(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【技術分野】
【0001】
エポキシ末端化合物は、様々な目的に有用である。例えば、エポキシ末端化合物は、それら自身または1つ以上の共反応体のいずれかとの化学反応を受けて、高分子量を有し、かつ/または架橋されたポリマーを形成し得る。そのようなポリマーは、多くの場合、例えば接着剤としてなどの多様な目的のうちの1つ以上に有用である。
【0002】
米国第2008/0081883号は、2,5−フランジカルボン酸とポリエポキシドとの反応生成物であるポリエステルポリオールを記載する。ポリアミンとうまく反応して、例えば積層接着剤などの有用な接着剤組成物を形成するエポキシ末端化合物を提供することが所望される。約25℃〜約70℃の温度範囲にわたって望ましく低い粘度を有するエポキシ末端化合物を提供することも所望される。
【0003】
以下は、本発明の陳述である。
【0004】
本発明の第1の態様は、以下の構造を有するエポキシ末端ポリエステルである。
【0005】
【化1】
【0006】
R
1−は
【0007】
【化2】
【0008】
であり、
G−は
【0009】
【化3】
【0010】
であり、
−A−は二価アルキル基であり、−CA−は二価シクロアルキル基であり、−R
2−は二価有機基である。
【0011】
以下は、本発明を実施するための形態である。
【0012】
本明細書で使用される場合、以下の用語は、別段文脈が明白に示さない限り、指示された定義を有する。
【0013】
エポキシ末端化合物は、1つ以上の以下の構造Iを含む化合物である。
【0014】
【化4】
【0015】
ジエポキシドは、正確に2つの構造Iの基を有する化合物である。グリシジルエーテル末端化合物は、1つ以上の以下の構造IIを含む化合物である。
【0016】
【化5】
【0017】
エステル結合は、以下の構造IIIである。
【0018】
【化6】
【0019】
ポリエステルは、2つ以上のエステル結合を有する化合物である。ポリオールは、2つ以上の−OH基を有する化合物である。ジオールは、正確に2つの−OH基を有する化合物である。ポリアミンは、2つ以上のアミン基を有する化合物であり、これらのアミン基は、一級もしくは二級、またはこれらの混合物であり得る。ジアミンは、正確に2つのアミン基を有する化合物であり、ジアミンは、2つの一級アミン基、2つの二級アミン基、または1つの一級アミン基及び1つの二級アミン基を有し得る。ジカルボン酸は、正確に2つの−COOH基を有する化合物である。
【0020】
脂肪族基は、炭素原子及び水素原子のみを含み、芳香環を含まない化学基である。脂環式基は、1つ以上の環式構造を含む脂肪族基である。アルキル基は、二重結合を有さない脂肪族基である。シクロアルキル基は、1つ以上の環式構造を含むアルキル基である。芳香族基は、芳香環を有する任意の基である。
【0021】
本明細書で比率がX:1以上であると言われるとき、その比率はY:1であることが意味され、YはX以上である。例えば、比率が3:1以上であると言われるとき、その比率は3:1または5:1または100:1であってもよいが、2:1であってはならない。同様に、本明細書で比率がW:1以下であると言われるとき、その比率はZ:1であることが意味され、ZはW以下である。例えば、比率が15:1以下であると言われるとき、その比率は15:1または10:1または0.1:1であってもよいが、20:1であってはならない。
【0022】
本発明の組成物は、以下の構造IVを有するエポキシ末端ポリエステルである。
【0023】
【化7】
【0024】
構造IVにおいて、これらの2つの−R
1基は同一でも異なってもよい。各R
1基は、以下の構造Vを有する。
【0025】
【化8】
【0026】
−R
2−基は、50個よりも少ない炭素原子を有する二価有機基である。G−基は、本明細書上記に定義される構造IIを有する。−CA−基は、シクロアルキル基である。−A−基は、二価アルキル基である。
【0027】
構造IVを有する1つ以上の化合物に加えて、本発明の組成物は、以下の構造IVAを有する1つ以上の化合物も含み得、
【0028】
【化9】
【0029】
式中、B
1は、構造
【0030】
【化10】
【0031】
を有し、
B
2は、構造
【0032】
【化11】
【0033】
を有し、
nは1〜6である。
【0034】
好ましくは、−R
2−は、以下の構造VIを有する基である。
【0035】
【化12】
【0036】
数pは0〜20である。好ましくは、pは0〜10であり、より好ましくは0〜5である。各−R
3−、各−R
4−、及び各−R
5−は、他から独立して、二価有機基である。単一の−R
2−基中で、pが2以上である場合、これらの様々な−R
3−基は互いに同一であっても互いに異なっていてもよい。単一の−R
2−基中で、pが2以上である場合、これらの様々な−R
4−基は互いに同一であっても互いに異なっていてもよい。
【0037】
好ましくは、−R
3−は、1つ以上の二価脂肪族基及び脂環式基、1つ以上の二価芳香族炭化水素基、またはこれらの混合物から選択される。脂肪族基の中で、アルキル基が好ましく、直鎖または分岐鎖アルキル基がより好ましく、直鎖アルキル基がより好ましい。脂肪族基の中で、1個以上の炭素原子を有するものが好ましく、2個以上の炭素原子を有するものがより好ましく、3個以上の炭素原子を有するものがより好ましい。脂肪族基の中で、12個以下の炭素原子を有するものが好ましく、8個以下の炭素原子を有するものがより好ましく、6個以下の炭素原子を有するものがより好ましい。脂肪族基の中で、−CH
2CH
2CH
2CH
2−が好ましい。脂環式基の中で、1,2−シクロヘキサン、1,3−シクロヘキサン、及び1,4−シクロヘキサンである。芳香族基の中で、異性体の混合物を含む以下の構造を有するものが好ましく、
【0038】
【化13】
【0039】
以下のものがより好ましい。
【0040】
【化14】
【0041】
−R
5−に好適かつ好ましい基は、−R
3−に好適かつ好ましい基と同一である。−R
5−基は−R
3−基のうちのすべてと異なっていてもよく、または−R
5−は−R
3−基のうちの1つまたはすべてと同一であってもよい。
【0042】
好ましくは、−R
4−は、脂肪族基もしくは脂環式基のいずれかであるか、脂肪族エーテル基である。脂肪族エーテル基は、以下の構造VIIを有し、
【0043】
【化15】
【0044】
式中、−R
8−、−R
9−(存在する場合)、及び−R
10−は脂肪族基であり、rは0〜10である。−R
8−基、−R
9−基(存在する場合)、及び−R
10−基は、同一であっても互いに異なっていてもよい。−R
4−が脂肪族エーテル基である場合、以下の選好が−R
8−、−R
9−(存在する場合)、−R
10−、及びrに適用される。好ましくは、−R
8−、−R
9−(存在する場合)、及び−R
10−は同一である。好ましくは、−R
8−、−R
9−(存在する場合)、及び−R
10−は直鎖アルキル基である。好ましくは、−R
8−、−R
9−(存在する場合)、及び−R
10−は各々、4個以下の炭素原子、より好ましくは3個以下の炭素原子、より好ましくは正確に2個の炭素原子を有する。好ましくは、rは0〜10、より好ましくは0〜5、より好ましくは0〜2、より好ましくは0である。−R
4−が脂肪族基または脂環式基である場合、−R
4−は好ましくはアルキル基、より好ましくは直鎖アルキル基である。−R
4−が脂肪族基または脂環式基である場合、−R
4−は1個以上の炭素原子を有する。−R
4−が脂肪族基または脂環式基である場合、−R
4−は好ましくは8個以下の炭素原子、より好ましくは6個以下の炭素原子、より好ましくは4個以下の炭素原子、より好ましくは3個以下の炭素原子、より好ましくは正確に2個の炭素原子を有する。
【0045】
いくつかの実施形態(本明細書では「混合ポリエステル」実施形態と呼ばれる)において、pは1より大きく、−R
3−基のうちのいくつかは他の−R
3−基と同一ではない。いくつかの混合ポリエステル実施形態において、−R
2−は、以下の構造VIIIを有する。
【0046】
【化16】
【0047】
−R
3−基、−R
4−基、及び−R
5−基は、本明細書上記に定義する通りであり、qは1以上である。好ましくは、qは0〜9、より好ましくは1〜4である。−R
6−に好適かつ好ましい基は、−R
4−に好適かつ好ましい基と同一である。−R
7−に好適かつ好ましい基は、−R
3−に好適かつ好ましい基と同一である。いくつかの混合ポリエステル実施形態(本明細書では「MP1」実施形態と呼ばれる)において、−R
5−は−R
3−と同一であり、−R
6−は−R
4−と同一であり、−R
7−は−R
3−とは異なる。いくつかのMP1実施形態において、すべての−R
4−基は互いに同一であり、他のMP1実施形態において、いくつかの−R
4−基は他の−R
4−基とは異なる。いくつかの混合ポリエステル実施形態(本明細書では「MP2」実施形態と呼ばれる)において、−R
5−は−R
7−と同一であり、−R
6−は−R
4−と同一であり、−R
7−は−R
3−とは異なる。いくつかのMP2実施形態において、すべての−R
4−基は互いに同一であり、他のMP2実施形態において、いくつかの−R
4−基は他の−R
4−基とは異なる。
【0048】
好ましい実施形態は、以下から選択される。
(a)pが0である実施形態、
(b)pが1以上であり、すべての−R
3−基が互いに同一であり、すべての−R
4−基が互いに同一であり、−R
5−が−R
3−と同一である実施形態、
(c)MP1実施形態、及び
(d)MP2実施形態。
【0049】
構造Vにおいて、−A−基は二価アルキル基である。好ましくは、すべての−A−基は互いに同一である。好ましくは、−A−は直鎖である。好ましくは、−A−中の炭素原子の数は1〜6、より好ましくは1〜4、より好ましくは1〜2、より好ましくは1である。
【0050】
構造Vにおいて、−CA−基は二価シクロアルキル基である。−CA−基は、1つ以上のメチル基、1つ以上の直鎖アルキル基、またはこれらの組み合わせで置換され得る。−CA−基は単一環式を有しても、または二環式構造であってもよい。好ましくは、−CA−中の炭素原子の数は12以下、より好ましくは8以下、より好ましくは7以下である。好ましくは、−CA−中の炭素原子の数は3以上、より好ましくは4以上、より好ましくは5以上である。好ましくは、−CA−は、そのすべての異性体及びその混合物を含む二価シクロヘキシル基である。より好ましくは、−CA−は1,4二価シクロヘキシル基である。
【0051】
本発明のエポキシド末端ポリエステルは、275〜1500、より好ましくは285〜1000、及びより好ましくは285〜750のエポキシド当量(EEW)を有する。本発明のエポキシ末端ポリエステルの数平均分子量は、好ましくは500〜5000、より好ましくは550〜3100、及びより好ましくは550〜2400の範囲内である。
【0052】
本発明の組成物中に存在する低分子量(≦1000ダルトン)種のレベルの特徴付けが有用である。低分子量種のレベルは、組成物の総重量に基づいて1000ダルトン以下の分子量を有する種の重量パーセンテージとして定義される。低分子量種のレベルは、好ましくは45%以下、より好ましくは30%以下、より好ましくは25%以下である。
【0053】
本発明の組成物は、任意の方法によって作製され得る。好ましい方法は、少なくとも1つのジエポキシドと少なくとも1つのジカルボン酸とを反応させることを含む。ジエポキシドは、以下の構造IXを有する。
【0054】
【化17】
【0055】
G基、−A−基、及び−CA−基は、構造Vにおいて見られるものと定義される。ジカルボン酸は、以下の構造Xを有する。
【0056】
【化18】
【0057】
−R
2−基は、構造IVにおいて見られるものと定義される。反応が構造IVを有する化合物を生成するように、十分な量の構造IXを有する化合物が使用される。反応は、構造IVAを有する化合物も生成し得る。
【0058】
構造Xの好ましい化合物は、110以上、より好ましくは120以上、より好ましくは125以上の酸価(以下に記載するように測定される)を有する。構造Xの好ましい化合物は、770以下、260以下、より好ましくは200以下、より好ましくは175以下の酸価を有する。構造Xの好ましい化合物は、146以上、より好ましくは430以上、より好ましくは560以上、より好ましくは640以上の分子量を有する。構造Xの好ましい化合物は、1020以下、より好ましくは940以下、より好ましくは900以下の分子量を有する。構造Xの好適な化合物の好適な混合物の混合物も好適であり、も好適である。
【0059】
少なくとも1つのジエポキシドと少なくとも1つのジカルボン酸との反応において、エポキシド基:カルボン酸基の化学量論的比率は、好ましくは3.1:1以上、より好ましくは2.7:1以上、より好ましくは2.2:1以上である。エポキシド基:カルボン酸基の化学量論的比率は、好ましくは2:1以下、より好ましくは1.6:1以下、より好ましくは1.3:1以下である。
【0060】
ジエポキシドとジカルボン酸との反応は、触媒の存在下で任意に実行され得る。好ましい触媒は、可溶性クロム化合物を有するトリアリールリン化合物、テトラ置換ホスホニウム塩、四級アンモニウム塩、炭酸塩、水酸化物塩、及びカルボン酸塩である。テトラ置換ホスホニウム塩、炭酸塩、及びカルボン酸塩が最も好ましい。
【0061】
トリアリールリン化合物がクロム化合物との組み合わせで使用されるとき、好ましいトリアリールリン化合物は、トリアリールホスフィンである。好ましいトリアリールホスフィンは、トリフェニルホスフィン、トリトリルホスフィン、トリキシリルホスフィン、及びトリナフチルホスフィンである。トリアリールリン化合物がクロム化合物との組み合わせで使用されるとき、好ましいクロム化合物は、三酢酸クロム及び三塩化クロムである。テトラ置換ホスホニウム塩の中で、アルキルトリフェニルホスホニウム塩、テトラアリールホスホニウム塩、ベンジルトリアルキルホスホニウム塩、及びテトラアルキルホスホニウム塩が好ましく、アルキルトリフェニルホスホニウム塩及びベンジルトリアルキルホスホニウム塩がより好ましい。アルキルトリフェニルホスホニウム塩の中で、酢酸エチルトリフェニルホスホニウム/酢酸複合体、及びヨウ化エチルトリフェニルホスホニウムが好ましく、ヨウ化エチルトリフェニルホスホニウムがより好ましい。テトラアルキルホスホニウム塩の中で、酢酸テトラブチルホスホニウム/酢酸複合体が好ましい。ベンジルトリアルキルホスホニウム塩の中で、塩化ベンジルトリメチルホスホニウムが好ましい。テトラアリールホスホニウム塩の中で、臭化テトラフェニルホスホニウムが好ましい。
【0062】
四級アンモニウム塩の中で、塩化ベンジルトリメチルアンモニウム、塩化テトラメチルアンモニウム、及び塩化ジフェニルジメチルアンモニウムが好ましい。カルボン酸塩の中で、モノカルボン酸のナトリウム塩またはカリウム塩が好ましく、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、プロピオン酸ナトリウム、プロピオン酸カリウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、乳酸ナトリウム、乳酸カリウム、酒石酸ナトリウム、酒石酸カリウム、及び酒石酸ナトリウムカリウムがより好ましい。無機塩基の中で、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、及び水酸化カリウムが好ましい。
【0063】
エポキシ末端ポリエステルの調製に好ましい触媒は、ヨウ化エチルトリフェニルホスホニウム、塩化ベンジルトリメチルアンモニウム、炭酸ナトリウム、及び酢酸ナトリウムである。
【0064】
ジオールとジカルボン酸との反応によるカルボキシ末端ポリエステル樹脂の調製において、スズまたはチタン酸塩の化合物が使用されるとき、そのレベルは、好ましくは0.0001〜0.05重量%の範囲内である。
【0065】
−R
2−基が1以上のpを有する構造VIを有するとき、構造Xを有する化合物は、好ましくは1つ以上のジカルボン酸と1つ以上のジオールとの1つ以上の反応によって作製される。
【0066】
本明細書上記に定義される実施形態(a)は、好ましくはジエポキシドと、構造HOOC−R
11−COOHを有するジカルボン酸との反応によって作製される。好適かつ好ましい−R
11−基は、好適かつ好ましい−R
3−基と同一である。
【0067】
本明細書上記に定義される実施形態(b)は、好ましくはジエポキシドと、ポリエステルであるジカルボン酸(本明細書では「PEb1」と呼ばれる)との反応によって作製される。PEb1は、好ましくは単一のジカルボン酸(「DAb1」)と単一のジオール(「DOb1」)とを反応させることによって作製される。DAb1は、構造HOOC−R
12−COOHを有する。好適かつ好ましい−R
12−基は、好適かつ好ましい−R
3−基と同一である。DOb1は、構造HOR
13−OHを有し、好適かつ好ましい−R
13−基は、本明細書上記に−R
4−基について記載したものと同一である。−R
4−基は、例えば脂肪族基もしくは脂環式基、または構造VIIであり得る。DOb1との反応がジカルボン酸であるポリエステルを生成するように、十分な量のDAb1が使用される。
【0068】
本明細書上記に定義される実施形態(c)は、好ましくはジエポキシドと、ポリエステルであるジカルボン酸(本明細書では「PEc1」と呼ばれる)との反応によって作製される。PEc1は、好ましくは単一のジカルボン酸(「DAc1」)と中間体ポリエステル(「PEc2」)とを反応させることによって作製される。DAc1は、構造HOOC−R
13−COOHを有する。好適かつ好ましい−R
13−基は、好適かつ好ましい−R
3−基と同一である。PEc2は、好ましくはジカルボン酸(「DAc2」)と1つ以上のジオール(「DOc1」)との反応によって作製される。DAc2は、構造HOOC−R
14−COOHを有する。好適かつ好ましい−R
14−基は、好適かつ好ましい−R
3−基と同一である。好ましくは、DAc2はDAc1とは異なる。DOc1は、構造HOR
15−OHを有し、好適かつ好ましい−R
15−基は、本明細書上記に−R
4−基について記載したものと同一である。−R
4−基は、例えば脂肪族基もしくは脂環式基であるか、または構造VIIを有し得る。相対量のDOc1及びDAc2は、1つの末端−OH基及び1つの末端−COOH基を有する有意な量の生成物PEc2が形成されるように使用される。
【0069】
本明細書上記に定義される実施形態(d)は、好ましくはジエポキシドと、ポリエステルであるジカルボン酸(本明細書では「PEd1」と呼ばれる)との反応によって作製される。PEd1は、好ましくは単一のジカルボン酸(「DAd1」)と中間体ポリエステル(「PEd2」)とを反応させることによって作製される。DAd1は、構造HOOC−R
16−COOHを有する。好適かつ好ましい−R
16−基は、好適かつ好ましい−R
3−基と同一である。PEd2は、好ましくはジカルボン酸(「DAd2」)と1つ以上のジオール(「DOd1」)との反応によって作製される。DAd2は、構造HOOC−R
17−COOHを有する。好適かつ好ましい−R
17−基は、好適かつ好ましい−R
3−基と同一である。好ましくは、DAd2はDAd1とは異なる。DOd1は、構造HOR
18−OHを有し、好適かつ好ましい−R
18−基は、本明細書上記に−R
4−基について記載したものと同一である。−R
4−基は、例えば脂肪族基もしくは脂環式基であるか、または構造VIIを有し得る。相対量のDOd1及びDAd2は、2つの末端−OH基を有する有意な量の生成物PEd2が形成されるように使用される。
【0070】
カルボン酸基とヒドロキシル基との間の反応は、好ましくは1つ以上の触媒の存在下で実行される。好ましい触媒は、スズ化合物及びチタン酸塩の化合物である。スズ化合物の中で、ジブチルスズ、テトラブチルスズ、四塩化スズ、ジオクチルスズ、モノブチルスズ、及び第一スズが好ましく、ヒドロキシブチルスズオキシド、モノブチルスズトリス(2−エチルヘキサノエート)、及び第一スズ2−エチルヘキサノエートがより好ましい。チタン酸塩化合物の中で、チタン酸テトラアルキルが好ましく、チタン酸テトラ(イソ−プロピル)及びチタン酸テトラ(n−ブチル)がより好ましい。
【0071】
カルボン酸基とヒドロキシル基との反応について、触媒が存在する場合、好ましい量は、カルボン酸基を有する化合物とヒドロキシル基を有する化合物との重量の合計に基づいて0.0001重量%〜0.05重量%である。
【0072】
本発明の組成物は、多様な目的に使用され得る。好ましくは、本発明の組成物は、第1の基板を第2の基板に付着させるために使用される接着剤組成物中の成分として使用される。好ましくは、本発明の1つ以上の組成物は、硬化性化合物と、任意に溶媒と混合され、その混合物が第1の基板に適用されて、第1の基板上に層を形成し、溶媒(存在する場合)が蒸発するか、または蒸発させられ、第2の基板が混合物の層と接触させられ、その混合物が硬化するか、または硬化させられる。
【0073】
硬化性化合物は、エポキシ基と反応することができる2つ以上の基を有する化合物である。好ましい硬化性化合物は、アミノ化合物である。好ましいアミノ化合物は、フェナルカミン、フェナルカミド(phenalkamide)、及びアミン末端アミド樹脂である。アミン末端アミド樹脂は、ジカルボン酸とジアミンとの反応生成物である。アミン末端アミド樹脂の形成のために、好ましいジカルボン酸は、不飽和脂肪酸の2つの分子の反応生成物である二量体酸である。不飽和脂肪酸は、構造R
19−COOHを有し、式中、R
19−は、8個以上の炭素原子、1つ以上の炭素−炭素二重結合を有する脂肪族基である。好ましいジアミンは、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレントリアミン、テトラエチレンペンタミン、ピペラジン、アミノエチルピペラジン、イソホロンジアミン、キシリレンジアミン、及びこれらの混合物である。
【0074】
好ましい基板は、ポリマーフィルム、金属化ポリマーフィルム、金属箔、ポリマー裏打ち金属箔、セラミックコーティングポリマーフィルム、及びこれらの組み合わせである。
【0075】
以下は、本発明の実施例である。
【0076】
以下で使用される略称は、以下の通りである。
【0077】
AV:酸価であり、ASTM D3644−06(米国材料試験協会、米国ペンシルベニア州コンショホッケン)の方法によって測定されたものである。
【0078】
OHN:ヒドロキシル数であり、ASTM E1899−08の方法によって測定されたものである。
【0079】
アミン価:Test Methods for Total,Primary,Secondary,and Tertiary Amine Values of Fatty Amines by Alternative Indicator Methodの方法ASTM D2074−07によって測定されたものである。
【0080】
Visc.:粘度であり、スピンドル番号27を有するサーモスタット小試料アダプターを有するBrookfield RV DV−II+粘度計を用いて、25〜70℃の範囲にわたって5℃の増分で温度を変化させ、試料を温度で20〜30分間安定させた後に粘度を記録することによって測定されたものである。
【0081】
Fascat(商標)9100:Arkema,Inc.の商業等級のヒドロキシブチルスズオキシドである。
【0082】
CHDM−DGE:1,4−シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル(両方の−A−基が−CH
2−であり、−CA−基が1,4−シクロヘキシルである構造IX)であり、
純度は99.0重量%超であり、EEWは129.9であり、SEC分析:M
n200、M
w200、M
z200、重量分率≦500ダルトン98.8%、重量分率≦1000ダルトン99.9%である。
【0083】
粗CHDM−DGE:粗等級の純度:79.5%の1,4−シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテルであり、他のモノエポキシド、ジエポキシド、及びトリエポキシドを含み、EEWは135.24であり、SEC分析:M
n200、M
w300、M
z600、重量分率≦500ダルトン77.3%、重量分率≦1000ダルトン96.1%である。
【0084】
Erisys(商標)GE−22:CVC Thermoset Specialtiesの商業等級のCHDM−DGEであり、
純度:53.8%の1,4−シクロヘキシルジメタノールジグリシジルエーテルである。不純物は、他のジエポキシド、モノエポキシドなどである。バッチA:EEW147.61(SEC分析:M
n225、M
w250、M
z300、重量分率≦500ダルトン96.8%、重量分率≦1000ダルトン99.4%)であり、バッチB:156.56(SEC分析:M
n200、M
w300、M
z400、重量分率≦500ダルトン93.0%、重量分率≦1000ダルトン99.2%)である。
【0085】
Unidyme(商標)22:Arizona Chemicalの二量体化脂肪酸であり、AVが192.9である。
【0086】
Cardolite(商標)NC−541LV:Cardolite Corporation.のフェナルカミン硬化剤であり、アミン価が340であり、活性水素当量が125である。
【0087】
Polypox(商標)HO15:The Dow Chemical Companyのマンニッヒ塩基硬化剤であり、アミン価が375であり、活性水素当量が75である。
【0088】
Polypox(商標)P370:The Dow Chemical Companyのエポキシ樹脂用ポリアミノイミダゾリン硬化剤であり、アミン価が485であり、活性水素当量が95である。
【0089】
Epikure(商標)3140:Momentiveの二量体化脂肪酸とポリアミンとの反応生成物であるポリアミド硬化剤であり、アミン価が375であり、活性水素当量が95である。
【0090】
Priamine(商標)1071:Crodaの二量体ジアミンである。
【0091】
Jeffamine(商標)D400:Huntsmanのポリエーテルアミンである。
【0092】
Coex PP(75SLP):非加熱密封可能な厚さ19マイクロメートル(0.75ミル)のExxon Mobil Bicor SLP配向ポリプロピレンである。
【0093】
Coex PP(70SPW):厚さ18マイクロメートル(0.70ミル)のExxon Mobil Bicor SPW共押出ポリプロピレンである。
【0094】
PET:厚さ23マイクロメートル(92ゲージ)の厚さのポリエステルフィルムである、DuPontのポリエステル、ポリ(エチレングリコール−テレフタラート)である。
【0095】
PE(GF−19):厚さ25.4マイクロメートル(1.0ミル)のBerry Plastics Corp.の高滑低密度ポリエチレンフィルムである。
【0096】
ナイロン:厚さ15マイクロメートルのHoneywell Capran Emblem1500、二軸配向ナイロン6フィルムである。
【0097】
PET−Met:厚さ25.4マイクロメートルのFILMTech Inc.の金属化ポリエステルフィルムである。
【0098】
OPP−Met:加熱密封可能な厚さ18マイクロメートルのAET Filmsの金属化配向ポリプロピレンフィルム、MTフィルムである。
【0099】
裏打ち箔:Adcote550/共反応体Fを3.26g/m
2(2.00ポンド/リーム)で有する0.00035ミルのAl箔に積層された12マイクロメートル(48ゲージ)のポリエステル(PET)フィルムである。
【0100】
PET(92LBT):厚さ23ミクロン(92ゲージ)のDuPontのポリエステル、ポリ(エチレングリコール−テレフタラート)である。
【0101】
M
n:数平均分子量である。
M
w:重量平均分子量である。
M
z:z平均分子量である。
EEW:エポキシ基1モル当たりの質量であるエポキシ当量である。
活性水素当量:活性水素1モル当たりの質量であり、活性水素はアミン基の 窒素原子に結合した水素原子である。
【0102】
重量分率500:500以下の分子量を有する重量分率である。
重量分率1000:1000以下の分子量を有する重量分率である。
【0103】
[表]
【0104】
品目1及び2を反応器に装填し、樹脂を脱ガス/窒素パージし、樹脂混合物を100℃になるまで緩徐に加熱し、100〜115℃で1.5時間維持し、AV及び粘度を確認した。AVが>155である場合、145℃になるまで加熱した。約155のAVまで145〜150℃で維持した。約70〜80℃になるまで冷却し、濾過し、パッケージ化した。
【0105】
最終樹脂は、以下の特性を有した。酸価(AV)147.94、M
n300、M
w700、M
z1100、重量分率≦500ダルトン42.4%、重量分率≦1000ダルトン75.9%、25℃で78375mPa・sの粘度。
【0106】
[表]
【0107】
品目1〜3を周囲温度(25〜30℃)で容器に装填した。樹脂を窒素下で撹拌しながら100℃になるまで加熱した。100℃で0.50時間維持する。樹脂を225℃になるまで加熱し、225℃で保持し、約80%の理論水が除去されたときに、AV及びプロセス中粘度を監視する。AVが<約180になるまで225℃で維持した。AVが<180になった時点で真空を適用し、AVが<155になるまで225℃及び約325mmで維持した。樹脂を約150℃になるまで冷却し、濾過し、パッケージ化する。
【0108】
最終樹脂は、以下の特性を有した。酸価(AV)140.39、M
n950、M
w1650、M
z3350、重量分率≦500ダルトン11.4%、重量分率≦1000ダルトン32.1%、25℃で4070mPa・sの粘度。
【0109】
[表]
【0110】
品目1〜3を周囲温度(25〜30℃)で容器に装填した。樹脂を窒素下で撹拌しながら100℃になるまで加熱する。100℃で0.50時間維持した。樹脂を225℃になるまで加熱し、225℃で保持し、約80%の理論水が除去されたときに、AV及びプロセス中粘度を監視する。AVが<約225になるまで225℃で維持した。AVが<225になった時点で真空を適用し、AVが<205になるまで225℃及び約325mmで維持した。樹脂を約150℃になるまで冷却し、濾過し、パッケージ化する。
【0111】
最終樹脂は、以下の特性を有した。酸価(AV)203.68、M
n650、M
w1150、M
z1600、重量分率≦500ダルトン26.6%、重量分率≦1000ダルトン50.3%、35℃で33050mPa・sの粘度。
【0112】
[表]
【0113】
品目1〜3を周囲温度(25〜30℃)で容器に装填した。 樹脂を窒素下で撹拌しながら100℃になるまで加熱した。樹脂を225℃になるまで加熱し、225℃で保持した。約50%の理論水を除去したときに。AV及びプロセス中粘度を監視した。AVが<約75になるまで225℃で維持した。樹脂を<125℃になるまで冷却した。品目4を添加し、125〜135℃で0.50時間維持した。温度を225℃に上昇させ、225℃で維持した。AV及び粘度を監視し、AVが<約155になるまで225℃で維持した。樹脂を約150℃になるまで冷却し、濾過し、パッケージ化した。
【0114】
最終樹脂は、以下の特性を有した。酸価(AV)149.73、M
n950、M
w1750、M
z2250、重量分率≦500ダルトン10.6%、重量分率≦1000ダルトン32.1%、25℃で29500mPa・sの粘度。
【0115】
[表]
【0116】
品目1〜4を周囲温度(25〜30℃)で容器に装填した。樹脂を窒素下で撹拌しながら100℃になるまで加熱した。樹脂を225℃になるまで加熱し、225℃で保持し、約50%の理論水を除去した。AV及びプロセス中粘度を監視した。AVが<約75になるまで225℃で維持した。樹脂を<125℃になるまで冷却した。品目5を添加し、125〜135℃で0.50時間維持した。温度を225℃に上昇させ、225℃で維持した。AV及び粘度を監視し、AVが<約155になるまで225℃で維持した。樹脂を約150℃になるまで冷却し、濾過し、パッケージ化した。
【0117】
最終樹脂は、以下の特性を有した。酸価(AV)157、M
n750、M
w1500、M
z2350、重量分率≦500ダルトン18.1%、重量分率≦1000ダルトン41.3%、25℃で22175mPa・sの粘度。
【0118】
実施例6〜24:エポキシド末端ポリエステル樹脂の調製
【0119】
実施例6〜24の調製は同様であった。ジエポキシド、1つ以上の二酸、及び触媒(使用される場合)を反応器に装填した。135〜140℃になるまで緩徐に加熱した。135〜140℃で2時間維持し、その後AV及び粘度を監視した。135〜140℃で維持し、AVが<1.0になるまでAV及び粘度を監視した。樹脂を移し、パッケージ化する。
【0120】
実施例6〜24は、以下の通りであった。
【0121】
【表1】
【0122】
【表2】
【0123】
【表3】
【0124】
[表]
【0125】
品目1及び2を反応器に装填した。200℃になるまで緩徐に加熱した。200℃で2時間維持し、放出を監視した。温度を225〜230℃に上昇させ、1時間維持した。樹脂を移し、パッケージ化する。
【0126】
最終樹脂は、以下の特性を有した。アミン価217.15、25℃で51100mPa・sの粘度。
【0127】
[表]
【0128】
品目1及び2を反応器に装填した。200℃になるまで緩徐に加熱した。200℃で2時間維持し、放出を監視した。樹脂を移し、パッケージ化する。
【0129】
最終樹脂は、以下の特性を有した。アミン価238.9、25℃で49000mPa・sの粘度。
【0130】
一連の積層構築物を使用するアミン系樹脂で、エポキシ末端ポリエステルの接着特性を評価した。これらの二部接着剤系を、溶液手動流延法及び積層器により評価した。
【0131】
試験結果を記載するために、以下の略称を使用する。as:接着剤分裂、ftr:フィルム断裂、fstr:フィルム伸展、at:接着剤転移、sec:二級、zip:ジッパー的付着、pmt:部分金属転移。幅15mmの積層体条片の接着付着強度を、10.0cm/分の速度の50ニュートンロードセルを有するThwing−Albert Tensile Tester(モデルQC−3A)で決定した。
【0132】
実施例26〜52を、以下のように実行した。50重量%濃度の酢酸エチル中、以下に示される混合比でエポキシ末端ポリエステルを硬化剤と混合した。第1の基板上に溶液をコーティングし、1.6276g/m
2(1.0ポンド/リーム)の乾燥コーティング重量を得た。乾燥コーティングに第2の基板を適用し、結果として生じる積層体を室温(約25℃)で硬化させた。付着強度を硬化時間の関数として試験し、以下に報告する。「混合比」は、100:Xとして表されるエポキシ樹脂:硬化剤の重量比である。「積層体構造」とラベル付けされる列において、第1の基板を列記し、その後、第2の基板を列記する。
【0133】
一例として、以下の表において、実施例番号26は、硬化剤Cardolite(商標)NC−541LVと100:23.9のエポキシ樹脂:硬化剤の重量比で混合された、実施例6において作製されたエポキシ樹脂の混合物であった。7日目の付着強度は、幅15mmの場合0.74ニュートンであり、失敗様式は接着剤分裂であった。
【0134】
【表4】
【0135】
【表5】
【0136】
【表6】
【0137】
【表7】
【0138】
【表8】
【0139】
【表9】
【0140】
【表10】
【0141】
【表11】
【0142】
【表12】