(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6560972
(24)【登録日】2019年7月26日
(45)【発行日】2019年8月14日
(54)【発明の名称】多帯域での高周波(RF)エネルギーハーベスティングを行うための整流回路
(51)【国際特許分類】
H02J 50/20 20160101AFI20190805BHJP
H02J 50/40 20160101ALI20190805BHJP
H02M 7/10 20060101ALI20190805BHJP
H01Q 9/26 20060101ALI20190805BHJP
【FI】
H02J50/20
H02J50/40
H02M7/10 B
H01Q9/26
【請求項の数】19
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2015-242304(P2015-242304)
(22)【出願日】2015年12月11日
(65)【公開番号】特開2016-119836(P2016-119836A)
(43)【公開日】2016年6月30日
【審査請求日】2018年12月10日
(31)【優先権主張番号】14/582,002
(32)【優先日】2014年12月23日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】504407000
【氏名又は名称】パロ アルト リサーチ センター インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100167911
【弁理士】
【氏名又は名称】豊島 匠二
(72)【発明者】
【氏名】ジョージ・ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】バーナード・ディー・カッセ
(72)【発明者】
【氏名】アーミン・アール・ヴォルケル
(72)【発明者】
【氏名】ヴィクター・リウ
【審査官】
原 嘉彦
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2003/0199778(US,A1)
【文献】
中国特許出願公開第103312042(CN,A)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0152954(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0207000(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0284351(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 1/00−1/10
1/27−1/52
5/00−11/20
H02J 7/00−7/12
7/34−7/36
50/00−50/90
H02M 7/00−7/40
H04Q 5/00−5/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高周波(RF)エネルギーハーベスティング装置であって、
第1のアンテナ端点と、第2のアンテナ端点と、前記第1のアンテナ端点および第2のアンテナ端点に接続され、関連する帯域幅内のRF周波数で共振するよう構成される少なくとも1つの細長い導電構造体と、を含むアンテナであって、
第1のRF信号が前記第1のアンテナ端点で生成され、第2のRF信号が前記第2のアンテナ端点で生成され、前記第2のRF信号と前記第1のRF信号は位相が180°ずれるようになっている、アンテナと、
整流回路であって、
前記第1のアンテナ端点と第1のノードとの間に連結される第1のダイオードと、
前記第2のアンテナ端点と前記第1のノードとの間に連結される第1のキャパシタと、
前記第1のノードと第2のノードとの間に連結される第2のダイオードと、を含む整流回路と、を含み、
前記第1のダイオードが、前記第2のダイオードよりも低い順電圧を有し、前記第1のダイオードが前記第2のダイオードよりも低いピーク逆電圧を有し、これにより、前記第1のノードで生成される第1の中間電圧には、前記第1のダイオードを介して送られる前記第1のRF信号の正電圧パルスと、前記第1のキャパシタを介して送られる前記第2のRF信号の正電圧パルスとの合計が含まれ、これにより、第2の中間電圧が、前記第1のノードから前記第2のダイオードを介して送られる正電圧パルスに従って前記第2のノードで生成される、高周波(RF)エネルギーハーベスティング装置。
【請求項2】
前記アンテナおよび前記整流回路が、基板上に共形的に配置される導電材料および誘電材料のうちの少なくとも1つを含み、前記導電材料が前記基板の表面特徴と一致している、請求項1に記載のRFエネルギーハーベスティング装置。
【請求項3】
前記第1のダイオードおよび第2のダイオードが、ゼロバイアス電圧のショットキーダイオードを含む、請求項1に記載のRFエネルギーハーベスティング装置。
【請求項4】
前記整流回路が、前記アンテナに連結される1つ以上のインダクタをさらに含む、請求項1に記載のRFエネルギーハーベスティング装置。
【請求項5】
記整流回路が、前記第2のノードに連結され、前記第2の中間電圧を直流(DC)出力電圧に変換するよう構成される出力制御回路をさらに含む、請求項1に記載のRFエネルギーハーベスティング装置。
【請求項6】
前記出力制御回路が、前記第2のノードと前記第1のアンテナ端点との間に連結される第2のキャパシタを含み、前記第2のキャパシタが、前記第1のキャパシタと同じ容量値を有する、請求項5に記載のRFエネルギーハーベスティング装置。
【請求項7】
前記出力制御回路が、前記第2のノードと前記第1のアンテナ端点との間に前記第2のキャパシタと並列接続される終端回路をさらに含み、前記終端回路が、抵抗と直列接続される第3のキャパシタを含む、請求項6に記載のRFエネルギーハーベスティング装置。
【請求項8】
前記出力制御回路が、前記第2のノードと出力ノードとの間に接続される第3のダイオードと、前記出力ノードに連結され、前記第3のダイオードの出力端に位置する第3のノードで生成される電荷を一時的に蓄積するよう構成される蓄積キャパシタと、をさらに含む、請求項6に記載のRFエネルギーハーベスティング装置。
【請求項9】
前記アンテナが、モノポールアンテナを含み、
前記整流回路が、前記第1のアンテナ端点に連結される第1のインダクタと、前記第2のアンテナ端点に連結される第2のインダクタと、をさらに含み、前記第1のインダクタおよび第2のインダクタが、共通のインダクタンスを有し、バランスのとれた回路を形成する、請求項6に記載のRFエネルギーハーベスティング装置。
【請求項10】
前記アンテナが、ダイポールアンテナを含み、前記ダイポールアンテナが、第1の実効インダクタンスを有する第1のアンテナ部と、第2の実効インダクタンスを有する第2のアンテナ部と、を含み、前記第1のアンテナ部および第2のアンテナ部は、前記第1の実効インダクタンスと第2の実効インダクタンスがほぼ同じになるよう構成される、請求項6に記載のRFエネルギーハーベスティング装置。
【請求項11】
前記整流回路が、前記第1のアンテナ端点を介して前記第1のアンテナ部に連結される第1のインダクタと、前記第2のアンテナ端点を介して前記第2のアンテナ部に連結される第2のインダクタと、をさらに含み、前記第1のインダクタおよび第2のインダクタが、共通のインダクタンスを有し、バランスのとれた回路を形成する、請求項10に記載のRFエネルギーハーベスティング装置。
【請求項12】
複数のRFエネルギーハーベスティング装置を含む高周波(RF)エネルギーハーベスティングシステムであって、各RFエネルギーハーベスティング装置が、
第1のアンテナ端点と、第2のアンテナ端点と、前記第1のアンテナ端点および第2のアンテナ端点に接続され、関連する帯域幅の範囲内のRF周波数で共振するよう構成される少なくとも1つの細長い導電構造体と、を含むアンテナと、
整流回路であって、
前記第1のアンテナ端点と第1のノードとの間に連結される第1のダイオードと、
前記第2のアンテナ端点と前記第1のノードとの間に連結される第1のキャパシタと、
前記第1のノードと第2のノードとの間に連結される第2のダイオードであって、前記第1のダイオードが、前記第2のダイオードよりも低い順電圧を有し、前記第1のダイオードが、前記第2のダイオードよりも低いピーク逆電圧を有する、第2のダイオードと、
前記第2のノードと出力ノードとの間に連結される出力制御回路であって、前記第2のノードで生成される第2の中間電圧を直流(DC)出力電圧に変換するよう構成される出力制御回路と、を含む整流回路と、を含み、
前記複数のRFエネルギーハーベスティング装置が、互いに連結されて、組み合わされたシステムの出力電圧を生成する、高周波(RF)エネルギーハーベスティングシステム。
【請求項13】
前記複数のRFエネルギーハーベスティング装置のそれぞれの前記出力制御回路が、
前記第2のノードと前記第2のアンテナ端点との間に連結される第2のキャパシタと、
前記第2のノードと前記出力ノードとの間に接続される第3のダイオードと、
前記出力ノードに連結される蓄積キャパシタと、を含む、請求項12に記載のRFエネルギーハーベスティングシステム。
【請求項14】
第1の前記RFエネルギーハーベスティング装置の前記第1のアンテナ端点が、第2の前記RFエネルギーハーベスティング装置の前記出力ノードに接続されるよう、前記複数のRFエネルギーハーベスティング装置が直列に接続される、請求項12に記載のRFエネルギーハーベスティングシステム。
【請求項15】
前記複数のRFエネルギーハーベスティング装置の全ての前記出力ノードが、共通のシステム出力ノードに接続される、請求項12に記載のRFエネルギーハーベスティングシステム。
【請求項16】
前記複数のRFエネルギーハーベスティング装置の全ての前記アンテナが、同じRF周波数を有するRF信号からRFエネルギーを集めるよう構成される、請求項15に記載のRFエネルギーハーベスティングシステム。
【請求項17】
前記複数のRFエネルギーハーベスティング装置のそれぞれの前記アンテナが、固有の範囲のRF周波数を有するRF信号からRFエネルギーを集めるよう構成される、請求項15に記載のRFエネルギーハーベスティングシステム。
【請求項18】
高周波(RF)エネルギーハーベスティング装置であって、
可撓性基板と、
前記可撓性基板上に共形的に配置され、関連する帯域幅の範囲内のRF周波数で共振するよう構成される少なくとも1つの細長いアンテナ構造体と、第1のアンテナ端点と、第2のアンテナ端点と、を含むアンテナと、
整流回路であって、
前記可撓性基板上に共形的に配置される複数の導電線部と、
第1の前記導電線部を介して、前記第1のアンテナ端点に連結される第1のダイオードと、
第2の前記導電線部を介して、前記第2のアンテナ端点に連結される第1のキャパシタと、
第3の前記導電線部を介して、前記第1のキャパシタおよび前記第1のダイオードに連結される第2のダイオードと、を含む整流回路と、を含み、
前記第1のダイオードが、前記第2のダイオードよりも低い順電圧を有し、前記第1のダイオードが、前記第2のダイオードよりも低いピーク逆電圧を有する、高周波(RF)エネルギーハーベスティング装置。
【請求項19】
前記第1のキャパシタおよび前記第2のダイオードと第3のダイオードとの間に並列に接続される第2のキャパシタが、2つのプリント金属層の間に配置されるプリント誘電材料を含み、
前記第1のダイオードおよび前記第2のダイオードが、表面実装型のゼロバイアス電圧ショットキーダイオードを含む、請求項18に記載のRFエネルギーハーベスティング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多帯域での高周波(RF)エネルギーハーベスティングに関し、より詳細には、RFエネルギーハーベスティング装置に関する整流回路、および、そのような整流回路を用いるRFエネルギーハーベスティングシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
レクテナ(整流アンテナ)とは、電波エネルギーを直流電気に変換するために用いられる特別なタイプのアンテナである。レクテナは、電力を電波で送信する無線電力伝送システム内で使用される。典型的なレクテナ素子は、ダイポールアンテナと、そのダイポール素子の両端に接続されるダイオードで構成される。アンテナ内で電波から誘導される交流電流(AC)をダイオードが整流して、直流(DC)電源を作り、この電源を用いて、ダイオードの両端に接続される負荷に電力を供給する。ショットキーダイオードは、電圧降下が最も低く、スイッチング速度が最も速いという特性を有し、そのため、伝導とスイッチングによる電力損失が最も低いことから、レクテナには、通常、このショットキーダイオードが用いられている。大型のレクテナは、このような数多くのダイポール素子のアレイで構成される。
【0003】
効率的にRFエネルギーを取り込むレクテナを開発することに対するモチベーションは、非常に大きい。情報を送るための高周波(RF)信号の使用が増えることで、RFエネルギーが広く普及するようになってきた。さらに、送られてきたRF信号が使用されないと、そのRF信号のエネルギーは周囲物質に吸収されて失われてしまうため、RF信号の未使用分(すなわち、受信機が受信・変換しなかったRF信号)は基本的に「無駄」になる。したがって、遠隔装置/携帯用装置のための電源を供給する以外に、未使用の周囲RFエネルギーを効率的に再変換することができる、好適なレクテナがあれば、バッテリやその他のリモート電源に取って代わり、エネルギーの需要全体を減らすことが可能となる。
【0004】
従来のレクテナは、RFエネルギーをDC電力に変換することができるが、周囲RFエネルギーの大部分を取り込むことはできない。アンテナ(一般に、標準の50オームまたは75オームのアンテナ)のインピーダンスを、整流回路(一般に、抵抗の他に、強いインダクタンス/リアクタンスを有する整流回路)の入力インピーダンスと一致させるために、従来の整流回路は、個別にRFマッチングステージを有する。したがって、従来のRFレクテナで可能なことは、RFの高い出力密度のレベル(一般に、1W/m
2より高い)のもとで、使用可能なDC電圧を生成することだけである。したがって、従来のRFレクテナは、無線電力伝送システム内で使用されている。というのも、この無線電力伝送システムでは、専用の高出力トランスミッタによって十分に高いRFエネルギーが生成されているからである。通常、周囲RFエネルギーは非常に弱く(mWからμWまで)、したがって、エネルギーハーベスティングを行うための従来のRFレクテナの使用は、周囲の供給源の電力レベルが低いため、不十分であることが証明されている。また、従来のレクテナは、単一の周波数帯用(すなわち、狭い帯域のRF信号を取り込む)であり、大型であるため適用性がない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、周囲RFエネルギーを取り込み可能なRFエネルギーハーベスティング装置(レクテナ)を提供することである。具体的には、本発明の目的は、RFレクテナを用いて、多帯域の低いエネルギーレベル(すなわち、数十W以下)を有するRF信号エネルギーを取り込むことができ、かつ、高い変換効率を有する整流回路を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、高周波(RF)エネルギーハーベスティング装置(レクテナ)に関し、この高周波(RF)エネルギーハーベスティング装置(レクテナ)は、RF周波数で共振するよう構成されるアンテナ構造体と、異なる順電圧値および異なるピーク逆電圧値を有する2つのダイオードを用いることにより、多帯域の低いエネルギーレベル(すなわち、数十mW以下)を有するRF信号を取り込み易くし、取り込まれるRF信号を使用可能な電圧レベルまで上昇させる整流回路と、を含む。第1のダイオードは、第1のアンテナ端点に連結され、非常に低い順電圧(例えば、120mV以下)、1.0V以下のピーク逆電圧、および5kオームの逆電流抵抗を有する(第1の)ゼロバイアスショットキーダイオードを用いて実装される。第2のダイオードは、キャパシタを介して第2のアンテナ端点に連結され、150mV以下の順電圧(すなわち、第1のゼロバイアスショットキーダイオードの順電圧以上)、少なくとも2.0Vのピーク逆電圧(すなわち、第1のゼロバイアスショットキーダイオードの逆電圧より高い)、および少なくとも10kオームの逆電流抵抗(すなわち、第1のゼロバイアスショットキーダイオードの逆電流抵抗より高い)を有する(第2の)ゼロバイアスショットキーダイオードを用いて実装される。第1のアンテナ端点で生成される(第1の)RF信号から発生する正電圧パルスは、第1のダイオードにより、第1の内部ノードに送られ、そこで、第2のアンテナ端点で生成される第2のRF信号(すなわち、第1のキャパシタを介して送られた後の第2のRF信号)と合計され、これにより、第1のRF信号と第2のRF信号のどちらの電圧レベルよりも十分に高い電圧レベルを有する第1の中間電圧が生成される。次いで、第1の中間電圧から発生する正電圧パルスは、第2のダイオードを介して、第2の内部ノードに送られ、そこで、これらのパルスを集約/変換して、使用可能な直流(DC)の出力電圧を生成することができる(例えば、好適な出力制御回路を介して)。非常に低い順電圧の第1のダイオードを上記の構成に実装することにより、本発明は、非常に低いエネルギーを有する周囲RF信号(すなわち、−40dBほどの)を非常に高い電圧レベルを有するパルスに変換し易くする。次いで、より高い順電圧/より高い逆電圧の第2のダイオードを介して、これらのパルスを送ることにより、本発明では、使用可能な電圧レベルを有するDC出力電圧を生成し易くする。
【0007】
本発明の実際の実施形態に従うと、両方のアンテナ、および整流回路の少なくとも一部は、誘電材料、および/または導電材料(例えば、金属)を含み、この導電材料が、基板の表面特徴と一致し、それにより、製造コストを最小限に抑えるよう、これらの誘電材料、および/または導電材料は、従来のPCB、インクジェット印刷、またはその他の製造技術を用いて、基板上(例えば、プリント回路基板(PCB)または可撓性プラスチック基板)にプリントされる、あるいは、共形的に配置される。ある特定の実施形態では、上記の所望のダイオード特性を効率的かつ確実に生成するために、第1のダイオードと第2のダイオードは、ディスクリート(例えば、表面実装可能にパッケージ化された)のゼロバイアス電圧のショットキーダイオードを用いて実装される。別の潜在的な実施形態では、これらのダイオードは、プリント回路の構成要素製造技術、またはその他の製造技術を用いて生成可能である。いくつかの実施形態では、この整流回路は、随意的なインダクタ(すなわち、ディスクリート素子またはプリント回路のインダクタ構造体のどちらか)をさらに含み、これらのインダクタは第1のアンテナ端点および第2のアンテナ端点にそれぞれ連結される。例示的な実施形態では、周囲RF信号の効率的な取り込みを容易にするよう、これらのインダクタは約50nHのインダクタンス(対象RF周波数とダイオード特性の両方によって変動する)を有する。
【0008】
上述の通り、この整流回路は出力制御回路を含み、この出力制御回路は、第2のノードに連結され、第2の中間電圧を直流(DC)出力電圧に変換するよう構成される(すなわち、第2のダイオードを介して送られるパルスエネルギーを蓄積することにより)。要求される変換を容易にするために、この出力制御回路は、第2のノードと第1のアンテナ端点との間に連結される(第2の)キャパシタを含み、特定の実施形態では、この第2のキャパシタは、第1のキャパシタと同じ容量値を有する。生成されるDC電圧が負荷(例えば、検知/通信/処理)回路に直接印加される実施形態では、出力制御回路は、電圧が印加される負荷に依存する容量値および抵抗値を有するRC終端回路を含む。調整システム電圧に変換するため(例えば、1つ以上の付加的なRFハーベスティング装置の出力電圧と、出力電圧を組み合わせることにより)生成されるDC電圧を蓄積する実際の別の実施形態では、出力制御回路が、第2のノードと出力(第3の)ノードとの間に接続される第3のダイオード(例えば、第2のダイオードと同一の)を含み、この第3のダイオードを介して送られる電荷を蓄積するために、蓄積キャパシタが出力ノードに接続される。
【0009】
従来の整流回路の設計よりもはるかに簡単な全波整流ステージを設ける以外に、本発明では、可能であれば、アンテナの実効インダクタンスの利点を生かして製造コストの削減を容易にする。モノポールアンテナを用いる実施形態では、取り込まれるRF信号を整流回路に適切に送信し易くするために、2つのディスクリート・インダクタが必要となる。この実施形態では、第1のアンテナ端点に連結される第1のインダクタと、第2のアンテナ端点に連結される第2のインダクタは、同じ(共通の)インダクタンス値を有し、アンテナと整流回路との間でバランスのとれた回路を形成する。しかし、ダイポールアンテナを用いるいくつかの実施形態では、調整可能な特定のタイプのアンテナを用いることにより、2つのアンテナ部の実効インダクタンスをレクテナ回路に組み込んで、高い誘導リアクタンスと併せてより高い放射抵抗が提供される。もちろん、その他の随意的な実施形態では、必要なときに、ディスクリートのインダクタを用いて、ダイポールアンテナの2つのアンテナ部の実効インダクタンスを向上させることが可能である。
【0010】
本発明の他の実施形態に従うと、RFエネルギーハーベスティングシステムは、それぞれが上記の通り構成される、複数のRFエネルギーハーベスティング装置を含み、これらのRFエネルギーハーベスティング装置が互いに連結され(すなわち、直列または並列に)、組み合わされたシステムの出力電圧を生成する。各RFエネルギーハーベスティング装置は、組み合わされたシステムの出力電圧を容易に生成するために、上記の通りに、第3のダイオードおよび蓄積キャパシタで構成される出力制御回路を含む。直列接続の構成では、少なくとも1つのRFエネルギーハーベスティング装置の第1のアンテナ端点が、隣接するRFエネルギーハーベスティング装置の出力ノードに接続するよう複数のRFエネルギーハーベスティング装置が接続され、これにより、システムの出力電圧の電圧レベルが最大になる。並列接続の構成では、全てのRFエネルギーハーベスティング装置の出力ノードが、共通のシステム出力ノードに接続され、これにより、システムの出力電圧の電流レベルが最大になる。
【0011】
別の実施形態では、所与のシステムのRFエネルギーハーベスティング装置は、同じサイズのアンテナ、または異なるサイズのアンテナのどちらかを備えて、所与のRF周波数帯域でのRFエネルギーハーベスティングを最大にする、あるいは、潜在的なRF周波数の広い範囲に渡ってRFエネルギーハーベスティングを容易にする。特定の実施形態では、複数のRFエネルギーハーベスティング装置の全てのアンテナが同じサイズを有し、全てのRFエネルギーハーベスティング装置が、同じRF周波数を有するRF信号から発生するRFエネルギーを集めるよう構成される。対象のRF周波数範囲内に十分なRFエネルギーが存在することが知られている環境内にこのシステムが配置されるとき、例えば、この同じアンテナサイズの構成を用いて、システム電圧の出力を最大にすることができる。別の特定の実施形態では、各RFエネルギーハーベスティング装置が、異なるRF周波数範囲を有するRF信号からのRFエネルギーを集めるよう、複数のRFエネルギーハーベスティング装置の全てのアンテナは、異なるサイズ/構成を有する。この異なるアンテナサイズの構成により、システムの出力電圧を確実に生成するための柔軟性が提供される。
【0012】
現在のところ好ましい実施形態に従うと、可撓性基板上でPCB技術またはインクジェット印刷技術を用いて、本発明のRFエネルギーハーベスティング装置を製造して、低コストで、非常に適応性のあるプラットフォームを提供し、このプラットフォームにより、既存のRF信号(例えば、周囲のWi−Fi信号からのRF信号)、または専用の充電用RF供給源のどちらかを用いて、遠隔センサまたはその他の装置への電力供給が容易になる。例示的な実施形態では、アンテナは、1つ以上の等角で細長いアンテナ構造体(すなわち、分配された導電材料が可撓性基板の表面特徴と一致するように、スクリーンプリント、転写プリント、押し出し成形、およびインクジェット印刷などの様々なプリント処理のうちの1つを用いて、銀のインク、銀メッキされたナノ粒子、またはその他の導電媒体などの導電材料を分配することにより作成される構造体)を有し、この1つ以上の等角で細長いアンテナ構造体は、対象のRF周波数で共振するよう構成される。整流回路は、導電「トレース」(すなわち、配線または電流経路)を含み、これらの導電トレースは、アンテナが作成されるときに用いられる材料と同じ導電材料を分配することにより、あるいは、異なる導電材料を分配することにより、少なくとも部分的に形成される。さらに、この整流回路は、プリンテッドエレクトロニクス技術を用いて作成される1つ以上の回路素子(例えば、キャパシタおよび抵抗)、または、プリントされた「トレース」に表面実装される随意的なディスクリート素子を含む。
【0013】
本発明のこれらの特徴、およびその他の特徴、様態ならびに利点は、以下の説明、付随する請求項、および添付図面を参照することで、より良く理解することが可能である。以下、添付図面について説明する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に従った、RFエネルギーハーベスティング装置を示す回路図である。
【
図3】
図3は、本発明の別の実施形態に従った、負荷に出力電圧が直接印加される、RFエネルギーハーベスティング装置を示す回路図である。
【
図4】
図4は、本発明の別の実施形態に従った、他の装置の出力電圧と組み合わせるため出力電圧が蓄積される、RFエネルギーハーベスティング装置を示す回路図である。
【
図5】
図5は、別の実施形態に従った、モノポールアンテナおよびディスクリート・インダクタ素子を含むRFエネルギーハーベスティング装置を示す回路図である。
【
図6A】
図6Aは、別の実施形態に従った、ダイポールアンテナおよびゼロのディスクリート・インダクタ素子を含むRFエネルギーハーベスティング装置を示す回路図である。
【
図6B】
図6Bは、別の実施形態に従った、ダイポールアンテナおよび2つのディスクリート・インダクタ素子を含むRFエネルギーハーベスティング装置を示す回路図である。
【
図7】
図7は、直列接続された複数の装置を含むRFエネルギーハーベスティングシステムを示す回路図である。
【
図8】
図8は、並列接続された同じサイズのアンテナを有する複数の装置を含むRFエネルギーハーベスティングシステムを示す回路図である。
【
図9】
図9は、並列接続された異なるサイズのアンテナを有する複数の装置を含むRFエネルギーハーベスティングシステムを示す回路図である。
【
図10】
図10は、可撓性基板上に分配された導電材料により形成されたRFエネルギーハーベスティング装置を示す概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、RFエネルギーハーベスティングの改良に関する。以下の説明は、当業者が、特定の用途およびその要求事項との関連で、提供された本発明を実行し、かつ使用できるよう行われる。本明細書で使用されている用語「連結される」および「接続される」は以下の通り定義される。用語「接続される」は、例えば、通常の集積回路製造技術によって形成される金属線を介した、2つの回路素子間の直接接続を表すために使用される。一方、用語「連結される」は、2つの回路素子間の直接接続または間接接続のどちらかを表すために用いられる。例えば、連結された2つの素子は、金属線を介して直接接続されている、あるいは、仲介回路素子を介して(例えば、キャパシタ、抵抗、インダクタ、あるいはトランジスタのソース端子/ドレイン端子を介して)間接的に接続されている。好ましい実施形態に対する種々の修正形態は、当業者にとっては明らかであり、本明細書で規定されている一般的な原理は、その他の実施形態にも適用可能である。したがって、本発明は、図示・説明した特定の実施形態に限定されるものではなく、本明細書で開示される原理および新規な特徴の最も広い範囲と一致するものと意図される。
【0016】
図1には、一般化した本発明の高周波(RF)エネルギーハーベスティング装置(別名、「レクテナ」)100が示されている。通常、RFエネルギーハーベスティング装置100は、アンテナ120、および1枚の基板101上に配置される整流回路130を含む。
【0017】
図1の右側を参照すると、アンテナ120が示されており、このアンテナは、第1のアンテナ端点121、第2のアンテナ端点122、および、少なくとも1つの細長い導電構造体123を含み、この導電構造体123が、アンテナ端点121およびアンテナ端点122に接続し、関連する帯域幅の範囲内のRF周波数で共振するよう構成されている。さらに、
図2Aおよび
図2Bの信号図に示されている通り、アンテナ端点121で第1のRF信号V
121を生成し、アンテナ端点122で第2のRF信号V
122を生成するようアンテナ120は構成され、RF信号V
122とRF信号V
121とは位相が180°ずれている。アンテナ120は、ブロックと単一の導電構造体123を用いて、一般化した形態で
図1に示されており、アンテナ120が、以下に議論される構成を含む、いくつかの潜在的な構成のうちのどれかを用いて実装可能であることがこの形態で意図される。
【0018】
整流回路130は、アンテナ端点121と第1のノードN1との間に接続される(第1の)ダイオードD1と、アンテナ端点122と第1のノードN1との間に接続される(第1の)キャパシタC1と、第1のノードN1と第2のノードN2との間に接続される(第2の)ダイオードD2と、ノードN2と装置100の出力端子との間に接続される出力制御回路135と、を含む。本発明の様態に従うと、ダイオードD1およびダイオードD2は、低いエネルギーレベル(すなわち、数十mW以下)を有する多帯域のRF信号を取り込み易くするために、異なる順電圧値と異なるピーク逆電圧値を有する。例示的な実施形態では、ダイオードD1は、(第1の)ゼロバイアスショットキーダイオードを用いて実装され、このショットキーダイオードは、非常に低い順電圧(例えば、120mV以下)、1.0V以下のピーク逆電圧、および5kΩの逆電流抵抗を有する。ダイオードD2は、(第2の)ゼロバイアスショットキーダイオードを用いて実装され、このショットキーダイオードは、150mV以下の順電圧(すなわち、ダイオードD1の順電圧以上の順電圧)、少なくとも2.0Vのピーク逆電圧(すなわち、ダイオードD1のピーク逆電圧より高いピーク逆電圧)、および少なくとも10kΩの逆電流抵抗(すなわち、ダイオードD1の逆電流抵抗より高い逆電流抵抗)を有する。キャパシタC1は、ディスクリート(例えば、表面実装型)のキャパシタ構造体、または製造されたキャパシタ構造体(例えば、プリンテッドエレクトロニクスを用いて)のどちらかであり、DC出力電圧V
OUTの特性(電流および電圧)によって決定される値を有し、実際の実施形態では、10pFの電気容量値を有する。
【0019】
図2A〜
図2Fには、動作中にRFエネルギーハーベスティング装置100が生成する信号の信号図(電圧−時間)が示されている。
図1の左側には、任意の周囲RF信号(RF)が示されている。
図2Aおよび
図2Bに示されている通り、アンテナ120が周囲信号RFの周波数と同じ周波数で共振するよう構成されている場合、アンテナ120は、信号RFのエネルギーの一部を効率的に「取り込み」、RF信号V
121およびRF信号V
122がアンテナ端点121とアンテナ端点122でそれぞれ生成され、これらのRF信号に例示的な電圧値がもたらされる。
図2Cに示されている通り、ダイオードD1がゼロバイアス電圧のダイオード構造体を用いて実装されているため、第1のアンテナ端点121で生成される(第1の)RF信号V
121から発生する正電圧パルスV
D1は、ダイオードD1により、内部のノードN1に送られ、そこで、キャパシタC1に蓄積され、より高い公称電圧レベル(RF信号V
121とRF信号V
122の公称電圧レベルの約2倍)にRF信号V
122を「上昇」させ(すなわち、キャパシタC1を介して送られた後)、これにより、ノードN1で十分に高い電圧レベルを有する第1の中間電圧V
N1が生成される。次いで、
図2Eに示されている通り、第1の中間電圧V
N1から発生する正電圧パルスV
D2は、ダイオードD2を介して、ノードN2に送られ、そこで、これらのパルスを集約/変換して、直流(DC)の出力電圧V
OUTを生成することができる(例えば、好適な出力制御回路135を介して)。上記の特性を有するゼロバイアス電圧のダイオードを用いて、ダイオードD1とダイオードD2を実装することで、
図2A〜
図2Fに示されているように、本発明では、非常に低いエネルギーの周囲RF信号(すなわち、−40dBほどの)から使用可能な電圧レベルを有するDC出力電圧への変換が容易になる。
【0020】
再度
図1を参照すると、本発明の一実施形態により、アンテナ120および整流回路130の少なくとも一部は両方とも、基板101上にプリントされる、あるいは、共形的に配置される誘電材料、および/または、導電材料(例えば、金属)を含む。別の実施形態では、基板101はプリント回路基板(PCB)または可撓性プラスチック基板のどちらかを用いて実装され、導電材料が基板101の表面特徴と一致し、これにより、製造コストを最小限に抑えるよう、アンテナ120および整流回路130は、従来のPCB、インクジェット印刷、またはその他の製造技術を用いて製造される。
【0021】
ある特定の実施形態では、上記のような所望のダイオード特性を効率的かつ確実に生成するために、ダイオードD1およびダイオードD2は、ディスクリート(例えば、表面実装可能なパッケージ内に配置された)のゼロバイアス電圧のショットキーダイオードを用いて実装される。例えば、例示的な実際の実施形態では、ダイオードD1は、アメリカ合衆国マサチューセッツ州ウーバン所在のスカイワークス・ソリューションズ社製のSMS7630ショットキーダイオードを用いて実装され、ダイオードD2は、アメリカ合衆国カリフォルニア州サンタクララ所在のアジレント・テクノロジー社製のHSMS2850表面実装型ゼロバイアス・ショットキ・ディテクタ・ダイオードを用いて実装される。別の潜在的な実施形態では、ダイオードD1およびダイオードD2は、プリント回路の構成要素製造技術を用いて生成可能である。つまり、従来のプリント回路の製造技術を用いて製造されるダイオードは、15MHz未満の周波数に限定され、現在のプリント回路の製造技術を用いて、所望の特性を有するダイオードを製造することはできない。しかし、将来的には、プリンテッドエレクトロニクス製造技術が進歩することにより、上記の表面実装型ゼロバイアス電圧のダイオードに取って代わるような、好適な特性を有するプリントダイオードの製造が容易になることが予測される。好適なダイオード構造体を低コストで製造することが容易になる、その他の製造技術を開発することも可能である。
【0022】
後程さらに詳細に説明するが、いくつかの実施形態では、整流回路130が、取り込まれるRF信号V
121およびV
122の特性を向上させるインダクタを含むことができる。
図1には、随意的なインダクタL1およびL2が、点線の記号により示されており、インダクタL1はアンテナ端点121とダイオードD1との間に接続され、インダクタL2はアンテナ端点122とキャパシタC1との間に接続されている。随意的なインダクタL1およびL2は、ディスクリート(例えば、表面実装型)の素子を用いて実装される、あるいは、既知のプリンテッドエレクトロニクス技術を用いて製造される。例示的な実施形態では、これらのインダクタは、周囲RF信号を効率的に取り込むために、約50nH(対象のRF周波数とダイオード特性の両方によって変動し得る)のインダクタンスを有する。
【0023】
図3および
図4には、その他の2つの特定の実施形態に従った、2つのRFエネルギーハーベスティング装置100Aおよび100Bの概略回路図がそれぞれ示されており、RFエネルギーハーベスティング装置100Aは、負荷にDC出力電圧V
OUTを直接印加するよう構成され(
図3に示される通り)、RFエネルギーハーベスティング装置100Bは、共有するシステム出力ノードにDC出力電圧(
図4にV
OUT−SYSとして示される)を印加するよう構成されている。RFエネルギーハーベスティング装置100Aおよび100Bは両方とも、アンテナおよび同様の整流回路130Aおよび整流回路130Bを含む(すなわち、整流回路130Aと整流回路130Bはそれぞれ、第1のアンテナ端点121とノードN1との間に接続されるダイオードD1と、第2のアンテナ端点122とノードN1との間に接続されるキャパシタC1と、ノードN1とノードN2との間に接続されるダイオードD2と、を含む)。それに加えて、整流回路130Aおよび整流回路130Bは、第2のノードN2に接続する出力制御回路135Aおよび出力制御回路135Bをそれぞれ含み、出力制御回路135Aおよび出力制御回路135Bがそれぞれ、ノードN2で生成される中間電圧V
N2を、関連するDC出力電圧V
OUTに変換するよう構成されているという点において同様である。出力制御回路135Aおよび出力制御回路135Bは、基本的にキャパシタC1と同じ電気容量を有する(第2の)キャパシタC2をそれぞれが含む(すなわち、キャパシタC1およびキャパシタC2は両方とも、例えば、10pFの同じ容量値を有する)という点においても同様である。しかし、後程詳細に説明するが、RFエネルギーハーベスティング装置100AとRFエネルギーハーベスティング装置100Bは次の点で互いに異なる。RFエネルギーハーベスティング装置100Aでは、出力制御回路135A(
図3)が、キャパシタC3および抵抗R1で形成される終端回路を備えて、DC出力電圧V
OUTを負荷回路LOADに直接印加し易くし、一方、RFエネルギーハーベスティング装置100Bでは、出力制御回路135B(
図4)が、第3のダイオードD3と蓄積キャパシタC4を備えて、その他のRFエネルギーハーベスティング装置により生成されるDC出力電圧と組み合わせるために、DC出力電圧V
OUTを蓄積する(例えば、
図7、
図8、および
図9を参照して以下に記載される)。
【0024】
図3を参照すると、出力制御回路135Aは、ノードN2と第1のアンテナ端点121との間(すなわち、ノードN2と印加接地電位との間)に接続されるキャパシタC2を含み、RC終端回路は互いに直列接続されるキャパシタC3および抵抗R1を含み、RC終端回路とキャパシタC2は並列接続されている。このRC終端回路は、DC出力電圧V
OUTの特性(電流および電圧)、および負荷回路LOADのサイズに従って、そのサイズが決められている回路素子を用いて実装される。実際の例示的な実施形態では、上述のダイオード素子の数値とキャパシタ素子の数値を用い、かつ、負荷回路LOADが36KΩの印加負荷抵抗を有すると想定することにより、0.29pFの電気容量を有するキャパシタ構造体を用いて、キャパシタC3を実装することができ、150Ωの値を有する抵抗を用いて、抵抗R1を実装することができる。
【0025】
図4を参照すると、出力制御回路135Bは、ノードN2とノードN3との間に接続されるダイオードD3(整流回路130Bの出力ノードとして機能する)と、ノードN3に接続される蓄積キャパシタC4の第1の端子と、蓄積キャパシタC4の第2の端子と第1のアンテナ端点121(例えば、印加接地電位への)との間に接続される抵抗R2と、を含む。実際の実施形態では、ダイオードD3は、ダイオードD2を実装するために用いられるダイオード素子と同じダイオード素子(例えば、アメリカ合衆国カリフォルニア州サンタクララ所在のアジレント・テクノロジー社製のHSMS2850表面実装型ゼロバイアス・ショットキ・ディテクタ・ダイオード)を用いて実装される。キャパシタC3は、DC出力電圧V
OUTの特性(電流および電圧)、およびシステム出力ノードに印加されるシステム電圧V
OUT−SYSのサイズおよび特性に従って、サイズが決められる容量素子を用いて実装される。例示的な実際の実施形態では、上述のダイオード素子の数値およびキャパシタ素子の数値を用いることにより、キャパシタC3は100pFの電気容量を有し、抵抗R2は1Ωの公称抵抗値を有する。
【0026】
図5、
図6A、および
図6Bには、異なるタイプのアンテナを用いるRFエネルギーハーベスティング装置の構成を示す概略図が示されている。これらの図には、説明を目的として、基本的なアンテナの構成が示されている。本明細書に記載されるRFエネルギーハーベスティング装置の種々の様態は、広い範囲の潜在的なアンテナの構成を用いることで、好適な構成になると思われるが、現在のところ、発明者らは、これらのアンテナの構成のうちの1つ以上を使用することで、より優れた結果が得られると考えている。そのようなアンテナの構成は、「MULTIBAND RADIO FREQUENCY (RF) ENERGY HARVESTING WITH SCALABLE ANTENNA」と題する、同時係属中の米国特許シリアル番号第14/582,033号明細書(代理人整理番号第20140443US02(XCP−203−2)号明細書)で開示されている。
【0027】
図5には、モノポールアンテナ120Cおよび整流回路130Cを含むRFエネルギーハーベスティング装置100Cの回路図が示されている。
図5では、整流回路130Cは、アンテナで取り込まれるRF信号を整流回路130のその他の素子に適切に送信し易くするために必要な2つのディスクリート・インダクタL1CおよびL2Cを含む。具体的には、インダクタL1Cが、第1のアンテナ端点121CとダイオードD1との間に連結され、インダクタL2Cが、アンテナ端点122CとキャパシタC1との間に連結されている。一実施形態では、インダクタL1CとインダクタL2Cは、同じ(共通の)インダクタンス値を有し、アンテナ120Cと整流回路130Cの素子(すなわち、
図3および
図4を参照して上記に説明した構成のどちらかを用いて実装可能な、キャパシタC1、ダイオードD1およびD2、ならびに出力制御回路135C)とのバランスがとれた回路を形成している。
【0028】
図6Aには、ダイポールアンテナ120D、および関連する整流回路130Dを含むRFエネルギーハーベスティング装置100Dの回路図が示されており、
図6Bには、ダイポールアンテナ120E、および関連する整流回路130Eを含むRFエネルギーハーベスティング装置100Eの回路図が示されている。ダイポールアンテナ120Dおよび120Eは、下記の点において、モノポールアンテナ120Cとは異なる。モノポールアンテナ120Cは単一の一体型アンテナ構造体123Cを含み、一方、ダイポールアンテナは2つの分離したアンテナ部を含む(例えば、アンテナ120Dは、アンテナ部123D−1および123D−2を含み、アンテナ120Eは、アンテナ部123E−1および123E−2を含む)。
【0029】
従来の整流回路の設計よりもはるかに簡単な全波整流ステージを設けることに加えて、本発明では、可能であれば、ダイポールアンテナの実効インダクタンスの利点を生かして、製造コストの削減を容易にする。例えば、
図6Aに示されている通り、第1のアンテナ部123D−1は、第1の実効インダクタンスL
123−1を有し、第2のアンテナ構造体123D−2は、第2の実効インダクタンスL
123−2を有し、これらの2つのアンテナ部は、第1の実効インダクタンスと第2の実効インダクタンスがほぼ同じになるよう構成されている。
図6Aでは、アンテナ端点121Dおよび122Dと整流回路130Dとの間にディスクリート(付加的な)のインダクタが必要ないように、アンテナ120Dとバランスのとれた回路を形成する素子(すなわち、実効インダクタンスL
123−1およびL
123−2と一致する)を用いて整流回路130Dが組み立てられている。あるいは、
図6Bには、様々な理由で、ダイポールアンテナ120Eのアンテナ部120E−1および120E−2の実効インダクタンスL
123−1およびL
123−2を向上させるケースが示されており、このケースでは、ディスクリート・インダクタL1EおよびL2Eを整流回路130Eに加えることにより(すなわち、アンテナ端点121EとダイオードD1との間にインダクタL1Eを接続し、アンテナ端点122EとキャパシタC1との間にインダクタL2Eを接続する)、これらの実効インダクタンスL
123−1およびL
123−2を向上させることができる。
【0030】
図7、
図8、および
図9には、3種類のRFエネルギーハーベスティングシステムがそれぞれ示されており、各システムは、上記の通り構成される3つのRFエネルギーハーベスティング装置をそれぞれ含み、これらの3つの装置が互いに連結され(すなわち、直列または並列に)、組み合わされた所望のシステムの出力電圧を生成する。
図7、
図8、および
図9に示されている3種類のシステムに含まれる各装置(下記に詳細に記載する)は、上記に記載したものと同様のアンテナおよび整流回路を含み、出力制御回路は、直列の出力接続または並列の出力接続のどちらかを最適化するための2つの異なる構成の一方を用いて実装される。RFエネルギーハーベスティング装置100F−1、100F−2、および100F−3はそれぞれ、関連するRF周波数で共振するよう構成されるアンテナと、各装置に取り込まれたエネルギーが、組み合わされたシステムの出力電圧に寄与するよう、
図4を参照して上記に説明した通りに構成される整流回路と、を含む。例えば、RFエネルギーハーベスティング装置100F−1の整流回路130F−1(
図7)は、出力制御回路135F−1を含み、この出力制御回路が、組み合わされるシステムの出力電圧V
OUT−SYSの生成を容易にするために、
図4を参照して上記に説明した通り構成される、(第3の)ダイオードD3、および蓄積キャパシタC2を含む。なお、説明を簡単にするために、下記で説明する各システムは3つの装置を含むが、下記に記載の技術を用いて互いに接続される、任意の数の装置を用いてシステムを構成することが可能であることは言うまでもない。
【0031】
図7には、直列接続されたRFエネルギーハーベスティング装置100F−1、100F−2、および100F−3を含む第1のRFエネルギーハーベスティングシステム200Fの概略回路図が示されている。開示されている実施形態の様態に従うと、各RFエネルギーハーベスティング装置100F−1〜100F−3は、ほぼ同一のアンテナ構成を含む。例えば、装置100F−1は、アンテナ120F−1を含み、このアンテナ120F−1が、アンテナ端点121F−1および122F−1にそれぞれ接続する細長い導電構造体123F−1および123F−2を含み、導電構造体123F−1および123F−2は、関連する帯域幅の範囲内のRF周波数で共振するよう構成されている。本実施形態では、装置100F−2がアンテナ120F−2を含み、装置100F−3がアンテナ120F−3を含む。アンテナ120F−2およびアンテナ120F−3は、アンテナ120F−1とほぼ同一の構成を有する(すなわち、3つの全てのアンテナが同じRF周波数で共振し、3つの全てのアンテナがほぼ同じ量のエネルギーを生成するように)。
【0032】
各RFエネルギーハーベスティング装置100F−1〜100F−3はまた、ほぼ同一の整流回路も含む。例えば、装置100F−1は、整流回路130F−1を含み、この整流回路が、アンテナ端点121F−1と第1のノードN1との間に接続される第1のダイオードD1と、アンテナ端点122F−1とノードN1との間に接続される第1のキャパシタC1と、ノードN1と第2のノードN2との間に接続される第2のダイオードD2と、を含む。上記の整流回路と同様に、ダイオードD1は、ダイオードD2よりも低い順電圧、およびダイオードD2よりも低いピーク逆電圧を有する。整流回路130F−1はまた、ノードN2に連結される出力制御回路135F−1も含み、このノードN2は、このノードN2で生成される中間電圧をDC出力電圧V
OUT1に変換するよう(すなわち、第3のダイオードD3、キャパシタC1と同じ電気容量を有する第2のキャパシタC2、および蓄積キャパシタC4を介して変換するよう)構成されている。同様に、RFエネルギーハーベスティング装置100F−2は、整流回路130F−2を含み、この整流回路が、ダイオードD1およびD2と、キャパシタC1と、出力制御回路135F−2(ダイオードD3、キャパシタC2、およびC4を含む)と、を含み、この出力制御回路135F−2が、DC出力電圧V
OUT2を生成する。また、RFエネルギーハーベスティング装置100F−3は、整流回路130F−3を含み、この整流回路が、ダイオードD1およびD2と、キャパシタC1と、出力制御回路135F−3(ダイオードD3、キャパシタC2、およびC4を含む)と、を含み、この出力制御回路135F−3がDC出力電圧V
OUT3を生成する。
【0033】
システム200Fにより実装される直列接続の構成によると、DC出力電圧V
OUT1、V
OUT2、およびV
OUT3を組み合わせて、システムの出力電圧V
OUT−SYSを最大にするよう、RFエネルギーハーベスティング装置100F−1〜100F−3は互いに接続される。具体的には、RFエネルギーハーベスティング装置100F−2の第1のアンテナ端点121F−2が、RFエネルギーハーベスティング装置100F−3の出力ノードに接続し(すなわち、装置100F−2の接地面がDC出力電圧V
OUT3となるように)、これにより、装置100F−2の出力ノードで生成されるDC出力電圧V
OUT2の電圧レベルが、DC出力電圧V
OUT3により、「上昇」される。同様に、RFエネルギーハーベスティング装置100F−1のアンテナ端点121F−1が、RFエネルギーハーベスティング装置100F−3の出力ノードに接続し、これにより、装置100F−1の出力ノードで生成される出力電圧V
OUT1のDC電圧レベルは、DC出力電圧V
OUT2およびV
OUT3により、「上昇」される。したがって、システムの出力電圧V
OUT−SYSの電圧レベルは、直列の配列により、最大になる。
【0034】
図8には、RFエネルギーハーベスティングシステム200Gの概略回路図が示され、
図9には、RFエネルギーハーベスティングシステム200Hの概略回路図が示されている。これらのシステムはそれぞれ、RFエネルギーハーベスティング装置を含み、これらのRFエネルギーハーベスティング装置が、共通の接地源と共通のシステム出力ノードとの間で並列に接続されて、システムの出力電圧V
OUT−SYSの電流レベルを最大にする。例えば、RFエネルギーハーベスティングシステム200G(
図8)は、並列に接続されるRFエネルギーハーベスティング装置100G−1、100G−2、および100G−3を含み、RFエネルギーハーベスティングシステム200H(
図9)は、並列に接続されるRFエネルギーハーベスティング装置100H−1、100H−2、および100H−3を含む。システム200Gでは、RFエネルギーハーベスティング装置100G−1〜100G−3の第1のアンテナ端点は、共通の(単一の)接地源に接続され、全てのRFエネルギーハーベスティング装置100G−1〜100G−3の出力ノードは、共通の(単一の)システム出力ノードに接続される。これにより、システム出力ノードで生成されるシステムの出力電圧V
OUT−SYSの電流レベルが最大になる。同様に、システム200Hでは、RFエネルギーハーベスティング装置100H−1〜100H−3の第1のアンテナ端点は、共通の(単一の)接地源に接続され、全てのRFエネルギーハーベスティング装置100H−1〜100H−3の出力ノードは、共通の(単一の)システム出力ノードに接続する。それに加えて、各RFエネルギーハーベスティング装置100G−1〜100G−3、および100H−1〜100H−3は、整流回路130G−1〜130G−3および130H−1〜130H−3をそれぞれ含み、システム200Gおよび200Hの各RFエネルギーハーベスティング装置が、接地源と共通システム出力ノードとの間に連結されていることを除くと、これらの整流回路は、上記の
図7を参照して上記に説明した整流回路とほぼ同一である。
【0035】
システム200Gとシステム200Hと(
図8および
図9)は、システム200Gが、比較的狭い周波数の範囲を有するRFエネルギーで高出力の電流を生成するよう構成され、一方で、システム200Hは、非常に広いRF周波数の範囲全体で少なくともある程度の出力の電流を生成するよう構成されるという点において異なる。つまり、各RFエネルギーハーベスティング装置100G−1〜100G−3は、ほぼ同一のアンテナの構成を含む(例えば、装置100G−1はアンテナ120G−1を含み、装置100G−2はアンテナ120G−2を含み、装置100G−3はアンテナ120G−3を含み、全てのアンテナ120G−1〜120G−3は、ほぼ同一である)。この構成により、全てのRFエネルギーハーベスティング装置100G−1〜100G−3のアンテナ120G−1〜120G−3は、同じRF周波数を有するRF信号から発生するRFエネルギーを集めるよう構成され、これによりV
OUT−SYSの電流が最大になる。もちろん、要求されるRF周波数を有するRF信号が利用可能な場合にだけ、この方法が使用可能である。これとは対照的に、システム200H(
図9)の各RFエネルギーハーベスティング装置100H−1〜100H−3は、異なるアンテナの構成を含み(例えば、装置100H−1はアンテナ120H−1を含み、装置100H−2はアンテナ120H−2を含み、装置100H−3はアンテナ120H−3を含み、アンテナ120H−1はアンテナ120H−2よりも小さく、アンテナ120H−2はアンテナ120H−3よりも小さい)、これにより、各アンテナ120H−1〜120H−3は異なる(固有の)RF周波数で共振して、より低い電流でシステムの出力電圧V
OUT−SYSを生成する可能性はあるが、利用可能な周囲RF周波数のより広い範囲に渡って、少なくともある程度の電流を生成することが可能である。
【0036】
図10には、特定の例示的な本発明の実施形態に従った、RFエネルギーハーベスティング装置100Jの概略斜視図が示されている。但し、これらの構造の縮尺率は正確ではない。RFエネルギーハーベスティング装置100Jは、可撓性基板101J上で共形的に配置される1つ以上の導電材料、および0個以上の誘電材料により少なくとも部分的に形成されるアンテナ120Jと、整流回路130Aと、を含む。下記に記載する技術を用いて、上記の種々のRFエネルギーハーベスティング装置のいずれかを形成することにより、本発明をさらに向上させて、低コストで、非常に適応性のあるプラットフォームを提供し、このプラットフォームにより、既存のRF信号(例えば、周囲のWi−Fi信号からのRF信号)または専用の充電用RF供給源のどちらかを用いて、遠隔センサ、またはその他の装置への電力供給が容易になる。
【0037】
図10の左側を参照すると、アンテナ120Jは、等角で細長いアンテナ構造体123J−1および123J−2を含み、これらのアンテナ構造体は、スクリーンプリント、転写プリント、押し出し成形、およびインクジェット印刷などの様々なプリント処理のうちの1つを用いて、導電材料(例えば、銀インク、銀メッキされたナノ粒子、またはその他の導電媒体)を分配することにより形成される。これらの分配技術を利用することにより、等角の構造がもたらされる(すなわち、アンテナ構造体123J−1および123J−2を形成する、分配された導電材料が、これらの導電材料がその上に分配される可撓性基板101Jの表面特徴と一致するように)。等角で細長いアンテナ構造体123J−1および123J−2は、アンテナ120Jが対象のRF周波数で共振するよう、好適な寸法(例えば、1μmの厚さT、2.5mmの線幅LW)、および好適な構成(例えば、約150mmの全長L)を有する導電の金属線部を含む。
【0038】
整流回路130Jは、アンテナ120Jを作成するために用いる導電材料と同じ導電材料、または異なる導電材料のどちらかを分配することにより、少なくとも部分的に形成される、導電(例えば、金属)線部(すなわち、「トレース」、配線とも呼ぶ)133J−1〜133J−6を含む。さらに、整流回路130Jは、プリンテッドエレクトロニクス技術を用いて製造される、あるいは、好適にプリントされる「トレース」に接続するディスクリート素子(例えば、表面実装型パッケージの)を用いて随意的に実装される上記の回路素子を含む。例えば、ダイオードD1は、トレース133J−1の一部を介して、第1のアンテナ端点121Jに接続される。ある実施形態では、キャパシタC1は、2つの導電層CL1とCL2の間に挟まれるプリント誘電層DLにより実装され、トレース133J−2を介して第2のアンテナ端点122Jに接続され、かつ、トレース133J−3を介してダイオードD2に接続され、このトレース133J−3はノードN1としても機能する。ダイオードD2は、トレース133J−4を介して、第2のキャパシタC2とダイオードD3に接続され、このトレース133J−4はノードN2としても機能する。第2のキャパシタC2は、キャパシタC1と同じ構造を有する。ダイオードD3は、トレース133J−5を介して、第3のキャパシタC3に接続され、このトレース133J−5はノードN3としても機能する。この構成により、整流回路130Jは、
図3を参照して上記に説明した動作と同じように動作する。
【0039】
本発明のRFエネルギーハーベスティング装置/システムの製造に関連する製造コストは、上記のプリント技術を用いることにより、最小限に抑えられているが、本明細書に記載される恩恵の多くは、その他の製造技術を用いることでもたらされ得る。例えば、アンテナ、および整流回路は、剛性の基板上での通常のプリント回路基板の製造方法、または可撓性基板での通常のプリント回路基板の製造方法のうちのどちらを用いても製造可能である。あるいは、装置およびシステムは、機械加工または焼結法によっても製造可能である。