(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記遮光膜上に前記ハードマスク膜が積層した状態における前記ハードマスク膜の前記光に対する表面反射率から、前記遮光膜上に他の膜が積層していない状態における前記遮光膜の前記光に対する表面反射率を差し引いて算出した差が10%以下であることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のマスクブランク。
前記遮光膜上に前記ハードマスク膜が積層した状態における前記ハードマスク膜の前記光に対する表面反射率は、20%以上であることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のマスクブランク。
前記遮光膜上に他の膜が積層していない状態における前記遮光膜の前記光に対する表面反射率と、前記遮光膜上に前記ハードマスク膜が積層した状態における前記ハードマスク膜の前記光に対する表面反射率は、いずれも35%以下であることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載のマスクブランク。
前記透光性基板と前記遮光膜の間に光半透過膜を備え、前記光半透過膜の前記光における屈折率nは、前記下層の前記光における屈折率nよりも小さく、前記光半透過膜の前記光における消衰係数kは、前記下層の前記光における消衰係数kよりも小さいことを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載のマスクブランク。
前記光半透過膜は、前記光半透過膜を透過したArFエキシマレーザーの露光光に対し、前記光半透過膜の厚さと同じ距離の空気中を通過した前記露光光との間で所定の位相差を生じさせる機能を有することを特徴とする請求項9または10に記載のマスクブランク。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明者は、種々の位相シフト膜と遮光膜の組合せのマスクブランクに対して、欠陥検査を行い、鋭意検討を行った。その結果、本発明者は、所定波長の光(例えば、検査光)に対する膜の反射率が以下のような条件を満たす場合に、位相シフト膜の欠陥検査で検出された欠陥のサイズよりも、その欠陥と同じ位置において遮光膜の欠陥検査で検出された欠陥のサイズの方が大きくなる傾向があることを見出した。
【0021】
具体的には、位相シフト膜の上に遮光膜が積層した状態における遮光膜の表面反射率から、遮光膜が積層していない状態(位相シフト膜の表面が露出した状態)における位相シフト膜の表面反射率を差し引いて算出した差が10%以下である場合、位相シフト膜の欠陥検査で検出された欠陥サイズよりも、その欠陥と同じ位置において遮光膜の欠陥検査で検出された欠陥のサイズの方が大きくなる傾向があることを見出した。
【0022】
また、位相シフト膜の上に遮光膜が積層した状態における遮光膜の表面反射率が20%以上である場合、位相シフト膜の欠陥検査で検出された欠陥サイズよりも、その欠陥と同じ位置において遮光膜の欠陥検査で検出された欠陥のサイズの方が大きくなる傾向があることを見出した。
【0023】
さらに、位相シフト膜の上に他の膜が積層していない状態における位相シフト膜の表面反射率と、位相シフト膜の上に遮光膜が積層した状態における遮光膜の表面反射率がいずれも35%以下である場合、位相シフト膜の欠陥検査で検出された欠陥サイズよりも、その欠陥と同じ位置において遮光膜の欠陥検査で検出された欠陥のサイズの方が大きくなる傾向があることを見出した。
【0024】
なお、一般に、位相シフト膜の上に遮光膜が積層した状態における遮光膜の表面反射率は、透光性基板の上に他の膜を介さずに積層した遮光膜、あるいは、位相シフト膜以外の他の膜の上に積層した遮光膜の表面反射率とは、異なっている。したがって、これらの遮光膜の表面反射率が公知文献等に記載されている場合であっても、当業者が本発明に想到するための動機付けとはなり得ない。
【0025】
また、上記のような欠陥サイズの傾向は、位相シフト膜と遮光膜の積層構造を有するマスクブランクに限らず、他の2つ以上の膜の組み合わせの積層構造を有するマスクブランクにおいても、同様に見出された。例えば、透光性基板上に、第1の膜と第2の膜がこの順に積層した構造を有するマスクブランクにおいて、第1の膜上に第2の膜が積層した状態における第2の膜の所定波長の光に対する表面反射率から、第1の膜上に他の膜が積層していない状態における第1の膜の所定波長の光に対する表面反射率を差し引いて算出した差が10%以下である場合、第1の膜の欠陥検査で検出された欠陥のサイズよりも、その欠陥と同じ位置において第2の膜の欠陥検査で検出された欠陥のサイズの方が大きくなる傾向があることが見出された。
【0026】
さらに、透光性基板と第1の膜との間に他の膜が介在している場合においても、同様の傾向があることが見出された。例えば、透光性基板上に、第3の膜と第1の膜と第2の膜がこの順に積層した構造を有するマスクブランクにおいて、第1の膜上に第2の膜が積層した状態における第2の膜の所定波長の光に対する表面反射率から、第1の膜上に他の膜が積層していない状態における第1の膜の所定波長の光に対する表面反射率を差し引いて算出した差が10%以下である場合、第1の膜の欠陥検査で検出された欠陥のサイズよりも、その欠陥と同じ位置において第2の膜の欠陥検査で検出された欠陥のサイズの方が大きくなる傾向があることが見出された。
【0027】
以下、本発明の実施の形態に係るマスクブランク、転写用マスク、及びマスクブランクの製造方法について詳しく説明する。
【0028】
(マスクブランク)
図1は、マスクブランクの一例を示す断面図である。
図1に示すように、本実施形態のマスクブランク10は、透光性基板20上に、第1の膜12と第2の膜14がこの順に積層した構造を有する。第1の膜12および第2の膜14は、いずれも金属およびケイ素のうち1以上の元素を含有する材料で形成されている。
【0029】
第1の膜12上に第2の膜14が積層した状態における第2の膜14の所定波長の光に対する表面反射率から、第1の膜12上に他の膜が積層していない状態(第1の膜12が露出した状態)における第1の膜12の所定波長の光に対する表面反射率を差し引いて算出した差は、10%以下であることが好ましく、−10%以上+10%以下(絶対値で10%以下)であることがより好ましい。
【0030】
本実施形態のマスクブランクは、例えば、以下の構成の場合において好ましく適用できる。
(1)光半透過膜を備えるマスクブランクの場合
光半透過膜には、露光光を所定の透過率で透過させ、かつ所定の位相差を生じさせるハーフトーン位相シフト膜のほか、露光光を所定の透過率で透過させるが、透過した光に位相差を生じさせない光学特性を有する主にエンハンサ型マスクで用いられる膜もある。いずれの光半透過膜を備えるマスクブランクの場合においても、遮光帯を形成するための遮光膜が必要となることが多い。このため、透光性基板上に光半透過膜と遮光膜が順に積層した構成を備える場合が多い。光半透過膜を第1の膜12とし、遮光膜を第2の膜14とし、前記に示した本発明の第1の膜と第2の膜との間の関係を満たし、かつ各膜が本来求められている機能(光学特性、エッチング特性等)を満たすよう、光半透過膜と遮光膜を形成する材料をそれぞれ選定するとよい。
【0031】
遮光膜の上にハードマスク膜が積層された構成の場合は、遮光膜を第1の膜12とし、ハードマスク膜を第2の膜14とし、前記に示した本発明の第1の膜と第2の膜との間の関係を満たし、かつ各膜が本来求められている機能(光学特性、エッチング特性等)を満たすよう、遮光膜とハードマスク膜の材料をそれぞれ選定するとよい。
【0032】
透光性基板と光半透過膜との間にエッチングストッパー膜を備えた構成の場合、エッチングストッパー膜(第1の膜12)と光半透過膜(第2の膜14)を、前記に示した本発明の第1の膜と第2の膜との間の関係を満たし、かつ各膜が本来求められている機能(光学特性、エッチング特性等)を満たすよう、エッチングストッパー膜と光半透過膜の材料をそれぞれ選定するとよい。
【0033】
光半透過膜と遮光膜との間にエッチングストッパー膜を備えた構成の場合、光半透過膜(第1の膜12)とエッチングストッパー膜(第2の膜14)を、前記に示した本発明の第1の膜と第2の膜との間の関係を満たし、かつ各膜が本来求められている機能(光学特性、エッチング特性等)を満たすよう、光半透過膜とエッチングストッパー膜の材料をそれぞれ選定するとよい。また、エッチングストッパー膜(第1の膜12)と遮光膜(第2の膜14)を、前記に示した本発明の第1の膜と第2の膜との間の関係を満たし、かつ各膜が本来求められている機能(光学特性、エッチング特性等)を満たすよう、エッチングストッパー膜と遮光膜の材料をそれぞれ選定するとよい。
【0034】
光半透過膜を形成する材料としては、例えば、遷移金属を含有せずケイ素を含有する材料や、遷移金属およびケイ素を含有する材料(以下、これらを総称してケイ素系材料という。)が挙げられる。これらの材料に含有させる遷移金属としては、例えば、モリブデン、タングステン、チタン、タンタル、ジルコニウム、ハフニウム、ニオブ、バナジウム、コバルト、クロムおよびニッケルから選ばれる1以上の元素が挙げられる。光半透過膜は、露光光を所定の透過率で透過させることが求められるため、酸素および窒素から選ばれる1以上の元素を含有することが好ましい。
【0035】
光半透過膜に接して遮光膜が設けられたマスクブランクの構成である場合、遮光膜を形成する材料は、光半透過膜をパターニングするときに用いられるエッチングガスに対して、十分なエッチング選択性を有する材料を適用することが求められる。光半透過膜がケイ素系材料で形成される場合、遮光膜はフッ素系ガスによるドライエッチングに対して高い耐性を有する材料が好ましい。この場合、遮光膜は、クロムを含有する材料(以下、クロム系材料という。)で形成することが好ましい。このクロム系材料は、クロム単体、またはクロムに酸素、窒素、炭素、水素、フッ素およびホウ素から選ばれる1以上の元素を含有する材料であると好ましい。また、タンタルにハフニウムおよびジルコニウムから選ばれる1以上の元素を含有する材料(以下、TaHf系材料という。)も好ましい。クロム系材料やTaHf系材料で形成された遮光膜上にハードマスク膜を設ける構成の場合、ハードマスク膜は、ケイ素系材料で形成することが好ましい。
【0036】
一方、光半透過膜と遮光膜の間にエッチングストッパー膜を備える構成の場合、エッチングストッパー膜は、クロム系材料かTaHf系材料で形成することが好ましい。この場合、遮光膜は、ケイ素系材料で形成することが好ましく、タンタルを含有する材料(以下、タンタル系材料という。)で形成してもよい。このタンタル系材料は、タンタルに窒素、酸素、炭素、水素およびホウ素から選ばれる1以上の元素を含有する材料であると好ましい。また、遮光膜をケイ素系材料で形成し、その遮光膜上にハードマスク膜を設ける構成の場合、ハードマスク膜は、クロム系材料やTaHf系材料で形成することが好ましい。
【0037】
他方、透光性基板と光半透過膜との間にエッチングストッパー膜を備える構成の場合、エッチングストッパー膜は、透光性基板および光半透過膜の両方との間でエッチング選択性を有することが求められる。この場合、エッチングストッパー膜は、クロム系材料やTaHf系材料で形成することが好ましい。
【0038】
(2)バイナリ型マスクブランクの場合
バイナリ型マスクブランクは、透光性基板上に遮光膜とハードマスク膜が順に積層した構造を備える場合が多い。遮光膜(第1の膜12)とハードマスク膜(第2の膜14)を、前記に示した本発明の第1の膜と第2の膜との間の関係を満たし、かつ各膜が本来求められている機能(光学特性、エッチング特性等)を満たすよう、遮光膜とハードマスク膜の材料をそれぞれ選定するとよい。特に、基板掘込レベンソン型の位相シフトマスクに好適なバイナリ型マスクブランクとする場合、透光性基板と遮光膜の間に、エッチングストッパー膜を備える場合がある。この場合、エッチングストッパー膜(第1の膜12)と遮光膜(第2の膜14)を、前記に示した本発明の第1の膜と第2の膜との間の関係を満たし、かつ各膜が本来求められている機能(光学特性、エッチング特性等)を満たすよう、エッチングストッパー膜と遮光膜の材料をそれぞれ選定するとよい。
【0039】
このバイナリ型マスクブランクの遮光膜を形成する材料としては、クロム系材料ほか、遷移金属及びケイ素を含有する材料(以下、遷移金属シリサイド系材料という。)やタンタル系材料が好ましく用いられる。クロム系材料で遮光膜を形成し、この遮光膜の上にハードマスク膜を設ける構成の場合、ハードマスク膜は、ケイ素系材料、タンタル系材料、TaHf系材料が適用可能である。遷移金属シリサイド系材料で遮光膜を形成し、この遮光膜の上にハードマスク膜を設ける構成の場合、ハードマスク膜は、クロム系材料、タンタル系材料、TaHf系材料が適用可能である。タンタル系材料で遮光膜を形成し、この遮光膜の上にハードマスク膜を設ける構成の場合、ハードマスク膜は、クロム系材料が適用可能である。
【0040】
(3)反射型マスクブランクの場合
反射型マスクブランクは、基板上に露光光を反射する多層反射膜、多層反射膜を保護する保護膜、転写パターンを形成する吸収体膜がこの順に積層した構成を備えたものである。また、吸収体膜の上にハードマスク膜を備える構成や、保護膜と吸収体膜の間にバッファ膜を備える構成もある。例えば、保護膜(第1の膜12)と吸収体膜(第2の膜14)を、前記に示した本発明の第1の膜と第2の膜との間の関係を満たし、かつ各膜が本来求められている機能(光学特性、エッチング特性等)を満たすよう、保護膜と吸収体膜の材料をそれぞれ選定すると、本発明の効果を得ることができる。
【0041】
バッファ膜(第1の膜12)と吸収体膜(第2の膜14)を、前記に示した本発明の第1の膜と第2の膜との間の関係を満たし、かつ各膜が本来求められている機能(光学特性、エッチング特性等)を満たすよう、バッファ膜と吸収体膜の材料をそれぞれ選定するとよい。
また、吸収体膜(第1の膜12)とハードマスク膜(第2の膜14)を、前記に示した本発明の第1の膜と第2の膜との間の関係を満たし、かつ各膜が本来求められている機能(光学特性、エッチング特性等)を満たすよう、吸収体膜とハードマスク膜の材料をそれぞれ選定するとよい。
【0042】
露光光にEUV(Extreme Ultra Violet)光が適用される反射型マスクブランクの場合、保護膜にはルテニウムを含有する材料が好適であり、吸収体膜にはタンタル系材料やTaHf系材料が特に好ましく用いられる。タンタル系材料で吸収体膜を形成し、この吸収体膜の上にハードマスク膜を設ける構成の場合、ハードマスク膜は、クロム系材料が適用可能である。
タンタル系材料で吸収体膜を形成し、保護膜と吸収体膜の間にバッファ膜を備える構成の場合、バッファ膜はクロム系材料が適用可能である。
【0043】
前記所定波長は、488nm〜532nmであることが好ましい。
前記所定波長の光は、マスクブランクの欠陥検査装置において用いられる検査光であることが好ましい。
【0044】
第1の膜12上に第2の膜14が積層した状態における第2の膜14の所定波長の光に対する表面反射率は、20%以上であることが好ましい。
【0045】
第1の膜12は、露光光に対する透過率が1%以上である光半透過膜であることが好ましい。
光半透過膜は、前記光半透過膜を透過した露光光に対し、前記光半透過膜の厚さと同じ距離の空気中を通過した露光光との間で所定の位相差を生じさせる機能を有することが好ましい。
すなわち、第1の膜12は、ハーフトーン位相シフト膜であることが好ましい。
【0046】
第1の膜12は、ケイ素(Si)および窒素(N)を含有する材料で形成されていることが好ましい。そのような材料の例としては、MoSiN等が挙げられる。
【0047】
第2の膜14は、遮光膜であることが好ましい。
第2の膜14は、クロム(Cr)を含有し、さらに酸素(O)、窒素(N)および炭素(C)から選ばれる1以上の元素を含有する材料で形成されていることが好ましい。そのような材料の例としては、CrO、CrN、CrON、CrOCN、CrBON、CrBOCN等が挙げられる。
【0048】
前記光半透過膜および前記遮光膜の積層構造における露光光に対する光学濃度は、2.5以上であることが求められ、2.8以上であることが好ましい。このようなマスクブランクを用いて製造された転写用マスクであれば、露光装置を用いて半導体ウェハ上のレジスト膜にパターンを露光転写したときに、転写用マスクの転写用パターンが形成された領域以外の外周領域を透過した露光光によって、半導体ウェハ上のレジスト膜が影響を受けることを抑制できるからである。
【0049】
本実施形態のマスクブランク10において、第1の膜および第2の膜の各膜は、単層構造、2層以上の積層構造、膜の厚さ方向に組成傾斜した構造のいずれの膜構造を有していてもよい。
【0050】
本実施形態のマスクブランク10において、透光性基板20の材料の例としては、合成石英ガラスのほか、石英ガラス、アルミノシリケートガラス、ソーダライムガラス、低熱膨張ガラス(SiO
2−TiO
2ガラス等)などが挙げられる。合成石英ガラスは、ArFエキシマレーザー光(波長193nm)に対する透過率が高く、マスクブランクの基板(透光性基板)を形成する材料として特に好ましい。
【0051】
本発明のマスクブランクおよび転写用マスクに適用される露光光としては、ArFエキシマレーザー光、KrFエキシマレーザー光、i線光等を用いることが可能であり、特に制限はないが、ArFエキシマレーザー光を用いることが好ましい。
【0052】
(転写用マスク)
上記で説明したマスクブランク10の第1の膜12に第1のパターンを形成し、第2の膜14に第2のパターンを形成することによって、転写用マスクを製造することができる。第1の膜12への第1のパターンの形成、及び、第2の膜14への第2のパターンの形成には、公知のパターン形成方法を用いることが可能である。
【0053】
例えば、第2の膜14の表面に第1のパターンを有するレジスト膜を形成し、塩素系ガスと酸素ガスとの混合ガスを用いるドライエッチングによって、第2の膜14に第1のパターンを形成する。つぎに、第1のパターンを有するレジスト膜を剥離した後、第1のパターンを有する第2の膜14をマスクとして、フッ素系ガスを用いるドライエッチングによって、第1の膜12に第1のパターンを形成する。つぎに、第2の膜14の表面に第2のパターンを有するレジスト膜を形成し、塩素系ガスと酸素ガスとの混合ガスを用いるドライエッチングによって、第2の膜14に第2のパターンを形成する。これにより、第1の膜12へ第1のパターンを形成し、第2の膜14へ第2のパターンを形成することができる。
【0054】
なお、本発明の転写用マスクは、本発明のマスクブランクを用いて作製されるものである。このため、本発明の転写用マスクにおける透光性基板、第1の膜、及び第2の膜に係る諸特性は、上記で説明したマスクブランク10における透光性基板20、第1の膜12、及び第2の膜14と同様である。
【0055】
(マスクブランクの製造方法)
本実施形態のマスクブランクの製造方法は、以下の工程を備えている。
(1)透光性基板20上に、第1の膜12をスパッタリング法によって形成する工程。
(2)透光性基板20上に形成された第1の膜12に対し、検査光を照射して欠陥検査を行う第1欠陥検査工程。
(3)第1の膜12の上に第2の膜14をスパッタリング法によって形成する工程。
(4)第1の膜12の上に形成された第2の膜14に対し、検査光を照射して欠陥検査を行う第2欠陥検査工程。
【0056】
本実施形態のマスクブランクの製造方法において、第1の膜12および第2の膜14は、第1の膜12の上に第2の膜14が積層した状態における第2の膜14の所定波長の光に対する表面反射率から、第1の膜12の上に他の膜が積層していない状態における第1の膜12の所定波長の光に対する表面反射率を差し引いて算出した差が10%以下となる条件で形成される。
【0057】
第1の膜12上に第2の膜14が積層した状態における第2の膜14の所定波長の光に対する表面反射率は、20%以上であることが好ましい。
【0058】
第1の膜12および第2の膜14は、第1の膜12上に他の膜が積層していない状態における第1の膜12の所定波長の光に対する表面反射率と、第1の膜12上に第2の膜14が積層した状態における第2の膜14の所定波長の光に対する表面反射率がいずれも35%以下であることが好ましい。
【0059】
前記所定波長の光は、第1欠陥検査工程あるいは第2欠陥検査工程において用いられる欠陥検査装置の検査光であることが好ましい。
前記所定波長は、488nm〜532nmであることが好ましい。
【0060】
第1の膜12及び第2の膜14の欠陥検査には、公知のマスクブランク用欠陥検査装置を用いることが可能である。例えば、特許第3210654号公報に開示された欠陥検査装置を用いることが可能である。
【0061】
以下、実施例により、本発明について更に具体的に説明する。
(実施例1)
実施例1では、まず、合成石英ガラスからなる透光性基板上に、枚葉式スパッタ装置を用いて、モリブデン(Mo)とシリコン(Si)との混合ターゲット(原子%比 Mo:Si=11:89)を用い、アルゴンと窒素とヘリウムの混合ガス雰囲気で、反応性スパッタリング(DCスパッタリング)により、MoSiNからなる第1の膜(ハーフトーン位相シフト膜)を膜厚69nmで成膜した。位相シフト量測定装置(レーザーテック社 MPM193)を用い、このハーフトーン位相シフト膜のArF露光光の波長である波長193nmの光に対する透過率と位相シフト量をそれぞれ測定したところ、透過率が6.16%、位相シフト量が178.1度であった。
【0062】
透光性基板の上に第1の膜を成膜した後、欠陥検査装置(レーザーテック社、M1320)を用いて、第1の膜の欠陥の位置及びそのサイズを測定した。なお、この欠陥検査装置で使用されている検査光の波長は488nmである。次に、分光光度計(日立ハイテクノロジー社、U−4100)を用いて、波長200nmから800nmまでの光に対する第1の膜の表面反射率を測定した。
【0063】
次に、第1の膜の上に、下層、中間層、及び上層の3層からなる第2の膜(遮光膜)を成膜した。具体的には、枚葉式スパッタ装置で、クロム(Cr)ターゲットを用い、アルゴンと二酸化炭素と窒素とヘリウムの混合ガス雰囲気で、反応性スパッタリング(DCスパッタリング)により、CrOCN膜(下層)を膜厚30nmで成膜した。次に、下層の上に、枚葉式スパッタ装置で、クロム(Cr)ターゲットを用い、アルゴンと窒素の混合ガス雰囲気で、反応性スパッタリング(DCスパッタリング)により、CrN膜(中間層)を膜厚4nmで成膜した。次に、中間層の上に、枚葉式スパッタ装置で、クロム(Cr)ターゲットを用い、アルゴンと二酸化炭素と窒素とヘリウムの混合ガス雰囲気で、反応性スパッタリング(DCスパッタリング)により、CrOCN膜(上層)を膜厚14nmで成膜した。なお、このハーフトーン位相シフト膜と遮光膜の積層構造におけるArF露光光(波長193nm)に対する光学濃度は3以上であった。
【0064】
第1の膜の上に第2の膜を成膜した後、欠陥検査装置(レーザーテック社、M1320)を用いて、第2の膜の欠陥の位置及びそのサイズを測定した。また、分光光度計を用いて、波長200nmから800nmまでの光に対する第1の膜の上に積層した状態における第2の膜の表面反射率を測定した。
【0065】
以下の表1に、上記で作製した実施例1のマスクブランクの構成、膜材料、光学特性、及び成膜条件を示す。なお、第1の膜と第2の膜の波長488nm及び波長532nmの光に対する各光学特性(屈折率n及び消衰係数k)については、光学式薄膜特性測定装置(n&kテクノロジー社、n&k1280)を用いて算出した。ただし、透光性基板上に第1の膜のみ形成したものと、透光性基板上に第2の膜のみ形成したものを別に準備し、これらを用いて第1の膜と第2の膜の各光学特性を算出している。この光学特性の算出に関しては、以降の各実施例および比較例においても同様である。
【0067】
図2は、実施例1で作製したマスクブランクの第1の膜の上に他の膜が積層していない状態における反射率スペクトルと、第1の膜の上に第2の膜が積層した状態における反射率スペクトルをそれぞれ示している。
図2に示すように、実施例1で作製したマスクブランクにおいて、第1の膜の上に第2の膜が積層した状態における第2の膜の所定波長の光に対する表面反射率から、第1の膜の上に他の膜が積層していない状態における第1の膜の所定波長の光に対する表面反射率を差し引いて算出した差は、概ね10%以下であった。
【0068】
特に、波長488nm〜532nmの光に対して、表面反射率の差が小さい結果となった。例えば、波長488nmの光に対して、第1の膜の上に第2の膜が積層した状態における第2の膜の表面反射率は、28.4%であり、第1の膜の上に他の膜が積層していない状態における第1の膜の表面反射率は、26.3%であり、その差は2.1%であった。波長532nmの光に対して、第1の膜の上に第2の膜が積層した状態における第2の膜の表面反射率は、29.7%であり、第1の膜の上に他の膜が積層していない状態における第1の膜の表面反射率は、28.4%であり、その差は1.3%であった。
【0069】
図3は、実施例1で作製したマスクブランクに対する欠陥検査により、同じ座標で検出された第1の膜の欠陥サイズ及び第2の膜の欠陥サイズを比較した結果を示すグラフである。なお、
図3のグラフは、1枚のマスクブランクの欠陥サイズのデータではなく、複数枚のマスクブランクの欠陥サイズのデータを集積したものである。
図3において、横軸は、第1の膜で検出された欠陥のサイズを示している。縦軸は、第2の膜で検出された欠陥のサイズを示している。四角形の点は、ピンホール(凹欠陥)を示している。丸形の点は、パーティクル(凸欠陥)を示している。それぞれの点は、第1の膜で検出された欠陥のサイズと、その欠陥と同じ位置(座標)において第2の膜で検出された欠陥のサイズを示している。横軸がX軸、縦軸がY軸であると仮定したとき、Y=Xの直線よりも上方に位置する点は、第1の膜で検出された欠陥のサイズよりも、第2の膜で検出された欠陥のサイズが大きいことを示している。反対に、Y=Xの直線よりも下方に位置する点は、第1の膜で検出された欠陥のサイズよりも、第2の膜で検出された欠陥のサイズが小さいことを示している。なお、以下の実施例でも、欠陥サイズのグラフ(散布図)の見方は同様である。
【0070】
図2及び
図3より、位相シフト膜の上に遮光膜が積層した状態における遮光膜の表面反射率から、遮光膜が積層していない状態(位相シフト膜の表面が露出した状態)における位相シフト膜の表面反射率を差し引いて算出した差が10%以下である場合、位相シフト膜の欠陥検査で検出された欠陥サイズよりも、その欠陥と同じ位置において遮光膜の欠陥検査で検出された欠陥のサイズの方が大きくなる傾向があることが分かる。
【0071】
また、位相シフト膜の上に遮光膜が積層した状態における遮光膜の表面反射率が20%以上である場合、位相シフト膜の欠陥検査で検出された欠陥サイズよりも、その欠陥と同じ位置において遮光膜の欠陥検査で検出された欠陥のサイズの方が大きくなる傾向があることが分かる。
【0072】
さらに、位相シフト膜の上に他の膜が積層していない状態における位相シフト膜の表面反射率と、位相シフト膜の上に遮光膜が積層した状態における遮光膜の表面反射率がいずれも35%以下である場合、位相シフト膜の欠陥検査で検出された欠陥サイズよりも、その欠陥と同じ位置において遮光膜の欠陥検査で検出された欠陥のサイズの方が大きくなる傾向があることが分かる。
【0073】
(実施例2)
実施例2では、まず、合成石英ガラスからなる透光性基板上に、枚葉式スパッタ装置を用いて、モリブデン(Mo)とシリコン(Si)との混合ターゲット(原子%比 Mo:Si=11:89)を用い、アルゴンと窒素とヘリウムの混合ガス雰囲気で、反応性スパッタリング(DCスパッタリング)により、MoSiNからなる第1の膜(ハーフトーン位相シフト膜)を膜厚69nmで成膜した。位相シフト量測定装置(レーザーテック社 MPM193)を用い、このハーフトーン位相シフト膜のArF露光光の波長である波長193nmの光に対する透過率と位相シフト量をそれぞれ測定したところ、透過率が6.16%、位相シフト量が178.1度であった。
【0074】
透光性基板の上に第1の膜を成膜した後、欠陥検査装置(レーザーテック社、M1320)を用いて、第1の膜の欠陥の位置及びそのサイズを測定した。また、分光光度計(日立ハイテクノロジー社、U−4100)を用いて、波長200nmから800nmまでの光に対する第1の膜の表面反射率を測定した。
【0075】
次に、第1の膜の上に、下層、中間層、及び上層の3層からなる第2の膜(遮光膜)を成膜した。具体的には、インライン式スパッタ装置によるクロム(Cr)ターゲットを用いた反応性スパッタリング(DCスパッタリング)により、CrN膜(下層)、CrC膜(中間層)およびCrON膜(上層)を連続成膜した。下層と中間層の合計の膜厚は26nmとなるように成膜し、上層は膜厚22nmになるように成膜した。なお、このハーフトーン位相シフト膜と遮光膜の積層構造におけるArF露光光(波長193nm)に対する光学濃度は3以上であった。
【0076】
第1の膜の上に第2の膜を成膜した後、欠陥検査装置(レーザーテック社、M1320)を用いて、第2の膜の欠陥の位置及びそのサイズを測定した。また、分光光度計(日立ハイテクノロジー社、U−4100)を用いて、波長200nmから800nmまでの光に対する第1の膜の上に積層した状態における第2の膜の表面反射率を測定した。
【0077】
以下の表2に、上記で作製した実施例2のマスクブランクの構成、膜材料、光学特性、及び成膜条件を示す。
【0079】
図4は、実施例2で作製したマスクブランクの第1の膜の上に他の膜が積層していない状態における反射率スペクトルと、第1の膜の上に第2の膜が積層した状態における反射率スペクトルをそれぞれ示している。
図4に示すように、実施例2で作製したマスクブランクにおいて、第1の膜の上に第2の膜が積層した状態における第2の膜の所定波長の光に対する表面反射率から、第1の膜の上に他の膜が積層していない状態における第1の膜の所定波長の光に対する表面反射率を差し引いて算出した差は、概ね10%以下であった。
【0080】
特に、波長488nm〜532nmの光に対して、表面反射率の差が小さい結果となった。例えば、波長488nmの光に対して、第1の膜の上に第2の膜が積層した状態における第2の膜の表面反射率は、24.7%であり、第1の膜の上に他の膜が積層していない状態における第1の膜の表面反射率は、26.3%であり、その差は−1.6%であった。波長532nmの光に対して、第1の膜の上に第2の膜が積層した状態における第2の膜の表面反射率は、27.6%であり、第1の膜の上に他の膜が積層していない状態における第1の膜の表面反射率は、28.4%であり、その差は−0.8%であった。
【0081】
図5は、実施例2で作製したマスクブランクに対する欠陥検査により、同じ座標で検出された第1の膜の欠陥サイズ及び第2の膜の欠陥サイズを比較した結果を示すグラフである。
【0082】
図4及び
図5より、位相シフト膜の上に遮光膜が積層した状態における遮光膜の表面反射率から、遮光膜が積層していない状態(位相シフト膜の表面が露出した状態)における位相シフト膜の表面反射率を差し引いて算出した差が10%以下である場合、位相シフト膜の欠陥検査で検出された欠陥サイズよりも、その欠陥と同じ位置において遮光膜の欠陥検査で検出された欠陥のサイズの方が大きくなる傾向があることが分かる。
【0083】
また、位相シフト膜の上に遮光膜が積層した状態における遮光膜の表面反射率が20%以上である場合、位相シフト膜の欠陥検査で検出された欠陥サイズよりも、その欠陥と同じ位置において遮光膜の欠陥検査で検出された欠陥のサイズの方が大きくなる傾向があることが分かる。
【0084】
さらに、位相シフト膜の上に他の膜が積層していない状態における位相シフト膜の表面反射率と、位相シフト膜の上に遮光膜が積層した状態における遮光膜の表面反射率がいずれも35%以下である場合、位相シフト膜の欠陥検査で検出された欠陥サイズよりも、その欠陥と同じ位置において遮光膜の欠陥検査で検出された欠陥のサイズの方が大きくなる傾向があることが分かる。
【0085】
(実施例3)
実施例3では、まず、合成石英ガラスからなる透光性基板上に、枚葉式スパッタ装置を用いて、モリブデン(Mo)とシリコン(Si)との混合ターゲット(原子%比 Mo:Si=11:89)を用い、アルゴンと窒素とヘリウムの混合ガス雰囲気で、反応性スパッタリング(DCスパッタリング)により、MoSiNからなる第1の膜(ハーフトーン位相シフト膜)を膜厚69nmで成膜した。位相シフト量測定装置(レーザーテック社 MPM193)を用い、このハーフトーン位相シフト膜のArF露光光の波長である波長193nmの光に対する透過率と位相シフト量をそれぞれ測定したところ、透過率が6.16%、位相シフト量が178.1度であった。
【0086】
透光性基板の上に第1の膜を成膜した後、欠陥検査装置(レーザーテック社、M1320)を用いて、第1の膜の欠陥の位置及びそのサイズを測定した。また、分光光度計(日立ハイテクノロジー社、U−4100)を用いて、波長200nmから800nmまでの光に対する第1の膜の表面反射率を測定した。
【0087】
次に、第1の膜の上に、下層及び上層の2層からなる第2の膜(遮光膜)を成膜した。具体的には、枚葉式スパッタ装置で、クロム(Cr)ターゲットを用い、アルゴンと二酸化炭素と窒素とヘリウムの混合ガス雰囲気で、反応性スパッタリング(DCスパッタリング)により、CrOCN膜(下層)を膜厚47nmで成膜した。次に、下層の上に、枚葉式スパッタ装置で、クロム(Cr)ターゲットを用い、アルゴンと窒素の混合ガス雰囲気で、反応性スパッタリング(DCスパッタリング)により、CrN膜(上層)を膜厚5nmで成膜した。なお、このハーフトーン位相シフト膜と遮光膜の積層構造におけるArF露光光(波長193nm)に対する光学濃度は3以上であった。
【0088】
第1の膜の上に第2の膜を成膜した後、欠陥検査装置(レーザーテック社、M1320)を用いて、第2の膜の欠陥の位置及びそのサイズを測定した。また、分光光度計(日立ハイテクノロジー社、U−4100)を用いて、波長200nmから800nmまでの光に対する第1の膜の上に積層した状態における第2の膜の表面反射率を測定した。
【0089】
以下の表3に、上記で作製した実施例3のマスクブランクの構成、膜材料、光学特性、及び成膜条件を示す。
【0091】
図6は、実施例3で作製したマスクブランクの第1の膜の上に他の膜が積層していない状態における反射率スペクトルと、第1の膜の上に第2の膜が積層した状態における反射率スペクトルをそれぞれ示している。
図6に示すように、実施例3で作製したマスクブランクにおいて、第1の膜の上に第2の膜が積層した状態における第2の膜の所定波長の光に対する表面反射率から、第1の膜の上に他の膜が積層していない状態における第1の膜の所定波長の光に対する表面反射率を差し引いて算出した差は、概ね10%以下であった。
【0092】
特に、波長488nm〜532nmの光に対して、表面反射率の差が小さい結果となった。例えば、波長488nmの光に対して、第1の膜の上に第2の膜が積層した状態における第2の膜の表面反射率は、32.6%であり、第1の膜の上に他の膜が積層していない状態における第1の膜の表面反射率は、26.3%であり、その差は6.3%であった。波長532nmの光に対して、第1の膜の上に第2の膜が積層した状態における第2の膜の表面反射率は、29.6%であり、第1の膜の上に他の膜が積層していない状態における第1の膜の表面反射率は、28.4%であり、その差は1.2%であった。
【0093】
図7は、実施例3で作製したマスクブランクに対する欠陥検査により、同じ座標で検出された第1の膜の欠陥サイズ及び第2の膜の欠陥サイズを比較した結果を示すグラフである。
【0094】
図6及び
図7より、位相シフト膜の上に遮光膜が積層した状態における遮光膜の表面反射率から、遮光膜が積層していない状態(位相シフト膜の表面が露出した状態)における位相シフト膜の表面反射率を差し引いて算出した差が10%以下である場合、位相シフト膜の欠陥検査で検出された欠陥サイズよりも、その欠陥と同じ位置において遮光膜の欠陥検査で検出された欠陥のサイズの方が大きくなる傾向があることが分かる。
【0095】
また、位相シフト膜の上に遮光膜が積層した状態における遮光膜の表面反射率が20%以上である場合、位相シフト膜の欠陥検査で検出された欠陥サイズよりも、その欠陥と同じ位置において遮光膜の欠陥検査で検出された欠陥のサイズの方が大きくなる傾向があることが分かる。
【0096】
さらに、位相シフト膜の上に他の膜が積層していない状態における位相シフト膜の表面反射率と、位相シフト膜の上に遮光膜が積層した状態における遮光膜の表面反射率がいずれも35%以下である場合、位相シフト膜の欠陥検査で検出された欠陥サイズよりも、その欠陥と同じ位置において遮光膜の欠陥検査で検出された欠陥のサイズの方が大きくなる傾向があることが分かる。
【0097】
(実施例4)
実施例4では、まず、合成石英ガラスからなる透光性基板上に、枚葉式スパッタ装置を用いて、モリブデン(Mo)とシリコン(Si)との混合ターゲット(原子%比 Mo:Si=11:89)を用い、アルゴンと窒素とヘリウムの混合ガス雰囲気で、反応性スパッタリング(DCスパッタリング)により、MoSiNからなる第3の膜(ハーフトーン位相シフト膜)を膜厚69nmで成膜した。位相シフト量測定装置(レーザーテック社 MPM193)を用い、このハーフトーン位相シフト膜のArF露光光の波長である波長193nmの光に対する透過率と位相シフト量をそれぞれ測定したところ、透過率が6.16%、位相シフト量が178.1度であった。
【0098】
次に、第3の膜の上に、下層、中間層、及び上層の3層からなる第1の膜(遮光膜)を成膜した。具体的には、枚葉式スパッタ装置で、クロム(Cr)ターゲットを用い、アルゴンと二酸化炭素と窒素とヘリウムの混合ガス雰囲気で、反応性スパッタリング(DCスパッタリング)により、CrOCN膜(下層)を膜厚30nmで成膜した。次に、下層の上に、枚葉式スパッタ装置で、クロム(Cr)ターゲットを用い、アルゴンと窒素の混合ガス雰囲気で、反応性スパッタリング(DCスパッタリング)により、CrN膜(中間層)を膜厚4nmで成膜した。次に、中間層の上に、枚葉式スパッタ装置で、クロム(Cr)ターゲットを用い、アルゴンと二酸化炭素と窒素とヘリウムの混合ガス雰囲気で、反応性スパッタリング(DCスパッタリング)により、CrOCN膜(上層)を膜厚14nmで成膜した。なお、このハーフトーン位相シフト膜と遮光膜の積層構造におけるArF露光光(波長193nm)に対する光学濃度は3以上であった。
【0099】
第3の膜の上に第1の膜を成膜した後、欠陥検査装置(レーザーテック社、M1320)を用いて、第1の膜の欠陥の位置及びそのサイズを測定した。また、分光光度計(日立ハイテクノロジー社、U−4100)を用いて、波長200nmから800nmまでの光に対する第3の膜の上に積層した状態における第1の膜の表面反射率を測定した。
【0100】
次に、第1の膜の上に、第2の膜(ハードマスク膜)を成膜した。具体的には、枚葉式スパッタ装置で、シリコン(Si)ターゲットを用い、アルゴンと酸素と窒素の混合ガス雰囲気で、反応性スパッタリング(DCスパッタリング)により、SiON膜(第2の膜)を膜厚15nmで成膜した。
【0101】
第1の膜の上に第2の膜を成膜した後、欠陥検査装置(レーザーテック社、M1320)を用いて、第2の膜の欠陥の位置及びそのサイズを測定した。また、分光光度計(日立ハイテクノロジー社、U−4100)を用いて、波長200nmから800nmまでの光に対する第1の膜の上に積層した状態における第2の膜の表面反射率を測定した。
【0102】
以下の表4に、上記で作製した実施例4のマスクブランクの構成、膜材料、光学特性、及び成膜条件を示す。
【0104】
図8は、実施例4で作製したマスクブランクの第1の膜の上に他の膜が積層していない状態における反射率スペクトルと、第1の膜の上に第2の膜が積層した状態における反射率スペクトルをそれぞれ示している。
図8に示すように、実施例4で作製したマスクブランクにおいて、第1の膜の上に第2の膜が積層した状態における第2の膜の所定波長の光に対する表面反射率から、第1の膜の上に他の膜が積層していない状態における第1の膜の所定波長の光に対する表面反射率を差し引いて算出した差は、概ね10%以下であった。
【0105】
特に、波長488nm〜532nmの光に対して、表面反射率の差が小さい結果となった。例えば、波長488nmの光に対して、第1の膜の上に第2の膜が積層した状態における第2の膜の表面反射率は、22.2%であり、第1の膜の上に他の膜が積層していない状態における第1の膜の表面反射率は、28.4%であり、その差は−6.2%であった。波長532nmの光に対して、第1の膜の上に第2の膜が積層した状態における第2の膜の表面反射率は、24.0%であり、第1の膜の上に他の膜が積層していない状態における第1の膜の表面反射率は、29.7%であり、その差は−5.7%であった。
【0106】
図9は、実施例4で作製したマスクブランクに対する欠陥検査により、同じ座標で検出された第1の膜の欠陥サイズ及び第2の膜の欠陥サイズを比較した結果を示すグラフである。
【0107】
図8及び
図9より、透光性基板上に、第1の膜(遮光膜)と第2の膜(ハードマスク膜)がこの順に積層した構造を有するマスクブランクにおいて、第1の膜上に第2の膜が積層した状態における第2の膜の所定波長の光に対する表面反射率から、第1の膜上に他の膜が積層していない状態における第1の膜の所定波長の光に対する表面反射率を差し引いて算出した差が10%以下である場合、第1の膜の欠陥検査で検出された欠陥サイズよりも、その欠陥と同じ位置において第2の膜の欠陥検査で検出された欠陥のサイズの方が大きくなる傾向があることが分かる。
【0108】
また、第1の膜の上に第2の膜が積層した状態における第2の膜の表面反射率が20%以上である場合、第1の膜の欠陥検査で検出された欠陥サイズよりも、その欠陥と同じ位置において第2の膜の欠陥検査で検出された欠陥のサイズの方が大きくなる傾向があることが分かる。
【0109】
さらに、第1の膜の上に他の膜が積層していない状態における第1の膜の表面反射率と、第1の膜の上に第2の膜が積層した状態における第2の膜の表面反射率がいずれも35%以下である場合、第1の膜の欠陥検査で検出された欠陥サイズよりも、その欠陥と同じ位置において第2の膜の欠陥検査で検出された欠陥のサイズの方が大きくなる傾向があることが分かる。
【0110】
また、このような欠陥サイズの傾向は、透光性基板と第1の膜との間に第3の膜(ハーフトーン位相シフト膜)が介在している場合であっても、同様であることが分かる。
【0111】
(実施例5)
実施例5では、まず、合成石英ガラスからなる透光性基板上に、枚葉式スパッタ装置を用いて、モリブデン(Mo)とシリコン(Si)との混合ターゲット(原子%比 Mo:Si=11:89)を用い、アルゴンと窒素とヘリウムの混合ガス雰囲気で、反応性スパッタリング(DCスパッタリング)により、MoSiNからなる第3の膜(ハーフトーン位相シフト膜)を膜厚69nmで成膜した。位相シフト量測定装置(レーザーテック社 MPM193)を用い、このハーフトーン位相シフト膜のArF露光光の波長である波長193nmの光に対する透過率と位相シフト量をそれぞれ測定したところ、透過率が6.16%、位相シフト量が178.1度であった。
【0112】
次に、第3の膜の上に、下層、中間層、及び上層の3層からなる第1の膜(遮光膜)を成膜した。具体的には、インライン式スパッタ装置によるクロム(Cr)ターゲットを用いた反応性スパッタリング(DCスパッタリング)により、CrN膜(下層)、CrC膜(中間層)およびCrON膜(上層)を連続成膜した。下層と中間層の合計の膜厚は26nmとなるように成膜し、上層は膜厚22nmになるように成膜した。なお、このハーフトーン位相シフト膜と遮光膜の積層構造におけるArF露光光(波長193nm)に対する光学濃度は3以上であった。
【0113】
第3の膜の上に第1の膜を成膜した後、欠陥検査装置(レーザーテック社、M1320)を用いて、第1の膜の欠陥の位置及びそのサイズを測定した。また、分光光度計(日立ハイテクノロジー社、U−4100)を用いて、波長200nmから800nmまでの光に対する第3の膜の上に積層した状態における第1の膜の表面反射率を測定した。
【0114】
次に、第1の膜の上に、第2の膜(ハードマスク膜)を成膜した。具体的には、枚葉式スパッタ装置で、シリコン(Si)ターゲットを用い、アルゴンと酸素と窒素の混合ガス雰囲気で、反応性スパッタリング(DCスパッタリング)により、SiON膜(第2の膜)を膜厚15nmで成膜した。
【0115】
第1の膜の上に第2の膜を成膜した後、欠陥検査装置(レーザーテック社、M1320)を用いて、第2の膜の欠陥の位置及びそのサイズを測定した。また、分光光度計(日立ハイテクノロジー社、U−4100)を用いて、波長200nmから800nmまでの光に対する第1の膜の上に積層した状態における第2の膜の表面反射率を測定した。
【0116】
以下の表5に、上記で作製した実施例5のマスクブランクの構成、膜材料、光学特性、及び成膜条件を示す。
【0118】
図10は、実施例5で作製したマスクブランクの第1の膜の上に他の膜が積層していない状態における反射率スペクトルと、第1の膜の上に第2の膜が積層した状態における反射率スペクトルをそれぞれ示している。
図10に示すように、実施例5で作製したマスクブランクにおいて、第1の膜の上に第2の膜が積層した状態における第2の膜の所定波長の光に対する表面反射率から、第1の膜の上に他の膜が積層していない状態における第1の膜の所定波長の光に対する表面反射率を差し引いて算出した差は、概ね10%以下であった。
【0119】
特に、波長488nm〜532nmの光に対して、表面反射率の差が小さい結果となった。例えば、波長488nmの光に対して、第1の膜の上に第2の膜が積層した状態における第2の膜の表面反射率は、16.9%であり、第1の膜の上に他の膜が積層していない状態における第1の膜の表面反射率は、24.7%であり、その差は−7.8%であった。波長532nmの光に対して、第1の膜の上に第2の膜が積層した状態における第2の膜の表面反射率は、20.6%であり、第1の膜の上に他の膜が積層していない状態における第1の膜の表面反射率は、27.6%であり、その差は−7.0%であった。
【0120】
図11は、実施例5で作製したマスクブランクに対する欠陥検査により、同じ座標で検出された第1の膜の欠陥サイズ及び第2の膜の欠陥サイズを比較した結果を示すグラフである。
【0121】
図10及び
図11より、透光性基板上に、第1の膜(遮光膜)と第2の膜(ハードマスク膜)がこの順に積層した構造を有するマスクブランクにおいて、第1の膜上に第2の膜が積層した状態における第2の膜の所定波長の光に対する表面反射率から、第1の膜上に他の膜が積層していない状態における第1の膜の所定波長の光に対する表面反射率を差し引いて算出した差が10%以下である場合、第1の膜の欠陥検査で検出された欠陥サイズよりも、その欠陥と同じ位置において第2の膜の欠陥検査で検出された欠陥のサイズの方が大きくなる傾向があることが分かる。
【0122】
また、第1の膜の上に第2の膜が積層した状態における第2の膜の表面反射率が20%以上である場合、第1の膜の欠陥検査で検出された欠陥サイズよりも、その欠陥と同じ位置において第2の膜の欠陥検査で検出された欠陥のサイズの方が大きくなる傾向があることが分かる。
【0123】
さらに、第1の膜の上に他の膜が積層していない状態における第1の膜の表面反射率と、第1の膜の上に第2の膜が積層した状態における第2の膜の表面反射率がいずれも35%以下である場合、第1の膜の欠陥検査で検出された欠陥サイズよりも、その欠陥と同じ位置において第2の膜の欠陥検査で検出された欠陥のサイズの方が大きくなる傾向があることが分かる。
【0124】
また、このような欠陥サイズの傾向は、透光性基板と第1の膜との間に第3の膜(ハーフトーン位相シフト膜)が介在している場合であっても、同様であることが分かる。
【0125】
(実施例6)
実施例6では、まず、合成石英ガラスからなる透光性基板上に、枚葉式スパッタ装置を用いて、モリブデン(Mo)とシリコン(Si)との混合ターゲット(原子%比 Mo:Si=11:89)を用い、アルゴンと窒素とヘリウムの混合ガス雰囲気で、反応性スパッタリング(DCスパッタリング)により、MoSiNからなる第3の膜(ハーフトーン位相シフト膜)を膜厚69nmで成膜した。位相シフト量測定装置(レーザーテック社 MPM193)を用い、このハーフトーン位相シフト膜のArF露光光の波長である波長193nmの光に対する透過率と位相シフト量をそれぞれ測定したところ、透過率が6.16%、位相シフト量が178.1度であった。
【0126】
次に、第3の膜の上に、下層及び上層の2層からなる第1の膜(遮光膜)を成膜した。具体的には、枚葉式スパッタ装置で、クロム(Cr)ターゲットを用い、アルゴンと二酸化炭素と窒素とヘリウムの混合ガス雰囲気で、反応性スパッタリング(DCスパッタリング)により、CrOCN膜(下層)を膜厚47nmで成膜した。次に、下層の上に、枚葉式スパッタ装置で、クロム(Cr)ターゲットを用い、アルゴンと窒素の混合ガス雰囲気で、反応性スパッタリング(DCスパッタリング)により、CrN膜(上層)を膜厚5nmで成膜した。なお、このハーフトーン位相シフト膜と遮光膜の積層構造におけるArF露光光(波長193nm)に対する光学濃度は3以上であった。
【0127】
第3の膜の上に第1の膜を成膜した後、欠陥検査装置(レーザーテック社、M1320)を用いて、第1の膜の欠陥の位置及びそのサイズを測定した。また、分光光度計(日立ハイテクノロジー社、U−4100)を用いて、波長200nmから800nmまでの光に対する第3の膜の上に積層した状態における第1の膜の表面反射率を測定した。
【0128】
次に、第1の膜の上に、第2の膜(ハードマスク膜)を成膜した。具体的には、枚葉式スパッタ装置で、SiO
2ターゲットを用い、アルゴンと酸素の混合ガス雰囲気で、高周波スパッタリング(RFスパッタリング)により、SiO
2膜(第2の膜)を膜厚5nmで成膜した。
【0129】
第1の膜の上に第2の膜を成膜した後、欠陥検査装置(レーザーテック社、M1320)を用いて、第2の膜の欠陥の位置及びそのサイズを測定した。また、分光光度計(日立ハイテクノロジー社、U−4100)を用いて、波長200nmから800nmまでの光に対する第1の膜の上に積層した状態における第2の膜の表面反射率を測定した。
【0130】
以下の表6に、上記で作製した実施例6のマスクブランクの構成、膜材料、光学特性、及び成膜条件を示す。
【0132】
図12は、実施例6で作製したマスクブランクの第1の膜の上に他の膜が積層していない状態における反射率スペクトルと、第1の膜の上に第2の膜が積層した状態における反射率スペクトルをそれぞれ示している。
図12に示すように、実施例6で作製したマスクブランクにおいて、第1の膜の上に第2の膜が積層した状態における第2の膜の所定波長の光に対する表面反射率から、第1の膜の上に他の膜が積層していない状態における第1の膜の所定波長の光に対する表面反射率を差し引いて算出した差は、概ね10%以下であった。
【0133】
特に、波長488nm〜532nmの光に対して、表面反射率の差が小さい結果となった。例えば、波長488nmの光に対して、第1の膜の上に第2の膜が積層した状態における第2の膜の表面反射率は、32.0%であり、第1の膜の上に他の膜が積層していない状態における第1の膜の表面反射率は、32.6%であり、その差は−0.6%であった。波長532nmの光に対して、第1の膜の上に第2の膜が積層した状態における第2の膜の表面反射率は、29.1%であり、第1の膜の上に他の膜が積層していない状態における第1の膜の表面反射率は、29.6%であり、その差は−0.5%であった。
【0134】
図13は、実施例6で作製したマスクブランクに対する欠陥検査により、同じ座標で検出された第1の膜の欠陥サイズ及び第2の膜の欠陥サイズを比較した結果を示すグラフである。
【0135】
図12及び
図13より、透光性基板上に、第1の膜(遮光膜)と第2の膜(ハードマスク膜)がこの順に積層した構造を有するマスクブランクにおいて、第1の膜上に第2の膜が積層した状態における第2の膜の所定波長の光に対する表面反射率から、第1の膜上に他の膜が積層していない状態における第1の膜の所定波長の光に対する表面反射率を差し引いて算出した差が10%以下である場合、第1の膜の欠陥検査で検出された欠陥サイズよりも、その欠陥と同じ位置において第2の膜の欠陥検査で検出された欠陥のサイズの方が大きくなる傾向があることが分かる。
【0136】
また、第1の膜の上に第2の膜が積層した状態における第2の膜の表面反射率が20%以上である場合、第1の膜の欠陥検査で検出された欠陥サイズよりも、その欠陥と同じ位置において第2の膜の欠陥検査で検出された欠陥のサイズの方が大きくなる傾向があることが分かる。
【0137】
さらに、第1の膜の上に他の膜が積層していない状態における第1の膜の表面反射率と、第1の膜の上に第2の膜が積層した状態における第2の膜の表面反射率がいずれも35%以下である場合、第1の膜の欠陥検査で検出された欠陥サイズよりも、その欠陥と同じ位置において第2の膜の欠陥検査で検出された欠陥のサイズの方が大きくなる傾向があることが分かる。
【0138】
また、このような欠陥サイズの傾向は、透光性基板と第1の膜との間に第3の膜(ハーフトーン位相シフト膜)が介在している場合であっても、同様であることが分かる。
【0139】
(実施例7)
実施例7では、まず、合成石英ガラスからなる透光性基板上に、下層及び上層の2層からなる第1の膜(バイナリ遮光膜)を成膜した。具体的には、枚葉式スパッタ装置を用いて、モリブデン(Mo)とシリコン(Si)との混合ターゲット(原子%比 Mo:Si=13:87)を用い、アルゴンと窒素の混合ガス雰囲気で、反応性スパッタリング(DCスパッタリング)により、MoSiN膜(下層)を膜厚47nmで成膜した。次に、下層の上に、枚葉式スパッタ装置で、モリブデン(Mo)とシリコン(Si)との混合ターゲット(原子%比 Mo:Si=13:87)を用い、アルゴンと窒素とヘリウムの混合ガス雰囲気で、反応性スパッタリング(DCスパッタリング)により、MoSiN膜(上層)を膜厚13nmで成膜した。なお、この遮光膜におけるArF露光光(波長193nm)に対する光学濃度は3以上であった。
【0140】
透光性基板の上に第1の膜を成膜した後、欠陥検査装置(レーザーテック社、M1320)を用いて、第1の膜の欠陥の位置及びそのサイズを測定した。また、分光光度計(日立ハイテクノロジー社、U−4100)を用いて、波長200nmから800nmまでの光に対する第1の膜の表面反射率を測定した。
【0141】
次に、第1の膜の上に、第2の膜(ハードマスク膜)を成膜した。具体的には、枚葉式スパッタ装置で、Crターゲットを用い、アルゴンと窒素の混合ガス雰囲気で、反応性スパッタリング(DCスパッタリング)により、CrN膜(第2の膜)を膜厚5nmで成膜した。
【0142】
第1の膜の上に第2の膜を成膜した後、欠陥検査装置(レーザーテック社、M1320)を用いて、第2の膜の欠陥の位置及びそのサイズを測定した。また、分光光度計(日立ハイテクノロジー社、U−4100)を用いて、波長200nmから800nmまでの光に対する第1の膜の上に積層した状態における第2の膜の表面反射率を測定した。
【0143】
以下の表7に、上記で作製した実施例7のマスクブランクの構成、膜材料、光学特性、及び成膜条件を示す。
【0145】
図14は、実施例7で作製したマスクブランクの第1の膜の上に他の膜が積層していない状態における反射率スペクトルと、第1の膜の上に第2の膜が積層した状態における反射率スペクトルをそれぞれ示している。
図14に示すように、実施例7で作製したマスクブランクにおいて、第1の膜の上に第2の膜が積層した状態における第2の膜の所定波長の光に対する表面反射率から、第1の膜の上に他の膜が積層していない状態における第1の膜の所定波長の光に対する表面反射率を差し引いて算出した差は、概ね10%以下であった。
【0146】
特に、波長488nm〜532nmの光に対して、表面反射率の差が小さい結果となった。例えば、波長488nmの光に対して、第1の膜の上に第2の膜が積層した状態における第2の膜の表面反射率は、37.9%であり、第1の膜の上に他の膜が積層していない状態における第1の膜の表面反射率は、31.0%であり、その差は6.9%であった。波長532nmの光に対して、第1の膜の上に第2の膜が積層した状態における第2の膜の表面反射率は、41.0%であり、第1の膜の上に他の膜が積層していない状態における第1の膜の表面反射率は、36.0%であり、その差は5.0%であった。
【0147】
図15は、実施例7で作製したマスクブランクに対する欠陥検査により、同じ座標で検出された第1の膜の欠陥サイズ及び第2の膜の欠陥サイズを比較した結果を示すグラフである。
【0148】
図14及び
図15より、透光性基板上に、第1の膜(バイナリ遮光膜)と第2の膜(ハードマスク膜)がこの順に積層した構造を有するマスクブランクにおいて、第1の膜上に第2の膜が積層した状態における第2の膜の所定波長の光に対する表面反射率から、第1の膜上に他の膜が積層していない状態における第1の膜の所定波長の光に対する表面反射率を差し引いて算出した差が10%以下である場合、第1の膜の欠陥検査で検出された欠陥サイズよりも、その欠陥と同じ位置において第2の膜の欠陥検査で検出された欠陥のサイズの方が大きくなる傾向があることが分かる。
【0149】
また、第1の膜の上に第2の膜が積層した状態における第2の膜の表面反射率が20%以上である場合、第1の膜の欠陥検査で検出された欠陥サイズよりも、その欠陥と同じ位置において第2の膜の欠陥検査で検出された欠陥のサイズの方が大きくなる傾向があることが分かる。
【0150】
さらに、第1の膜の上に他の膜が積層していない状態における第1の膜の表面反射率と、第1の膜の上に第2の膜が積層した状態における第2の膜の表面反射率がいずれも35%以下である場合、第1の膜の欠陥検査で検出された欠陥サイズよりも、その欠陥と同じ位置において第2の膜の欠陥検査で検出された欠陥のサイズの方が大きくなる傾向があることが分かる。
【0151】
(比較例1)
比較例1では、まず、合成石英ガラスからなる透光性基板上に、枚葉式スパッタ装置を用いて、モリブデン(Mo)とシリコン(Si)との混合ターゲット(原子%比 Mo:Si=21:79)を用い、アルゴンと窒素とヘリウムの混合ガス雰囲気で、反応性スパッタリング(DCスパッタリング)により、MoSiNからなる第1の膜(ハーフトーン位相シフト膜)を膜厚92nmで成膜した。位相シフト量測定装置(レーザーテック社 MPM248)を用い、このハーフトーン位相シフト膜のKrF露光光の波長である波長248nmの光に対する透過率と位相シフト量をそれぞれ測定したところ、透過率が5.52%、位相シフト量が177.5度であった。
【0152】
透光性基板の上に第1の膜を成膜した後、欠陥検査装置(レーザーテック社、M1320)を用いて、第1の膜の欠陥の位置及びそのサイズを測定した。また、分光光度計(日立ハイテクノロジー社、U−4100)を用いて、波長200nmから800nmまでの光に対する第1の膜の表面反射率を測定した。
【0153】
次に、第1の膜の上に、下層、中間層、及び上層の3層からなる第2の膜(遮光膜)を成膜した。具体的には、インライン式スパッタ装置によるクロム(Cr)ターゲットを用いた反応性スパッタリング(DCスパッタリング)により、CrN膜(下層)、CrC膜(中間層)およびCrON膜(上層)を連続成膜した。下層と中間層の合計の膜厚は55nmとなるように成膜し、上層は膜厚18nmになるように成膜した。
【0154】
第1の膜の上に第2の膜を成膜した後、欠陥検査装置(レーザーテック社、M1320)を用いて、第2の膜の欠陥の位置及びそのサイズを測定した。また、分光光度計(日立ハイテクノロジー社、U−4100)を用いて、波長200nmから800nmまでの光に対する第1の膜の上に積層した状態における第2の膜の表面反射率を測定した。
【0155】
以下の表8に、上記で作製した比較例1のマスクブランクの構成、膜材料、光学特性、及び成膜条件を示す。
【0157】
図16は、比較例1で作製したマスクブランクの第1の膜の上に他の膜が積層していない状態における反射率スペクトルと、第1の膜の上に第2の膜が積層した状態における反射率スペクトルをそれぞれ示している。
図16に示すように、比較例1で作製したマスクブランクにおいて、第1の膜の上に第2の膜が積層した状態における第2の膜の所定波長の光に対する表面反射率から、第1の膜の上に他の膜が積層していない状態における第1の膜の所定波長の光に対する表面反射率を差し引いて算出した差は、概ね10%よりも大きかった。
【0158】
特に、波長488nm〜532nmの光に対して、表面反射率の差が大きい結果となった。例えば、波長488nmの光に対して、第1の膜の上に第2の膜が積層した状態における第2の膜の表面反射率は、36.2%であり、第1の膜の上に他の膜が積層していない状態における第1の膜の表面反射率は、11.2%であり、その差は25.0%であった。波長532nmの光に対して、第1の膜の上に第2の膜が積層した状態における第2の膜の表面反射率は、39.1%であり、第1の膜の上に他の膜が積層していない状態における第1の膜の表面反射率は、14.1%であり、その差は25.0%であった。
【0159】
図17は、比較例1で作製したマスクブランクに対する欠陥検査により、同じ座標で検出された第1の膜の欠陥サイズ及び第2の膜の欠陥サイズを比較した結果を示すグラフである。
【0160】
図16及び
図17より、位相シフト膜(第1の膜)の上に遮光膜(第2の膜)が積層した状態における遮光膜の表面反射率から、遮光膜が積層していない状態(位相シフト膜の表面が露出した状態)における位相シフト膜の表面反射率を差し引いて算出した差が10%よりも大きい場合、位相シフト膜の欠陥検査で検出された欠陥サイズよりも、その欠陥と同じ位置において遮光膜の欠陥検査で検出された欠陥のサイズの方が小さくなる傾向があることが分かる。
【0161】
さらに、位相シフト膜の上に他の膜が積層していない状態における位相シフト膜の表面反射率と、位相シフト膜の上に遮光膜が積層した状態における遮光膜の表面反射率の少なくとも一方が35%よりも大きい場合、位相シフト膜の欠陥検査で検出された欠陥サイズよりも、その欠陥と同じ位置において遮光膜の欠陥検査で検出された欠陥のサイズの方が小さくなる傾向があることが分かる。