特許第6561201号(P6561201)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6561201
(24)【登録日】2019年7月26日
(45)【発行日】2019年8月14日
(54)【発明の名称】ミラー・マウント
(51)【国際特許分類】
   G02B 7/192 20060101AFI20190805BHJP
【FI】
   G02B7/192
【請求項の数】20
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-509509(P2018-509509)
(86)(22)【出願日】2016年6月27日
(65)【公表番号】特表2018-525679(P2018-525679A)
(43)【公表日】2018年9月6日
(86)【国際出願番号】US2016039600
(87)【国際公開番号】WO2017034662
(87)【国際公開日】20170302
【審査請求日】2018年2月19日
(31)【優先権主張番号】14/836,672
(32)【優先日】2015年8月26日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503455363
【氏名又は名称】レイセオン カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】バラッド,アンドリュー エル.
(72)【発明者】
【氏名】ナエプフリン,ハンス ピー.
【審査官】 岡田 弘
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2015/0077874(US,A1)
【文献】 特開2006−259368(JP,A)
【文献】 特開2002−365013(JP,A)
【文献】 特開2002−197718(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/00
G02B 7/18−7/24
G02B 23/00−23/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミラー・マウント・システムであって:
ミラーの支持構造を形成する複数のリブであって、前記複数のリブのうち少なくとも1つはアタッチメント部と前記リブの切り欠き部を規定する突出部とを有し、前記アタッチメント部は前記リブの突出部に位置する、複数のリブ;及び
接着剤で前記リブの前記アタッチメント部に結合されるアタッチメント・フィッティング部;
を有し、前記ミラーを歪ませることに寄与する前記リブの構造の他の部分における荷重であって前記アタッチメント・フィッティング部及び前記アタッチメント部に対して内的に発生する荷重が最小化される一方、前記ミラーに対して適切な構造的な支えを提供する程度に十分に、前記アタッチメント部は、前記リブの構造の他の部分から孤立させられている、ミラー・マウント・システム。
【請求項2】
前記アタッチメント・フィッティング部及び前記アタッチメント部に対して内的に発生する荷重を受ける荷重経路が、前記ミラーを歪ませることに寄与する前記リブの構造の他の部分における荷重を最小化する程度に十分に、前記アタッチメント部に対して孤立させられる、請求項1に記載のミラー・マウント・システム。
【請求項3】
前記アタッチメント・フィッティング部及び前記アタッチメント部に対して内的に発生する荷重は、接着剤の収縮及び熱膨張係数の不一致のうちの少なくとも何れかに起因している、請求項1に記載のミラー・マウント・システム。
【請求項4】
前記突出部は前記アタッチメント部を或る距離だけ更に孤立させるようにアンダーカットされている、請求項1に記載のミラー・マウント・システム。
【請求項5】
前記アタッチメント部の厚みは、前記リブの隣接部分の厚みより厚い、請求項1に記載のミラー・マウント・システム。
【請求項6】
前記アタッチメント部は、前記アタッチメント・フィッティング部を前記アタッチメント部に結合することを促す接着界面を有する、請求項1に記載のミラー・マウント・システム。
【請求項7】
前記接着界面は、前記アタッチメント・フィッティング部に結合される支柱の長軸に平行に方向付けられる、請求項6に記載のミラー・マウント・システム。
【請求項8】
前記接着界面は、前記アタッチメント・フィッティング部に結合される支柱の長軸に垂直に方向付けられる、請求項6に記載のミラー・マウント・システム。
【請求項9】
前記接着界面は、前記リブの両側で2つの接着界面を有する、請求項6に記載のミラー・マウント・システム。
【請求項10】
前記接着界面は、複数のボンド・スポットにより、前記アタッチメント・フィッティング部を前記アタッチメント部に結合することを促すように形成される、請求項6に記載のミラー・マウント・システム。
【請求項11】
前記アタッチメント・フィッティング部は、少なくとも1つの接着剤注入ポートを有する、請求項1に記載のミラー・マウント・システム。
【請求項12】
複数の接着剤注入ポートが、前記アタッチメント部の接着界面に接着剤を配置するために形成されている、請求項11に記載のミラー・マウント・システム。
【請求項13】
前記アタッチメント・フィッティング部は、視認ホールを有する、請求項1に記載のミラー・マウント・システム。
【請求項14】
前記アタッチメント・フィッティング部は、クレビス・ブラケットを有する、請求項1に記載のミラー・マウント・システム。
【請求項15】
ミラー支持構造であって:
ミラーの支持構造の一部を形成する複数のリブであって、前記複数のリブのうち少なくとも1つは、前記リブの切り欠き部を規定する突出部と、接着剤によりアタッチメント・フィッティング部に結合するアタッチメント部を有し、前記アタッチメント部は前記リブの突出部に位置する、複数のリブ;
を有し、前記ミラーを歪ませることに寄与する前記リブの構造の他の部分における荷重であって前記アタッチメント・フィッティング部及び前記アタッチメント部に対して内的に発生する荷重が最小化される一方、前記ミラーに対して適切な構造的な支えを提供する程度に十分に、前記アタッチメント部は、前記リブの構造の他の部分から孤立させられている、ミラー支持構造。
【請求項16】
前記アタッチメント・フィッティング部及び前記アタッチメント部に対して内的に発生する荷重を受ける荷重経路が、前記ミラーを歪ませることに寄与する前記リブの構造の他の部分における荷重を最小化する程度に十分に、前記アタッチメント部に対して孤立させられる、請求項15に記載のミラー支持構造。
【請求項17】
前記突出部は前記アタッチメント部を或る距離だけ更に孤立させるようにアンダーカットされている、請求項15に記載のミラー支持構造。
【請求項18】
前記アタッチメント部の厚みは、前記リブの隣接部分の厚みより厚い、請求項15に記載のミラー支持構造。
【請求項19】
前記アタッチメント部は、複数のボンド・スポットにより、前記アタッチメント・フィッティング部を前記アタッチメント部に結合することを促す接着界面を有する、請求項15に記載のミラー支持構造。
【請求項20】
ミラーのマウンティングを促す方法であって:
ミラーの支持構造を形成する複数のリブを提供することであって、前記複数のリブのうち少なくとも1つはアタッチメント部と前記リブの切り欠き部を規定する突出部とを有し、前記アタッチメント部は前記リブの突出部に位置する、複数のリブを提供すること;及び
接着剤により、アタッチメント・フィッティング部の前記リブの前記アタッチメント部への結合を促すこと;
を有し、前記ミラーを歪ませることに寄与する前記リブの構造の他の部分における荷重であって前記アタッチメント・フィッティング部及び前記アタッチメント部に対して内的に発生する荷重が最小化される一方、前記ミラーに対して適切な構造的な支えを提供する程度に十分に、前記アタッチメント部は、前記リブの構造の他の部分から孤立させられている、方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
マウンティング部又は外的な支持構造に大きなミラー(例えば、直径が約0.5メートルより大きなもの)を取り付ける場合、そのゴールは、ミラーの光学表面の「面形状精度(figure)」又は形状を乱さない方法で取り付けることである。ミラーの光学表面の表面乱れ(即ち、「形状誤差(figure error)」は、典型的には、非常に厳しい許容誤差(例えば、僅か百万分の一インチ)に維持される。ミラーが大きいほど、歪みを回避し、許容誤差の条件に合致させることは困難になる。外的な支持構造にミラーを取り付けるために典型的には接着剤が使用され、その理由は、(例えば、留め具のような)他の方法はミラーの過剰な歪みを招く結果となるからである。場合によっては、大きなミラーは、マウント位置におけるストレスを減らして光学表面の歪みを減らすために、マウント位置に相対的に多くの量の材料を有することになる。外的な支持構造への取り付けのために、その場所において、金属フィッティング部がミラーに結合又はネジ止めされる。他のアプローチは、しばしばミラーの背面にある支持リブ同士の交差部において、ミラーの円筒状穴の中に金属挿入部を結合することである。
【図面の簡単な説明】
【0002】
本発明の特徴及び利点は、本発明の特徴を例示的に表す添付図面に関連して行われる後述の詳細な説明から明らかになる。
【0003】
図1】本開示の一例によるミラー・マウント・システムを示す図。
【0004】
図2】本開示の一例による図1のミラー・マウント・システムの取り付け部形態についての詳細な断面図。
【0005】
図3】本開示の一例によるリブに結合されるアタッチメント・フィッティング部についての詳細な断面図。
【0006】
図4】リブの取り付け部に存在するボンド・スポットを示す図2のリブ取り付け部形態を示す図。
【0007】
図5】本開示の別の例による図1のミラー・マウント・システムの取り付け部形態についての詳細な断面図。
【0008】
図6】本開示の別の例によるリブに結合されるアタッチメント・フィッティング部についての詳細な断面図。
【0009】
以下、説明される例示的な実施形態が参照され、本願では実施形態を説明するために特定の用語が使用されることになる。しかしながら、本発明の範囲の限定は意図されていないことが理解されるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本願で使用される場合、「実質的に」という用語は、動作、特徴、特質、状態、構造、項目又は結果についての完全な又は近似的な完全な程度又は広がりを示す。例えば、「実質的に」包含される対象は、その対象が完全に包含される又は近似的に完全に包含されることを意味する。厳密に完全なものからの逸脱の正確な許容の度合いは、場合によって、具体的な状況に依存する。しかしながら、一般に、完全に近いことは、あたかも絶対的又は全体的な完全性が得られたかのような同じ全体的な結果をもたらし得る。「実質的に」の使い方は、動作、特徴、特質、状態、構造、項目又は結果についての完全な又は近似的に完全な欠如を指す否定的な意味で使用される場合にも等しく適用可能である。
【0011】
本願で使用される場合、「隣接する」は、2つの構造又は要素の近接性を指す。特に、「隣接」しているように識別される複数の要素は、隣り合っていても良いし、或いは、接続されていても良い。そのような要素は、必ずしも互いに接触せずに、互いに近くにあっても良いし、或いは、近接していても良い。近接の正確な程度は、場合によって、具体的な状況に依存して良い。
【0012】
以下、技術的な形態の初見の外観が提供され、次に具体的な技術的な形態が更に詳細に後述される。この初見の概要は、より速やかに読者が技術を理解することに資するように意図されており、本技術の主要な特徴又は本質的な特徴を特定するようには意図されておらず、保護が請求される対象事項の範囲を限定するようにも意図されていない。
【0013】
マウント位置に比較的多くの量の材料を設けることは、許容可能な歪みレベルでミラーを効果的に支えるかもしれないが、このアプローチは軽量ではなく、例えば、宇宙空間に放たれなければならないミラーのようなある種のアプリケーションにとって実現不可能であるかもしれない。穴の中に接続される金属挿入部は重量の懸念に遭遇しないかもしれないが、このアプローチは、接着剤が硬化する場合に、穴の中の接着剤の収縮に起因して、許容できない形状誤差を招く結果となり、その形状誤差は、許容度を超え得る歪みを引き起こすミラーの光学表面に対する変形を「写してしまう(print though)」可能性がある。更に、挿入金属、接着剤及びミラー基板のうちの何れかの間での熱膨張係数(CTE)の相違も、形状誤差を生じさせる可能性があり、その相違は、ミラーが宇宙空間に運ばれる場合のように、温度が下がると顕著になり得る。更に、大きな軽量のミラーは、ミラー搭載場所に多数の集中した重量をしばしば有し、その理由は、外部の支持構造とミラーとの間の荷重の伝達は構造的に効率的ではないからであり、及び/又は、ミラー基板に材料を付加することは、金属挿入部、接着剤及びミラー基板のCTEの相違により引き起こされる熱弾性誘因の形状誤差を減らすからである。従って、大きな軽量のミラーのマウンティングは、接着剤の硬化に起因する光学表面に対するプリント・スルーを減少させ、かつ、重量を増やさずに熱的に耐えられるようにすることで、改善されることが可能である。
【0014】
従って、接着剤の硬化に起因する光学表面に対するプリント・スルーを許容可能なレベルまで制限する一方、重量を増やさない方法で光学表面の過剰な歪み無しに温度変化に対処することが可能なミラー・マウント・システムが開示される。ミラー・マウント・システムは、ミラーの支持構造を形成し、アタッチメント部を有するリブを含むことが可能である。ミラー・マウント・システムは、接着剤でリブのアタッチメント部に結合されるアタッチメント・フィッティング部を含むことも可能である。ミラーを歪ませることに寄与するリブの構造の他の部分における荷重であってアタッチメント・フィッティング部及びアタッチメント部に対して内的に発生する荷重が最小化される一方、ミラーに対して適切な構造的な支えを提供する程度に十分に、アタッチメント部は、リブの構造の他の部分から実質的に孤立させられることが可能である。
【0015】
ミラーの支持構造の一部を形成するリブを含むことが可能なミラー支持構造も開示される。リブは、接着剤によりアタッチメント・フィッティング部に結合するアタッチメント部を有することが可能である。ミラーを歪ませることに寄与するリブの構造の他の部分における荷重であってアタッチメント・フィッティング部及びアタッチメント部に対して内的に発生する荷重が最小化される一方、ミラーに対して適切な構造的な支えを提供する程度に十分に、アタッチメント部は、リブの構造の他の部分から実質的に孤立させられることが可能である。
【0016】
図1にはミラー・マウント・システム100の一例が示されている。図面に示されるミラー・マウント・システム100はミラー101の背面から見たものであり、そのため、ミラー101の支持構造102が見えている。ミラー光学表面は図示の視界からは隠れている。支持構造102は、典型的には、ミラーの光学表面に対する基板を形成することが可能なフェースシート(facesheet)111から延びるリブ110を含む。リブ110は、適切な構造的な支えをミラー101に提供する適切な任意の配置又は構成におけるものとすることが可能である。図示されるように、リブは三角形のアイソグリッド・パターン(a triangular isogrid pattern)で配置され、三角形のアイソグリッド・パターンは軽量で固い構造又は基板をミラーの光学表面に提供することが可能である。支柱(Struts)120a-fは、ミラー101に対する外的な支持構造の一部を形成することが可能であり、また、(不図示の)支柱マウント部によりミラー101を基礎構造(例えば、衛星)に乗せるためにリブ110に結合されることが可能である。図示されるように、支柱120a-fはリブ110に整合させられることが可能であり、基礎構造からミラー101へ効率的に荷重(loads)を伝達するように、支柱120a-fはそのリブ110に取り付けられる。この場合、6つの支柱120a-fは、ペアで配置され、3つの方向を向いたリブ110又はリブ平面112a-cに整合させられている。以下で詳細に議論されるように、支柱120a-fは、アタッチメント・フィッティング部を介して、支柱が整合させられるリブ110に直接的に結合又は取り付けられることが可能である。支柱120a-fがリブ110又はリブ平面111a-cに合致することで、平面外の荷重は最小化されることが可能であり、或いは、平面外の荷重がリブ110に付与されてしまうことを防止することが可能である。そのような構成は、支柱マウント部からミラー101への非常に効率的な荷重の伝達を達成することが可能であり、多くのミラー・マウント部で典型的に見受けられるミラー支持構造のその領域における多くの余分な重みの必要性を排除する。
【0017】
図2は、ミラー・マウント・システム100の取り付け部(特に、支柱をリブに取り付けることを促す形態)の詳細な断面図を示す。図示されるように、リブ110はアタッチメント部113を含むことが可能である。アタッチメント・フィッティング部130は、接着剤でリブ110のアタッチメント部に結合されることが可能であり、接着剤は、糊(glue)、セメント、粘液(mucilage)、ペースト等のような適切な任意の材料であるとすることが可能であり、アタッチメント・フィッティング部130及び/又はアタッチメント部113の表面に塗布されることが可能であり、それらを互いに結合して分離しにくくすることが可能である。
【0018】
図3の詳細な断面図に示されるように、アタッチメント部113は、アタッチメント・フィッティング部130をリブ110のアタッチメント部113に結合することを促す接着界面114a,114bを含むことが可能である。接着界面114a,114bは、アタッチメント・フィッティング部130に結合される支柱120aの長軸121に平行に方向付けられることが可能である。一形態では、アタッチメント・フィッティング部130は、図2及び図3に示されるようなクレビス形状のブラケット(a bracket in a clevis configuration)を有することが可能である。従って、2つの接着界面114a,114bは、リブの両側に直接的にアタッチメント・フィッティング部130を結合するように、リブ110の両側に配置されることが可能である。このケースでは、(リブのそれぞれの側に1つある)2つの比較的小さなボンド・スポット131a,131bが、比較的大きな単独のボンド・スポットの代わりに使用され、単独の大きなボンド・スポットの場合と比較して、プリント・スルーの程度を減らす。一般に、ボンド・スポットの領域が大きいほど、プリント・スルーは悪化する。単独の大きなボンド・スポットと少なくとも同程度の総面積を有する2つの小さなボンド・スポットは、単独の大きなボンド・スポットと同程度に強力であり得る。更に、クレビス・アタッチメント・フィッティング部130をリブ110に取り付けるボンド・スポット131a,131bは、ボンドを主にせん断荷重(shear loading)にさらし、せん断荷重にさらすことは、ボンドを主に伸張荷重及び収縮荷重にさらす構成と比較して好ましい設計であり得る。
【0019】
一形態では、アタッチメント・フィッティング部130は1つ以上の接着剤注入ポート132a,132bを含むことが可能である。接着剤注入ポート132a,132bは、アタッチメント部113の接着界面114a,114bに接着剤を配置するように構成されることが可能である。典型的には、円形の注入ボンド・スポットが生じるであろうが、他の形態も可能である。アタッチメント・フィッティング部130は、十分に大きなボンド・スポットが達成されることを保証するために、接着剤が注入される際にその進捗を眺めるための1つ以上の視認ホール(one or more witness holes)133を含むことも可能である。一形態では、アタッチメント・フィッティング部130はリブ110に結合されることが可能であり、アタッチメント・フィッティング部130に支柱120aが取り付けられることが可能である。
【0020】
図2及び図3に続いて、図4は、アタッチメント部113に付いているボンド・スポット131aを示すために、支柱及びアタッチメント・フィッティング部が除外された状態の図2のリブ110を示す。図4は、アタッチメント・フィッティング部130及びアタッチメント部113に対して内的に発生させられる荷重(矢印103により表現される)を示す。そのような荷重は、典型的には、熱的に誘発されるストレス(例えば、CTEの不一致)及び接着剤の収縮を含み、アタッチメント部113を放射状に伸張又は収縮させ、リブ構造の他の部分における荷重を生じさせる可能性があり、許容できない形状誤差が生じるほどの大きさまで、ミラーの光学表面を歪ませることに寄与し得る。例えば、(参照番号104による輪郭で確認される)典型的なリブ構成では、ボンドが伸張又は収縮すると、ボンドはリブの最上部にストレスをかけ、リブのその部分が伸張又は収縮することを引き起こし、ミラーの光学表面を歪ませ得る湾曲を引き起こす。従って、アタッチメント・フィッティング部130及びアタッチメント部113に対して内的に発生させられる加重は、リブ構造を介して、アタッチメント・フィッティング部130及びアタッチメント部113から遠く離れたリブの他の部分に伝達されることが可能であり、ミラーを歪ませてしまうことに貢献し得る。
【0021】
これに対して、アタッチメント部113は、例えばリブ110の「ローブ(lobe)」に位置付けられることにより、リブ構造の他の部分から孤立させられることが可能であり、ローブは、参照番号105により確認される輪郭を有するリブ110の突出部115により少なくとも部分的に規定されることが可能である。図4に示されるように、リブ110は、ローブ又は突出部115にてボンド・スポット113を孤立させ、ボンドの収縮及び/又はCTE不一致に起因して生じる虞があるミラーの全体的な湾曲を防止するために、アタッチメント部113の片側に「切り欠き部(notch)」116を形成するように「段差をつける(step down)」ことが可能である。リブの輪郭が輪郭104のように典型的な連続的な傾斜に従っていたならば、リブ110のアタッチメント部113の放射状の伸張は、より大きな形状誤差の結果を招いたであろう。そういうわけで、アタッチメント部113はリブ構造の他の部分から十分に孤立させられることが可能であり、それにより、ローブ又は突出部115で生じる荷重であって、本願のようでなければミラーを歪ませることに寄与するリブ構造の他の部分での荷重を発生させることになる荷重は、最小化され又は軽減され、ミラーの歪みを最小化又は軽減する。言い換えれば、アタッチメント部113は、周辺のリブ構造から突出するローブに位置付けられることが可能であり、それにより、リブ110の結合される部分と周辺のリブ構造との間の相対的な伸び又は縮みは、ミラーの全体的な湾曲を生じさせない。例えば、アタッチメント・フィッティング部130及びアタッチメント部113に対して内的に発生せられる荷重の負荷経路(例えば、矢印103から生じるもの)は、ミラーを歪ませることに寄与するリブ構造の他の部分での荷重を最小化する程度に十分に、アタッチメント部113に対して孤立させることが可能である。例えば、ボンド・スポット又はアタッチメント部113の一方の側で切り欠き部116を設けることにより、アタッチメント部113を孤立させることは、リブ110を介する負荷経路を効果的に中断することが可能である。その結果、アタッチメント部113の伸び又は縮みはアタッチメント部113に対して局所的に閉じ込められ、それにより、アタッチメント部113の伸び又は縮みによって、押し出される又は引っ張られるリブ構造は存在しない。アタッチメント部113の伸び又は縮みがアタッチメント部113に対して孤立していることにより、ミラー構造の残りの部分へのプリント・スルーは最小化又は排除される。
【0022】
参照番号106によって確認されるリブの輪郭は、リブのローブ又は突出部115’の別の例を示し、ローブ又は突出部115’は、参照番号105により確認される輪郭と比較して、リブのアタッチメント部を更に孤立させるアンダーカット(undercut)117である。リブのローブ又は突出部は、ミラーの歪みを生じさせることに寄与する荷重を適切に減らす程度に十分に、リブ構造の他の部分からアタッチメント部を孤立させる一方、適切な構造的な支えをミラーに提供する適切な任意の構成であるとすることが可能である点が、認められるべきである。典型的には、ローブ又は突出部で生じるストレスに起因するミラーの歪みの程度は、ローブにより提供される構造的な支えと釣り合いを保つことが可能であり、その構造的な支えは、支柱に対する取り付け部として機能し、支柱からの荷重(即ち、作用している荷重)の影響を受ける。言い換えれば、アタッチメント部の孤立の程度は、適切な接続強度を提供する一方、許容可能な耐性に対するCTE不一致及び/又はボンドの収縮に起因するミラーの歪みを最小化又は軽減するように、設定されることが可能である。従って、接続部におけるトレード・オフとともにミラー歪みを減らすように、アタッチメント部は更に孤立させることが可能である。
【0023】
図2に示される一形態では、突出部又はローブ115は、支柱120aの長軸121に直角又は垂直である表面117を提供するように構成されることが可能であり、そのような表面は、アタッチメント・フィッティング部130をアタッチメント部113に結合することに対して利便性をもたらすことが可能である。従って、突出部115は、アタッチメント部113を孤立させることにより小さな形状誤差しか提供せず、支柱120aに対する取り付けを促すように役立つことが可能であり、それにより、支柱120aはリブ110に整合し、面外荷重がリブ110に振り分けられてしまうことを最小化又は防止する。
【0024】
図2及び図3に示される一形態では、アタッチメント部113の厚み107は、リブの隣接する部分の厚みより厚くすることが可能である。例えば、破線部108間の厚み107は、破線部108以外の部分の厚みより厚くすることが可能である。そのように厚くされた材料は、支柱を介して伝達される荷重を担うために必要な厚みまで、アタッチメント部113から遠ざかるにつれて薄化されることが可能である。アタッチメント部113で局所的に増やされた厚みは、接着剤の収縮力に対抗することにより、ミラーの歪みを削減又は最小化することが可能である。
【0025】
一形態では、アタッチメント・フィッティング部130及びリブ110は、近似的に同じ熱膨張係数(CTE)を有することが可能である。例えば、リブ110はシリコン・カーバイド(SiC)により構成されることが可能であり、アタッチメント・フィッティング部130はインバール(登録商標)(低いCTEを有することが知られているニッケル鉄合金)により構成されることが可能であるが、何れのコンポーネントについても適切な任意の材料が使用されることが可能であり、例えば、アタッチメント・フィッティング部及びリブの双方にアルミニウム等が使用されても良い。一形態では、アタッチメント・フィッティング部130は、リブの厚みの方向で屈曲性を有するように設計されることが可能であり、その屈曲性は、異なるCTEが形状誤差に対して有することになる影響を更に削減することが可能である。
【0026】
リブは多くのミラー支持の一般的な形態であり、従って本願で開示される原理を組み込むことはミラーに対して何らの余分な重量を追加しない。
【0027】
図5は、本開示の別の例によるミラー・マウント・システム200を示す。システム200は多くの点で上記のシステム100と類似しており、例えば、システムは突出部又はローブ215を含むように構成されるリブ210を有し、突出部又はローブは、アタッチメント・フィッティング部230との結合のためのアタッチメント部213を孤立させる。突出部又はローブ215は、アタッチメント・フィッティング部230に取り付けられる支柱220の長軸221に対して直角又は垂直である表面217を提供するように構成されることも可能である。このケースでは、アタッチメント部213は、接着界面214の場所のために、支柱の長軸に直角又は垂直な表面217を利用することが可能である。従って、システム100でのようにリブの側面に結合する代わりに、ボンドはリブのフェース(face)に垂直に為され、その結合は、支柱のベクトルに垂直にボンド接続部(the bond joint)を方向付け、作用する荷重の下でボンドを伸張又は圧縮の状態に置く。ボンド・スポットは、温度が変化するにつれて放射状に拡大又は収縮する。従って、支柱ベクトルに対して垂直にボンド接続部を方向付ける構成は、システム100の構成より大きなストレスを収容することが可能である。その結果、システム100の構成における場合よりも、小さな形状誤差とともに、より強力になる。接着界面214は、リブ210の局所的に厚くされた部分208の表面を形成することが可能であり、その部分は、結合ストレスを収容するだけでなく、適切なボンド表面領域を提供するように厚くされても良い。接着界面214に接着剤を適用するために、適切な任意のサイズの任意の個数のボンド・スポットが使用されることが可能である。図5及び図6では、一例として、2つのボンド・スポット231a,231bが示されている。ボンド・スポット231a,231bは、リブ210の接着界面214の利用可能な領域の形状に適合する形式で分散されることが可能である。従って、接着界面214は、所望の結合強度を達成するために必要とされる任意の個数のボンド・スポットとともに、アタッチメント・フィッティング部230をアタッチメント部213に結合することを促すように構成されることが可能である。
【0028】
接着剤は、アタッチメント・フィッティング部230の接着剤注入ポート232a,232bの中に注入され、接着界面214の方に方向付けられるので、典型的には、図6に示されるように、ボンド・スポット231a,231bは円形になるであろう。接着剤注入ポート232a,232bは、例えばアタッチメント・フィッティング部230の或る側で(不図示の)接着剤供給源に対するアクセスを提供するように構成され、接着界面214の方に向かってルーティングされることが可能であり、そのルーティングは90度の屈曲又は方向転換を要するかもしれない。一形態では、接着剤は、アタッチメント・フィッティング部230がリブ210と結合される前に、「バター状ボンド(butter bond)」で接着界面214に塗布されることが可能である。そのような「バター状ボンド」は単なる円形以外の任意の形状とすることが可能であり、なぜなら、接着剤はアタッチメント・フィッティング部の接着剤注入ポートを介する注入によって適用されないからである。
【0029】
本発明の一形態によれば、ミラーの搭載を促す方法が開示される。本方法は、ミラーの支持構造を形成するリブであって、アタッチメント部を有するリブを提供することを含むことが可能である。本方法は、接着剤により、アタッチメント・フィッティング部のリブのアタッチメント部への結合を促すことを含むことも可能であり、ミラーを歪ませることに寄与するリブの構造の他の部分における荷重であってアタッチメント・フィッティング部及びアタッチメント部に対して内的に発生する荷重が最小化される一方、ミラーに対して適切な構造的な支えを提供する程度に十分に、アタッチメント部は、リブの構造の他の部分から実質的に孤立させられている。この方法では特定の順序は要求されないが、概して一実施形態では、本方法は順番に実行されることが可能である点に留意を要する。
【0030】
開示される本発明の実施形態は、本願で開示される特定の構造、プロセス・ステップ又は材料に限定されず、当業者に認められるような均等物にまで拡張されることが、理解されるべきである。本願で使用される用語は、特定の実施形態を記述する目的にしか使用されておらず、限定されるようには意図されていないことも理解されるべきである。
【0031】
本明細書を通じて「一実施形態」又は「実施形態」は、その実施形態に関連して記述される特定の特徴、構造又は性質が、本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。従って、本明細書中の様々な箇所での「一実施形態において」又は「実施形態において」という言い回しの出現は、必ずしも全て同じ実施形態を指してはいない。
【0032】
本願で使用される場合、複数の項目、複数の構造的な要素、複数の構成要素及び/又は複数の材料は、便宜上、共通するリストで提示されるかもしれない。しかしながら、あたかもリスト中の各メンバーが個々に別個の固有のメンバーとして識別されるかのように、これらのリストは解釈されるべきである。従って、別意の言及無しに、単なる共通グループ中でのそれらの言及に基づいて、そのようなリスト中の個々のメンバーは、同じリスト中の何らかの他のメンバーの事実上の均等物として解釈されるべきではない。更に、本発明の様々な実施形態及び具体例が、様々な実施形態に関して代替例とともに本願で言及されるかもしれない。そのような実施形態、具体例及び代替例は、互いに事実上の均等物として解釈されるべきではなく、本発明の個別的な自律した表現として解釈されるべきであることが、理解される。
【0033】
更に、説明される特徴、構造又は性質は、1つ又は複数の実施形態で適切な任意の方法で組み合わせられて良い。本説明では、本発明の実施形態の十分な理解をもたらすために、長さ、幅、形状などについての具体例のような多くの具体的な詳細が提供される。しかしながら、当業者は、1つ以上の具体的な詳細事項無しに、或いは、他の方法、他のコンポーネント、他の材料等とともに、本発明は実施されることが可能であることを、認識するであろう。他の状況では、本発明の形態を曖昧にしてしまうかもしれないことを回避するために、周知の構造、材料又は動作は詳細には図示又は説明されない。
【0034】
上記の具体例は1つ以上の特定のアプリケーションにおける本発明の原理の模範であるが、形状、用途及び実現手段の詳細における多くの変形が、創作能力を発揮すること無く、及び、本発明の原理及び概念から逸脱することなく施されることが可能である点は、当業者にとって明らかであろう。従って、添付の特許請求の範囲を除いて本発明が規定されることは、意図されていない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6