(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は、高精細、薄型、軽量、及び低消費電力等の優れた特長を有する平面表示装置であり、薄型テレビ、パソコンモニタ、デジタルサイネージ等に幅広く利用される。液晶表示装置の表示部には、TFT(薄膜トランジスタ)等のスイッチング素子を用いた液晶表示パネルが広く使用されている。
【0003】
液晶表示パネルはマトリクス状に配列された画素を備え、該画素は画素電極を有している。スイッチング素子は、画素電極に接続されている。また、液晶表示パネルは、行方向に並設され、各列のスイッチング素子夫々にデータ信号を印加するための複数の第1データ信号線と、列方向の一端部側に配され、該複数の第1データ信号線夫々の一端が接続されたソースドライバとを備える。ここで、第1データ信号線が断線した場合には、断線した部分から列方向の他端部側のスイッチング素子にデータ信号を印加できないこととなる。
【0004】
したがって、特許文献1に記載の液晶表示パネルは、更に、列方向の一端部において、複数の前記第1データ信号線に重なっている第2データ信号線を備える。第2データ信号線は、一つのソースドライバにつき一本設けられている。また、列方向の他端部において、複数の前記第1データ信号線に重なっている第3データ信号線を備える。第2データ信号線及び第3データ信号線は、互いに接続されている。第1データ信号線が断線した場合、第2データ信号線が、断線した第1データ信号線に重なる部分において、該第1データ信号線にメルト接続される。また、第3データ信号線が、断線した第1データ信号線に重なる部分において、該第1データ信号線にメルト接続される。これにより、ソースドライバから出力されたデータ信号は、第2データ信号線及び第3データ信号線を介して、断線部分から列方向の他端部側のスイッチング素子に印加される。
【0005】
特許文献2に記載の液晶表示装置は、複数の第3データ信号線(補償用ライン)と、ソースドライバに設けられ、第3データ信号線にデータ信号を供給する補償出力部とを備える。また、該液晶表示装置は、アドレス設定に基づいて、断線した第1データ信号線に対応するデータを供給するようにソースドライバを制御する制御手段を備える。これにより、第2データ信号線を設けず、第1データ信号線の複数の断線に対応している。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示の実施形態についてその実施形態を示す図面に基づいて詳述する。
(実施形態1)
図1は、実施の形態1に係る液晶表示装置の構成を示すブロック図である。
図1に示す液晶表示装置は、一面に画素P(図において破線で囲って示す)が、列方向(
図1の上下方向)及び行方向(
図1の左右方向)にマトリクス状に配列された液晶パネル100を備える。なお、
図1においては、画素Pの一部を示している。
【0013】
画素Pは、画素電極10と、該画素電極10に液晶層(不図示)を介して対向する対向電極(不図示)とを有する。画素電極10には、TFT(Thin Film Transistor)11のドレイン電極が接続されている。画素電極10及び対向電極により、液晶容量が形成される。
【0014】
画素Pの各列において、画素Pの行方向における一の側方には、第1ソースラインSL1aが配され、他の側方には第1ソースラインSL1bが配されている。即ち、液晶パネル100においては、複数の第1ソースラインSL1a,SL1a,・・・及び第1ソースラインSL1b,SL1b,・・・が行方向に交互に並設されている。各列において、列方向一つおきの画素Pに係るTFT11のソース電極は、前記一の側方に位置する第1ソースラインSL1aに接続されている。また、各列の残りの画素Pに係るTFT11のソース電極は、前記他の側方に位置する第1ソースラインSL1bに接続されている。即ち、液晶パネル100は、いわゆるダブルソースパネルである。なお、
図1においては、ソースラインの一部のみを示している。
【0015】
液晶パネル100には、走査信号を印加するための複数のゲートラインGL,GL,・・・が行方向に並設されている。TFT11のゲート電極は、ゲートラインGLに接続されており、行方向に並ぶ画素Pに係るTFT11のゲート電極は、同一のゲートラインGLに接続されている。なお、
図1においては、一部のゲート線のみを示している。
【0016】
ソースラインSL1a及びSL1bは、行方向に三つのグループに分かれており、各グループごとにソースドライバSDが設けられている。ソースドライバSDは、列方向の一端側において液晶パネル100の外側に配され、行方向に並設されている。各ソースドライバSDには、対応する各ソースラインSL1a及びSL1bの一端が接続されている。各ソースドライバSDは、接続された第1ソースラインSL1a及びSL1bにデータ信号を印加する。
【0017】
液晶表示装置は、行方向の一端側において液晶パネル100の外側において配され、各ゲートラインGLの一端が接続されたゲートドライバGDを備える。ゲートドライバGDは、走査信号を各ゲートラインGLに印加する。
【0018】
更に、液晶パネル100には、列方向の一端側において、三つのソースドライバSD夫々に対応して、二本の第2ソースラインSL2x及びSL2yが配されている。二本の第2ソースラインSL2x及びSL2yの一端は、対応するソースドライバSDに接続配線20を介して接続されている。第2ソースラインSL2x及びSL2yは夫々、絶縁膜(不図示)を介して、対応するソースドライバSDに接続された第1ソースラインSL1a及びSL1bのすべてに重なっている。なお、第2ソースラインSL2x及びSL2yは夫々、接続配線20と一体形成されていてもよい。
【0019】
また、液晶パネル100には、列方向の他端側において、六本の第3ソースラインSL3が並設されている。第3ソースラインSL3は、全ての第1ソースラインSL1a及びSL1bに絶縁膜(不図示)を介して重なっている。また、各ソースドライバSDは、二本の第3ソースラインSL3夫々に接続配線21を介して接続されている。また、各接続配線20及び各接続配線21は、例えばソースドライバSD内に設けられたバッファ(不図示)を介して接続されており、データ信号の伝達が可能となっている。なお、第3ソースライン及び接続配線21は一体形成されていてもよい。
【0020】
図2は、二本の第2ソースラインSL2x及びSL2yを示す模式図である。
図2においては、画素P及びゲートラインGLの図示を省略している。第2ソースラインSL2xは、第2ソースラインSL2y側に突出し、行方向に並設された複数の凸部30a,30a,・・・を有する。各凸部30aは、第1ソースラインSL1aに重なっている。また、凸部30a間には、隣り合う凸部30aにより凹部30bが形成されている。即ち、第2ソースラインSL2xの線幅は、凹部30bにおいて凸部30aよりも細く設計されている。
【0021】
第2ソースラインSL2yは、凹部30bに対向する部分に設けられ、凹部30bに挿入される凸部31aを有する。該凸部31a間には、隣り合う凸部31aにより凹部31bが形成されている。即ち、第2ソースラインSL2yの線幅は、凹部31bにおいて凸部31aよりも細く設計されている。各凸部31aは、第1ソースラインSL1aに隣り合う第1ソースラインSL1bに重なっている。
【0022】
第2ソースラインSL2xの凸部30aは、第2ソースラインSL2yの凹部31bに挿入され、第2ソースラインSL2yの凸部31aは、SL2xの凹部30bに挿入されている。凸部30a及び31aは、第1凸部及び第2凸部をなし、凹部30b及び31bは、第1凹部及び第2凹部をなす。
【0023】
図1に示すように、液晶表示装置は、ゲートドライバGD及びソースドライバSDを用いて液晶パネル100による表示を制御する表示制御回路4を備える。表示制御回路4は、画像を表す画像データを含む画像信号を受け付ける画像信号入力回路40と、画像信号入力回路40によって分離されたクロック信号及び同期信号に基づいてゲートドライバGD及びソースドライバSD夫々を制御するゲートドライバ制御回路41及びソースドライバ制御回路42とを有する。
【0024】
ゲートドライバ制御回路41及びソースドライバ制御回路42夫々は、ゲートドライバGD及びソースドライバSDの周期的な動作に必要となるスタート信号、クロック信号、イネーブル信号等の制御信号を生成する。ソースドライバ制御回路42は、また、画像信号入力回路40によって分離されたデジタルの画像データをソースドライバSDへ出力する。
【0025】
ゲートドライバGDは、画像データの1フレーム期間内に、各ゲートラインGLに所定の時間差で順次二本ずつ走査信号を印加する。ゲートラインGLに印加された走査信号は、行方向に配列された1ライン分の画素P,P,・・P夫々に含まれるTFT11のゲート電極に印加される。
【0026】
ソースドライバSDは、ソースドライバ制御回路42から与えられたデジタルの画像データを1水平走査期間だけ蓄積して1ライン分の画像を表すデータ信号を生成する。生成されたデータ信号は、第1ソースラインSL1a及びSL1b夫々に並列的に印加される。
【0027】
第1ソースラインSL1aに印加されたデータ信号は、対応するゲートラインGLに走査信号が印加される1水平走査期間に、TFT11を介して画素電極10に印加される。また、第1ソースラインSL1bに印加されたデータ信号は、対応するゲートラインGLに走査信号が印加される1水平走査期間に、TFT11を介して画素電極10に印加される。これにより、画素P夫々に形成された液晶容量にデータ信号が印加される。
【0028】
ここで、液晶表示装置の製造過程において、第1ソースラインSL1a及びSL1bのいずれかが断線した場合、表示不良となる虞があるため補修が必要となる。この場合、以下の如く第2ソースラインSL2x及びSL2yを用いることにより補修できる。
【0029】
図3は、第2ソースラインSL2x及びSL2yを使用した補修手順の説明図である。
図3においては、一の第1ソースラインSL1aに断線部分Aが生じ、隣り合う一の第1ソースラインSL1bに断線部分Bが生じている。
図3においては、画素P及びゲートラインGLの図示を省略している。
【0030】
断線部分Aが生じた一の第1ソースラインSL1aと、凸部30aにおいて該一の第1ソースラインSL1aと重なる第2ソースラインSL2xとが、互いに重なる領域において、例えばレーザーメルトによりメルト接続(図の斜線領域)される。また、前記一の第1ソースラインSL1aと、第2ソースラインSL2xに対応する第3ソースラインSL3とが、互いに重なる部分においてメルト接続される。これにより、ソースドライバSDから前記一の第1ソースラインSL1aに印加されたデータ信号が、断線部分Aから列方向の他端側の画素Pに係るTFT11に、第2ソースラインSL2xと、該第2ソースラインSL2xに対応する接続配線20,21及び第3ソースラインSL3とを介して印加される。
【0031】
また、断線部分Bが生じた一の第1ソースラインSL1bと、凸部31aにおいて該一の第1ソースラインSL1bと重なる第2ソースラインSL2yとが、互いに重なる領域においてメルト接続(図の斜線領域)される。前記一の第1ソースラインSL1bと、第2ソースラインSL2yに対応する第3ソースラインSL3とが、互いに重なる部分においてメルト接続される。これにより、ソースドライバSDから第1ソースラインSL1bに印加されたデータ信号が、断線部分Bから列方向の他端側の画素Pに係るTFT11に、第2ソースラインSL2yと、対応する接続配線20,21及び第3ソースラインSL3とを介して印加される。
【0032】
上記の構成によれば、二本の第2ソースラインSL2x及びSL2yは、凸部30a及び凸部31aを有し、該凸部30a及び凸部31aは、対応する凹部30b又は31b内に配置される。また、第2ソースラインSL2x及びSL2yは、凸部30a及び31aにおいて第1ソースラインSL1a及びSL1bとメルト接続する領域を確保できる。したがって、第2ソースラインSL2x及びSL2yは、凹部30b及び31bにおいては、メルトで接続できる領域を確保する必要がなく、より細く設計できる。また、二本の第2ソースラインSL2x及びSL2yを設けることにより、第1ソースラインSL1a及びSL1bの内、二本が断線した場合に対応できる。したがって、液晶パネル100の狭額縁化を可能とし、容易に第1ソースラインSL1a及びSL1bの断線の補修をすることができ、液晶表示装置の歩留まりを向上することができる。
【0033】
なお、断線部分は
図5に示す断線部分A、Bに限られず、第1ソースラインSL1aと第1ソースラインSL1bとを一本ずつ含む任意の二本の第1ソースラインSL1a及びSL1bに断線が生じた場合であっても同様に対応可能である。また、第2ソースラインは、三本以上であってもよく、接続配線20,21及び第3ソースラインは図示の本数に限られず、第2ソースラインに対応する本数であればよい。
【0034】
(実施形態2)
実施形態2においては、第2ソースラインに第4ソースラインが並設されている。実施の形態2に係る液晶表示装置の構成について、実施の形態1と同様な構成については、同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
図4は、二本の第2ソースラインSL2x,SL2y及び第4ソースラインを示す模式図である。
図4においては、画素P及びゲートラインGLの図示を省略している。
【0035】
実施形態2においては、実施の形態1と同様に第2ソースラインSL2x及びSL2yが並設されており、更に第4ソースラインSL4が、第2ソースラインSL2x及びSL2yに列方向に並設されている。また、第4ソースラインSL4は、並設される第2ソースラインSL2x及びSL2yと重なっている第1ソースラインSL1a及びSL1bに重なっている。液晶パネル100は、第2ソースラインSL2x及びSL2yと同様に、第4ソースラインSL4に対応する図示しない第3ソースラインを更に備える。該第3ソースライン及び第4ソースラインSL4は、第2ソースラインSL2x及びSL2yと同様に、図示しない配線及びソースドライバSDにおけるバッファにより接続されている。
【0036】
図5は、第2ソースラインSL2x、SL2y及び第4ソースラインSL4を使用した補修手順の説明図である。
図5においては、一の第1ソースラインSL1aに断線部分Aが生じ、隣り合う一の第1ソースラインSL1bに断線部分Bが生じている。更に、前記一の第1ソースラインSL1aと隣り合う他の第1ソースラインSL1bに断線部分Cが生じている。
【0037】
断線部分A及び断線部分Bが生じた第1ソースラインSL1a及びSL1b夫々においては、実施の形態1と同様に、第2ソースラインSL2x及びSL2yとメルト接続(図の斜線領域)し、対応する第3ソースラインSL3にメルト接続することにより断線を補修できる。断線部分Cが生じた第1ソースラインSL1bにおいては、第4ソースラインSL4において、該第1ソースラインSL1bと重なる領域がメルト接続(図の斜線領域)され、対応する第3ソースラインが接続されることにより、断線を補修できる。このように、第4ソースラインSL4は、第2ソースラインSL2x及びSL2yと同様に、断線の補修に使用される。したがって、実施の形態2においては、第1ソースラインSL1a及びSL1bの内の三本に断線が生じた場合に対応することができる。
【0038】
上記の構成によれば、実施の形態1と同様に、第2ソースラインSL2x及びSL2yをより細く設計できるので、第4ソースラインSL4を更に配した場合であっても、液晶表示装置の狭額縁化が可能である。また、二本の第2ソースラインSL2x、SL2y及び第4ソースラインSL4が並設されているので、第1ソースラインSL1a及びSL1bの内、三本が断線した場合に対応できる。
【0039】
なお、断線部分は
図5に示す断線部分A、B、Cに限られず、第1ソースラインSL1aと第1ソースラインSL1bとを少なくとも一本ずつ含む任意の三本の第1ソースラインSL1a及びSL1bに断線が生じた場合であっても同様に対応可能である。また、第4ソースラインは、二本以上であってもよく、上記配線及び第3ソースラインも第2ソースライン及び第4ソースラインの本数に対応した本数であればよい。
【0040】
なお、上述の実施の形態1及び実施の形態2において、ソースドライバの個数は、3個に限られず、2個以下又は4個以上であってもよい。また、液晶パネル100は、ダブルソースパネルに限られない。更に、凸部30a及び31aは、一本の第1ソースラインSL1a及びSL1bでなく、複数本の第1ソースラインSL1a及びSL1bに跨って重なるように形成されていてもよい。この場合、凹部30b、31bは、凸部30a、31aに対応した大きさとなる。また、一の凸部30aが重なる第1ソースラインSL1a,SL1bの数と、該一の凸部30aの隣に配置される凸部31aが重なる第1ソースラインSL1a,SL1bの数とが異なっていてもよい。
【0041】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。即ち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。