特許第6561154号(P6561154)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東芝ライフスタイル株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6561154-貯蔵庫 図000002
  • 特許6561154-貯蔵庫 図000003
  • 特許6561154-貯蔵庫 図000004
  • 特許6561154-貯蔵庫 図000005
  • 特許6561154-貯蔵庫 図000006
  • 特許6561154-貯蔵庫 図000007
  • 特許6561154-貯蔵庫 図000008
  • 特許6561154-貯蔵庫 図000009
  • 特許6561154-貯蔵庫 図000010
  • 特許6561154-貯蔵庫 図000011
  • 特許6561154-貯蔵庫 図000012
  • 特許6561154-貯蔵庫 図000013
  • 特許6561154-貯蔵庫 図000014
  • 特許6561154-貯蔵庫 図000015
  • 特許6561154-貯蔵庫 図000016
  • 特許6561154-貯蔵庫 図000017
  • 特許6561154-貯蔵庫 図000018
  • 特許6561154-貯蔵庫 図000019
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6561154
(24)【登録日】2019年7月26日
(45)【発行日】2019年8月14日
(54)【発明の名称】貯蔵庫
(51)【国際特許分類】
   F25D 23/02 20060101AFI20190805BHJP
【FI】
   F25D23/02 305A
【請求項の数】1
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2018-8308(P2018-8308)
(22)【出願日】2018年1月22日
(62)【分割の表示】特願2013-235202(P2013-235202)の分割
【原出願日】2013年11月13日
(65)【公開番号】特開2018-59712(P2018-59712A)
(43)【公開日】2018年4月12日
【審査請求日】2018年2月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076314
【弁理士】
【氏名又は名称】蔦田 正人
(74)【代理人】
【識別番号】100112612
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 哲士
(74)【代理人】
【識別番号】100112623
【弁理士】
【氏名又は名称】富田 克幸
(74)【代理人】
【識別番号】100163393
【弁理士】
【氏名又は名称】有近 康臣
(74)【代理人】
【識別番号】100189393
【弁理士】
【氏名又は名称】前澤 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100059225
【弁理士】
【氏名又は名称】蔦田 璋子
(72)【発明者】
【氏名】石橋 郁夫
【審査官】 庭月野 恭
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第03248159(US,A)
【文献】 実開昭55−052081(JP,U)
【文献】 実開昭47−033449(JP,U)
【文献】 実開昭55−065482(JP,U)
【文献】 米国特許第04226489(US,A)
【文献】 特開2002−310553(JP,A)
【文献】 実開昭48−050754(JP,U)
【文献】 特開平04−302983(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャビネットに設けられた貯蔵室と、
前記貯蔵室に設けられた観音開き式の左右一対の扉と、
左右一対の前記扉が相対向する前記扉の裏面の縦辺に設けられた左右一対の縦弾性部材と、
左右一対の縦弾性部材の裏面にそれぞれ取り付けられ、左右一対の前記扉の隙間を塞ぐ左右一対の仕切り体と、
を有し、
左右一対の前記仕切り体の相対向する縦面に板状の閉扉磁石がそれぞれ設けられ、
左右一対の閉扉磁石は、閉扉状態で左右一対の前記仕切り体を磁着させ、
前記扉の裏面の四周から額縁状の突壁が突出し、
前記突壁の側壁に沿って前記仕切り体が配され、
前記扉の裏面の突壁後部から縦方向に遮蔽板がそれぞれ設けられ、前記仕切り体を覆っている、
貯蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、観音開き式の扉を使用した貯蔵庫に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年の冷蔵庫の大型化により、観音開き式の扉を使用した冷蔵庫が増えている。この観音開き式の扉の場合には、左右の扉の間から冷気が漏れないようにするために、仕切り体を設ける必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4608840号公報
【特許文献2】特開2005−337680号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、仕切り体の隙間から冷気から漏れるという問題点があった。
【0010】
そこで、本発明の実施形態は上記問題点に鑑み、観音開き式の扉の仕切り体の隙間から冷気から漏れない貯蔵庫を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本実施形態は、キャビネットに設けられた貯蔵室と、前記貯蔵室に設けられた観音開き式の左右一対の扉と、左右一対の前記扉が相対向する前記扉の裏面の縦辺に設けられた左右一対の縦弾性部材と、左右一対の縦弾性部材の裏面にそれぞれ取り付けられ、左右一対の前記扉の隙間を塞ぐ左右一対の仕切り体と、を有し、左右一対の前記仕切り体の相対向する縦面に板状の閉扉磁石がそれぞれ設けられ、左右一対の閉扉磁石は、閉扉状態で左右一対の前記仕切り体を磁着させ、前記扉の裏面の四周から額縁状の突壁が突出し、前記突壁の側壁に沿って前記仕切り体が配され、前記扉の裏面の突壁後部から縦方向に遮蔽板がそれぞれ設けられ、前記仕切り体を覆っている、貯蔵庫である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施形態1の冷蔵庫の正面図。
図2】閉扉状態の左右一対の仕切り体の横拡大断面図。
図3】左側の仕切り体の斜視図。
図4】左右一対の扉を閉めた状態の裏面を斜め後方から見た斜視図。
図5】右扉の裏面を斜め後方から見た斜視図。
図6】左扉の裏面を右斜め後方から見た斜視図。
図7】左扉の裏面を左斜め後方から見た斜視図。
図8】左側の仕切り体本体に上部材を取り付けようとしている状態の斜視図。
図9】左側の仕切り体本体に上部材を取り付けた状態の斜視図。
図10】左右一対の閉扉磁石の斜視図。
図11】左右一対の扉を取り除いた状態の冷蔵室の斜視図。
図12】引き剥がし部材を下方から見た斜視図。
図13】左扉の仕切り体の拡大横断面図。
図14】左右一対の扉を閉めた状態の横断面図。
図15】左扉を少し開けようとしている状態の横断面図。
図16】左扉をさらに開けようとしている状態の横断面図。
図17】左扉を開けた状態の横断面図。
図18】実施形態2の左右一対の扉の仕切り体の拡大横断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本実施形態の貯蔵庫について図面に基づいて説明する。
【実施形態1】
【0015】
実施形態1の貯蔵庫は冷蔵庫10であり、この冷蔵庫10について図1図17に基づいて説明する。
【0016】
(1)冷蔵庫10の構造
冷蔵庫10の構造について図1に基づいて説明する。図1は冷蔵庫10の正面図である。冷蔵庫10のキャビネット12には、上から順番に冷蔵室14、野菜室16、製氷室18、大型の冷凍室22が設けられ、製氷室18の右側には小型の冷凍室20が設けられている。冷蔵室14の前面には、左右一対の観音開き式の扉24,26が設けられ、野菜室16、製氷室18、小型の冷凍室20、大型の冷凍室22にはそれぞれ引き出し式の扉16a、18a、20a、22aが設けられている。
【0017】
冷蔵室14の左扉24は、左側が不図示のヒンジ部によって回動自在に支持され、左扉24の裏面には、額縁状の突壁28が後方へ突出している。この額縁状の突壁28内部にドアポケットなどが形成されている。左扉24の裏面であって、額縁状の突壁28の外周部には、左上ガスケット30、左外ガスケット32、左下ガスケット34、左内ガスケット36が額縁状に一体に取り付けられている。
【0018】
右扉26も、その右側が不図示のヒンジ部によって回動自在に支持され、右扉26の裏面には、額縁状の突壁38が後方へ突出している。この額縁状の突壁38の内部にドアポケットなどが形成されている。右扉26の裏面であって、額縁状の突壁38の外周部には、右上ガスケット40、右外ガスケット42、右下ガスケット44、右内ガスケット46が額縁状に一体に取り付けられている。左内ガスケット36と右内ガスケット46が相対向する位置に設けられている。
【0019】
左扉24の右側上部に対応するキャビネット12の天井面には、左扉24をソレノイドで押圧して開ける開扉装置48が設けられている。また、右扉26の左側上部に対応するキャビネット12の天井面にも右扉26を押圧して開ける開扉装置50が設けられている。左側の開扉装置48は、左扉24の下部にあるスイッチ52をタッチすれば動作し、右側の開扉装置50は、右扉26の下部にあるスイッチ54をタッチすれば動作する。
【0020】
左扉24の右側と右扉26の左側には、左扉24と右扉26が閉扉状態でその隙間を塞ぐ左右一対の仕切り体56,58が設けられている。仕切り体56,58については後から詳しく説明する。
【0021】
(2)ガスケット
左扉24に設けられた左上ガスケット30、左外ガスケット32、左下ガスケット34、左内ガスケット36について説明する。
【0022】
図2に示すように、左内ガスケット(左側の縦ガスケット)36は、弾性を有する合成樹脂からなる縦方向の筒体であって、表面の縦方向に沿って横断面T字状の突条60が設けられ、裏面の縦方向に沿って横断面T字状の突条62が設けられている。また、この裏面には縦長の磁石を挿入するための磁石挿入部64が設けられているが、磁石は収納されていない。図2図9に示すように、左内ガスケット36の左側面の上部と下部にはそれぞれ縦ヒレ片66が一体に設けられている。
【0023】
左上ガスケット30、左外ガスケット32、左下ガスケット34も左内ガスケット36と同様に弾性のある合成樹脂よりなる筒体であって、表面に横断面T字状の突条60が設けられ、裏面側には磁石の磁石挿入部64が設けられている。但し、左内ガスケット36のように突条62と縦ヒレ片66は設けられていない。そして、この左上ガスケット30、左外ガスケット32、左下ガスケット34、左内ガスケット36は、額縁状に一体に接合され、左扉24の裏面の突壁28の外周部にある額縁状の溝68に、横断面T字状の突条60が挿入されて、左扉24の裏面に固定されている。また、磁石挿入部64には、閉扉時にキャビネット12と磁着する磁石が挿入されている。
【0024】
右扉26の右上ガスケット40、右外ガスケット42、右下ガスケット44、右内ガスケット(右側の縦ガスケット)46も、左扉24の各ガスケットと左右対称に形成されている。
【0025】
(3)仕切り体56,58
左側の仕切り体56について図2図3に基づいて説明する。
【0026】
図2図3に示すように左側の仕切り体56は縦方向に長く、左内ガスケット36に取り付けられている。左側の左仕切り体56は、筒状の仕切り体本体70と、仕切り体本体70の上部と下部にそれぞれ取り付けられる上部材72と下部材74を有する。
【0027】
図2に示すように、仕切り体本体70の前面は平らな面であり、左内ガスケット36の突条62が係合する縦溝76が縦方向に設けられている。右側面の前部には、左内ガスケットの縦ヒレ片66が退避するための退避凹部82が設けられている。右側面の中央部の平らな面には、縦長の閉扉磁石78を挿入するための磁石挿入部80が設けられている。右側面の後側は右側から左側に湾曲した曲面をなしている。仕切り体本体70の左側面の後部も平らな面が形成され、その内側に開扉磁石86が挿入される磁石挿入部84が縦方向に設けられている。左側面の中央部には、上部材72と下部材74をネジ止めするためのネジ孔88が設けられている。
【0028】
図2図4図7に示すように、左扉24の突壁28の右側壁90の後部には、固定板94が右側壁90に沿って固定されている。この固定板94の後端部から遮蔽板92が左扉24の前面とほぼ平行に延設されている。固定板94には、固定磁石96が縦方向に設けられている。遮蔽板92の左端部は前方に湾曲し、この湾曲した遮蔽板92の上部には、図6図7に示すように矩形状の係合孔98が開口している。
【0029】
図10に示すように、磁石挿入部80に挿入される縦板状の閉扉磁石78は、前後でS極とN極に分かれ、その磁極の位置が判るように上端部と下端部が斜めに切り欠かれている。左側の閉扉磁石78は、図10に示すように、前部がS極であり、後部がN極である。右側の閉扉磁石78は、これとは逆に前部がN極であり、後部がS極である。
【0030】
磁石挿入部84に挿入される縦板状の開扉磁石86は、表面と裏面とでS極とN極に分かれ、その磁極の位置が判るように上端部と下端部が斜めに切り欠かれている。開扉磁石86は、閉扉磁石78の1/3の長さである。
【0031】
固定板94に挿入される縦板状の固定磁石96は、表面と裏面とでS極とN極に分かれ、その磁極の位置が判るように上端部と下端部が斜めに切り欠かれている。固定磁石96の長さは、閉扉磁石78の1/3の長さで、開扉磁石86と同じ長さである。
【0032】
右側の仕切り体58も、左側の仕切り体56と左右対称に形成されている。但し、左側の仕切り体56と右側の仕切り体58の閉扉磁石78,78が閉扉状態で磁着するようにするために、図2に示すように、左側の閉扉磁石78の磁極と右側の閉扉磁石78の磁極とは異なる極になるように配されている。
【0033】
上部材72について図3に基づいて説明する。図3は、左側の上部材72、左側の仕切り体本体70、左側の下部材74の斜視図である。左側の上部材72は、上記したように仕切り体本体70の上部にネジ止めするものであり、断面形状は左側の仕切り体本体70と同じ形状である。左側の上部材72の後部から遮蔽板92の係合孔98に挿入される係合突部100が後方に向かって突出している。上部材72の下面からは、磁石挿入部80に挿入される挿入片114が突出している。挿入片114の下端は閉扉磁石78の上部に対応して傾斜面であり、上部材72を仕切り体本体70に固定すると磁石挿入部80内部で閉扉磁石が挿入片114によって固定される。上部材72の右側面の上部中央には後から説明する引き剥がし部材104の中引き剥がし片108が挿入されるガイド凹部116が形成されている。右側面の上部前部には、上部の縦ヒレ片66が退避するための退避凹部82が形成されている。この退避凹部82は、ガイド凹部116より下部に形成されている。上部材72と仕切り体本体70によって挟持されている横ヒレ片102は、左内ガスケット36の上部から突出している縦ヒレ片66の下部と当接している。右側の上部材72は、左側の上部材72と左右対称の形状に形成されている。
【0034】
下部材74について図3に基づいて説明する。左側の下部材74は、上部材72と上下対称であるが、ガイド凹部116、係合突部100は形成されておらず、下部の縦ヒレ片66が退避するための退避凹部82のみが形成されている。右側の下部材74は、左側の下部材74と左右対称の形状に形成されている。
【0035】
上部材72と下部材74とによって、仕切り体本体70に設けられている縦溝76の上端と下端を閉塞する。上部材72と仕切り体本体70の間には、図3図8に示すように、横ヒレ片102が水平に挟持されている。
【0036】
(4)引き剥がし部材104
左右一対の仕切り体56と仕切り体58を開扉状態及び閉扉状態に制御する引き剥がし部材104について図11図12に基づいて説明する。
【0037】
図11図12に示すように、冷蔵室14の天井面の左扉24と右扉26が合わさる位置に引き剥がし部材104が設けられている。引き剥がし部材104は、板状の基台106から下方に中引き剥がし片108と左右一対の左引き剥がし片110と右引き剥がし片112が突出している。中引き剥がし片108は、図12に示すように、基台106の前部に設けられ、断面が涙型であり、前部ほど先細り形状となっている。左引き剥がし片110は基台106の後部に設けられ横断面が三角状であり、前部ほど先細り形状である。右引き剥がし片112も、左引き剥がし片110と左右対称な位置に、かつ、左右対称な形状に形成されている。
【0038】
(5)仕切り体56,58の取り付け方法
次に、仕切り体56,58の取り付け方法について説明する。
【0039】
まず、左扉24が組み上がると、額縁状の左上ガスケット30、左外ガスケット32、左下ガスケット34、左内ガスケット36の各突条60を溝68に挿入して、各ガスケットを左扉24の裏面に取り付ける。
【0040】
次に、仕切り体本体70の下部に、下部材74を横ヒレ片102を挟んだ状態でネジ止めする。
【0041】
次に、磁石挿入部80に板状の閉扉磁石78を上から挿入し、磁石挿入部84に開扉磁石86を挿入する。ここで、S極とN極が間違わないようにするために、閉扉磁石78の上端部と下端部の傾斜方向及び開扉磁石86の上端部と下端部の傾斜面を確認して挿入する。
【0042】
次に、左内ガスケット36の突条62に、仕切り体本体70の縦溝76を挿入する。
【0043】
次に、仕切り体本体70の上部に、上部材72を横ヒレ片102を挟んだ状態でネジ止めする。
【0044】
次に、固定板94に固定磁石96を挿入する。
【0045】
次に、左扉24の突壁28の右側壁90に遮蔽板92と固定板94を固定する。この場合に、遮蔽板92は固定板94と一体であるため、固定板94を突壁28に差し込んで固定する。このときに、上部材72の係合突部100を遮蔽板92の係合孔98に係合する。
【0046】
次に、右扉26にも同様にして仕切り体58、固定板94、遮蔽板92を固定する。
【0047】
次に、冷蔵室14の天井面に引き剥がし部材104をネジ止めする。
【0048】
(6)開扉、閉扉動作
次に、左扉24を開けるときの動作と閉じるときの動作について図14図17に基づいて説明する。なお、図14図17においては、図面を見易くするために、中引き剥がし片108、左引き剥がし片110、右引き剥がし片112のみ断面図とし、その他の部材の断面図におけるハッチングは省略する。
【0049】
ユーザが、左扉24を開ける動作について説明する。
【0050】
まず、図14に示すように、左扉24と右扉26が閉扉状態について説明する。図14は、左扉24と右扉26が閉扉状態にある横断面図である。閉扉状態において、左扉24と右扉26の仕切り体56と右仕切り体58の閉扉磁石78,78同士が磁着し、左扉24と右扉26の隙間を密閉している。縦ヒレ片66は退避凹部82にその先端が退避している。引き剥がし部材104の中引き剥がし片108は、左右一対の上部材72,72のガイド凹部116,116の間に位置している。左右一対の左引き剥がし片110と右引き剥がし片112は、それぞれ仕切り体56と固定板94との間に位置し、固定磁石96と開扉磁石86が磁着しないように引き剥がしている。
【0051】
次に、図15に示すように、ユーザが左側の開扉装置48のスイッチ52にタッチすると、開扉装置48に押圧されて左扉24が前方に少し押されると、中引き剥がし片108の後部が、左右一対の上部材72のガイド凹部116に当接し始める。このときに、左右の仕切り体56,58は磁着しているため、左扉24を開けようとした場合に反対側の右扉26も引っ張って開けようとしてしまう。左右の仕切り体56,58は磁着したままで、図15に示すように反時計方向に僅かに回転する。しかし、左側の仕切り体56が回転することで、右側の仕切り体58と中引き剥がし片108のかかりが増すようになり、また、閉扉磁石78,78同士を引き剥がす方向の力が加わり易くなる。この2つの作用により、右側の仕切り体58は左側の仕切り体56に付いていくことができずに上端で剥がされ、順次下端まで引き剥がされていく。これにより、片側だけの左扉24をスムーズに開けることができる。
【0052】
次に、図16に示すように、開扉装置48が左扉24をさらに前方に押すと、中引き剥がし片108が左右一対の閉扉磁石78,78の磁着状態を引き剥がし、左扉24が開き易くなる。
【0053】
次に、図17に示すように、左扉24がさらに前方に押されると、開扉側の左側の仕切り体56と中引き剥がし片108はその後も開扉中に干渉し続け、また、左引き剥がし片112が上部材72と固定板94との間から離れ、左側の仕切り体56を僅かに倒す方向に移動する。これにより開扉磁石86と固定磁石96とが引き合い、開扉中に仕切り体56を安定した状態で固定できる。また、左側の仕切り体56が左扉24の右突壁28における遮蔽板92内部に収納される。
【0054】
左扉24を閉じる状態について説明する。
【0055】
まず、図17の状態からユーザが左扉24を閉じようとすると、図16に示すように、固定板94と仕切り体56との間に左引き剥がし片110が侵入し、固定磁石96と開扉磁石86とを引き剥がす。また、中引き剥がし片108が上部材72のガイド凹部116に侵入し始める。
【0056】
次に、図15に示すように、左引き剥がし片110が固定板94と仕切り体56との間に完全に挟まり、開扉磁石86と固定磁石96が引き剥がされる。また、中引き剥がし片108がガイド凹部116に侵入し、左右一対の閉扉磁石78,78が磁着する。これによって、図14に示すような閉扉状態となる。上述したように、完全に閉扉状態となる直前に左引き剥がし片110と仕切り体56は接触し、開扉磁石86と固定磁石96を引き剥がす。その後、完全に閉扉された状態では左引き剥がし片110と仕切体56は接触せずに、左右の仕切り体56、58が磁着した状態を安定して保持する。
【0057】
右扉26の開閉動作についても、左扉24の開閉動作と同様である。
【0058】
(7)効果
上記実施形態の冷蔵庫10であると、仕切り体56,58はそれぞれ左内ガスケット36と右内ガスケット46に取り付けられているため、左扉24や右扉26の取り付けばらつきや扉開閉時の周囲形状の変化に合わせて移動する。そして、仕切り体56は、ヒンジなどの回転軸によって回転するのでなく、弾性のある左内ガスケット36が延ばされたり縮んだりして移動するので、その移動を簡単にでき、また、扉開閉時の音が低減され、開閉のための力を低減でき、開扉装置48,50のソレノイドの勢いを緩めることができる。
【0059】
また、左右の扉24,26に前後の段差がない。これは、左右の閉扉磁石78,78は、前部と後部で異極になっているため、前後方向にずれても元へ戻ろうとし、左右の閉扉磁石78,78は1cm以上ずれると磁着しないからである。
【0060】
また、片側だけ開扉にしたときに、従来のように仕切り体56,58の出っ張りが少ない。そのため、冷蔵室14の下部に設置された部屋(例えばチルド室)に引き出し式の小物ケースが左右に分割して配されている場合に、左右どちらのケースも片側のドアだけ開けた状態で扉と干渉せずに大きく引き出せる設計ができる。
【0061】
また、従来のように仕切り体56,58が起き上がることによって閉扉における不具合が発生しない。すなわち、従来の回転式仕切り体では、扉を開けた勢いで回転仕切りが起き上がってしまい、扉が開いているのに扉が閉じた状態の仕切り体の状態になってしまうことがある。そのため扉をそのまま閉じようとすると反対側のドアに当たって閉じることができない。これに対し、本実施形態であると、仕切り体56,58がふらふらした状態で閉扉しても、反対側の扉に当たって引っ掛からずに閉扉できる。
【0062】
また、引き剥がし部材104の左引き剥がし片110と右引き剥がし片112が、開扉磁石86と固定磁石96を引き剥がすので、左右の仕切り体56,58が近づき互いに吸い寄せられて確実に磁着できる。仕切り体56の閉扉磁石78と開扉磁石86がどちらも他の磁石に磁着していない状態は一瞬であり、仕切り体56に連結している左内ガスケット36の柔軟性により、その一瞬の間は十分な移動空間が左右両方の仕切り体56,58周辺に与えられているため、左右の仕切り体56,58の閉扉磁石78が僅かにずれることによる反発は閉扉に影響を与えずに、左扉24が閉じるのとほぼ同時に仕切り体56,58は磁着されて確実な閉扉状態となる。
【0063】
また、完全な閉扉状態では左右の引き剥がし片110、112が左右一対の仕切り体56、58と接触しないので、組み付け時のバラツキなどの誤差によって不具合が生じることを防止できる。すなわち、完全な閉扉状態を実現しようとする場合に左引き剥がし片110と仕切体56とが接触すると、製品のバラツキなどにより仕切体56の位置が正常な位置よりも前方に押し出されることが考えられる。このような場合には、仕切体56の位置が正常な位置からずれているために磁着した状態を安定して保持できないことが想定されるが、左引き剥がし片110が仕切り体56と接触しないので、そのような事態を防止することができる。なお、右引き剥がし片112と仕切体58の場合であっても同様である。
【0064】
また、左内ガスケット36と右内ガスケット46とによって、左扉24と右扉26の隙間を簡単に塞ぐことができる。
【0065】
また、仕切り体56の溝68に、左内ガスケット36の突条62を挿入するだけであるため、仕切り体56と左内ガスケット36を簡単に固定できる。
【0066】
また、左内ガスケット36の筒状本体と左下ガスケット34の筒状本体と左上ガスケット30の筒状本体とが形状が同じであるため、角部の溶着が簡単となる。
【0067】
また、左内ガスケット36や右内ガスケット46から突出している突条62がT字状であるため、挿入が簡単で外れ難い。また、仕切り体56や仕切り体58に設ける溝68の溝断面を小さくでき、その小さくした分だけ仕切り体56,58の断熱を増やすことができる。
【0068】
また、左扉24と右扉26の相対向する面は、左右一対の閉扉磁石78,78で磁着されているため、隙間を完全に塞ぐことができる。
【0069】
また、閉扉磁石78は、前後方向に互いに異なる極であるため、閉扉磁石78の前後方向の寸法の半分の長さ程度が前後方向にずれると、左右の仕切り体56,58は反発するため、左右の仕切り体56,58が磁着することで左扉24と右扉26の前後方向に段差が発生しない。
【0070】
また、閉扉磁石78の上端と下端が傾斜しているため、S極とN極の挿入間違いがない。
【0071】
また、開扉時には固定板94の固定磁石96と仕切り体56の開扉磁石86が磁着して固定するため、開扉時に仕切り体56がふらふらしない。
【0072】
また、開扉磁石86の長さが閉扉磁石78の長さの1/3であるため、閉扉時に開扉磁石86が固定磁石96から剥がれ易い。
【0073】
また、仕切り体56は、筒状の仕切り体本体70と上部材72と下部材74とより構成されているため、仕切り体本体70を押出成形による製造が可能であり、部品点数が減り、コスト削減と部品の合わせ部で発生する不具合の低減となる。
【0074】
また、引き剥がし部材104の中引き剥がし片108、左引き剥がし片110、右引き剥がし片112によって、扉24,26の開閉を確実に行うことができる。
【0075】
また、左右一対の閉扉磁石78,78の磁着が強い場合であっても、この中引き剥がし片108によって引き剥がされるため、反対側の扉も一緒に開かない。
【0076】
また、左内ガスケット36、右内ガスケット46の縦ヒレ片66が互いに接触して、閉扉状態では隙間を塞ぐため、冷気漏れを防ぐことができる。
【0077】
また、閉扉時に縦ヒレ片66が退避凹部82に退避するため、左右の縦ヒレ片66,66が仕切り体56,58の間に挟まることがなく、左扉24と右扉26とは確実に閉めることができる。
【0078】
また、縦ヒレ片66の下部と横ヒレ片102が直角に交わるように当接されているので、縦ヒレ片66を上下に区画しているので、冷気が下方に移動して縦ヒレ片66の表面に霜が着くのを防止できる。
【0079】
また、横ヒレ片102は、上部材72と仕切り体本体70を取り付けるときに挟む構造であるため、簡単に取り付けできる。
【0080】
また、上部材72から突出した係合突部100が固定板94の係合孔98に係合しているため、左内ガスケット36が軟質であっても仕切り体56が落ちることない。
【0081】
また、係合突部100と係合孔98が仕切り体56の上部にあるため、仕切り体56の全長のばらつきや冷却による縮みによって影響を受け難い。
【0082】
また、係合突部100は、係合孔98の内寸の左右方向にしか移動しないため、仕切り体56が固定板94から大きくはみ出すことがなく、左扉24を回転させてもその遠心力により飛び出したりしない。
【0083】
また、仕切り体56は突壁28と遮蔽板92によって覆われているため、仕切り体56の隙間に冷気が入ることがなく、左扉24の正面から熱漏れを防止できる。
【実施形態2】
【0084】
次に、実施形態2の貯蔵庫について、図18に基づいて説明する。実施形態1では冷蔵庫10であるため、冷気の漏れを防止するために左内ガスケット36と右内ガスケット46に、仕切り体56と仕切り体58を取り付けていた。しかし、食器棚や家具などに用いられる観音開き式の左右一対の扉24,26であると、このようなガスケットは設けられていない。
【0085】
そのため、図18に示すように、本実施形態では、仕切り体56と左扉24の裏面外周部との間に縦板状の連結部材118を設けて左扉24に仕切り体56が移動可能なように連結する。連結部材118の後端部は、仕切り体56の前面に回動自在に固定され、前端部は、左扉24の裏面にも回動自在に固定されている。これによって、実施形態1の左内ガスケット36と同様の働きをし、左扉24を開閉できる。右扉26についても同様に開閉できる。
【変更例】
【0086】
上記実施形態では仕切り体56に設けられた係合突部100と左扉の遮蔽板92に設けられた係合孔98とが係合したが、これに代えて仕切り体56に係合孔を設け、遮蔽板92に係合突部100を設けてもよい。
【0087】
上記実施形態の仕切り体56の磁石挿入部80や仕切り体58の磁石挿入部80、又は、その周辺部を軟質製の合成樹脂で形成すれば、仕切り体56や仕切り体58に反りがあっても全長では隙間が出ないように磁着できる。
【0088】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0089】
10・・・冷蔵庫、14・・・冷蔵室、24・・・左扉、26・・・右扉、36・・・左内ガスケット、46・・・右内ガスケット、56・・・左側の仕切り体、58・・・右側の仕切り体、62・・・突起、64・・・磁石挿入部、66・・・縦ヒレ片
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18