(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
硬化後の前記樹脂組成物の23℃の雰囲気下、周波数5GHzの条件での誘電率は、2.8未満であり、硬化後の前記樹脂組成物の23℃の雰囲気下、周波数5GHzの条件での誘電正接は、0.006未満である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献1及び2に開示された樹脂組成物は、ポリイミドを含むため、吸水率が高い。このため、これらの樹脂組成物は、高湿度下において、誘電正接特性が悪化し、伝送信号を適切に伝搬できない。
【0009】
特許文献3に開示された樹脂組成物は、樹脂としてフッ素系樹脂を主成分として含むため、常態下において、誘電特性に優れるとともに、吸水率も低いため、高湿度下においても誘電正接が悪化せず、伝送信号を適切に伝搬できる。しかしながら、フッ素樹脂を主成分として含むため、密着性が乏しい。このため、この樹脂組成物は、FPC用材料として実用的に用いられない。
【0010】
特許文献4に開示された樹脂組成物は、低誘電率化成分の配合量が少なく、46%である。また、この樹脂組成物は、エポキシ樹脂及びフェノール樹脂を配合することにより形成されるため、硬化後に生じる水酸基、未反応フェノール樹脂の水酸基の割合が多いと推測される。この結果、硬化後の組成物の誘電率は、良くても2.9であり、近年の低誘電率化に対応できない。また、硬化後の樹脂組成物は、水酸基の割合が大きいため高い吸水率を有し、その結果、高湿環境下において、誘電正接が悪化する。
【0011】
そこで、本発明は、高湿度下における誘電特性、UVレーザー加工性及び密着性に優れる樹脂組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定のスチレン系ポリマーと、特定の無機フィラーと、硬化剤とを特定の割合で含み、光の吸収率及びヘイズ値が特定範囲内にある樹脂組成物が、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
【0013】
すなわち、本発明は以下のとおりである。
[1]
スチレン系ポリマーと、無機フィラーと、硬化剤と、を含む樹脂組成物であって、
前記スチレン系ポリマーが、カルボキシル基を有する酸変性スチレン系ポリマーであり、
前記無機フィラーは、シリカ及び/又は水酸化アルミニウムであり、
前記無機フィラーの粒径は、1μm以下であり、
前記無機フィラーの含有量は、前記スチレン系ポリマー100質量部に対して20〜80質量部であり、
前記樹脂組成物は、25μmの厚さを有するフィルムの形態において、下記式(A)及び(B)を満たす、樹脂組成物。
X≦50…(A)
Y≧40…(B)
(式中、Xは、波長355nmの光の吸収率(単位:%)を表し、Yは、ヘイズ値(単位:%)を表す。)
[2]
前記酸変性スチレン系ポリマーは、酸変性スチレン系エラストマーである、[1]の樹脂組成物。
[3]
前記酸変性スチレン系エラストマーに含まれる不飽和二重結合の全部又は一部が水素添加されている、[2]の樹脂組成物。
[4]
前記酸変性スチレン系エラストマーは、スチレン重合体ブロックと、エチレン−ブチレン重合体ブロックとを含む共重合体の酸変性物である、[2]又は[3]の樹脂組成物。
[5]
前記酸変性スチレン系エラストマーは、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体の酸変性物である、[2]〜[4]のいずれかの樹脂組成物。
[6]
前記硬化剤は、エポキシ樹脂、カルボジイミド化合物、及びオキサゾリン化合物からなる群から選択される1種以上の硬化剤である、[1]〜[5]のいずれかの樹脂組成物。
[7]
硬化後の前記樹脂組成物の誘電率は、2.8未満であり、硬化後の前記樹脂組成物の誘電正接は、0.006未満である、[1]〜[6]のいずれかの樹脂組成物。
[8]
[1]〜[7]のいずれかの樹脂組成物を含む、接着フィルム。
[9]
硬化後の前記接着フィルムは、2〜200μmの厚さを有する、[8]の接着フィルム。
[10]
[1]〜[9]のいずれかの樹脂組成物を含む接着層と、電気絶縁層と、が積層された積層構造を有する、カバーレイフィルム。
[11]
[1]〜[7]のいずれかの樹脂組成物を含む接着層と、電気絶縁層と、銅箔と、が積層された積層構造を有する積層板であって、
前記接着層が、第1の面と、前記第1の面に対向する第2の面とを有し、
前記接着層の第1の面に前記電気絶縁層が積層され、前記接着層の第2の面に前記銅箔が積層されている、積層板。
[12]
[1]〜[7]のいずれかの樹脂組成物を含む接着層と、銅箔と、が積層された積層構造を有する、樹脂付き銅箔。
[13]
[1]〜[7]のいずれかの樹脂組成物を含む接着層と、電気絶縁層と、銅箔と、が積層された積層構造を有する樹脂付き銅張り積層板であって、
前記電気絶縁層が、第1の面と、前記第1の面に対向する第2の面とを有し、
前記電気絶縁層の第1の面に前記接着層が積層され、前記電気絶縁層の第2の面に前記銅箔が積層されている、樹脂付き銅張り積層板。
[14]
前記積層板に、下記(1)及び(2)の処理を行った際に、切断部位の水平方向の切断面に形成される凹みの水平方向の最大長は、5μm以下である、[13]の積層板。
(1)前記銅箔を除去することにより、除去部位を形成する。
(2)前記除去部位に、波長355nmのレーザー光を照射することにより、前記除去部位の垂直方向に切断部位を形成する。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、高湿度下における誘電特性、密着性及びUVレーザー加工性に優れる樹脂組成物を提供可能である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に記載する。なお、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
【0017】
本実施形態における樹脂組成物は、スチレン系ポリマーと、無機フィラーと、硬化剤と、を含む樹脂組成物であって、スチレン系ポリマーが、カルボキシル基を有する酸変性スチレン系ポリマーであり、無機フィラーは、シリカ及び/又は水酸化アルミニウムであり、無機フィラーの粒径は、1μm以下であり、無機フィラーの含有量は、スチレン系ポリマー100質量部に対して20〜80質量部であり、樹脂組成物は、25μmの厚さを有するフィルムの形態において、下記式(A)及び(B)を満たす。
X≦50…(A)
Y≧40…(B)
(式中、Xは、波長355nmの光の吸収率(単位:%)を表し、Yは、ヘイズ値(単位:%)を表す。)
【0018】
[酸変性スチレン系ポリマー]
本実施形態における樹脂組成物は、カルボキシル基を有する酸変性スチレン系ポリマーを含む。本明細書において、「酸変性スチレン系ポリマー」とは、芳香族ビニル類(例えば、スチレン、α−メチルスチレン、好ましくはスチレン)に由来する構成単位を有し、且つ、カルボキシル基を有することをいう。本明細書において、「カルボキシル基」とは、「無水カルボキシル基」も包含する概念をいう。
【0019】
酸変性スチレン系ポリマーとしては、芳香族ビニル類由来の単位と不飽和カルボン酸由来の単位(例えば、アクリル酸、メタクリル酸等の不飽和物カルボン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸等)とを含む共重合体、芳香族ビニル由来の単位と不飽和無水カルボン酸(例えば、無水マレイン酸、無水イタコン酸等)由来の単位とを含む共重合体が挙げられる。これらの共重合体は、さらに芳香族ビニル及び不飽和カルボン酸又は不飽和無水カルボン酸と共重合可能なモノマー(例えば、α−オレフィン、共役ジエン、ビニルエステル類、ビニルエーテル類、アクリル酸又はメタクリル酸のエステル類、ハロゲン化ビニル類等)由来の単位を含んでもよい。
【0020】
酸変性スチレン系ポリマーの具体例としては、酸変性スチレン系エラストマー、酸変性ABS樹脂(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂が無水マレイン酸等により酸変性した樹脂)、酸変性AS樹脂(アクリロニトリル−スチレン樹脂が無水マレイン酸等により酸変性した樹脂)が挙げられる。これらの中でも、低誘電率及び低誘電正接の観点から、酸変性スチレン系エラストマーであることが好ましい。なお、本明細書において、「スチレン系エラストマー」は、スチレン−アルキレン共重合体と同義である。
【0021】
酸変性スチレン系エラストマーとしては、特に限定されないが、例えば、芳香族ビニル重合体ブロック(例えば、スチレン重合体ブロック)と共役ジエンブロック(例えば、ブタジエンブロック、イソプレンブロック等)とを含む共重合体の酸変性物等が挙げられる。
【0022】
酸変性スチレン系エラストマーに含まれる不飽和二重結合の全部又は一部は、低誘電率及び低誘電正接の観点から、水素添加されていることが好ましい。これにより、不飽和二重結合に由来するπ電子の存在による誘電特性に対する影響を低減できる傾向にある。水素添加率が100%である酸変性スチレン系エラストマーとしては、例えば、(i)芳香族ビニル重合体ブロック(例えば、スチレン重合体ブロック)と、エチレン−ブチレン重合体ブロックとを含む共重合体の酸変性物(例えば、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体の酸変性物)、(ii)芳香族ビニル重合体ブロック(例えば、スチレン重合体ブロック)と、エチレン−プロピレン重合体ブロックとを含む共重合体の酸変性物、(iii)芳香族ビニル重合体ブロック(例えば、スチレン重合体ブロック)と、イソブチレン重合体ブロックとを含む共重合体の酸変性物が挙げられる。これらの中でも、柔軟性の観点から、(i)芳香族ビニル重合体ブロック(好ましくはスチレン重合体ブロック)と、エチレン-ブチレン重合体ブロックとを含む共重合体の酸変性物であることが好ましく、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体の酸変性物であることが更に好ましい。
【0023】
本実施形態の樹脂組成物において、酸変性スチレン系ポリマーは、1種を単独で、又は2種以上組み合わせて用いられる。
【0024】
酸変性スチレン系ポリマー中のスチレン由来の単位の割合は、好ましくは10〜65重量%であり、より好ましくは15〜60重量%であり、さらに好ましくは20〜55重量%である。スチレン由来の単位の割合が65重量%以下である場合、柔軟性が一層良好となることに起因して、FPCとしてのフレキシブル性が一層向上する傾向にある。一方、スチレン由来の単位の割合が10重量%以上である場合、樹脂組成物を硬化させてFPC材料の接着剤として用いた際に、過度に柔らかくなりにくく、屈曲させても接着剤が動きにくくなることに起因して、回路が保持され、回路の断線が起こりにくくなる傾向にある。
【0025】
酸変性スチレン系ポリマーは、分子鎖中(主に側鎖)にカルボキシル基を含む。酸変性スチレン系ポリマーがカルボキシル基を含むことにより、エポキシ化合物やカルボジイミド化合物等の硬化剤と反応し、三次元網目構造を形成し、その結果、耐熱性が向上する。酸変性スチレン系ポリマーのカルボキシル基当量は、11000g/eq以下であることが好ましく、8000g/eq以下であることがより好ましく、6000g/eq以下であることがさらに好ましい。カルボキシル基当量が11000g/eq以下である場合、架橋密度が一層向上し、耐はんだリフロー性に一層優れる傾向にある。尚、カルボキシル基当量は、JIS K 1557−5に準拠して測定することができる。具体的には、例えば、以下の方法により測定する。すなわち、2−プロパノール200mL、水100mL及びブロモチモールブルーのメタノール溶液を7滴加え、0.02mol/L水酸化カリウムのメタノール溶液で緑色になるまで滴定し、これに試料を50g溶解させる。これを0.02mol/L水酸化カリウムのメタノール溶液にて滴定し、以下の計算式により、カルボキシル基当量を算出する。
カルボキシル基当量(g/当量)=(56100×3(g/試料採取量)/((1.122×(滴定量mL)×0.02(滴定液濃度))
【0026】
[無機フィラー]
樹脂組成物は、1μm以下の粒径を有する無機フィラー(以下、「特定の無機フィラー」ともいう。)を含む。酸変性スチレン系ポリマーは、通常、UV−YAGレーザー波長の355nmの光の吸収に乏しく、UVレーザー加工性に劣る。これに対し、樹脂組成物は、特定の無機フィラーを含有することにより、UVレーザー加工性を向上できる。樹脂組成物は、無機フィラーを含有すると、波長355nmの光の吸収率を高めることはできないが、ヘイズ値(拡散透過率/全光線透過率×100(%))を向上させることができる。ここで、ヘイズ値が大きいことは、拡散透過率が大きいことを意味するため、樹脂組成物内で光が十分に拡散して透過する。この結果、UVレーザーがスチレン系ポリマーと一層広範囲に接触し、スチレン系ポリマーの除去(アブレーション)が促進される。
【0027】
無機フィラーとしては、低誘電率及び低誘電正接の観点から、シリカ及び/又は水酸化アルミニウムであることが好ましい。
【0028】
無機フィラーの粒径は、1μm以下であり、好ましくは0.8μm以下である。無機フィラーの粒径が1μmを超えると、無機フィラーの粒径は、UV−YAGレーザー波長である355nmの3倍程度の長さに相当するため、ヘイズ値が低下し、レーザー加工性が十分でない虞がある。
【0029】
無機フィラーの粒径は、JIS Z8825 2013に準拠したレーザー回折式粒度分布により測定できる。具体的には、例えば、分散溶剤に無機フィラーを入れて、スラリー化した後、レーザー回折式流動分布装置の測定槽に徐々に入れ、光透過度が基準になるように濃度を調整する。次いで、装置の自動計測に従って測定する。
【0030】
無機フィラーの含有量は、スチレン系ポリマー100質量部に対して、20〜80質量部であり、好ましくは30質量部〜70質量部であり、より好ましくは35〜65質量部である。無機フィラーの含有量が20質量部以上であることにより、ヘイズ値が低下せず、レーザー加工性が良好になる。一方、無機フィラーの含有量が80質量部以下であることにより、誘電率及び誘電正接が低くなる。
【0031】
無機フィラーの誘電率は、特に限定されないが、好ましくは10以下であり、より好ましくは8以下であり、さらに好ましくは5以下である。
【0032】
[硬化剤]
樹脂組成物は、硬化剤を含む。硬化剤は、スチレン系ポリマーに含まれるカルボキシル基と反応することにより、架橋密度を増加させ、密着力及び耐はんだリフロー性を向上させる。
【0033】
硬化剤としては、カルボキシル基と反応可能であれば特に限定されず、例えば、エポキシ樹脂、カルボジイミド化合物、アミン化合物、オキサゾリン化合物、イソシアネート化合物等が挙げられる。これらの中でも、反応性の観点から、エポキシ樹脂、カルボジイミド化合物、オキサゾリン化合物であることが好ましく、エポキシ樹脂であることがより好ましい。
【0034】
エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、シクロペンタジエン型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、縮合多縮型エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0035】
エポキシ樹脂のエポキシ当量は、好ましくは500g/eq以下、より好ましくは300g/eq以下である。エポキシ当量が500g/eq以下である場合、樹脂組成物に含まれるエポキシ含有量を少なくすることができるため、誘電率及び誘電正接が一層良好となる傾向にある。なお、エポキシ樹脂のエポキシ当量は、JIS K7236 2001に準拠して測定することができる。
【0036】
樹脂組成物中に含まれるスチレン系ポリマーのカルボキシル基1当量に対する硬化剤の官能基の当量は、0.3〜3.0であることが好ましく、より好ましくは0.5〜2.5であり、さらに好ましくは0.7〜2.0である。カルボキシル基1当量に対する官能基の当量が0.3以上である場合、反応性が一層向上し、耐はんだリフロー性が一層良好となる傾向にある。一方、カルボキシル基1当量に対する官能基の当量が3.0以下である場合は、エポキシ樹脂が過剰とならないため、絶縁信頼性に一層優れ、誘電率及び誘電正接が一層良好となる傾向にある。
【0037】
本実施形態における樹脂組成物は、上述した各成分以外のその他の添加剤を含んでもよい。その他の添加剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系、リン系、イオウ系等の酸化防止剤;耐光安定剤、耐候安定剤、熱安定剤等の安定剤;トリアリルホスフェート、リン酸エステル等の難燃剤;アニオン系、カチオン系、ノニオン系の界面活性剤;可塑剤;滑剤等の各種公知の添加剤が用いられる。添加剤の配合量は、本発明の効果を損なわない範囲で適宜調整できる。
【0038】
[樹脂組成物の特性]
樹脂組成物は、25μmの厚さを有するフィルムの形態において、下記式(A)及び(B)を満たす。
X≦50…(A)
Y≧40…(B)
【0039】
式中、Xは、波長355nmの光の吸収率(単位:%)を表し、Yは、ヘイズ値(単位:%)を表す。
【0040】
ヘイズ値は、好ましくは50%以上であり、より好ましくは60%以上であり、更に好ましくは70%以上である。ヘイズが40%未満である場合、UVレーザーが広範囲にスチレン系ポリマーと接触することができないため、UVレーザー加工性に劣る虞がある。なお、光の吸収率及びヘイズ値は、実施例に記載の方法により算出できる。
【0041】
本実施形態の樹脂組成物の硬化物は誘電特性に優れる。硬化後の樹脂組成物の誘電率は、2.8未満であることが好ましく、より好ましくは2.75以下、さらに好ましくは2.70以下である。また、硬化後の樹脂組成物の誘電正接は、0.006未満であることが好ましく、より好ましくは0.005以下、さらに好ましくは0.004以下である。
【0042】
本実施形態における樹脂組成物は、接着フィルム等の形状にした後、例えば、フレキシブルプリント配線板(FPC)の各種部材の接着剤として用いることができる。以下、接着フィルムと各種部材について説明する。
【0043】
[接着フィルム]
本実施形態における接着フィルムは、本実施形態の樹脂組成物を含む。接着フィルムは、例えば離型フィルム上に樹脂組成物を塗布することにより作製できる。より具体的には、少なくとも片面に離型処理が施されたPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム、PP(ポリプロピレン)フィルム、PE(ポリエチレン)フィルムなどの離型処理面上に樹脂組成物を塗布した後、一定の条件(温度:80〜180℃、時間:2〜10分)により半硬化状態(以下、Bステージともいう)になるまで乾燥させて接着フィルムを得る。塗膜の厚さは、用途により異なるが、10〜100μm程度でよい。塗布方法は、特に限定されず、例えば、コンマコーター、ダイコーター、グラビアコーター等の方法が挙げられる。なお、完全硬化状態(Cステージ)の接着フィルムは、Bステージの接着フィルムを一定の硬化条件(温度:160〜180℃、圧力:2〜3MPa、時間:30〜60分)で処理することにより得ることができる。
【0044】
硬化後の接着フィルムの厚さが、好ましくは2〜200μmであり、より好ましくは5〜150μmであり、さらに好ましくは10〜100μmである。接着フィルムの厚さが200μm以下であることにより、製造時の発泡を一層抑制できる傾向にあり、接着フィルムの厚さが2μm以上であることにより、加工表面の平滑性を一層保つことができ、例えば、回路埋まり性、密着性、折り曲げ性等の特性が一層良好となる傾向にある。
【0045】
[カバーレイフィルム]
本実施形態のカバーレイフィルムは、本実施形態の樹脂組成物を含む接着層と、電気絶縁層と、が積層された構造を有する。
【0046】
電気絶縁層は、カバーレイフィルムをFPCの部材として用いた場合、配線板上に形成された回路等を保護するための役割を有する。電気絶縁層を構成する材料としては、特に限定されず、例えば、ポリイミド、液晶ポリマー、ポリフェニレンスルフィド、シンジオタクチックポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルエーテルケトン、及びフッ素系樹脂からなる群から選択される1種以上の樹脂が挙げられる。
【0047】
電気絶縁層としてのフッ素系樹脂としては、特に限定されず、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ジフルオロエチレン−トリフルオロエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン、及びポリビニリデンフルオライドからなる群から選択される1種以上が挙げられる。
【0048】
[積層板]
本実施形態の積層板は、本実施形態の樹脂組成物を含む接着層と、電気絶縁層と、銅箔と、が積層された積層構造を有する積層板であって、接着層は、第1の面と、第1の面に対向する第2の面とを有し、接着層の第1の面に電気絶縁層が積層され、接着層の第2の面に銅箔が積層されている。本実施形態の積層板は、接着層に本実施形態の樹脂組成物を含むため、高湿度下における誘電特性、UVレーザー加工性及び密着性に優れる。
【0049】
また、本実施形態における積層板は、本実施形態の樹脂組成物を含む接着層と、電気絶縁層と、銅箔と、が積層された積層板であって、電気絶縁層の両面に接着層が積層され、接着層の電気絶縁層が積層された面とは反対側の面に銅箔が積層された構造を有する両面銅張り積層板であってもよい。両面銅張り積層板は、片面銅張り積層板の電気絶縁層における、接着層及び銅箔が積層された面とは反対側の面に、接着層と銅箔が更に設けられた構造を有する。
【0050】
積層板は、接着層の硬化状態がカバーレイフィルムとは異なる。具体的には、カバーレイフィルムに含まれる接着層の硬化状態はBステージであるのに対して、積層板に含まれる接着層の硬化状態はCステージである。カバーレイフィルムは、後述するように、回路を形成した積層板に貼り合わせた後、接着層をCステージまで更に硬化させる。
【0051】
積層板に含まれる接着層の厚さは、好ましくは2〜50μmであり、より好ましくは5〜25μmである。接着層の厚さが2μm以上であると、電気絶縁層と被着体との間の接着性が一層良好となる傾向にあり、50μm以下であると、折り曲げ性(屈曲性)が一層良好となる傾向にある。
【0052】
本実施形態の積層板は、UVレーザー加工性に優れるため、UVレーザー光を照射することに伴う、不要なケズレ等を抑制できる。このため、本実施形態の積層板は、積層板に、下記(1)及び(2)の処理を行った際に、切断部位の水平方向の切断面に形成される凹みの水平方向の最大長は、例えば、5μm以下であり、3μm以下であることが好ましい。
(1)前記銅箔を除去することにより、除去部位を形成する。
(2)前記除去部位に、波長355nmのレーザー光を照射することにより、前記除去部位の垂直方向に切断部位を形成する。
【0053】
本実施形態の樹脂付き銅箔は、本実施形態の樹脂組成物を含む接着層と、銅箔と、が積層された積層構造を有する。本実施形態の樹脂付き銅箔は、接着層に本実施形態の樹脂組成物を含むため、高湿度下における誘電特性、UVレーザー加工性及び密着性に優れる。
【0054】
[樹脂付き銅張り積層板]
本実施形態の樹脂付き銅箔は、本実施形態の樹脂組成物を含む接着層と、電気絶縁層と、銅箔と、が積層された積層構造を有する樹脂付き銅張り積層板であって、電気絶縁層が、第1の面と、第1の面に対向する第2の面とを有し、電気絶縁層の第1の面に接着層が積層され、電気絶縁層の第2の面に銅箔が積層されている。本実施形態の樹脂付き銅張り積層板は、接着層に本実施形態の樹脂組成物を含むため、高湿度下における誘電特性、UVレーザー加工性及び密着性に優れる。
【0055】
上述した各種部材は、接着層が露出した面に、セパレートフィルムが更に積層されていてもよい。セパレートフィルムを形成する樹脂としては、特に限定されず、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、及びポリブチレンテレフタレート樹脂からなる群から選択される1種以上の樹脂が挙げられ、中でも、製造コストを低減する観点から、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、及びポリエチレンテレフタレート樹脂からなる群から選択される1種以上の樹脂が好ましい。セパレートフィルムを有する各種部材を使用する際には、このセパレートフィルムを剥離した後、接着層面を被着体に貼付する。
【0056】
[フレキシブルプリント配線板]
フレキシブルプリント配線板は、本実施形態のカバーレイフィルムと、積層板を含み、積層板に含まれる銅箔に回路を形成した後、カバーレイフィルムの接着層を、積層板の回路形成面に貼着させることにより得られる。
【0057】
[製造方法]
本実施形態における各種部材の製造方法としては、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。本実施形態のカバーレイフィルムは、例えば、以下の(a)工程を含む方法により製造することができる。
(a)電気絶縁層の片面に、接着層を形成する樹脂組成物のワニスを塗布し、Bステージまで乾燥させる工程。
【0058】
本実施形態における片面銅張り積層板の製造方法としては、例えば、上記(a)工程に加えて、以下の(b)工程を更に行う。
(b)上記(a)工程で得られたカバーレイフィルムの接着層が設けられた面に、銅箔を熱プレスし、接着層をCステージまで乾燥させる工程。
本実施形態における両面銅張り積層板の製造方法としては、上記の片面銅張り積層板の電気絶縁層のもう一方の面に、接着層と銅箔とを上記と同様の方法により積層することにより製造することができる。
【0059】
ワニスに用いられる溶剤としては、例えば、アセトン、トルエン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジメチルアセトアミド、酢酸ブチル、酢酸エチル等が挙げられる。溶剤の配合量は、酸変性スチレン系ポリマー100質量部に対し、300〜500質量部程度であってもよい。
【0060】
ワニスを塗布する方法としては、塗布厚さに応じて、コンマコーター、ダイコーター、グラビアコーターなどを適宜採用することができる。ワニスの乾燥は、インラインドライヤー等により実施することができ、その際の乾燥条件は、樹脂や添加剤の種類及び量等により適宜調整することができる。
【0061】
本実施形態における樹脂付き銅箔は、本実施形態の樹脂組成物を含む接着層と、銅箔と、が積層された構造を有する。また、本実施形態における樹脂付き銅張り積層板は、上述した低誘電樹脂組成物を含む接着層と、電気絶縁層と、銅箔と、が積層された構造を有し、前記電気絶縁層の第1の面に前記接着層が積層され、第2の面に前記銅箔が積層されている。樹脂付き銅箔及び樹脂付き銅張り積層板は、上述したカバーレイや銅張り積層板の製造方法に準じて製造することができる。
【0062】
本明細書中の各物性の測定及び評価は、特に明記しない限り、以下の実施例に記載された方法に準じて行うことができる。
【実施例】
【0063】
以下、本発明を実施例及び比較例によってさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0064】
各実施例及び比較例において用いた各成分及び材料は以下のとおりである。
[スチレン系ポリマー]
(1)スチレン系ポリマーA
タフテックM1913 旭化成ケミカルズ社製
水添スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体、カルボキシル基当量5400g/eq、スチレン由来の単位の割合が30重量%。
(2)スチレン系ポリマーB
タフテックH1041 旭化成ケミカルズ社製
水添スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体、カルボキシル基なし、スチレン由来の単位の割合が30重量%。
(3)スチレン系ポリマーC
アサプレンT−432 旭化成ケミカルズ社製
スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、カルボキシル基なし、スチレン由来の単位の割合が30重量%
【0065】
[無機フィラー]
(1)シリカA
SC2050−MB アドマテック社製、粒径0.5μm。
(2)水酸化アルミニウムA
ハイジライトH−43 昭和電工社製、粒径0.75μm。
(3)シリカB
VX−SR 龍森社製、粒径2.5μm。
(4)水酸化アルミニウムB
B−303 アルモリックス社製、粒径4.3μm。
(5)酸化チタン
タイピュアR−960 ケマーズ社製、粒径0.5μm。
(6)タルク
D−600 日本タルク社製、粒径0.6μm。
(7)有機リン系フィラー
OP930 クラリアント社製、粒径3.5μm。
【0066】
[硬化剤]
(1)エポキシ樹脂
jER YX8800 三菱化学社製、縮合多縮型エポキシ樹脂、エポキシ当量180g/eq。
(2)カルボジイミド化合物
カルボジライトV−05 日清紡ケミカル社製、カルボジイミド当量262g/eq。
(3)オキサゾリン化合物
1,3−PBO 三國製薬工業社製、オキサゾリン当量108g/eq。
【0067】
実施例及び比較例において、各物性の測定及び評価は以下の方法により行った。
【0068】
[引き剥がし強さ]
(1)サンプルの作製手順
厚さ38μmの片面離型処理が施されたPETフィルムの離型面側に、樹脂組成物を塗布し、乾燥後の厚さが25μmとなるように、80〜180℃、1〜30分の条件で半硬化状態(Bステージ)になるまで乾燥させることにより、接着層(接着フィルム)を形成した。
接着層の一方の面に、25μmの厚さを有するポリイミドフィルムをラミネートし、PETフィルムを剥がした。次に、接着層の一方の面と対向する他方の面に、圧延銅箔(JX日鉱日石金属社製、品名BHY−22B―T、厚さ35μm)の光沢面を貼り合わせ、160℃、3.0MPa(1cm
2当たりの圧力)、60分の条件で加熱加圧し、サンプル(積層板)を得た。
(2)測定方法
(1)で作製したサンプルを幅10mm×長さ100mmにカットし、島津製作所社製オートグラフAGS−500を用いて、90°方向(積層板の面方向に直交する方向)における引き剥がし強度を以下の測定条件にて測定した。測定条件は、基材フィルム引きで、テストスピードを50mm/minとした。評価基準は以下の通りである。
A:引き剥がし強度が7N/cm以上
B:引き剥がし強度が5N/cm以上7N/cm未満
C:引き剥がし強度が5N/cm未満。
【0069】
[耐はんだリフロー性]
(1)サンプルの作製手順
[引き剥がし強さ](1)サンプルの作製手順により積層板を作製した。
(2)評価に使用したサンプル
上記積層板と、上記積層板を、40℃、90%RHの条件で96時間保管した湿熱処理済みの積層板の2種類の積層板を用いた。そして、各積層板を50mm×50mmの大きさにカットしたものをサンプルとした。以下、前者を未処理サンプルといい、後者を処理済みサンプルという。
(3)測定方法
ピーク温度が260℃になるように設定したはんだリフロー炉に未処理サンプル及び処理済みサンプルを炉内に搬送した。この時、搬送スピードは、300mm/minとし、ピーク温度の暴露時間が10秒となるように調整した。リフロー炉を通過した後の各サンプルの膨れ及び剥がれの有無を目視により確認することにより、耐はんだリフロー性を評価した。評価基準を以下の通りである。
A:膨れも剥がれも認められなかった。
C:膨れ及び剥がれの少なくとも一方が認められた。
【0070】
[絶縁信頼性]
(1)サンプルの作製
厚さ38μmの片面離型処理が施されたPETフィルムの離型面側に、樹脂組成物を塗布し、乾燥後の厚さが25μmとなるように、80〜180℃、1〜30分の条件で半硬化状態(Bステージ)になるまで乾燥させることにより、接着層(接着フィルム)を形成した。
接着層の一方の面に、25μmの厚さを有するポリイミドフィルムをラミネートしてサンプルを得た。
(2)被着体の作製
被着体として、電解銅箔(JX日鉱日石金属社製、厚さ18μm)の粗面に厚さ25μmのポリイミド層が形成された2層基板の銅箔光沢面に、パターンの配線幅(L)/間隔(S)=50/50の回路パターンが形成されたものを用いた。
(3)評価方法
サンプルから離型のPETフィルムを剥がし、接着層の一方の面と対向する他方の面と、上記被着体の回路形成面とをプレス成形(加熱温度160℃、加熱時間1時間、圧力3MPa)により貼り合わせた。そして、貼り合わせたサンプルの絶縁信頼性を、85℃、85%RH、DC50Vの条件にて1000時間後の短絡有無を目視により確認することにより評価した。評価基準は以下の通りである。
A:1000時間後も短絡がなかった。
C:1000時間に到達する前に短絡していた。
【0071】
[誘電率及び誘電正接]
(1)サンプルの作製
厚さ38μmの片面離型処理が施されたPETフィルムの離型面側に、樹脂組成物を塗布し、乾燥後の厚さが25μmとなるように、80〜180℃、1〜30分の条件で半硬化状態(Bステージ)になるまで乾燥させることにより、接着層(接着フィルム)を形成した。
接着層の一方の面(接着層が露出している面)と、38μmの片面離型処理が施されたPETフィルムの離型面とが対向するようにラミネートし、プレス成形(加熱温度160℃、加熱時間1時間、圧力3MPa)を行い、サンプルを得た。使用時は離型のPETフィルムを両側共に剥がして測定を行った。
(2)測定方法
Agilent Technologies社製 Network AnalyzerN5230A SPDR(共振器法)を用いて、23℃の雰囲気下、周波数5GHzの条件で測定を行い、以下のとおりに評価した。また、40℃、90%RHの条件で96時間保管した湿熱処理済みサンプルを用いて同様の評価を行った。評価基準は以下の通りである。
(誘電率)
A:2.7未満
B:2.7以上2.8未満
C:2.8以上。
(誘電正接)
A:0.004未満
B:0.004以上0.006未満
C:0.006以上。
【0072】
[吸水率]
(1)サンプルの作製
[誘電率及び誘電正接](1)サンプルの作製手順によりサンプルを得た。使用時は離型のPETフィルムを剥がして測定を行った。
(2)測定方法
サンプルを105℃、0.5時間の条件で乾燥させ、室温まで冷却した後のサンプル質量を初期値(m
0)とした。このサンプルを23℃の純水に24時間、浸漬させ、その後の質量(m
d)を測定し、初期値と浸漬後の質量の変化から下記式を用いて吸水率を測定した。
(m
d―m
0)×100/m
0=吸水率(%)
A:吸水率が0.5%以下
B:吸水率が0.5%超1.0%未満
C:吸水率が1.0%以上。
【0073】
[レーザー加工性]
(1)サンプルの作製
厚さ38μmの片面離型処理が施されたPETフィルムの離型面側に、樹脂組成物を塗布し、乾燥後の厚さが25μmとなるように、80〜180℃、1〜30分の条件で半硬化状態(Bステージ)になるまで乾燥させることにより、接着層(接着フィルム)を作成した。
被着体となる片面銅張積層板及び両面銅張積層板は、それぞれ、有沢製作所製PNS H0512RAH(ポリイミド12.5μm、圧延銅箔12μm)と、PKRW 1012EDR(ポリイミド25μm、電解銅箔12μm)を使用した。
接着層の一方の面と片面銅張積層板のポリイミド層とが対向するように、接着層に片面銅張積層板をラミネートした後、離型フィルムを剥がし、接着層の一方の面と対向する他方の面と、両面銅張積層板とを貼り合わせ、160℃、3.0MPa(1cm
2当たりの圧力)、60分の条件で加熱加圧し、サンプルを得た。
(2)測定方法
ESI社製のUV−YAGレーザー Model5330を用いて、片面銅張積層板の銅箔部にコンフォーマルエッチングを行った後、接着フィルムと両面銅張積層板との境界までブラインドビア加工を行った(
図1参照のこと)。ブラインドビア部の断面を光学顕微鏡にて観察し、接着層のケズレの長さ(すなわち切断部位の水平方向の切断面に形成される凹みの水平方向の最大長)を測定した。
【0074】
[吸収率及びヘイズ]
(1)サンプルの作製
[誘電率及び誘電正接](1)サンプルの作製手順によりサンプルを得た。使用時は離型のPETフィルムを剥がして測定を行った。
(2)測定方法
日立ハイテクサイエンス社製分光光度計U−4100を用いて355nmの光の全光線透過率、反射率、及び拡散透過率を測定した。吸収率及びヘイズ値は、以下の計算式により算出した。
吸収率(%)=100−全光線透過率(%)−反射率(%)
ヘイズ値(%)=拡散透過率/全光線透過率×100(%)
【0075】
[実施例1]
水添スチレン系エラストマー(タフテックM1913)100質量部に対し、エポキシ樹脂(jER YX8800)6.1質量部、粒径0.5μmのシリカ(SC2050−MB)50質量部、溶解溶剤としてトルエン400質量部加えて撹拌し、接着剤ワニス(樹脂組成物)とした。
【0076】
[実施例2
、4〜8、比較例1〜
10]
表1及び2に示すように、各成分の種類及び含有量を変更したこと以外は実施例1と同様の方法により、接着剤ワニス(樹脂組成物)を得た。
【0077】
各実施例1
、2、4〜8及び比較例1〜
10の接着剤ワニス(樹脂組成物)を用いて各種評価を行った。評価結果を表1及び2に示す。
【0078】
【表1】
【0079】
【表2】
【0080】
上記実施例の結果から、本実施形態の樹脂組成物は、高湿度下における誘電特性に優れ、密着性及びUVレーザー加工性にも優れることが分かった。