特許第6561028号(P6561028)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6561028射出成形用金型及び車両実装部品の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6561028
(24)【登録日】2019年7月26日
(45)【発行日】2019年8月14日
(54)【発明の名称】射出成形用金型及び車両実装部品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/56 20060101AFI20190805BHJP
   B29C 45/00 20060101ALI20190805BHJP
   B29C 45/26 20060101ALI20190805BHJP
【FI】
   B29C45/56
   B29C45/00
   B29C45/26
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-190542(P2016-190542)
(22)【出願日】2016年9月29日
(65)【公開番号】特開2018-51922(P2018-51922A)
(43)【公開日】2018年4月5日
【審査請求日】2018年5月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】504136889
【氏名又は名称】株式会社ファルテック
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(72)【発明者】
【氏名】瀬戸 洋
【審査官】 塩見 篤史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−130878(JP,A)
【文献】 特開平11−277576(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C33/00−33/76,39/26−39/36,41/38−41/44,43/36−43/42,43/50,45/26−45/44,45/64−45/68,45/73,49/48−49/56,49/70,51/30−51/40,51/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両実装時に外部に向けられる意匠面を有する樹脂製の車両実装部品を形成する射出成形用金型であって、
前記意匠面を形成する第1金型と、
前記第1金型との間に樹脂収容空間を形成すると共に、一部が前記第1金型に対して直接当接する当接領域とされた第2金型と
を有し、
前記第2金型は、
前記樹脂収容空間の少なくとも一部を形成する基部と、
前記当接領域を含むと共に、前記意匠面を形成する領域を避けて前記基部に対して移動可能に連設された分割ブロックと、
前記分割ブロックを前記第1金型方向に付勢する付勢部材と
を備え
前記基部と前記分割ブロックとの当接面は、前記付勢部材の前記分割ブロックの付勢方向に対して傾斜され、
前記第2金型が前記第1金型に対して離間する方向に移動される際に、前記基部と前記分割ブロックとが離間するように設けられている
ことを特徴とする射出成形用金型。
【請求項2】
前記分割ブロックが付勢方向と反対方向から前記基部に当接することにより、前記基部と前記分割ブロックとが前記車両実装部品の成形形状に位置合わせされることを特徴とする請求項記載の射出成形用金型。
【請求項3】
付勢方向にて前記分割ブロックと前記基部との間に隙間がある状態で、前記基部と前記分割ブロックとが前記車両実装部品の成形形状に位置合わせされることを特徴とする請求項記載の射出成形用金型。
【請求項4】
前記第1金型は、固定金型であり、
前記第2金型は、前記第1金型に対して移動可能な可動金型である
ことを特徴とする請求項1〜いずれか一項に記載の射出成形用金型。
【請求項5】
車両実装時に外部に向けられる意匠面を有する樹脂製の車両実装部品を射出成形により製造する車両実装部品の製造方法であって、
射出成形用金型は、
前記意匠面を形成する第1金型と、
前記第1金型との間に樹脂収容空間を形成すると共に、一部が前記第1金型に対して直接当接する当接領域とされた第2金型と
を有し、
前記第2金型は、
前記樹脂収容空間の少なくとも一部を形成する基部と、
前記当接領域を含むと共に、前記意匠面を形成する領域を避けて前記基部に対して移動可能に連設された分割ブロックと、
前記分割ブロックを前記第1金型方向に付勢する付勢部材と
を備え、
前記分割ブロックを付勢部材による付勢方向と反対方向に前記第1金型により押圧し、前記付勢部材を圧縮させた状態にて、前記樹脂収容空間に発泡性の溶融樹脂を供給する樹脂供給工程と、
前記分割ブロックを前記第1金型に当接させたままの状態で前記基部を前記第1金型に対して相対的に後進させることにより、前記樹脂収容空間を拡大させる拡大工程と
を有し、
前記基部と前記分割ブロックとの当接面は、前記付勢部材の前記分割ブロックの付勢方向に対して傾斜され、
前記第2金型が前記第1金型に対して離間する方向に移動される際に、前記基部と前記分割ブロックとが離間するように設けられている
ことを特徴とする車両実装部品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、射出成形用金型及び車両実装部品の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両に実装される車両実装部品は、例えば軽量化するために、射出成形の際にいわゆるコアバックを行って発砲成形を行う(例えば特許文献1)。コアバックにおいては、キャビティ金型(固定金型)に対してコア金型(可動金型)を僅かに後進させることによって、キャビティ(樹脂収容空間)を拡大し、これによってキャビティを減圧して発泡性の樹脂材料を発泡させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−96071号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
樹脂製の車両実装部品を射出発泡成形により製造する場合には、上述のようなキャビティ金型とコア金型とからなる金型を用いるが、これらのキャビティ金型とコア金型とは、キャビティへの樹脂材料充填時に一部同士が直接当接される。成形後の車両実装部品を露出させて取り出す必要があることから、このキャビティ金型とコア金型とが直接接触する当接領域(いわゆるパーティングライン)は、キャビティ金型とコア金型との当接時に樹脂収容空間であるキャビティに連通している。
【0005】
しかしながら、特許文献1に示すように、コアバックをさせるとキャビティ金型とコア金型と間に僅かな隙間が形成される。このような隙間により成形途中の樹脂材料が変形し、パーティングラインには製品面にバリ等が発生しやすい。通常、キャビティ金型側の面が車両実装部品の意匠面(車両に実装された時に外側に向けられる面)を形成するが、特許文献1の方法では、車両実装部品の意匠面の端部にバリ等が発生するおそれがある。
【0006】
なお、コアバックによりパーティングラインに隙間が形成されることを防止するために、キャビティ金型とコア金型とを摺動させる方法もある。例えば、コア金型にキャビティ金型方向に突出する突起部を形成し、キャビティ金型を当該突起部の側面に対して摺動可能な形状とする。これによって、コアバックさせた場合に、突起部の側面がキャビティ金型に擦れるが隙間が発生することを防止できる。しかしながら、キャビティ金型とコア金型とを繰り返し摺動させると、車両実装部品の意匠面を形成するキャビティ金型の内面に擦り傷等が発生し、車両実装部品の意匠面にキャビティ金型内面の擦り傷が転写される恐れがある。
【0007】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、コアバックを行って車両実装部品を成形する射出成形用金型及び車両実装部品の製造方法において、車両実装部品の意匠面にバリや擦り傷等が発生することを防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するための手段として、以下の構成を採用する。
【0009】
第1の発明は、車両実装時に外部に向けられる意匠面を有する樹脂製の車両実装部品を形成する射出成形用金型であって、上記意匠面を形成する第1金型と、上記第1金型との間に樹脂収容空間を形成すると共に、一部が上記第1金型に対して直接当接する当接領域とされた第2金型とを有し、上記第2金型が、上記樹脂収容空間の少なくとも一部を形成する基部と、上記当接領域を含むと共に、上記意匠面を形成する領域を避けて上記基部に対して移動可能に連設された分割ブロックと、上記分割ブロックを上記第1金型方向に付勢する付勢部材とを備えるという構成を採用する。
【0010】
第2の発明は、上記第1の発明において、上記基部と上記分割ブロックとの当接面が、上記付勢部材の上記分割ブロックの付勢方向に対して傾斜されているという構成を採用する。
【0011】
第3の発明は、上記第1または第2の発明において、上記分割ブロックが付勢方向と反対方向から上記基部に当接することにより、上記基部と上記分割ブロックとが上記車両実装部品の成形形状に位置合わせされるという構成を採用する。
【0012】
第4の発明は、上記第1または第2の発明において、付勢方向にて上記分割ブロックと上記基部との間に隙間がある状態で、上記基部と上記分割ブロックとが上記車両実装部品の成形形状に位置合わせされるという構成を採用する。
【0013】
第5の発明は、上記第1〜第4いずれかの発明において、上記第1金型が、固定金型であり、上記第2金型が、上記第1金型に対して移動可能な可動金型であるという構成を採用する。
【0014】
第6の発明は、車両実装時に外部に向けられる意匠面を有する樹脂製の車両実装部品を射出成形により製造する車両実装部品の製造方法であって、射出成形用金型が、上記意匠面を形成する第1金型と、上記第1金型との間に樹脂収容空間を形成すると共に、一部が上記第1金型に対して直接当接する当接領域とされた第2金型とを有し、上記第2金型が、上記樹脂収容空間の少なくとも一部を形成する基部と、上記当接領域を含むと共に、上記意匠面を形成する領域を避けて上記基部に対して移動可能に連設された分割ブロックと、上記分割ブロックを上記第1金型方向に付勢する付勢部材とを備え、上記分割ブロックを付勢部材による付勢方向と反対方向に上記第1金型により押圧し、上記付勢部材を圧縮させた状態にて、上記樹脂収容空間に発泡性の溶融樹脂を供給する樹脂供給工程と、上記分割ブロックを上記第1金型に当接させたままの状態で上記基部を上記第1金型に対して相対的に後進させることにより、上記樹脂収容空間を拡大させる拡大工程とを有するという構成を採用する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、付勢部材を圧縮させた状態にて、樹脂収容空間に発泡性の溶融樹脂を供給し、分割ブロックを第1金型に当接させたままの状態で基部を第1金型に対して相対的に後進させることにより、樹脂収容空間を拡大させる。つまり、本発明によれば、基部が第1金型に対して相対的に後進されることでコアバックが行われる。このとき、分割ブロックは第1金型に当接されたままであることから、車両実装部品の端部にバリや擦り傷が発生することを防止することができる。なお、本発明によれば、コアバック時に第2金型の基部と分割ブロックとの間に隙間や摺動部が発生するが、基部と分割ブロックとの境界部分は車両実装部品の裏面(意匠面でない面)を形成していることから、バリや擦り傷は車両実装部品の意匠面には発生しない。したがって、本発明によれば、コアバックを行って車両実装部品を成形する射出成形用金型及び車両実装部品の製造方法において、車両実装部品の意匠面にバリや擦り傷等が発生することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態における射出成形用金型によって製造されるフロント用外装パーツを示す全体図であり、(a)が斜視図であり、(b)が(a)のA−A線断面図である。
図2】本発明の一実施形態における射出成形用金型の一部を概略的に示す縦断面図である。
図3】本発明の一実施形態における射出成形用金型の一部を概略的に示す縦断面図である。
図4】本発明の一実施形態の第1変形例における射出成形用金型の一部を概略的に示す縦断面図である。
図5】本発明の一実施形態の第2変形例における射出成形用金型の一部を概略的に示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本発明に係る射出成形用金型及び車両実装部品の製造方法の一実施形態について説明する。なお、以下の図面において、各部材を認識可能な大きさとするために、各部材の縮尺を適宜変更している。なお、以下の実施形態では、本発明の車両実装部品が樹脂製のフロント用外装パーツである場合について説明を行う。
【0018】
図1は、フロント用外装パーツ1を示す全体図であり、(a)が斜視図であり、(b)が(a)のA−A線断面図である。これらの図に示すように、本実施形態のフロント用外装パーツ1は、長尺状の部品であり、長手方向を水平にして車体Xのフロントに対して取り付けられる。このようなフロント用外装パーツ1は、本体部2と、当該本体部2を車体X(図1(b)参照)に接続する接続部3とを有している。
【0019】
本体部2は、図1(b)に示すように、平板状の中央部2aと、実装時に中央部2aの上方に位置する上縁部2bと、実装時に中央部2aの下方に位置する下縁部2cとを有しており、断面形状が略Uの字状とされている。また、上縁部2bの車体X側端面及び下縁部2cの車体X側の端面には、フロント用外装パーツ1を車体Xに対して位置決めするための突起部2dが設けられている。
【0020】
フロント用外装パーツ1では、本体部2のUの字形状の外側の面が外部に向けられる意匠面2eとされ、本体部2のUの字形状の内側の面が外部から視認されない取付面2fとされている。なお、上縁部2bの車体X側端面及び下縁部2cの車体X側の端面は、いずれも外部から視認されない取付面2fである。
【0021】
接続部3は、本体部2の中央部2aの裏面より車体X側に延在するプレート状の部位である。この接続部3は、本体部2の長手方向に複数設けられている。これらの接続部3は、車体Xに対して固定される部位であり、本体部2を車体Xに対して接続する。
【0022】
次に、上述のような構成を有するフロント用外装パーツ1の製造方法について説明する。図2は、フロント用外装パーツ1を射出発泡成形により製造するための射出成形用金型10の一部を概略的に示す縦断面図である。図2に示すように、射出成形用金型10は、キャビティ金型11(第1金型)と、コア金型12(第2金型)とを有している。なお、図2(a)は、キャビティ金型11と、コア金型12とが上下方向に離間した状態を示している。また、図2(b)は、キャビティ金型11と、コア金型12とが当接された状態を示している。
【0023】
キャビティ金型11は、コア金型12の上方に配置されており、不図示の射出成形機に対して固定されている。このキャビティ金型11は、フロント用外装パーツ1の製造過程において移動されない固定金型である。このようなキャビティ金型11は、フロント用外装パーツ1の意匠面2eを形作るものであり、意匠面2eの形状に合わせた内面を有する凹部11aを有している。
【0024】
コア金型12は、キャビティ金型11の下方に配置されており、不図示の射出成形機の昇降機構に固定されている。このコア金型12は、フロント用外装パーツ1の製造過程において上下方向にキャビティ金型11に対して移動可能とされた可動金型であり、フロント用外装パーツ1の取付面2fを形作るものである。このコア金型12は、本実施形態において、基部13と、分割ブロック14と、バネ15(付勢部材)とを備えている。
【0025】
基部13は、分割ブロック14及びバネ15を支持し、上方に向かって突出する凸部13aを有している。この凸部13aは、キャビティ金型11とコア金型12とが当接した場合に、キャビティ金型11の凹部11aの内壁面との間にキャビティ20(樹脂収容空間)を形成する。つまり、基部13は、キャビティ20の一部を形成している。
【0026】
分割ブロック14は、図2に示すように、基部13の凸部13aを挟むように、凸部13aの両側に各々設けられている。これらの分割ブロック14は、フロント用外装パーツ1の突起部2d(図1参照)の一部を形作る部位である。つまり、分割ブロック14もキャビティ20の一部を形成している。また、分割ブロック14は、コア金型12の一部であり、凸部13aの突出方向(すなわちキャビティ金型11方向)に、基部13に対して移動可能に分割されている。これらの分割ブロック14は、凸部13a側の側面が凸部13aに対して摺動可能となっており、凸部13aに対して摺動しながら、凸部13aの突出する方向(図2における上下方向)に沿って移動可能とされている。
【0027】
また、本実施形態では、キャビティ20において、分割ブロック14と、基部13との摺動部分(すなわち境界部分)がフロント用外装パーツ1の突起部2dに相当する箇所に設けられている。上述のように、フロント用外装パーツ1の突起部2dは、フロント用外装パーツ1の取付面2f(すなわち意匠面2eでない領域)に設けられている。つまり、本実施形態では、分割ブロック14は、意匠面2eを形成する領域を避けて、基部13に対して移動可能に連設されている。
【0028】
また、分割ブロック14は、キャビティ金型11と、コア金型12とが当接する際に、コア金型12のキャビティ金型11に直接当接する領域(以下、当接領域R)を含む箇所に設けられている。つまり、分割ブロック14は、キャビティ金型11と、コア金型12とが当接する際に、キャビティ金型11に対して直接接触する。図2に示すように、分割ブロック14の上面が上述の当接領域Rとされている。この当接領域Rを形成する面(当接面)のうち、キャビティ20に接続される部位は、バネ15が分割ブロック14を付勢する方向(すなわち図2における上下方向)に対して傾斜された傾斜面R1とされている。この傾斜面R1は、キャビティ金型11の方向に向かうに連れて基部13の凸部13aに近づくように傾斜している。
【0029】
なお、キャビティ金型11は、分割ブロック14の当接領域Rと面接触する形状とされており、分割ブロック14の傾斜面R1に当接する傾斜面R2を有している。キャビティ金型11の傾斜面R2と、コア金型12の傾斜面R1とが当接される部分が、本実施形態の射出成形用金型10のパーティングラインとなる。このパーティングラインは、図2に示すように、キャビティ金型11の凹部11aとコア金型12との境界部分に形成される。つまり、パーティングラインは、フロント用外装パーツ1の意匠面2eを形成する領域と、フロント用外装パーツ1の取付面2fを形成する領域との境界部分に形成される。
【0030】
また、本実施形態においては、図2に示すように、バネ15によって付勢される付勢方向と反対方向から分割ブロック14が押圧され、分割ブロック14の下面が基部13に当接した場合に、基部13と分割ブロック14とがフロント用外装パーツ1の突起部2dの形状に合った形状とされる。つまり、本実施形態においては、分割ブロック14が付勢方向と反対方向から基部13に当接することにより、基部13と分割ブロック14とがフロント用外装パーツ1の成形形状に位置合わせされる。
【0031】
バネ15は、基部13と分割ブロック14との間に介挿されており、分割ブロック14をキャビティ金型11に向けて付勢している。このバネ15は、基部13に設けられた取付穴に下端部が嵌合され、分割ブロック14の下面に上端部が当接されている。このようなバネ15により、分割ブロック14は、上方から押圧されていない場合には、図2(a)に示すように、上下方向において基部13から離間するように持ち上げられた状態で支持されている。
【0032】
なお、図2には示していないが、射出成形用金型10は、スプルーやランナー等のキャビティ20に溶融樹脂を供給するための流路や、キャビティ金型11とコア金型12とを位置決めするためのガイドピン等を備えている。
【0033】
このような本実施形態の射出成形用金型10を用いてフロント用外装パーツ1を製造する場合には、図2(a)及び図2(b)に示すように、離間状態のキャビティ金型11とコア金型12とを当接させる。ここでは、キャビティ金型11の傾斜面R2と、コア金型12の分割ブロック14の傾斜面R1とが突き合わされ、図2(b)に示すように、分割ブロック14の下面が基部13に当接するまで、分割ブロック14がキャビティ金型11によって押圧される。このとき、バネ15が圧縮され、分割ブロック14がキャビティ金型11に向けて付勢された状態となる。
【0034】
続いて、図3(a)に示すように、バネ15が圧縮された状態で、キャビティ20に対して発泡性の溶融樹脂Yを供給する(樹脂供給工程)。そして、射出成形用金型10によって冷却されることにより、キャビティ20に供給した溶融樹脂Yの表層にスキン層が形成されるまでの間の一定期間待機した後、コア金型12をキャビティ金型11に対して僅かに後進(下降)させる(拡大工程)。このようにキャビティ金型11に対してコア金型12を僅かに後進させるコアバックを行うと、コア金型12の基部がキャビティ金型11に対して後進することでキャビティ20が広がり、溶融樹脂Yの内側が発泡する。このとき、コア金型12の基部13がキャビティ金型11に対して後進するのに対して、分割ブロック14は、図3(b)に示すように、バネ15に付勢されているため、キャビティ金型11に当接されたままとなる。このため、本実施形態の射出成形用金型10においては、コアバック時に分割ブロック14がキャビティ金型11に当接された状態に維持され、パーティングラインにおいて隙間が発生することがない。
【0035】
なお、図3(b)に示すように、コア金型12において基部13のみがキャビティ金型11に対して後進されると、基部13と分割ブロック14との境界部分において小さな空間が発生してキャビティ20の形状が崩れる。ただし、溶融樹脂Yの表層にスキン層を形成しておくことにより、溶融樹脂Yが上記空間に流れ込むことを防止し、フロント用外装パーツ1の形状が崩れることを防止することができる。その後、溶融樹脂Yの全体が硬化すると、キャビティ金型11とコア金型12とを離間させて、フロント用外装パーツ1を取り出す。
【0036】
以上のような本実施形態の射出成形用金型10及びフロント用外装パーツ1の製造方法によれば、バネ15を圧縮させた状態にて、キャビティ20に溶融樹脂Yを供給し、分割ブロック14をキャビティ金型11に当接させたままの状態でコア金型12の基部13キャビティ金型11に対して相対的に後進させることにより、キャビティ20を拡大させる。つまり、本実施形態の射出成形用金型10及びフロント用外装パーツ1の製造方法によれば、基部13がキャビティ金型11に対して相対的に後進されることでコアバックが行われる。このとき、分割ブロック14はキャビティ金型11に当接されたままであることから、フロント用外装パーツ1の意匠面2eと取付面2fとの境界部分にバリや擦り傷が発生することを防止することができる。
【0037】
なお、本実施形態の射出成形用金型10及びフロント用外装パーツ1の製造方法によれば、コアバック時にコア金型12の基部13と分割ブロック14との間に摺動部が発生するが、基部13と分割ブロック14との境界部分はフロント用外装パーツ1の取付面2f(意匠面2eでない面)を形成していることから、バリや擦り傷はフロント用外装パーツ1の意匠面2eには発生しない。
【0038】
また、本実施形態の射出成形用金型10においては、基部13と分割ブロック14との当接領域Rを形成する面(当接面)のうち、キャビティ20に接続される部位は、バネ15が分割ブロック14を付勢する方向(すなわち図2における上下方向)に対して傾斜された傾斜面R1とされている。このため、コア金型12を昇降させる場合に、当接領域Rにおいて基部13と分割ブロック14とが摺動することを防止することができる。このため、コア金型12に擦り傷が生じることを防止することができる。
【0039】
また、本実施形態の射出成形用金型10においては、分割ブロック14が付勢方向と反対方向から基部13に当接することにより、基部13と分割ブロック14とがフロント用外装パーツ1の突起部2dの成形形状に位置合わせされる。このため、スキン層が形成されるまで待機することによって、フロント用外装パーツ1の突起部2dの形状を確実に形成することができる。
【0040】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されないことは言うまでもない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の趣旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0041】
例えば、上記実施形態においては、本発明における第1金型がキャビティ金型11(固定金型)であり、本発明における第2金型がコア金型12(可動金型)である構成について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、第1金型をコア金型12とし、第2金型をキャビティ金型とすることも可能である。このような場合には、固定金型であるキャビティ金型11に基部及び分割ブロックが設けられることになる。ただし、キャビティ金型11に基部及び分割ブロックを設けると、コア金型12を移動させた場合に分割ブロックもコア金型12の移動に伴って移動することになる。このとき、溶融樹脂Yからの反力によって分割ブロックの移動が規制されると、分割ブロックとコア金型12との間に隙間が発生する可能性もある。このため、上記実施形態のように、第1金型がキャビティ金型11(固定金型)であり、本発明における第2金型がコア金型12(可動金型)である構成であることが望ましい。
【0042】
また、上記実施形態においては、分割ブロック14が付勢方向と反対方向から基部13に当接することにより、基部13と分割ブロック14とがフロント用外装パーツ1の突起部2dの成形形状に位置合わせされる構成について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、図4(a)に示すように、分割ブロック14が付勢方向と反対方向から基部13に当接する場合に、フロント用外装パーツ1の突起部2dの成形形状に対して、基部13と分割ブロック14とがずれ、図4(b)に示すように、分割ブロック14が付勢方向において基部13との間に隙間がある状態で、基部13と分割ブロック14とがフロント用外装パーツ1の突起部2dの成形形状に位置合わせされる構成としても良い。このような場合には、溶融樹脂Yの表面に強固なスキン層が形成される前にコアバックを行うことにより、コアバック後のキャビティ20の形状に合わせてフロント用外装パーツ1を成形することができる。このため、溶融樹脂Yの表面に強固なスキン層が形成されるまで待機する必要がなく、短時間でコアバックを行うことが可能となる。
【0043】
また、上記実施形態においては、コア金型12の基部13と分割ブロック14とが摺動される構成について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、図5(a)に示すように、分割ブロック14の基部13に当接する当接面R3と、基部13の分割ブロック14に当接する当接面R4とを、分割ブロック14の付勢方向に対して傾斜させるようにしても良い。このような場合には、図5(b)に示すように、コアバックの際に基部13と分割ブロック14とが離間し、基部13と分割ブロック14とが摺動することを防止することができる。
【0044】
また、上記実施形態においては、本発明の付勢部材としてコイル状のバネ15を用いる構成について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、付勢部材として他の形状のバネや耐熱性のゴム等を用いることも可能である。
【符号の説明】
【0045】
1……フロント用外装パーツ(車両実装部品)、2e……意匠面、2f……取付面、10……射出成形用金型、11……キャビティ金型(固定金型)、11a……凹部、12……コア金型(可動金型)、13……基部、13a……凸部、14……分割ブロック、15……バネ(付勢部材)、20……キャビティ(樹脂収容空間)、R……当接領域、X……車体、Y……溶融樹脂
図1
図2
図3
図4
図5