(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1シートと前記第2シートとは1枚のシートからなり、前記1枚のシートを幅方向中央で折り返して、折り返した一方のシートを前記第1シートとし、折り返した他方のシートを前記第2シートとする請求項1または2に記載の被搬送物の検査方法。
前記位置検出工程は、予め、シートの幅方向に対して検査対象物の位置と、その位置における反射光の光量との関係から検量線を求めておいて、測定された反射光の光量から前記検量線に基づいて前記検査対象物の位置を求める、請求項1から5のいずれか1項に記載の被搬送物の検査方法。
対向して搬送されている光透過性の第1シートおよび第2シートのそれぞれに対向して配された光不透過性の第1、第2検査対象物の位置を検出する被搬送物の検査方法であって、
前記第1、第2シート間に両面発光する発光部を挿入した状態で、前記発光部から前記第1シートおよび前記第1検査対象物に第1照射光を照射する第1光照射工程と、
前記発光部から前記第2シートおよび前記第2検査対象物に第2照射光を照射する第2光照射工程と、
前記第1照射光が前記第1シートを透過した第1透過光を受光して光量を検出する第1光検出工程と、
前記第2照射光が前記第2シートを透過した第2透過光を受光して光量を検出する第2光検出工程と、
前記第1および第2透過光の光量から、前記各シートの幅方向の前記検査対象物端部の位置を求める位置検出工程と、
を有する被搬送物の検査方法。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明に係る被搬送物の検査方法の好ましい一実施形態について、図面を参照しながら、以下に説明する。まず、被搬送物の検査方法を用いて検査される非搬送物および検査方法を実施する検査装置の好ましい一例を、
図1によって説明する。
【0009】
図1に示すように、被搬送物1は、二つ折りにされた光透過性のシート50と、そのシート50に配した光不透過性の第1、第2検査対象物61、62を有する。光透過性とは、後述する第1、第2照射光L1、L2がシート50を透過し、反射板21に反射され、再びシート50を透過することをいう。光不透過性とは、第1、第2検査対象物61、62に照射された第1、第2照射光L1、L2が表面反射はあるものの、残りの照射光が吸収されることをいう。
シート50は、好ましくは波長が500nm以上800nm以下の光を透過するものであり、表面シート50Aと裏面シート50Bの2層にされている。2層の積層シートであるシート50の二つ折りにされた一方は第1シート51であり、他方は第2シート52である。第1シート51と第2シート52とは、対向した状態にて搬送されている。例えば、第1シート51の幅方向端部51Aと第2シート52の幅方向端部52Aとが対向するように上端側に配されていて、シート50の二つ折り端部50Cが下端側に配されている。シート50の二つ折り端部50Cが、上下方向が逆向きに搬送されていてもよい。
第1シート51には、表面シート50Aと裏面シート50Bとの間に第1検査対象物61が配されている。第2シート52には、表面シート50Aと裏面シート50Bとの間に第2検査対象物62が配されている。第1検査対象物61と第2検査対象物62とは、互いに対向する位置にされている。すなわち、第1、第2検査対象物61、62の上端部61A,62Aのシート幅方向の位置は同一高さになっていることが好ましい。
【0010】
被搬送物の検査装置10は、第1シート51の外側に、第1シート51および第1検査対象物61に第1照射光L1を照射する第1光照射部11を備えている。第2シート52の外側には、第2シート52と第2検査対象物62に第2照射光L2を照射する第2光照射部12を備えている。第1照射光L1は、第1検査対象物61の上端部61A、第2照射光L2は第2検査対象物62の上端部62Aを含むように照射される。また、第1シート51の外側には、第1照射光L1の光路を遮断しない位置に、第1照射光L1により照明された第1シート51および第1検査対象物61からの光を受光する第1センサ部31を備えている。第2シート52の外側には、第2照射光L2の光路を遮らない位置に、第2照射光L2により照明された第2シート52および第2検査対象物62からの光を受光する第2センサ部32を備えている。さらに、第1シート51と第2シート52との間に両面を反射面とする反射板21を備えている。
【0011】
以下、各構成部品について詳細に説明する。
第1、第2光照射部11、12は、第1、第2シート51、52の幅方向に線状に、第1、第2照射光L1、L2を照射するものである。例えばシート50を含めて第1、第2検査対象物61、62の上端部61A、62Aを中心に照射する。第1、第2照射光L1、L2には、シート50表面の反射の影響を抑え、透過しやすくなるという観点から、波長が500nm以上800nm以下の光を用いる。
【0012】
第1、第2光照射部11、12は、第1、第2照射光L1、L2がむらなく照射されるように、図示はしないが複数の発光素子が複数個配列されている。その配列は1列であってもよく、好ましくは複数列であってもよい。さらに、むらのない均一な照度の照明光とするために、発光素子が配置されている側面等に反射板が配されていても好ましい。その照度は、反射光が得られる照度以上であればよく、受光素子の感度にもよるが、飽和受光量とならない照度以下が好ましい。
第1、第2照射光L1、L2は、波長が500nm以上であり、好ましくは波長が600nm以上であり、さらに好ましくは波長が650nm以上である。そして、波長が800nm以下であり、好ましくは波長が750nm以下であり、さらに好ましくは波長が700nm以下である。具体的には、波長が500nm以上800nm以下であり、好ましくは波長が600nm以上750nm以下であり、さらに好ましくは波長が650nm以上700nm以下である。波長が短すぎると、照射光がシート50を透過しにくくなる。一方、波長が長すぎると照射位置が見えなくなり、照射光の位置合わせが容易にできなくなる。
第1、第2光照射部11、12には、例えば、第1、第2照射光L1、L2の波長が660nmである半導体レーザ光を用いることが好ましい。本明細書でいう第1、第2照射光L1、L2の発光波長は、光強度が最も強くなるピーク波長をいう。
【0013】
第1、第2照射光L1、L2の照度は、1lx以上が好ましく、4lx以上がより好ましい。そして7lx以下が好ましい。具体的には、1lx以上7lx以下が好ましく、4lx以上7lx以下がより好ましい。照度が強すぎると、受光素子の飽和受光量を超える状態となり受光素子における光電変換ができない。一方、照度が弱すぎると、光電変換が起こらず光を検出できなくなる。なお、上記照度は、シート50に最初に照射された位置における照度である。
上記照度は、第1、第2照射光L1、L2の照射距離Dによっても適宜調整される。照射距離Dが短い場合には照度を低くし、照射距離Dが長い場合には照度を強くする。この照射距離Dは、第1、第2光照射部11、12から射出される第1、第2照射光L1、L2の光軸C1、C2上における第1、第2光照射部11、12の射出端とシート50表面との距離とする。またシート50表面に対して第1、第2照射光L1、L2の光軸が、例えば照射面に対して垂直方向となるように照射することが好ましい。上記照度の測定は、市販の照度計を用いて測定した。具体的には、ミノルタ社製、デジタル照度計 T−1Hを使用した。
【0014】
反射板21は、第1、第2照射光L1、L2が反射板21に照射される照射面の全体が含まれる大きさを有していることが好ましい。
反射板21の厚みは、搬送される第1、第2シート51、52に接触することなく挿入可能な厚みであることが好ましい。例えば、剛性を確保する点から、2mm以上が好ましく、4mm以上がより好ましく、5mm以上がさらに好ましい。そして第1、第2シート51、52との接触を避ける観点から、10mm以下が好ましく、8mm以下がより好ましく、6mm以下がさらに好ましい。具体的には、2mm以上10mm以下が好ましく、4mm以上8mm以下がより好ましく、5mm以上6mm以下がさらに好ましい。
また反射板21は、両面において第1、第2照射光L1、L2を反射する板材であることが好ましい。板材としては、樹脂、金属等が挙げられる。樹脂としては、ポリアミド系樹脂、ふっ素系樹脂、ポリアセタール系樹脂等が挙げられる。具体的には、ポリアミド樹脂、ふっ素樹脂、ポリアセタール樹脂が挙げられ、例えば、MCナイロン(登録商標)、テフロン(登録商標)、ジュラコン(登録商標)等が挙げられる。
板材の場合、表面が鏡面加工されていることが好ましい。または板材に反射率が高くなる反射膜コーティングを両面に施したものを用いても好ましい。
【0015】
第1、第2センサ部31、32は、上記第1、第2照射部11、12に併設されていてもよく、または別体に配されていてもよい。反射、透過してきた光を受光できる位置に配されていればよい。第1、第2センサ部31、32は、第1、第2照射光L1、L2の波長の光を受光できる光電変換素子であることが好ましい。例えば、光電変換素子として波長が500nm以上800nm以下の光を受光できるフォトダイオードが挙げられる。
【0016】
第1、第2センサ部31、32には、受光して光電変換して得た電気信号を処理する信号処理部(図示せず)が接続されていることが好ましい。信号処理部は、上記第1、第2センサ部31、32により光電変換された電気信号を受けて記憶する。また、信号処理部は電気信号を増幅する機能、ノイズを除去する機能等を有することが好ましい。
【0017】
信号処理部では、第1、第2センサ部31、32において光電変換された検査領域の電気信号から、光量を求め、第1、第2検査対象物61、62の位置ずれ量を算出する。
そのために、予め、光量による第1検査対象物61の位置を算出するための検量線を求めておく。
第1センサ部31が受光する第1反射光Lr1は、第1照射光L1の照射領域の全域が、仮に第1シート51の第1検査対象物61を含まない領域の場合(
図2(a)参照)、反射板21に反射された反射光Lr1が最も光量が多くなる。この状態が、後述する検量線の光量100の状態に相当する。
第1照射光L1の照射領域に占める、第1検査対象物61と重なっている第1シート51の領域の面積が減少するに従い(
図2(b)参照)、その面積減に比例して光量が多くなる。言い換えれば、第1検査対象物61が第1照射光L1の照射領域に重なる面積が増えるに従い、その面積増に比例して第1反射光Lr1の光量が少なくなる。この状態が、後述する検量線の光量50から100の中間状態に相当する。
第1シート51に対する第1照射光L1の照射領域の全域が、第1検査対象物61が配された第1シート51の領域と重なった場合(
図2(c)参照)には、第1検査対象物61に吸収されるため、第1反射光Lr1は最も光量が少なくなる。この状態が、後述する検量線の光量50の状態に相当する。すなわち、検量線の光量は、反射光Lr1が最も多くなる光量を100とし、反射光Lr1が最も少なくなる光量を50とした相対的な光量である。
【0018】
上記各場合における第1反射光Lr1の光量を求めることによって、
図3に示すような反射光量と基準位置からの距離の関係が、第1検量線によって求まる。基準位置からの距離は、照射光L1の上端P0位置から第1検査対象物61の上端61Aまでの距離P1をいう。なお、光量の測定値にばらつきが生じている場合には、最小二乗法等により、一次関数に近似することが好ましい。
ここで、光量が最小から最大になるまでの距離は第1照射光L1のシート50面に照射されたときの照射領域のシート幅方向の幅Wである。幅Wの単位は例えばmmとする。第1照射光L1の光軸C(C1)は、例えば反射板21面に対して垂直に設定される。また、第1センサ部31がより多くの反射光を受光できるように、第1照射光L1の照射角度に傾きをつけてもよい。すなわち、光軸Cが傾くように第1光照射部11を配してもよい。第2光照射部12についても、第1光照射部11と同様のことがいえる。
【0019】
第2反射光Lr2の光量による第2検査対象物62の位置を算出するための第2検量線(図示せず)も、上記第1検量線と同様に求めることができる。すなわち、反射光量と基準位置からの距離の関係が第2検量線によって求まる。基準位置からの距離は、照射光L2の上端P0位置から第1検査対象物62の上端62Aまでの距離P2をいう。なお、光量の測定値にばらつきが生じている場合には、最小二乗法等により、一次関数に近似することが好ましい。
このように、各第1、第2センサ部31、32ごとに検量線を求めることによって、各第1、第2センサ部31、32に対応した検量線となる。これによって、より正確に、第1、第2検査対象物61、62の上端61A、62Aの位置を示す距離P1、P2を求めることができる。P1、P2の単位は例えばmmとする。
【0020】
次に、本発明の被搬送物の検査方法の好ましい一例について説明する。
被搬送物の検査方法は、前記
図1を参照して説明した検査装置10を用いて行う。
図4(a)に示すように、被搬送物1は、光透過性のシート50と、その幅方向に第1、第2検査対象物61、62を配したものである。第1、第2検査対象物61、62は、シート50の長手方向(搬送方向)に複数配置されている。
図4(b)に示すように、そのようなシート50の幅方向を長手方向にそって二つ折りにしたものである。
【0021】
例えば、シート50には、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、等の繊維からなる光透過性の不織布を用いる。具体的には、波長が500nm以上800nm以下の光を透過する不織布を用いる。
通常、不織布に可視光線を照射した場合、不織布を構成する繊維表面での反射と繊維間の隙間の通過を繰り返して不織布を透過する光と、その不織布を透過する光の一部が繊維内を通過して不織布を透過する光がある。要するに、不織布に照射された光は、繊維内を通過する光、繊維表面で反射される光、および繊維間を進む光が、複雑に組み合わされて、照射された一部の光が不織布を厚み方向に透過する。それ以外の光は、繊維表面で反射散乱され、また繊維中に吸収される。また、不織布の坪量が少ない場合には、繊維間を直進して透過する光がある。したがって、通常、不織布は坪量が大きくなり過ぎなければ、可視光線を透過するものである。坪量が大きくなり過ぎると、繊維表面での反射が多くなって、透過光量が少なくなり、光透過率が極端に減少することになる。光透過量が少なくなっても、被搬送物の検査方法を実施することは可能ではあるが、ノイズ等により検査精度が低下する場合がある。したがって、不織布からなるシート50の坪量には好ましくは上限がある。シート50の坪量については後述する。
【0022】
また、不織布に用いる繊維は透明性を有するものが用いられることが好ましい。透明性を有する繊維は、波長が380nmから800nmの可視光線を透過する。透明性を有するとは、半透明も含み、表面側から照射した可視光線の表面での反射、内部吸収はあるものの、一部が裏面側に透過することをいう。例えば、ポリエチレンの可視光線域の光透過特性が、ダイキン工業株式会社の技術資料GX−27e「ネオフロンフィルム」の第3頁に記載されている。この光透過特性のグラフでは、厚み25μmのポリエチレンフィルムの光透過特性として、波長200nmから800nmまでの光透過率が記載されている。この場合の可視光線域における光透過率は85%以上となっている。上記技術資料GX−27eは、インターネット www.daikin.co.jp/chm/products/pdf/catalog/GX-27e.pdf で検索可能である(検索日:平成27年12月21日)。
また、ポリエチレンテレフタレートの可視光線域の光透過特性が、例えば、インターネット http://www.zeon.co.jp/business/enterprise/speplast/optes2_1.html で検索されるグラフに記載されている(検索日:平成27年12月21日)。この光透過特性のグラフによれば、厚み100μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの光透過特性として、波長300nmから800nmまでの光透過率がグラフに記載されている。この場合の可視光線域における光透過率は80%以上となっている。
【0023】
不織布の坪量と光透過率との関係の一例を調べた。光透過率の測定には、坪量が80g/cm
2のポリプロピレン繊維からなるスパンレース不織布を用いた。また不織布を重ね合わせることで種々の坪量の不織布を得た。したがって、不織布が無い場合が坪量0g/cm
2であり、不織布の枚数を増やすことで、坪量が80g/cm
2から800g/cm
2までの種々の坪量の不織布とした。そして、それぞれの坪量の不織布について光透過率を測定した。測定光には、波長が660nmの半導体レーザ光を用いた。光透過率の測定方法の詳細は後述する。
図5を参照してその結果を説明する。
図5は、縦軸に光透過率を示し、横軸に坪量を示す。
図5に示すように、坪量が増加するとともに光透過率が急激に低下したが、坪量が800g/cm
2であっても光透過が認められた。このことから、不織布であれば、測定光を少なくとも透過することがわかった。
【0024】
上記不織布の坪量は、シートとしての強度が維持されるように、10g/m
2以上が好ましく、30g/m
2以上がより好ましく、50g/m
2以上がさらに好ましい。そして波長が500nm以上800nm以下の光を透過し、透過した光の反射光が再び透過されるように、200g/m
2以下が好ましく、150g/m
2以下がより好ましく、100g/m
2以下がさらに好ましい。例えば、シート50の坪量は70g/m
2から80g/m
2とした。
具体的には、一例として、表面シート50Aには坪量が80g/m
2のポリプロピレンのスパンレース不織布を用いる。また裏面シート50Bには坪量が70g/m
2のポリプロピレンのスパンレース不織布を用いる。なお、不織布としては、スパンレース不織布以外の不織布を用いてもよい。例えば、エアスルー不織布、ニードルパンチ不織布、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布等を好ましく用いることができる。
上記の坪量80g/m
2、厚み0.66mmのポリプロピレンのスパンレース不織布からなる表面シート50Aの波長660nmの光の透過率は9.0%であった。また、上記の坪量70g/m
2、厚み0.59mmのポリプロピレンのスパンレース不織布からなる裏面シート50Bの波長660nmの光の透過率は20.0%であった。このように、不織布状態であっても、シート50は上記の光を十分に透過することがわかっている。
【0025】
上記の不織布の厚みは以下のように測定した。
0.05kPaの圧力がかかるように荷重を加えた状態にして、厚み測定器を用いて測定した。厚み測定器にはオムロン社製のレーザー変位計を用いた。厚み測定は、10点測定し、それらの平均値を算出して厚みとした。
【0026】
上記光透過率は以下のように測定した。
測定器にキーエンス社製の透過型センサ、型式:LV−NH110を用いた。この透過型センサの半導体レーザ光の発振波長は660nmである。またアンプには、キーエンス社製の型式:LV−N11Nを用いた。上記センサの発光ヘッドと受光ヘッドとの間隔を200mmに設定し、その中間部である発光部からの距離が100mmの位置に、光軸に対して直角になるように、光透過率を測定する不織布を配した。透過率の測定は、波長660nmの0.2mWのレーザ光を照射し、その透過光量を測定した。また照射光量は不織布を配さない状態で測定した。透過率は式[透過光量]/[照射光量]×100(%)を用いて求めた。
【0027】
検査対象物61、62は光不透過性である。光不透過性とは、光を全く透過しないことであり、表面反射以外の照射光が吸収される状態をいう。このような検査対象物61、62には、例えば、炭酸カルシウムを含むポリエチレン(PE)延伸フィルムやポリエチレン紙ラミネートフィルムを用いて包装された発熱体がある。発熱体は、第1、第2照射光L1、L2を吸収するが、透過しないものである。発熱体としては、塩化鉄や酸化鉄のような黒色または黒色に近い色の金属化合物を含むものである。
【0028】
図1に示すように、第1、第2光照射部11、12は、それぞれの光軸C1、C2を延長した線上に互いが一致するように配されている。第1、第2光照射部11、12には、例えば、波長が660nmの光を第1、第2照射光L1、L2とするものを用いる。第1、第2照射光L1、L2には、波長が500nm以上800nm以下の上記した他の波長の光を用いることも可能である。第1、第2照射光L1、L2は、シート50の幅方向に長い縦長の照射領域を有するものである。例えば、照射領域の幅W(図面縦方向の照射領域の長さ)は30mm、照射領域の幅方向と直交する方向の照射領域の長さ(図面奥行方向の照射領域の長さ)は2mmである。この縦方向とはシート50の幅方向と平行な方向である。また、第1、第2光照射部11、12とシート50との照射距離D(D1、D2)は60mmである。この照射距離Dは、第1、第2照射光L1、L2の照射領域の面積、第1、第2照射光L1、L2の光量に応じて適宜選択される。
【0029】
第1、第2シート51、52間に上記説明した反射板21を挿入しておく。第1、第2光照射部11、12のそれぞれから、第1、第2照射光L1、L2を照射する、第1、第2光照射工程を行う。
第1光照射工程は、第1照射部31から射出された第1照射光L1を、第1シート51の外側から第1シート51および第1検査対象物61に照射する。第1シート51の外側とは、第2シート52側とは反対側のことをいう。
続いて第1光検出工程を行う。この光検出工程では、照射された第1照射光L1の一部が、第1シート51表面や第1検査対象物61表面において反射される。残りの第1照射光L1が、第1検査対象物61が配されている部分を除く第1シート51を透過して反射板21に照射される。反射板21では照射された第1照射光L1が反射され、再び第1シート51を透過する。これらの反射光が第1反射光Lr1として第1センサ部31に受光される。
なお、図面にいて光を示す矢印は、垂直入射の照射光に対して反射光は同一光路上を通るが、わかり易くするため、少しずらして示した。
【0030】
一方、第2光照射工程は、第2照射部32から射出された第2照射光L2を、第2シート52の外側から第2シート52および第2検査対象物62に照射する。第2シート52の外側とは、第1シート51側とは反対側のことをいう。
上記第2光照射工程は、第1光照射工程と同時に行うことが好ましい。同時に行うことによって、反射板21を挟んで対向する第1、第2検査対象物61、62の位置をより正確に検出することができる。
続いて第2光検出工程を行う。この光検出工程では、照射された第2照射光L2の一部が第2シート52表面や第2検査対象物62表面において反射される。残りの第2照射光L2が、第2検査対象物62が配されている部分を除く第2シート52を透過して反射板21に照射される。反射板21では照射された第2照射光L2が反射され、再び第2シート52を透過する。これらの反射光が第2反射光Lr2として第2センサ部32に受光される。
なお、第1、第2検査対象物61、62に照射された第1、第2照射光L1、L2は、その表面において反射された以外、第1、第2検査対象物61、62に吸収される。また、第1、第2シート51、52の光吸収はわずかであるとして省略した。
【0031】
続いて位置検出工程では、上記第1、第2センサ部31、32により第1、第2反射光Lr1、Lr2を光電変換し、信号処理部において、光電変換して得たそれぞれの電流値から光量を求める。さらに先に求めておいた検量線に基づいて、上記それぞれの光量から第1、第2検査対象物61、62の位置を示す距離P1、P2を求める。P1=P2であれば、第1、第2検査対象物61、62の位置ずれはない。P1>P2ならば、第1検査対象物61が第2検査対象物62よりも低い位置になっている。逆にP1<P2ならば、第1検査対象物61が第2検査対象物62よりも高い位置になっている。P1>P2およびP1<P2のいずれの場合も第1、第2検査対象物61、62がずれていることがわかる。P1、P2の単位は例えばmmとする。
第1、第2照射光L1、L2の上端を基準位置として位置0とし、第1、第2照射光L1、L2の下端を位置PWとする。したがって、位置0からPWまでは照射光の幅Wになる。距離P1、P2は、基準位置P0(位置0)からの第1、第2検査対象物61、62の上端61A、62Aまでの距離である。
【0032】
なお、上記検査方法において、第1、第2検査対象物61、62の位置検出ができない場合がある。例えば、
図6(a)に示すように、第1、第2照射光L1、L2の照射領域の全域が、第1、第2検査対象物61、62の上端61A、62Aをまたがず、第1、第2検査対象物61、62になる場合である。
図6(b)に示すように、第1、第2照射光L1、L2の一方の照射領域の全域がその照射光により検査される第1、第2検査対象物61、62になる場合である。図示例では、第1照射光L1の照射領域の全域が第1検査対象物61になっている。また、
図6(c)に示すように、第1、第2照射光L1,L2の照射領域の全域が第1、第2検査対象物61、62に照射されない場合である。さらに、
図6(d)に示すように、第1、第2照射光L1、L2の一方の照射領域の全域がその照射光により検査される第1、第2検査対象物61、62に照射されない場合である。図示例では、第1照射光L1の照射領域の全域が第1検査対象物61に照射されていない。
上記のような場合には、第1、第2検査対象物61、62の位置検出が不能となる。したがって、第1、第2照射光L1、L2は、シート50と第1、第2検査対象物61、62との境界部分に照射されている必要がある。
【0033】
上記の被搬送物の検査方法は、対向して搬送されている第1、第2シート51、52中に、対向して配された第1、第2検査対象物61、62の相互の位置関係を検出することが可能になる。これにより、第1、第2検査対象物61、62の位置をシート50の搬送中に検査することができるので、製造ラインを停止することなく、効率的な検査が可能になる。
また、第1、第2照射光L1,L2は、シート50の幅方向に長さが長い光であるが、これをシート50の搬送方向に長さが長い光としてもよい。この場合、シート50と第1、第2検査対象物61、62との境界をまたぐように、第1、第2照射光L1,L2が照射される。これによって、第1、第2検査対象物61、62のシート搬送方向に隣接する別の第1、第2検査対象物61、62との位置関係を検出することができる。
【0034】
また、第1検査対象物61、第2検査対象物62のそれぞれの2点の位置を求めることにより、それぞれの検査対象物の傾きを求めることができる。例えば、第1検査対象物61の上辺のA点のシート幅方向の基準点からの位置P1、B点のシート幅方向の基準点からの位置P3(図示せず)とする。P1−P3=0ならば、第1検査対象物61は傾いていないことになる。ただし、上記いずれの基準点は水平線と平行な1本の線上にあり、検査対象物の上辺は水平線と平行であるとする。P1−P2≠0ならば傾いていることになる。P1とP2との差と、P1とP2との距離の差Dpから容易に傾き角が算出できる。A点を起点とした傾き角はtan
−1{(P1−P2)/Dp}となる。
【0035】
上記検査方法は、二つ折りにしたシート50を鉛直方向に配して搬送する場合について説明した。この検査方法では、二つ折りにしたシート50を水平方向に配して搬送する場合についても、上記同様に検査することが可能である。この場合には検査装置10の全体を90度回転した状態で検査することになる。
【0036】
次に本発明の別の検査方法を以下に説明する。
図7に示すように、シート50は、好ましくは波長が500nm以上800nm以下の光を透過するものであり、表面シート50Aと裏面シート50Bの2層にされている。二つ折りにされたシート50の一方側の第1シート51と他方側の第2シート52とは、対向した状態を維持して搬送されている。例えば、第1シート51の幅方向端部51Aと第2シート52の幅方向端部52Aとが対向するように上端側に配されていて、シート50の二つ折り端部50Cが下端側に配されている。搬送される二つ折りにされたシート50は、幅方向において上下方向が逆向きになっていてもよい。
第1シート51には、表面シート50Aと裏面シート50Bとの間に第1検査対象物61が配されている。第2シート52には、表面シート50Aと裏面シート50Bとの間に第2検査対象物62が配されている。第1検査対象物61と第2検査対象物62とは、互いに対向する位置にされている。
【0037】
第1および第2シート51、52間には、両面から対称となる方向に発光する発光部25が挿入されている。発光部25は、シート50の幅方向と同様の方向であり、線状に発光するものであればよい。まず、発光部25の一方の面から第1シート51および第1検査対象物61に第1照射光L1を照射する第1光照射工程を行う。同時に、発光部25の他方の面から第2シート52および第2検査対象物62に第2照射光L2を照射する第2光照射工程を行う。
続いて、第1照射光L1が第1シート51を透過した第1透過光Lt1を第1センサ部31により受光して光量を検出する第1光検出工程を行う。同時に、第2照射光L2が第2シート52を透過した第2透過光Lt2を第2センサ部32により受光して光量を検出する第2光検出工程を行う。
次いで第1および第2透過光Lt1、Lt2の光量から、各シートの幅方向の第1、第2検査対象物61、62の端部61A、62Aの位置を求める位置検出工程を行う。位置検出工程は前述の位置検出工程と同様である。
【0038】
上記別の検査方法は、第1、第2照射光L1、L2の透過光を検出して、第1、第2検査対象物61、62の位置を検出する方法であり、検査方法が簡便である。
【0039】
以下に、上述の被搬送物の検査方法により被搬送物を検査した実施例により本発明をさらに詳細に説明する。本発明は下記実施例に限定されるものではない。
【0040】
(実施例)
第1シート51側、第2シート52側それぞれの反射光量から、検量線を基に、基準位置から第1、第2検査対象物61、62(例えば発熱体)端部位置をそれぞれ算出する。算出したそれぞれの位置の差分|P1−P2|から、発熱体のズレ量(mm)を算出する。
【0041】
<検査装置>
図1に示した検査装置10を用いて検査を行った。第1、第2光照射部11、12および第1、第2センサ部31、32には、キーエンス社製、反射帰還型センサの型式:LV−NH42を用いた。この半導体レーザ光の発振波長は660nmである。
信号処理部には、キーエンス社製の型式:LV−N11MNを用いた。
【0042】
<検査条件>
第1、第2照射光L1、L2の光軸を照射面に対して垂直方向に設定し、照射距離Dを60mmに設定した。
【0043】
検査の結果、実施例では、第1、第2検査対象物61、62の位置を正確に検出できた。その結果、第1、第2検査対象物61、62のずれ量を正確に測定できた。