(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、一実施形態の構成を、図面を参照して説明する。
【0008】
図1(a)において、11はいわゆるキャニスタ型の電気掃除機を示し、この電気掃除機11は、掃除機本体12と、この掃除機本体12に対して着脱可能に接続される風路形成体である管部13とを有している。
【0009】
掃除機本体12は、被掃除面としての床面上を旋回および走行可能であり、電動送風機15、この電動送風機15の動作を制御する制御部である制御手段16(
図4)、および、これら電動送風機15および制御手段16などに給電するための電源部などを収容しているとともに、電動送風機15の吸込側に連通する集塵部18を備えている。また、掃除機本体12の前部には、集塵部18に連通するとともに管部13の基端側が接続される本体吸込口19が開口形成されている。なお、本実施形態では、集塵部18として例えばサイクロン分離式の集塵部を用いるが、例えば紙パックやフィルタなど、任意の集塵部を用いることもできる。
【0010】
管部13は、ホース体21と、このホース体21に対して着脱可能な例えば合成樹脂製の延長管22と、この延長管22に対して選択的に着脱される床掃除用の吸込口体としての床ブラシ23(
図1(a))および布団掃除用の吸込口体としての布団ブラシ24(
図1(b))とを備えている。
【0011】
ホース体21は、可撓性を有するホース部25と、このホース部25の基端側(下流側)に設けられ本体吸込口19に接続される接続管部26と、ホース部25の先端側(上流側)に設けられた接続部としての手元操作部27とを有している。
【0012】
手元操作部27には、延長管22の基端側(下流側)が着脱可能に接続される。また、この手元操作部27には、使用者が把持する把持部28が基端側に突出して形成されており、この把持部28には電動送風機15の動作モードや停止などを制御手段16に設定するための設定ボタン29が配置されている。
【0013】
床ブラシ23は、例えばフローリング、畳、あるいは絨毯などの床面上を前後方向に走行可能で、かつ、管部13にて延長管22の上流端に着脱可能となっている。すなわち、この床ブラシ23は、延長管22およびホース体21を介して集塵部18と連通し、この集塵部18を介して電動送風機15の吸込側と連通している。このため、この床ブラシ23は、電動送風機15の駆動により塵埃を吸い込むようになっている。なお、この床ブラシ23の前後方向および左右方向(両側方向、幅方向)は、この床ブラシ23の走行方向を基準とし、上下方向は床ブラシ23を平坦な床面上に載置した状態での反重力方向および重力方向とする。
【0014】
そして、この床ブラシ23は、(一の)ケース体31と、このケース体31に対して突設された(一の)接続管32とが一体的に組み付けられている。
【0015】
図3に示すように、ケース体31は、例えば合成樹脂などにより、床ブラシ23(ケース体31)の走行方向(前後方向)と交差(直交)する方向である左右方向に長手状、すなわち横長に形成されている。このケース体31の布団(布団生地)に対向する下部には、(一の)集塵口である(一の)吸込口35が左右方向に長手状に開口されている。この吸込口35には、回転清掃体としての回転ブラシ36が回転可能に配置されていてもよい。また、ケース体31には、床ブラシ23が床面と接触したか否か(接地したか否か)を検出する接地検出手段37を取り付けてもよい。
【0016】
回転ブラシ36は、外周面に清掃部材36aを備え、回転駆動されることで清掃部材36aが絨毯などの床面に入り込んだ塵埃を掻き出すようになっている。この回転ブラシ36は、例えばモータなどの駆動手段(駆動部)39により回転駆動される。なお、この回転ブラシ36および駆動手段39は、必須の構成ではない。
【0017】
接地検出手段37は、ケース体31に対して上下動可能な検出子37aと、この検出子37aの上動によりオンオフが切り換わる図示しないスイッチとを備えている。そして、検出子37aが床面に接触すると検出子37aがケース体31に対して上方へと押し込まれて上動し、スイッチのオンオフが切り換わることで、床ブラシ23が床面に接触していることを検出するようになっている。なお、この接地検出手段37は、必須の構成ではない。
【0018】
接続管32は、吸込口35と連通している。この接続管32は、ケース体31の後部に位置し、後端側(下流側)が延長管22(
図1(a))の先端に着脱可能に連通接続される。したがって、この接続管32は、吸込口35を電動送風機15(
図1(a))の吸込側に連通させる。なお、この接続管32は、前端側(上流側)がケース体31に対して回動可能に軸支されていてよい。
【0019】
一方、
図1(b)に示す布団ブラシ24は、被掃除部(布団(布団生地))上を前後方向に走行可能で、かつ、管部13にてホース体21の上流端である手許操作部27に着脱可能となっている。すなわち、この布団ブラシ24は、ホース体21を介して集塵部18(
図1(a))と連通し、この集塵部18を介して電動送風機15(
図1(a))の吸込側と連通している。このため、この布団ブラシ24は、電動送風機15(
図1(a))の駆動により塵埃を吸い込むようになっている。なお、この布団ブラシ24の前後方向および左右方向(両側方向、幅方向)は、この布団ブラシ24の走行方向を基準とし、上下方向は布団ブラシ24を平坦な床面上に載置した状態での反重力方向および重力方向とする。
【0020】
そして、この布団ブラシ24は、
図2に示すように、(他の)ケース体41と、このケース体41に対して突設された(他の)接続管42と、(第1の)前部押さえ部としての前車輪43と、後部押さえ部材としての後車輪44と、(第2の)前部押さえ部としての振動部材(叩打部材)であるビータ45と、このビータ45を駆動させる振動駆動手段46(
図4)とが一体的に組み付けられている。また、この布団ブラシ14には、押さえ部((第3の)前部押さえ部)としての保持部47が設けられている。
【0021】
ケース体41は、例えば合成樹脂などにより、布団ブラシ24(ケース体41)の走行方向(前後方向)と交差(直交)する方向である左右方向に長手状、すなわち横長に形成されている。このケース体41の布団(布団生地)に対向する下部には、集塵口である(他の)吸込口51が左右方向に長手状に開口されている。この吸込口51は、床ブラシ23の吸込口35と比較して前後方向の寸法(短手寸法)が小さくなっている。また、このケース体41には、保持部47が設けられている。
【0022】
接続管42は、吸込口51と連通している。この接続管42は、ケース体41の後部に位置し、後端側(下流側)がホース体21(手許操作部27)の先端に着脱可能に連通接続される。したがって、この接続管42は、吸込口51を電動送風機15(
図1(a))の吸込側に連通させる。なお、この接続管42は、前端側(上流側)がケース体41に対して回動可能に軸支されていてもよい。
【0023】
前車輪43は、ケース体41(布団ブラシ24)を前後方向に走行可能とするとともに、吸込口51の前方かつ側方で布団(布団生地)を押さえるもので、ケース体41の長手方向の両端部、すなわち左右両側部にそれぞれ回転自在に軸支されている。すなわち、これら前車輪43は、ケース体41の長手方向(左右方向)に互いに離間されて略左右対称に一対配置され、このケース体41の長手方向に沿って軸方向を有し、前後方向に回転自在となっている。換言すれば、これら前車輪43は、ケース体41にて、吸込口51の長手方向の両端部に対向して位置している。
【0024】
後車輪44は、ケース体41(布団ブラシ24)を前後方向に走行可能とするとともに、吸込口51の後方で布団(布団生地)を押さえるもので、ケース体41の下部の吸込口51よりも後方、かつ、この吸込口51の長手方向の両端部である左右両側に位置して、ケース体41に回転自在に軸支されている。すなわち、これら後車輪44は、ケース体41の長手方向(左右方向)に互いに離間されて略左右対称に一対配置され、このケース体41の長手方向に沿って軸方向を有し、前後方向に回転自在となっている。そして、これら後車輪44は、本実施形態では、一端部が接続管42の両側部にてケース体41に軸支され、他端部がケース体41の下部に突設された軸支受部54に軸支されている。また、これら後車輪44は、接続管42の両側に位置しており、後部がこの接続管42の両側方にてケース体41の後部に露出している。
【0025】
ビータ45は、ケース体41に対して上下方向に可動的に設けられ、上下動を繰り返すことにより布団(布団生地)を叩打して塵埃を叩き出すものである。また、このビータ45は、吸込口51に沿って長手状に形成されており、振動駆動手段46(
図4)により上下に駆動されるようになっている。なお、このビータ45は、左右方向に振動したり、微振動したりする構成としてもよい。
【0026】
保持部47は、吸込口51の前方で布団(布団生地)を押さえるもので、ケース体41の後車輪44、吸込口51よりも前方に設けられている。また、この保持部47は、左右方向に長手状のリブ状に形成されている。なお、この保持部47は、必須の構成ではない。
【0027】
そして、布団ブラシ24は、吸込口51が吸込口35よりも前後に(短手方向に)狭く、吸込口51の開口面積が吸込口35の開口面積よりも狭いとともに、布団を叩打するビータ45を備えるなど、床ブラシ23と比較して布団の掃除に適している。
【0028】
次に、電気掃除機11の内部構造を説明する。
【0029】
図4に示すように、電気掃除機11には、電動送風機15と、この電動送風機15の動作を制御する制御手段16とが設けられている。また、この電気掃除機11は、電動送風機15の入力(通電時間あるいは回転数)を制御するための(第1の)制御素子61と、床ブラシ23の駆動手段39または布団ブラシ24の振動駆動手段46の入力を制御するための(第2の)制御素子62とが備えられている。本実施の形態では、例えば外部電源(商用交流電源e)を用いているため、制御素子61,62としてそれぞれトライアックが用いられる。また、制御手段16には、設定ボタン29が電気的に接続されているとともに、接地検出手段37と、電動送風機15の吸込風量(風路の目詰まり)を検出する風量検出手段(風量検出部)63と、管部13に用いられる吸込口体が床ブラシ23であるか布団ブラシ24であるかを判定する種類判定手段(種類判定部)64とがそれぞれ電気的に接続されている。
【0030】
風量検出手段63は、例えば電動送風機15に流れる電流を検出することで吸込風量(吸込側の目詰まり状態)を検出する、例えば電流検出手段(電流センサ)を用いてもよい。この風量検出手段63としては、その他の既知の任意の構成を用いることができる。
【0031】
種類判定手段64は、例えば床ブラシ23と布団ブラシ24とにそれぞれ備えられた抵抗値が異なる抵抗器に対して接続される抵抗器を用いて、これら抵抗器による分圧によって生じる電圧を検出することで、床ブラシ23が接続されているか、布団ブラシ24が接続されているかを判定する電圧検出手段(電圧センサ)を用いてもよい。この種類判定手段64としては、その他の既知の任意の構成を用いることができる。
【0032】
制御手段16は、本実施形態では、設定ボタン29により設定された動作モードに応じて予め設定されたデューティ比(通電時間のオンオフ比)で制御素子61をオンオフすることで、電動送風機15の入力を変化させるものである。制御手段16により設定される電動送風機15の動作モードとしては、例えば本実施形態では、床ブラシ23を用いるときの床ブラシ用(床掃除用)動作モードと、布団ブラシ24を用いるときの布団ブラシ用(布団掃除用)動作モードとを備えている。
【0033】
床ブラシ用動作モードは、第1のモードである強モード、第2のモードである弱モード、および、第3のモードであるエコモードなどを備えている。
【0034】
強モードは、例えば絨毯の掃除など、強い吸込力が必要なときに用いるモードである。この強モードにおいて、制御手段16は、電動送風機15の入力を弱モード、エコモードおよび布団ブラシ用動作モードよりも高く設定する。また、この強モードにおいて、制御手段16は、風量検出手段63により検出した吸込風量(目詰まり状態)を参照し、吸込風量が所定以下に低下したときに、この吸込風量の低下に応じて入力を順次高く設定する第1制御区間と、この第1制御区間よりも吸込風量が低下したときに、所定の入力になるとそれ以上入力を増加させない第2制御区間と、この第2制御区間よりも吸込風量が低下したときに入力を大きく低減する(パワーダウンする)第3制御区間とを備えている。例えば、この第3制御区間において、制御手段16は、電動送風機15の入力を布団ブラシ用動作モードより低く、かつ、弱モードより高い入力に低下させる。したがって、強モードにおいて、例えば集塵部18に所定量以上の塵埃が溜まった場合、集塵部18に目詰まりが生じた場合、あるいは床ブラシ23(吸込口35)に紙などが貼り付いて吸込口35が略閉塞された場合など、吸込風量が低下した場合には、制御手段16の制御が、第1制御区間から、第2制御区間、第3制御区間と進行して、電動送風機15の入力を急減させる。
【0035】
弱モードは、例えば掃除音を抑制して静かに掃除するときなどに用いるモードである。この弱モードにおいて、制御手段16は、電動送風機15の入力を強モードおよび布団ブラシ用動作モードよりも低く設定するとともに、この入力を、風量検出手段63の検出に応じて変化させない。すなわち、この弱モードにおいて、制御手段16は、電動送風機15の吸込風量が所定以下に低下しても入力を低下させない。
【0036】
エコモードは、自動モードとも呼ばれるもので、掃除時の消費電力を抑制するときに用いるモードである。このエコモードにおいて、制御手段16は、接地検出手段37により床ブラシ23が床面に接地していると判定したときに、第1自動モードである第1エコモードを選択し、接地検出手段37により床ブラシ23が床面から離れていると判定したときに、第2自動モードである第2エコモードを選択するように切り換わる。
【0037】
第1エコモードにおいて、制御手段16は、風量検出手段63により検出した吸込風量を参照し、吸込風量が所定以下に低下したときに、この吸込風量の低下に応じて入力を順次高く設定する第1制御区間と、この第1制御区間よりも吸込風量が低下したときに入力を大きく低減する第2制御区間とを備えている。例えば、この第2制御区間において、制御手段16は、電動送風機15の入力を布団ブラシ用動作モードより低く、かつ、弱モードより高い入力に低下させる。したがって、第1エコモードにおいて、例えば集塵部18に所定量以上の塵埃が溜まった場合、集塵部18に目詰まりが生じた場合、あるいは床ブラシ23(吸込口35)に紙などが貼り付いて吸込口35が略閉塞された場合など、吸込風量が低下した場合には、第1制御区間から第2制御区間と制御が進行して、電動送風機15の入力が急減する。
【0038】
第2エコモードにおいて、制御手段16は、電動送風機15の入力を強モード、弱モード、および、布団ブラシ用動作モードよりも低く設定するとともに、この入力を、風量検出手段63の検出に応じて変化させない。すなわち、この第2エコモードは、電動送風機15の入力を最も低く設定するモードであり、制御手段16は、電動送風機15の吸込風量が所定以下に低下しても入力を低下させない。なお、この第2エコモードは、床ブラシ23および布団ブラシ24をいずれも用いずに、延長管22やホース体21の先端側から直接塵埃を吸い込んだり、つる口などの他の吸込口体を接続して塵埃を吸い込んだりしているときに選択されるモードとしてもよい。
【0039】
一方、布団ブラシ用動作モードにおいて、制御手段16は、電動送風機15の入力を強モード(強モードの第1制御区間および第2制御区間)およびエコモードの第1エコモード(第1エコモードの第1制御区間)より低く、弱モード、および、第2エコモードよりも高く設定するとともに、この入力を、風量検出手段63の検出に応じて変化させない。すなわち、この布団ブラシ用動作モードにおいて、制御手段16は、電動送風機15の吸込風量が所定以下に低下しても入力を低下させない。したがって、この布団ブラシ用動作モードにおいて、電動送風機15の入力は略一定となっている。換言すれば、この布団ブラシ用動作モードにおいて、電動送風機15の入力は、制御手段16による増減が小さい、または制御手段16によって増減されない。このため、この布団ブラシ用動作モードでの電動送風機15の増減幅、すなわち電動送風機15の入力の最も増加させたときと最も減少させたときとの差は、床ブラシ用動作モード(強モードおよび第1エコモード)での電動送風機15の入力の増減幅よりも小さい。
【0040】
例えば、
図5に強モードの入力P1、弱モードの入力P2、エコモードの第1エコモードおよび第2エコモードの入力P3a,P3b、および、布団ブラシ用動作モードの入力P4の一例を示す。入力P1において、第1制御区間をP11、第2制御区間をP12、第3制御区間をP13で表す。また、入力P3aにおいて、第1制御区間をP3a1、第2制御区間をP3a2で表す。
【0041】
次に、上記一実施形態の電気掃除機11の掃除動作を説明する。
【0042】
掃除の際には、まず、使用者は、掃除機本体12の本体吸込口19に、接続管部26を介してホース体21を連通接続する。そして、床を掃除する場合には、このホース体21の先端側の手元操作部27に、延長管22および床ブラシ23を順次連通接続し(
図1(a))、布団を掃除する場合には、ホース体21の先端側の手元操作部27に布団ブラシ24を連通接続する(
図1(b))。したがって、床ブラシ23の接続管32(吸込口35)、または、布団ブラシ24の接続管42(吸込口51)が電動送風機15の吸込側と連通する。
【0043】
次いで、床ブラシ23を床面上に載置し、または、布団ブラシ24を布団上に載置し、電源部(例えば商用交流電源e)から制御手段16および電動送風機15へと給電可能な状態として、把持部28を把持した使用者が所定の設定ボタン29を操作すると、制御手段16が、床ブラシ23を接続している場合には床ブラシ用動作モードから、設定ボタン29により設定された動作モードを選択して電動送風機15の入力を制御し、布団ブラシ24を接続している場合には布団ブラシ用動作モードを選択して電動送風機15の入力を制御する。
【0044】
床ブラシ23を用いる場合、使用者は、床ブラシ23を床面上で前後に走行させることで、電動送風機15の駆動により生じる負圧の作用によって、床ブラシ23の先端側の吸込口35から塵埃を空気とともに吸い込む。また、使用者は、床面の種類に応じて、回転ブラシ36を適宜回転させる。このとき、使用者が所定の設定ボタン29を操作すると、この設定ボタン29の操作に応じて、掃除機本体12側から配線を介して給電される駆動手段39が制御素子62を介して駆動されて回転ブラシ36が高速回転され、床面の塵埃を掻き出したり、床面を磨いたりなどの掃除補助をする。
【0045】
一方、布団ブラシ24を用いる場合、使用者は、布団ブラシ24を布団(布団生地)上で前後方向などに交互に走行させながら、必要に応じて振動駆動手段46を駆動させてビータ45を上下動させ、布団Bの内部に入り込んだ塵埃を叩き出しつつ、電動送風機25の駆動により生じた負圧を利用して吸込口51から塵埃を空気とともに吸い込む。このとき、布団ブラシ14は、前進時および後進時のそれぞれにおいて、両側の前車輪43、保持部47および突出状態のビータ45などにより吸込口51の前方で布団(布団生地)を押さえつけ、後車輪44によって吸込口51の後方で布団(布団生地)を押さえつけていることで、吸込口51の前後でこの吸込口51に沿って布団(布団生地)が下方へと押さえつけられ、吸込口51の周辺での真空度が向上する。この状態で、前車輪43、保持部47、突出状態のビータ45、後車輪44のそれぞれの下端部よりも僅かに上方に位置する吸込口51に負圧が作用することで、このスリット状の前後方向に狭い吸込口51に対応する位置のみの狭い範囲で布団生地を吸い付けて布団の中綿に対して上方に僅かに持ち上げ、布団生地を中綿に対して上方に離間させて間隙を生じさせる。そこで、布団生地越しに吸込口51から作用する負圧によって間隙に吸込口51の長手方向である左右方向に沿って吸込口51の左右方向の中心部へと流れる吸込風を生じさせて、布団生地の表面に付着した塵埃とともに、中綿に入り込んだ微細な塵埃を、通気性を有する布団生地を介して吸い込む。
【0046】
そして、床ブラシ23あるいは布団ブラシ24により、塵埃とともに吸い込まれた空気は吸込風となり、管部13を介して本体吸込口19から集塵部18へと運び、この集塵部18にて塵埃を捕集する。
【0047】
この後、塵埃が除去された吸込風は電動送風機15へと吸い込まれ、この電動送風機15を通過して排気風となり、掃除機本体12の後部などに設けられた図示しない排気口から掃除機本体12の外部へと排気される。
【0048】
掃除が終了し、電気掃除機11を収納する際には、設定ボタン29を操作することで、制御手段16が電動送風機15を停止させる。このとき、回転ブラシ36、あるいはビータ45が動作している場合には、これら回転ブラシ36、ビータ45の動作も停止する。
【0049】
具体的に、
図6に示すフローチャートを参照して制御手段16の制御を説明すると、電源部から給電可能となった制御手段16は、まず、設定ボタン29による設定操作がされたか否かを判断する(ステップ1)。このステップ1において、設定操作がされていないと判断した場合には、ステップ1に戻り、設定操作がされたと判断した場合には、制御手段16は、種類判定手段64により、接続された吸込口体を判定する(ステップ2)。
【0050】
このステップ2において、床ブラシ23が接続されていると判定した場合には、制御手段16は、ステップ1で設定ボタン29により設定された床ブラシ用動作モードを選択し(ステップ3)、この動作モードで電動送風機15を動作させる。すなわち、制御手段16は、電動送風機15を、強モード、弱モード、あるいはエコモードのいずれかで動作させる。
【0051】
この床ブラシ用動作モード中において、制御手段16は、種類判定手段64により、接続された吸込口体を判定している(ステップ4)。このステップ4において、床ブラシ23が接続されている、すなわち床ブラシ23の接続が維持されていると判定した場合には、制御手段16は設定ボタン29による設定操作を判定する(ステップ5)。このステップ5において、設定操作がされていないと判定した場合には、ステップ4に戻る。また、このステップ5において、電動送風機15の動作モードを変える設定操作がされたと判定した場合には、ステップ3に戻る。さらに、このステップ5において、停止操作がされたと判定した場合には、制御手段16は、電動送風機15(および駆動手段39)を停止させ(ステップ6)、制御を終了する。
【0052】
また、ステップ2において、布団ブラシ24が接続されていると判定した場合、および、ステップ4において、布団ブラシ24が接続された、すなわち床ブラシ23から布団ブラシ24に交換されたと判定した場合には、制御手段16は、布団ブラシ用動作モードを選択し(ステップ7)、この布団ブラシ用動作モードで電動送風機15を動作させる。
【0053】
この布団ブラシ用動作モード中において、制御手段16は、種類判定手段64により、接続された吸込口体を判定している(ステップ8)。このステップ8において、床ブラシ23が接続されている、すなわち布団ブラシ24から床ブラシ23に交換されたと判定した場合には、制御手段16は、所定の床ブラシ用動作モードを選択し(ステップ9)、この動作モードで電動送風機15を動作させてステップ5に進む。このステップ9で選択する動作モードは、強モード、弱モード、エコモード(第1エコモードあるいは第2エコモード)のいずれでもよい。
【0054】
また、ステップ8において、布団ブラシ24が接続されている、すなわち布団ブラシ24の接続が維持されていると判定した場合には、制御手段16は、設定ボタン29による停止操作がされたか否かを判定する(ステップ10)。このステップ10において、停止操作がされていないと判定した場合にはステップ8に戻り、停止操作がされたと判定した場合には、ステップ6に進んで電動送風機15(およびビータ45(振動駆動手段46))を停止させ、制御を終了する。
【0055】
なお、床ブラシ23と布団ブラシ24とを交換する際には、一時的に吸込口体がない状態となるので、この間、制御手段16は、例えば電動送風機15の動作モードを第2エコモードとしてもよい。
【0056】
上記のように、床ブラシ23を用いて掃除をする場合には、吸込口35から作用する負圧によって塵埃を空気とともに直接吸い込む。そのため、操作性や電動送風機15への過負荷を考慮して、掃除対象物やそれ以外の物体などが吸込口35に吸い付いて吸込風量が低下したときには、電動送風機15の入力を急激に低下させることで、床ブラシ23を用いた掃除のし易さを最適化できる。これに対して、布団ブラシ24を用いて掃除をする場合には、相対的に弱い吸込力で布団生地を吸込口51に積極的に吸い付けた状態で吸込風を布団生地の背面側に流して塵埃を吸い込む。したがって、布団ブラシ24を用いた掃除の場合、上記の床ブラシ23と同様の電動送風機15の入力制御を行うと、布団生地を吸込口51に吸い付ける毎に制御手段16が電動送風機15の入力を低下させ、布団生地が吸込口51から離れると制御手段16が電動送風機15の入力を上昇させることとなる。このため、布団生地を吸込口51に吸い付けた状態で吸込風を布団生地の背面側に流すことができなくなり、布団ブラシ24での掃除性を低下させたり、電動送風機15の入力が頻繁に増減を繰り返して駆動音がうなったりするなどの不具合が生じ易くなる。そこで、以上説明した一実施形態によれば、制御手段16が、布団掃除用の布団ブラシ24が接続されたときに、床ブラシ23が接続されたときより低い入力に電動送風機15を設定することで、布団ブラシ24を用いた掃除に最適化された電動送風機15の入力制御を行うことができる。この結果、床掃除用の床ブラシ23を接続したときの掃除性を何ら低下させることなく、布団掃除用の布団ブラシ24を接続したときの掃除性を向上できる。
【0057】
具体的に、制御手段16が、布団掃除用の布団ブラシ24が接続されたときに、床ブラシ23が接続されたときより低く、かつ、増減幅が小さい入力に電動送風機15を設定することで、布団生地を効果的に吸込口51に貼り付けた状態で吸い込みを維持でき、布団掃除用の布団ブラシ24を接続したときの掃除性を向上できる。
【0058】
本実施形態では、制御手段16が、布団掃除用の布団ブラシ24が接続されたときに、電動送風機15の吸込風量が所定以下に低下しても入力を低下させないことで、布団掃除用の布団ブラシ24を接続したときの掃除性を確保しつつ電動送風機15の入力制御がより容易になる。
【0059】
また、布団ブラシ24が、布団に対して振動を付与するビータ45を備えることで、ビータ45を駆動させたときに、ビータ45により周期的に叩打される布団生地と布団ブラシ24の吸込口51との間隔が周期的に変化し、吸込口51での真空度の変化が生じる。そのため、床ブラシ23と同様の電動送風機15の入力制御を行うと、真空度の変化に応じて制御手段16が電動送風機15の入力を増減させるという不具合が生じ易くなる。そこで、上記のように、ビータ45を備える布団ブラシ24を用いる場合には、制御手段16が布団ブラシ用動作モードを選択することで、ビータ45の駆動により生じる真空度の変化による電動送風機15の入力の変化への影響を抑制しつつ、ビータ45によって布団から塵埃を掻き出して、より効果的な掃除が可能になる。
【0060】
なお、上記一実施形態において、制御手段16には、接地検出手段37に代えて、電動送風機15の駆動により吸い込んだ塵埃量を検出する塵埃量検出手段(塵埃量検出部)が接続されていてもよい。そして、塵埃量検出手段により検出した塵埃量が所定値より大きいときに第1エコモードに切り換え、所定値未満であるときに第2エコモードの切り換えるようにしてもよい。また、接地検出手段37と塵埃量検出手段とをともに備えていてもよい。
【0061】
また、布団ブラシ用動作モードにおいて、制御手段16は、電動送風機15の吸込風量が低下しても入力を低下させないように制御したが、床ブラシ用動作モードの強モードや第1エコモードの増減幅よりも小さい所定の増減幅で入力を増減させてもよい。
【0062】
さらに、布団ブラシ用動作モードを床ブラシ用動作モードと別個に設定したが、例えば床ブラシ用動作モードの弱モードやエコモードを布団ブラシ用動作モードに代えて用いてもよい。
【0063】
また、電源部として電池(二次電池)を用いる構成としてもよい。この場合には、制御素子61としてトライアックに代えて任意のスイッチング素子を用い、電池から電動送風機15への通電時間を制御することで、同様の作用効果を奏することができる。
【0064】
さらに、電気掃除機11としては、キャニスタ型に限らず、例えば上下方向に長手状の掃除機本体12の下端部に床ブラシ23、あるいは布団ブラシ24が選択的に接続されるアップライト型などでも対応して用いることができる。
【0065】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。