特許第6561102号(P6561102)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6561102
(24)【登録日】2019年7月26日
(45)【発行日】2019年8月14日
(54)【発明の名称】洗浄用のワイパーキット
(51)【国際特許分類】
   B65D 81/32 20060101AFI20190805BHJP
   B65D 83/08 20060101ALI20190805BHJP
   B65D 30/22 20060101ALI20190805BHJP
   B65D 75/62 20060101ALI20190805BHJP
   B65D 77/04 20060101ALI20190805BHJP
   A47L 13/17 20060101ALI20190805BHJP
【FI】
   B65D81/32 G
   B65D83/08 G
   B65D30/22 K
   B65D75/62 B
   B65D77/04 F
   A47L13/17 A
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-203494(P2017-203494)
(22)【出願日】2017年10月20日
(65)【公開番号】特開2018-203374(P2018-203374A)
(43)【公開日】2018年12月27日
【審査請求日】2017年10月20日
(31)【優先権主張番号】10-2017-0069241
(32)【優先日】2017年6月2日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】517369508
【氏名又は名称】ケイエム コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】KM Corp.
(74)【代理人】
【識別番号】110001494
【氏名又は名称】前田・鈴木国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】カン, セオン−ボン
(72)【発明者】
【氏名】リ, ジェイ−ヨン
【審査官】 矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】 韓国登録特許第10−1390978(KR,B1)
【文献】 特表2012−521331(JP,A)
【文献】 特開2015−199500(JP,A)
【文献】 特開2001−294264(JP,A)
【文献】 韓国登録特許第10−1360249(KR,B1)
【文献】 特表2013−532099(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 81/32−81/36
B65D 67/00−79/02
B65D 81/18−81/30
B65D 81/38
B65D 85/88
A47L 13/00−13/62
B65D 83/00
B65D 83/08−83/76
B65D 30/00−33/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイパーを収容するための内部空間を備えた外袋と、
前記外袋の内部の一側に設けられ、その内部に洗浄液が封入される内袋と、
前記内袋と連結され、前記外袋の封止口の方向へ延びた開封部材と、を含み、
前記開封部材が引っ張られることで前記内袋を破裂するように前記開封部材が前記内袋に連結され、
前記内袋の破裂時、前記洗浄液が排出されて前記外袋の内部で前記ワイパーに塗布され、
前記外袋の少なくとも一部がジグザグ形態で折り畳まれ、前記開封部材と連結される取っ手部を含み、
前記外袋の封止状態で前記取っ手部を前記外袋の外方へ引っ張る動作に連動して前記開封部材が引っ張られることによって前記内袋を破裂するように前記開封部材が前記内袋に連結されており、
前記取っ手部は、前記外袋の端部から離隔するように、前記外袋の縁部の一端と前記外袋の長手方向における中間箇所との間の区間に位置することを特徴とする洗浄用のワイパーキット。
【請求項2】
前記内袋には切取線が形成されており、
前記開封部材を引っ張ったとき、前記切取線に沿って前記内袋が破裂し、
前記切取線が、少なくとも一対の点線からなり、
前記一対の点線が、所定の幅を有して並んで形成された区間を含むことを特徴とする請求項1に記載の洗浄用のワイパーキット。
【請求項3】
前記内袋には切取線が形成されており、
前記開封部材を引っ張ったとき、前記切取線に沿って前記内袋が破裂し、
前記切取線が、少なくとも一対の点線からなり、
前記一対の点線が、前記内袋の一端から他端へ進むほど漸進的に幅が広くなるように形成されることを特徴とする請求項1に記載の洗浄用のワイパーキット。
【請求項4】
前記開封部材が、前記切取線に連結され、前記外袋の封止口の方向へ延びた樹脂リボン構造を有することを特徴とする請求項2または請求項3に記載の洗浄用のワイパーキット。
【請求項5】
前記内袋が、樹脂シートから形成され、
前記内袋の周縁のうち少なくとも一方の縁端が、前記外袋の一方の縁端に挟まれた状態で前記外袋とともに封止されたことを特徴とする請求項1に記載の洗浄用のワイパーキット。
【請求項6】
前記内袋が樹脂シートから形成され、前記樹脂シートの周縁が前記外袋の内面に封止され、
前記開封部材が、前記樹脂シートに連結され、前記外袋の封止口の反対方向へ延びた樹脂シートまたはリボン構造を有することを特徴とする請求項1に記載の洗浄用のワイパーキット。
【請求項7】
前記ワイパーは、繊維素材の織物または編物からなり、複数個が前記外袋の内部で前記内袋に隣接して積み重なり、
前記洗浄液が、揮発性化学溶剤であることを特徴とする請求項1に記載の洗浄用のワイパーキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄用のワイパーキットに関し、より詳しくは、ワイパー及び洗浄液を収容する袋の内部から洗浄液をワイパーへ排出する構造を改善した洗浄用のワイパーキットに関する。
【背景技術】
【0002】
通常、半導体製造装置、ディスプレイ製造装置、製薬装置などのように極度の清浄状態または無菌状態が求められる設備は、クリーンルーム内に設置される。このような設備は、汚染防止のために、清潔な専用ワイパー(Wiper)及び洗浄液によって洗浄され、常時清潔な状態を維持しなければならない。
【0003】
通常、クリーンルーム内で半導体ウェハーや装置、器具などを洗浄する用途で用いられるワイパーは、ほこりや水分などの吸着性に優れ、使用中におけるほこりの発生が抑制できる繊維素材から製織または編織される。
【0004】
このようなワイパーは、可撓性の樹脂袋(bag)などのような容器に封止包装されて流通される。作業者は、可撓性樹脂袋を開放してワイパーを取り出した後、別途の容器に保持されたエタノールやアセトンなどの化学溶剤洗浄液でワイパーを濡らして、洗浄対象物の表面を拭き取る方式で用いる。
【0005】
しかし、従来のワイパーでは、別途の容器に保持された危ない揮発性化学溶剤を容器から排出してワイパーを濡らす作業の時、安全事故が発生する恐れがある。そして、ワイパーの残留化学成分または高分子(オリゴマーなど)が揮発性化学溶剤によって溶出し、後の洗浄作業時、溶出した不揮発性残留物が洗浄被着面にそのまま残ってしまうという問題がある。また、作業者が、揮発性化学溶剤を、適正な使用量に調節しにくいため、溶剤の過飽和などの非効率的な洗浄作業となる恐れがある。
【0006】
前記のような問題に対処するための代案として、所定容量の洗浄液が予めワイパーに塗布されて飽和された状態で封止包装された製品が提案された。しかし、この製品は、容器内で洗浄液とワイパーとが長時間接触することによって、ワイパーの材料である繊維の汚染や損傷が発生し、放出されてしまう可能性のあるイオン及び不純物が増加するという短所がある。また、洗浄液に生物毒のような成分が含まれる場合、その効能が汚染によって低下してしまう恐れがある。
【0007】
他の代案として、特許文献1は、ワイパーを収容する外部容器と、前記外部容器内に収納されて洗浄液を収容する内部容器とを含み、使用者の手によって圧力が外部容器に加えられることによって内部容器に圧力が伝達され、内部容器を穿孔して開封することで、外部容器の内部で洗浄液をワイパーに排出する構造を有する洗浄装置を開示している。
【0008】
しかし、前記洗浄装置には、外部容器の取扱時、外部から加えられる強い物理的衝撃によって内部容器に望まない破裂が生じ、洗浄液がワイパーへ排出され、これによって商品価値を失うという弱点があることから、改善が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】韓国公開特許第1998−702916号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、洗浄液を収容する内部容器を破裂して開封する構造を改善した洗浄用のワイパーキットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を達成するため、本発明は、ワイパーを収容するための内部空間を備えた外袋と、前記外袋の内部の一側に設けられ、その内部に洗浄液が封入される内袋と、前記内袋と連結され、前記外袋の封止口の方向へ延びた開封部材と、を含み、前記開封部材が引っ張られることで前記内袋が破裂するように前記開封部材が前記内袋に連結され、前記内袋の破裂時、前記洗浄液が排出されて前記外袋の内部で前記ワイパーに塗布され、前記内袋には切取線が形成されており、前記開封部材を引っ張れば、前記切取線に沿って前記内袋が破裂することを特徴とする洗浄用のワイパーキットを提供する。
【0012】
前記切取線は、少なくとも一対の点線からなり、前記一対の点線は、所定の幅を有して並んで形成された区間を含み得る。
【0013】
代案として、前記切取線は、少なくとも一対の点線からなり、前記一対の点線は、前記内袋の一端から他端へ進むほど漸進的に幅が広くなるように形成され得る。
【0014】
前記開封部材は、前記切取線に連結され、前記外袋の封止口の方向へ延びた樹脂リボン構造を有し得る。
【0015】
前記内袋は、樹脂シートから形成され、前記内袋の周縁のうち少なくとも一方の縁端は、前記外袋の一方の縁端に介された状態で前記外袋とともに封止され得る。
【0016】
本発明の他の実施例によれば、前記外袋の少なくとも一部がジグザグ形態で折り畳まれ、前記開封部材と連結される取っ手部を含み、前記外袋の封止状態で前記取っ手部を前記外袋の外方へ引っ張る動作に連動して前記開封部材が引っ張られることによって前記内袋を破裂するように前記開封部材が前記内袋に連結されることを特徴とする洗浄用のワイパーキットが提供される。
【0017】
前記内袋は樹脂シートから形成され、前記樹脂シートの周縁が前記外袋の内面に封止され、前記開封部材は、前記樹脂シートに連結され、前記外袋の封止口の反対方向へ延びた樹脂シートまたはリボン構造からなり得る。
【0018】
前記ワイパーは、繊維素材の織物または編物からなり、複数個が前記外袋の内部で前記内袋と隣接して積み重なり、前記洗浄液は、揮発性化学溶剤であることが望ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明による洗浄用のワイパーキットは、以下のような効果を奏する。
【0020】
第一に、開封部材を引っ張れば、切取線によって内袋の破裂が容易かつ精度よく行われるため、開封部材の離脱や切断などによる破裂不能、破片発生の問題を防止することができる。
【0021】
第二に、使用時において開封部材を引っ張る動作だけで容易に洗浄液を排出してワイパーに洗浄液を塗布することができるため、使用が便利かつ安全な長所がある。
【0022】
第三に、製品の使用前、外部から強い物理的衝撃が加えられても、開封部材を意図的に引っ張らない限り、内袋の開封される問題が発生しないため、製品の安定性に優れている。
【0023】
第四に、外袋の封止状態で外袋の一部を引っ張ることで内袋を開封することができるため、化学溶剤の洗浄液から作業者を安全に保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、本発明の望ましい実施例による洗浄用のワイパーキットの構成を示した部分切開斜視図である。
図2図2は、図1の線A−A’に沿って見た断面図である。
図3図3は、図1において、内袋に形成された切取線のパターンを示した平面図である。
図4図4は、図1において、内袋に形成された切取線のパターンを示した平面図である。
図5図5は、図1において、内袋に形成された切取線のパターンを示した平面図である。
図6図6は、図2において、開封部材を引っ張って内袋を破裂し、開封した状態を示した断面図である。
図7図7は、本発明の他の実施例による洗浄用のワイパーキットの構成を示した部分切開斜視図である。
図8図8は、図7の線B−B’に沿って見た断面図である。
図9図9は、図8において、取っ手部を用いて開封部材を引っ張って内袋を破裂し、開封した状態を示した断面図である。
図10図10は、図7の変形例を示した断面図である。
図11図11は、図7の他の変形例を示した概略的な平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、添付された図面を参照して本発明の望ましい実施例を詳しく説明する。これに先立ち、本明細書及び請求範囲に使われた用語や単語は、通常的や辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者自らは発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に則して、本発明の技術的な思想に応ずる意味及び概念で解釈されねばならない。したがって、本明細書に記載された実施例及び図面に示された構成は、本発明のもっとも望ましい一実施例に過ぎず、本発明の技術的な思想のすべてを代弁するものではないため、本出願の時点においてこれらに代替できる多様な均等物及び変形例があり得ることを理解せねばならない。
【0026】
図1は、本発明の望ましい実施例による洗浄用のワイパーキットの構成を示した部分切開斜視図であり、図2は、図1の線A−A’に沿って見た断面図である。
【0027】
図1及び図2に示すように、本発明の望ましい実施例による洗浄用のワイパーキットは、ワイパー1が収容される外袋100と、外袋100の内部空間に設けられ、洗浄液2が封入される内袋101と、内袋101と連結され、外袋100の封止口104の方向へ延びた開封部材103と、を含む。
【0028】
外袋100は、ワイパー1及び内袋101を収容するための内部空間を備える。外袋100は、例えば、ポリエチレンを材料とする可撓性のラミネーション樹脂によって形成することが望ましい。ここで、ワイパー1は、クリーンルームの内部設備などを洗浄可能な繊維素材の織物または編物からなり、複数個が積み重なり、内袋101に隣接して配置される。
【0029】
外袋100の一方の縁端は、洗浄作業時においてワイパー1を取り出し得るように開封可能に構成される。外袋100の一方の縁端は、はさみなどによって切断して開封することができる。洗浄作業の際、必要な分だけのワイパー1のみを取り出し、残りは清潔に臨時保管できるよう、外袋100の封止口104側には幅方向に沿って突部と溝部との組からなるジッパー構造102を備え得る。
【0030】
内袋101は、外袋100の内部の一側面に連結され、その内部に洗浄液2が封入された状態で備えられる。内袋101を外袋100に連結及び固定するために、外袋100には所定の長さを有する固定用のリボン108が外袋100の一方の縁端に挟まれた状態で付加できる。
【0031】
内袋101は、例えば、透明ビニールなどのような樹脂シートから形成される。ここで、樹脂シートの周縁は、外袋100の内部の一側面に封止されることで洗浄液2が収容できる内部空間を形成する。ここで、洗浄液2としては、エタノールやアセトン、NMP、IPA、エタノールとアセトンとの混合液などのような洗浄用の化学溶剤を採用することが望ましい。
【0032】
内袋101の周縁のうち少なくとも一辺は、外袋100の縁端に挟まれた状態で外袋100とともに封止することがより望ましい。このような構成によれば、内袋101の一方の縁端を除いた残りの部分を封止した状態で、前記一方の縁端を介して内袋101の内部に洗浄液を収容し、この後、前記一方の縁端を外袋100の縁端の一部に挟んた状態で外袋100と内袋101とをともに封止することで、封止作業工数を減らすことができるという長所がある。
【0033】
開封部材103は、内袋101を成す樹脂シートの一部と一体に形成してもよく、内袋101を成す樹脂シートの一部に付着してもよい。開封部材103は、内袋101を成す樹脂シートから外袋100の封止口104の方向へ長く延びた樹脂リボン構造を有する。開封部材103の端部分は、外部に露出しないように外袋100の内部に収納することが望ましい。
【0034】
外袋100が開放された状態で開封部材103が外袋100の封止口104の方向へ引っ張られれば、開封部材103に連結された内袋101の樹脂シートの一部が破れながら内袋101が破裂して開封が行われる。
【0035】
図3に示したように、内袋101には内袋101の破裂が容易かつ精度よく行われるようにする切取線107が形成されている。開封部材103を図面の上方に引っ張れば、切取線107に沿って内袋101が破裂する。このような作用が可能となるように開封部材103は切取線107の少なくとも一部と連結されるように形成される。
【0036】
切取線107は、一対の点線が所定の幅(間隔)を置いて並んで形成された区間である第1切取部107aと、第1切取部107aに繋がり一対の点線が徐々に幅が細くなるように傾いて形成された第2切取部107bと、を含むことができる。この場合、開封部材103は、第2切取部107bと連結される。このような構造によれば、第2切取部107bの傾斜パターンによって第1 切取部107aの幅を多様に形成することができ、切取線107が精度よく切り離される効果がある。または、開封部材103が、図4に示したように切取線107を成す一対の点線と実質的に等しい幅で連結されることも可能である。
【0037】
図5に示したように、切取線107は少なくとも一対の点線形態からなり、一対の点線が内袋101の縁部の一端から他端へ進むほど漸進的に幅が広くなるパターンに形成できる。このような構造によれば、切取線107が柔らかい使用感で円滑に切り離され、破裂面積が充分確保できるという長所がある。
【0038】
図6には、本発明の望ましい実施例による洗浄用のワイパーキットの作動例が示されている。
【0039】
図6に示したように、開封部材103を引っ張れば、開封部材103に繋がれた内袋101の切取線107の部分が切り離されながら内袋101が破裂し開封されることで、洗浄液2が内袋101の外部へ排出される。排出された洗浄液2は、外袋100の内に収容されたワイパー1に吸収される。
【0040】
したがって、作業者は、クリーンルームの内部設備などの洗浄作業時、開封部材103を引っ張って迅速かつ安全にワイパー1に洗浄液2を塗布した後、外袋100を開封してワイパー1を取り出し、便利に洗浄作業を行うことができる。
【0041】
図7は、本発明の他の実施例による洗浄用のワイパーキットの構成を示した部分切開斜視図であり、図8は、図7の線B−B’に沿って見た断面図である。
【0042】
図7及び図8に示すように、本発明の他の実施例による洗浄用のワイパーキットは、ワイパー1が収容される外袋100と、外袋100の内部空間に設けられて洗浄液2が封入される内袋101と、内袋101に連結され、外袋100の封止口104の反対方向へ延びた開封部材103と、外袋100の一部として前記開封部材103に連結された取っ手部106と、を含む。
【0043】
外袋100は、ワイパー1及び内袋101を収容するための内部空間を備える。外袋100は、例えば、ポリエチレンを材料とする可撓性のラミネイション樹脂から形成することが望ましい。ここで、ワイパー1は、クリーンルームの内部設備などを洗浄できる繊維素材の織物または編物からなり、複数個が積み重なり、内袋101と隣接して配置される。
【0044】
外袋100の一方の縁端は、洗浄作業時においてワイパー1を取り出し得るように開封可能に構成される。外袋100の一方の縁端は、はさみなどで切断することで開封することができる。洗浄作業の際し、必要な分だけのワイパー1のみを取り出し、残りは清潔に臨時保管できるように、外袋100の封止口104側には幅方向に沿って突部と溝部との組からなるジッパー構造102’が備えられ得る。
【0045】
内袋101は、外袋100の内部の一側面に連結され、その内部に洗浄液2が封入されて備えられる。
【0046】
内袋101は、例えば、透明ビニールなどのような樹脂シートから形成される。この際、内袋101を成す樹脂シートの周縁は、外袋100の内部の一側面に封止されることで洗浄液2が収容可能な内部空間を形成する。ここで、洗浄液2としては、エタノール、NMP、IPA、アセトンとエタノールとの混合液や、アセトンなどのような洗浄用化学溶剤を採用することが望ましい。
【0047】
開封部材103は、内袋101を成す樹脂シートの一部と一体に形成してもよく、内袋101を成す樹脂シートの一部に付着してもよい。開封部材103は、内袋101を成す樹脂シートから外袋100の封止口104の反対方向へ長く延びた樹脂リボン構造を有する。開封部材103は、外部に露出しないように外袋100の内部に収納されて取っ手部106に連結される。
【0048】
取っ手部106は、外袋100の他方の縁端、即ち、封止口の反対方向の端部が外袋100の厚さ方向にジグザグ形態で折り畳まれて形成された折畳部105の一部である。取っ手部106は、折畳部105のジグザグ構造のうち、望ましくは、中間箇所に位置する部分であって、外袋100の封止口の反対方向に移動可能であり、開封部材103は前記取っ手部106の内面に封止されることで連結される。ここで、取っ手部106は、識別が容易となるようにそれに隣接した少なくとも一側の折畳部に比べて突出することが望ましい。
【0049】
取っ手部106を使用者が引っ張れば、それに連結された開封部材103が外袋100の封止口104の反対方向へ引かれる。
【0050】
前述の実施例と同様に内袋101には、内袋101の破裂を円滑にするための切取線(図3の107)が形成されている。開封部材103を引っ張れば、切取線107に沿って内袋101が破裂する。このような作用が可能となるように、開封部材103は切取線107の少なくとも一部と連結されるように形成される。
【0051】
切取線107は、一対の点線が所定の幅を有して並んで形成された第1切取部107aと、第1切取部107aに繋がり、一対の点線が徐々に幅が細くなるように傾いて形成された第2切取部107bと、を含む。ここで、開封部材103は、第2切取部107bに連結することが望ましい。
【0052】
したがって、使用者が取っ手部106を外袋100の外方へ引っ張れば、それに連結された開封部材103が引かれ、開封部材103に連結された切取線107が切り離されながら内袋101が破裂することで開封が行われる。このような構造によれば、外袋100が封止された状態で外袋100の一部である取っ手部106を引っ張って内袋101を開封することできるため、化学溶剤による作業者の安全事故を予防することができるという効果を奏する。
【0053】
図9には、前記のような構成を有する封止型の洗浄用のワイパーキットの作動例が示されている。
【0054】
図9に示したように、取っ手部106を引っ張れば、折畳部105に対して取っ手部106が若干広げられて引かれ、それに連動して開封部材103が引かれ、開封部材103に連結された内袋101の切取線107に集中的に力が加えられる。これによって、開封部材103に連結された切取線107部分の樹脂シートが破れ、内袋101が破裂し、開封されることで洗浄液2が内袋101の外部へ排出される。排出された洗浄液2は、外袋100内に収容されたワイパー1に吸収される。
【0055】
したがって、作業者は、クリーンルームの内部設備などの洗浄作業時において外袋100の一部を引っ張って外袋100の内部に位置した開封部材103を引っ張り、内袋101を容易に破裂し開封することで、迅速かつ安全にワイパー1に洗浄液2を塗布した後、外袋100を開封してワイパー1を取り出して便利に洗浄作業を行うことができる。
【0056】
図10に示したように、折畳部105及び取っ手部106’は、外袋100の端部から所定距離が離れた平面部の一側に配置されることも可能である。この場合、折畳部105及び取っ手部106’が外袋100の縁端に配置される場合に比べ、製品の全体サイズを増加させないながらも、開封部材103の長さを必要に応じて長く確保して内袋101の破裂長さを十分長くすることができるという長所がある。このような効果を考えれば、折畳部105及び取っ手部106’の位置は、外袋100の縁部の一端と外袋100の長手方向における中間箇所との間の区間に位置することが有利である。
【0057】
取っ手部106’は、前述の実施例と同様に折畳部105の一部として、別の小さいシートパッチをさらに付着して提供することができる。
【0058】
本発明のさらに他の実施例によれば、折畳部105及び取っ手部106が外袋100の両縁部に対称的に一対が設けられた洗浄用のワイパーキットが提供される。この場合、図11に示したように、外袋100の両縁部を外方へ同時に引っ張れば、開封部材103が両方へ引っ張れながら切取線107が切り離され、内袋101が破裂する。このような構造によれば、開封部材103が引かれる長さを相対的に短くしながらも破裂面積を充分確保できるという長所がある。
【0059】
上述のように本発明による洗浄用のワイパーキットは、開封部材103を引っ張る場合、切取線107が切り離されることで内袋101の破裂が容易かつ精度よく行われ、開封部材103の損傷を防止することができる。
【0060】
以上、本発明を限定された実施例と図面によって説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の属する技術分野で通常の知識を持つ者によって本発明の技術思想と特許請求の範囲の均等範囲内で多様な修正及び変形が可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0061】
1 ワイパー
2 洗浄液
100 外袋
101 内袋
102、102’ ジッパー構造
103 開封部材
105 折畳部
106、106’ 取っ手部
104 封止口
107 切取線
107a 第1切取部
107b 第2切取部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11