(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
本体(29)、第1の面(20)、前記第1の面の反対側の第2の面(28)を呈示する眼用レンズ(12)内又は上に技術的恒久的マーク(24)を作製するマーキングステップであって、前記第1の面(20)と第2の面(28)は第1の光学面と第2の光学面をそれぞれ定義する、ステップを含む眼用レンズ製造方法であって、
−前記第1及び第2の光学面を得るように、第1の複素屈折率(35)を有する第1の材料の複数の第1の所定体積要素を堆積して複数の重畳層を形成することにより、前記本体(29)と前記第1及び第2の面(20,28)とを積層造形するステップ(110〜112)と、
−前記第1の材料(35)の複数の第1の体積要素の堆積中に、前記第1の材料(35)の前記第1の複素屈折率と異なる第2の複素屈折率(30,31)を有する第2の材料の少なくとも1つの第2の所定体積要素の堆積により技術的恒久マーク(24)を積層造形するステップ(113)とを含むことを特徴とし、
前記方法は、前記技術的恒久マーク(24)が、前記眼用レンズ(12)に設けられる光学基準系の特徴となり、前記第1及び第2の光学面に依存して所定位置の前記眼用レンズ(12)内又は上に配置される、ように構成されており、
前記第1の面(20)及び前記第2の面(28)は湾曲しており、
前記第1の面(20)と前記第2の面(28)との間の前記複数の重畳層はそれぞれ、前記第1の面(20)及び前記第2の面(28)を通る垂直軸に対して直交する方向に平坦な層であり、
前記第1の面(20)が凸面であり、前記第2の面(28)が凹面であり、
前記第1の材料の前記第1の所定体積要素の堆積および前記第2の材料の前記第2の所定体積要素の堆積は、1つまたは複数のノズルによって行われる、方法。
前記積層造形するステップは、前記本体(29)と前記第1及び第2の面(20,28)の幾何学的特徴と、前記本体(29)と前記第1及び第2の面(20,28)の前記幾何学的特徴と前記第1の複素屈折率とに依存する前記技術的恒久マーク(24)の幾何学的特徴とを含む前記眼用レンズ(12)の製造設定を判断するステップを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
前記技術的恒久マーク(24)の前記所定位置と前記幾何学的特徴は前記第1及び第2の面(20,28)からそれらを分離する零又は非零の距離に依存する、ことを特徴とする請求項2に記載の方法。
前記技術的恒久マーク(24)を積層造形する前記ステップ(113)は前記眼用レンズ(12)の少なくとも前記本体(29)の積層造形中に前記第1の材料(35)の複数の前記第1の体積要素が堆積されると行われる、ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の方法。
前記技術的恒久マーク(24)は前記眼用レンズ(12)の前記第1及び第2の面(20,28)の少なくとも1つに可能な限り近い前記眼用レンズ(12)の前記本体(29)内に生成される、ことを特徴とする請求項4に記載の方法。
前記技術的恒久マーク(21〜24)を積層造形する前記ステップ(113)は、前記眼用レンズ(12)の前記第1及び第2の面(20,28)の少なくとも1つの面の積層造形中に前記第1の材料(35)の複数の前記第1の体積要素が堆積されると行われる、ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の方法。
前記技術的恒久マーク(24)は、前記第1の面(20)又は前記第2の面(28)から、最大累進変化を呈示する前記眼用レンズ(12)の面に少なくとも可能な限り近くに生成される、ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の方法。
前記技術的恒久マーク(24)を積層造形する前記ステップ(113)は、前記第1の材料(35)の複数の前記第1の体積要素が重畳により堆積されると行われる、ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の方法。
前記第1の材料(35)と前記第2の材料(30,31)は前記第1の材料(35)の前記第1の複素屈折率と前記第2の材料(30,31)の前記第2の複素屈折率との差が検知可能となるようなやり方で構成される、ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の方法。
前記眼用レンズ(12)の前記技術的恒久マーク(24)だけでなく前記本体(29)と前記第1及び第2の面(20,28)の幾何学形状の特徴の製造ファイルを提供するステップ(100)を含み、
前記技術的恒久マーク(24)の前記幾何学形状の特徴は前記本体(29)と前記第1及び第2の面(20,28)の前記幾何学形状の特徴と前記第1の複素屈折率とに依存する、ことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載の方法。
前記眼用レンズ(12)の前記第1及び第2の面(20,28)の少なくとも1つを研磨するステップを含むことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項に記載の方法。
請求項1乃至11のいずれか一項に記載の方法を実施することにより、技術的恒久マーク(24)を備えた眼用レンズ(12)を生成するように構成されることを特徴とする積層造形機。
【背景技術】
【0003】
眼用レンズは様々な製造ステップを通るということが知られている。特定のフレームの形状に調整された完成レンズを得るため通常採用される製造方法は、旋盤を作動させることによる機械加工のステップと、眼用レンズが技術的及び/又は商業的恒久マーク及び/又は技術的及び/又は商業的暫定マークをその表面上に受け取るステップとを含む。
【0004】
これらのマークは例えばモールド成形、エッチング、又は化学的侵食により形成され得る。これらは、多様な符号(例えば、円、十字、製造者のロゴ)を表し、特定の点(例えば、累進眼用レンズのプリズム基準点)、軸線、又は特定のゾーン(例えば、累進眼用レンズの場合の近方視ゾーン又は遠方視ゾーン)を示す形状を識別する。技術的マーク(恒久的及び/又は暫定的)は光学的特性を表す幾何学的マークとして知られている。
【0005】
技術的恒久マークの作製は、レンズ上にこれらのマークの正しい位置決めをするための1つ又は複数の基準系の生成を必要とする。実際、例えば機械加工(例えば、表面仕上げ又はエッジング)のためにレンズの一方の面を他方の面に対し正確に位置決めできるようにする及び/又は眼用レンズをフレームの中心におくことができるようにするのはこれらの技術的マークである。
【0006】
これらの技術的恒久マークは、レンズの他の面の機械加工の前に、レンズの一方の面(例えば、前面)又はいくつかの眼用レンズの場合は後面上に作製され得る。
【0007】
公知の累進眼用レンズ製造方法では、レンズは第1の基準系におけるその前面(例えば、凸面)により固定されるので、その後面の凹面が第2の基準系において旋盤を作動させることにより機械加工される。その後、この機械加工済み凹面は、第4の基準系において1又は複数のマーキング操作を受ける前に第3の基準系において研磨される。
【0008】
技術的恒久マークは通常、エキシマ又はCO
2タイプレーザマーキング機の助けにより作製されるということに注意されたい。これらのレーザマーキング機は材料を劣化又は切除することにより眼用レンズに作用し、これらのマークが作製される眼用レンズの面上に変形を生成する又は面上の材料を除去する。
【0009】
別の公知の眼用レンズ製造方法では、レンズはプラスチック鋳造機において成型され、技術的恒久マークも又同機械においてのガラスの面上に作製される。この機械は半成形型(機械加工により製造された)を含む成形型を備える。この成形型では、第1の基準系において成形型のドラフト面が形成され、次に、第2の基準系において切り欠きが技術的恒久マークを形成するためにエッチングにより作製される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、この眼用レンズ上に技術的恒久マークを作製するマーキングステップを含む眼用レンズ製造方法であって、実施するのが特に簡単で、好都合で、かつ経済的な製造方法を提供することを目的する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
したがって本発明の主題は、眼用レンズ上に技術的恒久マークを作製するマーキングステップであって、眼用レンズは本体、第1の面、第1の面の反対側の第2の面を呈示し、第1の面と第2の面は第1の光学面と第2の光学面をそれぞれ定義する、ステップを含む眼用レンズ製造方法である。本製造方法は、
− 第1及び第2の光学面を得るように、第1の複素屈折率を有する第1の材料の複数の第1の所定
体積要素の
堆積により、本体と第1及びi第2の面とを積層造形するステップと、
− 第1の材料の複数の第1の
体積要素の
堆積中に、第1の材料の第1の複素屈折率と異なる第2の複素屈折率を有する第2の材料の少なくとも1つの第2の所定
体積要素の
堆積により技術的恒久マークを積層造形するステップとを含むことを特徴とし、
本方法は、技術的恒久マークが、眼用レンズに設けられる光学基準系の特徴であり、第1及び第2の光学面に依存して所定位置の眼用レンズ内に配置されるように、構成される。
【0012】
本発明による製造方法は、1つの同一の積層造形ステップにおいて眼用レンズを有利に製造できるようにする。
【0013】
本体と第1及び第2の面の積層造形中に単一ステップで技術的恒久マークのローカリゼーション特性だけでなく眼用レンズの単純又は複雑な光学特性を同時に設けることができるようにするのはこの単一積層造形ステップである。これにより、技術的恒久マークを眼用レンズ内に精密に配置できるようにする。
【0014】
本発明は、本明細書では、ISO基準8980−2の段落7.1により課せられたマーキング(より正確には段落7.1aと7.1bのマーキング)に対応する技術的恒久マーキングとして知られているマーキングにもっぱら適用される。これは、これらの技術的マーキングが、第1の光学面と第2の光学面とに応じて(別の言い方をすると、眼用レンズに設けられる光学基準系に直接応じて)判断される位置の眼用レンズ内に配置されるからである。
【0015】
眼用レンズのこの光学基準系は、このレンズに供給される処方箋により、そして特に第1及び第2の光学面により形成される2つのジオプターにより、そして例えば遠方視ゾーン及び/又は近方視ゾーンの鼻−側頭軸のプリズム基準点の取り付け点の少なくとも1つにより、理論的に定義されるということに注意されたい。
【0016】
本発明は、ISO基準8980−2の段落7.1cにより課されたマーキングに対応するロゴ、又は商標マーク又はマーク群などの商業的恒久マーキングとして知られているマーキングに適用されない。これは、これらの商業的恒久マーキングは、目的とするフレームの形状に成形するためのエッジングの後、眼用レンズの形状にだけに応じて眼用レンズ内に配置されるが、眼用レンズに設けられる光学基準系に直接応じて配置されることは決してないからである。
【0017】
本体と第1及び第2の面の積層造形ステップは眼用レンズの光学基準系(本明細書では非可視及び/又は理論的基準系とも呼ばれる)の生成に対応し、一方、技術的恒久マークの積層造形ステップは「可視」基準系と見なされる光学基準系(実際には非可視基準系の例である)の生成に対応するということに注意されたい。
【0018】
本発明による製造方法は有利には、光学基準系による単一ステップである。この光学基準系は、異なる時点に生成された様々な中間基準系にさらに依存して実行されしたがって新基準系の各使用において新基準系を理論的光学基準系から逸脱させる偏差又は誤差を導入し得る従来技術の上記製造方法(マルチステップの方法と呼ばれる)と対照的に非可視の光学基準系と同じステップ中に生成される。
【0019】
積層造形は本明細書では三次元印刷又はステレオリソグラフィ又はそうでなければ熱可塑性フィラメント押し出しの方法に対応するということに注意されたい。
【0020】
本発明によると、技術的恒久マークを形成する少なくとも1つの第2の所定
体積要素は、その直ぐ隣の第1の所定
体積要素と、特に眼用レンズの第1及び第2の面を形成する第1の所定
体積要素とに依存して所定の位置に同時に
堆積される。
【0021】
複素屈折率は複素量n
*=n+i×kとして伝統的に定義されるということにも注意する必要がある。ここで、nは複素指標の実数部、i×kは「減衰係数」とも呼ばれる虚数部、iはi
2=−1となるように定義された虚数単位である。屈折率の複素数的性質を考慮することにより、本明細書では、減衰係数kの非零値に関連するとともに眼用レンズの指標n
*の材料の選択に関係する特定の光学特性を特徴付けることが可能である。kの非零値に関係するこれらの特定の特性は特に、可視、紫外線、又は赤外線波長において吸収性である分子、及び/又は可視、紫外線、又は赤外線波長において吸収性であるコロイドを含む添加剤の特性に対応する。
【0022】
本発明による方法の好適で、簡単で、好都合で、かつ経済的な特徴によると、
− 積層造形ステップは、本体と第1及び第2の面の幾何学的特徴と、本体と第1及び第2の面の幾何学的特徴と第1の複素屈折率とに依存する技術的恒久マークの幾何学的特徴とを含む眼用レンズの製造設定を判断して、(第1の複素屈折率を有する材料による本体と第1及び第2の面の積層造形後に)眼用レンズのグローバルジオメトリから生じる光学的機能に従って技術的恒久マークを配置できるようにするステップを含み、
− 技術的恒久マークの所定位置と幾何学的特徴は、第1及び第2の面からそれらを分離する零又は非零の距離に依存し、
− 技術的恒久マークを積層造形するステップは、眼用レンズの少なくとも本体の製造中に第1の材料の複数の第1の
体積要素が
堆積されると行われ、
− 技術的恒久マークは眼用レンズの第1及び第2の面の少なくとも1つに可能な限り近い眼用レンズの本体内に生成され、
− 技術的恒久マークを積層造形するステップは、眼用レンズの第1及び第2の面の少なくとも1つの面の積層造形中に第1の材料の複数の第1の
体積要素が
堆積されると行われ、
− 技術的恒久マークは、第1の面又は第2の面から、最大累進変化を呈示する眼用レンズの面に少なくとも可能な限り近くに生成され、
− 技術的恒久マークを積層造形するステップは第1の材料の複数の第1の
体積要素が重畳により
堆積されると行われ、
− 第1の材料と第2の材料は第1の材料の第1の複素屈折率と第2の材料の第2の複素屈折率との差が検知可能となるようなやり方で構成され、
− 本方法は、眼用レンズの技術的恒久マークだけでなく本体と第1及び第2の面の幾何学形状の特徴の製造ファイルを提供するステップを含み、技術的恒久マークの幾何学的特徴は本体と第1及び第2の面の幾何学的特徴と第1の複素屈折率とに依存し、及び/又は
− 本方法は眼用レンズの第1及び第2の面の少なくとも1つを研磨するステップ含む。
【0023】
本発明の主題は又、上述のように本方法を実施することにより、技術的恒久マークを備える眼用レンズを生成する製造機械である。
【0024】
本発明の解説は、以下の例示及び非限定的例を所与として、例示的実施形態の説明により、そして添付図面を参照して続けられる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1に、本明細書では数値制御型三次元印刷機である積層造形機1を示す。ここで、数値制御は、その機能が、運動と材料の操作に関する命令、重合手段の命令を積層造形機1のすべての部材へ与えることであるすべてのハードウェア及びソフトウェアを指す。
【0027】
本明細書では、この積層造形機1は、さらに円環状及びプリズム状部品を有する累進タイプとして知られる眼用レンズを含む眼用レンズ12を形成するように、支持体10上に少なくとも1つの材料の重畳層(別の言い方をすると、積層)を形成する複数の所定
体積要素を並置することにより
堆積するように構成される。
【0028】
各
体積要素は所定組成と所定寸法により定義される。
【0029】
本明細書では、我々は積層造形技術、特に三次元印刷を扱っているので、我々は又ボクセル(三次元の画素を表す)とも呼ばれる
体積要素について話す。
【0030】
したがって、積層造形機1は、ソフトウェア(別の言い方をすると、マイクロプロセッサ3において実行されると積層造形法の実施を可能にするコンピュータプログラム)をロードし格納できるようにするメモリ(特に、不揮発性メモリ)4を備えたマイクロプロセッサ3を含むデータ処理システムを備えた指令及び制御ユニット2だけでなくノズル又は一組のノズル13も含む。この不揮発性メモリ4は例えばROM(読み取り専用メモリ)タイプである。
【0031】
ユニット2はさらに、ソフトウェアの実行中及び積層造形法の実施中にデータを格納できるようにするメモリ(特に、揮発性メモリ)5を含む。
【0032】
この揮発性メモリ5は、例えばRAM(ランダムアクセスメモリ)又はEEPROM(電気的消去可能読み取り専用メモリ)タイプである。
【0033】
積層造形機1はさらに、この機械1により積層造形された眼用レンズ12にアクセスするように構成され眼用レンズ12が支持体10により担持される開口6(本明細書では、艶出し加工された)を含む。
【0034】
眼用レンズ12を積層造形するために、ノズル又はノズル群13の進行速度、実装されるエネルギーとエネルギー源(本明細書では、三次元印刷機用の紫外線の放射源であるが、ステレオリソグラフィ機の場合のレーザ、又はそうでなければ熱可塑性スレッド押し出しとも呼ばれる高張力スレッド
堆積の場合の加熱エネルギーであり得る)などの積層造形技術のいくつかのパラメータの正確な知識が必要であるということに注意されたい。
【0035】
使用される材料又は材料群とそれらの状態(本明細書では、液体形式である)の正確な知識も必要である。
【0036】
眼用レンズ12の単純又は複雑な光学特性と、眼用レンズ12を構成しこのレンズの単純又は複雑な光学特性に応じてレンズ内に規定及び配置される恒久マーク24(
図2)の特徴の製造ファイルにより特徴付けられる眼用レンズ12のジオメトリの正確な知識も必要である。
【0037】
これらの技術的恒久的マーク24は特にこの眼用レンズ12の製造の後ステップ(例えば、このレンズの表面仕上げ及び/又は研磨及び/又はエッジング)のために眼用レンズ12を正確に位置決めできるようにするということに注意されたい。
【0038】
他の暫定及び技術マーク21〜23も又眼用レンズ12を正確に位置決めできるようにするということに注意されたい。
【0039】
図2に、分離した眼用レンズ12の上面図を示す。
【0040】
この眼用レンズ12は、本明細書では凸状である前面として知られる第1の面20と本明細書では凹状である後面として知られる第2の面28とを呈示する(
図3〜
図6)。
【0041】
第1の面20は第1の光学面を規定し、第2の面28は第2の光学面を規定する。
【0042】
眼用レンズ12はさらに、第1の面20を第2の面28へ結合する周辺エッジ27を呈示する。
【0043】
本明細書では、この眼用レンズ12は、技術的恒久マーク24と技術的暫定マーク21〜23(すなわち、この眼用レンズ12の中心に位置する基準点を示すマーク21と、遠方視ゾーンの制御点を示すとともに基準点21の真上に位置するマーク22と、近方視ゾーンの制御点を示すとともに基準点21の下に位置するマーク23)と鼻−側頭軸(又は鼻−耳軸)として知られる水平方向の軸を通るゾーン24とを呈示する。
【0044】
技術的恒久マークである
図2に見えるマークは本明細書ではゾーン24に対応する。
【0045】
本明細書では、これらの技術的恒久マーク24は眼用レンズ12の第1の面20上に作製される。
【0046】
鼻−側頭として知られる水平方向の軸を通るゾーン24のレベルにおいて、基準点21のいずれかの側に及び基準点21から等距離にそれぞれ2つの恒久的極微小円が作製されるということにも留意されたい。
【0047】
次に、眼用レンズ12と特にこの眼用レンズ12内の技術的極微小円24の位置とについて
図3を参照して詳細に説明する。
【0048】
図3に、
図1に示す積層造形機1により製造された眼用レンズ12を示す。この眼用レンズ12は有用ゾーン26と不用ゾーン25を呈示する。
【0049】
有用ゾーン26は、このレンズ12がフレームの形状に整形されフレーム内に取り付けられると眼鏡フレーム内に位置するようにされた眼用レンズ12のゾーンである。特に、この有用ゾーン26は、装着者へ矯正を供給するのに必要な単純な光学的特徴(単一視方眼用レンズ)又は複雑な光学的特徴(累進眼用レンズ)を有する少なくとも一部分を呈示する。
【0050】
不用ゾーン25は、眼用レンズ12の形状(外形)を眼鏡フレームに適合させるために、その一部が特にエッジング(カッティングとも称する)ステップ中に消えるようにされている。以下に説明する方法は、不用ゾーン無しに、すなわちフレームに設けられる形状そのものに(したがって、いかなるエッジング又はカッティングステップも必要とすること無く)眼用レンズを製造するように構成され得るということに注意されたい。
【0051】
図3では、
図3の上部の点線軸に沿って取られた眼用レンズ12の断面のレベルにおいて、眼用レンズ12が第1の面20と第2の面28間に構成された本体29を呈示しているということも分かる。
【0052】
この断面上では眼用レンズ12の有用ゾーン26(したがって、エッジングされた周辺外形40を含む有用ゾーン、すなわち、このエッジングされた周辺外形を得るために使用される方法と無関係にフレームの形状にカットされた有用ゾーン)だけが示されるということに注意されたい。
【0053】
眼用レンズ12は、本明細書では、各層自体が複数の第1の所定
体積要素で形成される第1の材料35の複数の重畳層により形成される。
【0054】
この複数の重畳層は眼用レンズ12の第2の面28と第1の面20と共に本体29を形成する。
【0055】
眼用レンズ12が本明細書では既にエッジングされているが第1の材料35の重畳層はこの眼用レンズ12の第1及び第2の面20と28を形成するように異なる長さを呈示するということが観察される。
【0056】
本明細書では、これらの層はそれぞれ、その長さ全体にわたって一定の厚さを呈示し、これらの層はすべて同じ厚さを呈示する。
【0057】
この等厚は、本明細書では、製造機械1のノズル又は一組のノズル13による第1の材料35の重畳層毎の所定量の第1の所定
体積要素の拡散の制御のおかげで得られるということに注意されたい。
【0058】
本明細書では、第1の材料はアクリルポリマ、より正確にはフォトポリマ、例えば、OBJET社により市販される約1.5に等しい屈折率を有するVeroClear(商標)の製品などのフォトポリマであるということに注意されたい。
【0059】
図3は又、極微小円24が眼用レンズ12の第1の面20のレベルにおいて作製される技術的恒久マークを形成することを示す。
【0060】
本明細書では、これらの技術的極微小円24は第1の面20に可能な限り近くに作製されるということに注意されたい。これは、第1の面20が眼用レンズの最も「複雑」な面、すなわち累進レンズの場合、最大累進(別の言い方をすると、存在すれば円環状及び球状部品を無視して、高さの最大差)を呈示する面であるからである。
【0061】
ここでは(
図3)、技術的恒久マークを形成するこれらの極微小円24は第1の材料35の2つの重畳層の厚さで形成される。
【0062】
したがって、眼用レンズ12は、第1の材料35のいくつかの層の厚さで配置された第2の材料30のいくつかの所定
体積要素を含む。
【0063】
図3の左側に作製された技術的極微小円24は、第1の材料35の第1層の厚さで配置された第2の材料30の少なくとも1つの所定
体積要素と、第1層の真上に第1の材料35の第2の層の厚さで配置された第2の材料30の少なくとも1つの他の所定
体積要素とで形成される。
【0064】
図3の右側に作製された技術的極微小円24のその一部は、第1の材料35の第2の層の厚さで配置された第2の材料30の少なくとも1つの所定
体積要素と、第2の層の真上に第1の材料35の第3の層の厚さで配置された第2の材料30の少なくとも1つの他の所定
体積要素とで形成される。
【0065】
恒久マークを形成する各技術的極微小円24は、本明細書では、第1の材料35の2つの重畳及び連続層の
堆積中に、第2の材料30の所定数の所定
体積要素の
堆積により積層造形される。
【0066】
第2の材料30は、本明細書では、ジルコニアZrO2のコロイド粒子を含み約1.53の第2の複素屈折率を有するアクリルポリマであるということに注意されたい。
【0067】
したがって、第1の材料35は第2の材料30の複素屈折率と異なる複素屈折率を提供する。より正確には、これらの複素屈折率間の差は、本明細書では、約0.03程度であり、減衰係数の値は零である。
【0068】
この複素屈折率差は、技術的恒久マークを形成するこれらの極微小円24が、この眼用レンズ12の装着者の視界を少しも邪魔すること無く、それでも眼鏡技師により見えるようにする。
【0069】
これらの技術的極微小円24は例えば照射及び検出装置により検知可能である。
【0070】
技術的極微小円24の可視性は、特に、第2の材料30の第2の所定
体積要素の数により規定されるそれらのジオメトリと、これらの第2の所定
体積要素の互いの配置と第1の材料35の第1の所定
体積要素に対する配置とに依存するということに注意されたい。
【0071】
特に
図1に示す積層造形機1による、今説明した眼用レンズ12の積層造形技術のステップについて、次に
図7と
図8を参照して説明する。
【0072】
図7は、眼用レンズ12の製造を可能にするステップのブロック図である。
【0073】
指令及び制御ユニット2は眼用レンズ12の製造設定を判断するように構成される。この製造設定は、本体29と第1及び第2の面20と28の幾何学的特徴と、本体29と第1及び第2の面20と28の幾何学的特徴と第1の複素屈折率とに依存する技術的恒久マーク24の幾何学的及び位置的特徴とを含む。
【0074】
第1の複素屈折率と共に本体29と第1及び第2の面20と28の幾何学的特徴はレンズの非可視の光学基準系を規定し、一方、技術的恒久マーク24の幾何学的及び位置特徴はレンズの可視の光学基準系を規定し、非可視の光学基準系を示すということに注意されたい。
【0075】
技術的恒久マーク24の所定位置と幾何学的特徴はそれらを第1及び第2の面20と28から分離する零又は非零の距離に特に依存する。
【0076】
指令及び制御ユニット2は、製造される眼用レンズ12内に取り込まれるジオメトリと技術的恒久マークの24の特徴の製造ファイル(予め決められた製造設定に基づき生成される)をステップ100において提供するように構成される。
【0077】
本明細書では、これは眼用レンズ12のすべての技術的恒久マークだけでなく本体29と第1及び第2の面20と28のジオメトリの特徴の製造ファイルである。本明細書では、技術的恒久マーク24は本体29と第1及び第2の面20と28の幾何学的特徴とこの本体29とこれらの面20と28が生成される第1の複素屈折率とに応じて(位置という意味で)特徴付けられる。このファイルは、円環状又はプリズム部品を有する又は有しない単一視方又は累進レンズにかかわらず、眼用レンズ12に処方される光学的機能をすべて考慮するということに注意されたい。
【0078】
この製造ファイルは材料特性だけでなく有限数の点における幾何学的表面特性を含む。
【0079】
指令及び制御ユニット2はその後、ステップ100において受け取った製造ファイルに基づき、第1の所定
体積要素の数と、重畳するやり方で連続的に
堆積される第1の材料35の層の数と、
堆積される第2の材料30の第2の所定
体積要素の数と、第1の材料35の第1の所定
体積要素の
堆積中に第2の所定
体積要素を
堆積する位置とを判断するように構成される。
【0080】
本方法はその後、幾何学的及び光学的特徴を備えるとともにこの眼用レンズ12の本体29と第1及び第2の面20と28内の技術的恒久マーク24を備える眼用レンズ12を積層造形するステップ101を含む。
【0081】
より正確には、本方法は、本明細書では、積層造形機1の支持体10上にノズル又は一組のノズル13により第1の材料35の複数の層を
堆積させることにより、眼用レンズ12の第2の面28、本体29、及び第1の面20をそれぞれ積層造形するステップ110、111、112(
図8)を同時に含む。
【0082】
本方法はさらに、眼用レンズ12の第2の面28、本体29、第1の面20をそれぞれ積層造形するステップ110、111、112の任意の1つと同時に、眼用レンズ12の技術的恒久マーク21〜24を積層造形するステップ113を含む。
【0083】
本方法はさらに、積層造形された眼用レンズ12を研磨するステップ102を含み得る。
【0084】
本明細書では、本方法は、眼用レンズ12をフレームの形状で直接造形するように構成され、エッジング又はカッティングのいずれも必要としない。変形形態として、本方法は又、眼用レンズをフレームの形状へエッジング又はカッティングするステップを含む。
【0085】
本明細書では、
図1に示す積層造形機は本方法のステップ100、101、110〜113を実施できるようにし、一方、任意選択的な研磨、エッジング、及びカッティングステップ102は通常、積層造形機のものとは別の基準系を備える加工機及び/又は研削盤において行われるということに注意されたい。
【0086】
次に、本明細書では
図7と
図8に示された製造方法のステップ100、101、110〜113を実施する
図1に示す積層造形機の助けにより三次元印刷することにより製造される眼用レンズ12の変形実施形態について、
図4〜
図6を参照して説明する。
【0087】
図4〜
図6は
図3の断面図と同様であり、したがって
図4〜
図6に見える技術的恒久マークも又眼用レンズ12のゾーン24上の極微小円を表すということに注意されたい。
【0088】
図3〜
図6に示す眼用レンズ12はこれらの眼用レンズ12のそれぞれの上に異なるやり方で配置される技術的恒久マークを形成する極微小円を除いて(すなわち、
図3において
堆積される位置と異なる位置で作製された)同様であるので、
図4〜
図6において使用される基準系は
図3において使用されるものと同一であるということが観察される。
【0089】
図4では、技術的恒久マークを形成する極微小円は眼用レンズ12の第1の面28のレベルで作製される。これは、本明細書では、第1の面28がこの眼用レンズ12の最も「複雑」な光学面を呈示する面であるからである。
【0090】
本明細書では、極微小円はそれぞれ、この眼用レンズ12の本体29と第2の面28の積層造形技術中に、第1の材料35の2つの同じ層の厚さで積層造形される。
【0091】
技術的恒久マークを形成するこれらの極微小円は前のやり方と同様なやり方で、すなわち第1の材料35の層の
堆積の際に第2の材料30の所定数の所定
体積要素の
堆積により、形成される。
【0092】
本明細書では第1及び第2の材料は先に説明されたものと同一である。
【0093】
本明細書では、技術的恒久マークを形成する極微小円はそれぞれ、眼用レンズ12の本体29の積層造形中に、第1の材料の同一層の厚さで積層造形されるということを除いて、
図5は
図3と
図4と同様な眼用レンズ12の一部を示す。
【0094】
これらの極微小円は、この眼用レンズ12の第1の面20と第2の面28との両方から離れて配置される。
【0095】
前と同様に、第1の材料35と第2の材料30は上に述べたものと同一である。
【0096】
本明細書では、技術的恒久マークを形成する極微小円は、第1の材料35の単一層の
堆積中に(すなわち同時に)第2の材料30の所定数の所定
体積要素を
堆積させることにより積層造形される。
【0097】
本明細書では、第2の材料は、
図3に説明され
図4と
図5において使用された第2の材料とは異なり、一方第1の材料35は上に述べたものと同じであるということを除いて、
図6は、
図5のものと同様な(本体29内の極微小円の位置に関して)眼用レンズ12の一部を示す。
【0098】
本明細書では、第2の材料31は、所謂蛍光物質(例えば、クマリン族の分子を含むポリマ配合物)である。
【0099】
図6に示す眼用レンズ12では、技術的恒久マークを形成する極微小円はこの眼用レンズ12の本体29内に作製されるが、
図5の眼用レンズと対照的に、本明細書では、これらの極微小円はそれぞれ、第1の材料35の2又は3つの連続及び重畳層の
堆積中に(すなわち同時に)積層造形される。
【0100】
図示しない変形形態では、
− 技術的恒久マークは、
図3と
図6に示された場所に作製されないが、眼用レンズの非可視の光学基準系に応じて有用ゾーン内に作製される限り眼用レンズの他のどこかに作製される、
− 第1及び第2の材料は、それらの複素屈折率が、検知可能なこの差だけ異なる限りにおいて、上に示された材料と異なる(2つの複素指数間の差はこれらの指数の実数部及び/又は虚数部に関し得る)、
− 眼用レンズは第1の面及び/又は第2の面のレベルに及び/又は本体内に技術的恒久マークを同時に含む、
− それぞれがその長さ全体にわたって一定又は可変である厚さ及び/又はそのすべてが同じ厚さを呈示する又は呈示しない複数の第1の所定の並設及び重畳された
体積要素が重畳層を形成する、
− 第1の材料は例えばステレオリソグラフィにより形成される透明材料であり、例えば、1.5近くの屈折率を有するAccura(登録商標)ClearVue(商標)で3D SYSTEM社により市販されるエポキシポリマである、
− 第1の材料は、1つ又は複数のアクリル酸基、メタクリル酸基、アクリル酸塩基、メタクリル酸塩基を有する分子の1つ又は複数の族1つ又は複数のエポキシ基、チオエポキシ基を有する分子の族、1つ又は複数のビニルエーテル基、ビニルカプロラクタム基、ビニルピロリドン基又はこれらの基の組み合わせを有する分子の族を含むフォトポリマであり、上述の化学基はモノマ又はオリゴマにより又はモノマとオリゴマの組み合わせにより担持されることができる、
− 第1の材料は少なくとも1つの光開始剤を含み得る、
− 第1の材料はコロイド特に、例えばシリカ酸化物SiO
2のコロイド粒子又はジルコン酸化物ZrO
2のコロイド粒子などの例えば可視波長よりより小さな寸法を有するコロイド粒子を含み得る、
− 第2の材料は、アゾ基、ローダミン、シアニン、ポリメチン、メロシアニン、フルオレセイン、ピリリウム、フタロシアニン、ペリレン、ベンゾアントロン、アントラピリミジン、又はアントラピリドンの族に属する染料、又はそうでなければ希土類キレート又はクリプタートなどの金属錯塩を備える染料である、
− 本方法は、眼用レンズを研磨する任意選択的ステップの前に1つ又は複数のステップ、例えば所謂暫定マークを形成するマーキングステップを含む、
− 積層造形機は三次元印刷機ではなくむしろステレオリソグラフィ機(又はステレオリソグラフィ装置(SLA:Stereolytograpy Apparatus)、又は高張力フィラメント
堆積機とも呼ばれる熱可塑性フィラメント押し出し機(又はフューズ
堆積モデリング(FDM:Fuse Deposition Modeling)である、及び/又は
− 指令及び制御ユニットはマイクロプロセッサを含まないがむしろマイクロコントローラを含む。
【0101】
本発明は説明及び表された実施例に限定されないということを想起すべきである。