(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6561091
(24)【登録日】2019年7月26日
(45)【発行日】2019年8月14日
(54)【発明の名称】ヒートポンプユニット
(51)【国際特許分類】
A01G 9/24 20060101AFI20190805BHJP
【FI】
A01G9/24 M
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-108951(P2017-108951)
(22)【出願日】2017年6月1日
【基礎とした実用新案登録】実用新案登録第3194546号
【原出願日】2014年9月17日
(65)【公開番号】特開2017-143839(P2017-143839A)
(43)【公開日】2017年8月24日
【審査請求日】2017年9月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】591178551
【氏名又は名称】菱名工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100083068
【弁理士】
【氏名又は名称】竹中 一宣
(74)【代理人】
【識別番号】100165489
【弁理士】
【氏名又は名称】榊原 靖
(74)【代理人】
【識別番号】100174388
【弁理士】
【氏名又は名称】龍竹 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100157668
【弁理士】
【氏名又は名称】増田 良範
(72)【発明者】
【氏名】堀 恒久
【審査官】
川野 汐音
(56)【参考文献】
【文献】
特開2003−333937(JP,A)
【文献】
特開2010−017093(JP,A)
【文献】
特開2008−157564(JP,A)
【文献】
実開昭63−143141(JP,U)
【文献】
特開2012−047433(JP,A)
【文献】
特開平09−137616(JP,A)
【文献】
特開平05−079123(JP,A)
【文献】
実開昭59−127594(JP,U)
【文献】
実開昭63−043017(JP,U)
【文献】
特開2011−188785(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 9/14− 9/26
F25B 19/00−30/26
F24F 1/00− 1/68
F24F 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビニールが躯体に張装されるハウスの妻面又は前記妻面に対して左右の側面の壁部に設置されるヒートポンプユニットであって、
前記ハウスの前記壁部の内側に設けられる室内機と、
前記ハウスの前記壁部の外側に設けられ、前記室内機の背面に対向する背面を有する室外機と、
前記室内機と前記室外機とが載置されることで前記室内機と前記室外機とが一体的に組付けられ、前記ハウスの前記壁部の下方に配置される架台と、
前記ヒートポンプユニットから引き出されているケーブルの先端に設けられている、防水製でなる電源プラグと、
前記壁部を構成する前記ビニールが接着又は捲装により取り付けられていると共に、前記壁部を構成する前記ビニールが前記室内機と前記室外機との間に配置されるように前記架台に設けられている、鉄パイプでなる取付部材と、
を備える、ヒートポンプユニット。
【請求項2】
前記妻面又は前記側面には、前記ハウスの外側に突出する凸壁部が形成され、
前記凸壁部には、前記室内機がセットされている、請求項1に記載のヒートポンプユニット。
【請求項3】
前記妻面又は前記側面には、前記ハウスの内側に凹む凹壁部が形成され、
前記凹壁部には、前記室外機がセットされている、請求項1に記載のヒートポンプユニット。
【請求項4】
前記架台は、
少なくとも、二本のチャンネル鋼材を長手方向に配されている下部部材と、
前記下部部材に差し渡された、少なくとも、四本のチャンネル鋼材を短手方向に配されている上部部材と、
を有し、
前記室内機及び前記室外機は、前記上部部材に取り付けられている、請求項1から3のいずれか一項に記載のヒートポンプユニット。
【請求項5】
前記下部部材は、長手方向に長短自在に構成されている、請求項4に記載のヒートポンプユニット。
【請求項6】
前記上部部材は、短手方向に長短自在に構成されている、請求項4又は5に記載のヒートポンプユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハウスのどこでも使用が可能なヒートポンプユニット(ヒートポンプ)に関する。
【背景技術】
【0002】
近時、地球環境の維持(地球の生態系の維持)と、又は石油燃料の高騰を背景として、この種のヒートポンプを始めとして、暖房機、地中熱、他の熱源を選択的に使用して、燃料の効率化、かつCO
2削減(CO
2の発生抑制)を図る構成としたハウス内の暖房装置がある。この中で、使用が簡便で、効率的に暖房ができること、又は前述した地球環境維持と、CO
2削減に有益であること等の面から、ヒートポンプが重宝されている。
また、近時、要望されつつあるのが、ヒートポンプを、簡易に移動できること、又は設置と場所を変更することが容易であること、等に関することである。所謂、使い勝手が良い構造である。
【0003】
この要望に応え得る構造を、先行文献を参考として検討すると、次のような発明がある。
【0004】
発明1(文献1)は、特開2011−188785号公報に記載の構造であって、その要旨は、共通架台(18)に室外ユニット(2)と、室内ユニット(1)を一体型に設けた構成であり、ハウスの適所に移動可能な構造である。但し、室内外ユニット(1)、(2)を、ハウス(20)の壁面の外側に配備し、室内ユニット(1)の開口とハウス(20)の壁の開口とをダクト(16)で繋ぐ構成(
図11の例)である。
【0005】
発明2(文献2)は、特開2003−333937号公報に記載の構造であって、ハウスより小型の育成室(2)に、支持台(3)を配備し、支持台3に室内外機(11A)、(11B)「空調機(11)」を設け、この室内外機(11A)、(11B)の間に、シート(4)を設けることで、室内機(11A)を、育成室(2)内に、室外機(11B)を、育成室(2)外に、それぞれ設ける構成である。この空調機(11)は、ヒートポンプとは異なり、通常、云われている空調機である。支持台(3)の移動はない(
図1の例)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011−188785号公報
【特許文献2】特開2003−333937号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記文献(1)は、ハウスの適所に移動可能としても、室内外ユニット(1)、(2)は、ハウス外に設置される構造であり、ダクト(16)で繋ぐ必要があり、手間を要すること、室内機が剥き出し式であり、雨水対策を要し、面倒であり、かつ故障の原因となること、等の改良の余地がある。
【0008】
また、文献(2)は、ハウスに採用するには、構造上で問題があり、かつ実質的に育成室という限定された使用である。また、空調機も、ヒートポンプとは異なることは明白である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記に鑑み、本発明は、ヒートポンプを、簡易に移動できること、又は設置と場所を変更することが容易であること、等に関する。所謂、使い勝手が良い構造である。即ち、「どこでもヒーポンユニット」をトラクターで移動し、その後、電源を繋ぐだけで、どこでもヒートポンプの使用が可能な構造を提案する
。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るヒートポンプユニットは、
ビニールが躯体に張装されるハウスの妻面又は
前記妻面に対して左右の側面の壁部に設置されるヒートポンプユニットであって、
前記ハウスの前記壁部の内側に設けられる室内機と、
前記ハウスの前記壁部の外側に設けられ、前記室内機の背面に対向する背面を有する室外機と、
前記室内機と前記室外機とが載置されることで前記室内機と前記室外機とが一体的に組付けられ、前記ハウスの前記壁部の下方に配置される架台と、
前記ヒートポンプユニットから引き出されているケーブルの先端に設けられている、防水製でなる電源プラグと、
前記壁部を構成する前記ビニールが接着又は捲装により取り付けられていると共に、前記壁部を構成する前記ビニールが前記室内機と前記室外機との間に配置されるように前記架台に設けられている、鉄パイプでなる取付部材と、
を備える。
本発明に係るヒートポンプユニットは、ヒートポンプを、簡易に移動できること、又は設置と場所を変更することが容易であること、等の特徴がある。従って、ヒートポンプは、使い勝手が良い構造である。さらに、「どこでもヒーポンユニット」をトラクターで移動し、その後、電源を繋ぐだけで、どこでもヒートポンプの使用が可能な構造であり、有益性を有する。
【0011】
本発明に係るヒートポンプユニットは、どこでもヒートポンプの使用が可能な構造であり、有益性を有すること、並びにこの特徴と有益性を確保するために、最適な室内外機とビニールとの連携構造を提案できる。
【0012】
前記妻面
又は前記側面に
は、前記ハウスの外側に突出する凸壁部
が形成
され、
前記凸壁部に
は、前記室内機
がセット
されていてもよい。
この場合、どこでもヒートポンプの使用が可能な構造であり、有益性を有すること、並びにこの特徴と有益性を確保するために、最適な妻面に、凸壁部の形成を提案できる。
【0013】
前記妻面
又は前記側面に
は、前記ハウスの内側に凹む凹壁部
が形成
され、
前記凹壁部に
は、前記室外機
がセット
されていてもよい。
この場合、どこでもヒートポンプの使用が可能な構造であり、有益性を有すること、並びにこの特徴と有益性を確保するために、最適な妻面に、凹壁部の形成を提案できる。
【0014】
前記架台は
、
少なくとも、二本のチャンネル鋼材を長手方向に配
されている下部部材と
、
前記下部部材に差
し渡
された、少なくとも、四本のチャンネル鋼材を短手方向に配
されている上部部材と
、
を有し
、
前記室内機及び前記室外機は、前記上部部材
に取り付け
られていてもよい。
この場合、どこでもヒートポンプの使用が可能な構造であり、有益性を有すること、並びにこの特徴と有益性を確保するために、最適な架台の構造を提案できる。
【0015】
前記下部部材
は、長手方向に長短自在
に構成されていてもよい。
この場合、どこでもヒートポンプの使用が可能な構造であり、有益性を有すること、並びにこの特徴と有益性を確保するために、最適な架台の構造を提案できる。
【0016】
前記上部部材
は、短手方向に長短自在
に構成されていてもよい。
この場合、どこでもヒートポンプの使用が可能な構造であり、有益性を有すること、並びにこの特徴と有益性を確保するために、最適な架台の構造を提案できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明のヒートポンプユニットの一例を示した側面模式図
【
図2】本発明のヒートポンプユニットの一例を示した平面模式図
【
図3】本発明のヒートポンプユニットの室外機を、架台の一方側に取付ける状態を示した正面(ハウス外より視た)模式図
【
図4】本発明のヒートポンプユニットの室内機を、架台の他方側に取付ける状態を示した正面(ハウス内より視た)模式図
【
図5】本発明のヒートポンプユニットの架台の一例を示した側面模式図
【
図6】本発明のヒートポンプユニットの架台の一例を示した平面模式図
【
図7-1】本発明の架台の下部部材が、長短する一例を示した平面模式図
【
図7-2】本発明の架台の上部部材が、長短する一例を示した平面模式図
【
図8】本発明の設置例1を示したハウスの側面模式図
【
図9】本発明の設置例1を示したハウスの平面模式図
【
図10】本発明の設置例2を示したハウスの側面模式図
【
図11】本発明の設置例2を示したハウスの平面模式図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の各実施例を説明する。各実施例は、好ましい、一例であり、以下の説明に限定されない。
【0019】
図1〜
図6に示したヒートポンプユニットAは、後述する構成でなる架台1と、架台1の長手方向1aの一方側1−1(ハウスB内に収まる側)の上部部材101に、着脱自在に取付けた室内機2と、この架台1の長手方向1aの他方側1−2(ハウスB外に設けられる側)の上部部材101に、着脱自在に取付けた室外機3と、で構成される。
【0020】
架台1は、少なくとも、二本のチャンネル鋼材を長手方向1aに配した下部部材100と、下部部材100に差渡した、少なくとも、四本のチャンネル鋼材を短手方向1bに配した上部部材101とで構成する。尚、一例であるが、下部部材100の長手方向1aの寸法は、一例では、1600mm程度とする。また、上部部材101の短手方向1bの寸法は、一例では、900mm程度とする。この一例では、下部部材100と上部部材101は、溶接で固定するが、組付け方式、螺子留め方式、或いは嵌合方式でも可能である。
【0021】
この架台1の一方側1−1の第1上部部材101には、室内機2の下端の脚板200(支持ブラケット)を螺子5留めで取付ける。また、架台1の他方側1−2の第1上部部材101には、室外機3の下端の脚板300(支持ブラケット)を螺子5留めで取付ける。
【0022】
図3と
図4は、架台1の一方側1−1の上部部材101に室内機2を取付け、架台1の他方側1−2の上部部材101に室外機3を取付けた、各一例であり、好ましいヒートポンプユニットAの取付け方を示している。
【0023】
また、
図7−1、
図7−2に示した、下部部材100と上部部材101とは、それぞれ長短自在(長さを変更できる)構造であり、例えば、下部部材100(上部部材101)を、対とし(複数も可能)、第1下部部材100と第2下部部材100とし、この第1下部部材100と第2下部部材100とを、長孔100a構造と止具100bとにより、長手方向1aにおいて、長短可能とする。これにより、室内機2、及び/又は、室外機3の位置を、長手方向1aにおいて変更できる。また、上部部材101に設けた、対の(複数も可能)、第1上部部材101と第2上部部材101とし、第1上部部材101と第2上部部材101との端部において、長孔101a構造と止具101bとにより、短手方向1bにおいて、長短可能とする。これにより、室内機2、及び/又は、室外機3の位置を、短手方向1bにおいて変更できる。以上の構造を利用することで、それぞれのハウスBの態様に沿って、本発明のヒートポンプユニットAの設置が可能となる。
【0024】
前述した架台1に室内外機2、3を取付けたヒートポンプユニットAを、ハウスBに設置するのに好ましい、設置例1、2を以下に説明する。
図8と
図9に示した設置例1の構成は、ハウスBの妻面B100に、妻面B100に跨るように架台ヒートポンプユニットAを設置する一例であり、ハウスBの妻面B100に、凸壁部B100aを形成し、凸壁部B100aで、かつハウスB内側に、架台1の一方側1−1に取付けた室内機2を設置し、またハウスBの妻面B100で、かつ凸壁部B100aの外側に、架台1の他方側1−2に取付けた室外機3を設置した構造であり、ビニールCの下端を、架台1の室内機2と室外機3で形成される隙間Hに設けた取付部材(架台1の短手方向1bに設けた、例えば、パイプ6)に、接着、又は捲装等を利用して取付け、かつ妻面B100が地面、及び地面等と密着状態とする。従って、本発明は、ダクトレスである。その後、図示しないが、冷媒配管工事と防水型電源プラグを取付けて完了する。これにより、電源を繋ぐだけで、どこでもヒートポンプ使用が可能な構造である。また、本発明は、架台1の下部部材100、及び/又は、上部部材101が長短自在であり、汎用性があり、かつ室内外機2、3の設置位置を変更でき、温度管理とか、設置の自由度、又は外気状況対応等に有益であり、重宝する。
【0025】
図10と
図11に示した設置例2の構成は、ハウスBの妻面B100に、妻面B100に跨るようにヒートポンプユニットAを設置する他の一例であり、ハウスBの妻面B100に、凹壁部B100bを形成し、凹壁部B100bで、かつハウスB内側に、架台1の一方側1−1に取付けた室内機2を設置し、またハウスBの妻面B100の凹壁部B100bで、かつハウスBの外側に、架台1の他方側1−2に取付けた室外機3を設置した構造であり、ビニールCの下端を、架台1の室内機2と室外機3で形成される隙間Hに設けた取付部材(架台1の短手方向1bに設けた、例えば、パイプ6)に、接着、又は捲装等を利用して取付け、かつ妻面B100のビニールCが地面、及び地面等と密着状態とする。従って、本発明は、ダクトレスである。その他は、設置例1に準ずる。
【0026】
以上で説明した、ヒートポンプユニットAの構造と、その特徴、又は架台1の構造と、その特徴等の説明等は、好ましい一例を示したものである。従って、前述の条件に、何ら、拘泥される理由はなく、例えば、同様な効果と特徴を発揮できる、他の実施例や、その他の構造・手段は、本発明の範疇である。
【符号の説明】
【0027】
1 架台
100 下部部材
100a 長孔
100b 止具
101 上部部材
101a 長孔
101b 止具
1a 長手方向
1b 短手方向
1−1 一方側
1−2 他方側
2 室内機
200 脚板
3 室外機
300 脚板
5 螺子
6 パイプ
A ヒートポンプユニット
B ハウス
B100 妻面
B100a 凸壁部
B100b 凹壁部
C ビニール
H 隙間