【実施例】
【0147】
以下、実施例及び比較例により本発明を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。まず、以下の実施例及び比較例における、重合体粒子の体積平均粒子径及び粒子径の変動係数の測定方法、重合体粒子の製造に使用した種粒子の体積平均粒子径の測定方法、重合体粒子の製造の固液分離工程におけるX値(濾材を通過した媒体の単位時間当たりの量(kg/min))の測定方法、重合体粒子の製造の洗浄工程におけるY値(濾材を通過した洗浄液の単位時間当たりの量(kg/min))の測定方法、重合体粒子中の界面活性剤の含有量の測定方法、重合体粒子の単位表面積あたりにおける界面活性剤の含有量の算出方法、重合体粒子中の副生成物(乳化重合生成物)の含有量の測定方法、重合体粒子のゲル分率の測定方法、重合体粒子の屈折率の測定方法、高SP値有機溶剤中への重合体粒子の分散性の評価方法、並びに液温25℃の洗浄液に対する1種の他の界面活性剤の溶解度の測定方法を説明する。
【0148】
〔重合体粒子の体積平均粒子径及び粒子径の変動係数の測定方法〕
重合体粒子の体積平均粒子径は、コールターMultisizer
TM 3(ベックマン・コールター株式会社製測定装置)により測定する。測定は、ベックマン・コールター株式会社発行のMultisizer
TM3ユーザーズマニュアルに従って校正されたアパチャーを用いて実施するものとする。
【0149】
なお、測定に用いるアパチャーは、測定する重合体粒子の大きさによって、適宜選択する。Current(アパチャー電流)及びGain(ゲイン)は、選択したアパチャーのサイズによって、適宜設定する。例えば、50μmのサイズを有するアパチャーを選択した場合、Current(アパチャー電流)は−800、Gain(ゲイン)は4と設定する。
【0150】
測定用試料としては、重合体粒子0.1gを0.1重量%ノニオン性界面活性剤水溶液10m1中にタッチミキサー(ヤマト科学株式会社製、「TOUCHMIXER MT−31」)及び超音波洗浄器(株式会社ヴェルヴォクリーア製、「ULTRASONIC CLEANER VS−150」)を用いて分散させ、分散液としたものを使用する。測定中はビーカー内を気泡が入らない程度に緩く攪拌しておき、重合体粒子を10万個測定した時点で測定を終了する。重合体粒子の体積平均粒子径は、10万個の粒子の体積基準の粒度分布における算術平均である。
【0151】
重合体粒子の粒子径の変動係数(CV値)は、以下の数式によって算出する。
【0152】
重合体粒子の粒子径の変動係数
=(重合体粒子の体積基準の粒度分布の標準偏差
÷重合体粒子の体積平均粒子径)×100
【0153】
〔種粒子の体積平均粒子径の測定方法〕
重合体粒子の製造に使用した種粒子の体積平均粒子径の測定は、レーザー回折・散乱方式粒度分布測定装置(ベックマン・コールター株式会社製「LS 13 320」)及びユニバーサルリキッドサンプルモジュールによって行う。
【0154】
具体的には、種粒子を含有するスラリー0.1gを0.1重量%ノニオン性界面活性剤水溶液10m1中にタッチミキサー(ヤマト科学株式会社製、「TOUCHMIXER MT−31」)及び超音波洗浄器(株式会社ヴェルヴォクリーア製、「ULTRASONIC CLEANER VS−150」)を用いて分散させ、分散液としたものを使用する。
【0155】
測定は、ユニバーサルリキッドサンプルモジュール中でポンプ循環を行うことによって上記種粒子を分散させた状態、かつ、超音波ユニット(ULM ULTRASONIC MODULE)を起動させた状態で行い、種粒子の体積平均粒子径(体積基準の粒度分布における算術平均径)を算出する。測定条件を下記に示す。
【0156】
媒体=水
媒体の屈折率=1.333
固体の屈折率=種粒子の屈折率
PIDS相対濃度:40〜55%程度
【0157】
〔X値の測定方法〕
固液分離工程において、粗生成物に含まれる媒体を濾材に通過させることを開始してから、前記媒体の濾材の通過を終了させるまでの時間T
1(min)を測定する。また、固液分離工程において得られた濾液(媒体)の総重量G
1(kg)を計量する。そして、以下の算出式により、濾材を通過した媒体の単位時間当たりの量X(kg/min)を求める。
X(kg/min)=G
1(kg)/T
1(min)
【0158】
〔Y値の測定方法〕
洗浄工程で用いた洗浄液の重量G
2(kg)を測定する。また、洗浄工程において、洗浄液を濾材に通過させることを開始してから、洗浄工程に用いた洗浄液の重量G
2(g)の0.8倍の重量の洗浄液が濾材を通過するまでに費やした時間T
2(min)を測定する。そして、以下の算出式により、濾材を通過した洗浄液の単位時間当たりの量Y(kg/min)を求める。
Y(kg/min)=0.8×G
2(kg)/T
2(min)
【0159】
〔重合体粒子中の界面活性剤の含有量の測定方法〕
重合体粒子中の界面活性剤の含有量は、重合体粒子を溶媒により抽出し、液体クロマトグラフ質量分析計(LC/MS/MS装置)を用いて測定する。
【0160】
なお、後述する実施例及び比較例の重合体粒子における界面活性剤の含有量の測定には、LC/MS/MS装置として、Thermo Fisher Scientific製の「UHPLC ACCELA」、及びThermo Fisher Scientific製の「Linear Ion Trap LC/MS
n LXQ」を用いた。
【0161】
また、後述する実施例及び比較例における重合体粒子は、界面活性剤として、ジ(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルリン酸塩、ラウリル硫酸塩、アルケニルコハク酸塩、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル硫酸エステル塩、及びポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテルリン酸エステルの少なくとも1つを使用しており、実施例及び比較例の重合体粒子における界面活性剤の含有量は、以下に示す方法により、測定した。
【0162】
試料としての重合体粒子約0.10gを遠沈管に精秤し、抽出液としてのメタノール5mLをホールピペットで注加して、重合体粒子と抽出液とをよく混合させる。15分間、室温で超音波抽出を行った後、回転数3500rpmで15分間遠心分離を行い、これにより得られた上澄みを試験液とする。
【0163】
この試験液中の界面活性剤濃度をLC/MS/MS装置を用いて測定する。そして、測定された試験液中の界面活性剤濃度(μg/ml)と、試料として用いた重合体粒子の重量(試料重量(g))と、抽出液の量(抽出液量(ml))とから、下記算出式により、重合体粒子中の界面活性剤の含有量(μg/g)を求める。なお、抽出液量は、5mlである。
【0164】
界面活性剤の含有量(μg/g)
={試験液中の界面活性剤濃度(μg/ml)×抽出液量(ml)}÷試料重量(g)
なお、界面活性剤濃度は、LC/MS/MS装置を用い、得られたクロマトグラム上のピーク面積値から予め作成した検量線より含有量を算出する。また、重合体粒子が、複数種の界面活性剤を含む場合には、それら界面活性剤の各々について、検量線を作成して、作成した検量線により界面活性剤濃度を算出し、算出した各界面活性剤の界面活性剤濃度の合計を、上記算出式における「試験液中の界面活性剤濃度(μg/ml)」として、重合体粒子中の界面活性剤の含有量を求める。
【0165】
検量線作成方法は、実施例及び比較例で使用した界面活性剤の種類に応じて、以下の通りである。
【0166】
−ジ(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸塩の検量線作成方法−
ジ(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸塩の約1000ppm中間標準液(メタノール溶液)を調製後、さらにメタノールで段階的に希釈して0.1ppm、0.2ppm、0.5ppm、1.0ppm、2.0ppmの検量線作成用標準液を調製する。各濃度の検量線作成用標準液を後述するLC測定条件及びMS測定条件にて測定し、モニターイオンm/z=421.3(プリカーサーイオン)→227.2(プロダクトイオン)のクロマトグラム上のピーク面積値を得る。各濃度と面積値をプロットして最小二乗法により近似曲線(二次曲線)を求め、これを定量用の検量線とする。
【0167】
−ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルリン酸塩の検量線作成方法−
ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルリン酸塩の約1000ppm中間標準液(メタノール溶液)を調製後、さらにメタノールで段階的に希釈して0.1ppm、0.5ppm、1.0ppm、2.0ppm、10.0pmの検量線作成用標準液を調製する。各濃度の検量線作成用標準液を後述するLC測定条件及びMS測定条件にて測定し、モニターイオンm/z=502.3(プリカーサーイオン)→485.2(プロダクトイオン)のクロマトグラム上のピーク面積値を得る。各濃度と面積値をプロットして最小二乗法により近似曲線(二次曲線)を求め、これを定量用の検量線とする。
【0168】
−ラウリル硫酸塩の検量線作成方法−
ラウリル硫酸塩の約1000ppm中間標準液(メタノール溶液)を調製後、さらにメタノールで段階的に希釈して0.1ppm、0.2ppm、0.5ppm、1.0ppm、2.0ppmの検量線作成用標準液を調製する。各濃度の検量線作成用標準液を後述するLC測定条件及びMS測定条件にて測定し、モニターイオンm/z=421.3(プリカーサーイオン)→227.2(プロダクトイオン)のクロマトグラム上のピーク面積値を得る。各濃度と面積値をプロットして最小二乗法により近似曲線(二次曲線)を求め、これを定量用の検量線とする。
【0169】
−アルケニルコハク酸塩の検量線作成方法−
アルケニルコハク酸塩の約1000ppm中間標準液(メタノール溶液)を調製後、さらにメタノールで段階的に希釈して0.03ppm、0.15ppm、0.60ppm、1.5ppm、3.0ppmの検量線作成用標準液を調製する。各濃度の検量線作成用標準液を後述するLC測定条件及びMS測定条件にて測定し、モニターイオンm/z=339.3(プリカーサーイオン)→295.2(プロダクトイオン)のクロマトグラム上のピーク面積値を得る。各濃度と面積値をプロットして最小二乗法により近似曲線(二次曲線)を求め、これを定量用の検量線とする。
【0170】
−ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル硫酸エステル塩の検量線作成方法−
ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル硫酸エステル塩の約1000ppm中間標準液(メタノール溶液)を調製後、さらにメタノールで段階的に希釈して0.1ppm、0.5ppm、1.0ppm、2.0ppm、10.0ppmの検量線作成用標準液を調製する。各濃度の検量線作成用標準液を後述するLC測定条件及びMS測定条件にて測定し、モニターイオンm/z=601.4(プリカーサーイオン)→301.2(プロダクトイオン)のクロマトグラム上のピーク面積値を得る。各濃度と面積値をプロットして最小二乗法により近似曲線(二次曲線)を求め、これを定量用の検量線とする。
【0171】
−ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテルリン酸エステルの検量線作成方法−
ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテルリン酸エステルの約1000ppm中間標準液(メタノール溶液)を調製後、さらにメタノールで段階的に希釈して0.1ppm、0.5ppm、1.0ppm、2.0ppm、10.0ppmの検量線作成用標準液を調製する。各濃度の検量線作成用標準液を後述するLC測定条件及びMS測定条件にて測定し、モニターイオンm/z=601.4(プリカーサーイオン)→301.2(プロダクトイオン)のクロマトグラム上のピーク面積値を得る。各濃度と面積値をプロットして最小二乗法により近似曲線(二次曲線)を求め、これを定量用の検量線とする。
【0172】
−LC測定条件−
測定装置:UHPLC ACCELA(Thermo Fisher Scientific製)
カラム:Thermo Fisher Scientific製 Hypersil GOLD C18 1.9μm(内径2.1mm、長さ100mm)
【0173】
−MS測定条件−
測定装置:Linear Ion Trap LC/MS
n LXQ(Thermo Fisher Scientific製)
イオン化法(Ionization):(ESI/negative)
シースガス(Sheath Gas):30arb
補助ガス(AUX Gas):10arb
スイープガス(Sweep Gas):0arb
スプレー電圧(I Spray Voltage):5.0kV
キャピラリー温度(Capillary Temp):350℃
キャピラリー電圧(Capillary voltage):−20V
チューブレンズ電圧(Tube lens Voltage):−100V
モニターイオン(Monitoring ion)(m/Z):
ジ(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸塩(n=421.3/n2=227.2)
ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルリン酸塩(n=502.3/n2=485.2)
ラウリル硫酸塩(n=421.3/n2=227.2)
アルケニルコハク酸塩(n=339.3/n2=295.2)
ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル硫酸エステル塩(n=601.4/n2=301.2)
ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテルリン酸エステル(n=601.4/n2=301.2)
【0174】
〔重合体粒子の比表面積の測定方法〕
重合体粒子の比表面積は、ISO 9277第1版 JIS Z 8830:2001記載のBET法(窒素吸着法)により測定した。対象となる重合体粒子について、株式会社島津製作所社製の自動比表面積/細孔分布測定装置Tristar3000を用いてBET窒素吸着等温線を測定し、窒素吸着量からBET多点法を用いて比表面積を算出した。加熱ガスパージによる前処理を実施した後、吸着質として窒素を用い、吸着質断面積0.162nm
2の条件下で定容量法を用いて測定を行った。なお、前記前処理は、具体的には、重合体粒子が入った容器を65℃で加熱しながら、窒素パージを20分行い、室温放冷した後、その容器を65℃で加熱しながら、前記容器内の圧力が0.05mmHg以下になるまで真空脱気を行うことにより、行った。
【0175】
〔重合体粒子の単位表面積あたりにおける界面活性剤の含有量の算出方法〕
上述の測定方法により測定された重合体粒子中の界面活性剤の含有量と、上述の測定方法により測定された重合体粒子の比表面積とから、以下の算出式により重合体粒子の単位表面積あたりにおける界面活性剤の含有量を算出した。
【0176】
(重合体粒子の単位表面積あたりにおける界面活性剤の含有量)(g/m
2)=(重合体粒子中の界面活性剤の含有量)(g/重合体粒子1gあたり)
÷重合体粒子の比表面積(m
2/重合体粒子1gあたり)
【0177】
〔重合体粒子中の副生成物(乳化重合生成物)の含有量の測定方法(溶剤分散法)〕
重合体粒子を水中に分散させ遠心分離すると、目的とする粒子径を有する重合体粒子は沈降する一方、重合体粒子中に含有される副生成物(乳化重合生成物)は、浮遊して少量の水と共に上澄み液を構成する。そこで、ここでは、重合体粒子中におけるシード重合の副生成物(乳化重合生成物)の含有量を、上澄み液中における非揮発成分の含有量として測定する。
【0178】
[上澄み液の作製]
まず、各実施例及び各比較例で得られた重合体粒子5.0gを内容量50mlのサンプル瓶に入れ、水15.0gを添加する。その後、超音波洗浄器(株式会社ヴェルヴォクリーア製「ULTRASONIC CLEANER VS−150」、発振周波数:50Hz、高周波出力:150W)を用いて60分間分散処理を行うことにより重合体粒子を水中に分散させて、分散液を得る。なお、重合体粒子が水に分散しにくい場合には、重合体粒子を微量(上限0.8g)のアルコール(例えばエタノール)で湿潤させた後、水に分散させてもよい。
【0179】
次に、内径24mmの遠心管、例えば内容量50mLで内径24mmの遠心管(Thermo Fisher Scientific社製、商品名「ナルゲン(登録商標)3119−0050」)に上記分散液を20.0g入れ、その遠心管をローター、例えばアングルローター(型番「RR24A」、日立工機株式会社製、内容量50mLの遠心管が8本セットされるもの)にセットし、遠心分離機、例えば高速冷却遠心機(high−Speed refrigerated centrifuge)(型番「CR22GII」、日立工機株式会社製)に前記のローターをセットし、前記高速冷却遠心機を用いてKファクタ6943(前記アングルローターを使用した場合、回転数4800rpmのときにKファクタが6943となる)、回転時間30分間の条件で遠心分離した後、上澄み液を回収する。
【0180】
[副生成物(乳化重合生成物)の定量評価]
次に、回収した上澄み液5.0g中に含まれる副生成物(乳化重合生成物)の含有量を評価する。すなわち、まず、予め重量を計量した内容量10mlのサンプル瓶に、上澄み液5.0gを秤り取り、温度60℃の真空オーブンに5時間入れて水分を蒸発させる。蒸発乾固した残留物、すなわち非揮発成分を含むサンプル瓶の重量(g)を計量する。
【0181】
そして、非揮発成分を含むサンプル瓶の重量(g)と、サンプル瓶の重量(g)と、サンプル瓶に入れた上澄み液の重量(g)(=5.0g)とから、以下の算出式によって、上澄み液中における非揮発成分(副生成物(乳化重合生成物)に相当)の濃度(重量%)を算出する。
【0182】
(上澄み液中における非揮発成分の濃度)(重量%)
={(非揮発成分を含むサンプル瓶の重量)(g)
−(サンプル瓶の重量)(g)}
÷(サンプル瓶に入れた上澄み液の重量)(g)×100
【0183】
〔重合体粒子のゲル分率の測定方法〕
重合体粒子のゲル分率は、重合体粒子の架橋度を示すものであり、以下の方法で測定される。すなわち、まず、200mLナスフラスコに、試料としての重合体粒子1.0gと、沸騰石0.03gとを精秤して投入し、更にトルエン100mLを注加した後、前記ナスフラスコに冷却管を装着し、130℃に保ったオイルバスに前記ナスフラスコを浸けて24時間還流する。
【0184】
還流後、前記ナスフラスコ内の内容物(溶解液)を、ADVANTEC社製のガラスファイバーフィルター「GB−140(φ37mm)」及び「GA−200(φ37mm)」を装着して秤量したTOP社製のブフナーロート型フィルター3G(硝子粒子細孔直径20〜30μm、容量30mL)を用いて濾過し、前記ブフナーロート型フィルター3G内に固形分を回収する。そして、前記ブフナーロート型フィルター3G内に回収した固形分を、前記ブフナーロート型フィルター3Gごと、130℃の真空オーブンにて1時間乾燥させた後、ゲージ圧0.06MPaで2時間乾燥させてトルエンを除去し、室温まで冷却する。
【0185】
冷却後、前記ブフナーロート型フィルター3G内に前記固形分を含んだ状態で、ブフナーロート型フィルター3Gとガラスファイバーフィルターと固形分の総重量を測定する。そして、測定した総重量から、ブフナーロート型フィルター3Gとガラスファイバーフィルターの重量および沸騰石の重量を差し引きし、乾燥粉体の重量(g)を求める。
【0186】
そして、乾燥粉体の重量(g)と、ナスフラスコに投入した試料の重量(g)とを用いて、以下の算出式により、ゲル分率を算出する。
ゲル分率(重量%)={乾燥粉体(g)/試料重量(g)}×100
【0187】
〔重合体粒子の屈折率の測定方法〕
重合体粒子の屈折率測定はベッケ法により行った。まず、スライドガラス上に重合体粒子を載せ、屈折液(CARGILLE社製:カーギル標準屈折液、屈折率nD25が1.538〜1.562の屈折液を、屈折率差0.002刻みで複数準備)を滴下する。そして、重合体粒子と屈折液をよく混ぜた後、下から岩崎電気株式会社製高圧ナトリウムランプ「NX35」(中心波長589nm)の光を照射しながら、上部から光学顕微鏡により重合体粒子の輪郭を観察した。そして、輪郭が見えない場合を、屈折液と重合体粒子の屈折率が等しいと判断した。
【0188】
なお、光学顕微鏡による観察は、重合体粒子の輪郭が確認できる倍率での観察であれば特に問題ないが、粒子径5μmの重合体粒子であれば500倍程度の観察倍率が適当である。上記操作により、重合体粒子と屈折液の屈折率が近いほど重合体粒子の輪郭が見えにくくなることから、重合体粒子の輪郭が判りにくい屈折液の屈折率をその重合体粒子の屈折率と等しいと判断した。
【0189】
また、屈折率差が0.002の2種類の屈折液の間で重合体粒子の見え方に違いがない場合は、これら2種類の屈折液の中間の値を当該重合体粒子の屈折率と判断した。例えば、屈折率1.554と1.556の屈折液それぞれで試験をしたときに、両屈折液で重合体粒子の見え方に違いがない場合は、これら屈折液の中間値1.555を重合体粒子の屈折率と判定した。
【0190】
なお、上記の測定においては試験室気温23℃〜27℃の環境下で測定を実施した。
【0191】
〔高SP値有機溶剤中への重合体粒子の分散性の評価方法(溶剤分散法)〕
専用のプラスティック容器に、重合体粒子0.05gと、高SP値有機溶剤としてのイソプロピルアルコール5.0gとを秤り取り、撹拌脱泡機(製品名「あわとり練太郎AR−100」、株式会社シンキー社製)を用いて5分間撹拌し、重合体粒子分散液を得る。
【0192】
その後、スライドガラス上に重合体粒子分散液を1滴たらし、カバーガラスを被せてデジタルマイクロスコープ(型番「VHX−500」、株式会社キーエンス製)により倍率1000倍、視野300μm×300μmで観察した。そして、以下の評価基準により高SP値有機溶剤中への分散性を評価した。
【0193】
<評価基準>
◎:重合体粒子が凝集せず極めて均一に分散している(重合体粒子が5個以上集まって凝集している凝集体が3箇所未満;高SP値有機溶剤中への分散性が非常に良い)
○:重合体粒子が凝集せず均一に分散している(重合体粒子が5個以上集まって凝集している凝集体が3箇所以上5箇所以下;高SP値有機溶剤中への分散性が良い)
△:重合体粒子の一部が凝集している(重合体粒子が5個以上集まって凝集している凝集体が6箇所以上15箇所以下;高SP値有機溶剤中への分散性がやや悪い)
×:重合体粒子が凝集している(重合体粒子が5個以上集まって凝集している凝集体が16箇所以上;高SP値有機溶剤中への分散性が悪い)
【0194】
〔液温25℃の洗浄液に対する1種の他の界面活性剤の溶解度の測定方法〕
溶媒への液体溶質の溶解度は、液体溶質を溶媒に溶解させてなる溶液の「曇度」や「白濁度」で判定することが一般的であるため、ここでは、液温25℃の洗浄液に対する1種の他の界面活性剤の溶解度(D)の測定を、1種の他の界面活性剤を洗浄液に溶解させてなる液温25℃の溶液の「透過率」を測定することによって行った。なお、液体溶質の一部が溶媒に溶解せずに析出することにより、透明液体(溶液)への白濁が発生し、溶液の透過率の低下が起こる。
【0195】
液温25℃の洗浄液としての純水に対する1種の他の界面活性剤の溶解度(D)の測定の手順を、以下に記載する。
1)まず、専用セルに4mlの純水を入れ、波長380nmでの純水の透過率T
waterを測定する。
2)次いで、室温雰囲気下(25℃)で、1種の他の界面活性剤Xgを純水100gに溶解させることにより調整液を作製し、調整液を専用セルに4ml注液して、波長380nmでの調整液の透過率T
Sを測定する。
3)次いで、純水の透過率に対する調整液の相対透過率Tを以下の式により算出する。
T=(T
s)÷(T
water)
【0196】
そして、Xを繰り返し変更しながら、調整液の相対透過率Tを算出し、次式
T=(T
s)÷(T
water)=0.98
が成り立つXの値を、1種の他の界面活性剤の溶解度S
0(g/4ml)として求める。そして、この溶解度S
0(g/4ml)を、次式
D=S
0×100/4
により、1種の他の界面活性剤の溶解度D(g/100ml)に換算する。なお、透過率T
water及び透過率T
Sの測定は、紫外線可視光分光光度計(UV−VISIBLE SPECTROPHOTOMETER)(型番:UV−2450、株式会社島津製作所製)を用いて行う。
【0197】
〔種粒子の製造例1〕
攪拌機、温度計及び還流コンデンサーを備えたセパラブルフラスコに、水性媒体としての水1250gと、(メタ)アクリル酸エステル系単量体としてのメタクリル酸メチル64gと、分子量調整剤としてのn−オクチルメルカプタン0.64gとを仕込み、セパラブルフラスコの内容物を攪拌しながらセパラブルフラスコの内部を窒素置換し、セパラブルフラスコの内温を70℃に昇温した。さらにセパラブルフラスコの内温を70℃に保ちながら、重合開始剤としての過硫酸カリウム0.32gを水50gに溶解させた水溶液を、セパラブルフラスコ内の内容物に添加した後、5時間重合反応させた。
【0198】
その後、新たにメタクリル酸メチル256gと、分子量調整剤としてn−オクチルメルカプタン2.56gとを仕込み、重合反応液中に投入後、再度セパラブルフラスコの内部を窒素置換し、セパラブルフラスコの内温を70℃に昇温した。セパラブルフラスコの内温を70℃に保ちながら、重合開始剤としての過硫酸カリウム1.28gを水50gに溶解させた水溶液を、セパラブルフラスコ内の内容物に添加した後、12時間重合反応させた。
【0199】
重合後の反応液を400メッシュ(目開き32μm)の金網で濾過し、固形分としてポリメタクリル酸メチルからなる種粒子(種粒子(1)という)を20重量%含有するスラリーを作製した。このスラリーに含まれる種粒子(1)は、体積平均粒子径が0.54μmの真球状粒子であった。
【0200】
〔種粒子の製造例2〕
攪拌機、温度計及び還流コンデンサーを備えたセパラブルフラスコに、水性媒体としての水1450gと、(メタ)アクリル酸エステル系単量体としてのメタクリル酸メチル250gと、分子量調整剤としてのn−オクチルメルカプタン2.5gとを仕込み、セパラブルフラスコの内容物を攪拌しながらセパラブルフラスコの内部を窒素置換し、セパラブルフラスコの内温を70℃に昇温した。さらにセパラブルフラスコの内温を70℃に保ちながら、重合開始剤としての過硫酸カリウム1.25gを水50gに溶解させた水溶液を、セパラブルフラスコ内の内容物に添加した後、12時間重合反応させた。
【0201】
重合後の反応液を400メッシュ(目開き32μm)の金網で濾過し、固形分としてポリメタクリル酸メチルからなる種粒子(種粒子(2)という)を14重量%含有するスラリーを作製した。このスラリーに含まれる種粒子(2)は、体積平均粒子径が0.42μmの真球状粒子であった。
【0202】
〔種粒子の製造例3〕
攪拌機及び温度計を備えた5Lの反応器に、水性媒体としての水3300gと、(メタ)アクリル酸エステル系単量体としてのメタクリル酸メチル360gと、分子量調整剤としてのn−オクチルメルカプタン3.6gとを仕込み、種粒子の製造例2で製造した種粒子(2)のスラリーを、固形分(種粒子)として35.0gとなるように加え、内容物を攪拌しながら内部を窒素置換し、反応器の内温を70℃に昇温した。さらに反応器の内温を70℃に保ちながら、重合開始剤としての過硫酸カリウム1.8gを水60gに溶解させた水溶液を、反応器内の内容物に添加した後、12時間重合反応させた。
【0203】
重合後の反応液を400メッシュ(目開き32μm)の金網で濾過し、固形分としてポリメタクリル酸メチルからなる種粒子(以下、種粒子(3)という)を10重量%含有するスラリーを作製した。このスラリーに含まれる種粒子(3)は、体積平均粒子径が1.02μmの真球状粒子であった。
【0204】
〔実施例1:重合体粒子の製造例〕
(1)重合工程
(メタ)アクリル酸エステル系単量体としてのメタクリル酸メチル(MMA)400gと、スチレン系単量体としてのスチレン(St)300gと、多官能ビニル系単量体としてのエチレングリコールジメタクリレート(EGDMA)300gとに、重合開始剤としての過酸化ベンゾイル6gを溶解して得られた単量体混合物を、水性媒体としてのイオン交換水1000gにポリオキシエチレン鎖を有しないアニオン性界面活性剤(他の界面活性剤)としてのジ(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウム(日油株式会社製、製品名「ラピゾール(登録商標)A−80」、液温25℃の水に対する溶解度;1.5g/100ml)を純分として10g添加したものと混合し、ホモミキサー(プライミクス株式会社製の「T.K.ホモミキサーMARKII 2.5型」)に入れて回転数10000rpmで10分間処理して乳化液を得た。この乳化液に、種粒子の製造例1で得られた種粒子(1)のスラリーを、固形分(種粒子)として9.6gとなるように加え、30℃で5時間撹拌し、分散液を得た。
【0205】
この分散液に、ポリオキシエチレン鎖を有するアニオン性界面活性剤としてのポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルリン酸ナトリウム(東邦化学株式会社製、製品名「フォスファノール(登録商標)LO−529」)を純分として10gと、重合禁止剤としての亜硝酸ナトリウム0.60gとを溶解させた水溶液2000gを加え、その後80℃で5時間、次いで105℃で3時間攪拌して重合反応を行い、重合体粒子のスラリー(以下、スラリー(1)という)を、粗生成物として得た。
【0206】
(2)固液分離工程
図1に示す構成を有する加圧濾過器1の耐圧容器2に、粗生成物Pとして重合体粒子のスラリー(1)を投入して、耐圧容器2内の濾材3としての濾布(敷島カンバス株式会社製の「T713」)上に重合体粒子のスラリー(1)を充填した後、圧縮気体供給機によって耐圧容器2内における濾材3の上側空間Sに圧縮気体を供給することによって耐圧容器2の内部(具体的には、濾材3の上側空間S)を、0.15MPaに加圧した。これにより、粗生成物Pとしての重合体粒子のスラリー(1)を加圧濾過・脱水して、重合体粒子のスラリー(1)から水性媒体としての水を濾液として除去した。濾液の量が2.10kg(重合工程で使用した水の重量の70%)以上となり、かつ耐圧容器2の内圧が0.10MPa(加圧時の圧力の2/3)以下となった時点で、加圧を終了した。これにより、濾材3上に重合体粒子のケーキが得られた。
【0207】
なお、本実施例で使用した加圧濾過器1の濾材3(濾布)と被濾過物(すなわち、粗生成物P)との界面は、円形状であり、その直径は、耐圧容器2の内部空間の底面の径(
図1の符号Rで示す径)と同じ、0.115mである。よって、本実施例で使用した加圧濾過器1の濾材3(濾布)と被濾過物(すなわち、粗生成物P)との界面の面積Aは、0.0104m
2である。
【0208】
なお、本実施例の固液分離工程で得られた濾液(媒体)の総重量G
1は2.24kgであり、粗生成物Pに含まれる媒体(水)を濾材3に通過させることを開始してから、前記媒体の濾材3の通過を終了させるまでの時間T
1は45.0分であった。したがって、固液分離工程において濾材を通過した媒体の単位時間当たりの量Xは、0.0498kg/minであった。
【0209】
(3)洗浄工程
濾材3上に上記重合体粒子のケーキを保持させたままで、洗浄液としての60℃の水(他の実施例及び比較例における洗浄工程でも60℃の水を使用した)を耐圧容器2内の濾材3上に供給した後、圧縮気体供給機によって耐圧容器2内における濾材3の上側空間Sに圧縮気体を供給することによって耐圧容器2の内部(具体的には、濾材3の上側空間S)を、0.10MPaに加圧した。これにより、加圧濾過・脱水が行われて、上記重合体粒子のケーキが洗浄されると共に、洗浄後の水が濾液として除去され、濾材3上に洗浄後の重合体粒子が得られた。洗浄は、重合工程で得られた重合体粒子(重合工程で使用したビニル系単量体の合計量1000g)の重量の10倍以上の重量の洗浄液を用い、濾液の導電率が、洗浄前の水の導電率の2.0倍以下(具体的には、15μS以下)となり、かつ耐圧容器2の内圧が0.066MPa(加圧時の圧力の2/3)以下となるまで行った。
【0210】
なお、上記重合工程で使用した1種類の他の界面活性剤について前記の算出式(4)及び(5)により算出した洗浄液の重量の下限値B
L(kg)及び上限値B
H(kg)は、以下の通りであった。
【0211】
B
L=(10(g)÷1.5(g/100ml))×1.8=12.0(kg)
B
H=(10(g)÷1.5(g/100ml))×2.3=15.3(kg)
本実施例の洗浄工程で用いた洗浄液としての水の重量G
2は13.0kg(重合工程で得られた重合体粒子の13.0倍の重量)であり、前記下限値B
L以上、前記上限値B
H以下の範囲内の重量であった。
【0212】
また、本実施例の洗浄工程において、洗浄液を濾材3に通過させることを開始してから、10.4kg(洗浄工程で用いた洗浄液としての水の重量G
2の0.8倍の重量)の洗浄液が濾材3を通過するまでに費やした時間T
2(min)は、140.5分であった。したがって、洗浄工程において濾材を通過した媒体の単位時間当たりの量Yは、0.0740kg/minであった。
【0213】
(4)後処理工程
[乾燥工程]
洗浄工程により得られた洗浄後の重合体粒子を、真空乾燥機(解砕乾燥機)を用いて、以下の乾燥条件で、カールフィッシャー法で測定した重合体粒子の水分値が1.0重量%未満となるまで乾燥させた。
(乾燥条件)
真空度:−0.1〜−0.3MPa
温度:50〜60℃
【0214】
[分級工程(粗大粒子除去)]
乾燥工程により得られた乾燥後の重合体粒子を気流分級機(日清エンジニアリング株式会社製の「ターボクラシファイア(登録商標)TC−15」)を用いて、目的とする重合体粒子の粒子径の2.5倍以上の粒子径を有する粒子が除去されるように分級し、目的の重合体粒子を得た。
【0215】
(ポリオキシエチレン鎖を有する界面活性剤の、重合体粒子表面への修飾の確認)
実施例1の重合体粒子について、前述した界面活性剤の含有量の測定方法(超音波抽出時間15分間)によりポリオキシエチレン鎖を有するアニオン性界面活性剤としてのポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルリン酸ナトリウムの含有量を測定したところ、0.79重量%であった。
【0216】
この測定結果のみでは、ポリオキシエチレン鎖を有する界面活性剤が重合体粒子内部に取り込まれている可能性が否定的できない。そこで、重合体粒子をメタノールに浸漬させて抽出し、抽出成分に含まれるポリオキシエチレン鎖を有する界面活性剤の量の経時的な変化を観察した。抽出時間が短い(15分間〜30分間)場合には、抽出成分は、概ね重合体粒子表面から抽出される成分のみからなり、抽出時間が長くなるにつれて、抽出成分に含まれる重合体粒子内部から抽出された成分の割合が増加するものと考えられる。
【0217】
実施例1の重合体粒子について、超音波抽出時間を30分間、12時間、24時間にそれぞれ変更したこと以外は、前述した界面活性剤の含有量の測定方法と同様にして、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルリン酸ナトリウムの含有量(抽出成分に含まれるポリオキシエチレン鎖を有する界面活性剤の量)を測定したところ、それぞれ、0.79重量%、0.80重量%、0.80重量%であった。
【0218】
また、実施例1の重合体粒子について、抽出液としてメタノールに代えて水を使用し、超音波抽出時間を30分間、12時間、24時間にそれぞれ変更したこと以外は、前述した界面活性剤の含有量の測定方法と同様にして、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルリン酸ナトリウムの含有量(抽出成分に含まれるポリオキシエチレン鎖を有する界面活性剤の量)を測定したところ、それぞれ、0.003重量%、0.004重量%、0.004重量%であった。これらの測定結果を表1にまとめて示す。
【0219】
【表1】
【0220】
表1の結果から分かるように、抽出液としてメタノール及び水の何れを用いた場合についても、抽出時間が30分間→12時間→24時間となるまで観察しても、抽出成分に含まれるポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルリン酸ナトリウムの量の顕著な増加が確認されなかった。このことから、重合体粒子内部からのポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルリン酸ナトリウムの抽出はない(ごく僅か)、即ち、ポリオキシエチレン鎖を有する界面活性剤が重合体粒子内部への取り込みはないものと判断された。
【0221】
(副生成物(乳化重合生成物)の確認)
実施例1で得られた重合反応直後の重合体粒子のSEM像を
図2に示し、実施例1の固液分離工程及び洗浄工程の後に得られた重合体粒子のSEM像を
図3に示す。
図2より、副生成物(乳化重合生成物)である粒子径100〜200nm程度の粒子が重合体粒子表面に付着していることが確認された。
図3より、副生成物(乳化重合生成物)が重合体粒子表面にほとんど付着していない(ごく僅か付着している)ことが確認された。
【0222】
〔実施例2:重合体粒子の製造例〕
ポリオキシエチレン鎖を有しないアニオン性界面活性剤(他の界面活性剤)として、ジ(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウムを純分として10gに代えてラウリル硫酸ナトリウム(花王株式会社製、製品名「エマール(登録商標)2FG」、液温25℃の水に対する溶解度;10g/100ml)を純分として50g使用し、固液分離工程で得られる濾液(媒体)の総重量G
1が2.30kgとなり、粗生成物Pに含まれる媒体(水)を濾材3に通過させることを開始してから前記媒体の濾材3の通過を終了させるまでの時間T
1が50.0分となるように固液分離工程の条件を変更し、洗浄工程で用いる洗浄液としての水の重量G
2を10.5kg(重合工程で得られた重合体粒子の10.5倍の重量)に変更し、洗浄液を濾材3に通過させることを開始してから8.4kg(洗浄工程で用いた洗浄液としての水の重量G
2の0.8倍の重量)の洗浄液が濾材3を通過するまでに費やす時間T
2(min)が150.2分となるように洗浄工程の条件を変更したこと以外は、実施例1と同様にして、目的の重合体粒子を得た。
【0223】
固液分離工程において濾材を通過した媒体の単位時間当たりの量Xは0.0460kg/minであり、洗浄工程において濾材を通過した媒体の単位時間当たりの量Yは0.0559kg/minであった。
【0224】
また、上記重合工程で使用した1種類の他の界面活性剤について前記の算出式(4)及び(5)により算出した洗浄液の重量の下限値B
L(kg)及び上限値B
H(kg)は、以下の通りであった。
【0225】
B
L=(50(g)÷10(g/100ml)×1.8=9.0(kg)
B
H=(50(g)÷10(g/100ml))×2.3=11.5(kg)
本実施例の洗浄工程で用いた洗浄液としての水の重量G
2は10.5kg(重合工程で得られた重合体粒子の10.5倍の重量)であり、前記下限値B
L以上、前記上限値B
H以下の範囲内の重量であった。
【0226】
〔実施例3:重合体粒子の製造例〕
ポリオキシエチレン鎖を有しないアニオン性界面活性剤(他の界面活性剤)として、ジ(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウムを純分として純分10gに代えてアルケニルコハク酸ジカリウム(花王株式会社製、製品名「ラテムル(登録商標)ASK」、液温25℃の水に対する溶解度;1.7g/100ml)を純分として10g使用したこと以外は、実施例1と同様にして、目的の重合体粒子を得た。
【0227】
なお、本実施例の固液分離工程で得られた濾液(媒体)の総重量G
1は2.30kgであり、粗生成物Pに含まれる媒体(水)を濾材3に通過させることを開始してから、前記媒体の濾材3の通過を終了させるまでの時間T
1は40.9分であった。したがって、固液分離工程において濾材を通過した媒体の単位時間当たりの量Xは、0.0562kg/minであった。
【0228】
また、上記重合工程で使用した1種類の他の界面活性剤について前記の算出式(4)及び(5)により算出した洗浄液の重量の下限値B
L(kg)及び上限値B
H(kg)は、以下の通りであった。
【0229】
B
L=(10(g)÷1.7(g/100ml)×1.8=10.6(kg)
B
H=(10(g)÷1.7(g/100ml))×2.3=13.5(kg)
本実施例の洗浄工程で用いた洗浄液としての水の重量G
2は13.0kg(重合工程で得られた重合体粒子の13.0倍の重量)であり、前記下限値B
L以上、前記上限値B
H以下の範囲内の重量であった。
【0230】
また、本実施例の洗浄工程において、洗浄液を濾材3に通過させることを開始してから、10.4kg(洗浄工程で用いた洗浄液としての水の重量G
2の0.8倍の重量)の洗浄液が濾材3を通過するまでに費やした時間T
2(min)は、132.0分であった。したがって、洗浄工程において濾材を通過した媒体の単位時間当たりの量Yは、0.0788kg/minであった。
【0231】
〔実施例4:重合体粒子の製造例〕
ポリオキシエチレン鎖を有するアニオン性界面活性剤として、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルリン酸ナトリウムを純分として10gに代えてポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル硫酸エステルアンモニウム(第一工業製薬株式会社製、製品名「ハイテノール(登録商標)NF−08」)を純分として10g使用し、洗浄液を濾材3に通過させることを開始してから10.4kg(洗浄工程で用いた洗浄液としての水の重量G
2の0.8倍の重量)の洗浄液が濾材3を通過するまでに費やす時間T
2(min)が129.0分となるように洗浄工程の条件を変更したこと以外は、実施例1と同様にして、目的の重合体粒子を得た。
【0232】
なお、本実施例の固液分離工程で得られた濾液(媒体)の総重量G
1は2.28kgであり、粗生成物Pに含まれる媒体(水)を濾材3に通過させることを開始してから、前記媒体の濾材3の通過を終了させるまでの時間T
1は41.0分であった。したがって、固液分離工程において濾材を通過した媒体の単位時間当たりの量Xは、0.0556kg/minであった。また、洗浄工程において濾材を通過した媒体の単位時間当たりの量Yは、0.0806kg/minであった。
【0233】
また、上記重合工程で使用した1種類の他の界面活性剤について前記の算出式(4)及び(5)により算出した洗浄液の重量の下限値B
L(kg)及び上限値B
H(kg)は、実施例1と同様である。本実施例の洗浄工程で用いた洗浄液としての水の重量G
2は13.0kg(重合工程で得られた重合体粒子の13.0倍の重量)であり、前記下限値B
L(=12.0(kg))以上、前記上限値B
H(=15.3(kg))以下の範囲内の重量であった。
【0234】
〔実施例5:重合体粒子の製造例〕
ポリオキシエチレン鎖を有するアニオン性界面活性剤として、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルリン酸ナトリウムを純分として10gに代えてポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテルリン酸エステル(第一工業製薬株式会社製、製品名「プライサーフ(登録商標)AL」)を純分として10g使用し、固液分離工程で得られる濾液(媒体)の総重量G
1が2.25kgとなり、粗生成物Pに含まれる媒体(水)を濾材3に通過させることを開始してから前記媒体の濾材3の通過を終了させるまでの時間T
1が40.8分となるように固液分離工程の条件を変更し、洗浄液を濾材3に通過させることを開始してから10.4kg(洗浄工程で用いた洗浄液としての水の重量G
2の0.8倍の重量)の洗浄液が濾材3を通過するまでに費やす時間T
2(min)が133.5分となるように洗浄工程の条件を変更したこと以外は、実施例1と同様にして、目的の重合体粒子を得た。
【0235】
固液分離工程において濾材を通過した媒体の単位時間当たりの量Xは、0.0551kg/minであった。洗浄工程において濾材を通過した媒体の単位時間当たりの量Yは、0.0779kg/minであった。
【0236】
また、上記重合工程で使用した1種類の他の界面活性剤について前記の算出式(4)及び(5)により算出した洗浄液の重量の下限値B
L(kg)及び上限値B
H(kg)は、実施例1と同様である。本実施例の洗浄工程で用いた洗浄液としての水の重量G
2は13.0kg(重合工程で得られた重合体粒子の13.0倍の重量)であり、前記下限値B
L(=12.0(kg))以上、前記上限値B
H(=15.3(kg))以下の範囲内の重量であった。
【0237】
〔実施例6:重合体粒子の製造例〕
重合工程において乳化液を得るために使用する界面活性剤として、ジ(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウムを純分として純分10gに代えて、ポリオキシエチレン鎖を有するアニオン性界面活性剤としてのポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルリン酸ナトリウム(東邦化学株式会社製、製品名「フォスファノール(登録商標)LO−529」)を純分として20g使用したこと、重合工程において分散液に対してポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルリン酸ナトリウムを添加しなかった(分散液に加える水溶液として、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルリン酸ナトリウムを純分として10gと亜硝酸ナトリウム0.60gとを溶解させた水溶液2000gに代えて、亜硝酸ナトリウム0.60gを溶解させた水溶液2000gを使用した)こと、及び、本実施例の洗浄工程で用いた洗浄液としての水の重量G
2を10.0kg(重合工程で得られた重合体粒子の10.0倍の重量)に変更し、洗浄液を濾材3に通過させることを開始してから8.0kg(洗浄工程で用いた洗浄液としての水の重量G
2の0.8倍の重量)の洗浄液が濾材3を通過するまでに費やす時間T
2(min)が100.6分となるように洗浄工程の条件を変更したこと以外は、実施例1と同様にして、目的の重合体粒子を得た。
【0238】
なお、本実施例の固液分離工程で得られた濾液(媒体)の総重量G
1は2.29kgであり、粗生成物Pに含まれる媒体(水)を濾材3に通過させることを開始してから、前記媒体の濾材3の通過を終了させるまでの時間T
1は43.0分であった。したがって、固液分離工程において濾材を通過した媒体の単位時間当たりの量Xは、0.0533kg/minであった。また、洗浄工程において濾材を通過した媒体の単位時間当たりの量Yは、0.0795kg/minであった。
【0239】
〔実施例7:重合体粒子の製造例〕
スチレン(St)を使用せず、メタクリル酸メチル(MMA)の使用量を700gに変更し、洗浄液を濾材3に通過させることを開始してから10.4kg(洗浄工程で用いた洗浄液としての水の重量G
2の0.8倍の重量)の洗浄液が濾材3を通過するまでに費やす時間T
2(min)が143.8分となるように洗浄工程の条件を変更したこと以外は、実施例1と同様にして、目的の重合体粒子を得た。
【0240】
なお、本実施例の固液分離工程で得られた濾液(媒体)の総重量G
1は2.31kgであり、粗生成物Pに含まれる媒体(水)を濾材3に通過させることを開始してから、前記媒体の濾材3の通過を終了させるまでの時間T
1は43.2分であった。したがって、固液分離工程において濾材を通過した媒体の単位時間当たりの量Xは、0.0535kg/minであった。また、洗浄工程において濾材を通過した媒体の単位時間当たりの量Yは、0.0723kg/minであった。
【0241】
また、上記重合工程で使用した1種類の他の界面活性剤について前記の算出式(4)及び(5)により算出した洗浄液の重量の下限値B
L(kg)及び上限値B
H(kg)は、実施例1と同様である。本実施例の洗浄工程で用いた洗浄液としての水の重量G
2は13.0kg(重合工程で得られた重合体粒子の13.0倍の重量)であり、前記下限値B
L(=12.0(kg))以上、前記上限値B
H(=15.3(kg))以下の範囲内の重量であった。
【0242】
〔実施例8:重合体粒子の製造例〕
メタクリル酸メチル(MMA)を使用せず、スチレン(St)の使用量を900gに変更し、エチレングリコールジメタクリレート(EGDMA)の使用量を100gに変更し、洗浄液を濾材3に通過させることを開始してから10.4kg(洗浄工程で用いた洗浄液としての水の重量G
2の0.8倍の重量)の洗浄液が濾材3を通過するまでに費やす時間T
2(min)が137.5分となるように洗浄工程の条件を変更したこと以外は、実施例1と同様にして、目的の重合体粒子を得た。
【0243】
なお、本実施例の固液分離工程で得られた濾液(媒体)の総重量G
1は2.30kgであり、粗生成物Pに含まれる媒体(水)を濾材3に通過させることを開始してから、前記媒体の濾材3の通過を終了させるまでの時間T
1は44.0分であった。したがって、固液分離工程において濾材を通過した媒体の単位時間当たりの量Xは、0.0523kg/minであった。また、洗浄工程において濾材を通過した媒体の単位時間当たりの量Yは、0.0756kg/minであった。
【0244】
また、上記重合工程で使用した1種類の他の界面活性剤について前記の算出式(4)及び(5)により算出した洗浄液の重量の下限値B
L(kg)及び上限値B
H(kg)は、実施例1と同様である。本実施例の洗浄工程で用いた洗浄液としての水の重量G
2は13.0kg(重合工程で得られた重合体粒子の13.0倍の重量)であり、前記下限値B
L(=12.0(kg))以上、前記上限値B
H(=15.3(kg))以下の範囲内の重量であった。
【0245】
〔実施例9:重合体粒子の製造例〕
種粒子(1)のスラリーを固形分(種粒子)として9.6gとなるように加えるのに代えて、種粒子の製造例3で得られた種粒子(3)のスラリーを固形分(種粒子)として4.7gとなるように加え、洗浄液を濾材3に通過させることを開始してから10.4kg(洗浄工程で用いた洗浄液としての水の重量G
2の0.8倍の重量)の洗浄液が濾材3を通過するまでに費やす時間T
2(min)が130.0分となるように洗浄工程の条件を変更したこと以外は、実施例1と同様にして、目的の重合体粒子を得た。
【0246】
なお、本実施例の固液分離工程で得られた濾液(媒体)の総重量G
1は2.45kgであり、粗生成物Pに含まれる媒体(水)を濾材3に通過させることを開始してから、前記媒体の濾材3の通過を終了させるまでの時間T
1は45.0分であった。したがって、固液分離工程において濾材を通過した媒体の単位時間当たりの量Xは、0.0544kg/minであった。また、洗浄工程において濾材を通過した媒体の単位時間当たりの量Yは、0.0800kg/minであった。
【0247】
また、上記重合工程で使用した1種類の他の界面活性剤について前記の算出式(4)及び(5)により算出した洗浄液の重量の下限値B
L(kg)及び上限値B
H(kg)は、実施例1と同様である。本実施例の洗浄工程で用いた洗浄液としての水の重量G
2は13.0kg(重合工程で得られた重合体粒子の13.0倍の重量)であり、前記下限値B
L(=12.0(kg))以上、前記上限値B
H(=15.3(kg))以下の範囲内の重量であった。
【0248】
〔比較例1:重合体粒子の製造例〕
固液分離工程で得られる濾液(媒体)の総重量G
1が2.33kgとなり、粗生成物Pに含まれる媒体(水)を濾材3に通過させることを開始してから前記媒体の濾材3の通過を終了させるまでの時間T
1が47.5分となるように固液分離工程の条件を変更し、洗浄工程を省略した(洗浄工程で用いた洗浄液としての水の重量G
2を0とした)こと以外は、実施例1と同様にして、目的の重合体粒子を得た。固液分離工程において濾材を通過した媒体の単位時間当たりの量Xは、0.0491kg/minであった。
【0249】
〔比較例2:重合体粒子の製造例〕
固液分離工程で得られる濾液(媒体)の総重量G
1が2.41kgとなり、粗生成物Pに含まれる媒体(水)を濾材3に通過させることを開始してから前記媒体の濾材3の通過を終了させるまでの時間T
1が45.0分となるように固液分離工程の条件を変更し、洗浄工程で用いる洗浄液としての水の重量G
2を5.0kg(重合工程で得られた重合体粒子の5.0倍の重量)に変更し、洗浄液を濾材3に通過させることを開始してから、4.0kg(洗浄工程で用いた洗浄液としての水の重量G
2の0.8倍の重量)の洗浄液が濾材3を通過するまでに費やす時間T
2(min)が48.6分となるように洗浄工程の条件を変更したこと以外は、実施例1と同様にして、目的の重合体粒子を得た。
【0250】
固液分離工程において濾材を通過した媒体の単位時間当たりの量Xは0.0536kg/minであり、洗浄工程において濾材を通過した媒体の単位時間当たりの量Yは0.0823kg/minであった。
【0251】
〔比較例3:重合体粒子の製造例〕
固液分離工程で得られる濾液(媒体)の総重量G
1が2.39kgとなり、粗生成物Pに含まれる媒体(水)を濾材3に通過させることを開始してから前記媒体の濾材3の通過を終了させるまでの時間T
1が47.7分となるように固液分離工程の条件を変更し、洗浄工程で用いる洗浄液としての水の重量G
2を5.0kg(重合工程で得られた重合体粒子の5.0倍の重量)に変更し、洗浄液を濾材3に通過させることを開始してから、4.0kg(洗浄工程で用いた洗浄液としての水の重量G
2の0.8倍の重量)の洗浄液が濾材3を通過するまでに費やす時間T
2(min)が55.2分となるように洗浄工程の条件を変更したこと以外は、実施例4と同様にして、目的の重合体粒子を得た。
【0252】
固液分離工程において濾材を通過した媒体の単位時間当たりの量Xは0.0501kg/minであり、洗浄工程において濾材を通過した媒体の単位時間当たりの量Yは0.0725kg/minであった。
【0253】
〔比較例4:重合体粒子の製造例〕
ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルリン酸ナトリウムを純分として10gに代えて高分子分散安定剤としてのポリビニルアルコール(PVA)(日本合成化学工業株式会社製、製品名「ゴーセノールGM−14L」)を純分として50g使用し、固液分離工程で得られる濾液(媒体)の総重量G
1が2.35kgとなり、粗生成物Pに含まれる媒体(水)を濾材3に通過させることを開始してから前記媒体の濾材3の通過を終了させるまでの時間T
1が44.8分となるように固液分離工程の条件を変更し、洗浄液を濾材3に通過させることを開始してから、10.4kg(洗浄工程で用いた洗浄液としての水の重量G
2の0.8倍の重量)の洗浄液が濾材3を通過するまでに費やす時間T
2(min)が142.9分となるように洗浄工程の条件を変更したこと以外は、実施例1と同様にして、目的の重合体粒子を得た。
【0254】
固液分離工程において濾材を通過した媒体の単位時間当たりの量Xは0.0525kg/minであり、洗浄工程において濾材を通過した媒体の単位時間当たりの量Yは0.0728kg/minであった。
【0255】
〔実施例10:重合体粒子の製造例〕
ポリオキシエチレン鎖を有するアニオン性界面活性剤としてのポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルリン酸ナトリウムを純分として10gに代えて、ポリオキシエチレン鎖を有するノニオン性界面活性剤としてのポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル(第一工業製薬株式会社製、製品名「ノイゲン(登録商標)EA−167」)を純分として10g使用し、固液分離工程で得られる濾液(媒体)の総重量G
1が2.29kgとなり、粗生成物Pに含まれる媒体(水)を濾材3に通過させることを開始してから前記媒体の濾材3の通過を終了させるまでの時間T
1が51.0分となるように固液分離工程の条件を変更したこと以外は、実施例1と同様にして、目的の重合体粒子を得た。
【0256】
固液分離工程において濾材を通過した媒体の単位時間当たりの量Xは、0.0499kg/minであった。
【0257】
また、上記重合工程で使用した1種類の他の界面活性剤について前記の算出式(4)及び(5)により算出した洗浄液の重量の下限値B
L(kg)及び上限値B
H(kg)は、実施例1と同様である。本実施例の洗浄工程で用いた洗浄液としての水の重量G
2は13.0kg(重合工程で得られた重合体粒子の13.0倍の重量)であった。
【0258】
また、本実施例の洗浄工程において、洗浄液を濾材3に通過させることを開始してから、10.4kg(洗浄工程で用いた洗浄液としての水の重量G
2の0.8倍の重量)の洗浄液が濾材3を通過するまでに費やした時間T
2(min)は、170.0分であった。したがって、洗浄工程において濾材を通過した媒体の単位時間当たりの量Yは、0.0612kg/minであった。
【0259】
〔実施例11:重合体粒子の製造例〕
ポリオキシエチレン鎖を有するアニオン性界面活性剤としてのポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルリン酸ナトリウム(東邦化学株式会社製、製品名「フォスファノール(登録商標)LO−529」)の純分としての添加量を10gから25gに変更し、固液分離工程で得られる濾液(媒体)の総重量G
1が2.35kgとなり、粗生成物Pに含まれる媒体(水)を濾材3に通過させることを開始してから前記媒体の濾材3の通過を終了させるまでの時間T
1が43.3分となるように固液分離工程の条件を変更し、洗浄液を濾材3に通過させることを開始してから10.4kg(洗浄工程で用いた洗浄液としての水の重量G
2の0.8倍の重量)の洗浄液が濾材3を通過するまでに費やす時間T
2(min)が126.8分となるように洗浄工程の条件を変更したこと以外は、実施例1と同様にして、目的の重合体粒子を得た。
【0260】
固液分離工程において濾材を通過した媒体の単位時間当たりの量Xは0.0543kg/minであり、洗浄工程において濾材を通過した媒体の単位時間当たりの量Yは0.0820kg/minであった。
【0261】
また、上記重合工程で使用した1種類の他の界面活性剤について前記の算出式(4)及び(5)により算出した洗浄液の重量の下限値B
L(kg)及び上限値B
H(kg)は、実施例1と同様である。本実施例の洗浄工程で用いた洗浄液としての水の重量G
2は13.0kg(重合工程で得られた重合体粒子の13.0倍の重量)であり、前記下限値B
L(=12.0(kg))以上、前記上限値B
H(=15.3(kg))以下の範囲内の重量であった。
【0262】
〔実施例12:重合体粒子の製造例〕
ポリオキシエチレン鎖を有するアニオン性界面活性剤としてのポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルリン酸ナトリウム(東邦化学株式会社製、製品名「フォスファノール(登録商標)LO−529」)の純分としての添加量を10gから5gに変更し、洗浄液を濾材3に通過させることを開始してから10.4kg(洗浄工程で用いた洗浄液としての水の重量G
2の0.8倍の重量)の洗浄液が濾材3を通過するまでに費やす時間T
2(min)が135.5分となるように洗浄工程の条件を変更したこと以外は、実施例1と同様にして、目的の重合体粒子を得た。
【0263】
なお、本実施例の固液分離工程で得られた濾液(媒体)の総重量G
1は2.32kgであり、粗生成物Pに含まれる媒体(水)を濾材3に通過させることを開始してから、前記媒体の濾材3の通過を終了させるまでの時間T
1は45.5分であった。したがって、固液分離工程において濾材を通過した媒体の単位時間当たりの量Xは、0.0510kg/minであった。また、洗浄工程において濾材を通過した媒体の単位時間当たりの量Yは、0.0768kg/minであった。
【0264】
また、上記重合工程で使用した1種類の他の界面活性剤について前記の算出式(4)及び(5)により算出した洗浄液の重量の下限値B
L(kg)及び上限値B
H(kg)は、実施例1と同様である。本実施例の洗浄工程で用いた洗浄液としての水の重量G
2は13.0kg(重合工程で得られた重合体粒子の13.0倍の重量)であり、前記下限値B
L(=12.0(kg))以上、前記上限値B
H(=15.3(kg))以下の範囲内の重量であった。
【0265】
〔実施例13:重合体粒子の製造例〕
洗浄工程で用いる洗浄液としての水の重量G
2を12.1kg(重合工程で得られた重合体粒子の12.1倍の重量)に変更し、洗浄液を濾材3に通過させることを開始してから、9.68kg(洗浄工程で用いた洗浄液としての水の重量G
2の0.8倍の重量)の洗浄液が濾材3を通過するまでに費やす時間T
2(min)が110.0分となるように洗浄工程の条件を変更したこと以外は、実施例1と同様にして、目的の重合体粒子を得た。本実施例の洗浄工程において、濾材を通過した媒体の単位時間当たりの量Yは、0.0880kg/minである。
【0266】
なお、本実施例の固液分離工程で得られた濾液(媒体)の総重量G
1は2.37kgであり、粗生成物Pに含まれる媒体(水)を濾材3に通過させることを開始してから、前記媒体の濾材3の通過を終了させるまでの時間T
1は43.2分であった。したがって、固液分離工程において濾材を通過した媒体の単位時間当たりの量Xは、0.0549kg/minであった。
【0267】
また、上記重合工程で使用した1種類の他の界面活性剤について前記の算出式(4)及び(5)により算出した洗浄液の重量の下限値B
L(kg)及び上限値B
H(kg)は、実施例1と同様である。本実施例の洗浄工程で用いた洗浄液としての水の重量G
2(=12.1kg)は、前記下限値B
L(=12.0(kg))以上、前記上限値B
H(=15.3(kg))以下の範囲内の重量である。
【0268】
〔実施例14:重合体粒子の製造例〕
洗浄液を濾材3に通過させることを開始してから、10.4kg(洗浄工程で用いた洗浄液としての水の重量G
2の0.8倍の重量)の洗浄液が濾材3を通過するまでに費やす時間T
2(min)が357.4分となるように洗浄工程の条件を変更したこと以外は、実施例1と同様にして、目的の重合体粒子を得た。本実施例の洗浄工程において、洗浄工程において濾材を通過した媒体の単位時間当たりの量Yは、0.0291kg/minである。
【0269】
なお、本実施例の固液分離工程で得られた濾液(媒体)の総重量G
1は2.34kgであり、粗生成物Pに含まれる媒体(水)を濾材3に通過させることを開始してから、前記媒体の濾材3の通過を終了させるまでの時間T
1は50.2分であった。したがって、固液分離工程において濾材を通過した媒体の単位時間当たりの量Xは、0.0466kg/minであった。
【0270】
また、上記重合工程で使用した1種類の他の界面活性剤について前記の算出式(4)及び(5)により算出した洗浄液の重量の下限値B
L(kg)及び上限値B
H(kg)は、実施例1と同様である。本実施例の洗浄工程で用いた洗浄液としての水の重量G
2は13.0kg(重合工程で得られた重合体粒子の13.0倍の重量)であり、前記下限値B
L(=12.0(kg))以上、前記上限値B
H(=15.3(kg))以下の範囲内の重量であった。
【0271】
〔実施例15:重合体粒子の製造例〕
洗浄工程で用いる洗浄液としての水の重量G
2を12.0kg(重合工程で得られた重合体粒子の12.0倍の重量)に変更し、洗浄液を濾材3に通過させることを開始してから、9.60kg(洗浄工程で用いた洗浄液としての水の重量G
2の0.8倍の重量)の洗浄液が濾材3を通過するまでに費やす時間T
2(min)が109.0分となるように洗浄工程の条件を変更したこと以外は、実施例1と同様にして、目的の重合体粒子を得た。洗浄工程において濾材を通過した媒体の単位時間当たりの量Yは、0.0881kg/minである。
【0272】
なお、本実施例の固液分離工程で得られた濾液(媒体)の総重量G
1は2.30kgであり、粗生成物Pに含まれる媒体(水)を濾材3に通過させることを開始してから、前記媒体の濾材3の通過を終了させるまでの時間T
1は41.5分であった。したがって、固液分離工程において濾材を通過した媒体の単位時間当たりの量Xは、0.0554kg/minであった。
【0273】
また、上記重合工程で使用した1種類の他の界面活性剤について前記の算出式(4)及び(5)により算出した洗浄液の重量の下限値B
L(kg)及び上限値B
H(kg)は、実施例1と同様である。本実施例の洗浄工程で用いた洗浄液としての水の重量G
2(=12.0kg)は、前記下限値B
L(=12.0(kg))以上、前記上限値B
H(=15.3(kg))以下の範囲内の重量である。
【0274】
〔比較例5:重合体粒子の製造例〕
ポリオキシエチレン鎖を有するアニオン性界面活性剤としてのポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルリン酸ナトリウム(東邦化学株式会社製、製品名「フォスファノール(登録商標)LO−529」)の純分としての添加量を10gから40gに変更し、洗浄工程で用いる洗浄液としての水の重量G
2を5.0kg(重合工程で得られた重合体粒子の5.0倍の重量)に変更し、固液分離工程で得られる濾液(媒体)の総重量G
1が2.30kgとなり、粗生成物Pに含まれる媒体(水)を濾材3に通過させることを開始してから前記媒体の濾材3の通過を終了させるまでの時間T
1が42.8分となるように固液分離工程の条件を変更し、洗浄液を濾材3に通過させることを開始してから4.0kg(洗浄工程で用いた洗浄液としての水の重量G
2の0.8倍の重量)の洗浄液が濾材3を通過するまでに費やす時間T
2(min)が49.7分となるように洗浄工程の条件を変更したこと以外は、実施例1と同様にして、目的の重合体粒子を得た。
【0275】
固液分離工程において濾材を通過した媒体の単位時間当たりの量Xは0.0537kg/minであり、洗浄工程において濾材を通過した媒体の単位時間当たりの量Yは0.0805kg/minであった。
【0276】
〔比較例6:重合体粒子の製造例〕
洗浄工程で用いる洗浄液としての水の重量G
2を25.0kg(重合工程で得られた重合体粒子の25.0倍の重量)に変更し、固液分離工程で得られる濾液(媒体)の総重量G
1が2.31kgとなり、粗生成物Pに含まれる媒体(水)を濾材3に通過させることを開始してから前記媒体の濾材3の通過を終了させるまでの時間T
1が54.2分となるように固液分離工程の条件を変更し、洗浄液を濾材3に通過させることを開始してから20.0kg(洗浄工程で用いた洗浄液としての水の重量G
2の0.8倍の重量)の洗浄液が濾材3を通過するまでに費やす時間T
2(min)が250.0分となるように洗浄工程の条件を変更したこと以外は、実施例1と同様にして、目的の重合体粒子を得た。
【0277】
固液分離工程において濾材を通過した媒体の単位時間当たりの量Xは0.0426kg/minであり、洗浄工程において濾材を通過した媒体の単位時間当たりの量Yは0.0800kg/minであった。
【0278】
〔比較例7:重合体粒子の製造例〕
固液分離工程で得られる濾液(媒体)の総重量G
1が2.25kgとなり、粗生成物Pに含まれる媒体(水)を濾材3に通過させることを開始してから前記媒体の濾材3の通過を終了させるまでの時間T
1が21.8分となるように固液分離工程の条件を変更し、洗浄液を濾材3に通過させることを開始してから、10.4kg(洗浄工程で用いた洗浄液としての水の重量G
2の0.8倍の重量)の洗浄液が濾材3を通過するまでに費やす時間T
2(min)が93.3分となるように洗浄工程の条件を変更したこと以外は、実施例1と同様にして、目的の重合体粒子を得た。
【0279】
固液分離工程において濾材を通過した媒体の単位時間当たりの量Xは0.1032kg/minであり、洗浄工程において濾材を通過した媒体の単位時間当たりの量Yは0.1115kg/minであった。
【0280】
〔比較例8:重合体粒子の製造例〕
固液分離工程で得られる濾液(媒体)の総重量G
1が2.25kgとなり、粗生成物Pに含まれる媒体(水)を濾材3に通過させることを開始してから前記媒体の濾材3の通過を終了させるまでの時間T
1が17.7分となるように固液分離工程の条件を変更し、洗浄液を濾材3に通過させることを開始してから10.4kg(洗浄工程で用いた洗浄液としての水の重量G
2の0.8倍の重量)の洗浄液が濾材3を通過するまでに費やす時間T
2(min)が118.3分となるように洗浄工程の条件を変更したこと以外は、実施例1と同様にして、目的の重合体粒子を得た。
【0281】
固液分離工程において濾材を通過した媒体の単位時間当たりの量Xは、0.1271kg/minであり、洗浄工程において濾材を通過した媒体の単位時間当たりの量Yは、0.0879kg/minであった。
【0282】
〔比較例9:重合体粒子の製造例〕
洗浄液を濾材3に通過させることを開始してから10.4kg(洗浄工程で用いた洗浄液としての水の重量G
2の0.8倍の重量)の洗浄液が濾材3を通過するまでに費やす時間T
2(min)が90.0分となるように洗浄工程の条件を変更したこと以外は、実施例1と同様にして、目的の重合体粒子を得た。洗浄工程において濾材を通過した媒体の単位時間当たりの量Yは0.1156kg/minであった。
【0283】
なお、本比較例の固液分離工程で得られた濾液(媒体)の総重量G
1は2.33kgであり、粗生成物Pに含まれる媒体(水)を濾材3に通過させることを開始してから、前記媒体の濾材3の通過を終了させるまでの時間T
1は55.2分であった。したがって、固液分離工程において濾材を通過した媒体の単位時間当たりの量Xは、0.0422kg/minであった。
【0284】
〔比較例10:重合体粒子の製造例〕
洗浄工程で用いる洗浄液としての水の重量G
2を3.0kg(重合工程で得られた重合体粒子の3.0倍の重量)に変更し、洗浄液を濾材3に通過させることを開始してから2.4kg(洗浄工程で用いた洗浄液としての水の重量G
2の0.8倍の重量)の洗浄液が濾材3を通過するまでに費やす時間T
2(min)が27.3分となるように洗浄工程の条件を変更したこと以外は、実施例6と同様にして、目的の重合体粒子を得た。
【0285】
なお、本比較例の固液分離工程で得られた濾液(媒体)の総重量G
1は2.25kgであり、粗生成物Pに含まれる媒体(水)を濾材3に通過させることを開始してから、前記媒体の濾材3の通過を終了させるまでの時間T
1は40.2分であった。したがって、固液分離工程において濾材を通過した媒体の単位時間当たりの量Xは、0.0560kg/minであった。洗浄工程において濾材を通過した媒体の単位時間当たりの量Yは、0.0880kg/minであった。
【0286】
〔比較例11:重合体粒子の製造例〕
特許文献5(特開2009−203378号公報)の実施例5に従って重合体粒子を調製した。すなわち、まず、冷却管、温度計、及び滴下口を備えた四つ口フラスコに、イオン交換水529g、25モル%アンモニア水溶液1.6g、及びメタノール118gを入れ、撹拌しながらこの混合液に3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製、KBM−503)25gを滴下口から添加して、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランの加水分解、縮合を行ってオルガノポリシロキサン粒子を調製した。反応開始から2時間後、得られたオルガノポリシロキサン粒子の乳濁液をサンプリングし、〔重合体粒子の体積平均粒子径及び粒子径の変動係数の測定方法〕記載の測定方法にて体積平均粒子径を測定したところ、体積平均粒子径は1.9μmであった。
【0287】
続いて、ポリオキシエチレン鎖を有するアニオン性界面活性剤であるポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩(第一工業製薬株式会社製、製品名「ハイテノール(登録商標)NF−08」)20.0g(純分として約19g程度)をイオン交換水1750gで溶解した溶液に、スチレン(St)600g、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート(HDDMA)400g、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(和光純薬工業株式会社製、V−65)20gを溶解した溶液を加えてTKホモミキサー(プライミクス株式会社(旧・特殊機化工業株式会社)製)により6000rpmで5分間乳化分散させて乳化液を調製し、得られたモノマーエマルションをオルガノポリシロキサン粒子の乳濁液中に添加して、さらに撹拌を行った。モノマーエマルション添加から2時間後、反応液をサンプリングして顕微鏡で観察したところ、オルガノポリシロキサン粒子がモノマーを吸収して肥大化していることが確認された。
【0288】
次いで、反応液を窒素雰囲気下で65℃に昇温させて、65℃で2時間保持しモノマーのラジカル重合を行った。反応液を冷却した後、濾過して、重合生成物を濾取した。このとき、回収物(濾取された重合生成物)の固形分濃度は67重量%であった。
【0289】
回収物にイオン交換水1kgを加えて固形分濃度を40重量%とし、30分間撹拌した後、濾過して洗浄済重合生成物を回収した。このとき、洗浄後回収物の固形分濃度は60重量%であった。
【0290】
洗浄後回収物を乾燥機にて100℃で6時間乾燥して有機無機複合粒子を得た。得られた有機無機複合粒子について、前述の測定方法により体積平均粒子径及び粒子径の変動係数を測定したところ、体積平均粒子径は3.82μm、粒子径の変動係数は7.22%であった。また、得られた有機無機複合粒子について、前述の測定方法により界面活性剤の含有量を測定したところ、1940重量ppm(0.19重量%)であった。
【0291】
なお、1回目の濾過は、濾材3として濾布に代えて定量濾紙(アドバンテック東洋株式会社製、定量濾紙No.5C)を用い、固液分離工程で得られる濾液(媒体)の総重量G
1が0.80kgとなり、粗生成物Pに含まれる媒体(水)を濾材3に通過させることを開始してから前記媒体の濾材3の通過を終了させるまでの時間T
1が18.5分となるように固液分離工程の条件を変更したこと以外は、実施例1の固液分離工程と同様にして行った。2回目の濾過は、固形分濃度が40重量%となるように洗浄工程で用いる洗浄液としての水の重量G
2を1.0kg(重合工程で得られた重合体粒子の1.0倍の重量)に変更し、洗浄液を濾材3に通過させることを開始してから、0.8kg(洗浄工程で用いた洗浄液としての水の重量G
2の0.8倍の重量)の洗浄液が濾材3を通過するまでに費やす時間T
2(min)が28.9分となるように洗浄工程の条件を変更し、濾材3として濾布に代えて定量濾紙(アドバンテック東洋株式会社製、定量濾紙No.5C)を用いたこと以外は、実施例1の洗浄工程と同様にして行った。
【0292】
固液分離工程において濾材を通過した媒体の単位時間当たりの量Xは、0.0432/minであり、洗浄工程において濾材を通過した媒体の単位時間当たりの量Yは、0.0277kg/minであった。
【0293】
〔実施例16:光学フィルムの製造例〕
10mlのサンプル管に、実施例1で得られた重合体粒子0.20gと、高SP値有機溶剤としてのイソプロピルアルコール1.00gとを添加し、超音波洗浄器(株式会社ヴェルヴォクリーア製「ULTRASONIC CLEANER VS−150」)を用いて1分間撹拌し、有機溶剤としての酢酸ブチル中に重合体粒子を分散させて、分散液を得た。この分散液に、さらに、アクリル系樹脂(DIC株式会社製の「アクリディック(登録商標)A−817」、有機溶剤としてのトルエン及び酢酸ブチルを49.0〜51.0重量%含有)を1.50g添加し、上記超音波洗浄器で2分程度撹拌して、コーティング用樹脂組成物を得た。このコーティング用樹脂組成物を4時間静置させた後、コーティング用樹脂組成物に有機溶剤としての酢酸ブチル5.50gを添加し、上記超音波洗浄器にて1分間撹拌して、コーティング用樹脂組成物の希釈液を得た。
【0294】
得られたコーティング用樹脂組成物の希釈液を厚み100μmのPETフィルム(富士フイルム株式会社製、商品名「複写機用FUJIX(登録商標) OHPフィルム」)上に、75μmスリットのコーターを使用して塗工した。塗工後、温度を70℃に保った乾燥機に入れて1時間放置することにより、光学フィルムを得た。
【0295】
〔実施例17:光学フィルムの製造例〕
実施例1で得られた重合体粒子0.20gに代えて、実施例2で得られた重合体粒子0.20gを使用した以外は、実施例16と同様にして、光学フィルムを得た。
【0296】
〔実施例18:光学フィルムの製造例〕
実施例1で得られた重合体粒子0.20gに代えて、実施例3で得られた重合体粒子0.20gを使用した以外は、実施例16と同様にして、光学フィルムを得た。
【0297】
〔実施例19:光学フィルムの製造例〕
実施例1で得られた重合体粒子0.20gに代えて、実施例4で得られた重合体粒子0.20gを使用した以外は、実施例16と同様にして、光学フィルムを得た。
【0298】
〔実施例20:光学フィルムの製造例〕
実施例1で得られた重合体粒子0.20gに代えて、実施例5で得られた重合体粒子0.20gを使用した以外は、実施例16と同様にして、光学フィルムを得た。
【0299】
〔実施例21:光学フィルムの製造例〕
実施例1で得られた重合体粒子0.20gに代えて、実施例6で得られた重合体粒子0.20gを使用した以外は、実施例16と同様にして、光学フィルムを得た。
【0300】
〔実施例22:光学フィルムの製造例〕
実施例1で得られた重合体粒子0.20gに代えて、実施例7で得られた重合体粒子0.20gを使用した以外は、実施例16と同様にして、光学フィルムを得た。
【0301】
〔実施例23:光学フィルムの製造例〕
実施例1で得られた重合体粒子0.20gに代えて、実施例8で得られた重合体粒子0.20gを使用した以外は、実施例16と同様にして、光学フィルムを得た。
【0302】
〔実施例24:光学フィルムの製造例〕
実施例1で得られた重合体粒子0.20gに代えて、実施例9で得られた重合体粒子0.20gを使用した以外は、実施例16と同様にして、光学フィルムを得た。
【0303】
〔比較例12:光学フィルムの比較製造例〕
実施例1で得られた重合体粒子0.20gに代えて、比較例1で得られた重合体粒子0.20gを使用した以外は、実施例16と同様にして、光学フィルムを得た。
【0304】
〔比較例13:光学フィルムの比較製造例〕
実施例1で得られた重合体粒子0.20gに代えて、比較例2で得られた重合体粒子0.20gを使用した以外は、実施例16と同様にして、光学フィルムを得た。
【0305】
〔比較例14:光学フィルムの比較製造例〕
実施例1で得られた重合体粒子0.20gに代えて、比較例3で得られた重合体粒子0.20gを使用した以外は、実施例16と同様にして、光学フィルムを得た。
【0306】
〔比較例15:光学フィルムの比較製造例〕
実施例1で得られた重合体粒子0.20gに代えて、比較例4で得られた重合体粒子0.20gを使用した以外は、実施例16と同様にして、光学フィルムを得た。
【0307】
〔実施例25:光学フィルムの製造例〕
実施例1で得られた重合体粒子0.20gに代えて、実施例10で得られた重合体粒子0.20gを使用した以外は、実施例16と同様にして、光学フィルムを得た。
【0308】
〔実施例26:光学フィルムの製造例〕
実施例1で得られた重合体粒子0.20gに代えて、実施例11で得られた重合体粒子0.20gを使用した以外は、実施例16と同様にして、光学フィルムを得た。
【0309】
〔実施例27:光学フィルムの製造例〕
実施例1で得られた重合体粒子0.20gに代えて、実施例12で得られた重合体粒子0.20gを使用した以外は、実施例16と同様にして、光学フィルムを得た。
【0310】
〔実施例28:光学フィルムの製造例〕
実施例1で得られた重合体粒子0.20gに代えて、実施例13で得られた重合体粒子0.20gを使用した以外は、実施例16と同様にして、光学フィルムを得た。
【0311】
〔実施例29:光学フィルムの製造例〕
実施例1で得られた重合体粒子0.20gに代えて、実施例14で得られた重合体粒子0.20gを使用した以外は、実施例16と同様にして、光学フィルムを得た。
【0312】
〔実施例30:光学フィルムの製造例〕
実施例1で得られた重合体粒子0.20gに代えて、実施例15で得られた重合体粒子0.20gを使用した以外は、実施例16と同様にして、光学フィルムを得た。
【0313】
〔比較例16:光学フィルムの比較製造例〕
実施例1で得られた重合体粒子0.20gに代えて、比較例5で得られた重合体粒子0.20gを使用した以外は、実施例16と同様にして、光学フィルムを得た。
【0314】
〔比較例17:光学フィルムの比較製造例〕
実施例1で得られた重合体粒子0.20gに代えて、比較例6で得られた重合体粒子0.20gを使用した以外は、実施例16と同様にして、光学フィルムを得た。
【0315】
〔比較例18:光学フィルムの比較製造例〕
実施例1で得られた重合体粒子0.20gに代えて、比較例7で得られた重合体粒子0.20gを使用した以外は、実施例16と同様にして、光学フィルムを得た。
【0316】
〔比較例19:光学フィルムの比較製造例〕
実施例1で得られた重合体粒子0.20gに代えて、比較例8で得られた重合体粒子0.20gを使用した以外は、実施例16と同様にして、光学フィルムを得た。
【0317】
〔比較例20:光学フィルムの比較製造例〕
実施例1で得られた重合体粒子0.20gに代えて、比較例9で得られた重合体粒子0.20gを使用した以外は、実施例16と同様にして、光学フィルムを得た。
【0318】
〔比較例21:光学フィルムの比較製造例〕
実施例1で得られた重合体粒子0.20gに代えて、比較例10で得られた重合体粒子0.20gを使用した以外は、実施例16と同様にして、光学フィルムを得た。
【0319】
〔比較例22:光学フィルムの比較製造例〕
実施例1で得られた重合体粒子0.20gに代えて、比較例11で得られた重合体粒子0.20gを使用した以外は、実施例16と同様にして、光学フィルムを得た。
【0320】
実施例16〜30及び比較例12〜22の光学フィルムについて、以下に示す方法により、光学特性を評価した。
【0321】
〔光学特性(ヘイズのばらつきの少なさ)の評価方法〕
光学フィルムを6cm×6cmの正方形状にカットしたものを試験片とする。試験片のコーティング用樹脂組成物が塗工された面の上下左右の4つの端部及び中央部(計5箇所)のそれぞれのヘイズを、JIS K 7136に従って、日本電色工業株式会社製の「NDH−4000」を使用して測定する。そして、測定した5箇所のヘイズ(%)の最大値、最小値、及び平均値を用いて、以下の算出式により、ヘイズ差(%)を算出し、そのヘイズ差(%)を、以下の評価基準により評価した。
【0322】
<ヘイズ差(%)の算出式>
R={(Hz
MAX−Hz
MIN)/Hz
AVE)}×100
R:ヘイズ差(%)
Hz
MAX:5箇所のヘイズ(%)の最大値
Hz
MIN:5箇所のヘイズ(%)の最小値
Hz
AVE:5箇所のヘイズ(%)の平均値
【0323】
<評価基準>
◎:ヘイズ差が0.5%未満
○:ヘイズ差が0.5%以上1.0%未満
△:ヘイズ差が1.0%以上3.0%未満
×:ヘイズ差が3.0%以上
【0324】
実施例1〜15及び比較例1〜11について、重合工程に使用した種粒子の番号(種粒子番号)、重合工程に使用した単量体の組成(単量体組成)、重合工程に使用した他の界面活性剤及びポリオキシエチレン鎖を有する界面活性剤の種類、重合工程に使用した高分子分散安定剤の種類、固液分離工程におけるX値(濾材を通過した媒体の単位時間当たりの量(kg/min))の測定結果、洗浄工程におけるY値(濾材を通過した洗浄液の単位時間当たりの量(kg/min))の測定結果、洗浄工程で用いた洗浄液(水)の量(kg)、得られた重合体粒子の体積平均粒子径(μm)及び粒子径の変動係数(CV値(%))の測定結果、得られた重合体粒子の屈折率の測定結果、並びに得られた重合体粒子のゲル分率(%)の測定結果を表2及び表4に示す。
【0325】
また、実施例1〜15及び比較例1〜11で得られた重合体粒子について、重合体粒子の比表面積(m
2/g)の測定結果、重合体粒子中の他の界面活性剤の含有量(重量ppm)の測定結果、重合体粒子中のポリオキシエチレン鎖を有する界面活性剤の含有量(重量ppm)の測定結果、重合体粒子の単位表面積あたりにおける重合体粒子中の他の界面活性剤の含有量(×10
−3g/m
2)の測定結果、重合体粒子の単位表面積あたりにおける重合体粒子中のポリオキシエチレン鎖を有する界面活性剤の含有量(×10
−5g/m
2)の測定結果、高SP値有機溶剤中への重合体粒子の分散性の評価結果、並びに重合体粒子中の副生成物(乳化重合生成物)の含有量の測定結果を表3及び表5に示す。また、実施例16〜30及び比較例12〜22の光学フィルムについて、光学フィルムのヘイズ差(%)の測定結果、及び光学フィルムの光学特性の評価結果を表3及び表5に併せて示す。
【0326】
なお、表2及び表4中において、DSSはジ(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウムを表し、LSはラウリル硫酸ナトリウムを表し、ASKはアルケニルコハク酸ジカリウムを表し、POEPSはポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルリン酸ナトリウムを表し、ASPSEはポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル硫酸エステルアンモニウムを表し、POESEはポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテルリン酸エステルを表し、PVAはポリビニルアルコールを表し、PSEはポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテルを表す。
【0327】
【表2】
【0328】
【表3】
【0329】
【表4】
【0330】
【表5】
【0331】
実施例1〜15及び比較例1〜11の固液分離工程及び洗浄工程で使用した加圧濾過器1(
図1参照)の濾材3(濾布)と濾過物(すなわち、粗生成物P)との界面の面積Aは、0.0104(m
2)である。このため、実施例1〜15及び比較例1〜11において、前記条件式(1)を満たすX値(濾材を通過した媒体の単位時間当たりの量(kg/min))の上限値は、0.0572kg/minとなる。また、上記条件式(2)を満たすY値(濾材を通過した洗浄液の単位時間当たりの量(kg/min))の下限値は0.0260kg/min、上限値は0.0884kg/minとなる。
【0332】
表2〜5に示す結果より、ポリオキシエチレン鎖を有する界面活性剤と他の界面活性剤とを併用した実施例・比較例で得られる重合体粒子のうちで、洗浄に使用した洗浄液(水)の量が重合体粒子の重量の9倍以上(9kg以上)、具体的には10.0〜13.0倍である実施例1〜15で得られる重合体粒子は、重合体粒子の単位表面積あたりにおける他の界面活性剤の含有量が10.0×10
−5g/m
2以下、具体的には0.88〜8.38×10
−5g/m
2と少ないのに対し、洗浄工程を省略した(洗浄に使用した洗浄液(水)の量が0の場合に相当)比較例1、及び洗浄に使用した洗浄液(水)の量が重合体粒子の重量の9倍未満(9kg未満)、具体的には5.0倍である比較例2、3、5で得られる重合体粒子は、重合体粒子の単位表面積あたりにおける他の界面活性剤の含有量が10.0×10
−5g/m
2超、具体的には131.76〜413.62×10
−5g/m
2と多かった。したがって、洗浄に使用した洗浄液(水)の量が重合体粒子の重量の9倍以上である本発明の製造方法によれば、重合工程で使用した他の界面活性剤の重合体粒子表面への単位表面積あたりの付着量を低減できることが認められた。
【0333】
表2〜5に示す結果より、洗浄に使用した洗浄液(水)の量が重合体粒子の重量の18倍以下(18kg以下)、具体的には10.0〜13.0倍である実施例1〜15で得られる重合体粒子は、重合体粒子の単位表面積あたりにおけるポリオキシエチレン鎖を有する界面活性剤の含有量が2.0×10
−3g/m
2〜15.0×10
−3g/m
2、具体的には2.15〜12.32×10
−3g/m
2であるのに対し、洗浄に使用した洗浄液(水)の量が重合体粒子の重量の18倍超(18kg超)、具体的には25.0倍(25.0kg)である比較例6で得られる重合体粒子は、重合体粒子の単位表面積あたりにおけるポリオキシエチレン鎖を有する界面活性剤の含有量が2.0×10
−3g/m
2未満、具体的には1.46×10
−3g/m
2と少なかった。したがって、洗浄に使用した洗浄液(水)の量が重合体粒子の重量の9倍以上18倍以下である本発明の製造方法によれば、重合工程で使用したポリオキシエチレン鎖を有する界面活性剤の重合体粒子表面への単位表面積あたりの付着量を適度な範囲2.0×10
−3g/m
2〜15.0×10
−3g/m
2にすることができることが認められた。
【0334】
また、洗浄に使用した洗浄液(水)の量が重合体粒子の重量の9倍以上(9kg以上)、具体的には10.0〜13.0倍である実施例1〜15で得られる重合体粒子は、副生成物(乳化重合生成物)の含有量の測定値が1.0重量%未満、具体的には0.05〜0.82重量%と少なかったのに対し、洗浄工程を省略した(洗浄に使用した洗浄液(水)の量が0の場合に相当)比較例1、及び洗浄に使用した洗浄液(水)の量が重合体粒子の重量の9倍未満(9kg未満)、具体的には1.0〜5.0倍である比較例2、3、5、10、11で得られる重合体粒子は、副生成物(乳化重合生成物)の含有量の測定値が1.0重量%以上、具体的には1.99〜4.33重量%と多かった。したがって、洗浄に使用した洗浄液(水)の量が重合体粒子の重量の9倍以上である本発明の製造方法によれば、重合体粒子における副生成物(乳化重合生成物)の含有量を低減できることが認められた。
【0335】
また、ポリオキシエチレン鎖を有する界面活性剤と他の界面活性剤とを併用した実施例・比較例で得られる重合体粒子のうちで、X値(濾材を通過した媒体の単位時間当たりの量)が、前記条件式(1)を満たす上限値0.0572(kg/min)以下(具体的には0.0460〜0.0566(kg/min))である実施例1〜15で得られる重合体粒子は、重合体粒子の単位表面積あたりにおける他の界面活性剤の含有量が10.0×10
−5g/m
2以下、具体的には0.88〜8.38×10
−5g/m
2と少ないのに対し、X値が、前記条件式(1)を満たす上限値0.0572(kg/min)より大きい(具体的には0.1032〜0.1271(kg/min)である)比較例7、8で得られる重合体粒子は、重合体粒子の単位表面積あたりにおける他の界面活性剤の含有量が10.0×10
−5g/m
2超(具体的には12.33〜29.79×10
−5g/m
2)と多かった。したがって、X値が、前記条件式(1)を満たす本発明の製造方法によれば、重合工程で使用した他の界面活性剤の重合体粒子表面への単位表面積あたりの付着量を低減できることが認められた。
【0336】
また、X値が、前記条件式(1)を満たす上限値0.0572(kg/min)以下(具体的には0.0460〜0.0566(kg/min))である実施例1〜15で得られる重合体粒子は、副生成物(乳化重合生成物)の含有量の測定値が1.0重量%未満、具体的には0.05〜0.82重量%と少なかったのに対し、X値が、前記条件式(1)を満たす上限値0.0572(kg/min)より大きい(具体的には0.0762〜0.1271(kg/min)である)比較例7、8、11で得られる重合体粒子は、副生成物(乳化重合生成物)の含有量の測定値が1.0重量%以上(具体的には1.98〜2.33重量%)と多かった。したがって、X値が、前記条件式(1)を満たす本発明の製造方法によれば、重合体粒子における副生成物(乳化重合生成物)の含有量を低減できることが認められた。
【0337】
また、ポリオキシエチレン鎖を有する界面活性剤と他の界面活性剤とを併用した実施例・比較例で得られる重合体粒子のうちで、Y値(濾材を通過した洗浄液の単位時間当たりの量)が、前記条件式(2)を満たす0.0260(kg/min)〜0.0884(kg/min)の範囲内(具体的には0.0291〜0.0881(kg/min)である)実施例1〜15で得られる重合体粒子は、重合体粒子の単位表面積あたりにおける他の界面活性剤の含有量が10.0×10
−5g/m
2以下、具体的には0.88〜8.38×10
−5g/m
2と少ないのに対し、Y値が、前記条件式(2)を満たす上限値0.0884kg/minより大きい(具体的には0.1115〜0.1156(kg/min)である)比較例7、9で得られる重合体粒子は、重合体粒子の単位表面積あたりにおける他の界面活性剤の含有量が10.0×10
−5g/m
2超(具体的には11.95〜29.79×10
−5g/m
2)と多かった。したがって、Y値が、前記条件式(2)を満たす本発明の製造方法によれば、重合工程で使用した他の界面活性剤の重合体粒子表面への単位表面積あたりの付着量を低減できることが認められた。
【0338】
また、Y値が、前記条件式(2)を満たす(具体的には0.0291〜0.0881(kg/min)である)実施例1〜15で得られる重合体粒子は、副生成物(乳化重合生成物)の含有量の測定値が1.0重量%未満、具体的には0.05〜0.82重量%と少なかったのに対し、Y値が、前記条件式(2)を満たす上限値0.0884kg/minより大きい(具体的には0.1115〜0.1156(kg/min)である)比較例7、9で得られる重合体粒子は、副生成物(乳化重合生成物)の含有量の測定値が1.0重量%以上(具体的には1.89〜2.33重量%)と多かった。したがって、Y値が、前記条件式(2)を満たす本発明の製造方法によれば、重合体粒子における副生成物(乳化重合生成物)の含有量を低減できることが認められた。
【0339】
また、重合体粒子の単位表面積あたりにおける他の界面活性剤の含有量が10.0×10
−5g/m
2以下(具体的には0.88〜8.38×10
−5g/m
2)である実施例1〜15の重合体粒子は、重合体粒子の単位表面積あたりにおける他の界面活性剤の含有量が10.0×10
−5g/m
2超(具体的には11.95〜413.62×10
−5g/m
2)である比較例1〜3、5、7〜9の重合体粒子と比べて、高SP値有機溶剤に対する分散性に優れることが認められた。
【0340】
また、重合体粒子の単位表面積あたりにおける他の界面活性剤の含有量が10.0×10
−5g/m
2以下である実施例1〜15の重合体粒子を含むコーティング用樹脂組成物を塗工してなる実施例16〜30の光学フィルムは、重合体粒子の単位表面積あたりにおける他の界面活性剤の含有量が10.0×10
−5g/m
2超である比較例1〜3、5、7〜9の重合体粒子を含むコーティング用樹脂組成物を塗工してなる比較例12〜14、16、18〜20の光学フィルムと比べて、ヘイズ差が少なく、光拡散性のむらが少ないものであることが認められた。すなわち、重合体粒子の単位表面積あたりにおける他の界面活性剤の含有量が10.0×10
−5g/m
2以下である重合体粒子を含む光学フィルムでは、より均一な光学特性(防眩性及び光拡散性)が得られることが認められた。これは、重合体粒子の単位表面積あたりにおける他の界面活性剤の含有量が10.0×10
−5g/m
2以下である重合体粒子が、分散均一性に優れていることを示している。
【0341】
また、重合体粒子の単位表面積あたりにおけるポリオキシエチレン鎖を有する界面活性剤の含有量が2.0〜15.0×10
−3g/m
2(具体的には2.15〜12.32×10
−3g/m
2)である実施例1〜15の重合体粒子は、ポリオキシエチレン鎖を有する界面活性剤を使用しなかった(重合体粒子の単位表面積あたりにおけるポリオキシエチレン鎖を有する界面活性剤の含有量が0の場合に相当)比較例4の重合体粒子、及び重合体粒子の単位表面積あたりにおけるポリオキシエチレン鎖を有する界面活性剤の含有量が2.0×10
−3g/m
2未満(具体的には0.80〜1.46×10
−3g/m
2)である比較例6、11の重合体粒子と比べて、高SP値有機溶剤に対する分散性に優れることが認められた。
【0342】
また、重合体粒子の単位表面積あたりにおけるポリオキシエチレン鎖を有する界面活性剤の含有量が2.0〜15.0×10
−3g/m
2である実施例1〜15の重合体粒子を含むコーティング用樹脂組成物を塗工してなる実施例16〜30の光学フィルムは、ポリオキシエチレン鎖を有する界面活性剤を使用しなかった(重合体粒子の単位表面積あたりにおけるポリオキシエチレン鎖を有する界面活性剤の含有量が0の場合に相当)比較例4の重合体粒子を含むコーティング用樹脂組成物を塗工してなる比較例15の光学フィルム、及び重合体粒子の単位表面積あたりにおけるポリオキシエチレン鎖を有する界面活性剤の含有量が2.0×10
−3g/m
2未満である比較例6、11の重合体粒子を含むコーティング用樹脂組成物を塗工してなる比較例17、22の光学フィルムと比べて、ヘイズ差が少なく、光拡散性のむらが少ないものであることが認められた。すなわち、重合体粒子の単位表面積あたりにおけるポリオキシエチレン鎖を有する界面活性剤の含有量が2.0〜15.0×10
−3g/m
2である重合体粒子を含む光学フィルムでは、より均一な光学特性(防眩性及び光拡散性)が得られることが認められた。これは、重合体粒子の単位表面積あたりにおけるポリオキシエチレン鎖を有する界面活性剤の含有量が2.0〜15.0×10
−3g/m
2である重合体粒子が、分散均一性に優れていることを示している。
【0343】
また、重合体粒子の単位表面積あたりにおけるポリオキシエチレン鎖を有する界面活性剤の含有量が2.0〜15.0×10
−3g/m
2(具体的には2.15〜12.32×10
−3g/m
2)である実施例1〜15の重合体粒子は、重合体粒子の単位表面積あたりにおけるポリオキシエチレン鎖を有する界面活性剤の含有量が15.0×10
−3g/m
2超(具体的には15.16〜17.41×10
−3g/m
2)である比較例5、10の重合体粒子と比べて、高SP値有機溶剤に対する分散性に優れることが認められた。
【0344】
また、重合体粒子の単位表面積あたりにおけるポリオキシエチレン鎖を有する界面活性剤の含有量が2.0〜15.0×10
−3g/m
2である実施例1〜15の重合体粒子を含むコーティング用樹脂組成物を塗工してなる実施例16〜30の光学フィルムは、重合体粒子の単位表面積あたりにおけるポリオキシエチレン鎖を有する界面活性剤の含有量が15.0×10
−3g/m
2超である比較例5、10の重合体粒子を含むコーティング用樹脂組成物を塗工してなる比較例16、21の光学フィルムと比べて、ヘイズ差が少なく、光拡散性のむらが少ないものであることが認められた。すなわち、重合体粒子の単位表面積あたりにおけるポリオキシエチレン鎖を有する界面活性剤の含有量が2.0〜15.0×10
−3g/m
2である重合体粒子を含む光学フィルムでは、より均一な光学特性(防眩性及び光拡散性)が得られることが認められた。これは、重合体粒子の単位表面積あたりにおけるポリオキシエチレン鎖を有する界面活性剤の含有量が2.0〜15.0×10
−3g/m
2である重合体粒子が、分散均一性に優れていることを示している。
【0345】
また、副生成物(乳化重合生成物)の含有量の測定値が1.0重量%未満(具体的には0.05〜0.82重量%)である実施例1〜15の重合体粒子は、副生成物(乳化重合生成物)の含有量の測定値が1.0重量%以上である比較例1〜3、5、7〜11の重合体粒子と比べて、高SP値有機溶剤に対する分散性に優れることが認められた。
【0346】
また、副生成物(乳化重合生成物)の含有量の測定値が1.0重量%未満である実施例1〜15の重合体粒子を含むコーティング用樹脂組成物を塗工してなる実施例16〜30の光学フィルムは、副生成物(乳化重合生成物)の含有量の測定値が1.0重量%以上である比較例1〜3、5、7〜11の重合体粒子を含むコーティング用樹脂組成物を塗工してなる比較例12〜14、16、18〜22の光学フィルムと比べて、ヘイズ差が少なく、光拡散性のむらが少ないものであることが認められた。すなわち、副生成物(乳化重合生成物)の含有量の測定値が1.0重量%未満である重合体粒子を含む光学フィルムでは、より均一な光学特性(防眩性及び光拡散性)が得られることが認められた。これは、副生成物(乳化重合生成物)の含有量の測定値が1.0重量%未満である重合体粒子が、分散均一性に優れていることを示している。
【0347】
本発明は、その精神又は主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形で実施することができる。そのため、上述の実施例はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【0348】
また、この出願は、2014年9月30日に日本で出願された特願2014−201702に基づく優先権を請求する。これに言及することにより、その全ての内容は本出願に組み込まれるものである。