(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
図1は、三次元形状測定装置1の全体の構成を説明する概略図である。
図2は、三次元形状測定装置1が備える処理装置5のCPU51の機能ブロック図である。
【0011】
以下、プレス成形品である測定対象物Wの三次元形状を、三次元形状測定装置1を用いて測定する場合を例に挙げて、本発明の実施形態を説明する。
ここで、本実施形態で用いる測定対象物Wは、板状の鋼板のプレス成形により作製されたものであり、三次元的な形状を有している。
【0012】
三次元形状測定装置1は、少なくとも以下の機能を有している。
(a)厚み方向の一方の面Waと他方の面WbにアンコーデットマーカMU(位置認識用マーカ)が付された測定対象物Wの撮像画像(位置情報取得用の撮像画像)から、定盤2上の三次元空間SにおけるアンコーデットマーカMU各々の位置情報(三次元空間S内での絶対座標、他のアンコーデットマーカとの相対座標)を取得する。
(b)測定対象物Wの撮像画像(形状データ生成用の撮像画像)から、測定対象物Wの一方の面Waと他方の面Wbの表面形状データを生成する。
(c)測定対象物Wの一方の面Waと他方の面Wbの表面形状データから、測定対象物Wの三次元形状データ(ソリッドデータ)を生成する。
(d)生成した三次元形状データを用いて測定対象物Wの各部位の厚み(板厚)を算出する。
【0013】
三次元形状測定装置1は、測定対象物Wが載置される定盤2と、撮像カメラ3と、撮像ユニット4と、撮像画像の処理装置5と、を有している。
【0014】
定盤2は、上面視において矩形形状を成す板状の部材であり、この定盤2には、測定対象物Wを支持させるための支持台21が設置されている。
定盤2の上面2aには、柱状部材22とスケールバー23とが複数ずつ設けられている。本実施形態では、柱状部材22が、支持台21を囲むように設けられており、柱状部材22の外周面には、複数のコーデットマーカMC(位置特定済マーカ)が設けられている。
【0015】
コーデットマーカMCは、定盤2の上面2aや、定盤2に設置したクロスバー24、スケールバー23、支持台21にも設けられている。
ここで、スケールバー23は、軸部材231の長手方向の両端に、コーデットマーカMCが付された四角柱232を有している。
四角柱232では、軸部材231の周方向に連なる4つの面のうちの1つの面に、コーデットマーカMCが付されており、スケールバー23では、コーデットマーカMCが付された面を同じ方向に向けて、一端の四角柱232と他端の四角柱232が位置決めされている。
【0016】
実施の形態では、スケールバー23に付されたコーデットマーカMCは、ピッチ補正の際に利用される。
クロスバー24に付されたコーデットマーカMCは、三次元空間Sにおける原点のXYZ座標系の極性の決定に利用される。
【0017】
複数のコーデットマーカMCの各々は、それぞれ他のコーデットマーカMCや、アンコーデットマーカMUから識別可能な識別標識である。
例えば、コーデットマーカMCの形状の違いにより、複数のコーデットマーカMCのうちのどのコーデットマーカMCであるのかが特定できるようになっている。
なお、
図1では、コーデットマーカMCおよびアンコーデットマーカMUを簡略化して標記している。
【0018】
三次元形状測定装置1では、柱状部材22で囲まれた三次元空間S内に、支持台21が設置されている。そして、複数のコーデットマーカMCが定盤2上の三次元空間S内で三次元的に配置されるように、定盤2におけるスケールバー23の配置や、柱状部材22、スケールバー23、クロスバー24、そして定盤2の上面2aにおける、コーデットマーカMCの位置が設定されている。
【0019】
本実施形態では、定盤2を、当該定盤2に直交する基準軸X周りの周方向と定盤2の上方向のどの方向から見ても、複数のコーデットマーカMCのうちの一定数以上のコーデットマーカMCが視認可能となるように、コーデットマーカMCの位置が設定されている。
【0020】
そのため、基準軸X周りの周方向の任意の位置や、定盤2の上方向の任意の位置から、測定対象物Wを定盤2と共に撮像すると、得られる撮像画像には、一定数(好ましくは、3つ)以上のコーデットマーカMCが必ず含まれるようになっている。
【0021】
コーデットマーカMCの各々は、定盤2上の三次元空間S内における位置が固定されている。すなわち、各コーデットマーカMC各々は、定盤2上の三次元空間Sにおける絶対座標が予め設定されている。
【0022】
三次元形状測定装置1では、撮像カメラ3を用いて、複数のアンコーデットマーカMUが取り付けられた測定対象物Wを、コーデットマーカMCと共に撮像する。そして、撮像カメラ3で取得した複数の撮像画像から、定盤2上の三次元空間Sにおけるアンコーデットマーカ各々の位置情報を取得する。
【0023】
そのため、アンコーデットマーカMUは、測定対象物Wの厚み方向の一方の面Waと他方の面Wbに、それぞれ複数ずつ取り付けられている(
図4の(b)参照)。
ここで、複数のアンコーデットマーカMUの各々もまた、それぞれ他のアンコーデットマーカMUやコーデットマーカMCから識別可能となっている。
【0024】
前記したように、コーデットマーカMCの各々は、定盤2上の三次元空間Sでの全体的な位置(絶対座標)が特定されている。
そのため、複数のアンコーデットマーカMUが付された測定対象物Wを定盤2上に設置すると、コーデットマーカMCの位置から、アンコーデットマーカMU各々の三次元空間での位置(絶対座標)と、各アンコーデットマーカMUの位置関係(相対座標)を特定できるようになっている。
【0025】
処理装置5は、CPU51と、記憶部52と、入出力ポート(I/O)53と、を備えており、これらCPU51と、記憶部52と、入出力ポート53とは、バス54を介して互いに接続されている。
入出力ポート53には、表示部55と、操作入力部56と、撮像カメラ3と、撮像ユニット4とが、接続されている。
【0026】
撮像カメラ3は、撮像により得られた撮像画像をデジタルデータとして出力可能なデジタルカメラである。
【0027】
撮像ユニット4は、投光装置41と撮像装置42とを有している。
投光装置41は、測定対象物Wの三次元形状を測定する際に、測定対象物Wとその周囲に対して微少な縞模様や、格子模様を投影する。
【0028】
投光装置41は、例えば、LEDを光源として備えている。なお、測定対象物Wが金属製であり、測定対象物Wの表面が光沢を持っている場合にも縞模様を適切に投影できるようにするために、投光装置41の光源は、青色を発光するLEDであることが好ましい。
【0029】
撮像装置42は、測定対象物Wを当該測定対象物Wに投影された縞模様と共に撮像可能なカメラである。
このカメラは、例えば、撮像により得られた撮像画像をデジタルデータとして出力可能なデジタルカメラである。
【0030】
処理装置5の記憶部52は、例えばHDD(ハードディスクドライブ)やメモリなどの情報記録媒体である。
また、記憶部52には、CPU51で実施される各処理のプログラムなどが記憶されている。さらに、記憶部52には、プログラムによる処理の過程で生成されるデータが記憶される。
【0031】
操作入力部56は、例えばキーボードやマウスなどであり、処理装置5における処理の実施や、処理において必要なパラメータなどの入力などを行う際に用いられるインタフェースである。
【0032】
表示部55は、例えば液晶モニタであり、操作入力部56による指示入力を補助するための画面や、三次元形状データ(ソリッドデータ)に基づいて作成された測定対象物Wの画像Wpを表示する。
【0033】
図2に示すように、処理装置5のCPU51は、撮像画像取得手段510と、位置情報取得手段511と、表面形状データ生成手段512と、三次元形状データ生成手段513と、表面形状データ取得手段514と、厚み算出手段515と、表示制御手段516と、を有している。
【0034】
撮像画像取得手段510は、撮像カメラ3から入力される位置情報取得用の撮像画像と、撮像ユニット4の撮像装置42から入力される表面形状データ生成用の撮像画像を、記憶部52に記憶させる。
ここで、撮像カメラ3から入力される撮像画像は、測定対象物Wを複数の異なる撮像点から撮像した撮像画像である。撮像装置42から入力される撮像画像は、縞模様が投影された測定対象物Wの表面(一方の面Wa、他方の面Wb)を撮像した撮像画像である。
【0035】
位置情報取得手段511は、撮像カメラ3による撮像で得られた測定対象物Wの複数の撮像画像に対してフォトグラメトリ処理を実施する。
そして、複数の撮像画像のフォトグラメトリ処理の結果から、測定対象物Wの一方の面Waと他方の面Wbに付されたアンコーデットマーカMU各々の三次元空間Sにおける位置情報(絶対座標、相対座標)を特定する。
【0036】
表面形状データ生成手段512は、表面に縞状模様が投影された測定対象物Wの撮像により得られた撮像画像から、測定対象物Wの一方の面Waと他方の面Wbの表面形状データを生成する。
【0037】
ここで、表面形状データは、撮像装置42の撮像範囲に応じて決まる大きさで複数生成される。本実施形態では、測定対象物Wの変形のしやすさを考慮して撮像範囲が設定されている。
【0038】
表面形状データ生成用の撮像には時間がかかるので、プレス成形品である測定対象物Wには、撮像している間に僅かな変形(撓み)や位置ずれが生じてしまう。
そのため、測定対象物W全体の撮像が完了するまでの間に変形や位置ずれが蓄積すると、各撮像画像から得られる表面形状データに含まれる誤差が大きくなる。
【0039】
そのため、本実施形態では、表面形状データ生成用の撮像に要する時間内で、測定対象物Wにおける撮像範囲内に生じる変形(たわみ)や位置ずれの影響の程度が、表面形状データの生成において許容できる程度で収まる範囲を、実験などの結果を踏まえて決定して、決定した範囲を撮像範囲として設定している。
具体的には、例えば、測定対象物Wが車両用のドアパネルの場合には、撮像画像の範囲(撮像装置42による一回の撮像で得られる撮像画像の大きさ)は、例えばA4サイズの面積に設定されている。
【0040】
なお、撮像範囲は、測定対象物Wの表面積や形状に応じて、適宜設定される。
例えば、測定対象物Wの表面積が大きくなるほど、撮像範囲も狭くなって、取得される表面形状データ生成用の撮像画像の数も増加する。
【0041】
表面形状データ生成手段512は、撮像により得られた測定対象物Wの撮像画像(表面形状データ生成用の撮像画像)から、測定対象物Wの一方の面Waと他方の面Wbの表面形状データのパーツをそれぞれ生成する。
そして、表面形状データ生成手段512は、測定対象物Wの一方の面Waの表面形状データのパーツを複数繋いで、測定対象物Wの一方の面Waの表面形状データを生成する。さらに、表面形状データ生成手段512は、測定対象物Wの他方の面Wbの表面形状データのパーツを複数繋いで、測定対象物Wの他方の面Wbの表面形状データを生成する。
る。
【0042】
この際に、表面形状データ生成手段512は、表面形状データのパーツに含まれるアンコーデットマーカMUの位置情報(相対座標)を利用して、表面形状データのパーツ同士を互いに繋いで表面形状データを生成する。なお、この位置情報は、前記した位置情報取得手段511が特定した位置情報である。
【0043】
本実施形態では、三次元空間S内で互いに隣接する表面形状データのパーツは、互いに重なる領域を持って生成される。
そして、表面形状データ生成用の撮像画像の撮像範囲は、この互いに重なる領域内に、少なくとも2つ以上のアンコーデットマーカMUが共通して含まれるような範囲に設定されている。
【0044】
そのため、表面形状データ生成手段512は、互いに重なる領域内に共通して含まれるアンコーデットマーカの位置情報(相対座標)を利用して、表面形状データのパーツ同士を互いに繋ぎ合わせて、表面形状データを最終的に生成する。
【0045】
三次元形状データ生成手段513には、測定対象物Wの一方の面Waと他方の面Wbの表面形状データが、表面形状データ生成手段512から入力される。
さらに、位置情報取得手段511から、測定対象物Wの一方のWaと他方の面Wbに付されたアンコーデットマーカMUの三次元空間Sにおける位置情報(絶対座標)が入力される。
【0046】
三次元形状データ生成手段513は、測定対象物Wの一方の面Waと他方の面Wbの表面形状データの各々を、三次元空間Sにおける適正位置に配置して、測定対象物Wの三次元形状データ(ソリッドデータ)を生成する。
この適正位置への配置は、表面形状データに付されたアンコーデットマーカMUの位置が、位置情報取得手段511から入力されたアンコーデットマーカMUの位置情報で特定される位置に配置されるように、表面形状データを配置することで行われる。
【0047】
ここで、撮像ユニット4の撮像装置42が必要とする測定対象物Wの撮像時間は、撮像画像から表面形状データを生成する必要があるので、撮像カメラ3が必要とする測定対象物Wの撮像時間よりも長時間である。
そのため、プレス成形品のように成形後の板厚が薄い測定対象物Wの場合には、撮像の間に徐々に変形することがあり、変形の程度は、測定対象物Wが大きくなるほど、大きくなる傾向がある。
また、撮像環境(定盤2上の三次元空間S内の温度や湿度、そして空調のための空気の流れの有無)も、測定対象物Wの変形の程度に影響する。
【0048】
そのため、撮像装置42からの撮像画像から生成した表面形状データは、変形の影響を受けた誤差を含むデータとなる可能性が高い。
【0049】
一方、撮像カメラ3が必要とする測定対象物Wの撮像時間は、撮像装置42が必要とする測定対象物Wの撮像時間よりも短い時間である。
【0050】
ここで、位置情報取得手段511から入力されたアンコーデットマーカMUの位置情報(絶対座標)は、表面形状データ生成用の撮像を開始する前に取得された座標データである。
すなわち、この位置情報は、測定対象物Wに付されたアンコーデットマーカの位置情報(絶対座標、相対座標)であって、測定対象物Wが定盤2上に設置されてからの経過時間が短い段階での位置情報である。
そのため、この位置情報は、長時間の撮像による影響(歪み、撓み)などの影響を受けていない状態の測定対象物WにおけるアンコーデットマーカMUの位置情報である。
【0051】
そのため、三次元形状データ生成手段513は、位置情報取得手段511から入力されたアンコーデットマーカMUの位置情報を用いて、測定対象物Wの一方の面Waと他方の面Wbの表面形状データを三次元空間S内に配置する。
具体的には、一方の面Waと他方の面Wbの表面形状データに含まれるアンコーデットマーカMUの位置が、位置情報取得手段511から入力されたアンコーデットマーカMUの位置情報で特定された位置に重なるように、一方の面Waと他方の面Wbの表面形状データを三次元空間内に配置する。
【0052】
そして、三次元形状データ生成手段513は、測定対象物Wの一方の面Waの表面形状データと、測定対象物Wの他方の面Wbの表面形状データとの間の領域が、測定対象物Wの肉の部分であると見なして、一方の面Waと他方の面Wbの表面形状データを単純に繋いで、測定対象物Wの三次元形状データ(ソリッドデータ)を生成する。
この三次元形状データは、表示制御手段516と表面形状データ取得手段514とに、それぞれ出力される。
【0053】
表面形状データ取得手段514は、後記する厚み算出手段515における厚み算出のために、測定対象物Wの三次元形状データから、測定対象物Wの一方の面Waと、他方の面Wbの表面形状データを取得する。
厚み算出手段515は、測定対象物Wの一方の面Waと他方の面Wbの表面形状データを用いて、測定対象物Wの厚みを算出する。
そして、測定対象物Wの各部位の厚みを示す厚みデータを生成し、表示制御手段516に出力する。
【0054】
ここで、一方の面Waと他方の面Wbの表面形状データの取得から、測定対象物Wの厚みの算出までの処理を具体的に説明する。
【0055】
図6は、三次元形状データPから、一方の面Waの表面形状データPaと他方の面Wbの表面形状データPbを取得する過程を説明する図である。
図6の(a)は、三次元形状データPを模式的に示した斜視図であり、(b)は、(a)におけるA−A線に沿って三次元形状データPを切断した断面を模式的に示した図である。
図6の(c)は、三次元形状データPから取得した一方の面Waの表面形状データPaを模式的に示した斜視図であり、(d)は、(c)におけるB−B線に沿って表面形状データPaを切断した断面を模式的に示した図である。
図6の(e)は、三次元形状データPから取得した他方の面Wbの表面形状データPbを模式的に示した斜視図であり、(f)は、(c)におけるC−C線に沿って表面形状データPbを切断した断面を模式的に示した図である。
なお、
図6では、一方の面Waの表面形状データPaと他方の面Wbの表面形状データPbとを区別できるようにするために、他方の面Wbの表面形状データPbの角に切欠きkを付して示している。
また、
図6の(d)、(f)では、取得された表面形状データが、表面形状データPa、Pbのどちらを除去して得られたものであるのかを判り易くするために、三次元形状データPから除去した部分を破線で示している。
図7は、表面形状データを用いた厚みの算出を説明する図である。
図7の(a)は、他方の面Wbの表面形状データPbの反転を説明する図であり、(b)は、一方の面Waの表面形状データPaと、反転した他方の面Wbの表面形状データPb’を用いた厚みtの算出を説明する図である。
【0056】
図6に示すように、測定対象物Wの三次元形状データPは、測定対象物Wの一方の面Waの表面形状データPaと、測定対象物Wの他方の面Wbの表面形状データPbとの間の領域が、測定対象物Wの肉の部分であると見なして、一方の面Waの表面形状データPaと他方の面Wbの表面形状データPbを、ポリゴンデータで塞いで単純に繋いたものである。
【0057】
そして、一方の面の表面形状データPaは、測定対象物Wの一方の面Waに対向配置した撮像装置42の撮像画像(形状データ生成用の撮像画像)から生成したデータであり、他方の面Wbの表面形状データは、測定対象物Wの他方の面Wbに対向配置した撮像装置42の撮像画像(形状データ生成用の撮像画像)から生成したデータである。
そのため、一方の面Waの表面形状データPaと、他方の面Wbの表面形状データPbでは、面法線の方向が逆向きとなっている。
【0058】
本実施形態では、表面形状データ取得手段514が、測定対象物Wの三次元形状データPから、測定対象物Wの他方の面Wbの表面形状データPbを削除して、測定対象物Wの一方の面Waの表面形状データPa(
図6の(c)、(d)参照)を取得すると共に、測定対象物の三次元形状データPから、測定対象物Wの一方の面Waの表面形状データPaを削除して、測定対象物Wの他方の面Wbの表面形状データPb(
図6の(e)、(f)参照)を取得する。
【0059】
前記したように、一方の面Waの表面形状データPaと、他方の面Wbの表面形状データPbでは、面法線の方向が逆向きとなっており、一方の面Waの表面形状データPaと、他方の面Wbの表面形状データPbは、単純に比較できないデータ構成となっている。
【0060】
そのため、厚み算出手段515は、測定対象物Wの他方の面Wbの表面形状データPbを、面法線方向で反転させて、他方の面Wbの反転させた表面形状データPb’を取得する(
図7の(a)参照)。
具体的には、表面形状データを構成する各ポリゴンデータを、各々の面法線方向で反転させる。
これにより、形状が同じで面法線の方向のみが反転された表面形状データPb’が取得される。
【0061】
そうすると、一方の面Waの表面形状データPaと、他方の面Wbの反転させた表面形状データPb’は、面法線の方向が同じであり、比較可能なデータ構成となる。
そして、表面形状データPaと反転させた表面形状データPbとの面法線方向の差分が、当該部分の厚みtとなるので、三次元形状データで特定される測定対象物Wの各部位毎に、面法線方向の差分を求めることで、測定対象物Wの各部位の厚みtを求めることができる。
【0062】
図8は、測定対象物Wの三次元形状データから生成した表示用の画像Wpの表示部55での表示例を説明する図である。
【0063】
表示制御手段516(
図2参照)は、表示部55に表示させるための表示用の画像Wpを生成する。
表示制御手段516には、測定対象物Wの三次元形状データが、三次元形状データ生成手段513から入力されると共に、厚み算出手段515から、三次元形状データにより特定される測定対象物Wの各部位の厚みデータが入力される。
【0064】
表示制御手段516は、表示部55に表示させるための表示用の画像Wpを、測定対象物Wの三次元形状データから生成し、表示部55の表示画面551(
図8参照)内に表示させる。
この際に、表示制御手段516は、厚み算出手段515から入力される厚みデータに基づいて、表示させた画像に、厚みtに応じた色を重畳して表示させる。
例えば、厚みtが設計上の規定厚み(閾値の厚み)T(mm)未満である薄肉領域がある場合には、表示された画像内に含まれる薄肉領域を、他の領域から区別できるようにして表示させる(
図8参照)。
【0065】
例えば、
図7の(b)における厚みtaの部分が、規定厚みT(mm)未満である薄肉領域である場合には、この厚みtaの部分を警告色で表示し、他の領域(厚みt、tbの部分:
図7の(b)参照)を厚みに応じた異なる色で階調表示することで、薄肉領域の存在と薄肉領域の範囲、そして厚みの分布を、表示部55を見たユーザが視覚的に把握できるようにする。
図8では、薄肉領域Rを囲むように、やや薄肉の領域Yと、領域Yよりも厚肉の領域Gと、その他の領域Bとが位置している。
よって、表示部55の表示画面551内の表示用の画像Wpにおいて、例えば、薄肉領域Rを「赤色」、領域Yを「黄色」、領域Gを「緑色」、領域Bを「水色」というように表示させることで、表示画面551内の表示用の画像Wpにおいて、薄肉領域Rの部分をユーザに視覚的に把握させることができる。
【0066】
以下、プレス成形品である測定対象物Wの三次元形状を、三次元形状測定装置1を用いて測定する場合を例に挙げて、処理装置5で実行される処理を説明する。
【0067】
図3は、三次元形状測定装置1における処理を説明するフローチャートである。
図4は、撮像カメラ3を用いて測定対象物Wを撮像する場合を説明する図である。
図4の(a)は、定盤2を上方から見た状態を模式的に示した図であって、撮像カメラ3による撮像点の基準軸X周りの周方向の変位を説明する図である。
図4の(b)は、(a)におけるA−A断面を模式的に示した図であって、撮像カメラ3における撮像点の基準軸Xの軸方向の変位と撮像角度の変位を説明する図である。
図5は、撮像ユニット4を用いて測定対象物Wを撮像する場合を説明する図である。
図5の(a)は、定盤2を上方から見た状態を模式的に示した図であって、撮像ユニット4による撮像点の基準軸X周りの周方向の変位を説明する図である。
図5の(b)は、撮像ユニット4における撮像点の基準軸Xの軸方向の変位と撮像角度の変位を説明する図である。
【0068】
位置情報取得用の撮像(ステップS101)を開始するにあたり、プレス成形品である測定対象物Wの一方の面Waと他方の面Wbに複数のアンコーデットマーカMUを設けておく(
図1、
図4参照)。
【0069】
なお、測定対象物Wに設けるアンコーデットマーカMUの総数は、撮像カメラ3による撮像可能範囲に応じて決まる任意の整数である。
実施の形態では、撮像カメラ3による撮像で得られる各撮像画像に、アンコーデットマーカMUが所定枚数以上ずつ含まれるように、測定対象物WにおけるアンコーデットマーカMUを設ける間隔や、アンコーデットマーカMUの総数が決められている。
【0070】
なお、測定対象物Wの撮像は、定盤2上の支持台21に測定対象物Wを支持させた状態で実施される。測定対象物Wは、支持台21に支持された状態で、アンコーデットマーカMUが付された一方の面Waと他方の面Wbを、定盤2の上面2aに直交する軸線(基準軸X)の径方向に向けている。すなわち、プレス成形品である測定対象物Wは、定盤2上で、直立した状態で支持される(
図1、
図4参照)。
【0071】
この際に、定盤2の上面2aには、異なる形状および高さの柱状部材22、スケールバー23が、複数ずつ設けられており、柱状部材22は、支持台21を囲むように設けられている。スケールバー23は、支持台21を間に挟んだ位置関係で設けられている。
前記したように、柱状部材22、スケールバー23の外周面には、複数のコーデットマーカMCが設けられており、コーデットマーカMCは、定盤2の上面2aや、定盤2に設置したクロスバー24、支持台21にも設けられている。
【0072】
定盤2では、複数のコーデットマーカMCが三次元的に配置されており、定盤2上の三次元空間S(
図1における仮想線参照)における各コーデットマーカMCの位置情報(絶対座標)が、記憶部52の座標データ記憶領域520(
図2参照)に登録されている。
なお、各コーデットマーカMCの登録は、例えば、処理装置5が備える操作入力部56を介して実施される。
【0073】
始めに、撮像画像取得手段510が、撮像カメラ3を用いた測定対象物Wの撮像を実施する(ステップS101)。
このステップS101の撮像は、測定対象物Wに付されたアンコーデットマーカMUの位置情報を取得するための撮像(位置情報取得用の撮像)である。
【0074】
ステップS101における測定対象物Wの撮像は、
図4に示すように、例えば、(a1)基準軸Xに対する撮像カメラ3の撮像角θを固定した状態で、撮像カメラ3による撮像位置を、基準軸Xの周りの周方向に変位させながら実施する。
この撮像位置の基準軸X周りの周方向の変位は、基準軸X周りの周方向の360度の範囲で実施される。
【0075】
一方の面Waを撮像した複数枚の撮像画像を繋ぎ合わせると、繋ぎ合わせた撮像画像内に、測定対象物Wの一方の面Waの総てが含まれるようにするためである。
さらに、他方の面Wbを撮像した複数枚の撮像画像を繋ぎ合わせると、繋ぎ合わせた撮像画像内に、測定対象物Wの他方の面Wbの総てが含まれるようにするためである。
【0076】
この際に、基準軸X周りの周方向に撮像位置を変えて得られた各撮像画像において、隣接する他の撮像画像と、周方向の端部領域同士が重なるように(撮像範囲が、一部重なるように)に、撮像カメラ3による撮像範囲を設定することが好ましい。
また、この際に、隣接する撮像画像には、所定数以上のアンコーデットマーカMUが共通して含まれるように、撮像カメラ3による撮像範囲を設定することが好ましい。
【0077】
(a1)の方法による撮像が終了すると、(a2)基準軸Xに対する撮像カメラ3の撮像角θを変更したのち、前記した(a1)の方法による撮像を実施する。
そして、新たな(a1)の方法による撮像が終了すると、(a2)基準軸Xに対する撮像カメラ3の撮像角θを別の角度に替えたのち、前記した(a1)の方法による撮像を実施する。
【0078】
このように、基準軸Xに対する撮像カメラ3の角度(撮像角θ)を変更しながら、(a1)、(a2)を交互に繰り返すことで、測定対象物Wの一方の面Waと他方の面Wbの撮像画像が取得される。
なお、測定対象物Wの一方の面Waと他方の面Wbを撮像する際には、各撮像画像に、測定対象物WのアンコーデットマーカMUと、測定対象物Wの周りのコーデットマーカMCとが、所定数ずつ含まれるように、撮像カメラ3の撮像位置が決定される。
【0079】
このステップS101の撮像は、後記するステップS103において、定盤2上の三次元空間Sにおける各アンコーデットマーカMUの位置(座標)を、コーデットマーカMCの位置(絶対座標)に基づいて特定するために実施する。
そのため、ステップS101の測定対象物Wの撮像は、表面形状データ生成用の撮像(後記する、ステップS104)よりも、短い時間で完了する。
【0080】
なお、ステップS101の撮像により得られた撮像画像は、撮像した順番で処理装置5に入力されて、撮像画像取得手段510により、記憶部52に記憶される。
【0081】
ここで、ステップ101の測定対象物Wの撮像は、撮像画像取得手段510が、図示しない移動機構と傾斜機構を制御しつつ実施される。
例えば、図示しない保持機構に保持させた撮像カメラ3の位置を、撮像が終わる度に移動機構により順番に変更しつつ、必要に応じて図示しない撮像カメラ3の基準軸Xに対する傾きを傾斜機構により変更して、実施される。
なお、図示しないユーザが、撮像カメラ3による撮像位置を順番に変更しながら行ってもよい。
さらに、図示しない回転駆動機構により、定盤2を基準軸X回りに回転させながら、位置を固定された撮像カメラ3に向ける面を変更することで、測定対象物Wの撮像を行うようにしても良い。
【0082】
なお、実施の形態では、一台の撮像カメラ3を用いて撮像画像を取得する場合を例示しているが、複数台の撮像カメラ3を異なる撮像点に配置しておき、複数台の撮像カメラ3による撮像を同時に行うことで、撮像回数を少なくするようにしても良い。
【0083】
測定対象物Wの撮像(位置情報取得用の撮像)が完了すると(ステップS102、Yes)、ステップS103において、位置情報取得手段511が、入力された複数の撮像画像に対するフォトグラメトリ処理を実施して、定盤2上の三次元空間Sにおける各アンコーデットマーカMUの位置情報(絶対座標、相対座標)を取得する。
絶対座標は、三次元空間S内におけるアンコーデットマーカMUの位置を示す座標データであり、この座標データを参照することで、定盤2上の三次元空間S内におけるアンコーデットマーカMUの位置が特定できる。
【0084】
相対座標は、測定対象物Wに付されたアンコーデットマーカMUの他のアンコーデットマーカMUとの相対的な位置関係(離間距離)を示すデータである。
実施の形態では、隣接する少なくとも3点以上のアンコーデットマーカMUとの位置関係(アンコーデットマーカMU間のピッチ)が、各アンコーデットマーカの相対座標として取得される。
取得されたアンコーデットマーカMUの位置情報(絶対座標、他のアンコーデットマーカMUとの相対座標)は、座標データ記憶領域520に記憶される。
【0085】
アンコーデットマーカMUの位置情報の取得が完了すると(ステップS103)、ステップS104において、表面形状データ生成手段512が、表面形状データを取得するための測定対象物Wの撮像を、撮像ユニット4を用いて実施する。
具体的には、測定対象物Wに対して投光装置41から縞模様を投影した状態で、撮像装置42による縞模様が投影された領域の撮像(三次元形状データ取得用の撮像)を実施する。
これにより、測定対象物Wの一方の面Waと他方の面Wbについて、表面形状データの生成に必要な撮像画像が取得される。
【0086】
ステップS104における測定対象物Wの撮像は、前記したステップS101における撮像に用いた測定対象物Wを、定盤2の支持台21に支持させたままの状態で実施される。
なお、ステップS104における測定対象物Wの撮像は、前記したステップS101での撮像の際に用いていた柱状部材22、スケールバー23、クロスバー24を定盤2から取り除いた状態にて実施される。
すなわち、定盤2上に、支持台21に支持された測定対象物Wのみを配置した状態で、撮像が実施される。よって、支持台21に支持された測定対象物Wは、前記したステップS101での撮像の場合と同様に、アンコーデットマーカMUが付された一方の面Waと他方の面Wbを、定盤2の上面2aに直交する軸線(基準軸X)の径方向に向けている。すなわち、プレス成形品である測定対象物Wは、定盤2上で、直立した状態で支持されている(
図1、
図5参照)。
【0087】
実施の形態では、投光装置41による縞模様の投影範囲Raよりも、撮像装置42による撮像範囲Rbが狭くなるように設定されている。
そして、撮像装置42による撮像は、測定対象物Wの一方の面Waと他方の面Wbを複数のブロックに分けて、ブロック毎に実施されるようになっている。
【0088】
具体的には、ステップS104における測定対象物Wの撮像は、
図5に示すように、例えば、(b1)基準軸Xに対する撮像装置42の撮像角θを固定した状態で、撮像装置42による撮像位置を、基準軸X周りに変位させながら実施する。
この撮像位置の基準軸X周りの周方向の変位は、基準軸X周りの周方向の360度の範囲で実施される。
【0089】
一方の面Waを撮像した複数枚の撮像画像を繋ぎ合わせると、繋ぎ合わせた撮像画像内に、測定対象物Wの一方の面Waの総てが含まれるようにするためである。
さらに、他方の面Wbを撮像した複数枚の撮像画像を繋ぎ合わせると、繋ぎ合わせた撮像画像内に、測定対象物Wの他方の面Wbの総てが含まれるようにするためである。
【0090】
この際に、基準軸X周りの周方向に撮像位置を変えて得られた各撮像画像において、隣接する他の撮像画像と、周方向の端部領域同士が重なるように(撮像範囲が一部重なるように)、撮像装置42による撮像範囲が設定されている。
【0091】
(b1)の方法による撮像が終了すると、(b2)基準軸Xに対する撮像装置42の撮像角θを変更したのち、前記した(b1)の方法による撮像を実施する。
そして、新たな(b1)の方法による撮像が終了すると、(b2)基準軸Xに対する撮像装置42の撮像角θを別の角度に替えたのち、前記した(b1)の方法による撮像を実施する。
【0092】
このように、基準軸Xに対する撮像装置42の角度(撮像角θ)を変更しながら、(b1)、(b2)を交互に繰り返すことで、測定対象物Wの一方の面Waと他方の面Wbの撮像画像が取得される。
そして、ステップS104による測定対象物Wの撮像は、測定対象物Wの端面Wcについても実施される。
なお、測定対象物Wの一方の面Waと他方の面Wbと端面Wcを撮像する際には、各撮像画像に、測定対象物WのアンコーデットマーカMUが、所定数ずつ含まれるように、撮像ユニット4の撮像位置が決定される。
【0093】
このステップS104の撮像は、後記するステップS105において、測定対象物Wの表面形状データを得るために実施される。
そのため、ステップS104の測定対象物Wの撮像は、各アンコーデットマーカMUの位置情報を得るための撮像(前記した、ステップS101)よりも長い時間をかけて実施される。
【0094】
なお、ステップS104の撮像で得られた撮像画像もまた、撮像した順番で処理装置5に入力されて、記憶部52に記憶される。
【0095】
ここで、ステップ104の測定対象物Wの撮像は、撮像ユニット4に付設された制御機構(移動機構と傾斜機構)を制御することで、撮像ユニット4の位置を変位させながら実施される。
なお、図示しない回転駆動機構により、定盤2を基準軸X回りに回転させながら、撮像ユニット4(投光装置41、撮像装置42)に向ける面を変更することで、測定対象物Wの撮像を行うようにしても良い。
【0096】
測定対象物Wの撮像が完了すると(ステップS105、Yes)、ステップS106において表面形状データ生成手段512が、入力された複数の撮像画像から、測定対象物Wの一方の面Waと他方の面Wbの表面形状データを生成する。
具体的には、表面形状データ生成手段512は、撮像画像における縞模様の歪みなどに基づいて、測定対象物の一方のWaと他方の面Wbの表面形状データを、それぞれ生成する。
【0097】
ここで、撮像装置42における撮像範囲は、測定対象物の一方の面Waと他方の面Wbの一部の領域である。
そのため、例えば測定対象物Wの一方の面Waの表面形状データを生成する際には、一方の面Waの撮像により得られた撮像画像の各々から、撮像画像に含まれる範囲の三次元的な表面形状を示す表面形状データ(一方の面Waの表面形状データのパーツ)を生成する。
同様に、測定対象物Wの他方の面Wbの撮像により得られた撮像画像の各々から、撮像画像に含まれる範囲の三次元的な表面形状を示す表面形状データ(他方の面Wbの表面形状データのパーツ)を生成する。
【0098】
そのため、表面形状データ生成手段512は、測定対象物Wの表面形状データを生成するために、一方の面Waの表面形状データのパーツを繋いて、一方の面Wa全体の表面形状データを生成すると共に、他方の面Wbの表面形状データのパーツを繋いて、他方の面Wb全体の表面形状データを生成する。
【0099】
実施の形態では、表面形状データのパーツを繋いて表面形状データを生成する際に、位置情報取得手段511で特定したアンコーデットマーカMUの位置情報(絶対座標、相対座標)を利用する。
具体的には、表面形状データのパーツに含まれるアンコーデットマーカの位置が、位置情報取得手段511で得られたアンコーデットマーカMUの位置と重なるようにして、表面形状データのパーツを三次元空間S内に配置する。
【0100】
そして、この配置したパーツに他のパーツを繋ぎ合わせる際には、一方のパーツに含まれる所定数のアンコーデットマーカの位置関係と、他方のパーツに含まれる所定数のアンコーデットマーカの位置関係とが一致または略同じとなるようにする。
【0101】
以降、位置情報取得手段511で特定したアンコーデットマーカMUの位置情報を用いて、複数のパーツが互いに繋ぎ合わせられて、一方の面Waの表面形状データと、他方の面Wbの表面形状データがそれぞれ生成される。
【0102】
ここで、撮像ユニット4を用いて得られる表面形状データのパーツを単純に繋ぎ合わせて、測定対象物Wの一方の面Waと他方の面Wbの三次元形状データを生成する際には、以下のような課題がある。
(i)撮像ユニット4による表面形状データ生成用の撮像には時間がかかる。そのため、撮像が完了するまでの間に生じる測定対象物Wの撓みや変形、撮像環境(温度や湿度)の変動、撮像環境下での振動などの影響を受けて、表面形状データのパーツに含まれるアンコーデットマーカMUの位置にずれが生じる。
【0103】
上記したように実施の形態では、撮像ユニット4で得られた表面形状データのパーツを繋ぎ合わせる際に、位置情報取得手段511で特定したアンコーデットマーカMUの位置情報(絶対座標、相対座標:アンコーデットマーカMU間のピッチ)を利用している。
そして、利用するアンコーデットマーカMUの位置情報は、撮像ユニット4での撮像(表面形状データ生成用の撮像)に要する時間よりも短い時間で取得された複数の撮像画像から取得されたものである。
【0104】
そのため、本実施形態では、位置情報取得手段511で特定したアンコーデットマーカMUの位置関係で拘束しつつ、複数の表面形状データのパーツを繋ぎ合わせて、測定対象物Wの一方の面Waと他方の面Wbの表面形状データが生成している。
これにより、測定対象物Wの撓みや変形、撮像環境(温度や湿度)の変動や、撮像環境下での振動の影響を受けることなく、測定対象物Wの一方の面Waと他方の面Wbの表面形状データを生成できるようになっている。
すなわち、測定対象物Wの一方の面Waと他方の面Wbのより正確な表面形状データを生成できる。
【0105】
測定対象物Wの一方の面Waと他方の面Wbの表面形状データの生成(ステップS106)が完了すると、ステップS107において三次元形状データ生成手段513が、測定対象物の一方の面Waと他方の面Wbの三次元形状データから、測定対象物Wの三次元形状データ(ソリッドデータ:ポリゴンデータ)を生成する。
【0106】
具体的には、三次元形状データ生成手段513は、測定対象物Wの一方の面Waの三次元形状データと、他方の面Wbの三次元形状データとの間の領域が、測定対象物Wの肉の部分であると見なして、三次元形状データPを生成する。
【0107】
ステップS107において、表面形状データ取得手段514は、後記する厚み算出手段515における厚み算出のために、測定対象物Wの三次元形状データPから、測定対象物Wの一方の面Waと、他方の面Wbの表面形状データPa、Pbを取得する。
ステップS108において、厚み算出手段515は、測定対象物Wの一方の面Waと他方の面Wbの表面形状データPa、Pbを用いて、測定対象物Wの厚みを算出する。
【0108】
具体的には、厚み算出手段515は、測定対象物Wの他方の面Wbの表面形状データPbを、面法線方向で反転させて、他方の面Wbの反転させた表面形状データPb’を取得する(
図7の(a)参照)。
そして、厚み算出手段515は、表面形状データPaと反転させた表面形状データPb’との面法線方向の差分を測定対象物Wの各部位毎に算出して、測定対象物Wの各部位の厚みtとする。
さらに、厚み算出手段515は、測定対象物Wの各部位の厚みを示す厚みデータを生成し、表示制御手段516に出力する。
【0109】
ステップS109において、表示制御手段516は、表示部55に表示させるための表示用の画像Wpを、測定対象物Wの三次元形状データから生成し、表示部55の表示画面551内に表示させる。
【0110】
この際に、表示制御手段516は、厚み算出手段515から入力される厚みデータに基づいて、表示させた画像Wpに、厚みtに応じた色を重畳して表示させる。
例えば、厚みtが設計上の規定厚み(閾値の厚み)T(mm)未満である薄肉領域を警告色で表示し、他の領域を厚みに応じた異なる色で階調表示する。
これにより、表示部55を見たユーザに、薄肉領域の存在と薄肉領域の範囲、そして厚みの分布を視覚的に把握させることができる。
【0111】
図9は、実施の形態にかかる方法にて、表面形状データのパーツを繋いで、表面形状データを生成する場合と、従来例にかかる方法にて、表面形状データのパーツを繋いで、表面形状データを生成する場合との違いを説明する図である。
図9の(a)は、表面形状データ生成用の撮像で得られた表面形状データのみから三次元形状データを生成する従来例の場合を説明する図である。
図9の(b)は、本願発明にかかる方法にて、三次元形状データを生成する場合を説明する図である。
図10は、位置情報取得用の撮像で得られたアンコーデットマーカMUの位置情報を利用して、表面形状データのパーツDpを配置して表面形状データを生成する場合を説明する図である。
【0112】
前記したように本実施形態では、(a)位置情報取得用の撮像により得られた撮像画像のフォトグラメトリ処理により、測定対象物Wに付されたアンコーデットマーカMUの位置情報(絶対座標、相対座標)を取得する。
そして、(b)表面形状データ生成用の撮像により得られた表面形状データのパーツDpを、アンコーデットマーカMUの位置情報(絶対座標、相対座標)を利用して繋ぎ合わせることで、表面形状データを生成している。
【0113】
ここで、フォトグラメトリ処理を経て得られたアンコーデットマーカの位置情報(絶対座標、相対座標)を利用しない場合には、表面形状データのパーツDpは、当該パーツDpに含まれるアンコーデットマーカMUの位置情報のみを利用して、互いに繋がれることになる。
【0114】
ここで、表面形状データ生成用の撮像が必要とする撮像時間は、位置情報取得用の撮像が必要とする撮像時間よりも長時間である。
そのため、プレス成形品のように成形後の板厚が薄い測定対象物Wの場合には、撮像の間に徐々に変形することがあり、変形の程度は、測定対象物Wが大きくなるほど、大きくなる傾向がある。
【0115】
そのため、表面形状データ生成用の撮像の開始から完了までの間に、測定対象物Wに変形が生じると、撮像の途中で測定対象物Wの形状が変化してしまう。そのため、最初に得られた表面形状データのパーツDpが、変化前の形状を反映したものとなり、最後に得られた表面形状データのパーツDpは、変化後の形状を反映したものとなる。
【0116】
そうすると、最終的に作成される三次元形状データで特定される測定対象物Wの形状は、測定対象物Wが本来持つ形状とは異なるものとなる(
図9の(a)参照)。
そのため、フォトグラメトリ処理を経て得られたアンコーデットマーカの位置情報(絶対座標、相対座標)を利用しない場合には、生成した三次元形状の精度が低いものとなる。
よって、精度の低い三次元形状データに基づいて測定対象物の厚みを参照しても、算出される厚みの精度もまた、低いものとなる。
【0117】
本実施の形態では、測定対象物Wの表面形状データを生成する際に、表面形状データのパーツDpを複数生成する。そして、生成した複数のパーツDpを、位置情報取得用の撮像により取得した位置情報(絶対座標、相対座標)を利用して互いに繋ぎ合わせることで、一方の面Waと他方の面Wbの表面形状データを生成する。
【0118】
前記したように、位置情報取得用の撮像に必要な撮像時間は、表面形状データ生成用の撮像に必要な撮像時間よりも短い時間である。よって、位置情報取得用の撮像で得られた撮像画像から取得した位置情報(絶対座標、相対座標)は、測定対象物Wの経時的な変形の影響を受けていない精度の高い位置情報である。
【0119】
さらに、実施の形態では、表面形状データ生成用の撮像の際の撮像範囲を、表面形状データ生成用の撮像に要する撮像時間内での測定対象物Wの変形を考慮して設定している。
具体的には、表面形状データのパーツDpに含まれる変形の影響で、複数のパーツDpを繋ぎ合わせて形成した表面形状データの精度が大きく低下しないように撮像範囲Rb(
図9の(b))を設定している。
【0120】
よって、位置情報取得用の撮像で取得した撮像画像から得た位置情報を利用して、複数の表面形状データのパーツDpを三次元空間S内に配置して互いに繋ぎ合わせると、最終的に得られる表面形状データは、測定対象物Wの経時的な変形の影響を受けていないより精度の高いデータとなる(
図9の(b)参照)。
【0121】
また、
図10に示すように、実施の形態では、複数の表面形状データのパーツDpを三次元空間S内に配置して互いに繋ぎ合わせる際に、位置情報取得用の撮像で得た撮像画像から取得した位置情報(絶対座標、相対座標)を利用して、各パーツDpを配置している。
そのため、パーツDpの各々を、測定対象物の表面(
図10の場合には一方の面Wa)に略沿って配置することが可能になる(
図10:本願のパーツDp参照)。
【0122】
これに対して、位置情報取得用の撮像で得た撮像画像から取得した位置情報を利用しない場合には、パーツDpの各々は、各パーツDpに含まれるアンコーデットマーカMUの位置情報のみ利用して、互いにつなぎ合わされることになる。
しかし、各パーツDpに含まれるアンコーデットマーカMUの位置情報は、測定対象物Wの経時的な変形の影響を受けており、精度が低下した情報である。
【0123】
よって、複数のパーツDpを、各パーツに含まれるアンコーデットマーカMUの位置情報のみを利用して互いに繋ぎ合わせると、繋ぎ合わされるパーツDpの数が多くなるにつれて、誤差が大きくなる(
図10:比較のパーツDp’参照)。
【0124】
従って、本実施形態のように、測定対象物Wの表面形状データを生成する際に、表面形状データのパーツDpを複数生成し、生成した複数のパーツDpを、位置情報取得用の撮像で得た撮像画像から取得した位置情報(絶対座標、相対座標)を利用して互いに繋ぎ合わせると、より精度の高い表面形状データを得ることができる。
そうすると、より精度の高い表面形状データから生成した三次元形状データを用いて、測定対象物Wの各部位の厚みtが算出されることになるので、算出される厚みもまた、精度の高い厚みとなる。
【0125】
以上の通り、実施の形態では、
(1)プレス成形品である測定対象物Wの厚みを測定する機能を有する三次元形状測定装置1(厚み測定装置)であって、
三次元形状測定装置1の処理装置5は、
測定対象物Wの三次元形状データPから、測定対象物Wの厚み方向の一方の面Waの表面形状データPaと、他方の面Wbの表面形状データPbを取得する表面形状データ取得手段514と、
他方の面Wbの表面形状データPbを面法線方向で反転させて、一方の面Waの表面形状データPaと反転させた他方の面の表面形状データPb’との面法線方向の差分により、測定対象物Wの各部位の面法線方向の厚みtを算出する厚み算出手段515と、を有している構成とした。
【0126】
プレス成形品である測定対象物Wの三次元形状データは、測定対象物Wの表面形状データを単純に繋いだデータであり、測定対象物Wの厚みの測定に適していない。
上記のように構成して、測定対象物Wの三次元形状データPから、厚み方向の一方の面Waの表面形状データPaと、他方の面Wbの表面形状データPbを取得して、他方の面Wbの表面形状データPbを面法線方向で反転させると、一方の面Waの表面形状データPaと、反転させた他方の面Wbの表面形状データPb’の面法線の方向を揃えることができる。
これにより、一方の面Waの表面形状データPaと、反転させた他方の面Wbの表面形状データPb’との法線方向の差分を算出することが可能となり、算出した差分が、測定対象物Wの各部位の法線方向の厚みとなる。
よって、一方の面Waの表面形状データPaと、反転させた他方の面Wbの表面形状データPb’との法線方向の差分を算出することで、測定対象物Wの各部位の厚みtを算出できる。
【0127】
よって、測定対象物Wの三次元形状データを取得することができれば、取得した三次元形状データから、測定対象物Wの各部位の法線方向の厚みtを算出できる。
すなわち、特定の作成方法で作成した三次元形状データに限定されることなく、三次元形状データで特定される測定対象物の各部位の厚みを算出できる。
よって、汎用性に優れた三次元形状測定装置1となる。
【0128】
三次元形状測定装置1の処理装置5は、以下の構成を有している。
(2)三次元形状データPに基づいて、測定対象物Wの表示用の画像Wpを生成する表示制御手段516(表示用画像生成手段)、を有している。
表示制御手段516は、表示用の画像Wpを表示部55(表示手段)に表示させる際に、厚み算出手段515で算出した厚みtが、規定厚み(閾値の厚み)T(mm)未満である領域を、他の領域から識別可能に表示させる。
【0129】
このように構成すると、表示部55に表示された表示用の画像Wpを参照することで、測定対象物Wにおいてどの部位の厚みが、規定厚みT(mm)未満であるのかを視覚的に把握できる。
【0130】
さらに、以下の構成を有している。
(3)三次元形状測定装置1の処理装置5は、位置情報取得手段511と、表面形状データ生成手段512と、三次元形状データ生成手段513と、を有している。
三次元形状測定装置1の処理装置5には、一方の面Waと他方の面Wbに複数のアンコーデットマーカMU(位置認識用マーカ)が付された測定対象物Wを、異なる複数の撮像点から撮像して得られた位置情報取得用の撮像画像が入力される。
位置情報取得手段511は、入力された撮像画像のフォトグラメトリ処理により、一方の面Waと他方の面Wbに付されたアンコーデットマーカMUの各々について、測定対象物Wが配置された三次元空間S内での位置情報(絶対座標、相対座標)を取得する。
三次元形状測定装置1の処理装置5には、一方の面Waと他方の面Wbに複数のアンコーデットマーカMUが付されている測定対象物Wを、三次元形状の特定用の模様を投影しつつ撮像して得られた表面形状データ生成用の撮像画像が入力される。
表面形状データ生成手段512は、入力された表面形状データ生成用の撮像画像から、測定対象物Wの一方の面Waと他方の面Wbの表面形状データを生成する。
三次元形状データ生成手段513は、一方の面Waの表面形状データに含まれるアンコーデットマーカMUの位置と、他方の面Wbの表面形状データに含まれるアンコーデットマーカMUの位置とが、位置情報取得手段511で取得されたアンコーデットマーカMUの各々の位置にそれぞれ配置されるように、一方の面Waの表面形状データと他方の面Wbの形状データを三次元空間S内に配置して、測定対象物Wの三次元形状データPを生成する。
【0131】
位置情報取得用の撮像画像の取得に要する時間は、表面形状データ生成用の撮像画像の取得に要する時間よりも短時間である。そして、位置情報取得用の撮像により取得した位置情報(絶対座標、相対座標)は、測定対象物Wの経時的な変形の影響を受けていない位置情報である。
よって、上位機のように構成すると、生成される測定対象物Wの三次元形状データPの精度が向上する。
これにより、精度が向上した三次元形状データPから、測定対象物Wの各部位の厚みを算出すると、算出した各部位の厚みの精度が高くなる。
よって、測定対象物Wの各部位の厚みをより正確に求めることができる。
【0132】
さらに、以下の構成を有している。
(4)位置情報取得用の撮像画像は、一方の面Waと他方の面Wbに複数のアンコーデットマーカMUが付された測定対象物Wであり、この測定対象物Wを、三次元空間S内に設置した状態で撮像して得られたものである。
三次元空間S内には、当該三次元空間Sにおける位置が特定されたコーデットマーカMC(位置特定済マーカ)が複数配置されている。
位置情報取得手段511は、位置情報取得用の撮像画像に含まれるコーデットマーカMCを利用して、アンコーデットマーカMUの各々の三次元空間S内での位置情報(絶対座標、相対座標)を取得する。
【0133】
このように構成すると、三次元空間Sにおける位置が特定されたコーデットマーカMCを用いて、測定対象物Wに付された各コーデットマーカMCの三次元空間S内での位置が正確に特定できる。
よって、表面形状データを三次元空間S内に精度良く配置することができ、生成される測定対象物Wの三次元形状データを精度良く生成できる。
これにより、この三次元形状データから最終的に算出される測定対象物Wの各部位の厚みがより正確なものになる。
【0134】
さらに、以下の構成を有している。
(5)表面形状データ生成手段512は、測定対象物Wの一方の面Waと他方の面Wbの表面形状データのパーツを、表面形状データ生成用の撮像画像の撮像範囲に応じた大きさで、それぞれ複数ずつ生成する。
表面形状データ生成手段512は、一方の面Waの表面形状データのパーツに含まれるアンコーデットマーカMUの位置情報(絶対座標、相対座標)を利用して、一方の面Waの表面形状データのパーツを複数繋いで、一方の面Waの表面形状データを生成する。
表面形状データ生成手段512は、他方の面Wbの表面形状データのパーツに含まれるアンコーデットマーカMUの位置情報(絶対座標、相対座標)を利用して、他方の面Ebの表面形状データのパーツを複数繋いで、他方の面Wbの表面形状データを生成する。
表面形状データのパーツを繋ぎ合わせる際には、最初のパーツの三次元空間Sでの位置を、パーツに含まれるアンコーデットマーカMUの位置情報(絶対座標)に基づいて配置する。
他のパーツは、パーツに含まれるアンコーデットマーカMUの位置情報(相対座標)を利用して、互いに繋がれる。
【0135】
このように構成すると、複数のパーツを三次元空間内に適切に配置しつつ、複数のパーツを繋いで表面形状データを生成できる。
特に、三次元空間Sを規定する柱状部材22は、定盤2上に載置される構成とした。
そのため、定盤2における柱状部材22の位置を変更することで、三次元空間Sの範囲を、測定対象物Wの大きさに合わせて変更できる。さらに、長さの異なる柱状部材22を複数用意しておくことで、三次元空間Sの高さ方向の範囲も、測定対象物Wの高さに応じて変更できる。
【0136】
よって、測定対象物Wの大きさに合わせて定盤2上の三次元空間Sを変更することで、測定対象物Wの撮像画像を取得できるので、測定対象物Wの各部位の厚みを適切に算出できる。
また、測定対象物Wの三次元形状データの生成と、生成した三次元形状データを用いた測定対象物Wの各部位の厚みtの算出に、従来例のような基準部材を必要としない。
よって、基準部材よりも大きな測定対象物Wであっても、三次元形状データの生成と、生成した三次元形状データを用いた測定対象物Wの各部位の厚みtの算出を行うことができる。これにより、厚みの算出対象となる測定対象物Wの大きさの限界が緩和される。
【0137】
さらに、以下の構成を有している。
(6)表面形状データのパーツと、当該表面形状データのパーツに三次元空間S内で隣接する他の表面形状データのパーツは、互いに重なる領域を持って生成される。
表面形状データ生成手段512は、互いに重なる領域内に含まれるアンコーデットマーカMUの位置情報(相対座標)を利用して、表面形状データのパーツと他の表面形状データのパーツとを繋ぎ合わせる。
【0138】
このように構成すると、隣接するパーツ同士を適切な位置関係で繋ぎ合わせて表面形状データを生成でき、精度の高い表面形状データを得ることができる。
【0139】
さらに、以下の構成を有している。
(7)撮像装置42による撮像範囲の大きさは、表面形状データ生成用の撮像画像の取得のために、測定対象物Wの全領域の撮像に要する時間内での変位量が、所定の閾値未満となるように設定されている。
【0140】
このように構成すると、撮像範囲を適切に設定することで、表面形状データ生成用の撮像に要する時間内で、測定対象物Wにおける撮像範囲内に生じる変形(たわみ)や位置ずれが、表面形状データのパーツの精度に及ぼす影響を、許容できる程度に納めることが可能になる。
【0141】
なお、本願発明は、測定対象物W(プレス成形品)の三次元形状データから、測定対象物Wの厚みを算出できる厚み測定プログラムとしても実現可能である。
すなわち、
(8)処理装置5(コンピュータ)を、
測定対象物Wの三次元形状データPから、測定対象物Wの厚み方向の一方の面Waの表面形状データPaと、他方の面Wbの表面形状データPbを取得する表面形状データ取得手段514と、
他方の面Wbの表面形状データPbを面法線方向で反転させて、一方の面Waの表面形状データPaと反転させた他方の面の表面形状データPb’との面法線方向の差分により、測定対象物Wの各部位の面法線方向の厚みtを算出する厚み算出手段515と、として機能させる厚み測定プログラムである。
【0142】
(9)さらに、厚み測定プログラムは、
処理装置5(コンピュータ)を、
三次元形状測定装置1の処理装置5は、三次元形状データPに基づいて、測定対象物Wの表示用の画像Wpを生成する表示制御手段516(表示用画像生成手段)として機能させる。
表示制御手段516は、表示用の画像Wpを表示部55(表示手段)に表示させる際に、厚み算出手段515で算出した厚みtが、規定厚み(閾値の厚み)T(mm)未満である領域を、他の領域から識別可能に表示させる。
【0143】
(10)さらに、厚み測定プログラムは、
処理装置5(コンピュータ)を、位置情報取得手段511、表面形状データ生成手段512、三次元形状データ生成手段513、として機能させる。
を有している。
三次元形状測定装置1の処理装置5には、一方の面Waと他方の面Wbに複数のアンコーデットマーカMU(位置認識用マーカ)が付された測定対象物Wを、異なる複数の撮像点から撮像して得られた位置情報取得用の撮像画像が入力される。
位置情報取得手段511は、入力された撮像画像のフォトグラメトリ処理により、一方の面Waと他方の面Wbに付されたアンコーデットマーカMUの各々について、測定対象物Wが配置された三次元空間S内での位置情報(絶対座標、相対座標)を取得する。
三次元形状測定装置1の処理装置5には、一方の面Waと他方の面Wbに複数のアンコーデットマーカMUが付されている測定対象物Wを、三次元形状の特定用の模様を投影しつつ撮像して得られた表面形状データ生成用の撮像画像が入力される。
表面形状データ生成手段512は、入力された表面形状データ生成用の撮像画像から、測定対象物Wの一方の面Waと他方の面Wbの表面形状データを生成する。
三次元形状データ生成手段513は、一方の面Waの表面形状データに含まれるアンコーデットマーカMUの位置と、他方の面Wbの表面形状データに含まれるアンコーデットマーカMUの位置とが、位置情報取得手段511で取得されたアンコーデットマーカMUの各々の位置にそれぞれ配置されるように、一方の面Waの表面形状データと他方の面Wbの形状データを三次元空間S内に配置して、測定対象物Wの三次元形状データPを生成する。
【0144】
さらに、厚み測定プログラムは、以下の構成を有している。
(11)位置情報取得用の撮像画像は、一方の面Waと他方の面Wbに複数のアンコーデットマーカMUが付された測定対象物Wであり、この測定対象物Wを、三次元空間S内に設置した状態で撮像して得られたものである。
三次元空間S内には、当該三次元空間Sにおける位置が特定されたコーデットマーカMC(位置特定済マーカ)が複数配置されている。
位置情報取得手段511は、位置情報取得用の撮像画像に含まれるコーデットマーカMCを利用して、アンコーデットマーカMUの各々の三次元空間S内での位置情報(絶対座標、相対座標)を取得する。
【0145】
さらに、厚み測定プログラムは、以下の構成を有している。
(12)表面形状データ生成手段512は、測定対象物Wの一方の面Waと他方の面Wbの表面形状データのパーツを、表面形状データ生成用の撮像画像の撮像範囲に応じた大きさで、それぞれ複数ずつ生成する。
表面形状データ生成手段512は、一方の面Waの表面形状データのパーツに含まれるアンコーデットマーカMUの位置情報(絶対座標、相対座標)を利用して、一方の面Waの表面形状データのパーツを複数繋いで、一方の面Waの表面形状データを生成する。
表面形状データ生成手段512は、他方の面Wbの表面形状データのパーツに含まれるアンコーデットマーカMUの位置情報(絶対座標、相対座標)を利用して、他方の面Ebの表面形状データのパーツを複数繋いで、他方の面Wbの表面形状データを生成する。
【0146】
さらに、厚み測定プログラムは、以下の構成を有している。
(13)表面形状データのパーツと、当該表面形状データのパーツに三次元空間S内で隣接する他の表面形状データのパーツは、互いに重なる領域を持って生成される。
表面形状データ生成用の撮像画像の撮像範囲は、互いに重なる領域内に少なくとも2つ以上のアンコーデットマーカMUが含まれる範囲に設定されている。
表面形状データ生成手段512は、互いに重なる領域内に含まれるアンコーデットマーカMUの位置情報(相対座標)を利用して、表面形状データのパーツと他の表面形状データのパーツとを繋ぎ合わせる。
【0147】
さらに、厚み測定プログラムは、以下の構成を有している。
(14)撮像装置42による撮像範囲の大きさは、表面形状データ生成用の撮像画像の取得のために、測定対象物Wの全領域の撮像に要する時間内での変位量が、所定の閾値未満となるように設定されている。
【0148】
前記した実施の形態では、位置情報取得用の撮像と、表面形状データ生成用の撮像を、測定対象物Wを定盤2に設置した状態で行う場合を例に挙げて説明をしたが、定盤2を用いずに、位置情報取得用の撮像と、表面形状データ生成用の撮像をを行うようにしても良い。
【0149】
前記した実施の形態では、測定対象物Wの厚みtを算出する際に、他方の面Wbの表面形状データPbを法線方向で反転させる場合を例示したが、一方の面Waの表面形状データPaのほうを反転させるようにしても良い。
この場合には、反転させた一方の面Waの表面形状データPa'と、他方の面Wbの表面形状データPbとの差分により、測定対象物Wの各部位の厚みtを算出することができる。
【0150】
前記した実施の形態では、以下の過程を経て、厚みを算出する場合を例示した
(i)表面形状データ生成手段512が、一方の面Waの表面形状データと、他方の面Wbの表面形状データとを生成する。
(ii)三次元形状データ生成手段が、一方の面Waの表面形状データと、他方の面Wbの表面形状データとから、測定対象物Wの三次元形状データPを生成する。
(iii)表面形状データ取得手段514が、測定対象物Wの三次元形状データPから、一方の面Waの表面形状データPaと、他方の面Wbの表面形状データPbとを取得する。
(iv)厚み算出手段515が、一方の面Waの表面形状データPaと、他方の面Wbの表面形状データPbとから、測定対象物Wの各部位の厚みを算出する。
【0151】
ここで、表面形状データ生成用の撮像により得られた撮像画像から、測定対象物Wの一方の面Waの表面形状データPaと、他方の面Wbの表面形状データPbを、それぞれ独立して直接生成できる場合も想定される。
この場合には、三次元形状データPを経ずに、厚みを算出するようにしても良い
具体的には、三次元形状データ生成用の撮像により得られた撮像画像から、一方の面Waの表面形状データPaと、他方の面Wbの表面形状データPbを直接生成し、これら表面形状データPa、Pbから、厚み算出手段515が、測定対象物Wの各部位の厚みを算出する。
【0152】
本願発明は、上記した実施形態の態様にのみ限定されるものではない。発明の技術的な思想の範囲内で、適宜変更、修正などが可能である。