特許第6561006号(P6561006)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6561006
(24)【登録日】2019年7月26日
(45)【発行日】2019年8月14日
(54)【発明の名称】映像表示装置
(51)【国際特許分類】
   G09G 3/02 20060101AFI20190805BHJP
   G02B 26/10 20060101ALI20190805BHJP
   H04N 5/74 20060101ALI20190805BHJP
   H01S 5/062 20060101ALI20190805BHJP
【FI】
   G09G3/02 A
   G02B26/10 B
   G02B26/10 C
   H04N5/74 H
   H01S5/062
【請求項の数】8
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2016-65691(P2016-65691)
(22)【出願日】2016年3月29日
(65)【公開番号】特開2017-181642(P2017-181642A)
(43)【公開日】2017年10月5日
【審査請求日】2018年4月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】501009849
【氏名又は名称】株式会社日立エルジーデータストレージ
(74)【代理人】
【識別番号】110000198
【氏名又は名称】特許業務法人湘洋内外特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鵜飼 竜志
(72)【発明者】
【氏名】瀬尾 欣穂
(72)【発明者】
【氏名】大木 佑哉
【審査官】 越川 康弘
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭63−138792(JP,A)
【文献】 特開2003−005110(JP,A)
【文献】 特開2008−066321(JP,A)
【文献】 特開2011−216662(JP,A)
【文献】 特開2011−253843(JP,A)
【文献】 特開2012−040779(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 3/02
G02B 26/10
H01S 5/062
H04N 5/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動電流に応じて光量を変化させる光源と、
第1の階調値から第2の階調値に変更されたとき、前記第1の階調値が設定されていた時間に応じて、前記第2の階調値における前記駆動電流を制御する制御部と、
を有し、
前記制御部は、前記第1の階調値が設定されていた時間に比例した大きさの補正値を算出し、前記第2の階調値に対応した電流値から、前記補正値を加算または減算して、前記駆動電流を前記第2の階調値に対応した電流値に収束させ、階調値の一定期間過去の推移および前記補正値の単位時間あたりの変化量の一方または両方に基づいて、前記補正値を更新する間隔を変更することを特徴とする映像表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の映像表示装置において、
前記制御部は、前記第1の階調値が設定されていた時間に比例して、前記駆動電流の大きさを変更し、前記駆動電流を前記第2の階調値に対応した電流値に収束させる、
ことを特徴とする映像表示装置。
【請求項3】
請求項1に記載の映像表示装置において、
前記制御部は、前記第1の階調値と前記第2の階調値との差に比例して、前記駆動電流の大きさを変更し、前記駆動電流を前記第2の階調値に対応した電流値に収束させる、
ことを特徴とする映像表示装置。
【請求項4】
請求項1に記載の映像表示装置において、
前記制御部は、前記駆動電流を指数関数的に前記第2の階調値に対応した電流値に収束させる、
ことを特徴とする映像表示装置。
【請求項5】
請求項に記載の映像表示装置において、
前記制御部は、前記補正値を前記第2の階調値に対応した電流値の大きさに応じた収束値に指数関数的に収束させる、
ことを特徴とする映像表示装置。
【請求項6】
請求項1に記載の映像表示装置において、
前記制御部は、前記光源の電圧の過渡応答特性と、前記第1の階調値および前記第2の階調値の大小関係とに基づいて、前記駆動電流を前記第2の階調値に対応した電流値より小さくまたは大きくし、前記第2の階調値に対応した電流値に収束させる、
ことを特徴とする映像表示装置。
【請求項7】
請求項1に記載の映像表示装置であって、
前記光源は、前記光量の時定数を複数有し、
前記制御部は、前記駆動電流を前記第2の階調値に対応した電流値に収束させる際、複数の前記時定数のそれぞれに対応する収束速度によって、前記駆動電流を収束させる、
ことを特徴とする映像表示装置。
【請求項8】
請求項1に記載の映像表示装置において、
前記制御部は、前記光源の前記光量をモニタし、モニタした前記光量に応じて、前記駆動電流を制御する、
ことを特徴とする映像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、「光源を駆動する電流の値が急変しても、表示される画像の均一度が劣化しない光源駆動装置、プロジェクタ装置、および表示装置」が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−117496号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示される方法では、表示する映像の階調値が変わってもレーザーダイオードの駆動電源の電圧変動を補償することで、映像の明るさムラを低減することが可能である。
【0005】
しかしながら、駆動電源の電圧変動がなく、一定の電流をレーザーダイオードに流している場合においても、レーザーダイオードは過去の電流推移に応じて出力光量が変動するという応答特性を有している。そのため、映像の明るさムラが発生するという問題がある。
【0006】
そこで本発明は、映像の明るさムラを低減する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願は、上記課題の少なくとも一部を解決する手段を複数含んでいるが、その例を挙げるならば、以下の通りである。上記課題を解決すべく、本発明に係る映像表示装置は、駆動電流に応じて光量を変化させる光源と、第1の階調値から第2の階調値に変更されたとき、前記第1の階調値が設定されていた時間に応じて、前記第2の階調値における前記駆動電流を制御する制御部と、を有し、前記制御部は、前記第1の階調値が設定されていた時間に比例した大きさの補正値を算出し、前記第2の階調値に対応した電流値から、前記補正値を加算または減算して、前記駆動電流を前記第2の階調値に対応した電流値に収束させ、階調値の一定期間過去の推移および前記補正値の単位時間あたりの変化量の一方または両方に基づいて、前記補正値を更新する間隔を変更することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、映像の明るさムラを低減することができる。上記した以外の課題、構成、および効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1の実施の形態に係る映像表示システムの構成例を示した図である。
図2】レーザー光源部のブロック構成例を示した図である。
図3】レーザー光源に流す電流と、レーザー光源の順方向電圧と、レーザー光源が放出する光量との時間変化の一例を示す図である。
図4】制御部のブロック構成例を示した図である。
図5】駆動処理部のブロック構成例を示した図である。
図6】補正部の動作例を示したフローチャートである。
図7】補正部の動作例を説明するタイミングチャートである。
図8】第2の実施の形態に係る駆動処理部のブロック構成例を示した図である。
図9】補正部の動作例を示したフローチャートである。
図10】第3の実施の形態に係る補正部の動作例を示したフローチャートである。
図11】第4の実施の形態に係る補正部の動作例を示したフローチャートである。
図12】補正部の動作例を説明するタイミングチャートである。
図13】第5の実施の形態に係る駆動処理部のブロック構成例を示した図である。
図14】レーザー光源の2つの時定数と、補正値と、後段電流値とを説明する図である。
図15】第6の実施の形態に係る映像表示装置のブロック構成例である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0011】
[第1の実施の形態]
図1は、第1の実施の形態に係る映像表示システム1の構成例を示した図である。図1に示すように、映像表示システム1は、映像表示装置2と、スクリーン3とを有している。
【0012】
映像表示装置2は、レーザー光をスクリーン3上に走査して映像を表示するレーザー走査型映像表示装置である。映像表示装置2は、レーザー光源部10と、走査部20とを有している。
【0013】
レーザー光源部10には、スクリーン3に表示する映像の映像信号が入力される。レーザー光源部10は、入力された映像信号で変調したレーザー光を走査部20に出射する。
【0014】
走査部20は、走査素子21を有している。走査素子21は、レーザー光源部10から出射されたレーザー光をスクリーン3へ反射するミラー面を有している。
【0015】
走査素子21のミラー面は、2軸で回転し、レーザー光をスクリーン3上で2次元走査する。例えば、走査素子21のミラー面は、レーザー光をスクリーン3上でy方向(垂直方向)に走査する回転軸(以下、第1軸と呼ぶことがある)と、x方向(水平方向)に走査する回転軸(以下、第2軸と呼ぶことがある)とで回転する。第1軸と第2軸は、例えば、直交している。
【0016】
ここで、スクリーン3に表示する映像のフレームレートを「f」、x方向の画素数を「H」、y方向の画素数を「V」とする。走査部20は、走査素子21の第1軸(y方向走査用の軸)を回転させ、レーザー光を1フレーム期間「1/f」の間に、y方向へ1回走査する。また、走査部20は、第2軸(x方向走査用の軸)を回転させ、レーザー光を1フレーム期間「1/f」の間に、x方向へV回走査する。y方向およびx方向の走査タイミングは、レーザー光源部10のレーザー光を変調する映像信号に同期される。
【0017】
このようにして、映像表示装置2は、x方向にH画素、y方向にV画素を有する1フレーム分の走査を行い、この1フレーム分の走査を繰り返す。これにより、スクリーン3には、映像信号に応じた映像I1が表示される。
【0018】
なお、走査素子21の第1軸および第2軸の一方または両方は、スクリーン3上の走査パターンに応じて、一方向のみ(例えば、右回転のみ)に回転する場合と、両方向に繰り返し回転する(例えば、360度未満で左回転と右回転とを繰り返す)場合とがある。
【0019】
また、図1では、走査部20は、走査素子21を有するとしたが、これに限定されるものではない。例えば、走査部20は、それぞれがミラー面を備える2つの走査素子を有し、2つの走査素子は、それぞれが1つの回転軸を有していてもよい。これら2つの回転軸は、前述した第1軸および第2軸に対応し、2つの走査素子のそれぞれのミラー面は、その回転により、レーザー光をスクリーン3上でy方向およびx方向に走査する。
【0020】
図2は、レーザー光源部10のブロック構成例を示した図である。図2に示すように、レーザー光源部10は、制御部31と、レーザー光源32a,32b,32cと、ダイクロイックミラー33a,33bとを有している。以下では、レーザー光源32a,32b,32cを互いに区別する必要がない場合は、まとめてレーザー光源32と記載する。
【0021】
制御部31は、レーザー光源部10の全体を制御する。制御部31は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)などのカスタムIC(Integrated Circuit)によって、その機能が実現される。
【0022】
制御部31には、映像信号が入力される。映像信号には、例えば、フレームごとにおける画素ごとのR(赤),G(緑),B(青)の階調値の情報が含まれている。以下で詳述するが、制御部31は、R,G,Bの階調値に応じた光量のレーザーが、レーザー光源32a,32b,32cから出射されるよう、レーザー光源32a,32b,32cを制御する。
【0023】
レーザー光源32a,32b,32cは、例えば、レーザーダイオード(LD)である。レーザー光源32a,32b,32cは、制御部31から出力される電流(駆動電流)によって、レーザー光を出射する。
【0024】
レーザー光源32a,32b,32cのそれぞれは、異なる色のレーザー光を出射する。例えば、レーザー光源32aは、「R」のレーザー光を出射し、レーザー光源32bは、「G」のレーザー光を出射し、レーザー光源32cは、「B」のレーザー光を出射する。なお、いずれのレーザー光源32a,32b,32cが、いずれの色のレーザー光を出射しても構わない。
【0025】
ダイクロイックミラー33a,33bは、レーザー光源32が出射した光を合波する。レーザー光源32およびダイクロイックミラー33a,33bは、3色のレーザー光が略同一光軸で略同一方向に進行するように配置される。
【0026】
なお、上記では、レーザー光源部10は、「R,G,B」の3色のレーザー光を利用して、映像I1のフルカラー表示を行うが、これに限定されるものではない。レーザー光源部10は、光学系を簡略化して、1色あるいは2色のレーザー光を用いて、映像I1を表示してもよい。または、レーザー光源部10は、光出力強度を高めるため、一色につき複数個のレーザー光源を利用してもよい。
【0027】
ここで、スクリーン3上に、明るさムラのない高品質の映像を表示するには、制御部31は、映像内の画素位置に関係なく、表示する画素の階調値が同一であれば同一の明るさとなるよう、レーザー光源32を制御する必要がある。レーザー光源32が放出する光量は、レーザー光源32(LD)に流れる電流量によって制御されるので、制御部31は、表示する画素の階調値が同一であれば、スクリーン3上で同一の明るさとなるように、レーザー光源32に流す電流量を制御する。
【0028】
レーザー光源32に流す電流と、レーザー光源32が放出する光量とが、時間変化することなく、一対一対応であれば、制御部31は、映像信号に含まれる階調値に基づいて決定する電流値によって、レーザー光源32を駆動すればよい。しかし、次に説明するように、レーザー光源32に流す電流と、レーザー光源32の順方向電圧との関係は、時間変化し、同様にレーザー光源32に流す電流と、レーザー光源32が放出する光量との関係も時間変化する。
【0029】
図3は、レーザー光源32に流す電流と、レーザー光源32の順方向電圧と、レーザー光源32が放出する光量との時間変化の一例を示す図である。図3に示す横軸は、時間を示している。図3に示す「電流」は、レーザー光源32に流れる電流を示している。図3に示す「電圧」は、レーザー光源32に生じる順方向電圧を示している。図3に示す「光量」は、レーザー光源32が放出する光量を示している。
【0030】
図3の時刻「T1」以前では、レーザー光源32には、一定の電流「I1」が流れ、順方向電圧は「V1」であったとする。この定常状態から、時刻「T1」において、レーザー光源32に流す電流を「I2」(I2>I1)に変更したとする。この場合、レーザー光源32の順方向電圧は、オーバーシュートした後に、電圧「V2」に指数関数的に収束する。オーバーシュート時の収束の時定数は、レーザー光源32によって異なり、例えば、10nsから10msである。
【0031】
レーザー光源32の順方向電圧が、電圧「V2」に収束した後、時刻「T2」でレーザー光源32に流す電流を「I1」に変更したとする。そして、時刻「T3」(T3=T2+t1」において、レーザー光源32に流す電流を「I2」に変更したとする。時間「t1」は、所定の時定数「Tc」(順方向電圧のオーバーシュート量が、飽和するための時間)に比べて十分に短い(t1<<Tc)とする。この場合も、レーザー光源32の順方向電圧は、オーバーシュートした後、電圧「V2」に収束するが、オーバーシュート量は、時刻「T1」におけるオーバーシュート量(飽和したオーバーシュート量)に比べて小さい。
【0032】
レーザー光源32の順方向電圧のオーバーシュート量は、電流を「I2」から「I1」に変更した後、「I1」から「I2」に変更するまでの時間が長くなるほど大きくなる。例えば、図3の時間「t1」,「t2」,「t3」に示すように、電流が「I1」から「I2」に変更されるまでの時間が長くなるほど、図3の矢印A1,A2,A3に示すように、レーザー光源32の順方向電圧のオーバーシュート量は大きくなる。
【0033】
なお、電流を「I2」から「I1」に変更した後、「I1」から「I2」に変更するまでの時間が、時定数「Tc」に比べて十分長いと、オーバーシュート量は、所定量で飽和する。例えば、図3において、「T7−T6>>Tc」であり、時刻「T7」におけるオーバーシュート量は、時刻「T1」におけるオーバーシュート量(飽和したオーバーシュート量)に等しい。
【0034】
レーザー光源32が放出する光量は、レーザー光源32の順方向電圧のオーバーシュートに応じて、オーバーシュートする。例えば、電流を「I1」から「I2」に変更したときに、レーザー光源32が放出する光量はオーバーシュートする。そして、オーバーシュートした光量は、次第に光量「L2」に収束する。光量のオーバーシュート量は、順方向電圧のオーバーシュート量に比例して大きくなる。
【0035】
時刻「T8」から時刻「T9」に示すように、電流「I1」を、時定数「Tc」に比べて十分長い時間、レーザー光源32に流した後、時刻「T9」において、電流を「I3」(I1<I3<I2)に変更したとする。この場合、レーザー光源32の順方向電圧は、オーバーシュートした後、電圧「V3」(V1<V3<V2)に収束する。
【0036】
時刻「T9」での順方向電圧のオーバーシュート量は、時刻「T1」におけるオーバーシュート量に比べて小さい。そして、時刻「T9」での光量のオーバーシュート量も、時刻「T1」における光量のオーバーシュート量に比べて小さい。
【0037】
レーザー光源32に流れる電流の大きさは、階調値によって決められる。従って、レーザー光源32は、第1の階調値から第2の階調値に変更されたとき、第1の階調値が設定されていた時間に応じて、光量のオーバーシュート量が変動する。例えば、電流「I1」を流す階調値から、電流「I2」を流す階調値に変更されたとき、電流「I1」が流れていた時間が長いほど(電流「I1」を流す階調値の設定時間が長いほど)、光量のオーバーシュート量は大きくなる。
【0038】
また、レーザー光源32は、第1の階調値と前記第2の階調値との差に応じて、光量のオーバーシュート量が変動する。すなわち、レーザー光源32に流れる電流の変化が大きいほど、レーザー光源32の順方向電圧のオーバーシュートは大きく、光量のオーバーシュート量も大きくなる。例えば、電流「I1」を流す階調値から、電流「I2」を流す階調値に変更されたときの光量のオーバーシュート量は、電流「I1」から電流「I3」に変更されたときよりも大きくなる。
【0039】
なお、上記では、レーザー光源32に流れる電流が急激に増加した場合のオーバーシュートについて説明したが、レーザー光源32に流れる電流が急激に減少した場合には、レーザー光源32の順方向電圧は、アンダーシュートして、指数関数的に所定の値に収束する。
【0040】
また、レーザー光源32によっては、レーザー光源32に流す電流が急激に増加または減少したときに、レーザー光源32の順方向電圧が略瞬間的に増加または減少した後、例えば、過減衰のように、オーバーシュートまたはアンダーシュートすることなく、所定の電圧に収束する場合もある。
【0041】
このような過渡応答特性を有するレーザー光源32では、同一の階調値によって、同一の電流をレーザー光源32に流していても、過去の電流推移に応じて、レーザー光源32が放出する光量が時間変化する。そのため、スクリーン3に表示される映像I1には、明るさムラが生じる。
【0042】
そこで、制御部31は、光量の時間変化を考慮した、レーザー光源32の電流制御を行い、映像I1の明るさムラを低減する。以下では、レーザー光源32は、電流が急激に増加すると、順方向電圧がオーバーシュートし、所定の電圧に収束する過渡応答特性を有するとして説明を行う。
【0043】
図4は、制御部31のブロック構成例を示した図である。図4には、制御部31の他に、図2に示したレーザー光源32と、図1に示した走査部20とが示してある。図4に示すように、制御部31は、信号処理部41と、駆動処理部42a,42b,42cと、走査処理部43とを有している。以下では、駆動処理部42a,42b,42cを互いに区別する必要がない場合は、まとめて駆動処理部42と記載する。
【0044】
信号処理部41には、映像信号が入力される。信号処理部41は、入力された映像信号に基づいて、走査処理部43に走査素子同期信号を出力する。
【0045】
走査素子同期信号は、走査部20のミラー面の回転を制御する信号であり、スクリーン3上に出射されるレーザー光の、走査タイミングを制御する信号である。例えば、走査素子同期信号は、所定の時間間隔で、レーザー光が映像I1の何れの画素を描画するかを指示する信号である。
【0046】
また、信号処理部41は、入力された映像信号に基づいて、駆動処理部42a,42b,42cのそれぞれに、色階調信号と駆動制御信号とを出力する。
【0047】
駆動処理部42a,42b,42cのそれぞれに出力される色階調信号には、R,G,Bのいずれかの階調値が含まれている。例えば、レーザー光源32aは、「R」のレーザー光を出射し、レーザー光源32bは、「G」のレーザー光を出射し、レーザー光源32cは、「B」のレーザー光を出射するとする。この場合、駆動処理部42aに出力される色階調信号には、「R」の階調値が含まれ、駆動処理部42bに出力される色階調信号には、「G」の階調値が含まれ、駆動処理部42cに出力される色階調信号には、「B」の階調値が含まれる。
【0048】
駆動処理部42に出力される駆動制御信号には、駆動処理部42の動作をリセットするリセット信号と、駆動処理部42の処理タイミングを制御するクロック信号とが含まれている。
【0049】
色階調信号と駆動制御信号の駆動処理部42への出力は、走査処理部43に出力される走査素子同期信号と同期している。駆動処理部42へ出力されるR,G,Bの階調値は、走査素子同期信号が、スクリーン3への描画を指示する画素の階調値である。
【0050】
駆動処理部42は、信号処理部41から出力される色階調信号に基づいて、レーザー光源32を駆動する電流を生成し、レーザー光源32に出力する。
【0051】
走査処理部43は、信号処理部41から出力される走査素子同期信号に基づいて、走査部20を駆動する信号を生成し、走査部20に出力する。
【0052】
図5は、駆動処理部42aのブロック構成例を示した図である。図5に示すように、駆動処理部42aは、階調電流部51と、補正部52とを有している。なお、駆動処理部42b,42cも、図5に示す駆動処理部42aと同様のブロック構成例を有し、その説明を省略する。
【0053】
階調電流部51には、図4に示した信号処理部41から出力される色階調信号が入力される。階調電流部51に入力される色階調信号には、例えば、「R」の階調値が含まれている。
【0054】
階調電流部51は、階調値を電流値に換算するための電流変換ルックアップテーブル(図示せず)を有している。電流変換LUT(LUT:ルックアップテーブル)には、階調値と、その階調値に対応した電流値とが記憶されている。階調電流部51は、信号処理部41から入力された色階調信号に含まれる階調値に基づいて、電流変換LUTを参照し、階調値に応じた電流値を取得する。階調電流部51は、取得した電流値を補正部52に出力する。
【0055】
補正部52は、階調電流部51から出力された電流値を補正する。例えば、補正部52は、レーザー光源32aの順方向電圧がオーバーシュートしないように、階調電流部51から出力された電流値を補正する。補正部52は、補正した電流値の電流を、レーザー光源32aに出力する。
【0056】
階調電流部51および補正部52には、図4に示した信号処理部41から、駆動制御信号が入力される。階調電流部51および補正部52は、入力された駆動制御信号に含まれるクロック信号に基づいて動作する。また、階調電流部51および補正部52は、入力された駆動制御信号に含まれるリセット信号に基づいて、その動作をリセットする。
【0057】
補正部52の電流値補正について詳述する。以下では、階調電流部51から出力される電流値を前段電流値と呼び、補正部52が補正した電流値を後段電流値と呼ぶことがある。また、「n」は、クロック信号が指示するタイミングごとに、「1」ずつ増加する整数のカウンターとする。また、カウンターの値が「n」であるときの前段電流値をI[n]とし、後段電流値をO[n]とする。また、前段電流値I[n]を補正して、後段電流値O[n]を算出するための補正値をP[n]とする。
【0058】
補正部52は、階調電流部51から出力された前段電流値I[n]を、補正ゲイン値g(I[n])に換算する。g(I[n])は、0以上の値であり、I[n]の値が大きいほど大きい値となる。
【0059】
例えば、補正部52は、補正ゲイン値LUT(図示せず)を有している。補正ゲイン値LUTは、I[n]と、I[n]が大きくなるほど大きい値となる補正ゲイン値gとを対応付けて記憶している。補正部52は、補正ゲイン値LUTを参照して、前段電流値I[n]に対応する補正ゲイン値g(I[n])を取得する。
【0060】
補正部52は、クロック信号が指示するタイミングごとに、後段電流値O[n]を、次の式(1)に基づいて算出する。
【0061】
O[n]=I[n]−q(P[n],I[n]) …(1)
【0062】
ここで、式(1)の右辺第2項の「q」は、次の式(2)で示される。
【0063】
q(P[n],I[n])=g(I[n])・P[n] …(2)
【0064】
また、補正部52は、クロック信号が指示するタイミングごとに、次の式(3)に基づいて、新たな(次の)補正値P[n+1]を算出する。
【0065】
P[n+1]=f(P[n],I[n],n) …(3)
【0066】
すなわち、補正値P[n+1]は、前回の補正値P[n]および前段電流値I[n]に基づいて、算出される。
【0067】
なお、式(3)の「f」は、所定の関数であり、補正値は、関数fによって、クロック信号が指示するタイミングごとに、次のように変化する。
【0068】
・補正値は、I[n]が「Imin」のとき、補正値の上限値であるPmaxまで単調増加する。
【0069】
・補正値は、I[n]が「Imin」でないとき、補正値の下限値である「0」まで単調減少する。
【0070】
「Imin」は、レーザー光源32aに流す電流の最小値である。例えば、「Imin」は、階調値が「0」のときの、レーザー光源32aに流す電流である。
【0071】
補正部52は、リセット信号を入力したときは、補正値P[n+1]を「P0」とする。「P0」は、所定の定数である。
【0072】
図6は、補正部52の動作例を示したフローチャートである。以下で示すMax(A,B)は、AおよびBのうち、大きい値を返す関数である。Min(A,B)は、AおよびBのうち、小さい値を返す関数である。また、「a」および「b」は、いずれも「0」よりも大きい値である。補正部52は、カウンターの値「n」が更新されるたびに、図6に示すフローチャートの処理を実行する。
【0073】
まず、補正部52は、リセット信号を入力したか否か判定する(ステップS1)。
【0074】
補正部52は、ステップS1にてリセット信号を入力したと判定した場合(S1の「Yes」)、補正値P[n+1]を「P0」にする(ステップS2)。そして、補正部52は、当該フローチャートの処理を終了する。
【0075】
補正部52は、ステップS1にてリセット信号を入力していないと判定した場合(S1の「No」)、前段電流値I[n]が「Imin」であるか否か判定する(ステップS3)。
【0076】
補正部52は、ステップS3にて前段電流値I[n]が「Imin」でないと判定した場合(S3の「No」)、次の式(4)に基づいて、補正値P[n+1]を算出する(ステップS4)。
【0077】
P[n+1]=Max(P[n]−b,0) …(4)
【0078】
すなわち、補正部52は、補正値P[n]から「b」を減算した値と、「0」とのうち、大きい方を、補正値P[n+1]とする。そして、補正部52は、当該フローチャートの処理を終了する。
【0079】
補正部52は、ステップS3にて前段電流値I[n]が「Imin」であると判定した場合(S3の「Yes」)、次の式(5)に基づいて、補正値P[n+1]を算出する(ステップS5)。
【0080】
P[n+1]=Min(P[n]+a,Pmax) …(5)
【0081】
すなわち、補正部52は、補正値P[n]に「a」を加算した値と、補正値の上限値である「Pmax」とのうち、小さい方を、補正値P[n+1]とする。そして、補正部52は、当該フローチャートの処理を終了する。
【0082】
図7は、補正部52の動作例を説明するタイミングチャートである。図7には、補正部52が図6のフローチャートを実行した場合のタイミングチャートが示してある。
【0083】
図7に示すI[n]は、図5の階調電流部51から出力される前段電流値を示している。図7に示すP[n]は、補正部52が算出する補正値を示している。図7に示すO[n]は、補正部52がレーザー光源32aに出力する電流の後段電流値を示している。図7に示す「電圧」は、後段電流値O[n]によって、レーザー光源32aに生じる順方向電圧を示している。図7に示す「光量」は、レーザー光源32aが後段電流値O[n]によって出射する光量を示している。図7の横軸は時間を示している。
【0084】
図7に示す「Imax」は、前段電流値の最大値を示している。例えば、「Imax」は、階調値が最も大きいときの前段電流値である。具体的には、階調値が「0〜255」で変化する場合、「Imax」は、階調値が「255」のときの前段電流値である。
【0085】
図7に示す「Imin」は、前段電流値の最小値を示している。例えば、「Imin」は、階調値が最も小さいときの前段電流値である。具体的には、階調値が「0〜255」で変化する場合、「Imin」は、階調値が「0」のときの前段電流値である。
【0086】
補正値は、図7に示すように、前段電流値「Imax」の時間が十分長いと「0」になる。
【0087】
補正部52は、前段電流値が「Imax」から「Imin」に変化すると、補正値を、図7の時間「t1」,「t2」,「t3」に示すように、「Pmax」に到達するまで増加させる。単位時間当たりの増加量は、一定である。
【0088】
補正値は、図7の時間「t1」,「t2」,「t3」に示すように、前段電流値「Imin」の期間が長いほど大きくなる。例えば、時間「t2」は、時間「t1」より長い。従って、時刻「T5」における補正値は、時刻「T3」における補正値より大きい。
【0089】
補正部52は、図7の時刻「T3」,「T5」,「T7」に示すように、前段電流値が「Imin」から「Imax」に変化すると、補正値を、一定の単位時間当たりの減少量で、「0」に到達するまで減少する。
【0090】
補正部52は、式(1)および式(2)より、前段電流値から、補正値によって定まる量だけ小さい後段電流値を出力する。補正値は、前段電流値「Imin」の期間が長いほど大きくなるため、後段電流値は、前段電流値が「Imin」から「Imax」に変化したとき、前段電流値が「Imin」であった期間が長いほど小さくなる。
【0091】
補正値を増加するパラメータ「a」および補正値を減少するパラメータ「b」(図6のステップS4,S5の「a」,「b」)は、レーザー光源32の過渡応答特性によるオーバーシュートと、後段電流値の時間変化が相殺し合う値である。これにより、前段電流値が「Imin」から「Imax」に変化した後におけるレーザー光源32の順方向電圧のオーバーシュートは小さくなり、レーザー光源32が放出する光量も、前段電流値が「Imin」から「Imax」に変化した後、略一定となる。
【0092】
図7の時間「t1」,「t2」に示すように、前段電流値「Imin」の持続期間が短く、前段電流値が「Imin」から「Imax」に変化したとき、補正値は「Pmax」でないとする。前段電流値が「Imin」から「Imax」に変化した時刻の補正値は、当該時刻から、当該時刻より所定の時間前までにおいて、前段電流値が「Imin」であった期間が長いほど、大きい値となる。これにより、補正部52は、補正値を用いて、レーザー光源32の順方向電圧のオーバーシュートを抑えることができる。そして、補正部52は、レーザー光源32が放出する光量を、前段電流値が「Imin」から「Imax」に変化した後、略一定にすることができる。
【0093】
図7の時刻「T9」に示すように、前段電流値が「Imin」から「Iint」(Imin<Iint<Imax)に変化したとする。前段電流値を「Imin」から「Iint」に変化させたときの順方向電圧のオーバーシュート量は、前段電流値を「Imin」から「Imax」に急激に変化させたときの順方向電圧のオーバーシュート量よりも小さい。上記で説明したゲイン補正値g(I[n])は、前段電流値の変化が大きいほど、大きい値を前段電流値から減じて、後段電流値を算出するための係数である。これにより、後段電流値の変化と、レーザー光源32の過渡応答特性の相殺により、前段電流値が「Imin」から[Iint]に変化した後における、レーザー光源32の順方向電圧のオーバーシュートは小さくなる。そして、レーザー光源32が放出する光量も、前段電流値が「Imin」から「Iint」に変化した後、略一定となる。
【0094】
なお、上記では、前段電流値は、「Imin」から「Imax」または「Imin」から「Iint」に変化するとして説明したが、これに限られない。「Imin」以上「Imax」以下のいかなる電流値から、いかなる電流値に変化する場合においても、補正部52は、レーザー光源32の順方向電圧のオーバーシュートが少なくなるように、レーザー光源32に流す電流を制御する。そして、補正部52は、レーザー光源32の出射光量を略一定にし、映像I1の明るさムラを低減する。
【0095】
また、上記では、レーザー光源32は、電流値が急激に増加すると、順方向電圧がオーバーシュートし、その後、所定の電圧に収束する過渡応答特性を有するとして説明を行ったが、これに限られない。レーザー光源32の順方向電圧が、オーバーシュートすることなく、例えば、過減衰のように所定の電圧に収束する場合にも、補正部52は、式(1)を用いて後段電流値を算出することで、レーザー光源32の過渡応答特性を補償することができる。ただし、この場合の式(1)の「q」は、次の式(6)で示される。
【0096】
q(P[n],I[n])=−g(I[n])・P[n] …(6)
【0097】
すなわち、補正部52は、レーザー光源32が、オーバーシュートすることなく所定電圧に収束する特性を有している場合、前段電流値I[n]にg(I[n])・P[n]を加算し、後段電流値の大きさを大きくする。
【0098】
以上説明したように、制御部31の補正部52は、第1の階調値から第2の階調値に変更されたとき(レーザー光源32に流す駆動電流が、第1の電流値から第2の電流値に変更されたとき)、第1の階調値が設定されていた時間に応じて(第1の電流値が流れていた時間に応じて)、レーザー光源32の第2の階調値における駆動電流を制御する。例えば、補正部52は、図7で説明したように、時間「t1」,「t2」,「t3」の長さに応じて、時刻「T3」,「T5」,「T7」以降における後段電流値(第2の階調値における駆動電流)を制御する。これにより、映像表示装置2は、スクリーン3に表示する映像の明るさムラを低減することができる。
【0099】
また、補正部52は、第1の階調値が設定されていた時間に比例して、第2の階調値におけるレーザー光源32の駆動電流の大きさを変更し、駆動電流を第2の階調値に対応した電流値に収束させる。例えば、補正部52は、図7で説明したように、時間「t1」,「t2」,「t3」の長さに比例して、時刻「T3」,「T5」,「T7」における後段電流値の大きさを小さくする。そして、補正部52は、レーザー光源32の駆動電流を、第2の階調値に対応した電流値(Imax)に収束させる。これにより、レーザー光源32の順方向電圧のオーバーシュートが抑制され、映像表示装置2は、スクリーン3に表示する映像の明るさムラを低減することができる。
【0100】
また、補正部52は、第1の階調値と第2の階調値との差に比例して、駆動電流の大きさを変更し、駆動電流を第2の階調値に対応した電流値に収束させる。例えば、図7で説明したように、「Imin」と「Iint」との差は、「Imin」と「Imax」との差より小さい。従って、補正部52は、時刻「T9」における後段電流値の大きさを、時刻「T7」における大きさより小さくする。これにより、レーザー光源32の順方向電圧のオーバーシュートが抑制され、映像表示装置2は、スクリーン3に表示する映像の明るさムラを低減することができる。
【0101】
[第2の実施の形態]
第2の実施の形態では、制御部31は、補正値を更新する間隔を制御する。以下では、第1の実施の形態と異なる部分について説明する。
【0102】
図8は、第2の実施の形態に係る駆動処理部42aのブロック構成例を示した図である。図8において、図5と同じものには同じ符号が付してある。図8に示すように、駆動処理部42aは、補正部61と、更新制御部62とを有している。
【0103】
補正部61は、前段電流値および補正値の一方または両方を更新制御部62へ出力する。更新制御部62は、前段電流値および補正値の一方または両方に基づいて、補正部61の補正値を更新する間隔を変更する。
【0104】
以下では、「N」は、クロック信号が指示するタイミングの何個ごとに、補正値P[n+1]を補正値P[n]とは異なる値に更新するかを表す。「N」は、1以上の整数である。
【0105】
図9は、補正部61の動作例を示したフローチャートである。補正部61は、カウンターの値「n」が更新されるたびに、図9に示すフローチャートの処理を実行する。図9に示すステップS11,S12の処理は、図6に示したステップS1,S2の処理と同様であり、その説明を省略する。
【0106】
補正部61は、ステップS11にてリセット信号を入力していないと判定した場合(S11の「No」)、「n」が「N」の整数倍であるか否か判定する(ステップS13)。
【0107】
補正部61は、ステップS13にて「n」が「N」の整数倍でないと判定した場合(S13の「No」)、補正値P[n+1]の値を、前回の補正値P[n]の値にする(ステップS14)。そして、補正部61は、当該フローチャートの処理を終了する。
【0108】
補正部61は、ステップS13にて「n」が「N」の整数倍であると判定した場合(S13の「Yes」)、前段電流値I[n]が「Imin」であるか否か判定する(ステップS15)。
【0109】
補正部61は、ステップS15にて前段電流値I[n]が「Imin」でないと判定した場合(S15の「No」)、次の式(7)に基づいて、補正値P[n+1]を算出する(ステップS16)。
【0110】
P[n+1]=Max(P[n]−b・N,0) …(7)
【0111】
すなわち、補正部61は、「n」が「N」の整数倍のとき、補正値P[n+1]を、補正値P[n]とは異なる値に更新する。そして、補正部61は、当該フローチャートの処理を終了する。
【0112】
なお、式(7)の「b・N」は、補正値P[n+1]の補正値P[n]に対する減少幅を示している。式(7)では、「b」に「N」が乗算されているため、一回の更新で更新される補正値P[n+1]の減少幅は、式(4)のときより大きくなるが、クロック信号が指示するタイミングのN個ごとに更新するため、平均では変わらない。
【0113】
補正部61は、ステップS15にて前段電流値I[n]が「Imin」であると判定した場合(S15の「Yes」)、次の式(8)に基づいて、補正値P[n+1]を算出する(ステップS17)。
【0114】
P[n+1]=Min(P[n]+a・N,Pmax) …(8)
【0115】
すなわち、補正部61は、「n」が「N」の整数倍のとき、補正値P[n+1]を、補正値P[n]とは異なる値に更新する。そして、補正部61は、当該フローチャートの処理を終了する。
【0116】
なお、式(8)の「a・N」は、補正値P[n+1]の補正値P[n]に対する増加幅を示している。式(8)では、「a」に「N」が乗算されているため、一回の更新で更新される補正値P[n+1]の増加幅は、式(5)のときより大きくなるが、クロック信号が指示するタイミングのN個ごとに更新するため、平均では変わらない。
【0117】
更新制御部62は、補正部61から出力される前段電流値および補正値の一方または両方に基づいて、補正部61の補正値を更新する間隔の「N」を動的に変更する。
【0118】
例えば、更新制御部62は、所定の「M」(Mは、1以上の整数)に対して、I[n−M],I[n−M+1],…,I[n]の最大値と最小値とを検出する。更新制御部62は、検出した一定期間過去の前段電流値の最大値と最小値との差が所定の値より大きい場合、「N」を「1」の値に設定し、そうでなければ、「N」を2以上の値に設定する。
【0119】
または、例えば、更新制御部62は、補正値の単位時間あたりの変化量を計測する。更新制御部62は、補正値の単位時間あたりの変化量が所定の値より大きい場合、「N」を「1」に設定し、そうでなければ、「N」を2以上の値に設定する。
【0120】
または、例えば、更新制御部62は、上記の2つの方法を用いて、「N」を設定してもよい。例えば、更新制御部62は、一定期間過去の前段電流値の最大値と最小値との差が所定の値より大きくない場合、または、補正値の単位時間あたりの変化量が所定の値より大きくない場合、「N」を2以上に設定してもよい。
【0121】
更新制御部62が「N=1」と設定した場合、補正部61は、クロック信号が指示するタイミングごとに補正値を更新する。これにより、補正部61は、映像I1の明るさムラの低減精度を高めることができる。また、更新制御部62が「N」を2以上の値に設定した場合、補正部61は、処理負荷を低減することができる。例えば、補正部61は、「n」が「N」の整数倍でないとき、加減算処理や、大小判定の処理を行わず、補正値P[n+1]に補正値P[n]を代入する処理を行えばよいため、処理負荷が低減される。
【0122】
以上説明したように、制御部31の補正部61は、階調値(前段電流値)の一定期間過去の推移および補正値の単位時間あたりの変化量の一方または両方に基づいて、補正値を更新する間隔を変更する。これにより、映像表示装置2は、映像I1の明るさムラを低減するとともに、処理負荷を低減することができる。
【0123】
[第3の実施の形態]
第3の実施の形態では、後段電流値を指数関数的に変化させ、映像I1の明るさムラの低減効果を高める。第3の実施の形態に係る制御部および駆動処理部のブロック構成例は、図4に示した制御部31および図5に示した駆動処理部42と同様である。ただし、駆動処理部42の補正部52の処理内容が一部異なる。以下では、補正部52の処理の異なる部分について説明する。
【0124】
図10は、第3の実施の形態に係る補正部52の動作例を示したフローチャートである。補正部52は、カウンターの値「n」が更新されるたびに、図10に示すフローチャートの処理を実行する。図10に示すステップS21,S22の処理は、図6に示したステップS1,S2の処理と同様であり、その説明を省略する。
【0125】
補正部52は、ステップS21にてリセット信号を入力していないと判定した場合(S1の「No」)、前段電流値I[n]が「Imin」であるか否か判定する(ステップS23)。
【0126】
補正部52は、ステップS23にて前段電流値I[n]が「Imin」でないと判定した場合(S23の「No」)、次の式(9)に基づいて、補正値P[n+1]を算出する(ステップS24)。
【0127】
P[n+1]=P[n]−d・P[n] …(9)
【0128】
そして、補正部52は、当該フローチャートの処理を終了する。
【0129】
補正部52は、ステップS23にて前段電流値I[n]が「Imin」であると判定した場合(S23の「Yes」)、次の式(10)に基づいて、補正値P[n+1]を算出する(ステップS25)。
【0130】
P[n+1]=P[n]+c・(Pmax−P[n]) …(10)
【0131】
そして、補正部52は、当該フローチャートの処理を終了する。
【0132】
なお、式(9)の「d」および式(10)の「c」は、いずれも「0」よりも大きい値である。n=n0,n=n0+1,n=n0+2,…に対して、前段電流値I[n]が「Imin」に等しい場合、補正値P[n]は、「Pmax」に指数関数的に漸近する。また、n=n0,n=n0+1,n=n0+2,…に対して、前段電流値I[n]が「Imin」に等しくない場合、P[n]は、「0」に指数関数的に漸近する。
【0133】
以上説明したように、補正部52は、階調値が第1の階調値から第2の階調値に変更されたとき、レーザー光源32の駆動電流を指数関数的に第2の階調値に対応した電流値に収束させる。これにより、映像表示装置2は、映像I1の明るさムラの低減効果をより高めることができる。例えば、レーザー光源32に流れる電流が急激に増加した場合における、レーザー光源32の順方向電圧は、オーバーシュートして、指数関数的に所定の値に収束する。補正部52は、補正値を指数関数的に変化させることにより、後段電流値を指数関数的に変化させるので、映像I1の明るさムラの低減効果をより高めることができる。
【0134】
[第4の実施の形態]
第4の実施の形態では、補正値を、前段電流値によって定まる補正値の収束値に向かって指数関数的に変化させる。これにより、最小の階調値及び最大の階調値以外の、中間の階調値においても、高精度で映像I1の明るさムラを低減する。第4の実施の形態に係る制御部および駆動処理部のブロック構成例は、図4に示した制御部31および図5に示した駆動処理部42と同様である。ただし、駆動処理部42の補正部52の処理内容が一部異なる。以下では、補正部52の処理の異なる部分について説明する。
【0135】
補正部52は、前段電流値を、補正値の収束値に換算する。例えば、補正部52は、前段電流値を、補正値の収束値に換算する収束値LUT(図示せず)を有している。収束値LUTは、前段電流値と、その前段電流値における補正値の収束値とを対応付けて記憶している。補正部52は、収束値LUTを参照して、前段電流値に対する補正値の収束値を取得する。なお、補正値の収束値は、前段電流値が大きいほど、小さい値となる。
【0136】
補正部52は、レーザー光源32の順方向電圧が、オーバーシュートまたはアンダーシュートして、指数関数的に所定の電圧に収束する場合、上記の式(1)に基づいて、後段電流値を算出する。ただし、式(1)の「q」は、次の式(11)で示される。
【0137】
q(P[n],I[n])=g・(P[n]−Pinf(I[n])) …(11)
【0138】
ここで、式(11)の「g」は、「0」より大きい定数である。また、式(11)の「Pinf(I[n])」は、前段電流値I[n]に対応する補正値の収束値である。補正部52は、前述した収束値LUTを参照して、「Pinf(I[n])」を取得できる。
【0139】
補正部52は、クロック信号が指示するタイミングごとに、次の式(12)に基づいて、新たな(次の)補正値P[n+1]を算出する。
【0140】
P[n+1]=h(P[n],I[n],n) …(12)
【0141】
ここで、式(12)の「h」は、所定の関数であり、補正値は、関数hによって、クロック信号が指示するタイミングごとに、次のように変化する。
【0142】
・補正値は、P[n]<Pinf(I[n])のとき、Pinf(I[n])まで単調増加する。
【0143】
・補正値は、P[n]>Pinf(I[n])のとき、Pinf(I[n])まで単調減少する。
【0144】
なお、上記では、レーザー光源32の順方向電圧が、オーバーシュートまたはアンダーシュートして、指数関数的に所定の電圧に収束する場合について説明したが、レーザー光源32の順方向電圧がオーバーシュートまたはアンダーシュートすることなく、指数関数的に所定の値に収束する場合は、式(1)の「q」は、次の式(13)で示される。
【0145】
q(P[n],I[n])=−g・(P[n]−Pinf(I[n])) …(13)
【0146】
図11は、第4の実施の形態に係る補正部52の動作例を示したフローチャートである。補正部52は、カウンターの値「n」が更新されるたびに、図11に示すフローチャートの処理を実行する。図11に示すステップS31,S32の処理は、図6に示したステップS1,S2の処理と同様であり、その説明を省略する。
【0147】
補正部52は、ステップS31にてリセット信号を入力していないと判定した場合(S31の「No」)、前段電流値I[n]が「Imin」であるか否か判定する(ステップS33)。
【0148】
補正部52は、ステップS33にて前段電流値I[n]が「Imin」でないと判定した場合(S33の「No」)、次の式(14)に基づいて、補正値P[n+1]を算出する(ステップS34)。
【0149】
P[n+1]=P[n]−v・(P[n]−Pinf(I[n])) …(14)
【0150】
そして、補正部52は、当該フローチャートの処理を終了する。
【0151】
補正部52は、ステップS33にて前段電流値I[n]が「Imin」であると判定した場合(S33の「Yes」)、次の式(15)に基づいて、補正値P[n+1]を算出する(ステップS35)。
【0152】
P[n+1]=P[n]+u・(Pinf(I[n])−P[n]) …(15)
【0153】
そして、補正部52は、当該フローチャートの処理を終了する。
【0154】
なお、式(14)の「v」および式(15)の「u」は、いずれも「0」よりも大きい値である。n=n0,n=n0+1,n=n0+2,…に対して、P[n]がPinf(I[n])より小さい場合、補正値P[n]は、増加しながらPinf(I[n])に指数関数的に漸近する。また、n=n0,n=n0+1,n=n0+2,…に対して、P[n]がPinf(I[n])より大きい場合、補正値P[n]は、減少しながらPinf(I[n])に指数関数的に漸近する。
【0155】
図12は、補正部52の動作例を説明するタイミングチャートである。図12には、補正部52が図11のフローチャートを実行した場合のタイミングチャートが示してある。図12では、レーザー光源32の順方向電圧が、オーバーシュートおよびアンダーシュートする場合について説明している。
【0156】
図12に示すI[n]は、図5の階調電流部51から出力される前段電流値を示している。図12に示すPinf(I[n])は、補正部52が収束値LUTを参照して取得した補正値の収束値を示している。図12に示すP[n]は、補正部52が算出する補正値を示している。図12に示すO[n]は、補正部52がレーザー光源32aに出力する後段電流値を示している。図12に示す「電圧」は、後段電流値O[n]によって、レーザー光源32aに生じる順方向電圧を示している。図12に示す「光量」は、レーザー光源32aが後段電流値O[n]によって出射する光量を示している。図12の横軸は時間を示している。
【0157】
時刻「T1」に示すように、第1の階調値から、第1の階調値より大きい第2の階調値に変更され、前段電流値が急激に増加した場合、後段電流値は、補正値によって定まる値だけ、第2の階調値に対応する電流値より小さくなる(図12の矢印A1)。後段電流値は、その後、指数関数的に増加しながら、第2の階調値に対応する電流値に収束する。後段電流値の減少量(矢印A1)と、レーザー光源32の過渡応答特性の相殺により、レーザー光源32の順方向電圧のオーバーシュートは小さくなり、レーザー光源32の出射光量も略一定となる。
【0158】
時刻「T2」に示すように、第1の階調値から、第1の階調値より小さい第2の階調値に変更され、前段電流値が急激に減少する場合、後段電流値は、補正値によって定まる値だけ、第2の階調値に対応する電流値より大きくなる(図12の矢印A2)。後段電流値は、その後、指数関数的に減少しながら、第2の階調値に対応する電流値に収束する。後段電流値の増加量(矢印A2)と、レーザー光源32の過渡応答特性の相殺により、レーザー光源32の順方向電圧のアンダーシュートは小さくなり、レーザー光源32の出射光量も略一定となる。
【0159】
補正値の収束値は、図12のI[n]とPinf(I[n])に示すように、前段電流値によって定まる。そして、補正値は、例えば、矢印A3,A4に示すように、前段電流値によって定まる収束値に向かって、指数関数的に収束する。
【0160】
前段電流値が変わった時刻(例えば、時刻「T2」)における後段電流値と、その後段電流値が収束したときの電流値との差の絶対値(矢印A2)は、時刻「T2」から、所定時間前における前段電流値と、時刻「T2」における前段電流値の差の時間積分(図12の斜線S1)の絶対値が大きいほど大きくなる。
【0161】
図3で説明したように、レーザー光源32に流れる電流の変化が大きいほど、レーザー光源32の順方向電圧のオーバーシュートおよびアンダーシュートは大きくなる。第4の実施の形態に係る補正部52は、前段電流値が「Imax」および「Imin」のいずれでもない中間の階調値に対応する電流値である場合においても、レーザー光源32の順方向電圧のオーバーシュート量およびアンダーシュート量に応じて後段電流値を算出する。これにより、レーザー光源32の順方向電圧のオーバーシュート量およびアンダーシュート量は小さくなり、レーザー光源32の出射光量も略一定となる。
【0162】
図12では、レーザー光源32の順方向電圧が、オーバーシュートおよびアンダーシュートする場合について説明したが、オーバーシュートおよびアンダーシュートすることなく、過減衰的に所定の値に収束する場合も同様である。
【0163】
ただし、この場合、第1の階調値から、第1の階調値より大きい第2の階調値に変更され、前段電流値が急激に増加した場合、後段電流値は、補正値によって定まる値だけ、第2の階調値に対応する電流値より大きくなる。後段電流値は、その後、指数関数的に減少しながら、第2の階調値に対応する電流値に収束する。後段電流値の増加量と、レーザー光源32の過渡応答特性の相殺により、レーザー光源32の出射光量は略一定となる。
【0164】
また、第1の階調値から、第1の階調値より小さい第2の階調値に変更され、前段電流値が急激に減少する場合、後段電流値は、補正値によって定まる値だけ、第2の階調値に対応する電流値より小さくなる。後段電流値は、その後、指数関数的に増加しながら、第2の階調値に対応する電流値に収束する。後段電流値の減少量と、レーザー光源32の過渡応答特性の相殺により、レーザー光源32の出射光量は略一定となる。
【0165】
以上説明したように、補正部52は、補正値を、前段電流値の大きさに応じた収束値に指数関数的に収束させる。例えば、補正部52は、図12に示すように、前段電流値が「I11」のとき、前段電流値「I11」の大きさに応じた、矢印A3に示す収束値に補正値を指数関数的に収束させる。これにより、補正部52は、レーザー光源32の駆動電流が、中間の階調値に対応する電流値である場合においても、映像I1の明るさムラを低減することができる。
【0166】
また、補正部52は、レーザー光源32の順方向電圧の過渡応答特性と、第1の階調値および第2の階調値の大小関係とに基づいて、階調値が変更されたときの後段電流値を、第2の階調値に対応した電流値より小さくまたは大きくし、第2の階調値に対応した電流値に収束させる。
【0167】
例えば、レーザー光源32はオーバーシュート特性を有し、第2の階調値は第1の階調値より大きいとする。この場合、補正部52は、第1の階調値から第2の階調値に変更されたときの後段電流値を、第2の階調値に対応した電流値より小さくし、第2の階調値に対応した電流値に収束させる。
【0168】
また、レーザー光源32はアンダーシュート特性を有し、第2の階調値は第1の階調値より小さいとする。この場合、補正部52は、第1の階調値から第2の階調値に変更されたときの後段電流値を、第2の階調値に対応した電流値より大きくし、第2の階調値に対応した電流値に収束させる。
【0169】
また、レーザー光源32はオーバーシュートすることなく所定の電圧に収束する特性を有し、第2の階調値は第1の階調値より大きいとする。この場合、補正部52は、第1の階調値から第2の階調値に変更されたときの後段電流値を、第2の階調値に対応した電流値より大きくし、第2の階調値に対応した電流値に収束させる。
【0170】
また、レーザー光源32はアンダーシュートすることなく所定の電圧に収束する特性を有し、第2の階調値は第1の階調値より小さいとする。この場合、補正部52は、第1の階調値から第2の階調値に変更されたときの後段電流値を、第2の階調値に対応した電流値より小さくし、第2の階調値に対応した電流値に収束させる。
【0171】
これにより、補正部52は、レーザー光源32の駆動電流が、中間の階調値に対応する電流値である場合においても、映像I1の明るさムラを低減することができる。
【0172】
[第5の実施の形態]
第5の実施の形態では、後段電流値を複数の異なる時定数で推移させる。これにより、レーザー光源が複数の異なる時定数の過渡応答特性を有していても、映像I1の明るさムラを低減することができる。第5の実施の形態では、駆動処理部のブロック構成例が第1の実施の形態の駆動処理部42aのブロック構成例と異なる。
【0173】
図13は、第5の実施の形態に係る駆動処理部42aのブロック構成例を示した図である。図13において、図5と同じものには同じ符号が付してある。図13に示すように、駆動処理部42aは、2つの補正部71,72を有している。補正部71,72の動作は、図5の補正部52と同様であるが、それぞれ異なる補正値を算出するところが異なる。
【0174】
補正部71は、階調電流部51から出力される前段電流値I[n]を入力し、前段電流値I[n]および補正値P[n]から算出した中段電流値O’[n]を出力する。
【0175】
補正部72は、補正部71から出力される中段電流値O’[n]を入力し、中段電流値O’[n]および補正値P’[n]から算出した後段電流値O[n]を出力する。2つの補正部71,72は、レーザー光源32の2つの異なる時定数を有する過渡応答特性をそれぞれ補償するように構成する。
【0176】
図14は、レーザー光源32の2つの時定数と、補正値と、後段電流値とを説明する図である。図14の横軸は時間である。
【0177】
図14に示す「電圧」は、レーザー光源32の順方向電圧を示している。図14の時間「t1」,「t2」に示すように、レーザー光源32は、オーバーシュート後、2つの異なる時定数で所定の電圧に収束している。
【0178】
図14に示す「P」は、補正部71,72が算出する補正値を示している。図14に示す波形W1は、補正部71が算出する補正値P[n]の変化を示し、波形W2は、補正部72が算出する補正値P’[n]の変化を示している。
【0179】
図14に示すO[n]は、補正部72から出力される後段電流値を示している。図14の時間「t1」,「t2」に示すように、後段電流値は、2つの異なる収束速度で、所定の電流値に収束する。
【0180】
このように、後段電流値は、2つの異なる時定数を有している。これにより、レーザー光源32が2つの異なる時定数の過渡応答特性を有していても、後段電流値の変動量と、レーザー光源32の過渡応答特性の相殺により、レーザー光源32の順方向電圧のオーバーシュートまたはアンダーシュートを小さくできる。そして、レーザー光源32の出射光量は略一定となる。
【0181】
なお、上記では、2つの補正部71,72で、2つの時定数を有する後段電流値を出力したが、1つの補正部で、2つの異なる収束速度で、後段電流値を所定の電流値に収束させてもよい。この場合、1つの補正部は、次の式(16)に基づいて、後段電流値を算出する。
【0182】
O[n]=I[n]−q(P1[n],I[n])−q(P2[n],I[n])…(16)
【0183】
式(16)のP1[n],P2[n]は、補正値である。
【0184】
また、上記では、レーザー光源32が、2つの時定数を有するとしたが、3つ以上の時定数を有していてもよい。この場合、補正部は、3つ以上のそれぞれの時定数に対応する補正値を用いて、3つ以上の異なる収束速度で、後段電流値を収束させればよい。
【0185】
以上説明したように、補正部71,72は、レーザー光源32の複数の時定数のそれぞれに対応する収束速度によって、レーザー光源32の駆動電流を収束させる。これにより、映像表示装置2は、レーザー光源32が複数の時定数を有していても、明るさムラを低減することができる。
【0186】
[第6の実施の形態]
第6の実施の形態では、レーザー光源32の出力をモニタし、階調値に対応する出射光量のずれを低減するよう、後段電流値を制御する。
【0187】
図15は、第6の実施の形態に係る映像表示装置2のブロック構成例である。図15に示すように、映像表示装置2は、走査部20と、制御部31と、レーザー光源32と、部分透過ミラー91と、受光部92とを有している。図15において、第1の実施の形態と同じものには同じ符号が付してある。
【0188】
部分透過ミラー91は、レーザー光源32から出射されるレーザー光の一部を透過する。
【0189】
受光部92は、部分透過ミラー91によって一部透過されたレーザー光を受光する。受光部92は、受光したレーザー光の光強度値(光量)を、制御部31の駆動処理部93に出力する。
【0190】
駆動処理部93は、図5で説明した駆動処理部42aと同様の動作をする。ただし、駆動処理部93は、受光部92から出力される光強度値に基づいて、補正値を更新する値「a」,「b」(図6のステップS4,S5を参照)と、ゲイン補正値g(I[n])とを変更する。
【0191】
このように、駆動処理部93は、レーザー光源32の光量をモニタし、モニタした光量に応じて、駆動電流を制御する。これにより、映像表示装置2は、映像I1の明るさムラを低減することができる。
【0192】
以上、本発明について実施形態を用いて説明したが、映像表示装置の構成を理解容易にするために、主な処理内容に応じて分類したものである。構成要素の分類の仕方や名称によって、本願発明が制限されることはない。映像表示装置の構成は、処理内容に応じて、さらに多くの構成要素に分類することもできる。また、1つの構成要素がさらに多くの処理を実行するように分類することもできる。また、各構成要素の処理は、1つのハードウェアで実行されてもよいし、複数のハードウェアで実行されてもよい。
【0193】
また、上述したフローチャートの各処理単位は、映像表示装置の処理を理解容易にするために、主な処理内容に応じて分割したものである。処理単位の分割の仕方や名称によって、本願発明が制限されることはない。映像表示装置の処理は、処理内容に応じて、さらに多くの処理単位に分割することもできる。また、1つの処理単位がさらに多くの処理を含むように分割することもできる。
【0194】
また、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。上記実施形態に多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者には明らかである。また、そのような変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。さらに、各実施の形態を組み合わせることもできる。
【0195】
また、図面等において示した各構成の位置、大きさ、形状、範囲などは、発明の理解を容易にするため、実際の位置、大きさ、形状、範囲などを表していない場合がある。このため、本発明は、必ずしも、図面等に開示された位置、大きさ、形状、範囲などに限定されない。
【符号の説明】
【0196】
1…映像表示システム、2…映像表示装置、3…スクリーン、10…レーザー光源部、20…走査部、21…走査素子、31…制御部、32a,32b,32c…レーザー光源、33a,33b…ダイクロイックミラー、41…信号処理部、42a,42b,42c…駆動処理部、43…走査処理部、51…階調電流部、52…補正部、61…補正部、62…更新制御部、71,72…補正部、81…補正部、91…部分透過ミラー、92…受光部、93…駆動処理部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15