(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6561037
(24)【登録日】2019年7月26日
(45)【発行日】2019年8月14日
(54)【発明の名称】曲面材料の表面検査プログラム
(51)【国際特許分類】
G01B 11/24 20060101AFI20190805BHJP
G01B 11/25 20060101ALI20190805BHJP
G01B 21/20 20060101ALI20190805BHJP
G01N 21/892 20060101ALI20190805BHJP
【FI】
G01B11/24 K
G01B11/25 H
G01B21/20 C
G01N21/892 C
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-246820(P2016-246820)
(22)【出願日】2016年12月20日
(65)【公開番号】特開2018-100892(P2018-100892A)
(43)【公開日】2018年6月28日
【審査請求日】2018年7月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】593030923
【氏名又は名称】株式会社ニッシン
(74)【代理人】
【識別番号】100082429
【弁理士】
【氏名又は名称】森 義明
(74)【代理人】
【識別番号】100162754
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 真樹
(72)【発明者】
【氏名】紀 泰之
(72)【発明者】
【氏名】榎原 晃生
【審査官】
川村 大輔
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭57−137801(JP,A)
【文献】
特開2004−117053(JP,A)
【文献】
特開2001−201327(JP,A)
【文献】
特開2018−099709(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00−11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
曲面材料の表面状態をコンピュータに検査させる表面検査プログラムであって、
a)曲面材料における特定の検査対象部位を中心とした特定検出範囲の表面に非接触手段(14)を走査させることによって曲面材料の形状座標データ(L)を取得する工程と、
b)2次元平面に展開され、円弧形状を含む曲面で構成された上記形状座標データ(L)を、上記検査対象部位を中心座標として左右の2象限に分割すると共に、所定の近似円算出アルゴリズムに従って左象限を表す第1近似円(α1)及び右象限を表す第2近似円(α2)を演算する工程と、
c)上記第1近似円(α1)と上記第2近似円(α2)との偏差を、所定の偏差算出アルゴリズムに従って算出し、上記曲面材料における特定の検査対象部位の表面形状を表す指標とする工程と、を前記コンピュータに実行させるのに加え、
前記近似円算出アルゴリズムが、前記第1近似円(α1)及び第2近似円(α2)を算出する際に、それぞれを前記形状座標データ(L)上の任意の3点を通る円弧に基づいて算出すると共に、その任意の3点のうち1点を左右各象限の反対象限上に存在させる、ことを特徴とする曲面材料の表面検査プログラム。
【請求項2】
請求項1の曲面材料の表面検査プログラムにおいて、
前記偏差算出アルゴリズムは、前記第1近似円(α1)と前記第2近似円(α2)との偏差として、前記特定検出範囲内において上記第1近似円(α1)及び第2近似円(α2)を平均化した仮想円(V)を曲面材料表面の理想円弧として演算すると共に、その仮想円(V)と上記第1近似円(α1)又は前記第2近似円(α2)との偏差を算出する、ことを特徴とする曲面材料の表面検査プログラム。
【請求項3】
請求項1の曲面材料の表面検査プログラムにおいて、
前記偏差算出アルゴリズムは、前記第1近似円(α1)と前記第2近似円(α2)との偏差として、上記第1近似円(α1)の中心座標(X)と上記第2近似円(α2)の中心座標(Y)との間の距離(T2)を算出する、ことを特徴とする曲面材料の表面検出プログラム。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れかの曲面材料の表面検査プログラムを記録した記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主としてコンピュータを用いて円弧を含む曲面材料の表面検査を行う検査装置において、そのコンピュータで実行される曲面材料の表面検査プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、レーザー変位計などの非接触手段を使用した曲面材料の表面検査装置では、非接触手段から出力される形状座標データを全点に亘り移動平均算出、或いは多項式の展開による近似曲線算出により、円弧を含む曲面形状の形状解析を行うと共に、リファレンスデータとの比較(形状データマッチング)を行って検査対象物の表面状態を検査している。
例えば、下記の特許文献1(日本国・特開2007−10336号公報)には、レーザー変位計を使用して円形状の検査対象物の円周部を測定し、得られた全データを使用して各種検査を実施する表面検査装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−10336号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の従来技術には、以下のような問題があった。
すなわち、今日、レーザー変位計などの非接触手段を使用した表面形状検査装置は、実験或いは試作評価過程での静止物の測定だけでなく、連続した長尺の円形状物が高速で移動する製造ラインにも採用されているが、検査対象物の高速移動と連続した長尺対象物の検査において、従来の演算・検出アルゴリズムでは演算装置の処理スピードが間に合わず、また円形状の検査対象物の全周データを取得してデータ処理を行う方法は、機構的に製造ラインの実情とマッチしているとは言い難い。
【0005】
それゆえに、本発明の主たる目的は、高速なデータ処理装置や複雑な機構を必要とせず、曲面材料の表面状態を、汎用コンピュータを用いて高速且つ精度よく検出することができる曲面材料の表面検査プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明は、例えば、
図1から
図5に示すように、曲面材料の表面状態を検査する際にコンピュータに実行させる曲面材料の表面検査プログラムを次の各工程を有するように構成した。
a)曲面材料における特定の検査対象部位を中心とした特定検出範囲の表面に非接触手段14を走査させることによって曲面材料の形状座標データLを取得する。
b)2次元平面に展開され、円弧形状を含む曲面で構成された上記形状座標データLを、上記検査対象部位を中心座標として左右の2象限に分割すると共に、所定の近似円算出アルゴリズムに従って左象限を表す第1近似円α1及び右象限を表す第2近似円α2を演算する。
c)上記第1近似円α1と上記第2近似円α2との偏差を、所定の偏差算出アルゴリズムに従って算出し、上記曲面材料における特定の検査対象部位の表面形状を表す指標とする。
【0007】
本発明は、例えば、次の作用を奏する。
すなわち、非接触手段14が走査した特定検出範囲内の制限されたデータの範囲で演算・処理を行うため、円形状の検査対象物の全周データを取得してデータ処理を行う従来の方法に比べて、演算・処理対象のデータが著しく少なく、演算・処理を高速化することができる。
また、従来のリファレンスマッチング方式のような画像処理的な演算処理を行わないため、検査対象物である曲面材料の形状毎のリファレンスデータ(基準形状データ)の作成及び保管の必要がない。
【0008】
なお、本発明では、上述したようにリファレンスデータとの形状マッチングを行わないため、非接触手段14のサンプリング周期毎に出力されるデータに偶発的なノイズ成分(例えば、検査対象物の加工過程で微粉塵や水滴などの異物が付着し、この異物データがノイズ成分となる)が混入した場合、近似円算出アルゴリズムと偏差算出アルゴリズムとに深刻な障害が発生し、特定検出範囲内において検査目的を達成できなくなる可能性も考えられる。
このような場合には、非接触手段14のサンプリング周期毎に本発明プログラムで演算処理を行う際に任意のマスク回数を設定してデータの適合性を判定するのが好ましい。具体的には、マスク回数内のデータに偶発的に出現した形状座標データLは異常と判断して演算対象から除外することで、使用する形状座標データLと演算処理結果の妥当性を担保する。
【0009】
本発明においては、前記近似円算出アルゴリズムが、前記第1近似円α1及び第2近似円α2を算出する際に、それぞれを前記形状座標データL上の任意の3点を通る円弧に基づいて算出すると共に、その任意の3点のうち1点を左右各象限の反対象限上に存在させることが好ましい。
この場合、形状座標データLを左右2つの象限に分割して各象限を表す第1近似円α1及び第2近似円α2を算出する際に、任意の3つの座標点のみで演算処理が行われるため、演算・処理をより一層高速化することができる。
【0010】
また、本発明においては、前記偏差算出アルゴリズムが、前記第1近似円α1と前記第2近似円α2との偏差として、前記特定検出範囲内において上記第1近似円α1及び第2近似円α2を平均化した仮想円Vを曲面材料表面の理想円弧として演算すると共に、その仮想円Vと
上記第1近似円α1又は前記第2近似円α2との偏差を算出することが好ましい。
この場合、従来のリファレンスマッチング方式と同じような確度で曲面材料の表面状態を検出することができる。
【0011】
さらに、本発明においては、前記偏差算出アルゴリズムが、前記第1近似円α1と前記第2近似円α2との偏差として、上記第1近似円α1の中心座標Xと上記第2近似円α2の中心座標Yとの間の距離T2を算出することも好ましい。
この場合、上記偏差算出アルゴリズムで演算処理するデータ量を極小化させることができ、演算・処理をより一層高速化することができる。
【0012】
本発明における第2の発明は、上記本発明の曲面材料の表面検査プログラムを記録した記録媒体である。
このように本発明の曲面材料の表面検査プログラムを記録媒体に記録することにより、その記録媒体を用いれば、あらゆる汎用コンピューター等を曲面材料の表面検査装置として活用することができるようになる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、高速なデータ処理装置や複雑な機構を必要とせず、曲面材料の表面状態を、汎用コンピュータを用いて高速且つ精度よく検出することができる曲面材料の表面検査プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の曲面材料の表面検査プログラムを用いた溶接鋼管の品質管理装置の装置構成例を示す概略図である。
【
図2】本発明の一実施形態で使用した曲面材料の表面検査プログラムの構成例を示すブロック図である。
【
図3】本発明の一実施形態で使用した曲面材料の表面検査プログラムの一例を示すフローチャートである。
【
図4】本発明における近似円算出アルゴリズムのイメージ図である。
【
図5】本発明における偏差算出アルゴリズムでの形状検出イメージ図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1は、本発明の曲面材料の表面検査プログラムを用いた溶接鋼管の品質管理装置の装置構成例を示す概略図である。この図が示すように、本発明の一実施形態の溶接鋼管の品質管理装置は、非接触手段14と本発明のプログラムが実装された演算処理装置16とを備える。
【0016】
非接触手段14は、溶接鋼管10の溶接された突合わせ部12の表面形状の座標データ(すなわち、形状座標データL)を得るための装置で、本実施形態では、投光装置14aとデータ出力装置14bとで構成された非接触式変位計がこれに該当する。
【0017】
投光装置14aは、溶接鋼管10の溶接された突合わせ部12を中心とした特定検出範囲に扇状光を照射あるいは点状光を走査する装置である。具体的には、レーザーやランプ等の発光素子が放射する光をシリンドリカルレンズ等で線状に収束されたスリット光源を用いたものや、照射位置で点状に収束するような光をミラー等で溶接鋼管10の幅方向に走査するような走査点光源を用いたものなどを例示することができる。
【0018】
データ出力装置14bは、投光装置14aから上記の特定検出範囲に向けて照射された光の反射光が入力され、その反射光に基づいて突合わせ部12の位置や形状の変化が反映された形状座標データLであって、突合わせ部12を中心とする特定検出範囲の形状を2次元平面に展開した形状座標データLを出力する装置である。具体的には、2Dエルノスターレンズ,CMOSイメージセンサ及びマイクロプロセッサなどで構成され、溶接鋼管10の突合わせ部12の表面で拡散反射した反射光をCMOSイメージセンサの受光素子上に結像させ、位置・形状の変化を検出し、その位置や形状の変化を表す形状座標データLを生成する装置である。なお、このデータ出力装置14bを含む非接触手段14では、形状座標データLの生成が溶接鋼管10の長手方向(Y軸方向)に対して連続的に行われる。
そして、このデータ出力装置14bで生成された形状座標データLは配線15を介して演算処理装置16に与えられる。
【0019】
演算処理装置16は、Windows(登録商標)やLinux(登録商標)などのオペレーティングシステム16xをプラットフォームとする汎用コンピューターにアプリケーションソフトウェアとして本発明の曲面材料の表面検査プログラムが実装された装置で、
図2に示すように、データバッファ部16a,近似円演算・処理部16b,判定処理部16c,表示処理部16d及びイベント発生信号出力部16eの各部が構成されている。
【0020】
データバッファ部16aは、非接触手段14から連続的に提供される溶接鋼管10の突合わせ部12の形状座標データLを一時的に蓄えておく記憶装置である。
【0021】
近似円演算・処理部16bは、データバッファ部16aより提供される上記の形状座標データLに対し、以下の演算を行うものである。
すなわち、特定検出範囲の中心(=検査対象部位)となる突合わせ部12を境界として形状座標データLを左右の2象限に分割すると共に、その特定検出範囲の始点Aと終点D、並びに分割した左右各象限それぞれにおける形状座標データL上の任意の選択点B及びCの座標を選出する。
続いて、上記の始点A,終点Dおよび左象限中の選択点Bを含む第1近似円α1と、上記の始点A,終点Dおよび右象限中の選択点Cを含む第2近似円α2とを算出する。このような近似円を算出する際には、
図4に示すような近似円算出アルゴリズムが用いられる。すなわち、形状座標データLから所定の3点(P1,P2,P3)が選択され、選んだ3点(P1,P2,P3)について、線分P1・P2を二等分する垂線L1と線分P2・P3を二等分する垂線L2とを算出する。そして、垂線L1と垂線L2との交点を中心とし、点P1,P2,P3を通る円を求め、これを近似円とする。
そして、所定の偏差算出アルゴリズムを用いて、得られた第1近似円α1と第2近似円α2との2次元平面座標上での偏差を求め、これらのデータを突合わせ部12の形状を表現する指標として判定処理部16c及び表示処理部16dへと与える。
【0022】
ここで、偏差算出アルゴリズムを用いて第1近似円α1と第2近似円α2との2次元平面座標上での偏差を求める方法としては、次の2つの方法が挙げられる(
図5参照)。
一つ目は、得られた第1近似円α1及び第2近似円α2を平均化した仮想円Vを算出すると共に、特定検出範囲内における仮想円Vと第1近似円α1(又は第2近似円α2)との間に形成される溶接鋼管10板厚方向の最大偏差を差分値T1として算出し、その差分値T1を突合わせ部12の形状を表現する指標として用いる方法である。
二つ目は、得られた第1近似円α1の中心座標Xと第2近似円α2の中心座標Yとの間の距離T2を求め、その距離T2を突合わせ部12の形状を表現する指標として用いる方法である。
第1近似円α1と第2近似円α2との2次元平面座標上での偏差を求める際には、上記2つの方法の何れかを用いるようにしてもよいし、両方を同時に用いるようにしてもよい。
【0023】
判定処理部16cは、近似円演算・処理部16bで演算した第1近似円α1と第2近似円α2との2次元平面座標上での偏差を所定の閾値と比較することにより、溶接鋼管10の突合わせ部12の形状の良否を判定するものである。この判定処理部16cでは、使用者が検査目的に対応した任意の閾値を設定することができる。このため、例えば直径φ101.6mmのパイプに対し、突合わせ部の段差が鋼管の外径の0.5%以上である場合に不良品と判定される基準を適用する場合、溶接鋼管10の突合わせ部12の形状を表現する指標として差分値S1を用いる際には閾値を0.25mmとすることができる。また、溶接鋼管10の突合わせ部12の形状を表現する指標として距離S2を用いる際には閾値を0.72mmとすることができる。
この判定処理部16cでは、偏差が閾値を超えるときに不良品と判定し、その信号を表示処理部16d及びイベント発生信号出力部16eに与える。
【0024】
表示処理部16dは、配線17を介してモニターなどの表示装置18に接続されており、近似円演算・処理部16b及び判定処理部16cより与えられたデータを表示装置18で表示できるように変換するものである。
【0025】
イベント発生信号出力部16eは、配線19を介して回転警告灯や警報ブザーなどの外部システム20に接続されており、判定処理部16cで判断された溶接鋼管10の突合わせ部12の良・不良の判定結果に基づいて外部システムに所定のイベント発生信号を与える。例えば、判定処理部16cで突合わせ部12の品質が不良と判定された際には、オペレーターに不良品の発生を伝えるべく、このイベント発生信号出力部16eより回転警告灯や警報ブザーなどの外部システム20が作動するようなイベント発生信号が発せられる。
【0026】
次に、以上のように構成された溶接鋼管10の品質管理装置を用いて溶接配管10の突合わせ部12の品質管理を行う際には、
図3で示すフローのように、本発明の曲面材料の表面検査プログラムが用いられる溶接鋼管10の突合わせ部12の形状検出方法と、その形状検出結果を用いた品質管理方法とがこの順で実行される。
【0027】
すなわち、
図3のステップS1において、非接触手段14を走査させることにより溶接鋼管10の突合わせ部12を中心とする特定検出範囲の形状座標データLが2次元平面に展開された形で取得され、配線15を介して演算処理装置16のデータバッファ部16aに与えられる。
続いて
図3のステップS2では、データバッファ部16aより上記の形状座標データLが近似円演算・処理部16bへと与えられ、上述したように、特定検出範囲の中心となる突合わせ部12を境界として形状座標データLが左右の2象限に分割されると共に、その特定検出範囲の始点Aと終点D、並びに分割した左右各象限それぞれにおける形状座標データL上の任意の選択点B及びCの座標が選出される(
図5参照)。その後、
図4に示す近似円算出アルゴリズムが用いられて、始点A,終点Dおよび左象限中の選択点Bを含む第1近似円α1と、始点A,終点Dおよび右象限中の選択点Cを含む第2近似円α2とが算出されると共に、
図5に示す偏差算出アルゴリズムが用いられて、第1近似円α1と第2近似円α2との2次元平面座標上での偏差が求められ、これらのデータが突合わせ部12の形状を表現する指標として判定処理部16cへと与えられる。
【0028】
そして、
図3のステップS3において、判定処理部16cでは、上述のように第1近似円α1と第2近似円α2との2次元平面座標上での偏差を所定の閾値と比較することによって溶接鋼管10の突合わせ部12の形状の良否が判定される。突合わせ部12の形状が良の場合には、同ステップS4において良製品である旨の判定OK処理が行われ、逆に、突合わせ部12の形状が不良の場合には、同ステップS5において不良品である旨の判定NG処理、具体的には、上述したようにオペレーターに不良品の発生を伝えるべく、イベント発生信号出力部16eより回転警告灯や警報ブザーなどの外部システム20が作動するようなイベント発生信号が発せられる。
【0029】
ここで、実際のレーザー溶接機を備えた溶接鋼管製造ラインにおいて、直径φ50.8mmの溶接鋼管(板厚1.2mm)の製造に際し、品質管理装置として市販の高精度2次元レーザ変位計を用い、不良判定基準(閾値)を段差0.25mm以上として品質管理を行いながら操業を行った結果、検査本数46,246本に対して不良品の流出本数6本、不良品流出率0.01%であった。これに対し、品質管理装置の演算処理装置16を本実施形態のものに変更し、差分値T1を用いる場合の閾値を0.13mm、距離T2を用いる場合の閾値を0.36mmとして操業を行った場合には、検査本数16,417本に対して不良品の流出本数0本、不良品流出率0.00%であった。
【0030】
なお、上述した実施形態では、非接触手段14として、投光装置14aを用いたものを示しているが、この非接触手段14は、溶接鋼管10の溶接された突合わせ部12の表面形状の座標データ(すなわち、形状座標データL)を得ることができるものであれば如何なる態様であってもよく、この投光装置14aに換えて超音波発生装置やレーダーなどを用いるものであってもよい。
【0031】
また、上述の実施形態では、演算処理装置16として汎用コンピュータを用いる場合を示したが、このコンピュータは汎用のものでなくてもよし、更に言えば、本発明プログラムを実装できるのであれば、コンピュータに換えてDSP(デジタルシグナルプロセッサ)などを用いるようにしてもよい。
【0032】
また、上述した実施形態では、近似円演算・処理部16bにおいて、近似円算出アルゴリズムを用いて第1近似円α1及び第2近似円α2を演算するに際し、先ず始めに、形状座標データLから特定検出範囲の始点Aと終点D、並びに分割した左右各象限それぞれにおける形状座標データL上の任意の選択点B及びCの座標が選出される場合を示したが、形状座標データLから選出する座標点はこれらの点に限定されるものではなく、近似円算出アルゴリズムが第1近似円α1及び第2近似円α2を算出する際に、それぞれを形状座標データL上の任意の3点を通る円弧に基づいて算出すると共に、その任意の3点のうち1点を左右各象限の反対象限上に存在させるものであれば、如何なる態様であってもよい。
【0033】
さらに、上述の実施形態では、本発明プログラムを用いた曲面材料の表面検査装置として溶接鋼管の品質管理装置を例示したが、本発明プログラムが用いられる曲面材料の表面検査装置はこれに限定されるものではなく、例えばプラスチックパイプ等の他の曲面材料の表面検査に用いるものであってもよい。
【符号の説明】
【0034】
10:溶接鋼管,12:突合わせ部,14:非接触手段,14a:投光装置,14b:データ出力装置,16:演算処理装置,16b:近似円演算・処理部,16c:判定処理部,A:(特定検出範囲の)始点,B:左象限中の選択点,C:右象限中の選択点,D:(特定検出範囲の)終点,L:形状座標データ,V:仮想円,X:(第1近似円の)中心座標,Y:(第2近似円の)中心座標,α1:第1近似円,α2:第2近似円,T1:差分値,T2:距離.