(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
[第1実施形態]
最初に、第1実施形態に係る吐出容器1について説明する。
図1に示すように、吐出容器1は、内容物が収容されるとともに内容物の減少に伴いしぼみ変形する可撓性に富む内容器4、および内容器4が内装され弾性変形可能な外容器6を有する容器本体2と、容器本体2の口部3に装着され、頂壁部11に内容物を吐出する吐出孔12が形成された有頂筒状の吐出ノズル10と、吐出ノズル10内に配設され、吐出孔12と内容器4内とを連通する連通孔21が形成された中栓20と、中栓20における連通孔21の開口周縁部21a上に、上方に向けて離反自在に配設され、連通孔21を開放自在に閉塞する弁体31と、容器本体2の口部3に着脱自在に装着されて吐出孔12を覆うキャップ8と、を備えている。
【0013】
容器本体2は有底筒状に形成されるとともに、キャップ8は有頂筒状に形成され、これら容器本体2およびキャップ8が共通軸と同軸に配置されている。以下、この共通軸を容器軸Oといい、容器軸Oに沿う方向を上下方向という。また、上下方向に沿う容器本体2の底部側を下方、上下方向に沿う容器本体2の口部3側を上方という。また、上下方向から見た平面視において、容器軸Oに直交する方向を径方向といい、容器軸O回りに周回する方向を周方向という。
【0014】
容器本体2は、口部3に、図示しない肩部、胴部および底部が上側から下側に向けて連設された有底筒状に形成されている。外容器6のうち少なくとも前記胴部に位置する部分は、容器本体内側に向けて弾性変形可能(スクイズ変形可能)とされている。内容器4は、外容器6のスクイズ変形に伴って減容変形する。
【0015】
口部3は、内容器4の口部5と外容器6の口部7とが積層された構成である。内容器4の口部5の上端部には、径方向の外側に突出する環状の折り返し部が形成され、この折り返し部が外容器6の口部7の上端開口縁上に配置されている。
ここで、外容器6には、外容器6を貫通する不図示の外気導入孔が形成されている。外気導入孔は、外容器6と外容器6から剥離して減容変形する内容器4の外表面との間に外気を導入する。外気導入孔は、口部、胴部、底部等に設けることができ、形成位置は問わない。
【0016】
吐出ノズル10は、頂壁部11と、頂壁部11の外周縁から下方に向けて延びる周壁部13と、を備え、それぞれが容器軸Oと同軸に配置されている。周壁部13は、下部に形成され容器本体2の口部3内に液密に嵌合されるシール筒部14と、シール筒部14の上端縁から径方向の外側に向けて突出するとともに周方向に沿って延びる環状の鍔部15と、シール筒部14の上端縁から上方に向けて延び、頂壁部11の外周縁に接続する接続筒部16と、を備えている。
【0017】
シール筒部14の内周面は、下部が上部よりも僅かに拡径するように形成されている。シール筒部14の内周面における下部には、径方向の内側に向けて突出する係合突起14aが形成されている。
鍔部15は、口部3の上端開口縁上に配置されている。
【0018】
接続筒部16は、シール筒部14の上端縁から上方に向けて真直ぐに延びる下部16aと、下部16aの上端縁から上方に向けて漸次縮径しながら延びる中間部16bと、中間部16bの上端縁から上方に向けて延び、頂壁部11の外周縁に接続する上部16cと、を備えている。下部16aの内径は、シール筒部14の上部の内径と同じになっている。上部16cの内周面は、上下方向に沿って真直ぐに延びている。上部16cの内周面には、径方向の内側に向けて突出する突部16dが形成されている。
【0019】
頂壁部11の中心部には、頂壁部11を上下方向に貫通する吐出孔12が形成されている。吐出孔12は、容器軸Oと同軸に配置され、下方から上方に向けて漸次拡径している。頂壁部11の上面11aのうち径方向の内側部分は、容器軸Oと同軸に位置する上面視円形状の凹曲面状に形成されている。頂壁部11の上面11aのうち径方向の外側の部分は、径方向の外側に向かうに従い漸次下方に向けて延びる凸曲面状に形成され、周壁部13の接続筒部16における上部16cの外周面と滑らかに接続している。
【0020】
頂壁部11の下面11bには、下方に向けて突出する膨出部17が形成されている。膨出部17は、容器軸Oと同軸に位置する逆円錐台状に形成されている。また、頂壁部11の下面11bには、突リブ18が周方向に間隔をあけて複数形成されている。突リブ18は、逆円錐台状をなす膨出部17の周面から、径方向の外側に向かって突出している。膨出部17の下端面には、吐出孔12が開口している。
【0021】
中栓20は、容器軸Oと同軸に配置された筒状に形成されている。中栓20は、吐出ノズル10のうち接続筒部16の上部16c内に嵌合する上筒部22と、上筒部22の下端に連なるとともに吐出ノズル10のうちシール筒部14内に嵌合する下筒部23と、を備えている。
上筒部22の上端縁は、吐出ノズル10の頂壁部11の下面11bのうち膨出部17よりも径方向の外側に位置する部分に当接している。上筒部22の上端部の内周面には、径方向の内側に向かって突出する環状の弁座24が形成されている。弁座24の上面は、中栓20の上端開口縁よりも下方に位置している。弁座24の内側は、上述の連通孔21となっている。上筒部22の内周面は、弁座24を挟んだ上下両側において、同径で上下方向に沿って真直ぐに延びている。
【0022】
中栓20の下筒部23の内周面は、上筒部22の内周面よりも大径とされ、上下方向に沿って真直ぐに延びている。下筒部23の下端部における内周面には、径方向の内側に向かって突出する係合突起23aが形成されている。また、下筒部23の下端部における外周面には、径方向の外側に向かって突出するとともに周方向に沿って延びる環状の係合環部23bが形成されている。係合環部23bの下端は、吐出ノズル10のシール筒部14の係合突起14aの上端に係止されている。これにより、中栓20が吐出ノズル10内からの脱落を抑制された状態で吐出ノズル10内の係合突起14aに嵌合されている。
【0023】
中栓20の内周面には、上筒部22の内周面と下筒部23の内周面との接続部分から下方に向けて突出する段差部26が形成されている。段差部26のうち下方を向く段差面26aの外周部は、上方に向かって凹んでいる。段差部26は、中栓20の内周面に周方向に間隔をあけて複数形成されている。また、中栓20の内周面には、上下方向に沿って延びる縦リブ27が周方向に間隔をあけて複数形成されている。縦リブ27は、段差面26aから下方に向けて延びている。段差部26および縦リブ27は、中栓20の内周面において、同じ周方向位置に形成されている。段差部26および縦リブ27それぞれの周長は、互いに同じになっている。
【0024】
弁体31は、その上方(吐出孔12側)から下方(内容器4側)への流体の流れを制限する一方、その逆方向の流れは許可する逆止弁となっている。弁体31は、中栓20内に配置された弁部材30に形成されている。弁部材30は、例えばニトリルゴムやブチルゴム、シリコンゴム、エラストマー、ウレタン等の弾性変形可能な軟材質で形成されている。弁部材30は、上述の弁体31と、弁体31よりも下方に設けられた環状の脚部32と、弁体31と脚部32とを連結する有頂筒状の連結部33と、を備え、これらが一体に形成されている。
【0025】
弁体31は、容器軸Oと同軸に配置された円板状の中央部34と、中央部34の外周縁から径方向の外側に向かうに従い漸次上方に向けて延びる円環状の周縁部35と、を備えている。弁体31の上面31aは、下方に窪む凹状に形成されている。
中央部34は、吐出ノズル10の膨出部17の下端面に対向して配置されている。中央部34の上面の外径は、膨出部17の下端面の外径と同等になっている。
【0026】
周縁部35は、上方に向けて弾性変形可能とされ、弁座24の上面に上方に向けて離間可能に着座している。周縁部35は、上方に向けて弾性変形した状態で弁座24に着座することで、弾性復元力により下面を弁座24に上方から密接させている。このとき、弁体31の上面31aのうち周縁部35が位置する部分は、頂壁部11の突リブ18に対して下方に離間しているとともに、外周縁部が膨出部17の下端面よりも上方に位置している。これにより、弁体31の上面31aの内側には、膨出部17が入り込んでいる。
【0027】
脚部32は、中実に形成され、中栓20の下筒部23の内側に配置されている。脚部32の外径は、中栓20の上筒部22の内径よりも大きく、かつ中栓20の下筒部23の内径よりも小さくなっている。脚部32の内周面は、その下端縁から上方に向かうに従い漸次縮径した凸曲面状に形成されている。脚部32の上面における外周部は、上方に向かって突出しており、中栓20の段差面26aの上方に向かって凹んだ外周部に入り込んでいる。これにより脚部32の上面と中栓20の段差面26aとが密接するとともに、脚部32の径方向の内側に向けた縮径変形が規制されている。
【0028】
連結部33の周壁33aは、中栓20の上筒部22内に配置されているとともに、下端縁において脚部32の上端縁と接続している。周壁33aの外周面は、その下端縁から上方に向けて中栓20の上筒部22の内周面に沿って真直ぐに延びた後、上方に向かうに従い漸次縮径している。周壁33aの内周面は、脚部32の内周面と連続的に形成され、脚部32の内周面から上方に向けて真直ぐに延びている。連結部33の頂壁33bは、その上端縁において弁体31の中央部34と接続している。
【0029】
弁部材30は、中栓20内において弁部材30の下方に位置する部分に嵌合された有底筒状の押さえ筒部材40により、下方への移動を規制されている。押さえ筒部材40の上端縁は、弁部材30の脚部32の下端面に下方から当接している。押さえ筒部材40の下端縁には、径方向の外側に向かって突出する支持突部41が周方向に間隔をあけて複数形成されている。支持突部41の上面は、中栓20の下端縁に下方から当接している。押さえ筒部材40の周壁部の外周面には、径方向の外側に向かって突出する係合突起40aが形成されている。係合突起40aの下端は、中栓20の係合突起23aの上端に係止されている。これにより、押さえ筒部材40が脱落を抑制された状態で中栓20内に嵌合されている。
【0030】
また、押さえ筒部材40の外周面には、上下方向に沿って延びる縦リブ42が周方向に間隔をあけて複数形成されている。縦リブ42は、係合突起40aと支持突部41とを連結している。縦リブ42は、例えば中栓20の縦リブ27と同じ周方向位置に形成されている。
【0031】
キャップ8は、有頂筒状に形成されており、その周壁部8aの内周面には、外容器6の口部7の外周面に形成された雄ネジ部に螺着する雌ネジ部が形成されている。キャップ8は、下方に向かって延びるとともに吐出ノズル10の上部を径方向の外側から囲繞する囲繞筒9を備えている。また、キャップ8の天壁8bにおける中央部には、下方に向けて突出する突出部8cが形成されている。突出部8cは、吐出孔12を閉塞するように吐出ノズル10の頂壁部11の上面11aに当接している。
【0032】
以下、本実施形態の吐出容器1の作用について説明する。
吐出容器1から内容物を吐出させる際には、まず、容器本体2の口部3からキャップ8を取り外して、吐出孔12を露出させたら、吐出容器1を口部3が下方に位置し、かつ容器本体2の底部(不図示)が上方に位置する倒立姿勢または傾斜姿勢とする。この状態から、容器本体2の外容器6をスクイズ変形させると、内容器4が外容器6とともに変形して減容される。この減容変形に伴い内容器4の内圧が正圧となり、この正圧によって弁体31が開けられ、吐出孔12と内容器4の内部とが連通される。これにより、内容器4内の内容物が押さえ筒部材40の縦リブ42間、および中栓20の縦リブ27間を通った後、連通孔21を通過する。連通孔21を通過した内容物は、弁体31の上面31aと吐出ノズル10の頂壁部11の下面11bとの間の空間に流れ込み、吐出孔12から吐出される。
【0033】
この際、弁体31が連通孔21の開口周縁部21aから上方に離反すると、弁体31は頂壁部11の下面11bに形成された突リブ18に当接する。このため、弁体31の上面31aと頂壁部11の下面11bとの間の隙間を確保することができる。このため、吐出孔12からの内容物の吐出が阻害されることを抑制できる。
【0034】
内容物の吐出後、内容器4の内圧が低下すると、弁体31が閉じられるとともに、吐出孔12と内容器4の内部との連通が遮断される。この際には、弁体31の上面31aと吐出ノズル10の頂壁部11の下面11bとの間の空間に位置する内容物は、内容器4内に戻れずこの空間に残留する。本実施形態によれば、弁体31の上面31aが下方に窪む凹状に形成され、頂壁部11の下面11bが下方に向けて突出して弁体31の上面31aの内側に向けて入り込んでいるので、弁体31と頂壁部11との間の空間が狭くなり、内容物の吐出後にこの空間に残留する内容物の量を低減することができる。
【0035】
弁体31が閉じられることにより、内容器4が密封され、さらにスクイズ変形を解除すると、外容器6は復元変形しようとする。このとき、内容器4が密封されているため、外容器6と内容器4との間に負圧が発生する。すると、上述した外気導入孔を通して外気が外容器6と内容器4との間に導入される。このように、外容器6と内容器4との間に外気が導入されることにより、内容器4の減容形状が保持される。
以上により吐出容器1を用いた内容物の吐出動作が完了する。
【0036】
以上に詳述したように、本実施形態の吐出容器1は、内容物の吐出後に吐出ノズル10の頂壁部11と弁体31との間に残留する内容物の量を低減することができる。
【0037】
また、頂壁部11の下面11bには、弁体31が連通孔21の開口周縁部21aから上方に離反したときに当接する突リブ18が形成されているため、吐出孔12からの内容物の吐出が阻害されることを抑制しつつ、弁体31と頂壁部11との間の空間をより狭くすることができる。したがって、内容物の吐出後に吐出ノズル10の頂壁部11と弁体31との間に残留する内容物の量をより低減することができる。
【0038】
また、弁部材30は、脚部32および連結部33により有頂筒状に形成されている。このため、弁部材30を棒状の治具の先端に外挿することにより、弁部材30を中栓20の下端開口から中栓20内に容易に挿入することができる。この際に、弁体31の周縁部35は、弁座24を乗り越えた後、反転して弁座24に着座する。よって、組付性の優れた弁部材30とすることができる。
【0039】
なお、
図2に示すように、弁体31の上面31aには、頂壁部11と弁体31との間の空間と、外部と、の連通を維持させた状態で、吐出孔12内に向けて突出する突起39が形成されていてもよい。この構成によれば、吐出孔12内を含む弁体31と頂壁部11との間の空間の容積をより小さくすることができるので、内容物の吐出後にこの空間に残留する内容物の量を低減することができる。
【0040】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態に係る吐出容器101について説明する。
図1に示す第1実施形態では、弁部材30が押さえ筒部材40により中栓20の内側に保持されていた。これに対して、
図3に示す第2実施形態では、弁部材130がその下端縁において中栓120に係止されることにより中栓120の内側に保持されている点で、第1実施形態と異なっている。なお、
図1に示す第1実施形態と同様の構成については、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0041】
図3に示すように、中栓120は、吐出ノズル10内に嵌合する下筒部123と、下筒部123の上端縁から径方向内側に向けて延びる環状の鍔部125と、鍔部125の内周縁部から上方に向けて延びるとともに上端縁が吐出ノズル10の頂壁部11の下面11bに当接する上筒部122と、を備えている。下筒部123の内周面には、径方向の内側に向かって突出するとともに周方向に沿って延びる環状の係合突起123aが形成されている。上筒部122の内周面には、径方向の内側に向かって突出するとともに環状に延びる弁座24が形成されている。弁座24の上面は、中栓120の上端開口縁よりも下方に位置している。
【0042】
弁部材130は、弁体31と、弁体31よりも下方に設けられた環状の脚部132と、弁体31と脚部132とを連結する有頂筒状の連結部133と、を備え、これらが一体に形成されている。
脚部132の上面における外周部には、上方に向かって突出する突出筒部136が形成されている。突出筒部136の上端縁は、中栓120の鍔部125の下面に当接している。脚部132のうち突出筒部136よりも径方向の内側に位置する部分には、脚部132を上下方向に貫通する流路孔137が周方向に間隔をあけて複数形成されている。流路孔137は、下方から上方に向かうに従い漸次縮径している。
【0043】
連結部133は、周壁133aと、頂壁33bと、を有する。周壁133aは、脚部132のうち流路孔137よりも径方向の内側に位置する部分の上端縁から上方に向けて延びている。周壁133aの外周面は、下端縁から上方に向けて真直ぐに延びた後、中栓120の鍔部125の下面よりも上方において、上方に向かうに従い漸次縮径している。周壁133aの外周面のうち上下方向に沿って真直ぐに延びる下部には、上下方向に沿って延びる溝部138が周方向に間隔をあけて複数形成されている。溝部138は、前記下部の上端縁から下端縁にわたって形成されている。溝部138は、少なくとも流路孔137と同じ周方向位置に形成されていることが好ましい。周壁133aの内周面は、脚部132の内周面と段差なく連なっている。
【0044】
容器本体2は、口部3、肩部2a、胴部2bおよび底部2cが上側から下側に向かって連設された有底筒状に形成されている。
胴部2bの下端部には、径方向の内側に向かって凹むとともに周方向に沿って延びる環状の係合凹部2dが形成されている。
【0045】
図4に示すように、胴部2bにおける外容器6には、外気導入孔6aが形成されている。外気導入孔6aは、例えば円形状に形成されている。外容器6における外気導入孔6aの開口周縁部は、外気導入孔6aの内周面6bが径方向の外側を向くように屈曲している。
【0046】
外気導入孔6aには、空気弁部材50が装着されている。空気弁部材50は、裏面が外容器6の外表面に対向するように配設された板状部51と、板状部51の裏面から突出し、外気導入孔6aに挿通された突起部52と、板状部51の裏面における外周縁から突出し、その先端が外容器6の外表面に配置される環状周壁53と、を備えている。
【0047】
板状部51は、撓み変形可能な円板状に形成されている(
図3参照)。板状部51の表面には、複数の凸部51aが形成されている。
突起部52は、外気導入孔6a内に配置され、真直ぐに延びる軸部54と、外容器6の内側に配置され、軸部54からその径方向の外側に向けて突出した係止突部55と、軸部54と板状部51とを接続する環状シール部56と、を備えている。
【0048】
軸部54は、円柱状に形成され、径方向のうち外気導入孔6aの中心を通る方向に沿って延びている。軸部54の外径は、外気導入孔6aの内径よりも小さくなっている。
係止突部55は、外容器6の内表面における外気導入孔6aの開口周縁部に係止されている。係止突部55は、外容器6の外側から内側に向かうに従い漸次縮径しており、突起部52を外気導入孔6aに対して挿入しやすく、かつ抜けにくくしている。
【0049】
環状シール部56は、外容器6の内側から外側に向かうに従い漸次拡径している。すなわち、環状シール部56は、外容器6の内表面における外気導入孔6aの開口周縁部に密接することで外気導入孔6aを気密に閉塞することができる。
【0050】
ここで、突起部52には、軸部54の延在方向に沿って延びる溝部57が、軸部54の中心軸回りに周回する方向に間隔をあけて複数形成されている。溝部57は、軸部54の全体、および係止突部55の径方向外側端部にわたって形成されている。
【0051】
環状周壁53には、切欠部53aが複数形成されており、切欠部53aを通って、板状部51の裏面と外容器6の外表面との間の隙間が外部に連通している。
【0052】
以下、本実施形態の吐出容器101の作用について説明する。
吐出容器101から内容物を吐出させる際には、第1実施形態と同様に、吐出容器101を倒立姿勢または傾斜姿勢とする。この状態から、空気弁部材50の板状部51を押圧することにより容器本体2の外容器6をスクイズ変形させる。この際、環状シール部56が外容器6の外表面に密接し、かつ軸部54が外容器6の内側に進入する。板状部51は、中央部が押圧方向に向かって凹むように撓み変形し、外気導入孔6aの内周面6bが環状シール部56に密接する。このため、外部と、外容器6と内容器4との間の空間と、の連通が遮断され、内容器4を外容器6とともに減容変形させることができる。
【0053】
内容器4の減容変形により、弁体31が開けられ、吐出孔12と内容器4の内部とが連通される。これにより、内容器4内の内容物が弁部材130の流路孔137および溝部138を通った後、第1実施形態と同様に、吐出孔12から吐出される。その後、弁体31が閉じられることで、弁体31の上面31aと吐出ノズル10の頂壁部11の下面11bとの間の空間に位置する内容物は、内容器4内に戻れずこの空間に残留する。本実施形態によれば、第1実施形態と同様に、弁体31の上面31aが下方に窪む凹状に形成され、頂壁部11の下面11bが下方に向けて突出して弁体31の上面31aの内側に向けて入り込んでいるので、弁体31と頂壁部11との間の空間を狭くすることが可能になり、内容物の吐出後にこの空間に残留する内容物の量を低減することができる。
【0054】
内容物の吐出後、内容器4の内圧が低下すると、弁体31が閉じられ、内容器4が密封される。さらに外容器6のスクイズ変形を解除すると、外容器6および板状部51は復元変形しようとする。このとき、内容器4が密封されているため、外容器6と内容器4との間に負圧が発生し、また軸部54が外容器6の内側から外側に向けて後退移動し、外気導入孔6aの内周面6bと環状シール部56との密接が解除されるため、外容器6と内容器4との間の空間が軸部54の溝部57、板状部51の裏面と外容器6の外表面との間の隙間、および切欠部53aを通じて外部と連通する。よって、外気が軸部54の溝部57を通して外容器6と内容器4との間に導入される。このように、外容器6と内容器4との間に外気が導入されることにより、内容器4の減容形状が保持される。
【0055】
以上に詳述したように、本実施形態の吐出容器101は、第1実施形態の吐出容器1と同様に、内容物の吐出後に吐出ノズル10の頂壁部11と弁体31との間に残留する内容物の量を低減することができる。
【0056】
[第3実施形態]
次に、第3実施形態に係る吐出容器201について説明する。
図3および
図4に示す第2実施形態では、外気導入孔6aが容器本体2の胴部2bに形成されていた。これに対して、
図5に示す第3実施形態では、外気導入孔206aが容器本体2の底部2cに形成されている点で、第2実施形態と異なっている。なお、
図3に示す第2実施形態と同様の構成については、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0057】
図5に示すように、容器本体2の底部2cにおける外容器6には、スリット状の外気導入孔206aが形成されている。外気導入孔206aは、例えばブロー成形金型のピンチオフ部により形成されている。
【0058】
容器本体2には、その底部2cを覆うように、有底筒状のボトムキャップ260が装着されている。ボトムキャップ260の周壁部261の外径は、容器本体2の胴部2bの外径と同等になっている。周壁部261の上端部における内周面には、径方向の内側に向かって突出するとともに周方向に沿って延びる環状の係合突起261aが形成されている。係合突起261aの下端は、胴部2bの下端部に形成された係合凹部2d内に係止されている。これにより、ボトムキャップ260が容器本体2に装着されている。
【0059】
ボトムキャップ260の底壁部262には、底壁部262を上下方向に貫通する貫通孔263が形成されている。貫通孔263は、容器軸Oと同軸に形成されている。底壁部262の上面には、貫通孔263を覆うようにフィルム部材264が配置されている。フィルム部材264は、フィルム部材264の下面と底壁部262の上面との間に、貫通孔263とフィルム部材264の外周縁とをつなぐ通路を確保した状態で、底壁部262の上面に、例えば接着等により少なくとも一箇所固着されている。フィルム部材264は、逆止弁と同様の機能を有している。
【0060】
以下、本実施形態の吐出容器201の作用について説明する。
上述した第2実施形態と同様に、内容物を吐出させる際には、外容器6をスクイズ変形させる。このとき、フィルム部材264が貫通孔263の上端開口縁に密接することにより、外部と、外容器6と内容器4との間の空間と、の連通が遮断され、内容器4を外容器6とともに減容変形させることができる。
内容物の吐出後に外容器6のスクイズ変形を解除すると、外容器6は復元変形しようとする。このとき、内容器4が密封されているため、外容器6と内容器4との間に負圧が発生する。すると、ボトムキャップ260の貫通孔263、および外気導入孔206aを通して外気が外容器6と内容器4との間に導入される。
以上に詳述したように、フィルム部材264は、内容物の吐出時、空気の漏れを防止する効果を有する。
【0061】
なお、本発明は、図面を参照して説明した上述の実施形態に限定されるものではなく、その技術的範囲において様々な変形例が考えられる。
例えば、上記実施形態においては、容器本体2は、内容器4が外容器6の内面に剥離可能に積層されたいわゆるデラミボトルであるとしたが、これに限定されるものではなく、例えば、内容器4と外容器6とが別体に形成された二重容器であってもよい。
また、容器本体2は、内容器4と外容器6との間に接着層を設けた形態でもよい。
【0062】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。