(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記突起部形成工程における、前記凸型部の備える前記加熱手段の条件、前記凸型部の前記基材シートへの刺入高さ、前記基材シートの前記当接部分の軟化時間、前記凸型部の前記基材シートへの刺入速度、前記凸型部の形状及び冷却工程における冷却条件の少なくとも1つを制御して、前記微細中空突起物の形状をコントロールする請求項1〜5の何れか1項に記載の微細中空突起物の製造方法。
前記基材シートとして、帯状の基材シートを用い、該帯状の基材シートの前記他面側に前記微細中空突起物を連続的に形成する請求項1〜6の何れか1項に記載の微細中空突起物の製造方法。
前記凸型部の加熱による前記基材シートの加熱温度は、該基材シートのガラス転移温度以上溶融温度未満である請求項1〜7の何れか1項に記載の微細中空突起物の製造方法。
前記突起部形成工程は、複数個の凸型部を用いて、アレイ状に複数個の突起部を有する微細中空突起物を形成する、請求項1〜12の何れか1項に記載の微細中空突起物の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を、その好ましい第1実施態様に基づき図面を参照しながら説明する。
本発明の製造方法は、内部が中空の微細中空突起物の製造方法である。
図1には、第1実施態様の微細中空突起物の製造方法で製造される一実施形態の微細中空突起物1が示されている。微細中空突起物1は、シート状の基底部2と、基底部2の上面上に立設する1個の円錐状の突起部3とを有する。微細中空突起物1は、
図2に示すように、内部が中空に形成されている。具体的には、中空の空間が、基底部2を貫通して、突起部3の内部にまで亘って形成されている。微細中空突起物1においては、突起部3の内部の空間が、突起部3の外形形状に対応した円錐状に形成されている。尚、突起部3は、微細中空突起物1においては、円錐状であるが、円錐状の形状以外に、円錐台状、円柱状、角柱状、角錐状、角錐台状等であってもよい。
【0016】
微細中空突起物1は、その突出高さH1が、マイクロニードルとして使用する場合には、その先端を最も浅いところでは角層まで、深くは真皮まで刺入するため、好ましくは0.01mm以上、更に好ましくは0.02mm以上であり、そして、好ましくは10mm以下であり、更に好ましくは5mm以下であり、具体的には、好ましくは0.01mm以上10mm以下であり、更に好ましくは0.02mm以上5mm以下である。突起部3は、その平均厚みT1が、好ましくは0.005mm以上、更に好ましくは0.01mm以上であり、そして、好ましくは1.0mm以下であり、更に好ましくは0.5mm以下であり、具体的には、好ましくは0.005mm以上1.0mm以下であり、更に好ましくは0.01mm以上0.5mm以下である。基底部2は、その厚みT2が、好ましくは0.01mm以上、更に好ましくは0.02mm以上であり、そして、好ましくは1.0mm以下であり、更に好ましくは0.7mm以下であり、具体的には、好ましくは0.01mm以上1.0mm以下であり、更に好ましくは0.02mm以上0.7mm以下である。
【0017】
微細中空突起物1の先端径は、その直径が、好ましくは0.001mm以上、更に好ましくは0.005mm以上であり、そして、好ましくは0.5mm以下であり、更に好ましくは0.3mm以下であり、具体的には、好ましくは0.001mm以上0.5mm以下であり、更に好ましくは0.005mm以上0.3mm以下である。微細中空突起物1の先端径は、以下のようにして測定する。
【0018】
〔微細中空突起物1の先端径の測定〕
中空突起物1の先端部を、走査型電子顕微鏡(SEM)もしくはマイクロスコープを用いて所定倍率拡大した状態で、例えば、
図3に示すSEM画像のように観察する。次に、
図3に示すように、両側辺1a,1bの内の一側辺1aにおける直線部分に沿って仮想直線ILaを延ばし、他側辺1bにおける直線部分に沿って仮想直線ILbを延ばす。そして、先端側にて、一側辺1aが仮想直線ILaから離れる箇所を第1先端点1a1として求め、他側辺1bが仮想直線ILbから離れる箇所を第2先端点1b1として求める。このようにして求めた第1先端点1a1と第2先端点1b1とを結ぶ直線の長さLを、走査型電子顕微鏡(SEM)又はマイクロスコープを用いて測定し、測定した該直線の長さを、微細中空突起物1の先端径とする。
【0019】
次に、本発明の微細中空突起物の製造方法を、前述した微細中空突起物1の製造方法を例にとり
図4〜
図6を参照して説明する。
図4には、第1実施態様の製造方法の実施に用いる第1実施形態の製造装置100の全体構成が示されている。尚、上述したように、微細中空突起物1は非常に小さなものであるが、説明の便宜上、
図4においては微細中空突起物1が非常に大きく描かれている。
【0020】
図4に示す第1実施形態の製造装置100は、上流側から下流側に向かって、基材シート2Aに突起部3を形成する突起部形成部10、冷却部20、後述する凸型部11を抜き出すリリース部30、各微細中空突起物1に裁断する裁断部40及び各微細中空突起物1の間隔を調整するリピッチ部50を備えている。以下の説明では、基材シート2Aを搬送する方向(基材シート2Aの長手方向)をY方向、搬送する方向と直交する方向及び搬送される基材シート2Aの幅方向をX方向、搬送される基材シート2Aの厚み方向をZ方向として説明する。なお、本明細書において凸型部11とは基材シートに刺さる部分である凸型110を備えた部材のことであり、本実施形態では、円盤状の土台部分の上に凸型110を有する構造となっている。ただし、これに限られず凸型110のみからなる凸型部であっても良いし、後述する実施形態のように、複数の凸型110を台状支持体の上に配した凸型部11であっても良い。
【0021】
突起部形成部10は、
図4に示すように、加熱手段(不図示)を有した凸型部11を備えている。第1実施形態の製造装置100においては、凸型部11の加熱手段(不図示)以外に加熱手段を設けていない。なお、本明細書で「凸型部11の加熱手段以外に加熱手段を設けていない」とは、他の加熱手段を一切排除する場合を指すだけではなく、基材シート2Aの軟化温度未満、又はガラス転移温度未満に加熱する手段を備える場合も含む。但し、他の加熱手段を一切含まないことが好ましい。凸型部11の加熱手段(不図示)は、第1実施態様の製造装置100においては、加熱ヒーター装置である。第1実施態様においては、先ず、熱可塑性樹脂を含んで形成された基材シート2Aの原反ロールから帯状の基材シート2Aを繰り出し、Y方向に搬送する。そしてY方向に搬送されている帯状の基材シート2Aの一面2D側から凸型部11を当接させて、基材シート2Aにおける当接部分TPを熱により軟化させながら、凸型部11を基材シート2Aに刺してゆき基材シート2Aの他面2U側から突出する突起部3を形成する(突起部形成工程)。具体的には、凸型部11は、製造する微細中空突起物1の有する円錐状の突起部3の外形形状に対応して、尖鋭な先端の円錐状の部分を有する形状となっている。凸型部11は、第1実施態様の製造装置100においては、その先端を上方に向けて配置されており、少なくとも厚み方向(Z方向)の上下に移動可能となっている。詳述すると、第1実施態様の製造装置100においては、凸型部11は、電動アクチュエータ(不図示)によって、厚み方向(Z方向)の上下に移動可能となっており、搬送方向(Y方向)に基材シート2Aと並走可能となっている。凸型部11の動作の制御は、第1実施態様の製造装置100に備えられた、制御手段(不図示)により制御されている。このように、第1実施形態の製造装置100は、所謂、無限軌道を描くボックスモーション式の突起部形成部10を有する装置である。尚、凸型部11の加熱手段(不図示)の加熱の制御も、第1実施態様の製造装置100に備えられた、制御手段(不図示)により制御されている。
【0022】
基材シート2Aは、製造する微細中空突起物1の有する基底部2となるシートであり、熱可塑性樹脂を含んで形成されている。熱可塑性樹脂としては、ポリ脂肪酸エステル、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート類、ポリ塩化ビニル、ナイロン樹脂、アクリル樹脂等又はこれらの組み合わせが挙げられ、生分解性の観点から、ポリ脂肪酸エステルが好ましく用いられる。ポリ脂肪酸エステルとしては、具体的に、ポリ乳酸、ポリグリコール酸又はこれらの組み合わせ等が挙げられる。尚、基材シート2Aは、熱可塑性樹脂以外に、ヒアルロン酸、コラーゲン、でんぷん、セルロース等を含んだ混合物で形成されていても良い。基材シート2Aの厚みは、製造する微細中空突起物1の有する基底部2の厚みT2と同等である。
【0023】
凸型部11の先端側の形状は、製造する微細中空突起物1の有する突起部3の外形形状に対応した形状となっていればよい。凸型部11の凸型110は、その高さH2が、製造される微細中空突起物1の高さH1と同じか或いは若干高く形成されており、好ましくは0.01mm以上、更に好ましくは0.02mm以上であり、そして、好ましくは30mm以下であり、更に好ましくは20mm以下であり、具体的には、好ましくは0.01mm以上30mm以下であり、更に好ましくは0.02mm以上20mm以下である。凸型部11の凸型110は、その先端径D1(
図5参照)が、好ましくは0.001mm以上、更に好ましくは0.005mm以上であり、そして、好ましくは1mm以下であり、更に好ましくは0.5mm以下であり、具体的には、好ましくは0.001mm以上1mm以下であり、更に好ましくは0.005mm以上0.5mm以下である。凸型部11の凸型110の先端径D1は、以下のようにして測定する。
凸型部11の凸型110は、その根本径D2が、好ましくは0.1mm以上、更に好ましくは0.2mm以上であり、そして、好ましくは5mm以下であり、更に好ましくは3mm以下であり、具体的には、好ましくは0.1mm以上5mm以下であり、更に好ましくは0.2mm以上3mm以下である。凸型部11の凸型110は、十分な強度が得られ易くなる観点から、その先端角度αが、好ましくは1度以上、更に好ましくは5度以上である。そして、先端角度αは、適度な角度を有する突起部3を得る観点から、好ましくは60度以下であり、更に好ましくは45度以下であり、具体的には、好ましくは1度以上60度以下であり、更に好ましくは5度以上45度以下である。凸型部11の先端角度αは、以下のようにして測定する。
【0024】
〔凸型部11の凸型110の先端径の測定〕
凸型部11の凸型110の先端部を、走査型電子顕微鏡(SEM)もしくはマイクロスコープを用いて所定倍率に拡大した状態で観察する。次に、
図5に示すように、両側辺11a,11bの内の一側辺11aにおける直線部分に沿って仮想直線ILcを延ばし、他側辺11bにおける直線部分に沿って仮想直線ILdを延ばす。そして、先端側にて、一側辺11aが仮想直線ILcから離れる箇所を第1先端点11a1として求め、他側辺11bが仮想直線ILdから離れる箇所を第2先端点11b1として求める。このようにして求めた第1先端点11a1と第2先端点11b1とを結ぶ直線の長さD1を、走査型電子顕微鏡(SEM)又はマイクロスコープを用いて測定し、測定した該直線の長さを、凸型110の先端径とする。
【0025】
〔凸型部11の凸型110の先端角度αの測定〕
凸型部11の凸型110の先端部を、走査型電子顕微鏡(SEM)もしくはマイクロスコープを用いて所定倍率拡大した状態で、例えば、
図5に示すSEM画像のように観察する。次に、
図5に示すように、両側辺11a,11bの内の一側辺11aにおける直線部分に沿って仮想直線ILcを延ばし、他側辺11bにおける直線部分に沿って仮想直線ILdを延ばす。そして、仮想直線ILcと仮想直線ILdとのなす角を、走査型電子顕微鏡(SEM)又はマイクロスコープを用いて測定し、測定した該なす角を、凸型部11の凸型110の先端角度αとする。
【0026】
凸型部11は、折れ難い高強度の材質で形成されている。凸型部11の材質としては、鋼鉄、ステンレス鋼、アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ニッケル合金、コバルト、コバルト合金、銅、銅合金、ベリリウム銅、ベリリウム銅合金等の金属、又はセラミック等が挙げられる。
【0027】
突起部形成部10は、第1実施態様の製造装置100においては、
図4に示すように、凸型部11を基材シート2Aに刺してゆく際に基材シート2Aを支持する支持部材12を有している。支持部材12は、基材シート2Aの他面2U側に配されており、凸型部11を一面2D側から刺し込んだ際に基材シート2Aが撓みにくくする役目をしている。したがって、支持部材12は、基材シート2Aの凸型部11が刺し込まれる領域以外の部分に配置されており、第1実施態様の製造装置100においては、基材シート2Aの搬送方向(Y方向)に沿う両側部に、搬送方向(Y方向)に平行に延在する一対の板状部材から形成されている。各支持部材12は、突起部形成部10から冷却部20を通ってリリース部30の終わる位置に至るまで延在している。
【0028】
支持部材12を構成する材質としては、凸型部11の材質と同じ材質でもよく、合成樹脂等から形成されていてもよい。
【0029】
第1実施態様の突起部形成工程においては、
図4に示すように、原反ロールから繰り出されてY方向に搬送されている帯状の基材シート2Aの他面2U側(上面側)に配された一対の支持部材12,12で、基材シート2Aの搬送方向(Y方向)に沿う両側部を支持する。そして、ボックスモーション式の突起部形成部10を用いて、基材シート2Aにおける支持部材12で支持されていない部分、即ち、基材シート2Aにおける一対の支持部材12,12の間の中央部分の一面2D側(下面側)から凸型部11を当接させる。このように、突起部形成工程においては、凸型部11を当接させた基材シート2Aの当接部分TPに対応する他面2U側(上面側)が、突起物を形成する為の、凸型部11に嵌合する凹部等を設けておらず、浮いた状態となっている。
【0030】
そして、第1実施態様においては、
図6(a)に示すように、当接部分TPにおいて、加熱ヒーター装置により凸型部11を加熱し、当接部分TPに熱を発生させて当接部分TPを軟化させる。そして、当接部分TPを軟化させながら、
図6(b)に示すように、基材シート2Aの一面2D側(下面側)から他面2U側(上面側)に向かって凸型部11を上昇させて基材シート2Aに刺してゆき、基材シート2Aの他面2U側(上面側)から突出する突起部3を形成する。
【0031】
凸型部11による基材シート2Aの加熱温度は、凸型部11の形成の観点から、使用される基材シート2Aのガラス転移温度以上溶融温度未満であることが好ましく、特に軟化温度以上溶融温度未満であることが好ましい。詳述すると前記加熱温度は、好ましくは30℃以上、更に好ましくは40℃以上であり、そして、好ましくは300℃以下であり、更に好ましくは250℃以下であり、具体的には、好ましくは30℃以上300℃以下であり、更に好ましくは40℃以上250℃以下である。なお、第1実施形態のように加熱ヒーター装置を用いる場合には、凸型部11の加熱温度を上述した範囲で調整すればよい。なお、当該加熱温度は、第1実施形態において、基材シート2Aを超音波振動装置を用いて加熱する場合においても、凸型110と接触した基材シート2Aの部分の温度範囲として適用される。なお、ガラス転移温度(Tg)の測定方法は、以下の方法によって測定され、軟化温度の測定方法は、JIS K-7196「熱可塑性プラスチックフィルム及びシートの熱機械分析による軟化温度試験方法」に従って行う。
【0032】
尚、前記「基材シートのガラス転移温度(Tg)」は、基材シートの構成樹脂のガラス転移温度(Tg)を意味し、該構成樹脂が複数種存在する場合においてそれら複数種のガラス転移温度(Tg)が互いに異なる場合、前記加熱手段による基材シートの加熱温度は、少なくともそれら複数のガラス転移温度(Tg)のうち最も低いガラス転移温度(Tg)以上であることが好ましく、それら複数のガラス転移温度(Tg)のうち最も高いガラス転移温度(Tg)以上であることがさらに好ましい。
また、前記「基材シートの軟化温度」についてもガラス転移温度(Tg)と同様であり、即ち、基材シートの構成樹脂が複数種存在する場合においてそれら複数種の軟化温度が互いに異なる場合、前記加熱手段による基材シートの加熱温度は、少なくともそれら複数の軟化温度のうち最も低い軟化温度以上であることが好ましく、それら複数の軟化温度のうち最も高い軟化温度以上であることがさらに好ましい。
また、基材シートが融点の異なる2種以上の樹脂を含んで構成されている場合、前記加熱手段による基材シートの加熱温度は、それら複数の融点のうち最も低い融点未満であることが好ましい。
【0033】
〔ガラス転移温度(Tg)の測定方法〕
DSC測定器を使用して熱量の測定を行い、ガラス転移温度を求める。具体的に、測定器はPerkin Elmer社製の示差走査熱量測定装置(Diamond DSC)を使用する。基材シートから試験片10mgを採取する。測定条件は20℃を5分間等温した後に、20℃から320℃まで、5℃/分の速度で昇温させ、横軸温度、縦軸熱量のDSC曲線を得る。そして、このDSC曲線からガラス転移温度Tgを求める。
【0034】
凸型部11を基材シート2Aに刺してゆく刺入速度は、遅過ぎると樹脂を過剰に加熱軟化させ、速過ぎると加熱軟化不足となるので、凸型部11を効率的に形成する観点から、好ましくは0.1mm/秒以上、更に好ましくは1mm/秒以上であり、そして、好ましくは1000mm/秒以下であり、更に好ましくは800mm/秒以下であり、具体的には、好ましくは0.1mm/秒以上1000mm/秒以下であり、更に好ましくは1mm/秒以上800mm/秒以下である。加熱状態の凸型部11の上昇を停止させ、突起部3の内部に凸型部11を刺した状態のまま次工程(冷却工程)に搬送するまでの時間である軟化時間は、長過ぎると過剰加熱となるが、加熱不足を補う観点から、好ましくは0秒以上、更に好ましくは0.1秒以上であり、そして、好ましくは10秒以下であり、更に好ましくは5秒以下であり、具体的には、好ましくは0秒以上10秒以下であり、更に好ましくは0.1秒以上5秒以下である。
【0035】
基材シート2Aに刺す凸型部11の刺入高さは、凸型部11を効率的に形成する観点から、好ましくは0.01mm以上、更に好ましくは0.02mm以上であり、そして、好ましくは10mm以下であり、更に好ましくは5mm以下であり、具体的には、好ましくは0.01mm以上10mm以下であり、更に好ましくは0.02mm以上5mm以下である。ここで、「刺入高さ」とは、基材シート2Aに最も凸型部11を刺し込んだ状態において、凸型部11の頂点と、基材シート2Aの他面2U(上面)との間の距離を意味する。したがって、突起部形成工程における刺入高さとは、突起部形成工程で凸型部11が最も深く刺し込まれて基材シート2Aの他面2Uから凸型部11が出てきた状態における、該他面2Uから垂直方向に測定した凸型部11の頂点までの距離のことである。
【0036】
次に、第1実施態様の製造装置100においては、
図4に示すように、突起部形成部10の下流に冷却部20が設置されている。冷却部20は、
図4に示すように、冷風送風装置21を備えている。第1実施態様においては、突起部形成工程の後、冷風送風装置21を用いて、突起部3の内部に凸型部11を刺した状態で冷却する(冷却工程)。具体的には、冷風送風装置21は、搬送されている帯状の基材シート2Aの他面2U側(上面側)及び一面2D側(下面側)の全体を覆っており、冷風送風装置21の内部を帯状の基材シート2Aが搬送方向(Y方向)に搬送されるようになっている。冷風送風装置21のトンネル内には、冷風送風する送風口22(
図6(c)参照)が基材シート2Aの他面2U側(上面側)に設けられており、送風口22から冷風を吹き付けて冷却するようになっている。尚、冷風送風装置21の冷却温度、冷却時間の制御も、第1実施態様の製造装置100に備えられた、制御手段(不図示)により制御されている。
【0037】
第1実施態様の冷却工程においては、
図4に示すように、ボックスモーション式の突起部形成部10を用いて、冷風送風装置21のトンネル内に凸型部11を突起部3の内部に刺した状態で、基材シート2Aの搬送方向(Y方向)に平行に搬送し、
図6(c)に示すように、トンネル内にて基材シート2Aの他面2U側(上面側)に配された送風口22から冷風を吹き付けて、突起部3の内部に凸型部11を刺した状態のまま冷却する。尚、冷却する際には、凸型部11の加熱ヒーター装置による加熱は継続状態でも止められた状態でも良い。
【0038】
第1実施形態のように、凸型部11の加熱手段(不図示)が加熱ヒーター装置である場合には、突起部形成部10の下流に設置される冷却部20は、自然冷却でもよいが、積極的な冷却を施すことが好ましく、冷風送風装置21を備えることが好ましい。
【0039】
吹き付ける冷風の温度は、凸型部11の形成の観点から、好ましくは-50℃以上、更に好ましくは-40℃以上であり、そして、好ましくは26℃以下であり、更に好ましくは10℃以下であり、具体的には、好ましくは-50℃以上26℃以下であり、更に好ましくは-40℃以上10℃以下である。冷風を吹き付けて冷却する冷却時間は、成型性と加工時間の両立性の観点から、好ましくは0.01秒以上、更に好ましくは0.5秒以上であり、そして、好ましくは60秒以下であり、更に好ましくは30秒以下であり、具体的には、好ましくは0.01秒以上60秒以下であり、更に好ましくは0.5秒以上30秒以下である。
【0040】
次に、第1実施態様の製造装置100においては、
図4に示すように、冷却部20の下流にリリース部30が設置されている。第1実施態様においては、冷却工程の後に、ボックスモーション式の突起部形成部10を用いて、突起部3の内部から凸型部11を抜いて微細中空突起物1の前駆体1Aを形成する(リリース工程)。具体的に、第1実施態様のリリース工程においては、ボックスモーション式の突起部形成部10を用いて、
図6(d)に示すように、基材シート2Aの一面2D側(下面側)から凸型部11を下降させて、突起部3の内部に凸型部11を刺した状態から、凸型部11を抜いて、内部が中空の微細中空突起物1となる帯状の微細中空突起物の前駆体1Aを形成する。
【0041】
次に、第1実施態様の製造装置100においては、
図4に示すように、リリース部30の下流に裁断部40が設置されている。裁断部40は、第1実施態様の製造装置100においては、先端にカッター刃を有するカッター部41とアンビル部42とを備えている。カッター部41のカッター刃は、帯状の微細中空突起物の前駆体1Aの全幅(X方向の長さ)よりも幅広に形成されている。第1実施態様においては、リリース工程の後、一対のカッター部41とアンビル部42との間に、帯状の微細中空突起物の前駆体1Aを搬送して、搬送方向(Y方向)に隣り合う突起部どうし3,3の間毎に、カッター部41のカッター刃で裁断して枚葉の微細中空突起物1を連続的に製造する。
【0042】
帯状の微細中空突起物の前駆体1Aの裁断は、各微細中空突起物1の幅方向に延びるように行われればよく、例えば各微細中空突起物1の幅方向にわたって直線的に行うことができる。あるいは、裁断線が曲線を描くように裁断を行うことができる。いずれの場合であっても、裁断によってトリムが発生しないような裁断パターンを採用することが好ましい。
【0043】
次に、第1実施態様の製造装置100においては、
図4に示すように、裁断部40の下流にリピッチ部50が設置されている。リピッチ部50は、第1実施態様の製造装置100においては、回転軸が互いに平行になるように配置されている複数のローラ51と、各ローラ51間に架け渡された無端の搬送ベルト52とを有している。また、搬送ベルト52の内部には、サクションボックス53を有している。搬送ベルト52には、サクションボックス53を起動することで、周回軌道の外部から内部へ向けて空気を吸引するための透孔(不図示)が複数設けられている。尚、搬送ベルト52は、その搬送速度が、裁断部40までの基材シート2Aの搬送速度よりも速くなっている。
【0044】
第1実施態様においては、毎葉の微細中空突起物1を連続的に、透孔(不図示)を介してサクションボックス53で吸引しながら、速度の速い搬送ベルト52上に載置し、搬送方向(Y方向)において前後に隣り合う微細中空突起物どうし1,1の間の距離を広げ、所定の距離を置いて微細中空突起物1を再配置する。
【0045】
以上説明したように、第1実施態様の製造装置100を用いて微細中空突起物1を製造する第1実施態様の製造方法によれば、シンプルな工程だけで、微細中空突起物1を製造することができ、コストアップを抑えることができ、効率的に連続して微細中空突起物1を製造することができる。
【0046】
また、上述したように、第1実施態様においては、
図6(a)に示すように、凸型部11を当接させた基材シート2Aの当接部分TPにおいてのみ、加熱ヒーター装置により凸型部11を加熱させ、当接部分TPを軟化させるので、省エネルギーで、効率的に連続して微細中空突起物1を製造することができる。これに対して、仮に樹脂全体を凸型部と同様の温度に加熱する場合には、エネルギー効率が悪いだけでなく、他にシート全体が軟化することによって、突起部のピッチずれの発生、シートのひずみ発生、シートの連続搬送が困難になる、といった問題が生じる危険性が高まる。本発明では、凸型部11の加熱による熱は当接部分TPに効率的に伝わり、その周囲部は成り行きの加温のみが加えられ得る環境となるので加工(当接)部分しか加熱しないのでこれらの問題が生じない、という長所がある。
【0047】
また、上述したように、第1実施形態の製造装置100は、制御手段(不図示)により、凸型部11の動作、凸型部11の備える加熱手段(不図示)の加熱条件、冷風送風装置21の冷却温度、冷却時間が制御されている。その為、制御手段(不図示)により、例えば突起部形成工程における凸型部11の刺入高さを制御すれば、凸型部11の基材シート2Aへの刺入量が容易に変更でき、製造される微細中空突起物1の突出高さH1をコントロールできる。また、凸型部11の加熱条件、基材シート2Aの当接部分TPの軟化時間、及び凸型部11の基材シート2Aへの刺入速度の少なくとも何れか1つを制御すれば、微細中空突起物1を構成する突起部3の厚みT1等を自由にコントロールすることができる。即ち、凸型部11の備える加熱手段(不図示)の条件、突起部形成工程における凸型部11の基材シート2Aへの刺入高さ、基材シート2Aの当接部分TPの軟化時間、凸型部11の基材シート2Aへの刺入速度、凸型部11の形状及び冷却工程における冷却条件の少なくとも何れか1つを制御して、微細中空突起物1の形状を自由にコントロールすることができる。
【0048】
また、上述したように、第1実施態様においては、
図4に示すように、基材シート2Aの他面2U側(上面側)に配された一対の支持部材12,12を用いて、基材シート2Aの搬送方向(Y方向)に沿う両側部を支持し、基材シート2Aにおける一対の支持部材12,12の間の浮いた状態(一対の支持部材12,12で支持されていない非支持状態)の中央部分の一面2D側(下面側)から凸型部11を当接させ、当接部分TPを熱により軟化させて突起部3を形成する。このように、突起部を形成する為の、凸型部11に嵌合する凹部等が必要ないのでコストアップを抑えることができ、製造される微細中空突起物1の備える突起部3を効率的に精度良く形成することができる。
【0049】
次に、本発明を、第2実施態様に基づき、
図7を参照して説明する。なお、本説明においては、上述した第1実施態様と異なる点をメインに説明する。
上記第1実施態様に用いる第1実施形態の製造装置100においては、凸型部11の加熱手段(不図示)は、加熱ヒーター装置であったが、第2実施態様に用いる第2実施形態の製造装置100では、これに代えて超音波振動装置を用いている。
【0050】
第2実施形態の製造装置100のように、凸型部11の加熱手段(不図示)が超音波振動装置である場合、
図7(a)に示すように、当接部分TPにおいて、超音波振動装置により凸型部11を超音波振動させ、当接部分TPに摩擦による熱を発生させて当接部分TPを軟化させる。そして、当接部分TPを軟化させながら、
図7(b)に示すように、基材シート2Aの一面2D側(下面側)から他面2U側(上面側)に向かって凸型部11を上昇させて基材シート2Aに刺してゆき、基材シート2Aの他面2U側(上面側)から突出する突起部3を形成する。突起部3が、設定した高さまで突出したら、凸型部11の上昇を停止させて突起部3の内部に凸型部11を刺した状態のまま、次工程に搬送する。波振動装置による凸型部11の超音波振動は、基材シート2Aに凸型部11が当接する直前から、次工程(冷却工程)の冷却部20に至る直前まで行われる。
【0051】
凸型部11の波振動装置による超音波振動に関し、その周波数は、凸型部11の形成の観点から、好ましくは10kHz以上、更に好ましくは15kHz以上であり、そして、好ましくは50kHz以下であり、更に好ましくは40kHz以下であり、具体的には、好ましくは10kHz以上50kHz以下であり、更に好ましくは15kHz以上40kHz以下である。また、凸型部11の波振動装置による超音波振動に関し、その振幅は、凸型部11の形成の観点から、好ましくは1μm上、更に好ましくは5μm以上であり、そして、好ましくは60μm以下であり、更に好ましくは50μm以下であり、具体的には、好ましくは1μm以上60μm以下であり、更に好ましくは5μm以上50μm以下である。
【0052】
上述したように、第2実施形態の製造装置100においては、冷却部20に、積極的な冷却を施すために冷風送風装置21を備えているが、凸型部11の加熱手段(不図示)が超音波振動装置であるので、冷風送風装置21を必ず備える必要はなく、超音波振動装置の振動を切ることにより、冷却することもできる。この点で、超音波振動を加熱手段として用いると、装置の簡便化とともに、高速での微細中空突起物の製造が容易となるので好ましい。また、基材シート2Aの凸型部11と当接していない部分では、より熱が伝わりにくく、また、超音波振動付与のオフによって冷却が効率的に行われるので、成型部分以外の変形が生じにくいという長所がある。
【0053】
以上、本発明をその好ましい第1実施態様及び第2実施態様に基づき説明したが、本発明は前記実施態様に制限されるものではなく、適宜変更可能である。
【0054】
例えば、上記第1実施形態の製造装置100を用いる第1実施態様又は上記第2実施形態の製造装置100を用いる第2実施態様の微細中空突起物の製造方法で製造される微細中空突起物1は、シート状の基底部2の上面に、1個の突起部3を有しているが、
図8に示すように、アレイ状に複数個の突起部3を有していてもよい。ここでアレイ状に突起部3を有しているとは、シート状の基底部2の上面に複数個の突起部3を有していることを意味し、特に、複数個の突起部3がシート状の基底部2の上面に、複数個の行及び複数個の列から成る行列状に配されていることが好ましい。アレイ状に複数個の突起部3を有する微細中空突起物1(1M)を製造する場合には、
図9に示すような装置を用いることが可能である。
図9に示す装置では、複数個の突起部3の個数、配置及び各突起部3の外形形状に対応した複数個の凸型110を有する凸型部11を突起部形成部10が備えるようにしている。または、これに代えて、1個の凸型部11を複数回基材シート2Aに刺入することで、複数個の突起部3を有する微細中空突起物1を製造してもよい。尚、
図9に示す製造装置100においては、
図4に示す製造装置100と同じ部位には同じ番号を付してある。
【0055】
また、シートの搬送系を間欠動作にした場合、無限軌道を描くボックスモーション式の突起部形成部10に換えて、厚み方向(Z方向)の上下にのみ移動可能な突起部形成部10を用いて、突起物を成形できる。
【0056】
また、上記第1実施形態又は第2実施形態の製造装置100は、
図4に示すように、凸型部11を基材シート2Aに刺してゆく際に基材シート2Aを支持する一対の板状の支持部材12,12を有しているが、基材シート2Aの他面2U側に配して基材シート2Aを支持するものであれば一対の板状の支持部材12,12以外のものであってもよい。例えば、一対の板状の支持部材12,12の替わりに、
図10に示すような、当接部分TPに対応する位置に貫通口121の開いた開口プレートの一例であるパンチングプレート12Aを、基材シート2Aの他面2U側に配して、凸型部11を基材シート2Aに刺してゆく際に基材シート2Aを支持してもよい。開口プレートとは、凸型部11の凸型110を挿入可能な開口部を有するプレートである。本実施形態において開口部は貫通口となっているが、非貫通であっても良い。なお、開口プレートを用いる場合には、基材シート2Aの開口部に対向する部分は開口プレートによって支持されていないと言える。
図10に示す製造装置100では、複数個の突起部3の個数、配置及び各突起部3の外形形状に対応した複数個の凸型110を有する凸型部11を突起部形成部10が備えるようにしている。また、
図10に示す製造装置100では、開口プレート12Aが、基材シート2Aの他面2U側に互いが接するようにして配されている。尚、
図10に示す製造装置100においては、
図4に示す製造装置100と同じ部位には同じ番号を付してある。
【0057】
図10に示す製造装置100では、基材シート2Aが凸型部11と開口プレート12Aとで挟まれた状態になる。開口プレート12Aは、
図10に示す製造装置100では、基材シート2Aにおける凸型部11の1個の凸型110の当接部分TPに対応する位置に1個の貫通口121が配されているが、複数個の凸型110の当接部分TPに対応する位置に1個の貫通口121が配されていてもよい。尚、貫通口121は、開口プレート12Aを上面側から視て、その形状に、特に制限はないが、
図10に示す製造装置100では、円形状に形成されている。
【0058】
開口プレート12Aは、その形状に、特に制限はないが、
図10に示す製造装置100においては、板状に形成されている。板状の開口プレート12Aは、そのY方向の長さが、凸型部11のY方向の長さと略同じであり、そのX方向の長さが、凸型部11のX方向の長さと略同じである。このような板状の開口プレート12Aが、
図10に示す製造装置100においては、Y方向に搬送されている基材シート2Aを挟んで、ボックスモーション式の凸型部11の動作と対象の動作をするように、ボックスモーション式で無限軌道を描くようになっている。そして、ボックスモーション式の開口プレート12Aは、基材シート2Aの他面2Uから厚み方向(Z方向)上方に隣接して配されており、搬送方向(Y方向)に基材シート2Aと並走可能となっている。開口プレート12Aの搬送方向(Y方向)への移動速度は、凸型部11の搬送方向(Y方向)への移動速度に対応しており、
図10に示す製造装置100に備えられた、制御手段(不図示)により制御されている。
【0059】
また、上記第1実施形態又は第2実施形態の製造装置100は、
図4に示すように、凸型部11が基材シート2Aを下方やら上方に向かって刺入しているが、基材シートに対する凸型部や支持部材の位置関係、刺入方向はこれに限定されず、上方から下方に向かって微細中空突起物を成形してもよい。
【0060】
上述した実施態様に関し、本発明は更に以下の微細中空突起物の製造方法を開示する。
<1> 内部が中空の微細中空突起物の製造方法であって、熱可塑性樹脂を含んで形成された基材シートの一面側から、加熱手段を備える凸型部を当接させて、該基材シートにおける該当接部分を熱により軟化させながら、該凸型部を該基材シートに刺してゆき該基材シートの他面側から突出する突起部を形成する突起部形成工程と、前記突起部の内部に前記凸型部を刺した状態で該突起部を冷却する冷却工程と、前記冷却工程の後に、前記突起部の内部から前記凸型部を抜いて前記微細中空突起物を形成するリリース工程とを備え
、前記突起部形成工程では、前記基材シートの他面側に前記凸型部に嵌合する凹部を用いない微細中空突起物の製造方法。
<2> 前記突起部形成工程は、前記凸型部を前記基材シートに刺してゆく際に該基材シートを支持する支持部材を用いて行い、前記支持部材は、前記基材シートの他面側に配されており、前記基材シートにおける前記支持部材で支持されていない部分の一面側から前記凸型部を当接させて前記突起部を形成する前記<1>に記載の微細中空突起物の製造方法。
<3> 前記支持部材として、前記凸型部における凸型を挿入可能な開口部を有する開口プレートを用いる、前記<2>記載の微細中空突起物の製造方法。
<4> 前記開口プレートが、複数の前記開口を備えている、前記<3>に記載の微細中空突起物の製造方法。
<5> 前記開口プレートの1つの前記開口部に対して1つの前記凸型が挿入される、前記<3>又は<4>に記載の微細中空突起物の製造方法。
<6> 前記開口プレートの前記開口部に複数の前記凸型が挿入される、前記<3>又は<4>に記載の微細中空突起物の製造方法。
<7> 前記突起部形成工程における前記凸型部の加熱条件、前記基材シートの前記当接部分の軟化時間、及び前記凸型部の前記基材シートへの刺入速度、並びに冷却工程における冷却条件の何れか1つを制御して、前記微細中空突起物の形状をコントロールする前記<1>〜<6>の何れか1に記載の微細中空突起物の製造方法。
<8> 前記基材シートとして、帯状の基材シートを用い、該帯状の基材シートの前記他面側に前記微細中空突起物を連続的に形成する前記<1>〜<7>の何れか1に記載の微細中空突起物の製造方法。
<9> 前記凸型部の加熱による前記基材シートの加熱温度は、該基材シートのガラス転移温度以上溶融温度未満である<1>〜<8>の何れか1つに記載の微細中空突起物の製造方法。
<10> 凸型部の加熱による基材シートの加熱温度は、基材シートの軟化温度以上溶融温度未満である前記<1>〜<9>の何れか1に記載の微細中空突起物の製造方法。
<11> 前記加熱温度は、30℃以上300℃以下である前記<9>又は<10>記載の微細中空突起物の製造方法。
<12> 前記凸型部の備える前記加熱手段が加熱ヒーター装置である、前記<1>〜<11>の何れか1つに記載の微細中空突起物の製造方法。
<13> 前記凸型部の備える前記加熱手段が超音波振動装置であり、該超音波振動装置により該凸型部を超音波振動させ、前記当接部分に摩擦による熱を発生させて該当接部分を軟化させる前記<1>〜<11>の何れか1に記載の微細中空突起物の製造方法。
<14> 前記超音波振動の周波数が10kHz以上50kHz以下であり、更に好ましくは15kHz以上40kHz以下である前記<13>記載の微細中空突起物の製造方法。
<15> 前記超音波振動の振幅が1μm以上60μm以下であり、更に好ましくは5μm以上50μm以下である前記<13>又は<14>記載の微細中空突起物の製造方法。
<16> 前記突起部形成工程において、加熱手段は前記凸型部の加熱手段以外に設けない、前記<1>〜<15>の何れか1つに記載の微細中空突起物の製造方法。
<17> 前記凸型部が差し入れられた前記基材シートの部分及びその近傍の領域のみに該基材シートの軟化温度以上の温度が加えられ、前記基材シートのそれ以外の領域には成り行きの昇温のみが付与され得るようにする、前記<1>〜<16>の何れか1つに記載の微細中空突起物の製造方法。
<18> 前記凸型部の高さが、製造される微細中空突起物の高さと同じか或いは若干高く形成されている、前記<1>〜<17>の何れか1つに記載の微細中空突起物の製造方法。
<19> 前記凸型部の高さは、0.01mm以上30mm以下であり、更に好ましくは0.02mm以上20mm以下である、前記<1>〜<18>の何れか1つに記載の微細中空突起物の製造方法。
<20> 前記凸型部は、その先端径が、0.001mm以上1mm以下であり、更に好ましくは0.005mm以上0.5mm以下である、前記<1>〜<19>の何れか1つに記載の微細中空突起物の製造方法。
<21> 前記凸型部は、その根本径が0.1mm以上5mm以下であり、更に好ましくは0.2mm以上3mm以下である、前記<1>〜<20>の何れか1つに記載の微細中空突起物の製造方法。
<22> 前記凸型部は、その先端角度が、1度以上60度以下であり、更に好ましくは5度以上45度以下である、前記<1>〜<21>の何れか1つに記載の微細中空突起物の製造方法。
<23> 前記冷却工程では、突起部の内部に凸型部を刺した状態で、冷風送風装置による冷却を施す、前記<1>〜<22>の何れか1つに記載の微細中空突起物の製造方法。
<24> 前記冷風の温度は-50℃以上26℃以下であり、好ましくは-40℃以上10℃以下である、前記<23>に記載の微細中空突起物の製造方法。
<25> 前記冷風を吹き付けて冷却する冷却時間は0秒以上60秒以下であり、更に好ましくは0.5秒以上30秒以下である、前記<23>又は<24>記載の微細中空突起物の製造方法。
<26> 前記冷却工程では、冷風送風装置による冷却を行わず、自然冷却を行う、前記<1>〜<25>の何れか1つに記載の微細中空突起物の製造方法。
<27> 前記突起部形成工程において、前記凸型部が基材シートの異なった位置に刺し入れられることにより複数個の突起部を形成する、複数の突起部を有する<1>〜<26>の何れか1つに記載の微細中空突起物の製造方法。
<28> 前記突起部形成工程において、アレイ状に整列した複数個の凸型部が前記基材シートに刺し入れられ、アレイ状に複数個の突起部を有する微細中空突起物形成する、前記<27>の何れか1つに記載の微細中空突起物の製造方法。
<29> 前記突起部がマイクロニードルである、<1>〜<28>の何れか1つに記載の微細中空突起物の製造方法。
<30> 前記微細中空突起物が、複数の前記突起部が基材シート上に配列しているマイクロニードルアレイである、<29>に記載の微細中空突起物の製造方法。
【実施例】
【0061】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲はかかる実施例に制限されない。
【0062】
製造装置の備える凸型部11の準備
凸型部11としては、その材質がステンレス鋼であるSUS304で形成されており、先端部が円錐状のものを用意した。凸型部11は、その高さ(テーパー部の高さ)H2が2.5mmであり、その先端径D1が15μmであり、その根本径D2が0.5mmであった。
【0063】
基材シート2Aの準備
基材シート2Aとしては、ポリ乳酸(PLA)で形成された厚み0.3mmの帯状のシートを用意した。
【0064】
〔実施例1〕
図6に示す手順に従って微細中空突起物1を製造した。具体的には、凸型部11の加熱手段が加熱ヒーター装置であった。製造条件としては、表1に示すように、加熱温度が140℃であり、刺入高さが1.0mmであり、刺入速度が1mm/秒であり、軟化時間が10秒であり、冷却時間が10秒であった。
【0065】
〔実施例2〕
図7に示す手順に従って微細中空突起物1を製造した。具体的には、凸型部11の加熱手段が超音波振動装置であった。製造条件としては、表1に示すように、超音波振動の周波数が20kHzであり、超音波振動の振幅が40μmであり、刺入高さが1.0mmであり、刺入速度が10mm/秒であり、軟化時間が0.5秒であり、冷却時間が2秒であった。
【0066】
〔性能評価〕
実施例1〜2の微細中空突起物について、上述した方法に従って微細中空突起物の先端径を測定し、微細中空突起物の根本径を測定した。それらの結果を下記表1に示す。また、製造された実施例1〜2の微細中空突起物の写真も併せて示す。
【0067】
【表1】
【0068】
表1に示す結果から明らかなように、実施例1〜2の微細中空突起物は、形状の精度が良好であった。従って、実施例1〜2の微細中空突起物を製造する製造方法によれば、形状の精度の良好な微細中空突起物を、効率的に連続して製造できることが期待できる。