特許第6561077号(P6561077)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6561077液化前のリーン天然ガスからの重質炭化水素の除去方法及び装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6561077
(24)【登録日】2019年7月26日
(45)【発行日】2019年8月14日
(54)【発明の名称】液化前のリーン天然ガスからの重質炭化水素の除去方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   F25J 3/02 20060101AFI20190805BHJP
   C10L 3/10 20060101ALI20190805BHJP
   F25J 3/06 20060101ALI20190805BHJP
【FI】
   F25J3/02 B
   C10L3/10
   F25J3/06
【請求項の数】17
【全頁数】40
(21)【出願番号】特願2016-575628(P2016-575628)
(86)(22)【出願日】2015年3月13日
(65)【公表番号】特表2017-510787(P2017-510787A)
(43)【公表日】2017年4月13日
(86)【国際出願番号】US2015020360
(87)【国際公開番号】WO2015138846
(87)【国際公開日】20150917
【審査請求日】2018年3月7日
(31)【優先権主張番号】61/953,355
(32)【優先日】2014年3月14日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391011227
【氏名又は名称】ルマス テクノロジー インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ガスキン、トーマス、ケイ.
(72)【発明者】
【氏名】ヤーミン、フェレイドウン
(72)【発明者】
【氏名】パテル、サンジブ、エヌ.
(72)【発明者】
【氏名】バルコ、キャサリン、エル.
【審査官】 池田 周士郎
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第03622504(US,A)
【文献】 国際公開第80/002192(WO,A1)
【文献】 米国特許第03542673(US,A)
【文献】 特表2004−518935(JP,A)
【文献】 特表2000−512724(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25J 1/00−5/00
C10L 3/00−3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベンゼン化合物を含高凝固点の炭化水素の、混合供給ガス流からの除去工程であって;
前記混合供給ガス流を第一の熱交換器で冷却してC3、C4、及びC5成分並びに高凝固点の炭化水素の少なくとも一部を凝縮させ、
第一の分離器において、前記凝縮されたC3、C4、C5成分及び高凝固点の炭化水素を分離して第一の液体流及び第一のガス流を形成し、
第二の熱交換器において、前記第一のガス流を冷却して前記第一のガス流の少なくとも一部を凝縮させ、
第二の分離器において、前記第一のガス流の前記凝縮された部分を分離して、頂流としてのメタンリッチな第二のガス流及び第二の液体流を形成し、
前記第一及び第二の液体流を第一の精留塔に供給し、頂流のメタンガスを除去し及び第三の液体流を底流として除去し、
メタンリッチな生成ガス流を前記第二の分離器の頂部から除去し、ここで、メタンリッチな生成ガス流は、メタンを50体積%より多く含むガス流であり、
前記第三の液体流を精留列で精留してC3成分及びC4成分のうちの少なくとも1つを含む再循環流並びに高凝固点の炭化水素流を得、
C3成分及びC4成分のうちの少なくとも1つを含む前記再循環流を、前記第一の精留塔から上流に供給し、前記再循環流が導入される前記位置での前記流の凝固点を低下させることを含み、しかも、
C3成分及びC4成分のうちの少なくとも1つを含む流れの前記再循環が、前記第一及び第二の分離器に入る前記流れの液体の体積割合を増加させ、前記液体の高凝固点の炭化水素濃度を希釈し、そのため、不完全な液体の回収によって蒸気流とともに前記分離器を出る高凝固点の炭化水素の量を低減する、前記工程。
【請求項2】
前記再循環流が前記第一の分離器から上流で前記供給ガス流と混合される、請求項1に記載の工程。
【請求項3】
前記再循環流が前記第一の液体流と混合される、請求項1に記載の工程。
【請求項4】
前記再循環流が前記第二の液体流と混合される、請求項1に記載の工程。
【請求項5】
前記再循環流が前記第一のガス流と混合される、請求項1に記載の工程。
【請求項6】
前記第一の分離器が温分離器を含み、前記第一の分離器から得られる前記第一の液体流がC2成分を含む、請求項1に記載の工程。
【請求項7】
前記第二の分離器が冷分離器を含む、請求項1に記載の工程。
【請求項8】
さらに、前記第二の分離器から下流に第三の分離器を含み、前記第三の分離器からの底流が前記第一の精留塔に送られ、前記頂流が前記メタンリッチな生成ガス流の少なくとも一部を含む、請求項1に記載の工程。
【請求項9】
前記再循環流が前記第三の分離器からの底流と混合される、請求項に記載の工程。
【請求項10】
前記第二の分離器からの前記頂流が前記第三の分離器に送られる前に膨張される、請求項8に記載の工程。
【請求項11】
前記メタンリッチな生成ガス流は、メタン含量が少なくとも80%モル濃度メタンである、請求項10に記載の工程。
【請求項12】
さらに、プラントの始動時、前記メタンリッチな生成ガス流の一部を前記混合供給ガス流と混合することを含む、請求項1に記載の工程。
【請求項13】
前記供給ガスからの非凝固性成分の十分な凝縮を再循環に利用されるようにする温度に到達するまで、前記システムの初始動及び冷却を凝固することなく可能にするために、外部源からの非凝固性成分の流れが前記混合供給ガス流へ添加される、請求項1に記載の工程。
【請求項14】
さらに、前記メタンリッチな第二のガス流を、最も凝固点の高い成分の大部分を分離した後自己冷却させるために膨張器を用いることを含み、前記自己冷却したメタンリッチな第二のガス流が、前記供給ガスの冷却に利用される、請求項1に記載の工程。
【請求項15】
回収された非凝固性成分の一部前記供給ガスへ再循環することで、組成が変わり、前記供給ガスの組成が、よりリッチな供給ガスと同様であり、当該よりリッチな供給ガスは、凝固を避けるための再循環の必要が少ないかまたはその必要がない、請求項1に記載の工程。
【請求項16】
回収された非凝固性成分の一部の前記再循環が、供給ガス成分の総濃度を増加させて前記供給ガスのメタン含量がより高い時のプラントにおける条件に近づけ、その結果、前記供給ガスがメタンリッチであってもなくても、プラントの装置のすべてが同様の条件で運転される、請求項15に記載の工程。
【請求項17】
前記再循環流がさらにC2成分及びC5成分のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の工程。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2014年3月14日に出願された米国仮特許出願第61/953,355号の優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
高凝固点の成分の除去は、天然ガス液化プラントにおける凝固を避けるために必要とされる。液化プラントへの供給ガスの典型的な規格が含むのは、100万分の1体積部(ppmv)未満のベンゼン、並びに0.05%モル濃度未満のペンタン及びより重質(C5+)の成分である。高凝固点の炭化水素成分の除去設備は、通常、水銀、CO2及びH2S等の酸性ガス、並びに水を除去する前処理設備の下流に位置する。
【0003】
高凝固点の炭化水素の除去用の、LNGの供給ガスの前処理のための簡素で一般的なシステムは、入口ガス冷却器、凝縮液の除去用の第一の分離器、第一の分離器からの蒸気をさらに冷却するための膨張器(またはジュール・トムソン弁もしくは冷凍機)、さらなる凝縮液の除去用の第二の分離器、及び第二の分離器からの低温蒸気を加熱するための再熱器の使用を含む。該再熱器と該入口ガス冷却器は、通常、1つの熱交換器を構成する。該第一及び第二の分離器からの液体流は、同様に凝縮した供給ガス中のより軽質の炭化水素の一部とともに、供給ガスのベンゼン及びC5+成分を含む。これらの液体流は、入口ガスとの熱交換によって再加熱されうる。これらの液体流はまた、凝固することなくLNGプラントに送られうる成分からの高凝固点の成分を濃縮するためにさらに分離されうる。
【0004】
既存のLNG設備に送られる供給ガスの組成は、経時変化する。液体回収プラントは、C5+の凝縮物を除去して製油所へ供給するため、または、地域の暖房需要もしくは化学プラントの原料用のプロパン及びブタンを除去するため、該LNG設備の上流のパイプラインに設置されうる。さらなるガス田が出現する可能性があり、または、個々のガス田からの混合ガスは変化する場合がある。様々な状況が、LNG設備の供給ガスがより高濃度のベンゼンを含む原因となりうる。
【0005】
既存のLNG設備への供給ガスが変化し、予期されたよりも多くのベンゼンを含む場合、該高凝固点の炭化水素の除去プラントは、液化プラントにおける凝固を避けるために必要なベンゼンの除去を満たすことができないであろう。さらに、該高凝固点の成分の除去プラントにおける特定の場所が、ベンゼンの増加によって凝固する場合がある。該LNG設備は、より高いベンゼン濃度のガス源をこれ以上受け付けないことで、生産を減少させなくてはならない場合があり、または、ベンゼンの濃度を減少させることができない場合、完全に生産を中止しなくてはならない場合がある。これらの問題を克服する工程及びシステムを開発することは有益であろう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書に記載の第一の実施形態は、ベンゼン化合物を含めた高凝固点の炭化水素の、混合供給ガス流からの除去工程を含む。該工程は、該混合供給ガス流を第一の熱交換器で冷却してC3、C4、及びC5成分並びに高凝固点の炭化水素の少なくとも一部を凝縮させ、第一の分離器において、該凝縮されたC3、C4、C5成分及び高凝固点の炭化水素を分離して第一の液体流及び第一のガス流を形成し、第二の熱交換器において、該第一のガス流を冷却して該第一のガス流の少なくとも一部を凝縮させ、第二の分離器において、該凝縮された第一のガス流の部分を分離して、メタンリッチな第二のガス流を頂流として、及び第二の液体流を形成することを含む。該第一及び第二の液体流は、次に、第一の精留塔に送られ、頂流のメタンガスが除去され、第三の液体流が底流として除去される。該工程はさらに、メタンリッチな生成ガス流を該第二の分離器の頂部から下流で除去し、該第三の液体流を精留列で精留してC3成分及びC4成分のうちの少なくとも1つを含む再循環流並びに高凝固点の炭化水素流を得、C3成分及びC4成分のうちの少なくとも1つを含む該再循環流を、該第一の精留塔から上流の位置で該工程に供給し、該再循環流が導入される位置での該流の凝固点を低下させることを含む。
【0007】
別の実施形態は、ベンゼン化合物を含めた高凝固点の炭化水素の、混合供給ガス流からの除去工程であって、該混合供給ガス流を第一の熱交換器で冷却してC3、C4、及びC5成分並びに高凝固点の炭化水素の少なくとも一部を凝縮させ、第一の分離器において、該凝縮されたC3、C4、C5成分及び高凝固点の炭化水素を分離して第一の液体流及び第一のガス流を形成し、第二の熱交換器において、該第一のガス流を冷却して該第一のガス流の少なくとも一部を凝縮させ、第二の分離器において、該凝縮された第一のガス流の部分を分離して、メタンリッチな第二のガス流を頂流として、及び第二の液体流を形成することを含む工程である。該工程はさらに、該第一及び第二の液体流を第一の精留塔に供給し、頂流のメタンガスを除去することも含み、第三の液体流を底流として除去するため、メタンリッチな生成ガス流を該第二の分離器の頂部から下流で除去し、該第三の液体流を精留列で精留して炭化水素生成流を得、C3成分及びC4成分のうちの少なくとも1つを含む溶剤流を、該第一の精留塔から上流の位置で該工程に供給して該溶剤流が導入される位置での該流の凝固点を低下させ、それにより、より低い工程温度を利用可能にすることを含む。
【0008】
さらなる実施形態は、メタン及びベンゼン成分を含む混合供給ガス流の、該ベンゼン成分を除去するための前処理システムであって、該混合供給ガスを部分的に凝縮させるための第一の熱交換器、C3+成分を含む第一の液体炭化水素流を形成するため第一のメタン含有ガス流から該混合供給ガスを分離するように構成された第一の分離器、該第一のメタンリッチなガス流を少なくとも部分的に凝縮させるように構成された第二の熱交換器、第二の液体炭化水素流から第二のメタン含有ガス流を分離するように構成された第二の分離器、該第一の液体炭化水素流及び該第二の液体炭化水素流からメタンを除去するように構成された精留塔、並びにC3成分及びC4成分のうちの少なくとも1つを含む溶剤流を該システムに供給するように構成された溶剤注入口を備えるシステムである。該溶剤注入口は、該第一もしくは第二の分離器の上流、または該第二の分離器の下流かつ該精留塔の上流に配置される。
【0009】
さらに別の実施形態は、ベンゼン化合物を含めた高凝固点の炭化水素の、混合炭化水素供給ガス流からの除去工程であって、該混合供給ガス流を第一の熱交換器で冷却してC3、C4、及びC5成分並びに高凝固点の炭化水素の少なくとも一部を凝縮させ、第一の分離器において、該凝縮されたC3、C4、C5成分及び高凝固点の炭化水素を分離して第一の液体流及び第一のガス流を形成し、第二の熱交換器において該第一のガス流を冷却して、または該第一のガス流を減圧して該第一のガス流を部分的に凝縮させ、第二の分離器において、該凝縮された第一のガス流の部分を分離して、メタンリッチな第二のガス流及び第二の液体流を形成することを含む工程である。該工程はさらに、メタンリッチな生成ガス流を第二の分離器の頂部から下流で除去し、該第一の液体流を精留列に供給し、該第一の液体流を精留して炭化水素生成物流及び、ベンゼン成分を含む高凝固点の炭化水素流を得、該第二の液体流の少なくとも一部を回収し、回収された部分の圧力を上げ、該回収され圧縮された部分の少なくとも一部を、該第一の分離器から上流の位置へ、または該第一の分離器へ向けて該工程に再循環させ、工程流並びに工程要素の凝固を防止することも具備する。
【0010】
さらなる実施形態は、メタン及びベンゼン成分を含む混合供給ガス流の、該ベンゼン成分を除去するための前処理システムであって、該混合供給ガスを冷却及び部分的に凝縮させるための第一の熱交換器、該冷却及び部分的に凝縮された混合供給ガス流を分離してC3+成分を含む第一の液体炭化水素流及び第一のメタン含有ガス流を形成するように構成された第一の分離器、該第一のメタン含有ガス流を膨張及び部分的に凝縮させるように構成された膨張器、該第一のメタン含有ガス流を分離して第二のメタン含有ガス流及び第二の液体炭化水素流を形成するように構成された第二の分離器、該第一の液体炭化水素流及び該第二の液体炭化水素流のうちの少なくとも1つの圧力を高めるように構成された加圧装置、並びに、該第一の液体炭化水素流及び該第二の液体炭化水素流のうちの少なくとも1つの再循環部分を該第一の分離器の上流の位置、または該第一の分離器で該システムに送り戻すように構成された再循環の入口を備えるシステムである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第一の実施形態に従って、混合炭化水素ガス流から高凝固点の炭化水素を取り出すためのシステム及び工程を概略的に示す。
【0012】
図2図1に示す工程から得られた混合炭化水素流を精留するためのシステム及び工程を概略的に示す。
【0013】
図3】ガス流から高凝固点の炭化水素を取り出すためのシステム及び工程の第二の実施形態を概略的に示す。
【0014】
図4】第三の実施形態に従って、ガス流から高凝固点の炭化水素を取り出すためのシステム及び工程を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
凝固性成分(必ずしも限定されないが、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、及びキシレン(BTEX)を含めた重質炭化水素)を、液化前に前処理された天然ガス流から取り出すための新たな極低温処理を本明細書に記載する。
【0016】
原料の供給ガスは、初めに、CO2、水、及び重質炭化水素等の凝固性成分を液化前に除去するように処理される。CO2及び水の除去は、工業用の数工程で行われる。しかしながら、極低温処理による凝固性炭化水素成分の除去は、除去される成分の種類及び量に依存する。C2、C3、C4等の成分が少なく、液化の過程で凝固する炭化水素を含む供給ガスについては、該凝固性成分の分離はより困難である。
【0017】
下記表3は、液化に使用されうる通常のガス組成を示す。該ガスは極めてリーンであるが、かなりの量の重質凝固性成分を有する。該凝固性成分の分離は、冷却の過程において、凝固性成分の濃度を薄めて凝固を防ぐために十分な量のC2、C3、またはC4が液体流に存在しないために困難である。この問題は、該ガスから凝縮する第一の成分が、C2〜C4成分が存在しない重質留分の場合、該工程の始動時に大いに悪化される。この問題を克服するため、始動時及び通常運転時の凝固の問題を取り除く工程並びにシステムが開発された。
【0018】
定義:
本明細書で使用される、「高凝固点の炭化水素」という用語は、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、及び、炭素原子が少なくとも6個のほとんどの炭化水素を含めた他の化合物を指す。ここで、「ベンゼン化合物」という用語は、ベンゼン、並びにトルエン、エチルベンゼン、キシレン、及び/または他の置換ベンゼン化合物をも指す。ここで、「メタンリッチなガス流」という用語は、メタンを50体積%より多く含むガス流を意味する。ここで、「加圧装置」という用語は、圧縮器及び/またはポンプを含めて、ガスもしくは液体流の圧力を高める構成要素を指す。下記表1は、限定された炭化水素の凝固点を示す。
【表1】

(表2の物性データは、Gas Processors Suppliers Association Engineering Data Bookより)
【0019】
表1を参照すると、ベンゼンは、n‐ヘキサン及びn‐へプタンと同等の沸点並びに蒸気圧を有する。しかしながら、ベンゼンの凝固点は約175°F高い。同様にN‐オクタン、P‐キシレン、及びO‐キシレンも特に、天然ガスに通常含まれる他の成分が実質的に液体として凝縮されなかったときより高い温度での凝固につながる物性を有する。
【0020】
実施形態において、本明細書に記載の工程は、通常、高凝固点の炭化水素含量が100〜20,000ppmモル濃度、または10〜500ppmモル濃度、メタン含量が80〜98%モル濃度、または90〜98%モル濃度の範囲の混合炭化水素供給流を備える。該メタンリッチな生成物流は、通常、C5+が0〜500ppmモル濃度、またはベンゼンが0〜1ppmモル濃度の範囲の高凝固点の炭化水素含量、及び85〜98%モル濃度、または95〜98%モル濃度の範囲のメタン含量を有する。
【0021】
実施形態において、本明細書に記載の工程は、通常、第一の分離器では10から−50F及び400から1000psia、並びに第二の分離器では−10から−150F及び400から1000psiaの範囲の温度及び圧力を用いる。第三の分離器が使用される場合、温度及び圧力は、通常、−50から−170F及び300から700psiaの範囲である。
【0022】
液化プラントへの流入ガスの典型的な規格は、<1ppmモル濃度のベンゼン並びに<500ppmモル濃度のペンタン及びより重質の成分である。
【0023】
第一の実施形態
最初に図1を参照すると、部分的なC2+回収工程が示されている。該工程は、熱交換器及び相分離器を用いて天然ガス製品の一部になりえない混合供給ガスの成分を除去する。初めに、該供給ガスの冷却曲線を分析して該混合物の凝固点が決定されうる。次に、プロパンやブタン等の非凝固性溶剤が、該重質凝固性成分を液相に保持するために十分な量で添加される。天然ガス製品の該分離過程で生産された液体は、脱メタン塔へ送られる。溶剤の注入は冷却列の1カ所以上で、場合により、該供給ガスの組成及び再循環流が導入される場所に応じて異なる量の溶剤を用いて行うことができる。
【0024】
分離器から脱メタン塔への(予熱することによる)液体の輸送を含む該工程は、調節弁をわたる圧力低下を伴う。これらの減圧は、工程ライン内でのフラッシング、冷却、及び凝固条件の実現性につながりうる。凝固を防ぐため、溶剤は該調節弁のわずか上流、または別の適切な場所で添加されうる。炭化水素の凝固は、圧力が低下される前に該分離液を予熱することによっても防止されうる。溶剤の添加及び/または予熱の程度の選択は、凝固性成分の量と種類に依存する。
【0025】
脱メタン塔は、その頂部でメタン及びより軽質の成分を除去し、その底部でC2+成分の一部を回収する。該塔の底部からのC2+流は、C2、C3、C4、及びC5+成分が分離される精留列に送られる。C3及び/またはC4流の一部は、凝固防止のため該極低温プラントに戻して再循環される。図2は、脱エタン塔、脱プロパン塔、及び脱ブタン塔を具備する精留列の実施形態を示す。1、2、または3種の異なる溶剤を、当該溶剤が凝固性成分を実質的に含まないという条件で、該ガス精製システムに再循環できる。実施形態では、該溶剤はC3及びC4成分を含む。場合によっては、C2成分が使用されるか、または混合炭化水素溶剤の再循環流にも含まれている。
【0026】
本明細書に記載の工程の追加された利点は、プロパンやブタン等の、凝固を防ぐために使用される溶剤が供給ガスから回収できるということである。該工程は、添加された溶剤のすべてが回収され、かつこの場合、連続した外からの補給を必要としないように運転されうる。該プラントが該供給に存在するさらなるC2、C3、またはC4を回収することを必要とする場合、該工程は、売却可能なC2、C3、及び/またはC4製品の生産に適する条件で運転することができる。
【0027】
表2は、凝固が起こりうる該工程の限定された点での2組のデータを示す。「溶剤あり」に分類されたデータの組は、プロパン溶剤の注入、及び凝固点への10℃の接近を示す。「溶剤なし」に分類されたデータの組は、同じ工程であるが、プロパン溶剤の注入はしない。このデータの組は、凝固まで−23℃を示し、この工程を実行不可能にする。表3は、供給と該工程からの産物を示す物質収支を通常運転について示す。
【0028】
図1に示すシステムの始動時、生成ガス流はなおベンゼン及びより重質の成分を含み、液化の供給規格を満たさないため、フレアされる必要がある。しかしながら、規格を満たすまでのすべての生成ガスのフレアリングの代わりに、始動時の該生成ガスの一部は、液化工程の前端に戻して再循環することができるため、フレアリングを減少させる。さらに、該再循環ガスは、供給より凝固性成分が少なく、該極低温プラントへの供給を希釈する傾向にあるため、冷却工程での凝固を防止するのに役立つ。再循環はまた、より多くのガスが該プラントの減圧装置を通過するにつれ、該プラントの初期の冷却を促進する。生成ガスは、表中では残留ガスとも呼ばれる。
【0029】
表4は、残留ガスの再循環及び溶剤の注入の両方での始動時の条件を示す。示した段階は、通常の開始についてであり、以下に列挙する:
1.流入ガスの冷却開始、液体が分離器で生成し始める。膨張器は迂回、ガスはJT弁を通る。脱メタン塔の塔頂はフレアされる。
2.残留物の再循環開始
3.新たなプロパン添加。残留物の再循環増加。
4.プラントを冷却し続ける。
5.膨張器オン。
6.脱メタン塔の塔頂を残留物へ。精留列オン。脱プロパン塔の塔頂を入口へ戻し再循環、新たなプロパンの減少開始。
7.プラントの冷却継続、新たなプロパンを減少。
8.プラントの冷却継続、新たなプロパンを減少。
9.精留列からのすべての溶剤注入。
10.残留物の再循環減少。
11.残留物の再循環なし。溶剤量減少。
【0030】
初期段階では、凝固を防ぐために貯蔵からの新たなプロパンを用いる。しかしながら、該システムでプロパンが生産された時点で、貯蔵からの新たなプロパンの注入は減らされる。表4はまた、段階2で残留物の再循環が開始され、段階10まで続くことを示す。
【0031】
表5は、残留ガスの再循環も溶剤の注入もしない始動時の条件を示す。この表は、段階4から開始すると凝固が起こり、始動はこの工程では不可能だということを示す。
【表2】

【表3】

【表4】

【表5】
【0032】
図1〜2に示す例は、C2+回収工程についてである。溶剤の注入及び残留物の再循環のスキームは、他のC2+回収スキームと併せて実行することができる。該工程はC3+またはC4+回収工程にも適用できる。該プラントの構成並びにC2+、C3+、及びC4+成分の量は、各適用の必要に応じて変動する。
【0033】
低温では、凝固性成分の濃度は、凝固を防ぐためにより低い必要がある。複数の液体分離点の使用で、必要とされる溶剤がより少なくなる。従って、複数の分離点の使用はまた、高凝固点の成分の除去に必要な総冷却エネルギーを減少させる。さらに、複数の分離点の使用は、液体凝縮全体の減少によって、熱交換器の加熱/冷却曲線におけるピンチポイントを減少または除外する。
【0034】
除去される凝固性成分のすべてより揮発性の高い溶剤を使用することで、凝固性成分による汚染の可能性なく、再利用のための該溶剤の完全な分離が可能になる。さらに、該凝固性成分より揮発性の高い溶剤の使用は、逐次分離点の複数で、該溶剤の一部を液化させる。
【0035】
実施形態において、該溶剤はC3及び/またはC4炭化水素、例えばプロパン及びブタンを含む。プロパン及び/またはブタン溶剤の使用は、工程内での液体溶剤の1モル当たりの凝縮熱を低くし、該溶剤の凝縮からの負荷並びに熱交換器の冷却曲線の振れを最小限にする。
【0036】
熱交換器及び減圧装置を含めた、流れが冷却される本発明の各段階で、凝固性成分の凝縮並びに潜在的な凝固の際、またはそれらの前に、適切な量の該溶剤成分が液体として存在することが重要である。冷却工程の全体を通して至る所で、該溶剤が適切な量で液体として存在することもまた凝固を防ぐために重要である。
【0037】
流れの組成、温度及び圧力、並びに凝固点のアルゴリズムを凝固条件の予測のために用いることができ、また、始動時及び定常状態運転時の溶剤注入速度並びに位置の調節に用いることができる。正常な圧力低下より高い、及び正常な熱交換より低い等の凝固の可能性を示す運転条件を監視し、該溶剤の注入速度及び位置を調節するためのフィードバックとして用いることができる。
【0038】
本明細書に記載の実施形態の、ガス液化設備の上流の高凝固点の成分の除去への適用は、該液化プラントで凝固しうるすべての成分の除去を必要とする。場合によっては、ペンタン及びより重質の成分は、該液化プラントに入るこれらの成分の量に厳しい制限があるため、溶剤として有効ではなくなる。
【0039】
ガス液化設備の上流の図1〜2に示す工程の使用は、精留列での溶剤成分の回収が、該液化設備で通常使用される混合冷媒の成分も提供するという効果をもたらす。供給ガスで通常利用可能であり、かつ下流の工程でも許容される溶剤成分の使用は、本明細書に記載の特定の実施形態の付加的な特徴及び利益である。
【0040】
該溶剤の添加は、液相の密度を増加させ、含有凝固性成分を含めた該液体の該蒸気からの分離を増進する。該溶剤の添加は、該液体の表面張力を増加させ、該液体の分離及び回収をさらに増進する。該溶剤の添加は、該蒸気及び液体の相対的物性が分離により有利である、より高温での該凝固成分の凝縮及び回収を可能にする。
【0041】
該凝固成分の該溶剤中への希釈は、分離容器中の液相に回収されない任意の液滴に持ち越される凝固成分液の体積を減少させ、液滴の持ち越しの悪影響を減少させる。
【0042】
1つまたは複数の異なる平均ガス組成の供給組成のC3+成分が極リーンから極リッチまで変動しうるプラントを、BTEX及びC5+を除去して凝固を避けるために設計並びに運転することが必要な場合がありうる。該供給ガスがリーンなC3+炭化水素である場合、凝固を避けるために溶剤成分の再循環が必要とされうる。C3+がリッチな供給ガスの場合、再循環は必要とされない場合がある。C3及び/またはC4がリッチな場合、液体の回収がより大きいために最大の装置が必要になりうる。リッチガスを収容するように設計される場合、分離器及び塔はより大きくなる(下記参照)。該高負荷の場合、該プラントの装置にとって最小のサイズを設定しうるが、これらのサイズは、リーンガスの場合に要求されるよりも大きくなりうる。
【0043】
すべての装置を良好に操作させるため、すべての装置を合理的設計の操作点で操作させ、適切な性能を確保することが望ましい。リーンガスの場合に凝固を防ぐための液体の再循環は、装置への負荷を、場合により、C3+リッチガスの場合と同じ負荷まで増加させる二次的影響を及ぼす。この予想外の凝固回避の結果は、プラントの性能に好影響を及ぼす。再循環は、凝固の防止と同時に、異なる供給ガスの場合の装置の負荷の平衡化の両方に利用することができる。プロパン及びブタン流の再循環は、該供給ガスの組成をほぼ不変に等しくし;凝固を回避するだけでなく、意外にも、すべての装置についてほぼ同一の運転条件及び負荷の極めてよく似た供給ガスをもたらしうる。
【0044】
通常、プラントの運転条件は、異なる供給ガスで所望の結果を実現するように調整される。本明細書に記載の実施形態では、凝固を回避する再循環の利用は、大いに簡素化された操作ももたらす。該供給ガスが変化する場合、該再循環率を変化させることができ、他のすべての運転条件は大幅な修正を必要とせず、供給組成の変更の操作をより容易にする。この計画が必要とするのは、複数の項目の代わりにただ一つの項目の変更である。
【0045】
液化前に極めてリーンな天然ガスから重質炭化水素及びBTEXを除去するための新たなプラントの設計は、概して少なくとも2つの分離容器、少なくとも1つの熱交換器、少なくとも1つの減圧装置、並びにこれらの装置のうちの2つ以上の上流の溶剤注入点を具備する。プロパン及びブタンは容易に入手可能であり、輸送され設備の敷地でタンクに貯蔵可能であり、供給ガスが該プラントに導入されて運転圧力まで加圧されるにつれて、一連の溶剤成分の添加についで、始動用に該プラント設備に移されうる。該ガスの一部はフレアすることなく圧縮器を用いて該プラントを再循環させることができ、減圧装置を用いて該プラントを冷却し、該溶剤が通常運転に必要なすべての液面を確立するまで溶剤成分を追加し、該工程を通常の運転温度まで冷却する。このシステムでは、始動時の遅延、浪費、またはフレアの放出があるとしてもごくわずかである。流入ガスから得られ、その上容易に購入も可能な溶剤の使用は、この低放出の始動方法を可能にし、将来の必要性のために施設内での溶剤貯蔵の補給も可能にする。
【0046】
図1に、例示的な実施形態を詳細に示す。通常はパイプライングレードの天然ガスである供給ガス流2は、流れ3の一部になり、入口熱交換器4を通過し、それにより該供給ガスの少なくとも一部を冷却及び液化し、冷却供給ガス6を生成する。冷却供給ガス6は、温分離器8に送られ、ここで重質炭化水素液(すなわち、C2+炭化水素)が、より軽質のガス成分、主にメタン、並びに他の非凝縮性ガス、例えば、窒素、二酸化炭素、ヘリウム、及び該供給ガスに含まれうる同等のものから分離される。メタンリッチな炭化水素に加えて、温分離器8からもたらされる残余の非凝縮重質炭化水素からなる温分離器の頂部ガス流10は、その後、極低温ガス/ガス熱交換器18を通過し、さらに冷却され、冷分離器22への冷分離器供給20を生成する。凝縮された重質炭化水素液を含む温分離器の底流12は、温分離器8の底部から取り除かれ、温分離器の底流の調節弁14を通過し、その後流れ15と表される。流れ15は、他の流れと混合され、混合メタンリーン炭化水素流16を生成する。
【0047】
冷分離器22へ戻ると、冷分離器供給20の凝縮性炭化水素は、冷分離器22のメタンリッチな気相から分離される。該メタンリッチな気相は、冷分離器22から冷分離器の頂流24として回収される。該凝縮性炭化水素は、冷分離器22から除去され、冷分離器の底流26を生成し、これは冷分離器の底流のヒーター28及び、続いて冷分離器の底流の調節弁30を通過する。冷分離器の底流の調節弁30を通過後、冷分離器の減圧底流31が極低温ガス/ガス熱交換器18で冷媒として利用され、温分離器の頂流10の熱を吸収する。これは、炭化水素のメタンリーン流32を生成し、温分離器の底流12と混合されて混合メタンリーン炭化水素流16を生成する。
【0048】
冷分離器の頂流24は、膨張器/圧縮器34へ送られ、同時に膨張及び冷却され、膨張冷却メタンリッチ炭化水素流36を生成する。膨張冷却メタンリッチ炭化水素流36は、膨張分離器38に移動され、ここでは、すべての未凝縮のメタンリッチガスが、すべての残余の凝縮性炭化水素から分離され、膨張分離器の頂流40を生成する。該膨張分離器中の該凝縮性炭化水素は、膨張分離器の底流42として回収され、これは膨張分離器の底流の調節弁44を通過し、膨張分離器の低圧底流45としてこの調節弁を出る。流れ45は、冷分離器の減圧底流31が冷分離器の底流の調節弁30を通過後であって、極低温ガス/ガス熱交換器18に入る前に、冷分離器の減圧底流31と混合される。
【0049】
膨張分離器の頂流40は、脱メタン塔の還流冷却器46を冷媒として通過し、脱メタン塔の圧縮頂部ガス74の熱を吸収する。得られたメタンリッチ炭化水素流48は、依然として極低温であるので、極低温ガス/ガス熱交換器18及び入口熱交換器4に冷媒として送られ、それぞれの供給の熱を吸収する。入口熱交換器4を出た後、メタンリッチ炭化水素流48は、空気冷却器52で冷却される前に、第一段階で膨張器/圧縮器34によって、その後第二段階の残留ガス圧縮器50で圧縮され、LNGプラント用のメタンリッチ供給ガス54を生成する。支流のメタン再循環ループ56及びメタン再循環ループ調節弁58は、LNGプラント用のメタンリッチ供給ガス54の一部を供給ガス2の流れに戻して再循環させるために含まれてもよい。かかる再循環の目的は上述したが、以下でより詳細に説明する。
【0050】
混合メタンリーン炭化水素流16は、脱メタン塔60に送られ、さらなる精留及びすべての残留メタンの除去を受ける。すべての残留メタンが脱メタン塔の塔頂流62として除去され、メタンリーン留分からのすべての凝縮性炭化水素が脱メタン塔の塔底流64として除去される。脱メタン塔の塔底流64の最初の部分は、脱メタン塔のリボイラ66を通され、脱メタン塔のリボイラ供給68として脱メタン塔に戻される。しかしながら、脱メタン塔の塔底流64の第二の部分は、C2+炭化水素流70を生成するために利用される。脱メタン塔の塔頂流62は、脱メタン塔の塔頂ガス圧縮器72で再圧縮され、脱メタン塔の圧縮塔頂ガス流74を生成し、これは続いて脱メタン塔の還流冷却器46で冷却される。脱メタン塔の冷却塔頂ガス76は、脱メタン塔の還流貯蔵器78に送られ、ここですべての液化された部分が脱メタン塔の還流貯蔵器の底流80として除去され、還流の流れとして脱メタン塔60に送り戻される。脱メタン塔の冷却塔頂流76のガス状部分は、脱メタン塔の還流貯蔵器78から脱メタン塔の還流貯蔵器の頂流82として採取され、脱メタン塔の還流冷却器46に送られ、そこで脱メタン塔の還流貯蔵器の頂流82はさらに冷却され、その後、脱メタン塔の還流貯蔵器の頂流82は膨張分離器38へ、高純度のメタンガスとして送られる。
【0051】
上記の工程の始動時、供給ガス2は、中級炭化水素であるC3、C4、及びC5炭化水素はリーンでありうるが、C6+炭化水素、例えばシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン等の、より重質な炭化水素の濃度は有意である。かかる凝縮性重質炭化水素、特にベンゼンは、操作者に極めて深刻な問題をもたらす。すなわち、プラントの低温状態は、これらの重質炭化水素が凝固し、該プラントへの供給ガスの通路を妨害及び/または封鎖する固体炭化水素を形成しうるような状態である。かかる状況下で、従来の工程では、操作者は、運転を停止し、該プラントを徐々に暖め、それによって該固体炭化水素を溶かし、妨害物を除去しなくてはならない。これは、コストの高い、非生産的な時間をもたらし、供給ガスの処理に必要な温度まで、該プラントを再び冷やす必要のための費用を生じさせる。該プラントの運転に対するこのリスクは、始動時に存在するばかりでなく、供給ガスの組成が変わる場合には運転中でも存在する。すなわち、供給ガスの重質炭化水素、特にベンゼンの含量がわずか百分の数パーセント急増すると、この変化が、凝固した固体炭化水素の蓄積並びに入口交換器4、温分離器8、及び極低温ガス/ガス熱交換器18の閉塞を生じさせる可能性がある。
【0052】
この問題を解決するため、意外にも、C3のプロパン、C4のブタン、またはこれらの混合物を他のリーン供給ガスへ注入することで、凝固した重質炭化水素の生成を有意に減少させ、実質的に排除することが見出された。該C3のプロパン、C4のブタン、またはこれらの混合物は、固体の重質炭化水素の生成に対してin situ「溶剤」または「不凍液」の役割を果たすと考えられる。図1に示すように、C3のプロパン、C4のブタン、またはこれらの混合物の「不凍液」は、流れ84の供給ガスに、供給ガス2の入口熱交換器4への導入前の時点で、流れ86及び/または87で注入されうる。実施形態では、該C3のプロパン、C4のブタン、またはこれらの混合物の「不凍液」を、極低温ガス/ガス熱交換器18の前に温分離器の頂流10に注入することが効果的でありうる。限定されることを望むものではないが、しかしながら、該C3のプロパン、C4のブタン、もしくはこれらの混合物の「不凍液」の注入または利用は、重質炭化水素の凝固を被りうる多くの他の場所、例えば、冷分離器の閉塞を防ぐため冷分離器22の前で冷分離器の底流26もしくは膨張分離器の底流42の一部として、該極低温ガス/ガス熱交換器の前でその流れの閉塞を防ぐため、または、混合メタンリーン炭化水素流16の中でもそのラインの凝固及び閉塞を防ぐために注入されうる。
【0053】
さらに、意外にも、C3のプロパン、C4のブタン、またはこれらの混合物の該供給ガス及び上述の他の場所への注入は、該プラントの始動にかかる時間を有意に減少させることも見出された。操作者が系統的及び連続的なプラント冷却工程に取り組む時間は、C3のプロパン、C4のブタン、またはこれらの混合物の該注入が該プラントの冷却並びに他のリーン供給ガスでの凝固した重質炭化水素による閉塞の生成の防止を助けることの結果として、有意に減少されうる。この操作安定性までの時間が短いことは、操作者の時間を節約するだけでなく、実質的な環境保全上の利点ももたらす。該プラントがより速く冷却され、かつ、重質炭化水素の凝固または閉塞のリスクが大幅に低減されるため、規格外のメタンガスの排出やフレアリングの必要が減る。すなわち、LNGプラントへの供給用に適さないメタンガスは、該供給ガスを、中級炭化水素をよりリーンにすることや重質炭化水素の凝固をより起こりやすくすることさえ心配することなく、メタン再循環ループ56を介して再循環及び再利用できる。メタン再循環ループ56と、C3のプロパン、C4のブタン、またはこれらの混合物の注入の組合せの該供給ガス及び上述の他の場所への利用は、操作者に該プラントの定常状態運転を実行させ、従って、供給弁の最初の開放から、該LNGプラントに高品質の規格内供給を供給する。運転の開始から高品質の規格内メタンリッチ供給ガスを有する該LNGプラントの運転にとってのかかる利益が理解されよう。この利益は、現行の工程が、操作者にとって実質的なコスト削減となるパイプライン級の天然ガスを主な供給源として利用した事実によってさらに高まる。
【0054】
C3のプロパン、C4のブタン、もしくはこれらの混合物の「不凍液」源の1つは、保存または購入したプロパンもしくはブタンである。しかしながら、上記工程で生じたC2+炭化水素流70をかかるC3のプロパン、C4のブタン、またはこれらの混合物源として利用することによって、相当な利益が実現できる。そこで図2を参照すると、別の例示的な実施形態は、該C3のプロパン、C4のブタン、またはこれらの混合物の「不凍液」の生成を、図解工程スキームを用いて採り入れる。脱メタン塔60(図1)からのC2+炭化水素流70は、脱エタン塔202に送られる。脱エタン塔202内で、C2炭化水素ガス(本書では通常「エタンガス」と呼ぶ)は該供給から部分的に留去され、脱エタン塔の塔頂流210として除去される。残りのC3+の凝縮性炭化水素は、脱エタン塔202から脱エタン塔の塔底流204として取り出される。脱エタン塔の塔底流の最初の部分204は、脱エタン塔のリボイラ206に送られ、脱エタン塔のリボイラ流208として脱エタン塔202に戻される。C3+炭化水素からなる脱エタン塔の塔底留分の第二の部分222は、脱プロパン塔224に送られ、その供給の役割を果たす。脱エタン塔の塔頂流210に戻ると、このエタンリッチ流は脱エタン塔の凝縮器212を通され、冷却され、その後脱エタン塔の還流貯蔵器214へ送られる。脱エタン塔の還流貯蔵器214内で、液化された高純度エタンが脱エタン塔の還流貯蔵器の底流215として除去され、脱エタン塔の還流ポンプ216を介して脱エタン塔の還流の流れ218として脱エタン塔202に送り戻される。その脱エタン塔の還流の流れの一部は、高純度エタンの脱エタン塔産物流、すなわちエタン220として除去されうる。該C3のプロパン、C4のブタン、またはこれらの混合物の「不凍液」からの該エタン成分の除去は必要ではない場合があるが、これは操作者に、売却または精製所やプラントの他のどこかで利用されうる貴重な高純度エタン流の生成の好機を与える。
【0055】
脱エタン塔202からのC3+炭化水素222は、脱プロパン塔224に送られる。脱プロパン塔202内で、C3炭化水素ガス(本書では通常プロパンと呼ぶ)は該供給から部分的に留去され、脱プロパン塔の塔頂流232として除去される。残りのC4+の凝縮性炭化水素は、脱プロパン塔224から脱プロパン塔の塔底流226として取り出される。脱プロパン塔の塔底流の最初の部分226は、脱プロパン塔のリボイラ228に送られ、脱プロパン塔のリボイラ流230として脱プロパン塔224に戻される。C4+炭化水素からなる脱プロパン塔の塔底留分の第二の部分246は、脱ブタン塔248に送られ、その供給の役割を果たす。脱プロパン塔の塔頂流232に戻ると、このプロパンリッチ流は脱プロパン塔の凝縮器234を通され、冷却され、その後脱プロパン塔の還流貯蔵器236へ送られる。脱プロパン塔の還流貯蔵器236内で、液化された高純度プロパンが脱プロパン塔の還流貯蔵器の底流238として除去され、脱プロパン塔の還流ポンプ240を介して脱プロパン塔の還流の流れ242として脱プロパン塔224に送り戻される。その脱プロパン塔の還流の流れの一部は、高純度C3炭化水素流の脱プロパン塔産物流、すなわちプロパン244として除去されうる。
【0056】
脱プロパン塔224からのC4+炭化水素流246は、脱ブタン塔248に送られる。脱ブタン塔248内で、C4炭化水素ガス(本書では通常ブタンと呼ぶ)は該供給から部分的に留去され、脱ブタン塔の塔頂流256として除去される。残りのC5+の凝縮性炭化水素は、脱ブタン塔248から脱ブタン塔の塔底流250として取り出される。脱ブタン塔の塔底流250の最初の部分は、脱ブタン塔のリボイラ252に送られ、脱ブタン塔のリボイラ流254として脱ブタン塔248に戻される。C5+炭化水素及び他の高凝固点の成分からなる脱ブタン塔の塔底留分250の第二の部分は、天然ガスの凝縮物流270として、該プラントまたは精製所の他の装置に送られ、その供給の役割を果たす。脱ブタン塔の塔頂流256に戻ると、このブタンリッチ流は脱ブタン塔の凝縮器258を通され、冷却され、その後脱ブタン塔の還流貯蔵器260へ送られる。脱ブタン塔の還流貯蔵器260内で、液化された高純度ブタンが脱ブタン塔の還流貯蔵器の底流262として除去され、脱ブタン塔の還流ポンプ264を介して脱ブタン塔の還流の流れ266として脱ブタン塔248に送り戻される。その脱ブタン塔の還流の流れの一部は、高純度C4炭化水素流の脱ブタン塔産物流、すなわちブタン268として除去されうる。
【0057】
該脱プロパン塔産物流からの該高純度C3炭化水素流、すなわちプロパン244及び該脱ブタン塔産物流からの高純度C4炭化水素流、すなわちブタン268は、別々に、並びに/または組み合わせて用いることができ、上述のC3のプロパン、C4のブタン、もしくはこれらの混合物の「不凍液」として利用されうる。従ってかかる操作によって、凝固した重質炭化水素の閉塞の形成のリスクの実質的な低減またはその予防に必要な材料を、本明細書に記載の該LNGプラント供給の前処理工程の進行中の操作の過程で生成することができる。
【0058】
第二の実施形態
図3は、凝固成分の除去工程の別の実施形態を示し、ここでは、該工程で回収され、精留部の塔で分離されるC3及びC4を利用し、これらC3及び/またはC4を、該工程流の該液体部分における凝固成分の濃度を希釈する該プラントの点に再循環することにより、凝固を防止する。最も多く凝固を被る該工程の点は、調節弁を隔てた圧力低下によって液体が自己冷却される点、及び、分離器を出る蒸気流がさらに冷却される場合の初期の液体生成の点を含めて、該液相での凝固性対非凝固性成分比が高い冷却中の任意の点を含む。
【0059】
図3の精留ブロックは、業界標準の蒸留塔を具備し、典型的には、メタン及びエタンを回収された液体から除去する脱エタン塔、並びに、主要な工程で凝固しうるC5+、ベンゼン、及び他の重質成分からC3並びにC4成分を分離する脱ブタン塔を最低でも具備することになる。回収されたC3及びC4成分は、凝固防止のためにすべて再循環されてもよいし、その代わりに製品として売られても、精製されたガスの主流とともに液化に送られてもよい。
【0060】
図3はまた、該冷分離器で回収された液体の全部または一部を、該温交換器に入る供給ガス流に含めて、該冷分離器の上流の1つ以上の点に入るように再循環される実施形態を示す。点線で示された装置は、第二の実施形態を構成する追加の装置である。
【0061】
表6の凝固抑制は、凝固が起こりうる該工程の限定された点でのデータの組を示す。「第一の実施形態」のデータの組は、精留からのC3及びC4流の完全な再循環並びに注入を利用し、凝固点を示す。「第二の実施形態」のデータの組は、第一の実施形態の該再循環を含み、かつ、第二の実施形態の工程も利用する。
【表6】

「(L)」はこの流れの「液相」部分を表す。「注1」:部分的に冷却された場合にこの交換器で凝固点が検出される;凝固のセ氏温度は、最初の数であり、二番目は、この凝固が生じる温度である。負の数は凝固を示す。正の数は凝固点を超える温度を示し、交換器の場合、この交換器での凝固への最接近を示す。
【表7】

表7は、第二の実施形態についての全体の物質収支に加えて再循環流である。第二の実施形態の流れ208の組成との比較を可能にするため、第一の実施形態の流れ26もまた示し、これは、該冷分離器の再循環ポンプの下流の該冷分離器の底部液体の一部である。
下記表8は、第一の実施形態及び第二の実施形態について、限定された流れと分離器の条件を示す。
【表8】
【0062】
配置と運転条件は、第二の実施形態からなる各適用によって異なりうる。
【0063】
最低限、第二の実施形態は、該分離器の1つから凝縮した液体の一部を上流の分離器へ再循環するのに必要な装置を具備し、その結果として、該上流の分離器でより多くの量の凝固性成分が除去され、該上流の分離器及び該再循環液体源である分離器の両方の液体における凝固性成分の濃度はより低い。
【0064】
第二の実施形態は、該冷分離器の底流の一部を該冷分離器の上流の工程点に再循環するために必要な装置を具備しうる。
【0065】
該冷分離液の再循環流は、以下の場所の1つ以上に送られうる;プラントの入口ガス、第一の交換器に入る入口ガス、第一の交換器を出る入口ガス、温分離器の分離ノズル、及び他の上流の場所。該冷分離液の再循環流は、入口ガスの熱交換器のうちの1つ以上で再加熱されうる。これら熱交換器は通常、高効率の多重流式アルミろう付け熱交換器または他の高性能デザイン及び構造である。
【0066】
該精留部から再循環される流れは、C3/C4混合物に限定されず;C2〜C4のいずれかまたはすべての成分を含む流れを利用してもよく、また、C5の一部も、使用される濃度が凝固につながらない限り利用してもよい。
【0067】
第一の実施形態の具体的な実施形態が図3に示される。供給ガス302、通常はパイプライングレードの天然ガスが入口弁380を通して送られ、流れ304として出る。この流れは、温交換器382を通り、該供給ガスの少なくとも一部を冷却及び液化し、冷却供給ガス流306を形成する。冷却供給ガス流306は、温分離器384に送られ、ここでより重質の炭化水素液(すなわち、C2+炭化水素)が、より軽いガス成分、主にメタン及び該供給ガスに存在しうる窒素等の非凝縮性ガスから分離される。温分離器384からもたらされるメタンリッチな軽質炭化水素に加えてすべての残余の非凝縮重質炭化水素からなる温分離器の頂流308は、続いて冷交換器388を通され、さらに冷却されて冷分離器の供給流310を生成し、冷分離器390に入る。凝縮した重質炭化水素液を含む温分離器の底流335は、温分離器384の底部から引き出され、温分離器の底流弁386を通され、流れ336として出る。
【0068】
冷分離器390に戻ると、冷分離器の供給流310の凝縮性炭化水素は、冷分離器390でメタンリッチの気相から分離される。該メタンリッチの気相は、冷分離器390から冷分離器の頂流312として回収される。該凝縮性炭化水素は、冷分離器390から除去され、冷分離器の底流326を生成し、その一部は冷分離器の底流の調節弁392を通される。冷分離器の底流の調節弁392の通過後、減圧された冷分離器の底流の調節弁の出口流328は、膨張器出口の分離液流318の一部と、流れ318が膨張器出口の温度調節弁400を通った後に混合される。混合流330は、冷交換器388で冷媒として利用され、温分離器の頂流308に含まれる熱を吸収する。これは、メタンリーンの炭化水素流を生成し、温分離器の底流弁流出336と混合され、温交換器液体流入337を生成する。流れ337は、温交換器382で加熱され、温交換器液体の出口流338として出発し、精留域408に送られる。
【0069】
冷分離器の底流326の残余の部分は、冷分離器の再循環ポンプ402に入り、加圧され、冷分離器の再循環ポンプの出口流403として出る。流れ403は、その後冷分離器の再循環流量調節弁404を通って流れ、冷交換器388で再加熱され、上流の点であって、温分離器への冷分離器の再循環流406を含みうる点に送られるか、または、該温交換器を通され、供給ガスへの冷分離器の再循環流408として、該供給ガスに送られる。冷分離器の供給(ガス)流310は、冷分離器の入口の減圧弁412を通って流れ、始動時の再循環用に、自己冷却及び液状の追加液体の生成を該冷分離器内でもたらしてもよい。
【0070】
冷分離器の頂流312は、膨張器394に送られ、同時に膨張及び冷却され、膨張器の出口流314を生成する。この流れは、膨張器の出口の分離器396に入り、ここですべての非凝固メタンリッチガスがすべての残余の凝縮性炭化水素から分離され、膨張分離器の頂流316及び膨張分離器の底流318を生成する。底流318の一部は、膨張器の出口の分離器の液位調節弁398を通され、冷却流420として抜け、精留部408に送られる。
【0071】
流れ320及び流れ338は精留部408に入る。最低2つの蒸留塔が通常該精留領域に設置される。この領域では、標準的な装置を使用して該供給ガス流を該設備に要求される任意の留分に分離する。最低限、重質凝固成分のC5+及びベンゼンは、該工程に再循環されないように分離され、これらの成分は、ベンゼン及びC5+として、精留部408を精留流364から出る。本実施例で利用されるように通常はプロパン、ブタン、またはプロパン/ブタン混合物からなる、凝固を阻害するための工程ヘの再循環に適した流れもまた生成される必要がある。本実施形態で再循環されたC3及びC4混合物は、C3及びC4流362として出る。流れ362の一部は売却されても、該設備のどこかでの使用のために転送されてもよいし、または、流れ366として、保管しているC3及びC4を満たすために用いてもよく、これは始動に利用されうる。貯蔵からのC3及びC4の補給は、流れ368でもたらすことができる。C3及びC4の供給ガス流372は、流れ362(または368)からの液体であり、これは該プラントの入口に再循環される。該C3及びC4の一部は、温分離器の頂流へのC3及びC4の374並びに冷分離器の頂流へのC3及びC4の376として示されるように、他の装置にもまた送られうる。
【0072】
膨張分離器の頂流316は、冷媒として冷交換器388及び温交換器382を通され、再加熱された膨張分離器の頂流343となる。精留流360からのC1及びC2もまた、冷交換器388及び温交換器382で再加熱され、流れ343と合流し、流れ344となる。流れ361は、再加熱された後、圧縮機を用いて加圧されてもよい。流れ344は、膨張圧縮機402に入り、高圧の再圧縮機の入口流348として離れ、再圧縮機404に送られ、流れ405として高圧で出る。その後空気冷却器406で冷却され、冷却された再圧縮機出口流352として出る。支流のメタン再循環ループ356は、冷却された再圧縮機出口流352の一部の再循環を、ガスの供給率が低い時に該プラントを負荷するため、または該プラントの初期の冷却を助けるため、該供給ガスに再循環させるために含まれてもよい。
【0073】
図3の実施形態は、図1〜2の実施形態と併せて用いてもよい。プラント内での再循環及び蓄積に利用可能なC3及びC4の量には強い制限がある。1つ目は、該供給ガスにおけるC3及びC4の量である。2つ目は、精製蒸気が、高凝固点の成分の除去に対する規格に達した点での平衡状態におけるこれら成分の損失である。この第二の制限の点は、該膨張器の出口の分離器の蒸気であって、該頂部の蒸気産物がLNGの供給ガス規格を満たす。これはまた、該凝固成分の除去工程で最低温、最低圧の場所でもある。流れ316のC3及びC4成分は、LNG工程に送られ、再循環にはもはや利用できない。精留からのC1及びC2流360のC3及びC4成分の比較的小さい損失並びに精留部408からのC5+流でもさらにより少ない損失がありうる。
【0074】
表6及び8に示されるように、実質的にすべての利用可能なC3及びC4が精留部408から再循環された場合でも、該工程ではいまだ凝固が起こるであろう。C3及びC4の再循環は、それらが該膨張器の出口の分離器から逃げ、平衡点に達するまでの供給におけるこれら成分の量を増大させた。少量のC3及びC4を含む精留からの流れ360の再循環は、これらの結果に実質的に影響しないことを留意されたい。
【0075】
冷分離器の底流326の一部の温分離器384の上流への再循環は、ある程度効果がありうることが分かった。冷分離器の底流326の一部の再循環の結果は、驚くべきことであった。大量のベンゼンを含むこの低品質の液体の一部の温分離器384の上流への再循環は、内部の再循環ループを創出し、これは、(1)高い再循環率を可能にして温分離器の底部液体335で回収されたベンゼン量を増やし、(2)同時に温分離器の底部液体335のベンゼン濃度を低下させ、(3)温分離器の頂流308のベンゼン量及び濃度を低下させ、(4)冷分離器の底流326のベンゼン量及び濃度を低下させ、(5)冷分離器の頂流312のベンゼン量及び濃度を低下させ、(6)冷分離器の頂流312に続くすべての点でベンゼンを減少させ、(7)該温分離器の入口流及び該冷分離器の入口流の液体割合を増加させて良好な分離を可能にし、そして最も重要なことに、(8)第一の実施形態を用いて凝固点だった該工程のすべての場所を、もはや凝固点ではないように変えた。冷分離器の底流326の再循環への利用は、さらに、冷分離器390の上流の新たな弁の使用が圧力降下をさせるように、下流の膨張器を使用することなく液体の自己冷却と生成の開始を助けうる。これら分離器でのより高い液体濃度は、これら分離器に供給される蒸気/液体混合物の臨界点に接近することなく高圧での運転を可能にもするであろう。すべてのC5+成分が、ベンゼンと同じ方法でのこの新たな再循環に影響を受け;ほぼすべてのこれらの潜在的凝固成分が温分離器の底部液体流335で除去され、該工程の下流のすべての点でその濃度が低下される。
【0076】
要約すれば、低品質で、ベンゼンを含む、冷分離器の底流326の一部の再循環としての利用は、上流のベンゼンの除去を増加させ、これは次にすべてのC5+成分の濃度を減少させることによって該冷分離器の底流の品質を向上させる。
【0077】
表7は、冷分離器の底部液体流326の流量と組成を第一及び第二の実施形態について盛り込む。第二の実施形態は、この流れの大部分を再循環するが、精留への純流量は不変である。これは、この流れの再循環としての利用は、第一の実施形態の該C3及びC4の再循環方式における最大可能速度に影響されないことを実証する。第二の実施形態の再循環はまた、精留部408の装置のサイジングにも、第一の実施形態の再循環が与えたようには、影響を与えない。第二の実施形態の利用によって、精留への軽量成分の量が減少される。
【0078】
表8はまた、第二の実施形態の再循環が、示された3つの分離器、とりわけ冷分離器に入る流れにおける液体割合を増加させることを示す。これら分離器の各々で各液滴のC5+の凝固成分含量もまた少ないように、液体割合及び液体体積の増加は、分離器の蒸気流における液体のあらゆる持ち越しのリスクを最小限にする。
【0079】
表6は、第二の実施形態の再循環をするものとしないものとで、凝固温度への接近の変化を示す。第二の実施形態の利用が、第一の実施形態を単独で利用する場合に存在するすべての凝固点を取り除くことは明らかである。
【0080】
表8はまた、温分離器、冷分離器、及び膨張分離器の運転温度並びに圧力が、第一の実施形態から第二の実施形態までほぼ変わらないことも示す。
【0081】
第二の実施形態の実際の実現には多くの変形があり、これらのうちの非限定的な数例を以下に記載する。
【0082】
温分離器384は、多段式の塔で置き換え、冷分離器の液体再循環流408をこの塔の頂部供給とし、温分離器の供給流406をこの塔の底部供給として送ってもよい。冷分離器の液体再循環流408は、多段式の塔として運転するため、連結及び重ねられた2つ以上の温分離器のうちの最高圧の分離器に送られ、該温分離器の供給流が最低圧の分離器に送られうる。
【0083】
運転条件が、気相でのC3及びC4溶剤の許容される損失をもたらす限り、膨張器の出口の分離器396の運転圧力を増加させ、ガスの再圧縮の要求を低減してもよい。温交換器382及び温分離器384の圧力は、該流体の物性が、該温分離器での蒸気と液体の適切な分離を可能にする限り、有利な高さでよい。運転圧力の増加は、再圧縮の要求を低減しうる。
【0084】
冷分離器の液体再循環流408は、温分離器384での蒸気/液体分離をさせるのに適切な該混合流の物性を与えるため、高圧供給ガスに送られてもよい。時には、冷分離器の液体再循環流408の利用は、すべての分離器の運転を該再循環なしで可能であるより高い圧力での運転を可能にし、圧力降下を低減することにより、該設備全体の所要運転動力を低減しうる。
【0085】
冷分離器の入口の減圧弁412は、とりわけ始動時に、凝固の可能性を低減し、運転の柔軟性を増加させるために利用されうる。この弁は、ジュール・トムソン(JT)弁単独として、または、膨張器394もしくは膨張器バイパスJT弁と併せて利用されうる。このように、初始動の冷却は、冷却時の最初の液体生成点としての冷分離器322の利用を含み、冷分離器の液体再循環流408は、冷却を促進するために利用されうる。
【0086】
分離液の再循環は、交換器での入口ガスの流れで、または離れた流れとして、及び交換器の経路で冷却されうる。分離器の再循環液体は、交換器の中間点で導入されうる。
【0087】
供給ガスの冷却時の交換器において達成される最低温度の上昇は、分離液の再循環が、該交換器の通過を必要としないということになりうる。これにより、再循環が他の場所に利用可能であるようにできる。
【0088】
第二の実施形態は、該設備の温部分の成分であるベンゼンを含めたC5+及びBETXの除去を増加させ、冷分離器390及び膨張分離器396におけるC5+及びベンゼンの濃度を最小限にできる。再循環は、複数の場所で適用されうる。
【0089】
第二の実施形態の2つ以上の適用は逐次的でよい。この方式では、膨張分離器396からの液体の一部は、加圧され、冷分離器390または上流の冷交換器388に再循環されうるとともに、冷分離器390からの液体の一部は、加圧され、温分離器384または上流の温交換器382に再循環されうる。
【0090】
これら実施形態の2つ以上の適用は入れ子にされてもよい。この方式では、膨張分離器396からの液体の一部は、加圧され、温分離器384または温交換器382に再循環されうるとともに、冷分離器390からの液体の一部もまた加圧され、温分離器384または温交換器382に再循環されうる。
【0091】
より軽質の成分の流れ、例えば流れC1及びC2の精留流360は、膨張器の出口の分離器396の上流の工程の任意の点に再循環されうる。
【0092】
上述したすべての適用において、加圧されて再循環される液体は、温交換器382、冷交換器388、または、効率的な熱回収をもたらすために該システムに追加されるその他の交換器で加熱されうる。
【0093】
第三の実施形態
既存の高凝固点の成分の除去設備への供給ガス組成が、より多くのベンゼンを含むように変わるときのための新規な改良が開発された。意外にも、ポンプの追加、または流れの経路の変更が、当初の設計におけるよりも有意に高い入口ベンゼン含量が持続する運転を、最小限の処理能力の低下で可能にする。
【0094】
この実施形態では、実施例Aは対照であって、供給流のベンゼン濃度が比較的低い場合に稼働する工程を示す。実施例Aでは、該供給流のベンゼン濃度は60ppmvである。実施例Bは対照であって、該工程での問題を示し、供給がより高いベンゼン濃度を有する場合の実施例Aのシステムである。実施例Bでは、該供給流のベンゼン濃度は91ppmvであり、該工程は、該システムでの高凝固点の炭化水素の凝固のため、操作不可能である。実施例Cは、既存のシステムに組み込むことが可能で、該供給流のベンゼンが高濃度で使用できる新たな実施形態を示す。実施例Cの実施形態は、これが、供給流のベンゼンが中または低濃度でも利用可能であるということから、汎用的である。ここに記載の実施例Cのバージョンでは、該供給流のベンゼン濃度は91ppmvであり、このシステムでは凝固は生じない。
【0095】
本実施形態は実施例Cで図4に示される。対照実施例A及び対照実施例Bの理解を促すため、図4の特定の部分は、対照実施例A及びBの説明で言及する。
【0096】
実施例A−対照
限定された材料流を表9に示す。限定された流れについて、ベンゼンの凝固への接近もまた表9に示す。実施例Aでは、供給ガスのベンゼンの配合は60ppmvである。
【0097】
図4を参照すると、60ppmvのベンゼンを含む供給ガス流501が交換器550に入って冷却され、部分的に凝縮された流れ502を生成し、これは第一の分離器551に入る(実施例Aには流れ512はない)。第一の分離器551からの蒸気である流れ503は、減圧装置552(膨張器またはJT弁)に入り、これが該供給ガスを減圧し、この流れからエネルギーを取り出す。減圧装置552を出る低温流514は、部分的に凝縮されており、第二の分離器553に送られる。第二の分離器553からの蒸気流515は、交換器550で再加熱され供給ガス流501を冷却し、流れ516として出る。実施形態では、流れ516はLNG液化設備に供給される。
【0098】
流れ516は、液化プラントに入るベンゼン及びC5+炭化水素についての規格を満たす。一般的な規格は、ベンゼンが1ppmv以下、及びC5+が0.05%モル濃度以下である。
【0099】
第一の分離器551からの液体流517は、液位調節弁555を通って減圧され、流れ518として出る。この部分気化自己冷却流は、交換器550で供給ガス流510に対する交換によって再加熱され、流れ513として出る。
【0100】
第二の分離器553からの液体流559は、液位調節弁554を通って減圧され、流れ504として出る。対照実施例Aでは、ポンプ556はない。この部分気化自己冷却流は、交換器550で供給ガス流510に対する交換によって再加熱され、その後流れ518と混合され、流れ513の一部として該工程を出る。流れ513は、除去された高凝固点の炭化水素を含む。表9は、対照実施例Aについての工程条件及びベンゼン濃度を示す。実施例Aでの凝固への最接近は流れ518での華氏7度である。表10は、対照実施例Aについて、全体の物質収支と、供給及び出口流の組成を示す。該分離器の底流の組成及び工程条件も示されている。精製されたガス流516は、<1ppmのベンゼン及び<0.05%のC5+を含み、LNG設備への供給用の一般的な純度規格を満たす。
【表9】

【表10】
【0101】
実施例B
実施例Bについては、該供給ガスのベンゼン配合は91ppmvである。他の成分はこのベンゼンの変化に合わせて正規化される。条件を表11に提供し、全体の物質収支を表12に示す。運転圧力は実施例Aと同じである。結果は、凝固への接近が、今度はいくつかの流れについてはマイナスであり、流れ514及び518では、液体でベンゼンの凝固点より低い。流れ518の凝固点は、第一の液体が生成される入口ノズルに近い該膨張器の内側である。実施例A用に設計されたプラントは、より高い実施例Bのベンゼン含量では凝固するであろう。精製されたガスである流れ516のベンゼン濃度は、実施例Aにおけるよりも高く、ここでは0.7ppmである(全量で割った表11のベンゼン量)ことにも留意されたい。
【表11】

【表12】
【0102】
実施例C
本実施例は、実施例Bで示された問題を解決する。図4を参照すると、この実施形態はポンプ556を第二の分離器553の液体出口に追加する。ポンプの出口流520は、図4に示された経路をたどり、弁554を通って流れ504となり、交換器550を通る。しかしながら、流れ504のすべてまたは一部は、流れ513になるために前の実施例のようには流れ518と合流しない。本実施例では、実施例Bの通りのモルのベンゼンを含む流れ512のすべてが、戻して再循環され、ベンゼンの除去が必要な入口ガスである入口流510と合流する。
【0103】
図4を参照すると、ベンゼンを91ppmv含む供給ガス流501が交換器550に入って冷却され、部分的に凝縮された流れ502を生成し、これが第一の分離器551に入る。第一の分離器551からの蒸気である流れ503は、減圧装置552(膨張器またはJT弁)に入り、これが該供給ガスを減圧し、この流れからエネルギーを取り出す。減圧装置552を出る低温流514は、部分的に凝縮されており、第二の分離器553に送られる。第二の分離器553からの蒸気流515は、交換器550で再加熱され供給ガス流501を冷却し、流れ516として出る。実施形態では、流れ516はLNG液化設備に供給される。流れ516は、液化プラントに入るベンゼン及びC5+炭化水素の規格を満たす。
【0104】
第一の分離器551からの液体流517は、液位調節弁555を通って減圧され、流れ518として出る。この部分気化自己冷却流は、交換器550で供給ガス流510に対する交換によって再加熱され、流れ513として出る。
【0105】
第二の分離器553からの液体流559は、ポンプ556で加圧され、流れ520としてこのポンプを出る。この流れは、液位調節弁554を通り、流れ504として出る。この部分気化自己冷却流は、交換器550で供給ガス流510に対する交換によって再加熱され、その後再循環され、供給ガス流501と混合されてガス流510を生成する。
【0106】
流れ513は、除去された高凝固点の炭化水素を含む。特定の実施形態では、流れ504を分割することができ、流れ504の第一の部分は流れ512に再循環され、一方、第二の部分は流れ518と混合されて流れ513を生成する。
【0107】
表13は、実施例Cについて限定された流れ、及びこの新たな流れの経路の意外な結果を示す。該第二の分離液を再循環することで、実施例Bでは入口に戻る入口ガスベンゼンの13%及び入口C5+の24%だったもの、すなわち凝固が回避される。再循環流512はかなりの凝固成分を含むものの、中間揮発性成分のエタン、プロパン、及びブタンの該入口への再循環は、再循環された凝固成分よりも大きな影響をこの工程に与える。これらの追加の中間成分は、流れ510の供給ガスの凝縮割合をより高くし、ベンゼン及びC5+の除去に必要なすべてが、第一の分離器551の液体出口で行われるようにする。これらの追加の中間成分はまた、該凝固成分の除去が、冷却時に該交換器で凝固したり、液位調節弁555を通る減圧で凝固したりすることなく起こるようにする。これは、中間成分対凝固成分の比が第二の分離液で第一の分離液より高いために生じる。これら中間成分の再循環は該入口の交換器及び第一の分離器での凝固の可能性に、凝固成分の再循環よりも大きな影響を及ぼす。ここでは、より高いベンゼン含量の供給ガスの実施例Cであっても、凝固への接近は対照実施例Aにおけるよりも低いということに気付く。
【0108】
実施例Cについては、元の工程になされた追加は該ポンプの追加と、再循環流512用の再循環ラインの包含だけであった。これは、他の形では運転できないプラントへの極めて経済的な調整である。表13を見るとわかるように、凝固への最接近はここでは流れ18の華氏10度である。流れ518は、実施例Bでは5.68lb‐モル/時間のベンゼンを含んでいたことに留意されたい。実施例Cでは、ベンゼンのlb‐モルは、流れ518で6.55に増加しているが、その濃度は実施例Bにおける4.45%から、3.17%の流れまで減少している。凝固点の−2°Fだったものが、ここでは凝固よりも上10°Fである。必要なすべてのベンゼン除去がこの点で起こる。流れ518のベンゼン濃度は、実施例Cにおいては、供給のベンゼン濃度が実施例Cにおけるベンゼンの2/3であった実施例Aにおけるそれよりも低い。
【表13】

【表14】
【0109】
実施例Cは、液化プラントへの供給ガスから、ベンゼン等の高凝固点の成分を回収する工程の実現可能性及び新規性を裏付け、当該工程は1つ以上の交換器、少なくとも1つの減圧装置、及び2つ以上の分離器からなり、より低圧の分離器からの液体の一部がより高圧の分離器に再循環され、凝固を防ぐ。
【0110】
場合によっては、使用される熱交換器の経路は、ポンプで送られる液体に求められている圧力に対して、該入口ガスへの再循環が可能であると見なされないことがある。この場合には、該ポンプは設置されず、該再加熱され部分的に気化された流れは追加の容器に分離され、この容器からの液体が入口にポンプで送られる。この追加の分離蒸気は、最大限の可能な結果を実現するため、必要であれば入口へ向けて圧縮されうる。別の方法として、この経路のための新たな交換器を別の構成要素として加えてもよい。
【0111】
実施例D
別の実施形態において、該設備への入口ガスが、該凝固成分の除去設備の上流で圧縮される場合、ポンプは必要ではなく、再加熱された蒸気及び液体流512は、配管以外、実施に必要な追加の装置なしで、容易に再循環用の入口の圧縮機の圧力まで下げられうる。供給ガスへの気化を確保するために必要であれば外部熱を加えてもよい。
【0112】
実施例E
別の実施形態では、該工程の早期にさらなる高凝固成分の回収を引き起こすため、追加の液体炭化水素の存在下、任意の分離器からの液体が任意の上流の分離器に再循環され、このようにして、該工程の任意の点で凝固を回避する。
【0113】
実施例F
さらに別の実施形態では、図4の工程は変わらない。除去された高凝固点の成分及びともに回収されたより軽質の炭化水素を含む回収炭化水素流の流れ513は、C5+とベンゼン成分の流れ、及び、ブタンとより軽質の成分の流れに分離されてもよい。これは、実施例Cに従って組み込まれた既存の設備の当初の設計ですでになされている場合がある。精留設備が新しくても既存でも、ブタンとより軽質の成分の流れを該プラントの入口に再循環することが、該回収プラントに追加の液体を生成させ、凝固の可能性を低減する。
【0114】
本明細書に開示のすべての方法及び装置は、本開示に照らして、必要以上の実験なしに作成され、実行されうる。本発明の方法は例示的な実施形態の観点から記載されているが、当業者には、本発明の概念と範囲から逸脱することなく、本明細書に記載の該方法及び装置、並びに該方法の段階または段階の順序に対して変動が適用されうることが明らかであろう。当業者に明らかなすべてのかかる同様の置換及び変更は、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲並びに概念の範囲内であると見なされる。
本発明に関連して、以下の内容を更に開示する。
[1]
ベンゼン化合物を含めた高凝固点の炭化水素の、混合供給ガス流からの除去工程であって;
前記混合供給ガス流を第一の熱交換器で冷却してC3、C4、及びC5成分並びに高凝固点の炭化水素の少なくとも一部を凝縮させ、
第一の分離器において、前記凝縮されたC3、C4、C5成分及び高凝固点の炭化水素を分離して第一の液体流及び第一のガス流を形成し、
第二の熱交換器において、前記第一のガス流を冷却して前記第一のガス流の少なくとも一部を凝縮させ、
第二の分離器において、前記第一のガス流の前記凝縮された部分を分離して、頂流としてのメタンリッチな第二のガス流及び第二の液体流を形成し、
前記第一及び第二の液体流を第一の精留塔に供給し、頂流のメタンガス及び第三の液体流を底流として除去し、
メタンリッチな生成ガス流を前記第二の分離器の頂部から下流で除去し、
前記第三の液体流を精留列で精留してC3成分及びC4成分のうちの少なくとも1つを含む再循環流並びに高凝固点の炭化水素流を得、
C3成分及びC4成分のうちの少なくとも1つを含む前記再循環流を、前記第一の精留塔から上流の位置で前記工程に供給し、前記再循環流が導入される前記位置での前記流の凝固点を低下させることを含む前記工程。
[2]
前記再循環流が前記第一の分離器から上流で前記供給ガス流と混合される、[1]に記載の工程。
[3]
前記再循環流が前記第一の液体流と混合される、[1]に記載の工程。
[4]
前記再循環流が前記第二の液体流と混合される、[1]に記載の工程。
[5]
前記再循環流が前記第一のガス流と混合される、[1]に記載の工程。
[6]
前記第一の分離器が温分離器を含み、前記第一の分離器から得られる前記第一の液体流がC2成分を含む、[1]に記載の工程。
[7]
前記第二の分離器が冷分離器を含む、[1]に記載の工程。
[8]
さらに、前記第二の分離器から下流に第三の分離器を含み、前記第三の分離器からの底流が前記第一の精留塔に送られ、前記頂流が前記メタンリッチな生成ガス流の少なくとも一部を含む、[1]に記載の工程。
[9]
前記再循環流が前記第三の分離器からの底流と混合される、[7]に記載の工程。
[10]
前記第二の分離器からの前記頂流が前記第三の分離器に送られる前に膨張される、[8]に記載の工程。
[11]
前記メタンリッチな生成ガス流は、メタン含量が少なくとも80%モル濃度メタンである、[10]に記載の工程。
[12]
さらに、プラントの始動時、前記メタンリッチな生成ガス流の一部を前記混合供給ガス流と混合することを含む、[1]に記載の工程。
[13]
前記供給ガスからの非凝固性成分の十分な凝縮を再循環に利用されるようにする温度に到達するまで、前記システムの初始動及び冷却を凝固することなく可能にするために、外部源からの非凝固性成分の流れが前記混合供給ガス流へ添加される、[1]に記載の工程。
[14]
さらに、前記メタンリッチな第二のガス流を、最も凝固点の高い成分の大部分を分離した後自己冷却させるために膨張器を用いることを含み、前記自己冷却したメタンリッチな第二のガス流が、前記供給ガスの冷却に利用される、[1]に記載の工程。
[15]
回収された非凝固性成分の一部の前記供給ガスへの前記再循環が、前記供給ガスの組成が、凝固を避けるために再循環の必要が少ないか、または再循環の必要がない、よりリッチな供給ガスと類似するように前記組成を変える、[1]に記載の工程。
[16]
回収された非凝固性成分の一部の前記再循環が、供給ガス成分の総濃度を増加させて前記供給ガスのメタン含量がより高い時のプラントにおける条件に近づけ、その結果、前記供給ガスがメタンリッチであってもなくても、プラントの装置のすべてが同様の条件で運転される、[15]に記載の工程。
[17]
C3成分及びC4成分のうちの少なくとも1つを含む流れの前記再循環が、前記第一及び第二の分離器に入る前記流れの液体の体積割合を増加させ、前記液体の高凝固点の炭化水素濃度を希釈し、そのため、不完全な液体の回収によって前記蒸気流とともに前記分離器を出る高凝固点の炭化水素の量を低減する、[1]に記載の工程。
[18]
前記再循環流がさらにC2成分及びC5成分のうちの少なくとも1つを含む、[1]に記載の工程。
[19]
ベンゼン化合物を含めた高凝固点の炭化水素の、混合供給ガス流からの除去工程であって;
前記混合供給ガス流を第一の熱交換器で冷却してC3、C4、及びC5成分並びに高凝固点の炭化水素の少なくとも一部を凝縮させ、
第一の分離器において、前記凝縮されたC3、C4、C5成分及び高凝固点の炭化水素を分離して第一の液体流及び第一のガス流を形成し、
第二の熱交換器において、前記第一のガス流を冷却して前記第一のガス流の少なくとも一部を凝縮させ、
第二の分離器において、前記第一のガス流の前記凝縮された部分を分離して、頂流としてのメタンリッチな第二のガス流及び第二の液体流を形成し、
前記第一及び第二の液体流を第一の精留塔に供給し、頂流のメタンガス及び第三の液体流を底流として除去し、
メタンリッチな生成ガス流を前記第二の分離器の頂部から下流で除去し、
前記第三の液体流を精留列で精留して炭化水素生成物流を得、
C3成分及びC4成分のうちの少なくとも1つを含む溶剤流を、前記第一の精留塔から上流の位置で前記工程に供給し、前記溶剤流が導入される前記位置での前記流の凝固点を低下させ、それにより、より低い工程温度が利用できるようにすることを含む前記工程。
[20]
メタン及びベンゼン成分を含む混合供給ガス流の前記ベンゼン成分を除去するための前処理システムであって;
前記混合供給ガスを部分的に凝縮させるための第一の熱交換器、
第一のメタン含有ガス流からC3+成分を含む第一の液体炭化水素流を形成するため、前記混合供給ガスを分離するように構成された第一の分離器、
前記第一のメタンリッチなガス流を少なくとも部分的に凝縮させるように構成された第二の熱交換器、
第二の液体炭化水素流から第二のメタン含有ガス流を分離するように構成された第二の分離器、
前記第一の液体炭化水素流及び前記第二の液体炭化水素流からメタンを除去するように構成された精留塔、並びに
C3成分及びC4成分のうちの少なくとも1つを含む溶剤流を前記システムに供給するように構成された溶剤注入口であって、前記第一もしくは第二の分離器の上流、または前記第二の分離器の下流かつ前記精留塔の上流に配置される前記溶剤注入口を含む、前記システム。
[21]
さらに、前記第二の分離器の下流に配置される膨張器、前記膨張器の下流かつ脱メタン塔の上流に配置される第三の分離器、及び前記第三の分離器からの底流を前記精留塔に供給するように構成されたラインを含む、[20]に記載のシステム。
[22]
ベンゼン化合物を含めた高凝固点の炭化水素の、混合炭化水素供給ガス流からの除去工程であって;
前記混合供給ガス流を第一の熱交換器で冷却してC3、C4、及びC5成分並びに高凝固点の炭化水素の少なくとも一部を凝縮させ、
第一の分離器において、前記凝縮されたC3、C4、C5成分及び高凝固点の炭化水素を分離して第一の液体流及び第一のガス流を形成し、
第二の熱交換器で前記第一のガス流を冷却することにより、または前記第一のガス流を減圧することにより前記第一のガス流を部分的に凝縮させ、
第二の分離器において、前記凝縮された第一のガス流の部分を分離して、メタンリッチな第二のガス流及び第二の液体流を形成し、
メタンリッチな生成ガス流を前記第二の分離器の頂部から下流で除去し、前記第一の液体流を精留列に供給し、前記第一の液体流を精留して炭化水素生成物流及び、ベンゼン成分を含む高凝固点の炭化水素流を得、
前記第二の液体流の少なくとも一部を回収し、前記回収された部分の圧力を上げ、前記回収され圧縮された部分の少なくとも一部を、前記第一の分離器から上流の位置へ、または前記第一の分離器で、前記工程に再循環させ、工程流並びに工程要素の凝固を防止することを含む前記工程。
[23]
前記第二の液体流の前記回収され圧縮された部分の少なくとも一部が、前記第一の熱交換器の上流で前記混合供給ガス流と混合される、[22]に記載の工程。
[24]
前記第二の液体流の前記回収され圧縮された部分の少なくとも一部が、前記第一の分離器の上流、または前記第一の分離器で、前記冷却された混合供給ガス流と混合される、[22]に記載の工程。
[25]
前記第二の液体流の前記回収され圧縮された部分の少なくとも一部が、前記第一の分離器の下流かつ前記第二の熱交換器の上流で、前記冷却された混合供給ガス流と混合される、[22]に記載の工程。
[26]
前記第二の液体流の前記回収され圧縮された部分の一部が、前記第一の分離器の下流かつ前記第二の熱交換器の上流で、前記冷却された混合供給ガス流と混合される、[24]に記載の工程。
[27]
前記第一のガス流の圧力が膨張器で低下される、[24]に記載の工程。
[28]
前記第一のガス流が熱交換器で部分的に凝縮される[22]に記載の工程であって、さらに、前記第二の分離器の下流に配置される第三の分離器の頂部から、メタンリッチな生成ガス流を除去することを含む前記工程。
[29]
さらに、前記第三の分離器からの底流を前記精留列に送ることを含む、[28]に記載の工程。
[30]
前記第一のガス流が、前記第一のガス流をジュール・トムソン弁または膨張器のうちの少なくとも1つで減圧することで部分的に凝縮される、[22]に記載の工程。
[31]
さらに、前記第二の分離器の頂部からメタンリッチな生成ガス流を除去することを含む、[30]に記載の工程。
[32]
前記第一の分離器が多段式の精留塔を含み、前記再循環流が、前記冷却された供給ガス流の供給点の上で前記塔に送られる、[22]に記載の工程。
[33]
前記第二の分離器が多段式の精留塔を含み、前記再循環流が、前記冷却された第一のガス流10の供給点の上で前記塔に送られる、[22]に記載の工程。
[34]
凝固の可能性を低減するため、さらに、第二の分離器入口の減圧弁を用いて、前記第一の分離器への前記入口を減圧することを含む、[22]に記載の工程。
[35]
前記弁がジュール・トムソン弁である、[32]に記載の工程。
[36]
前記第二の液体流の前記回収され圧縮された部分が、分離器に入る前に、前記熱交換器のうちの1つで加熱される、[22]に記載の工程。
[37]
前記第一、第二、及び第三の分離器が、単一の垂直外郭構造内に配置される、[28]に記載の工程。
[38]
さらに、前記第三の分離器からの底流の少なくとも一部を回収し、前記回収された流れを圧縮し、前記回収され圧縮された流れの少なくとも一部を、前記第二の熱交換器の上流の位置に再循環することを含む、[28]に記載の工程。
[39]
前記回収され圧縮された流れが、低凝固点の炭化水素を含む、[38]に記載の工程。
[40]
メタン及びベンゼン成分を含む混合供給ガス流の、前記ベンゼン成分を除去するための前処理システムであって;
前記混合供給ガスを冷却及び部分的に凝縮させるための第一の熱交換器、
前記冷却及び部分的に凝縮された混合供給ガス流を分離してC3+成分を含む第一の液体炭化水素流及び第一のメタン含有ガス流を形成するように構成された第一の分離器、
前記第一のメタン含有ガス流を膨張及び部分的に凝縮させるように構成された膨張器、
前記第一のメタン含有ガス流を分離して第二のメタン含有ガス流及び第二の液体炭化水素流を形成するように構成された第二の分離器、
前記第一の液体炭化水素流及び前記第二の液体炭化水素流のうちの少なくとも1つの圧力を高めるように構成された加圧装置、並びに、
前記第一の液体炭化水素流及び前記第二の液体炭化水素流の少なくとも1つの再循環部分を、前記第一の分離器の上流の位置、または前記第一の分離器で前記システムに送り戻すように構成された再循環の入口を含む前記システム。
[41]
前記加圧装置がポンプを含む、[40]に記載のシステム。
[42]
前記再循環の入口が、前記第二の液体炭化水素流の前記再循環部分を、前記混合供給ガス流と混合するように構成される、[40]に記載のシステム。
[43]
前記再循環の入口が、前記第二の液体炭化水素流の前記再循環部分を、前記冷却及び部分的に凝縮された混合供給ガスと混合するように構成される、[40]に記載のシステム。
図1
図2
図3
図4