aの広がり角度より大きく設定されている。そのため、燃料ノズル61から噴出される燃料ガスは、第1保炎器本体201の各ガイド面214a,214bにより形成される再循環領域A1より、第2保炎器本体212の各ガイド面216aにより形成される再循環領域A2が大きくなり、再循環領域A1,A2の一部が重複する。
【0124】
そのため、燃料ガスは、燃料ノズル61の流路を流れ、開口部61bから火炉11(
図2参照)内に噴出される。このとき、燃料ガスは、燃料ノズル61の開口部61bにて、第1保炎器本体211及び第2保炎器本体212により分岐して流れ、ここで着火されて燃焼し、燃焼ガスとなる。そして、保炎器210は、第1保炎器本体211及び第2保炎器本体212の拡幅部214,216がスプリット形状をなしているため、燃料ガスが拡幅部214,216の各ガイド面214a,214b,216aに沿って流れ、端面214c,216c側に回り込むことで、この端面214c,216cの前方に再循環領域A1,A2が形成される。この場合、拡幅部214のガイド面214aの広がり角度が拡幅部216のガイド面216aの広がり角度より大きいため、ガイド面214aに沿って流れる燃料ガス(微粉炭)が隣接するガイド面216a側に流れる。すると、外側の再循環領域A1が内側の再循環領域A1より大きくなり、各再循環領域A1,A2の一部が重複する。そのため、燃料ガスは、この再循環領域A1,A2で着火と保炎が行われると共に、互いに火炎が伝播しやすくなり、燃焼火炎の内部保炎が実現される。すると、燃焼火炎の外周部が低温となり、2次空気により高酸素雰囲気下にある燃焼火炎の外周部の温度を低くすることができ、燃焼火炎の外周部におけるNOx発生量が低減される。
【0125】
このように第3実施形態の燃焼バーナにあっては、燃料ノズル61の先端部に燃料ノズル61の内壁面61aから所定間隔を空けて配置されて燃料ガスの噴出方向に沿う軸線を中心Oとするリング形状をなす第1、第2保炎器本体201,202を有する保炎器200を設け、この第1、第2保炎器本体201,202は、燃料ガスの噴出方向の下流側に向けて幅広となる三角断面形状の拡幅部204,206を有し、第2保炎器本体202の拡幅部206における各ガイド面206aの広がり角度を第1保炎器本体201の拡幅部204における各ガイド面204aの広がり角度より大きく設定している。
【0126】
従って、燃料ガスが拡幅部204,206の各ガイド面204a,204b,206aに沿って流れ、端面204c,206c側に回り込むことで、再循環領域A1,A2が形成されるが、拡幅部206のガイド面206aの広がり角度が拡幅部204のガイド面204aの広がり角度より大きいため、内側の再循環領域A2が外側の再循環領域A1より大きくなり、各再循環領域A1,A2の一部が重複する。そのため、燃料ガスは、この再循環領域A1,A2で着火と保炎が行われると共に、互いに火炎が広い範囲で伝播することとなり、燃焼火炎の内部保炎性能を向上することができる。
【0127】
第3実施形態の燃焼バーナでは、燃料ノズル61の先端部に燃料ノズル61の内壁面61aから所定間隔を空けて配置されて燃料ガスの噴出方向に沿う軸線を中心Oとするリング形状をなす第1、第2保炎器本体211,212を有する保炎器210を設け、この第1、第2保炎器本体211,212は、燃料ガスの噴出方向の下流側に向けて幅広となる三角断面形状の拡幅部214,216を有し、第1保炎器本体211の拡幅部214における各ガイド面214aの広がり角度を第2保炎器本体212の拡幅部216における各ガイド面216aの広がり角度より大きく設定している。
【0128】
従って、燃料ガスが拡幅部214,216の各ガイド面214a,214b,216aに沿って流れ、端面214c,216c側に回り込むことで、再循環領域A1,A2が形成されるが、拡幅部214のガイド面214aの広がり角度が拡幅部216のガイド面216aの広がり角度より大きいため、外側の再循環領域A1が内側の再循環領域A2より大きくなり、各再循環領域A1,A2の一部が重複する。そのため、燃料ガスは、この再循環領域A1,A2で着火と保炎が行われると共に、互いに火炎が広い範囲で伝播することとなり、燃焼火炎の内部保炎性能を向上することができる。
【0129】
[第4実施形態]
図14は、第4実施形態の燃焼バーナの縦断面図である。なお、上述した実施形態と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0130】
第4実施形態にて、
図14に示すように、燃焼バーナ21Dは、中心側から燃料ノズル61と、燃焼用空気ノズル62と、2次空気ノズル63が設けられると共に、燃料ノズル61内に保炎器220が設けられている。
【0131】
燃料ノズル61は、微粉炭と1次空気とを混合した燃料ガスを噴出可能なものである。燃焼用空気ノズル62は、燃料ノズル61から噴出された燃料ガスの外周側に燃料ガス燃焼用空気を噴出可能なものである。2次空気ノズル63は、燃焼用空気ノズル62から噴出された燃料ガス燃焼用空気の外周側に2次空気を噴出可能なものである。保炎器220は、燃料ノズル61内であって、燃料ノズル61の先端部、つまり、燃料ガスの流動方向の下流側に配置されることで、燃料ガスの着火用及び保炎用の部材として機能するものである。この保炎器220は、第1保炎器本体221と、第2保炎器本体222とから構成されている。第1保炎器本体221は、燃料ガスの噴出方向に沿う軸線Oを中心とする矩形のリング形状をなしている。第2保炎器本体222は、燃料ガスの噴出方向に沿う軸線Oを中心とする四角柱形状をなしている。なお、第1保炎器本体221及び第2保炎器本体222は、正面視が第1実施形態の第1保炎器本体71及び第2保炎器本体72(
図1参照)とほぼ同形状をなしている。
【0132】
第1保炎器本体221は、平坦部223と拡幅部224とから構成されている。拡幅部224は、内側に傾斜する第1ガイド面224aと、外側に傾斜する第2ガイド面224bと、前端側の端面224cとを有している。一方、第2保炎器本体222は、平坦部225と拡幅部226とから構成されている。拡幅部226は、外側に傾斜するガイド面226aと、前端側の端面226cとを有している。
【0133】
また、燃料ノズル61の中心側に配置される第2保炎器本体222は、旋回ベーン227が設けられている。この旋回ベーン227は、第2保炎器本体222における平坦部225及び拡幅部226の一部にかけて設けられている。旋回ベーン227は、所謂、旋回翼であり、第2保炎器本体222の外周部に周方向に等間隔で複数設けられている。そのため、燃料ノズル61から噴出される燃料ガスは、第2保炎器本体222の旋回ベーン227により旋回力が作用されて外側に広がることとなり、各ガイド面226aにより形成される再循環領域が、第2保炎器本体222の各ガイド面224a,224bにより形成される再循環領域より大きくなり(
図12参照)、各再循環領域の一部が重複する。
【0134】
このように構成された燃料バーナ21Dにて、燃料ガスは、燃料ノズル61の流路を流れ、開口部61bから火炉11(
図2参照)内に噴出される。燃料ガス燃焼用空気は、燃焼用空気ノズル62の流路を流れ、開口部61bから燃料ガスの外側に噴出される。2次空気は、2次空気ノズル63の流路を流れ、開口部63bから燃料ガス燃焼用空気の外側に噴出される。このとき、燃料ガス(微粉炭と1次空気)、燃料ガス燃焼用空気、2次空気は、旋回させずにバーナ軸線方向(中心線O)に沿った直進流として噴出させている。そして、燃料ガスは、燃料ノズル61の開口部61bにて、第1保炎器本体221及び第2保炎器本体222により分岐して流れ、ここで着火されて燃焼し、燃焼ガスとなる。また、この燃料ガスの外周に燃料ガス燃焼用空気が噴出されることで、燃料ガスの燃焼が促進される。更に、燃焼火炎の外周に2次空気が噴出されることで、燃料ガス燃焼用空気と2次空気の割合を調整し、最適な燃焼を得ることができる。
【0135】
そして、保炎器220は、第2保炎器本体221及び第2保炎器本体222の拡幅部224,226がスプリット形状をなしているため、燃料ガスが拡幅部224,226の各ガイド面224a,224b,226aに沿って流れ、端面224c,226c側に回り込むことで、この端面224c,226cの前方に再循環領域が形成される。この場合、第2保炎器本体222に旋回ベーン227が設けられているため、燃料ガス(微粉炭)が旋回しながらガイド面226aに沿って隣接するガイド面224a側に流れる。すると、内側の再循環領域が外側の再循環領域より大きくなり、各再循環領域の一部が重複して強化される。そのため、燃料ガスは、この再循環領域における着火と保炎が強化されると共に、互いに火炎が伝播しやすくなり、燃焼火炎の内部保炎が実現される。すると、燃焼火炎の外周部が低温となり、2次空気により高酸素雰囲気下にある燃焼火炎の外周部の温度を低くすることができ、燃焼火炎の外周部におけるNOx発生量が低減される。
【0136】
また、第1保炎器本体221がリング形状をなし、第2保炎器本体222が棒状をなし、燃料ノズル61と第1保炎器本体221と第2保炎器本体222とが連結されていない。そのため、燃料ガスは、第1保炎器本体221の各ガイド面224a,224bと第2保炎器本体222のガイド面226aにより多重のリング形状をなす再循環領域を形成することができ、再循環領域を形成することができない領域を減少することで、保炎性能を向上することができる。
【0137】
なお、燃焼バーナ21Dにて、保炎器220の構成は、上述した実施形態に限定されるものではない。
図15は、第4実施形態の燃焼バーナの第1変形例を表す縦断面図、
図16は、第4実施形態の燃焼バーナの第2変形例を表す正面図、
図17は、燃焼バーナの第2変形例を表す縦断面図である。
【0138】
図15に示すように、燃焼バーナ21Eは、中心側から燃料ノズル61と、燃焼用空気ノズル62と、2次空気ノズル63が設けられると共に、燃料ノズル61内に保炎器230が設けられている。
【0139】
保炎器220は、燃料ノズル61内であって、燃料ノズル61の先端部、つまり、燃料ガスの流動方向の下流側に配置されることで、燃料ガスの着火用及び保炎用の部材として機能するものである。この保炎器230は、第1保炎器本体231と、第2保炎器本体232とから構成されている。第1保炎器本体231は、燃料ガスの噴出方向に沿う軸線Oを中心とする矩形のリング形状をなしている。第2保炎器本体232は、燃料ガスの噴出方向に沿う軸線Oを中心とする四角柱形状をなしている。
【0140】
第1保炎器本体231は、平坦部233と拡幅部234とから構成されている。拡幅部234は、内側に傾斜する第1ガイド面234aと、外側に傾斜する第2ガイド面234bと、前端側の端面234cとを有している。一方、第2保炎器本体232は、平坦部235と拡幅部236とから構成されている。拡幅部236は、外側に傾斜するガイド面236aと、前端側の端面236cとを有している。
【0141】
また、燃料ノズル61の中心側に配置される第2保炎器本体232は、旋回ベーン237が設けられている。この旋回ベーン237は、第2保炎器本体232における平坦部233に設けられている。旋回ベーン237は、所謂、旋回翼であり、第2保炎器本体232の外周部に周方向に等間隔で複数設けられている。そのため、燃料ノズル61から噴出される燃料ガスは、第2保炎器本体232の旋回ベーン237により旋回力が作用されて外側に広がることとなり、各ガイド面236aにより形成される再循環領域が、第1保炎器本体231の各ガイド面234aにより形成される再循環領域より大きくなり、各再循環領域の一部が重複する。
【0142】
そのため、燃料ガスは、燃料ノズル61の流路を流れ、開口部61bから火炉11(
図2参照)内に噴出される。このとき、燃料ガスは、燃料ノズル61の開口部61bにて、第1保炎器本体231及び第2保炎器本体232により分岐して流れ、ここで着火されて燃焼し、燃焼ガスとなる。そして、保炎器230は、第1保炎器本体231及び第2保炎器本体232の拡幅部234,236がスプリット形状をなしているため、燃料ガスが拡幅部234,236の各ガイド面234a,234b,236aに沿って流れ、端面234c,236c側に回り込むことで、この端面234c,236cの前方に再循環領域が形成される。この場合、第1保炎器本体231に旋回ベーン237が設けられているため、燃料ガス(微粉炭)が旋回しながらガイド面236aに沿って隣接するガイド面234a側に流れる。すると、内側の再循環領域が外側の再循環領域より大きくなり、各再循環領域の一部が重複する。そのため、燃料ガスは、この再循環領域で着火と保炎が行われると共に、互いに火炎が伝播しやすくなり、燃焼火炎の内部保炎が実現される。すると、燃焼火炎の外周部が低温となり、2次空気により高酸素雰囲気下にある燃焼火炎の外周部の温度を低くすることができ、燃焼火炎の外周部におけるNOx発生量が低減される。
【0143】
図16及び
図17に示すように、燃焼バーナ21Fは、中心側から燃料ノズル61と、燃焼用空気ノズル62と、2次空気ノズル63が設けられると共に、燃料ノズル61内に保炎器240が設けられている。
【0144】
保炎器240は、燃料ノズル61内であって、燃料ノズル61の先端部、つまり、燃料ガスの流動方向の下流側に配置されることで、燃料ガスの着火用及び保炎用の部材として機能するものである。この保炎器240は、第1保炎器本体241と、第2保炎器本体242とから構成されている。第1保炎器本体241は、燃料ガスの噴出方向に沿う軸線Oを中心とする矩形のリング形状をなしている。第2保炎器本体242は、燃料ガスの噴出方向に沿う軸線Oを中心とする四角柱形状をなしている。
【0145】
第1保炎器本体241は、平坦部243と拡幅部244とから構成されている。拡幅部244は、内側に傾斜する第1ガイド面244aと、外側に傾斜する第2ガイド面244bと、前端側の端面244cとを有している。一方、第2保炎器本体242は、平坦部245と拡幅部246とから構成されている。拡幅部246は、外側に傾斜するガイド面246aと、前端側の端面246cとを有している。
【0146】
また、燃料ノズル61の中心側に配置される第2保炎器本体242は、旋回ベーン247が設けられている。この旋回ベーン247は、第1保炎器本体241と第2保炎器本体242の間に跨って設けられている。旋回ベーン247は、所謂、旋回翼であり、第1保炎器本体241の平坦部243と第2保炎器本体242の平坦部245とに架け渡されるように配置され、第2保炎器本体242の外周部に周方向に等間隔で複数設けられている。そのため、燃料ノズル61から噴出される燃料ガスは、第2保炎器本体242の旋回ベーン247により旋回力が作用されて外側に広がることとなり、各ガイド面246aにより形成される再循環領域が、第1保炎器本体241の各ガイド面244aにより形成される再循環領域より大きくなり、各再循環領域の一部が重複する。
【0147】
なお、第1保炎器本体241は、外周部が複数(本実施形態では、4個)の支持部材248を介して燃料ノズル61の内壁面61aに支持されている。また、第2保炎器本体242は、外周部が複数(本実施形態では、4個)の支持部材249を介して第1保炎器本体241に支持されている。
【0148】
そのため、燃料ガスは、燃料ノズル61の流路を流れ、開口部61bから火炉11(
図2参照)内に噴出される。このとき、燃料ガスは、燃料ノズル61の開口部61bにて、第1保炎器本体241及び第2保炎器本体242により分岐して流れ、ここで着火されて燃焼し、燃焼ガスとなる。そして、保炎器240は、第1保炎器本体241及び第2保炎器本体242の拡幅部244,246がスプリット形状をなしているため、燃料ガスが拡幅部244,246の各ガイド面244a,244b,246aに沿って流れ、端面244c,246c側に回り込むことで、この端面244c,246cの前方に再循環領域が形成される。この場合、第1保炎器本体241に旋回ベーン247が設けられているため、燃料ガス(微粉炭)が旋回しながらガイド面246aに沿って隣接する第1ガイド面244a側に流れる。すると、内側の再循環領域が外側の再循環領域より大きくなり、各再循環領域の一部が重複する。そのため、燃料ガスは、この再循環領域で着火と保炎が行われると共に、互いに火炎が伝播しやすくなり、燃焼火炎の内部保炎が実現される。すると、燃焼火炎の外周部が低温となり、2次空気により高酸素雰囲気下にある燃焼火炎の外周部の温度を低くすることができ、燃焼火炎の外周部におけるNOx発生量が低減される。
【0149】
このように第4実施形態の燃焼バーナにあっては、燃料ノズル61の先端部に燃料ノズル61の内壁面61aから所定間隔を空けて配置されて燃料ガスの噴出方向に沿う軸線を中心Oとするリング形状をなす第1、第2保炎器本体221,222(231,232,241,241)を有する保炎器220(230,240)を設け、この第1保炎器本体221(231,241)に旋回ベーン227(237,247)を配置している。
【0150】
従って、燃料ガスが旋回ベーン227により旋回しながらガイド面226aに沿って隣接するガイド面224a側に流れ、端面224c側に回り込むことで、再循環領域が形成されるが、燃料ガスが旋回流のため、内側の再循環領域が外側の再循環領域より大きくなり、各再循環領域の一部が重複する。そのため、燃料ガスは、この再循環領域で着火と保炎が行われると共に、互いに火炎が広い範囲で伝播することとなり、燃焼火炎の内部保炎性能を向上することができる。
【0151】
なお、上述した第3、第4実施形態では、第1実施形態の燃焼バーナに適用した形態を挙げて説明したが、この構成に限定されるものではない。第3、第4実施形態は、全ての実施形態に適用することができる。
【0152】
また、上述した実施形態では、保炎器本体を平坦部と拡幅部とから構成したが、この構成に限定されるものではなく、拡幅部だけで構成してもよい。また、保炎器本体にガイド面を形成したが、このガイド面を設けなくてもよい、つまり、保炎器本体の拡幅部の両側を燃料ガスの噴出方向に沿う平行な面としてもよい。
【0153】
また、上述した実施形態では、燃料ノズルと燃焼用空気ノズルと2次空気ノズルを矩形状としたが、この形状に限るものではなく、円形状としてもよい。
【0154】
また、上述した実施形態では、本発明のボイラを石炭焚きボイラとしたが、固体燃料としては、バイオマスや石油コークス、石油残渣などを使用するボイラであってもよい。また、燃料として固体燃料に限らず、重質油などの油焚きボイラにも使用することができる。さらには、これら燃料の混焼焚きにも適用することができる。