(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記特許文献1に開示されている方法によりマスクブランクの欠陥位置の検査精度を上げることは理論的には可能である。しかし、マークの大きさが球相当直径で30〜100nmと小さいため、例えば、通常使用されている欠陥検査装置等では検出し難く、また検出の再現性が悪いという問題があり、欠陥の位置を特定するための基準位置の決定が困難である。特許文献1には、上記マークの周囲に、該マークを識別するための補助マークを形成することが開示されているが、この補助マークを用いて上記マークが形成されている位置を大まかに特定することができたとしても、検出精度の極めて高い特別な検査装置を用いないと上記マーク自体の存在を容易に認識できないため、正確な基準点の特定が困難である。
また最近では、マスクブランクの欠陥データとデバイスパターンデータとを元に、欠陥が存在している箇所に吸収体パターンが形成されるように描画データを補正して、欠陥を軽減させる試み(Defect mitigation technology)が提案されている。上述の技術を実現するためには、多層反射膜上に吸収体膜が形成され、さらに吸収体パターンを形成するためのレジスト膜が形成されたレジスト膜付きマスクブランクの状態で、電子線描画機においても電子線で基準マークを検出し、検出した基準点に基づいて、補正・修正した描画データを元に電子線描画が行われるが、基準マークについても、電子線走査に対して一定のコントラストが必要で、上記特許文献1に開示されている大きさのマークでは、電子線走査に対するコントラストが十分に得られないという問題がある。
【0010】
マスクブランク用基板等に基準マークを形成し、この基準マークと欠陥の相対位置を高い精度で管理(座標管理)するためには、基準マークが検出し易く、換言すれば確実に検出することができ、しかも基準マークを元にした欠陥検出位置のばらつきが小さい(例えば、上述のDefect mitigation technologyを実現するには、基準マークを基準点にした時の欠陥検出位置のばらつきを100nm以下にする)ことが要求されるが、上記特許文献1等で開示されている従来技術では、このような要求を満たすのには未だ不十分である。
【0011】
そこで本発明は、このような従来の問題に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、第一に、欠陥の座標管理を高精度で行うための基準マークを形成した多層反射膜付き基板、反射型マスクブランク及びマスクブランクを提供することであり、第二に、これらマスクブランク等を使用し、欠陥を低減させた反射型マスク及びマスクを提供することであり、第三に、エッジ基準で基準マークを形成したり、或いは基準マークの形成後、座標計測器で基準マーク形成位置を特定した多層反射膜付き基板、反射型マスクブランク及びマスクブランクと、これらの基準マークの形成位置情報とを対応付けした多層反射膜付き基板、反射型マスクブランク及びマスクブランクの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者は、上記課題を解決するため、特に基準マークの大きさと形状に着目し、鋭意検討した結果、形状が点対称の形状であって、大きさが特定範囲のメインマークと、該メインマークの周囲に配置された補助マークとから構成される基準マークを形成することにより、装置に関わらず、電子線描画機、光学式の欠陥検査装置のいずれでも基準マークを確実に検出でき、しかも電子線、欠陥検査光の走査によって決定される欠陥位置の基準点のずれを小さくすることができるので、基準マークを元に検査した欠陥検出位置のばらつきを100nm以下に抑えることが可能であることを見出した。また、エッジ基準で基準マークを形成したり、基準マークを任意の位置に形成後、座標計測器で基準マーク形成位置を特定することにより、基準マークのサイズをより小さくすることが可能であり、その場合、基準マークをメインマークのみとすることが可能であることも見出した。
【0013】
本発明者は、以上の解明事実に基づき、さらに鋭意研究を続けた結果、本発明を完成したものである。
すなわち、上記課題を解決するため、本発明は以下の構成を有する。
(構成1)
基板上にEUV光を反射する多層反射膜が形成されている多層反射膜付き基板であって、該多層反射膜付き基板に、欠陥情報における欠陥位置の基準となる基準マークが形成されており、前記基準マークは、前記欠陥位置の基準点を決定するためのメインマークを有し、前記メインマークは、点対称の形状であって、且つ、電子線又は欠陥検査光の走査方向に対して200nm以上10μm以下の幅の部分を有することを特徴とする多層反射膜付き基板。
【0014】
構成1にあるように、本発明に係る多層反射膜付き基板は、欠陥情報における欠陥位置の基準となる基準マークが形成されており、この基準マークは、前記欠陥位置の基準点を決定するためのメインマークを有している。そして、このメインマークは、点対称の形状であって、且つ、電子線又は欠陥検査光の走査方向に対して200nm以上10μm以下の幅の部分を有するものとなっている。このように構成された基準マークは、電子線描画機、光学式あるいはEUV光、電子線の欠陥検査装置のいずれでも容易に検出でき、言い換えれば確実に検出することができる。しかも、点対称の形状をしているので、電子線、欠陥検査光の走査によって決定される基準点のずれを小さくすることができる。また、エッジ基準で基準マークを形成したり、基準マークを任意の位置に形成後、座標計測器で基準マーク形成位置を特定することにより、基準マークのサイズをより小さくすることが可能であり、その場合、基準マークをメインマークのみとすることが可能である。このように基準マークのサイズを小さくできると、基準マークの形成手段として例えばFIB(集束イオンビーム)を使用した場合、加工時間が短縮でき、また基準マークの検出時間についても短縮できる。従って、基準マークを元に検査した欠陥検出位置のばらつきが小さい。また、これによって、欠陥検査においては、欠陥位置の基準点を決定し、欠陥位置(基準点と欠陥の相対位置)情報を含む精度の良い欠陥情報(欠陥マップ)を取得することができる。さらに、マスクの製造においては、この欠陥情報に基づいて、予め設計しておいた描画データ(マスクパターンデータ)と照合し、欠陥による影響が低減するように描画データを高い精度で修正(補正)することが可能になり、その結果として、最終的に製造される反射型マスクにおいて欠陥を低減させることができる。
【0015】
(構成2)
基板上にEUV光を反射する多層反射膜が形成されている多層反射膜付き基板であって、該多層反射膜付き基板に、欠陥情報における欠陥位置の基準となる基準マークが形成されており、前記基準マークは、前記欠陥位置の基準点を決定するためのメインマークと、該メインマークの周囲に配置された補助マークとから構成され、前記メインマークは、点対称の形状であって、且つ、電子線又は欠陥検査光の走査方向に対して200nm以上10μm以下の幅の部分を有することを特徴とする多層反射膜付き基板。
【0016】
構成2にあるように、本発明に係る多層反射膜付き基板は、欠陥情報における欠陥位置の基準となる基準マークが形成されており、この基準マークは、前記欠陥位置の基準点を決定するためのメインマークと、該メインマークの周囲に配置された補助マークとから構成されている。そして、このメインマークは、点対称の形状であって、且つ、電子線又は欠陥検査光の走査方向に対して200nm以上10μm以下の幅の部分を有するものとなっている。このように構成された基準マークは、電子線描画機、光学式の欠陥検査装置のいずれでも容易に検出でき、言い換えれば確実に検出することができる。しかも、点対称の形状をしているので、電子線、欠陥検査光の走査によって決定される基準点のずれを小さくすることができる。従って、基準マークを元に検査した欠陥検出位置のばらつきが小さい。これによって、欠陥検査においては、欠陥位置の基準点を決定し、欠陥位置(基準点と欠陥の相対位置)情報を含む精度の良い欠陥情報(欠陥マップ)を取得することができる。さらに、マスクの製造においては、この欠陥情報に基づいて、予め設計しておいた描画データ(マスクパターンデータ)と照合し、欠陥による影響が低減するように描画データを高い精度で修正(補正)することが可能になり、その結果として、最終的に製造される反射型マスクにおいて欠陥を低減させることができる。
【0017】
(構成3)
前記メインマークは、電子線又は欠陥検査光の走査方向に対して垂直で且つ平行な辺を少なくとも2組有する多角形状であることを特徴とする構成1又は2に記載の多層反射膜付き基板。
構成3にあるように、前記メインマークは、電子線描画機又は欠陥検査光の走査方向に対して垂直で且つ平行な辺を少なくとも2組有する多角形状(例えば、四角形状、八角形状等)であることにより、電子線描画機、欠陥検査装置による検出の容易性(確実性)を向上させ、また、欠陥検出位置のばらつきを更に抑えることができる。
【0018】
(構成4)
前記補助マークは、電子線又は欠陥検査光の走査方向に対して垂直な長辺と平行な短辺を有する矩形状であることを特徴とする構成1乃至3のいずれかに記載の多層反射膜付き基板。
構成4にあるように、前記補助マークは、電子線又は欠陥検査光の走査方向に対して垂直な長辺と平行な短辺を有する矩形状であることにより、電子線描画機、欠陥検査装置の走査により確実に検出できるため、メインマークの位置を容易に特定することができる。
【0019】
(構成5)
前記基準マークは、前記多層反射膜に形成されていることを特徴とする構成1乃至4のいずれかに記載の多層反射膜付き基板。
構成5にあるように、前記基準マークを多層反射膜付き基板における多層反射膜に形成することにより、多層反射膜成膜後の欠陥検査において、電子線、及び欠陥検査光の走査で基準マークを検出し易くなる。また、描画データの補正・修正等によっても回避できない欠陥が発見された多層反射膜付き基板を廃棄せずに、多層反射膜を剥離除去してガラス基板を再生(再利用)することも可能である。
【0020】
(構成6)
構成1乃至5のいずれかに記載の多層反射膜付き基板における前記多層反射膜上に、EUV光を吸収する吸収体膜が形成されていることを特徴とする反射型マスクブランク。
上記構成の多層反射膜付き基板における多層反射膜上に、転写パターンとなるEUV光を吸収する吸収体膜が形成されていることにより、欠陥情報における欠陥位置の基準となる基準マークが形成されている反射型マスクブランクが得られる。
【0021】
(構成7)
基板上にEUV光を反射する多層反射膜と、前記多層反射膜上に、EUV光を吸収する吸収体膜が形成されている反射型マスクブランクであって、該反射型マスクブランクに、欠陥情報における欠陥位置の基準となる基準マークが形成されており、前記基準マークは、前記欠陥位置の基準点を決定するためのメインマークを有し、前記メインマークは、点対称の形状であって、且つ、電子線又は欠陥検査光の走査方向に対して200nm以上10μm以下の幅の部分を有することを特徴とする反射型マスクブランク。
構成7にあるように、本発明に係る反射型マスクブランクは、欠陥情報における欠陥位置の基準となる基準マークが吸収体膜に形成されており、この基準マークは、前記欠陥位置の基準点を決定するためのメインマークを有している。そして、このメインマークは、点対称の形状であって、且つ、電子線又は欠陥検査光の走査方向に対して200nm以上10μm以下の幅の部分を有するものとなっている。このように構成された基準マークは、電子線描画機、光学式あるいはEUV光、電子線の欠陥検査装置のいずれでも容易に検出でき、言い換えれば確実に検出することができる。しかも、点対称の形状をしているので、電子線、欠陥検査光の走査によって決定される基準点のずれを小さくすることができる。また、エッジ基準で基準マークを形成したり、基準マークを任意の位置に形成後、座標計測器で基準マーク形成位置を特定することにより、基準マークのサイズをより小さくすることが可能であり、その場合、基準マークをメインマークのみとすることが可能である。このように基準マークのサイズを小さくできると、基準マークの形成手段として例えばFIB(集束イオンビーム)を使用した場合、加工時間が短縮でき、また基準マークの検出時間についても短縮できる。従って、基準マークを元に検査した欠陥検出位置のばらつきが小さい。また、これによって、欠陥検査においては、欠陥位置の基準点を決定し、欠陥位置(基準点と欠陥の相対位置)情報を含む精度の良い欠陥情報(欠陥マップ)を取得することができる。さらに、マスクの製造においては、この欠陥情報に基づいて、予め設計しておいた描画データ(マスクパターンデータ)と照合し、欠陥による影響が低減するように描画データを高い精度で修正(補正)することが可能になり、その結果として、最終的に製造される反射型マスクにおいて欠陥を低減させることができる。
【0022】
(構成8)
前記基準マークは、前記吸収体膜に形成されていることを特徴とする構成7記載の反射型マスクブランク。
構成8にあるように、前記吸収体膜に基準マークを形成する過程で、多層反射膜への欠陥発生のリスクが少ないこと、反射型マスクを作成する際には吸収体膜パターンとして加工する材料なので、FIBやエッチングで加工がしやすいこと、多層反射膜の膜厚に比べて吸収体膜の膜厚は薄いので、加工時間が短縮できること、等の利点を有するので好ましい。
(構成9)
前記基準マークは、前記メインマークと、該メインマークの周囲に配置された補助マークとから構成されていることを特徴とする構成7又は8記載の反射型マスクブランク。
構成9にあるように、基準マークは、メインマークと該メインマークの周囲に配置された補助マークとから構成されているので、電子描画機、光学式あるいはEUV光、電子線の欠陥検査装置でメインマークを検出しやすくなる。
【0023】
(構成10)
前記メインマークは、電子線又は欠陥検査光の走査方向に対して垂直で且つ平行な辺を少なくとも2組有する多角形状であることを特徴とする構成7乃至9のいずれかに記載の反射型マスクブランク。
構成10にあるように、前記メインマークは、電子線描画機又は欠陥検査光の走査方向に対して垂直で且つ平行な辺を少なくとも2組有する多角形状(例えば、四角形状、八角形状等)であることにより、電子線描画機、欠陥検査装置による検出の容易性(確実性)を向上させ、また、欠陥検出位置のばらつきを更に抑えることができる。
【0024】
(構成11)
前記補助マークは、電子線又は欠陥検査光の走査方向に対して垂直な長辺と平行な短辺を有する矩形状であることを特徴とする構成9記載の反射型マスクブランク。
構成11にあるように、前記補助マークは、電子線又は欠陥検査光の走査方向に対して垂直な長辺と平行な短辺を有する矩形状であることにより、電子線描画機、欠陥検査装置の走査により確実に検出できるため、メインマークの位置を容易に特定することができる。
(構成12)
構成6乃至11のいずれかに記載の反射型マスクブランクにおける前記吸収体膜がパターニングされていることを特徴とする反射型マスク。
上記構成の反射型マスクブランクにおける吸収体膜がパターニングされて得られる反射型マスクは、多層反射膜付き基板又は反射型マスクブランクにおける欠陥情報に基づく描画データの補正・修正によって、欠陥を低減させたものが得られる。
【0025】
(構成13)
基板上に転写パターンとなる薄膜が形成されているマスクブランクであって、該マスクブランクに、欠陥情報における欠陥位置の基準となる基準マークが形成されており、前記基準マークは、前記欠陥位置の基準点を決定するためのメインマークを有し、前記メインマークは、点対称の形状であって、且つ、電子線又は欠陥検査光の走査方向に対して200nm以上10μm以下の幅の部分を有することを特徴とするマスクブランク。
【0026】
構成13にあるように、本発明に係るマスクブランクは、上記構成1と同様、欠陥情報における欠陥位置の基準となる基準マークが形成されており、この基準マークは、前記欠陥位置の基準点を決定するためのメインマークを有している。そして、このメインマークは、点対称の形状であって、且つ、電子線又は欠陥検査光の走査方向に対して200nm以上10μm以下の幅の部分を有するものとなっている。このように構成された基準マークは、電子線描画機、光学式あるいはEUV光、電子線の欠陥検査装置のいずれでも容易に検出でき、言い換えれば確実に検出することができる。しかも、点対称の形状をしているので、電子線、又は欠陥検査光の走査によって決定される欠陥位置の基準点のずれを小さくすることができる。また、エッジ基準で基準マークを形成したり、基準マークを任意の位置に形成後、座標計測器で基準マーク形成位置を特定することにより、基準マークのサイズをより小さくすることが可能であり、その場合、基準マークをメインマークのみとすることが可能である。このように基準マークのサイズを小さくできると、基準マークの形成手段として例えばFIB(集束イオンビーム)を使用した場合、加工時間が短縮でき、また基準マークの検出時間についても短縮できる。従って、基準マークを元に検査した欠陥検出位置のばらつきが小さい。これによって、欠陥検査においては、欠陥位置の基準点を決定し、欠陥位置(基準点と欠陥の相対位置)情報を含む精度の良い欠陥情報(欠陥マップ)を取得することができる。さらに、マスクの製造においては、この欠陥情報に基づいて、予め設計しておいた描画データ(マスクパターンデータ)と照合し、欠陥による影響が低減するように描画データを高い精度で修正(補正)することが可能になり、その結果として、最終的に製造されるマスクにおいて欠陥を低減させることができる。
【0027】
(構成14)
基板上に転写パターンとなる薄膜が形成されているマスクブランクであって、該マスクブランクに、欠陥情報における欠陥位置の基準となる基準マークが形成されており、前記基準マークは、前記欠陥位置の基準点を決定するためのメインマークと、該メインマークの周囲に配置された補助マークとから構成され、前記メインマークは、点対称の形状であって、且つ、電子線又は欠陥検査光の走査方向に対して200nm以上10μm以下の幅の部分を有することを特徴とするマスクブランク。
【0028】
構成14にあるように、本発明に係るマスクブランクは、上記構成2と同様、欠陥情報における欠陥位置の基準となる基準マークが形成されており、この基準マークは、前記欠陥位置の基準点を決定するためのメインマークと、該メインマークの周囲に配置された補助マークとから構成されている。そして、このメインマークは、点対称の形状であって、且つ、電子線又は欠陥検査光の走査方向に対して200nm以上10μm以下の幅の部分を有するものとなっている。このように構成された基準マークは、電子線描画機、光学式の欠陥検査装置のいずれでも容易に検出でき、言い換えれば確実に検出することができる。しかも、点対称の形状をしているので、電子線、又は欠陥検査光の走査によって決定される欠陥位置の基準点のずれを小さくすることができる。従って、基準マークを元に検査した欠陥検出位置のばらつきが小さい。これによって、欠陥検査においては、欠陥位置の基準点を決定し、欠陥位置(基準点と欠陥の相対位置)情報を含む精度の良い欠陥情報(欠陥マップ)を取得することができる。さらに、マスクの製造においては、この欠陥情報に基づいて、予め設計しておいた描画データ(マスクパターンデータ)と照合し、欠陥による影響が低減するように描画データを高い精度で修正(補正)することが可能になり、その結果として、最終的に製造されるマスクにおいて欠陥を低減させることができる。
【0029】
(構成15)
構成13又は14に記載のマスクブランクにおける前記薄膜がパターニングされていることを特徴とするマスク。
上記構成のマスクブランクにおける薄膜がパターニングされて得られるマスクは、マスクブランクにおける欠陥情報に基づく描画データの修正によって、欠陥を低減させたものが得られる。
【0030】
(構成16)
構成1乃至5のいずれかに記載の多層反射膜付き基板の製造方法であって、前記基準マークを、前記基板のエッジ座標を基準に設定した原点からの所定の位置に形成し、前記基準マークを形成した前記多層反射膜付き基板と、前記基準マークの形成位置情報とを対応付けることを特徴とする多層反射膜付き基板の製造方法。
このように、基板のエッジ座標を基準に設定した原点からの所定の位置に前記基準マークを形成した多層反射膜付き基板と、前記基準マークの形成位置情報とを対応付けて多層反射膜付き基板を製造することにより、この多層反射膜付き基板を提供されたユーザーは、この基準マークの形成位置情報を利用して基準マークを短時間で確実に検出することができる。
【0031】
(構成17)
構成1乃至5のいずれかに記載の多層反射膜付き基板の製造方法であって、前記基準マークを形成した後、座標計測器で前記基準マークの形成位置を特定し、前記基準マークを形成した前記多層反射膜付き基板と、前記基準マークの形成位置情報とを対応付けることを特徴とする多層反射膜付き基板の製造方法。
このように、多層反射膜付き基板に基準マークを形成した後、座標計測器で前記基準マークの形成位置を特定し、前記基準マークを形成した多層反射膜付き基板と、前記基準マークの形成位置情報とを対応付けて多層反射膜付き基板を製造することにより、この多層反射膜付き基板を提供されたユーザーは、この基準マークの形成位置情報を利用して基準マークを短時間で確実に検出することができる。また、基準マークの形成位置を座標計測器で特定することにより、電子線描画機の基準座標の変換が可能となる。したがって、多層反射膜付き基板を提供されたユーザーは、容易に基準マークに基づき欠陥検査装置により特定した欠陥位置と、描画データとを高精度に照合することが可能となり、最終的に製造されるマスクにおいて欠陥を確実に低減させることができる。
【0032】
(構成18)
前記基準マークの形成位置情報に、さらに前記基準マークを基準とした欠陥情報を加えることを特徴とする構成16又は17に記載の多層反射膜付き基板の製造方法。
構成18にあるように、前記基準マークの形成位置情報に、さらに前記基準マークを基準とした欠陥情報を加えて多層反射膜付き基板を製造することにより、この多層反射膜付き基板を提供されたユーザーはこの基準マークの形成位置情報を利用して基準マークを短時間で確実に検出することができるとともに、マスクの製造においては、この欠陥情報に基づいて、欠陥による影響が低減するように描画データを高い精度で修正(補正)し、最終的に製造されるマスクにおいて欠陥を低減させることができる。
【0033】
(構成19)
構成16乃至18のいずれかに記載の前記基準マークを形成した前記多層反射膜付き基板における前記多層反射膜上に、EUV光を吸収する吸収体膜が形成されている反射型マスクブランクと、前記基準マークの形成位置情報とを対応付けることを特徴とする反射型マスクブランクの製造方法。
構成19のように、構成16乃至18のいずれかに記載の前記基準マークを形成した多層反射膜付き基板における多層反射膜上に、EUV光を吸収する吸収体膜が形成された反射型マスクブランクと、前記基準マークの形成位置情報とを対応付けてユーザーに提供することにより、ユーザーは、この反射型マスクブランクを用いるマスク製造において、この基準マークの形成位置情報を利用して基準マークを短時間で確実に検出することができる。
【0034】
(構成20)
構成6乃至11のいずれかに記載の反射型マスクブランクの製造方法であって、前記基準マークを、前記基板のエッジ座標を基準に設定した原点からの所定の位置に形成し、前記基準マークを形成した前記反射型マスクブランクと、前記基準マークの形成位置情報とを対応付けることを特徴とする反射型マスクブランクの製造方法。
このように、基板のエッジ座標を基準に設定した原点からの所定の位置に前記基準マークを形成した反射型マスクブランクと、前記基準マークの形成位置座標とを対応付けて反射型マスクブランクを製造することにより、この反射型マスクブランクを提供されたユーザーは、この基準マークの形成位置情報を利用して基準マークを短時間で確実に検出することができる。
【0035】
(構成21)
請求項6乃至11のいずれかに記載の反射型マスクブランクの製造方法であって、前記基準マークを形成した後、座標計測器で前記基準マークの形成位置を特定し、前記基準マークを形成した前記反射型マスクブランクと、前記基準マークの形成位置情報とを対応付けることを特徴とする反射型マスクブランクの製造方法。
このように、反射型マスクブランクに基準マークを形成した後、座標計測器で前記基準マークの形成位置を特定し、前記基準マークを形成した反射型マスクブランクと、前記基準マークの形成位置情報とを対応付けて反射型マスクブランクを製造することにより、この反射型マスクブランクを提供されたユーザーは、この基準マークの形成位置情報を利用して基準マークを短時間で確実に検出することができる。また、基準マークの形成位置を座標計測器で特定することにより、電子線描画機の基準座標の変換が可能となる。したがって、多層反射膜付き基板を提供されたユーザーは、容易に基準マークに基づき欠陥検査装置により特定した欠陥位置と、描画データとを高精度に照合することが可能となり、最終的に製造されるマスクにおいて欠陥を確実に低減させることができる。
【0036】
(構成22)
構成13又は14に記載のマスクブランクの製造方法であって、前記基準マークを、前記基板のエッジ座標を基準に設定した原点からの所定の位置に形成し、前記基準マークを形成した前記マスクブランクと、前記基準マークの形成位置情報とを対応付けることを特徴とするマスクブランクの製造方法。
構成22にあるように、基板のエッジ座標を基準に設定した原点からの所定の位置に前記基準マークを形成したマスクブランクと、前記基準マークの形成位置情報とを対応付けてマスクブランクを製造することにより、このマスクブランクを提供されたユーザーは、この基準マークの形成位置情報を利用して基準マークを短時間で確実に検出することができる。
【0037】
(構成23)
構成13又は14に記載のマスクブランクの製造方法であって、前記基準マークを形成した後、座標計測器で前記基準マークの形成位置を特定し、前記基準マークを形成した前記マスクブランクと、前記基準マークの形成位置情報とを対応付けることを特徴とするマスクブランクの製造方法。
構成23のように、マスクブランクに基準マークを形成した後、座標計測器で前記基準マークの形成位置を特定し、前記基準マークを形成したマスクブランクと、前記基準マークの形成位置情報とを対応付けてマスクブランクを製造することによりマスクブランクを提供されたユーザーは、この基準マークの形成位置情報を利用して基準マークを短時間で確実に検出することができる。また、基準マークの形成位置を座標計測器で特定することにより、電子線描画機の基準座標の変換が可能となる。したがって、マスクブランクを提供されたユーザーは、容易に基準マークに基づき欠陥検査装置により特定した欠陥位置と、描画データとを高精度に照合することが可能となり、最終的に製造されるマスクにおいて欠陥を確実に低減させることができる。
【0038】
(構成24)
前記基準マークの形成位置情報に、さらに前記基準マークを基準とした欠陥情報を加えることを特徴とする構成22又は23に記載のマスクブランクの製造方法。
構成24にあるように、前記基準マークの形成位置情報に、さらに前記基準マークを基準とした欠陥情報を加えてユーザーに提供することにより、ユーザーはこの基準マークの形成位置情報を利用して基準マークを短時間で確実に検出することができるとともに、マスクの製造においては、この欠陥情報に基づいて、欠陥による影響が低減するように描画データを高い精度で修正(補正)し、最終的に製造されるマスクにおいて欠陥を低減させることができる。
【発明の効果】
【0039】
本発明によれば、電子線描画機、欠陥検査装置のいずれでも確実に検出することができ、しかも電子線、欠陥検査光の走査によって決定される欠陥位置の基準点のずれが小さい基準マークを形成することにより、欠陥の座標管理(基準マークと欠陥の相対位置管理)を高精度で行うことが可能な多層反射膜付き基板、反射型マスクブランク及びマスクブランクを提供することができる。
また、本発明によれば、これら多層反射膜付き基板、マスクブランクを使用し、これらの欠陥情報に基づき、描画データの修正を行なうことで欠陥を低減させた反射型マスク及びマスクを提供することができる。
また、本発明によれば、エッジ基準で基準マークを形成したり、或いは基準マークの形成後、座標計測器で基準マーク形成位置を特定した多層反射膜付き基板、反射型マスクブランク及びマスクブランクと、これらの基準マークの形成位置情報とを対応付けした多層反射膜付き基板、反射型マスクブランク及びマスクブランクの製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、本発明の実施の形態を詳述する。
[基準マーク]
まず、本発明における基準マーク(以下、「本発明の基準マーク」とも呼ぶ。)について詳しく説明する。
図1は、基準マークの配置例を示すマスクブランク用ガラス基板の平面図である。
図1では、相対的に大きさの大きなラフアライメントマーク12と小さなファインマークである本発明の基準マーク13の2種類のマークを形成している。なお、
図1では、ガラス基板11の表面にこれら基準マークを示しているが、
図1はあくまでもガラス基板主表面上での基準マークの配置例を示すものであり、本発明をこれら基準マークがガラス基板に直接形成されている態様に限定する趣旨ではないことは勿論である。
【0042】
上記ラフアライメントマーク12は、それ自体は基準マークの役割は有していないが、上記基準マーク13の位置を検出し易くするための役割を有している。上記基準マーク13は大きさが小さく、目視で位置の目安を付けることは困難である。また、検査光や電子線で最初から基準マーク13を検出しようとすると、検出に時間が掛かり、レジスト膜が形成されている場合、不要なレジスト感光を発生させてしまう恐れがあるので好ましくない。上記基準マーク13との位置関係が予め決められている上記ラフアライメントマーク12を設けることで、基準マーク13の検出が迅速かつ容易に行える。
【0043】
図1においては、上記ラフアライメントマーク12を矩形状のガラス基板11の主表面上のコーナー近傍の4箇所に、上記基準マーク13を各ラフアライメントマーク12の近傍に2箇所ずつ配置した例を示している。上記ラフアライメントマーク12と基準マーク13はいずれも基板主表面上の破線Aで示すパターン形成領域の境界線上、あるいはパターン形成領域より外周縁側に形成することが好適である。但し、基板外周縁にあまり近いと、基板主表面の平坦度があまり良好でない領域であったり、他の種類の認識マークと交差する可能性があるので好ましくない。
基準マーク、ラフアライメントマークの個数は特に限定されない。基準マークについては、最低3個必要であるが、3個以上であっても構わない。
【0044】
なお、以下に説明するように、本発明の基準マーク13においては、欠陥位置の基準となる位置(基準点)を決定するためのメインマークの周囲に、該メインマークを大まかに特定するための補助マークを配置しているため、検査光や電子線で最初から本発明の基準マーク13を検出するのに特に不都合がなければ、上記ラフアライメントマーク12は設けなくてもよい。
すなわち、本発明においては、
図15に示すように、上記ラフアライメントマークは設けずに、例えば一例としてガラス基板11の主表面上のコーナー近傍の4箇所に本発明の基準マーク13を配置するようにしてもよい。これによって、相対的に大きさの大きなラフアライメントマークの形成工程を省くことができ、マークの加工時間を大幅に短縮できる。
【0045】
図2は、本発明の基準マークを構成するメインマーク及び補助マークの形状例及び配置例を示す図である。また、
図3は、本発明の基準マークを用いた基準点を決定する方法を説明するための図である。
上記基準マークは、欠陥情報における欠陥位置の基準となるものであるが、本発明の基準マーク13は、欠陥位置の基準となる位置(基準点)を決定するためのメインマークと、該メインマークの周囲に配置された補助マークとから構成される。そして、本発明の基準マークにおける特徴の一つは、上記メインマークは、点対称の形状であって、且つ、電子線又は欠陥検査光の走査方向に対して200nm以上10μm以下の幅の部分を有することである。
【0046】
図2及び
図3には、上記メインマーク13aと、その周囲に配置された2つの補助マーク13b,13cとから構成される基準マーク13を一例として示している。
本発明において、上記メインマーク13aは、電子線描画機又は欠陥検査光の走査方向(
図3におけるX方向及びY方向)に対して垂直で且つ平行な辺を少なくとも2組有する多角形状であることが好適である。このように、上記メインマーク13aは、電子線又は欠陥検査光の走査方向に対して垂直で且つ平行な辺を少なくとも2組有する多角形状であることにより、電子線描画機、欠陥検査装置による検出の容易性(確実性)を向上させ、また、欠陥検出位置のばらつきを更に抑えることができる。
図2及び
図3では、具体例として、上記メインマーク13aが、縦横(X及びY方向)が同じ長さの正方形である場合を示している。この場合、縦横の長さ(L)がそれぞれ200nm以上10μm以下である。
【0047】
上記メインマーク13aは、点対称の形状であれば良い。上記の正方形に限らず、例えば
図4の(a)に示すように、正方形の角部が丸みを帯びた形状や、同図(b)のように、八角形の形状や、同図(c)のように、十字形状であってもよい。この場合においても、メインマーク13aの大きさ(縦横の長さ)L)は、200nm以上10μm以下とする。具体例として、メインマーク13aが十字形状の場合、その大きさ(縦横の長さ)は、5μm以上10μm以下とすることができる。また、図示していないが、上記メインマーク13aは、直径が200nm以上10μm以下の正円形とすることもできる。
【0048】
また、上記2つの補助マーク13b,13cは、上記メインマーク13aの周囲に、電子線又は欠陥検査光の走査方向(
図3におけるX方向及びY方向)に沿って配置されている。本発明においては、上記補助マーク13b,13cは、電子線又は欠陥検査光の走査方向に対して垂直な長辺と平行な短辺を有する矩形状であることが好適である。補助マークが、電子線又は欠陥検査光の走査方向に対して垂直な長辺と平行な短辺を有する矩形状であることにより、電子線描画機、欠陥検査装置の走査により確実に検出できるため、メインマークの位置を容易に特定することができる。この場合、長辺は、電子線描画機、欠陥検査装置のできるだけ最小回数の走査により検出可能な長さであることが望ましい。例えば、25μm以上600μm以下の長さを有することが望ましい。一方、長辺の長さが短いと、例えば25μm未満であると、電子線描画機、欠陥検査装置の走査により補助マークをなかなか検出できない恐れがある。また、長辺の長さが長いと、例えば、600μmを超えると、基準マークの形成方法によっては加工時間に1時間/箇所を超えることになるので好ましくない。より好ましくは、長辺の長さは、25μm以上400μm以下、さらに好ましくは、25μm以上200μm以下が望ましい。
【0049】
また、上記補助マーク13b,13cとメインマーク13aは、所定の間隔離間させても良いし、離間させなくても良い。補助マークとメインマークを離間させる場合、間隔は特に制約されないが、本発明においては例えば25μm〜50μm程度の範囲とすることが好適である。
なお、上記メインマーク13a、補助マーク13b、13cはいずれも断面形状を凹形状とし、基準マークの高さ方向に所望の深さを設けることで認識し得る基準マークとしている。電子線や欠陥検査光による検出精度を向上させる観点から、凹形状の底部から表面側へ向かって広がるように形成された断面形状であることが好ましく、この場合の基準マークの側壁の傾斜角度は75°以上であることが好ましい。さらに好ましくは、80°以上、さらに好ましくは、85°以上とすることが望ましい。
【0050】
上記基準マークを用いて、欠陥位置の基準となる基準点は次のようにして決定される(
図3を参照)。
上記補助マーク13b,13c上を電子線、あるいは欠陥検査光がX方向、Y方向に走査し、これら補助マークを検出することにより、メインマーク13aの位置を大まかに特定することができる。位置が特定された上記メインマーク13a上を電子線、あるいは検査光がX方向及びY方向に走査後、(上記補助マークの走査により検出された)メインマーク13a上の交点P(通常、メインマークの略中心)をもって基準点を決定する。
【0051】
上記のように、本発明においては上記メインマーク13aは、点対称の形状であって、且つ、電子線又は欠陥検査光の走査方向に対して200nm以上10μm以下の幅の部分を有する。本発明者は、メインマーク13aの幅と電子線に対するコントラストとの関係、メインマーク13aの幅と欠陥検出位置のばらつきとの関係について検討した。
図13は、メインマークの幅と電子線コントラストとの関係を示す図であり、
図14は、メインマークの幅と欠陥検出位置の最大ばらつきとの関係を示す図である。
図13は、SiO
2−TiO
2系ガラス基板上に、Si膜(膜厚:4.2nm)とMo膜(膜厚:2.8nm)を1周期として40周期積層した多層反射膜(総膜厚280nm)の所定位置に、正方形状のメインマークを形成(FIBにより多層反射膜全層除去)し、該多層反射膜上に、Ru保護膜(膜厚:2.5nm)、吸収体膜(総膜厚:70nm)、レジスト膜(膜厚:100nm)を形成したレジスト膜付き反射型マスクブランクに対して、メインマークにEB(電子線)を走査したときに検出されるEB反射強度を測定して、メインマークの幅とEB(電子線)コントラストの関係を示した図である。なお、電子線コントラストは、各種サイズのマークを形成し、マークの底部(ガラス)のEB(電子線)強度を Imin、多層膜部のEB(電子線)強度をImaxとし、コントラスト=(Imax - Imin)/(Imax + Imin)で求めた。また、
図14は、SiO
2−TiO
2系ガラス基板上に、Si膜(膜厚:4.2nm)とMo膜(膜厚:2.8nm)を1周期として40周期積層した多層反射膜(総膜厚280nm)の所定位置に、正方形状のメインマークを形成(FIBにより多層反射膜全層除去)した多層反射膜付き基板に対して、欠陥検査装置(KLA−Tencor社製Teron600シリーズ)にて、メインマークを検出し、欠陥検出位置のばらつきを測定した結果である。なお、欠陥検出位置のばらつきは、5回欠陥検査をおこない、検出した基準座標をもとにした欠陥位置のばらつきを求めた。
【0052】
図13に示すように、メインマーク13aの幅が200nm未満になると、EBコントラストが大きく低下する結果となった。つまり、EB(電子線)走査でのメインマークの検出が難しくなるので、高精度の描画データの補正・修正が行えないことになる。メインマーク13aの幅が100nmの時のコントラストは、0.006、200nmの時のコントラストは、0.016であり、コントラストの差は、2.75倍であった。また、
図14に示すように、メインマーク13aの幅が10μmを超えると、欠陥検出位置のばらつきが100nmを超えることになる。これは、上述のDefect mitigation technologyを実現・可能にするための基準マークを基準点にした時の欠陥検出位置のばらつき100nm以下を満たすことができない。従って、コントラストと欠陥検出位置のばらつきの両方を満足するためには、上記メインマーク13aは、電子線又は欠陥検査光の走査方向に対して200nm以上10μm以下の幅の部分を有することが重要である。
また、たとえば基準マークを多層反射膜に形成した場合、その幅が狭いと(具体的には、特許文献1に記載されているような30〜100nmであると)、その上に吸収体膜等を成膜すると、基準マークの凹部が埋まってしまい、基準マークを検出することが困難になるという不都合も生じる。
【0053】
ところで、上記したように、上記補助マーク13b、13cは、電子線又は欠陥検査光の走査方向に対して垂直な長辺と平行な短辺を有する矩形状であることが好ましく、この場合、長辺は、電子線描画機、欠陥検査装置のできるだけ最小回数の走査により検出可能な長さ、例えば25μm以上600μm以下の長さを有することが好適である。但し、例えば集束イオンビームでこの数百μm程度の長さを形成するとなると、加工時間が長時間必要となる。
そこで、上記補助マークを、
図5に示すように、いくつかの矩形に分割することができる。
図6は、このような態様を具体的に示した例であり、5μm×5μmの大きさのメインマーク13aの一方(Y方向)に、50μm×1μmの大きさの矩形状の補助マーク13b1〜13b6を等間隔で配置し、各補助マーク間の間隔(スペース)は50μmとする。
【0054】
この場合、例えば第1スキャン(1回目のスキャン)では補助マークを外し、上(Y方向)に60μmシフトさせた第2スキャン(2回目のスキャン)でも補助マークを外し、さらに上に60μmシフトさせた第3スキャン(3回目のスキャン)で補助マーク13b5を検出することができる。
このように補助マークを分割し、分割した個々の補助マークの長辺の長さを短くしても、走査ルールを決めて、出来るだけ少ない走査回数で補助マークを確実に検出することが可能である。また、このように補助マークを分割することで、全体の加工時間の短縮が図れる。
【0055】
本発明の基準マーク13を構成する上記メインマーク13aおよび補助マーク13b、13cを形成する位置は特に限定されない。例えば反射型マスクブランクの場合、多層反射膜の成膜面であれば、どの位置に形成してもよい。例えば、基板、下地層(後述)、多層反射膜、保護膜(キャッピング層、バッファ層)、吸収体膜、吸収体膜上に形成されるエッチングマスク膜のいずれの位置でもよい。
【0056】
なお、EUV光を露光光として使用する反射型マスクにおいては、特に多層反射膜に存在する欠陥は、修正が殆ど不可能である上に、転写パターン上で重大な位相欠陥となり得るので、転写パターン欠陥を低減させるためには多層反射膜上の欠陥情報が重要である。従って、少なくとも多層反射膜成膜後に欠陥検査を行い、欠陥情報を取得することが望ましい。そのためには、多層反射膜付き基板に本発明の基準マークを形成することが好ましい。特に、検出のし易さ、基板の再生等の観点からは、多層反射膜に本発明の基準マークを形成することが好ましい。
また、基準マーク形成後、洗浄による光学特性(たとえば、反射率)の変化を抑制する観点からは、反射型マスクブランクにおける吸収体膜に基準マークを形成することが好ましい。この場合、多層反射膜付き基板の段階では基準マークが形成されていないので、反射型マスクブランクにおける欠陥検査と、基準マークを基準にした欠陥の座標管理は以下のようにして行うことができる。
【0057】
まず、基板上に多層反射膜が形成された多層反射膜付き基板に対して、欠陥検査装置により、基板主表面の中心を基準点として欠陥検査を行い、欠陥検査により検出された欠陥と位置情報とを取得する。次に、多層反射膜上に保護膜と吸収体膜を形成した後、吸収体膜の所定位置に、本発明の基準マークを形成して、基準マークが形成された反射型マスクブランクを得る。
上記の基準マークを基準にして欠陥検査装置により欠陥検査を行う。上記の通り吸収体膜は多層反射膜上に形成するので、この欠陥検査データは、上記で取得した多層反射膜付き基板の欠陥検査も反映されている。従って、多層反射膜付き基板の欠陥と反射型マスクブランクの欠陥が一致している欠陥を元に、多層反射膜付き基板の欠陥検査データと、反射型マスクブランクの欠陥検査データを照合することにより、上記基準マークを基準にした多層反射膜付き基板の欠陥検査データと、反射型マスクブランクの欠陥検査データを得ることができる。
【0058】
本発明の基準マーク13を構成する上記メインマーク13aおよび補助マーク13b、13cを形成する方法は特に限定されない。例えば前述の基準マークの断面形状が凹形状の場合、フォトリソ法、レーザー光やイオンビームによる凹部形成、ダイヤモンド針を走査しての加工痕、微小圧子によるインデンション、インプリント法による型押しなどで形成することができる。
【0059】
以上説明したように、多層反射膜付き基板等に本発明の基準マークを形成することにより、本発明の基準マークは、電子線描画機、光学式の欠陥検査装置のいずれでも容易に検出でき、言い換えれば確実に検出することができる。しかも、点対称の形状をしているので、電子線、又は欠陥検査光の走査によって決定される欠陥位置の基準点のずれを小さくすることができる。従って、基準マークを元に検査した欠陥検出位置のばらつきが小さい。これによって、欠陥検査においては、欠陥位置の基準点を決定し、欠陥位置(基準点と欠陥の相対位置)情報を含む精度の良い欠陥情報(欠陥マップ)を取得することができる。さらに、マスクの製造においては、この欠陥情報に基づいて、予め設計しておいた描画データ(マスクパターンデータ)と照合し、欠陥による影響が低減するように描画データを高い精度で修正(補正)することが可能になり、その結果として、最終的に製造される反射型マスクにおいて欠陥を低減させることができる。
【0060】
なお、以上の実施の形態では、上記メインマーク13aの周囲に、電子線描画機や欠陥検査装置の走査方向(X方向、Y方向)に沿って2つの補助マーク13b、13cを配置した例について説明したが、本発明はこのような実施の形態に限定されるわけではない。例えば欠陥の検出が検査光の走査によらない方式においては、メインマークと補助マークとの位置関係が特定されていれば、メインマークに対する補助マークの配置位置は任意である。また、この場合、メインマークの中心ではなく、エッジを基準点とすることもできる。
【0061】
ところで、本発明の基準マーク13は、上述のとおり、基板主表面上の破線Aで示すパターン形成領域の境界線上、あるいはパターン形成領域より外周縁側の任意の位置に形成されるが(
図1、
図15参照)、この場合、エッジ基準で基準マークを形成したり、或いは基準マークを形成後、座標計測器で基準マーク形成位置を特定することが好適である。
【0062】
まず、上記のエッジ基準で基準マークを形成する方法について説明する。
図17及び
図18はそれぞれエッジ基準で基準マークを形成する方法を説明するための図である。
例えば、基準マーク形成手段としてFIB(集束イオンビーム)を採用し、多層反射膜付き基板に基準マークを形成する場合、多層反射膜付き基板のエッジの検出を行う。基準マークをFIBで加工する場合、多層反射膜付き基板のガラス基板11のエッジは、2次電子像、2次イオン像、あるいは光学像で認識することができる。また、基準マークをその他の方法(例えば圧痕)で加工する場合は、光学像で認識することができる。
図17に示すように、例えばガラス基板11(図示の便宜上多層反射膜の図示は省略している)の四辺の8箇所(丸印を付した箇所)のエッジ座標を確認し、チルト補正して、原点(0,0)出しを行う。この場合の原点は任意に設定可能であり、基板の角部でも中心でもよい。
【0063】
このようにエッジ基準で設定した原点からの所定の位置にFIBで基準マークを形成する。
図18には、エッジ基準で基板の任意の角部に設定した原点O(0,0)からの所定の位置、具体的には原点Oの両隣の端面11AのエッジからXの距離、端面11BのエッジからYの距離に基準マーク13を形成する場合を示している。この場合、原点O(0,0)を基準とする基準マーク形成座標(X,Y)が基準マークの形成位置情報となる。他の位置に形成する基準マークについても同様である。
【0064】
このようなエッジ基準で形成した多層反射膜付き基板(あるいは反射型マスクブランク、マスクブランク)の基準マークを欠陥検査装置や電子線描画装置で検出する際、基準マークの形成位置情報、つまりエッジからの距離がわかっているため、基準マーク形成位置を容易に特定することが可能である。
【0065】
また、多層反射膜付き基板の任意の位置に基準マークを形成後、座標計測器で基準マーク形成位置を特定する方法を適用することもできる。この座標計測器は、基準マークの形成座標をエッジ基準で計測するものであり、例えば高精度パターン位置測定装置(KLA-Tencor社製LMS−IPRO4)を使用することができ、特定した基準マーク形成座標が基準マークの形成位置情報となる。また、座標計測器は、電子線描画機の基準座標に変換する役割もあるので、多層反射膜付き基板を提供されたユーザーは、容易に基準マークに基づき欠陥検査装置により特定した欠陥位置と、描画データとを高精度に照合することが可能となり、最終的に製造されるマスクにおいて欠陥を確実に低減させることができる。
【0066】
以上説明したように、基準マークをエッジ基準で形成したり、或いは基準マークを任意の位置に形成後、座標計測器で基準マーク形成位置を特定する方法によれば、欠陥検査装置や電子線描画装置で多層反射膜付き基板等の基準マークの形成位置を容易に特定することが可能であるため、基準マークのサイズを小さくすることが可能である。具体的には、本発明の基準マーク13が、前述のメインマークと補助マークとから構成される場合、メインマークの幅は200nm以上10μm以下、補助マークの長辺は例えば25μm以上250μm以下のサイズにすることが可能である。このように基準マークのサイズを小さくした場合、基準マークの形成手段として例えば前記のFIBを採用した場合には、基準マークの加工時間が短縮できるので好ましい。また、基準マークの検出時間についても短縮できるので好ましい。
【0067】
図16には、以上で説明したようなエッジ基準で形成する場合の基準マークの形状例及び配置例を示しているが、同図(a)のようなメインマーク13aと補助マーク13b,13cから構成される基準マークが代表的な例である。また、上記のとおり、基準マークのサイズを小さくすることができるので、必ずしも補助マークを必要とせず、例えば同図(b)に示すようなメインマーク13aのみとすることが可能である。さらに、同図(c)に示すようなメインマーク13aの周囲に4つの補助マーク13b〜13eを配置したものや、同図(d)に示すような十字形の基準マークとすることもできる。
【0068】
また、基板のエッジ座標を基準に設定した原点からの所定の位置に前記基準マークを形成した例えば多層反射膜付き基板と、この場合の基準マークの形成位置情報(基準マーク形成座標)とを対応付けてユーザーに提供することにより、ユーザーは、例えばマスク製造工程において、この基準マークの形成位置情報を利用して基準マークを短時間で確実に検出することができる。
また、例えば多層反射膜付き基板に基準マークを形成した後、座標計測器で前記基準マークの形成位置を特定し、前記基準マークを形成した多層反射膜付き基板と、この場合の基準マークの形成位置情報(特定した基準マークの位置座標)とを対応付けてユーザーに提供することにより、ユーザーは、この基準マークの形成位置情報を利用して基準マークを短時間で確実に検出することができる。また、基準マークの形成位置を座標計測器で特定することにより、電子線描画機の基準座標の変換が可能となる。したがって、多層反射膜付き基板を提供されたユーザーは、容易に基準マークに基づき欠陥検査装置により特定した欠陥位置と、描画データとを高精度に照合することが可能となり、最終的に製造されるマスクにおいて欠陥を確実に低減させることができる。
【0069】
また、上記基準マークの形成位置情報に、さらに基準マークを基準とした欠陥情報(位置情報、サイズ等)を加えてユーザーに提供することにより、ユーザーはこの基準マークの形成位置情報を利用して基準マークを短時間で確実に検出することができるとともに、この欠陥情報に基づいて、欠陥による影響が低減するように描画データを高い精度で修正(補正)し、最終的に製造されるマスクにおいて欠陥を低減させることができる。
【0070】
また、上記基準マークを形成した多層反射膜付き基板における多層反射膜上に、EUV光を吸収する吸収体膜が形成された反射型マスクブランクと、基準マークの形成位置情報とを対応付けてユーザーに提供することにより、ユーザーは、この反射型マスクブランクを用いるマスク製造において、この基準マークの形成位置情報を利用して基準マークを短時間で確実に検出することができる。
【0071】
また、基板上に転写パターンとなる薄膜が形成されているマスクブランクにおいても、基板のエッジ座標を基準に設定した原点からの所定の位置に前記基準マークを形成したマスクブランクと、この場合の基準マークの形成位置情報とを対応付けてユーザーに提供することにより、或いはマスクブランクに基準マークを形成した後、座標計測器で前記基準マークの形成位置を特定し、前記基準マークを形成したマスクブランクと、この場合の基準マークの形成位置情報とを対応付けてユーザーに提供することにより、ユーザーは、この基準マークの形成位置情報を利用して基準マークを短時間で確実に検出することができる。
また、マスクブランクにおいても、基準マークの形成位置情報に、さらに前記基準マークを基準とした欠陥情報を加えてユーザーに提供することにより、ユーザーはこの欠陥情報に基づいて、欠陥による影響が低減するように描画データを高い精度で修正(補正)し、最終的に製造されるマスクにおいて欠陥を低減させることができる。
【0072】
[多層反射膜付き基板]
本発明は、
図7に示すように、EUV光を反射する多層反射膜31に本発明の基準マーク13が形成されている多層反射膜付き基板30についても提供する。
図7においては、多層反射膜31を構成する一部の膜を除去して基準マーク13が形成されている例を示すが、多層反射膜31を構成する全ての層を除去して基準マーク13を形成しても良い。
上記多層反射膜は、低屈折率層と高屈折率層を交互に積層させた多層膜であり、一般的には、重元素又はその化合物の薄膜と、軽元素又はその化合物の薄膜とが交互に40〜60周期程度積層された多層膜が用いられる。
【0073】
例えば、波長13〜14nmのEUV光に対する多層反射膜としては、Mo膜とSi膜を交互に40周期程度積層したMo/Si周期積層膜が好ましく用いられる。その他に、EUV光の領域で使用される多層反射膜として、Ru/Si周期多層膜、Mo/Be周期多層膜、Mo化合物/Si化合物周期多層膜、Si/Nb周期多層膜、Si/Mo/Ru周期多層膜、Si/Mo/Ru/Mo周期多層膜、Si/Ru/Mo/Ru周期多層膜などがある。露光波長により、材質を適宜選択すればよい。
【0074】
EUV露光用の場合、ガラス基板11としては、露光時の熱によるパターンの歪みを防止するため、0±1.0×10
−7/℃の範囲内、より好ましくは0±0.3×10
−7/℃の範囲内の低熱膨張係数を有するものが好ましく用いられ、この範囲の低熱膨張係数を有する素材としては、例えば、SiO
2−TiO
2系ガラス、多成分系ガラスセラミックス等を用いることが出来る。
【0075】
上記ガラス基板11の転写パターンが形成される側の主表面は、少なくともパターン転写精度、位置精度を得る観点から高平坦度となるように表面加工されている。EUV露光用の場合、ガラス基板11の転写パターンが形成される側の主表面142mm×142mmの領域において、平坦度が0.1μm以下であることが好ましく、特に好ましくは0.05μm以下である。また、転写パターンが形成される側と反対側の主表面は、露光装置にセットする時に静電チャックされる面であって、142mm×142mmの領域において、平坦度が1μm以下、好ましくは0.5μm以下である。
【0076】
また、上記多層反射膜付き基板のガラス基板11としては、上記のとおり、SiO
2−TiO
2系ガラスなどの低熱膨張係数を有する素材が用いられるが、このようなガラス素材は、精密研磨により、表面粗さとして例えばRMSで0.1nm以下の高平滑性を実現することが困難である。そのため、
図7に示すように、ガラス基板11の表面粗さの低減、若しくはガラス基板11表面の欠陥を低減する目的で、ガラス基板11の表面に下地層21を形成することが好適である。このような下地層21の材料としては、露光光に対して透光性を有する必要はなく、下地層表面を精密研磨した時に高い平滑性が得られ、欠陥品質が良好となる材料が好ましく選択される。例えば、Si又はSiを含有するケイ素化合物(例えばSiO
2、SiONなど)は、精密研磨した時に高い平滑性が得られ、欠陥品質が良好なため、好ましく用いられる。特にSiが好ましい。
【0077】
下地層21の表面は、マスクブランク用基板として要求される平滑度となるように精密研磨された表面とすることが好適である。下地層21の表面は、二乗平均平方根粗さ(RMS)で0.15nm以下、特に好ましくは0.1nm以下となるように精密研磨されることが望ましい。また、下地層21の表面は、下地層21上に形成する多層反射膜の表面への影響を考慮すると、最大表面粗さ(Rmax)との関係において、Rmax/RMSが2〜10であることが良く、特に好ましくは、2〜8となるように精密研磨されることが望ましい。
下地層21の膜厚は、例えば75nm〜300nmの範囲が好ましい。
【0078】
[マスクブランク]
本発明は、上記構成の多層反射膜付き基板における前記多層反射膜上に、転写パターンとなる吸収体膜が形成されている反射型マスクブランク、マスクブランク用ガラス基板上に、転写パターンとなる薄膜が形成されているマスクブランクについても提供する。
上記多層反射膜付き基板は、反射型マスクを製造するための反射型マスクブランク、すなわち、基板上に露光光(EUV光)を反射する多層反射膜と、露光光(EUV光)を吸収するパターン形成用の吸収体膜とを順に備える反射型マスクブランク用の基板として用いることができる。
図8は、
図7の基準マーク13が形成された多層反射膜付き基板30における多層反射膜31上に、保護層(キャッピング層)32及びEUV光を吸収するパターン形成用の吸収体膜41が形成されている反射型マスクブランク40を示す。なお、ガラス基板11の多層反射膜等が形成されている側とは反対側に裏面導電膜42が設けられている。
【0079】
上記吸収体膜41は、露光光である例えばEUV光を吸収する機能を有するもので、例えばタンタル(Ta)単体又はTaを主成分とする材料が好ましく用いられる。Taを主成分とする材料としては、TaとBを含む材料、TaとNを含む材料、TaとBを含み、更にOとNの少なくとも何れかを含む材料、TaとSiを含む材料、TaとSiとNを含む材料、TaとGeを含む材料、TaとGeとNを含む材料、等が用いられる。
【0080】
また、通常、上記吸収体膜41のパターニング或いはパターン修正の際に多層反射膜を保護する目的で、多層反射膜と吸収体膜との間に上記保護膜32やバッファ膜を設ける。保護膜の材料としては、ケイ素のほか、ルテニウムや、ルテニウムにニオブ、ジルコニウム、ロジウムのうち1以上の元素を含有するルテニウム化合物が用いられ、バッファ膜の材料としては、主に前記のクロム系材料が用いられる。
また、本発明は、
図19に示すように、EUV光を吸収する吸収体膜41に本発明の基準マーク13が形成されている反射型マスクブランク45についても提供する。なお、
図19において、
図8と同等箇所には同一符号を付した。
図19においては、保護膜32が露出するように吸収体膜41を除去して基準マーク13が形成されている例を示すが、吸収体膜41の途中まで除去して基準マーク13を形成したり、吸収体膜41と保護膜32を除去して多層反射膜31が露出するように基準マーク13を形成したり、吸収体膜41、保護膜32、多層反射膜31を除去して基板11が露出するように基準マーク13を形成してもよい。
【0081】
図9は、ガラス基板11上に、遮光膜51が形成されているバイナリマスクブランク50を示す。本発明の基準マーク13は遮光膜51に形成されている。
また、図示していないが、ガラス基板11上に、位相シフト膜、あるいは位相シフト膜及び遮光膜を備えることにより、位相シフト型マスクブランクが得られる。また、ガラス基板11の表面に必要に応じて前記下地層21を設ける構成としてもよい。
この遮光膜は、単層でも複数層(例えば遮光層と反射防止層との積層構造)としてもよい。また、遮光膜を遮光層と反射防止層との積層構造とする場合、この遮光層を複数層からなる構造としてもよい。また、上記位相シフト膜についても、単層でも複数層としてもよい。
【0082】
このようなマスクブランクとしては、例えば、クロム(Cr)を含有する材料により形成されている遮光膜を備えるバイナリマスクブランク、遷移金属とケイ素(Si)を含有する材料により形成されている遮光膜を備えるバイナリマスクブランク、タンタル(Ta)を含有する材料により形成されている遮光膜を備えるバイナリ型マスクブランク、ケイ素(Si)を含有する材料、あるいは遷移金属とケイ素(Si)を含有する材料により形成されている位相シフト膜を備える位相シフト型マスクブランクなどが挙げられる。
【0083】
上記クロム(Cr)を含有する材料としては、クロム単体、クロム系材料(CrO,CrN,CrC,CrON,CrCN,CrOC,CrOCN等)が挙げられる。
上記タンタル(Ta)を含有する材料としては、タンタル単体のほかに、タンタルと他の金属元素(例えば、Hf、Zr等)との化合物、タンタルにさらに窒素、酸素、炭素及びホウ素のうち少なくとも1つの元素を含む材料、具体的には、TaN、TaO,TaC,TaB,TaON,TaCN,TaBN,TaCO,TaBO,TaBC,TaCON,TaBON,TaBCN,TaBCONを含む材料などが挙げられる。
【0084】
上記ケイ素(Si)を含有する材料としては、ケイ素に、さらに窒素、酸素及び炭素のうち少なくとも1つの元素を含む材料、具体的には、ケイ素の窒化物、酸化物、炭化物、酸窒化物、炭酸化物、あるいは炭酸窒化物を含む材料が好適である。
また、上記遷移金属とケイ素(Si)を含有する材料としては、遷移金属とケイ素を含有する材料のほかに、遷移金属及びケイ素に、さらに窒素、酸素及び炭素のうち少なくとも1つの元素を含む材料が挙げられる。具体的には、遷移金属シリサイド、または遷移金属シリサイドの窒化物、酸化物、炭化物、酸窒化物、炭酸化物、あるいは炭酸窒化物を含む材料が好適である。遷移金属には、モリブデン、タンタル、タングステン、チタン、クロム、ハフニウム、ニッケル、バナジウム、ジルコニウム、ルテニウム、ロジウム、ニオブ等が適用可能である。この中でも特にモリブデンが好適である。
【0085】
[マスク]
本発明は、上記構成の反射型マスクブランクにおける前記吸収体膜がパターニングされている反射型マスク、上記構成のマスクブランクにおける前記薄膜がパターニングされているマスクについても提供する。
図10は、
図8の反射型マスクブランク40における吸収体膜41がパターニングされた吸収体膜パターン41aを備える反射型マスク60を示す。
【0086】
また、
図11は、
図9のバイナリマスクブランク50における遮光膜51がパターニングされた遮光膜パターン51aを備えるバイナリマスク70を示す。
マスクブランクにおける転写パターンとなる上記吸収体膜または上記遮光膜等の薄膜をパターニングする方法は、フォトリソグラフィー法が最も好適である。
なお、図示していないが、上述のマスクブランク用ガラス基板上に、位相シフト膜、あるいは位相シフト膜及び遮光膜を備える構造の位相シフト型マスクブランクにおいても、転写パターンとなる薄膜をパターニングすることにより、位相シフト型マスクが得られる。
【実施例】
【0087】
以下、実施例により、本発明の実施の形態を更に具体的に説明する。
(実施例1)
両面研磨装置を用い、酸化セリウム砥粒やコロイダルシリカ砥粒により段階的に研磨し、低濃度のケイフッ酸で基板表面を表面処理したSiO
2−TiO
2系のガラス基板(大きさが約152.4mm×約152.4mm、厚さが約6.35mm)を準備した。得られたガラス基板の表面粗さは、二乗平均平方根粗さ(RMS)で0.25nmであった(原子間力顕微鏡にて測定した。測定領域は1μm×1μm。)。
【0088】
このガラス基板の表裏両面の表面形状(表面形態、平坦度)を平坦度測定装置(トロッペル社製UltraFlat)で測定( 測定領域148mm×148mm)した結果、ガラス基板表面及び裏面の平坦度は約290nmであった。
次に、ガラス基板表面に局所表面加工を施し表面形状を調整した。
得られたガラス基板表面の表面形状( 表面形態、平坦度)と表面粗さを測定したところ、142mm×142mmの測定領域において、表裏面の平坦度は80nmで、100nm以下 となっており良好であった。
【0089】
次に、BドープSiターゲットを使用し、スパッタリングガスとしてArガスとHeガスの混合ガスを使用し、DCマグネトロンスパッタリングにより、100nmのSi下地層を成膜した後、Si膜に熱エネルギーを付与して応力低減処理を行った。
【0090】
その後、Si下地層表面について、表面形状を維持し、表面粗さを低減するため、片面研磨装置を用いた精密研磨を行った。
得られたSi下地層表面の表面形状(表面形態、平坦度)と表面粗さを測定したところ、142mm×142mmの測定領域において、80nmで、100nm以下となっており良好であった。また、表面粗さは、1μm×1μmの測定領域において、二乗平均平方根粗さRMSで0.08nmとなっており極めて良好であった。RMSで0.1nm以下と極めて高い平滑性を有しているので、高感度の欠陥検査装置におけるバックグランドノイズが低減し、擬似欠陥検出抑制の点でも効果がある。
また、最大表面粗さ(Rmax)は、1μm×1μmの測定領域において、0.60nmで、Rmax/RMSは7.5となっており、表面粗さのばらつきは小さく良好であった。
【0091】
次に、Si下地層上に、イオンビームスパッタリング装置を用いて、Si膜(膜厚:4.2nm)とMo膜(膜厚:2.8nm)を一周期として、40周期積層して多層反射膜(総膜厚280nm)を形成し、多層反射膜付き基板を得た。
【0092】
次に、上記多層反射膜の表面の所定の箇所に以下の表面形状で断面形状が凹形状の基準マークを形成した。基準マークの形成は集束イオンビームを用いて行った。この時の条件は加速電圧50kV、ビーム電流値20pAとした。
なお、本実施例では、基準マークとして、前述のメインマークと補助マークを
図2に示すような配置関係となるように形成した。メインマーク13aは、大きさが5μm×5μmの矩形、深さは多層反射膜を構成する全ての層を除去したので、約280nmとした。また、補助マーク13b,13cはいずれも、大きさが1μm×200μmの矩形、深さは多層反射膜を構成する全ての層を除去したので、約280nmとした。
【0093】
基準マークの断面形状を原子間力顕微鏡(AFM)により観察したところ、
図12に示すように、側壁の傾斜角度が85度、多層反射膜表面と側壁との間の稜線部の曲率半径が約250nmと良好な断面形状であった。
多層反射膜に形成したこの基準マークは、電子線描画装置やブランクス検査装置で、コントラストが0.025と高く、精度良く検出でき、しかも欠陥検出位置のばらつきも83nmで100nm以下となり再現性良く検出できることを確認した。
【0094】
次に、多層反射膜表面をブランクス欠陥検査装置(KLA−Tencor社製Teron600シリーズ)で欠陥検査を行った。この欠陥検査では、上述の基準マークを基準として、基準点を決定し、決定した基準点との相対位置に基づく凸、凹の欠陥位置情報と、欠陥サイズ情報を取得し、欠陥マップを作成した。多層反射膜付き基板と、これら欠陥位置情報、欠陥サイズ情報とを対応させた欠陥情報(欠陥マップ)付き多層反射膜付き基板を得た。この多層反射膜付き基板の多層反射膜表面の反射率を、EUV反射率計により評価したところ、下地層表面粗さばらつきが抑えられたことにより、67%±0.2%と良好であった。
【0095】
次に、DCマグネトロンスパッタリング装置を用いて、多層反射膜上にRuNbからなるキャッピング層(膜厚:2.5nm)と、TaBN膜(膜厚:56nm)とTaBO膜(膜厚:14nm)の積層膜からなる吸収体層を形成し、また、裏面にCrN導電膜(膜厚:20nm)を形成してEUV反射型マスクブランクを得た。
【0096】
得られたEUV反射型マスクブランクについて、ブランクス欠陥検査装置(KLA−Teccor社製Teron600シリーズ)で欠陥検査を行った。上述と同様に上述の基準マークを基準として、凸、凹の欠陥位置情報と、欠陥サイズ情報を取得し、EUV反射型マスクブランクと、これら欠陥位置情報、欠陥サイズ情報とを対応させた欠陥情報付きEUV反射型マスクブランクを得た。
【0097】
次に、この欠陥情報付きのEUV反射型マスクブランクを用いて、EUV反射型マスクを作製した。
まず、EUV反射型マスクブランク上に電子線描画用レジストをスピンコーティング法により塗布、ベーキングしてレジスト膜を形成した。
次に、EUV反射型マスクブランクの欠陥情報に基づいて、予め設計しておいたマスクパターンデータと照合し、露光装置を用いたパターン転写に影響のないマスクパターンデータに修正するか、パターン転写に影響があると判断した場合には、例えば欠陥をパターンの下に隠すように修正パターンデータを追加したマスクパターンデータに修正するか、修正パターンデータでも対応ができない欠陥については、マスク作製後の欠陥修正の負荷が低減できるマスクパターンデータに修正し、この修正されたマスクパターンデータに基づいて、上述のレジスト膜に対して電子線によりマスクパターンを描画、現像を行い、レジストパターンを形成した。本実施例では、上記基準マークと欠陥との相対位置関係が高い精度で管理できたので、マスクパターンデータの修正を高精度で行うことができた。
【0098】
このレジストパターンをマスクとし、吸収体層をフッ素系ガス(CF
4ガス)によりTaBO膜を、塩素系ガス(Cl
2ガス)によりTaBN膜をエッチング除去して、キャッピング層上に吸収体層パターンを形成した。
さらに、吸収体層パターン上に残ったレジストパターンを熱硫酸で除去し、EUV反射型マスクを得た。
この得られたEUV反射型マスクについてマスク欠陥検査装置(KLA−Tencor社製Teron600シリーズ)により検査したところ、多層反射膜上に凸欠陥は確認されなかった。
こうして得られた反射型マスクを露光装置にセットし、レジスト膜を形成した半導体基板上へのパターン転写を行う場合、反射型マスク起因の転写パターンの欠陥も無く、良好なパターン転写を行うことができる。
【0099】
(実施例2)
上記実施例1における基準マークを多層反射膜に形成せず、吸収体膜に形成した以外は実施例1と同様にして反射型マスクブランクを作製した。
基準マークの断面形状を原子間力顕微鏡(AFM)により観察したところ、実施例1と同様、側壁の傾斜角度が87度、吸収体膜表面の側壁との間の稜線部の曲率半径が約120nmと良好な断面形状であった。
また、吸収体膜に形成したこの基準マークは、電子線描画装置やブランクス欠陥検査装置で、コントラストが0.020と高く、精度良く検出でき、しかも欠陥検出位置のばらつきも81nmとなり、再現性よく検出できることを確認した。
【0100】
本実施例においては、基板上に多層反射膜が形成された多層反射膜付き基板の多層反射膜表面を、ブランクス欠陥検査装置(KLA−Tencor社製Teron600シリーズ)で、基板主表面の中心を基準にして欠陥検査を行い、吸収体膜が形成された反射型マスクブランクについて、上述と同様のブランクス欠陥検査装置を用いて基準マークを基準として、凸、凹の欠陥位置情報と、欠陥サイズ情報を取得し、最後に、多層反射膜付き基板の欠陥情報と反射型マスクブランクの欠陥情報において、欠陥が一致している複数の欠陥を元に照合することにより、反射型マスクブランクと、これら欠陥位置情報、欠陥サイズ情報とを対応させた欠陥情報付きEUV反射型マスクブランクを得た。
実施例1と同様に、EUV反射型マスクを作製した。この得られたEUV反射型マスクについてマスク欠陥検査装置(KLA−Tencor社製Teron600シリーズ)により検査したところ、多層反射膜上に凸欠陥は確認されなかった。
こうして得られた反射型マスクを露光装置にセットし、レジスト膜を形成した半導体基板上へのパターン転写を行う場合、反射型マスク起因の転写パターンの欠陥も無く、良好なパターン転写を行うことができる。
【0101】
(実施例3)
両面研磨装置を用い、酸化セリウム砥粒やコロイダルシリカ砥粒により段階的に研磨し、低濃度のケイフッ酸で基板表面を表面処理した合成石英基板(大きさが約152.4mm×約152.4mm、厚さが約6.35mm)を準備した。得られたガラス基板の表面粗さは、二乗平均平方根粗さ(RMS)で0.2nmであった。また、ガラス基板表面及び裏面の平坦度は約290nmであった。
【0102】
次に、上記ガラス基板上に、以下のようにしてTaN膜とTaO膜の積層からなる遮光膜を形成した。
ターゲットにタンタル(Ta)ターゲットを用い、キセノン(Xe)と窒素(N
2)の混合ガス雰囲気(ガス圧0.076Pa、ガス流量比 Xe:N
2=11sccm:15sccm)で、DC電源の電力を1.5kWとし、反応性スパッタリング(DCスパッタリング)により、TaN膜を膜厚44.9nmで成膜し、引き続いて、Taターゲットを用い、アルゴン(Ar)と酸素(O
2)の混合ガス雰囲気(ガス圧0.3Pa、ガス流量比 Ar:O
2=58sccm:32.5sccm)で、DC電源の電力を0.7kWとし、TaO膜を膜厚13nmで成膜することにより、TaN膜とTaO膜の積層からなるArFエキシマレーザー(波長193nm)用遮光膜を形成して、バイナリマスクブランクを作製した。なお、ArFエキシマレーザーに対する遮光膜の光学濃度は3.0、表面反射率は19.5%であった。
【0103】
次に、上記遮光膜の表面の所定の箇所に、実施例1と同様の基準マークを形成した。基準マークの形成は集束イオンビームを用いて行った。この時の条件は加速電圧50kV、ビーム電流値20pAとした。
基準マークの断面形状を原子間力顕微鏡(AFM)により観察したところ、実施例1と同様、側壁の傾斜角度が83度、遮光膜表面と側壁との間の稜線部の曲率半径が約300nmと良好な断面形状であった。
遮光膜に形成したこの基準マークは、電子線描画装置やブランクス検査装置で、コントラストが0.02と高く、精度良く検出でき、しかも欠陥検出位置のばらつきも80nmとなり再現性良く検出できることを確認した。
【0104】
得られたバイナリマスクブランクについて、ブランクス欠陥検査装置(KLA−Teccor社製Teron600シリーズ)で欠陥検査を行った。上述の遮光膜に形成した基準マークを基準として、凸、凹の欠陥位置情報と、欠陥サイズ情報を取得し、バイナリマスクブランクと、これら欠陥位置情報、欠陥サイズ情報とを対応させた欠陥情報付きバイナリマスクブランクを得た。
【0105】
次に、この欠陥情報付きのバイナリマスクブランクを用いて、バイナリマスクを作製した。
まず、バイナリマスクブランク上に電子線描画用レジストをスピンコーティング法により塗布、ベーキングしてレジスト膜を形成した。
次に、実施例1と同様、バイナリマスクブランクの欠陥情報に基づいて、予め設計しておいたマスクパターンデータと照合し、露光装置を用いたパターン転写に影響のないマスクパターンデータに修正するか、パターン転写に影響があると判断した場合には、修正パターンデータを追加したマスクパターンデータに修正するか、修正パターンデータでも対応ができない欠陥については、マスク作製後の欠陥修正の負荷が低減できるマスクパターンデータに修正し、この修正されたマスクパターンデータに基づいて、上述のレジスト膜に対して電子線によりマスクパターンを描画、現像を行い、レジストパターンを形成した。本実施例においても、上記基準マークと欠陥との相対位置関係が高い精度で管理できたので、マスクパターンデータの修正を高精度で行うことができた。
【0106】
このレジストパターンをマスクとし、フッ素系ガス(CF
4ガス)によりTaO膜を、塩素系ガス(Cl
2ガス)によりTaN膜をエッチング除去して、遮光膜パターンを形成した。
さらに、遮光膜パターン上に残ったレジストパターンを熱硫酸で除去し、バイナリマスクを得た。
この得られたバイナリマスクについてマスク欠陥検査装置((KLA−Tencor社製Teron600シリーズ)により検査したところ、ガラス基板上に凸欠陥は確認されなかった。
こうして得られたバイナリマスクを露光装置にセットし、レジスト膜を形成した半導体基板上へのパターン転写を行ったところ、転写パターンの欠陥も無く、良好なパターン転写を行えた。
【0107】
(比較例)
上記実施例1における基準マークのうちのメインマークの大きさを100nm×100nmの矩形としたこと以外は、実施例1と同様に、基準マークを形成した多層反射膜付き基板、反射型マスクブランク、反射型マスクを順に作製した。
この得られたEUV反射型マスクについてマスク欠陥検査装置(KLA−Tencor社製Teron600シリーズ)により検査したところ、多層反射膜上に数十個の凸欠陥が確認された。
多層反射膜上に数十個の凸欠陥が確認された原因を詳細に検討したところ、本比較例で作製した基準マークの検出再現性が悪く(特に欠陥欠陥検査装置において)、その欠陥情報に基づくマスクパターンデータの補正・修正を高精度で行うことができなかったためであることが判明した。
【0108】
(実施例4)
実施例1の多層反射膜付き基板の上記多層反射膜の表面の所定の箇所に断面形状が凹形状の基準マークを形成した。基準マークの形成は実施例1と同じくFIB(集束イオンビーム)を用いて行った。この時の条件は加速電圧50kV、ビーム電流値20pAとした。
本実施例では、上記基板の四辺の8箇所のエッジ座標を確認し、チルト補正して、基板の任意の角部に原点を設定した。そして、このようにエッジ基準で設定した原点からの所定の位置にFIBで基準マークを形成した。具体的には、エッジ基準で基板の任意の角部に設定した原点の両隣の端面のそれぞれのエッジから8000μm、8000μmの位置に基準マークを形成し、同様にして基板面内に全部で4箇所に形成した。
基準マークは前述のメインマークと補助マークとを
図16(a)に示すような配置関係となるように形成した。メインマーク13aは、大きさが5μm×5μmの矩形、深さは多層反射膜を構成する全ての層を除去したので、約280nmとした。また、補助マーク13b,13cはいずれも、大きさが1μm×120μmの矩形、深さは多層反射膜を構成する全ての層を除去したので、約280nmとした。
多層反射膜に形成したこの基準マークは、電子線描画装置やブランクス検査装置で、コントラストが実施例1と同程度に高く、上記基準マークの形成位置情報(基準マーク形成座標)を利用して、精度良く短時間で検出できることを確認した。
また、実施例1と対比して、基準マークの加工時間を約3割短縮することができた。
【0109】
(実施例5)
基準マークとして、大きさが5μm×5μmの矩形のメインマークのみとしたこと以外は、実施例3と同様にして多層反射膜付き基板に基準マークを形成した。
多層反射膜付き基板に形成したこの基準マークは、電子線描画装置やブランクス検査装置で、コントラストが実施例1と同程度に高く、上記基準マークの形成位置情報(基準マーク形成座標)を利用して、精度良く短時間で検出できることを確認した。
また、実施例1と比較して、基準マークの加工時間を、約6割短縮することができた。
【0110】
(実施例6)
基準マークとして、大きさが5μm×5μmの矩形のメインマークのみを、任意の位置に形成した。具体的には、基準マークは実施例1の多層反射膜付き基板の上記多層反射膜の表面の所定の箇所に断面形状が凹形状の基準マークとした。基準マークの形成は実施例1と同じくFIB(集束イオンビーム)を用いて行った。この時の条件は加速電圧50kV、ビーム電流値20pAとした。その後、高精度パターン位置測定装置(KLA-Tencor社製LMS−IPRO4)で基準マークの中心座標を計測した。その結果、 基板の左上コーナーを原点として、それぞれ、(8022μm、8011μm)、(7999μm、144005μm)、(144004μm、8017μm)、(143982μm、144010μm)の位置に形成されていることを確認した。
多層反射膜付き基板に形成したこの基準マークは、電子線描画装置やブランクス検査装置で、コントラストが実施例1と同程度に高く、上記基準マークの形成位置情報(基準マーク形成座標)を利用して、精度良く短時間で検出できることを確認した。
【0111】
なお、上述の実施例では、いずれも基準マークを集束イオンビームにより形成した例を挙げて説明したが、これに限定されない。前にも説明したとおり、フォトリソ法、レーザー光等による凹部形成、ダイヤモンド針を走査しての加工痕、微小圧子によるインデンション、インプリント法による型押しなどで形成することができる。
また、上述の実施例では、多層反射膜付き基板、反射型マスクブランクともに、下地層を形成した例を挙げて説明したが、これに限られない。下地層が形成されていない多層反射膜付き基板、反射型マスクブランクであっても構わない。