(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記複数のアレイ要素はN×1アレイに配置され、前記複数のアレイ要素の周辺アレイ要素は前記N×1アレイの端部に位置する2つのアレイ要素であり、前記2つのアレイ要素のそれぞれは前記少なくとも1つのエネルギー減衰回路のうちの1つに対応し、Nは3以上の整数であることを特徴とする請求項1に記載のアンテナ。
前記複数のアレイ要素はN×Mアレイに配置され、前記複数のアレイ要素の周辺アレイ要素は前記N×Mアレイの隅部に位置する4つのアレイ要素であり、前記4つのアレイ要素のそれぞれは前記少なくとも1つのエネルギー減衰回路のうちの1つに対応し、NおよびMは共に2以上の整数であることを特徴とする請求項1に記載のアンテナ。
【発明の概要】
【0006】
本出願は、アンテナのサイドローブ抑圧比を増加させるためのアンテナおよび通信装置を提供する。
【0007】
第1の態様によれば、複数の給電線、マイクロストリップアンテナアレイ、および少なくとも1つのエネルギー減衰回路を含んだアンテナが提供され、マイクロストリップアンテナアレイは複数のアレイ要素を含み、複数のアレイ要素のそれぞれは、複数の給電線のうちの1つを用いてケーブル給電ポートに接続され、少なくとも1つのエネルギー減衰回路のそれぞれは、被減衰給電線に位置し、被減衰給電線を2つのセグメントに分割し、被減衰給電線は、複数の給電線のうちのものであり被減衰アレイ要素に接続された給電線であり、被減衰アレイ要素は複数のアレイ要素の周辺に位置するアレイ要素であり、エネルギー減衰回路の第1の端部は被減衰給電線の一方のセグメントを用いてケーブル給電ポートに接続され、エネルギー減衰回路の第2の端部は被減衰給電線の他方のセグメントを用いて被減衰アレイ要素に接続され、エネルギー減衰回路の第3の端部は接地され、エネルギー減衰回路は抵抗器を含み、抵抗器は接地され、抵抗器は、接地される形で被減衰給電線におけるエネルギーの一部を消費するように構成される。
【0008】
エネルギー減衰回路は、接地される形でエネルギーを消費するので、アンテナアレイの周辺に位置するアレイ要素に送信されるエネルギーは低減され、それによって不平衡型エネルギー分布をもたらし、サイドローブ抑圧比を増加させる。
【0009】
任意選択で、エネルギー減衰回路の入力等価インピーダンスおよび出力等価インピーダンスは共に、被減衰給電線の特性インピーダンスに等しく、その結果、挿入されたエネルギー減衰回路は定在波を引き起こさない。
【0010】
第1の態様の第1の可能な実装形態において、複数のアレイ要素はN×1アレイに配置され、複数のアレイ要素の周辺アレイ要素はN×1アレイの端部に位置する2つのアレイ要素であり、2つのアレイ要素のそれぞれは少なくとも1つのエネルギー減衰回路のうちの1つに対応し、Nは3以上の整数である。
【0011】
第1の態様または上記の可能な実装形態のいずれか1つに関連して、第2の可能な実装形態において、複数のアレイ要素はN×Mアレイに配置され、複数のアレイ要素の周辺アレイ要素はN×Mアレイの隅部に位置する4つのアレイ要素であり、4つのアレイ要素のそれぞれは少なくとも1つのエネルギー減衰回路のうちの1つに対応し、
NおよびMは共に2以上の整数であり、NまたはMの少なくとも1つは3以上である。
【0012】
第1の態様または上記の可能な実装形態のいずれか1つに関連して、第3の可能な実装形態において、少なくとも1つのエネルギー減衰回路のそれぞれは、対称抵抗減衰器である。
【0013】
第1の態様または上記の可能な実装形態のいずれか1つに関連して、第4の可能な実装形態において、対称抵抗減衰器は、T型抵抗減衰器、π型抵抗減衰器、またはブリッジT型抵抗減衰器のいずれか1つである。
【0014】
第1の態様または上記の可能な実装形態のいずれか1つに関連して、第5の可能な実装形態において、T型抵抗減衰器は、第1の抵抗器、第2の抵抗器、および第3の抵抗器を含み、
第1の抵抗器の第1の端部はエネルギー減衰回路の第1の端部であり、第1の抵抗器の第2の端部は第2の抵抗器の第1の端部に接続され、第2の抵抗器の第2の端部はエネルギー減衰回路の第2の端部であり、第3の抵抗器の第1の端部は第1の抵抗器の第2の端部に接続され、第3の抵抗器の第2の端部はエネルギー減衰回路の第3の端部であり、
第1の抵抗器、第2の抵抗器、および第3の抵抗器の抵抗値はそれぞれ、
【0018】
であり、ただし、R1は第1の抵抗器の抵抗値、R2は第2の抵抗器の抵抗値、R3は第3の抵抗器の抵抗値、Aはエネルギー減衰係数、Rは被減衰給電線の特性インピーダンスである。
【0019】
第1の態様または上記の可能な実装形態のいずれか1つに関連して、第6の可能な実装形態において、π型抵抗減衰器は、第4の抵抗器、第5の抵抗器、および第6の抵抗器を含み、
第4の抵抗器の第1の端部はエネルギー減衰回路の第1の端部であり、第4の抵抗器の第2の端部はエネルギー減衰回路の第2の端部であり、第5の抵抗器の第1の端部は第4の抵抗器の第1の端部に接続され、第5の抵抗器の第2の端部はエネルギー減衰回路の第3の端部に接続され、第6の抵抗器の第1の端部はエネルギー減衰回路の第2の端部に接続され、第6の抵抗器の第2の端部はエネルギー減衰回路の第3の端部であり、
第4の抵抗器、第5の抵抗器、および第6の抵抗器の抵抗値はそれぞれ、
【0023】
であり、ただし、R4は第4の抵抗器の抵抗値、R5は第5の抵抗器の抵抗値、R6は第6の抵抗器の抵抗値、Aはエネルギー減衰係数、Rは特性インピーダンスである。
【0024】
第1の態様または上記の可能な実装形態のいずれか1つに関連して、第7の可能な実装形態において、ブリッジT型抵抗減衰器は、第7の抵抗器、第8の抵抗器、第9の抵抗器、および第10の抵抗器を含み、
第7の抵抗器の第1の端部はエネルギー減衰回路の第1の端部であり、第7の抵抗器の第2の端部は第8の抵抗器の第1の端部に接続され、第8の抵抗器の第2の端部はエネルギー減衰回路の第2の端部であり、第9の抵抗器の2つの端部はエネルギー減衰回路の第1の端部および第2の端部にそれぞれ接続され、第10の抵抗器の第1の端部は第7の抵抗器の第1の端部に接続され、第10の抵抗器の第2の端部はエネルギー減衰回路の第3の端部であり、
【0026】
、
R9=R(A−1)、および
R7=R8=R
であり、ただし、R7は第7の抵抗器の抵抗値、R8は第8の抵抗器の抵抗値、R9は第9の抵抗器の抵抗値、R10は第10の抵抗器の抵抗値、Aはエネルギー減衰係数、Rは特性インピーダンスである。
【0027】
第1の態様の第5から第7の可能な実装形態において、数式に従って計算される抵抗器の抵抗値は、エネルギー減衰回路の入力等価インピーダンスおよび出力等価インピーダンスを共に、被減衰給電線の特性インピーダンスに等しくする。従って挿入されたエネルギー減衰回路は、定在波を引き起こさない。
【0028】
第1の態様または上記の可能な実装形態のいずれか1つに関連して、第8の可能な実装形態において、アンテナにおける給電線は、アレイ要素間の平衡型エネルギー分布に対応する給電線である。
【0029】
アンテナは、元のアンテナにおけるアレイ要素間の平衡型エネルギー分布に基づいてなされる改善であり、エネルギー減衰回路は、アンテナアレイの周辺に位置するアレイ要素に接続された給電線に挿入される。アンテナのサイドローブ抑圧比は、元のアンテナに基づいてエネルギー減衰回路を直接挿入することによって増加されることができる。このようにして新たな給電線が設計される必要はなく、それによって設計の難しさを低減する。
【0030】
第2の態様によれば、アンテナを含んだ通信装置が提供され、これは信号源をさらに含み、信号源は、アンテナの給電ポートに接続され、信号源は、アンテナを用いて無線信号を送出および受信するように構成される。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本出願の実施形態はアンテナを提供する。元のアンテナに基づいてエネルギー減衰回路が追加され、エネルギー減衰回路はマイクロストリップアンテナアレイの周辺アレイ要素のエネルギーを減衰するように構成され、それによってアンテナのサイドローブ抑圧比を増加させ、アンテナの効果を改善する。
【0033】
図2を参照すると、この図は本出願の実施形態によるアンテナの概略図である。
【0034】
この実施形態において提供されるアンテナは、複数の給電線100、マイクロストリップアンテナアレイ、および少なくとも1つのエネルギー減衰回路300を含む。マイクロストリップアンテナアレイは複数のアレイ要素200を含み、複数のアレイ要素200のそれぞれは、複数の給電線のうち1つを用いてケーブル給電ポートAに接続される。ケーブル給電ポートAは、アンテナと信号源とを接続するインターフェースである。信号源によって送出された無線信号はインターフェースを用いてアンテナに送信され、アンテナによって受信された無線信号はインターフェースを用いて信号源に送信される。マイクロストリップアンテナアレイはアレイ要素200によって形成されるアレイであり、アレイ要素200はアンテナにおけるパッチである。
【0035】
本出願のこの実施形態において提供されるアンテナにおけるマイクロストリップアンテナアレイは、N×1またはN×Mでよく、NおよびMは共に2以上の整数であり、NはMに等しくてよく、またはMに等しくなくてよい。
【0036】
この実施形態において、
図2に示されるマイクロストリップアンテナアレイはN×Mであり、N=M=4であり、すなわちアレイ要素の4つの行および4つの列がある。NおよびMは他の値でもよく、NおよびMの値はこの実施形態に特に限定されない。しかしNまたはMの一方は3以上であり、他方は2以上である。例えばN=2およびM=3の場合、対応する2×3アレイがある。しかしMおよびNは共に2になることはできない。NおよびMが共に2のとき、対応する2×2アレイがある。2×2アレイに対して、アレイの周辺アレイ要素はまた中央アレイ要素でもあり、アレイ要素間のエネルギー分布を変化させることは無意味となる。従ってMまたはNの少なくとも1つは3以上であることが必要である。
【0037】
少なくとも1つのエネルギー減衰回路のそれぞれは、被減衰給電線に位置し、被減衰給電線を2つのセグメントに分割し、被減衰給電線は、複数の給電線のうちのものであり被減衰アレイ要素に接続された給電線であり、被減衰アレイ要素は複数のアレイ要素の周辺に位置するアレイ要素である。
【0038】
図2に示されるように、エネルギー減衰回路300の第1の端部は、被減衰給電線の一方のセグメントを用いてケーブル給電ポートAに接続され、エネルギー減衰回路300の第2の端部は、被減衰給電線の他方のセグメントを用いて被減衰アレイ要素に接続され、エネルギー減衰回路300の第3の端部は接地される。
【0039】
エネルギー減衰回路300は、アレイ要素200の入口給電線に挿入される。アレイ要素の入口給電線とは、この給電線はそのアレイ要素のみに接続されることを意味する。すなわち入口給電線はアレイ要素に対応する分枝給電線であり、他のアレイ要素はこの分枝給電線を共有しない。少なくとも2つの被減衰アレイ要素が1つの分枝給電線を共有する場合、これらのアレイ要素以外のアレイ要素は分枝給電線を共有せず、この分枝給電線はこれらのアレイ要素の入口給電線となる。すなわち本出願のこの実施形態におけるエネルギー減衰回路は、エネルギー減衰を必要とするアレイ要素の入口給電線に挿入される。エネルギー減衰回路300は、入口給電線に並列に接続されない。被減衰アレイ要素に接続された給電線は切断され、エネルギー減衰回路が挿入される。切断された給電線は、2つの端部を含む。エネルギー減衰回路の第1の端部および第2の端部は、切断された給電線の2つの端部にそれぞれ接続され、エネルギー減衰回路の第3の端部は接地される。
【0040】
エネルギー減衰回路300は抵抗器を含み、抵抗器は接地され、抵抗器は、接地される形で被減衰給電線におけるエネルギーの一部を消費するように構成される。
【0041】
電流が抵抗器を通って流れるとき、電気エネルギーは熱エネルギーに変換されることができ、熱エネルギーは接地される形で消費されることができ、その結果被減衰アレイ要素に入るエネルギーは減衰されることができる。
【0042】
アレイの周辺におけるアレイ要素の特定の位置は、この実施形態に限定されない。概略的に
図2は単に、エネルギー減衰ユニットは4×4アレイの4つの隅部のアレイ要素の入口給電線に挿入されることを示す。エネルギー減衰ユニットはさらに、必要条件に従って、アレイの周辺における別のアレイ要素の入口給電線に挿入されてよい。例えば
図3に示されるように、やはり4×4アレイが説明のための例として用いられる。4つの隅部のエネルギーは元の1/2に減衰され、4つの隅部を除く位置における周辺アレイ要素のエネルギーは元の2/3に減衰される。これはまた、それに対応してサイドローブ抑圧比を増加させることができる。しかし技術および空間レイアウトの制限により、4つの隅部に位置するアレイ要素のエネルギーを減衰することが最も有効で、最も簡単な実装形態となる。エネルギー減衰後のアンテナのエネルギー分布は、アレイ要素のエネルギーは中央領域から周辺領域エリアへと徐々に低減されるという規則に従う。
【0043】
当業者が本出願のこの実施形態における技術的解決策をより良く理解できるように、以下では
図4および
図5を参照した説明のための例として、やはり4×4アレイを用いる。
図4はエネルギー減衰前のマイクロストリップパッチアレイの概略図であり、
図5はエネルギー減衰後のマイクロストリップパッチアレイの概略図である。
【0044】
図4に示されるマイクロストリップパッチアレイにおけるいずれの2つの隣接したアレイ要素の間の間隔は等しく、エネルギー分布は平衡され、すなわち各アレイ要素の間のエネルギー比は1:1である。しかしこのような平衡型エネルギー分布に対応するサイドローブ抑圧比は比較的低く、必要条件を満たすことができない。マイクロストリップパッチアンテナのサイドローブ抑圧比を増加させるために、本出願のこの実施形態においてマイクロストリップパッチアレイ内の周辺アレイ要素のエネルギーは減衰される。
【0045】
図5に示されるように、マイクロストリップパッチアレイの4つの隅部に位置するアレイ要素のエネルギーは、元の1/2に減衰される。この実施形態において提供されるマイクロストリップパッチアンテナによれば、エネルギー減衰回路は元のアンテナに基づいて直接挿入されることができる。このようにして新たな給電線が設計される必要はなく、それによって設計の難しさを低減し、開発サイクルを短縮する。
【0046】
当業者が本出願の実施形態によって提供される有益な効果をより良く理解できるように、以下は最初に、マイクロストリップパッチアンテナのサイドローブ抑圧比を増加させる多様な設計方法を述べる。
図6を参照すると、この図は給電線のインピーダンスを変化することによってサイドローブ抑圧比を増加させる概略図である。
【0047】
アレイ要素のエネルギーはアレイ要素に対応する給電線の抵抗値に関係するので、アレイ要素に分配されるエネルギーは給電線の抵抗値を変化させることによって変化され得る。さらに抵抗値は給電線の長さおよび厚さによって決定される。従って給電線の抵抗値を変化させるために、給電線の形状が変化される必要があり、すなわち給電線は再設計される必要がある。
図6に示されるように、アレイ要素に分配されるエネルギーは、アレイ要素に対応する給電線の抵抗値を変化させることによって変化され得る。
図6において、中央の4つのアレイ要素のエネルギーは4であり、左上隅のアレイ要素、右上隅のアレイ要素、および最後の列の右下隅の2つのアレイ要素のエネルギーは1であり、残りのアレイ要素のエネルギーは2であることが理解されることができる。このようにして4:2:1のアレイ要素エネルギー比が実施されることができる。多様な設計を有するアンテナの利点は、総エネルギーがマイクロストリップアンテナの間で分配されることである。従って電力損失は低い。
【0048】
しかし、
図6におけるこのような不平衡型エネルギー分布の設計は比較的難しく、開発サイクルは比較的長くなる。さらに設計される比率は理論的に4:2:1であるが、実際の動作時の分枝の間の結合により、実際の製品におけるアレイ要素間で、エネルギーは設計される比率に従って分配されない。結果としてアンテナ設計の失敗が引き起こされる。
【0049】
本出願のこの実施形態において提供されるアンテナは、アレイ要素間の平衡型エネルギー分布に基づいてなされる改善である。元の給電線配線設計は確保され、アレイ要素間の不平衡型エネルギー分布はエネルギー減衰回路を挿入することによって実施され、それによってサイドローブ抑圧比を増加させる。
【0050】
図7に示されるように、アレイ要素間の平衡型エネルギー分布に対応する給電線は、非常に簡潔であり明瞭である。すなわち本出願のこの実施形態において提供される
図7は
図1に基づいており、4つの隅部のアレイ要素のエネルギーを減衰させるためにエネルギー減衰回路が挿入される。挿入されたエネルギー減衰回路はケーブル給電ポートからの信号電力の損失を引き起こすが、サイドローブ抑圧比は増加される。このようにして、変化されないエネルギー分布を有する元の給電線に基づいて改善がなされる。従って設計は簡単であり、開発サイクルは短い。例えばアンテナは、金属材料で作られており、その動作周波数が2.4GHz(GHz)である4×4マイクロストリップアンテナアレイを含み、アレイ要素間の水平および垂直間隔は共に64mmである。エネルギー減衰回路が挿入されない場合、アンテナの実際の動作時のサイドローブ抑圧比は9.13dB(dB)である。本出願のこの実施形態における設計が用いられた場合、アンテナの実際の動作時のサイドローブ抑圧比は11.76dBに達し、すなわち2.63dBだけ増加される。11.76dBのサイドローブ抑圧比は、サイドローブ抑圧比が少なくとも10dBであるという必要条件を満たす。
【0051】
アンテナは、元のアンテナにおけるアレイ要素間の平衡型エネルギー分布に基づいてなされる改善であり、エネルギー減衰回路は、アンテナアレイの周辺に位置するアレイ要素に接続された給電線に挿入される。エネルギー減衰回路は抵抗器を含み、エネルギー減衰回路の1つの端部は接地され、エネルギーは接地される形で熱として消費される。従って平衡型エネルギー分布を有する元のアレイ要素は、不平衡型エネルギー分布を有するアレイ要素に変化する。このようにしてサイドローブ抑圧比は、増加されることができる。アンテナのサイドローブ抑圧比は、元のアンテナに基づいてエネルギー減衰回路を直接挿入することによって増加されることができる。このようにして新たな給電線が設計される必要はなく、それによって設計の難しさを低減する。
【0052】
本出願のこの実施形態において提供されるアンテナは特定のアンテナタイプに限定されず、一様なアレイでよく、または等振幅アレイでよい。「一様なアレイ」と「アレイ要素間の平衡型エネルギー分布」は異なる概念であり、すなわち一様なアレイにおけるアレイ要素は平衡型エネルギー分布を有してよく、または不平衡型エネルギー分布を有してよい。
【0053】
以下は添付の図面を参照して、エネルギー減衰回路の挿入位置および実装形態を詳しく述べる。
【0054】
複数のアレイ要素はN×1アレイに配置され、複数のアレイ要素の周辺アレイ要素はN×1アレイの端部に位置する2つのアレイ要素であり、2つのアレイ要素のそれぞれは少なくとも1つのエネルギー減衰回路のうちの1つに対応し、Nは3以上の整数である。以下は、説明のための例として4×1アレイを用いる。
図8を参照すると、この図は本出願の実施形態による4×1アンテナの概略図である。
【0055】
すなわちエネルギー減衰回路は、端部において2つのアレイ要素に接続された給電線に挿入され、給電線上のエネルギーは減衰され、それにより2つの端部においてアレイ要素に入るエネルギーを減衰させる。
【0056】
複数のアレイ要素はN×Mアレイに配置され、複数のアレイ要素の周辺アレイ要素はN×Mアレイの隅部に位置する4つのアレイ要素であり、4つのアレイ要素のそれぞれは少なくとも1つのエネルギー減衰回路のうちの1つに対応し、NおよびMは共に2以上の整数であり、NはMに等しくてよく、またはMに等しくなくてよい。N×Nアレイに対しては、N=4である
図2に示される概略図を参照されたい。同様に、N×Mアレイは
図2と同様であり、唯一の差は、行アレイ要素が列アレイ要素と異なることである。
【0057】
NがMに等しくない、例えばN=4およびM=6であるとき、それに対応する4×6アレイが存在する。
【0058】
エネルギー減衰回路の機能は単にエネルギー減衰であり、エネルギー減衰回路が挿入されたとき、アンテナ内に信号反射も定在波も存在しないことを確実にする必要がある。従ってエネルギー減衰回路の入力等価インピーダンスおよび出力等価インピーダンスは共に、被減衰給電線の特性インピーダンスに等しいことが必要である。
【0059】
エネルギー減衰回路の挿入後のアレイ要素の入口給電線のインピーダンスが、エネルギー減衰回路の挿入前のアレイ要素の入口給電線のそれと同じままとなることを確実にするために、エネルギー減衰回路は対称抵抗減衰器であること、すなわち減衰器の入力端の抵抗値は減衰器の出力端の抵抗値に等しいことが必要である。さらに信号反射および定在波を防止するために、減衰器の入力等価インピーダンスおよび出力等価インピーダンスは共に、被減衰給電線の特性インピーダンスに等しい。
【0060】
本出願のこの実施形態において提供される対称抵抗減衰器は、T型抵抗減衰器、π型抵抗減衰器、またはブリッジT型抵抗減衰器のいずれか1つでよい。
【0061】
アンテナが複数の対称抵抗減衰器を含むとき、対称抵抗減衰器は同じ抵抗減衰器でよく、または異なる抵抗減衰器でよい。例えば1つの減衰器においてT型抵抗減衰器が用いられてよく、別の減衰器においてπ型抵抗減衰器が用いられてよい。アンテナにおいて用いられる抵抗減衰器の特定のタイプは、本出願のこの実施形態に特に限定されない。
【0062】
以下は添付の図面を参照して、これらの対称抵抗減衰器を個別に述べる。
【0063】
図9を参照すると、この図は本出願の実施形態によるT型抵抗減衰器の概略図である。
【0064】
T型抵抗減衰器は、第1の抵抗器R1、第2の抵抗器R2、および第3の抵抗器R3を含む。
【0065】
第1の抵抗器R1の第1の端部はエネルギー減衰回路の第1の端部であり、第1の抵抗器R1の第2の端部は第2の抵抗器R2の第1の端部に接続され、第2の抵抗器R2の第2の端部はエネルギー減衰回路の第2の端部であり、第3の抵抗器R3の第1の端部は第1の抵抗器R1の第2の端部に接続され、第3の抵抗器R3の第2の端部はエネルギー減衰回路の第3の端部である。
【0066】
第1の抵抗器R1、第2の抵抗器R2、および第3の抵抗器R3の抵抗値はそれぞれ、
【0070】
であり、ただし、R1は第1の抵抗器の抵抗値、R2は第2の抵抗器の抵抗値、R3は第3の抵抗器の抵抗値、Aはエネルギー減衰係数、Rは被減衰給電線の特性インピーダンスである。Aは、元のエネルギーに対する減衰されたエネルギーの比である。例えば元のエネルギーが2であり、減衰されたエネルギーが1である場合、A=1/2。元のエネルギーが3であり、減衰されたエネルギーが2である場合、A=2/3。
【0071】
エネルギー減衰回路の挿入後に元のアンテナの特性インピーダンスが不変のままであることを確実にするために、エネルギー減衰回路の入力等価インピーダンスおよび出力等価インピーダンスは共に、特性インピーダンスに等しくなるようにのみ設計されることができる。すなわち
図9に示されるように、T型抵抗減衰器の入力等価インピーダンスRinおよび出力等価インピーダンスRoutは等しく、共に特性インピーダンスに等しい。
【0072】
例としてやはり
図2が用いられる。4つの隅部におけるアレイ要素のエネルギーが元の1/2に減衰される場合、それに対応して3dBが減衰され、A=1/2、および特性インピーダンスは75Ω、すなわちRin=Rout=75Ωである。
図9に示されるT型抵抗減衰器に対して、RinはR2およびR3が並列に接続され、次いでR1に直列に接続された後に得られ、RoutはR1およびR3が並列に接続され、次いでR2に直列に接続された後に得られることが結論付けられ得る。従ってR1、R2、およびR3を計算するための上記の数式が得られ得る。A=1/2およびR=75が上記の数式に代入されて、R1=R2=12.8Ω、およびR3=213.1Ωを得る。
【0073】
図10を参照すると、この図は本出願の実施形態によるπ型抵抗減衰器の概略図である。
【0074】
π型抵抗減衰器は、第4の抵抗器R4、第5の抵抗器R5、および第6の抵抗器R6を含む。
【0075】
第4の抵抗器R4の第1の端部はエネルギー減衰回路の第1の端部であり、第4の抵抗器R4の第2の端部はエネルギー減衰回路の第2の端部であり、第5の抵抗器R5の第1の端部は第4の抵抗器R4の第1の端部に接続され、第5の抵抗器R5の第2の端部はエネルギー減衰回路の第3の端部に接続され、第6の抵抗器R6の第1の端部はエネルギー減衰回路の第2の端部に接続され、第6の抵抗器R6の第2の端部はエネルギー減衰回路の第3の端部である。
【0076】
第4の抵抗器R4、第5の抵抗器R5、および第6の抵抗器R6の抵抗値はそれぞれ、
【0080】
であり、ただし、R4は第4の抵抗器の抵抗値、R5は第5の抵抗器の抵抗値、R6は第6の抵抗器の抵抗値、Aはエネルギー減衰係数、Rは特性インピーダンスである。
【0081】
図11を参照すると、この図は本出願の実施形態によるブリッジT型抵抗減衰器の概略図である。
【0082】
ブリッジT型抵抗減衰器は、第7の抵抗器、第8の抵抗器、第9の抵抗器、および第10の抵抗器を含む。
【0083】
第7の抵抗器の第1の端部はエネルギー減衰回路の第1の端部であり、第7の抵抗器の第2の端部は第8の抵抗器の第1の端部に接続され、第8の抵抗器の第2の端部はエネルギー減衰回路の第2の端部であり、第9の抵抗器の2つの端部はエネルギー減衰回路の第1の端部および第2の端部にそれぞれ接続され、第10の抵抗器の第1の端部は第7の抵抗器の第1の端部に接続され、第10の抵抗器の第2の端部はエネルギー減衰回路の第3の端部であり、
【0085】
、
R9=R(A−1)、および
R7=R8=R、
であり、ただし、R7は第7の抵抗器の抵抗値、R8は第8の抵抗器の抵抗値、R9は第9の抵抗器の抵抗値、R10は第10の抵抗器の抵抗値、Aはエネルギー減衰係数、Rは特性インピーダンスである。
【0086】
π型抵抗減衰器およびブリッジT型抵抗減衰器における抵抗器に対する計算原理は、T型抵抗減衰器に対するものと同様である。詳細は本明細書では再び述べられない。
【0087】
上記の実施形態において提供されるアンテナに基づいて、本出願の実施形態はさらに通信装置を提供する。以下は添付の図面に従って詳しい説明を示す。
【0088】
図12を参照すると、この図は本出願による通信装置の概略図である。
【0089】
この実施形態において提供される通信装置は、上記の実施形態において述べられたアンテナ1201を含み、信号源1202をさらに含む。
【0090】
信号源1202は、アンテナ1201のケーブル給電ポートに接続される。
【0091】
信号源1202は無線信号を発生させてよく、信号源1202はアンテナ1201を用いて無線信号を送信し、信号源1202はまたアンテナ1201によって受信された無線信号を受信してもよい。信号源1202はケーブル給電ポートを用いてアンテナ1201に接続され、無線信号送信はケーブル給電ポートを用いて実施される。
【0092】
信号源1202は、アンテナ1201を用いて無線信号を送出および受信するように構成される。
【0093】
例えば信号源1202は、送信器でよい。
【0094】
本アンテナは設計が簡単であり、比較的高いサイドローブ抑圧比を有し、本アンテナを用いた通信装置は、良好な信号通信品質を保つことができる。
【0095】
結論として、上記の実施形態は本出願を限定するものではなく、単に本出願の技術的解決策を説明するためのものである。本出願は上記の実施形態に関連して詳しく述べられたが、当業者は、本出願の実施形態の技術的解決策の範囲から逸脱せずに、上記の実施形態において述べられた技術的解決策にさらに変更がなされ得ることを理解するべきである。