(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、好ましい実施形態を、図面を参照しながら説明する。なお、以下では全ての図面を通じて同一または相当する要素には同一の参照符号を付して、その重複する説明を省略する。また、図面は理解しやすくするために、それぞれの構成要素を模式的に示したものである。さらに、一対のアームを広げた方向を左右方向と称し、基軸の軸心に平行な方向を上下方向と称し、左右方向および上下方向に直交する方向を前後方向と称する。
(実施形態1)
[保持装置の構成]
図1は、本実施形態1に係る食品40の保持装置10の全体の構成を概略的に示す平面図である。
【0029】
図1に示すように、食品40の保持装置10は、複数の食品40のトレイ41への詰め込み作業に使用される。本実施形態ではロボット11により本発明に係る食品40の保持装置10を構成した場合について説明する。
【0030】
ロボット11は、ベース12に支持された一対のロボットアーム13,13を備えた双腕ロボットである。ただし、食品40の保持装置10はロボット11により構成される場合に限定されない。なお、このロボット11について、水平多関節型の双腕ロボットを説明するが、水平多関節型・垂直多関節型などのロボットを採用することができる。ロボット11は、人一人分に相当する限られたスペース(例えば610mm×620mm)に設置することができる。
【0031】
ロボット11の正面左側にはロボット11の作業台50が配置されている。作業台50は、平面視で略正方形であり、ベース12の前面に取り付けられている。作業台50の上の所定の位置には平面視で矩形状のシート50aが配置されている。ロボット11の正面には第1ベルトコンベア51が配置され、ロボット11の左側方には第2ベルトコンベア52が配置されている。
【0032】
本実施形態1では、一対のロボットアーム13,13の「作業領域」は、平面視で、作業台50、第1ベルトコンベア51のロボット11側の一部の領域、第2ベルトコンベア52を覆う領域である。第1ベルトコンベア51は食品40をロボット11の正面前方から手前まで移送するための装置であり、前後方向に延びている。第2ベルトコンベア52はトレイ41をロボット11の左側方から左後方まで移送するための装置であり、前後方向に延びている。また、本例においてトレイ41は40個(8行×5列)の食品40を収納可能な容器であるが、トレイ41の収納容積はこれに限られない。また、上方が開口した容器であれば、その他の容器であってもよい。
【0033】
また、食品40は、一定の形状を有する食料品であって、たとえば、おにぎりおよびサンドイッチが例示される。ここで、
図2を参照しながら、食品40の構造について、詳細に説明する。
【0034】
図2は、
図1の食品40を概略的に示す斜視図である。
【0035】
図2に示すように、食品40は、第1面部40aと当該第1面部40aに垂直な第2面部40bとを有する。本実施形態の食品40は、フィルムで包装された三角形状のおにぎりである。食品40の第1面部40aは、互いに平行な2つの三角形状平面で構成される。食品40の第2面部40bは、第1面部40aの外周を囲む三辺に設けられた3つの矩形状平面で構成される。
【0036】
尚、第1面部40aと第2面部40bが垂直である、又は、第1面部40aが互いに平行であるとは、厳密な垂直又は平行に限定されず、食品40の表面又は包装等に起因して生じ得る僅かな傾きを許容するものである。また、通常、フィルムで包装されたおにぎりは、開封し易いように上部にフィルムを突出させているが、ここでは上部のフィルムは図示していない。
【0037】
この実施形態では、食品40は、第1ベルトコンベア51によって、第1面部40aを水平にした第1姿勢で搬送される。第1姿勢は食品40の三角形状の第1面部40aを下にした伏姿勢である。一般に食品40出荷前には安全性確保のため、異物検査が行われる。例えばX線検査では食品40の上方からX線を照射するので、食品40の姿勢は伏姿勢が適している。本実施形態1では第1ベルトコンベア51により、食品40を伏姿勢で搬送しながら検査装置(図示せず)の下を通過させる。その後、食品40の姿勢は、後述するように食品40の保持装置10により、第1姿勢から第2面部40bを水平にした第2姿勢に変更される。第2姿勢は食品40矩形状の第2面部40bを下にした起立姿勢である。
【0038】
図3は、ロボット11の一例の全体的な構成を概略的に示す正面図である。
【0039】
図3に示すように、ロボット11は、台車に固定されたベース12と、ベース12に支持された一対のロボットアーム(以下、単に「アーム」と記載する場合がある)13、13と、ベース12内に収納された制御装置14と、真空発生装置60とを備えている。真空発生装置60は、たとえば、真空ポンプやCONVUM(登録商標)など、後述する吸着ヘッド22に負圧を発生させる装置である。各アーム13は、ベース12に対して移動可能に構成された水平多関節型ロボットアームであって、アーム部15とリスト部17とハンド部18、19とを備えている。なお、右のアーム13および左のアーム13は、実質的に同じ構造であってもよい。また、右のアーム13および左のアーム13は、独立して動作したり、互いに関連して動作したりすることができる。
【0040】
アーム部15は、本例では、第1リンク15aおよび第2リンク15bとで構成されている。第1リンク15aは、ベース12の上面に固定された基軸16と回転関節J1により連結され、基軸16の軸心を通る回転軸線L1まわりに回動可能である。第2リンク15bは、第1リンク15aの先端と回転関節J2により連結され、第1リンク15aの先端に規定された回転軸線L2まわりに回動可能である。
【0041】
リスト部17は、昇降部17aおよび回動部17bにより構成されている。昇降部17aは、第2リンク15bの先端と直動関節J3により連結され、第2リンク15bに対し昇降移動可能である。回動部17bは、昇降部17aの下端と回転関節J4により連結され、昇降部17aの下端に規定された回転軸線L3まわりに回動可能である。
【0042】
右ハンド部18および左ハンド部19は、リスト部17の回動部17bにそれぞれ連結されている。右ハンド部18は右のアーム13の先端に設けられ、左ハンド部19は左のアーム13の先端に設けられている。尚、右ハンド部18が本発明の「第1保持部」に相当し、左ハンド部19が本発明の「第2保持部」に相当する。また、右のアーム13が、本発明の「食品供給部」に相当し、左のアーム13が、本発明の「食品収容部」に相当する。
【0043】
上記構成の各アーム13は、各関節J1〜J4を有する。そして、アーム13には、各関節J1〜J4に対応付けられるように、駆動用のサーボモータ(図示せず)、および、そのサーボモータの回転角を検出するエンコーダ(図示せず)等が設けられている。また、2本のアーム13、13の第1リンク15a、15aの回転軸線L1は同一直線上にあり、一方のアーム13の第1リンク15aと他方のアーム13の第1リンク15aとは上下に高低差を設けて配置されている。
【0044】
図4A及び
図4Bは、
図3の右ハンド部18(第1保持部)の構成を示した正面図及び側面図である。右ハンド部18は、第1面部40aを水平にした第1姿勢で食品40を保持し、且つ、第1姿勢から第2面部40bを水平にした第2姿勢に食品40の姿勢を変更可能に構成される。右ハンド部18は、リスト部17の回動部17bを含む基部20と、水平な回転軸線L4を有する回転関節J5と、基部20に対して回動可能に連結された先端部21と、先端部21に設けられ食品40(第1面部40a)を吸着する吸着ヘッド22を有する。
【0045】
基部20は、回転関節J4を介してリスト部17の昇降部17aに連結されるとともに、回転関節J5を介して先端部21に連結される。基部20は、側面視で略L字形に屈曲している(
図4B参照)。基部20は、L字形部材の内側に回転関節J5の駆動部25を備えている。
【0046】
先端部21は、回転関節J5を介して基部20に連結されるとともに、吸着ヘッド22が取り付けられる。先端部21は、側面視で略L字形に屈曲している(
図4B参照)。本実施形態では、吸着ヘッド22は先端面22bの裏側に同じ長さで3箇所設けられる。吸着ヘッド22の3点の当接面は食品40の第1面部40a上の直線上にない3点に接するように構成される。図に示すように、この吸着ヘッド22の当接面が下方を向いた位置を吸着ヘッド22の基準位置と称する。吸着ヘッド22は配管(図示せず)を介して真空発生装置60(
図1参照)に接続されている。配管には、たとえば、開閉弁(図示せず)が設けられている。開閉弁により配管を開放および閉塞することによって、吸着ヘッド22による吸着およびその解除が行われる。
【0047】
これにより、右ハンド部18の先端部21に設けられた吸着ヘッド22により第1姿勢の食品40を吸着保持するとともに、回転関節J5により、基部20に対して先端部21を90度回動させることにより、食品40の姿勢を第1姿勢から第2姿勢に変更することができる。
【0048】
図5A及び
図5Bは、
図3の左ハンド部19(第2保持部;保持部)の構成を示した正面図及び側面図である。
【0049】
図5A及び
図5Bに示すように、左ハンド部19は、作業台50上の所定位置に第2姿勢で供給された各食品40の第1面部40aを所定の方向である第2方向に向けた状態で4つの食品40を重ねて保持するように構成される。
【0050】
図5A及び
図5Bにおいては、第2方向は、左右方向となる。なお、以下においては、食品40の保持装置10の上下方向を第1方向と定義し、第1方向と第2方向のそれぞれに直交する方向である前後方向を第3方向と定義する。
【0051】
左ハンド部19は、第2方向に設けられた四対の保持部材32と、四対の保持部材32の各々を独立して駆動可能な4つの駆動部材33を有している。リスト部17の回動部17bは、正面視で回転軸線L3と垂直な水平方向に伸延している。各保持部材32は、駆動部材33を介してリスト部17の回動部17bに接続されている。
【0052】
各対の保持部材32は、作業台50上の所定位置において、第1面部40aが第2方向を向いた第2姿勢で重ねられた食品40の各々を保持するように構成される。
【0053】
本実施形態1では、各対の保持部材32は、食品40の第2面部40bを、その両側から挟むように構成される。各保持部材32は、食品40の第2面部40bの傾斜に応じた形状を有し、且つ、食品40に当接する当接面32aを有する。保持部材32は、例えば矩形の平板形状であって、対向する二つの平らな主面を有し、その一方の主面が保持部材32により保持された食品40に当接する当接面32aである。保持部材32の材料には例えば樹脂板又は金属板が使用される。この実施形態では、食品40に三角形状のおにぎりが用いられているため、各対の保持部材32は、その互いの間隔が上端部分に向かって狭くなるように配置され、下方に拡がる山形形状(逆V字形状)に形成される。
【0054】
駆動部材33は、一対の保持部材32を駆動する。駆動部材33は、アクチュエータ(図示せず)等に接続されており、直線的に移動し、一対の保持部材32の互いの間隔が変化するように、一対の保持部材32の上端側に接続されている。この駆動部材33により、一対の保持部材32は互いの間隔を縮めて一つの食品40を挟んで保持する。本実施形態では、一対の保持部材32は、互いのなす角度が食品40の第2面部40bの傾斜に合わせた角度(略60度)に維持されながら、
図5Bの矢印方向に互いの間隔が伸縮するように制御される。また、本実施形態1では、保持部材32の当接面32aと食品40の第2面部40bとの接触の際に発生する摩擦力により、食品40が保持されるが、当接面32aに吸着口が設けられ、吸引力により食品40が保持されてもよい。
【0055】
尚、本実施形態1では、食品40の保持状態において、左右の保持部材32の上部に隙間を設けるような構成にしている。これにより、おにぎり(食品40)上部のフィルムに触れることがない。通常、フィルムで包装されたおにぎりでは、上部のフィルムは開封し易いようにミシン目等により破れやすくできているので、上記構成により、食品40を誤って開封することや食品40を傷つけることがない。
【0056】
また、本実施形態1においては、左ハンド部19が複数(ここでは、四対)の保持部材32を有し、各対の保持部材32により、複数の40を保持する形態を採用したが、これに限定されない。左ハンド部19が一対の保持部材32を有し、当該一対の保持部材32により、複数の40を保持する形態を採用してもよい。
【0057】
図6は、
図3のロボット11の制御装置14の構成を概略的に示す機能ブロック図である。
【0058】
図6に示すように、制御装置(制御部)14は、CPU等の演算部14aと、ROM、RAM等の記憶部14bと、サーボ制御部14cと、を備える。制御装置14は、例えばマイクロコントローラ等のコンピュータを備えたロボットコントローラである。なお、制御装置14は、集中制御する単独の制御装置14によって構成されていてもよいし、互いに協働して分散制御する複数の制御装置14によって構成されていてもよい。
【0059】
記憶部14bには、ロボットコントローラとしての基本プログラム、各種固定データ等の情報が記憶されている。演算部14aは、記憶部14bに記憶された基本プログラム等のソフトウェアを読み出して実行することにより、ロボット11の各種動作を制御する。すなわち、演算部14aは、ロボット11の制御指令を生成し、これをサーボ制御部14cに出力する。サーボ制御部14cは、演算部14aにより生成された制御指令に基づいて、ロボット11の各アーム13の関節J1〜J5等に対応するサーボモータの駆動を制御するように構成されている。
【0060】
尚、本実施形態1においては、記憶部14bが、制御装置14内に配置されている形態を採用したが、これに限定されず、記憶部14bが、制御装置14と別体に設けられている形態を採用してもよい。
【0061】
また、制御装置14は、真空発生装置60(
図1参照)の動作および開閉弁の開閉を制御する。開閉弁の開閉により配管が開放および閉塞することによって、吸着ヘッド22による吸着およびその解除が行われる。
【0062】
[保持装置の動作]
次に、本実施形態1の食品40の保持動作について
図7〜
図10を参照して説明する。なお、以下の動作は、制御装置14の演算部14aが、記憶部14bに格納されているプログラムを読み出すことにより実行される。
【0063】
図7〜
図10は、本実施形態1の保持装置10による食品40の保持動作の一例を示す模式図である。
【0064】
図7〜
図10に示すように、この実施形態では、食品40は、第1ベルトコンベア51によって、第1面部40aを水平にした第1姿勢で搬送される。第1ベルトコンベア51の搬送方向の両側には一対の側壁51aが設けられている。一対の側壁51aにより搬送物の流れが規定される。第1ベルトコンベア51の端部にはストッパー51bが設けられている。ストッパー51bにより第1姿勢で搬送されてくる食品40の流れが止められる。ベース12前側に取り付けられた作業台50の所定の位置には平面視で矩形状のシート50a及び食品40を支持する一対の支持部材50bが配置されている。
【0065】
まず、
図7に示すように、制御装置14は、右のアーム13の動作を制御して、右ハンド部18(リスト部17の位置)を、第1ベルトコンベア51の端部のストッパー51bの直上付近に合わせる。そして、吸着ヘッド22を基準位置に合わせた状態で右ハンド部18(リスト部17の昇降部17a)を下降させ、吸着ヘッド22の当接面を第1ベルトコンベア51上の食品40の第1面部40aに当接させる。吸着ヘッド22により第1姿勢の食品40が吸着保持される。
【0066】
次に、
図8に示すように、制御装置14は、右のアーム13の動作を制御して、右ハンド部18の先端部21を、回転関節J5により、基部20に対して回転軸線L4回りに、90度回動させる。これにより、吸着ヘッド22が基準位置から90度回転する。吸着ヘッド22により第1姿勢で吸着保持された食品40の姿勢が第1姿勢から第2姿勢に変更される。そして、制御装置14は、右のアーム13の動作を制御して、右ハンド部18により第2姿勢で保持された食品40を、作業台50のシート50aの位置に供給する。以上の動作を繰り返すことにより、4個の食品40が作業台50のシート50aの位置に順次供給される。
【0067】
次に、
図9に示すように、制御装置14は、左のアーム13の動作を制御して、左ハンド部19により作業台50のシート50aの位置に第2姿勢で供給された各食品40の第1面部40aを所定の方向(第2方向)に向けた状態で4つの食品40を重ねて保持する。
【0068】
最後に、
図10に示すように、制御装置14は、左のアーム13の動作を制御して、左ハンド部19により保持された4つの食品をトレイ41に収容する。これにより、限られた作業スペースであっても、食品40の詰め込み作業の効率化を図ることができる。
【0069】
次に、
図11〜
図14を参照しながら、本実施形態1に係る保持装置10による食品40のトレイ41への詰め込み作業(動作)の一例について、詳細に説明する。
【0070】
図11〜
図14は、本実施形態1の保持装置10による食品40のトレイ41への詰め込み動作の一例を示す模式図である。なお、
図11〜
図14においては、保持装置10の一部の構成の図示を省略している。
【0071】
図11〜
図14に示すように、トレイ41には、前端部と後端部のそれぞれに1列の食品40が載置されていて、後端部の2列目には、トレイ41の左側部分に4個の食品40が載置されている。そして、以下においては、左ハンド部19により保持された4つの食品40を、後端部の2列目において、第2方向に沿うようにして、トレイ41の右側部分に、収容する動作について、説明する。なお、以下の説明においては、トレイ41の後端部の2列目における左側部分に載置されている4個の食品40を第1食品群4Aとし、左ハンド部19により保持された4つの食品40を第2食品群4Bと称する。また、
図11〜
図14においては、トレイ41は、48個(8行×6列)の食品40を収納可能に構成されている。
【0072】
図11に示すように、制御装置14は、左のアーム13をトレイ41の上方に位置するように動作させ、トレイ41の中央部分で左ハンド部19が把持している食品40がトレイ41内に位置するように、左のアーム13を下降させる。なお、トレイ41の中央部分とは、トレイ41の周縁部よりも内方の部分をいい、トレイ41内に食品40が載置されていない部分であってもよい。
【0073】
ついで、制御装置14は、左ハンド部19が、第2方向に対して、傾斜するように、左のアーム13の回動部17bを回転軸線L3まわりに回動させる。具体的には、制御装置14は、左ハンド部19の第1食品群4Aに近接する側の一端(ここでは、左端)が、第1食品群4Aにより接近するように、回動部17bを回転軸線L3まわりに回動させる。
【0074】
次に、
図12に示すように、制御装置14は、左ハンド部19が第2方向に対して傾斜した状態で、トレイ41の後端部側に移動するように、左のアーム13を第3方向に移動させる。ついで、
図13に示すように、制御装置14は、左ハンド部19の一端が、第1食品群4Aの背面側にまで移動すると、左ハンド部19が第2方向と平行になるように、回動部17bを回転軸線L3まわりに回動させる。
【0075】
ここで、左ハンド部19の一端が、第1食品群4Aの背面側にまでの移動は、第2方向から見て、左ハンド部19の少なくとも一部が、第1食品群4Aと重なるまで移動すればよく、左ハンド部19と第1食品群4Aの重なる割合は、任意に設定することができる。
【0076】
これにより、トレイ41の後端部の2列目における右側部分のスペースに、第2食品群4Bを位置させることができる。また、トレイ41の後端部の2列目における左側部分に載置されている第1食品群4Aが、右側部分のスペースにはみ出しているような場合であっても、回動部17bを回転軸線L3まわりに回動させることにより、左ハンド部19又は左ハンド部19が把持している食品40が、第1食品群4Aと当接して、第1食品群4Aを左側部分のスペースに押し出すことができる。このため、右側部分のスペースに、第2食品群4Bを位置させることができる。
【0077】
次に、
図14に示すように、制御装置14は、第2食品群4Bが第1食品群4Aに対して、第2方向に沿うように、左のアーム13を第3方向(ここでは、後方)に移動させる。このとき、第2食品群4Bに隣接する食品40(ここでは、トレイ41における後端部の1列目に載置されている食品40)が、トレイ41の後端部の2列目における右側部分にはみ出していたとしても、左のアーム13を第3方向に移動させることにより、左ハンド部19又は左ハンド部19が把持している食品40が、はみ出している食品40と当接して、当該食品40を1列目に移動させることができる。
【0078】
これにより、アーム13は、第2食品群4Bを所定の位置(トレイ41の後端部の2列目における右側部分)に移動させることができる。
【0079】
次に、制御装置14は、左ハンド部19が保持している食品40を解放するように、駆動部材33を駆動させる。これにより、第2食品群4Bを構成する複数の食品40を第1食品群4Aに対して、第2方向に沿うようにして、トレイ41内に収容することができる。
【0080】
次に、制御装置14は、上述した食品40の保持動作を再度実行し、左ハンド部19が保持している食品40をトレイ41における前端側の2列目に載置させるように、左アーム13を動作させる。
【0081】
このようにして、制御装置14は、トレイ41における第3方向の一端(ここでは、後端)側への収容と、トレイ41における第3方向の他端(ここでは、前端)側への収容と、を交互に実行するように、アーム13を動作させ、トレイ41内に食品40を載置させる。
【0082】
これにより、本実施形態の保持装置10では、トレイ41内に食品40を整列した状態で載置することができる。
【0083】
尚、本実施形態1においては、制御装置14が、トレイ41における第3方向の一端(ここでは、後端)側への収容と、トレイ41における第3方向の他端(ここでは、前端)側への収容と、を交互に実行するように、アーム13を動作させるように構成されている態様を採用したが、これに限定されない。制御装置14が、トレイ41における第3方向の一端側から他端側に向けて、第2食品群4B(食品40)を収容させるように構成されている態様を採用してもよい。
【0084】
図15〜
図18は、本実施形態1における保持装置10による食品40のトレイ41への詰め込み動作の他の例を示す模式図である。尚、
図15〜
図18においては、保持装置10の一部の構成の図示を省略している。
【0085】
図15〜
図18に示すように、トレイ41には、後端部に3列の食品40が載置されていて、前端部に2列の食品40が載置されている。また、前端部の3列目には、トレイ41の左側部分に4個の食品40が載置されている。そして、以下においては、左ハンド部19により保持された4つの食品40を、前端部の3列目において、第2方向に沿うようにして、トレイ41の右側部分に収容する動作について、説明する。
【0086】
なお、以下に説明する動作は、上記実施形態1の保持装置10における食品40のトレイ41への詰め込み作業(動作)において、左ハンド部19が食品40を解放するときに実行されてもよい。また、以下に説明する動作は、左ハンド部19により保持された4つの食品40を、最後にトレイ41内に収容するときに実行されてもよい。
【0087】
図15に示すように、制御装置14は、左ハンド部19に把持されている食品40が、トレイ41における前端部の3列目の右側部分の上方に位置するように、左のアーム13を動作させる。
【0088】
次に、
図16に示すように、制御装置14は、左ハンド部19に把持されている食品40が、トレイ41における前端部の3列目の右側部分のスペース内に位置するように、左のアーム13を下降させる。
【0089】
次に、
図17に示すように、制御装置14は、左ハンド部19に把持されている、少なくとも1つの食品40(ここでは、右側2つの食品40)を解放するように、駆動部材33を駆動させる。これにより、左ハンド部19に把持されている、少なくとも1つの食品40が、トレイ41内に載置される。尚、解放する食品40は、第2食品群4Bのうち、第1食品群4Aに最も近い位置にある食品40であってもよく、第1食品群4Aから最も遠い位置にある食品40であってもよい。
【0090】
次に、
図18に示すように、制御装置14は、残りの食品40を把持した状態で左ハンド部19を第2方向に移動させる。このとき、制御装置14は、解放した食品40が第1食品群4Aから離間するように、左ハンド部19を第2方向(ここでは、右方向)に移動させてもよく、解放した食品40が、第1食品群4Aに近接するように、左ハンド部19を第2方向(ここでは、左方向)に移動させてもよい。換言すると、制御装置14は、左ハンド部19が把持している残りの食品40を載置するスペースを確保するように、左ハンド部19を第2方向に移動させてもよい。
【0091】
これにより、左ハンド部19が把持している残りの食品40が、トレイ41内に載置されている食品40と当接して、解放した食品40又は第1食品群4Aを第2方向に移動させることができる。このため、トレイ41における前端部の3列目の右側部分のスペースを広げることができ、左ハンド部19が把持している残りの食品40を載置するためのスペースを容易に確保することができる。
【0092】
特に、トレイ41内への食品40の収容が進むと、食品40を収容するためのスペースが小さくなるが、当該動作により、食品40を収容するためのスペースを充分に確保することができる。
【0093】
次に、制御装置14は、左ハンド部19に保持されている残りの食品40(ここでは、左側の2つの食品40)を解放するように、駆動部材33を駆動させる。これにより、残りの食品40をトレイ41における前端部の3列目の右側部分のスペースに載置することができる。
【0094】
このようにして、本実施形態1の保持装置10は、トレイ41内に食品40を整列した状態で載置することができる。
【0095】
[実施形態2]
図19は、本実施形態2の保持装置の概略構成を示す模式図であり、トレイへの詰め込み動作の一例を示す模式図である。尚、
図19においては、保持装置10の一部の構成の図示を省略している。
【0096】
図19に示すように、本実施形態2の保持装置10は、上記実施形態1の保持装置10と基本的構成は同じであるが、左ハンド部19の回転軸線L3が第3方向(ここでは、前後方向)に向くように構成されている点が異なる。このため、左ハンド部19が、第2方向に対して、傾斜するように、左のアーム13の回動部17bを回転軸線L3まわりに回動するとき、左ハンド部19の第1食品群4Aに近接する側の一端(ここでは、左端)が、左ハンド部19の他端(ここでは、右端)よりも下方に位置するように、回動部17bが、回動(揺動)する。
【0097】
このように構成された、本実施形態2の保持装置10であっても、実施形態1の保持装置10と同様の作用効果を奏する。
【0098】
なお、本実施形態2の保持装置10では、左ハンド部19の回転軸線L3が第3方向に向いている形態を採用したが、これに限定されない。
【0099】
回動部17bが2つの回転軸線を有し、一方の回転軸線が、第1方向(上下方向)に向き、他方の回転軸線が、第3方向に向き、2つの回転軸線まわりに複合的に回動する形態を採用してもよい。
【0100】
また、回動部17bが2つの回転軸線を有し、一方の回転軸線が、第2方向(前後方向)に向き、他方の回転軸線が、第3方向に向き、2つの回転軸線まわりに複合的に回動する形態を採用してもよい。
【0101】
さらに、回動部17bが3つの回転軸線を有し、3つの回転軸線が、それぞれ、第1方向〜第3方向に向き、3つの回転軸線まわりに複合的に回動する形態を採用してもよい。
【0102】
[実施形態3]
本実施形態3の保持装置は、所定位置に供給された複数の食品を所定方向に重ねて保持するように構成された保持部と、保持部により保持された複数の食品を所定の容器に収容する食品収容部と、制御部と、を備え、食品の保持装置の上下方向を第1方向とし、所定方向を第2方向とし、第1方向及び第2方向のそれぞれに直交する方向を第3方向と定義した場合に、制御部は、食品収容部を動作させて、保持部が第2方向回りに揺動した状態で第3方向に移動し、その後、保持部が第2方向に対して平行になるように回動するようにして、保持部により保持された複数の食品である第2食品群を、所定の容器内に収容された複数の食品である第1食品群に対して、第2方向に沿うようにして、所定の容器内に収容させるように構成されている。
【0103】
また、本実施形態3の保持装置は、上記実施形態1又は実施形態2の保持装置において、制御部は、食品収容部を動作させて、第2保持部が第2方向回りに揺動した状態で第3方向に移動し、その後、第2保持部が第2方向に対して平行になるように回動するようにして、第2保持部により保持された複数の食品である第2食品群を、所定の容器内に収容された複数の食品である第1食品群に対して、第2方向に沿うようにして、所定の容器内に収容させるように構成されていてもよい。
【0104】
以下、本実施形態3の保持装置の一例について、
図20を参照しながら説明する。
【0105】
[保持装置の構成]
図20は、本実施形態3の保持装置の概略構成を示す模式図である。尚、
図20においては、保持装置10の一部の構成の図示を省略している。
【0106】
図20に示すように、本実施形態3の保持装置10は、上記実施形態1に係る保持装置10と基本的構成は同じであるが、左ハンド部19の回転軸線L3が第2方向(ここでは、左右方向)に向くように構成されている点が異なる。
【0107】
[保持装置の動作]
次に、本実施形態3の保持装置10の動作について、
図20を参照しながら説明する。
【0108】
まず、
図20に示すように、トレイ41には、後端部に1列の食品40が載置されていて、破線で示す食品40が、2列目側にずれているとする。そして、以下においては、左ハンド部19により保持された4つの食品40を、後端部の2列目に載置する動作について、説明する。
【0109】
制御装置14は、左のアーム13をトレイ41の上方に位置するように動作させ、トレイ41の中央部分で左ハンド部19が把持している食品40がトレイ41内に位置するように、左のアーム13を下降させる。ついで、制御装置14は、左のアーム13の回動部17bを回転軸線L3(第2方向)まわりに回動(揺動)させる。
【0110】
次に、制御装置14は、左ハンド部19が第2方向回りに揺動した状態で、トレイ41の後端部側に移動するように、左のアーム13を第3方向に移動させる。ついで、制御装置14は、左ハンド部19の一端(ここでは、後端)が、1列目の第1食品群4A近傍にまで移動すると、左ハンド部19が第2方向と平行になるように、回動部17bを回転軸線L3まわりに回動させる。
【0111】
これにより、左ハンド部19又は左ハンド部19が把持している食品40が、前端側へはみ出ている食品40と当接して、当該食品40を後端側に押し出すことができる。このため、第1食品群4Aが第2方向に沿って、載置されなかったような場合に、第1食品群4Aを第2方向に沿って、配置させることができる。また、第2食品群4Bが載置される所定の位置(トレイ41の後端部の2列目)のスペースを確保することができる。
【0112】
次に、制御装置14は、左ハンド部19が把持している食品40が、所定の位置(トレイ41の後端部の2列目)に位置するように、左のアーム13を動作させる。ついで、制御装置14は、左ハンド部19が保持している食品40を解放するように、駆動部材33を駆動させる。これにより、第2食品群4Bを構成する複数の食品40を第1食品群4Aに対して、第2方向に沿うようにして、トレイ41内に収容することができる。
【0113】
このように構成された、本実施形態3の保持装置10では、制御装置14が、左ハンド部19が第2方向回りに揺動した状態で第3方向に移動し、その後、左ハンド部19Aが第2方向に対して平行になるように回動するように、左のアーム13を動作させる。これにより、第2食品群4Bが載置される所定の位置に隣接する第1食品群4A(食品40)が、当該所定の位置に、はみ出ていても、はみ出ている食品40を移動させることができる。このため、第2食品群4Bが載置される所定の位置のスペースを確保することができ、第2食品群4Bを構成する複数の食品40を第1食品群4Aに対して、第2方向に沿うようにして、トレイ41内に収容することができる。
【0114】
尚、本実施形態3の保持装置10では、左ハンド部19の回転軸線L3が第2方向に向いている形態を採用したが、これに限定されない。
【0115】
回動部17bが2つの回転軸線を有し、一方の回転軸線が、第1方向(上下方向)に向き、他方の回転軸線が、第2方向に向き、回動部17bが、2つの回転軸線まわりに複合的に回動する形態を採用してもよい。
【0116】
また、回動部17bが2つの回転軸線を有し、一方の回転軸線が、第3方向(前後方向)に向き、他方の回転軸線が、第2方向に向き、回動部17bが、2つの回転軸線まわりに複合的に回動する形態を採用してもよい。
【0117】
さらに、回動部17bが3つの回転軸線を有し、3つの回転軸線が、それぞれ、第1方向〜第3方向に向き、3つの回転軸線まわりに複合的に回動する形態を採用してもよい。
【0118】
(実施形態4)
尚、上記実施形態1〜3では、右ハンド部18の先端部21に設けられた吸着ヘッド22により食品40が吸着保持される(
図4A及び
図4B参照)。そして、回転関節J5により、基部20に対して先端部21が90度回動することにより、食品40の姿勢が第1姿勢から第2姿勢に変更される。吸着ヘッド22により食品40を吸着保持する際には、食品40の包装部分(第1面部40a)が吸着され、吸着された包装部分によって重量の重い食品40の本体部分が支えられる。このため、保持された食品40を回転させる際に、食品40の包装部分と本体部分が分離してしまい、食品40の姿勢が崩れやすくなるおそれがある。
【0119】
図21A及び
図21Bは、実施形態4の右ハンド部18Aの構成を示した図である。
図21A及び
図21Bに示すように、右ハンド部18Aは、先端部21に設けられた支持部材21aを更に有する。支持部材21aは、吸着ヘッド22によって吸着保持された食品40を支持する。ここでは、3つの吸着ヘッド22によって食品40の包装部分(第1面部40a)が吸着保持される。支持部材21aは食品40の第2面部40bに当接して支持する。支持部材21aは平板形状を有する。平板により食品40の第2面部40bの一部が支持される。これにより、吸着保持された食品40を回転させる際には、支持部材21aにより食品40の本体部分が支えられるので、食品40の安定姿勢を維持し易くなる。
【0120】
尚、上記実施形態4では、制御装置14は、一対の保持部材32の互いのなす角度が食品40の第2面部40bの傾斜に合わせた角度(略60度)に維持されながら、互いの間隔が伸縮するように駆動部材33を制御したが(
図5B参照)、一対の保持部材32の互いのなす角度を変更するように駆動部材33を制御してもよい。
【0121】
図22A及び
図22Bは、実施形態4の左ハンド部19A(第2保持部)の構成を示した正面図及び側面図である。
図22Bに示すように、駆動部材33は、各対の保持部材32(当接面32a)の互いのなす角度が第1角度又は第2角度のいずれかの角度になるように四対の保持部材32を駆動する。
【0122】
第1角度は、各対の保持部材32(当接面32a)の互いのなす角度が各食品40をその両側から挟むことにより食品40を保持可能な所定の角度である。食品40の両側(第2面部40b)の傾斜に応じた角度であり、ここでは略60度である(
図22B参照)。また、各一対の保持部材32の互いのなす角度が60度よりもわずかに小さくすることによって食品40が保持されてもよいし、各一対の保持部材32の互いの間隔が食品40の第2面部40bの傾斜に応じた間隔よりもわずかに短くすることにより食品40が保持されてもよい。
【0123】
第2角度は、各対の保持部材32(当接面32a)の互いのなす角度が180度以上となることにより各食品40を開放可能な所定の角度である。ここでは180度である(
図22B参照)。これにより、例えば左ハンド部19Aによる食品40の保持動作の前で、目視又はセンサにより食品40の状態を確認することが容易になる。
【0124】
このように、本実施形態4では、左ハンド部19Aの開き角度が二値(60度と180度)であるので、複雑な制御が不要になる。
【0125】
ところで、左ハンド部19Aにより保持された4つの食品をトレイ41に収容した後、左ハンド部19は4つの食品40の保持動作を解除するとともに、左ハンド部19は直ちにトレイ41から退避するように制御されなければならない。左ハンド部19の駆動部材33は制御装置14からの制御指令(解除指令又は保持指令)に基づいて一対の保持部材32を駆動する。
【0127】
図23に示すように、トレイ41の内部で左ハンド部19Aの開き角度が90度以上開くと保持部材31はトレイ41の内壁又は隣接する食品40に衝突してしまう。以下では衝突が発生する角度(90度)を第3角度ともいう。左ハンド部19Aの開き角度は、上述の通り60度か180度かのいずれかで制御されるので、トレイ41の内部で左ハンド部19の保持動作(180度)を完全に解除すると衝突が発生してしまう。
【0128】
そこで、制御装置14は、退避動作時の左ハンド部19Aの制御指令を出力するタイミングを制御する。ここで、
図24を参照しながら、退避動作時の左ハンド部19Aの制御指令を出力するタイミングについて、説明する。
【0129】
図24は、退避動作時の左ハンド部19Aの制御指令及び角度の一例を示すタイミングチャートである。
【0130】
図24に示すように、まず、制御装置14は、左ハンド部19Aの退避動作に先立って、保持指令から解除指令に出力を切り替える。解除指令は僅かな時間(例えば0.1秒間)だけ出力する。その後の所定の期間(0.5秒)は保持指令に切り替える。つまり、各対の保持部材32の互いのなす角度が、第1角度(60度)よりも大きく、且つ、第2角度(180度)よりも小さい第3角度(90度)を超えないタイミングで解除指令から保持指令に出力を切り替える。ここでは、僅かな時間だけ保持部材32の角度が大きくなり(例えば略60度プラス10度)、保持動作が解除される。保持指令が維持されている間、保持部材32の角度は再び小さくなり、60度に戻る。その間、制御装置14は、左のアーム13の動作を制御して、左ハンド部19Aの退避動作を行う(退避指令)。左ハンド部19Aがトレイ41の高さよりも上に移動した後、再び、制御装置14は、解除信号を出力し保持動作が完全に解除される(180度)。これにより、左ハンド部19Aの退避動作が完了する。
【0131】
このように、制御装置14は、左ハンド部19Aをトレイ41の外に退避させる際に、駆動部材33への制御指令の出力タイミングを制御することにより、左ハンド部19Aの開き角度が第3角度(90度)よりも小さくなるように制御することができる。これにより、左ハンド部19Aの退避動作の間、保持部材32がトレイ41の内壁又は隣の食品40に衝突することを回避することができる。尚、ここでは第1角度は略60度としたが食品40を保持可能な所定の角度であればこれに限定されない。第2角度は180度としたが、180度以上であって食品40を開放可能な所定の角度であればこれに限定されない。また、第3角度は90度としたが、第1角度よりも大きく、且つ、第2角度よりも小さい所定の角度であれば、これに限られない。
【0132】
尚、上記実施形態1〜3では、制御装置14は、右のアーム13の動作を制御して、右ハンド部18により第2姿勢で保持された食品40を、作業台50のシート50aの位置に供給する(
図8参照)。以上の動作を繰り返すことにより、4個の食品40が作業台50のシート50aの位置に順次供給される。シート50a上の食品40の姿勢(第2姿勢)より安定にさせるために、シート50aの断面形状は次のような特徴を有する。
【0133】
図25Aは、シート50aの第2方向における断面図の一例である。
【0134】
図25Aに示すように、シート50aは、第2方向における断面視において、第2方向に設けられた複数の凸部501を有する。シート50aの材料はプラスチック等の合成樹脂が例示されるが、これに限られない。凸部501は、断面視で、第2姿勢で第2方向に並べられた4つの食品40の各々を支えるように第2方向に設けられる。本実施形態では、凸部501は5つ設けられる。5つの凸部501の間に4つの食品40が収まる。4つの食品40のうち先頭の食品40は第2方向に荷重が加わり易い。このため、先頭の食品40を支えるための凸部501は他の凸部501よりも背が高い。複数の凸部501を有することにより、シート50a上の各食品40の姿勢(第2姿勢)を安定させることができる。よって、左ハンド部19Aにより、4つの食品40を第2方向に重ねて保持し易くなる。
【0135】
図25Bは、シート50aのその他の例の断面図を示している。
【0136】
図25Bに示すように、シート50aは、第2方向における断面視において、第2方向に設けられた複数の段差502を有する。段差502は、第2姿勢で第2方向に並べられた4つの食品40の各々を支えつつ第2方向に傾斜させるように設けられる。本実施形態では、段差502は4つ設けられる。傾斜角θは第2方向に対して例えば7度である。4つの食品40は4つの段差502の上に配置されるが、各段差502が傾斜しているため、先頭の食品40は第2方向に荷重が加わる。このため、先頭の食品40を支えるための凸部501が設けられている。複数の段差502を有することにより、シート50a上の各食品40の姿勢(第2姿勢)を安定させることができる。よって、左ハンド部19Aにより、4つの食品40を第2方向に重ねて保持し易くなる。
【0137】
また、上記実施形態1〜3では、右ハンド部18は吸着ヘッド22により食品40を吸着保持する構成であったが、第1姿勢で食品40を保持できれば、その他の構成でもよい。例えばチャック装置によって食品40を保持するような構成でもよい。
【0138】
図26は、右ハンド部18Bの別の構成を示した平面図である。
【0139】
図26に示すように、右ハンド部18Bは、チャック本体(図示せず)と、チャック本体にそれぞれ離間して配置され、食品40を保持する3つのチャック部材26と、を備えている。右ハンド部18Bは、所定の位置に配置された食品40に対して、チャック部材26を食品40の中心軸Cに対して径方向外側より内側に移動させることにより(図の矢印方向)、食品40を保持するように構成されている。
【0140】
尚、上記実施形態1〜4では、左ハンド部19,19Aは、第2方向に設けられた四対の保持部材32と、四対の保持部材32の各々を独立して駆動可能な4つの駆動部材33を有し、4つの食品40の各々を保持する構成されたが、一対の保持部材により、4つの食品40を一括して保持するように構成されてもよい。この場合、一対の保持部材は、第2方向に重ねられた4つの食品40の側面を覆うように構成されてもよい。
【0141】
また、上記実施形態1〜4では、左ハンド部19,19Aは4つの食品40を一括して保持するような構成であったが、第2方向に設けられた保持部材32の数を変更することにより、2個又は3個の食品40を保持する、又は、5つ以上の食品40を保持するような構成にしてもよい。
【0142】
また、上記実施形態1〜4では、食品40は、三角の柱状体(三角おにぎり)であったが、これに限らず、円柱状体(丸いおにぎり)でもよいし、扁平な形状でもよい。
【0143】
さらに、上記実施形態1〜4では、食品40の保持装置10は、複数の食品40のトレイ41への詰め込み作業で使用されたが、複数の食品40を保持することが必要な作業であればその他の作業であってもよい。
【0144】
上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良又は他の実施形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造および/または機能の詳細を実質的に変更できる。